説明

シールド部材の異常検出装置及びシールド部材の異常検出方法

【課題】シールド部材のズレ幅を検出することができるシールド部材の異常検出装置及びシールド部材の異常検出方法を提供する。
【解決手段】送受信アンテナATがCVケーブル10に向かって電波を送信する。発振回路21が、送受信アンテナATに対して電波を入力する。検波回路241が、送受信アンテナATから発振回路21に戻る反射波W2を検波する。判別回路242が、検波回路241により検波された反射波W2の受信パワーが基準値に比べて第1閾値以上低い場合に判別ズレ幅未満の銅テープ13のズレを検出し、検波回路241により検波された反射波W2の受信パワーが基準値に比べて第2閾値以上高い場合に判別ズレ幅以上の銅テープ13のズレを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド部材の異常検出装置及びその方法に係り、特に、導電性を有する芯線、前記芯線を被覆する内部絶縁体、前記内部絶縁体の外周に巻き付けられたシールド部材、及び、前記シールド部材を被覆する外部絶縁体、を有する電線における前記シールド部材の異常を検出するシールド部材の異常検出装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した電線として、図1に示すような、高圧電力を供給するためのCVケーブル10が知られている。同図に示すように、CVケーブル10は、芯線11と、内部絶縁体としての絶縁体12と、シールド部材としての銅テープ13と、外部絶縁体としてのシース14と、を備えている。
【0003】
芯線11は、導電性を有する導体から成る。絶縁体12は、架橋ポリエチレンなどから成り、芯線11を被覆する。銅テープ13は、内部で発生した電界が外部に漏れないように遮蔽するために設けられている。銅テープ13は、テープ状に設けられており、絶縁体12の外周に巻き付けられる。シース14は、ポリエチレンなどから成り、銅テープ13を被覆する。
【0004】
上述したCVケーブル10は、布設状況や経年変化などによって銅テープ13にズレが生じることがある。このズレにより、芯線11には、場所によって銅テープ13が覆われない部分が生じることがある。これにより、CVケーブル10の性能品質が劣化するという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば、発振回路を発振させてアンテナからCVケーブル10に向かって電波を送信して、アンテナから発振回路に戻ってくる反射波の受信パワーに基づいて銅テープ13のズレを検出する異常検出装置が提案されている(特許文献1、2)。
【0006】
上述した従来の異常検出装置は、銅テープ13のズレがない正常部をアンテナで走査したときの反射波の受信パワーを基準値として、上記反射波の受信パワーが基準値に対して所定値以上増加(又は、減少)したときに銅テープ13のズレが生じて銅テープ13が無いと判定している。このため、従来の異常検出装置では、単に銅テープ13のズレの有無を検出するだけで銅テープ13のズレ幅(即ち銅テープ13により覆われていない部分の幅)がどの程度あるかを検出することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−54564号公報
【特許文献2】特開2009−281850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、シールド部材のズレ幅を検出することができるシールド部材の異常検出装置及びシールド部材の異常検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、導電性を有する芯線、前記芯線を被覆する内部絶縁体、前記内部絶縁体の外周に巻き付けられたシールド部材、及び、前記シールド部材を被覆する外部絶縁体、を有する電線に向かって電波を送信するアンテナと、前記アンテナに対して電波を入力する発振回路と、前記アンテナから前記発振回路に戻る反射波を検波する検波回路と、を備えたシールド部材の異常検出装置において、前記アンテナを用いて所定幅未満の前記シールド部材のズレが生じているズレ部を走査したときの前記反射波の受信パワーが、前記シールド部材がある正常部を走査したときの前記反射波の受信パワーより低くなり、かつ、前記アンテナを用いて前記所定幅以上の前記シールド部材のズレが生じているズレ部を走査したときの前記反射波の受信パワーが、前記シールド部材がある正常部を走査したときの前記反射波の受信パワーより高くなるように、前記電線と前記アンテナとの距離、及び/又は、前記発振回路の発振周波数が設定されていることを特徴とするシールド部材の異常検出装置に存する。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記検波回路により検波された前記反射波の受信パワーが基準値に比べて第1閾値以上低い場合に前記所定幅未満の前記シールド部材のズレを検出し、前記検波回路により検波された前記反射波の受信パワーが前記基準値に比べて第2閾値以上高い場合に前記所定幅以上の前記シールド部材のズレを検出する異常検出手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のシールド部材の異常検出装置に存する。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記発振回路の発振周波数が調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシールド部材の異常検出装置に存する。
【0012】
請求項4記載の発明は、導電性を有する芯線、前記芯線を被覆する内部絶縁体、前記内部絶縁体の外周に巻き付けられたシールド部材、及び、前記シールド部材を被覆する外部絶縁体、を有する電線に向かってアンテナからの電波を送信する工程と、前記アンテナから戻ってくる反射波に基づいて前記シールド部材のズレを検出する工程と、を順次行うシールド部材の異常検出方法において、前記アンテナから戻ってくる反射波に基づいて前記シールド部材のズレを検出する工程において、前記反射波の受信パワーが基準値に比べて第1閾値以上低い場合に所定幅未満の前記シールド部材のズレを検出し、前記反射波の受信パワーが前記基準値に比べて第2閾値以上高い場合に前記所定幅以上の前記シールド部材のズレを検出することを特徴とする異常検出方法に存する。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、アンテナを用いて所定幅未満のシールド部材のズレが生じているズレ部を走査したときの反射波の受信パワーが、シールド部材がある正常部を走査したときの反射波の受信パワーより低くなり、かつ、アンテナを用いて所定幅以上のシールド部材のズレが生じているズレ部を走査したときの反射波の受信パワーが、シールド部材がある正常部を走査したときの反射波の受信パワーより高くなるように、電線とアンテナとの距離、及び/又は、発振回路の発振周波数が設定されているので、反射波の受信パワーに基づいてシールド部材のズレ幅を検出することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、異常検出手段が、検波回路により検波された反射波の受信パワーが基準値に比べて第1閾値以上低い場合に所定幅未満のシールド部材のズレを検出し、検波回路により検波された反射波の受信パワーが基準値に比べて第2閾値以上高い場合に所定幅以上のシールド部材のズレを検出するので、シールド部材のズレ幅を検出することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、発振回路の発振周波数が調整可能に設けられているので、発振周波数を調整することにより所定幅を調整することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、アンテナから戻ってくる反射波に基づいてシールド部材のズレを検出する工程において、反射波の受信パワーが基準値に比べて第1閾値以上低い場合に所定幅未満のシールド部材のズレを検出し、反射波の受信パワーが前記基準値に比べて第2閾値以上高い場合に所定幅以上のシールド部材のズレを検出するので、シールド部材のズレ幅を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のシールド部材の異常検出方法を実施したシールド部材の異常検出装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】(A)〜(E)は、銅テープのズレ幅が1mm、2mm、5mm、10mm、15mmのCVケーブルを送受信アンテナで走査したときの反射波の受信パワーを測定した結果を示すグラフである。
【図3】(A)〜(D)は、銅テープのズレ幅が20mm、25mm、35mm、50mmのCVケーブルを送受信アンテナで走査したときの反射波の受信パワーを測定した結果を示すグラフである。
【図4】(A)〜(D)は、発振回路の発振周波数を5.78GHz、5.79GHz、5.795GHz、5.8GHzに変化させてズレ幅が15mmのCVケーブルを送受信アンテナで走査したときの反射波の受信パワーを測定した結果を示すグラフである。
【図5】(A)〜(D)は、発振回路の発振周波数を5.78GHz、5.79GHz、5.795GHz、5.8GHzに変化させてズレ幅が20mmのCVケーブルを送受信アンテナで走査したときの反射波の受信パワーを測定した結果を示すグラフである。
【図6】(A)〜(D)は、発振回路の発振周波数を5.78GHz、5.79GHz、5.795GHz、5.8GHzに変化させてズレ幅が25mmのCVケーブルを送受信アンテナで走査したときの反射波の受信パワーを測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のシールド部材の異常検出方法を実施したシールド部材の異常検出装置20の一実施の形態を示す構成図である。この異常検出装置20は、例えばCVケーブル10の銅テープ13の異常を検出する。ここで、銅テープ13の異常とは、銅テープ13がズレて、芯線11の一部に銅テープ13によって覆われていない部分が生じることを言う。
【0019】
上記CVケーブル10は、背景技術で説明したように、芯線11と、内部絶縁体としての絶縁体12と、シールド部材としての銅テープ13と、外部絶縁体としてのシース14と、を備えている。芯線11は、導電性を有する導体から成る。絶縁体12は、架橋ポリエチレンなどから成り、芯線11を被覆する。銅テープ13は、テープ状に設けられており、絶縁体12の外周に巻き付けられている。シース14は、ポリエチレンなどから成り、銅テープ13を被覆する。
【0020】
異常検出装置20は、アンテナとしての送受信アンテナATと、発振回路21と、サーキュレータ22と、受信回路24と、を備えている。送受信アンテナATは、CVケーブル10の長手方向に沿って走査できるように図示しない取付部によってCVケーブル10に取り付けられている。この送受信アンテナATとしては、例えば5.8GHz帯のマイクロストリップアンテナを用いている。発振回路21は、発振して上記送受信アンテナATに向かう進行波W1を出力する。この発振回路21の発振周波数は調整可能に設けられている。
【0021】
上記サーキュレータ22は、3つのポートP1〜P3を有している。サーキュレータ22においては、ポートP1に入力された発振回路21から送受信アンテナATに向かって進む進行波W1がポートP2から出力される。また、ポートP2に入力された送受信アンテナATから受信回路24に向かって進む反射波W2がポートP3から出力される。なお、反射波W2は、送受信アンテナATから放射された進行波W1のうちCVケーブル10の芯線11又は銅テープ13で反射された反射波と、送受信アンテナATに達した進行波W1のうち送受信アンテナATで反射された反射波と、から構成されている。
【0022】
よって、サーキュレータ22のポートP1−発振回路21間の伝送路には、上記進行波W1が伝送される。サーキュレータ22のポートP2−送受信アンテナAT間の伝送路には、上記進行波W1及び反射波W2が伝送される。サーキュレータ22のポートP3−受信回路24の伝送路には、上記反射波W2が伝送される。
【0023】
上記受信回路24は、検波回路241と、異常検出手段としての判別回路242と、警報回路243と、を備えている。検波回路241は、上述したサーキュレータ22のポートP3から出力される反射波W2を受信して、その受信パワーを判別回路242に対して出力する。判別回路242は、例えば一定時間経過する毎に、又は、CVケーブル10を一定距離走査する毎に検波回路241から出力された受信パワーと予め定めた後述する基準値とを比較して銅テープ13がズレていると判別したとき、その旨を警報回路243に対して出力する。警報回路243は、判別回路242が銅テープ13のズレを判別したとき音声や表示器などを用いて警報を発生する。
【0024】
次に、上述した構成の異常検出装置20の動作を説明する前に、本発明の銅テープ13の異常検出方法の原理について説明する。まず、本発明者は、CVケーブル10と送受信アンテナATとの距離を調整して複数パターンに変化させて、パターン毎に銅テープ13のズレ幅が1mm、2mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、35mm、50mmの各CVケーブル10の長手方向に沿って送受信アンテナATを走査させたときの反射波W2の受信パワーを測定した。この測定では、芯線11の断面積が150mm2、長さが1mのCVケーブル10を用いている。また、このCVケーブル10の銅テープ13を剥がしてズレ状態を模擬している。さらに、発振回路21の発振周波数は5.79GHzに設定した。
【0025】
結果、CVケーブル10と送受信アンテナATとの距離を調整すると、図2及び図3に示すような特性が得られることが分かった。図2及び図3において、横軸はCVケーブル10を走査して測定したときの時間であり、縦軸は反射波W2の受信パワーである。図2に示すように、銅テープ13がズレていない正常部での反射波W2の受信パワーは、−19dBmである。また、図2(A)〜(C)に示すように、銅テープ13のズレ幅が1mm〜5mmにおいては、銅テープ13のズレが発生しているズレ部での反射波W2の受信パワーは、ズレ部中央で最も低下する。即ち、ズレ幅が1mm〜5mmにおいては、受信パワー低下のピークは1箇所となる。
【0026】
これに対して、図2(D)に示すように、銅テープ13のズレ幅が10mmにおいては、ズレ部と正常部との境の2箇所で最も受信パワーの低下が見られる。即ち、ズレ幅が10mmにおいては、受信パワー低下のピークは2箇所となる。また、図2(E)に示すように、銅テープ13のズレ幅が15mmにおいては、ズレ部の中心での受信パワーと正常部での受信パワーがほぼ同じになり、あたかもアルファベットの「W」のようになる。
【0027】
また、図3(A)に示すように、銅テープ13のズレ幅が20mmになるとズレ部の中心での受信パワーが正常部での受信パワーより大きくなる(正常部:−19dBm、ズレ部中心:−16dBm)。さらに、図3(B)〜(D)に示すように、銅テープ13のズレ幅が20mm以上の場合も同様にズレ部の中心での受信パワーが正常部での受信パワーより大きくなる。以上のことから明らかなように、正常部での受信パワーを基準値として、受信パワーが高い方と低い方とで閾値を用いれば銅テープ13のズレ幅が20mm未満であるか、20mm以上であるか判別できることが分かった。
【0028】
次に、本発明者は、図2及び図3に示す特性が得られるようなCVケーブル10と送受信アンテナATとの距離を保持しつつ発振回路21の発振周波数を5.78GHz、5.79GHz、5.795GHz、5.8GHzと変化させて、各周波数毎に銅テープ13のズレ幅が15mm、20mm、25mmのCVケーブル10の長手方向に沿って送受信アンテナATの反射波W2の受信パワーを測定した。結果を図4〜図6に示す。
【0029】
図4〜図6から明らかなように、ズレ部中心での受信レベルのピークの高さは、発振回路21の発振周波数を変えることにより調整することができることが分かった。よって、発振回路21の発振周波数を変えることにより、判別したい判別ズレ幅(=請求項中の所定幅)を調整できることが分かった。即ち、判別ズレ幅を15mmに設定したい場合は、図4に示すように、発振周波数を5.8GHzに設定すればよい。また、判別ズレ幅を20mmに設定したい場合は、図5に示すように、発振周波数を5.795GHzに設定すればよく、判別ズレ幅を25mmに設定したい場合は、図6に示すように、発振周波数を5.79GHzに設定すればよい。
【0030】
次に、上述した原理を踏まえた上で異常検出装置20を用いた異常検出方法について説明する。まず、作業者は、上述した図示しない取付部を用いて、CVケーブル10に対して、図2及び図3に示す特性が得られるような距離に送受信アンテナATを配置する。その後、作業者は、発振回路21を操作して発振回路21の発振周波数を上述したように判別したい判別ズレ幅に応じた値に調整する。その後、作業者は、異常検出装置20を操作して発振回路21から調整した発振周波数で発振する送受信アンテナATに向かう進行波W1を出力させる。これにより、進行波W1のうち送受信アンテナATで反射されたり、CVケーブル10の銅テープ13又は芯線11で反射された送受信アンテナATから発振回路21に戻る反射波W2が検波回路241で検波される。
【0031】
検波回路241は、上記反射波W2を検波してその受信レベルを判別回路242に対して出力する。判別回路242は、例えば一定時間経過する毎に、又は、CVケーブル10を一定距離走査する毎に、検波回路241から出力された受信レベルと基準値とを比較して銅テープ13の有無を判別する。なお、基準値は、予め正常部を送受信アンテナATで走査したときの反射波W2の受信パワーを測定して、その値に設定されている。図2及び図3に示す場合は、−19dBmに設定されている。
【0032】
具体的には、判別回路242は、検波回路241により検波された反射波W2の受信パワーが基準値に比べて第1閾値以上低い場合に発振回路21の発振周波数により調整された判別ズレ幅未満のズレが生じていると判別して、その旨を警報回路243に対して出力する。これに応じて警報回路243は、判別ズレ幅未満の銅テープ13のズレが生じている旨を報知する。
【0033】
また、判別回路242は、検波回路241により検波された反射波W2の受信パワーが基準値に比べて第2閾値以上高い場合に発振回路21の発振周波数により調整されたズレ幅以上のズレが生じていると判別して、その旨を警報回路243に対して出力する。これに応じて警報回路243は、判別ズレ幅以上の銅テープ13のズレが生じている旨を報知する。
【0034】
さらに、判別回路242は、検波回路241により検波された反射波W2の受信パワーが基準値に比べて第1閾値以上高くもなく、第2閾値以上低くもなければ、正常であると判別して、その旨を警報回路243に対して出力する。これに応じて警報回路243は、正常である旨を報知する。
【0035】
上述した異常検出装置20によれば、送受信アンテナATを用いて判別ズレ幅未満の銅テープ13のズレが生じているズレ部を走査したときの反射波W2の受信パワーが銅テープ13がある正常部を走査したときの反射波W2の受信パワーより低くなり、かつ、送受信アンテナATを用いて判別ズレ幅以上の銅テープ13のズレが生じているズレ部を走査したときの反射波W2の受信パワーが銅テープ13がある正常部を走査したときの反射波W2の受信パワーより高くなるように、CVケーブル10と送受信アンテナATとの距離や発振回路21の発振周波数が設定されている。さらに、判別回路242が、検波回路241により検波された反射波W2の受信パワーが基準値に比べて第1閾値以上低い場合に判別ズレ幅未満の銅テープ13のズレを検出し、検波回路241により検波された反射波W2の受信パワーが基準値に比べて第2閾値以上高い場合に判別ズレ幅以上の銅テープ13のズレを検出するので、銅テープ13のズレ幅を検出することができる。
【0036】
上述した異常検出装置20によれば、発振回路21の発振周波数が調整可能に設けられているので、発振周波数を調整することにより所定幅を調整することができる。
【0037】
なお、図2〜図6に示す特性は、送受信アンテナATの種類や例えば送受信アンテナATの周りにシールドケースを設けた場合はそのシールドケースの形状材質によって変わるため、送受信アンテナATやシールドケースに合わせて送受信アンテナATとCVケーブル10との距離を調整して、判別ズレ幅未満のズレ部を走査したときの反射波W2の受信パワーが正常部を走査したときの反射波W2の受信パワーより低くなり、かつ、判別ズレ幅以上のズレ部を走査したときの反射波W2の受信パワーが正常部を走査したときの反射波W2の受信パワーより高くなるような特性を得ればよい。
【0038】
また、上述した実施形態によれば、判別回路242により銅テープ13がズレているかを判別させていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、検波回路241により検波された反射波W2の受信パワーを表示させる表示部を設けて、作業者が表示部により表示された反射波W2の受信レベルを見て銅テープ13がズレているか、そのズレ幅が判別ズレ幅未満であるか以下であるか判別できるようにしてもよい。
【0039】
また、上述した実施形態によれば、発振回路21の発振周波数を調整可能にしていたが、判別ズレ幅を調整する必要がなければ、発振回路21としてその発振周波数が固定のものを用いてもよい。
【0040】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 CVケーブル(電線)
11 芯線
12 絶縁体(内部絶縁体)
13 銅テープ(シールド部材)
14 シース(外部絶縁体)
20 異常検出装置
21 発振回路
241 検波回路
242 判別回路(異常検出手段)
AT 送受信アンテナ(アンテナ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する芯線、前記芯線を被覆する内部絶縁体、前記内部絶縁体の外周に巻き付けられたシールド部材、及び、前記シールド部材を被覆する外部絶縁体、を有する電線に向かって電波を送信するアンテナと、前記アンテナに対して電波を入力する発振回路と、前記アンテナから前記発振回路に戻る反射波を検波する検波回路と、を備えたシールド部材の異常検出装置において、
前記アンテナを用いて所定幅未満の前記シールド部材のズレが生じているズレ部を走査したときの前記反射波の受信パワーが、前記シールド部材がある正常部を走査したときの前記反射波の受信パワーより低くなり、かつ、前記アンテナを用いて前記所定幅以上の前記シールド部材のズレが生じているズレ部を走査したときの前記反射波の受信パワーが、前記シールド部材がある正常部を走査したときの前記反射波の受信パワーより高くなるように、前記電線と前記アンテナとの距離、及び/又は、前記発振回路の発振周波数が設定されている
ことを特徴とするシールド部材の異常検出装置。
【請求項2】
前記検波回路により検波された前記反射波の受信パワーが基準値に比べて第1閾値以上低い場合に前記所定幅未満の前記シールド部材のズレを検出し、前記検波回路により検波された前記反射波の受信パワーが前記基準値に比べて第2閾値以上高い場合に前記所定幅以上の前記シールド部材のズレを検出する異常検出手段を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のシールド部材の異常検出装置。
【請求項3】
前記発振回路の発振周波数が調整可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシールド部材の異常検出装置。
【請求項4】
導電性を有する芯線、前記芯線を被覆する内部絶縁体、前記内部絶縁体の外周に巻き付けられたシールド部材、及び、前記シールド部材を被覆する外部絶縁体、を有する電線に向かってアンテナからの電波を送信する工程と、前記アンテナから戻ってくる反射波に基づいて前記シールド部材のズレを検出する工程と、を順次行うシールド部材の異常検出方法において、
前記アンテナから戻ってくる反射波に基づいて前記シールド部材のズレを検出する工程において、前記反射波の受信パワーが基準値に比べて第1閾値以上低い場合に所定幅未満の前記シールド部材のズレを検出し、前記反射波の受信パワーが前記基準値に比べて第2閾値以上高い場合に前記所定幅以上の前記シールド部材のズレを検出する
ことを特徴とする異常検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−185631(P2011−185631A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48735(P2010−48735)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【Fターム(参考)】