説明

シールド掘進機

【課題】ビームカッタを駆動する二つの油圧ジャッキのストロークを正確に制御する。
【解決手段】回転角度検出手段53で検出したカッタフレーム8の回転角度に基づいて第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bのストローク設定値をそれぞれ決定し、且つ、第一油圧ジャッキ40aのストローク設定値と第一ストローク検出手段54aで検出された第一油圧ジャッキ40aのストローク検出値との偏差がゼロとなるように、第一制御弁48a、50aの開度を制御すると共に、第二油圧ジャッキ40bのストローク設定値と第二ストローク検出手段54bで検出された第二油圧ジャッキ40bのストローク検出値との偏差がゼロとなるように、第二制御弁48b、50bの開度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、馬蹄形断面、楕円形断面或いは矩形断面等の異形断面を掘削するためのシールド掘進機に係り、特に、二つの油圧ジャッキにより駆動されるビームカッタを備えたシールド掘進機に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機は、シールド本体の前部に設けられた回転カッタで地山を掘削して、その後方でセグメントを順次組立てることにより、トンネルを構築していくものである。回転カッタの前面には複数のビットが配置されており、回転カッタを回転させてビットにより地山を掘削するようになっている。
【0003】
ところで、道路の横方向の占有幅が上下方向の占有幅より大きいことから、道路用トンネルの断面は、円形断面よりも、上下方向に比べて横方向が広くなる馬蹄形断面が理想的である。つまり、道路用トンネルを馬蹄形断面とすると、円形断面に比べて上下方向に無駄な空間が少なく、建設コストが安価となるという利点がある。
【0004】
馬蹄形断面、楕円形断面或いは矩形断面等の異形断面を掘削するシールド掘進機としては、例えば、シールド本体の前部に設けられ、掘進方向と平行な軸廻りに回転駆動される回転カッタと、その回転カッタのカッタスポークに設けられ、回転カッタの外周縁よりも半径方向外側に出没自在なオーバカッタとを備えたものが知られている。このようなシールド掘進機では、オーバカッタを回転カッタの外周縁よりも半径方向外側に突出させ、そのオーバカッタにより回転カッタの外周縁よりも半径方向外側の領域を掘削するようになっている。
【0005】
なお、引用文献1には、円形のメインカッタの外周に開閉自在にスイングカッタを設けたシールド掘進機が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−303581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、馬蹄形断面、楕円形断面或いは矩形断面等の異形断面を掘削するシールド掘進機を新規開発中である。
【0008】
このシールド掘進機は、シールド本体の前部に回転自在に設けられたカッタフレームに、その半径方向に沿って且つカッタフレームの周方向に互いに所定角度となるように配置された二つの油圧ジャッキと、ビーム状に形成され、その長手方向端部よりも長手方向内側の部分が二つの油圧ジャッキの伸縮端部に回動自在に支持されたビームカッタ(商標登録出願中)とを備えている。
【0009】
このシールド掘進機においては、二つの油圧ジャッキを伸縮させることにより、二つの油圧ジャッキの内一方の伸縮端部をカッタフレームの半径方向外側に移動させ、他方の伸縮端部をカッタフレームの半径方向内側に移動させ、ビームカッタの長手方向端部をカッタフレームの半径方向外側に突出させるようになっている。
【0010】
このようなシールド掘進機にあっては、二つの油圧ジャッキの伸縮端部間の距離は常に一定となるので、二つの油圧ジャッキが伸縮するストロークを正確に制御する必要があるが、二つの油圧ジャッキのストロークを正確に制御することができる制御方法は確立されていないという課題があった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、ビームカッタを駆動する二つの油圧ジャッキのストロークを正確に制御することができるシールド掘進機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、シールド本体の前部に回転自在に設けられたカッタフレームと、該カッタフレームにその半径方向に沿って且つ上記カッタフレームの周方向に互いに所定角度となるように配置された第一及び第二油圧ジャッキと、ビーム状に形成され、その長手方向端部よりも長手方向内側の部分が上記第一及び第二油圧ジャッキの伸縮端部に回動自在に支持されたビームカッタとを備えたシールド掘進機において、上記カッタフレームの回転角度を検出するための回転角度検出手段と、上記第一及び第二油圧ジャッキのストロークをそれぞれ検出するための第一及び第二ストローク検出手段と、上記第一及び第二油圧ジャッキに供給する油量をそれぞれ制御するための第一及び第二制御弁と、これら第一及び第二制御弁の開度を制御する制御手段とを備え、該制御手段は、上記回転角度検出手段で検出した回転角度に基づいて上記第一及び第二油圧ジャッキのストローク設定値をそれぞれ決定し、且つ、上記第一油圧ジャッキのストローク設定値と上記第一ストローク検出手段で検出された上記第一油圧ジャッキのストローク検出値との偏差がゼロとなるように、上記第一制御弁の開度を制御すると共に、上記第二油圧ジャッキのストローク設定値と上記第二ストローク検出手段で検出された上記第二油圧ジャッキのストローク検出値との偏差がゼロとなるように、上記第二制御弁の開度を制御するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ビームカッタを駆動する二つの油圧ジャッキを正確に制御することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るシールド掘進機の正面図である。図2は、図1のII−II線矢視断面図である。図3は、図1のIII−III線矢視断面図である。図4は、図1のIV−IV線矢視断面図である。図5は、図2のV−V線矢視断面図である。
【0016】
図1から図5に示すように、シールド掘進機1は、シールド本体2と、シールド本体2の前部に回転自在に設けられ、円形断面を掘削する回転カッタ3とを備えている。シールド本体2は、上下方向(図1中の上下方向)に比べて横方向(図1中の左右方向)に広い馬蹄形断面であって、上下方向の中央よりも下部側で横幅が最も広くなるように形成されている。回転カッタ3は、掘進方向と平行な軸廻りに回転駆動される。
【0017】
シールド本体2の後部には、回転カッタ3及び後述するビームカッタ4により掘削した孔内にセグメントを組立ててトンネル(道路用トンネル)を構築するためのエレクタ(図示せず)と、シールド本体2の内周に所定間隔を隔てて複数設けられ、セグメントに反力を取ってシールド本体2を推進させるためのシールドジャッキ(図示せず)とが設けられる。
【0018】
回転カッタ3と、シールド本体2の前端部近傍に設けられたバルクヘッド(隔壁)5との間には、回転カッタ3及びビームカッタ4により掘削した土砂(掘削土砂)を取り込むチャンバ6が形成される。バルクヘッド5の下部には、これを貫通してチャンバ6に開口するスクリュコンベア7が設けられる。
【0019】
回転カッタ3は、バルクヘッド5に回転自在に設けられている。回転カッタ3は、その回転中心から半径方向外側に延出し、掘進方向と平行な軸廻りに回転されるカッタフレーム8を有している。カッタフレーム8の前面には、その半径方向中央にセンタビット9が配置され、そのセンタビット9よりも外周側に複数のカッタビット10が配置されている。これらセンタビット9及びカッタビット10は、回転カッタ3の外周縁よりも半径方向内側の地山に当接される。カッタフレーム8の後面には、後方に延出してチャンバ6内の掘削土砂を撹拌するための撹拌翼11が設けられている。
【0020】
カッタフレーム8は、中心部材12と、中心部材12に放射状に取り付けられた複数(図示例では八本)のカッタスポーク13、14とを有している。つまり、各カッタスポーク13、14は、回転カッタ3の回転中心から半径方向外側に延出している。
【0021】
ここで、カッタスポーク13、14は、第一カッタスポーク13と第二カッタスポーク14との二種類から構成されている。本実施形態では、八本のカッタスポーク13、14のうち四本が第一カッタスポーク13とされ、残りの四本が第二カッタスポーク14とされている。
【0022】
第一カッタスポーク13は、回転カッタ3の周方向に所定間隔を隔てて、少なくとも一つの他の第一カッタスポーク13に隣接される。
【0023】
第二カッタスポーク14は、回転カッタ3の周方向に所定間隔を隔てて、第一カッタスポーク13或いは他の第二カッタスポーク14に隣接される。
【0024】
回転カッタ3の周方向に隣接する第一カッタスポーク13同士、回転カッタ3の周方向に隣接する第二カッタスポーク14同士、或いは、回転カッタ3の周方向に隣接する第一カッタスポーク13と第二カッタスポーク14とは、それらの半径方向中間部にて中間部材16により連結されている。
【0025】
周方向に隣接する第一カッタスポーク13同士は、その外周部にて外周部材17aにより連結されている。
【0026】
周方向に隣接する第二カッタスポーク14同士は、その外周部にて外周部材17bにより連結されている。
【0027】
第二カッタスポーク14は、ビームカッタ4が駆動された際にそのビームカッタ4を挿通し得るように、側部が開放された箱状に形成されている(図1、図2及び図5参照)。
【0028】
バルクヘッド5には、ギヤ20を有するリング状部材21が回転自在に支持されている。リング状部材21は、回転カッタ3のカッタフレーム8から後方に延出する複数の中間ビーム22によって、カッタフレーム8と連結されている。中間ビーム22は、回転カッタ3の周方向に所定間隔を隔てて複数設けられる。シールド本体2内には、リング状部材21を回転させるための複数の駆動モータ23(本実施形態では、油圧モータ)が設けられている。駆動モータ23にはピニオン24が取り付けられており、そのピニオン24がリング状部材21に設けられたギヤ20と歯合するようになっている。
【0029】
バルクヘッド5には、リング状部材21を回転自在に支持する支持機構25が設けられている。支持機構25は、ケーシング26と、ケーシング26内に収容され、リング状部材21を支持するための軸受27、28と、シールド本体2内に土砂が侵入するのを防止するためのシール機構29とを有している。
【0030】
回転カッタ3には、回転カッタ3の外周縁よりも半径方向内側の所定位置から回転カッタ3の略半径方向外側に延出し、且つ、回転カッタ3の周方向に互いに所定角度となるように配置された二つのガイドが設けられる。
【0031】
本実施形態では、上記二つのガイドは、回転カッタ3の周方向に互いに隣接する二本の第一カッタスポーク13に設けられており、中心部材12に取り付けられた固定スポーク30と、固定スポーク30に収容され、回転カッタ3の半径方向(固定スポーク30の長手方向)に移動自在なガイドスポーク31とから構成されている。
【0032】
各第一カッタスポーク13にはそれぞれ、各第一カッタスポーク13の長手方向、つまり回転カッタ3の半径方向に沿って移動自在な支持部32が設けられている。
【0033】
各支持部32は、第一カッタスポーク13のガイドスポーク31先端部に設けられたケーシング33と、ケーシング33内に収容され、後述するビームカッタ本体34のピン35を支持するための軸受36、37、38と、ケーシング33内に土砂が侵入するのを防止するためのシール機構39とを有している。
【0034】
シールド掘進機1は、回転カッタ3の外周縁よりも半径方向外側の地山を掘削するためのビームカッタ4を備えている。ビームカッタ4は、ビーム状に形成されたビームカッタ本体34を有している。ビームカッタ本体34は、その長手方向両端部よりも長手方向内側の部分にて各第一カッタスポーク13の支持部32に回動自在に支持されている。本実施形態では、ビームカッタ本体34の長手方向両端部よりも長手方向内側の部分にはピン35が設けられており、このピン35にてビームカッタ本体34は、各第一カッタスポーク13の支持部32に回動自在に支持されている。
【0035】
各支持部32を、各第一カッタスポーク13の長手方向、つまり回転カッタ3の半径方向に沿って移動するためのアクチュエータとしての二つの油圧ジャッキ(第一及び第二油圧ジャッキ)40a、40bが設けられる。図3及び図5に示すように、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bはそれぞれ、ガイドスポーク31に取り付けられたシリンダチューブ41と、シリンダチューブ41の一端に装着された円盤状のヘッド41h(図6参照)と、シリンダチューブ41の他端に装着された円盤状のキャップ41c(図6参照)と、シリンダチューブ41内にその軸方向に摺動自在に設けられ、ヘッド側油圧室42とキャップ側油圧室43とを区画するピストン44(図6参照)と、一端がピストン44に連結され、他端が中心部材12に連結されたロッド45とを有している。つまり、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bは、回転カッタ3のカッタフレーム8に、カッタフレーム8の半径方向に沿って且つカッタフレーム8の周方向に互いに所定角度となるように配置されている。
【0036】
図6に示すように、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bにはそれぞれ、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bを作動する油圧回路46が接続されている。第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bのヘッド側油圧室42と油圧回路46とを結ぶヘッド側油圧供給ライン47にはそれぞれ、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bのヘッド側油圧室42に供給する油量を制御するためのヘッド側の第一及び第二制御弁48a、48bが設けられている。また、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bのキャップ側油圧室43と油圧回路46とを結ぶキャップ側油圧供給ライン49にはそれぞれ、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bのキャップ側油圧室43に供給する油量を制御するためのキャップ側の第一及び第二制御弁50a、50bが設けられている。本実施形態では、ヘッド側の第一及び第二制御弁48a、48b、キャップ側の第一及び第二制御弁50a、50bとして、サーボ弁を用いている。
【0037】
各支持部32を回転カッタ3の半径方向外側に移動させる際には、油圧回路46、ヘッド側の第一及び第二制御弁48a、48b、キャップ側の第一及び第二制御弁50a、50bを伸長側に作動させて、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bを伸長させる。一方、各支持部32を回転カッタ3の半径方向内側に移動させる際には、油圧回路46、ヘッド側の第一及び第二制御弁48a、48b、キャップ側の第一及び第二制御弁50a、50bを縮退側に作動させて、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bを縮退させる。
【0038】
図1及び図4に示すように、ビームカッタ本体34の長手方向両端部の前面には、複数のカッタビット51が配置されている。これらカッタビット51は、回転カッタ3のカッタビット10よりもわずかに掘進方向後方に配置される。つまり、ビームカッタ本体34の長手方向両端部が回転カッタ3の外周縁よりも半径方向内側に位置した状態では、ビームカッタ本体34の長手方向両端部(カッタビット51)は地山には当接されずチャンバ6内の掘削土砂を撹拌するのみである。また、ビームカッタ本体34の長手方向一端部が回転カッタ3の外周縁よりも半径方向外側に突出した状態では、ビームカッタ本体34の長手方向一端部(カッタビット51)が回転カッタ3の外周縁よりも半径方向外側の地山に当接されて地山を掘削し、ビームカッタ本体34の長手方向他端部(カッタビット51)は地山には当接されずチャンバ6内の掘削土砂を撹拌するのみである。
【0039】
シールド掘進機1は、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bによってビームカッタ本体34の長手方向一端部を回転カッタ3の外周縁よりも半径方向外側に突出させるための制御手段としてのコントローラ52を備えている(図6参照)。コントローラ52は、ヘッド側の第一及び第二制御弁48a、48b、キャップ側の第一及び第二制御弁50a、50bの開度をそれぞれ制御するようになっている。
【0040】
ビームカッタ本体34の長手方向一端部を回転カッタ3の外周縁よりも半径方向外側に突出させる際には、回転カッタ3の周方向に互いに隣接する二本の第一カッタスポーク13のうち一方の第一カッタスポーク13に設けられた一方の支持部32を回転カッタ3の半径方向外側に移動させることにより、ビームカッタ本体34の長手方向一端部が回転カッタ3の半径方向外側に移動されると共に、他方の第一カッタスポーク13に設けられた他方の支持部32を回転カッタ3の半径方向内側に移動させることにより、ビームカッタ本体34の長手方向一端部が上記一方の支持部32回りに回転カッタ3の半径方向外側へと回動される。
【0041】
コントローラ52には、回転カッタ3(カッタフレーム8)の回転角度を検出するための回転角度検出手段としての回転角度センサ53が接続されている(図7参照)。また、コントローラ52には、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bのストロークをそれぞれ検出するための第一及び第二ストローク検出手段としての第一及び第二ストロークセンサ54a、54bが接続されている(図6及び図7参照)。
【0042】
以下、コントローラ52による第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bの制御について図7により説明する。
【0043】
図7に示すように、コントローラ52は、回転角度センサ53で検出された回転カッタ3の回転角度をルックアップテーブル55に入力して第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bのストローク設定値をそれぞれ決定する。ルックアップテーブル55には、回転カッタ3の回転角度に応じた第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bのストローク設定値が予め求められて入力されており、ルックアップテーブル55に回転カッタ3の回転角度を入力することによって、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bのストローク設定値が求められる。
【0044】
次いで、コントローラ52は、第一油圧ジャッキ40aのストローク設定値と、第一ストロークセンサ54aで検出された第一油圧ジャッキ40aのストローク検出値とのストローク偏差を求め(ストローク偏差=ストローク設定値−ストローク検出値)、そのストローク偏差がゼロとなるようなヘッド側の第一制御弁48aの開度、キャップ側の第一制御弁50aの開度等を決定する(P制御又はPI制御)。
【0045】
また、コントローラ52は、第二油圧ジャッキ40bのストローク設定値と、第二ストロークセンサ54bで検出された第二油圧ジャッキ40bのストローク検出値とのストローク偏差を求め(ストローク偏差=ストローク設定値−ストローク検出値)、そのストローク偏差がゼロとなるようなヘッド側の第二制御弁48bの開度、キャップ側の第二制御弁50bの開度等を決定する(P制御又はPI制御)。
【0046】
そして、コントローラ52は、決定した開度等に応じて第一及び第二制御弁48a、48b、50a、50bを制御して、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bに供給する油量を調節することで、第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bのストロークを所定値となるように制御する。
【0047】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0048】
地山を掘削する際には、図8に示すように、駆動モータ23により回転カッタ3を回転駆動させると、その回転カッタ3によって地山が円形断面に掘削されて、円形断面の孔が形成される。
【0049】
また、図8から図10に示すように、回転カッタ3の回転角度に応じて、ビームカッタ本体34の長手方向一端部を回転カッタ3の外周縁よりも半径方向外側に突出させると、回転カッタ3により形成された円形断面の孔の外周縁よりも半径方向外側の未掘削領域の地山が、ビームカッタ4(カッタビット51)により掘削されて、円形断面の孔に連続された馬蹄形断面の孔が形成される。
【0050】
ここで、本実施形態では、コントローラ52が、回転角度センサ53で検出されたカッタフレーム8の回転角度に基づいて第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bのストローク設定値をそれぞれ決定すると共に、第一及び第二ストロークセンサ54a、54bで第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bのストローク検出値をそれぞれ検出し、且つ、第一油圧ジャッキ40aのストローク設定値とストローク検出値とのストローク偏差がゼロとなるように、第一制御弁40aの開度を制御すると共に、第二油圧ジャッキ40bのストローク設定値とストローク検出値とのストローク偏差がゼロとなるように、第二制御弁40bの開度を制御するようにしている。
【0051】
このように第一及び第二油圧ジャッキ40a、40bのストロークを制御することで、二つの油圧ジャッキ(第一及び第二油圧ジャッキ40a、40b)のストロークを正確に制御することが可能となり、ビームカッタ4によって掘削される馬蹄形断面の位置誤差を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に係るシールド掘進機の正面図である。
【図2】図1のII−II線矢視断面図である。
【図3】図1のIII−III線矢視断面図である。
【図4】図1のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】図2のV−V線矢視断面図である。
【図6】油圧ジャッキの概略図である。
【図7】制御手段による油圧ジャッキの制御を示すブロック図である。
【図8】馬蹄形断面を掘削するシールド掘進機の正面図である。
【図9】馬蹄形断面を掘削するシールド掘進機の正面図である。
【図10】馬蹄形断面を掘削するシールド掘進機の正面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 シールド掘進機
2 シールド本体
4 ビームカッタ
8 カッタフレーム
40a 油圧ジャッキ(第一油圧ジャッキ)
40b 油圧ジャッキ(第二油圧ジャッキ)
48a 制御弁(ヘッド側の第一制御弁)
48b 制御弁(ヘッド側の第二制御弁)
50a 制御弁(キャップ側の第一制御弁)
50b 制御弁(キャップ側の第二制御弁)
52 コントローラ(制御手段)
53 回転角度センサ(回転角度検出手段)
54a ストロークセンサ(第一ストローク検出手段)
54b ストロークセンサ(第二ストローク検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド本体の前部に回転自在に設けられたカッタフレームと、該カッタフレームにその半径方向に沿って且つ上記カッタフレームの周方向に互いに所定角度となるように配置された第一及び第二油圧ジャッキと、ビーム状に形成され、その長手方向端部よりも長手方向内側の部分が上記第一及び第二油圧ジャッキの伸縮端部に回動自在に支持されたビームカッタとを備えたシールド掘進機において、
上記カッタフレームの回転角度を検出するための回転角度検出手段と、上記第一及び第二油圧ジャッキのストロークをそれぞれ検出するための第一及び第二ストローク検出手段と、上記第一及び第二油圧ジャッキに供給する油量をそれぞれ制御するための第一及び第二制御弁と、これら第一及び第二制御弁の開度を制御する制御手段とを備え、
該制御手段は、上記回転角度検出手段で検出した回転角度に基づいて上記第一及び第二油圧ジャッキのストローク設定値をそれぞれ決定し、且つ、
上記第一油圧ジャッキのストローク設定値と上記第一ストローク検出手段で検出された上記第一油圧ジャッキのストローク検出値との偏差がゼロとなるように、上記第一制御弁の開度を制御すると共に、
上記第二油圧ジャッキのストローク設定値と上記第二ストローク検出手段で検出された上記第二油圧ジャッキのストローク検出値との偏差がゼロとなるように、上記第二制御弁の開度を制御することを特徴とするシールド掘進機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−240458(P2008−240458A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85414(P2007−85414)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【Fターム(参考)】