説明

シート貼付装置及び貼付方法

【課題】配送伝票等に適用したときに、当該配送伝票に印字された秘匿情報についての秘匿性を確実に担保するように貼付用シート形成して被着体に貼付すること。
【解決手段】第1シートS1を第1剥離シートRL1に仮着した第1原反R1を繰り出す第1繰出手段21と、第1シートS1の第1印字面10Aに鏡文字10aを含む印字を行う第1印字手段22と、第2シートS2を第2剥離シートRL2に仮着した第2原反R2を繰り出す第2繰出手段25と、第2シートS2の第2印字面15Aに印字15aを施す第2印字手段26と、第1シートS1と第2シートS2とを貼り合わせて前記鏡文字10aを隠蔽した貼付用シートSを形成するプレスローラ29と、第1シートS1の第1接着剤層12によって前記貼付用シートSを被着体Wに貼付する貼付手段30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート貼付装置及び貼付方法に係り、更に詳しくは、秘匿情報を隠蔽した状態で被着体に貼付することができるシート貼付装置及び貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、インターネットやテレビショッピング等の普遍的な拡大に伴い、従来の店頭販売に加えて通信販売が普及するに至り、配送業者が販売者に代わって商品を消費者に届ける流通形態が多く見られるようになっている。そのため、配送伝票を通じて商品に関する情報、例えば、商品名、商品価格等が漏洩し得ることとなる。これらの情報は、消費者が購入した商品が何であるかを特定するため、消費者のプライバシーに大きく関わる秘匿情報であるとともに、商品価格は、商品価値を把握できるため、流通過程における盗難防止を図る観点からも秘匿情報といえる。
【0003】
特許文献1にはラベル貼付装置が開示されている。同装置は、第1のラベルの表面に印字を行った後、当該第1のラベルの印字面に第2のラベルを貼り合わせた状態で前記第1のラベルを被着体に貼付する構成となっている。
【0004】
【特許文献1】特許第2597330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたラベル貼付装置にあっては、第1のラベルに印字された文字等が水などで濡れて滲んでしまうことがないように第2のラベルでカバーするものであるため、第2のラベルに印字することができないものとなっている。
従って、特許文献1に記載されたラベルを配送伝票等に適用したときに、あて先等、差し障りのない公開情報を印字できるに過ぎず、秘匿情報を印字して被着体に貼付することができない、という不都合がある。
【0006】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、配送伝票等に適用したときに、公開情報と秘匿情報とを同時に印字可能とした貼付用シートを被着体に貼付することのできるシート貼付装置及び貼付方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、被着体毎の個性、例えば、被着体が宅配商品である場合のあて先、商品等に対応するデータを被着体側から読み取って所定の印字を行うことができるとともに、貼付用シートが被着体に貼付された後の両者の対応関係を検証して誤送等を防止することのできるシート貼付装置及び貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明に係るシート貼付装置は、透明な第1シート基材の一方の面を第1印字面とするとともに他方の面に第1疑似接着剤層と第1接着剤層とが積層された第1シートを帯状の第1剥離シートに仮着した第1原反を繰り出す第1繰出手段と、
前記第1印字面に鏡文字又は鏡文字を含む印字を行う第1印字手段と、
第2シート基材の一方の面を第2印字面とするとともに他方の面に隠蔽性を備えた層を含む第2疑似接着剤層と第2接着剤層とが積層された第2シートを帯状の第2剥離シートに仮着した第2原反を繰り出す第2繰出手段と、
前記第2印字面に印字を施す第2印字手段と、
前記第1シート及び第2シートを所定の剥離手段を介して各剥離シートから剥離した後に、前記第1印字面上に前記第2接着剤層が位置するように第1シートと第2シートとを貼り合わせて前記鏡文字を隠蔽した貼付用シートを形成する貼合手段と、
前記第1接着剤層によって前記貼付用シートを被着体に貼付する貼付手段とを備える、という構成を採っている。
【0008】
前記シート貼付装置は、前記被着体に予め設けられた被着体情報を検知する検知手段を含み、前記被着体情報との対応関係に基づいて前記第1及び第2印字手段が所定の印字を行う構成を採ることができる。
【0009】
また、前記貼付用シートの貼付後に、前記被着体情報と、前記第1及び第2印字手段で印字された情報との対応関係を検証する検証手段を更に含む構成を採ることが好ましい。
【0010】
更に、本発明に係るシート貼付方法は、透明な第1シート基材の一方の面を第1印字面とするとともに他方の面に第1疑似接着剤層と第1接着剤層とが積層された第1シートを帯状の第1剥離シートに仮着した第1原反を繰り出し、当該繰り出しの途中で前記第1印字面に鏡文字又は鏡文字を含む印字を行う一方、第2シート基材の一方の面を第2印字面とするとともに他方の面に隠蔽性を備えた層を含む第2疑似接着剤層と第2接着剤層とが積層された第2シートを帯状の第2剥離シートに仮着した第2原反を繰り出し、当該繰り出しの途中で前記第2印字面に印字を行った後、前記第1シート及び第2シートを各剥離シートから剥離し、前記第1印字面上に前記第2接着剤層が位置するように第1シートと第2シートとを貼り合わせて前記鏡文字を隠蔽した貼付用シートを形成し、次いで、前記第1接着剤層によって前記貼付用シートを被着体に貼付する、という手法を採っている。
【0011】
前記シート貼付方法は、前記被着体に予め設けられた被着体情報を検知し、当該被着体情報との対応関係に基づいて前記第1及び第2印字面に所定の印字を行う、という手法を採っている。
【0012】
また、前記シート貼付方法において、前記貼付用シートの貼付後に、前記第1シート及び第2シートに印字された情報と前記被着体情報の対応関係を検証することが好ましい。
【0013】
本発明における疑似接着剤層は、複数、例えば、二層の積層フイルムによって構成され、それらの界面で剥離可能に設けることができる。疑似接着形成層に用いるフイルムとしては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、天然ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、紫外線硬化ニス、ポリエチレンテレフタレート樹脂等を例示することができ、それらを任意に組合せた積層フイルムを疑似接着剤層とすることができる。
また、本発明における「印字」は、文字、記号、図形又はこれらの任意の組合せを含む概念として用いられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1印字面に秘匿情報を印字する一方、第2印字面に公開情報を印字し、第1印字面をカバーするように第1シートに第2シートが貼り合わされた貼付用シートが被着体に貼付されるので、第1印字面の内容を秘匿した状態に保つことが可能となる。
また、第1シートは、第1疑似接着剤層を備えているため、被着体に貼付された後の剥離を容易に行うことができ、剥離したときに第1シートの裏面側から鏡文字を正しい向きで視認することが可能となる。
更に、被着体が宅配商品の包装箱であって、当該包装箱に収容された商品の届け先や、品名、金額等の個性化された内容を被着体情報として被着体に付したときに、その被着体情報を読み取って第1及び第2印字手段による印字制御を行うこができる。
また、第1及び第2印字面に印字された内容が前記被着体情報に対応しているか否かを検証することができるため、宅配商品の内容と、当該商品の届け先等の対応関係を確認することで誤送防止を図ることに寄与するシート貼付装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1には、本実施形態における貼付用シートSを形成して被着体Wに貼付するシート貼付装置の概略正面図が示され、図2には、その要部概略斜視図が示されている。また、図3には、前記貼付用シートSが被着体Wに貼付された概略斜視図が示されている。これらの図において、貼付用シートSは、宅配商品等の配送伝票に適用され、当該貼付用シートSは、略方形の平面形状を有する第1シートS1と、この第1シートS1よりも小さい略方形の平面形状を有する第2シートS2とにより構成されている。
【0017】
前記第1シートS1は、図4に示されるように、一方の面(上面)を印字面10Aとして鏡文字10aを含む印字が施される透明な第1シート基材10と、当該第1シート基材10の他方の面(下面)に順次積層された第1疑似接着剤層11と、宅配商品等の梱包体となる被着体Wに接着する第1接着剤層12とにより構成されている。第1疑似接着剤層11は、ポリスチレンからなる第1フイルム層11Aと、当該第1フイルム層11Aの上面側に位置する低密度ポリエチレンからなる第2フイルム層11Bとからなり、これら第1及び第2フイルム層11A、11Bの界面で剥離可能となっている。ここで、前記鏡文字10aは、本実施形態では、例えば、宅配商品の納品書として機能するように、商品価値を推認することのできる品名、金額等を含む秘匿情報とされ、前記第1、第2フイルム層11A、11Bの界面で第1シート基材10を剥離して裏面側から見たときに、鏡文字10aが正しい文字の向きで視認できるようになっている。
【0018】
前記第2シートS2は、一方の面(上面)を印字面15Aとして印字15aが施される不透明な第2シート基材15と、この第2シート基材15の他方の面(下面)に順次積層された第2疑似接着剤層16と、前記第1シート基材10に重ね合わせて接着される第2接着剤層17とにより構成されている。第2疑似接着形成層16は、前記第1疑似接着剤層11と同様に、ポリスチレンからなる第3フイルム層16Aと、当該第3フイルム層16Aの上面側に位置する低密度ポリエチレンからなる第4フイルム層16Bとからなり、これら第3フイルム層16Aと第4フイルム層16Aとの界面で剥離可能となっている。ここで、第3フイルム層16Aは不透明に設けられており、第3、第4フイルム層16A、16Bの界面で第2シート基材15を剥離しても、前記第1シート基材10に印字された鏡文字10aが第3フイルム層16Aを通じて見えることがないようになっている。また、第2シート基材15の印字15aは、本実施形態では、例えば、宅配商品の「届け先」や「送り主」等の表示の他、「受領印」の捺印欄等とされ、配達員が第2シート基材15を剥離して持ち帰るものとして構成されている。
【0019】
前記被着体Wは、本実施形態では、宅配商品の包装箱が対象とされており、内部に各種商品が収容された状態で搬送路P上を順次搬送されるようになっている。ここで、被着体Wの上面側には、図3に示されるように、被着体の個別情報としてのバーコードBが印刷若しくはラベル貼付によって付与されている。このバーコードBは、被着体の届け先等の公開情報の他、品名、金額等の秘匿情報を図示しないホストコンピュータから呼び出すための番号を符号化したものである。
【0020】
前記シート貼付装置20は、前記第1シートS1を帯状の第1剥離シートRL1に仮着した第1原反R1を繰り出す第1繰出手段21と、前記第1印字面10AにバーコードB1と鏡文字10aを印字する第1印字手段22と、第1剥離シートRL1を急激に反転して当該第1剥離シートRL1から第1シートS1を剥離する剥離手段としての第1ピールプレート23と、第1シートS1が剥離された後の第1剥離シートRL1を巻き取る第1巻取手段24と、第2シートS2を帯状の第2剥離シートRL2に仮着した第2原反R2を繰り出す第2繰出手段25と、前記第2印字面15AにバーコードB2と印字15aを施す第2印字手段26と、第2剥離シートRL2から第2シートS2を剥離する剥離手段としての第2ピールプレート27と、第2シートS2が剥離された後の第2剥離シートRL2を巻き取る第2巻取手段28と、第2剥離シートRL2から剥離される第2シートS2に押圧力を付与して第1シートS1に積層することで貼付用シートSを形成する貼合手段としてのプレスローラ29と、貼付用シートSを被着体Wに押圧して貼付する貼付手段30と、前記被着体W上のバーコードBを読み取るバーコードリーダからなる検知手段31と、前記印字面10A、15Aにそれぞれ印字されたバーコードB1、B2と前記バーコードBとを読み取るバーコードリーダからなる検証手段32とを備えて構成されている。
【0021】
前記第1繰出手段21は、前記第1原反R1を支持する支持ローラ35と、モータM1によって駆動される駆動ローラ36と、当該駆動ローラ36との間に第1原反R1を挟み込むピンチローラ37と、モータM2によって駆動される駆動ローラ38と、当該駆動ローラ38との間に第1剥離シートRL1を挟み込むピンチローラ39とにより構成されている。なお、モータM1とM2とは、リンクされており、第1原反R1を繰出方向と反繰出方向とで正転、逆転が可能に設けられているとともに、駆動ローラ36、38間に位置する第1原反R1の張力が所定値になるように、図示しない張力検知手段と制御手段によって制御される。
【0022】
前記第1印字手段22は、第1印字ヘッド40と、第1プラテンローラ41とを含んで構成されている。この第1印字手段22は、特に限定されるものではないが、例えば、サーマルヘッド、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ、ドットインパクトプリンタ等によって構成することができる。また、第1印字手段22は、図示しない制御装置に接続されており、前記検知手段31によって被着体W上のバーコードBが読み取られると、図示しないホストコンピュータに記憶されているデータを呼び出し、当該データのうち所定のデータだけを鏡文字10aに変換し、前記第1印字面10Aに印字を行うとともに、被着体WのバーコードBに一致したデータを含む第1バーコードB1を印字するようになっている。なお、本実施形態の場合、バーコードB1は前記鏡文字10aのように反転していない。
【0023】
前記第1巻取手段24は巻取ローラ43により構成されている。この巻取ローラ43は、図示しないプーリ、ベルト等の連動機構を介して前記モータM2に連結されており、モータM2の駆動によって第1剥離シートRL1を巻き取る方向に回転するようになっている。
【0024】
前記第2繰出手段25は、前記第2原反R2を支持する支持ローラ45と、モータM3によって駆動される駆動ローラ46と、当該駆動ローラ46との間に第2原反R2を挟み込むピンチローラ47と、モータM4によって駆動される駆動ローラ48と、当該駆動ローラ48との間に第2剥離シートRL2を挟み込むピンチローラ49とにより構成されている。なお、モータM3とM4とは、リンクされており、第2原反R2を繰出方向と反繰出方向とで正転、逆転が可能に設けられているとともに、駆動ローラ46、48間に位置する第2原反R2の張力が所定値になるように、図示しない張力検知手段と制御手段によって制御される。
【0025】
前記第2印字手段26は、第2印字ヘッド50と、第2プラテンローラ51とを含んで構成されている。この第2印字手段26は、第1印字手段22と同様に、サーマルヘッド等の多種のプリンタによって構成することができる。また、第2印字手段26も、図示しない制御装置に接続されており、前記検知手段31によって被着体W上のバーコードBが読み取られると、図示しないホストコンピュータに記憶されているデータを呼び出し、当該データのうち所定のデータだけを印字15aに変換して前記第2印字面15Aに印字を行うとともに、被着体WのバーコードBに一致したデータを含む第2バーコードB2を印字するようになっている。
【0026】
前記第2巻取手段28は、巻取ローラ53により構成されている。この巻取ローラ53は、第1巻取手段24と同様に、図示しないプーリ、ベルト等の連動機構を介して前記モータM4に連結されており、モータM4の駆動によって第2剥離シートRL2を巻き取る方向に回転するようになっている。
【0027】
前記貼付手段30は、吸着プレート55と、この吸着プレート55を被着体Wに向かって進退可能に支持するシリンダ56とを備えて構成されている。吸着プレート55は、下面側に図示しない多数の吸着孔を備えており、第1シートS1と第2シートS2との積層体となる貼付用シートSを吸着保持するように構成されている。
【0028】
次に、本実施形態に係るシート貼付装置20の全体的な動作について説明する。ここで、説明の便宜上、第1シートS1の第1印字面10Aには、商品名、領収金額等の秘匿情報に関する鏡文字10aと、鏡文字でない第1バーコードB1とが印字され、第2シートS2の第2印字面15Aには、商品の届け先等の公開情報に関する印字15aと第2バーコードB2が印字されるものとする。また、被着体Wは、搬送路Pに沿って図1中右側から左側に向かって搬送され、その上面側には、商品の内容、届け先、金額等を図示しないホストコンピュータから呼び出すための番号を符号化したバーコードBが予め設けられているものとする。
【0029】
第1接着シートS1と第2接着シートS2とは、それぞれ第1、第2印字手段22、26の印字位置の上流で待機している(図5(a)参照)。
【0030】
前記被着体Wが検知手段31の下方を通過すると、当該検知手段31によってバーコードBが読み取られ、図示しないホストコンピュータからデータが呼び出され、第1、第2印字手段22、26の記憶部に所定のデータが記憶される。そして、モータM1〜M4の駆動によって第1原反R1と、第2原反R2の繰り出しが開始され、これに同期して、第1剥離シートRL1と第2剥離シートRL2が巻取ローラ43、53によってそれぞれ巻き取られる。この繰り出しの途中において、第1シートの第1印字面10Aと、第2シートS2の第2印字面15Aには、第1印字手段22及び第2印字手段26を介して前記記憶されたデータを基に前述した印字が行われる。
【0031】
第2シートS2は、印字が完了すると第2ピールプレート27上の所定位置で一旦停止され、第1シートS1が所定位置に達したことを図示しないセンサが検知したときに、当該第1シートS1の繰り出しに同期して繰り出される(図5(b)参照)。これにより、第2シートS2は第2剥離シートRL2から剥離され、プレスローラ29によって第1シートS1上に貼り合わされて前記鏡文字10aを隠蔽した貼付用シートSが形成される。そして、第2の原反R2は繰り出しを停止され、第1原反R1の更なる繰り出しにより、前記貼付用シートSは、第1ピールプレート23上の所定位置で図示しないセンサで検出されて待機状態とされる(図5(c)参照)。
【0032】
前記待機中の貼付用シートSに対応する被着体Wが所定位置に到達したことを図示しないセンサが検知すると、モータM1、M2が駆動することによって当該貼付用シートSは第1ピールプレート23で剥離されるとともに、貼付手段30の吸着プレート55に吸着保持され、シリンダ56の駆動によって被着体Wの上面に貼付される(図5(d)参照)。なお、前記貼付動作において、先頭以降の第1、第2シートS1、S2は、それぞれ第1、第2印字手段22、26の印字位置を通過することとなるが、印字は行われないように制御され、貼付用シートSが吸着プレート55に吸着保持されると、モータM1〜M4の駆動によって第1、第2原反R1、R2が図5(a)に示される第1、第2印字手段22、26の印字位置上流側の待機位置に逆搬送されて次の印字のために待機する。
【0033】
被着体Wに貼付された貼付用シートSは、検証手段32によって検証される。この検証は、被着体WのバーコードBのデータと、第1シートS1と第2シートS1とに印字されたバーコードB1、B2に含まれるデータとが一致するか否かを検証する。ここで、シート貼付装置20における各種動作の過程で、何らかのトラブルが生じて対応関係の一致を得られない場合、検証手段32によって不一致が検出されることとなる。このような場合、図示しないリジェクト装置等を用いて、検証不一致となった被着体Wを搬送路Pから取り除いたり、オペレータに通知する等の方法で誤送を未然に防ぐことができる。
【0034】
従って、このような実施形態によれば、第2シートS2を秘匿情報が印字された第1シートS1に貼り合わせることで、第1シートS1に印字された秘匿情報を隠蔽した貼付用シートSを形成可能とし、当該貼付用シートSを被着体Wに貼付する構成としたから、第1シートS1の表面を秘匿情報の印字面として利用したシート貼付装置20を提供することができる。
しかも、前記秘匿情報は、第2擬似接着剤層16が剥離されたとしても、第1擬似接着剤層11が剥離されない限り、外部に漏れるといった虞はなくなる。
また、被着体WのバーコードBと、第1、第2バーコードB1、B2とを検証することで、宅配商品の誤送を生ずるような虞もなくすることができる。
【0035】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
【0036】
例えば、前記実施形態では、バーコードB、B1、B2を設ける場合について図示、説明したが、当該バーコードに替えて2次元コードを付したり、或いは、RFIDタグを貼付したりすることでもよい。要するに、本発明は、被着体に貼付すべき貼付用シートSの第1、第2シートS1、S2が相互に対応関係を有しているか否かを検証できるようになっていればよい。
【0037】
また、貼付用シートSは宅配商品の配送伝票に限らず、秘匿情報を外部に漏れることなく隠蔽する必要が要請されるその他のラベル等に適用してもよく、更に、貼付用シートSの平面形状、第1及び第シートS1、S2の相対平面積等、秘匿情報を隠蔽できる限りにおいて種々変更することができる。
【0038】
更に、押圧手段30はシリンダ56以外に、ローラやエアジェット等で構成してもよい。
【0039】
また、貼合手段はプレスローラ29以外に、シリンダやエアジェット等で構成してもよい。
【0040】
更に、前記実施形態では、第3フイルム層16Aを不透明な層としたが、更に不透明な別の層を設けて第3フイルム層16Aを透明な層としてもよい。
【0041】
また、バーコードB1、B2に含まれるデータは、バーコードBと同じデータに加えて他のデータを含むように設定してもよい。このように設定することで、例えば、配達業者へ伝える情報等、検証以外に他の情報として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態に係るシート貼付装置の概略正面図。
【図2】第1シートに第2シートが貼り合わされる状態を示す概略斜視図。
【図3】貼付用シートが被着体に貼付された状態を示す概略斜視図。
【図4】貼付用シートの層構造を詳細に示す図3の分解側面図。
【図5】貼付用シートを被着体に貼付する動作説明図。
【符号の説明】
【0043】
10 第1シート基材
10A 第1印字面
10a 鏡文字
11 第1疑似接着剤層
12 第1接着剤層
15 第2シート基材
15A 第2印字面
15a 印字
16 第2疑似接着剤層
17 第2接着剤層
20 シート貼付装置
21 第1繰出手段
22 第1印字手段
23 第1ピールプレート(剥離手段)
25 第2繰出手段25
26 第2印字手段
27 第2ピールプレート(剥離手段)
29 プレスローラ(貼合手段)
30 貼付手段
31 検知手段
32 検証手段
B、B1、B2 バーコード
RL1 第1剥離シート
RL2 第2剥離シート
R1 第1原反
R2 第2原反
S 貼付用シート
S1 第1シート
S2 第2シート
W 被着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な第1シート基材の一方の面を第1印字面とするとともに他方の面に第1疑似接着剤層と第1接着剤層とが積層された第1シートを帯状の第1剥離シートに仮着した第1原反を繰り出す第1繰出手段と、
前記第1印字面に鏡文字又は鏡文字を含む印字を行う第1印字手段と、
第2シート基材の一方の面を第2印字面とするとともに他方の面に隠蔽性を備えた層を含む第2疑似接着剤層と第2接着剤層とが積層された第2シートを帯状の第2剥離シートに仮着した第2原反を繰り出す第2繰出手段と、
前記第2印字面に印字を施す第2印字手段と、
前記第1シート及び第2シートを所定の剥離手段を介して各剥離シートから剥離した後に、前記第1印字面上に前記第2接着剤層が位置するように第1シートと第2シートとを貼り合わせて前記鏡文字を隠蔽した貼付用シートを形成する貼合手段と、
前記第1接着剤層によって前記貼付用シートを被着体に貼付する貼付手段とを備えたことを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記被着体に予め設けられた被着体情報を検知する検知手段を含み、前記被着体情報との対応関係に基づいて前記第1及び第2印字手段が所定の印字を行うことを特徴とする請求項1記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記貼付用シートの貼付後に、前記被着体情報と、前記第1及び第2印字手段で印字された情報との対応関係を検証する検証手段を更に含むことを特徴とする請求項2記載のシート貼付装置。
【請求項4】
透明な第1シート基材の一方の面を第1印字面とするとともに他方の面に第1疑似接着剤層と第1接着剤層とが積層された第1シートを帯状の第1剥離シートに仮着した第1原反を繰り出し、当該繰り出しの途中で前記第1印字面に鏡文字又は鏡文字を含む印字を行う一方、
第2シート基材の一方の面を第2印字面とするとともに他方の面に隠蔽性を備えた層を含む第2疑似接着剤層と第2接着剤層とが積層された第2シートを帯状の第2剥離シートに仮着した第2原反を繰り出し、当該繰り出しの途中で前記第2印字面に印字を行った後、
前記第1シート及び第2シートを各剥離シートから剥離し、
前記第1印字面上に前記第2接着剤層が位置するように第1シートと第2シートとを貼り合わせて前記鏡文字を隠蔽した貼付用シートを形成し、
次いで、前記第1接着剤層によって前記貼付用シートを被着体に貼付することを特徴とするシート貼付方法。
【請求項5】
前記被着体に予め設けられた被着体情報を検知し、当該被着体情報との対応関係に基づいて前記第1及び第2印字面に所定の印字を行うことを特徴とする請求項4記載のシート貼付方法。
【請求項6】
前記貼付用シートの貼付後に、前記第1シート及び第2シートに印字された情報と前記被着体情報の対応関係を検証することを特徴とする請求項5記載のシート貼付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−62088(P2009−62088A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233968(P2007−233968)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】