説明

ジアゼピノキノリン、その合成、および中間体

本発明は、5HT2cアゴニストまたは部分アゴニストとして有用な化合物、その誘導体を合成する方法、および中間体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5HTアゴニストまたは部分的アゴニスト、その誘導体として有用な化合物を合成する方法、ならびに中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
統合失調症は、約5百万人に影響を及ぼす。現在、統合失調症の最も一般的な治療は、ドーパミン(D)およびセロトニン(5−HT2A)受容体拮抗作用が合わさる、「非定型」抗精神病薬である。定型抗精神病薬に比べて非定型抗精神病薬の有効性および副作用易罹病性の改善が報告されたにもかかわらず、該化合物は、統合失調症の全ての症状を十分に治療しないように思われ、体重増加などの、問題の副作用を伴う(Allison,D.B.ら,Am.J.Psychiatry,156:1686−1696,1999;Masand,P.S.,Exp.Opin.Pharmacother.I:377−389,2000;Whitaker,R.,Spectrum Life Sciences.Decision Resources.2:1−9,2000)。
【0003】
非定型抗精神病薬はまた、5−HT2C受容体に対して高親和性で結合し、5−HT2C受容体アンタゴニストまたは逆アゴニストとして機能する。体重増加は、クロザピンおよびオランザピンなどの非定型抗精神病薬に付随する問題の副作用であり、5−HT2C拮抗作用が、増大した体重増加に関与することを示唆している。逆に、5−HT2C受容体の刺激は、食物摂取量および体重の減少をもたらすことが知られている(Walshら,Psychopharmacology 124:57−73,1996;Cowen,P.J.ら,Human Psychopharmacology 10:385−391,1995;Rosenzweig−Lipson,S.ら,ASPET abstract,2000)。
【0004】
さまざまな根拠が、統合失調症の治療として5−HT2C受容体活性化作用または部分的活性化作用の役割を支援する。5−HT2Cアンタゴニストがドーパミンのシナプス濃度を増加し、パーキンソン病の動物モデルに有効でありうることを研究は示唆する(Di Matteo,V.ら,Neuropharmacology 37:265−272,1998;Fox,S.H.ら,Experimental Neurology 151:35−49,1998)。統合失調症の陽性症状はドーパミンの増加濃度に付随するので、5−HT2Cアゴニストおよび部分的アゴニストなどの、5−HT2Cアンタゴニストの化合物とは逆の作用を有する化合物は、シナプスドーパミンの濃度を減少するはずである。5−HT2Cアゴニストが、前頭前皮質および側坐核(Millan,M.J.ら,Neuropharmacology 37:953−955,1998;Di Matteo,V.ら,Neuropharmacology 38:1195−1205,1999;Di Giovanni,G.ら,Synapse 35:53−61,2000)、クロザピンのような臨界的抗精神病効果を有する薬物を介在すると考えられる脳領域におけるドーパミンの濃度を減少することを近年の研究は証明している。しかしながら、5−HT2Cアゴニストは、線条体、錐体外路系副作用に最も密接に付随する脳領域におけるドーパミン濃度を減少しない。さらに、5−HT2Cアゴニストが腹側被蓋野(VTA)における炎症を減少するが、黒質では減少しないことを近年の研究は証明する。黒質線条体路に比べて中脳辺縁経路における5−HT2Cアゴニストの差動効果は、5−HT2Cアゴニストが辺縁系選択性を有し、非定型抗精神病薬に付随する錐体外路系副作用をもたらしにくいであろうことを示唆する。
【非特許文献1】Allison,D.B.ら,Am.J.Psychiatry,156:1686−1696,1999
【非特許文献2】Masand,P.S.,Exp.Opin.Pharmacother.I:377−389,2000
【非特許文献3】Whitaker,R.,Spectrum Life Sciences.Decision Resources.2:1−9,2000
【非特許文献4】Walshら,Psychopharmacology 124:57−73,1996
【非特許文献5】Cowen,P.J.ら,Human Psychopharmacology 10:385−391,1995
【非特許文献6】Rosenzweig−Lipson,S.ら,ASPET abstract,2000
【非特許文献7】Di Matteo,V.ら,Neuropharmacology 37:265−272,1998
【非特許文献8】Fox,S.H.ら,Experimental Neurology 151:35−49,1998
【非特許文献9】Millan,M.J.ら,Neuropharmacology 37:953−955,1998
【非特許文献10】Di Matteo,V.ら,Neuropharmacology 38:1195−1205,1999
【非特許文献11】Di Giovanni,G.ら,Synapse 35:53−61,2000
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載のように、本発明は、5HT2Cアゴニストまたは部分的アゴニストとして活性を有する化合物を調製する方法を提供する。該化合物は、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、物質誘発性精神病性障害、L−ドパ誘発性精神病性障害、アルツハイマー型認知症に付随する精神病、パーキンソン病に付随する精神病、レビー小体病に付随する精神病、認知症、記憶障害、アルツハイマー病に付随する知的障害、双極性障害、抑うつ障害、気分エピソード、不安障害、適応障害、摂食障害、てんかん、睡眠障害、片頭痛、性機能障害、胃腸障害、肥満症、あるいは外傷性傷害、卒中、または脊髄損傷に付随する中枢神経系欠損症を治療するのに有用である。かかる化合物には、式I:
【0006】
【化1】

[式中:
【0007】
【化2】

は、単結合または二重結合を指定し;
nは、0、1、または2であり;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキル;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;
およびRは、飽和または不飽和4−8員環を形成するために一緒になって結合し、ここで該環は、ハロゲン、−R、またはORから独立して選択される1−3個の置換基で置換されていてもよく;
およびRは、各々独立して、−Rであり;ならびに
は水素またはC1−6アルキルである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩が含まれる。
【0008】
本発明はまた、かかる化合物を調製するのに有用な合成中間体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の方法および中間体は、例えば、Ramamoorthyの名称で国際特許出願WO03/091250号に記載の化合物の調製に有用であり、その全体を出典明示により本明細書の一部とする。特定の実施態様において、本願化合物は、一般に、以下に記載のスキームI:
【0010】
【化3】

にしたがって調製される。
【0011】
上記スキームIにおいて、n、PG、R、R、R、およびPG各々は、以下に定義され、本明細書に記載されるようにクラスおよびサブクラスに定義される。
【0012】
一の態様において、本発明は、上記スキームIの工程にしたがって式Dで示されるキラルキノリン化合物を調製する方法を提供する。工程S−1にて、式Gで示されるアニリンを、鉱酸の存在下においてホルムアルデヒド、またはその等価物、およびシクロペンタジエンと反応する。特定の実施態様において、濃HClの存在下においてN−ベンジルアニリンおよびシクロペンタジエンのディールス・アルダー反応は、シクロペンテニルテトラヒドロキノリンF(ここで、PGはベンジルである)を提供する。他の実施態様において、工程S−1は、Possonら,「Imino Diels−Alder Reaction: Application to the Synthesis of Diverse シクロペンタ[c]キノリン Derivatives」Synlett 2000,No.2,209−212に記載のものと実質的に同様の手法にて行われる。
【0013】
式GおよびFのPG基は、適当なアミノ保護基である。適当なアミノ保護基は、当該分野にて既知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,第3版,John Wiley & Sons,1999に詳細に記載のものを含み、その全体として出典明示により本明細書の一部とする。それが結合する−NH−部分と一緒になって形成される、適当なアミノ保護基には、アラルキルアミン、カルバメート、アリールアミン、アミドなどが含まれるが、これに限定されない。式GおよびFのPG基の例として、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)、エチルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニル、トリクロロエチルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキソカルボニル(CBZ)、アリール、ベンジル(Bn)、フルオレニルメチルカルボニル(Fmoc)、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、フェニルアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイルなどが挙げられる。
【0014】
工程S−2にて、化合物Fで示されるオレフィンを還元し、アミノ基をPGの除去により脱保護した。PGの選択により、脱保護およびオレフィン還元が同一の工程で行われうることを当業者は分かるであろう。例えば、式FのPG基がベンジルである場合、オレフィンの還元は、同時にアミン基を脱保護するであろう。したがって、特定の実施態様において、本発明は、同時にオレフィンを還元し、式Fのアミノ基を脱保護する工程を含む、式Eで示される化合物を形成する方法を提供する。そのため、特定の実施態様において、式FのPG基は、還元、例えば、水素化により除去されるアミノ保護基である。例えば、二重結合の還元およびベンジル基の脱保護は、水素雰囲気下でPd−Cとの接触還元による同一反応で達成される。別法において、工程S−2でのPGの除去およびオレフィン還元は、当業者に既知の方法を用いて段階的に行われてもよい。
【0015】
工程S−3にて、ラセミ化合物Eは、キラル試薬で処理され、そのジアステレオマー混合物を形成する。特定の実施態様において、ラセミ化合物Eは、キラル酸で処理され、そのジアステレオマー塩を形成する。次いで、得られたジアステレオマー混合物は、適当な手法により分離され、式Dを得る。ジアステレオマー混合物を分離するためのかかる適当な手法は、当業者に既知であり、本明細書に記載の方法を含むが、これに限定されない。用いられるキラル酸により、1個または複数のカルボン酸部分が存在しうることは分かるであろう。特定の実施態様において、キラル酸は、例えば、酒石酸またはその誘導体と同様に2個のカルボン酸部分を有する。
【0016】
したがって、式Eで示される化合物が、該二官能性キラル酸とヘミ塩を形成しうることを当業者は分かるであろう。本明細書で用いられる、「ヘミ塩」なる語は、キラル酸の各分子と式Eで示される化合物の2分子を有する付加化合物をいう。別法として、得られた塩は、キラル酸と式Eで示される化合物の1対1混合物を有しうる。特定の実施態様において、本発明は、式Dで示される化合物を提供する、ここで、式Dで示される化合物は、式Eのアミンに対し等モル量のキラル酸を含む。
【0017】
特定の実施態様において、前述の各合成工程は、各工程後に実施される各中間体F、E、およびDの単離と連続的に行われうる。別法として、上記スキームIの工程S−1、S−2、およびS−3各々は一の手法で行われうるので、中間体FおよびEの単離は行われない。
【0018】
Xがキラル酸である場合、工程S−4にて、式Dで示される化合物は、適当な塩基で処理され、遊離塩基化合物Cを形成する。本発明に記載の遊離塩基はまた、例えば、遊離塩基形成に適当な溶媒存在下において式Dで示される化合物を適当な塩基と接触させることにより調製される。かかる適当な塩基には、強無機塩基、すなわち、水酸化物アニオンの形成中に水中で完全に解離するものが含まれる。特定の実施態様において、塩基は、式Dで示される化合物に対して、少なくとも約1モル当量の量で、他の実施態様において、少なくとも約1モル当量〜約10モル当量の量で添加される。かかる塩基の例として、アルカリ金属、アルカリ土類金属水酸化物、およびその組み合わせが含まれる。他の態様において、適当な塩基は水酸化ナトリウムである。
【0019】
工程S−4の遊離塩基形成中に用いるのに適当な溶媒の例として、C〜Cアルコール(例えば、エタノール、メタノール、2−プロパノール)などのアルキルアルコール、水、ジオキサン、THF(テトラヒドロフラン)またはその組み合わせなどの極性溶媒が挙げられる。特定の実施態様において、適当な溶媒は、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのC〜Cアルコール、水、またはその組み合わせである。本発明の一の態様によれば、水性水酸化ナトリウムは工程S−4で用いられる。本発明の別の実施態様によれば、工程S−4の遊離塩基形成は溶媒の二相性混合物中で行われるため、形成される、式Cで示される化合物は、有機層中に抽出される。したがって、溶媒の二相性混合物には、水性溶媒および非混和性有機溶媒が含まれる。かかる非混和性有機溶媒は当業者に既知であり、ハロゲン化炭化水素溶媒(例えば、塩化メチレンおよびクロロホルム)、ベンゼンおよびその誘導体(例えば、トルエン)、エステル(例えば、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピル)、ならびにエーテル(例えば、MTBE、THFおよびその誘導体、グリム、ならびにジグリム)などを含む。特定の実施態様において、工程S−4の遊離塩基形成は、水およびトルエンを含む二相性混合物中で行われる。他の実施態様において、適当な塩基は、反応がトルエンおよび水性水酸化ナトリウムなどの適当な水性塩基の混合物中で行われるように水溶性である。
【0020】
工程S−5にて、キラル化合物CのN−アルキル化は、式Bで示される化合物を得る。特定の実施態様において、該N−アルキル化は、触媒量の酸の存在下において2−メチル−2−オキサゾリンで行われ、N−アセチル−N−エチレンジアミン化合物B(ここで、nは1であり、PGはアセチルである)を得る。
【0021】
工程S−6の式BのPG保護基の除去は、式Aで示されるジアミン化合物を得る。式BのPG基の酸加水分解で、その塩を形成することは分かるであろう。例えば、式BのPG基がトリフルオロ酢酸などの酸処理で除去される場合、次いで、得られたジアミン化合物を、そのトリフルオロ酢酸塩として形成するであろう。多種の酸が酸不安定であるアミノ保護基を除去するのに有用であるため、式Aで示される化合物の多種の塩形態を意図とすることを当業者は分かるであろう。
【0022】
他の実施態様において、式BのPG基を塩基加水分解で除去する。多種の塩基が、塩基不安定であるアミノ保護基を除去するのに有用であることを当業者は分かるであろう。
【0023】
工程S−7にて、式Aで示される化合物は、ホルムアルデヒド、またはその等価物で処理され、式IIで示される化合物を得る。特定の実施態様において、式Aで示される化合物は、水性ホルムアルデヒドで処理され、式IIで示される化合物を得る。式IIa:
【0024】
【化4】

[式中:
nは、0、1、または2であり;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
は、水素またはC1−6アルキル基である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を得るために置換されたホルムアルデヒドを工程S−7で用いてもよいことを当業者は分かるであろう。
【0025】
本発明の方法で調製される、式IIで示される化合物を、その塩を形成するために適当な酸で処理してもよいことを当業者は分かるであろう。特定の実施態様において、式IIで示される化合物をHClで処理し、その塩酸塩を形成する。
【0026】
本明細書に用いられる、「ジアステレオマー塩」なる語は、キラル酸と式Eで示されるキラル化合物Eの付加化合物をいう。
【0027】
本明細書に用いられる、「エナンチオマー塩」なる語は、式Dで示される分離キラル化合物の塩をいい、ここで、式Dで示される該化合物は、一のエナンチオマーが豊富である。本明細書に用いられる、「鏡像異性的に豊富な」なる語は、一のエナンチオマーが少なくとも80%〜85%の調製物を作製することを意味する。特定の実施態様において、鏡像異性的に豊富ななる語は、少なくとも90%の調製物がエナンチオマーの一つであることを意味する。他の実施態様において、該語は、少なくとも95%の調製物がエナンチオマーの一つであることを意味する。
【0028】
一の態様によれば、本発明は、式II:
【0029】
【化5】

[式中:
nは、0、1、または2であり;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
は、水素またはC1−6アルキルである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を調製する方法を提供する。
【0030】
一般に上記されるように、式IIのn基は、0、1、または2である。したがって、本発明は、式IIa、IIb、またはIIc:
【0031】
【化6】

[式中:R、R、R、およびn各々は、上記および本明細書に記載される]
のいずれかの化合物を調製する方法を提供する。
【0032】
別の態様によれば、本発明は、式II:
【0033】
【化7】

[式中:
nは0、1、または2であり;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
は、水素またはC1−6アルキルである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を調製する方法であって、
(a)式A:
【0034】
【化8】

[式中:
nは、0、1、または2であり;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;および
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基である]
で示される化合物を提供し、ならびに
(b)式Aで示される該化合物をホルムアルデヒド、またはその等価物と反応させ、式IIで示される化合物を形成する
工程を含む方法を提供する。
【0035】
一の実施態様において、水性ホルムアルデヒドを用いて上記の工程(b)を実施する。特定の実施態様において、水性ホルムアルデヒドは、式Aで示される化合物を消費するのに十分な量で添加される。特定の実施態様において、水性ホルムアルデヒドは、式Aで示される化合物に対して、少なくとも約0.90モル当量の量で、約0.90モル当量〜約1.10モル当量の量で、または約1.0モル当量〜約1.05モル当量の量で添加される。
【0036】
別の実施態様によれば、ホルムアルデヒド等価物を用いて工程(b)を実施する。かかるホルムアルデヒド等価物は、当業者に既知である。いくつかの実施態様において、ホルムアルデヒド等価物は、反応混合物に固形で添加され、反応懸濁液を形成するか、あるいは固体ホルムアルデヒドは、反応溶媒で懸濁され、反応混合物に添加しうる。他の実施態様において、パラホルムアルデヒドはホルムアルデヒド等価物として用いられ、式Aで示される化合物を消費するのに十分な量で添加される。いくつかの実施態様において、パラホルムアルデヒドは、式Aで示される化合物に対して少なくとも約0.90モル当量の量で、約0.90モル当量〜約1.10モル当量の量で、または約1.0モル当量〜約1.05モル当量の量で添加される。
【0037】
特定の実施態様において、パラホルムアルデヒドは固形である。反応に適当なパラホルムアルデヒドは、Aldrich、Fluka、Celanese Chemicals、J.T.Baker、Mallinckrodt Laboratory Chemicals、Miljac Inc.、Sego Int.Corp.、Spectrum Chemicals Mfg.、Total Specialty Chemicals Inc.、US Chemicals Inc.、Riedel−de Haen、Acros Organics、Pfaltz & Bauer Chemicals、Derivados、Lancaster SynthesisおよびEM Scienceなどの多数の供給者から顆粒(または他の粒状形態)および粉末で商業的に利用可能である。特定の適当な粉末形態は、200メッシュスクリーン上で保持される約10%粒子を有する。
【0038】
別の実施態様によれば、本発明は、式A:
【0039】
【化9】

[式中:
nは、0、1、または2であり;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;ならびに
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基である]
で示される化合物を調製する方法であって、
(a)式C:
【0040】
【化10】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル,または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;ならびに
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基である]
で示される化合物を提供し、ならびに
(b)式Cで示される該化合物をアルキル化し、式B:
【0041】
【化11】

[式中:
nは、0、1、または2であり;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
PGは、適当なアミノ保護基である]
で示される化合物を形成し、ならびに
(c)式Bで示される該化合物を脱保護し、式Aで示される該化合物を形成する
工程を含む方法を提供する。
【0042】
特定の実施態様において、上記の工程(b)のアルキル化は、式Cで示される該化合物を式:
【0043】
【化12】

[式中:
nは、0、1、または2であり;
PGは、適当なアミノ保護基であり;ならびに
は、適当な脱離基である]
で示される化合物と反応させることにより達成される、ここで、適当な媒体で該反応を実施する。
【0044】
上記のように、Lは適当な脱離基である。適当な脱離基は、当該分野にて既知であり、例えば、「Advanced Organic Chemistry」,Jerry March,第5版,pp.351−357,John Wiley and Sons,N.Y.を参照のこと。かかる脱離基には、ハロゲン、アルコキシ、スルホニルオキシ、所望により置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ、所望により置換されていてもよいアルケニルスルホニルオキシ、所望により置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ、およびジアゾニウム部分が含まれるが、これに限定されない。適当な脱離基の例として、クロロ、ヨード、ブロモ、フルオロ、メタンスルホニル(メシル)、トシル、トリフラート、ニトロ−フェニルスルホニル(ノシル)、およびブロモ−フェニルスルホニル(ブロシル)が挙げられる。特定の実施態様において、Lはハロゲンである。他の実施態様において、Lは所望により置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ、所望により置換されていてもよいアルケニルスルホニルオキシ、または所望により置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ基である。
【0045】
別法の実施態様において、適当な脱離基は、反応媒体中にてインシトゥ(in situ)で生成されてもよい。例えば、L部分は、式:
【0046】
【化13】

で示される化合物の前駆体からインシトゥで生成されてもよく、ここで、該前駆体は、インシトゥでLにより容易に置換される基を含む。適当な脱離基のインシトゥ生成は当業者に既知であり、例えば、「Advanced Organic Chemistry」,Jerry March,pp.430−431,第5版,John Wiley and Sons,N.Y.を参照のこと。
【0047】
特定の実施態様において、該アルキル化反応は、適当な塩基の存在下において所望により行われる。アミノ部分による脱離基の置換が、適当な塩基の存在の有無に関わらず達成されることを当業者は分かるであろう。かかる適当な塩基は当該分野にて既知であり、有機および無機塩基を含む。
【0048】
適当な媒体は、合した混合物を組み合わせて、それらの間の反応の進行を促進しうる溶媒または溶媒混合物である。適当な溶媒は、1種または複数の反応成分を可溶化しうるか、あるいは別法として、適当な溶媒は、1種または複数の反応成分の懸濁液の攪拌を促進しうる。本発明において有用な適当な溶媒の例は、プロトン性溶媒、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、芳香族炭化水素、極性もしくは非極性非プロトン性溶媒、またはその所望の混合物である。かかる混合物には、例えば、ベンゼン/メタノール/水;ベンゼン/水;DME/水などのプロトン性および非プロトン性溶媒の混合物が含まれる。
【0049】
これらなどのかかる適当な溶媒は当該分野にて既知であり、「Advanced Organic Chemistry」,Jerry March,第5版,John Wiley and Sons,N.Y.を参照のこと。
【0050】
一般に上記されるように、式BのPG基は、適当なアミノ保護基である。適当なアミノ保護基は当該分野にて既知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,第3版,John Wiley & Sons,1999に詳細に記載のものを含み、その全体を出典明示により本明細書の一部をする。それが結合する−NH−部分と一緒になって形成される、適当なアミノ保護基には、アラルキルアミン、カルバメート、アリールアミン、アミドなどが含まれるが、これに限定されない。PG基の例として、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)、エチルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニル、トリクロロエチルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキソカルボニル(CBZ)、アリール、ベンジル(Bn)、フルオレニルメチルカルボニル(Fmoc)、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、フェニルアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイルなどが挙げられる。他の実施態様において、PG基は、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、フェニルアセチル、またはトリフルオロアセチルである。さらに他の実施態様において、アミノ保護基はアセチルである。
【0051】
さらに別の実施態様によれば、1種または複数の試薬は、適当な溶媒として機能しうる。例えば、該反応で利用されるならば、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基は、溶媒としての機能に加えて塩基化試薬としての役割を果たしうる。
【0052】
他の実施態様において、上記の工程(b)のアルキル化は、適当な酸の存在下において、式Cで示される該化合物を式:
【0053】
【化14】

と反応させることにより達成され、式Bで示される化合物[式中:nは1であり、PGはアセチルである]を形成する。かかる適当な酸は、当該分野にて既知であり、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸または過塩素酸、あるいは有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸、低級アルキルスルホン酸またはアリールスルホン酸を含む。特定の実施態様において、上記の工程(b)のアルキル化は、トルエンスルホン酸の存在下において、式Cで示される該化合物を式:
【0054】
【化15】

と反応させることにより達成される。
【0055】
本発明のさらに別の態様は、式D:
【0056】
【化16】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xはキラル試薬である]
で示される化合物を調製する方法であって、
(a)式E:
【0057】
【化17】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;ならびに
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基である]
で示される化合物を提供し、ならびに
(b)式Eで示される該化合物をキラル試薬で処理し、式D−1:
【0058】
【化18】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xはキラル試薬である]
で示される化合物を形成し、ならびに
(c)適当な物理的方法により式Dで示される化合物を得る
工程を含む方法を提供する。
【0059】
「キラル試薬」なる語は、式Eで示される化合物の窒素にイオン結合または共有結合してもよい鏡像異性的に豊富な基をいう。本明細書に用いられるように、「鏡像異性的に豊富な」なる語は、一のエナンチオマーが少なくとも85%の調製物を作製することを意味する。特定の実施態様において、鏡像異性的に豊富ななる語は、少なくとも90%の調製物がエナンチオマーの一つであることを意味する。他の実施態様において、該語は、少なくとも95%の調製物がエナンチオマーの一つであることを意味する。
【0060】
該窒素にイオン結合するキラル試薬には、キラル酸が含まれる。キラル試薬がキラル酸である場合、酸は窒素とジアステレオマー塩を形成する。次いで、得られたジアステレオマーは、適当な物理的方法により分離される。キラル酸の例として、特に、酒石酸および酒石酸誘導体、マンデル酸、リンゴ酸、カンファースルホン酸、ならびにモーシャー(Mosher)酸が挙げられるが、これに限定されない。特定の実施態様において、キラル酸は、ジトルオイル−D−酒石酸である。他の実施態様において、キラル酸は、ジトルオイル−L−酒石酸である。窒素に共有結合してもよいキラル試薬は、当該分野にて既知である。
【0061】
「適当な物理的方法により分離される」なる語は、エナンチオマーまたはジアステレオマー混合物を分離する方法をいう。かかる方法は当該分野にて既知であり、特に、優先晶出、蒸留、および磨砕を含む。キラル試薬および分離法は、John Wiley and Sonsにより発行された、Stereochemistry of Organic Compounds,Eliel,E.L.およびWilen,S.H.,1994に詳細に記載される。
【0062】
特定の実施態様において、式Dで示されるキラル塩は、上記の工程(b)で形成されるジアステレオマー塩の優先晶出を介して得られる。他の実施態様において、晶出はプロトン性溶媒から達成される。さらに他の実施態様において、プロトン性溶媒はアルコールである。晶出が単一のプロトン性溶媒または1種もしくは複数のプロトン性溶媒の組み合わせを用いて達成されうることが分かるであろう。かかる溶媒および溶媒混合物は、当業者に既知であり、1種または複数の直鎖または分岐鎖アルキルアルコールを含む。特定の実施態様において、晶出はイソプロピルアルコールから達成される。
【0063】
特定の実施態様において、式Dのキラル塩は、等モル量のキラル酸およびアミンを含む。他の実施態様において、式Dのキラル塩は、半化学量論的量のキラル酸を含む。本明細書に用いられるように、「半化学量論的量」は、キラル酸が式Eで示される化合物に対して1モル当量未満で用いられることを意味する。特定の実施態様において、キラル酸は、0.98モル当量未満で用いられる。他の実施態様において、アミン塩基は、0.95モル当量未満で用いられる。
【0064】
晶出化合物Dにおける一のエナンチオマーの鏡像体過剰は、他のエナンチオマー型の母液における鏡像体過剰をもたらすことを当業者に容易に分かるようにすべきである。そのため、別の実施態様によれば、本発明は、式D−1で示される化合物と比較して、式Dで示されるラセミまたは鏡像異性的に豊富な化合物の鏡像体過剰率(%)を高める方法に関する。本明細書に用いられるように、「%ee」なる語は、当業者が分かるであろう鏡像体過剰率をいう。
【0065】
別の好ましい実施態様において、晶出化合物Dは、所望により付加的な晶出工程を対象とし、示されるエナンチオマーの晶出さらに過剰をもたらす。
【0066】
別の実施態様によれば、本発明は、式D:
【0067】
【化19】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xはキラル試薬である]
で示される鏡像異性的に豊富な化合物を得る方法であって、
(a)式D−1:
【0068】
【化20】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xはキラル試薬である]
で示される化合物を適当な溶媒と合わせ、加熱し、その溶液を形成し;ならびに
(b)該溶液を冷却し、式Dで示される鏡像異性的に豊富な化合物の晶出をもたらす
工程を含む方法を提供する。
【0069】
特定の実施態様において、上記の工程(a)で利用される適当な溶媒は、プロトン性溶媒である。さらに他の実施態様において、プロトン性溶媒はアルコールである。晶出が単一のプロトン性溶媒または1種もしくは複数のプロトン性溶媒の組み合わせを用いて達成されうることが分かるであろう。かかる溶媒および溶媒混合物は、当業者に既知であり、1種または複数の直鎖または分岐鎖アルキルアルコールを含む。特定の実施態様において、晶出はメタノールおよびイソプロピルアルコールの混合物を用いて達成される。
【0070】
特定の実施態様において、本発明は、式D−1:
【0071】
【化21】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xはキラル試薬である]
で示される化合物を提供する。
【0072】
別の実施態様によれば、本発明は、式D−1およびD−2:
【0073】
【化22】

[式中:
各R、RおよびXは、上記と同義であり、上記および本明細書に記載のクラスおよびサブクラスである]
のいずれかの化合物を提供する。
【0074】
一の実施態様によれば、式D−1およびD−2のRおよびR基は、各々独立して、R基である。別の実施態様によれば、RおよびRの一つは水素である。さらに別の実施態様によれば、RもRも水素である。
【0075】
特定の実施態様において、式D−1およびD−2のX基はキラル酸であるため、キラル塩を形成する。他の実施態様において、式D−1およびD−2のX基は、酒石酸誘導体である。さらに他の実施態様において、式D−1およびD−2のX基は、ジトルオイル−D−酒石酸である。
【0076】
さらに別の実施態様は、式D:
【0077】
【化23】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xはキラル試薬である]
で示される化合物を提供する。
【0078】
一の実施態様によれば、式DのRおよびR基は、各々独立して、R基である。別の実施態様によれば、RおよびRの一つは水素である。さらに別の実施態様によれば、RもRも水素である。
【0079】
特定の実施態様において、式DのX基はキラル酸であるため、キラル塩を形成する。他の実施態様において、式DのX基は、酒石酸誘導体である。さらに他の実施態様において、式DのX基はジトルオイル−D−酒石酸である。
【0080】
別の実施態様によれば、本発明は、式Dで示される化合物[式中:RおよびRは両方水素である]を提供し、該化合物は、式D−3:
【0081】
【化24】

である。
【0082】
特定の実施態様において、式D−3で示される化合物は、実質的に遊離な対応するエナンチオマーを提供される。本明細書に用いられる「実質的に遊離な」は、化合物が一のエナンチオマーの著しくより大きな部分を占めることを意味する。他の実施態様において、少なくとも約95重量%の所望のエナンチオマーが存在する。かかるエナンチオマーは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびキラル塩分解を含む、当業者に既知の所望の方法によりラセミ混合物から単離、あるいは本明細書に記載の方法により調製されてもよい。
【0083】
本発明のさらに別の態様は、上記および本明細書に記載の式D:
【0084】
【化25】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xはキラル試薬である]
で示される化合物を調製する方法を提供し、ここで、該方法は、式Dで示される該化合物を適当な塩基で処理する工程をさらに含み、式C:
【0085】
【化26】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;ならびに
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基である]
で示される遊離塩基化合物を形成する。
【0086】
本明細書に用いられるように、適当な塩基は、有機または無機塩基である。かかる適当な塩基は、強無機塩基、すなわち、水酸化物アニオンの形成中に水中で完全に解離するものを含む。特定の実施態様において、塩基を、式Dで示される化合物に対して少なくとも約1モル当量の量で、他の実施態様において、少なくとも約1モル当量〜約10モル当量の量で添加する。かかる塩基の例として、アルカリ金属、アルカリ土類金属水酸化物、およびその組み合わせが挙げられる。他の実施態様において、適当な塩基は水酸化ナトリウムである。
【0087】
一の実施態様によれば、遊離塩基形成は、適当な溶媒の存在下において行われる。遊離塩基形成中に用いる適当な溶媒の例として、C〜Cアルコール(例えば、エタノール、メタノール、2−プロパノール)などの、アルキルアルコール、水、ジオキサン、またはTHF(テトラヒドロフラン)あるいはその組み合わせなどの極性溶媒が挙げられる。特定の実施態様において、適当な溶媒は、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのC〜Cアルコール、水、またはその組み合わせである。本発明の一の態様によれば、適当な塩基は水性水酸化ナトリウムであるため、溶媒は水である。
【0088】
本発明の別の態様によれば、遊離塩基形成は、溶媒の二相性混合物中で行われるため、形成される、式Cで示される化合物は、有機層中に抽出される。したがって、適当な溶媒の二相性混合物には、水性溶媒および非混和性有機溶媒が含まれる。かかる非混和性有機溶媒は当業者に既知であり、ハロゲン化炭化水素溶媒(例えば、塩化メチレンおよびクロロホルム)、ベンゼンおよびその誘導体(例えば、トルエン)、エステル(例えば、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピル)、エーテル(例えば、MTBE、THFおよびその誘導体、グリム、ならびにジグリム)などを含む。特定の実施態様において、遊離塩基形成は、水およびトルエンを含む二相性混合物中で行われる。他の実施態様において、反応がトルエンおよび水性水酸化ナトリウムなどの、適当な水性塩基の混合物中で行われるように適当な塩基は水溶性である。
【0089】
特定の実施態様において、本発明は、式III:
【0090】
【化27】

[式中:
nは、0、1、または2であり;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
は、NHまたは適当な保護されたアミノ基である]
で示される化合物またはその塩を提供する。
【0091】
特定の実施態様において、式IのRおよびR基は各Rである。別の実施態様において、RおよびRの一つは水素である。さらに別の実施態様において、RもRも水素である。
【0092】
適当なアミノ保護基は、当該分野にて既知であり、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,第3版,John Wiley & Sons,1999に詳細に記載されるものを含み、その全体を出典明示により本明細書の一部とする。Rの適当に保護されたアミノ基には、アラルキルアミン、カルバメート、アリールアミン、アミドなどが含まれるが、これに限定されない。かかる基の例として、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)、エチルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニル、トリクロロエチルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル(Alloc)、ベンジルオキソカルボニル(CBZ)、アリール、ベンジル(Bn)、フルオレニルメチルカルボニル(Fmoc)、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、フェニルアセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイルなどが挙げられる。他の実施態様において、アミノ保護基は、アセチル、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、フェニルアセチル、またはトリフルオロアセチルである。さらに他の実施態様において、アミノ保護基は、アセチルである。
【0093】
特定の実施態様において、本発明は、式IIaまたはIIc:

[式中:R、R、およびR各々は、上記および本明細書に記載される]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩を提供する。
【0094】
特定の実施態様において、本発明は式IIaで示される化合物[式中:R、R、およびRは、全て水素である]を提供する。
【0095】
他の実施態様において、本発明は式IIcで示される化合物[式中:R、R、およびRは、全て水素である]を提供する。
【0096】
第一塩および第二塩を含む、医薬上許容される塩は、限定されないが酢酸、乳酸、クエン酸、桂皮酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、シュウ酸、プロピオン酸、塩酸、臭化水素酸、燐酸、硝酸、硫酸、グリコール酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、サリチル酸、安息香酸、および同様に既知の許容される酸などのかかる有機酸および無機酸から生じるものである。
【0097】
本明細書に用いられるように、ハロゲンなる語は、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素をいう。C1−6アルキル基は、直鎖または分岐鎖アルキルであってもよい。適当なアルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチルおよびt−ブチルが含まれる。C1−6ペルフルオロアルキル基は、直鎖または分岐鎖アルキルを含んでいてもよい。適当なペルフルオロアルキル基には、トリフルオロメチルおよびペンタフルオロエチルが含まれる。
【実施例】
【0098】
本明細書に示されるように、鏡像体過剰率(%)データを以下のキラルHPLC法を介して得た:
カラム:キラルセルOD 4.6x250
移動相:ヘキサン:IPA:MeOH:TEA 800:10:10:0.5
流速:1mL/分
温度:常温
時間:12分
波長:210nm
【0099】
純度(%)データを以下のキラルHPLC法を介して得た:
カラム:クロモリス・パフォーマンス(Chromolith Performa
nce)RP−18e(100x4.6mm)
移動相:A=95:5:0.1 水:CHCN:HPO
B=95:5:0.1 CHCN:水:HPO
勾配:8分かけて5%B〜95%B
流速:1mL/分
温度:常温
時間:10分
波長:210nm
【0100】
実施例1(方法A)
2,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ(c)キノリン:
【0101】
【化28】

【0102】
20mLのMeOH中のN−フェニルベンジルアミン塩酸塩(2.0g)を、−5℃に冷却した。新しく粉砕したシクロペンタジエン(1.2g、ジシクロペンタジエンの大気加熱/蒸留から)を、溶液、次いで、水性ホルムアルデヒド(37%、1.04g)に添加した。反応温度を一晩(約18時間)5−10℃に保持した。出発物質をTLC(ヘキサン中10%酢酸エチル)により観察しなかった。次いで、反応物を室温に加温した。反応物をEtOAcで希釈し、0.5NのNaOH溶液、次いでブラインで洗浄した。有機物を濃縮し、油として2.32gの粗三環生成物を得た。20mLの1:1 EtOH:EtOAc中の上記からの原油を、0.175mLのEtOH中1N HCl、次いで、5%Pd−C(0.250g、50%ウェット)で処理した。混合物を一晩40−45psiのH下で振盪した。固体をセライトに通して濾過により除去し、パッドをEtOAcで洗浄した。濾液を濃縮し、桃色油を得、真空下で晶出し、1.38g(87%)の.脱ベンジル化生成物を得た。
【0103】
(−)−2,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ(c)キノリン ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(6):
【0104】
【化29】

ラセミアミン(16.0g、92.3mmol)、ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(23.3g、60.3mmol)のIPA(160mL)中混合物を、10−15分間70℃に加熱した。固体はその間に溶解した。溶液を3時間かけて0−5℃に冷却した。得られた固体を濾過し、冷IPA(60mL)で洗浄し、40℃で乾燥し、灰白色固体として21.0g(40%)の塩を得た。キラルHPLC:85%ee;H NMR(d6−DMSO)δ 7.91(d,J=6Hz,4H)、7.40(d,J=6Hz,4H)、6.97(d,J=6Hz,1H)、6.84(t,J=6Hz,1H)、6.4−6.6(m,2H)、5.83(s,2H)、2.9−3.1(m,2H)、2.8−3.1(m,1H)、2.8−2.9(m,1H)、2.5−2.7(m,1H)、2.5(m,1H)、2.3−2.5(s,6H)、2.0−2.2(m,3H)、1.8−2.0(m,1H)、1.2−1.7(m,4H);13C NMR(d6−DMSO)δ 167.6、165.0、145.7、144、9,129.9、129.8、129.7、126.2、125.2、116.4、114.4、71.7、43.6、40.7、35.8、35.4、29.3、23.0、21.6。
【0105】
実施例2(方法B)
(−)−2,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ(c)キノリン ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(6):
【0106】
【化30】

別法において、溶解するまで250mLのMeOH中のN−フェニルベンジルアミン(50g)を機械的に攪拌した。29mLの濃HClを少しずつ添加した。混合物を室温に冷却した。アミンHCl塩は、一般に溶液から生じた。懸濁液を約15℃に氷冷し、新しく蒸留したシクロペンタジエン[29.4g、シクロペンタジエンを大気短行程蒸留(容器温度165−170℃、留出物約60−70℃)を介してジシクロペンタジエンの熱分解により得た。シクロペンタジエンを氷冷容器に収集した。]を少しずつ添加した。必要に応じて、開始前に温度を15℃に下げた。15−25℃の開始温度を維持するように150mLのMeOH中ホルムアルデヒド溶液(37%水性)を滴下した(15分付加時間)。黄色溶液を得た。添加が終わるとすぐに、反応物を、窒素下にて一晩室温で攪拌した(12−18時間)。溶液は透明であったが、緑がかった。溶液を2LのParrボトルに移し、1.5gの10%Pd/C(50%ウェット)で処理し、取り込みが終了するまで45psiの水素下で振盪した。完了するとすぐに、混合物を窒素で除去し、重炭酸ナトリウム(58g)で処理した。溶液を湿ったpH試験紙によって中性〜少し塩基性になるまでスラリーを攪拌した。次いで、混合物を1cmのセライトに通して濾過し、パッドをMeOH(50mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、450mLのIPAを添加した。混合物を一晩攪拌し、得られた固体を濾過し、50mlのIPAで洗浄した。上記で得られた濾液に、ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(63.3g)を少しずつ添加した。スラリーを約80℃に加熱し、全固体を溶解した。次いで、混合物を一般に室温に冷却し、3時間以上攪拌した。次いで、混合物を氷で0−5℃に冷却し、1−2時間該温度で攪拌した。固体を濾過し、100mLの冷IPAで洗浄した。かすかな青緑色の固体を真空中で乾燥し、標記化合物を得た。収率:46.7g(31%) キラル純度(HPLC):95:5%ee。
【0107】
実施例3
(−)−2,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ(c)キノリン(7):
【0108】
【化31】

ジトルオイル−D−酒石酸(20.67g、37mmol)のトルエン(93mL)中溶液に、水性NaOH(12mLの30%NaOHを水で100mLに希釈)を5分かけて添加した。二相性混合物を激しく攪拌し、固体は徐々に溶解した。二層を分離した。水層をトルエン(46mL)で抽出した。合した有機層を濃縮し、黄色油として6.4g(100%収率)の遊離塩基を得た。H NMR(CDCl)δ 7.09(d,J=7.5Hz,1H)、6.9−7.0(m,1H)、6.6−6.7(m,1H)、6.4−6.5(m,1H)、3.85(bs,1NH)、2.9−3.2(m,2H)、2.8−3.1(m,1H)、2.80(t,J=10.3Hz,1H)、2.3−2.4(m,1H)、2.0−2.2(m,1H)、1.8−2.1(m,1H)、1.3−1.8(m,4H)。
【0109】
実施例4
(−)−[2−(1,2,3,3a,4,9b−ヘキサヒドロ−シクロペンタ[c]キノリン−5−イル)−エチルアミン トリフルオロ酢酸塩(10):
【0110】
【化32】

アミン(6.4g、36.9mmol)および触媒量のp−トルエンスルホン酸(0.07g、0.37mmol)の混合物を165℃に加熱した。165℃で反応混合物に2−メチル−2−オキサゾリンを2時間かけて徐々に添加した。反応混合物を60℃に冷却し、次いで、希HSO(6mlの濃HSOおよび26mLの水)を添加した。60℃で1時間攪拌した。室温に冷却し、トルエン(40mL)および30%NaOH(30mL)を添加した。固体を濾去し、それをトルエンで洗浄する(2x10mL)。各洗浄液を水層を抽出するために用いた。合した有機抽出物を水(25mL)で洗浄した。トルエン層を20mL量に濃縮し、10℃に冷却した。トリフルオロ酢酸(2.4mL、31.2mmol)のトルエン(7.5mL)中溶液を、15分かけて添加した。10℃で2時間攪拌した。それを濾過し、トルエン(10mL)で洗浄した。真空オーブンにて55℃でTFA塩を乾燥した。7.7g(収率63%) HPLC 97.6% キラル純度92.2:7.8。
【0111】
実施例5
(−)−4,5,6,7,9,9a,10,11,12,12a−デカヒドロシクロペンタ[c][l,4]ジアゼピノ[6,7,l−ij]キノリン 塩酸塩(12):
【0112】
【化33】

60℃でN−エチレンジアミンTFA塩(2.3g、7.0mmol)の水(120mL)中溶液に、2.0時間かけて水性ホルムアルデヒド(0.72g、水中37重量%、8.8mmol、1.26等量)を添加した。60℃で19時間後、それを常温に冷却した。反応混合物に、水酸化ナトリウム(0.38g)および酢酸イソプロピル(20mL)を添加した。層を分離し、水層を酢酸イソプロピルで抽出した(10mL)。有機層を合し、水(10mL)で洗浄した。有機層に濃HCl(0.82g)を滴下した。固体を濾過し、酢酸イソプロピルで洗浄した(5mL)。粗生成物(2.44g)をエタノール(14ml、200 proof、4%酢酸エチルで変性した)中で70℃に加熱し、次いで、水(1.0ml)を添加した。溶液を3時間かけて5℃に冷却した。生成物を濾過し、冷エタノール(2.4mL)で洗浄した。湿った生成物(1.4g)を40℃で20時間真空オーブンにて乾燥し、白色固体として標記化合物を得た(1.1g、収率60%)。母液から二群目の0.34g(18%)を単離した。HPLC(面積%):96.5%;キラル純度(HPLC):99.87:0.13。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式II:
【化1】

[式中:
nは、0、1、または2であり;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
は、水素またはC1−6アルキルである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩の調製方法であって、
(a)式E:
【化2】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル,または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;ならびに
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基である]
で示される化合物を提供し、
(b)式Eで示される該化合物をキラル試薬で処理し、式D−1:
【化3】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xはキラル試薬である]
で示される化合物を形成し、
(c)適当な物理的方法により、式D:
【化4】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xは、キラル試薬である]
で示される化合物を得、
(d)式Dで示される該化合物を適当な塩基で処理し、式C:
【化5】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;ならびに
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基である]
で示される化合物を提供し、
(e)式Cで示される該化合物をアルキル化し、式B:
【化6】

[式中:
nは0、1、または2であり;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
PGは、適当なアミノ保護基である]
で示される化合物を形成し、
(f)式Bで示される該化合物を脱保護し、式A:
【化7】

[式中:
nは、0、1、または2であり;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;ならびに
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基である]
で示される化合物を形成し、ならびに
(g)式Aで示される該化合物をホルムアルデヒド、またはその等価物と反応させ、式IIで示される化合物を形成する
工程を含む方法。
【請求項2】
各nが1であり、RおよびRが両方水素である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該ホルムアルデヒドが水性ホルムアルデヒドである、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
工程(e)のアルキル化が、適当な酸の存在下にて式Cで示される該化合物を式:
【化8】

と反応させることにより達成され、式B:
【化9】

[式中:nは1であり、PGはアセチルである]
で示される化合物を形成する、請求項1、2、または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
式D:
【化10】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xはキラル試薬である]
で示される化合物の調製方法であって、
(a)式E:
【化11】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル,または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;ならびに
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基である]
で示される化合物を提供し、ならびに
(b)式Eで示される該化合物をキラル試薬で処理し、式D−1:
【化12】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xはキラル試薬である]
で示される化合物を形成し、ならびに
(c)適当な物理的方法により、式Dで示される該化合物を得る
工程を含む方法。
【請求項6】
Xがキラル酸である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
キラル酸がジトルオイル−D−酒石酸であり、式Dで示される化合物がプロトン性溶媒から晶出により得られる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
式Dで示される化合物が、鏡像異性的に豊富である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
鏡像異性的に豊富な式D:
【化13】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xはキラル試薬である]
で示される化合物を得ることを含む方法であって、
(a)式D−1:
【化14】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xはキラル試薬である]
で示される化合物を適当な溶媒と合し、加熱し、その溶液を形成し;ならびに
(b)該溶液を冷却し、鏡像異性的に豊富な式Dで示される化合物の晶出をもたらす
工程を含む、請求項6記載の方法。
【請求項10】
Xがジトルオイル−D−酒石酸であり、適当な溶媒がプロトン性溶媒である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
該適当な溶媒がメタノールおよびイソプロピルアルコールの混合物を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
式Dで示される該化合物を適当な塩基で処理し、式C:
【化15】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;ならびに
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基である]
で示される遊離塩基化合物を形成する工程をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
該方法が溶媒の二相性混合物中で行われる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
該方法がトルエンおよび水性水酸化ナトリウムの混合物中で行われる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
式III:
【化16】

[式中:
nは、0、1、または2であり;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
は、NHまたは適当な保護アミノ基である]
で示される化合物またはその塩。
【請求項16】
が水素またはアセチルである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
およびRが各Rである、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
およびRの両方が水素である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
式D−1:
【化17】

[式中:
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
Xはキラル試薬である]
で示される化合物。
【請求項20】
Xがキラル酸であり、RおよびR各々が水素である、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
Xがジトルオイル−D−酒石酸である、請求項20記載の化合物。
【請求項22】
該化合物が等モル量のXを含む、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
該化合物が、式D−1またはD−2:
【化18】

のいずれかである、請求項22記載の化合物。
【請求項24】
該化合物が式D:
【化19】

である、請求項19記載の化合物。
【請求項25】
およびRが、各々独立して、R基であり、Xがキラル酸である、請求項24記載の化合物。
【請求項26】
およびRの両方が水素であり、Xがジトルオイル−D−酒石酸である、請求項25記載の化合物。
【請求項27】
該化合物が、式D−3:
【化20】

である、請求項19記載の化合物。
【請求項28】
該化合物が、実質的に遊離な対応するエナンチオマーを提供される、請求項27記載の化合物。
【請求項29】
式IIaまたはIIc:
【化21】

[式中:
nは、0、1、または2であり;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、−CN、フェニル、−R、−OR、−C1−6ペルフルオロアルキル、または−OC1−6ペルフルオロアルキルであり;
各Rは、独立して、水素またはC1−6アルキル基であり;ならびに
は、水素またはC1−6アルキルである]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩。

【公表番号】特表2009−502925(P2009−502925A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524026(P2008−524026)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/028655
【国際公開番号】WO2007/016029
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】