説明

ジヒドロピリジン化合物および頭痛用組成物

本発明は、治療上有効量の1,2−ジヒドロピリジン化合物と、必要により、コリンエステラーゼ阻害剤および/または抗片頭痛薬を患者に投与することによって、頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。頭痛は、片頭痛などの原発性頭痛、または二次性頭痛であってよい。本発明はまた、治療上有効量の1,2−ジヒドロピリジン化合物と、必要により、コリンエステラーゼ阻害剤および/または抗片頭痛薬を含む組合せ、コマーシャル・パッケージおよび医薬組成物を提供する。1,2−ジヒドロピリジン化合物は、例えば3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンであってよい。コリンエステラーゼ阻害剤は、例えば1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジンであってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法(35U.S.C.)第119条に基づき、2005年6月13日に出願された米国仮出願番号60/689,519および2005年4月4日に出願された米国仮出願番号60/667,665について優先権を主張し、それらの開示内容は、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
発明の分野
本発明は、ジヒドロピリジン化合物を含む医薬組成物、およびジヒドロピリジン化合物を使用して様々な病気および障害を治療する方法を提供する。ジヒドロピリジン化合物は、様々な病気および障害を治療するために、コリンエステラーゼ阻害剤または抗片頭痛薬などの他の薬物と共に任意に使用され得る。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
片頭痛の病態生理学が、これまでの論文において詳細に述べられてきている。Waeberら、Neurology、61(補遺4):S9-S20(2003)参照。片頭痛を引き起こすメカニズムは、未だそのほとんどが知られていないものの、片頭痛の神経原説が報告されている。この理論によれば、髄膜に投射している三叉神経血管の繊維が片頭痛中に活性化し、硬膜内における神経ペプチドの放出および神経性の無菌性炎症を引き起こす。その結果、痛覚過敏の状態が確立される。
【0004】
少なくとも10個の受容体(5−HT1B、5−HT1D、5−HT1F、5−HT2B、NK−1、GABAA、N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルイソキサゾール−4−プロピオン酸(AMPA)、クラスIII代謝型グルタミン酸受容体、オピオイドμ受容体)が、抗片頭痛薬の潜在的標的の代表的なものであるという証拠がある。スマトリプタンは、5−HT1B/1D/1F受容体に影響を与える。Mitsikostasら、Brain Research Reviews、35:20-35(2001)参照。AMPA受容体、カイニン酸受容体およびmGluR(代謝型グルタミン酸受容体)の頭痛における役割が研究されている。カイニン酸受容体ではなくAMPAをブロッキングすること、あるいはmGluR4受容体を活性化することは、頭痛の治療に役割を果たすかも知れないことが報告された。Mitsikostasら、British Journal of Pharmacology、127:623-630(1999)参照。LY293558(α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)/カイニン酸(KA)受容体アンタゴニスト)は、片頭痛の前臨床モデルにおいてスマトリプタンおよびプラセボと比較された。注入後2時間での持続性応答の有効性の割合は、プラセボで25%(患者4人/16人)、LY293558で69%(患者9人/13人)、スマトリプタンで87%(患者13人/15人)であった。AMPA/GLuR5の拮抗作用が、片頭痛の治療のための標的を提供し得ると結論づけれらた。Ramadanら、Cephalalgia, 21:267-272(2001); Sangら、Cephalalgia, 24:596-602(2004)参照。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当分野において、NMDA受容体、AMPA受容体、および/またはカイニン酸受容体によって任意の程度まで媒介され得る病気および障害を治療するための新しい化合物および新しい方法に対するニーズがある。本発明は、これを目的とし、また、その他の重要な目標をも有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、治療上有効量の少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物と、必要に応じて、治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬とを、治療および/または予防を必要とする患者に投与することによって、患者の頭痛(例えば片頭痛)を治療および/または予防する方法を提供する。頭痛は、原発性頭痛または二次性頭痛であってよい。1つの実施形態において、1,2−ジヒドロピリジン化合物は、3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンである。1つの実施形態において、コリンエステラーゼ阻害剤は、ドネペジルである。1,2−ジヒドロピリジン化合物とコリンエステラーゼ阻害剤との組合せは、頭痛の治療および/または予防において予想外の相乗効果を生み出し得る。
【0007】
その他の実施形態において、本発明は、治療上有効量の少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物(例えば3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン)を含む医薬組成物を提供する。本発明は、治療上有効量の(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤(例えばドネペジル)および(ii)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物(例えば3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン)を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、治療上有効量の(i)少なくとも1つの抗片頭痛薬および(ii)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物(例えば3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン)を含む医薬組成物を提供する。本発明は、治療上有効量の(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤(例えばドネペジル)、(ii)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物(例えば3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン)および(iii)少なくとも1つの抗片頭痛薬を含む医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
「患者」とは、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを指す。用語「患者」は、男性および女性を含み、そして大人、子供および新生児を含む。1つの実施形態において、患者は犬や猫などのコンパニオン・アニマルであり得る。
【0009】
「頭痛」とは、Cephalagia、24(追録1):9-160(2004)に記載される国際頭痛分類に従った原発性頭痛および二次性頭痛を指し、その開示内容は、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。原発性頭痛および二次性頭痛は、一時的なものであっても慢性的なものであってもよい。「一時的な頭痛」とは、1か月当たり1〜14日間、頭痛になる患者を指す。「慢性的な頭痛」とは、1か月当たり15日間以上、頭痛になる患者を指す。治療の方法は、急性期治療であっても長期治療であってもよい。「急性期治療」とは、必要な場合に応じて頭痛を治療することを指し、例えば、頭痛の発症時に、治療上有効量の本明細書に記載の本発明の化合物または組成物が患者に投与される。「長期治療」とは、治療上有効量の本明細書に記載の本発明の化合物または組成物を投与する際に、患者が頭痛になっていてもいなくても、連続して(例えば毎日)頭痛を治療することを指す。頭痛は、めまい、吐き気、嘔吐、疲労、前兆、光恐怖症、音声恐怖症などの1つ以上の症状を引き起こし得る。
【0010】
「原発性頭痛」は、片頭痛、緊張性頭痛、群発性頭痛、発作性片側頭痛、結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)、三叉神経・自律神経性頭痛、刺すような痛みの頭痛、咳嗽性頭痛、激しい頭痛、性的行為に関連した頭痛、睡眠時頭痛、雷鳴頭痛、持続性片側頭痛、または新規発症持続性連日性頭痛を含む。
【0011】
「二次性頭痛」は、頭および/または頸部の外傷に起因する頭痛;頭蓋および/または頸部の血管障害に起因する頭痛;非血管性頭蓋内疾患に起因する頭痛;薬物に起因する頭痛;薬物の使用中止に起因する頭痛;感染に起因する頭痛;恒常性障害に起因する頭痛;顔の構造および/または頭蓋の構造の障害に起因する頭痛または顔痛;または精神障害に起因する頭痛を含む。
【0012】
「片頭痛」とは、周期的に起こり、頭の痛み、通常は頭の片側の痛みによって特徴づけられる症状群を指す。片頭痛は一般的に、ある脈動の性質を有し、また、日々の活動を阻害するまたは不可能にする中程度または重度の強度を有する。片頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状には、めまい、吐き気、嘔吐、疲労、前兆、光恐怖症、音声恐怖症などが含まれる。片頭痛は前兆を伴っても伴わなくてもよい。片頭痛の具体例として、古典的片頭痛、普通片頭痛、併発型片頭痛、月経による片頭痛、月経前の片頭痛、眼性片頭痛、眼筋麻痺性片頭痛、電撃性片頭痛、ハリス片頭痛および片麻痺性片頭痛が含まれる。片頭痛により引き起こされる神経症状が起こり得るが、これらの後に頭の痛みは起こらない。例えば、片頭痛による1つだけの発現として、頭の痛みなしに腹痛および嘔吐が起こり得る。
【0013】
本明細書に記載された病気および障害を治療および/または予防するための、2つ以上の化合物の投与に関連して、「別々に投与する」には、例えば、それら化合物の任意の順番での連続投与、または化合物の同時投与が含まれる。化合物の同時投与とは、投与の様式によって、化合物が実質的に同時に患者に投与されること、または厳密に同時に投与されることを意味する。化合物の連続投与は、任意の順番で起こり生じ得るものであり、また、それぞれの化合物を投与する間に任意の時間が経過してもよい。連続投与は、どちらの化合物を最初に投与し、どちらを2番目に投与し、それらの投与の間にどれだけの時間が経過するべきであるか、について影響するであろう要因に基づいて行われる。例えば、2つ以上の化合物が別々におよび連続して投与される場合、化合物がいつ患者に投与されるかに影響を与える要因には、例えば、(a)投与される化合物における最良の効能を提供する時間、(b)投与される化合物における最小の副作用を提供する時間、(c)化合物の用量、(d)化合物の投与の経路、(e)治療される病気または障害、(f)治療を受ける患者、(g)投与される化合物同士のインビボでの関係、および当技術分野において知られているその他のこのような要因が含まれる。好ましくは、連続投与の間隔は、有効成分のうち1つだけ使用して得られるであろう効果と比較して、有効成分を組み合わせて使用する病気または障害に対する治療効果が、相加的よりも大きくなるように選択される。
【0014】
用語「組合せ」とは、1,2−ジヒドロピリジン化合物および第2の有効成分(例えばコリンエステラーゼ阻害剤)が、明確に異なる医薬組成物または処方物(例えば、1,2−ジヒドロピリジン化合物を含む第1の医薬組成物、およびコリンエステラーゼ阻害剤を含む第2の医薬組成物)として別々に投与されることを指す。これらの医薬組成物または処方物は、同一の、または異なる投与の様式を有し得る。
【0015】
「有効成分」とは、病気または障害の治療および/または予防に関与する、本明細書に記載された1,2−ジヒドロピリジン、コリンエステラーゼ阻害剤、抗片頭痛薬、およびその他の化合物を指す。
【0016】
「単剤療法」とは、病気または障害の治療および/または予防のために、1つの有効成分のみ使用する療法である。
【0017】
「併用療法」とは、病気の治療および/または予防のために、2つ以上の有効成分が別々に投与される、または医薬組成物の形態で投与される療法である。
【0018】
「治療上有効量」とは、病気の治療および/または予防に必要な有効成分の量を指す。併用療法のために2つ以上の有効成分が投与される場合は、用語「治療上有効量」とは、病気の治療および/または予防に必要な有効成分の量を指し、例えば、(a)治療上有効量の第1の有効成分および治療上有効量の第2の有効成分(すなわち、病気の治療および/または予防のために単剤療法に使用されるであろう各有効成分の量が、併用療法に使用される);(b)病気の治療および/または予防のために、組み合わせることで効果的に提供される、治療上有効量の第1の有効成分およびサブ治療量の第2の有効成分(例えば、サブ治療量の第2の有効成分は、該第2の有効成分が単剤療法で使用された場合に得られるであろう結果と同等かそれよりも良い結果を得るために、併用療法において使用され得る);(b)病気の治療および/または予防のために、組み合わせることで効果的に提供される、サブ治療量の第1の有効成分および治療上有効量の第2の有効成分(例えば、サブ治療量の第1の有効成分は、該第1の有効成分が単剤療法で使用された場合に得られるであろう結果と同等かそれよりも良い結果を得るために、併用療法において使用され得る);および(d)病気または障害の治療および/または予防のために、併用療法において提供される、サブ治療量の第1の有効成分およびサブ治療量の第2の有効成分(例えば、サブ治療量の第1の有効成分は、該第1の有効成分が単剤療法で使用された場合に得られるであろう結果と同等かそれよりも良い結果を得るために、併用療法において使用することができ、そして、サブ治療量の第2の有効成分が、該第2の有効成分が単剤療法で使用された場合に得られるであろう結果と同等かそれよりも良い結果を得るために、併用療法において使用され得る)を含む。併用療法において使用される有効成分が3つ以上ある場合にも、同じ治療上有効量/サブ治療量を使用することができる。例えば:(a)3つの有効成分全てが治療上有効量であってよく;(b)2つの有効成分が治療上有効量であって、3つ目の有効成分がサブ治療量であってよく;(c)1つの有効成分が治療上有効量であって、他の2つの有効成分がサブ治療量であってよく;または(d)3つの有効成分全てがサブ治療量であってよい。
【0019】
「コマーシャル・パッケージ」とは、キットとしても知られるが、体内の薬物のレベルをモニターするために;投薬の用量に関する患者の薬剤服用順守をサポートするために;または病気の状態をモニターするために、(i)1,2−ジヒドロピリジン化合物を含む第1の医薬組成物または処方物;(ii)第2の有効成分(例えばコリンエステラーゼ阻害剤)を含む第2の医薬組成物または処方物;(iii)該病気を治療または予防するための医薬組成物または処方物を使用するためにFDAに認可された指示書;および(iv)必要に応じ、該医薬組成物または処方物を投与するためのその他の材料(例えば、シリンジ、希釈剤、医療用手袋、手の除菌用ローションなど)の組合せを含み得る。コマーシャル・パッケージは、数日単位、数週単位、または数ヶ月単位で、十分な投薬および材料を供給し得る。別の実施形態において、「コマーシャル・パッケージ」は、体内の薬物のレベルをモニターするために;投薬の用量に関する患者の薬剤服用順守をサポートするために;または病気の状態をモニターするために、(i)1,2−ジヒドロピリジン化合物および第2の有効成分(例えばコリンエステラーゼ阻害剤)の両方を含む医薬組成物または処方物;(ii)該病気を治療または予防するための医薬組成物または処方物を使用するためにFDAに認可された指示書;および(iii)必要に応じ、該医薬組成物または処方物を投与するためのその他の材料(例えば、シリンジ、希釈剤、医療用手袋、手の除菌用ローションなど)を含み得る。コマーシャル・パッケージは、数日単位、数週単位、または数ヶ月単位で、十分な投薬および材料を供給し得る。
【0020】
「水和物」とは、結晶水の分子を含有する化合物を指す。結晶水の分子は、例えば1〜10等の1以上の整数であり得、あるいは、0より大きい任意の分数または1〜10の整数の分数であり得る。例えば、水和物は、化合物・1/4H2O、化合物・1/2H2O、化合物・3/4H2O、化合物・2H2O、化合物・5 1/2H2O、化合物・6H2Oなどに代表され得る。当該「化合物」は、例えば3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンなど、本明細書に記載される任意のものであり得る。
【0021】
「薬学的に許容可能な塩」は、当技術分野において周知であり、塩酸塩、硫酸塩、ヒドロブロミドおよびリン酸塩などの無機酸の塩;およびギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびトルエンスルホン酸などの有機酸の塩を含む。ある置換基が選択される場合、本発明の化合物は、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩などのアルカリ金属塩類;カルシウムまたはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミンまたはN,N’−ジベンジルエチレンジアミンとの塩などの有機アミン塩類などを形成し得る。当業者であれば、本発明の化合物が、任意のいかなる薬学的に許容可能な塩の形態においても作成され得ることを認識するであろう。
【0022】
1つの実施形態において、本明細書に記載の方法および組成物において使用される化合物は、1,2−ジヒドロピリジン化合物である。1,2−ジヒドロピリジン化合物は、当技術分野において知られているいかなるものであってもよい。用語「1,2−ジヒドロピリジン化合物」には、1,2−ジヒドロピリジン化合物、1,2−ジヒドロピリジン化合物の薬学的に許容可能な塩、1,2−ジヒドロピリジン化合物の立体異性体、1,2−ジヒドロピリジン化合物の立体異性体の薬学的に許容可能な塩、1,2−ジヒドロピリジン化合物の水和物、1,2−ジヒドロピリジン化合物の薬学的に許容可能な塩の水和物、1,2−ジヒドロピリジン化合物の水和物の立体異性体、および1,2−ジヒドロピリジン化合物の薬学的に許容可能な塩の水和物の立体異性体が含まれる。
【0023】
好ましくは、本明細書に記載の方法および組成物において使用される1,2−ジヒドロピリジン化合物は、以下の式(I)の化合物である。
【0024】
【化6】

【0025】
ここで、
QはNH、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、C1-6アルキル、または−X−Aであり;
Xは単結合、任意に置換されたC1-6アルキレン、任意に置換されたC2-6アルケニレン、任意に置換されたC2-6アルキニレン、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO2−、−N(R6)−、−N(R7)−CO−、−CO−N(R8)−、−N(R9)−CH2−、−CH2−N(R10)−、−CH2−CO−、−CO−CH2−、−N(R11)−S(O)m−、−S(O)n−N(R12)−、−CH2−S(O)p−、−S(O)q−CH2−、−CH2−O−、−O−CH2−、−N(R13)−CO−N(R14)−、または−N(R15)−CS−N(R16)−であり;
6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して水素、C1-6アルキル、またはC1-6アルコキシであり;
m、n、pおよびqはそれぞれ独立して0、1または2の整数であり;
Aは、任意に置換されたC3-8シクロアルキル、任意に置換されたC3-8シクロアルケニル、任意に置換された5〜14員環の非芳香族複素環、任意に置換されたC6-14芳香族炭化水素環、または任意に置換された5〜14員環の芳香族複素環であり、ただし、
1、R2、R3、R4およびR5のうちの3つの基が−X−Aであり、
1、R2、R3、R4およびR5のうちの残り2つの基が独立して水素、ハロゲン、またはC1-6アルキルである。
【0026】
1つの実施形態において、以下の化合物は式(I)の化合物の範囲から除外される:(1)QがOであるとき、R1およびR5が水素であってR2、R3およびR4がフェニルであるもの;(2)QがOであるとき、R1およびR4が水素であってR2、R3およびR5がフェニルであるもの;ならびに(3)QがOであるとき、R1およびR2が水素であってR3、R4およびR5がフェニルであるもの。
【0027】
別の好ましい実施形態において、本明細書に記載される方法および組成物において使用される1,2−ジヒドロピリジン化合物は、以下の式(II)の化合物である。
【0028】
【化7】

【0029】
ここで、
QはNH、OまたはSであり;
1,X2およびX3は、それぞれ独立して単結合、任意に置換されたC1-6アルキレン、任意に置換されたC2-6アルケニレン、任意に置換されたC2-6アルキニレン、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO2−、−N(R6)−、−N(R7)−CO−、−CO−N(R8)−、−N(R9)−CH2−、−CH2−N(R10)−、−CH2−CO−、−CO−CH2−、−N(R11)−S(O)m−、−S(O)n−N(R12)−、−CH2−S(O)p−、−S(O)q−CH2−、−CH2−O−、−O−CH2−、−N(R13)−CO−N(R14)−、または−N(R15)−CS−N(R16)−であり、
6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して水素、C1-6アルキル、またはC1-6アルコキシであり、
m、n、pおよびqはそれぞれ独立して0、1または2の整数であり、
1、A2およびA3はそれぞれ独立して、任意に置換されたC3-8シクロアルキル、任意に置換されたC3-8シクロアルケニル、任意に置換された5〜14員環の非芳香族複素環、任意に置換されたC6-14芳香族炭化水素環、または任意に置換された5〜14員環の芳香族複素環であり、そして
17およびR18はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、またはC1-6アルキルである。
【0030】
別の実施形態において、本発明は式(II)の化合物を提供し、ここで、
1,X2およびX3は、それぞれ独立して単結合、任意に置換されたC1-6アルキレン、任意に置換されたC2-6アルケニレン、または任意に置換されたC2-6アルキニレンである。置換基は、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO2−、−N(R6)−、−N(R7)−CO−、−CO−N(R8)−、−N(R9)−CH2−、−CH2−N(R10)−、−CH2−CO−、−CO−CH2−、−N(R11)−S(O)m−、−S(O)n−N(R12)−、−CH2−S(O)p−、−S(O)q−CH2−、−CH2−O−、−O−CH2−、−N(R13)−CO−N(R14)−および−N(R15)−CS−N(R16)−のうちの1つ以上であって、
6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して水素、C1-6アルキル、またはC1-6アルコキシであり、
m、n、pおよびqはそれぞれ独立して0、1または2の整数であり、
1、A2およびA3はそれぞれ独立して、任意に置換されたC3-8シクロアルキル、任意に置換されたC3-8シクロアルケニル、任意に置換された5〜14員環の非芳香族複素環、任意に置換されたC6-14芳香族炭化水素環、または任意に置換された5〜14員環の芳香族複素環である。
【0031】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物の置換基は、以下のうちの1つ以上であって良い:ヒドロキシ;ハロゲン;ニトリル;ニトロ;C1-6アルキル;C2-6アルケニル;C2-6アルキニル〔ここで、該アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、ヒドロキシ、ニトリル、ハロゲン、C1-6アルキルアミノ、ジ(C1-6アルキル)アミノ、C2-6アルケニルアミノ、ジ(C2-6アルケニル)アミノ、C2-6アルキニルアミノ、ジ(C2-6アルキニル)アミノ、N−C1-6アルキル−N−C2-6アルケニルアミノ、N−C1-6アルキル−N−C2-6アルキニルアミノ、N−C2-6アルケニル−N−C2-6アルキニルアミノ、アラルキルオキシ、TBDMSオキシ、C1-6アルキルスルホニルアミノ、C1-6アルキルカルボニルオキシ、C2-6アルケニルカルボニルオキシ、C2-6 アルキニルカルボニルオキシ、N−C1-6アルキルカルバモイル、N−C2-6アルケニルカルバモイル、およびN−C1-6アルキニルカルバモイルから選択される1つ以上の基でそれぞれ任意に置換され得る〕;C1-6アルコキシ;C2-6アルケニルオキシ;C2-6アルキニルオキシ〔ここで、該アルコキシ、アルケニルオキシおよびアルキニルオキシは、C1-6アルキルアミノ、アラルキルオキシ、およびヒドロキシから選択される1つ以上の基でそれぞれ任意に置換され得る〕;C1-6アルキルチオ;C2-6アルケニルチオ;C2-6アルキニルチオ〔ここで、該アルキルチオ、アルケニルチオおよびアルキニルチオは、ヒドロキシ、ニトリル、ハロゲン、C1-6アルキルアミノ、アラルキルオキシ、TBDMSオキシ、C1-6アルキルスルホニルアミノ、C1-6アルキルカルボニルオキシ、およびC1-6アルキルカルバモイルから選択される1つ以上の基でそれぞれ任意に置換され得る〕;任意に置換されたカルボニル〔これは、C1-6アルコキシ、アミノ、C1-6アルキルアミノ、ジ(C1-6アルキル)アミノ、C2-6アルケニルアミノ、ジ(C2-6アルケニル)アミノ、C2-6アルキニルアミノ、ジ(C2-6アルキニル)アミノ、N−C1-6アルキル−N−C2-6アルケニルアミノ、N−C1-6アルキル−N−C2-6アルキニルアミノ、およびN−C2-6アルケニル−N−C2-6アルキニルアミノと置換され得る〕;任意に置換されたアミノ〔これは、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6アルキルスルホニル、C2-6アルケニルスルホニル、C2-6アルキニルスルホニル、C1-6アルキルカルボニル、C2-6アルケニルカルボニル、およびC2-6アルキニルカルボニルから選択される1つまたは2つの基で置換され得る〕;C1-6アルキルスルホニル;C2-6アルケニルスルホニル;C2-6アルキニルスルホニル;C1-6アルキルスルフィニル;C2-6アルケニルスルフィニル;C2-6アルキニルスルフィニル;ホルミル;任意に置換されたC3-8シクロアルキル;任意に置換されたC3-8シクロアルケニル〔ここで、該シクロアルキル基、および/またはシクロアルケニル基は、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、およびアラルキルから選択される1つ以上の基でそれぞれ任意に置換され得る〕;5〜14員環の非芳香族複素環〔これは、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、およびアラルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換され得る〕;C6-14芳香族炭化水素環〔これは、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、およびアラルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換され得る〕;および5〜14員環の芳香族複素環〔これは、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトリル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、およびアラルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換され得る〕。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物を提供し、ここで、A1、A2およびA3はそれぞれ独立して、任意に置換されたC3-8シクロアルキル、任意に置換されたC3-8シクロアルケニル、または任意に置換された5〜14員環の非芳香族ヘテロ環である。別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物を提供し、ここで、A1、A2およびA3はそれぞれ独立して、任意に置換されたC6-14芳香族炭化水素環、または任意に置換された5〜14員環の芳香族ヘテロ環である。別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物を提供し、ここで、A1、A2およびA3はそれぞれ独立して、フェニル、ピロリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、チアゾリル、フリル、ナフチル、キノリル、iso−キノリル、インドリル、ベンジミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾピリジル、カルバゾリル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ジオキシニル、アダマンチル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリルであり、これらのうち任意のものが、任意に置換基を有し得る。別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物を提供し、ここでA1、A2およびA3はそれぞれ独立して以下のものから選択され、それらの各々が任意に置換され得る:
【0033】
【化8】

【0034】
別の実施形態において、本発明は式(II)の化合物を提供し、ここで、A1、A2およびA3はそれぞれ独立してヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、またはニトリルと置換される。別の実施形態において、本発明は式(II)の化合物を提供し、ここで、A1、A2およびA3はそれぞれ独立してヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、ニトリル、またはニトロである。別の実施形態において、本発明は式(II)の化合物を提供し、ここで、Qは酸素である。
【0035】
別の実施形態において、本発明は式(I)または式(II)の化合物を提供し、ここで、X1,X2およびX3は、それぞれ独立して単結合、−CH2−、−CH(OH)−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、−O−,または−CO−である。別の実施形態において、本発明は式(I)または式(II)の化合物を提供し、ここで、X1,X2およびX3は、それぞれ単結合である。別の実施形態において、本発明は式(I)または式(II)の化合物を提供し、ここで、R17およびR18は、それぞれ独立して水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、n−プロピル、またはiso−プロピルである。別の実施形態において、本発明は式(I)または式(II)の化合物を提供し、ここで、R17およびR18は、それぞれが水素である。
【0036】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物に関し、ハロゲン原子とはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などを指し、好ましい原子には、フッ素、塩素、および臭素が含まれる。
【0037】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物に関し、C1-6アルキルとは、1〜6個の炭素を有するアルキルを指し、例として直鎖または分鎖のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル(1−メチルプロピル)、tert−ブチル、iso−ペンチル、n−ペンチル、tert−ペンチル(1,1−ジメチルプロピル)、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル(ネオペンチル)、1−エチルプロピル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、1,2−ジメチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチル、1−メチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチルなどが含まれる。
【0038】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物に関し、C2-6アルケニルとは、2〜6個の炭素を有するアルケニル基を指し、例として、ビニル、1−エチルエテニル(1−ブテン−2−イル)、アリル(2−プロペニル)、1−プロペニル、iso−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−メチル−1−プロペニル(2−ブテン−2−イル)、2−メチル−2−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、1−ブテニル(1−ブテン−1−イル)、2−ブテニル(2−ブテン−1−イル)、3−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、1,3−ヘキサジエニル、1,6−ヘキサジエニルなどが含まれる。
【0039】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物に関し、C2-6アルキニルとは、2〜6個の炭素を有するアルキニル基を指し、例として、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1 −エチル−1−プロピニル、1−エチニル−2−プロピニル、2−メチル−3−ブテニル、1−ペンチニル、1−ヘキシニル、1,3−ヘキサジイニル、1,6−ヘキサジイニルなどが含まれる。
【0040】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物に関し、C1-6アルコキシとは、1〜6個の炭素を有するアルコキシ基を指し、例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、iso−ペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、1,2−ジメチルプロポキシ、ネオペンチルオキシ、1−エチルプロポキシ、1−メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ヘキシルオキシ、iso−ヘキシルオキシ、1−エチル−1−メチルプロポキシ、1−エチル−2−メチルプロポキシ、1,1,2−トリメチルプロポキシ、1,2,2−トリメチルプロポキシ、1,1−ジメチルブトキシ、2,2−ジメチルブトキシ、2,3−ジメチルブトキシ、3,3−ジメチルブトキシ、2−エチルブトキシ、1,3−ジメチルブトキシ、1−エチルブトキシ、1−メチルブトキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、3−メチルペンチルオキシなどが含まれる。
【0041】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物に関し、C2-6アルキニルオキシとは、2〜6個の炭素原子を有するアルキニルオキシ基を指し、例として、エチニルオキシ、1−プロピニルオキシ、2−プロピニルオキシ、1−ブチニルオキシ、2−ブチニルオキシ、3−ブチニルオキシ、1−メチル−2−プロピニルオキシ、1−エチル−2−プロピニルオキシ、1−エチニル−2−プロピニルオキシ、1−ペンチニルオキシ、1−ヘキシニルオキシ、1,3−ヘキサジイニルオキシ、1,6−ヘキサジイニルオキシなどが含まれる。
【0042】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物に関し、C2-6アルケニルオキシとは、2〜6個の炭素を有するアルケニルオキシ基を指し、例として、ビニルオキシ、1−エチルエテニルオキシ(1−ブテン−2−イルオキシ)、アリルオキシ(2−プロペニルオキシ)、1−プロペニルオキシ、iso−プロペニルオキシ、2−メチル−1−プロペニルオキシ、1−メチル−1−プロペニルオキシ(2−ブテン−2−イルオキシ)、2−メチル−2−プロペニルオキシ、1−メチル−2−プロペニルオキシ(1−ブテン−3−イルオキシ)、1−ブテニルオキシ(1−ブテン−1−イルオキシ)、2−ブテニルオキシ(2−ブテン−1−イルオキシ)、3−ブテニルオキシ、1−ペンテニルオキシ、1−ヘキセニルオキシ、1,3−ヘキサジエニルオキシ、1,6−ヘキサジエニルオキシなどが含まれる。
【0043】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物に関し、C3-8シクロアルキルとは、3〜8個の炭素原子で構成されるシクロアルキル基を指し、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが含まれる。
【0044】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物に関し、C3-8シクロアルケニルとは、3〜8個の炭素原子で構成されるシクロアルケニル基を指し、例として、シクロプロペン−1−イル、2−シクロプロペン−1−イル、シクロブテン−1−イル、2−シクロブテン−1−イル、1,3−シクロブタジエン−1 −イル、シクロペンテン−1−イル、2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、1,3−シクロペンタジエン−1−イル、1,4−シクロペンタジエン−1−イル、2,4−シクロペンタジエン−1−イル、シクロヘキセン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、1,3−シクロヘキサジエン−1−イル、1,4−シクロヘキサジエン−1−イル、1,5−シクロヘキサジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、2,5−シクロヘキサジエン−1−イル、シクロヘプテン−1−イル、2−シクロヘプテン−1−イル、3−シクロヘプテン−1−イル、4−シクロヘプテン−1−イル、1,3−シクロペンタジエン−1−イル、1,4−シクロペンタジエン−1−イル、1,5−シクロヘプタジエン−1−イル、1,6−シクロヘプタジエン−1−イル、2,4−シクロヘプタジエン−1−イル、2,5−シクロヘプタジエン−1−イル、2,6−シクロヘプタジエン−1−イル、3,5−シクロヘプタジエン−1−イル、1,3,5−シクロヘプタトリエン−1−イル、1,3,6−シクロヘプタトリエン−1−イル、1,4,6−シクロヘプタトリエン−1−イル、2,4,6−シクロヘプタトリエン−1−イル、シクロオクテン−1−イル、2−シクロオクテン−1−イル、3−シクロオクテン−1−イル、4−シクロオクテン−1−イル、1,3−シクロオクタジエン−1−イル、1,4−シクロオクタジエン−1−イル、1,5−シクロオクタジエン−1−イル、1,6−シクロオクタジエン−1−イル、1,7−シクロオクタジエン−1−イル、2,4−シクロオクタジエン−1−イル、2,5−シクロオクタジエン−1−イル、2,6−シクロオクタジエン−1−イル、2,7−シクロオクタジエン−1−イル、3,5−シクロオクタジエン−1−イル、3,6−シクロオクタジエン−1−イル、1,3,5−シクロオクタトリエン−1−イル、1,3,6−シクロオクタトリエン−1−イル、1,3,7−シクロオクタトリエン−1−イル、1,4,6−シクロオクタトリエン−1−イル、1,4,7−シクロオクタトリエン−1−イル、1,5,7−シクロオクタトリエン−1−イル、2,4,6−シクロオクタトリエン−1−イル、2,4,7−シクロオクタトリエン−1 −イルなどが含まれる。
【0045】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物に関し、5〜14員環の非芳香族複素環とは、単環式、二環式、または三環式の、5〜14員環の非芳香族複素環であって、窒素、硫黄および酸素から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有するものを意味する。具体例としては、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、イミダゾリニル、オキサゾリニルなどが含まれる。また、ピリドン環および非芳香族縮合環由来の基(例えば、フタルイミド環、スクシンイミド環等由来の基)もまた、非芳香族複素環に含まれる。
【0046】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物に関し、C6-14芳香族炭化水素環およびアリールとは、6〜14個の炭素原子、単環、および縮合された二環、三環等で構成される芳香族炭化水素環を意味する。具体例としては、フェニル、インデニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、インダテニル、アセナフチル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、アントラセニル、シクロペンタシクロオクテニル、ベンゾシクロオクテニルなどが含まれる。
【0047】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物に関し、5〜14員環の芳香族複素環およびヘテロアリール環とは、単環式、二環式、または三環式の、5〜14員環の芳香族複素環であって、窒素、硫黄および酸素から選択される1つ以上のヘテロ原子を含有するものを意味する。具体例としては、以下のものが含まれる:(1)窒素を含有する芳香族複素環、例えばピロリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリル、iso−インドリル、インドリジニル、プレニル、インダゾリル、キノリル、iso−キノリル、キノリジイル、フタラジル、ナフチリジニル、キノキサリル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、イミダゾトリアジニル、ピラジノピリダジニル、アクリジニル、フェナントリジニル、カルバゾリル、カルバゾリニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イミダゾピリジル、イミダゾピリミジニル、またはピラゾロピリジルなど;(2)硫黄を含有する芳香族複素環、例えばチエニルまたはベンゾチエニルなど;(3)酸素を含有する芳香族複素環、例えばフリル、ピラニル、シクロペンタピラニル、ベンゾフリル、またはiso−ベンゾフリルなど;および(4)2つ以上の異なるヘテロ原子を含有する芳香族複素環、例えばチアゾリル、iso−チアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、オキサゾリル、イソキサゾイル、ベンゾキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾロキサジアゾリル、イミダゾチアゾリル、チエノフラニル、フロピロリル、またはピリドキサジニルなど。
【0048】
別の実施形態において、本明細書に記載の方法および組成物において使用される1,2−ジヒドロピリジン化合物は、好ましくは以下の式(III)の化合物である。
【0049】
【化9】

【0050】
ここで、X1,X2、X3、A1、A2、A3、R17およびR18は、上記式(II)の化合物について定義されたものと同じ意味を有する。
【0051】
別の実施形態において、本発明は式(III)の化合物を提供し、ここで、A1、A2およびA3は、それぞれ独立して、任意に置換されたC6-14芳香族炭化水素環、または5〜14員環の芳香族ヘテロ環である。別の実施形態において、本発明は、式(III)の化合物を提供し、ここで、A1、A2およびA3はそれぞれ独立して、フェニル、ピロリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チエニル、チアゾリル、フリル、ナフチル、キノリル、iso−キノリル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾピリジル、カルバゾリル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ジオキシニル、アダマンチル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリルであり;ここで、それぞれが任意に置換され得る。別の実施形態において、本発明は式(III)の化合物を提供し、ここで、A1、A2およびA3はそれぞれ独立して以下のものから選択され;
【0052】
【化10】

【0053】
それぞれが任意に置換され得る。別の実施形態において、本発明は式(III)の化合物を提供し、ここで、A1、A2およびA3における置換基の結合部位は、基X1,X2およびX3それぞれに結合する炭素原子のα位にある。別の実施形態において、本発明は式(III)の化合物を提供し、ここで、X1,X2およびX3は単結合である。別の実施形態において、本発明は式(III)の化合物を提供し、ここで、R7およびR18は水素である。
【0054】
1つの実施形態において、本明細書に記載の方法および組成物において使用される1,2−ジヒドロピリジン化合物は、好ましくは以下の化合物Aである。
【0055】
【化11】

【0056】
化合物AのIUPAC名は、2−(2−オキソ−1−フェニル−5−ピリジン−2−イル−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)ベンゾニトリルである。化合物Aはまた、3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンとも言われる。
【0057】
明細書全体を通じ、用語「化合物A」、「2−(2−オキソ−1−フェニル−5−ピリジン−2−イル−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)ベンゾニトリル」および「3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン」には、その薬学的に許容可能な塩、その立体異性体、その立体異性体の薬学的に許容可能な塩、その水和物、その薬学的に許容可能な塩の水和物、その水和物の立体異性体、およびその薬学的に許容可能な塩の水和物の立体異性体が含まれることを意図する。別の実施形態において、用語「化合物A」、「2−(2−オキソ−1−フェニル−5−ピリジン−2−イル−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)ベンゾニトリル」および「3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン」は、その薬学的に許容可能な塩、その水和物、およびその薬学的に許容可能な塩の水和物が含まれることを意図する。
【0058】
その他の実施形態において、本発明の方法および組成物において有用な1,2−ジヒドロピリジン化合物は:3−(2−シアノフェニル)−5−(2−メチルスルホニルアミノフェニル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−クロロ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ニトロフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−アミノフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−メチルスルホニルアミノフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−メチルアミノフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ジメチルアミノフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−[3−(5−メトキシメチル−2−オキサゾリジノン−3−イル)−フェニル]−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−メトキシカルボニルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−メチルアミノカルボニルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−クロロフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−クロロフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(4−ジメチルアミノエトキシフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ホルミルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ヒドロキシメチルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−シアノメチルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−アセチルアミノメチルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−メチルスルホニルアミノメチルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−アセトキシメチルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(4−メチルチオフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(4−メチルスルホニルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ホルミルチオフェン−3−イル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ジエチルアミノメチルチオフェン−3−イル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ヒドロキシメチルチオフェン−3−イル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−ベンジル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−フェニル−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1,5−ジフェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−メトキシフェニル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(チオフェン−3−イル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−フルオロフェニル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(チオフェン−2−イル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(3−フルフリル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−フルフリル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−クロロフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−メトキシカルボニルフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−フェニル−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−フルオロフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−クロロフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−メトキシフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−フルオロ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(4−メトキシ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−フルオロ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−メトキシフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−フルオロ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−フルオロフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(4−フルオロフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−フルオロフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(4−メトキシフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−メトキシ−フェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−フェニル−5−(2−ピリジル)−1−(3−フルオロフェニル−)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−クロロフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(4−フルオロフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(4−ホルミルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(2−ホルミルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−クロロフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−トリル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−トリフルオロメチルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(チオフェン−3−イル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−フルフリル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(4−トリル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(2−メトキシピリジン−5−イル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(ピリミジン−5−イル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ベンジルオキシメチルピリジン−5−イル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(2−エチルチオピリジン−5−イル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル−)−1−(4−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−メトキシピリジン−5−イル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(2−クロロピリジン−5−イル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5 −(2−ピリジル)−1−(2−フルオロピリジン−5−イル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(2−メトキシフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−フェニル−5−(2−ピリジル)−1−(3−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−クロロフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(チオフェン−3−イル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2,6−ジメチルフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノチオフェン−3−イル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−フルオロ−3−ピリジル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−クロロフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ヒドロキシフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−クロロフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ジメチルアミノエトキシフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−クロロフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(3−ジメチルアミノプロポキシフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(2−ヒドロキシメチルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(4−シアノメチルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(2−シアノメチルフェニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(6−ジエチルアミノメチル−2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1−フェニル−5−(2−ピリミジニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−ヒドロキシピリジン−6−イル)−1−フェニル−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;1−(2−アミノベンゾチアゾール−6−イル)−3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−5−イル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−[2−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−1−
フェニル−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(5−メチルピリジン−2−イル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(3−ヒドロキシピリジン−2−イル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1−フェニル−5−(2−チアゾリル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−メトキシピリジン−6−イル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;1−(4−アミノフェニル)−3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;1−(3−アミノフェニル)−3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリミジニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(2−アミノトルエン−4−イル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1−[3−(ジメチルアミノエトキシ)フェニル]−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1−[3−(ピペリジノエトキシ)フェニル]−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1−[3−(ピロリジノエトキシ)フェニル]−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1−[3−(ジイソプロイルアミノエトキシ)フェニル]−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1−[3−(4−ピペリジノブチル−1−オキシ)フェニル]−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1−(4−ニトロフェニル)−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;1−フェニル−5−(2−ピリジル)−3−(2−チアゾリル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1−(3−ピリジル)−5−(2−ピリミジニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−フルオロピリジン−3−イル)−1−フェニル−5−(2−ピリミジニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノピリジン−3−イル)−1−フェニル−5−(2−ピリミジニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1−(3−ニトロフェニル)−5−(2−ピリミジニル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−ニトロフェニル)−1−フェニル−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−ホルミルチオフェン−3−イル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(2−ナフチル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(1−ナフチル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;5−(2−アミノピリジン−6−イル)−3−(2−シアノフェニル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;5−(2−ブロモピリジン−6−イル)−3−(2−シアノフェニル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−モルフォリノピリジン−6−イル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1−(3−ヒドロキシフェニル)−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1−[3−(4−ピペリジルオキシ)]フェニル−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;1−[3−(N−アセチルピペリジン−4−イル−オキシ)フェニル]−3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−1−{3−[1−(メタンスルホニル)ピペリジン−4−イル−オキシ]フェニル}−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;1−[3−(N−メチルピペリジン−4−イル−オキシ)フェニル]−3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(6−クロロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−(2−ニトロトルエン−4−イル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−(2−シアノチオフェン−3−イル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−[2−(5−オキサゾリル)フェニル]−1−フェニル−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;3−[2−(5−オキサゾリル)チオフェン−3−イル]−1−フェニル−5−(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン;および3−(2−エトキシカルボニルビニルチオフェン−3−イル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンである。
【0059】
1,2−ジヒドロピリジン化合物、および1,2−ジヒドロピリジン化合物を作製する方法は、米国特許第6,949,571号、米国特許出願公開第2004/0023973号明細書、ならびに国際公開第WO03/047577号、WO04/009553号、WO06/004100号、およびWO06/004107号に記載されており、それらの開示事項は、その全体を引用することによって本明細書の一部となす。
【0060】
1つの実施形態において、本明細書に記載される方法および組成物において使用される化合物は、コリンエステラーゼ阻害剤である。コリンエステラーゼ阻害剤は、当技術分野において知られているいかなるものであっても良い。用語「コリンエステラーゼ阻害剤」には、コリンエステラーゼ阻害剤、コリンエステラーゼ阻害剤の薬学的に許容可能な塩、コリンエステラーゼ阻害剤の立体異性体、およびコリンエステラーゼ阻害剤の立体異性体の薬学的に許容可能な塩が含まれる。コリンエステラーゼ阻害剤の具体例には、ドネペジル、タクリン、フィゾスチグミン、ピリドスチグミン、ネオスチグミン、リバスチグミン、ガランタミン、シチコリン、ベルナクリン、ヒューペルジン(例えばヒューペルジンA)、メトリホネート、ヘプタスチグミン、エドロホニウム、フェンセリン、トルセリン、フェネチルノルシムセリン、キノスチグミン、ガンスチグミン、エパスチグミン、アプレアジン、3−[l−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノン、(2−[2−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−9−メトキシ−1H−ピロロ[3,4−b]キノリン−1−オン)などが含まれる。1つの実施形態において、コリンエステラーゼ阻害剤は、ドネペジル、タクリン、ガランタミン、またはリバスチグミンである。
【0061】
1つの実施形態において、本明細書に記載の方法および組成物において使用される好ましいコリンエステラーゼ阻害剤は、以下の式(IV)の化合物である。
【0062】
【化12】

【0063】
ここで、Jは(a)(i)フェニル、(ii)ピリジル、(iii)ピラジル、(iv)キノリル、(v)シクロヘキシル、(vi)キノキサリル、および(vii)フリルから選択される、置換された、またはされていない基;(b)一価または二価の基であって、その中においてフェニルが、(i)インダニル、(ii)インダノニル、(iii)インデニル、(iv)インデノニル、(v)インダンジオニル、(vi)テトラロニル、(vii)ベンゾスベロニル、(viii)インダノリル、および(ix)C65−CO−CH(CH3)−から選択される1つ以上の置換基を有し得るもの;(c)環状アミド化合物に由来する一価の基;(d)低級アルキル;または(e)R21−CH=CH−であって、ここで、R21は水素または低級アルコキシカルボニルであり;Bは−(CHR22r−、−CO−(CHR22r−、NR4−(CHR22r−、−CO−NR5−(CHR22r−、−CH=CH−(CHR22r−、−OCOO−(CHR22r−、−OOC−NH−(CHR22r−、−NH−CO−(CHR22r−、−CH2−CO−NH−(CHR22r−、−(CH22−NH−(CHR22r−、−CH(OH)−(CHR22r−、=(CH−CH=CH)b−、=CH−(CH2c−、=(CH−CH)d=、−CO−CH=CH−CH2−、−CO−CH2−CH(OH)−CH2−、−CH(CH3)−CO−NH−CH2−、−CH=CH=CO−NH−(CH22−、−NH−、−O−、−S−、ジアルキルアミノアルキル−カルボニル、または低級アルコキシカルボニルであり;R4は水素、低級アルキル、アシル、低級アルキルスルホニル、フェニル、置換されたフェニル、ベンジル、または置換されたベンジルであり;R5は水素、低級アルキルまたはフェニルであり;rは0または1から10の整数であり;R22は、1つのアルキレン基がメチル分枝を有さない、または1つ以上のメチル分枝を有し得るように、水素またはメチルであり;bは1から3の整数であり;cは0または1から9の整数であり;dは0または1から5の整数であり;Tは窒素または炭素であり;Qは窒素、炭素または
【0064】
【化13】

【0065】
であり;qは1から3の整数であり;Kは水素、フェニル、置換されたフェニル、フェニルが置換基を有し得るアリールアルキル、シンナミル、低級アルキル、ピリジルメチル、シクロアルキルアルキル、アダマンタンメチル、フリルメチル、シクロアルキル、低級アルコキシカルボニルまたはアシルであって、そして、
【0066】
【化14】

【0067】
は単結合または二重結合である。
【0068】
式(IV)の化合物において、Jは好ましくは(a)または(b)であり、より好ましくは(b)である。(b)の定義において、一価の基(2)、(3)および(5)、ならびに二価の基(2)が好ましい。基(b)には、好ましくは以下に示される式が含まれる:
【0069】
【化15】

【0070】
ここで、tは1から4の整数であり;そしてそれぞれのSは独立して水素、または、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルや1〜6個の炭素原子を有する低級アルコキシなどの置換基である。こうした置換基のうち、メトキシが最も好ましい。フェニルは、1〜3個のメトキシを有することが最も好ましい。(S)tは、フェニルの2つの隣接する炭素原子上にメチレンジオキシまたはエチレンジオキシを形成し得る。上記の基のうち、フェニル上に任意に置換基を有するインダノニル、インダンジオニルおよびインデニルが最も好ましい。
【0071】
Bの定義において、−(CHR22r−、−CO−(CHR22r−、=(CH−CH=CH)b−、=CH−(CH2c−および=(CH−CH)d=(ここで、bは1から3の整数であり;cは0または1から9の整数であり;dは0または1から5の整数である)が好ましい。基−(CHR22r−において、R22が水素であって、rが1から3の整数であるもの、および基=CH−(CH2c−が最も好ましい。Bにおける好ましい基は、Jの(b)、特に(b)(2)に結合され得る。式(I)においてTおよびQを含有する環は、5、6または7員環であり得る。Qが窒素であり、Tが炭素または窒素であり、そしてqが2であるもの;または、Qが窒素であり、Tが炭素であり、そしてqが1または3であるもの;あるいは、Qが炭素であり、Tが窒素であり、そしてqが2であるものが好ましい。Kは、フェニル、アリールアルキル、シンナミル、フェニルアルキルまたはフェニル上に置換基を有するフェニルアルキルであることが好ましい。
【0072】
1つの実施形態において、本明細書に記載の方法および組成物において使用される好ましいコリンエステラーゼ阻害剤は、以下の式(V)の化合物であり:
【0073】
【化16】

【0074】
ここで、R1は、(1)置換された、またはされていないフェニル;(2)置換された、またはされていないピリジル;(3)置換された、またはされていないピラジル;(4)置換された、またはされていないキノリル;(5)置換された、またはされていないインダニル;(6)置換された、またはされていないシクロヘキシル;(7)置換された、またはされていないキノキサリル;(8)置換された、またはされていないフリル;(9)置換された、またはされていないフェニルを有するインダノンに由来する一価または二価の基;(10)環状アミド化合物に由来する一価の基;(11)低級アルキル;または(12)R3−CH=C−であって、ここで、R3は水素原子または低級アルコキシカルボニルであり;Xは−(CH2n−、−C(O)−(CH2n−、−N(R4)−(CH2n−、−C(O)−N(R5)−(CH2n−、−CH=CH−(CH2n−、−O−C(O)−O−(CH2n−、−O−C(O)−NH−(CH2n−、−CH=CH−CH=CO−、−NH−C(O)−(CH2n−、−CH2−C(O)−NH−(CH2n−、−(CH22−C(O)−NH−(CH2n−、−CH(OH)−(CH2n−、−C(O)−CH=CH−CH2−、−C(O)−CH2−CH(OH)−CH2−、−CH(CH3)−C(O)−NH−CH2−、−CH=CH−C(O)−NH−(CH22−、ジアルキルアミノアルキルカルボニル、低級アルコキシカルボニルであリ;nは0から6の整数であり;R4は、水素、低級アルキル、アシル、低級アルキルスルホニル、置換された、またはされていないフェニル、または置換された、またはされていないベンジルであり;R5は水素、低級アルキルまたはフェニルであり;R2は、置換された、またはされていないフェニル;置換された、またはされていないアリールアルキル;シンナミル;低級アルキル;ピリジルメチル;シクロアルキルアルキル;アダマンタンメチル;またはフロイルメチルであり;そして、
【0075】
【化17】

【0076】
は単結合または二重結合である。
【0077】
本明細書に記載のコリンエステラーゼ阻害剤に関し、用語「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分鎖のアルキルを意味する。「低級アルキル」基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル(アミル)、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチル−ペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチル−ブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピルなどが含まれる。低級アルキルは、好ましくはメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルであり、より好ましくはメチルである。
【0078】
本明細書に記載のコリンエステラーゼ阻害剤に関し、R1の定義における置換された、またはされていないフェニル、ピリジル、ピラジル、キノリル、インダニル、シクロヘキシル、キノキサリルおよびフリルに対する置換基の具体例としては、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチル基など;上記の低級アルキルに対応する低級アルコキシ(メトキシおよびエトキシ基など);ハロゲン(ニトロ;塩素、フッ素および臭素など);上記の低級アルコキシに対応する低級アルコキシカルボニル(カルボキシル;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−プロポキシカルボニルおよびn−ブチルオキシカルボニル基など);アミノ;低級モノアルキルアミノ;低級ジアルキルアミノ;カルバモイル;1〜6個の炭素原子を有する脂肪族飽和モノカルボン酸に由来するアシルアミノ、例えばアセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、イソブチリルアミノ、バレリルアミノおよびピバロイルアミノなど;シクロヘキシルオキシカルボニルなどのシクロアルキルオキシカルボニル;メチルアミノカルボニルおよびエチルアミノカルボニルなどの低級アルキルアミノカルボニル;上記低級アルキルに対応する低級アルキルカルボニルオキシ、例えばメチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシおよびn−プロピルカルボニルオキシなど;ハロゲン化された低級アルキル(トリフルオロメチルなど);ヒドロキシル;ホルミル;および低級アルコキシ低級アルキル(エトキシメチル、メトキシメチルおよびメトキシエチルなど)が含まれる。上記の置換基における「低級アルキル」および「低級アルコキシ」には、上述の基由来の全ての基が含まれる。1個、2個または3個の置換基があってよく、それらは同一でも異なっていてもよい。
【0079】
本明細書に記載のコリンエステラーゼ阻害剤に関し、置換基がフェニルである場合、以下の式が置換されたフェニルの範囲に含まれる:
【0080】
【化18】

【0081】
ここで、Gは−C(O)−、−O−C(O)、−O−、−CH2−NH−C(O)−、−CH2−O−、−CH2−SO2−、−CH(OH)−、または−CH2−S(→O)−であり;Eは炭素または窒素であり;そしてDは置換基である。
【0082】
本明細書に記載のコリンエステラーゼ阻害剤に関し、フェニルの置換基(すなわち「D」)の好ましい例として、低級アルキル、低級アルコキシ、ニトロ、ハロゲン化された低級アルキル、低級アルコキシカルボニル、ホルミル、ヒドロキシル、および低級アルコキシ低級アルキル、ハロゲン、ならびにベンジルおよびベンジルスルホニルが含まれる。
2個またはそれ以上の置換基があってよく、それらは同一でも異なっていてもよい。ピリジルの置換基の好ましい例には、低級アルキルおよびアミノならびにハロゲンが含まれる。ピラジルの置換基の好ましい例には、低級アルコキシカルボニル、カルボキシル、アシルアミノ、カルバモイルおよびシクロアルキルオキシカルボニルが含まれる。
【0083】
本明細書に記載のコリンエステラーゼ阻害剤に関し、R1について、ピリジルは好ましくは2−ピリジル,3−ピリジルまたは4−ピリジルであり;ピラジルは好ましくは2−ピラジニルであり;キノリルは好ましくは2−キノリルまたは3−キノリルであり;キノキサリニルは好ましくは2−キノキサリニルまたは3−キノキサリニルであり;そして、フリルは好ましくは2−フリルである。
【0084】
本明細書に記載のコリンエステラーゼ阻害剤に関し、インダノンに由来する一価またはニ価の基の例として、以下の(A)または(B)の置換されていないまたは置換されたフェニルを有する。
【0085】
【化19】

【0086】
ここで、mは1から4の整数であり、各Aは独立して水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ニトロ、ハロゲン、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、アミノ、低級モノアルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、カルバモイル、1〜6個の炭素原子を有する脂肪族飽和モノカルボン酸に由来するアシルアミノ、シクロアルキルオキシカルボニル、低級アルキルアミノカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、ハロゲン化された低級アルキル、ヒドロキシル、ホルミル、または低級アルコキシ低級アルキルであり;好ましくは水素、低級アルキルまたは低級アルコキシであり;最も好ましくは、インダノンが置換されていない、または1〜3個のメトキシで置換されている。
【0087】
本明細書に記載のコリンエステラーゼ阻害剤に関し、環状アミド化合物に由来する一価の基の例には、キナゾロン、テトラヒドロイソキノリノン、テトラヒドロベンゾジアゼピノンおよびヘキサヒドロベンズアゾシノンが含まれる。一価の基は、その構造式において環状アミドを有するいかなるものでもよく、上記の具体例に限定されない。環状アミドは、単環または縮合複素環に由来のものであり得る。縮合複素環は、好ましくはフェニルとの縮合により形成されたものである。この場合、フェニルは、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキル基、好ましくはメチル、または1〜6個の炭素原子を有する低級アルコキシ、好ましくはメトキシと置換され得る。
【0088】
本明細書に記載のコリンエステラーゼ阻害剤に関し、一価の基の例には以下の式に示すものが含まれる。
【0089】
【化20】

【0090】
上記式において、Yは水素または低級アルキルであり;VおよびUは各々が水素または低級アルコキシ(好ましくはジメトキシ)であり;W1およびW2は各々が水素、低級アルキルまたは低級アルコキシであり;そしてW3は水素または低級アルキルである。式(j)および(l)における右側の環は7員環であり、一方、式(k)における右側の環は8員環である。
【0091】
本明細書に記載のコリンエステラーゼ阻害剤に関し、R1の最も好ましい例として、置換されていないまたは置換されたフェニルを有するインダノン由来の一価の基および環状アミド化合物由来の一価の基が含まれる。本明細書に記載のコリンエステラーゼ阻害剤に関し、Xの最も好ましい例として、−(CH2n−、アミド、または上記式に示される基であってnが2のものが含まれる。このように、
【0092】
【化21】

【0093】
に示される基の任意の一部がカルボニルまたはアミドを有することが最も好ましい。
【0094】
本明細書に記載のコリンエステラーゼ阻害剤に関し、R2の上記定義における「置換されたまたはされていないフェニル」および「置換されたまたはされていないアリールアルキル」という表現に含まれる置換基は、R1の定義におけるフェニル、ピリジル、ピラジル、キノリル、インダニル、シクロヘキシル、キノキサリルまたはフリルに関する上記定義において述べられた置換基と同一のものである。用語「アリールアルキル」は、置換されていないベンジルまたはフェネチルなどを意味することを意図する。ピリジルメチルの具体例として、2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、および4−ピリジルメチルが含まれる。R2の好ましい具体例には、ベンジルおよびフェネチルが含まれる。記号
【0095】
【化22】

【0096】
は、二重結合または単結合を意味する。結合は、R1が置換されていないまたは置換されたフェニルを有するインダノンに由来する二価の基(B)である場合のみ二重結合であり、その他の場合は単結合である。
【0097】
1つの実施形態において、本明細書に記載の方法および組成物に使用される好ましいコリンエステラーゼ阻害剤は、以下の式(VI)の化合物である。
【0098】
【化23】

【0099】
ここで、rは1から10の整数であり;各R22は、独立して水素またはメチルであり;Kはフェナルキルまたはフェニル上に置換基を有するフェナルキルであり;各Sは独立して水素、C1-6低級アルキル、またはC1-6低級アルコキシであり;tは1から4の整数であり;qは1から3の整数であり;但し、(S)tは、フェニルにおける2つの隣接する炭素原子に結合されるメチレンジオキシまたはエチレンジオキシであり得る。
【0100】
その他の実施形態において、式(VI)の化合物は、1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン;1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イリデニル)メチル−ピペリジン;1−ベンジル−4−((5−メトキシ−(1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン;1−ベンジル−4−((5,6−ジエトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン;1−ベンジル−4−((5,6−メチレンジオキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン;1−(m−ニトロベンジル)−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン;1−シクロヘキシルメチル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン;1−(m−フルオロベンジル)−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン;1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)プロピルピペリジン;1−ベンジル−4−((5−イソプロポキシ−6−メトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン;1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−オキソインダノン)−2−イル)プロペニルピペリジン;前述のうち1つ以上のものの薬学的に許容可能な塩;前述のうち1つ以上のものの立体異性体;または前述のうち1つ以上のものの立体異性体の薬学的に許容可能な塩である。
【0101】
その他の実施形態において、本明細書に記載の方法および組成物に使用される式(VI)の化合物は、好ましくは1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−l−インダノン)−2−イル)メチルピペリジンであって以下の式(B)に示されるものである。
【0102】
【化24】

【0103】
式(B)の化合物は、ドネペジルとして知られており、多形体または結晶多形の形態であってよい。例えば、ドネペジルは、多形体(II)、(III)、(IV)または(V)の形態であってよく、好ましくは多形体(III)である。ドネペジルは、結晶多形(A)、(B)または(C)の形態であってよい。多形体、結晶多形、および多形体や結晶多形を作製する方法は、米国特許第5,985,864号、第6,140,321号および第6,245,911号に記載されており、それらの開示内容は、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0104】
さらに他の実施形態において、式(III)の化合物は、1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン塩酸塩であり、これはドネペジル塩酸塩としても知られており、また、これは以下の式(B1)に示される。
【0105】
【化25】

【0106】
本発明の化合物は、置換基の種類に応じて不斉炭素原子、および本発明の範囲内である立体異性体を有し得る。例えば、ドネペジルまたはその薬学的に許容可能な塩は、特願平4−187674号および特願平4−21670号に記載される形態であり得、それらの開示内容は、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0107】
特願平4−187674号は、以下の式(B2)の化合物を記載しており:
【0108】
【化26】

【0109】
これは、塩酸塩などの薬学的に許容可能な塩の形態であり得る。特願平4−21670号は、以下の式(B3)の化合物を記載しており:
【0110】
【化27】

【0111】
これは、塩酸塩などの薬学的に許容可能な塩の形態であり得る。また、以下の式(B4)の化合物も記載しており:
【0112】
【化28】

【0113】
これは、塩酸塩などの薬学的に許容可能な塩の形態であり得る。また、以下の式(B5)の化合物も記載している。
【0114】
【化29】

【0115】
明細書全体を通じ、用語「ドネペジル」および「1−ベンジル−4−((5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル)メチルピペリジン」は、以下のうち1つ以上を含むことを意図する(例えば、それらのうち2つ以上の組合せなど):薬学的に許容可能な塩;立体異性体;多形体;および結晶多形。
【0116】
本発明のコリンエステラーゼ阻害剤は、市販されているか、または、当技術分野において公知の方法、例えば米国特許第4,895,841号、第5,985,864号、第6,140,321号および第6,245,911号、国際公開第WO98/39000号、ならびに特願平4−187674号および特願平4−21670号などに記載されている方法で調製することができ、それらの開示内容は、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0117】
本発明の方法および組成物において使用される抗片頭痛薬は、当技術分野において知られているいかなるものであってもよい。抗片頭痛薬には、例えば、セロトニンアンタゴニスト、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(例えば、COX−1阻害剤および/またはCOX−2阻害剤)、カルシウムチャネル遮断薬、ベータ・アドレナリン遮断薬、抗痙攣薬、および抗うつ薬(例えば、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬および選択的セロトニン再取り込み阻害薬など)が含まれる。その他の抗片頭痛薬の例として、PNU−142633、ビガバトリン、トピラメート、モンテルカスト(好ましくはそのナトリウム塩)、ガバペンチン、ピロキシカム(好ましくはピロキシカム・ベータデクス)、バルプロエート(好ましくはその半ナトリウム塩)、ジクロフェナク(好ましくはカリウム塩)、タイアガビン、ボツリヌス菌、ネビボロール、リシノプリル、ニモジピン、チザニジン、ゾルミトリプタン、スマトリプタン(好ましくはそのコハク酸塩)、リザトリプタン(好ましくはその安息香酸塩)、ピゾチフェン、オキセトロン、ナラトリプタン、ロメリジン(好ましくはその塩酸塩)、ゲペフリン、フルナリジン、アルモトリプタン、アルピロプリド、トルフェナム酸、ミグプリフ(migpriv)、チモロール(好ましくはそのマレイン酸塩)、ブクリジン(好ましくはその塩酸塩)、バクロフェン、メチセルジド(好ましくはそのマレイン酸塩)、フルナリジン(好ましくはその塩酸塩)、シプロヘプタジン(好ましくはその塩酸塩)、エルゴタミン(好ましくはその酒石酸塩)、リドカイン(好ましくはその塩酸塩)、インドラミン(好ましくはその塩酸塩)、ブトルファノール、KT 2962、BMS 181885、ADDS−エルゴタミン、NPS−1776、GW−468816、トリプタン、ファーマプロジェクト(Pharmaprojects) No.6313、MT−500、ドニトリプタン(好ましくはそのメシル酸塩)、ALX−0646、シバミド(civamide)、プロパノロール、ズカプサイシン、CNS 5161、ヴォフォピタント、ラネピタント、ダピタント、ガナキソロン、LY−53857、セルゴレクソール(好ましくはそのマレイン酸塩)、スマトリプタン、MT−400、フルオキセチン、(S)−フルオキセチン、ジヒドロエルゴタミン(好ましくはそのメシル酸塩)、トナベルサット、IS−159、BIBN−4096、メトクロプラミド、ナプロキセン、MT−100(すなわちメトクロプラミドとナプロキセンとの組合せ)、ドタリジン、フロバトリプタン、エレトリプタン、アスピリン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、アミトリプチリン、ドキセピン、麦角製剤、カフェイン、カフェルゴット(例えばカフェインとエルゴタミンとの組合せ)、コデイン、メペリジン、プロメタジン、アトロピン、フェノバルビタール、ニフェジピン、ベラパミル、クロルプロマジン、リチウム、プレドニゾン、プロプラノロール、フェネルジン、メフェナム酸、フルフェナム酸、LY334370、インドメタシン、ジクロラールフェナゾン、イソメトヘプテン、ブタルビタール、ケトロラック、クロナゼパム、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、イミプラミン、ノルトリピリン(nortripyline)、ジルチアゼム、バルプロ酸、ジバルプロックス、またはシプロヘプタジンが含まれる。抗片頭痛薬は、市販されているか、または文字通りよく知られている方法によって調製され得る。
【0118】
その他の実施形態において、本発明は、治療上有効量の:(i)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;(ii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;および(iii)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、治療上有効量の:(i)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および(ii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤を含む組合せを提供し、ここで、該化合物は、記載された病気または障害を治療するために、患者に別々に投与されてもよい(例えば同時に、連続して等)。本発明は、治療上有効量の:(i)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;(ii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;および(iii)本明細書に記載の病気および障害の治療において(i)および(ii)を同時に、別々に、または連続して使用するための指示書を含むコマーシャル・パッケージ(例えばキット)を提供する。1,2−ジヒドロピリジン化合物は、本明細書に記載の任意のものであり得る。例えば、1,2−ジヒドロピリジン化合物は、式(I)の化合物、式(II)の化合物、式(III)の化合物、または化合物Aであり得る。コリンエステラーゼ阻害剤は、本明細書に記載の任意のものであり得る。例えば、コリンエステラーゼ阻害剤は、式(IV)の化合物、式(V)の化合物、式(VI)の化合物、式(B)の化合物、式(B1)の化合物、式(B2)の化合物、式(B3)の化合物、式(B4)の化合物、または式(B5)の化合物であり得る。その他の実施形態において、コリンエステラーゼ阻害剤は、タクリン、フィゾスチグミン、ピリドスチグミン、ネオスチグミン、リバスチグミン、ガランタミン、シチコリン、ベルナクリン、ヒューペルジン(例えばヒューペルジンA)、メトリホネート、ヘプタスチグミン、エドロホニウム、フェンセリン、トルセリン、フェネチルノルシムセリン、キノスチグミン、ガンスチグミン、エパスチグミン、アプレアジン、3−[l−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノン、または(2−[2−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ−9−メトキシ−1H−ピロロ[3,4−b]キノリン−1−オンであり得る。1つの実施形態において、本発明は、治療上有効量の:(i)ドネペジル;(ii)3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−l−フェニル−l,2−ジヒドロピリジン−2−オン;および(iii)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。該医薬組成物は、少なくとも1つの抗片頭痛薬を更に任意に含み得る。
【0119】
本発明は、治療上有効量の:(i)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;および(iii)少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。1,2−ジヒドロピリジン化合物は、本明細書に記載の任意のものであり得る。例えば、1,2−ジヒドロピリジン化合物は、式(I)の化合物、式(II)の化合物、式(III)の化合物、または式(A)の化合物であり得る。抗片頭痛薬は、本明細書に記載の任意のものであり得る。例えば、抗片頭痛薬は、アスピリン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、ジクロフェナク、フェノプロフェン、ケタプロフェン、ケトロラック、フルルビプロフェン、メクロフェナメイト、ナプロキセン、エルゴタミン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプチン、アルモトリプチン、フロバルトリプタン、エレトリプタン、アミトリプチリン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、ノルトリプチリン、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、ベンラファラジン、トラゾドン、ブプロピオン、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、チモロール、ジルチアゼム、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ベラパミル、ジバルプロックス、ガバペンチン、バルプロ酸、またはトピラメートであり得る。1つの実施形態において、抗片頭痛薬はアスピリン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、またはナプロキセンである。別の実施形態において、抗片頭痛薬はエルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、またはアルモトリプタンである。このような医薬組成物は、少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤を更に任意に含み得る。
【0120】
本発明は、治療上有効量の:(a)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および任意に(b)治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬を、治療および/または予防を必要とする患者に投与することにより、患者の頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。頭痛を治療する方法には、(i)頭痛の頻度を減らす方法;(ii)頭痛の重症度を減らす方法;(iii)頭痛の持続時間を減らす方法;(iv)頭痛の頻度および重症度を減らす方法;(v)頭痛の頻度および持続時間を減らす方法;(vi)頭痛の重症度および持続時間を減らす方法;ならびに(vii)頭痛の頻度、重症度および持続時間を減らす方法が含まれる。頭痛を治療する方法には、頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状を治療する方法が含まれる。頭痛は、原発性頭痛であっても二次性頭痛であってもよい。1,2−ジヒドロピリジン化合物およびコリンエステラーゼ阻害剤および/または抗片頭痛薬は、別々に患者に投与することができ、または医薬組成物の形態で投与されてもよい。
【0121】
本発明は、治療上有効量の:(a)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および任意に(b)治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬を投与することを含む、治療および/または予防を必要とする患者の原発性頭痛または二次性頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。原発性頭痛または二次性頭痛を治療する方法には、(i)原発性頭痛または二次性頭痛の頻度を減らす方法;(ii)原発性頭痛または二次性頭痛の重症度を減らす方法;(iii)原発性頭痛または二次性頭痛の持続時間を減らす方法;(iv)原発性頭痛または二次性頭痛の頻度および重症度を減らす方法;(v)原発性頭痛または二次性頭痛の頻度および持続時間を減らす方法;(vi)原発性頭痛または二次性頭痛の重症度および持続時間を減らす方法;ならびに(vii)原発性頭痛または二次性頭痛の頻度、重症度および持続時間を減らす方法が含まれる。原発性頭痛または二次性頭痛を治療する方法には、原発性頭痛または二次性頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状を治療する方法が含まれる。1,2−ジヒドロピリジン化合物と、任意で、コリンエステラーゼ阻害剤および/または抗片頭痛薬は、別々に患者に投与することができ、または医薬組成物の形態で投与されてもよい。
【0122】
本発明は、治療上有効量の:(a)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および任意に(b)治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬を投与することによって、治療および/または予防を必要とする患者の片頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。片頭痛を治療する方法には、(i)片頭痛の頻度を減らす方法;(ii)片頭痛の重症度を減らす方法;(iii)片頭痛の持続時間を減らす方法;(iv)片頭痛の頻度および重症度を減らす方法;(v)片頭痛の頻度および持続時間を減らす方法;(vi)片頭痛の重症度および持続時間を減らす方法;ならびに(vii)片頭痛の頻度、重症度および持続時間を減らす方法が含まれる。片頭痛を治療する方法には、片頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状を治療する方法が含まれる。1,2−ジヒドロピリジン化合物およびコリンエステラーゼ阻害剤および/または抗片頭痛薬は、別々に患者に投与することができ、または医薬組成物の形態で投与されてもよい。
【0123】
本発明は、治療上有効量の:(a)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および任意に(b)治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬を、治療および/または予防を必要とする患者に投与することによって、患者の古典的片頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。古典的片頭痛を治療する方法には、(i)古典的片頭痛の頻度を減らす方法;(ii)古典的片頭痛の重症度を減らす方法;(iii)古典的片頭痛の持続時間を減らす方法;(iv)古典的片頭痛の頻度および重症度を減らす方法;(v)古典的片頭痛の頻度および持続時間を減らす方法;(vi)古典的片頭痛の重症度および持続時間を減らす方法;ならびに(vii)古典的片頭痛の頻度、重症度および持続時間を減らす方法が含まれる。古典的片頭痛を治療する方法には、古典的片頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状を治療する方法が含まれる。「古典的片頭痛」は、一般的に、視覚における閃光、まぶしいジグザグ線、光恐怖症、および拡散する暗点などの神経症状、またはめまいおよび耳鳴りから始まる。古典的片頭痛は、高揚感、過度のエネルギー、口渇、甘いものへの渇望、および/または眠気などの前駆症を有し得る。その他の時には、古典的片頭痛は、思考力の減退、破滅が差し迫っている感じ、および/または憂鬱などの前駆症を有し得る。その他の時には、前駆症がない場合もあり得る。
【0124】
本発明は、治療上有効量の:(a)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および任意に(b)治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬を投与することによって、患者の普通片頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。普通片頭痛を治療する方法には、(i)普通片頭痛の頻度を減らす方法;(ii)普通片頭痛の重症度を減らす方法;(iii)普通片頭痛の持続時間を減らす方法;(iv)普通片頭痛の頻度および重症度を減らす方法;(v)普通片頭痛の頻度および持続時間を減らす方法;(vi)普通片頭痛の重症度および持続時間を減らす方法;ならびに(vii)普通片頭痛の頻度、重症度および持続時間を減らす方法が含まれる。普通片頭痛を治療する方法には、普通片頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状を治療する方法が含まれる。「普通片頭痛」は、一般的に、吐き気および/または嘔吐を伴い得る頭痛の不意の発症を有する。古典的片頭痛とは異なり、普通片頭痛は一般的に、頭痛の発症前に起こる神経症状を有さない。
【0125】
本発明は、治療上有効量の:(a)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および任意に(b)治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬を投与することによって、患者の併発型片頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。併発型片頭痛を治療する方法には、(i)併発型片頭痛の頻度を減らす方法;(ii)併発型片頭痛の重症度を減らす方法;(iii)併発型片頭痛の持続時間を減らす方法;(iv)併発型片頭痛の頻度および重症度を減らす方法;(v)併発型片頭痛の頻度および持続時間を減らす方法;(vi)併発型片頭痛の重症度および持続時間を減らす方法;ならびに(vii)併発型片頭痛の頻度、重症度および持続時間を減らす方法が含まれる。併発型片頭痛を治療する方法には、併発型片頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状を治療する方法が含まれる。「併発型片頭痛」とは、神経症状(例えば古典的片頭痛について記載されたものなど)を伴う片頭痛を指し、神経症状は、頭痛に先行することも頭痛に伴うこともあり得る。併発型片頭痛においては、体の片側における唇、顔、手、腕、および/または脚のしびれおよびうずくような痛みが起こり得、時にそれは失語症の障害と組み合わさる場合もある。片側の腕および/または脚が脱力したり、または麻痺する場合があり、脳卒中に良く似た症状を呈する。しびれまたは脱力は、何分もかけてゆっくりと、体のある一箇所から別の箇所へと広がり得る。「併発型片頭痛」には、脳底動脈片頭痛が含まれる。脳底動脈片頭痛においては、視覚障害および知覚障害の2つの側面があり、混乱、知覚麻痺、昏睡、攻撃性の爆発、めまい、複視および/または構音障害を伴い得る。脳底動脈片頭痛は、片頭痛持ちの子供の30%において起こる。
【0126】
本発明は、治療上有効量の:(a)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および任意に(b)治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬を投与することによって、患者の月経による片頭痛または月経前の片頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。月経による片頭痛または月経前の片頭痛を治療する方法には、(i)月経による片頭痛または月経前の片頭痛の頻度を減らす方法;(ii)月経による片頭痛または月経前の片頭痛の重症度を減らす方法;(iii)月経による片頭痛または月経前の片頭痛の持続時間を減らす方法;(iv)月経による片頭痛または月経前の片頭痛の頻度および重症度を減らす方法;(v)月経による片頭痛または月経前の片頭痛の頻度および持続時間を減らす方法;(vi)月経による片頭痛または月経前の片頭痛の重症度および持続時間を減らす方法;ならびに(vii)月経による片頭痛または月経前の片頭痛の頻度、重症度および持続時間を減らす方法が含まれる。月経による片頭痛または月経前の片頭痛を治療する方法には、月経による片頭痛または月経前の片頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状を治療する方法が含まれる。「月経による片頭痛」とは、一般的に女性の月経周期の約2日前から女性の月経周期の約3日後までに起こり得る片頭痛を指す。別の実施形態において、月経による片頭痛とは、一般的に女性の月経周期の約2日前から起こり得、女性の月経周期の最終日に終わり得る片頭痛を指す。月経による片頭痛は、月経周期中の任意の時に起こり、または再発し得る。「月経前の片頭痛」とは、一般的に女性の月経周期の約7日前から約3日前までに起こり得る片頭痛である。月経前の片頭痛は、月経前周期中の任意の時に起こり、または再発し得る。
【0127】
本発明は、治療上有効量の:(a)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および任意に(b)治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬を投与することによって、患者の眼性片頭痛または眼筋麻痺性片頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。眼性片頭痛または眼筋麻痺性片頭痛を治療する方法には、(i)眼性片頭痛または眼筋麻痺性片頭痛の頻度を減らす方法;(ii)眼性片頭痛または眼筋麻痺性片頭痛の重症度を減らす方法;(iii)眼性片頭痛または眼筋麻痺性片頭痛の持続時間を減らす方法;(iv)眼性片頭痛または眼筋麻痺性片頭痛の頻度および重症度を減らす方法;(v)眼性片頭痛または眼筋麻痺性片頭痛の頻度および持続時間を減らす方法;(vi)眼性片頭痛または眼筋麻痺性片頭痛の重症度および持続時間を減らす方法;ならびに(vii)眼性片頭痛または眼筋麻痺性片頭痛の頻度、重症度および持続時間を減らす方法が含まれる。眼性片頭痛または眼筋麻痺性片頭痛を治療する方法には、眼性片頭痛または眼筋麻痺性片頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状を治療する方法が含まれる。「眼性片頭痛」とは、一般的に著しい視力障害を伴う片頭痛である。「眼筋麻痺性片頭痛」とは、眼筋の麻痺に関連する片頭痛である。
【0128】
本発明は、治療上有効量の:(a)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および任意に(b)治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬を投与することによって、患者の電撃性片頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。電撃性片頭痛を治療する方法には、(i)電撃性片頭痛の頻度を減らす方法;(ii)電撃性片頭痛の重症度を減らす方法;(iii)電撃性片頭痛の持続時間を減らす方法;(iv)電撃性片頭痛の頻度および重症度を減らす方法;(v)電撃性片頭痛の頻度および持続時間を減らす方法;(vi)電撃性片頭痛の重症度および持続時間を減らす方法;ならびに(vii)電撃性片頭痛の頻度、重症度および持続時間を減らす方法が含まれる。電撃性片頭痛を治療する方法には、電撃性片頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状を治療する方法が含まれる。「電撃性片頭痛」は、突然始まることおよび重症度によって特徴づけられる片頭痛である。
【0129】
本発明は、治療上有効量の:(a)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および任意に(b)治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬を投与することによって、患者のハリス片頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。ハリス片頭痛を治療する方法には、(i)ハリス片頭痛の頻度を減らす方法;(ii)ハリス片頭痛の重症度を減らす方法;(iii)ハリス片頭痛の持続時間を減らす方法;(iv)ハリス片頭痛の頻度および重症度を減らす方法;(v)ハリス片頭痛の頻度および持続時間を減らす方法;(vi)ハリス片頭痛の重症度および持続時間を減らす方法;ならびに(vii)ハリス片頭痛の頻度、重症度および持続時間を減らす方法が含まれる。ハリス片頭痛を治療する方法には、ハリス片頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状を治療する方法が含まれる。「ハリス片頭痛」はまた、周期性片頭痛様神経痛としても知られている。
【0130】
本発明は、治療上有効量の:(a)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および任意に(b)治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬を投与することによって、患者の片麻痺性片頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。片麻痺性片頭痛を治療する方法には、(i)片麻痺性片頭痛の頻度を減らす方法;(ii)片麻痺性片頭痛の重症度を減らす方法;(iii)片麻痺性片頭痛の持続時間を減らす方法;(iv)片麻痺性片頭痛の頻度および重症度を減らす方法;(v)片麻痺性片頭痛の頻度および持続時間を減らす方法;(vi)片麻痺性片頭痛の重症度および持続時間を減らす方法;ならびに(vii)片麻痺性片頭痛の頻度、重症度および持続時間を減らす方法が含まれる。片麻痺性片頭痛を治療する方法には、片麻痺性片頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状を治療する方法が含まれる。「片麻痺性片頭痛」は、一過性の片麻痺に関連する片頭痛の一形態である。
【0131】
本発明は、治療上有効量の:(a)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および任意に(b)治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬を投与することによって、患者の腹性片頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。腹性片頭痛を治療する方法には、(i)腹性片頭痛の頻度を減らす方法;(ii)腹性片頭痛の重症度を減らす方法;(iii)腹性片頭痛の持続時間を減らす方法;(iv)腹性片頭痛の頻度および重症度を減らす方法;(v)腹性片頭痛の頻度および持続時間を減らす方法;(vi)腹性片頭痛の重症度および持続時間を減らす方法;ならびに(vii)腹性片頭痛の頻度、重症度および持続時間を減らす方法、が含まれる。腹性片頭痛を治療する方法には、腹性片頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状を治療する方法が含まれる。「腹性片頭痛」は、明らかな原因がない発作性腹痛によって特徴づけられる。
【0132】
本発明は、治療上有効量の:(a)少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物;および任意に(b)治療上有効量の:(i)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤;(ii)少なくとも1つの抗片頭痛薬;または(iii)少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤および少なくとも1つの抗片頭痛薬を投与することによって、患者の群発性頭痛を治療および/または予防する方法を提供する。群発性頭痛を治療する方法には、(i)群発性頭痛の頻度を減らす方法;(ii)群発性頭痛の重症度を減らす方法;(iii)群発性頭痛の持続時間を減らす方法;(iv)群発性頭痛の頻度および重症度を減らす方法;(v)群発性頭痛の頻度および持続時間を減らす方法;(vi)群発性頭痛の重症度および持続時間を減らす方法;ならびに(vii)群発性頭痛の頻度、重症度および持続時間を減らす方法が含まれる。群発性頭痛を治療する方法には、群発性頭痛によって引き起こされる1つ以上の症状を治療する方法が含まれる。「群発性頭痛」はまた、発作性の夜間の頭痛、群発頭痛(migrainous neuralgia)、ヒスタミン頭痛、およびホートン症候群とも呼ばれる。群発性頭痛は、通常眠りに落ちてから2時間または3時間以内に発症する、持続的で片側性の眼窩痛によって特徴づけられる。痛みは鋭い場合があり、流涙、鼻づまり、その後鼻漏が常にあり、時には縮瞳、眼瞼下垂症、紅潮、および頬の浮腫がみられる場合もある。
【0133】
その他の実施形態において、本発明は、治療上有効量の少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物、および任意に、少なくとも1つの抗不安薬を投与することにより、パニック発作および/またはパニック障害を治療および/または予防する方法を提供する。抗不安薬は、当技術分野において知られている任意のものであり得る。抗不安薬の例には、ベンゾジアゼピン、アザスピロデカネジオン、またはピペラジン誘導体が含まれる。ベンゾジアゼピンの例には、ジアゼパム、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ハラゼパム、ロルパム(lorpam)、オキサゼパム、それらの誘導体、およびそれらの薬学的に許容可能な塩が含まれる。アザスピロデカネジオンの例には、ブスピロン、その誘導体、およびその薬学的に許容可能な塩が含まれる。ピペラジン誘導体の例には、パモ酸ヒドロキシジンおよび塩酸ヒドロキシジン、それらの誘導体、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩が含まれる。1,2−ジヒドロピリジン化合物および抗不安薬は、別々に投与することができ、または組成物の形態で投与され得る。
【0134】
本発明は、治療上有効量の少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物、および任意で、少なくとも1つの抗不安薬を投与することにより、急性ストレス障害および/または全般性不安障害を治療および/または予防する方法を提供する。抗不安薬は、当技術分野において任意のものであり得る。抗不安薬の例として、ベンゾジアゼピン、アザスピロデカネジオン、またはピペラジン誘導体が含まれる。ベンゾジアゼピンの例には、ジアゼパム、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ハラゼパム、ロルパム、オキサゼパム、それらの誘導体、およびそれらの薬学的に許容可能な塩が含まれる。アザスピロデカネジオンの例には、ブスピロン、その誘導体、およびその薬学的に許容可能な塩が含まれる。ピペラジン誘導体の例には、パモ酸ヒドロキシジンおよび塩酸ヒドロキシジン、それらの誘導体、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩が含まれる。1,2−ジヒドロピリジン化合物および抗不安薬は、別々に投与することができ、または組成物の形態で投与され得る。
【0135】
本発明は、治療上有効量の少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物を投与することにより、患者を落ち着かせる方法を提供する。1つの実施形態において、本発明は、治療上有効量の少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物を投与することにより、外科手術前に患者を落ち着かせる方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、治療上有効量の少なくとも1つの1,2−ジヒドロピリジン化合物を、鎮静を必要とする患者に投与することによる、患者の外科麻酔法のための緊急の鎮静方法を提供する。
【0136】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物およびその他の化合物(例えばコリンエステラーゼ阻害剤、抗片頭痛薬、抗不安薬など)は、所望の従来型の非毒性の薬学的に許容可能なキャリア、アジュバントおよびビヒクルを含有する用量ユニットの処方物に含まれて、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入により(鼻または口からの)、または経直腸で投与され得る。用語「非経口的」には、皮下、静脈、筋肉内、髄腔内、胸骨内への注射あるいは注入の手法が含まれる。
【0137】
本発明の1,2−ジヒドロピリジン化合物(例えば3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−l,2−ジヒドロピリジン−2−オン)の1日の用量は、経口投与の場合は、通常約30μgから10gの範囲であり、好ましくは100μgから5gの範囲であり、より好ましくは100μgから100mgの範囲である。注入による投与の場合、1日の用量は、通常約30μgから1gの範囲であり、好ましくは100μgから500mgの範囲であり、より好ましくは100μgから30mgの範囲である。該化合物は、1日1回、または1日に何回かに分けて投与される。用量の意味合いで使用される場合、数字による重量は、1,2−ジヒドロピリジンの重量を指し、塩、対イオン、水和物などはいずれも除かれる。従って、500mgの3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンに相当するものを得るためには、薬学的に許容可能な塩および/または水和物の重量が加わるために、500mgを超える量の化合物の薬学的に許容可能な塩および/または水和物を使用する必要がある。
【0138】
本発明のコリンエステラーゼ阻害剤(例えばドネペジル)の1日の用量は、通常約0.1mgから100mgの範囲であり、好ましくは1mgから50mgの範囲であり、より好ましくは5mgから25mgの範囲である。その他の実施形態において、1日の用量は、10mgから20mgの範囲、または5mgから10mgの範囲である。該化合物は、1日1回、または1日に何回かに分けて投与される。用量の意味合いで使用される場合、数字による重量は、本発明のコリンエステラーゼ阻害剤の重量を指し、塩、対イオンなどはいずれも除かれる。従って、10mgのドネペジルに相当するものを得るためには、塩酸塩の重量が加わるために、10mgを超える量のドネペジル塩酸塩を使用する必要がある。
【0139】
本明細書に記載のその他の化合物(例えば抗片頭痛薬、抗不安薬など)は、例えば医師用卓上参考書(The Physician's Desk Reference)、化合物の用量を記載した特許、および化合物の用量を記載した学術論文などを参考にしながら、当技術分野においてよく知られている用量で投与してよい。
【0140】
1つの実施形態において、投与の様式は、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、または動脈内注射などの注射によるものである。注射可能な調製物、例えば無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤、懸濁化剤(例えばメチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなど)、pH調整剤、緩衝液、可溶化剤(例えばポリオキシエチレン水素化キャスターオイル、ポリソルベート80、ニコチンアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マクロゴール、キャスターオイル脂肪酸のエチルエステルなど)および防腐剤を使用する技術に従って配合され得る。無菌の注射可能な調製物はまた、例えば1,3−ブタンジオールの溶液などの、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶剤中の無菌の注射可能な溶液または懸濁液とすることができる。使用され得る許容可能なビヒクルおよび溶剤の中には、水、リンゲル液および等張食塩水がある。加えて、無菌の不揮発性油が、溶剤または懸濁媒として従来より使用される。この目的で、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む任意の無刺激の不揮発性油を使用することができ、加えて、オレイン酸などの脂肪酸を、注射可能な調製物において使用し得る。こうした調製物は、当技術分野において知られている方法によって凍結乾燥することができる。
【0141】
経口投与用の固形の剤形は、チューインガム、カプセル、タブレット、舌下錠、粉末、顆粒、およびゲルを含み得る。このような固形の剤形において、活性化合物は、ラクトースまたは澱粉などの1つ以上の不活性希釈剤と混合することができる。通常の慣行として、このような剤形は、ステアリン酸マグネシウムなどの平滑剤を含む他の物質も含有し得る。カプセル、タブレットおよび丸剤の場合は、剤形は緩衝剤も含み得る。タブレットは、腸溶コーティングまたはフィルム・コーティング、好ましくはフィルム・コーティングと共に調製し得る。
【0142】
タブレットを作製するために、化合物は、例えば、ビヒクル(例えばラクトース、グラニュー糖、マンニトール、グルコース、澱粉、炭酸カルシウム、結晶セルロース、ケイ酸など)、結合剤(例えば水、エタノール、ミラノール、グルコース溶液、澱粉溶液、ゼラチン溶液、ポリビニルピロリドンなど)、崩壊剤(例えば乾燥した澱粉、ナトリウム、アルギネート、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、ラクトースなど)、吸収促進剤(例えば第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、湿潤剤(例えばグリセリン、澱粉など)、滑剤(例えばステアリン酸塩、ポリエチレングリコールなど)、および香料添加剤(例えば甘味料)などの、当技術分野において知られている薬学的に許容可能なキャリアと混合され得る。タブレットは、従来のタブレット、成形タブレット、ウェファーなどの形態をとり得る。
【0143】
舌下投与とは、口内における投与(例えば、舌の下、頬と歯肉の間、舌と口蓋の間など)のことを言う。口内の血管の多い粘膜内層は、化合物を体内に投与するための位置として便利である。
【0144】
その他の実施形態において、固形剤形は、薬学的に許容可能なキャリア内の顆粒または粉末としてパッケージすることができ、ここで、当該顆粒または粉末はパッケージングから移されて、食物に振りかけられるか、あるいは水またはジュースなどの液体と混合されるか、あるいはここで、顆粒はカプセルに挿入される。この実施形態において、本明細書に記載の化合物は、香料添加剤または甘味剤と混合され得る。パッケージングの材料は、プラスチック、コート紙、あるいは、水分または湿気が顆粒および/または粉末に到達しないようにする任意の材料であり得る。
【0145】
経口投与用の液体の剤形は、水などの当技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤を含有する、薬学的に許容可能な乳剤、溶液、舌下用の溶液、懸濁液、およびシロップを含み得る。このような組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、ならびに甘味剤、香料添加剤および香料などのアジュバントを含み得る。舌下用溶液を作製するために、化合物は、種々のキャリア、賦形剤、pH調整剤など(例えば、水、砂糖、乳酸、酢酸、フルクトース、グルコース、サッカリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、アルコール、ベントナイト、トラガカント、ゼラチン、アルギン酸塩、アスパルテーム、ソルビトール、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、人工調味料および着色剤など)と混合することができる。
【0146】
吸入による投与のために、化合物は、吸入器、噴霧器、または加圧型のパックもしくはエアゾールスプレーを送るためのその他の便利な様式から送達することができる。加圧型のパックは、適切な促進剤を含み得る。あるいは、吸入による投与のために、化合物は、乾燥粉末組成物または液体スプレーの形態で投与し得る。
【0147】
直腸投与用坐剤は、活性化合物を、適切な刺激性のない賦形剤、例えば室温で固体であり体温で液体となるカカオ脂およびポリエチレングリコールなどと混合することにより調製することができる。あるいは、浣腸は、直腸投与用に、本明細書に記載の化合物によって調製し得る。
【0148】
表皮への局所投与用に、化合物は、軟膏、クリームまたはローションとして、あるいは経皮貼布の有効成分として配合し得る。化合物はまた、イオントフォレシスまたは浸透圧ポンプを経由して投与することができる。軟膏、クリームおよびローションは、水性または油性のベースに、適切な増粘剤および/またはゲル化剤を加えることで配合し得る。あるいは、軟膏、クリームおよびローションは、水性または油性のベースで配合することができ、また、1つ以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤および/または着色剤を含み得る。クリームまたはローションとして、化合物は、例えば防腐剤(例えばベンジルアルコール1%または2%(wt/wt))、乳化ろう、グリセリン、イソプロピルパルミテート、乳酸、精製水、ソルビトール溶液のうちの1つ以上と混合して、滑らかで均質のクリームまたはローションを形成し得る。このような局所投与可能な組成物は、ポリエチレングリコール400を含有し得る。軟膏を形成するために、化合物は、防腐剤(例えばベンジルアルコール2%(wt/wt))、ペトロラタム、乳化ろうおよびテノックス(II)(例えばブチル化されたヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、クエン酸、プロピレングリコールなど)のうちの1つ以上と混合し得る。局所的な適用のために、織布のパッドまたは包帯用材料のロール、例えばガーゼなどに、経皮投与可能な組成物を染み込ませることができる。
【0149】
化合物はまた、アクリル系のポリマー接着剤の1つと樹脂性の架橋剤とに本明細書に記載の化合物を染み込ませて、不浸透性の裏あてに積層したものなどの経皮システムを使用して、局所的に適用することができる。例えば、化合物は、徐放性の経皮貼布などの経皮パッチの形態で投与し得る。経皮パッチは、例えば粘着性のマトリックス、ポリマー・マトリックス、貯蔵パッチ、マトリクス型またはモノリシック型の積層構造などの任意の従来型の形態を含めることができ、一般的に裏うち層、接着剤、浸透促進剤、および/または律速膜のうちの1つ以上により構成される。経皮パッチは一般的に、適用前に剥がされて接着剤/有効成分を露出するはく離牲ライナーを有する。経皮パッチは、例えば米国特許第5,262,165号、第5,948,433号、第6,010,715号および6,071,531号に記載されており、それらの開示内容は、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0150】
本発明は、本明細書に記載の病気および障害を治療するために患者に経鼻的に投与される化合物を提供する。「経鼻的に投与される」または「経鼻的投与」は、患者の鼻の粘膜を通じての吸収のために、少なくとも1つの化合物が適切な送達システムと組み合わされることを意味することを意図する。一般的に、例えば経口投与に必要な用量と比較すると、経鼻的投与では、より低い化合物の用量を使用し得る。
【0151】
化合物は、例えば、スプレー式点鼻薬、点鼻剤、鼻用懸濁液、鼻用ゲル、鼻用軟膏、鼻用クリームまたは鼻用パウダーとして投与し得る。化合物はまた、鼻用タンポンまたは鼻用スポンジを使用して投与することができる。化合物は、従来より使用されるシステム、例えば天然のガム、メチルセルロースおよび誘導体、アクリルポリマー(カルボポール)およびビニルポリマー(ポリビニルピロリドン)などによって粘着性のベースに組み込むことができる。組成物において、水、防腐剤、界面活性剤、溶剤、接着剤、抗酸化剤、緩衝液、バイオ接着剤、粘着性増加剤、およびpHと浸透圧モル濃度の調節剤などの、当技術分野において知られる多くのその他の賦形剤が添加され得る。
【0152】
鼻への送達システムは、水溶液、非水溶液、およびそれらの組合せを含む多様な形態をとり得る。水溶液として、例えば、水性ゲル、水性懸濁液、水性リポソーム分散液、水性乳剤、水性マイクロエマルジョン、およびそれらの組合せが含まれる。非水溶液として、例えば、非水性ゲル、非水性懸濁液、非水性リポソーム分散液、非水性乳剤、非水性マイクロエマルジョン、およびこれらの組合せが含まれる。
【0153】
その他の実施形態において、経鼻的送達システムは、粉末製剤であり得る。粉末製剤として、例えば、粉末の混合物、粉末のミクロスフェア、被覆粉のミクロスフェア、リポソーム分散液、およびこれらの組合せが含まれる。好ましくは、粉末製剤は粉末のミクロスフェアである。粉末のミクロスフェアは、好ましくは、澱粉、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー、アルギン酸−ポリビニルアルコール、アラビアゴム、キトサン、およびこれらのうち2つ以上の組合せから選択された種々の多糖およびセルロースから形成される。
【0154】
ある実施形態において、鼻の粘膜に送達される水溶液および/または非水溶液の液滴、あるいは粉末の粒径は、例えば、約0.1ミクロン〜約100ミクロン;約1ミクロン〜約70ミクロン;約5ミクロン〜約50ミクロン;または約10ミクロン〜約20ミクロンの範囲であり得る。粒径は、当技術分野において知られる適切な容器または計量装置を使用して得ることができる。装置の具体例として、ピストンの動きによって送達が行われる機械ポンプ;手動のポンプで空気を容器に送り込むことによって送達が行われる圧縮空気機構;密封した容器内への圧縮ガスの制御放出によって送達が行われる圧縮ガス(例えば窒素)の手法;低沸点液化炭化水素(例えばブタン)を蒸発させて圧力を発揮させ、その力で計量バルブに組成物を通す液化推進剤の手法;などが含まれる。粉末は、例えば、カプセル内に入れて、それを吸入装置または吹送装置にセットするような方法で投与してもよい。針をカプセルに貫通させて、カプセルの上部および底部に穴を開け、空気を送って粉末の粒子を吹き出させる。粉末の配合はまた、不活性ガスのジェット噴射により、または有機液体に懸濁させて投与し得る。
【0155】
1つの実施形態において、本発明は、化合物の溶解度を改善する経鼻的送達システム内に分散させた少なくとも1つの化合物を含む、経鼻的に投与可能な医薬組成物を提供する。溶解度を改善する経鼻的送達システムには、以下のうちの1つまたはそれらの組合せが含まれ得る:(i)グリコール誘導体(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、これらの混合物など);(ii)糖アルコール(例えばマンニトール、キシリトール、これらの混合物など);(iii)グリセリン;(iv)グリコール誘導体(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、またはこれらの混合物など)およびグリセリン;(v)アスコルビン酸および水;(vi)アスコルビン酸ナトリウムおよび水;または(vii)メタ重亜硫酸ナトリウムおよび水。
【0156】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物および経鼻的送達システムを含む、経鼻的に投与可能な医薬組成物を提供する。ここで、該経鼻的送達システムは、本明細書に記載の化合物のpHを維持するための少なくとも1つの緩衝液、少なくとも1つの薬学的に許容可能な増粘剤、および少なくとも1つの保湿剤を含む。経鼻的送達システムは、さらに任意に、界面活性剤、防腐剤、抗酸化剤、バイオ接着剤、pH調整剤、等張化剤、可溶化剤および/またはその他の薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る。本明細書に記載の化合物は、その溶解度を改善する経鼻的送達システムに任意に分散され得る。
【0157】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物および経鼻的送達システムを含む、経鼻的に投与可能な医薬組成物を提供する。ここで、経鼻的送達システムは、少なくとも1つの可溶化剤、少なくとも1つの薬学的に許容可能な増粘剤、および少なくとも1つの保湿剤を含む。経鼻的送達システムは、さらに任意に、緩衝液、pH調整剤、等張化剤、界面活性剤、防腐剤、抗酸化剤、バイオ接着剤、および/またはその他の薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る。本明細書に記載の化合物は、その溶解度を改善する経鼻的送達システムに任意に分散され得る。
【0158】
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物および経鼻的送達システムを含む、経鼻的に投与可能な医薬組成物を提供する。ここで、経鼻的送達システムは、化合物のpHを維持するための少なくとも1つの緩衝液、少なくとも1つの薬学的に許容可能な増粘剤、少なくとも1つの保湿剤、および少なくとも1つの界面活性剤を含む。経鼻的送達システムは、さらに任意に、pH調整剤、等張化剤、可溶化剤、防腐剤、抗酸化剤、バイオ接着剤、および/またはその他の薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る。本明細書に記載の化合物は、その溶解度を改善する経鼻的送達システムに任意に分散され得る。
【0159】
さらに別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物および経鼻的送達システムを含む、経鼻的に投与可能な医薬組成物を提供する。ここで、経鼻的送達システムは、少なくとも1つの薬学的に許容可能な増粘剤、少なくとも1つの保湿剤、少なくとも1つの界面活性剤、および少なくとも1つの可溶化剤を含む。経鼻的送達システムは、さらに任意に、緩衝液、pH調整剤、等張化剤、防腐剤、抗酸化剤、バイオ接着剤、および/またはその他の薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る。化合物は、その溶解度を改善する経鼻的送達システムに任意に分散され得る。
【0160】
さらに別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の少なくとも1つの化合物および経鼻的送達システムを含む、経鼻的に投与可能な医薬組成物を提供する。ここで、経鼻的送達システムは、化合物のpHを維持するための少なくとも1つの緩衝液、少なくとも1つの薬学的に許容可能な増粘剤、少なくとも1つの保湿剤、少なくとも1つの界面活性剤、および少なくとも1つの可溶化剤を含む。経鼻的送達システムは、さらに任意に、緩衝液、pH調整剤、等張化剤、防腐剤、抗酸化剤、バイオ接着剤、および/またはその他の薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る。本明細書に記載の化合物は、その溶解度を改善する経鼻的送達システムに任意に分散され得る。
【0161】
緩衝液は、鼻粘膜全域での1,2−ジヒドロピリジン化合物の吸収を最適化するように選択されたpHを有する。緩衝液の特定のpHは、特定の経鼻的送達用配合および選択された特異的な化合物によって異なり得る。本発明における使用に適した緩衝液には、酢酸塩(例えば酢酸ナトリウム)、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム二水和物)、フタル酸塩、ホウ酸塩、プロラミン、トロラミン、炭酸塩、リン酸塩(例えば一カリウムリン酸塩、リン酸ナトリウム)、およびこれらのうち2つ以上の混合物が含まれる。
【0162】
組成物のpHは、約3.0〜約10.0の間に維持されるべきである。約3.0よりも小さい、または約10.0よりも大きいpHを有する組成物は、患者の鼻粘膜を刺激する危険を増やす恐れがある。さらに、組成物のpHは、約3.0〜約9.0の間に維持されることが好ましい。非水性の経鼻用配合に関し、緩衝剤の適切な形態は、配合物が哺乳類の鼻腔に送達されたとき、例えば鼻粘膜と接触したときに、選択されたpHの範囲がそこで得られるように選択することができる。
【0163】
本発明の組成物において使用するための可溶化剤は、カルボン酸およびその塩などの当技術分野において知られているいかなるものであってもよい。カルボン酸の塩の具体例には、酢酸塩、グルコネート、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸エステル、スクシネート、またはこれらのうち2つ以上の混合物が含まれる。
【0164】
本発明の組成物の粘度は、薬学的に許容可能な増粘剤を使用して、所望のレベルに維持することができる。例えば、粘度は、少なくとも1000cps;約1000cps〜約10,000cpsの間;約2000cps〜約6500cpsの間;または約2500cps〜約5000cpsの間であってよい。本発明に従って使用され得る増粘剤として、例えば、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギネート、アラビアゴム、キトサン、およびそれらのうち2つ以上の混合物などが含まれる。増粘剤の濃度は、選択される薬剤および所望の粘度により異なる。こうした薬剤はまた、粉末の配合物として使用することができる。
【0165】
経鼻的に投与可能な組成物はまた、粘膜の乾燥を減少させるまたは防ぐため、および粘膜への刺激を防ぐために、保湿剤を含み得る。使用可能である適切な保湿剤には、例えば、ソルビトール、鉱油、植物油およびグリセロール;無痛化剤;メンブレン・コンディショナー;甘味料;およびそれらのうち2つ以上の混合物が含まれる。保湿剤の濃度は、選択される薬剤により異なる。1つの実施形態において、保湿剤は、組成物に対して約0.01wt%〜約20wt%の範囲の濃度で、経鼻的送達システム内において存在し得る。
【0166】
その他の実施形態において、経鼻的送達システムはさらに、化合物の吸収を高める界面活性剤を含み得る。適切な界面活性剤には、非イオン性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、および陽イオン界面活性剤が含まれる。界面活性剤の具体例として、オレイン酸、脂肪酸のポリオキシエチレン誘導体、例えばTween(例えばTween80、Tween40、Tween20など)などのソルビトール無水物の部分エステル、Span(例えばSpan40、Span80、Span20など)、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン50ステアレート、フュジエート(fusieates)、胆汁酸塩、オクトキシノール、およびそれらのうち2つ以上の混合物などが含まれる。陰イオン界面活性剤の具体例として、以下の官能基うち1つ以上を有する長鎖炭化水素の塩(例えばC6−30あるいはC10−20)が含まれる:カルボン酸塩;スルホン酸塩;および硫酸塩。セトステアリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、およびテトラデシル硫酸ナトリウムなどの、硫酸塩の官能基を有する長鎖炭化水素の塩が好ましい。特に好ましい陰イオン界面活性剤の1つは、ラウリル硫酸ナトリウム(すなわちドデシル硫酸ナトリウム)である。界面活性剤は、約0.001wt%〜約50wt%の間、または約0.001wt%〜約20wt%の間の量で存在し得る。
【0167】
本発明の医薬組成物はさらに、塩化ナトリウム、デキストロース、ホウ酸、酒石酸ナトリウムあるいはその他の無機または有機の溶質などの等張化剤を含んでいても良い。
【0168】
本発明の鼻用医薬組成物は、任意にpH調整剤と組み合わせて使用し得る。pH調整剤の具体例として、硫酸、水酸化ナトリウム、塩酸などが含まれる。
【0169】
貯蔵寿命を延ばすために、経鼻的に投与可能な組成物に防腐剤を添加することができる。使用可能である適切な防腐剤として、ベンジルアルコール、パラベン、チメロサール、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、またはそれらのうち2つ以上の混合物が含まれる。好ましくは、塩化ベンザルコニウムが使用される。一般的に、防腐剤は、最大で約2wt%までの濃度で存在する。しかし、防腐剤の正確な濃度は、使用目的によって異なり、当業者はそれを容易に確認できる。
【0170】
貯蔵寿命を延ばすその他の成分、例えば抗酸化剤なども添加することができる。抗酸化剤のいくつかの例としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、パルミチン酸アスコルビルなどが挙げられる。典型的には、抗酸化剤は組成物全体の約0.001wt%〜約5wt%の濃度で組成物内に存在する。
【0171】
経鼻的送達システムは、例えば米国特許第6,451,848号、第6,436,950号および第5,874,450号、ならびに国際公開第WO00/00199号に記載された方法に従って作製することができ、それらの開示内容は、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0172】
実施例
以下の実施例は、例示するためのみに挙げられており、特許請求の精神または範囲を限定することを意図しない。
【実施例1】
【0173】
抗片頭痛薬は、一般的に、カラゲニンに誘導される温熱性痛覚過敏のモデルを使用して評価される(Binghamら、Experimental Neurology, 167:65-73(2001);およびDaherら、Life Sciences, 76:2349-2359(2005)参照)。温熱性痛覚過敏に対する化合物A(すなわち3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン)の抗片頭痛関連特性は、以下のカラゲニンに誘導される炎症性痛覚のラットのモデルで評価した。
【0174】
雄のウィスター型のラット(1グループ当たり5匹)を実験に使用した。ラットの両後足における侵害的熱の刺激から逃れるための反応潜時は、TAIL FLICK 7360(Ugo Basile社、イタリア)を使用して測定した。1%のカラゲニンを、ラットの右後ろ足の足蹠に注射した。3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンまたはビヒクルを、カラゲニンの注射から2時間後に、ラットに経口投与した。ラットの両後足に対する熱刺激の反応潜時は、薬物の投与から1、3および5時間後に測定した。
【0175】
図1に示されるように、カラゲニンを注射したラットの右後足における反応潜時は短くなった。図2に示されるように、ラットの左後足における反応潜時に変化はなかった。これらの結果は、カラゲニンが、それを注射された後足において炎症性痛覚過敏を導いたこと、および、ラットの対側の後足における痛覚過敏は引き起こさなかったことを示している。カラゲニンの効果は、実験時間の間ずっと観察された。
【0176】
図1はまた、3および6mg/kgの3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンが、投与1時間後に、誘導された痛覚過敏を阻害したこと、ならびに、投与3および5時間後に、該効果が減少したことも示している。図2はまた、3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンによって、ラットの対側の後足における潜時が変化しなかったことも示しており、これは、3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンが、運動機能に影響を与えなかったことを示唆する。これらの動物モデルでの結果は、3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンの、ヒトにおける片頭痛および頭痛を治療する能力を予示するものである。
【実施例2】
【0177】
片頭痛の予防および治療における3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンの水和物の有効性および安全性を評価するために、無作為二重盲検プラセボ対照マルチセンター・パラレルグループ試験が実施されている。
【0178】
第一次有効性の評価項目は、基準段階と比較したときの、治療段階中の28日間当たりでの片頭痛の期間の頻度変化に基づいて、3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンの水和物が片頭痛を減じる有効性を評価することである。片頭痛の期間は、24時間以内に発症、解消、または再発する片頭痛として定義される。片頭痛が24時間よりも長く持続する場合は、新しい片頭痛の期間と考える。
【0179】
試験の第2の目的は、片頭痛を有する患者における3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンの水和物の安全性および耐性を評価すること;患者集団における3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンの水和物の薬物動態を特徴づけること;3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンの水和物の血漿濃度と反応との関係を測定すること;および、片頭痛の重症度の変化を評価することである。第2次有効性は、第1段階と比較した場合の、以下の指標のうちの1つ以上の減少に基づいて測定される:(a)28日間の片頭痛期間の頻度において少なくとも50%の減少を経験した患者の割合;(b)第3段階中の28日間当たりの片頭痛期間の頻度の変化;(c)片頭痛発作の頻度の変化;(d)症状をおさえるための投薬を必要とする日数の28日間当たりの変化;(e)28日間当たりの片頭痛になった総日数;(f)片頭痛発作の重症度の変化;(g)片頭痛発作の持続時間の変化;(h)患者の全般改善度(Global Impression of Change)の変化;および(i)片頭痛の日常生活支障度の評価(Migraine Disability Assessment (MIDAS))の質問表のスコアの変化。
【0180】
血漿濃度の試験のために、母集団薬物動態モデルを確立することにより、CMinSS、CMaxSSおよびAUC0-TauSSを計算する。薬物動態パラメータの適切な個々の事後の推定値も測定される。これらのパラメータの患者間、および外来患者(visit)間における変動性も見積もる。暴露と反応(28日間当たりの片頭痛頻度の減少)の関係の試験は、混合効果モデルを使用して行われている。
【0181】
安全性は、副作用の発生率と、理学的診察、神経学的診察、生命徴候、臨床検査、体重および心電図の結果の変化によって評価されている。
【0182】
当該試験は、4週間の基準段階、および試験の終わり4週間の単純盲検プラセボ安全段階を有する、14週間の無作為二重盲検プラセボ対照マルチセンター・パラレルグループ予測試験である。当該試験は以下に述べる段階を有する。第1段階は、4週間の基準段階であり、その間、患者の片頭痛のダイアリーを使用して、片頭痛頻度の予測確認の評価が行われる。第2段階は、1〜10週間までの滴定段階であり、0.5〜2.0mg/日の用量で開始し、これは夜に1回投与する。1〜5週間後、用量を1.0〜2.0mg/日に増加し、その1〜5週間後、用量を1.5〜4.0mg/日に増加する。耐えられないほどの副作用に苦しむ患者については、用量を1段階減らす。この段階中、血漿濃度の測定のために血液のサンプルを入手する。第2段階中は、外来患者は2週間ごとの来院とする。第3段階は、4〜12週の維持段階であり、用量は、第2段階中の最後に投与された用量から変わらない。各来院時に、血漿濃度のサンプルを入手する。第3段階中は、外来患者は4週間ごとの来院とする。第4段階は4週間の段階であり、ここではすべての患者が、単純盲検方式でプラセボの投与を受ける。患者は、自分の片頭痛の頻度および特性を記録し続ける。最終の来院は、第3段階の約4週間後に予定され、その時に血漿濃度のサンプルを入手する。
【0183】
患者の適格性は、インフォームド・コンセントへの署名の後、スクリーニング期間中に決定される。スクリーニングの評価には、病歴、包括的な理学的および神経学的診察、生命兆候、12誘導心電図、臨床検査、尿中薬物スクリーニング、ライバル・スクリーニング(rival screen)、およびMIDASの投与が含まれる。スクリーニングにおける来院中、適格患者は、電子日記の使用について指示を受け、片頭痛の発生およびその他の試験に関係した情報を毎日記録するように指示を受ける。この時に、患者は第1段階に入る。
【0184】
第1段階が無事完了し、すべての試験対象患者基準に合致し、すべての除外基準に合致しないことが証明されたときは、患者は試験へのエントリーに適している。4回より少ない、または12回より多い片頭痛を経験した患者、電子日記を適切に完成できなかった患者、または第1段階中にトライアルの手順に従うことのできなかった患者は、無作為抽出されていない。
【0185】
無作為抽出される患者は、男性でも女性でもよく、18〜65歳で、任意の人種であり、片頭痛の病歴を有し(国際頭痛学会の頭痛分類委員会(Headache Classification Committee of the International Headache Society)(HIS、2004ガイドライン)によれば、前兆はある場合もない場合もある)、片頭痛の病歴は少なくとも12ヶ月間で、50歳になる前に発症しており、スクリーニング前の3ヶ月間および第1段階の両方において、1ヶ月当たり4〜12回の片頭痛発作を経験している。患者の肥満度指数(BMI)は、スクリーニング時を含め、19〜40kg/m2の範囲であるべきである。
【0186】
試験において180人の患者が登録され、無作為抽出された患者のうち、90人がプラセボグループに属し、別の90人が3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンの水和物を与えられるというように、その割合が1:1となっている。164人の患者について試験が完了すると見込まれる。試験は、米国における約25ヶ所の研究所で実施されている。
【0187】
本明細書において引用された特許、特許出願および刊行物の各々は、その全体を引用することにより本明細書の一部をなす。
【0188】
添付の請求項の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の多様な変更が行えることが、当業者にとって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】図1は、同側後足の反応潜時に対する化合物A(すなわち3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン)の効果を示す。
【図2】図2は、対側後足の反応潜時に対する化合物A(すなわち3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン)の効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする患者の片頭痛を治療する方法であって、治療上有効量の3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、その薬学的に許容可能な塩、その水和物、またはその薬学的に許容可能な塩の水和物を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記治療上有効量の3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンが30μg〜10グラムである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記治療上有効量の3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オンが100μg〜100mgである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記片頭痛が前兆を伴う、または伴わないものである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記片頭痛を治療する方法が、めまい、吐き気、嘔吐、疲労、前兆、光恐怖症、および音声恐怖症からなる群から選択される1つ以上の片頭痛の症状を治療する方法を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記片頭痛が、古典的片頭痛、普通片頭痛、併発型片頭痛、月経による片頭痛、月経前の片頭痛、眼性片頭痛、眼筋麻痺性片頭痛、電撃性片頭痛、ハリス片頭痛、または片麻痺性片頭痛である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が長期治療または急性期治療のためのものである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記片頭痛が一時的または慢性的なものである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
治療を必要とする患者の頭痛を治療する方法であって、治療上有効量の以下の式(I)の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その水和物、またはその薬学的に許容可能な塩の水和物を投与することを含み:
【化1】

ここで、
QはNH、OまたはSであり;
1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して水素、ハロゲン、C1-6アルキル、または−X−Aであり;
Xは単結合、任意に置換されたC1-6アルキレン、任意に置換されたC2-6アルケニレン、任意に置換されたC2-6アルキニレン、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO2−、−N(R6)−、−N(R7)−CO−、−CO−N(R8)−、−N(R9)−CH2−、−CH2−N(R10)−、−CH2−CO−、−CO−CH2−、−N(R11)−S(O)m−、−S(O)n−N(R12)−、−CH2−S(O)p−、−S(O)q−CH2−、−CH2−O−、−O−CH2−、−N(R13)−CO−N(R14)−、または−N(R15)−CS−N(R16)−であり;
6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して水素、C1-6アルキル、またはC1-6アルコキシであり;
m、n、pおよびqはそれぞれ独立して0、1または2の整数であり;
Aは、任意に置換されたC3-8シクロアルキル、任意に置換されたC3-8シクロアルケニル、任意に置換された5〜14員環の非芳香族複素環、任意に置換されたC6-14芳香族炭化水素環、または任意に置換された5〜14員環の芳香族複素環であり、ただし、
1、R2、R3、R4およびR5のうちの3つの基は−X−Aであり、
1、R2、R3、R4およびR5のうちの残り2つの基は独立して水素、ハロゲン、またはC1-6アルキルである、前記方法。
【請求項10】
前記頭痛が原発性頭痛または二次性頭痛である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記原発性頭痛が、片頭痛、緊張性頭痛、群発性頭痛、発作性片側頭痛、結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作、三叉神経・自律神経性頭痛、刺すような痛みの頭痛、咳嗽性頭痛、激しい頭痛、性的行為に関連した頭痛、睡眠時頭痛、雷鳴頭痛、持続性片側頭痛、または新規発症持続性連日性頭痛である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記二次性頭痛が、頭および/または頸部の外傷に起因する頭痛;頭蓋および/または頸部の血管障害に起因する頭痛;非血管性頭蓋内疾患に起因する頭痛;1つ以上の薬物に起因する頭痛;1つ以上の薬物の使用中止に起因する頭痛;感染に起因する頭痛;恒常性障害に起因する頭痛;顔の構造および/または頭蓋の構造の障害に起因する頭痛;または精神障害に起因する頭痛である請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記頭痛が片頭痛である請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記片頭痛が前兆を伴う、または伴わない請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記片頭痛を治療する方法が、めまい、吐き気、嘔吐、疲労、前兆、光恐怖症、および音声恐怖症からなる群から選択される1つ以上の片頭痛の症状を治療する方法を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記片頭痛が、古典的片頭痛、普通片頭痛、併発型片頭痛、月経による片頭痛、月経前の片頭痛、眼性片頭痛、眼筋麻痺性片頭痛、電撃性片頭痛、ハリス片頭痛、または片麻痺性片頭痛である請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が長期治療または急性期治療のためのものである請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記片頭痛が一時的または慢性的なものである請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記治療上有効量が30μg〜10グラムである請求項9に記載の方法。
【請求項20】
治療上有効量の:(i)コリンエステラーゼ阻害剤;(ii)抗片頭痛薬;または(iii)コリンエステラーゼ阻害剤および抗片頭痛薬を投与することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項21】
治療上有効量の:
(i)式(III)の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その水和物、またはその薬学的に許容可能な塩の水和物;および
(ii)式(VI)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩
を投与することを含む、治療を必要とする患者の頭痛を治療する方法であって、ここで、前記式(III)の化合物は
【化2】

であり、ここで
1,X2およびX3は、それぞれ独立して単結合、任意に置換されたC1-6アルキレン、任意に置換されたC2-6アルケニレン、任意に置換されたC2-6アルキニレン、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO2−、−N(R6)−、−N(R7)−CO−、−CO−N(R8)−、−N(R9)−CH2−、−CH2−N(R10)−、−CH2−CO−、−CO−CH2−、−N(R11)−S(O)m−、−S(O)n−N(R12)−、−CH2−S(O)p−、−S(O)q−CH2−、−CH2−O−、−O−CH2−、−N(R13)−CO−N(R14)−、または−N(R15)−CS−N(R16)−であり、
6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して水素、C1-6アルキル、またはC1-6アルコキシであり、
m、n、pおよびqはそれぞれ独立して0、1または2の整数であり、
1、A2およびA3はそれぞれ独立して、任意に置換されたC3-8シクロアルキル、任意に置換されたC3-8シクロアルケニル、任意に置換された5〜14員環の非芳香族複素環、任意に置換されたC6-14芳香族炭化水素環、または任意に置換された5〜14員環の芳香族複素環であり、そして
17およびR18はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、またはC1-6アルキルであり、
ここで、式(VI)の化合物は、
【化3】

であり、ここで、
rは1から10の整数であり、
各R22は独立して水素またはメチルであり、
Kはフェナルキルまたはフェニル上に置換基を有するフェナルキルであり、
各Sは独立して水素、C1-6低級アルキル、またはC1-6低級アルコキシであり、
tは1から4の整数であり、
qは1から3の整数であり、
但し、(S)tは、該フェニルにおける2つの隣接する炭素原子に結合されるメチレンジオキシまたはエチレンジオキシであり得る、前記方法。
【請求項22】
前記式(III)の化合物が、3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、その薬学的に許容可能な塩、その水和物、またはその薬学的に許容可能な塩の水和物である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記式(III)の化合物が、30μg〜10グラムの量で投与される請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記式(VI)の化合物が、ドネペジルまたはその薬学的に許容可能な塩である請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記式(VI)の化合物が、1mg〜50mgの量で投与される請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記頭痛が片頭痛である請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記片頭痛が前兆を伴う、または伴わない請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記片頭痛を治療する方法が、めまい、吐き気、嘔吐、疲労、前兆、光恐怖症、および音声恐怖症からなる群から選択される1つ以上の片頭痛の症状を治療する方法を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記片頭痛が、古典的片頭痛、普通片頭痛、併発型片頭痛、月経による片頭痛、月経前の片頭痛、眼性片頭痛、眼筋麻痺性片頭痛、電撃性片頭痛、ハリス片頭痛、または片麻痺性片頭痛である請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が長期治療または急性期治療のためのものである請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記片頭痛が一時的または慢性的なものである請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記式(III)の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その水和物、またはその薬学的に許容可能な塩の水和物;ならびに前記式(VI)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、患者に別々に投与される請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記式(III)の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その水和物、またはその薬学的に許容可能な塩の水和物;および前記式(VI)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が、患者に医薬組成物の形態で投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
治療上有効量の:(i)式(III)の化合物、その薬学的に許容可能な塩、その水和物、またはその薬学的に許容可能な塩の水和物;および(ii)式(VI)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物であって、
ここで、式(III)の化合物は以下の通りであり:
【化4】

ここで、
1,X2およびX3は、それぞれ独立して単結合、任意に置換されたC1-6アルキレン、任意に置換されたC2-6アルケニレン、任意に置換されたC2-6アルキニレン、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO2−、−N(R6)−、−N(R7)−CO−、−CO−N(R8)−、−N(R9)−CH2−、−CH2−N(R10)−、−CH2−CO−、−CO−CH2−、−N(R11)−S(O)m−、−S(O)n−N(R12)−、−CH2−S(O)p−、−S(O)q−CH2−、−CH2−O−、−O−CH2−、−N(R13)−CO−N(R14)−、または−N(R15)−CS−N(R16)−であり、
6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して水素、C1-6アルキル、またはC1-6アルコキシであり、
m、n、pおよびqはそれぞれ独立して0、1または2の整数であり、
1、A2およびA3はそれぞれ独立して、任意に置換されたC3-8シクロアルキル、任意に置換されたC3-8シクロアルケニル、任意に置換された5〜14員環の非芳香族複素環、任意に置換されたC6-14芳香族炭化水素環、または任意に置換された5〜14員環の芳香族複素環であり、そして
17およびR18はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、またはC1-6アルキルであり、
ここで、式(VI)の化合物は、
【化5】

であって、ここで、
rは1から10の整数であり、
各R22は独立して水素またはメチルであり、
Kはフェナルキルまたはフェニル上に置換基を有するフェナルキルであり、
各Sは独立して水素、C1-6低級アルキル、またはC1-6低級アルコキシであり、
tは1から4の整数であり、
qは1から3の整数であり、
但し、(S)tは、フェニルにおける2つの隣接する炭素原子に結合されるメチレンジオキシまたはエチレンジオキシであり得る、前記方法。
【請求項35】
前記式(III)の化合物が3−(2−シアノフェニル)−5−(2−ピリジル)−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、その薬学的に許容可能な塩、その水和物、またはその薬学的に許容可能な塩の水和物である請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記式(III)の化合物が30μg〜10グラムの量で存在する請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
前記式(VI)の化合物がドネペジルまたはその薬学的に許容可能な塩である請求項34に記載の組成物。
【請求項38】
前記式(VI)の化合物が1mg〜50mgの量で存在する請求項34に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−537552(P2008−537552A)
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505418(P2008−505418)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/012285
【国際公開番号】WO2006/107860
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】