説明

ジグリシドエーテル誘導体治療剤およびその使用方法

本発明は、式Iまたは式IIの構造を有する化合物を提供する。前立腺癌を含めた種々の適応症の治療のためのかかる化合物の使用、およびかかる化合物に関連する治療方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2008年7月2日に出願された「低分子治療剤およびその使用方法(SMALL MOLECULE THERAPEUTICS AND METHODS FOR THEIR USE)」というタイトルの米国仮特許出願番号第61/129,537号の利益を主張し、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究の記載)
本発明は、米国陸軍医療研究・資材司令部(U.S. Army Medical Research and Materiel Command)によって与えられた認可番号W81XWH-05-1-0058(PC040768)のもとで、一部政府支援によりなされたものである。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
(技術分野)
本発明は、治療剤(therapeutics)、その使用、および種々の癌を含めた種々の適応症の治療方法に関する。具体的には、本発明は、前立腺癌などの癌の治療および治療方法に関し、ここで癌はすべての病期、ならびにアンドロゲン依存性、アンドロゲン感受性、およびアンドロゲン非依存性(ホルモン抵抗性、去勢抵抗性、アンドロゲン遮断抵抗性、アンドロゲン除去抵抗性、アンドロゲン枯渇非依存性、去勢/再発性(castration-recurrent)、抗アンドロゲン薬/再発性(anti-androgen-recurrent)ともいう)のものを含む。
【背景技術】
【0004】
(背景)
アンドロゲンは、アンドロゲン受容体(androgen receptor)(AR)を介してその効果をもたらす。アンドロゲンは、広範囲の発育反応および生理学的反応における役割を果たし、男性への性分化、精子形成の維持、および男性のゴナドトロピン調節にかかわっている(R. K. Ross, G. A. Coetzee, C. L. Pearce, J. K. Reichardt, P. Bretsky, L. N. Kolonel, B. E. Henderson, E. Lander, D. AltshulerおよびG. Daley, Eur Urol 35, 355〜361 (1999); A. A. Thomson, Reproduction 121, 187〜195 (2001); N. Tanji, K. AokiおよびM. Yokoyama, Arch Androl 47, 1〜7 (2001))。いくつかの系統において、アンドロゲンが前立腺の発癌の発達と関連していることを示す証拠がある。まず第一に、アンドロゲンは、げっ歯類モデルにおいて前立腺の発癌を誘発しており(R. L. Noble, Cancer Res 37, 1929〜1933 (1977); R. L. Noble, Oncology 34, 138〜141 (1977))、アナボリックステロイドの形態でアンドロゲンを受けた男性は、前立腺癌の発生率が高い(J. T. RobertsおよびD. M. Essenhigh, Lancet 2, 742 (1986); J. A. Jackson, J. WaxmanおよびA. M. Spiekerman, Arch Intern Med 149, 2365〜2366 (1989); P. D. Guinan, W. Sadoughi, H. Alsheik, R. J. Ablin, D. AlrengaおよびI. M. Bush, Am J Surg 131, 599〜600 (1976))。第二に、ヒトまたはイヌが思春期の前に去勢された場合、前立腺癌は発症しない(J. D. WilsonおよびC. Roehrborn, J Clin Endocrinol Metab 84, 4324〜4331 (1999); G. Wilding, Cancer Surv 14, 113〜130 (1992))。成人男性を去勢することにより、前立腺の退縮および前立腺上皮のアポトーシスがもたらされるが、他の男性外性器に対しては何ら影響しない(E. M. BruckheimerおよびN. Kyprianou, Cell Tissue Res 301, 153〜162 (2000); J. T. Isaacs, Prostate 5, 545〜557 (1984))。このアンドロゲンへの依存性は、化学的去勢または去勢手術(アンドロゲン除去)により前立腺癌を治療するという、根底にある理論的根拠を提供する。
【0005】
アンドロゲンはまた、女性の癌における役割も果たしている。1つの例は卵巣癌であり、アンドロゲンレベルの上昇が、卵巣癌を発症する危険性の増大と関連している(K. J. Helzlsouer, A. J. Alberg, G. B. Gordon, C. Longcope, T. L. Bush, S. C. HoffmanおよびG. W. Comstock, JAMA 274, 1926〜1930 (1995); R. J. Edmondson, J. M. MonaghanおよびB. R. Davies, Br J Cancer 86, 879〜885 (2002))。ARが大多数の卵巣癌で検出されているのに対して(H. A. Risch, J Natl Cancer Inst 90, 1774〜1786 (1998); B. R. RaoおよびB. J. Slotman, Endocr Rev 12, 14〜26 (1991); G. M. ClintonおよびW. Hua, Crit Rev Oncol Hematol 25, 1〜9 (1997))、エストロゲン受容体α(ERa)およびプロゲステロン受容体は、50%未満の卵巣腫瘍でしか検出されていない。
【0006】
進行性前立腺癌に利用できる唯一の効果的な治療法は、前立腺上皮細胞の生存に不可欠なアンドロゲンの除去である。アンドロゲン除去療法は、血清前立腺特異抗原(prostate-specific antigen)(PSA)の減少に付随する全身腫瘍組織量の一時的な減少をもたらす。残念ながら前立腺癌は、結局はアンドロゲンの非存在下で再び増殖し得る(アンドロゲン非依存性疾患)(Huberら 1987 Scand J. Urol Nephrol. 104, 33〜39)。アンドロゲン非依存性疾患は、症状が始まる前に血清PSAの力価が増大することによって生化学的に特徴づけられる(Millerら 1992 J. Urol. 147, 956〜961)。該疾患がアンドロゲン非依存性となると、大抵の患者はその疾患によって2年以内に死亡する。
【0007】
ARは、カルボキシ末端のリガンド結合ドメイン(LBD)、2個の亜鉛フィンガーモチーフを含むDNA結合ドメイン(DBD)、および1個以上の転写活性化ドメインを含むN末端ドメイン(NTD)を含む別個の機能ドメインを有する。ARのLBDにアンドロゲン(リガンド)が結合すると、転写を開始すべく、受容体が、PSAなどの「通常は」アンドロゲンにより制御される遺伝子のプロモーター領域およびエンハンサー領域における、アンドロゲン応答エレメント(ARE)と呼ばれるその特異的なDNAのコンセンサス部位に効率的に結合することができ、ARが活性化する。ARは、cAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)経路の刺激、インターロイキン6(IL-6)、および種々の成長因子によって、アンドロゲンの非存在下で活性化され得る(Culigら 1994 Cancer Res. 54, 5474〜5478; Nazarethら 1996 J. Biol. Chem. 271, 19900〜19907; Sadar 1999 J. Biol. Chem. 274, 7777〜7783; Uedaら 2002 A J. Biol. Chem. 277, 7076〜7085; およびUedaら 2002 B J. Biol. Chem. 277, 38087〜38094)。ARのリガンド非依存性変換(transformation)の機構は、1)核転位を示唆する核ARタンパク質の増加;2)AR/ARE複合体形成の増加;および3)AR NTDに関連することが示されている(Sadar 1999 J. Biol. Chem. 274, 7777〜7783;Uedaら 2002 A J. Biol. Chem. 277, 7076〜7085;およびUedaら 2002 B J. Biol. Chem. 277, 38087〜38094)。ARは、アンドロゲン非依存性疾患において、別のシグナル伝達経路によって精巣アンドロゲンの非存在下で活性化され得、このことは二次前立腺癌の腫瘍に核ARタンパク質が存在しているという知見(Kimら 2002 Am. J. Pathol. 160, 219〜226;およびvan der Kwastら 1991 Inter. J. Cancer 48, 189〜193)と一致している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
入手可能なAR阻害剤としては、ビカルタミド(カソデックス(Casodex)(登録商標))、ニルタミド、およびフルタミドなどの非ステロイド性抗アンドロゲン剤、ならびにステロイド性抗アンドロゲン剤のシプロテロンアセタートが挙げられる。これらの抗アンドロゲン剤は、ARのLBDを標的とし、おそらく、不十分な親和性およびこれらの抗アンドロゲン剤によるAR活性化を導く変異のために、大部分は機能していない(Taplin, M.E., Bubley, G.J., Kom Y.J., Small E.J., Uptonm M., Rajeshkumarm B., Balkm S.P., Cancer Res., 59, 2511〜2515 (1999))。これらの抗アンドロゲン剤はまた、リガンド結合ドメイン(LBD)を欠く最近発見されたARスプライスバリアントに対しても効果を有しておらず、その結果アンドロゲン非依存性前立腺癌の進行を促進する構成的に活性な受容体を生じさせることとなる(Dehm SM, Schmidt LJ, Heemers HV, Vessella RL, Tindall DJ., Cancer Res 68, 5469〜77, 2008; Guo Z, Yang X, Sun F, Jiang R, Linn DE, Chen H, Chen H, Kong X, Melamed J, Tepper CG, Kung HJ, Brodie AM, Edwards J, Qiu Y., Cancer Res. 69, 2305〜13, 2009)。
【0009】
従来の治療法は、ARをそのC末端領域を通じてアンドロゲン依存的に活性化することに焦点を合わせている。ARに対するアンタゴニストを開発する最近の研究は、C末端に焦点を合わせており、具体的には、1)アロステリックポケットおよびAF-2活性(Estebanez-Perpinaら 2007, PNAS 104, 16074〜16079);2)非ステロイド性アンタゴニストの同定のためのインシリコ「薬物の目的再評価(repurposing)」手順(Bissonら 2007, PNAS 104, 11927〜11932);ならびにコアクチベーターまたはコリプレッサー相互作用(Changら 2005, Mol Endocrinology 19, 2478〜2490;Hurら 2004, PLoS Biol 2, E274;Estebanez-Perpinaら2005, JBC 280, 8060〜8068;Heら 2004, Mol Cell 16, 425〜438)に焦点を合わせている。
【0010】
NTDがアンドロゲンの非存在下でARの活性化における役割を果たしているため(Sadar, M.D. 1999 J. Biol. Chem. 274, 7777〜7783;Sadar MDら 1999 Endocr Relat Cancer. 6, 487〜502;Uedaら 2002 J. Biol. Chem. 277, 7076〜7085;Ueda 2002 J. Biol. Chem. 277, 38087〜38094;Blaszczykら 2004 Clin Cancer Res. 10, 1860〜9;Dehmら 2006 J Biol Chem. 28, 27882〜93;Gregoryら 2004 J Biol Chem. 279, 7119〜30)、AR NTDはまた、薬物開発の標的でもある(例えばWO 2000/001813)。AR NTDは、デコイ分子の適用(Quayleら 2007, Proc Natl Acad Sci U S A. 104, 1331〜1336)によって示されるように、前立腺癌のホルモンによる進行に重要である。
【0011】
ARのC末端LBDについては結晶構造が解明されているが、このことは、NTDに対しては、その柔軟性の高さ、および溶液中での固有の(intrinisic)無秩序さ(Reidら 2002 J. Biol. Chem. 277, 20079〜20086)のために当てはまらず、それにより仮想的に(virtual)結合する薬物発見のアプローチを妨げている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(概要)
本発明は、部分的には、本明細書中に記載した化合物がアンドロゲン受容体(AR)活性を調節するという思いがけない発見に基づく。具体的には、本明細書中で定義した化合物は、ARのN末端ドメイン(N-Terminal Domain)(NTD)のトランス活性化の阻害を示し、このことは、アンドロゲンの存在下および非存在下で、インビボにおける腫瘍成長を阻止するのに有用であり得る。海生無脊椎動物抽出物の最初のスクリーニングは、AR NTDのトランス活性化を少なくとも50%阻害するための試験であり、最初のスクリーニングで同定された化合物のいくつかは、BADGE(ビスフェノールAジグリシドエーテル(Bisphenol A Diglycidic Ether))との構造上の類似性を有すると判断されたため、該発見は、特に偶然であった。BADGEとの類似性は、これらの化合物が工業起源のものである可能性が高く、汚染された海水から海綿によって生物濃縮されたことを示唆している。したがって、Badge化合物の活性が公知であるため、本BADGE誘導体は、どのような他の状況下においてもアッセイでスクリーニングされた可能性が非常に低い。
【0013】
本明細書中に記載した化合物は、オーファン受容体および核内受容体(アンドロゲン受容体などのステロイド受容体を含む)のメカニズムを調べるための、インビボまたはインビトロの研究用途(すなわち非臨床的なもの)に使用することができる。さらに、こうした化合物は、組換えタンパク質、培養液中で保持された細胞、および/または動物モデルを用いて、シグナル伝達経路ならびに/またはオーファン受容体および核内受容体の活性化を調べるための、インビボまたはインビトロの研究のために個別にまたはキットの一部として、使用することができる。
【0014】
本発明はまた、部分的には、本明細書中に記載した化合物は、研究用途および治療用途のいずれについても、インビボまたはインビトロのいずれかで、アンドロゲン受容体の活性を調節するために使用し得るという驚くべき発見にも基づく。該化合物は、アンドロゲン受容体の活性が調節され得るように、有効量で使用することができる。アンドロゲン受容体は、哺乳動物のものであり得る。あるいは、アンドロゲン受容体は、ヒトのものであり得る。とりわけ該化合物は、ARのN末端ドメイン(NTD)のトランス活性化を阻害するために使用することができる。該化合物の調節活性は、以下の適応症:前立腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、脱毛、ざ瘡、多毛症、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣疾患(polycystic ovary disease)、思春期早発症、および加齢性黄斑変性症の少なくとも1つの研究のためのインビボモデルまたはインビトロモデルのいずれかに使用することができる。さらに、該化合物の調節活性は、以下の適応症:前立腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、脱毛、ざ瘡、多毛症、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣疾患、思春期早発症(精巣中毒症(testoxicosis))、および加齢性黄斑変性症の少なくとも1つの治療に使用することができる。治療のための適応症は、前立腺癌であってもよい。該前立腺癌は、アンドロゲン非依存性前立腺癌であってもよい。該前立腺癌は、アンドロゲン依存性前立腺癌であってもよい。
【0015】
一つの実施態様によれば、アンドロゲン受容体(AR)活性を調節するための、式I
【0016】
【化1】

【0017】
[式中、Jは、H、または表1から選択される部分とすることができ;Lは、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGとすることができ;Xは、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2とすることができ;Qは、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGとすることができ;Zは、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gとすることができ;R1およびR2は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルとすることができ、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成することができ;G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または芳香族環式もしくは非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C10アルキルとすることができ;R3は、H、分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル、または
【0018】
【化2】

【0019】
とすることができ;J′は、H、または表1から選択される部分とすることができ;L′は、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGとすることができ;Z′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gとすることができ;Q′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGとすることができ;X′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2、または
【0020】
【化3】

【0021】
とすることができ;R1′およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルとすることができ、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成することができ;J′′およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分とすることができ;L′′は、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGとすることができ;Z′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gとすることができ;Q′′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGとすることができ;X′′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2とすることができ;式中、任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択することができ、Rは、非置換のC1〜C10アルキルとすることができる]
の構造を有する化合物の使用が提供される。あるいは、該使用は、アンドロゲン受容体(AR)を調節するための医薬の製造のためのものであってもよい。
【0022】
別の実施態様によれば、上に示した式Iの構造を有する化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0023】
別の実施態様によれば、AR活性の調節方法が提供され、当該方法は上に示した式Iの構造を有する化合物を哺乳動物細胞に投与することを含む。
【0024】
アンドロゲン受容体(AR)活性の調節は、哺乳動物細胞におけるものであってもよい。アンドロゲン受容体(AR)の活性の調節は、哺乳動物におけるものであってもよい。該哺乳動物は、ヒトであってもよい。
【0025】
あるいは、投与は、哺乳動物に対するものであってもよい。投与は、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、脱毛、ざ瘡、多毛症、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣疾患(polycystic ovary disease)、思春期早発症、および加齢性黄斑変性症からなる群から選択される少なくとも1つの適応症の治療のための、投与を必要とする哺乳動物に対する、有効量によるものであってもよい。
【0026】
X、X′およびX′′は、それぞれ独立して、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であってもよい。Z、Z′およびZ′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、またはCOHであってもよい。R3は、
【0027】
【化4】

【0028】
であってもよい。
【0029】
Z、Z′およびZ′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CNH2、COSO3H、またはCOPO3H2であってもよい。Z、Z′およびZ′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、またはCOHであってもよい。Z、Z′およびZ′′は、それぞれ独立して、CH、CF、CCl、CBr、またはCIであってもよい。Z、Z′およびZ′′は、それぞれ独立して、CH、CCl、またはCBrであってもよい。Z、Z′およびZ′′は、それぞれ、CHであってもよい。
【0030】
Q、Q′およびQ′′は、それぞれ、G、O、CH2、CHG、S、またはNHであってもよい。Q、Q′およびQ′′は、それぞれ、O、CH2、S、またはNHであってもよい。Q、Q′およびQ′′は、それぞれ、O、CH2、またはNHであってもよい。Q、Q′およびQ′′は、それぞれ、OまたはCH2であってもよい。Q、Q′およびQ′′は、それぞれ、Oであってもよい。Q、Q′およびQ′′は、それぞれ、G、O、CHG、またはNHであってもよい。Q、Q′およびQ′′は、それぞれ、G、O、またはCHGであってもよい。Q、Q′およびQ′′は、それぞれ、GまたはOであってもよい。
【0031】
R1、R1′、R2およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであってもよい。R1、R1′、R2およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C9アルキルであってもよい。R1、R1′、R2およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C8アルキルであってもよい。R1、R1′、R2およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C7アルキルであってもよい。R1、R1′、R2およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C6アルキルであってもよい。R1、R1′、R2およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C5アルキルであってもよい。R1、R1′、R2およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C4アルキルであってもよい。R1、R1′、R2およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C3アルキルであってもよい。R1、R1′、R2およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C2アルキルであってもよい。R1、R1′、R2およびR2′は、それぞれ、HまたはCH3であってもよい。R1、R1′、R2およびR2′は、それぞれ、CH3であってもよい。R1、R1′、R2およびR2′は、それぞれ、Hであってもよい。
【0032】
Xは、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、CH3OCH3、CH3OCH2CH3、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であってもよい。Xは、H、CH3、CH3OCH3、CH3OCH2CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であってもよい。Xは、H、CH3、CH3OCH3、CH3OCH2CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、またはCH2OGOG′であってもよい。Xは、H、CH3、CH3OCH3、CH3OCH2CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、またはCH2OGであってもよい。Xは、H、CH3、CH3OCH3、CH3OCH2CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、またはCH2OJ′′′であってもよい。Xは、H、CH3、CH3OCH3、CH3OCH2CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、またはCH2Iであってもよい。Xは、CH3、CH3OCH2CH3、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、CH2OCH3、またはCH2O(イソプロピル)であってもよい。Xは、CH3、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、CH3OCH2CH3、またはCH2OCH3であってもよい。Xは、CH3、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、またはCH2OCH3であってもよい。Xは、CH3、CH2OH、CH2OCH3、またはCH2OCH2CH3であってもよい。Xは、CH2Cl、CH2F、CH2I、またはCH2Brであってもよい。
【0033】
X′は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であってもよい。X′は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、またはCH2OGOG′であってもよい。X′は、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、CH2OCH3、CH2O(イソプロピル)、またはCH2OC2H4OC4H9であってもよい。X’は、H、CH3、CH3OCH3、CH3OCH2CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、またはCH2Iであってもよい。X’は、CH3、CH3OCH2CH3、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、CH2OCH3、またはCH2O(イソプロピル)であってもよい。X’は、CH3、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、CH3OCH2CH3、またはCH2OCH3であってもよい。X’は、CH3、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、またはCH2OCH3であってもよい。X’は、CH3、CH2OH、CH2OCH3、またはCH2OCH2CH3であってもよい。X’は、CH2Cl、CH2F、CH2I、またはCH2Brであってもよい。
【0034】
X′′は、H、CH3、CH2I、CH2Cl、CH2Br、CH2F、CH2OJ′′′、CH2OG、またはCH2OGOG′であってもよい。X′′は、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、CH2OCH3、CH2O(イソプロピル)、またはCH2OC2H4OC4H9であってもよい。X”は、H、CH3、CH3OCH3、CH3OCH2CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、またはCH2Iであってもよい。X”は、CH3、CH3OCH2CH3、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、CH2OCH3、またはCH2O(イソプロピル)であってもよい。X”は、CH3、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、CH3OCH2CH3、またはCH2OCH3であってもよい。X”は、CH3、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、またはCH2OCH3であってもよい。X”は、CH3、CH2OH、CH2OCH3、またはCH2OCH2CH3であってもよい。X”は、CH2Cl、CH2F、CH2I、またはCH2Brであってもよい。X′′はCH2OCH3であってもよく、XはCH2OCH3であってもよい。
【0035】
J、J′、J′′およびJ′′′は、存在する場合、それぞれ独立して、H、または表1から選択されるアミノ酸系部分もしくはポリエチレングリコール系部分であってもよい。あるいは、J、J′、J′′およびJ′′′は、存在する場合、それぞれ独立して、H、または表1から選択されるアミノ酸系部分であってもよい。J、J′、J′′およびJ′′′は、存在する場合、それぞれ独立して、表1から選択されるアミノ酸系部分またはポリエチレングリコール系部分であってもよい。あるいは、J、J′、J′′およびJ′′′は、存在する場合、それぞれ独立して、表1から選択されるアミノ酸系部分であってもよい。J、J′、J′′、J′′′は、存在する場合、それぞれHであってもよい。J、J′、J′′およびJ′′′は、存在する場合、それぞれ、
【0036】
【化5】

【0037】
であってもよい。L、L′およびL′′は、存在する場合、独立して、O、S、NH、またはN+H2であってもよい。L、L′およびL′′は、存在する場合、独立して、O、S、またはNHであってもよい。L、L′およびL′′は、存在する場合、独立して、OまたはSであってもよい。あるいは、L、L′およびL′′は、存在する場合、Oであってもよい。
【0038】
G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または芳香族環式もしくは非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C10アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C10アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換の、または飽和もしくは不飽和のC1〜C10アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または芳香族環式もしくは非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C9アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または芳香族環式もしくは非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C8アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または芳香族環式もしくは非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C7アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または芳香族環式もしくは非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C6アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または芳香族環式もしくは非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C5アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C4アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C3アルキルであってもよい。
【0039】
任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択してもよい。任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、SO3H、SO3R、SO2R、およびNO2からなる群から選択してもよい。任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、およびNO2からなる群から選択してもよい。任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、およびIからなる群から選択してもよい。任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、OH、F、Cl、Br、およびIからなる群から選択してもよい。任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、OH、F、およびClからなる群から選択してもよい。Rは、非置換のC1〜C10アルキルであってもよい。Rは、非置換のC1〜C9アルキルであってもよい。Rは、非置換のC1〜C8アルキルであってもよい。Rは、非置換のC1〜C7アルキルであってもよい。Rは、非置換のC1〜C6アルキルであってもよい。Rは、非置換のC1〜C5アルキルであってもよい。Rは、非置換のC1〜C4アルキルであってもよい。Rは、非置換のC1〜C3アルキルであってもよい。Rは、非置換のC1〜C2アルキルであってもよい。Rは、非置換のC1アルキルであってもよい。
【0040】
該化合物は、下記:
【0041】
【化6−1】

【0042】
【化6−2】

【0043】
【化6−3】

【0044】
【化6−4】

【0045】
【化6−5】

【0046】
【化6−6】

【0047】
の1つ以上から選択してもよい。
【0048】
本明細書中に記載した化合物は、すべてのラセミ混合物、およびすべての個々の鏡像異性体、またはこれらの組み合わせが本明細書中に示されているか否かにかかわらず、それらを含むことが意図されている。あるいは、上記化合物の1つ以上のOH基は、表1から選択される部分でそのHを置換するように、置換されていてもよい。
【0049】
哺乳動物細胞は、ヒト細胞であってもよい。ARの活性の調節は、ARのN末端ドメインの活性を阻害するためのものであってもよい。ARの活性の調節は、ARのN末端ドメイン(NTD)の活性を阻害するためのものであってもよい。該調節は、インビボのものであってもよい。ARの活性の調節は、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、脱毛、ざ瘡、多毛症、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣疾患、思春期早発症、および加齢性黄斑変性症からなる群から選択される少なくとも1つの適応症の治療のためのものであってもよい。該適応症は、前立腺癌であってもよい。該前立腺癌は、アンドロゲン非依存性前立腺癌であってもよい。該前立腺癌は、アンドロゲン依存性前立腺癌であってもよい。
【0050】
別の実施態様によれば、式II
【0051】
【化7】

【0052】
[式中、JおよびJ′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分とすることができ;LおよびL′は、それぞれ独立して、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGとすることができ;QおよびQ′は、それぞれ独立して、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGとすることができ;ZおよびZ′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gとすることができ;R1およびR2は、それぞれ独立して、H;または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルとすることができ、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成することができ;Xは、CH2OG、CH2OGOG′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2I、CH2Br、CH2F、またはCH2NG2とすることができ;X′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2F、CHF2、CF3、CH2OJ′′′、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2、または
【0053】
【化8】

【0054】
とすることができ;R1′およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルとすることができ、あるいはR1′およびR2′は一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;J′′およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分とすることができ;L′′は、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGとすることができ;Z′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gとすることができ;Q′′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGとすることができ;X′′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2とすることができ;G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状または非分枝状の、非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C10アルキルとすることができ;式中、任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択することができ、Rは、非置換のC1〜C10アルキルとすることができる]
により表される構造を有する化合物が提供される。
【0055】
あるいは、JおよびJ′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分であってもよく;LおよびL′は、それぞれ独立して、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGであってもよく;QおよびQ′は、それぞれ独立して、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであってもよく;ZおよびZ′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであってもよく;R1およびR2は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであってもよく、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成してもよく;Xは、CH2OG、CH2OGOG′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2I、CH2Br、またはCH2Fであってもよく;X′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2F、CHF2、CF3、CH2OJ′′′、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2、または
【0056】
【化9】

【0057】
であってもよく;R1′およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであってもよく、あるいはR1′およびR2′は一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;J′′およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分であってもよく;L′′は、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGであってもよく;Z′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであってもよく;Q′′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであってもよく;X′′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であってもよく;G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状または非分枝状の、非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C10アルキルであってもよく;式中、任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択してもよく、Rは、非置換のC1〜C10アルキルであってもよい。
【0058】
あるいは、式中、JおよびJ′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分であってもよく;LおよびL′は、それぞれ独立して、O、S、またはNHであってもよく;QおよびQ′は、それぞれ独立して、O、CH2、S、またはNHであってもよく;ZおよびZ′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CI、COH、またはCNH2であってもよく;R1およびR2は、それぞれ独立して、H;または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであってもよく、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成してもよく;Xは、CH2OG、CH2OGOG′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2I、CH2Br、CH2F、またはCH2NG2であってもよく;X′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2F、CHF2、CF3、CH2OJ′′′、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2であってもよく;R1′およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C5アルキルであってもよく、あるいはR1′およびR2′は一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;J′′およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分であってもよく;L′′は、O、S、またはNHであってもよく;Z′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CI、COH、またはCNH2であってもよく;Q′′は、O、CH2、S、またはNHであってもよく;X′′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2I、CH2Br、CH2F、またはCH2NG2であってもよく、G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状または非分枝状の、非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C5アルキルであってもよく;式中、任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、CN、SH、SO3H、およびNO2からなる群から選択してもよく、Rは、非置換のC1〜C5アルキルであってもよい。
【0059】
X′は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2、または
【0060】
【化10】

【0061】
であってもよい。
【0062】
X′は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であってもよい。X′は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、またはGOG′OG′′であってもよい。X′は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OG、またはCH2OGOG′であってもよい。X′は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、またはCH2OGであってもよい。X′は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2O(イソプロピル)、CH2OCH3、またはCH2OCH2CH3であってもよい。X′は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2O(イソプロピル)、CH2OCH3、またはCH2OCH2CH3であってもよい。X′は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、またはCH2OCH3であってもよい。
【0063】
X′′は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2O(イソプロピル)、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であってもよい。X”は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2O(イソプロピル)、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、またはGOG′OG′′であってもよい。X”は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2O(イソプロピル)、CH2OCH3、またはCH2OCH2CH3であってもよい。X”は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、またはCH2OCH3であってもよい。X”は、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、またはCH2Iであってもよい。
【0064】
Xは、CH2OG、CH2OGOG′、CH2SG、CH2I、CH2Br、またはCH2Fであってもよい。Xは、CH2I、CH2Br、CH2F、CH2OG、またはCH2OGOG′であってもよい。Xは、CH2I、CH2Br、CH2F、CH2OCH3、CH2O(イソプロピル)、またはCH2OC2H4OC4H9であってもよい。Xは、CH2I、CH2Br、CH2F、CH2OCH3、またはCH2OCH2CH3であってもよい。Xは、CH2I、CH2Br、CH2F、またはCH2OCH3であってもよい。Xは、CH2I、CH2Br、またはCH2Fであってもよい。
【0065】
Z、Z′およびZ′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、またはCOHであってもよい。Z、Z′およびZ′′は、それぞれ独立して、CH、CF、CCl、CBr、CI、またはCOHであってもよい。あるいは、Z、Z′およびZ′′は、それぞれ独立して、CH、CF、CCl、CBr、またはCIであってもよい。Z、Z′およびZ′′は、それぞれ、CHであってもよい。
【0066】
Q、Q′およびQ′′は、それぞれ、Oであってもよい。
【0067】
R1、R1′、R2、およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであってもよい。R1、R1′、R2、およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C9アルキルであってもよい。R1、R1′、R2、およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C8アルキルであってもよい。R1、R1′、R2、およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C7アルキルであってもよい。R1、R1′、R2、およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C6アルキルであってもよい。R1、R1′、R2、およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C5アルキルであってもよい。R1、R1′、R2、およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C4アルキルであってもよい。R1、R1′、R2、およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C3アルキルであってもよい。R1、R1′、R2、およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C2アルキルであってもよい。R1、R1′、R2、およびR2′は、それぞれ、HまたはCH3であってもよい。R1、R1′、R2、およびR2′は、それぞれ、CH3であってもよい。R1、R1′、R2、およびR2′は、それぞれ、Hであってもよい。
【0068】
存在する場合、J、J′、J′′、およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択されるアミノ酸系部分もしくはポリエチレングリコール系部分であってもよい。あるいは、存在する場合、J、J′、J′′、およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択されるアミノ酸系部分であってもよい。存在する場合、J、J′、J′′、およびJ′′′は、それぞれ独立して、表1から選択されるアミノ酸系部分またはポリエチレングリコール系部分であってもよい。あるいは、存在する場合、J、J′、J′′、およびJ′′′は、それぞれ独立して、表1から選択されるアミノ酸系部分であってもよい。存在する場合、J、J′、J′′、J′′′は、それぞれHであってもよい。存在する場合、J、J′、J′′、およびJ′′′は、それぞれ
【0069】
【化11】

【0070】
であってもよい。
【0071】
存在する場合、L、L′およびL′′は、それぞれ独立して、O、NH、またはN+H2であってもよい。存在する場合、L、L′およびL′′は、それぞれ、OまたはSであってもよい。あるいは、存在する場合、L、L′およびL′′は、それぞれOであってもよい。
【0072】
G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C10アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C10アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換または飽和のC1〜C10アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C9アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C8アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C7アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C6アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C5アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C4アルキルであってもよい。G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C3アルキルであってもよい。
【0073】
任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択してもよい。任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、SO3H、SO3R、SO2R、およびNO2からなる群から選択してもよい。任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、およびNO2からなる群から選択してもよい。任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、およびIからなる群から選択してもよい。任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、OH、F、Cl、Br、およびIからなる群から選択してもよい。任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、OH、F、およびClからなる群から選択してもよい。Rは、非置換C1〜C10アルキルであってもよい。Rは、非置換C1〜C9アルキルであってもよい。Rは、非置換C1〜C8アルキルであってもよい。Rは、非置換C1〜C7アルキルであってもよい。Rは、非置換C1〜C6アルキルであってもよい。Rは、非置換C1〜C5アルキルであってもよい。Rは、非置換C1〜C4アルキルであってもよい。Rは、非置換C1〜C3アルキルであってもよい。Rは、非置換C1〜C2アルキルであってもよい。Rは、非置換C1アルキルであってもよい。
【0074】
該化合物は、下記:
【0075】
【化12−1】

【0076】
【化12−2】

【0077】
【化12−3】

【0078】
【化12−4】

【0079】
【化12−5】

【0080】
【化12−6】

【0081】
の1つ以上から選択してもよい。
【0082】
本明細書中に記載した化合物は、すべてのラセミ混合物、およびすべての個々の鏡像異性体、またはこれらの組み合わせが本明細書中に示されているか否かにかかわらず、それらを含むことが意図されている。あるいは、1つ以上のOH基は、表1から選択される部分でそのHを置換するように、置換されていてもよい。
【0083】
別の実施態様によれば、式:
【0084】
【化13】

【0085】
[式中、Jは、表1から選択される部分とすることができ;R1およびR2は、それぞれ独立して、H、または分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルとすることができ、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成することができ;式中、任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択することができ、Rは、非置換のC1〜C10アルキルとすることができる]
を有する化合物が提供される。
【0086】
あるいは、Jは、
【0087】
【化14】

【0088】
であってもよく;R1およびR2は、それぞれ、HおよびCH3から選択してもよい。
【0089】
別の実施態様によれば、
【0090】
【化15】

【0091】
の1つ以上の構造を有する化合物が提供される。
【0092】
あるいは、上記化合物の1つ以上のOH基は、表1から選択される部分でそのHを置換するように、置換されていてもよい。
【0093】
別の実施態様によれば、式II
【0094】
【化16】

【0095】
[式中、JおよびJ′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分とすることができ;LおよびL′は、それぞれ独立して、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGとすることができ;QおよびQ′は、それぞれ独立して、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGとすることができ;ZおよびZ′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gとすることができ;R1およびR2は、それぞれ独立して、H;または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC2〜C10アルキル、もしくは置換C1アルキルとすることができ、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成することができ;Xは、CH2OG、CH2OGOG′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2Cl、CH2I、CH2Br、CH2F、またはCH2NG2とすることができ;X′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2F、CHF2、CF3、CH2OJ′′′、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2、または
【0096】
【化17】

【0097】
とすることができ;R1′およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルとすることができ、あるいはR1′およびR2′は一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成することができ;J′′およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分とすることができ;L′′は、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGとすることができ;Z′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gとすることができ;Q′′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGとすることができ;X′′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2とすることができ;G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状または非分枝状の、非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C10アルキルとすることができ;式中、任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択することができ、Rは、非置換のC1〜C10アルキルとすることができる]
により表される構造を有する化合物が提供される。
【0098】
あるいは、JおよびJ′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分であってもよく;LおよびL′は、それぞれ独立して、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGであってもよく;QおよびQ′は、それぞれ独立して、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであってもよく;ZおよびZ′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであってもよく;R1およびR2は、それぞれ独立して、H;または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであってもよく、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成してもよく;Xは、CH2OG、CH2OGOG′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2I、CH2Br、またはCH2Fであってもよく;X′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2F、CHF2、CF3、CH2OJ′′′、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2、または
【0099】
【化18】

【0100】
であってもよく;R1′およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであってもよく、あるいはR1′およびR2′は、一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;J′′およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分であってもよく;L′′は、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGであってもよく;Z′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであってもよく;Q′′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであってもよく;X′′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であってもよく;G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状または非分枝状の、非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C10アルキルであってもよく;式中、任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択してもよく、Rは、非置換のC1〜C10アルキルであってもよい。
【0101】
別の実施態様によれば、上記化合物のいずれか一種による化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。
【0102】
さらなる実施態様によれば、スクリーニングされる化合物が、式III:
【0103】
【化19】

【0104】
[式中、Qは、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGとすることができ;Zは、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gとすることができ;R1およびR2は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルとすることができ、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成することができ;G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または芳香族環式もしくは非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C10アルキルとすることができ;Mは、以下のもの:
【0105】
【化20】

【0106】
(式中、Jは、H、または表1から選択される部分とすることができ;Lは、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGとすることができ;Xは、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2とすることができる)から選択することができ;R3は、H、分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル、または
【0107】
【化21】

【0108】
とすることができ;J′は、H、または表1から選択される部分とすることができ;L′は、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGとすることができ;Z′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gとすることができ;Q′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGとすることができ;X′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2、または
【0109】
【化22】

【0110】
とすることができ;R1′およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルとすることができ、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成することができ;J′′およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分とすることができ;L′′は、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGとすることができ;Z′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gとすることができ;Q′′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGとすることができ;X′′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2とすることができ;式中、任意の置換基は、存在する場合、オキソ(すなわち=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択することができ、Rは、非置換のC1〜C10アルキルとすることができる]
を有する化合物から選択される、アンドロゲン受容体を調節する化合物のスクリーニング方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】図1は、抽出物PNG 01-185が、ホルスコリン(FSK、50 μM)およびR1881(1 nM)によるPSA-ルシフェラーゼ(PSA-luc)活性の誘導を阻止したことを示す。
【図2】図2は、PNG 01-185-17-9を同定するための、PNG 01-185化合物群の分画を示す、フローチャートである。
【図3】図3は、ARR3-ルシフェラーゼ(ARR3-luc)活性に対する画分PNG 01-185-17の効果を示す。画分17-3および17-8は、ARR3-luc活性の50%阻害をもたらした。
【図4】図4は、PNG01-185-17-8画分が、AR-NTDGal4-luc活性を阻害したことを示す。
【図5】PNG01-185-17-8の構造類縁体であるPNG01-185-17-9-2(185-9-2)は、AR NTDの、FSK(50 μM)(左)およびインターロイキン6(IL-6、50 ng/ml)(右)によって誘導されるトランス活性化を阻止したが、抗アンドロゲン剤ビカルタミド(bicalutamide)(BIC 10 μM)は効果を有していなかった。
【図6】多くがよく特徴づけられており、機能的なアンドロゲン応答エレメント(ARE)を含む、PSA(6.1 kb)-ルシフェラーゼレポーター遺伝子コンストラクトを用いて測定した場合、185-9-2(5 μg/ml)は、リガンドに応答して、ARの転写活性を阻害した。ビカルタミド(BIC、10 μM)は、陽性対照として含めた。プロゲステロン受容体(progesterone receptor)(PR)およびグルココルチコイド受容体(glucocorticoid receptor)(GR)ならびにこれらの該当するレポーター遺伝子コンストラクト(PRE-lucまたはGRE-luc)の発現ベクターでトランスフェクションし、これらをそれぞれのステロイドに曝露したLNCaP細胞において、185-9-2は、プロゲステロン応答エレメント(progesterone response element)(PRE)-ルシフェラーゼレポーターの活性も、グルココルチコイド応答エレメント(glucocorticoid response element)(GRE)-ルシフェラーゼレポーターの活性も阻害しない(10 nM、黒色のバー)。白色のバーは、ステロイドがないことを表す(エタノール対照)。
【図7】QRT-PCRによって測定した場合、PNG01-185-17-9-2(185-9-2、5 μg/ml)は、R1881(1 nM)によって誘導される内在性PSA遺伝子発現(PSA mRNA)を阻害した。PSA mRNAレベルをGADPH mRNAレベルに対して正規化した。MNEは平均の正規化された発現(mean normalized expression)である。
【図8】A.185-9-2(B2、10 μg/ml)とともに、またはこれなしで、DHTで0時間、3時間、16時間処理したLNCaP細胞のエンハンサー領域における、PSAのAREへのARのリクルート(recruitment)を測定するChIP分析。B.ARタンパク質レベルは、185-9-2(B2)を用いて3時間または16時間処理した細胞に由来する細胞抽出物全体において減少しなかった。アンドロゲン受容体に対する抗体を用いたARレベルのウエスタンブロット解析。b-アクチンタンパク質レベルをローディングコントロール(loading control)として含めている。
【図9】DHTの存在下または非存在下で、インビトロで185-9-2(B2)とともに48時間維持したLNCaP細胞に由来する全細胞溶解物におけるAR。結果は、3つの別々の実験からのものである。
【図10】A.185-9-2(B2)またはDMSO(対照)で1時間前処理してから、10 nMのDHTで15分、30分、60分、または120分処理した、LNCaP細胞の細胞質ゾルまたは核におけるARタンパク質レベルのウエスタンブロット解析。B.AR-GFPをトランスフェクションし、185-9-2(B2)またはDMSO(対照)で1時間前処理してから10 nMのDHTを加え、さらに2時間インキュベートした、LNCaP細胞の蛍光顕微鏡観察。
【図11】N/C相互作用。VP16-ARTAD、Gal4-ARLBD、およびGal4-ルシフェラーゼレポーターをCV1細胞にトランスフェクションし、185-9-2(10 μg/ml)もしくはビカルタミド(BIC、10 μM)を加えてか、またはそれなしのR1881で24時間処理した。
【図12】PNG01-185-17-9-2(185-9-2)は、LNCaP細胞のアンドロゲン依存性増殖を阻止した。ビカルタミド(BIC、10 μM)または185-9-2(5 μg/ml)でLNCaP細胞を1時間処理してから、R1881(0.1 nM)を加えた。アンドロゲン処理の4日後に、細胞を収集し、BrdUの取り込みを測定した。p=0.0001(185-9-2+R1881と、R1881処理のみとの間)。
【図13】PNG01-185-17-9-2(185-9-2)は、PC3細胞の増殖を阻止しない(p<0.05、t検定)。ビヒクル(DMSO)または185-9-2(5 μg/ml)で3日間処理してから細胞を収集し、BrdUの取り込みを測定した。バーは、平均値±SEMを表す(n=3、1つの実験につき5回の反復を伴う別個の実験)。
【図14】A.去勢した動物における、DMSO(ビヒクル)または185-9-2のいずれかの1回目の腫瘍内(I.T.)注射の後、25日目の、収集したLNCaP異種移植片の代表的な写真。黒色のバーは、10 mmを表す。B.実験期間全体にわたるLNCaP異種移植片体積を示す、時間経過。185-9-2は腫瘍の大きさを減少させたが(n=10)、DMSOで処理した腫瘍は成長を続けた(n=9)。最初の注射時の腫瘍容積を100%と定めた。実線はDMSOで処理した動物を表し、破線は185-9-2で処理した動物を表す。C.185-9-2は体重を減少させなかった。ビヒクルまたは低分子を受け取ったLNCaP異種移植片を有するマウスにおける、0日目および実験終了時である25日目に測定した体重。
【図15】A.実験期間全体にわたるLNCaP異種移植片体積についての、185-9-2(B2)の静脈内(intravenous)(I.V.)注射と185-9-2およびBADGE・2HCl(B3、5日ごとの20 mg/kg体重の腫瘍内注射、各群についてn=3)の腫瘍内(I.T.)注射を比較する時間経過。185-9-2(B2)およびBADGE・2HCl(B3)は、腫瘍の大きさを減少させたが、DMSOで処理した腫瘍は成長し続けた。最初の注射時の腫瘍容積を100%と定めた。B.去勢した動物における、対照(DMSOビヒクル)または185-9-2(1日おき、50 mg/kg体重)を静脈内注射した動物の、最後の注射から2日後の、収集したLNCaP異種移植片の代表的な写真。黒色のバーは、10 mmを表す。アポトーシスを示すものとしてTUNEL、または増殖マーカーとしてKi67によって、示された腫瘍切片の染色。C.185-9-2の静脈内注射(I.V.)は体重を減少させなかった。
【図16】1日おきに合計5回、185-9-2(50 mg/kg体重)を静脈内(I.V.)注射した動物(図15参照)から収集した、主要器官の組織構造。最後の静脈内(I.V.)注射の2日後に異種移植片を収集し、ヘマトキシリン・エオシン(H&E)により染色した。DMSOは、静脈内(I.V.)投与もしたビヒクル・コントロールである。
【図17】インビボで、185-9-2は、ARタンパク質レベルを減少させない。A.185-9-2またはDMSOを静脈内(I.V.)注射した動物から異種移植片を収集し(図15参照)、NTDに対するモノクローナル抗体を用い、ARについて切片を染色した。B.185-9-2を腫瘍内(I.T.)注射した動物から25日目に収集した異種移植片(図14参照)から調製した細胞溶解物全体のARタンパク質レベルのウエスタンブロット解析。レーン1および2は、DMSO(対照1および2)で処理した2匹の異なる動物の異種移植片である。レーン3および4は、185-9-2(B2-1およびB2-2)で処理した2匹の異なる動物の異種移植片である。ブロットでは、上皮細胞のマーカーであるサイトケラチン18についても染色した。
【図18】図18は、去勢した宿主から25日目に収集したLNCaP異種移植片において、185-9-2が血管内皮増殖因子(VEGF)タンパク質レベルを減少させたことを示している。VEGFは、血管形成にかかわる重要な増殖因子である。左のカラムは、ビヒクル・コントロールで処理した異種移植片の染色を示す。
【図19】A.去勢しなかった動物における、DMSO(ビヒクル)または185-9-2(20 mg/kg体重)のいずれかの1回目の腫瘍内(I.T.)注射の後25日目の、収集したLNCaP異種移植片の代表的な写真。黒色のバーは、10 mmを表す。B.PNG01-185-017-9-2はPC3の腫瘍成長に対してわずかな効果を有していたが、全身腫瘍組織量を減少させなかった。実験期間全体にわたるPC3異種移植片体積を示す時間経過。最初の注射時の腫瘍容積を100%と定めた。実線はDMSOで処理した動物を表し、破線は185-9-2で処理した動物を表す。C.185-9-2は体重を減少させなかった。ビヒクルまたは低分子を受け取ったPC3異種移植片を有するマウスの、0日目および実験終了時の25日目に測定した体重。
【図20】シス作用エレメントとしてのGal4結合部位を含むレポーター遺伝子とともにGal4DBD-AR1-558キメラタンパク質の発現ベクター(p5xGal4UAS-TATA-ルシフェラーゼ)(B)をトランスフェクションしたLNCaP細胞で、BADGE・HCL・H2Oのグリシンエステル(A)を試験した。185-9-2のグリシンエステルGly-B2-HCl(25 μM)は、IL-6(50 ng/ml)によって誘導されるAR NTDのトランス活性化を阻止した。
【発明を実施するための形態】
【0112】
(詳細な説明)
本明細書中で使用される場合、語句「Cx〜Cyアルキル」は、それが通常当業者に理解されている通りに使用されており、多くの場合、x〜yの数(整数xおよびyを含めてその範囲内のすべての個々の整数が含まれる)の炭素原子を含む炭素骨格または主炭素鎖を有する化学物質(chemical entity)を指す。例えば、「C1〜C10アルキル」は、その炭素骨格または主鎖に、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個の炭素原子を有する化学物質である。
【0113】
本明細書中で使用される場合、用語「環式Cx〜Cyアルキル」は、それが通常当業者に理解されている通りに使用されており、多くの場合、化学物質の炭素骨格または主鎖の少なくとも一部が、一緒に結合する原子の「ループ(loop)」、円(circle)、または環(ring)を形成するように結合している化合物または化学物質を指す。原子はすべてが互いに直接結合している必要はないが、「ループ」中のほんの2個の他の原子にしか直接結合していなくてもよい。環式アルキルの非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、シクロペンタン、ビスフェノール、および1-クロロ-3-エチルシクロヘキサンが挙げられる。
【0114】
本明細書中で使用される場合、用語「分枝状」は、それが通常当業者に理解されている通りに使用されており、多くの場合、1より多い連続鎖に分枝する骨格または主鎖を含む化学物質を指す。1より多い方向に分かれる骨格または主鎖の部分は、直鎖状であってもよく、環状であってもよく、これらの任意の組み合わせであってもよい。分枝状アルキルの非限定的な例は、tert-ブチルおよびイソプロピルである。
【0115】
本明細書中で使用される場合、用語「非分枝状」は、それが通常当業者に理解されている通りに使用されており、多くの場合、1より多い(more that one)連続鎖に分枝しない骨格または主鎖を含む化学物質を指す。非分枝状アルキルの非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、およびn-ブチルである。
【0116】
本明細書中で使用される場合、用語「置換」は、それが通常当業者に理解されている通りに使用されており、多くの場合、1個以上のヘテロ原子を含む異なる化学基で置き換えられた1個の化学基を有する化学物質を指す。別段特定しない限り、置換アルキルは、1個以上の水素原子が水素ではない1個以上の原子で置換されているアルキルである。例えば、クロロメチルは、置換アルキルの非限定的な例であり、より具体的には置換メチルの例である。アミノエチルは、置換アルキルの別の非限定的な例であり、より具体的にはそれは置換エチルである。
【0117】
本明細書中で使用される場合、用語「非置換」は、それが通常当業者に理解されている通りに使用されており、多くの場合、炭化水素であり、かつ/またはヘテロ原子を含まない、化学物質を指す。非置換アルキルの非限定的な例としては、メチル、エチル、tert-ブチル、およびペンチルが挙げられる。
【0118】
本明細書中で使用される場合、化学物質に言及する場合の用語「飽和」は、それが通常当業者に理解されている通りに使用されており、多くの場合、単結合のみを含む化学物質を指す。飽和化学物質の非限定的な例としては、エタン、tert-ブチル、およびN+H3が挙げられる。
【0119】
本明細書中で使用される場合、C1〜C10アルキルとしては、限定されないが、例えば、飽和C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、およびC2〜C10アルキニルを挙げることができる。飽和C1〜C10アルキルの非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、sec-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、sec-ペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、1,2-ジメチルプロピル、2-エチルプロピル、1-メチル-2-エチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1,2-トリエチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2-エチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、sec-ヘキシル、t-ヘキシル、n-ヘプチル、i-ヘプチル、sec-ヘプチル、t-ヘプチル、n-オクチル、i-オクチル、sec-オクチル、t-オクチル、n-ノニル、i-ノニル、sec-ノニル、t-ノニル、n-デシル、i-デシル、sec-デシル、およびt-デシルを挙げることができる。C2〜C10アルケニルの非限定的な例としては、ビニル、アリル、イソプロペニル、1-プロペン-2-イル、1-ブテン-1-イル、1-ブテン-2-イル、1-ブテン-3-イル、2-ブテン-1-イル、2-ブテン-2-イル、オクテニル、およびデセニルを挙げることができる。C2〜C10アルキニルの非限定的な例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、およびデシニルを挙げることができる。飽和C1〜C10アルキル、C2〜C10アルケニル、またはC2〜C10アルキニルは、限定されないが、例えば、独立して窒素、硫黄、または酸素である1個以上のヘテロ原子によって分断されていてもよい。
【0120】
本明細書中で使用される場合、環式C3〜C10アルキルとしては、限定されないが、例えば、飽和C3〜C10シクロアルキル、C3〜C10シクロアルケニル、C3〜C10シクロアルキニル、C6〜10アリール、C6〜9アリールC1〜4アルキル、C6〜8アリールC2〜4アルケニル、C6〜8アリールC2〜4アルキニル、独立して窒素、硫黄、または酸素である1個以上のヘテロ原子を含む4〜10員の非芳香族複素環基、および独立して窒素、硫黄、または酸素である1個以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族複素環基を挙げることができる。飽和C3〜C10シクロアルキル基の非限定的な例としては、シクロプロパニル、シクロブタニル、シクロペンタニル、シクロヘキサニル、シクロヘプタニル、シクロオクタニル、シクロノナニル、およびシクロデカニルを挙げることができる。C3〜C10シクロアルケニル基の非限定的な例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロノナネニル(cyclononanenyl)、およびシクロデカネニル(cyclodecanenyl)を挙げることができる。C6〜C10アリール基の非限定的な例としては、フェニル(Ph)、ペンタレニル、インデニル、ナフチル、およびアズレニルを挙げることができる。C6〜9アリール−C1〜4アルキル基は、限定されないが、例えば、上記のいずれかの箇所で定義したC6〜9アリール基を置換基として有する、上記のいずれかの箇所で定義したC1〜4アルキル基であってもよい。C6〜8アリール−C2〜4アルケニル基は、限定されないが、例えば、上記のいずれかの箇所で定義したC6〜8アリール基を置換基として有する、上記のいずれかの箇所で定義したC2〜4アルケニルであってもよい。C6〜8アリール−C2〜4アルキニル基は、限定されないが、例えば、上記のいずれかの箇所で定義したC6〜8アリール基を置換基として有する、上記のいずれかの箇所で定義したC2〜4アルキニル基であってもよい。独立して窒素、硫黄、または酸素である1個以上のヘテロ原子を含む、4〜10員の非芳香族複素環基の非限定的な例としては、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル(imidazolydinyl)、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、アゼチジニル、オキセタニル、オキサチオラニル、フタルイミド、およびスクシンイミドを挙げることができる。独立して窒素、硫黄、または酸素である1個以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族複素環基の非限定的な例としては、ピロリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル(pirazinyl)、イミダゾリル、チアゾリル、およびオキサゾリルを挙げることができる。
【0121】
C1〜C10アルキルおよび環式C3〜C10アルキルは、それぞれ、置換されていなくてもよく、オキソ(=O)、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2(Rは、非置換のC1〜C10アルキルである)からなる群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい。さらに、該1個以上の置換基は、オキソ(=O)、OJ′′′、COOH、OH、F、Cl、Br、I、NH2、SH、SO3H、およびNO2からなる群から独立して選択されるものであってもよい。さらに、該1個以上の置換基は、オキソ(=O)、OJ′′′、COOH、OH、F、Cl、Br、およびIからなる群から独立して選択されるものであってもよい。さらに、該1個以上の置換基は、オキソ(=O)、OH、F、Cl、Br、およびIからなる群から独立して選択されるものであってもよい。さらに、該1個以上の置換基は、オキソ(=O)およびOHからなる群から独立して選択されるものであってもよい。さらに、Rは、非置換C1〜C5アルキルであってもよい。C1〜C10アルキルおよび環式C3〜C10アルキルは、それぞれ、限定されないが、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、または6個の置換基で置換されていてもよい。
【0122】
本明細書中で使用される場合、記号
【0123】
【化23】

【0124】
(以下「連結結合点」ということがある)は、2つの化学物質の間の連結点である結合を示し、該化学物質の一方は、連結結合点に結合しているものとして示されており、該化学物質の他方は、連結結合点に結合しているものとして示されていない。例えば、
【0125】
【化24】

【0126】
は、化学物質「XY」が、連結結合点を介して別の化学物質に結合していることを示す。さらに、示されていない化学物質への具体的な連結点は、推測によって特定することができる。例えば、化合物CH3-R3(式中R3は、Hまたは
【0127】
【化25】

【0128】
である)は、R3が「XY」である場合、連結結合点は、R3がCH3に結合していることを示している結合と同じ結合であることを暗示する。
【0129】
本明細書中で使用される場合、用語「部分」は、次の表1に示した部分のことをいう。
【0130】
【表1−1】

【0131】
【表1−2】

【0132】
【表1−3】

【0133】
【表1−4】

【0134】
限定されないが、部分は例えば、3つの群:1)アミノ酸系部分;2)ポリエチレングリコール系部分;および3)リン酸系部分に細分することができる。上記表1の部分において、最初の4つの部分はアミノ酸系部分であり、5番目のものおよび6番目のものはポリエチレングリコール系部分であり、残りの部分はリン酸系部分である。
【0135】
天然に存在するアミノ酸のアミノ酸側鎖(amino acid side chains)(本明細書中で「(aa)」を用いて示していることが多い)は、当業者に周知であり、1995年にScientific American Booksによって出版された、James Darnellらによる「分子細胞生物学(Molecular Cell Biology)」第3版などの種々の教科書に見出すことができる。天然に存在するアミノ酸は、式(NH2)C(COOH)(H)(R)(括弧内の化学基はそれぞれ、括弧内にない炭素に結合している)によりしばしば表される。Rは、この特定の式における側鎖を表す。
【0136】
本明細書中に記載した化合物に対する、部分の共有結合の位置は、限定されないが、例えば、特定の条件下で切断することができることを、当業者は理解する。特定の条件としては、限定されないが、例えば、インビボの酵素的または非酵素的手段を挙げることができる。該部分の切断は、限定されないが、例えば、自発的に起こってもよく、また該切断は触媒され、別の薬剤によって、または物理的パラメータもしくは環境パラメータ、例えば、酵素、光、酸、温度、もしくはpH、の変化によって誘導されてもよい。そのような部分は、限定されないが、例えば、官能基をマスクするように作用する保護基、1つ以上の能動的輸送メカニズムもしくは受動的輸送メカニズムの基質として作用する基、または化合物の性質、例えば、溶解性、バイオアベイラビリティもしくは局在性を付与するか、もしくは高めるように作用する基、であってもよい。
【0137】
上記式Iおよび式IIの、他の特定の実施態様において、表2における以下の化合物
【0138】
【表2−1】

【0139】
【表2−2】

【0140】
【表2−3】

【0141】
【表2−4】

【0142】
【表2−5】

【0143】
【表2−6】

【0144】
【表2−7】

【0145】
が提供される。
【0146】
本発明の化合物の製造方法または合成方法はまた、公知の化学合成の原理を参照する当業者によっても理解され得る。例えば、Auzouら 1974 European Journal of Medicinal Chemistry 9(5), 548〜554は、式Iまたは式IIの化合物の製造のために考慮することができ、また適切に適合し得る、適切な合成手順を記載している。式Iまたは式IIの化合物の製造において助けになり得る他の参考文献としては、Debasish Das, Jyh-Fu LeeおよびSoofin Cheng 「Sulfonic acid functionalized mesoporous MCM-41 silica as a convenient catalyst for Bisphenol-A synthesis」 Chemical Communications, (2001) 2178〜2179; 米国特許第2571217号、Davis, Orris L.; Knight, Horace S.; Skinner, John R. (Shell Development社) 「Halohydrin ethers of phenols」 (1951); ならびにRokicki, G.; Pawlicki, J.; Kuran, W. 「Reactions of 4-chloromethyl-1,3-dioxolan-2-one with phenols as a new route to polyols and cyclic carbonates」 Journal fuer Praktische Chemie (ライプツィヒ(Leipzig)) (1985) 327, 718〜722が挙げられる。
【0147】
式Iおよび式IIの化合物の化学的な製造を、以下の実施例において、そして以下の非限定的で例示的な合成スキームによって、述べる。
【0148】
【化26】

【0149】
上記スキームにおいて、RおよびR′は、限定されないが、例えば、H、Me、またはアルキルからなる群から独立して選択されるものであってもよい。
【0150】
特許請求の範囲の範囲に入る化合物は、以下の例示的な反応によって製造することができる。
【0151】
【化27】

【0152】
当業者は、式Iおよび式IIの化合物を製造するために、本明細書中で記載した単離技術と組み合わせて、または組み合わせずに、本明細書中で記載した合成アプローチを改変することができるであろう。
【0153】
いくつかの実施態様において、上記の式Iまたは式IIの化合物は、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、脱毛、ざ瘡、多毛症、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣疾患、思春期早発症、および加齢性黄斑変性症からなる群から選択される少なくとも1つの適応症の全身的治療に使用することができる。いくつかの実施態様において、式Iまたは式IIの化合物は、本明細書中に記載した適応症の全身的治療のための医薬または組成物の製造において使用することができる。いくつかの実施態様において、本明細書中に記載した適応症のいずれかを全身的に治療する方法もまた提供される。
【0154】
本明細書中に記載した化合物は、遊離形態であってもよく、その塩の形態であってもよい。いくつかの実施態様において、本明細書中に記載した化合物は、当業者に公知の薬学的に許容される塩(Bergeら, J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1)の形態とすることができる。本明細書中で使用される薬学的に許容される塩としては、例えば親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩(親化合物の生物学的有効性および/または性質を保持し、生物学的にかつ/またはその他の点で望ましくないことがない、塩)が挙げられる。塩を形成することが可能な1個以上の官能基を有する本明細書中に記載した化合物は、例えば、薬学的に許容される塩として形成することができる。1個以上の塩基性官能基を含む化合物は、例えば、薬学的に許容される有機酸または無機酸と共に、薬学的に許容される塩を形成することが可能であり得る。薬学的に許容される塩は、限定されないが、例えば、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、酪酸、ケイ皮酸、クエン酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジエチル酢酸、ジグルコン酸、ドデシルスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコヘプタン酸、グルコン酸、グリセロリン酸、グリコール酸、ヘミスルホン酸(hemisulfonic acid)、ヘプタン酸、ヘキサン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、イソニコチン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸(2-napthalenesulfonic acid)、ナフタレンジスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、ペクチン酸(pectinic acid)、3-フェニルプロピオン酸、リン酸、ピクリン酸、ピメリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、硫酸、スルファミン酸、酒石酸、チオシアン酸、またはウンデカン酸に由来するものであってもよい。1個以上の酸性官能基を含む化合物は、薬学的に許容される塩基、限定されないが、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属に基づく無機塩基、または第一級アミン化合物、第二級アミン化合物、第三級アミン化合物、第四級アミン化合物、置換アミン、天然に存在する置換アミン、環式アミン、もしくは塩基性イオン交換樹脂などの有機塩基と薬学的に許容される塩を形成することが可能であり得る。薬学的に許容される塩は、限定されないが、例えば、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、もしくはアルミニウムなどの薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、もしくは重炭酸塩、アンモニア、ベンザチン、メグルミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、グルカミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン類、ピペラジン、ピペリジン、プロカイン、N-エチルピペリジン、テオブロミン、テトラメチルアンモニウム化合物、テトラエチルアンモニウム化合物、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、モルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、またはポリアミン樹脂に由来するものであってもよい。いくつかの実施態様において、本明細書中に記載した化合物は、酸性基および塩基性基をともに含むことができ、内部塩または双性イオン、例えば限定されないがベタイン類、の形態とすることができる。本明細書中に記載した塩は、当業者に知られている常套の方法によって、例えば限定されないが遊離形態を、有機酸または無機酸もしくは無機塩基と反応させることによって、あるいは他の塩からの陰イオン交換もしくは陽イオン交換によって、製造することができる。当業者は、塩の製造は、化合物の単離および精製の間にin situで行ってもよく、また塩の製造は、単離および精製された化合物を別途反応させることによって行ってもよいことを理解する。
【0155】
いくつかの実施態様において、本明細書中に記載した化合物、およびそのすべての異なる形態(例えば遊離形態、塩、多形体、異性体)は、溶媒付加形態、例えば溶媒和物、とすることができる。溶媒和物は、化合物またはその塩と物理的に会合した、化学量論的量の溶媒または非化学量論的量の溶媒のいずれかを含む。溶媒は、限定されないが、例えば薬学的に許容される溶媒であってもよい。例えば、溶媒が水である場合、水和物が形成され、また溶媒がアルコールである場合、アルコール和物(alcoholates)が形成される。
【0156】
いくつかの実施態様において、本明細書中に記載した化合物、およびそのすべての異なる形態(例えば遊離形態、塩、溶媒和物、異性体)は、結晶形態および非晶質形態、例えば、多形体、擬似多形体、立体配座多形体、非晶質形態、またはこれらの組み合わせ、を含むことができる。多形体は、同じ元素組成の化合物の異なる結晶充填配列を含む。多形体は、通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学特性および電気的特性、安定性、ならびに/または溶解度を有する。当業者は、再結晶溶媒、結晶化の速度および保存温度を含む種々の要因が単一の結晶形態を支配的にさせ得ることを理解する。
【0157】
いくつかの実施態様において、本明細書中に記載した化合物、およびそのすべての異なる形態(例えば遊離形態、塩、溶媒和物、多形体)は、幾何異性体、不斉炭素に基づく光学異性体、立体異性体、互変異性体、個々の鏡像異性体、個々のジアステレオマー、ラセミ体、ジアステレオマーの混合物、およびこれらの組み合わせなどの異性体を含み、便宜的に示された式の記載によっては限定されない。
【0158】
いくつかの実施態様において、本発明による医薬組成物は、かかる化合物の塩、好ましくは薬学的または生理学的に許容される塩を含むことができる。医薬製剤は、投与が、注射、吸入、局所投与、洗浄、または選択される治療に適するその他の様式によるかにかかわらず、典型的には、該製剤の投与様式に対し許容される1種以上の担体、賦形剤、または希釈剤を含むことになる。適切な担体、賦形剤、または希釈剤は、かかる投与様式において使用するための、当該技術分野で公知のものである。
【0159】
適切な医薬組成物は、当該技術分野で公知の手段によって製剤化することができ、その投与様式および用量は、当業者によって決定され得る。非経口投与については、化合物を、滅菌水もしくは生理食塩水、または非水溶性化合物の投与に使用される薬学的に許容される媒体、例えばビタミンKに使用されるものなど、に溶解することができる。腸内投与については、化合物を錠剤、カプセル剤で投与してもよく、液体形態に溶解してもよい。錠剤またはカプセル剤は、腸溶コーティングのものであってもよく、徐放用製剤様であってもよい。放出させる化合物を封入したポリマーもしくはタンパク質の微粒子、軟膏剤、ペースト剤、ゲル、ヒドロゲル、または溶液を含めて、化合物を投与するために局所的に(topically)または局所的に(locally)使用することができる、多数の適切な製剤が公知である。長期間にわたる放出を提供するために、徐放性の貼付剤またはインプラントを使用することができる。当業者に知られている多数の技術が、Alfonso GennaroによるRemington: the Science & Practice of Pharmacy, 第20版, Lippencott Williams & Wilkins, (2000)に記載されている。非経口投与用の製剤は、例えば、賦形剤、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物由来の油、または水素化ナフタレンを含んでいてもよい。化合物の放出を制御するために、生体適合性、生分解性のラクチド重合体、ラクチド/グリコリド共重合体、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体を使用することができる。他の潜在的に有用な、調節性化合物の非経口的送達系としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み型の注入系、およびリポソームが挙げられる。吸入用の製剤は、賦形剤、例えばラクトースを含んでいてもよく、例えばポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココール酸(glycocholate)およびデオキシコール酸(deoxycholate)を含む水溶液であってもよく、点鼻剤の形態で投与するための油性溶液であってもよく、ゲル様であってもよい。
【0160】
本発明による、または本発明で使用するための、化合物または医薬組成物は、インプラント、移植片、プロテーゼ、ステントなどの医療機器または医療器具によって、投与することができる。さらに、インプラントは、かかる化合物または組成物を含み、放出するように意図された、考案されたものであってもよい。1つの例は、ある期間にわたって化合物を放出するように適合した高分子材料で作られたインプラントである。
【0161】
本発明による医薬組成物の「有効量」は、治療的有効量または予防的有効量を含む。「治療的有効量」は、腫瘍の大きさの減少、寿命の増大、または平均余命の増大などの所望の治療結果を達成するための、投薬時の、かつ必要な期間についての、効果的な量のことをいう。化合物の治療的有効量は、対象の病態、年齢、性別、および体重、ならびに対象において所望の反応を誘発する化合物の能力などの要因に応じて変化し得る。投薬計画は、最適な治療反応を提供するように調整することができる。治療的有効量はまた、治療的に有益な効果が、化合物の何らかの毒性効果または有害作用を上回る、量でもある。「予防的有効量」は、腫瘍の縮小、寿命の増大、平均余命の増大、または前立腺癌のアンドロゲン非依存性形態への進展の予防などの所望の予防的結果を達成するための、投薬時の、かつ必要な期間についての、効果的な量を指す。典型的には、疾患の前または疾患の初期段階には、予防用量が対象に使用され、したがって予防的有効量は、治療的有効量よりも少なくなり得る。
【0162】
投薬量の数値は、緩和させる病状の重症度によって変化し得ることに留意されたい。任意の特定の対象について、具体的な投薬計画は、個々の必要性、および組成物の投与を管理または監督する人の専門的な判断に応じて、経時的に調整することができる。本明細書中に示す投薬量の範囲は例示的なものに過ぎず、医療実務者によって選択され得る投薬量の範囲を限定するものではない。組成物中の活性化合物(群)の量は、対象の病態、年齢、性別、および体重などの要因に応じて変化し得る。投薬計画は、最適な治療反応を提供するように調整することができる。例えば、単回のボーラス投与量を投与してもよく、いくつかの分割した用量を経時的に投与してもよく、用量を治療状況の要求によって示される通りに比例的に減少または増大させてもよい。投与の容易さ、および投薬量の均一性のために、投薬単位形態で非経口的組成物を製剤化することが有利であり得る。
【0163】
いくつかの実施態様において、本明細書中に記載した化合物、およびそのすべての異なる形態は、限定されないが、例えば、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、脱毛、ざ瘡、多毛症、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣疾患、思春期早発症、および加齢性黄斑変性症からなる群から選択される少なくとも1つの適応症のために、他の治療方法と併用して使用することができる。例えば、本明細書中に記載した化合物、およびすべてのその異なる形態は、手術、放射線療法(近接照射療法もしくは外部ビーム)、またはその他の治療法(例えばHIFU)とともに、ネオアジュバント(術前)療法、補助的(術中)療法、および/またはアジュバント(術後)療法として、使用することができる。
【0164】
一般に、本発明の化合物は、実質的な毒性をもたらすことなく使用されるべきである。本発明の化合物の毒性は、標準的な技術を用いて、例えば細胞培養物または実験動物で試験し、治療指数、すなわちLD50(個体群の50%に対して致死的な用量)とLD100(個体群の100%に対して致死的な用量)との比を決定することによって、定量することができる。しかしながら、状況によっては、例えば重篤な病状などでは、相当な過剰量の組成物を投与することが必要な場合がある。本発明のいくつかの化合物は、一部の濃度で毒性になり得る。毒性のある濃度および毒性を示さない濃度を決定するために、用量設定の研究を使用することができる。毒性は、陰性対照としてARを発現しないPC3細胞を用いて、特定の化合物または組成物の諸細胞株にわたる特異性を調べることによって、評価することができる。化合物が他の組織に対する何らかの効果を有する場合、動物試験を使用して効能(indication)を示すことができる。抗アンドロゲン剤およびアンドロゲン不感性症候群は致死的ではないため、ARを標的にする全身療法は、おそらく他の組織に重大な問題を生じさせることにはならない。
【0165】
本明細書中に記載した化合物は、対象に投与することができる。本明細書中で使用される場合、「対象」は、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコなどであってもよい。対象は、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、または子宮内膜癌などの癌を有することが疑われるものであってもよく、該癌を有する危険性があるものであってもよく、ざ瘡、多毛症、脱毛症、良性前立腺肥大症、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣疾患、思春期早発症、または加齢性黄斑変性症を有することが疑われるものであってもよく、それを有する危険性があるものであってもよい。前立腺癌、乳癌、卵巣癌、または子宮内膜癌などの種々の癌の診断法、およびざ瘡、多毛症、脱毛症、良性前立腺肥大症、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣疾患、思春期早発症、または加齢性黄斑変性症の診断法、ならびに前立腺癌、乳癌、卵巣癌、または子宮内膜癌などの癌を臨床的に線引きすること(clinical delineation)、ざ瘡、多毛症、脱毛症、良性前立腺肥大症、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣疾患、思春期早発症、または加齢性黄斑変性症を診断し、臨床的に線引きすること(clinical delineation)は、当業者に知られている。
【0166】
使用する定義には、ジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone)(DHT)または研究目的で使用される合成アンドロゲン(R1881)などのアンドロゲンによるアンドロゲン受容体(AR)のリガンド依存的活性化が含まれる。ARのリガンド非依存的活性化とは、例えば、ホルスコリン(forskolin)(FSK)を用いるcAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)経路の刺激作用による、アンドロゲン(リガンド)の非存在下でのARのトランス活性化のことをいう。本発明の化合物および組成物のいくつかは、ARE-ルシフェラーゼ(ARE-luciferase)(ARE-luc)(実施例1参照)のFSKによる誘導およびR1881による誘導の双方を阻害し得る。かかる化合物は、ARのリガンド依存的活性化およびリガンド非依存的活性化の双方に共通する機構を妨害し得る。このことは、熱ショックタンパク質の解離、不可欠な翻訳後修飾(例えば、アセチル化、リン酸化)、核移行、タンパク質-タンパク質相互作用、転写複合体の形成、コリプレッサーの放出、および/または分解の増大を含めた、ARの活性化におけるどのような段階にも関係し得る。
【0167】
本発明の化合物および組成物のいくつかは、R1881のみを阻害し得、リガンド依存的活性化に特異的な機構(例えば、リガンド結合ドメイン(LBD)のアンドロゲンへの接近可能性)を妨害し得る。前立腺癌に加えて多数の疾患がアンドロゲン軸(androgen axis)に関係しており(例えば、ざ瘡、多毛症、脱毛症、良性前立腺肥大症)、この機構を妨害する化合物は、かかる病気を治療するために使用することができる。
【0168】
本発明の化合物および組成物のいくつかは、FSKによる誘導を阻害し得るに過ぎず、ARのリガンド非依存的活性化に対する特異的な阻害剤であり得る。これらの化合物および組成物は、FSKおよび/またはPKAの活動について通常起こる現象のカスケードを妨害し得、またARにおける役割を果たし得るどのような下流効果(例えばFSKは、ARの活性に強力な影響を有する、MAPK活性を増大させる)をも妨害し得る。例としては、cAMPおよびまたはPKAもしくは他のキナーゼの阻害剤を挙げることができる。
【0169】
本発明の化合物および組成物には、ARの基底レベルの活性(アンドロゲンなし、またはPKA経路の刺激作用)を誘導し得るものもある。
【0170】
本発明の化合物および組成物のいくつかは、R1881またはFSKによる誘導を増大させ得る。かかる化合物および組成物は、ARの転写またはトランス活性化を刺激し得る。
【0171】
本発明の化合物および組成物のいくつかは、アンドロゲン受容体のN末端ドメイン(ARのNTD)の活性を阻害し得る。インターロイキン6(IL-6)もまた、LNCaP細胞におけるARのリガンド非依存的活性化を引き起こし、FSKに加えて使用され得る。
【0172】
本発明の化合物および組成物は、ARのNTDと相互作用することができ、またARのNTDのトランス活性化に必要な別のタンパク質と相互作用することができる。
【0173】
本発明の種々の別の実施態様および実施例を本明細書中に記載する。これらの実施態様および実施例は、説明的なものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈するべきではない。
【実施例】
【0174】
全般的方法
細胞株、アンドロゲンおよびレポーター
LNCaP細胞は、FSKによるARのリガンド非依存的活性化で特徴づけられている高分化ヒト前立腺癌細胞であるため(Nazarethら 1996 J. Biol. Chem. 271, 19900〜19907; およびSadar 1999 J. Biol. Chem. 274, 7777〜7783)、すべての実験について、最初にLNCaP細胞を使用した。LNCaP細胞は、内在性ARを発現し、前立腺特異抗原(prostate-specific antigen)(PSA)を分泌する(Horoszewiczら 1983 Cancer Res. 43, 1809〜1818)。LNCaP細胞は、細胞培養液中での単層としてか、または去勢された宿主においてアンドロゲン非依存性に発展する、はっきり特徴づけられた異種移植モデルにおける腫瘍としての、いずれかで成長させることができる(Satoら 1996 J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 58, 139〜146; Gleaveら 1991 Cancer Res. 51, 3753〜3761; Satoら 1997 Cancer Res. 57, 1584〜1589; およびSadarら 2002 Mol. Cancer Ther. 1(8), 629〜637)。PC3ヒト前立腺癌細胞は機能的なARを発現しないため(Kaighnら1978 Natl. Cancer Inst. Monogr. 49, 17〜21)、該細胞をARに対する化合物の特異性を調べるために使用した。AR NTDを特異的に標的とする低分子は、PC3細胞に対して効果を有しないはずである。このことは、低分子がARを特異的に阻害してその阻害効果を媒介する場合、低分子はPC3細胞の増殖を変化させないはずであるということを意味する。R1881は安定であり、不安定な生理学的リガンドのジヒドロテストステロン(DHT)と関連する諸問題を免れているため、R1881を使用した。いくつかの選択的なレポーター遺伝子コンストラクトを用いて、レポーターの特異性を決定することができる。広範に使用されている、よく特徴づけられたAREによって駆動されるレポーター遺伝子コンストラクトには、いくつかのAREを含み、アンドロゲンおよびFSKによって高度に誘導される、PSA(6.1 kb)エンハンサー(enhance)/プロモーター(Uedaら 2002 A J. Biol. Chem. 277, 7076〜7085)、ならびにARR3-チミジンキナーゼ(tk)-ルシフェラーゼ(ARR3-thymidine kinase (tk)-luciferase)があり、該ARR3-チミジンキナーゼ(tk)-ルシフェラーゼは、ルシフェラーゼレポーターの上流にラットプロバシンARE1領域およびARE2領域の3つのタンデムリピートを含む人工的なレポーターコンストラクトである(Snoekら 1996 J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 59, 243〜250)。CMV-luc(AREがなく、構成的に活性である)を使用して、化合物が転写に対する普遍的な阻害効果は有していないと判定した。
【0175】
動物モデル
いくつかの実験では、SCIDマウスを使用した。ヒトの細胞株および移植性腫瘍は、免疫無防備状態の動物において生存し、SCIDマウスが最良の生着率(take rates)を示すため、SCIDマウスを選択した。すべての手順は、ブリティッシュコロンビア大学動物倫理委員会(University of British Columbia Committee for Animal Ethics)によって認可されており、毎年再審査されている。適切な動物保護を提供することができない緊急事態の場合、獣医または動物管理チーム(Animal Care Team)の裁量により動物を安楽死させる。獣医が検査および診察を担当する。署名された動物管理認可証(Animal Care Certificate)には、明確に「動物管理委員会(Animal Care Committee)は、上記実験計画または教育課程のために動物を使用することを検討および認可しており、関連する動物は、カナダ動物管理協会(Canadian Council on Animal Care)によって発行された実験動物の管理−カナダの指針(Care of Experimental Animals − A Guide for Canada)に含まれる原則に従って保護されることを保証している」と記載されている。
【0176】
皮下異種移植
LNCaPまたはPC3のヒト前立腺癌細胞(1×106個の細胞)の懸濁液150 μlを、6〜8週齢のオスの胸腺欠損SCIDマウスに、27ゲージ針を用い、側腹部領域に、皮下接種した。接種は、動物のイソフルラン(isofluorane)麻酔下において行った。腫瘍生着率(tumor take rate)はおよそ75%である。100 mm3の腫瘍を有するマウスを無作為に治療群に割り当てた。去勢を以下に記載する通りに行った。触知可能、または目に見えかつ少なくとも40 mm3となったLNCaP皮下腫瘍を有するマウスにおいて、腫瘍容積(式:L×W×H×0.5236)を測定した。動物を毎日モニターし、腫瘍を5日ごとに測定した。
【0177】
実験期間
腫瘍容積(1000 mm3を超えない)の評価を、皮下異種移植実験の終了を決定する基準とした。
【0178】
組織学的検査(histology)および免疫組織化学的検査(immunohistochemistry)
ルーチン的な組織学的検査のために、実験完了時に主要な器官および異種移植片を収集し、10%の中性緩衝ホルマリン中で固定し、次いでパラフィンで包埋した。固定した切片を切断し、ヘマトキシリン・エオシンにより染色した。異種移植片における増殖速度およびアポトーシスに対する化合物の考えられる効果を特定するために、Ki-67での免疫染色およびTUNELアッセイを行った。Ki-67での免疫染色では、処理した組織切片に対して、0.5 μg/ml(1:50)のIgG濃度のMIB-1モノクローナル抗体を用いた。ARレベルを免疫組織化学的検査またはウエスタンブロット解析によって測定した。
【0179】
進行を誘導するためのアンドロゲン除去
去勢によってアンドロゲン除去を完全なものにした。イソフルラン麻酔下で、5 mmの垂直の切開術を使用して、精巣が結合している精巣上体脂肪パッドを穏やかに取り除き、身体から精巣を除去した。精巣を血液供給物に結合させている索(cord)を縫合糸を用いて結紮し、次いで切断した。次いで索を腹腔に戻した。外科用縫合糸を使用して、切り口を閉じた。痛みを軽減するために、手術前にブプレノルフィン(0.05 mg/kg)を注射した。
【0180】
異種移植片および器官の回収
解析のためにすべての異種移植片および主要な器官を回収した。回収は、CO2ガスによる心拍停止によって屠殺した後に行い、異種移植片または器官を免疫組織化学的検査の解析のために取り出した。
【0181】
安楽死
動物は、CO2ガスによる心拍停止によって屠殺した。この方法は、動物管理委員会(Animal Care Committee)によって定められた方針であり、環境に配慮したものであり、効率的であり、経済的であり、倫理的に認可されている。
【0182】
化学合成
すべての反応は、火炎乾燥した丸底フラスコ中で行った。フラスコにはゴムセプタムを装着し、別段明示しない限り反応はアルゴンの陽圧下で行った。ステンレス鋼シリンジを使用して、空気および水分に敏感な液体を移した。230〜400メッシュのシリカゲルを用いて、Stillら(Still, W. C., Kahn, M., Mitra, A., J. Org. Chem. 1978, 43, 2923)に記載された通りにフラッシュカラムクロマトグラフィーを行った。蛍光指示薬(254 nm)を含浸させた0.25 mm、230〜400メッシュのシリカゲルで予めコーティングされたアルミニウム板を用いて、薄層クロマトグラフィーを行った。薄層クロマトグラフィープレートを、紫外線およびp-アニスアルデヒド溶液(1%のp-アニスアルデヒド、2%のH2SO4、20%の酢酸、および77%のエタノール)に曝露し、続いてヒートガン(約250℃)を用いて加熱(約1分)することにより、可視化した。Buechi B-114ロータリーエバポレーターで、約25 torr、25〜30℃で、有機溶液を濃縮した。
【0183】
市販の試薬および溶媒を、入手した状態で使用した。抽出およびクロマトグラフィーに使用したすべての溶媒は、HPLCグレードのものであった。順相SiゲルSep paks(登録商標)をWaters社から購入した。薄層クロマトグラフィープレートは、Kieselgel 60F254であった。すべての合成試薬は、Sigma Aldrich Canadaから購入した。
【0184】
プロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルは、逆プローブ(inverse probe)を備えたBruker 400、およびBruker 400分光計を用いて25℃で記録し、これはδスケールにおいてパーツパーミリオンで報告しており、そしてこれはNMR溶媒(CDCl3:δ 7.24(CHCl3)、DMSO-d6:δ 2.50(DMSO-d5))中の残存プロチウムを基準としている。データを以下のように報告する:化学シフト[多重度(s=シングレット、d=ダブレット、dd=ダブレットオブダブレット、ddd=ダブレットオブダブルダブレット、dm=ダブルマルチプレット、t=トリプレット、m=マルチプレット)、ヘルツ単位の結合定数、積分値(integration)]。カーボン13核磁気共鳴(13C NMR)スペクトルは、Bruker 400分光計を用いて記録し、これはδスケールにおいてパーツパーミリオンで報告しており、そしてこれは溶媒(CDCl3:δ 77.23、DMSO-d6:δ 39.51)の炭素共鳴を基準としている。データを以下のように報告する:化学シフト。フッ素核磁気共鳴(19F NMR)スペクトルは、Bruker 300分光計を用いて、25℃で記録し、δスケールにおいてパーツパーミリオンで報告している。データを以下のように報告する:化学シフト[多重度(td=ダブレットオブトリプレット)、ヘルツ単位の結合定数]。
【0185】
実施例1
いくつかのスクリーニング(screens)を適用して、AR NTDの活性を阻害する活性化合物を同定した。最初のスクリーニング(screen)は、培養液中に保持されたLNCaP細胞を含む(comprising of)、細胞に基づくアッセイであった。該アッセイは、アンドロゲン(リガンド依存性)およびホルスコリン(リガンド非依存性)の双方を用いてARを活性化すること、ならびに粗製の抽出物の存在下および非存在下でLNCaP細胞による分泌されたPSAレベルを測定すること、から構成される。PSAは、いくつかのよく特徴づけられたAREを含む、アンドロゲンによって制御される遺伝子である。PSA遺伝子発現におけるアンドロゲン非依存性の増大は、ARに依存する機構によって前立腺癌細胞で起こる。PNG 01-185抽出物は、アンドロゲンおよびホルスコリンの双方によって誘導されるPSAの分泌を阻止することが観察された。
【0186】
内在性PSAタンパク質に対するPNG 01-185抽出物の阻害効果が転写レベルでのものであることを保証するために、レポーター遺伝子コンストラクトも調べた。LNCaPヒト前立腺癌細胞において、PSA-ルシフェラーゼレポーター遺伝子コンストラクトまたはARR3-ルシフェラーゼレポーターなどの、アンドロゲン応答エレメント(ARE)を含むアンドロゲン応答性レポーターを測定することによって、内在性ARの活性化を測定した。単層として保持したLNCaP細胞にPSA-ルシフェラーゼをトランスフェクションし、該細胞を用いて海綿から調製した粗製の抽出物およびいくつかの選択した市販の化合物をスクリーニングした。PSA-lucはアンドロゲンによって高度に誘導され、アンドロゲンの非存在下ではFSKによって誘導されるため、PSA-lucおよびARR3-lucの双方の測定を行った。R1881(1 nM)によりARのリガンド依存的活性化をもたらし、FSKの濃度(50 μM)によりARのリガンド非依存的活性化をもたらした。PNG 01-185は、R1881およびFSKの双方によって誘導されるPSA-ルシフェラーゼの活性を阻止することが観察された(図1)。対照は、ARを発現しない細胞株での実験およびAREを含まない他のレポーターについての平行して行った実験を含むものであった。
【0187】
PNG 01-185抽出物を図2に示すスキームに従って分画して、PNG 01-185-17を生じさせた。PNG 01-185-17の各画分をARR3-lucの活性について再度調べたところ、画分3および画分8は少なくとも50%の阻害を示した(図3)。次に、これらの画分の、AR NTDの阻害能について調べた。図4に示すように、LNCaP細胞にGal4DBD-AR1-558および相補的な(complimentary)5XGal4UAS-ルシフェラーゼレポーターの発現ベクターをコトランスフェクションした。FSKによるこのレポーターの誘導は、Gal4DBD-AR1-558融合タンパク質のトランス活性化の尺度である(Sadar 1999 J. Biol. Chem. 274, 7777〜7783)。上記で同定した抽出物を、商業的な供給業者から購入したいくつかの化合物とともに、かかるアッセイによってスクリーニングした。R1881は、かかるアッセイを誘導せず(Gal4DBD-AR1-558キメラには存在しないARのリガンド結合ドメイン(LBD)に結合する)、そのため陰性対照とした場合以外は使用しなかった。これらの研究によりPNG 01-185-17-8がAR NTDの活性化を阻害することが示された。
【0188】
表3における以下のもの:
【0189】
【表3−1】

【0190】
【表3−2】

【0191】
は、上記アッセイを用いて活性を示した、海綿抽出物に由来する化合物または市販の化合物の化学構造である。
【0192】
用量的な反応を示したそれぞれのヒット(hit)について、IC50を測定した。実施例2に記載したように、同定した抽出物を使用して、ARのトランス活性化に対する阻害効果をもたらした天然化合物のライブラリーから、精製形態の化合物を単離し、続いて実施例3に記載した第二のスクリーニングを行った。
【0193】
表4における以下の化合物は、上記のアッセイにおいて活性を示さなかった。
【0194】
【表4】

【0195】
活性のある化合物のいくつかがBADGE(ビスフェノールAジグリシドエーテル(Bisphenol A Diglycidic Ether))に構造上類似することは、それらが工業起源のものである可能性が高いことを示している。収集した海綿は、おそらく汚染された海水からこれらの化合物を生物濃縮したものである。このことは、これらの化合物がどのような他の状況下においてもバイオアッセイでスクリーニングされた可能性が低いため、偶然の事象であった。
【0196】
実施例2
実施例1において記載した抽出物から精製された活性化合物を単離した。パプアニューギニアのロロアタ島(Loloata Island)付近の保護された岩礁の岩の下から、5 Mの深さのところで、スキューバ(SCUBA)を用いて、ゲオジア・リンドグレニ(Geodia lindgreni)(Lendenfeld, 1903)試料を手で収集した。その後、その凍結させた海綿(890 g)をMeOHで徹底的に抽出し、その粗製の抽出物は、実施例1で上述したアッセイにおいて活性があると認められた。セファデックス(Sephadex)LH20による逆相フラッシュカラムクロマトグラフィー、および逆相グラジエントHPLCを連続的に適用することによって、該抽出物のバイオアッセイに導かれる分画により、PNG01-185-017-2、PNG01-185-017-5、PNG01-185-017-6、PNG01-185-017-7、およびPNG01-185-017-8の精製試料を得た(図2)。NMRデータおよびMSデータを分析することによってこれらの構造を明らかにし、該構造を上に実施例1において示している。
【0197】
活性抽出物のバイオアッセイに導かれる分画は、標準的なプロトコルに従うものであった。最初に、該粗製抽出物を水に懸濁させ、ヘキサン、CH2Cl2、およびEtOAcを用いて連続的に抽出して、極性が異なる4つの細画分(sub-fractions)を生じさせた。この最初の分画に由来する活性画分について行った最初のクロマトグラフィーは、純粋なメタノールまたは混合溶媒系のいずれかを溶離液として用いる、セファデックス(Sephadex)LH20によるクロマトグラフィーであった。状況が必要とする場合、その後の分画を、オープンカラムフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーもしくはフラッシュ逆相クロマトグラフィー、HPLC(順相および/もしくは逆相)、または遠心向流クロマトグラフィー(Ito Coil装置を用いる)などによって行った。カナダのアルバータ州(Alberta)エドモントン(Edmonton)において、クライオプローブを備えたBruker AV600 NMR分光計、およびNANUC Varian 800 MHz NMR分光計を含む、一次元および二次元のNMR技術ならびに質量分析法を用いて、分光分析によって、新規な代謝産物の構造を解明した。実施例1において上述したスクリーニング(ARE-ルシフェラーゼの活性、およびNTDのトランス活性化)を用いて精製した化合物の活性について調べ、次いで実施例3において記載した第二のスクリーニングに使用した。
【0198】
実施例3
第二のスクリーニングを適用することによって、化合物を検証した。アンドロゲン受容体のN末端ドメイン(ARのNTD)のトランス活性化;他のステロイド受容体(特異性);PSA mRNAの内在性発現;AREに対するARの相互作用;N/C相互作用;およびアンドロゲンに応答した前立腺癌細胞の増殖、を阻害する能力について精製した化合物を試験した。
【0199】
AR NTDのトランス活性化
血清およびアンドロゲンの非存在下で、ホルスコリン(FSK)(PKAの活性を刺激する)およびIL-6はいずれも、ARのNTDのトランス活性化に関連する機構によって、前立腺癌細胞におけるPSA遺伝子の発現を増大させる(Sadar, M.D., J. Biol. Chem. 274, 7777〜7783 (1999); Ueda, T., Bruchovsky, N., Sadar, M.D., J. Biol. Chem. 277, 7076〜7085 (2002); Ueda, T., Mawji, N.R., Bruchovsky, N., Sadar, M.D., J. Biol. Chem. 277, 38087〜38094 (2002 B); Quayle SN, Mawji NR, Wang J, Sadar M.D., Proc Natl Acad Sci U S A. 2007年1月23日; 104(4):1331〜6)。ヒトAR NTDのアミノ酸1〜558をGal4DBDのC末端中へクローニングすることによって、AR NTDのトランス活性化を阻害する185-9-2の能力を試験した。こうしたキメラタンパク質の発現ベクターを、シス作用エレメントとしてのGal4結合部位を含むレポーター遺伝子(p5xGal4UAS-TATA-ルシフェラーゼ)とともに、LNCaP細胞中にコトランスフェクションした。細胞をビカルタミド(BIC、10 μM)または185-9-2(5 ug/ml=12 μM))で前処理してから、FSKまたはIL-6を加えた。ビカルタミドはARのLBDに結合し、これはGal4DBD-AR1-558キメラには存在しないため、対照は、かかるアッセイに影響を及ぼさないビカルタミドを含むものであった。185-9-2は、ARのNTDのFSKによって誘導されるトランス活性化、およびIL-6によって誘導されるトランス活性化の双方を基底レベルにまで減少させることが観察された(図5)。185-9-2は、AR NTDのトランス活性化の阻害について、約6.6 μMのIC50を有していると認められた。
【0200】
ステロイド受容体特異性
ARと、関連するヒトステロイド受容体PRおよびグルココルチコイド受容体(GR)とのアミノ酸の配列類似性は、DBDなどの一部のドメインにおいて、相当なものである。AR NTDは、PRおよびGRと、15%未満の相同性しか共有していないが、これらの受容体は、いくつかの同じタンパク質(例えばSRC-1およびCBP)と相互作用する。そのため、レポーター遺伝子アッセイを用いて、AR活性を阻害する候補化合物がGRおよびPRの転写活性に効果を有するかを決定した。細胞に、全長のhGR、PRβ、および関連するレポーター(すなわちpGR-LucレポーターまたはPRE-E1b-Lucレポーター)の発現プラスミドで、コトランスフェクションした。次いで細胞をエタノールビヒクル、デキサメタゾン(GR)、4-プレグネン-3,20-ジオン(4-pregnene-3,20 dione)(プロゲステロン)(PR)で処理し、続いてルシフェラーゼ活性を測定した。185-9-2は、ARの転写活性を阻害したが、リガンドに応答してPRE-ルシフェラーゼの活性も、GRE-ルシフェラーゼの活性も阻害しなかった(図6)。対照的に、ビカルタミド(10 μM)は、PRの転写活性を阻害した。クリニックで現在使用される抗アンドロゲン剤には、プロゲステロン活性およびグルココルチコイド活性を有するものもある。成人男性において、PR活性の役割は、不明である。185-9-2は、他のステロイド受容体のトランス活性化を阻害しない。これらの研究はまた、185-9-2がこれらのルシフェラーゼレポーターの誘導をそれらの同種の(cognant)リガンドに応答して阻害しなかったため、185-9-2は転写または翻訳に対する非特異的および普遍的な効果は有しないという証拠も提供する。185-9-2は、いくつかのAREを含み、アンドロゲンおよびFSKによって誘導されるPSA-ルシフェラーゼレポーター遺伝子の活性を阻止するため、185-9-2の阻害効果は、転写レベルのものであることが支持される。これらの研究は、185-9-2がARに対して特異的であることを示唆しており、他のステロイド受容体が影響を受ける場合とは対照的に、全身的送達からの副作用はほとんどないはずであることを暗示している。
【0201】
内在性遺伝子の発現
LNCaP細胞において、R1881(リガンド依存性)およびFSK(リガンド非依存性)の双方によるPSA mRNAの誘導は、ARに依存している(Sadar, M.D., J. Biol. Chem. 274, 7777〜7783 (1999); Wang G, Jones SJ, Marra MA, Sadar MD, Oncogene 2006; 25:7311〜23)。化合物が内在性遺伝子の発現に対して効果を有するかどうかを試験するために、R1881に曝露したLNCaP細胞におけるPSA mRNAレベルを測定した。LNCaP細胞(無血清であり、フェノールレッドを含まない培養液中)を化合物とともに1時間インキュベートしてから、R1881(1 nM)を加え、さらに16時間インキュベートしてから、全RNAを収集し、単離した。QPCRを用いてmRNAレベルを測定した。PSA mRNAレベルをGAPDH mRNAレベルに対して正規化した。185-9-2は、R1881による内在性PSA mRNAの誘導をほぼ基線レベルにまで阻止するものと認められた(図7)。
【0202】
DNA上でのARのAREとの相互作用
クロマチン免疫沈降(ChIP)を用いて、クロマチン構造との生理学的な関連において、PSA遺伝子のエンハンサー領域で、ARが内在性AREに結合することを185-9-2が妨げるかを評価した。ARは、PSAプロモーターのARE上での恒常的な占有を示し、一方エンハンサーAREは、アンドロゲンに応答して、誘導可能に占有する(Jia L, Coetzee GA., Cancer Res. 2005年9月1日; 65(17):8003〜8)。これらの調節領域上でのARの占有は、アンドロゲン治療から16時間でピークになる(Jia L, Choong CS, Ricciardelli C, Kim J, Tilley WD, Coetzee GA., Cancer Res. 2004年4月1日; 64(7):2619〜26; Louie MC, Yang HQ, Ma AH, Xu W, Zou JX, Kung HJ, Chen HW., Proc Natl Acad Sci U S A. 2003年3月4日; 100(5):2226〜30; Wang Q, Carroll JS, Brown M., Mol Cell. 2005年9月2日; 19(5):631〜42)。LNCaP細胞を、185-9-2を加えて、または185-9-2なしで、DHTで短時間(3時間)または最適な時間(16時間)処理してから、1%のホルムアルデヒドで架橋し、細胞を収集した。細胞を溶解させ、超音波処理し、抽出物を抗AR抗体を用いる免疫沈降に使用した。185-9-2は、LNCaP細胞において、アンドロゲンに応答し、PSAエンハンサー上でARがAREと相互作用することを阻害した(図8A)。ARのAREとの相互作用の減少は、ARタンパク質レベルの減少によるものではなかった。これらの同じ時点で収集したLNCaP細胞から調製した、溶解物全体に由来するARタンパク質をウエスタンブロット解析すると、185-9-2は、ARタンパク質レベルを減少させないことが明らかになった(図8B)。LNCaP細胞を185-9-2とともに長時間インキュベートしてもまた、ARタンパク質レベルは減少しなかった(図9)。したがって、185-9-2は、ARタンパク質レベルを減少させることによって、ARの転写活性を阻害するのではないと考えられる。このことは、185-9-2の作用機構が、ARタンパク質レベルを減少させ、他の研究所で探究されているAR mRNAハンマーヘッド型リボザイム、AR siRNA、ピラノクマリン、カルパイン、フェネチルイソチオシアナート、フルベストラント、デクルシン、LAQ824、およびバイカレインなどの他の化合物には類のないものであることを示唆している。
【0203】
185-9-2はARの核移行を妨げない
これらの阻害剤のいずれかがARのトランス活性化を減少させ得る別の考えられる機構は、ARタンパク質の核移行を妨害することを含み得る。アンドロゲン、または別の経路による刺激の双方が存在しない場合、ARは主として細胞質内に存在する。細胞分画および蛍光顕微鏡法(図10のA、B)により、185-9-2は、アンドロゲンの非存在下で単独でARの核移行を引き起こさず、アンドロゲン(ジヒドロテストステロン(dihydrotestsosterone)、DHT)に応答したARタンパク質の核移行も妨げないことが明らかになった。
【0204】
N/C相互作用
ARのリガンド依存性の活性は、逆平行二量体の形成のための、アミノ(N)末端とカルボキシ(C)末端との間の相互作用を必要とする(He B, Kemppainen JA, Voegel JJ, Gronemeyer H, Wilson EM., J Biol Chem. 1999, 274(52):37219〜25)。ビカルタミド、フルタミド、およびシプロテロンアセタートなどの抗アンドロゲン剤は、単独でこの相互作用を刺激せず、それぞれの抗アンドロゲン剤は、アンドロゲンによって誘導されるN/C相互作用を阻害する(Wong, C. I., Zhou, Z. X., Sar, M.およびWilson, E. M. (1993) J. Biol. Chem. 268, 19004〜19012; Langley, E., Zhou, Z. X.およびWilson, E. M. (1995) J. Biol. Chem. 270, 29983〜29990; Kemppainen, J. A., Langley, E., Wong, C. I., Bobseine, K., Kelce, W. R.およびWilson, E. M. (1999) Mol. Endocrinol. 13, 440〜454; Masiello D, Cheng S, Bubley GJ, Lu ML, Balk SP. (2002) J. Biol. Chem., 277, 29, 26321〜26326)。哺乳動物ツーハイブリッドシステムを使用して、この相互作用を測定した。N末端でVP16に融合したAR NTDの1〜565番アミノ酸の融合タンパク質の発現ベクター(VP16-ARTAD、N末端)、ARのLBDに融合したGal4のDBDの発現ベクター(アミノ酸628〜919;Gal4-ARLBD;C末端)、およびGal4-ルシフェラーゼレポーターを、CV1細胞にコトランスフェクションした(Masiello D, Cheng S, Bubley GJ, Lu ML, Balk SP. (2002) J. Biol. Chem., 277, 29, 26321〜26326)。アンドロゲンの非存在下では、VP16-ARTADとGal4-ARLBDとの間の検出できる相互作用はなかった(図11)。アンドロゲンは、ビカルタミドによって阻止されたルシフェラーゼ活性の増大によって測定されるこの相互作用を刺激した(例えばMasiello D, Cheng S, Bubley GJ, Lu ML, Balk SP. (2002) J. Biol. Chem., 277, 29, 26321〜26326も参照されたい)。重要なことに、185-9-2は、アンドロゲンによって刺激されるN/C相互作用を阻害すると認められた(縦列6および2を比較されたい)。したがって、185-9-2は、N/C相互作用を妨げることによって、ARの転写活性を阻害すると考えられる。
【0205】
増殖アッセイ
前立腺は、アンドロゲン依存性の器官であり、該器官ではアンドロゲンが支配的な分裂促進性刺激となっている(Isaacs JT, Scott WW, Coffey DS., Prog Clin Biol Res. 1979;33:133〜44)。このアンドロゲンへの依存性は、化学的去勢または去勢手術により前立腺癌を治療する、根底にある理論的根拠を提供する。アンドロゲン(0.1 nM)は、LNCaP細胞の増殖を刺激する。臨床的に使用される抗アンドロゲン剤について観察されるのと同様に、185-9-2によるARのAF-1機能の妨害によってLNCaP細胞のアンドロゲン依存性の増殖が減少するかどうかを調べるために、LNCaP細胞を、ビカルタミド(10 μM、陽性対照)または185-9-2(5 μg/ml)で1時間前処理してから、0.1 nMのR1881を加えた。4日後にBrdUの取り込みを測定すると、アンドロゲンに応答して増殖の変化を示した(図12)。R1881(0.1 nM)は、対照(R1881および低分子のビヒクル)よりも増殖を増大させた。185-9-2は、アンドロゲンによって誘導される増殖の阻止において、ビカルタミドと同じくらい効果的であると認められた。185-9-2は、機能的なARを発現しないPC3ヒト前立腺癌細胞の増殖を阻止しないと認められ(図13、p>0.05)、したがって成長および生存についてARに依存しない(Kaighnら1978 Natl. Cancer Inst. Monogr. 49, 17〜21)。
【0206】
実施例4
皮下異種移植モデルを用いて、インビトロでアンドロゲン受容体の活性化を阻害する低分子がこうした腫瘍に対して何らかの効果を有するかどうかを調べた。LNCaP皮下異種移植モデルおよびPC3皮下異種移植モデルを用いて、PNG01-185-017-9-2をインビボで調べた。毒性、ARの内在性発現の必要性、ならびにPNG01-185-017-9-2が腫瘍成長およびアンドロゲン非依存性への進行に対して効果を有するかどうか、に関連する情報を提供するために、インビボ実験を行った。両方の異種移植モデルにおいて腫瘍容積をモニターした。
【0207】
PNG01-185-017-9-2はLNCaP異種移植片の腫瘍容積を減少させた
LNCaPヒト前立腺癌細胞は、内在性アンドロゲン受容体(AR)および前立腺特異抗原(PSA)を発現し、去勢された宿主においてアンドロゲン非依存性に発展する。LNCaP細胞(106個/ml)を少なくとも8週齢のNOD-SCIDオスマウス群に皮下移植した。細胞を75 μlのマトリゲル(Matrigel)を伴う75 μlのRPMI培地1640(5%のFBS)中に懸濁させ、麻酔下で宿主の側腹部領域に注射した。腫瘍がおよそ100 mm3(平均値=131.1±24.9 mm3;n=19)となったときに動物を去勢し、無作為に2つの群に分けた。去勢の1週間後、動物を20 mg/kg体重の腫瘍内(intratumoral)(i.t.)用量の185-9-2、または対等の容積のビヒクル(対照のDMSO)で5日ごとに処置した。動物に25日の期間にわたって185-9-2を注射し、動物を最後の注射の5日後に収集した。合計5回の用量を動物に与えた。腫瘍容積および体重を5日ごとに測定した。185-9-2は、最初の注射後でさえも、腫瘍を有意に減少させると認められた(図14)。実験の間に、185-9-2で処理した腫瘍は35.4±15.7 mm3であったが、ビヒクルで処理した腫瘍は成長を続け、435.6±334.9 mm3であった。したがって、185-9-2は、腫瘍容積を減少させると認められ、単に成長を遅らせるものではなかった。このことは、185-9-2がアンドロゲン非依存性前立腺癌に対して治癒力のあるものであり得ることを示唆している。関連する化合物であるラセミ体のBADGE・2HCl(B3)の腫瘍内(I.T)送達もまた、185-9-2と同じ治療計画に従って、腫瘍容積を、成長させ続ける(105.2±15.1 mm3から始まって256.6±73.4 mm3まで)DMSOの腫瘍内(I.T.)送達と対比される、109.6±17.4 mm3から79.0±63.6 mm3に減少させると認められた(図15のA)。血清PSAの測定値は、腫瘍容積のデータと相関していた(血清PSAのデータは示していない)。
【0208】
重要なことに、1日おきの尾静脈注射(50 mg/kg体重)による静脈内(i.v.)送達により、同様の速度の腫瘍の細胞減少(cytoreduction)が示された(図15のA)。185-9-2の静脈内(i.v.)注射は、わずか2週間以内に、腫瘍を105.6±12.0 mm3から64.3±29.6 mm3に減少させると認められたが、DMSOの静脈内(i.v.)注射を受けた動物においては、腫瘍は187.9±42.8 mm3であった。これらの有望なデータにより、全身的送達がアンドロゲン非依存性前立腺癌の減少に有効であることが強調される。アポトーシスマーカー(TUNEL)および増殖マーカー(Ki67)を用いた免疫組織化学的検査(Immunohistochemistry)(IHC)により、185-9-2の静脈内送達がアポトーシスを増大させ、増殖を減少させたことが示され(図15のB)、このことは腫瘍の細胞減少(cytoreduction)と整合している。IHCデータは、治療に対して理解力のない商業的な試験所によって作成された。185-9-2は、動物の挙動または体重に変化がないことによって示される、動物に対する一般的な毒性をもたらすものではないと認められた(図14のCおよび図15のC)。静脈内(i.v.)送達によって185-9-2またはDMSOを受けたマウスから収集した肺、心臓、肝臓、脾臓、および腎臓の切片を病理学的に精査すると、毒性の徴候は示されなかった(図16)。
【0209】
収集した異種移植片におけるARタンパク質レベル
IHC(図17のA)およびウエスタンブロット解析(図17のB)は、185-9-2の静脈内送達(I.V.)または腫瘍内(I.T)送達が、ビヒクルで処理した異種移植片におけるARタンパク質レベルと対比して、異種移植片におけるARタンパク質レベルを減少させなかったという証拠を提供する。異種移植片試料における上皮細胞の量を示すものとしてサイトケラチン18レベルを測定した。
【0210】
血管形成に対する効果
前立腺癌における血管形成は、主として血管内皮増殖因子(VEGF)に依存している。テストステロンは、前立腺におけるVEGFの強力な誘発因子であり(Haeggstroemら 1999 J Urol. 161, 1620〜1625)、アンドロゲン非依存性腫瘍におけるVEGFの再発現は、アンドロゲンによって制御される遺伝子の再発現と一貫性がある(Gregoryら 1998 Cancer Res. 58, 5718〜5724)。VEGFの発現は、アンドロゲン非依存性(Mitsiadesら 2001 Expert Opin Investig Drugs. 10, 1099〜1115)および侵襲性の転移性疾患(Harperら 1998 J Pathol. 186, 169〜177; Balbayら 1999 Clin Cancer Res. 5, 783〜789; Melnykら 1999 J Urol. 161, 960〜963)と関連している。収集した腫瘍におけるVEGFの染色は、PNG01-185-017-9-2がVEGFの発現を阻害したことを示している(図18)。
【0211】
去勢しなかった宿主における皮下PC3異種移植モデル
化合物が全身腫瘍組織量を減少させるためには内在性ARが発現していなければならないのかどうかの指標を与えるために、PC3異種移植モデルを使用した。PC3は、機能的なARを発現しないヒト前立腺癌細胞であり、したがって、AR NTDのトランス活性化を阻止するその特異性について選択されているこうした低分子による治療には反応しないはずである。PC3細胞をNOD-SCIDオスマウス群に皮下移植した。腫瘍がおよそ100 mm3(n=9および10;平均腫瘍容積=112.1±19.7 mm3)となったときに、動物を無作為に2つの群に分けた。20 mg/kg体重の皮下用量で動物を5日ごとにPNG01-185-017-9-2または対等の容積のビヒクル(対照のDMSO)で処置した。腫瘍容積および体重を5日ごとに測定した。LNCaP異種移植片とは対照的に、PNG01-185-017-9-2は腫瘍を減少させなかったが、PC3異種移植片の成長をわずかに遅らせた(図19のA、B)。本明細書に示した先の実験と一貫して、動物の挙動によって示され、体重によって測定される毒性は、処置期間全体にわたって認められなかった(図19のC)。
【0212】
実施例5
185-9-2の送達を向上させるために、BADGE・HCL・H2Oのグリシンエステル誘導体(図20のA)を調製した。これは自由に水に溶解する。この化合物を細胞に基づく試験に付したところ、この化合物はインターロイキン6(IL-6)によって誘導されるARのNTDのトランス活性化を阻害すると認められた(図20のB、レーン2をレーン4と比較されたい)。
【0213】
以下の表5は、示した化合物に関する実験データを含む。
【0214】
【表5−1】

【0215】
【表5−2】

【0216】
実施例6
(R)-BAGE(1)
【0217】
【化28】

【0218】
アルゴン雰囲気下、鉱油中60%の分散液としてのNaH(96 mg、2.40 mmol、2.2当量)を無水ジメチルホルムアミド(5 mL)中に懸濁させた。この混合物を0℃に冷却し、ビスフェノールA(250 mg、1.09 mmol、1当量)を加えた。15分後、シリンジによって(R)-エピクロロヒドリン(214 μL、2.73 mmol、2.5当量、99% ee)を加え、混合物を7時間室温で反応させた。次いでその溶液を脱イオン水(約3 mL)を用いてクエンチし、混合物を酢酸エチル(3×3 mL)で抽出した。有機層を脱イオン水(2 mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン、および2%のメタノールを含むジクロロメタン)で精製して、(R)-BAGE(67 mg、22%)を白色の泡沫状残渣として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.13 (s, 1H), 7.09 (d, J = 8.8, 2H), 6.97 (d, J = 8.4, 2H), 6.83 (d, J = 8.8, 2H), 6.63 (d, J = 8.8, 2H), 4.25 (dd, J = 11.2, 2.8, 1H), 3.78 (dd, J = 11.2, 6.4, 1H), 3.29 (m, 1H), 2.82 (t, J = 4.8, 1H), 2.68 (dd, J = 4.8, 2.4, 1H), 1.54 (s, 6H)。13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 156.5, 155.6, 143.8, 141.3, 128.0, 127.9, 115.2, 114.4, 69.5, 50.4, 44.4, 41.7, 31.4。TLC (5%のメタノールを含むジクロロメタン), Rf: 0.45 (UV、p-アニスアルデヒド)。
【0219】
(R)-BADGE×H2O(5)
【0220】
【化29】

【0221】
(R)-BAGE(13 mg、0.045 mmol、1当量)の無水ジメチルホルムアミド攪拌溶液(0.3 mL)に、室温でK2CO3(6 mg、0.045 mmol、1当量)およびラセミ体のグリシドール(9 μL、0.135 mmol、3当量)を加えた。60℃で6時間攪拌した後、得られた橙褐色の溶液に脱イオン水(0.2 mL)を加えた。この混合物を酢酸エチル(3×1 mL)で抽出した。有機層を脱イオン水(2 mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、2 gのシリカゲルSep pakでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン、および5%のメタノールを含むジクロロメタン)によって精製して、(R)-BADGE×H2O(10.3 mg、63%)を無色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.08 (dd, J = 8.0, 5.2, 4H), 6.83 (dd, J = 10.8, 8, 4H), 4.89 (d, J = 5.2, 1H), 4.62 (t, J = 5.6, 1H), 4.26 (dd, J = 11.6, 2.8, 1H), 3.93 (dd, J = 9.6, 4.0, 1H), 3.78 (m, 3H), 3.42 (t, J = 5.6, 2H), 3.29 (m, 1H), 2.82 (t, J = 4.8, 1H), 2.68 (dd, J = 4.8, 2.4 J = 11.6, 2.8, 1H), 1.57 (s, 6H)。TLC (5%のメタノールを含むジクロロメタン), Rf: 0.36 (UV、p-アニスアルデヒド)。
【0222】
(R)-BADGE×HI×H2O(6)
【0223】
【化30】

【0224】
(R)-BADGE×H2O(10 mg、0.029 mmol、1当量)のアセトニトリル溶液(0.5 mL)に、CeCl3・7H2O(21 mg、0.057 mmol、2当量)およびNaI(9 mg、0.057 mmol、2当量)を加えた。6時間室温で攪拌した後、得られた黄色の懸濁液を減圧下で濃縮した。この反応混合物をジクロロメタン(2 mL)を用いて溶解し、H2O(3×0.5 mL)で洗浄し、有機層を無水MgSO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を、2 gのシリカゲルSep pakでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン、および10%のメタノールを含むジクロロメタン)によって精製して、(R)-BADGE×HI×H2O(9 mg、67%)を無色の泡沫状物質として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.09 (m, 4H), 6.81 (m, 4H), 5.52 (d, J = 4.8, 1H), 4.86 (d, J = 4.8, 1H), 4.59 (t, J = 5.6, 1H), 3.88 (m, 3H), 3.75 (m, 3H), 3.40 (m, 3H), 3.31 (m, 1H), 1.57 (s, 6H)。13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 157.1, 156.7, 143.4, 143.0, 128.0, 127.9, 114.5, 114.4, 71.4, 70.6, 70.1, 68.6, 63.4, 41.8, 31.3, 12.7。TLC (5%のメタノールを含むジクロロメタン), Rf: 0.30 (UV、p-アニスアルデヒド)。
【0225】
実施例7
ラセミ体のBADGE(9)
【0226】
【化31】

【0227】
丸底フラスコに連続的にNaH(200 mg、4.80 mmol、2.2当量)およびビスフェノールA(500 mg、2.18 mmol、1当量)を仕込み、内容物をアルゴン雰囲気下に置いた。無水ジメチルホルムアミド(5 mL)をシリンジによって導入し、得られた混合物を室温で攪拌した。15分後、ラセミ体のエピクロロヒドリン(700 μL、8.96 mmol、4.1当量)をシリンジによって加え、この混合物を室温で18時間反応させた。次いでその溶液を脱イオン水(約1 mL)でクエンチし、混合物を酢酸エチル(3×4 mL)で抽出した。有機層を脱イオン水(2 mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)によって精製して、ラセミ体のBADGE(536 mg、72%)を白色の泡沫状残渣として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.10 (d, J = 8.8, 4H), 6.84 (d, J = 8.8, 4H), 4.25 (dd, J = 11.6, 2.8, 2H), 3.78 (dd, J = 11.2, 6.4, 2H), 3.29 (m, 2H), 2.81 (t, J = 4.8, 2H), 2.68 (m, 2H), 1.60 (s, 6H)。13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 156.6, 143.5, 128.0, 114.5, 69.5, 50.3, 44.4, 41.8, 31.3。TLC (5%のメタノールを含むジクロロメタン), Rf: 0.77 (UV、p-アニスアルデヒド)。
【0228】
(R)-BADGE(10)
【0229】
【化32】

【0230】
(R)-エピクロロヒドリンを使用した以外は、ラセミ体のBADGEについて前述したのと同じ手順であった。
【0231】
ラセミ体のBADGE×2HCl(11)
【0232】
【化33】

【0233】
ラセミ体のBADGE(95 mg、0.279 mmol、1当量)のアセトニトリル溶液(1.0 mL)に、CeCl3・7H2O(208 mg、0.558 mmol、2当量)を加え、この混合物を6時間還流した。得られた白色のペーストをジクロロメタンとともにろ過し、その透明な懸濁液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を、2 gのシリカゲルSep pakでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン、および10%のメタノールを含むジクロロメタン)によって精製して、ラセミ体のBADGE×2HCl(70 mg、61%)を無色の泡沫状物質として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.09 (d, J = 8.8, 4H), 6.83 (d, J = 8.4, 4H), 5.50 (d, J = 5.2, 2H), 3.99 (m, 2H), 3.92 (d, J = 5.6, 4H), 3.73 (dd, J = 11.2, 4.4, 2H), 3.65 (dd, J = 11.2, 5.6, 2H), 1.57 (s, 6H)。13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 156.7, 143.4, 128.0, 114.5, 69.5, 69.3, 47.4, 41.8, 31.3。TLC (5%のメタノールを含むジクロロメタン), Rf: 0.31 (UV、p-アニスアルデヒド)。
【0234】
実施例8
(R)-BADGE×2HCl(12)
【0235】
【化34】

【0236】
出発物質として(R)-BADGEを使用した以外は、ラセミ体のBADGE×2HClについて前述したのと同じ手順であった。
【0237】
実施例9
ラセミ体のBADGE×2HI(13)
【0238】
【化35】

【0239】
ラセミ体のBADGE(60 mg、0.176 mmol、1当量)のアセトニトリル溶液(1.0 mL)に、CeCl3・7H2O(131 mg、0.352 mmol、2当量)およびNaI(53 mg、0.352 mmol、2当量)を加えた。3時間室温で攪拌した後、得られた黄色の懸濁液を減圧下で濃縮した。この反応混合物をジクロロメタン(3 mL)を用いて溶解し、H2O(3×1 mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を、2 gのシリカゲルSep pakでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン、および10%のメタノールを含むジクロロメタン)によって精製して、ラセミ体のBADGE×2HI(55 mg、52%)を褐色泡沫状物質として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.09 (d, J = 8.8, 4H), 6.82 (d, J = 8.8, 4H), 5.53 (d, J = 5.2, 2H), 3.87 (m, 4H), 3.71 (m, 2H), 3.40 (dd, J = 10.4, 4.8, 2H), 3.31 (m, 2H), 1.57 (s, 6H)。13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 156.7, 143.5, 128.1, 114.5, 71.4, 68.6, 41.8, 31.3, 12.7。
TLC (5%のメタノールを含むジクロロメタン), Rf: 0.43 (UV、p-アニスアルデヒド)。
【0240】
実施例10
(R)-BADGE×2HI(14)
【0241】
【化36】

【0242】
出発物質として(R)-BADGEを使用した以外は、ラセミ体のBADGE×2HIについて前述したのと同じ手順であった。
【0243】
実施例11
ラセミ体のBADGE×2HBr(15)
【0244】
【化37】

【0245】
ラセミ体のBADGE(60 mg、0.176 mmol、1当量)のアセトニトリル溶液(1.0 mL)に、CeCl3・7H2O(131 mg、0.352 mmol、2当量)およびNaBr(36 mg、0.352 mmol、2当量)を加えた。室温で一晩攪拌した後、この懸濁液をジクロロメタン(6 mL)とともにろ過し、H2O(3×2 mL)で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を2 gのシリカゲルSep pakでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン、および5〜10%のメタノールを含むジクロロメタン)によって精製して、ラセミ体のBADGE×2HBr(33 mg、58%)を無色の泡沫状物質として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.09 (d, J = 8.4, 4H), 6.83 (d, J = 8.8, 4H), 5.54 (d, J = 5.2, 2H), 3.98 (m, 2H), 3.93 (d, J = 5.6, 4H), 3.62 (dd, J = 10.0, 4.4, 2H), 3.53 (dd, J = 10.4, 5.2, 2H), 1.57 (s, 6H)。13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 156.7, 143.5, 128.1, 114.5, 70.2, 68.8, 41.8, 37.2, 31.3。TLC (5%のメタノールを含むジクロロメタン), Rf: 0.53 (UV、p-アニスアルデヒド)。
【0246】
実施例12
ラセミ体のBADGE×2HF(16)
【0247】
【化38】

【0248】
ラセミ体のBADGE(60 mg、0.176 mmol、1当量)の無水トルエン溶液(1.0 mL)に1MのTBAFのTHF溶液(0.88 mL、0.88 mmol、5当量)を加え、この混合物を80℃で12時間攪拌させた。混合物を短経路のカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン、および5%のメタノールを含むジクロロメタン)にかけて、TBAFを除去した。得られた残渣を、2 gのシリカゲルSep pakでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液:30%の酢酸エチルを含むヘキサン)によって精製して、ラセミ体のBADGE×2HF(14 mg、22%)を無色の泡沫状物質として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.09 (d, J = 8.4, 4H), 6.82 (d, J = 8.8, 4H), 5.40 (d, J = 5.2, 2H), 4.50 (ddd, J = 47.6, 9.6, 3.6, 2H), 4.39 (ddd, J = 47.6, 9.6, 3.6, 2H), 3.99 (dm, J = 20.8, 2H), 3.90 (m, 4H), 1.56 (s, 6H)。19F NMR (282.4 MHz, DMSO-d6): δ -230.4 (td, J = 50.4, 22.2)。TLC (5%のメタノールを含むジクロロメタン), Rf: 0.38 (UV、p-アニスアルデヒド)。
【0249】
実施例13
BADGE・HCl・H2Oのトリグリシンエステル3の合成
【0250】
【化39】

【0251】
トリGly-Badge・HCL・H2O(1)のTFA塩3の合成実験:CH2Cl21 mLにBADGE・HCL・H2O(1)(8.80 mg、0.02 mmol)を含む溶液に、BOC-GLy-OH(30.8 mg、0.18 mmol)、DMAP(触媒量)、およびDIPC(0.03 mL、0.18 mmol)を加えた。混合物を室温で2時間攪拌し、次いでろ過した。ろ液に2 mLのTFAを加え、室温で2時間攪拌し、次いで真空中で濃縮した。残渣をEtOAcと水との間に分配し、水層を濃縮し、乾燥させ、次いでLH-20カラムを通過させて(100%のMeOHを用いて溶出させた(elueted))、純粋な生成物3を得た。このTFA塩生成物を濃縮した後、それを2 mLのMeOHに溶解し、次いで2 mLの2N HCLを加えた。この混合物を室温で5分間攪拌し、N2気流下で濃縮し、次いで真空で一晩乾燥させて、HCl塩を得た。
【0252】
本発明の種々の実施態様を本明細書中に記載しているが、当業者の一般的な通常の知識によって、本発明の範囲内で、多数の改作および改変がなされ得る。かかる改変は、実質的に同じ方法で、同じ結果を達成するために、本発明の任意の態様を公知の均等物で置換することを含む。数値範囲は、その範囲を規定する数値を含む。単語「含む(comprising)」は、本明細書中で、語句「含むが、限定されない(including, but not limited to)」と実質的に同等のオープンエンドの用語として使用されており、単語「含む(comprises)」は、対応する意味を有する。本明細書中で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈によって明確に別段指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つのもの(a thing)」への言及は、1個よりも多くのかかるものを含む。本明細書中での参考文献の引用は、かかる参考文献が本発明に対する先行技術であることを承認するものではない。本明細書中で引用された、特許および特許出願を含むがこれらに限定されない、あらゆる優先権書類(1つまたは複数)およびすべての刊行物は、それぞれの個々の刊行物が、具体的に、かつ個々に本明細書中で参照によって援用されることが示されている場合と同様に、かつ本明細書中に完全に示されている場合と同様に、本明細書中に参照によって援用される。本発明は、実質的に本明細書中で前述したすべての実施態様および変形形態、ならびに実施例および図面に関連するすべての実施態様および変形形態を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンドロゲン受容体(AR)活性を調節するための(for modulating for modulating)、式I
【化1】

[式中、
Jは、H、または表1から選択される部分であり;
Lは、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
Xは、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であり;
Qは、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
Zは、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであるか、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;
G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または芳香族環式もしくは非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C10アルキルであり;
R3は、H、分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル、または
【化2】


であり;
J′は、H、または表1から選択される部分であり;
L′は、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
Z′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
Q′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
X′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2、または
【化3】


であり;
R1′およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであるか、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;
J′′およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分であり;
L′′は、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
Z′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
Q′′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
X′′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であり;
式中、任意の置換基は、オキソ、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択され、Rは、非置換のC1〜C10アルキルである]
の構造を有する化合物の使用。
【請求項2】
アンドロゲン受容体(AR)を調節するための医薬の製造のための、式I
【化4】

[式中、
Jは、H、または表1から選択される部分であり;
Lは、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
Xは、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であり;
Qは、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
Zは、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、H、または分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであるか、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;
G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、芳香族環式または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C10アルキルであり;
R3は、H、分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル、または
【化5】

であり;
J′は、H、または表1から選択される部分であり;
L′は、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
Z′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
Q′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
X′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2、または
【化6】

であり;
R1′およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであるか、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;
J′′およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分であり;
L′′は、O、S、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
Z′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
Q′′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
X′′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であり;
式中、任意の置換基は、オキソ、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択され、Rは、非置換のC1〜C10アルキルである]
の構造を有する化合物の使用。
【請求項3】
アンドロゲン受容体(AR)の活性の調節が、哺乳動物細胞におけるものである、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
X、X′およびX′′が、それぞれ独立して、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であり;
Z、Z′およびZ′′が、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、またはCOHである、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
R3が、
【化7】

である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
Z、Z′およびZ′′が、それぞれ独立して、CH、CF、CCl、CBr、またはCIである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
Z、Z′およびZ′′が、それぞれCHである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
Q、Q′およびQ′′が、それぞれOである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
R1、R1′、R2、およびR2′が、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
R1、R1′、R2、およびR2′が、それぞれCH3である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
Xが、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、またはCH2OGOG′である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
Xが、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、CH2OCH3、CH2O(イソプロピル)、またはCH2OC2H4OC4H9である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
X′が、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
X′が、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、またはCH2OGOG′である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
X′が、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、CH2OCH3、CH2O(イソプロピル)、またはCH2OC2H4OC4H9である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
X′′が、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2F、CH2OJ′′′、CH2OG、またはCH2OGOG′である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
X′′が、CH2Cl、CH2F、CH2I、CH2Br、CH2OH、CH2OCH3、CH2O(イソプロピル)、またはCH2OC2H4OC4H9である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
X′′がCH2OCH3であり、XがCH2OCH3である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
存在する場合、J、J′、J′′およびJ′′′が、それぞれ独立して、表1から選択される、アミノ酸系部分またはポリエチレングリコール系部分である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
存在する場合、J、J′、J′′およびJ′′′が、それぞれ独立して、表1から選択されるアミノ酸系部分である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
存在する場合、J、J′、J′′およびJ′′′が、それぞれ
【化8】

である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
存在する場合、J、J′、J′′、J′′′が、それぞれHである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項23】
存在する場合、L、L′およびL′′が、それぞれ独立して、OまたはSである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
存在する場合、L、L′およびL′′が、それぞれOである、請求項1〜23のいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
該化合物が、下記:
【化9−1】


【化9−2】


【化9−3】


【化9−4】


【化9−5】


【化9−6】


の1つ以上から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
哺乳動物細胞が、ヒト細胞である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
AR活性の調節が、ARのN末端ドメインの活性を阻害するためのものである、請求項1〜26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
AR活性の調節が、ARのN末端ドメイン(NTD)の活性を阻害するためのものである、請求項1〜27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
調節がインビボのものである、請求項1〜28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
ARの活性の調節が、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、脱毛、ざ瘡、多毛症、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣疾患、思春期早発症、および加齢性黄斑変性症からなる群から選択される少なくとも1つの適応症の治療のためのものである、請求項1〜29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
適応症が前立腺癌である、請求項1〜30のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
前立腺癌がアンドロゲン非依存性前立腺癌である、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前立腺癌がアンドロゲン依存性前立腺癌である、請求項31に記載の使用。
【請求項34】
式II
【化10】

[式中、
JおよびJ′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分であり;
LおよびL′は、それぞれ独立して、O、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
QおよびQ′は、それぞれ独立して、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
ZおよびZ′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、H;または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであるか、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;
Xは、CH2OG、CH2OGOG′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2I、CH2Br、CH2F、またはCH2NG2であり;
X′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2F、CHF2、CF3、CH2OJ′′′、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2、または
【化11】

であり;
R1′およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであるか、あるいはR1′およびR2′は一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;
J′′およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分であり;
L′′は、O、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
Z′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
Q′′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
X′′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であり;
G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状または非分枝状の、非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和C1〜C10アルキルであり;
式中、任意の置換基は、オキソ、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択され、Rは、非置換のC1〜C10アルキルである]
の構造を有する化合物。
【請求項35】
X′が、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2、または
【化12】

であり;
X′′が、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であり;
Z、Z′およびZ′′が、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、またはCOHである、
請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
Z、Z′およびZ′′が、それぞれ独立して、CH、CF、CCl、CBr、またはCIである、請求項34または35に記載の化合物。
【請求項37】
Z、Z′およびZ′′が、それぞれCHである、請求項34〜36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
Q、Q′およびQ′′が、それぞれOである、請求項34〜37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
R1、R1′、R2、およびR2′が、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルである、請求項34〜38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
R1、R1′、R2、およびR2′が、それぞれCH3である、請求項34〜39のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項41】
Xが、CH2I、CH2Br、CH2F、CH2OG、またはCH2OGOG′である、請求項34〜40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
Xが、CH2I、CH2Br、CH2F、CH2OCH3、CH2O(イソプロピル)、またはCH2OC2H4OC4H9である、請求項34〜41のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
X′が、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2である、請求項34〜42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
X′が、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OG、またはCH2OGOG′である、請求項34〜43のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項45】
X′が、CH2I、CH2Br、CH2F、CH2Cl、CH2OG、またはCH2OGOG′である、請求項34〜44のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項46】
X′が、CH2I、CH2Br、CH2F、CH2Cl、CH2OCH3、CH2O(イソプロピル)、またはCH2OC2H4OC4H9である、請求項34〜44のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項47】
X′′が、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、またはCH2OGOG′である、請求項34〜42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項48】
X′′が、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、またはCH2OJ′′′である、請求項34〜42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項49】
X′′が、CH2Cl、CH2OH、CH2OCH3、CH2O(イソプロピル)、またはCH2OC2H4OC4H9である、請求項34〜42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項50】
X′′がCH2OCH3であり、XがCH2OCH3である、請求項34〜42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項51】
存在する場合、J、J′、J′′、およびJ′′′が、それぞれ独立して、表1から選択されるアミノ酸系部分またはポリエチレングリコール系部分である、請求項34〜50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項52】
存在する場合、J、J′、J′′、およびJ′′′が、それぞれ独立して、表1から選択されるアミノ酸系部分である、請求項34〜50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項53】
存在する場合、J、J′、J′′、およびJ′′′が、それぞれ
【化13】

である、請求項34〜50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項54】
存在する場合、J、J′、J′′、およびJ′′′が、それぞれHである、請求項34〜50のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項55】
存在する場合、L、L′およびL′′が、それぞれ独立して、O、NH、またはN+H2である、請求項34〜53のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項56】
存在する場合、L、L′およびL′′が、それぞれOである、請求項34〜54のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項57】
下記:
【化14−1】


【化14−2】


【化14−3】


【化14−4】


【化14−5】


の1つ以上から選択される、請求項34に記載の化合物。
【請求項58】
式:
【化15】

[式中、
Jは、表1から選択される部分であり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、H、または分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであるか、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;
式中、任意の置換基は、オキソ、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択され、Rは、非置換のC1〜C10アルキルである]
を有する化合物。
【請求項59】
Jが
【化16】

であり;R1およびR2が、それぞれ、HまたはCH3から選択される、請求項58に記載の化合物。
【請求項60】
下記:
【化17】

の1つ以上から選択される、化合物。
【請求項61】
請求項1〜60のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項62】
式I
【化18】

[式中、
Jは、H、または表1から選択される部分であり;
Lは、O、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
Xは、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であり;
Qは、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
Zは、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであるか、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;
G、G′およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状または非分枝状の、芳香族環式または非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C10アルキルであり;
R3は、H、分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル、または
【化19】

であり;
J′は、H、または表1から選択される部分であり;
L′は、O、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
Z′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
Q′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
X′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2、または
【化20】

であり;
R1′およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであるか、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;
J′′およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分であり;
L′′は、O、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
Z′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
Q′′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
X′′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であり;
式中、任意の置換基は、オキソ、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択され、Rは、非置換のC1〜C10アルキルである]
の構造を有する化合物および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項63】
式I:
【化21】

[式中、
Jは、H、または表1から選択される部分であり;
Lは、O、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
Xは、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であり;
Qは、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
Zは、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
R1およびR2は、それぞれ独立して、H、または分枝状もしくは非分枝状の、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであるか、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;
G、G′、およびG′′は、それぞれ独立して、分枝状、非分枝状、または芳香族環式もしくは非芳香族環式の、置換または非置換の、飽和または不飽和のC1〜C10アルキルであり;
R3は、H、分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキル、または
【化22】

であり;
J′は、H、または表1から選択される部分であり;
L′は、O、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
Z′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
Q′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
X′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、CH2NG2、または
【化23】

であり;
R1′およびR2′は、それぞれ独立して、H、または分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルであるか、あるいは一緒に置換または非置換の、飽和、芳香族環式または非芳香族環式のC3〜C10アルキルを形成し;
J′′およびJ′′′は、それぞれ独立して、H、または表1から選択される部分であり;
L′′は、O、NH、NG、N+H2、またはN+HGであり;
Z′′は、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、COH、CG、COG、CNH2、CNHG、CNG2、COSO3H、COPO3H2;CSG、CSOG、またはCSO2Gであり;
Q′′は、G、O、CH2、CHG、CG2、S、NH、またはNGであり;
X′′は、H、CH3、CH2F、CHF2、CF3、CH2Cl、CHCl2、CCl3、CH2Br、CHBr2、CBr3、CH2I、CHI2、CI3、CH2OJ′′′、G、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であり;
式中、任意の置換基は、オキソ、OJ′′′、COOH、R、OH、OR、F、Cl、Br、I、NH2、NHR、NR2、CN、SH、SR、SO3H、SO3R、SO2R、OSO3R、およびNO2からなる群から選択され、Rは、非置換のC1〜C10アルキルである]
の構造を有する化合物を哺乳動物細胞に投与することを含む、ARの活性の調節方法。
【請求項64】
投与がインビボのものである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
投与が哺乳動物に対するものである、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
前立腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、脱毛、ざ瘡、多毛症、卵巣嚢胞、多嚢胞性卵巣疾患、思春期早発症、および加齢性黄斑変性症からなる群から選択される少なくとも1つの適応症の治療のために、それを必要とする哺乳動物に対して、有効量を投与するものである、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
X、X′およびX’が、それぞれ独立して、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2であり;
Z、Z′およびZ′′が、それぞれ独立して、N、CH、CF、CCl、CBr、CI、またはCOHである、
請求項63〜66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
R3
【化24】

である、請求項63〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
Z、Z′およびZ′′が、それぞれ独立して、CH、CF、CCl、CBr、またはCIである、請求項63〜68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
Z、Z′およびZ′′が、それぞれCHである、請求項63〜69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
Q、Q′およびQ′′が、それぞれOである、請求項63〜70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
R1、R1′、R2、およびR2′が、それぞれ独立して、H、または分枝状、非分枝状、置換もしくは非置換のC1〜C10アルキルである、請求項63〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
R1、R1′、R2、およびR2′が、それぞれCH3である、請求項63〜72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
Xが、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、またはCH2OGOG′である、請求項63〜73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
Xが、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OH、CH2OCH3、CH2O(イソプロピル)、またはCH2OC2H4OC4H9である、請求項63〜74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
X′が、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、CH2OGOG′、GOG′、GOG′OG′′、CH2SG、CH2NH2、CH2NHG、またはCH2NG2である、請求項63〜75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
X′が、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、またはCH2OGOG′である、請求項63〜76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
X′が、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OH、CH2OCH3、CH2O(イソプロピル)、またはCH2OC2H4OC4H9である、請求項63〜77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
X′′が、H、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OJ′′′、CH2OG、またはCH2OGOG′である、請求項63〜75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
X′′が、CH3、CH2F、CH2Cl、CH2Br、CH2I、CH2OH、CH2OCH3、CH2O(イソプロピル)、またはCH2OC2H4OC4H9である、請求項63〜75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
X′′がCH2OCH3であり、XがCH2OCH3である、請求項63〜75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
存在する場合、J、J′、J′′、およびJ′′′が、それぞれ独立して、表1から選択されるアミノ酸系部分またはポリエチレングリコール系部分である、請求項63〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
存在する場合、J、J′、J′′、およびJ′′′が、それぞれ独立して、表1から選択されるアミノ酸系部分である、請求項63〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
存在する場合、J、J′、J′′、およびJ′′′が、それぞれ
【化25】

である、請求項63〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
存在する場合、J、J′、J′′、およびJ′′′が、それぞれHである、請求項63〜81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
存在する場合、L、L′およびL′′が、それぞれ独立して、O、NH、またはN+H2である、請求項63〜85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
存在する場合、L、L′およびL′′が、それぞれOである、請求項63〜86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
該化合物が、下記:
【化26−1】


【化26−2】


【化26−3】


【化26−4】


【化26−5】

の1つ以上から選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項89】
適応症が前立腺癌である、請求項66〜88のいずれか一項に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図1】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−526250(P2011−526250A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515039(P2011−515039)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000902
【国際公開番号】WO2010/000066
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(511002951)
【出願人】(503384225)ザ ユニヴァーシティ オヴ ブリティッシュ コロンビア (4)
【Fターム(参考)】