説明

シート

【課題】 シートがシートトラック機構の最後位置の時にのみ、昇降が可能なシートを提供することを課題とする。
【解決手段】
フロア側に設けられたロアレール53、ロアレール53に移動可能に係合したアッパレール55とからなるシートトラック機構51と、下部がアッパレール55の前部に回転可能に取り付けられ、上部がシートクッションの前部に回転可能に取り付けられたフロントリンク71と、下部がアッパレール55の前部に回転可能に取り付けられ、上部がシートクッションの後部に回転可能に取り付けられたリアリンク81と、フロントリンク71、リアリンク81のうちの少なくとも一方のリンクの回転を禁止するロック機構100と、アッパレール55がロアレール53に対して最後位置に移動させないとロック機構100が作動しないようにするキャンセル機構200とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンク機構を有し、昇降可能なシートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられるシートのなかでシートクッションがフロア近傍まで降下するシートの一例として、4つのリンクからなる機構を用いたものがある(例えば特許文献1参照)。
このようなシートにおいては、固定リンク以外のリンクの回転を許可/禁止するロック機構を有し、このロック機構をロック解除すると、シートは昇降可能となる。
【特許文献1】特開2004−224094号公報(図2、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このようなリンク機構を有したシートは、機構が簡単であるという利点を有する。しかし、ロック機構をロック解除すると、自重で最低位置まで一気に降下する。このような構成のシートが運手席であり、更に、前後方向に移動可能なシートトラック機構を有する場合、運転中にロック機構が解除されると、シートが一気に最低位置まで降下する。よって、運転姿勢が変わり、運転に不都合がある。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、シートがシートトラック機構の最後位置の時にのみ、昇降が可能なシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する請求項1に係る発明は、フロア側に設けられたロアレール、該ロアレールに移動可能に係合したアッパレールとからなるシートトラック機構と、下部が前記アッパレールの前部に回転可能に取り付けられ、上部がシートクッションの前部に回転可能に取り付けられたフロントリンクと、下部が前記アッパレールの後部に回転可能に取り付けられ、上部が前記シートクッションの後部に回転可能に取り付けられたリアリンクと、前記フロントリンク、前記リアリンクのうちの少なくとも一方のリンクの回転を禁止するロック機構と、前記アッパレールが前記ロアレールに対して最後位置に移動させないと前記ロック機構が作動しないようにするキャンセル機構と、を有することを特徴とするシートである。
【0006】
アッパレールがロアレールに対して最後位置以外の位置にあるときには、キャンセル機構が作動しているので、ロック機構が作動せず、シートの昇降はできない。
アッパレールがロアレールに対して最後位置に移動すると、キャンセル機構が解除される。そして、ロック機構を解除すると、シートの昇降が可能となる。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記ロック機構は、前記シートクッションに設けられたロックピンと、該ロックピンが嵌合する長穴を有し、端部が前記リアリンクのシートクッション側の回転中心より更に上部分に回転可能に取り付けられ、前記リアリンクの移動により、前記ロックピンが長穴の端部に当接する範囲で移動するロングリンクと、該ロングリンクに回転可能に設けられ、前記ロックピンが前記長穴の一方の端部に当接する状態および他方の端部に当接する状態で前記ロックピンに係合して、前記ロングリンクの移動を禁止するフックと、該フックが前記ロックピンに係合する方向に前記フックを付勢するフック付勢手段とからなることを特徴とする請求項1記載のシートである。
【0008】
ロックピンがロングリンクの長穴の一方の端部に当接する状態では、シートは最高位置にあり、ロックピンがロングリンクの長穴の他方の端部に当接する状態では、シートは最低位置にある。
【0009】
そして、ロックピンがロングリンクの長穴の一方の端部に当接する状態で、ロックピンにフックが係合していると、シートは最高位置でロックされ、降下が禁止されている。また、ロックピンがロングリンクの長穴の他方の端部に当接する状態で、ロックピンにフックが係合していると、シートは最低位置でロックされ、上昇が禁止されている。
【0010】
フック付勢手段の付勢力に抗して、ロックピンに係合しているフックをロックピンから離脱させると、シートは降下、または上昇可能となる。
請求項3に係る発明は、前記キャンセル機構は、前記フレームに回転可能に設けられ、半径方向に延びるアーム部を有し、一方の方向に回転することにより前記ロック機構のフックを駆動するフック駆動レバーと、該フック駆動レバーを他方の方向に回転する方向に付勢するフック駆動レバー付勢手段と、該フック駆動レバー付勢手段で付勢された前記フック駆動レバーの移動を禁止するフック駆動レバーストッパと、前記フック駆動レバーの回転中心軸を中心に回転可能に設けられ、半径方向に前記フック駆動レバーのアーム部の先端より更に延びた長穴を有した操作レバーと、前記長穴に移動可能に係合し、前記フック駆動レバーのアーム部の側面に当接可能なキャンセルピンと、前記キャンセルピンが前記フック駆動レバーのアーム部から離れる方向に前記操作レバーを付勢する操作レバー付勢手段と、該操作レバー付勢手段に付勢された前記操作レバーの移動を禁止する操作レバーストッパと、前記フック駆動レバーの近傍に回転可能に設けられ、前記キャンセルピンに係合し、回転することにより、前記キャンセルピンを前記フック駆動レバーのアーム部の側面に当接可能な位置と前記フック駆動レバーのアーム部の側面に当接しない位置との間で前記操作レバーの長穴に沿って移動させるガイド穴を有する第1キャンセルレバーと、前記キャンセルピンが前記フック駆動レバーのアーム部の側面に当接しない位置となるように前記第1キャンセルレバーを付勢する第1キャンセルレバー付勢手段と、前記アッパレールに回転可能に設けられ、回転することにより、前記第1キャンセルレバーを回転させる第2キャンセルレバーと、前記ロアレール側に設けられ、前記アッパレールが最後位置近傍まで後退すると、前記第2キャンセルレバーが当接するキャンセル部材と、前記第2キャンセルレバーが前記キャンセル部材に当接可能な位置以上に回転するのを禁止する第2キャンセルレバーストッパと、前記第2キャンセルレバーが前記第2キャンセルストッパに当接する方向に付勢する第2キャンセルレバー付勢手段とでなることを特徴とする請求項2記載のシートである。
【0011】
アッパレールがロアレールに対して最後位置以外の位置にあるときには、アッパレールの第2キャンセルレバーは、ロアレール側のキャンセル部材に当接していないので、第2キャンセルレバー付勢手段の付勢力により第2キャンセルレバーストッパに当接している。一方、第1キャンセルレバーは第1キャンセルレバー付勢手段の付勢力により、キャンセルピンが前記フック駆動レバーのアーム部の側面に当接しない位置となるようにキャンセルピンを移動させている。
【0012】
よって、この状態で操作レバーを操作レバー付勢手段の付勢力に抗して回転させても、キャンセルピンはフック駆動レバーに当接しない位置にあるので、ロック機構のフックを駆動するフック駆動レバーは回転せず、ロック機構は駆動されない。
【0013】
アッパレールがロアレールに対して最後位置まで移動すると、アッパレールの第2キャンセルレバーが、ロアレール側のキャンセル部材に当接して押され、第2キャンセルレバー付勢手段の付勢力に抗して回転する。この第2キャンセルレバーの回転により、第1キャンセルレバーは第1キャンセルレバー付勢手段の付勢力に抗して回転し、キャンセルピンが前記フック駆動レバーのアーム部の側面に当接する位置となるようにキャンセルピンを移動させる。
【0014】
この状態で操作レバーを操作レバー付勢手段の付勢力に抗して回転させると、キャンセルピンはフック駆動レバーに当接する位置にあるので、ロック機構のフックを駆動するフック駆動レバーが回転し、ロック機構は駆動される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜請求項3に係る発明によれば、前記アッパレールが前記ロアレールに対して最後位置に移動させないと前記ロック機構が作動しないようにするキャンセル機構を有することで、シートがシートトラック機構の最後位置の時にのみ、昇降が可能となる。
【0016】
例えば、運転席に用いた場合、ステアリングホイールの操作ができないシートトラック機構の最後位置の時にのみ、昇降が可能となるので、運転中にシートが一気に最低位置まで降下して、運転姿勢が変わり、運転に不都合があるのを防止できる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、1つのフックで、ロックピンが前記長穴の一方の端部に当接する状態および他方の端部に当接する状態で前記ロックピンに係合して、ロングリンクの移動を禁止する、すなわち、1つのフックで、シートが最高位置にある状態と、最低位置にある状態との2つの状態でシートの昇降を禁止することができ、機構が簡単となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
最初に、本実施の形態例のシートの全体構成を図1、図2を用いて説明する。図1はシートが最高位置にある状態を示す構成図、図2はシートが最低位置にある状態を示す構成図である。これらの図において、シートトラック機構51は、フロア側にけられたロアレール53と、ロアレール53に移動可能に係合したアッパレール55とからなっている。
【0019】
シートクッションのフレーム61の前部には、フロントリンク71の上部がピン73を用いて回転可能に取り付けられ、フレーム61の後部には、リアリンク81の上部がピン83を用いて回転可能に取り付けられている。
【0020】
フロントリンク71の下部はピン75を用いてアッパレール55の前部に回転可能に取り付けられ、リアリンク81の下部はピン85を用いてアッパレール55の後部に回転可能に取り付けられている。
【0021】
従って、アッパレール55と、フロントリンク71と、フレーム61と、リアリンク81とで、アッパレール55が固定された4節回転連鎖が構成され、フロントリンク71、リアリンク81がアッパレール55に対して回転することにより、フレーム61(シート)はシートトラック機構51のアッパレール55(フロア)に対して昇降可能となっている。
【0022】
尚、本形態例では、ピン85の近傍には、リアリンク81の回転に抵抗力を付与するダンパ86が設けられ、更に、図示しない付勢手段により、リアリンクはフレーム61が上昇する方向に付勢されている。
【0023】
そして、フレーム61の後部には、リアリンク81の回転を禁止するロック機構100が設けられ、シートの前部には、アッパレール55がロアレール53に対して最後位置に移動させないとロック機構100が作動しないようにするキャンセル機構200が設けられている。
【0024】
ここで、ロック機構100の説明を行う。フレーム61には、ロックピン101が設けられている。
リアリンク81のフレーム61側の回転中心であるピン83より更に上部分には、ピン103を用いてロングリンク105が回転可能に取り付けられている。ロングリンク105には、ロックピン101が嵌合する長穴107を有している。従って、ロングリンク105はロックピン101が長穴107の端部に当接する範囲で移動し、ロックピン101が長穴107の一方の端部に当接する状態(図1に示す状態)にロングリンク105が移動すると、シートが最高位置にあり、ロックピン101が長穴107の他方の端部に当接する状態(図2に示す状態)にロングリンク105が移動すると、シートが最低位置にあるようになっている。
【0025】
ロングリンク105には、ピン111を用いてフック113が回転可能に取り付けられている。このフック113は、ロックピン101が長穴の一方の端部に当接する状態(図1の状態)および他方の端部に当接する状態(図2の状態)でロックピン101に係合して、ロングリンク105の移動を禁止するようになっている。ロングリンク105の移動が禁止された状態は、リアリンク81の回転が禁止されたロック状態である。
【0026】
更に、このフック113は図示しないフック付勢手段により、ロックピン101に係合する方向(図1、図2において、矢印A方向)に付勢されている。
ここで、ロック機構100の作動を説明する。シートが最高位置にあり、ロック機構100がロック状態にある図1に示す状態で、フック付勢手段の付勢力に抗して、フック113を反矢印A方向に回転させると、リアリンク81の回転が可能となるアンロック状態となり、シートは最低位置へ移動可能となる。シートが最低位置まで降下し、フック113を回転させている力を解除すると、図2に示す状態となり、再びロングリンク105の移動が禁止されたロック状態となる。
【0027】
また、シートが最低位置にあり、ロック機構100がロック状態にある図2に示す状態で、フック付勢手段の付勢力に抗して、フック113を反矢印A方向に回転させると、リアリンク81の回転が可能となるアンロック状態となり、シートは最高位置へ移動可能となる。シートが最高位置まで上昇し、フック113を回転させている力を解除すると、図1に示す状態となり、再びロングリンク105の移動が禁止されたロック状態となる。
【0028】
次に、図3、図4を用いてキャンセル機構200の説明を行う。図3はキャンセル機構の拡大図で、(a)図は図1の状態の拡大図、(b)図は図2の状態の拡大図、図4は図3のキャンセル機構の各部品を示す平面図で、(a)図は第1キャンセルレバー、(b)図は操作レバー、(c)図はフック駆動レバー、(d)図はベースをそれぞれ示している。
【0029】
キャンセル200機構は、フレーム61と、シートトラック機構51とに設けられる。フレーム61に設けられる機構は、ベース201上に設けられる。ベース201上には、ピン203を用いて、フック駆動レバー205が回転可能に設けられている。図1、図2に示すように、フック駆動レバー205とロック機構100のフック113との間には、筒状で、端部がキャンセル機構200のベース201とロック機構100のロングリンク105とに係止されたアウターケーシング207、アウターケーシング207内を移動可能に挿通し、端部がフック駆動レバー205とフック113とに係止されたインナワイヤ209からなるワイヤ211が設けられ、フック駆動レバー205がインナワイヤ209を引く方向(一方の方向)に回転すると、フック113も回転するようになっている。また、フック駆動レバー205には、半径方向に延びるアーム部213が形成されている。
【0030】
更に、図示しないフック駆動レバー付勢手段により、フック駆動レバー205はインナワイヤ209を引く方向と反対方向(他方の方向:図3の矢印B方向)に回転する方向に付勢されている。ベース201には、フック駆動レバー付勢手段で付勢されたフック駆動レバー205の折曲部205aが当接し、フック駆動レバー205の移動を禁止するフック駆動レバーストッパとしてのストッパ215が形成されている。
【0031】
次に、フック駆動レバー205の回転中心軸であるピン203には、操作レバー217が回転可能に設けられている。操作レバー217には、半径方向にフック駆動レバー205のアーム部213の先端より更に延びた長穴219が形成されている。この長穴219には、フック駆動レバー205のアーム部213の側面に当接可能なキャンセルピン221が移動可能に係合している。そして、図示しない操作レバー付勢手段により、操作レバー217は、キャンセルピン221がフック駆動レバー205のアーム部213から離れる方向(図3において矢印C方向)に付勢されている。フック駆動レバー205には、操作レバー付勢手段で付勢された操作レバー217の側面が当接し、操作レバー217の移動を禁止する操作レバーストッパとしてのストッパ205bが形成されている。
【0032】
フック駆動レバー205の近傍には、ピン231を用いて第1キャンセルレバー233が回転可能に設けられている。第1キャンセルレバー233には、キャンセルピン221に係合し、回転することにより、キャンセルピン221をフック駆動レバー205のアーム部213の側面に当接可能な位置と、フック駆動レバー205のアーム部213の側面に当接しない位置との間で操作レバー217の長穴219に沿って移動させるガイド穴235が形成されている。また、図示しない第1キャンセルレバー付勢手段により、第1キャンセルレバー233は、キャンセルピン221がフック駆動レバー205のアーム部213の側面に当接しない位置となるように、図3の矢印D方向に付勢されている。
【0033】
次に、シートトラック機構51に設けられる機構を説明する。図1、図2に示すように、アッパレール55の側面には、ブラケット240が設けられ、このブラケット240上には、ピン241を用いて第2キャンセルレバー243が回転可能に設けられている。また、ロアレール53の側面には、アッパレール55が最後位置近傍まで後退すると、第2キャンセルレバー243が当接するキャンセル部材245が設けられている。更に、ブラケット240には、第2キャンセルレバー243がキャンセル部材245に当接可能な位置以上に回転するのを禁止する第2キャンセルレバーストッパ247が形成されている。そして、図示しない第2キャンセルレバー付勢手段により、第2キャンセルレバー243が第2キャンセルストッパ247に当接する方向(図1、図2の矢印E方向)に付勢されている。
【0034】
第1キャンセルレバー233と第2キャンセルレバー243との間には、筒状で、端部がベース201とアッパレール55に設けられたブラケット240とに係止されたアウターケーシング287と、アウターケーシング287内を移動可能に挿通し、端部が第1キャンセルレバー233と第2キャンセルレバー243とに係止されたインナワイヤ289とからなるワイヤ291が設けられ、第2キャンセルレバー247がインナワイヤ289を引く方向に回転すると、第1キャンセルレバー233も回転するようになっている。
【0035】
ここで、キャンセル機構200の作動を説明する。
アッパレール55がロアレール53に対して最後位置以外の位置にあるときには、図1に示すようにアッパレール55の第2キャンセルレバー243は、ロアレール53側のキャンセル部材245に当接していないので、第2キャンセルレバー付勢手段の付勢力により第2キャンセルレバーストッパ247に当接している。一方、第1キャンセルレバー233は第1キャンセルレバー付勢手段の付勢力により、キャンセルピン221がフック駆動レバー205のアーム部213の側面に当接しない位置となるようにキャンセルピン221を移動させている。よって、この状態で操作レバー217を操作レバー付勢手段の付勢力に抗して回転させても、キャンセルピン221はフック駆動レバー205に当接しない位置にあるので、ロック機構100のフックを駆動するフック駆動レバー205は回転せず、ロック機構は駆動されない。
【0036】
アッパレール55がロアレール53に対して最後位置まで移動すると、アッパレール55の第2キャンセルレバー243が、ロアレール側のキャンセル部材245に当接して押され、第2キャンセルレバー付勢手段の付勢力に抗して回転する。この第2キャンセルレバー243の回転により、第1キャンセルレバー233は第1キャンセルレバー付勢手段の付勢力に抗して回転し、キャンセルピン221がフック駆動レバー205のアーム部213の側面に当接する位置となるようにキャンセルピン221を移動させる。
【0037】
この状態で操作レバー217を操作レバー付勢手段の付勢力に抗して回転させると、キャンセルピン221はフック駆動レバー205に当接する位置にあるので、ロック機構100のフック113を駆動するフック駆動レバー205が回転し、ロック機構100はロック解除される。
【0038】
このような構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) アッパレール55がロアレール53に対して最後位置に移動させないとロック機構100が作動しないようにするキャンセル機構200を有することで、シートがシートトラック機構の最後位置の時にのみ、昇降が可能となる。
【0039】
(2) 1つのフック113で、ロックピン101が長穴107の一方の端部に当接する状態および他方の端部に当接する状態でロックピン101に係合して、ロングリンク105の移動を禁止する、すなわち、1つのフック113で、シートが最高位置にある状態と、最低位置にある状態との2つの状態でシートの昇降を禁止することができ、機構が簡単となる。
【0040】
尚、本発明は上記形態例に限定されるものではない。上記形態例のロック機構100はリアリンク81の回転を禁止するものであったが、フロントリンク71の回転を禁止するように構成してもよいし、リアリンク81、フロントリンク71の両方のロック機構を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】シートが最高位置にある状態を示す構成図である。
【図2】シートが最低位置にある状態を示す構成図である。
【図3】キャンセル機構の拡大図で、(a)図は図1の状態の拡大図、(b)図は図2の状態の拡大図である。
【図4】図3のキャンセル機構の各部品を示す平面図で、(a)図は第1キャンセルレバー、(b)図は操作レバー、(c)図はフック駆動レバー、(d)図はベースをそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0042】
51 シートトラック機構
53 ロアレール
55 アッパレール
61 フレーム
71 フロントリンク
81 リアリンク
100 ロック機構
200 キャンセル機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロア側に設けられたロアレール、該ロアレールに移動可能に係合したアッパレールとからなるシートトラック機構と、
下部が前記アッパレールの前部に回転可能に取り付けられ、上部がシートクッションの前部に回転可能に取り付けられたフロントリンクと、
下部が前記アッパレールの後部に回転可能に取り付けられ、上部が前記シートクッションの後部に回転可能に取り付けられたリアリンクと、
前記フロントリンク、前記リアリンクのうちの少なくとも一方のリンクの回転を禁止するロック機構と、
前記アッパレールを前記ロアレールの最後位置まで移動させないと前記ロック機構が作動しないようにするキャンセル機構と、
を有することを特徴とするシート。
【請求項2】
前記ロック機構は、
前記シートクッションに設けられたロックピンと、
該ロックピンが嵌合する長穴を有し、端部が前記リアリンクのシートクッション側の回転中心より更に上部分に回転可能に取り付けられ、前記リアリンクの移動により、前記ロックピンが長穴の端部に当接する範囲で移動するロングリンクと、
該ロングリンクに回転可能に設けられ、前記ロックピンが前記長穴の一方の端部に当接する状態および他方の端部に当接する状態で前記ロックピンに係合して、前記ロングリンクの移動を禁止するフックと、
該フックが前記ロックピンに係合する方向に前記フックを付勢するフック付勢手段と、
からなることを特徴とする請求項1記載のシート。
【請求項3】
前記キャンセル機構は、
前記フレームに回転可能に設けられ、半径方向に延びるアーム部を有し、一方の方向に回転することにより前記ロック機構のフックを駆動するフック駆動レバーと、
該フック駆動レバーを他方の方向に回転する方向に付勢するフック駆動レバー付勢手段と、
該フック駆動レバー付勢手段で付勢された前記フック駆動レバーの移動を禁止するフック駆動レバーストッパと、
前記フック駆動レバーの回転中心軸を中心に回転可能に設けられ、半径方向に前記フック駆動レバーのアーム部の先端より更に延びた長穴を有した操作レバーと、
前記長穴に移動可能に係合し、前記フック駆動レバーのアーム部の側面に当接可能なキャンセルピンと、
前記キャンセルピンが前記フック駆動レバーのアーム部から離れる方向に前記操作レバーを付勢する操作レバー付勢手段と、
該操作レバー付勢手段に付勢された前記操作レバーの移動を禁止する操作レバーストッパと、
前記フック駆動レバーの近傍に回転可能に設けられ、前記キャンセルピンに係合し、回転することにより、前記キャンセルピンを前記フック駆動レバーのアーム部の側面に当接可能な位置と前記フック駆動レバーのアーム部の側面に当接しない位置との間で前記操作レバーの長穴に沿って移動させるガイド穴を有する第1キャンセルレバーと、
前記キャンセルピンが前記フック駆動レバーのアーム部の側面に当接しない位置となるように前記第1キャンセルレバーを付勢する第1キャンセルレバー付勢手段と、
前記アッパレールに回転可能に設けられ、回転することにより、前記第1キャンセルレバーを回転させる第2キャンセルレバーと、
前記ロアレール側に設けられ、前記アッパレールが最後位置近傍まで後退すると、前記第2キャンセルレバーが当接するキャンセル部材と、
前記第2キャンセルレバーが前記キャンセル部材に当接可能な位置以上に回転するのを禁止する第2キャンセルレバーストッパと、
前記第2キャンセルレバーが前記第2キャンセルストッパに当接する方向に付勢する第2キャンセルレバー付勢手段と、
でなることを特徴とする請求項2記載のシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−122570(P2006−122570A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317921(P2004−317921)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】