説明

シート整合装置、シート後処理装置及び画像形成装置

【課題】本発明は、シート整合時およびシート有無検知時にシート有無検知部材がシートの整合を乱すことを抑制でき、シート整合時にシート後端を傷付けることを抑制できるシート整合装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るシート整合装置、シート後処理装置及び画像形成装置の代表的な構成は、画像形成装置本体100から排出されたシートSを積載して収容する中間積載部203を有し、積載されたシートSに対してシート整合を行うシート整合装置Aにおいて、シート端部を当接させて中間積載部203に積載されたシートを整合させるためのシート整合装置Aと、シートSを整合基準部材に当接して整合させる整合手段206と、中間積載部203に積載されたシートの上面に当接するか否かでシートが所定の位置に整合されているか否かを検知するシート整合検知手段Cと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載されたシートを整合するシート整合装置に関するものである。また本発明は、前記シート整合装置を具備し、ステイプル綴じなどの後処理を施すシート後処理装置に関するものである。また、シート後処理装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機などの画像形成装置では、画像形成された記録シートに後処理を施すシート後処理装置を備えたものがある。シート後処理装置は、仕上がりの体裁や見栄えを良くするために、積載部に積載されたシート束の端部を揃えて整合させる。整合されたシート束は、ステイプル機構によるステイプル綴じ、あるいはパンチャー機構による穴開けなどの後処理を施され、積載部からスタッカトレイに排出される。
【0003】
このようなシート後処理装置に、対応していないサイズのシートや、指定したサイズとは異なるシートが搬送されると、シートが処理可能な所定の位置まで整合されずに後処理を施してしまうという問題がある。特に、ステイプル綴じ処理を行う場合には、ステイプルが空打ちされて、曲った打ち損じ針がシート後処理装置の破損や誤動作の原因となる危険性がある。
【0004】
この問題に対する解決策として、シート端部検知手段を設ける方法が、特許文献1(特開2002−332158)に開示されている。図14は特許文献1に記載の画像形成装置の概略構成を示す図である。図14に示すように、シートに後処理を施す際には、画像形成装置501で画像形成されたシートは搬送ローラ対510〜513により、シート搬送路504、508を通って、シート後処理装置507へと搬送される。
【0005】
図15は図14のシート後処理装置の主要部の構成図である。図15に示すように、シート後処理装置507へと搬送されたシートSは、ローラ552、556によりシート後処理装置内を搬送される。そして、シート後端がローラ552、556を抜けると、処理トレイ543上でシート揃え片565(図14参照)及び回転ブラシ554によりシート整合が行われる。
【0006】
処理トレイ543には、シート検知板560(シート有無検知部材)がシート幅方向中央部に設けられている。シート整合が行われると、シート後端がシート検知板560に上端部560Aに当接する。すると、シート検知板560は回動支点561を中心として回動し、下部560Bが透過型インタラプタ562を遮光する。一方、シートが所定の位置まで整合されなかった場合には、透過型インタラプタ562は透光のままとなる。
【0007】
透過型インタラプタ562が遮光された場合には、ステイプル566による綴じ処理を行う。一方、透過型インタラプタ562が透光のままの場合には、ステイプル566による綴じ処理を施さない制御とする。これにより、シート後処理装置の破損や誤動作の発生を防止している。
【0008】
【特許文献1】特開2002−332158
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、シート検知板560をシート後端に当接させているため、シート検知板560が退避位置(ホームポジション)に戻ろうとするモーメントによる力がシートSに働く。このため、シート検知板560が一旦整合したシートSが押し出して、シートの整合を乱してしまう虞がある。さらには、シート整合時にシート後端をシート検知板560へ当接させた際に、シート後端の検知板当接部位を傷付けてしまう虞があった。
【0010】
また、特許文献1に記載のシート検知板560はシート後端、つまりシート搬送方向の整合状態のみ検知するようになっており、シート搬送方向と直交するシート幅方向にずれている場合にはその状態を把握することができなかった。このため、シート幅方向の整合状態を検知するために別の検知手段を設けなければならなかった。
【0011】
本発明は、シート有無検知部材がシート有無検知位置から退避位置(ホームポジション)へと戻るときにシートの整合を乱すことを抑制し、シート整合時にシート後端を傷付けることを抑制できるシート整合装置を提供することを目的とする。
【0012】
また本発明は、一つの検知手段で直交する2方向における整合状態を検知することが可能なシート整合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明に係るシート整合装置、シート後処理装置及び画像形成装置の代表的な構成は、画像形成装置本体から排出されたシートを積載して収容するシート積載部を有し、積載されたシートに対してシート整合を行うシート整合装置において、
シート端部を当接させて前記シート積載部に積載されたシートを整合させるためのシート整合手段と、
前記シート積載部に積載されたシートの上面に当接するか否かでシートが所定の位置に整合されているか否かを検知するシート整合検知手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シート有無検知部材がシート有無検知位置から退避位置(ホームポジション)へと戻るときにシートの整合を乱すことを抑制でき、シート整合時にシート後端を傷付けることを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第一実施形態]
本発明に係るシート整合装置、シート後処理装置及び画像形成装置の第一実施形態について、図を用いて説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その他相対位置などは、特に特定的記載がない限りはこの発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0016】
図4は本実施形態に係る画像形成装置の構成図である。図4に示すように、画像形成装置10は、画像形成装置本体100、シート後処理装置200、画像読取装置300を有している。
【0017】
(画像形成装置本体100)
画像形成装置本体100は、シート給搬送部101、画像形成部102、定着部103、シート排出部104等を備えている。
【0018】
シート給搬送部101は、給送カセット105、106、給送ローラ107、108、搬送ガイド109、レジストローラ110等を有している。上段給送カセット105と下段給送カセット106とには、各々サイズの異なるシートSが収納されている。
【0019】
画像形成部102は、感光ドラム111、露光装置113を有し、感光ドラム111の回転方向に沿って順に、帯電ローラ112、現像装置114、転写ローラ115を有している。
【0020】
定着部103は、定着ローラ116、加圧ローラ117を有している。
【0021】
シート排出部104は、排出ローラ118、排出口切替えフラッパ120、正逆転可能な搬送ローラ121、排出ガイド122、排出ローラ123、画像形成装置本体100上面に形成された排出トレイ124、満載検知フラグ125を有している。
【0022】
(画像形成動作)
次に、画像形成装置本体100の画像形成動作について説明する。
【0023】
まず、画像読取装置300で読み取った画像情報に応じて露光装置113がレーザ光Lを発光する。これにより、帯電ローラ112によって所定の極性・電位に一様に帯電されている感光ドラム111の表面を露光する。感光ドラム表面の露光部分には、電荷が除去され、静電潜像が形成される。
【0024】
静電潜像は、現像装置114によってトナーを付着されてトナー像として現像される。現像されたトナー像は、感光ドラム111の回転に伴って感光ドラム111と転写ローラ115との間の転写ニップ部に搬送される。
【0025】
一方、上段給送カセット105又は下段給送カセット106から、給送ローラ107又は給送ローラ108によってシートSが1枚ずつ分離給送される。給送されたシートSは、搬送ガイド109に沿ってレジストローラ110に搬送される。レジストローラ110に搬送されたシートSは、画像形成部102で形成されるトナー像にタイミングを合わせて、転写ニップ部に供給され、トナー像を転写される。
【0026】
トナー像を転写されたシートSは、定着部103に搬送され、定着ローラ116と加圧ローラ117によって加熱・加圧されてトナー像を定着される。
【0027】
ここで、画像形成後のシートSに対してステイプル綴じ等の後処理を行う場合や、後処理は施さないもののシート後処理装置から排出する場合には、シートSは排出口切替えフラッパ120によりシート後処理装置200に搬送される。
【0028】
一方、画像形成後のシートSに後処理が不要な場合は、排出口切替えフラッパ120によりシートSは搬送ローラ121により排出ガイド122に沿って搬送される。そして、シートSは、排出ローラ123により、排出トレイ124上にフェイスダウン状態、即ちトナー像が形成された面を下方に向けた状態で排出される。
【0029】
なお、排出トレイ124の上方に設けられた満載検知手段125により排出シートの満載を検知した際には、不図示の制御部は排出トレイ上のシートが取り除かれるまで画像形成を行わない。
【0030】
また、シートSの両面に画像を形成する場合には、トナー像を定着されたシートSは、再給送パス切り換えフラッパ127により再給送パス126に搬送される。そして、再度、画像形成部102、定着部103を通過して裏面にも画像形成が行われる。
【0031】
(シート後処理装置200)
シート後処理装置200は、搬送ローラ201、中間積載部203、接離可能な排出ローラ対204、ステイプラ210等のシート後処理手段、制御手段(不図示)、シート整合装置Aを有している。シート後処理装置200は、画像形成装置本体100により画像が形成された後、選択的に搬送されたシートに対しステイプル綴じ等の処理を行う。
【0032】
中間積載部203は、画像形成装置本体100から排出されたシートを積載して収容するシート積載部である。中間積載部203は、搬送ローラ201、208により搬送されたシートSの整合を行う際にシートSを支持する。ステイプラ210は、整合されたシート束に対して綴じ処理を施す。
【0033】
制御手段(不図示)は、シート後処理装置200は、ステイプラ210による綴じ処理、あるいは不図示のパンチャーによる穴開け等の後処理を施すか否かを制御する。
【0034】
(シート後処理装置200の動作)
シート後処理装置200の後処理動作について説明する。図5はシート後処理装置200の斜視図である。
【0035】
後処理を施す場合には、図5に示すように、画像形成装置本体100からシート後処理装置200に搬送されたシートSは、搬送ローラ201、208により搬送パス202に沿って、中間積載部203へ搬送される。ここで、シートに綴じ処理を行う場合には、排出ローラ対204は離間しており、シートSが排出ローラ対204により排出トレイ207へ排出されることはない。
【0036】
中間積載部203へ搬送されたシートSは、シート整合装置Aによって整合される。同様にして複数枚を整合してなるシート束は、ステイプラ210あるいはパンチャー(不図示)によって後処理を施される。後処理終了後、離間していた排出ローラ対204がニップし、かつ後述する整合手段206(206a、206b)及び209がシート幅方向に広がる方向に移動する。そして、綴じ処理されたシート束は、排出ローラ対204により排出トレイ207へと排出される。
【0037】
一方、シート後処理装置200から排出するものの、後処理を行わない場合には、排出ローラ対204が常時ニップしている。そして、搬送ローラ208により搬送されたシートは中間積載部203に一時的に溜められることなく、排出ローラ対204により排出トレイ207へ排出される。
【0038】
(シート整合装置)
シート整合装置について、整合時の時系列に沿って詳述する。図1は本実施形態に係るシート整合装置の構成図である。図2は図1のシート保持手段及びシート整合検知手段近傍の斜視図である。図3は図2の部位を中間積載部203に対して平行な方向(矢印X方向)から見た図である。なお、図1は図3の矢印Z方向から見た図、図2は図3を矢印Y方向から見た図である。
【0039】
図1〜図4に示すように、シート整合装置Aは、戻しローラ205、整合手段206(206a、206b)、209、幅方向基準部材211、搬送方向基準部材214、シート保持手段B、シート整合検知手段Cを有している。保持手段Bは検知手段Cの近傍に設けられている。
【0040】
幅方向基準部材211、搬送方向基準部材214は、シート端部を当接させて中間積載面203に積載されたシートSを整列させるための整合基準部材である。シートSを整合基準部材(搬送方向基準部材214、幅方向基準部材211)に当接して整合させる戻しローラ205、整合手段206とともにシート整合手段としてのシート整合装置Aを構成する。
【0041】
具体的には、戻しローラ205は、シートSが一枚ずつ排出されるごとに、中間積載部203に支持されたシートSを搬送方向の逆方向に移動して、シート後端を搬送方向基準部材214に当接し、搬送方向後端の整合を行う。整合手段206、209は、シート幅方向に移動して、中間積載部203に支持されたシートSを幅方向基準部材211に当接し、シート幅方向の整合を行う。
【0042】
なお、戻しローラ205によるシートSを戻す力は、シートSの斜行を直す力があれば十分であり、従来のシート検知板560を倒す力に比べて小さくすることができる。
【0043】
整合手段206(206a、206b)、209は、シートの搬送方向と直交するシート幅方向に移動可能であり、シート幅方向の整合を行う。整合手段206は、搬送ローラ201、208により搬送されたシートSを中間積載部203と共にシートを下方より支持する支持部206a1、206b1を有している。
【0044】
なお本実施の形態においては、シートSを整合手段206、209によって幅方向基準部材211に当接して整合させる構成について説明する。しかしながら、これに限定されることはなく、例えば一対の整合手段206a、206bの一方を基準として整合させる構成においても本発明は有効である。また、シート整合手段は、シートSを斜めに戻してシート幅方向、シート搬送方向の整合を行う構成としてもよい。
【0045】
綴じ処理を行う場合には、支持部206a1、206b1によりシートを支持しながらシート幅方向に移動してシートの整合を行う。綴じ処理終了後、離間していた排出ローラ対204がニップし、整合手段206及び209がシート幅方向に広がる方向に移動し、シートSを排出する。また、綴じ処理を行わずそのまま排出する場合にも、整合手段206はシート幅方向に開いて、そのままシートSを排出する。
【0046】
保持手段Bは、スライド部材220、シート保持部材221、ソレノイド222、バネ223から構成されている。保持手段Bは、中間積載部203上で整合されたシートSの整合状態を保ったまま保持するものであり、フレーム212に取り付けられている。
【0047】
スライド部材220は、水平方向に張り出したアーム220aを有しており、下端にシート保持部材221が取り付けられている。シート保持部材221は、移動手段であるソレノイド222により、中間積載部203に対して垂直方向に退避位置(ホームポジション)と、シート保持位置とに移動可能である。
【0048】
ここで、退避位置とは、シートの整合を妨げない位置であり、中間積載部203上方のシートガイド213よりも上方の位置(図1〜図3に示す位置)をいう。シート保持位置とは、中間積載部203に積載されたシートSの上面を付勢可能な位置(図6に示す位置)をいう。
【0049】
シート保持部材221は、シートSを保持した際にシートSの上面を傷付けないように、ゴム等の材料を使用することが望ましい。
【0050】
検知手段Cは、シート有無検知部材230、赤外線センサ231から構成されている。検知手段Cは、シート有無検知部材230のシート有無検知部230aが中間積載面203に積載されたシートSの上面に当接するか否かで整合基準部材214、211に沿ってシートが整合されているか否かを検知する。
【0051】
検知部材230は、シート有無検知部230a、センサ遮光部230b、ボス230c、回動支点230dで構成されている。検知部材230は、一端の回動支点230dを中心に他端の検知部230a及び遮光部230bを一体として、退避位置とシート有無検知位置とに回動可能となっている。
【0052】
ここで、シート有無検知位置とは、中間積載部203に積載されたシートSの有無を検知する位置をいう。具体的には、シート有無検知位置とは、検知部230aが中間積載部203に積載されたシートSに当接する位置(図6の位置)及び、検知部230aが中間積載部203に設けられた穴203aに挿入可能な位置(図7の位置)をいう。
【0053】
ボス230cは、スライド部材220のアーム220aの上方に乗るように構成され、自重あるいはバネ等によって、アーム220aに向かって軽く押圧されている。なお、その押圧力は、検知部230aがシートSの上面に当接した際に、シートSの上面を傷つけない程度の押圧力となるように制御される。
【0054】
シート整合時には、シート保持部材221及び検知部230aの先端は、退避位置に退避している。このとき、遮光部230bはセンサ231を遮光するセンサ遮光位置にある。なお、遮光部230bはシート有無検知部230aがシートSの上面に当接するか否かによってセンサ231を遮光、透光(ON、OFF)する。
【0055】
シート整合後、ソレノイド222をオンすることで、シート保持部材221は退避位置からシート保持位置へ移動する。この際、検知部材230は、アーム220aにより支持されなくなり、シート有無検知位置へ回動する。
【0056】
なお、中間積載部203あるいは積載されたシートSに対して、シート保持部材221が検知部230aよりも常に先に当接するように、アーム220a、ボス230c、検知部材230の支点の位置を決定している。
【0057】
(シート整合装置の整合動作)
シート整合装置の整合動作について説明する。シート整合装置による整合動作は、中間積載部203まで搬送されたシートSの後端が最終搬送ローラ208aを抜けると開始される。
【0058】
まず、最終搬送ローラ208aを抜けて中間積載部203に載置されたシートSは、戻しローラ205によって、搬送方向基準部材214に沿って整合される。さらに、シート幅方向に整合手段206、209によって幅方向基準部材211に沿って整合される(図4、図5参照)。
【0059】
シートSが幅方向基準部材211に沿って整合されると、ソレノイド222がオンになる。これにより、シート保持部材221は、退避位置(図1〜図3に示した位置)から、図6に示すシートSの上面に当接するシート保持位置(シート有無検知位置)へ、中間積載部203に対して垂直方向に沿って移動する。
【0060】
シート保持部材221がシート保持位置へ移動を開始すると、ボス230cを支持していたアーム220aが下降し、検知部材230がシート有無検知位置へ回動する。
【0061】
そして、検知部230aがシートSの上面に当接することで、検知部材230は回動を停止し、ボス230cがアーム220aから離れた状態(図6に示す状態)となる。この状態で、遮光部230bはセンサ231を遮光したままとなり、センサ231はシートが所定の位置まで整合されていることを検知する。ここでの所定の位置とは、例えば、ステイプラの針の一部がシートにかかる位置、つまりステイプラが空振りしない位置をいう。
【0062】
その後、後続する後続シートSが中間積載部203へと搬送されると、後続シートSが幅方向基準部材211へと整合される前に、ソレノイド222がオフになる。これにより、シート保持部材221は、バネ223の弾性力によって退避位置へ退避する。
【0063】
シート保持部材221が退避位置へ移動を開始すると、ボス230cがアーム220aを押し上げ、検知部材230が回動する。これにより、検知部230aはシートSの上面から離間する方向に回動する。そして、検知部材230は、ボス230cをアーム220aで支持された状態(図1〜図3に示す状態)となる。
【0064】
以上の整合動作が、所定枚数のシートSの整合が終わるまで、各シート毎に繰り返される。
【0065】
しかしながら、必ずしもシートSが所定の位置まで整合されるとは限らない。例えば、なんらかの不具合により、シート整合装置が正しく動作しない場合が考えられる。また、指定したシートサイズよりも小さいサイズのシートSがシート後処理装置200へ搬送され、誤った整合動作を行う場合も考えられる。さらに、シートSが大きくカールしたことで、シートSが短くなり、シートSを幅方向基準部材211まで充分に移動できない場合も考えられる。
【0066】
このような理由で、シートSが所定の位置まで整合されなかった場合の、検知手段Cの動作について以下に説明する。
【0067】
図7はシートSが幅方向基準部材211に沿う位置まで整合されなかった状態を示す図である。図7に示すように、シートSが幅方向基準部材211に沿う位置まで整合されなかった場合には、検知部230aは、退避位置からシート有無検知位置まで回動してもシートSの上面に当接しない。そして、穴203aを通過して、中間積載部203よりも下方まで回動する。
【0068】
このとき、遮光部230bがセンサ231のシート有無検知位置を越える位置まで回動し、センサ231は遮光から透光に切り替わる。これにより、シートSが所定の位置まで整合されていないことを検知する。
【0069】
センサ231によりシートSが所定の位置まで整合されていないことを検知した場合には、制御手段(不図示)は後処理を行わないように制御する。具体的には、シート無しを検知した場合には、排出ローラ対204を離間位置からニップ位置まで移動させ、後処理を施さずにシートSを排出トレイ207へ排出する。
【0070】
(効果)
以上説明したように、検知部材230は、シート端部ではなくシートSの上面に当接してシートSの有無を検知する。そして、検知部材230がシート有無検知位置から退避位置(ホームポジション)へと戻るときにシートに接しない。このため、一度シートが整合された後、検知部材230がシート有無検知位置から退避位置(ホームポジション)へと戻るときにシートの整合を乱すことを抑制できる。
【0071】
また、従来のように戻しローラ205によりシートSを戻す際に整合基準部材を倒してシートの有無を検知する必要がなく、戻しローラ205によるシートSを戻す力を小さくすることができる。このため、シート整合時にシート後端を傷付けることを抑制できる。
【0072】
また、整合済みのシートSをシート保持部材221で保持した状態で検知部材230を当接あるいは離間させる。これにより、検知部材230がシートSの上面に当接あるいは離間したときに生じうるシートSの移動(整合の乱れ)を抑制できる。
【0073】
また、検知部材230をシートSの上面に当接させることで、シート搬送方向、及びそれに直交する方向の整合状態を同時に把握することができる。シートの角部に一箇所綴じする場合に特に有効である。
【0074】
また、検知手段Cを保持手段Bと連動させることで、検知手段Cを移動させるための移動手段を新たに設ける必要がない。このため、シート整合装置Aを大型化させることなく、かつコストをおさえることができる。
【0075】
さらには、所定のサイズ以外のシートが搬送されてきた場合や、何らの不具合で所定の位置までシートが整合されなかった場合には、ステイプル綴じ等の後処理を施さない制御とする。これにより、ステイプルが空打ちされて曲った打ち損じ針がシート後処理装置の破損や誤動作の原因となる等の不具合を抑制できる。
【0076】
[第二実施形態]
次に本発明に係るシート整合装置、シート後処理装置及び画像形成装置の第二実施形態について図を用いて説明する。図8、図9は本実施形態に係るシート整合装置の構成図、側面図である。図8、図9は保持手段B、シート有無検知部材230が退避位置にある状態を示している。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
図8、図9に示すように、本実施形態のシート整合装置、シート後処理装置及び画像形成装置シート整合装置及びシート後処理装置は、シート有無検知部材230に変えて、中間積載部203に対して垂直方向に移動するシート有無検知部材240を設けたものである。
【0078】
検知手段Cは、シート有無検知部材240、ガイド部材(不図示)、センサ231を有している。シート有無検知部材240は、シート有無検知部240a、センサ遮光部240b、ボス240cを有している。ガイド部材は、シート有無検知部材240を保持し移動方向にガイドする。
【0079】
ボス240cは、スライド部材220のアーム220aの上方に乗るように構成され、自重あるいはバネ等によって、アーム220aに向かって軽く押圧されている。シート保持部材221の上下移動に伴い、ガイド部材にガイドされながら中間積載部203に対して垂直方向に移動してシート有無検知を行う。なお、その押圧力は、検知部240aがシートSの上面に当接した際に、シートSの上面を傷つけない程度の押圧力となるように制御される。
【0080】
図10は保持手段B及び検知手段Cがシート有りを検知している状態のシート整合装置の側面図である。図11はシート無しを検知している状態のシート整合装置の側面図である。
【0081】
本実施形態における保持手段B及び検知手段Cの動作については、シート有無検知部材が移動する軌跡が変わっている点を除いて、上記実施形態で説明した動作と同じである。
【0082】
以上の構成とすることで、上記第一実施形態で述べた効果に加えて、以下の効果が得られる。シート有無検知部材240を中間積載部203の上方での直動運動にすることで、回動支点を遠方に設ける必要が無く、装置を小型化することができる。
【0083】
[第三実施形態]
次に本発明に係るシート整合装置、シート後処理装置及び画像形成装置の第三実施形態について図を用いて説明する。図12、図13は保持手段B及びシート有無検知部材が退避位置にある状態のシート整合装置Aの構成図、側面図である。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
図12、図13に示すように、本実施形態のシート整合装置、シート後処理装置及び画像形成装置は、保持手段Bと検知手段Cがリンクしておらず、それぞれが別個に移動手段(ソレノイド222、260)を有し、タイミングを合わせて動作させる構成としたものである。
【0085】
検知手段Cは、シート有無検知部材250、センサ231、移動手段であるソレノイド260を有している。シート有無検知部材250は、シート有無検知部250a、センサ遮光部250b、作用点250c、回動支点250dを有している。
【0086】
ソレノイド260がオンになると、作用点250cに力が加わり、シート有無検知部材250が回動支点250dを中心として回動する。この際、検知部250aがシート有無を検知するために中間積載部203へ向かって移動する。
【0087】
その後、シート有無検知が終了すると、ソレノイド260がオフし、シート有無検知部材250が逆回転して退避位置へ戻る。整合済みのシートSをシート保持部材221で保持した状態で検知部材250を当接あるいは離間させる動作タイミングは上記第一実施形態と同じである。
【0088】
なお、シート有無検知部材250のシート有り時(シートが整合されている時)のシート有無検知位置での状態、およびシート無し時(シートが整合されていない時)のシート有無検知位置での状態は、上記第一実施形態で説明した状態と同じである。
【0089】
以上の構成とすることで、上記第一実施形態で述べた効果に加えて、以下の効果が得られる。検知手段Cがシート保持手段Bとは独立して動作可能であるため、ページ毎のシート保持タイミングに依存せず、任意のタイミング(例えば、複数枚毎)でシート保持動作に同期させてシート有無検知を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第一実施形態に係るシート整合装置の構成図である。
【図2】シート整合装置の斜視図である。
【図3】シート整合装置の側面図である。
【図4】第一実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図5】第一実施形態に係るシート後処理装置の斜視図である。
【図6】シートを検知した状態におけるシート整合装置の側面図である。
【図7】シートを検知しない状態におけるシート整合装置の側面図である。
【図8】第二実施形態に係るシート整合装置の構成図である。
【図9】第二実施形態に係るシート整合装置の側面図である。
【図10】シート有りを検知している状態の第二実施形態に係るシート整合装置の側面図である。
【図11】シート無しを検知している状態の第二実施形態に係るシート整合装置の側面図である。
【図12】保持手段及びシート有無検知部材が退避位置にある状態のシート整合装置の構成図である。
【図13】保持手段及びシート有無検知部材が退避位置にある状態のシート整合装置の側面図である。
【図14】従来の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図15】従来のシート後処理装置の主要部の構成図である。
【符号の説明】
【0091】
A…シート整合装置、B…シート保持手段、C…シート整合検知手段、L…レーザ光、S…シート、10…画像形成装置、100…画像形成装置本体、101…シート給搬送部、102…画像形成部、103…定着部、104…シート排出部、105、106…給送カセット、107、108…給送ローラ、109…搬送ガイド、110…レジストローラ、111…感光ドラム、112…帯電ローラ、113…露光装置、114…現像装置、115…転写ローラ、116…定着ローラ、117…加圧ローラ、118、123…排出ローラ、120…排出口切替えフラッパ、121…搬送ローラ、122…排出ガイド、124…排出トレイ、125…満載検知フラグ、126…再給送パス、127…再給送パス切り換えフラッパ、200…シート後処理装置、201…搬送ローラ、202…搬送パス、203…中間積載部(シート積載部)、203a…穴、204…排出ローラ対、205…戻しローラ、206…整合手段、206a1、206b1…支持部、207…排出トレイ、208…搬送ローラ、210…ステイプラ、211…幅方向基準部材、212…フレーム、213…シートガイド、214…搬送方向基準部材、220…スライド部材、220a…アーム、221…シート保持部材、222、260…ソレノイド、223…バネ、230、240、250…シート有無検知部材、230a、240a、250a…シート有無検知部、230b、240b、250b…センサ遮光部、230c、240c…ボス、230d、250d…回動支点、231…赤外線センサ、250c…作用点、300…画像読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体から排出されたシートを積載して収容するシート積載部を有し、積載されたシートに対してシート整合を行うシート整合装置において、
シート端部を当接させて前記シート積載部に積載されたシートを整合させるためのシート整合手段と、
前記シート積載部に積載されたシートの上面に当接するか否かでシートが所定の位置に整合されているか否かを検知するシート整合検知手段と、
を有することを特徴とするシート整合装置。
【請求項2】
シートの整合を妨げない退避位置と、前記シート積載部に積載されたシートの上面を付勢可能なシート保持位置とに移動可能なシート保持手段を有し、
前記シート整合検知手段は、前記シート保持手段に連動して、シートの整合を妨げない退避位置と、前記シート積載部に積載されたシートの有無を検知するシート有無検知位置とに移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のシート整合装置。
【請求項3】
前記シート整合検知手段は、前記シート保持手段の移動回数に応じて、シートの整合を妨げない退避位置と、前記シート積載部に積載されたシートの有無を検知するシート有無検知位置とに移動可能であることを特徴とする請求項2に記載のシート整合装置。
【請求項4】
前記シート整合検知手段は、シート有無検知部材と、センサを有し、
前記シート有無検知部材は、前記シート積載部に積載されたシートの上面に当接するシート有無検知部と、前記シート有無検知部がシートの上面に当接するか否かによってセンサをON、OFFするセンサ遮光部と、を有することを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載のシート整合装置。
【請求項5】
前記シート保持手段は、前記シート積載部に対して垂直方向に移動するスライド部材と、前記スライド部材に取り付けられたシート保持部材を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のシート整合装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のシート整合装置と、
前記シート整合装置で整合したシート束に後処理を行うシート後処理手段と、を有することを特徴とするシート後処理装置。
【請求項7】
前記シート整合検知手段がシートが整合されていないことを検知した場合に、後処理を施さない制御を行うことを特徴とする請求項6に記載のシート後処理装置。
【請求項8】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像を形成されたシートを整合する請求項1〜5のいずれかに記載のシート整合装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像を形成されたシートに後処理をする請求項6又は請求項7に記載のシート後処理装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−269473(P2007−269473A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99059(P2006−99059)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】