シート製造装置および製造方法
【課題】接着シートの再仮着時の受け渡し不良や間隔不良を防止できるシート製造装置および製造方法を提供すること。
【解決手段】シート製造装置１は、接着シートＳが所定間隔で第１剥離シートＲＬ１上に仮着された第１原反Ｒ１を繰り出す繰出手段２と、第１原反Ｒ１の第１剥離シートＲＬ１を折り曲げて第１剥離シートＲＬ１から接着シートＳを剥離する折曲端縁３２を有した剥離手段３と、接着シートＳが剥離された第１剥離シートＲＬ１または第２剥離シートＲＬ２を接着シートＳの接着剤層ＡＤ側に導き繰出方向Ａ下流側に案内する案内面４４を有した案内手段４とを備え、折曲端縁３２は接着シート面の直交方向からみる平面視で案内面４４の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、剥離した接着シートＳを案内面４４における第１剥離シートＲＬ１または第２剥離シートＲＬ２上に繰り出して第２原反Ｒ２を形成する。
【解決手段】シート製造装置１は、接着シートＳが所定間隔で第１剥離シートＲＬ１上に仮着された第１原反Ｒ１を繰り出す繰出手段２と、第１原反Ｒ１の第１剥離シートＲＬ１を折り曲げて第１剥離シートＲＬ１から接着シートＳを剥離する折曲端縁３２を有した剥離手段３と、接着シートＳが剥離された第１剥離シートＲＬ１または第２剥離シートＲＬ２を接着シートＳの接着剤層ＡＤ側に導き繰出方向Ａ下流側に案内する案内面４４を有した案内手段４とを備え、折曲端縁３２は接着シート面の直交方向からみる平面視で案内面４４の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、剥離した接着シートＳを案内面４４における第１剥離シートＲＬ１または第２剥離シートＲＬ２上に繰り出して第２原反Ｒ２を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、剥離シートに仮着された接着シートを製造するシート製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、接着シートであるラベルの型抜き跡に接着剤が浸入することで、当該ラベルが剥離し難くなることを防止するために、ラベルを一旦剥離シートから剥離した後、剥離シートの型抜き跡とラベルの外縁が一致しないように当該ラベルを再仮着するシート製造装置が利用されている（例えば、特許文献１参照）。
特許文献１に記載のシート製造装置は、剥離シートを折り返して剥離シートから接着シートを剥離する剥離板と、剥離板に対する接着シートの繰出方向下流側に設けられた貼付板とを備え、貼付板に送られてきた剥離シートに剥離板で剥離された接着シートを再仮着するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００３−３３４８７２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、特許文献１に記載のシート製造装置では、図３に示すように、剥離板ＰＰおよび貼付板ＡＰは、接着シートＳの繰出方向に沿って対向する互いの端部がそれぞれ鋭角状に形成されるとともに、互いに所定間隔を隔てて配置されている。このため、剥離板ＰＰで剥離した接着シートＳの先端部が折れ曲がり、貼付板ＡＰの下方に入り込んでしまうという受け渡し不良が発生する。このため、同図に二点鎖線で示すように、接着シートＳが落下して剥離シートＲＬに再仮着することができなかったり、接着シートＳが剥離シートＲＬに仮着されたまま貼付板ＡＰに送られてしまい、接着シートＳが重なって再仮着されてしまったりするという不都合を招来する。このような受け渡し不良は、当該接着シートＳの剛性が低いほど顕著に現れる。
【０００５】
一方、図４に示すように、接着シートＳの繰出方向に剥離ローラＰＲと貼付ローラＡＲとを並設したシート製造装置では、上述の受け渡し不良は解消できるものの、剥離ローラＰＲおよび貼付ローラＡＲ間の上部側の隙間が大きくなってしまう。このため、剥離した接着シートＳの先端部が折れ曲がることによって、同図の実線や二点鎖線で示すように、当該先端部が剥離シートＲＬに当接する位置（再仮着する位置）Ｐが異なってしまい、所定の間隔Ｄを隔てて仮着されていた接着シートＳであっても、再仮着によって、同図に示すＤ１、Ｄ２といった不均一の間隔を隔てて再仮着されてしまうという間隔不良が発生する。
【０００６】
本発明の目的は、接着シートの再仮着時の受け渡し不良や間隔不良を防止することができるシート製造装置および製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
前記目的を達成するため、本発明のシート製造装置は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する複数の接着シートが所定の間隔を隔てて帯状の第１剥離シート上に前記接着剤層を介して仮着された第１原反を繰り出す繰出手段と、繰り出された第１原反の第１剥離シートを折り曲げて当該第１剥離シートから前記接着シートを剥離する折曲端縁を有した剥離手段と、前記接着シートが剥離された第１剥離シートまたは当該第１剥離シートとは別の帯状の第２剥離シートを前記接着シートの接着剤層側に導き当該接着シートの繰出方向下流側に案内する案内面を有した案内手段とを備え、前記折曲端縁は、接着シート面の直交方向からみる平面視で前記案内面の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、前記剥離手段で剥離した接着シートを前記案内面における第１剥離シートまたは第２剥離シート上に繰り出して第２原反を形成することを特徴とする。
【０００８】
本発明のシート製造装置において、前記剥離手段は、前記折曲端縁が断面鋭角状に設けられた剥離部材を備え、前記案内手段は、前記案内面が設けられるとともに、当該案内面の部分が断面鈍角状に形成された案内部材を備えていることが好ましい。
また、本発明のシート製造装置は、前記接着シートの繰出方向の先端部に接着剤層側から気体を吹き付ける吹付手段を備えていることが好ましい。
さらに、本発明のシート製造装置において、前記折曲端縁および前記案内面は、前記折曲端縁における第１剥離シートと、前記案内面における第１剥離シートまたは第２剥離シートとの相対間隔が前記接着シートの厚み未満となるように配置され、前記第１剥離シートと前記第２剥離シートとの少なくとも一方の剥離シートの張力を検出する検出手段を備えていることが好ましい。
【０００９】
一方、本発明のシート製造方法は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートを帯状の第１剥離シートから剥離し、前記接着シートが剥離された第１剥離シートまたは当該第１剥離シートとは別の帯状の第２剥離シートに前記接着シートを再仮着するシート製造方法であって、複数の接着シートが所定の間隔を隔てて前記第１剥離シート上に前記接着剤層を介して仮着された第１原反を繰り出し、前記接着シートが剥離された第１剥離シートまたは前記第２剥離シートを接着シートの接着剤層側に導き案内面に沿って接着シートの繰出方向下流側に案内するとともに、前記繰り出された第１原反の第１剥離シートを接着シート面の直交方向からみる平面視で前記案内面と重なる位置に設けた折曲端縁で折り曲げて当該第１剥離シートから前記接着シートを剥離し、剥離した接着シートを前記案内面における前記第１剥離シートまたは前記第２剥離シート上に繰り出して第２原反を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
以上のような本発明によれば、剥離手段の折曲端縁が、剥離シートを案内する案内面と平面視で重なる位置に設けられているので、接着シートの先端部が折れ曲がったとしても、接着シートの受け渡し不良が発生することを防止することができる。また、剥離手段と案内手段との隙間を小さくすることができるので、接着シートの先端部が剥離シートに当接する位置を安定させることができ、接着シートの間隔不良をも防止することができる。
【００１１】
本発明において、折曲端縁が断面鋭角状に設けられた剥離部材と、案内面部分が断面鈍角状に設けられた案内部材とを備えるように構成すれば、折曲端縁と案内面とが重なる領域を大きくできるとともに、剥離手段と案内手段との隙間を小さくすることができるので、受け渡し不良や間隔不良をより効果的に解消することができる。
また、接着シートの繰出方向の先端部に接着剤層側から気体を吹き付けるように構成すれば、接着シートの先端部が折れ曲がることを防止することができる。
さらに、折曲端縁における剥離シートと案内面における剥離シートとの間隔を接着シートの厚み未満にするとともに、検出手段を備える構成とすれば、受け渡し不良を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明の第１実施形態に係るシート製造装置の側面図。
【図２】本発明の第２実施形態に係るシート製造装置の側面図。
【図３】従来のシート製造装置の部分側面図。
【図４】従来の別のシート製造装置の部分側面図。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第２実施形態以降において、次の第１実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材および同様な機能を有する構成部材には、第１実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
また、各実施形態における明示のない例えば、上、下、左、右、または、手前、奥という方向を示す表現は、全て図１を基準に用いられている。
【００１４】
〔第１実施形態〕
図１に示すように、本実施形態のシート製造装置１は、基材シートＢＳの一方の面に接着剤層ＡＤを有する複数の接着シートＳが所定の間隔Ｄを隔てて帯状の第１剥離シートＲＬ１上に接着剤層ＡＤを介して仮着された第１原反Ｒ１を繰り出す繰出手段２と、繰り出された第１原反Ｒ１の第１剥離シートＲＬ１を折り曲げて当該第１剥離シートＲＬ１から接着シートＳを剥離する剥離手段３と、第１剥離シートＲＬ１を接着シートＳの接着剤層ＡＤ側に導き当該接着シートの繰出方向Ａの下流側に案内する案内面４４を有した案内手段４と、剥離手段３で剥離される接着シートＳの繰出方向Ａに対応する先端部Ｓ１に接着剤層ＡＤ側から気体を吹き付ける吹付手段５と、第１剥離シートＲＬ１の張力を検出する検出手段６とを備えている。このシート製造装置１は、剥離手段３が剥離した接着シートＳを案内手段４で案内される第１剥離シートＲＬ１上に繰り出して再仮着させることで第２原反Ｒ２を形成するとともに、形成された第２原反Ｒ２を巻取手段７で巻き取るように構成され、その全体が図示しないフレームに支持されている。
【００１５】
繰出手段２は、第１原反Ｒ１をロール状に巻回して支持するとともに駆動機器としての回動モータ２１によって駆動する支持ローラ２２と、駆動機器としての回動モータ２３によって駆動する駆動ローラ２４と、駆動ローラ２４との間に第１原反Ｒ１を挟み込むピンチローラ２５とを備えている。
【００１６】
剥離手段３は、第１剥離シートＲＬ１を折り曲げる折曲端縁３２を有した剥離部材としての剥離板３１を備えている。剥離板３１は、矢印Ｂ方向つまり、接着シートＳの面の直交方向からみる平面視で、折曲端縁３２が案内面４４と重なる位置に設けられ、重なり領域ＯＬを形成するようになっている。さらに、剥離板３１は、折曲端縁３２と案内面４４との左右方向の間隔を調整可能な駆動機器としての直動モータ３３と、同上下方向の間隔を調整可能な駆動機器としての直動モータ３４とからなる間隔調整手段に支持されている。これにより、折曲端縁３２における第１剥離シートＲＬ１と、案内面４４における第１剥離シートＲＬ１との相対間隔Ｃを、第１剥離シートＲＬ１の厚みや接着シートＳの厚みに応じて調整することができるようになっている。
【００１７】
案内手段４は、接着シートＳが剥離された第１剥離シートＲＬ１を迂回させる複数の迂回ローラ４１と、迂回ローラ４１により迂回された第１剥離シートＲＬ１が掛け回されるとともに、駆動機器としての回動モータ４５によって回転可能な案内部材としてのガイドローラ４３と、第１剥離シートＲＬ１を挟んでガイドローラ４３と対向配置された押圧ローラ４６とを備え、ガイドローラ４３の外周の右端から上端に位置する円弧面によって案内面４４が形成される。そして、接着シートＳと第１剥離シートＲＬ１とをガイドローラ４３および押圧ローラ４６間に挟み込むことにより、接着シートＳを第１剥離シートＲＬ１に再仮着して第２原反Ｒ２を形成する。
【００１８】
吹付手段５は、剥離板３１の下方に設けられ、剥離板３１およびガイドローラ４３間に気体を吹き付けることで、接着シートＳの先端部Ｓ１に接着剤層ＡＤ側から気体を吹き付け可能に構成されている。この吹付手段５は、先端部Ｓ１に気体を吹き付けることで、当該先端部Ｓ１が下方に折れ曲がることを防止するとともに、第１剥離シートＲＬ１からの先端部Ｓ１の剥離を補助する。なお、吹き付ける気体としては、大気、窒素ガスやネオンガス等のガスや混合気であってもよい。さらに、気体の吹き付けによって先端部Ｓ１が上方に捲れ上がってしまうことを抑制する板状部材等の捲れ防止手段５１を備えてもよい。捲れ防止手段５１としては、接着シートＳの繰出に同期して回行する回行ベルト等を採用してもよい。回行ベルトを採用する場合、押圧ローラ４６に当該回行ベルトを巻き掛けてもよい。さらに、捲れ防止手段５１側に、接着シートＳを上方に吸引する吸引手段を設けてもよい。
【００１９】
検出手段６は、下方に位置する２個の迂回ローラ４１の間であって、第１剥離シートＲＬ１を挟んだ反対側で第１剥離シートＲＬ１を案内する検出用ローラ６１と、検出用ローラ６１に作用する圧力を測定するロードセル６２とを備えている。この検出手段６は、各迂回ローラ４１に掛け回された第１剥離シートＲＬ１の張力を検出することができる。
【００２０】
巻取手段７は、駆動機器としての回動モータ７１によって第２原反Ｒ２を巻き取る巻取ローラ７２と、駆動機器としての回動モータ７３によって駆動する駆動ローラ７４と、駆動ローラ７４との間に第２原反Ｒ２を挟み込むピンチローラ７５とを備えている。
【００２１】
以上のシート製造装置１において、第２原反Ｒ２を製造する手順について説明する。
先ず、図１に示すように、第１原反Ｒ１を駆動ローラ２４、剥離板３１、各迂回ローラ４１、検出用ローラ６１、ガイドローラ４３、および駆動ローラ７４に架け渡した状態で、巻取ローラ７２にセットする。この際、剥離板３１から巻取ローラ７２間に位置する接着シートＳは、第１剥離シートＲＬ１から除去しておく。また、間隔調整手段により剥離板３１を上下左右に移動させて、相対間隔Ｃが接着シートＳの厚み未満となるように調整しておく。
【００２２】
この状態で、回動モータ２１，２３，４５，７３，７１の駆動により、支持ローラ２２から第１原反Ｒ１を繰り出すと、第１剥離シートＲＬ１が剥離板３１の折曲端縁３２で折り曲げられて、接着シートＳが第１剥離シートＲＬ１から剥離される。このとき、剥離板３１で接着シートＳが第１剥離シートＲＬ１から剥離されず、接着シートＳが第１剥離シートＲＬ１に仮着されたまま迂回ローラ４１方向へ向かおうとした場合、相対間隔Ｃが接着シートＳの厚み未満となるように調整されているので、接着シートＳが挟まれて第１剥離シートＲＬ１の張力が大きくなる。そして、検出手段６がこの張力変化を検出したとき、回動モータ２１，２３，４５，７３，７１の駆動が停止されるように設定されており、接着シートＳの受け渡し不良を未然に防ぐことができる。
【００２３】
接着シートＳが第１剥離シートＲＬ１から剥離されると、当該接着シートＳの先端部Ｓ１は、案内面４４に沿って案内されている第１剥離シートＲＬ１上に当接する。このとき、折曲端縁３２が、ガイドローラ４３の案内面４４と重なる位置に設けられているので、折れ曲がった先端部Ｓ１が案内面４４の下方に入り込むことを防止して、受け渡し不良が発生することを確実に防止することができる。また、図１に示すように、接着シートＳの先端部Ｓ１には、吹付手段５によって気体が吹き付けられるので、接着シートＳの先端部Ｓ１が折れ曲がることが防止され、受け渡し不良のみならず間隔不良をも解消することができる。しかも、先端部Ｓ１が上方に捲れ上がってしまうことが捲れ防止手段５１によって抑制されるので、間隔Ｄを確実に維持して第１剥離シートＲＬ１に接着シートＳを再仮着することができ、間隔不良をより効果的に解消することができる。
【００２４】
先端部Ｓ１が第１剥離シートＲＬ１に当接した接着シートＳは、さらに繰出方向Ａに沿って繰り出され、ガイドローラ４３と押圧ローラ４６とで第１剥離シートＲＬ１に再仮着されて第２原反Ｒ２が形成される。このようにして形成された第２原反Ｒ２は、巻取ローラ７２に巻き取られることとなる。そして、全ての接着シートＳが再仮着されると、シート製造装置１は、回動モータ２１，２３，４５，７３，７１を停止し、次の第２原反Ｒ２の製造に備える。
【００２５】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、剥離板３１の折曲端縁３２が、案内面４４と平面視で重なる位置に設けられているので、接着シートＳの先端部Ｓ１が折れ曲がったとしても、受け渡し不良が発生することを防止することができる。しかも、相対間隔Ｃを小さくすることができるので、再仮着によって、接着シートＳ間の間隔Ｄが不均一になることを防止して間隔不良が発生することも防止することができる。これにより、例えば、第２原反Ｒ２を公知のシート貼付装置等で自動貼付する場合に、接着シートＳが第１剥離シートＲＬ１上に仮着されていないことによるシート不貼り不良や、１つの被着体に対して複数の接着シートを貼付してしまう二重貼り不良等の発生を防止することができる。
【００２６】
〔第２実施形態〕
次に、本発明の第２実施形態を図２に基づいて説明する。
本実施形態のシート製造装置１は、案内部材としてガイドローラ４３のかわりにガイドプレート４７を備え、ガイドプレート４７が第１剥離シートＲＬ１を接着シートＳの繰出方向Ａの下流側に案内する点で前記第１実施形態と相違する。
【００２７】
すなわち、案内手段４は、複数の迂回ローラ４１、押圧ローラ４６、およびガイドプレート４７を備え、ガイドプレート４７の右端から左斜め上方に向う面によって案内面４８が形成される。そして、接着シートＳと第１剥離シートＲＬ１とをガイドプレート４７および押圧ローラ４６間に挟み込むことにより、接着シートＳを第１剥離シートＲＬ１に再仮着して第２原反Ｒ２を形成する。ここで、剥離板３１の折曲端縁３２は、断面の角度が鋭角状に構成されるとともに、ガイドプレート４７は、案内面４８とガイドプレート４７の上面とで形成される角部の断面の角度が鈍角状に構成されることが好ましい。
【００２８】
以上の本実施形態によっても、前記第１実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ガイドローラ４３のかわりにガイドプレート４７を設けるため、ガイドローラ４３を回転可能に支持するための構成が不要となり、シート製造装置１を簡易かつ安価に構成することができる。
【００２９】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【００３０】
例えば、前記各実施形態では、剥離手段３により接着シートＳが剥離された第１剥離シートＲＬ１を再利用したが、図１、図２の二点鎖線で示すように、第１剥離シートＲＬ１とは別の第２剥離シートＲＬ２を予め準備しておき、この第２剥離シートＲＬ２を案内面４４，４８上に導いて接着シートＳを再仮着して第２原反Ｒ２を形成するようにしてもよい。このとき、繰出手段２は、前述した構成に加え、駆動機器としての回動モータ２６によって第１剥離シートＲＬ１を巻き取る巻取ローラ２７を備えるように構成される。また、巻取手段７は、第２剥離シートＲＬ２をロール状に巻回して支持するとともに駆動機器としての回動モータ７６によって駆動する支持ローラ７７を備えるように構成される。さらに、検出手段６は、第１剥離シートＲＬ１または第２剥離シートＲＬ２の張力を検出するように構成することができる。
【００３１】
前記各実施形態では、接着シートＳとして予めカットされたものを例示したが、カットされていない帯状のものを用いてもよく、剥離手段３の前段で所定形状の接着シートＳにカットするような構成であってもよい。
【００３２】
前記各実施形態では、剥離板３１が設けられていたが、剥離部材は剥離板３１以外のものでもよく、例えば、ローラであってよい。
前記各実施形態では、押圧ローラ４６が設けられていたが、押圧ローラ４６にかえて、ブレード材、エア噴き付け、ゴム、樹脂、スポンジ等による押圧部材を採用することができる。また、剥離板３１で剥離した接着シートＳを案内面４４，４８における第１剥離シートＲＬ１または第２剥離シートＲＬ２上に繰り出すことで接着シートＳを再仮着することができれば、押圧ローラ４６を設けなくてもよい。
【００３３】
さらに、前記各実施形態では、剥離板３１を間隔調整手段により移動させたが、ガイドローラ４３および押圧ローラ４６を間隔調整手段により移動させてもよいし、剥離板３１とガイドローラ４３との両方を移動させてもよい。また、剥離板３１を左右方向または上下方向のいずれかのみに移動可能とし、ガイドローラ４３を上下方向または左右方向のいずれかのみに移動可能としてもよい。
また、巻取手段７は必須ではなく、例えば、形成された第２原反Ｒ２を引き続きシート貼付装置に送って、図示しない被着体に貼付するようにしてもよい。
【００３４】
前記各実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる（実施形態で例示したものと重複するものもある）。
【００３５】
前記各実施形態では、接着シートＳを具体的に例示していないが、本発明のシート製造装置および製造方法では、接着シートＳの種別や材質などは特に限定されず、例えば、接着シートＳがラベルであったり、半導体ウェハに貼付される保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムなどであったりしてもよく、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等も適用できる。
【符号の説明】
【００３６】
１ シート製造装置
２ 繰出手段
３ 剥離手段
４ 案内手段
５ 吹付手段
６ 検出手段
３１ 剥離板（剥離部材）
３２ 折曲端縁
４３ ガイドローラ（案内部材）
４４ 案内面
４７ ガイドプレート（案内部材）
４８ 案内面
Ａ 繰出方向
ＡＤ 接着剤層
ＢＳ 基材シート
Ｃ 相対間隔
Ｒ１ 第１原反
Ｒ２ 第２原反
ＲＬ１ 第１剥離シート
ＲＬ２ 第２剥離シート
Ｓ 接着シート
【技術分野】
【０００１】
本発明は、剥離シートに仮着された接着シートを製造するシート製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、接着シートであるラベルの型抜き跡に接着剤が浸入することで、当該ラベルが剥離し難くなることを防止するために、ラベルを一旦剥離シートから剥離した後、剥離シートの型抜き跡とラベルの外縁が一致しないように当該ラベルを再仮着するシート製造装置が利用されている（例えば、特許文献１参照）。
特許文献１に記載のシート製造装置は、剥離シートを折り返して剥離シートから接着シートを剥離する剥離板と、剥離板に対する接着シートの繰出方向下流側に設けられた貼付板とを備え、貼付板に送られてきた剥離シートに剥離板で剥離された接着シートを再仮着するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００３−３３４８７２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、特許文献１に記載のシート製造装置では、図３に示すように、剥離板ＰＰおよび貼付板ＡＰは、接着シートＳの繰出方向に沿って対向する互いの端部がそれぞれ鋭角状に形成されるとともに、互いに所定間隔を隔てて配置されている。このため、剥離板ＰＰで剥離した接着シートＳの先端部が折れ曲がり、貼付板ＡＰの下方に入り込んでしまうという受け渡し不良が発生する。このため、同図に二点鎖線で示すように、接着シートＳが落下して剥離シートＲＬに再仮着することができなかったり、接着シートＳが剥離シートＲＬに仮着されたまま貼付板ＡＰに送られてしまい、接着シートＳが重なって再仮着されてしまったりするという不都合を招来する。このような受け渡し不良は、当該接着シートＳの剛性が低いほど顕著に現れる。
【０００５】
一方、図４に示すように、接着シートＳの繰出方向に剥離ローラＰＲと貼付ローラＡＲとを並設したシート製造装置では、上述の受け渡し不良は解消できるものの、剥離ローラＰＲおよび貼付ローラＡＲ間の上部側の隙間が大きくなってしまう。このため、剥離した接着シートＳの先端部が折れ曲がることによって、同図の実線や二点鎖線で示すように、当該先端部が剥離シートＲＬに当接する位置（再仮着する位置）Ｐが異なってしまい、所定の間隔Ｄを隔てて仮着されていた接着シートＳであっても、再仮着によって、同図に示すＤ１、Ｄ２といった不均一の間隔を隔てて再仮着されてしまうという間隔不良が発生する。
【０００６】
本発明の目的は、接着シートの再仮着時の受け渡し不良や間隔不良を防止することができるシート製造装置および製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
前記目的を達成するため、本発明のシート製造装置は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する複数の接着シートが所定の間隔を隔てて帯状の第１剥離シート上に前記接着剤層を介して仮着された第１原反を繰り出す繰出手段と、繰り出された第１原反の第１剥離シートを折り曲げて当該第１剥離シートから前記接着シートを剥離する折曲端縁を有した剥離手段と、前記接着シートが剥離された第１剥離シートまたは当該第１剥離シートとは別の帯状の第２剥離シートを前記接着シートの接着剤層側に導き当該接着シートの繰出方向下流側に案内する案内面を有した案内手段とを備え、前記折曲端縁は、接着シート面の直交方向からみる平面視で前記案内面の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、前記剥離手段で剥離した接着シートを前記案内面における第１剥離シートまたは第２剥離シート上に繰り出して第２原反を形成することを特徴とする。
【０００８】
本発明のシート製造装置において、前記剥離手段は、前記折曲端縁が断面鋭角状に設けられた剥離部材を備え、前記案内手段は、前記案内面が設けられるとともに、当該案内面の部分が断面鈍角状に形成された案内部材を備えていることが好ましい。
また、本発明のシート製造装置は、前記接着シートの繰出方向の先端部に接着剤層側から気体を吹き付ける吹付手段を備えていることが好ましい。
さらに、本発明のシート製造装置において、前記折曲端縁および前記案内面は、前記折曲端縁における第１剥離シートと、前記案内面における第１剥離シートまたは第２剥離シートとの相対間隔が前記接着シートの厚み未満となるように配置され、前記第１剥離シートと前記第２剥離シートとの少なくとも一方の剥離シートの張力を検出する検出手段を備えていることが好ましい。
【０００９】
一方、本発明のシート製造方法は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートを帯状の第１剥離シートから剥離し、前記接着シートが剥離された第１剥離シートまたは当該第１剥離シートとは別の帯状の第２剥離シートに前記接着シートを再仮着するシート製造方法であって、複数の接着シートが所定の間隔を隔てて前記第１剥離シート上に前記接着剤層を介して仮着された第１原反を繰り出し、前記接着シートが剥離された第１剥離シートまたは前記第２剥離シートを接着シートの接着剤層側に導き案内面に沿って接着シートの繰出方向下流側に案内するとともに、前記繰り出された第１原反の第１剥離シートを接着シート面の直交方向からみる平面視で前記案内面と重なる位置に設けた折曲端縁で折り曲げて当該第１剥離シートから前記接着シートを剥離し、剥離した接着シートを前記案内面における前記第１剥離シートまたは前記第２剥離シート上に繰り出して第２原反を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
以上のような本発明によれば、剥離手段の折曲端縁が、剥離シートを案内する案内面と平面視で重なる位置に設けられているので、接着シートの先端部が折れ曲がったとしても、接着シートの受け渡し不良が発生することを防止することができる。また、剥離手段と案内手段との隙間を小さくすることができるので、接着シートの先端部が剥離シートに当接する位置を安定させることができ、接着シートの間隔不良をも防止することができる。
【００１１】
本発明において、折曲端縁が断面鋭角状に設けられた剥離部材と、案内面部分が断面鈍角状に設けられた案内部材とを備えるように構成すれば、折曲端縁と案内面とが重なる領域を大きくできるとともに、剥離手段と案内手段との隙間を小さくすることができるので、受け渡し不良や間隔不良をより効果的に解消することができる。
また、接着シートの繰出方向の先端部に接着剤層側から気体を吹き付けるように構成すれば、接着シートの先端部が折れ曲がることを防止することができる。
さらに、折曲端縁における剥離シートと案内面における剥離シートとの間隔を接着シートの厚み未満にするとともに、検出手段を備える構成とすれば、受け渡し不良を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】本発明の第１実施形態に係るシート製造装置の側面図。
【図２】本発明の第２実施形態に係るシート製造装置の側面図。
【図３】従来のシート製造装置の部分側面図。
【図４】従来の別のシート製造装置の部分側面図。
【発明を実施するための形態】
【００１３】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第２実施形態以降において、次の第１実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材および同様な機能を有する構成部材には、第１実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
また、各実施形態における明示のない例えば、上、下、左、右、または、手前、奥という方向を示す表現は、全て図１を基準に用いられている。
【００１４】
〔第１実施形態〕
図１に示すように、本実施形態のシート製造装置１は、基材シートＢＳの一方の面に接着剤層ＡＤを有する複数の接着シートＳが所定の間隔Ｄを隔てて帯状の第１剥離シートＲＬ１上に接着剤層ＡＤを介して仮着された第１原反Ｒ１を繰り出す繰出手段２と、繰り出された第１原反Ｒ１の第１剥離シートＲＬ１を折り曲げて当該第１剥離シートＲＬ１から接着シートＳを剥離する剥離手段３と、第１剥離シートＲＬ１を接着シートＳの接着剤層ＡＤ側に導き当該接着シートの繰出方向Ａの下流側に案内する案内面４４を有した案内手段４と、剥離手段３で剥離される接着シートＳの繰出方向Ａに対応する先端部Ｓ１に接着剤層ＡＤ側から気体を吹き付ける吹付手段５と、第１剥離シートＲＬ１の張力を検出する検出手段６とを備えている。このシート製造装置１は、剥離手段３が剥離した接着シートＳを案内手段４で案内される第１剥離シートＲＬ１上に繰り出して再仮着させることで第２原反Ｒ２を形成するとともに、形成された第２原反Ｒ２を巻取手段７で巻き取るように構成され、その全体が図示しないフレームに支持されている。
【００１５】
繰出手段２は、第１原反Ｒ１をロール状に巻回して支持するとともに駆動機器としての回動モータ２１によって駆動する支持ローラ２２と、駆動機器としての回動モータ２３によって駆動する駆動ローラ２４と、駆動ローラ２４との間に第１原反Ｒ１を挟み込むピンチローラ２５とを備えている。
【００１６】
剥離手段３は、第１剥離シートＲＬ１を折り曲げる折曲端縁３２を有した剥離部材としての剥離板３１を備えている。剥離板３１は、矢印Ｂ方向つまり、接着シートＳの面の直交方向からみる平面視で、折曲端縁３２が案内面４４と重なる位置に設けられ、重なり領域ＯＬを形成するようになっている。さらに、剥離板３１は、折曲端縁３２と案内面４４との左右方向の間隔を調整可能な駆動機器としての直動モータ３３と、同上下方向の間隔を調整可能な駆動機器としての直動モータ３４とからなる間隔調整手段に支持されている。これにより、折曲端縁３２における第１剥離シートＲＬ１と、案内面４４における第１剥離シートＲＬ１との相対間隔Ｃを、第１剥離シートＲＬ１の厚みや接着シートＳの厚みに応じて調整することができるようになっている。
【００１７】
案内手段４は、接着シートＳが剥離された第１剥離シートＲＬ１を迂回させる複数の迂回ローラ４１と、迂回ローラ４１により迂回された第１剥離シートＲＬ１が掛け回されるとともに、駆動機器としての回動モータ４５によって回転可能な案内部材としてのガイドローラ４３と、第１剥離シートＲＬ１を挟んでガイドローラ４３と対向配置された押圧ローラ４６とを備え、ガイドローラ４３の外周の右端から上端に位置する円弧面によって案内面４４が形成される。そして、接着シートＳと第１剥離シートＲＬ１とをガイドローラ４３および押圧ローラ４６間に挟み込むことにより、接着シートＳを第１剥離シートＲＬ１に再仮着して第２原反Ｒ２を形成する。
【００１８】
吹付手段５は、剥離板３１の下方に設けられ、剥離板３１およびガイドローラ４３間に気体を吹き付けることで、接着シートＳの先端部Ｓ１に接着剤層ＡＤ側から気体を吹き付け可能に構成されている。この吹付手段５は、先端部Ｓ１に気体を吹き付けることで、当該先端部Ｓ１が下方に折れ曲がることを防止するとともに、第１剥離シートＲＬ１からの先端部Ｓ１の剥離を補助する。なお、吹き付ける気体としては、大気、窒素ガスやネオンガス等のガスや混合気であってもよい。さらに、気体の吹き付けによって先端部Ｓ１が上方に捲れ上がってしまうことを抑制する板状部材等の捲れ防止手段５１を備えてもよい。捲れ防止手段５１としては、接着シートＳの繰出に同期して回行する回行ベルト等を採用してもよい。回行ベルトを採用する場合、押圧ローラ４６に当該回行ベルトを巻き掛けてもよい。さらに、捲れ防止手段５１側に、接着シートＳを上方に吸引する吸引手段を設けてもよい。
【００１９】
検出手段６は、下方に位置する２個の迂回ローラ４１の間であって、第１剥離シートＲＬ１を挟んだ反対側で第１剥離シートＲＬ１を案内する検出用ローラ６１と、検出用ローラ６１に作用する圧力を測定するロードセル６２とを備えている。この検出手段６は、各迂回ローラ４１に掛け回された第１剥離シートＲＬ１の張力を検出することができる。
【００２０】
巻取手段７は、駆動機器としての回動モータ７１によって第２原反Ｒ２を巻き取る巻取ローラ７２と、駆動機器としての回動モータ７３によって駆動する駆動ローラ７４と、駆動ローラ７４との間に第２原反Ｒ２を挟み込むピンチローラ７５とを備えている。
【００２１】
以上のシート製造装置１において、第２原反Ｒ２を製造する手順について説明する。
先ず、図１に示すように、第１原反Ｒ１を駆動ローラ２４、剥離板３１、各迂回ローラ４１、検出用ローラ６１、ガイドローラ４３、および駆動ローラ７４に架け渡した状態で、巻取ローラ７２にセットする。この際、剥離板３１から巻取ローラ７２間に位置する接着シートＳは、第１剥離シートＲＬ１から除去しておく。また、間隔調整手段により剥離板３１を上下左右に移動させて、相対間隔Ｃが接着シートＳの厚み未満となるように調整しておく。
【００２２】
この状態で、回動モータ２１，２３，４５，７３，７１の駆動により、支持ローラ２２から第１原反Ｒ１を繰り出すと、第１剥離シートＲＬ１が剥離板３１の折曲端縁３２で折り曲げられて、接着シートＳが第１剥離シートＲＬ１から剥離される。このとき、剥離板３１で接着シートＳが第１剥離シートＲＬ１から剥離されず、接着シートＳが第１剥離シートＲＬ１に仮着されたまま迂回ローラ４１方向へ向かおうとした場合、相対間隔Ｃが接着シートＳの厚み未満となるように調整されているので、接着シートＳが挟まれて第１剥離シートＲＬ１の張力が大きくなる。そして、検出手段６がこの張力変化を検出したとき、回動モータ２１，２３，４５，７３，７１の駆動が停止されるように設定されており、接着シートＳの受け渡し不良を未然に防ぐことができる。
【００２３】
接着シートＳが第１剥離シートＲＬ１から剥離されると、当該接着シートＳの先端部Ｓ１は、案内面４４に沿って案内されている第１剥離シートＲＬ１上に当接する。このとき、折曲端縁３２が、ガイドローラ４３の案内面４４と重なる位置に設けられているので、折れ曲がった先端部Ｓ１が案内面４４の下方に入り込むことを防止して、受け渡し不良が発生することを確実に防止することができる。また、図１に示すように、接着シートＳの先端部Ｓ１には、吹付手段５によって気体が吹き付けられるので、接着シートＳの先端部Ｓ１が折れ曲がることが防止され、受け渡し不良のみならず間隔不良をも解消することができる。しかも、先端部Ｓ１が上方に捲れ上がってしまうことが捲れ防止手段５１によって抑制されるので、間隔Ｄを確実に維持して第１剥離シートＲＬ１に接着シートＳを再仮着することができ、間隔不良をより効果的に解消することができる。
【００２４】
先端部Ｓ１が第１剥離シートＲＬ１に当接した接着シートＳは、さらに繰出方向Ａに沿って繰り出され、ガイドローラ４３と押圧ローラ４６とで第１剥離シートＲＬ１に再仮着されて第２原反Ｒ２が形成される。このようにして形成された第２原反Ｒ２は、巻取ローラ７２に巻き取られることとなる。そして、全ての接着シートＳが再仮着されると、シート製造装置１は、回動モータ２１，２３，４５，７３，７１を停止し、次の第２原反Ｒ２の製造に備える。
【００２５】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、剥離板３１の折曲端縁３２が、案内面４４と平面視で重なる位置に設けられているので、接着シートＳの先端部Ｓ１が折れ曲がったとしても、受け渡し不良が発生することを防止することができる。しかも、相対間隔Ｃを小さくすることができるので、再仮着によって、接着シートＳ間の間隔Ｄが不均一になることを防止して間隔不良が発生することも防止することができる。これにより、例えば、第２原反Ｒ２を公知のシート貼付装置等で自動貼付する場合に、接着シートＳが第１剥離シートＲＬ１上に仮着されていないことによるシート不貼り不良や、１つの被着体に対して複数の接着シートを貼付してしまう二重貼り不良等の発生を防止することができる。
【００２６】
〔第２実施形態〕
次に、本発明の第２実施形態を図２に基づいて説明する。
本実施形態のシート製造装置１は、案内部材としてガイドローラ４３のかわりにガイドプレート４７を備え、ガイドプレート４７が第１剥離シートＲＬ１を接着シートＳの繰出方向Ａの下流側に案内する点で前記第１実施形態と相違する。
【００２７】
すなわち、案内手段４は、複数の迂回ローラ４１、押圧ローラ４６、およびガイドプレート４７を備え、ガイドプレート４７の右端から左斜め上方に向う面によって案内面４８が形成される。そして、接着シートＳと第１剥離シートＲＬ１とをガイドプレート４７および押圧ローラ４６間に挟み込むことにより、接着シートＳを第１剥離シートＲＬ１に再仮着して第２原反Ｒ２を形成する。ここで、剥離板３１の折曲端縁３２は、断面の角度が鋭角状に構成されるとともに、ガイドプレート４７は、案内面４８とガイドプレート４７の上面とで形成される角部の断面の角度が鈍角状に構成されることが好ましい。
【００２８】
以上の本実施形態によっても、前記第１実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ガイドローラ４３のかわりにガイドプレート４７を設けるため、ガイドローラ４３を回転可能に支持するための構成が不要となり、シート製造装置１を簡易かつ安価に構成することができる。
【００２９】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【００３０】
例えば、前記各実施形態では、剥離手段３により接着シートＳが剥離された第１剥離シートＲＬ１を再利用したが、図１、図２の二点鎖線で示すように、第１剥離シートＲＬ１とは別の第２剥離シートＲＬ２を予め準備しておき、この第２剥離シートＲＬ２を案内面４４，４８上に導いて接着シートＳを再仮着して第２原反Ｒ２を形成するようにしてもよい。このとき、繰出手段２は、前述した構成に加え、駆動機器としての回動モータ２６によって第１剥離シートＲＬ１を巻き取る巻取ローラ２７を備えるように構成される。また、巻取手段７は、第２剥離シートＲＬ２をロール状に巻回して支持するとともに駆動機器としての回動モータ７６によって駆動する支持ローラ７７を備えるように構成される。さらに、検出手段６は、第１剥離シートＲＬ１または第２剥離シートＲＬ２の張力を検出するように構成することができる。
【００３１】
前記各実施形態では、接着シートＳとして予めカットされたものを例示したが、カットされていない帯状のものを用いてもよく、剥離手段３の前段で所定形状の接着シートＳにカットするような構成であってもよい。
【００３２】
前記各実施形態では、剥離板３１が設けられていたが、剥離部材は剥離板３１以外のものでもよく、例えば、ローラであってよい。
前記各実施形態では、押圧ローラ４６が設けられていたが、押圧ローラ４６にかえて、ブレード材、エア噴き付け、ゴム、樹脂、スポンジ等による押圧部材を採用することができる。また、剥離板３１で剥離した接着シートＳを案内面４４，４８における第１剥離シートＲＬ１または第２剥離シートＲＬ２上に繰り出すことで接着シートＳを再仮着することができれば、押圧ローラ４６を設けなくてもよい。
【００３３】
さらに、前記各実施形態では、剥離板３１を間隔調整手段により移動させたが、ガイドローラ４３および押圧ローラ４６を間隔調整手段により移動させてもよいし、剥離板３１とガイドローラ４３との両方を移動させてもよい。また、剥離板３１を左右方向または上下方向のいずれかのみに移動可能とし、ガイドローラ４３を上下方向または左右方向のいずれかのみに移動可能としてもよい。
また、巻取手段７は必須ではなく、例えば、形成された第２原反Ｒ２を引き続きシート貼付装置に送って、図示しない被着体に貼付するようにしてもよい。
【００３４】
前記各実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる（実施形態で例示したものと重複するものもある）。
【００３５】
前記各実施形態では、接着シートＳを具体的に例示していないが、本発明のシート製造装置および製造方法では、接着シートＳの種別や材質などは特に限定されず、例えば、接着シートＳがラベルであったり、半導体ウェハに貼付される保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムなどであったりしてもよく、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等も適用できる。
【符号の説明】
【００３６】
１ シート製造装置
２ 繰出手段
３ 剥離手段
４ 案内手段
５ 吹付手段
６ 検出手段
３１ 剥離板（剥離部材）
３２ 折曲端縁
４３ ガイドローラ（案内部材）
４４ 案内面
４７ ガイドプレート（案内部材）
４８ 案内面
Ａ 繰出方向
ＡＤ 接着剤層
ＢＳ 基材シート
Ｃ 相対間隔
Ｒ１ 第１原反
Ｒ２ 第２原反
ＲＬ１ 第１剥離シート
ＲＬ２ 第２剥離シート
Ｓ 接着シート
【特許請求の範囲】
【請求項１】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する複数の接着シートが所定の間隔を隔てて帯状の第１剥離シート上に前記接着剤層を介して仮着された第１原反を繰り出す繰出手段と、
繰り出された第１原反の第１剥離シートを折り曲げて当該第１剥離シートから前記接着シートを剥離する折曲端縁を有した剥離手段と、
前記接着シートが剥離された第１剥離シートまたは当該第１剥離シートとは別の帯状の第２剥離シートを前記接着シートの接着剤層側に導き当該接着シートの繰出方向下流側に案内する案内面を有した案内手段とを備え、
前記折曲端縁は、接着シート面の直交方向からみる平面視で前記案内面の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、
前記剥離手段で剥離した接着シートを前記案内面における第１剥離シートまたは第２剥離シート上に繰り出して第２原反を形成することを特徴とするシート製造装置。
【請求項２】
前記剥離手段は、前記折曲端縁が断面鋭角状に設けられた剥離部材を備え、
前記案内手段は、前記案内面が設けられるとともに、当該案内面の部分が断面鈍角状に形成された案内部材を備えていることを特徴とする請求項１に記載のシート製造装置。
【請求項３】
前記接着シートの繰出方向の先端部に接着剤層側から気体を吹き付ける吹付手段を備えていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のシート製造装置。
【請求項４】
前記折曲端縁および前記案内面は、前記折曲端縁における第１剥離シートと、前記案内面における第１剥離シートまたは第２剥離シートとの相対間隔が前記接着シートの厚み未満となるように配置され、
前記第１剥離シートと前記第２剥離シートとの少なくとも一方の剥離シートの張力を検出する検出手段を備えていることを特徴とする請求項１から請求項３のいずれかに記載のシート製造装置。
【請求項５】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートを帯状の第１剥離シートから剥離し、前記接着シートが剥離された第１剥離シートまたは当該第１剥離シートとは別の帯状の第２剥離シートに前記接着シートを再仮着するシート製造方法であって、
複数の接着シートが所定の間隔を隔てて前記第１剥離シート上に前記接着剤層を介して仮着された第１原反を繰り出し、
前記接着シートが剥離された第１剥離シートまたは前記第２剥離シートを接着シートの接着剤層側に導き案内面に沿って接着シートの繰出方向下流側に案内するとともに、前記繰り出された第１原反の第１剥離シートを接着シート面の直交方向からみる平面視で前記案内面と重なる位置に設けた折曲端縁で折り曲げて当該第１剥離シートから前記接着シートを剥離し、
剥離した接着シートを前記案内面における前記第１剥離シートまたは前記第２剥離シート上に繰り出して第２原反を形成することを特徴とするシート製造方法。
【請求項１】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する複数の接着シートが所定の間隔を隔てて帯状の第１剥離シート上に前記接着剤層を介して仮着された第１原反を繰り出す繰出手段と、
繰り出された第１原反の第１剥離シートを折り曲げて当該第１剥離シートから前記接着シートを剥離する折曲端縁を有した剥離手段と、
前記接着シートが剥離された第１剥離シートまたは当該第１剥離シートとは別の帯状の第２剥離シートを前記接着シートの接着剤層側に導き当該接着シートの繰出方向下流側に案内する案内面を有した案内手段とを備え、
前記折曲端縁は、接着シート面の直交方向からみる平面視で前記案内面の少なくとも一部と重なる位置に設けられ、
前記剥離手段で剥離した接着シートを前記案内面における第１剥離シートまたは第２剥離シート上に繰り出して第２原反を形成することを特徴とするシート製造装置。
【請求項２】
前記剥離手段は、前記折曲端縁が断面鋭角状に設けられた剥離部材を備え、
前記案内手段は、前記案内面が設けられるとともに、当該案内面の部分が断面鈍角状に形成された案内部材を備えていることを特徴とする請求項１に記載のシート製造装置。
【請求項３】
前記接着シートの繰出方向の先端部に接着剤層側から気体を吹き付ける吹付手段を備えていることを特徴とする請求項１または請求項２に記載のシート製造装置。
【請求項４】
前記折曲端縁および前記案内面は、前記折曲端縁における第１剥離シートと、前記案内面における第１剥離シートまたは第２剥離シートとの相対間隔が前記接着シートの厚み未満となるように配置され、
前記第１剥離シートと前記第２剥離シートとの少なくとも一方の剥離シートの張力を検出する検出手段を備えていることを特徴とする請求項１から請求項３のいずれかに記載のシート製造装置。
【請求項５】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する接着シートを帯状の第１剥離シートから剥離し、前記接着シートが剥離された第１剥離シートまたは当該第１剥離シートとは別の帯状の第２剥離シートに前記接着シートを再仮着するシート製造方法であって、
複数の接着シートが所定の間隔を隔てて前記第１剥離シート上に前記接着剤層を介して仮着された第１原反を繰り出し、
前記接着シートが剥離された第１剥離シートまたは前記第２剥離シートを接着シートの接着剤層側に導き案内面に沿って接着シートの繰出方向下流側に案内するとともに、前記繰り出された第１原反の第１剥離シートを接着シート面の直交方向からみる平面視で前記案内面と重なる位置に設けた折曲端縁で折り曲げて当該第１剥離シートから前記接着シートを剥離し、
剥離した接着シートを前記案内面における前記第１剥離シートまたは前記第２剥離シート上に繰り出して第２原反を形成することを特徴とするシート製造方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１２−１７６５５７（Ｐ２０１２−１７６５５７Ａ）
【公開日】平成２４年９月１３日（２０１２．９．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−４０８６９（Ｐ２０１１−４０８６９）
【出願日】平成２３年２月２５日（２０１１．２．２５）
【出願人】（０００１０２９８０）リンテック株式会社 (1,750)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年９月１３日（２０１２．９．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年２月２５日（２０１１．２．２５）
【出願人】（０００１０２９８０）リンテック株式会社 (1,750)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]