説明

ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸を用いた治療法、並びにそれらの混合生成物

【課題】患者の高トリグリセリド血症、高血圧、アンギナ、心不全、血管病、アテローム性動脈疾患及びその関連する症状の治療、患者の心血管及び血管事象の予防又は軽減、並びに患者のコレステロール及びトリグリセリド濃度、インシュリン抵抗、絶食時の血糖値及び食後の血糖値の減少に対して有効な医薬的処置方法を提供すること。
【解決手段】1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸の共投与若しくはユニットドーズの投与。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)本特許出願は、米国仮特許出願第60/703002号(2005年7月28日に出願)にかかる仮特許出願でない特許出願である。当該仮特許出願の開示内容は、援用によって本願明細書の内容の一部をなす。
【0002】
(技術分野)本発明は、1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーと、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)(好ましくはOmacor(登録商標)ω3脂肪酸)などの1つ以上のω3脂肪酸との混合物を用いた単回投与若しくはユニットドーズを行うことにより、患者の高トリグリセリド血症、高血圧、アンギナ、心不全、血管病、アテローム性動脈疾患及びその関連する症状の治療、患者の心血管及び血管事象の予防又は軽減、並びに患者のコレステロール及びトリグリセリド濃度、インシュリン抵抗、絶食時の血糖値及び食後の血糖値の減少を行う方法に関する。本発明はまた、1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーと、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)(好ましくはOmacor(登録商標)ω3脂肪酸)などのω3脂肪酸との混合物を含んでなる、単回投与用の混合生成物に関する。
【背景技術】
【0003】
コレステロール及びトリグリセリドは、ヒトにおける血流中のリポタンパク質複合体の一部であり、超遠心分離によって、高密度リポタンパク質(HDL)、中密度リポタンパク質(IDL)、低密度リポタンパク質(LDL)及び超低密度リポタンパク質(VLDL)画分に分離できる。コレステロール及びトリグリセリドは肝臓で合成され、VLDL内に取り込まれて、血漿へ放出される。総コレステロール(総−C)、LDL−C、及びアポリポタンパク質B(LDL−Cに対する膜複合体)のレベルが高いと、ヒトアテローム性動脈硬化が促進され、HDL−C及びその輸送複合体であるアポリポタンパク質Aのレベルの低下は、アテローム性動脈硬化の発生に関わる。更に、ヒトにおける心血管系による罹患率及び死亡率は、総−C及びLDL−Cのレベルに伴って直接的に変動し、HDL−Cのレベルと逆に変動する可能性がある。
【0004】
ジヒドロピリジン(DHP)カルシウムチャネルブロッカーは、高血圧、アンギナ、不整脈、鬱血性心不全、心筋症、アテローム性動脈硬化症及び脳及び末梢性血管障害の治療に最もよく使用されている治療薬である。
【0005】
ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーの具体的形態としては、BayK8644、アムロジピン、フェロジピン、ラシジピン、レルカニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン及びイスラジピンが挙げられる。
【0006】
イスラジピンは、高い親和性及び特異性でカルシウムチャネルと結合し、心臓及び平滑筋へのカルシウム流入を阻害する。イスラジピンの1つの形態として、商標DynaCirc(登録商標)として市販されているものが挙げられる。DynaCirc(登録商標)は、例えば2.5mg〜5mgのイスラジピンを含むカプセルの経口投与に用いられる。イスラジピンの他の形態としては、商標DynaCirc CR(登録商標)として市販されているものが挙げられる。DynaCirc CR(登録商標)は、例えば5mg〜10mgのイスラジピンを含む徐放性錠剤として経口投与に用いられる。
【0007】
一般に魚油とも称されるマリンオイルは、脂質代謝を調節することが見出されている、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)という2種のω3脂肪酸の良好な供給源である。ω3脂肪酸は、心血管性疾患、特に、軽い高血圧、高トリグリセリド血症に対する危険因子や、凝固因子VlIリン脂質複合体活性に対して有益な効果を有することが見出されている。ω3脂肪酸は、血清トリグリセリドを低下させ、血清HDL−コレステロールを増加させ、収縮期及び拡張期血圧並びに脈拍数を低下させ、また血液凝固因子VII−リン脂質複合体の活性を低下させる。更に、ω3脂肪酸は、深刻な副作用を何ら引き起こすことなく、良好な耐容性を示すようである。
【0008】
ω3脂肪酸のかかる形態の1種は、DHA及びEPAを含有する魚油由来のω3、長鎖、多価不飽和脂肪酸の濃縮物であり、Omacor(登録商標)の商標名で販売されている。ω3脂肪酸のかかる形態は、例えば、特許文献1から3に記載されており、各々を引用して本願に援用する。
【0009】
Finkelらは、ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーであるBayK8644が濃度依存的な陽性変力作用(すなわち心臓の収縮力の増加、それによる心拍出量の増加)であることを示している。対照的に、EPA及びω−6脂肪酸アラキドン酸は、濃度依存的な負の変力作用である。Finkelらは、アラキドン酸及びEPAの組合せが濃度依存的な負の変力作用をもたらすことを示している。しかしながら、BayK8644及びEPAの組合せにより、濃度依存的な陽性変力作用がもたらされる(非特許文献1)。
【0010】
Hallaqらは、ω3脂肪酸であるEPA及びDHAが強心配糖体ウアバインの高濃度の毒性を抑止することを報告している。同様に、ジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーBayK8644によって生じるカルシウム流入の増加及び細胞の痙縮は、EPA及びDHAの添加により抑止することができる。ω3脂肪酸の予防的効果はカルシウム流入速度を低下させ、それによりサイトソルにおける遊離カルシウムのレベルの上昇を防止する能力と関係している。対照的に、ジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーニトレンジピンは、細胞に流入するカルシウムの量を不足させることにより、サイトソルへのカルシウム遊離を阻害し、完全に細胞収縮を停止させる。ニトレンジピンと共にEPA及びDHAを添加することにより、細胞に対するこの阻害的効果を防止できる。すなわち、あまりに多くのカルシウムが例えばウアバイン又はBayK8644によって細胞に流入した場合、EPA及びDHAの添加によりカルシウム流入を減少させることができる。しかしEPA及びDHAは、例えばニトレンジピンによって細胞へのカルシウム流入が不十分となった場合に、カルシウムチャネルを開くこともできる(非特許文献2及び3)。
【0011】
Pepeらは、ジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカー ニトレンジピンが、L−タイプCa2+チャネル流、サイトソルのCa2+及び細胞収縮のピークを減少させることを示している。対照的に、ジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカー BayK8644は、L−タイプCa2+チャネル流、サイトソルのCa2+及び細胞収縮のピークを著しく増加させた。細胞をBayK8644若しくはニトレンジピンと同時にDHAに曝露したとき、ジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーの効果が阻害された。Pepeらは、DHAが特にジヒドロピリジン結合部位又はその付近でCa2+チャネルと結合し、L−タイプCa2+チャネル流の変調を妨げると結論づけている(非特許文献4)。
【0012】
特許文献4には、水溶液に希釈させた後に、水中油ミクロエマルジョン又はエマルジョンを形成できる自己乳化型の濃縮前医薬組成物が開示されている。特許請求された組成物は、治療上有効量の低水溶性治療薬と、薬理学的に有効量の低HLB油成分と、約10〜20のHLBを示す少なくとも1つの界面活性剤を含有する界面活性剤システム。を含んでなる。治療薬としてはシクロスポリン、ニフェジピン又はインドメタシンが挙げられ、低HLB油成分としてはEPA又はDHAが挙げられる。
【0013】
特許文献5(全開示内容が本願明細書に援用される)はω3油及び1つ以上のスタチンの塩を含んでなる医薬組成物を開示しており、スタチンの少なくとも約80重量%は異質な懸濁液中の固体粒子として存在する。上記文献における他の実施形態は、ω3油及び1つ以上のスタチンの塩を含んでなる医薬組成物の提供に関するが、詳細には、スタチンの15重量%の量が溶液状態であるに過ぎず、その他のスタチンの量は異質な懸濁液として存在する。
【0014】
しかしながら、従来技術では、本発明で開示するような、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーと、ω3脂肪酸(好ましくはOmacor(登録商標)ω3脂肪酸)とを用いた併用治療は開示されていない。更に従来技術では、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーと、ω3脂肪酸(好ましくはOmacor(登録商標)ω3脂肪酸)との混合物の、単回投与若しくはユニットドーズの組み合わせを行うことにより、患者の高トリグリセリド血症、高血圧、アンギナ、心不全、血管病、アテローム性動脈疾患及びその関連する症状の治療、患者の心血管及び血管事象の予防又は軽減、並びに患者のコレステロール及びトリグリセリド濃度、インシュリン抵抗、絶食時の血糖値及び食後の血糖値の減少を効率的に行う新規な方法は開示されていない。
【特許文献1】米国特許第5502077号、
【特許文献2】米国特許第第5656667号
【特許文献3】米国特許第第5698594号
【特許文献4】国際特許出願第PCT/IE99/00031号
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0034815号
【非特許文献1】Finkelら、J.Cardiovascular Pharmacol.(20):563−571(1992)
【非特許文献2】Hallaqら、Proc.Natl.Acad.Sci.Pharmacology,89:1760−1764(1992)、
【非特許文献3】Hallaqら、Fish Oil Vase.Dis.,85−88(1992)
【非特許文献4】Pepeら、Proc.Natl.Acad.Sci.Physiology,91:8832−836(1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸の混合生成物を提供する技術に対するニーズに応えるだけの技術は、これまで存在しなかった。特に従来技術では、ω3脂肪酸(例えばOmacor(登録商標)ω3脂肪酸)及び1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーの単回投与を、例えばユニットドーズにおいて提供する混合生成物を用いて、特定の治療的特性を提供することに対するニーズに応えるだけの技術がこれまで存在しなかった。
【0016】
また、単回投与又はユニットドーズ用の製品の投与方法に対するニーズに応えるだけの技術がこれまで存在しなかった。更に、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーとω3脂肪酸(例えばOmacor(登録商標)ω3脂肪酸)とを含有する単回投与又はユニットドーズ形態であって、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーのω3脂肪酸との組み合わせにより特定の治療的特性が得られる形態に対するニーズに応えるだけの技術がこれまで存在しなかった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記の満たされなかったニーズに応えるものであって、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸の共投与若しくはユニットドーズの投与によって、患者の高トリグリセリド血症、高血圧、アンギナ、心不全、血管病、アテローム性動脈疾患及びその関連する症状の治療、患者の心血管及び血管事象の予防又は軽減、並びに患者のコレステロール及びトリグリセリド濃度、インシュリン抵抗、絶食時の血糖値及び食後の血糖値の減少に対して有効な医薬的処置を提供することを特徴とする。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態は、1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸の組合せを利用することにより、患者の高トリグリセリド血症、高血圧、アンギナ、心不全、血管病、アテローム性動脈疾患及びその関連する症状の治療、患者の心血管及び血管事象の予防又は軽減、並びに患者のコレステロール及びトリグリセリド濃度、インシュリン抵抗、絶食時の血糖値及び食後の血糖値の減少のいずれかを行う方法の提供に関する。
【0019】
本発明の他の実施形態は、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸を含んでなる混合生成物(例えばユニットドーズ)の提供に関する。上記実施形態の一態様では、当該混合生成物を用いることにより、患者の高トリグリセリド血症、高血圧、アンギナ、心不全、血管病、アテローム性動脈疾患及びその関連する症状の治療、患者の心血管及び血管事象の予防又は軽減、並びに患者のコレステロール及びトリグリセリド濃度、インシュリン抵抗、絶食時の血糖値及び食後の血糖値の減少が可能となる。
【0020】
本発明の更に他の実施形態は、患者の高トリグリセリド血症、高血圧、アンギナ、心不全、血管病、アテローム性動脈疾患及びその関連する症状の治療、患者の心血管及び血管事象の予防又は軽減、並びに患者のコレステロール及びトリグリセリド濃度、インシュリン抵抗、絶食時の血糖値及び食後の血糖値の減少のための方法の提供に関し、当該方法は1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーと、ω3脂肪酸、好ましくは具体的な製品 Omacor(登録商標)ω3脂肪酸との組み合わせ投与を含んでなる。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態では、当該ジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーは、BayK8644、アムロジピン(例えばNorvasc(登録商標))、フェロジピン(例えばPlendil(登録商標))、ラシジピン(例えばLacipil(登録商標))、レルカニジピン(例えばZanidip(登録商標))、ニカルジピン(例えばCardene(登録商標))、ニフェジピン(例えばAdalat(登録商標))、プロカルディア(登録商標)、ニモジピン(例えばNimotop(登録商標))、ニソルジピン(例えばSular(登録商標))、ニトレンジピン及びイスラジピン(例えばDynaCirc(登録商標))などが挙げられる。
【0022】
他の好ましい実施形態では、当該ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーはイスラジピンである。
【0023】
本発明の他の特徴及び利点は、当業者であれば以下に記載する試験及び本発明の実施による教示に基づいて容易に理解できるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、患者の高トリグリセリド血症、高血圧、アンギナ、心不全、血管病、アテローム性動脈疾患及びその関連する症状の治療、患者の心血管及び血管事象の予防又は軽減、並びに患者のコレステロール及びトリグリセリド濃度、インシュリン抵抗、絶食時の血糖値及び食後の血糖値の減少のうちのいずれかを行うための、1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸(好ましくはOmacor(登録商標)ω3脂肪酸)の使用、並びに、1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカー及び1つ以上のω3脂肪酸を含んでなる混合生成物又はユニットドーズの提供に関する。
【0025】
幾つかの実施形態では、本発明は、患者の高トリグリセリド血症、高血圧、アンギナ、心不全、血管病、アテローム性動脈疾患及びその関連する症状の治療、患者の心血管及び血管事象の予防又は軽減、並びに患者のコレステロール及びトリグリセリド濃度、インシュリン抵抗、絶食時の血糖値及び食後の血糖値の減少のうちのいずれかを行うための新規な混合生成物の提供に関し、患者に当該混合生成物を投与することを特徴とする。好ましい実施形態では、当該投与はω3脂肪酸(好ましくはOmacor(登録商標)ω3脂肪酸の形)、及び1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムブロッカーの投与を含んでなり、詳細には、当該Omacor(登録商標)ω3脂肪酸が、当該1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーの投与と同時に投与される。
【0026】
他の好ましい実施形態では、当該投与はω3脂肪酸(好ましくはOmacor(登録商標)ω3脂肪酸の形)、及び1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムブロッカーの投与を含んでなり、詳細には、当該Omacor(登録商標)ω3脂肪酸が、当該1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーとは別個に投与される。例えば、ω3脂肪酸(例えばOmacor(登録商標)カプセル)を連日投与しつつ、イスラジピンを(例えばイスラジピンパッチによって)1週間に1回投与してもよい。本開示により利益を受ける当業者であれば、ω3脂肪酸と、PPARアゴニスト及び/又はアンタゴニストの具体的な投与量並びに投与計画は、例えば投与経路及び症状の重篤さなど、数多くの因子によって変化しうることを理解するであろう。
【0027】
本発明は、一般的に安全と認識されている量で、既知又は今後周知になるであろうPPARアゴニスト及び/又はアンタゴニストを組み込んでもよい。例えば、ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーとしては、BayK8644、アムロジピン、フェロジピン、ラシジピン、レルカニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン及びイスラジピンが挙げられる。好ましい実施形態では、ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーはイスラジピンである。
【0028】
個々のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカー、又は複数のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーを含有する本発明の混合生成物は明瞭である。幾つかの実施形態では、1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーを適当量のω3脂肪酸と混合する。
【0029】
本明細書における「ω3脂肪酸」という用語は、天然若しくは合成ω3脂肪酸、又はその薬理学的に許容できるエステル、誘導体、コンジュゲート(例えば、Zalogaら、米国特許出願公開第2004/0254357号、及びHorrobinら、米国特許第6,245,811号を参照されたい(各々、引用することにより本願に援用する)、前駆体若しくは塩及びそれらの混合物を包含する。ω3脂肪酸油の例としては、特に限定されないが、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、及びα−リノレン酸等のω3多価不飽和、長鎖脂肪酸、モノ、ジ−、及びトリグリセリド等のω3脂肪酸のグリセロールエステル、並びに脂肪酸メチルエステル及び脂肪酸エチルエステル等のω3脂肪酸の第1級、第2級、又は第3級アルコールエステルが挙げられる。好ましいω3脂肪酸油は、EPA又はDHAなどの長鎖脂肪酸、それらのトリグリセリド、それらのエチルエステル、及びそれらの混合物である。ω3脂肪酸又はそれらのエステル、誘導体、コンジュゲート、前駆体、塩及びそれらの混合物は、それらの純品にて、又は魚油、好ましくは精製魚油濃縮物などの油の成分としての何れかにて使用できる。本発明での使用に適したω3脂肪酸の市販品の例としては、lncromega F2250、F2628、E2251、F2573、TG2162、TG2779、TG2928、TG3525、及びE5015(Croda International PLC、Yorkshire、England)、PAX6000FA、EPAX5000TG、EPAX4510TG、EPAX2050TG、K85TG、K85EE、K80EE、及びEPAX7010EE(Pronova Biocare a.s.、1327 Lysaker、Norway)が挙げられる。
【0030】
好適な組成物は、米国特許第5,502,077号、第5,656,667号、及び第5,698,694号に列挙されるω3脂肪酸を含み、これら文献は援用によって、本明細書の一部をなす。
【0031】
別の好適な組成物は、40質量%以上、好ましくは50質量%以上、好ましくは60質量%以上、更により好ましくは70質量%以上、最も好ましくは80質量%以上、更には90質量%以上の濃度で存在するω3脂肪酸を含む。好ましくは、ω3脂肪酸は50質量%以上のEPA及びDHAを含有し、好ましくは60質量%以上、更により好ましくは70質量%以上、最も好ましくは80%以上、例えば約84質量%である。好ましくは、ω3脂肪酸は約5〜約100質量%、好ましくは約25〜約75質量%、更により好ましくは約40〜約55質量%、最も好ましくは約46質量%のEPAを含有する。好ましくは、ω3脂肪酸は約5〜約100質量%、好ましくは約25〜約75質量%、更により好ましくは約30〜約60質量%、最も好ましくは約38質量%のDHAを含有する。以上示した百分率はすべて、別途に示さない限り組成物中の総脂肪酸含有量に対する質量に基づく。重量パーセントは遊離酸又はエステル型に対するもののいずれに対するものでもよく、ω3脂肪酸のエチルエステル型に対するものが好ましいが、そうでない態様で本発明を実施しても差し支えない。
【0032】
EPA:DHA比は、99:1〜1:99であってもよく、好ましくは4:1〜1:4、好ましくは3:1〜1:3、最も好ましくは2:1〜1:2である。ω3脂肪酸は、純粋なEPA又は純粋なDHAを含んでもよい。
【0033】
ω3脂肪酸組成物は、αトコフェロールなどの化学的酸化防止剤、大豆油及び部分的に水素添加した植物油などの油類、並びに精留ヤシ油、レシチン及びその混合物などの滑沢剤を適宜含む。
【0034】
ω3脂肪酸の最も好ましい形態は、Omacor(登録商標)ω3酸(K85EE、Pronova Biocare A.S.、Lysaker、Norway)であり、好ましくは以下の特性(1服用形態あたり)を備えている。
【表1】

【0035】
1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸(好ましくはOmacor(登録商標)ω3脂肪酸)の混合生成物を、公知技術のいかなる手段によって投与してもよい。かかる投与様式としては、経口、直腸内、鼻腔内、局所(頬内及び舌下を含む)、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内を含む)投与が挙げられる。これらの組成物は、好ましくは経口投与される。
【0036】
本発明の組成物の有効成分の投与量は適宜変化させてもよいが、適切な剤形が得られるような有効成分の量であることが必要である。投与量の選択は、所望の治療効果に、投与経路及び治療期間に依存する。本発明の幾つかの実施形態に係る組成物は、有効量の、薬理学的に有効量の、若しくは治療的有効量の1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーを主成分として含んでなる。
【0037】
1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーとω3脂肪酸との混合生成物は、当分野で周知の、カプセル剤、錠剤、飲料に分散させることができる散剤、若しくは別の固体経口服用形態、液剤、軟質ゲルカプセル剤、又はカプセル剤中の経口液剤などのその他好都合な投与形態にて投与してもよい。幾つかの実施形態では、当該カプセルは、硬質のゼラチンから構成される。当該混合生成物は、注射又は注入に好適な液剤に含有させてもよい。
【0038】
本発明の有効成分(ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸)は、1つ以上の非活性の製薬用成分(「賦形剤」として一般に公知、本願明細書においても使用)との組合せで投与してもよい。当該非有効成分は、例えば、有効成分を可溶化、懸濁、濃化、希釈、懸濁、安定化、保存、保護、着色、着香、及び成形することにより、安全、取り扱いが簡便、あるいは使用可能な状態とし、投与可能かつ有効な製剤の調製を可能にするものが好ましい。したがって、当該不有効成分としては、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン、ラクトース水和物、レシチン、微結晶性セルロース、ポリビニルアルコール、ポビドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムステアリルフマル酸塩、タルク、二酸化チタン及びキサンタムゴムが挙げられる。
【0039】
賦形剤としては、プロピレングリコールモノカプリレート、グリセロール及び長鎖脂肪酸のポリエチレングリコールエステルの混合物、ポリエトキシ化ヒマシ油、グリセロールエステル、オレオイルマクロゴールグリセライド、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプラート、ポリエチレン−ポリプロピレングリコール共重合体、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどの界面活性剤、エタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールなどの助溶剤、並びにココナツ、オリーブ又は紅花油などの油脂が挙げられる。界面活性剤、共溶媒、油脂又はそれらの組み合わせの使用は、製薬技術において公知であり、当業者に自明のように、いずれの好適な界面活性剤を、本発明及びその実施形態との関連で適宜使用してもよい。
【0040】
濃縮ω3脂肪酸は、約0.1g〜約10g、好ましくは約0.5g〜約8g、最も好ましくは約0.75g〜約4gの1日量で投与できる。ω3脂肪酸は好ましくは、ユニットドーズの形態で約0.1gから約2g、好ましくは約0.5g〜約1.5g、より好ましくは約1gの量で含有させる。
【0041】
本発明の一実施例では、ジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーは通常、約0.5mg〜約100mg、好ましくは約1mg〜約50mg、より好ましくは約2.5mg〜約20mgの量で含有させる。
【0042】
本発明の若干の変形態様では、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸(例えばOmacor(登録商標)ω3脂肪酸)の組合せは、BayK8644、アムロジピン(例えばNorvasc(登録商標))、フェロジピン(例えばPlendil(登録商標))、ラシジピン(例えばLacipil(登録商標))、レルカニジピン(例えばZanidip(登録商標))、ニカルジピン(例えばCardene(登録商標))、ニフェジピン(例えばAdalat(登録商標))、Procardia(登録商標)、ニモジピン(例えばNimotop(登録商標))、ニソルジピン(例えばSular(登録商標))、ニトレンジピン及びイスラジピン(例えばDynaCirc(登録商標))からなる群から選択されるジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーを使用して単回投与又はユニットドーズとして製剤化される。
【0043】
1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸の1日あたりの服用頻度は1〜10回の投与で行ってもよく、好適な回数としては1日あたり1〜4回への投与回数である。投与方法は好ましくは経口投与であるが、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーとω3脂肪酸のユニットドーズを提供する他の投与形態を用いてもよい。
【0044】
幾つかの好ましい実施形態では、軟質ゼラチンカプセル剤を用いる。軟質ゼラチンカプセル剤の製造は、当業者に公知である。Ebertら、(1978)、”Soft Elastic Gelatin Capsules: A Unique Dosage Form,”Pharmaceutical Technology 1(5)を参照(本発明に援用する)。幾つかの実施形態では、1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカー及び/又はω3脂肪酸を軟質ゼラチンカプセル剤に含有させる。特定の実施形態では、軟ゼラチンカプセル剤の有効成分を可溶化剤と混合する。可溶化剤としては、界面活性剤、親水性若しくは疎水性溶媒、油脂又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
使用できる1種類の可溶化剤はビタミンE剤である。この可溶化剤のグループとしては、α−、β−、γ−、δ−、ζ1−、ζ2−及びη−トコフェロールのグループに属する物質が挙げられ、それらのdl型、d型及びl型形態、並びにそれらの構造類似体(例えばトコトリエノール)、対応する誘導体(例えば有機酸を用いて形成されるエステル)、並びにそれらの混合物が挙げられる。好適なビタミンE剤の可溶化剤としては、トコフェロール、トコトリエノール及び有機酸(例えば酢酸、プロピオン酸、胆汁酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、ポリエチレングリコールコハク酸塩及びサリチル酸)と結合させたトコフェロール誘導体が挙げられる。特に好適なビタミンE剤の可溶化剤としては、α−トコフェロール、α−トコフェリル酢酸エステル、α−トコフェリル酸コハク酸エステル、α−トコフェリルポリエチレングリコール1000のコハク酸エステル、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0046】
可溶化剤の他のグループは、有機酸の一価アルコールエステルである。一価アルコールは例えば、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、脂肪族アルコール、フェノール、クレゾール、ベンジルアルコール又はシクロアルキルアルコールであってもよい。当該有機酸は例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、6−22の炭素原子数の脂肪酸、胆汁酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸及びサリチル酸であってもよい。このグループにおける好適な可溶化剤としては、トリアルキルクエン酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル及びラクトンが挙げられる。好適なトリアルキルクエン酸エステルとしては、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル及びそれらの混合物が挙げられ、特に好適にはクエン酸トリエチルである。特に好適な低級アルコール脂肪酸エステルとしては、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル及びそれらの混合物が挙げられる。ラクトンは可溶化剤として使用することができる。例えばε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、並びにその異性体及びそれらの混合物が挙げられる。
【0047】
可溶化剤は窒素含有溶媒であってもよい。好適な窒素含有溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−アルキルピロリドン、N−ヒドロキシアルキルピロリドン、N−アルキルピペリドン、N−アルキルカプロラクタム(当該アルキル基は分岐状若しくは直鎖状のC1−12アルキル基である)、及びそれらの混合物が挙げられる。特に好適な窒素含有溶媒としては、N−メチル2−ピロリドン、N−エチル2−ピロリドン又はその混合が挙げられる。あるいは、当該窒素含有溶媒はポリマー(例えばポリビニルピロリドン)の形態であってもよい。
【0048】
可溶化剤の他のグループとしては、リン脂質が挙げられる。好適なリン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、レシチン、リゾレシチン、リゾホスファチジルコリン、ポリエチレングリコシル化されたリン脂質/リゾリン脂質、レシチン/リゾレシチン、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0049】
好適な可溶化剤の他のグループとしては、グリセロール酢酸エステル及びアセチル化グリセロールの脂肪酸エステルが挙げられる。好適なグリセロール酢酸エステルとしては、アセチン、ジアセチン、トリアセチン及びそれらの混合物が挙げられ、特に好適にはトリアセチンである。好適なアセチル化グリセロール脂肪酸エステルとしては、アセチル化モノグリセリド、アセチル化ジグリセリド及びそれらの混合物が挙げられる。
【0050】
更に、当該可溶化剤はグリセロール脂肪酸エステルでもよい。脂肪酸成分は、約6〜22の炭素原子数である。当該グリセロール脂肪酸エステルは、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド又はそれらの混合物であってもよい。好適なグリセロール脂肪酸エステルとしては、モノグリセリド、ジグリセリド、約6〜12の炭素数の中鎖脂肪酸とのトリグリセリド、並びにそれらの混合物が挙げられる。特に好適なグリセロール脂肪酸エステルとしては、約6〜12の炭素数の中鎖脂肪酸のモノグリセリド、約6〜12の炭素数の中鎖脂肪酸のジグリセリドが挙げられる。
【0051】
当該可溶化剤はプロピレングリコールエステルであってもよい。好適なプロピレングリコールエステルとしては、プロピレンカーボネート、プロピレングリコールモノ酢酸エステル、プロピレングリコールジ酢酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アセチル化プロピレングリコール脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物が挙げられる。あるいは、当該プロピレングリコール脂肪酸エステルは、プロピレングリコール脂肪酸モノエステル、プロピレングリコール脂肪酸ジエステル又はその混合物であってもよい。当該脂肪酸は6〜22の炭素原子数である。特に好適には、当該プロピレングリコールエステルはプロピレングリコールモノカプリル酸エステル(CAPRYOL(登録商標))である。他の好適なプロピレングリコールエステルとしては、プロピレングリコールジカプリル酸エステル、プロピレングリコールジカプリン酸エステル、プロピレングリコールジカプリル酸エステル/ジカプリン酸エステル、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
可溶化剤の他のグループとしては、エチレングリコールエステルが挙げられる。当該エチレングリコールエステルとしては、モノエチレングリコールモノ酢酸エステル、ジエチレングリコールエステル、ポリエチレングリコールエステル、並びにそれらの混合物が挙げられる。更なる実施形態としては、エチレングリコールモノ酢酸エステル、エチレングリコールジ酢酸エステル、エチレングリコール脂肪酸モノエステル、エチレングリコール脂肪酸ジエステル、並びにそれらの混合物が挙げられる。あるいは、当該エチレングリコールエステルは、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル又はそれらの混合物であってもよい。また、当該脂肪酸成分は約6〜22の炭素原子数である。特に好適なエチレングリコールエステルとしては、Labrafil(登録商標)及びLabrasol(登録商標)として市販されているものが挙げられる。
【0053】
例えば4〜25のアルキレン部分を有するポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステル(ポリソルベートとも呼ばれる。例えばTween(登録商標)の商品名で市販されているモノ−及びトリ−ラウリル、パルミチル、ステアリル及び、オレイルエステルのタイプ)もまた界面活性剤として適切である。
【0054】
使用可能な親水性溶媒としては、アルコール(例えば水と混合できるアルコール、例えば無水エタノール)又はグリセロールが挙げられる。他のアルコールとしては、グリコール(例えば酸化エチレンなどのオキシド得られるあらゆるグリコール、例えば1,2−プロピレングリコール)が挙げられる。他の実施形態としては、多価アルコール(例えばポリアルキレングリコール、例えばポリ(C2−3)アルキレングリコール)が挙げられる。典型的な実施形態はポリエチレングリコールの使用である。あるいは、当該親水性成分は、N−アルキルピロリドン(例えばN−(C1−14アルキル)ピロリドン、例えばN−メチルピロリドン)、トリ(C1−4アルキル)クエン酸エステル(例えばクエン酸トリエチル)、ジメチルイソソルビド、(C−C13)アルカン酸(例えばカプリル酸)又はプロピレンカーボネートを含んでなるのが好ましい。
【0055】
当該親水性溶媒は、主成分若しくは唯一の成分として例えばアルコール(例えばC1−4−アルコール(エタノールなど))を含有してもよく、あるいは添加成分として、部分的な(partial)低級エーテル若しくは低級アルカノールから選択される物質を含有してもよい。好適な部分的なエーテルとしては、例えば、Transcutol(登録商標)(式:CaH−[O−(CH−OHを有する)、Glycofurol(登録商標)(別名テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル)、又は低級アルカノール(例えばエタノール)が挙げられる。
【0056】
1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸の混合生成物では、ω3脂肪酸油の可溶化が、当該1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーにより助長される。本発明の幾つかの実施形態では、ユニットドーズ形態の当該医薬組成物は、天然若しくは合成ω3脂肪酸、又はその薬理学的に許容できるエステル、誘導体、コンジュゲート、前駆体若しくは塩、又はそれらの混合物を含んでなる溶媒システム中に実質的に溶解している、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーを含有する、実質的に均一な溶液を含んでなり、詳細には、当該溶媒システム中に溶解していない当該1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーの含有率が約10%未満である。当該1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーはω3脂肪酸の油脂中に実質的に溶解し、実質的に均一な組成物として存在する。本発明の本態様では、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーを溶解させるための可溶化剤を多く含有しないのが好ましい。好ましくは、当該1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーは、大量の可溶化剤(ω3脂肪酸以外)を用いずに医薬組成物中に含有され、実質的に溶解している(すなわち溶媒システム中に溶解していないものが10%未満、好ましくは5%未満である)。
【0057】
好ましい実施形態では、1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーは完全に溶解している。好ましい実施形態では、ω3脂肪酸以外の可溶化剤を用いる場合、溶媒システムの合計量に対して50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは、30%以下、更に好ましくは20%以下、より更に好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下で含有させる。幾つかの実施形態では、当該溶媒システムは、ω3脂肪酸油以外の可溶化剤を全く含有しない。本発明では、「溶媒システム」の用語には、油脂の形態のω3脂肪酸が包含される。他の好ましい実施形態では、ω3脂肪酸油:他の可溶化剤の質量比は、0.5対1以上、好ましくは1対1以上、より好ましくは5対1以上、最も好ましくは10対1以上である。
【0058】
好ましい実施形態では、ω3脂肪酸油は、服用形態(単数種又は複数種)中の溶媒系の総質量に対して30質量/質量%以上、好ましくは40%以上、より一層好ましくは50%以上、最も好ましくは60%以上の量で存在する。特定の実施形態では、その量は70%以上、80%以上又は90%以上とすることができる。
【0059】
基本的に均一な溶液を含む投与形態では、少なくとも1ヶ月、好ましくは少なくとも6ヵ月、より好ましくは少なくとも1年、最も好ましくは少なくとも2年の期間、室温(通常23℃〜27℃、好ましくは25℃)及び60%の相対湿度の条件下で安定である必要がある。本発明における「安定である」とは、可溶化された1つ以上ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーが溶液から沈殿せず、また化学的な修正が顕著でない程度(例えば10%未満、好ましくは5%未満)に留まることを意味する。
【0060】
更に、基本的に均一な溶液を含む投与形態では、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーが分解から保護される必要がある。幾つかの実施形態は、1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸を含有するユニットドーズに関する。それは詳細には、当該ユニットドーズ中の1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーの、最初の測定時(t0)における初期量の少なくとも90%が、室温及び60%の相対湿度において1ヵ月の貯蔵後も維持されている必要がある。
【0061】
当該混合生成物は、当業者に公知のいかなる方法によっても製造でき、例えば1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーと1つ以上のω3脂肪酸を混合し、任意に1つ以上の親水性溶媒、1つ以上の界面活性剤及びその他の可溶化剤、及び/又は他の賦形剤と混合することにより調製できる。
【0062】
本発明の他の実施形態は、ω3脂肪酸中の、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーの懸濁液の提供に関する。幾つかの実施形態では、当該懸濁液は、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーの結晶質の固体粒子、アモルファス状の固体粒子又はそれらの混合物をω3脂肪酸中に含んでなる。他の実施形態としては、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーのω3脂肪酸中の懸濁液を含んでなる医薬組成物であって、一部の1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーが、ω3脂肪酸、又は他の成分中に溶解している組成物が挙げられる。例えば、本発明の幾つかの実施形態は、ω3脂肪酸及び1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーを含んでなる医薬組成物であって、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーの約1〜15重量%が溶液として存在し、残りの1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーが懸濁液として存在する組成物の提供に関する。
【0063】
本発明の他の実施形態は、ω3脂肪酸及び1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーを含んでなる医薬組成物であって、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーの少なくとも約80%、好ましくは約85%、より好ましくは約90%、更に好ましくは約95%、最も好ましくは約99%(いずれも重量%)が固体粒子として懸濁液中に存在する。
【0064】
本発明の他の実施形態は、1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーでコーティングされた軟質ゼラチンカプセル剤の提供に関する。かかる実施形態では、軟質ゼラチンカプセル剤の外側に塗布される少なくとも1つのコーティングは、1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカー、及びコーティング材料(例えばフィルム形成剤及び/又は結合剤)、並びに潤滑剤、充填材及び付着防止剤などの任意の他の公知の添加剤を含んでなる。好適なコーティング材料としては、酸化防止剤、可溶化剤、キレート剤及び/又は吸収促進剤が挙げられる。界面活性剤は可溶化剤及び吸収促進剤として機能しうる。
【0065】
当該1つ以上のコーティングは、いかなる従来技術(例えばパンコーティング、流動ベッドコーティング又はスプレー塗布)によって塗布してもよい。当該1つ以上のコーティングは、懸濁液、スプレー、ダスト又はパウダーとして塗布してもよい。当該1つ以上のコーティングは、公知の方法によって、第2の医薬成分を即時放出、遅延/腸溶放出又は遅延放出できる態様で調製してもよい。従来のコーティング技術は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.(1990)に記載されており、本願明細書に援用する。
【0066】
即時放出コーティングは通常、水分バリヤー、及び味覚や匂いのマスキングと同様に、製品のエレガンスを改善するために用いられる。胃液中での急速なフィルムの分解は重要であり、なぜならそれにより効率的な崩壊及び溶解がなされるからである。EUDRAGIT RD100(Rohm社製)はかかるコーティングの一例である。それは水溶性の陽イオン性のメタクリレート共重合体と、水溶性セルロースエーテルとの混合物である。粉末形態の場合には、容易にスプレー可能な懸濁液として調製することができ、更にそれを乾燥させることにより、滑らかなフィルムが形成される。かかるフィルムは、pH及びフィルム厚とは無関係に、水性媒体中で急速に崩壊する。
【0067】
必要に応じて、従来のコーティング技術(例えば水又は適切な有機溶剤中のポリマー溶液、又は、水性ポリマー分散液を用いた、パンコーティング又は流動ベッドコーティング)により、保護コーティング層(すなわち封止コート)を塗布してもよい。保護層を形成する好適な材料としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース水性分散体などのセルロース誘導体が挙げられる。保護コーティング層は酸化防止剤、キレート剤、色素又は染料を含有してもよい。
【0068】
腸溶コーティング層は、従来のコーティング技術(例えば水又は適切な有機溶剤中のポリマー溶液、又は、水性ポリマー分散液を用いたパンコーティング又は流動ベッドコーティング)によって、シールコーティングの有無にかかわらずコアの上に塗布してもよい。その場合、あらゆる市販のpH感受性ポリマーを用いてもよい。例えば医薬成分は、胃中のpH4.5以下(この値に限定されない)の酸性条件下で放出されない。医薬成分は、pH感受性層が高いpHで溶解するとき、所定の遅延時間の経過後、又は薬剤が胃を通過した後で、利用可能である必要がある。好適な遅延時間は2〜6時間の範囲である。
【0069】
腸溶性ポリマーとしては、酢酸セルロースフタレート、酢酸セルローストリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリ酢酸ビニルフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル共重体(例えば商品名EUDRAGIT L12.5、L100又はEUDRAGIT S12.5、S100として公知の材料)又は腸溶性コーティング用に用いられる同様の化合物が挙げられる。水性コロイド状ポリマー分散液又は再分散液を塗布してもよく、例えばEUDRAGIT L 30D−55、EUDRAGIT L100−55、EUDRAGIT S100、EUDRAGIT preparation 4110D(Rohm Pharma社製)、AQUATERIC、AQUACOAT CPD 30(FMC社製)、KOLLICOAT MAE 30D及び30DP(BASF社製)、EASTACRYL 3OD(Eastman Chemical社製)などが使用可能である。
【0070】
遅延放出フィルムコートとしては、ワックス又はワックス様物質などの水不溶性物質、脂肪族アルコール、セラック、ゼイン、水素化した植物油、水不溶性セルロース、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のポリマー、並びに他の公知の消化若しくは分散を遅延させることができるいかなる固形物が挙げられる。疎水性コーティング材料の溶媒は有機溶媒でもよく、又は水性溶媒でもよい。好ましくは、疎水性ポリマーとしては、
(i)水不溶性セルロース誘導体ポリマー(例えばアルキルセルロース、好ましくはエチルセルロース)、
(ii)アクリルポリマー、又は
(iii)それらの混合物から選択される。
本発明の他の好ましい実施形態では、当該制御放出コーティングを含んでなる疎水性材料はアクリル系ポリマーである。薬理学的に許容できるいかなるアクリル系ポリマーも、本発明に使用可能である。アクリル系ポリマーは陽イオン性、陰イオン性若しくは非イオン性ポリマーであってもよく、アクリレート、メタクリレート(メタクリル酸又はメタクリル酸のエステルとして形成)であってもよい。適切なアクリル系ポリマーの例としては、限定されないが、アクリル酸及びメタクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル共重合体、エトキシエチルメタクリレート、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸共重合体、アミノアルキルメタクリレート共重合体、メタクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル共重合体、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸アルキルアミン共重合体、ポリ(メタクリル酸メチル)ポリ(メタクリル酸)(無水物)メタクリル酸メチル、ポリメタクリレート、メタクリル酸メチル共重合体、ポリ(メタクリル酸メチル)ポリ(メタクリル酸メチル)共重合体、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(メタクリル酸無水物)及びグリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0071】
バリアコートを、外側コートと軟質ゼラチンシェルとの間に設けてもよい。バリアコートは腸溶性/遅延解放コート(上記として)又はバリヤー(機能しない)層から構成されてもよく、シェルから外側に、又はその逆向きに医薬有効成分が浸出/浸入するのを防止する保護コートとして機能する。
【0072】
本発明の一実施形態では、ω3脂肪酸と1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーは、第1及び第2の部分に分割されてもよく、第1部分をコーティング上に配置し、第2部分を軟質ゼラチンカプセル中に配置してもよい。当該投与形態では、例えば障壁層として腸溶コーティングを設けることにより、第1部分の投与と第2部分の投与との間で遅延時間が設けられる。他の実施形態では、第1部分が即時放出され、それに続いて第2部分が遅延放出若しくは徐放される。更なる実施形態では、第1部分が遅延放出され、続いて第2部分がボーラス投与される。
【0073】
コーティング技術は製薬産業において広範囲(例えば単回投与形態への機能性若しくは非機能性コーティング、及びシュガービーズ上へのAPIの堆積)に用いられているが、軟質ゼラチンカプセル剤のコーティングを行う場合、幾つかの課題が存在する。これらの課題は、ゼラチン及び投与形態の特性に起因することが多い。軟質ゼラチンカプセルは通常、油脂又は親水性の液体(充填液)中に溶解若しくは分散する薬剤を含有する。軟質ゼラチンカプセルの固有の柔軟性は、カプセルシェル中に存在する可塑剤及び残留水分に起因する。すなわち、軟質ゼラチンカプセル剤は従来の錠剤又は硬質ゼラチンカプセルより動的なシステムである。大気中の水分は、カプセルシェル又は充填されている液体に浸透する。薬剤又は充填液体がカプセルシェルに移動し、一方ゼラチン中の可塑剤又は残存水が充填液に移動することが起こりうる。軟質ゼラチンカプセル中の揮発成分は大気中に放散されうる。
【0074】
上記のように、ポリマーコーティングは通常、水性溶液、有機性溶液若しくは分散液として塗布され、その場合、ポリマーを含有する液滴が空気により霧化され、基板上に噴霧される。コーティング装置に熱を加え、溶媒の蒸発及びフィルム形成を促進してもよい。軟質ゼラチンカプセル剤の場合、スプレー速度及びベッド温度などの工程パラメータを制御する必要がある。ゼラチンは水に溶解するため、高い速度で水性ポリマー材料を噴霧することにより、ゼラチンの溶解及びカプセルの凝固が生じることもありうる。高いベッド温度によりカプセルシェルから残存水が蒸発してしまい、その結果カプセルが脆弱になることもありうる。ゆえに本発明は、これらの事態を回避できる、軟質ゼラチンカプセル剤のコーティング方法の提供に関する。
【0075】
更に、高い精度で、軟質ゼラチンカプセル剤の表面上に1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーを低用量で堆積させる際に、幾つかの要因による影響を受ける場合がある。堆積の精度は、コーティングの均一性(被覆カプセルの重量の相違、及び被覆される1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーの成分上の相違など)を評価することにより示される必要がある。
【0076】
本発明はコーティング材料及び1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカーを含んでなるコーティングを用いた、ω3脂肪酸の混合物を含有する軟質ゼラチンカプセル剤のコーティング方法の提供に関し、当該方法は、軟質ゼラチンカプセル上へのコーティング堆積速度を制御し、被覆プロセスの間の温度を制御することにより、物理的及び化学的に安定的にコーティングされた軟質ゼラチンカプセルを調製することを含んでなる。
【0077】
他の実施形態では、本発明のコーティングを硬質ゼラチンカプセル上、又は錠剤上へ塗布してもよい。硬質ゼラチンカプセルは、液体の代わりに、粉、ビーズ又はマイクロタブレット(例えば米国特許第5681588号(本願明細書に援用する)に類似のシステム)を含有させることができる。
【0078】
本発明の更に他の実施形態は、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸を含むユニットドーズの提供に関する。それは詳細には、当該ユニットドーズ中の1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーの、最初の測定時(t0)における初期量の少なくとも90%が、室温及び60%の相対湿度において1ヵ月の貯蔵後も維持されている必要がある。
【0079】
一実施形態では、本発明の医薬組成物の使用によって、従来の最高強度用量で一方又は双方を投与した場合よりも、各有効成分の効力を向上させることが可能になる。別の実施形態では、本発明の医薬組成物の使用によって、従来技術の製剤と比較して、1つ以上のジヒドロピリジン カルシウムチャネルブロッカー及び/又はω3脂肪酸の投与量を低減させ、一方で各有効成分の効力はなおも維持されるか、又はそれを更に向上させることが可能になる。
【0080】
本発明に係る1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカー及びω3脂肪酸の組合せにより、2つの薬剤を単独で用いた場合の、いかなる予想される混合的若しくは追加的効果よりも大きな効果を発揮させることができる。すなわち、前記2種の有効成分の併用治療(別々に行った場合も、本発明の新規な混合生成物を用いた場合も)により、当該2種の有効成分の標準的な投薬量での効果の増大、若しくは少ない投薬量での効果の維持がもたらされる。薬剤又は他の有効成分の生物学的利用能又は有効性を向上させることにより、日常的な投与量を好適に低減できることは自明である。また低投薬量及び賦形剤(例えば界面活性剤)を低減させる結果、何らかの望ましくない副作用の低減化が期待できる。
【0081】
全ての参照文献は援用によって本明細書の一部をなす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)天然若しくは合成ω3脂肪酸、又はその薬理学的に許容できるエステル、誘導体、コンジュゲート、前駆体又は塩、又はそれらの混合物、並びに任意に可溶化剤を含んでなるユニットドーズと、
b)前記ユニットドーズへの1つ以上の外側コーティングであって、その少なくとも1つが1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーを含んでなる外側コーティングと、
c)前記ユニットドーズと前記1つ以上の外側コーティングとの間に存在する1つ以上の任意の障壁コーティングと、
d)前記ユニットドーズへの任意の封止コーティングを含んでなる医薬組成物。
【請求項2】
1つ以上の外側のコーティングが、1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーを即時放出、遅延/腸溶放出又は持続的放出するように調製されている、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
1つ以上の障壁コーティングが、天然若しくは合成ω3脂肪酸、又はその薬理学的に許容できるエステル、誘導体、コンジュゲート、前駆体若しくは塩、又はそれらの混合物の腸溶/遅延放出のために調製されているか、又は非機能性の保護層として調製されている、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記ユニットドーズが軟質ゼラチンカプセル剤、硬質ゼラチンカプセル剤又は錠剤である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
1つ以上の前記ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーが、BayK8644、アムロジピン、フェロジピン、ラシジピン、レルカニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン及びイスラジピンである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
1つ以上の前記ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーがイスラジピンである、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】
1つ以上の前記ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーを約0.5mg〜約100mg含んでなる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記ω3脂肪酸がEPA及びDHAを少なくとも約70%含んでなる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項9】
約0.1g〜約10gのω3脂肪酸、又はその薬理学的に許容できるエステル、誘導体、コンジュゲート、前駆体又は塩、又はそれらの混合物を含んでなる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項10】
1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーを含んでなる少なくとも1つの外側コーティングが、コーティングの堆積速度の制御下、及び、堆積工程間の温度の制御下で、前記ユニットドーズに噴霧されることにより、前記ユニットドーズに物理的及び化学的に安定なコーティングが形成されている、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項11】
天然若しくは合成ω3脂肪酸、又はその薬理学的に許容できるエステル類、誘導体、コンジュゲート、前駆体若しくは塩、又はそれらの混合物を含んでなる溶媒システム中に、1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーの異質な懸濁液又は基本的に均一な溶液を含んでなる、ユニットドーズ形態の医薬組成物。
【請求項12】
前記ω3脂肪酸がEPA及びDHAを少なくとも約70%含んでなる、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物が異質な懸濁液を含んでなる、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
1つ以上の前記ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーの少なくとも約80%が懸濁液中の固体粒子として存在する、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物が基本的に均一な溶液を含んでなる、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項16】
1つ以上の前記ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーの約10%未満が溶媒システム中で溶解していない、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記溶媒システムが、溶媒システムの合計量に対して50%重量以下の量の、少なくとも1つの可溶化剤を更に含んでなる、請求項16記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記医薬組成物を少なくとも1ヶ月の期間、室温及び60%の相対湿度で保存した場合に、溶解した1つ以上ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカーの10%以下が、前記基本的に均一な溶液から沈殿する、請求項15記載の医薬組成物。
【請求項19】
患者の、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高血圧、アンギナ、冠状動脈性心臓病(CHD)、血管病、アテローム性動脈疾患及び関連する症状からなる群から選択される1つ以上の症状の治療、心血管及び血管事象の予防又は軽減、並びにインシュリン抵抗性、絶食時の血糖値及び食後の血糖値の低減化のための方法であって、患者に有効量の1つ以上のジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカー、並びに天然若しくは合成ω3脂肪酸、又はその薬理学的に許容できるエステル、誘導体、コンジュゲート、前駆体若しくは塩類、又はそれらの混合物を投与することを含んでなる方法。

【公表番号】特表2009−502950(P2009−502950A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524148(P2008−524148)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029217
【国際公開番号】WO2007/016256
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(507185428)レリアント ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】