説明

ジェル状組成物塗布器

接着剤組成物塗布器は、側壁、および開口部に向かって次第に細くなる首を有するハウジングを含む。ハウジングはジェル状接着剤組成物を包含する。ハウジングは断面積を有し、開口部はハウジング断面積よりも小さい断面積を有する。ハウジングを嵌め込むキャップが提供される。開口部を通してハウジングからジェル状組成物材料を押し出すための機構が提供される。首は、任意に遮蔽板も含んでジェル状接着剤組成物が首を伝わり落ちるのを防ぐと共に、キャップとハウジング間の交差点に達するジェル状接着剤の染みに抗するバリアを提供する。塗布点へのジェル状組成物の塗布を容易にするために、開口部に隣接してへらが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ジェル状組成物塗布器に関し、詳細には、ロックタイト固定にうまく適する無機増粘剤を含有するジェル状嫌気性硬化組成物塗布器に関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的に、ロックタイトは種々の粘度の液体であった。これらの液体は、取扱適性によって適用性が限定されていた。液体ロックタイトは、上向き固定への適用には難しい傾向にあり、一般に、一次パッケージの外部を伝わり落ちるキャップからの滴り、およびロッキングが望ましくないと見なされる箇所への材料の浸出のせいで不正確であると考えられる。これらの取扱適性の結果として、従来型の液体ロックタイトは、一般的に、周りの工具または衣料上への漏れを防ぐために二次パッケージを必要とする。
【0003】
これらの制約に対応するために液体ロックタイト組成物に種々のワックス、ポリマー、および有機化学種を添加する種々の試みが、従来技術においてなされてきた。これらの試みの代表例には、米国特許第3,547,851号、第4,497,916号および第6,451、927号が挙げられる。特に、米国特許第6,451,927B1号は、口紅タイプの塗布器で提供される有機的に濃化された嫌気性組成物を利用する。この濃化組成物は上部ロックタイト塗布および滴りの防止を可能とする上で有効であるが、一方で、高くした塗布器面を超えてボルトを拭く塗布方法は、キャップ取替えの前に塗布器拭き取りを必要とするように、塗布器の外面上にロックタイト組成物を塗り付ける傾向がある。加えて、圧縮力下で、液体および従来型の濃化ロックタイト組成物は、接着剤結合が実際に必要とされる部位から引きずりおろされる傾向にある。従って、より高い正確度で配送されると共に、容易に再密封可能な塗布器中に提供されるジェル状嫌気性組成物に対する必要性が存在する。
【発明の開示】
【0004】
接着剤組成物塗布器は、側壁と開口部に向かって次第に細くなる首とを有するハウジングを含む。ハウジングはジェル状接着剤組成物を包含する。ハウジングは断面積を有し、開口部はハウジング断面積よりも小さい断面積を有する。ハウジングを嵌め込むキャップが提供される。開口部を通してハウジングからジェル状組成物材料を押し出すための機構が提供される。首は、任意に遮蔽板も含んでジェル状接着剤組成物が首を伝わり落ちるのを防ぐと共に、キャップとハウジングとの交差部に達するジェル状接着剤の染みに抗するバリアを提供する。
【0005】
塗布点へのジェル状組成物の塗布を容易にするために、開口部に隣接してへらが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は棒状形態で詰められるジェル状嫌気性組成物に関して詳述されるが、一方で、本発明による塗布器が具体例としてエポキシ、アクリル、オレフィン、およびそれらの組合せを含む組成物により同様に作用し得ることは理解される。さらに、液体硬化性成分または適する溶媒中に溶解するものが、本発明による濃化および詰め込みに従順であることは認識される。増粘剤は、塗布器中に詰めるために適するジェル状組成物を造りだすために十分な量でそれと共に混合される。
【0007】
図1に、接着剤組成物塗布器の全体を10で示す。塗布器10は、ハウジング断面積14により特徴付けられるハウジング12を含む。ハウジング断面積14は側壁16により囲まれる。ハウジング12は、開口部断面積20により特徴付けられる開口部18で終わる。首22は開口部18と側壁16との中間部分である。本発明による開口部断面積20は、ハウジング断面積の90%未満である。好ましくは、開口部断面積は、ハウジング断面積の70%未満である。さらに好ましくは、開口部断面積は、ハウジング断面積の2〜40%である。最も好ましくは、開口部断面積は、ハウジング断面積の2〜10%である。首22の長さおよびそのテーパの程度が、接着剤組成物粘度、押出し力、および塗布器構成材料特性を含む変数に基づく設計選択の問題であることは理解される。
【0008】
側壁16およびその他のハウジング構成部品の厚さおよび材料は、一つには、押出し機構により及ぼされる力によって決定されるが、本発明のハウジングは、具体例として、プラスチック、金属、ガラス、セラミックおよびそれらの組合せなどの材料から形成される。好ましくは、本発明によるハウジング12は射出成形可能な熱可塑性材料から形成される。
【0009】
図1のハウジングは円形ハウジング断面および円形開口部断面を有して示されるが、一方で、どのような断面形状でも、本発明による塗布器内のハウジングおよび開口部用に適用可能であることは理解される。工夫に富んだ塗布器用のこれら種々の断面形状には、具体例として、長円形、楕円形、直線形、多角形およびさらに複雑な形態が挙げられる。
【0010】
ハウジング12から開口部18を通してジェル状接着剤組成物26を押し出すための機構(図示せず)が提供される。ジェル状接着剤組成物26は、開口部断面積20に対応する断面形状および寸法を有する円柱として開口部18を出る。使用に際して、ジェル状接着剤組成物26は、接着により固定しようとするネジ部品などの基材(図示せず)と接触させられる。基材との接触を通して、ジェル状接着剤組成物26は変形され、首部分22上に28で示した組成物残留物を必ず生ずる。ジェル状接着剤組成物26をハウジング12から押し出す機構は、従来技術であり、具体例として、基部の回転をハウジング12内のプランジャーの横の動きに変換するスクリュー機構を含み、このプランジャーも、本発明の構成に適用可能な機構の具体的な例である。
【0011】
キャップ30は、首22の基部33の近傍でハウジング12を選択的に嵌め込むように適合している。キャップ30は、例証的に補完的ネジ、摩擦はめ合い、ルア型カップリングを含む多様な従来型の機構を通してハウジング12に選択的に固定される。好ましくは、キャップ30は、ハウジング12に摩擦嵌め込みされる。さらに好ましくは、キャップ30は、首基部33に近接した対応する首うね34に補完的なつめ32を有する。キャップ30は、典型的には、ハウジング12を形成するために用いられる材料で形成される。好ましくは、キャップ30は射出成形可能な熱可塑性材料から形成される。
【0012】
任意に、首基部32と開口部18との中間部分に、首22は遮蔽板36を含む。遮蔽板36を設ける場合は、キャップ30が首基部33を嵌め込むような寸法にする。
【0013】
ジェル状接着剤が中に保存されるハウジング14のそれよりも小さな断面積20を持つ開口部18を有することにより、本発明の塗布器12は作動に際して、首22上に集まるジェル状接着剤残留物28の上にキャップ30が置かれた場合でも、位置ずれを回避できる。加えて、ジェル状接着剤残留物28は、容易に首22から直接に接着基材に塗布されるので、内容物であるジェル状接着剤組成物の使用効率が高まる。従来技術とは対照的に、キャップを嵌め込んだ際に、、接着剤が使用者の皮膚または他の近辺の表面を汚染することがあり得るハウジング12外側の場所にジェル状接着剤残留物が移動することがない。首部に付加的な遮蔽板36を設けると、ジェル状接着剤くずがキャップ30と接着剤ハウジング12との中間部に達するのを防止する追加バリアとして機能する。
【0014】
図2に、本発明の接着剤組成物塗布器の他の実施形態の全体を50で示す。同じ数字は図1に関して説明した意味を有する。塗布器50はへら52を有し、その上に接着剤組成物26が押し出される。へら52は、接着により固定しようとするネジ部品などの基材に接触させる塗布表面として機能する。図示した塗布器50は、楕円形開口部断面58および三ヶ月形ハウジング断面55を有する。塗布器50は、使用者の手(仮想線で示す)の甲に固定されるように適合したストラップ54を任意に含む。ストラップ54を使用した際には、ジェル状接着剤組成物26は、ハウジング12に側方から作用する圧縮力によりハウジング12から押し出される。図2に50で示される実施形態は、使用者が手を別途に使いながらジェル状接着剤組成物の塗布をすることができる。この実施形態において、ハウジング断面形状はその長さ方向に沿って変わり、首33の近傍で円形となる。ネジ56は首33に近接する側壁16の外部と一体である。ネジ56は、補完的キャップ(図示せず)上のネジに対して相補的である。
【0015】
作動において、本発明による硬化性ジェル状接着剤組成物は、単独または溶媒和形態での多様な重合性モノマーから形成される。溶媒の種類は、重合性モノマーの溶解度特性およびその溶媒の他の化学反応物質との適合性により大部分は決定される。本発明において作用し得る溶媒としては、具体例として、水、C2〜C20直鎖または分岐鎖アルカン、エーテル、エステル、アルコール、ケトン、アルデヒド、酸、C6〜C10芳香族および置換芳香族、フラン、およびそれらの塩素化、臭素化、およびフッ素化形態、可塑剤、フタル酸ジオクチル(DOP)などの油、およびジメタクリル酸トリエチレングリコール(triEGMA)およびジメタクリル酸ポリエチレングリコール(PEGMA)などの液体樹脂が挙げられる。
【0016】
本発明において作用し得る重合可能なモノマーの種類としては、米国特許公開公報第2002/0111439号に詳述されるものが挙げられ、その開示内容はここで引用したことにより本明細書中に取り込む。
【0017】
単独または溶媒和形態での重合性モノマーに加えて、ジェル状組成物は、好ましくは、無機増粘剤を含む。本発明において作用し得る無機増粘剤には、具体例として、ヒューム状またはコロイド状のシリカ;グラファイト微粒子、乱層炭素、炭素繊維、カーボン・ナノチューブ、フラーレン;クレー、珪藻土;ホウ酸;およびそれらの組合せが挙げられる。無機増粘剤は、一般的に、ジェル状接着剤組成物全体の5〜50重量%で存在する。必要とされる無機増粘剤の特定量が、具体例として、単独または溶媒和形態での重合性モノマーの粘度、増粘剤表面積、増粘剤疎水性、および得られる接着剤の締結強度を含む変数に応じて決まることは理解される。好ましくは、無機増粘剤は、ジェル状接着剤組成物全体の2〜20重量%で存在するヒュームドシリカである。本発明において作用し得るヒュームドシリカの市販されている形態には、CAB−O−SIL M5(イリノイ州、タスコラのキャボット(Cabot Corp.,))がある。
【0018】
無機増粘剤に加えて、本発明のジェル状接着剤組成物は、ジェル状接着剤組成物の粘度を任意に修正するためにレオロジー添加剤をさらに含む。本明細書において詳述される重合性モノマーおよび無機増粘剤と適合するレオロジー添加剤は、当業者に周知である。本発明において作用し得るレオロジー添加剤には、具体例として、ジオール、トリオール、二価酸、三価酸、ジアミドおよびトリアミド、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、およびそれらの組合せが挙げられる。好ましくは、レオロジー添加剤はポリヒドロキシカルボン酸アミドである。本発明において作用し得るポリヒドロキシカルボン酸アミドは、登録商標BYK−R605(ドイツ、バッド・ホンブルグのBYK−ケミエ(Chemie))で市販されている。
【0019】
上述の成分に加えて、本発明のジェル状接着剤組成物が、一般的に、具体例としてコポリマー、重合性モノマーの混合物、重合開始剤、安定剤、促進剤、着色剤、可塑剤、顔料、充填剤、蛍光剤、および技術上従来型のおよび従来型の量での他の物質を含む1以上の成分を含むことは理解される。こうした物質の代表的な例は、引用により本明細書中に取り込んだ米国特許公開公報第2002/0111439号に再度見出される。
【0020】
本発明の精神から逸脱しない種々の修正が本明細書を読むと容易になされることは、本発明が関係する当業者に明らかである。これらの修正およびすべてのそれらの同等物は、添付クレーム内に包含されるように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による塗布器の斜視図である。
【図2】使用者の手の上に載るように適合した本発明による塗布器の別の実施形態の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング断面積、側壁、および開口部に向かって次第に細くなる首を有するハウジング、ただし該ハウジングはジェル状接着剤組成物を包含し、該ハウジング中の前記開口部は前記ハウジング断面積よりも小さい開口部断面積を規定する、
前記ハウジングを嵌め込むように適合したキャップ、および
前記開口部を通して前記ハウジングから前記ジェル状接着剤組成物を押し出すための機構、
を含む接着剤組成物塗布器。
【請求項2】
前記ハウジングが円筒型ハウジング断面積を有する請求項1に記載の塗布器。
【請求項3】
前記ハウジングが熱可塑性プラスチックである請求項1に記載の塗布器。
【請求項4】
前記開口部断面積が前記ハウジング断面積の90%未満である請求項1に記載の塗布器。
【請求項5】
前記開口部断面積が前記ハウジング断面積の70%未満である請求項1に記載の塗布器。
【請求項6】
前記開口部断面積が前記ハウジング断面積の2〜40%である請求項1に記載の塗布器。
【請求項7】
前記首が前記開口部に近接する前記側壁に沿って次第に細くなる請求項1に記載の塗布器。
【請求項8】
前記キャップが前記ハウジングに摩擦嵌め込みされる請求項1に記載の塗布器。
【請求項9】
前記キャップが前記ハウジングから延びるうねに補完的なつめを有する請求項8に記載の塗布器。
【請求項10】
前記キャップが前記ハウジングを嵌め込むように適合したネジ山を有する請求項1に記載の塗布器。
【請求項11】
前記キャップがネジ留め式キャップである請求項1に記載の塗布器。
【請求項12】
使用者の手を嵌め込むように適合したストラップをさらに含む請求項1に記載の塗布器。
【請求項13】
前記ハウジングが前記首上に位置付けられる遮蔽板をさらに含む請求項3に記載の塗布器。
【請求項14】
ハウジング断面積、側壁、および開口部に向かって次第に細くなる首を有するハウジング、ただし該ハウジングはジェル状接着剤組成物を包含し、該ハウジング中の前記開口部は前記ハウジング断面積よりも小さい開口部断面積を規定する、
前記ハウジングを嵌め込むように適合したキャップ、および
前記開口部を通して前記ハウジングから前記ジェル状接着剤組成物を押し出すための機構、
を含むと共に、
前記ハウジングが前記首上に位置付する遮蔽板をさらに含む、
接着剤組成物塗布器。
【請求項15】
前記ハウジングが円筒型ハウジング断面積を有する請求項14に記載の塗布器。
【請求項16】
前記ハウジングが熱可塑性プラスチックである請求項14に記載の塗布器。
【請求項17】
前記首が前記開口部に近接する前記側壁に沿って次第に細くなる請求項14に記載の塗布器。
【請求項18】
ハウジング断面積、側壁、および開口部に向かって次第に細くなる首を有するハウジング、ただし該ハウジングはジェル状接着剤組成物を包含し、該ハウジング中の前記開口部は前記ハウジング断面積よりも小さい開口部断面積を規定する、
前記ハウジングを嵌め込むように適合したキャップ、
前記開口部を通して前記ハウジングから前記ジェル状接着剤組成物を押し出すための機構、および
開口部に近接するへら、
を含む接着剤組成物塗布器。
【請求項19】
使用者の手に嵌め込むように適合したストラップをさらに含む請求項18に記載の塗布器。
【請求項20】
前記ハウジングが楕円形ハウジング断面積を有する請求項18に記載の塗布器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−517640(P2007−517640A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535393(P2006−535393)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/034275
【国際公開番号】WO2005/037183
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(506128374)パーマテックス,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】