説明

ジェル状組成物

【課題】皮脂によるテカリやべたつきが抑制され、経時安定性にも優れたジェル状組成物を提供する。
【解決手段】(A)表面がシリカで被覆されている架橋型メチルポリシロキサン粉体、(B)水溶性高分子、(C)1価〜3価のアルコールから選ばれる1種又は2種以上及び(D)HLB1〜8の25℃で液状又はペースト状の非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とするジェル状組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮脂によるテカリやべたつきの抑制に優れ、保存安定性にも優れたジェル状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の表皮表面には薄い皮脂膜が形成されており、これが外界からの異物の進入を防ぎ、様々な物質の刺激から皮膚を保護する役割を担っている。また、水分蒸散を抑制することにより皮膚表面を潤滑化する作用も有している。
一方、皮脂は過剰に分泌されると、テカリやべたつきの原因となる。そのため、過剰に分泌された皮脂を有機粉体等の吸油性物質で物理的に吸着させる方法が検討されてきた。特に吸油性物質であるシリコーン粉体は、さらりとしたべたつきのない使用感を有していることから、多くの化粧料に配合されている。例えば、シリコーン粉体と有機粉体や無機粉体を配合することによって、べたつきが抑制され、サラサラ感のある官能特性に優れた化粧料が提案されている(特許文献1)。しかし、シリコーン粉体が疎水性で、水性化粧料中での安定性が悪いため、シリコーン粉体を揮発性油剤で分散させた後、架橋型ポリアクリル系高分子を含有する水相に分散させる方法(特許文献2)や、シリコーン粉体を水に分散させてなるシリコーン粉体分散液を化粧料に用いる方法(特許文献3、4)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−302638号公報
【特許文献2】特開平2−19310号公報
【特許文献3】特開2002−226320号公報
【特許文献4】特開2004−175677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらのシリコーン粉体含有化粧料は、皮脂抑制効果といった観点からは満足しうるものではなかった。また、吸油能を高めるため、シリコーン粉体を多量に用いると、保存安定性が低下するという問題があり、更なる改善が望まれていた。
従って、本発明の課題は、皮脂によるテカリやべたつきが抑制され、保存安定性に優れたジェル状組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者は、種々のシリコーン粉体を用いてジェル状組成物を製造し、その皮脂に対する作用及び長期安定性を検討したところ、表面がシリカで被覆された架橋型メチルポリシロキサン粉体と水溶性高分子と1価〜3価のアルコールとHLBが1〜8の25℃で液状又はペースト状の非イオン性界面活性剤とを組み合わせて用いれば、皮脂によるテカリやべたつきが抑制され、さらに保存安定性にも優れたジェル状組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、下記成分(A)〜(D):
(A)表面がシリカ微粉末で被覆された架橋型メチルポリシロキサン粉体、
(B)水溶性高分子、
(C)1価〜3価のアルコールから選ばれる1種又は2種以上、及び
(D)HLBが1〜8の25℃で液状又はペースト状の非イオン性界面活性剤、
を含有することを特徴とするジェル状組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のジェル状組成物は、皮脂によるテカリやべたつきの抑制効果に優れるため肌に塗布した時にサラサラ感等の優れた使用感が得られるとともに、保存安定性にも優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
本発明においてジェル状組成物とは、25℃において粘性を有する水含有組成物をいう。その粘度は25℃において2500mPa・s以上が好ましく、さらに好ましくは3000〜70000mPa.sであり、より好ましくは5000〜40000mPa・sである。かかるジェル状組成物は手に取ったときに適度な粘度を有するため、肌に塗布しやすい。
【0009】
本発明に用いられる成分(A)は、表面がシリカ微粉末で被覆された架橋型メチルポリシロキサン粉体である。かかるシリカ微粉末被覆シリコーン粉体は、従来、肌の毛穴やしわを目立たなくするための粉体として用いられており、皮脂吸着効果があることは知られていない。また、シリカ微粉末被覆シリコーン粉体の皮脂吸着効果は、他のシリコーン粉末に比べて特に優れている。
【0010】
成分(A)に用いられる架橋型メチルポリシロキサン粉体は、ジメチルポリシロキサンをビニルメチルポリシロキサンにより架橋させたものであり、シリコーンエラストマーとして知られている。
【0011】
成分(A)に用いられるシリカ微粉末は、平均一次粒子径が0.1μm以下のシリカ粉末であり、好ましくは平均一次粒子径が0.001〜0.1μmのシリカ粉末、より好ましくは0.01〜0.05μmのシリカ粉末である。シリカ粉末としては、平均一次粒子径が当該範囲内であれば特に限定されないが、非晶質のヒュームドシリカを好ましく利用できる。これらのシリカ微粉末を架橋型メチルポリシロキサン粉体表面への被覆方法は特に限定されないが、例えば、架橋型メチルポリシロキサン粉体とシリカ微粉末の水分液を調製後、これらを加熱混合後、水分散液から水を除去する方法や、架橋型メチルポリシロキサン粉体を機械的剪断下でシリカ微粉末と混合する方法などが挙げられる。
【0012】
本発明の成分(A)の平均粒子径は、0.1〜100μmの範囲内であり、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは1〜10μmである。
ここで、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡写真中、任意の視野の任意の粒子20個についての粒子径の平均値を平均粒子径とすることができる。
【0013】
本発明の成分(A)の好ましいエラストマー硬度は、特に限定されるものではないが、15〜65であり、さらに好ましくは、20〜60であり、より好ましくは30〜50である。
ここで、エラストマー硬度は、成分(A)をシート状に硬化させて、JIS K 6301に規定されるJIS A硬度計により測定することができる。
【0014】
本発明の成分(A)における架橋型メチルポリシロキサン粉体とシリカ微粉末の含有比は、架橋型メチルポリシロキサン粉体100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量部であり、さらに好ましくは2〜10質量部である。
【0015】
本発明の成分(A)は市販されており、例えば9701 COSMETIC POWDER(東レ・ダウコーニング社製)が挙げられる。
【0016】
本発明の成分(A)の含有量は、特に限定されるものではないが、ジェル状組成物の総量を基準として、0.1〜20質量%であり、さらに好ましくは3〜18質量%であり、より好ましくは5〜15質量%である。この範囲であれば、十分な皮脂抑制効果が得られるとともに、保存安定性にも優れる。
【0017】
本発明に用いられる成分(B)の水溶性高分子は、天然の水溶性高分子、半合成又は合成の水溶性高分子、無機系水溶性高分子のいずれでもよい。これらの水溶性高分子のうち、天然の水溶性高分子としてはアルギン酸塩、カラギーナン、キサンタンガム、寒天、グアーガム、クインスシード、ローカストビーンガム、キトサン、ヒアルロン酸、ゼラチン等が挙げられる。半合成の水溶性高分子としては、メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース等が挙げられる。合成の水溶性高分子としては、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のポリアクリル酸系水溶性高分子等が挙げられる。これらの水溶性高分子は1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
これらの中でも、より好ましいのは、保存安定性の点からカルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のポリアクリル酸系水溶性高分子であり、カルボキシビニルポリマーとしては、カーボポール941(BF Goodrich社製)、ハイビスワコー105(和光純薬社製)等、アルキル変性カルボキシビニルポリマーとしてはカーボポール1342、PEMULEN TR−1、PEMULEN TR−2(いずれも、BF Goodrich社製)等が市販されている。
【0019】
本発明の成分(B)の含有量は、特に限定されるものではないが、ジェル状組成物の総量を基準として、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.3質量%である。この範囲内であれば、保存安定性に優れ、みずみずしい感触の良いジェル状組成物が得られる。
【0020】
本発明に用いられる成分(C)1価〜3価のアルコールは、本発明に含まれる粉体の分散性及び経時安定性を向上させる成分である。成分(C)の好ましい例としては、1価のアルコールとして、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール等の炭素数1〜4の1価アルコールが挙げられ、2価のアルコールとしてはプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の炭素数2〜6の2価アルコールが挙げられ、また3価のアルコールとしてはグリセリン、イソプレングリコール等の炭素数3〜6の3価アルコールが挙げられる。また、本発明では、これら1価〜3価のアルコールから選択される1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。特にこれらのうち、エタノール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びグリセリンからなる群から選択される1種又は2種以上を好ましく用いることができる。
【0021】
本発明の成分(C)の含有量は、特に限定されるものではないが、ジェル状組成物の総量を基準として、1〜35質量%が好ましく、さらに好ましくは、5〜25質量%である。この範囲内であれば、良好な粉体の分散性及び保存安定性が得られる。
【0022】
本発明に用いられる成分(D)は、ジェル状組成物の粉体分散性及び保存安定性の点から、HLBが1〜8の25℃、大気圧下で液状又はペースト状の非イオン性界面活性剤であり、25℃で完全に固化している固形状(粉状、フレーク状を含む)のものは、本発明の成分(D)には含まれない。25℃、大気圧下で液状又はペースト状の非イオン性界面活性剤は、当該HLBの条件を満たすものであれば、通常化粧料に用いられるものであればいずれも用いることができ、例えば、脂肪酸多価アルコールエステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0023】
脂肪酸多価アルコールエステルとしては、モノオレイン酸グリセリル(HLB;2.5)、モノイソステアリン酸グリセリル(HLB;4)等のグリセリン脂肪酸エステル;モノイソステアリン酸ソルビタン(HLB;5)、セスキイソステアリン酸ソルビタン(HLB;4.5)、モノオレイン酸ソルビタン(HLB;4.3)、セスキオレイン酸ソルビタン(HLB;3.7)、トリオレイン酸ソルビタン(HLB;1.7)等のソルビタン脂肪酸エステル;ショ糖エルカ酸エステル(HLB;1)等のショ糖脂肪酸エステル;ペンタイソステアリン酸デカグリセリル(HLB;3.5)、ペンタオレイン酸デカグリセリル(HLB;3.5)、モノオレイン酸ジグリセリル(HLB;5.5)、ジオレイン酸ジグリセリル(HLB;7)、モノイソステアリン酸ジグリセリル(HLB;5.5)、モノオレイン酸テトラグリセリル(HLB;6)、トリオレイン酸デカグリセリル(HLB;7)等のポリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。これらのうち、特にソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。
【0024】
ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレン(3)ヒマシ油(HLB;3)、ポリオキシエチレン(5)硬化ヒマシ油(HLB;6)、ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油(HLB;6.5)、ポリオキシエチレン(10)ヒマシ油(HLB;6.5)等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0025】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル(HLB;7.5)等が挙げられる。
【0026】
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては、ポリオキシエチレン(2)ノニルフェニルエーテル(HLB;4.5)、ポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル(HLB;8)、ポリオキシエチレン(3)オクチルフェニルエーテル(HLB;6)等が挙げられる。
【0027】
ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとしては、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(2EO)(HLB;4.5)、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(3EO)(HLB=2)、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(5EO)(HLB=3)、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(10EO)(HLB=5)、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20EO)(HLB=7)等が挙げられる。
【0028】
これらのうち、特に25℃で液状のHLB1〜8の非イオン性界面活性剤を用いるのが保存安定性の点で好ましく、特に25℃で液状のHLB1〜8の脂肪酸多価アルコールエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリエチレングリコール脂肪酸エステルから選択される1種又は2種以上を用いるのが好ましい。具体的にはモノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル及びトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20EO)から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0029】
ここで、本発明におけるHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)は、親水性−親油性のバランスを示す指標であり、一般的には小田・寺村らによる次式で計算される。
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性)×10
ここで、Σ無機性値/Σ有機性は、IOB値(Inorganic-Organic Balance)と呼ばれ、各種原子及び官能基毎に設定された「無機性値」、「有機性値」に基づいて、界面活性剤等の有機化合物を構成する原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することにより算出することができる(甲田善生著、「有機概念図−基礎と応用−」、11〜17頁、三共出版、1984年発行参照)。
【0030】
本発明の成分(D)の含有量は、特に限定されるものではないが、ジェル状組成物の総量を基準として、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%である。この範囲内であれば、良好な粉体の分散性及び保存安定性が得られる。
【0031】
また、本発明の成分(D)と成分(A)の組成物中での含有質量比は、粉体の分散性及び保存安定性の点から、(D)/(A)が、0.03以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.1である。この範囲内であれば、皮脂抑制効果に優れ、良好な保存安定性が得られる。
【0032】
本発明のジェル状組成物は、実質的に油分を含有しないことが好ましく、より好ましくはジェル状組成物の油分の含有量が5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下であり、これにより高い皮脂抑制効果が得られる。
【0033】
ここで、油分は、油脂(トリグリセリド)、ロウ、エステル油、炭化水素、脂肪酸、炭素数8以上の高級アルコール、シリコーン油、フッ素油等の油分へ溶解しやすい成分の総体である。
【0034】
油脂としては、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボガド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、キョウニン油、シナモン油、ホホバ油、ブドウ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、卵黄油、牛脚脂、肝油等の液体油脂;カツオ脂、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛脂、羊脂、豚脂、馬脂、硬化油、硬化ヒマシ油、モクロウ、シアバター等の固体油脂が挙げられる。
【0035】
ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カポックロウ、サトウキビロウ、ホホバロウ、セラックロウ等が挙げられる。
【0036】
エステル油としては、オクタン酸セチル等のオクタン酸エステル、ラウリン酸ヘキシル等のラウリン酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のミリスチン酸エステル、パルミチン酸オクチル等のパルミチン酸エステル、ステアリン酸イソセチル等のステアリン酸エステル、イソステアリン酸イソプロピル等のイソステアリン酸エステル、イソパルミチン酸オクチル等のイソパルミチン酸エステル、オレイン酸イソデシル等のオレイン酸エステル、アジピン酸ジイソプロピル等のアジピン酸ジエステル、セバシン酸ジエチル等のセバシン酸ジエステル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリオクタン酸グリセリン、テトラオクタン酸ペンタエリスリット等のペンタエリスリトール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0037】
炭化水素油としては、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、スクワラン、スクワレン、プリスタン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0038】
脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
【0039】
炭素数8以上の高級アルコールとしては、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0040】
シリコーン油又はフッ素油としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチコノール、メチルフェニルポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、パーフルオロアルキルポリオキシアルキレン変性シリコーン、環状シリコーン等が挙げられる。
【0041】
本発明のジェル状組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記成分に加え、必要に応じて紫外線防御剤、防腐剤、保湿剤、アミノ酸誘導体、糖誘導体、香料水、増粘剤、中和剤、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、薬剤等の成分を配合することができる。
【0042】
本発明のジェル状組成物は、化粧品、医薬部外品として用いることができ、皮膚に塗布したときの感触、例えばべたつかず、さっぱり感等の感触が良好であるため、皮膚化粧料として好適に利用することができる。本発明のジェル状組成物は、特に美容液、乳液等の基礎化粧品や、下地化粧料等のメイクアップ化粧料として用いることができる。
【実施例】
【0043】
次に実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例での含有量の単位は、全て質量%である。
【0044】
実施例1〜5及び比較例1〜11
表1に示した処方に従い、ジェル状美容液を常法により調製した。これらを用いて、下記の(1)皮脂抑制試験、(2)保存安定性試験を実施し、それぞれ評価した。結果は表1に併せて示した。なお、得られた実施例1〜5のジェル状美容液の25℃における粘度(B型粘度計で測定)は、約10000〜25000mPa・sの範囲であった。
【0045】
(1)皮脂抑制試験
本試験は、皮膚疑似モデル(ビューラックス社製)により評価した。すなわち、上記美容液(0.04mL)を皮膚疑似モデルに塗布し、その上から擬似皮脂(精製マカデミア油:スクワラン:オレイン酸=2:1:1)(0.06μl)を塗布した。そして0.5時間後、並びに2時間後の皮膚疑似モデルのテカリの状態について観察した。評価は、皮膚疑似モデルに疑似皮脂のみを塗布したコントロールと比較し、下記基準に従って判定した。
【0046】
(評価基準)
5:全くテカリが見られない
4:ほとんどテカリが見られない
3:テカリはみられるが目立たない
2:ややテカリが目立つ
1:非常にテカリが目立つ
【0047】
また、皮脂によるベタツキを同様に、皮膚疑似モデル(ビューラックス社製)により評価した。すなわち、上記美容液(0.04mL)を皮膚疑似モデルに塗布し、その上から擬似皮脂(精製マカデミア油:スクワラン:オレイン酸=2:1:1)(0.06μl)を塗布し、並びに2時間後の皮膚疑似モデルの皮脂によるベタツキについて評価した。評価は、皮膚疑似モデルに疑似皮脂のみを塗布したコントロールと比較し、下記基準に従って判定した。
【0048】
(評価基準)
3:ベタツキはほとんど感じない
2:少しベタツキを感じる
1:ベタツキがある
【0049】
(2)保存安定性試験
表1に示したジェル状美容液をガラス瓶に入れ、60℃の恒温槽に1ヶ月間保管した。調製直後の状態を基準として、1ヶ月後の外観の変化を下記基準より判定した。
(評価基準)
○:分離が見られる
×:分離が見られない
【0050】

【表1】

注1:9701 COSMETIC POWDER(東レ・ダウコーニング社製;平均粒子径4μm)
注2:シリコンBY29−123(東レ・ダウコーニング社製)
注3:トレフィルE−506S(東レ・ダウコーニング社製)
注4:EP−9261TI COSMETIC POWDER(東レ・ダウコーニング社製)
注5:EP−9289LL COSMETIC POWDER(東レ・ダウコーニング社製)
注6:EP−9293AL COSMETIC POWDER(東レ・ダウコーニング社製)


【0051】
表1の結果から明らかなように、本発明の美容液は、皮脂抑制効果に優れ、且つ良好な保存安定性を有するものであった。これに対して、比較例の美容液は、皮脂抑制効果と保存安定性の両方の効果を満足するものではなかった。
【0052】
実施例6〜7
次に、以下の処方に従い、常法にてジェル状美容液を調製し、上記各種試験を行ったところ、いずれも皮脂抑制効果に優れ良好な保存安定性を有するものであった。
【0053】
原料成分 配合量(質量%)
実施例6 実施例7
シリカ被覆架橋型メチルポリシロキサン粉体(注1) 10 10
カルボキシビニルポリマー 0.24 −
アルキル変性ビニルポリマー − 0.24
エタノール 10 10
ジプロピレングリコール 5 5
1,3−ブチレングリコール 2 2
グリセリン 2 2
モノイソステアリン酸ソルビタン(HLB:5) 0.5 0.5
エデト酸2ナトリウム 0.02 0.02
フェノキシエタノール 0.1 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1 0.1
ニコチン酸アミド 0.1 0.1
水酸化カリウム 0.12 0.12
純水 残量 残量
【0054】
次に、以下の処方に従い、常法にて美容液を調製し、上記各種試験を行ったところ、いずれも皮脂抑制効果に優れ良好な保存安定性を有するものであった。
【0055】
処方例1 美容液
配合量(質量%)
(1)シリカ被覆架橋型メチルポリシロキサン粉体(注1) 10
(2)カルボキシビニルポリマー 0.24
(3)エタノール 10
(4)ジプロピレングリコール 5
(5)1,3−ブチレングリコール 2
(6)グリセリン 2
(7)モノイソステアリン酸ソルビタン(HLB:5) 0.5
(8)エデト酸2ナトリウム 0.02
(9)フェノキシエタノール 0.1
(10)イソプロピルメチルフェノール 0.1
(11)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(12)ニコチン酸アミド 0.1
(13)プルーン酵素分解物 0.1
(14)タイムエキス 0.1
(15)エイジツエキス 0.1
(16)N−メチル−L−セリン 0.1
(17)豆乳発酵液 0.1
(18)スギノリ 0.1
(19)サンショウ 0.1
(20)タチバナエキス 0.1
(21)水酸化カリウム 0.12
(22)純水 残量
【0056】
処方例2 美容液
配合量(質量%)
(1)シリカ被覆架橋型メチルポリシロキサン粉体(注1) 10
(2)アルキル変性ビニルポリマー 0.24
(3)エタノール 10
(4)ジプロピレングリコール 5
(5)1,3−ブチレングリコール 2
(6)グリセリン 2
(7)セスキイソステアリン酸ソルビタン(HLB:7) 0.5
(8)エデト酸2ナトリウム 0.02
(9)フェノキシエタノール 0.1
(10)イソプロピルメチルフェノール 0.1
(11)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(12)ニコチン酸アミド 0.1
(13)プルーン酵素分解物 0.1
(14)タイムエキス 0.1
(15)エイジツエキス 0.1
(16)N−メチル−L−セリン 0.1
(17)豆乳発酵液 0.1
(18)シルクプロテインエキス 0.1
(19)ディオスコレアコンポジータ根エキス 0.1
(20)ミネラル酵母 0.1
(21)水酸化カリウム 0.12
(22)純水 残量
【0057】
処方例3 ジェル
配合量(質量%)
(1)シリカ被覆架橋型メチルポリシロキサン粉体(注1) 10
(2)カルボキシビニルポリマー 0.4
(3)エタノール 5
(4)ジプロピレングリコール 5
(5)1,3−ブチレングリコール 5
(6)ジグリセリン 4
(7)モノイソステアリン酸ソルビタン(HLB:5) 0.5
(8)トリス(トリメチルトリシロキシ)メチルシラン 0.5
(8)エデト酸2ナトリウム 0.02
(9)フェノキシエタノール 0.1
(11)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(12)ニコチン酸アミド 0.1
(13)プルーン酵素分解物 0.1
(14)タイムエキス 0.1
(15)エイジツエキス 0.1
(16)N−メチル−L−セリン 0.1
(17)エチルグルコシド液 0.1
(18)ジオウエキス 0.1
(19)マリンコラーゲン 0.1
(20)水酸化カリウム 0.12
(21)純水 残 量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(D)を含有することを特徴とするジェル状組成物。
(A)表面がシリカ微粉末で被覆された架橋型メチルポリシロキサン粉体
(B)水溶性高分子
(C)1価〜3価のアルコールから選ばれる1種又は2種以上
(D)HLBが1〜8の25℃で液状又はペースト状の非イオン性界面活性剤
【請求項2】
成分(D)が、25℃で液状の非イオン性界面活性剤である請求項1に記載のジェル状組成物。
【請求項3】
成分(D)が、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンオレイルエーテル及びトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルからなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1又は2に記載のジェル状組成物。
【請求項4】
成分(A)が、平均粒子径0.1〜100μmであり、エラストマー硬度15〜65である請求項1〜3のいずれか1項に記載のジェル状組成物。
【請求項5】
成分(B)が、カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーからなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のジェル状組成物。
【請求項6】
成分(C)が、炭素数1〜4の1価アルコール、炭素数2〜6の2価アルコール及び炭素数3〜6の3価アルコールからなる群から選択される1種又は2種以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のジェル状組成物。
【請求項7】
実質的に油分を含有しないことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のジェル状組成物。

【公開番号】特開2012−136455(P2012−136455A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289075(P2010−289075)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】