説明

ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤

式(I)
【化1】


(式中、各記号は明細書記載の通りである)の化合物の製造方法。また、ジペプチジルペプチダーゼを阻害するために用いられうる化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術の分野
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼを阻害するために使用できる化合物の製造方法に関する。また、本発明は更にジペプチジルペプチダーゼ阻害剤の製造において有用な中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
ジペプチジルペプチダーゼIV(IUBMB酵素命名法EC.3.4.14.5)は、多岐にわたる名称(DPP4、DP4、DAP−IV、FAPβ、アデノシンデアミナーゼ複合化タンパク質2、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、ジペプチジルアミノペプチダーゼIV;Xaa−Pro−ジペプチジルアミノペプチダーゼ;Gly−Proナフチルアミダーゼ;ポストプロリンジペプチジルアミノペプチダーゼIV;リンパ球抗原CD26;糖タンパクGP110;ジペプチジルペプチダーゼIV;グリシルプロリンアミノペプチダーゼ;グリシルプロリンアミノペプチダーゼ;X−プロリルジペプチジルアミノペプチダーゼ;pep X;白血球抗原CD26;グリシルプロリルジペプチジルアミノペプチダーゼ;ジペプチジル−ペプチドヒドロラーゼ;グリシルプロリルアミノペプチダーゼ;ジペプチジル−アミノペプチダーゼIV;DPP IV/CD26;アミノアシル−プロリルジペプチジルアミノペプチダーゼ;T細胞誘発分子Tp103;X−PDAを含む)として文献中に言及されている、タイプII膜タンパク質である。ジペプチジルペプチダーゼIVを、ここでは「DPP−IV」と呼ぶ。
【0003】
DPP−IVは、ポリペプチドおよびタンパク質のアミノ末端(N末端)から、Xaa−Pro−ジペプチドを除去する非古典的なセリンアミノジペプチダーゼである。X−GlyまたはX−Ser型のジペプチドの、DPP−IV依存性の緩慢な放出も、幾つかの天然産のペプチドについて報告されている。
【0004】
DPP−IVは、種々の異なる組織(腸、肝臓、肺、腎臓および胎盤)の上皮および内皮細胞上で、構成的に発現され、また体液中にも見出されている。DPP−IVはまた、循環するTリンパ球上でも発現されており、細胞表面抗原CD−26と同義であることが示された。DPP−IVは、多くの疾患状態に関連しており、その幾つかについて以下に議論する。
【0005】
DPP−IVは、インビボにおいて幾つかの内在性ペプチド(GLP−1(7−36)、グルカゴン)の代謝的な開裂の原因となり、またインビトロにて、他の様々なペプチド(GHRH、NPY、GLP−2、VIP)に対する、タンパク分解活性を持つことが立証されている。
【0006】
GLP−1(7−36)は、小腸内のプログルカゴンの翻訳後のプロセシングにより誘導される、29アミノ酸を持つペプチドである。GLP−1(7−36)は、インシュリン分泌の刺激、グルカゴン分泌の阻害、満腹感の増進および胃が空になるのを遅らせることを含む、インビボにおける多くの作用を持つ。その生理的なプロフィールに基づいて、GLP−1(7−36)の作用は、II型糖尿病や可能性としては肥満症の、予防および治療において有益であると考えられる。例えば、糖尿病患者への、GLP−1(7−36)の外因的な投与(連続的な注入)が、この種の患者集団にとって、有効であることが分かっている。不幸なことに、GLP−1(7−36)は、インビボで迅速に崩壊し、インビボでは短い半減期(t1/2=1.5分)を持つことが明らかにされている。
【0007】
遺伝的に繁殖させたDPP−IVノックアウトマウスに関する研究および選択的DPP−IV阻害剤を用いたインビボ/インビトロ研究に基づいて、DPP−IVは、インビボにおけるGLP−1(7−36)の主な分解酵素であることが判明した。GLP−1(7−36)はDPP−IVによって効率的にGLP−1(9−36)に分解され、これはGLP−1(7−36)に対する生理的なアンタゴニストとして作用するものと推測されている。従って、インビボでのDPP−IVの阻害はGLP−1(7−36)の内因性のレベルを増大させ、かつそのアンタゴニストであるGLP−1(9−36)の形成を減じるために有用であると考えられている。かくして、DPP−IV阻害剤は、DPP−IVによって媒介される諸疾患、特に糖尿病、より具体的にはII型真性糖尿病、糖尿病性異脂肪血症、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常(impaired fasting plasma glucose;IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲調節および肥満症の予防、進行の遅延および/または治療用の有用な薬剤であると考えられる。
【0008】
DPP−IV発現は、マイトジェンまたは抗原で刺激された際に、T細胞内で増大する(Mattem,T.,et al.,Scand.J.Immunol.,1991,33,737)。DPP−IV阻害剤およびDPP−IVに対する抗体は、用量依存性の様式でマイトジェン刺激および抗原刺激T細胞の増殖を抑制する(Schon,E.,et al.,Biol.Chem.,1991,372,305)。サイトカイン生産、IL−2媒介細胞増殖およびB細胞ヘルパー活性といったTリンパ球の様々な他の機能が、DPP−IV活性依存性であることが明らかにされた(Schon,E.,et al.,Scand.J.Immunol.,1989,29,127)。ボロプロリンに基づくDPP−IV阻害剤(Flentke,G.R.,et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,1991,88,1556)は、不安定であるが、マウスCD4+Tヘルパー細胞における、抗原誘発性リンパ球増殖およびIL−2生産の阻害において有効であった。このようなボロン酸(boronic acid)阻害剤は、免疫攻撃により誘発された抗体生産を抑制させることについて、マウスのインビボで生じる効果を持つことが明らかにされた(Kubota,T.et al.,Clin.Exp.Immun.,1992,89,192)。DPP−IVの、Tリンパ球活性化の調節における役割は、一部にはその細胞表面と膜貫通ホスファターゼCD45との結合によるものとすることもできる。DPP−IV阻害剤または非活性サイトリガンドは、CD45−DPP−IV結合を破壊する可能性がある。CD45は、T細胞シグナル伝達装置の重要な要素であることが知られている。DPP−IVが、CD4+T細胞における、HIV−1およびHIV−2ウイルスの侵入および感染に必須であることが報告された(Wakselman,M.,Nguyen,C.,Mazaleyrat,J.−P.,Callebaut,C.,Krust,B.,Hovanessian,A.G.,Inhibition of HIV−1 infection of CD26+ but not CD26−cells by a potent cyclopeptidic inhibitor of the DPP−IV activity of CD 26. Abstract P.44 of the 24.sup.th European Peptide Symposium 1996)。さらに、DPP−IVは、T細胞表面上の酵素アデノシンデアミナーゼ(ADA)と結合することが明らかにされた(Kameoka,J.,et al.,Science,193,26466)。ADAの欠損は、ヒトにおいて重症複合免疫不全症(SCID)を生じる。このADA−CD26相互作用は、SCIDの病態生理学に関する手がかりを与える可能性がある。従って、DPP−IVの阻害剤は、とりわけ臓器移植拒絶反応;例えば炎症性腸疾患、多発性硬化症および慢性関節リウマチといった自己免疫疾患の治療;およびAIDSの治療の、有用な免疫抑制剤(またはサイトカイン放出抑制薬剤)であり得る。
【0009】
肺の内皮細胞のDPP−IVが、肺転移したラット乳癌および前立腺癌細胞に対する接着分子であることが明らかにされた(Johnson,R.C.,et al.,J.Cell.Biol.,1993,121,1423)。DPP−IVは、フィブロネクチンと結合することが知られており、また幾つかの転移性腫瘍細胞が、その表面に大量のフィブロネクチンを持っていることが知られている。強力なDPP−IV阻害剤は、例えば乳房腫瘍および前立腺腫瘍の肺への転移を防止する薬剤として有用である可能性がある。
【0010】
また、高レベルのDPP−IV発現が、乾癬、慢性関節リウマチ(RA)および扁平苔癬に罹患した患者由来の、ヒト皮膚繊維芽細胞にも見出されている(Raynaud,F.,et al.,J.Cell.Physiol.,1992,151,378)。従って、DPP−IV阻害剤は、乾癬および扁平苔癬といった皮膚疾患を治療するための薬剤として有用であり得る。
【0011】
高いDPP−IV活性が、良性の前立腺肥大を有する患者由来の組織ホモジネートおよびプロスタトソーム(prostatosomes)中に見出されている。これらは、精子の前進運動の増進に重要な、前立腺由来の細胞小器官である(Vanhoof,G.,et al.,Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem.,1992,30,333)。DPP−IV阻害剤はまた、精子の運動を抑制する作用を持つ可能性があり、従って男性用の避妊薬として作用する。逆に、新規なものとして、DPP−IV阻害剤は、不妊症、特に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS、ステイン−レベンタル(Stein−Leventhal)症候群)によるヒト女性の不妊症の治療に関連付けられている。該症候群は、卵巣嚢の厚みの増大および多数の卵胞嚢胞の形成によって特徴付けられる状態である。これは、不妊症および無月経をもたらす。
【0012】
DPP−IVは、種々のサイトカイン(造血細胞刺激)、増殖因子および神経ペプチドの開裂において、役割を演じているものと考えられている。
【0013】
刺激された造血細胞は、インビボでの、造血細胞またはその前駆細胞の数の減少によって特徴付けられる疾患の治療にとって有用である。このような状態は、例えば癌の化学療法および/または放射線療法の結果として、免疫抑制された患者においてしばしば起こる。IV型ジペプチジルペプチダーゼの阻害剤が、外因的に添加されたサイトカインまたは他の増殖因子がない状態での造血細胞、あるいは間質細胞の増殖および分化の刺激に有用であることが分かった。この発見は、造血細胞刺激の分野における定説に矛盾する。このことは、サイトカインまたはサイトカインを生産する細胞(間質細胞)の添加が、培養中の造血細胞の増殖ならびに分化を維持および刺激するための、必須の要素であることを示す(例えば、WO94/03055として公開された、PCT国際出願番号PCT/US93/017173を参照のこと)。
【0014】
ヒト血漿におけるDPP−IVは、成長ホルモン放出因子からN−末端のTyr−Alaを開裂し、このホルモンの不活化を生じることが明らかにされた。従って、DPP−IV阻害剤は、成長ホルモンの欠乏に起因する身長不足(小人症)の治療において、またGH依存性組織成長または再成長の促進のために有用であり得る。
【0015】
DPP−IVはまた、神経ペプチドを開裂することもでき、また神経活性(neuroactive)ペプチドであるサブスタンスP、神経ペプチドYおよびCLIPの活性を調節することが分かっている(Mentlein,R.,Dahms,P.,Grandt,D.,Kruger,R.,Proteolytic processing of neuropeptide Y and peptide YY by dipeptidyl peptidase IV,Regul.Pept.,49,133,1993;Wetzel,W.,Wagner,T.,Vogel,D.,Demuth,H.−U.,Balschun,D.,Effects of the CLIP fragment ACTH 20−24 on the duration of REM sleep episodes,Neuropeptides,31,41,1997)。従って、DPP−IV阻害剤はまた、神経学的な疾患の、調節または正常化に有用な薬剤であり得る。
【0016】
幾つかの化合物がDPP−IVを阻害することが示されている。それにも拘らず、有利な力価、安定性、選択性、毒性および/または薬力学的な諸特性を持つ、新規なDPP−IV阻害剤に対する需要が、依然として存在する。これに関し、新規なクラスのDPP−IV阻害剤を製造するために使用することができる合成方法を、ここに提供する。
【発明の開示】
【0017】
本発明は、化合物の製造方法に関する。1つの方法の使用は、DPP−IVを阻害する活性を持つ化合物の製造のためである。これらの化合物がまた、他のS9プロテアーゼを阻害する活性をも持ち、結果としてDPP−IVだけでなく、これらの他のS9プロテアーゼに対しても使用できることに注意すべきである。
【0018】
具体的な立体化学が特定されていなくても、化合物の列挙は、該化合物が個々の異性体または異性体の混合物として存在するか否かとは無関係に、あらゆる可能な立体異性体(例えば、キラル中心の数に依存して、エナンチオマーまたはジアステレオマー)を包含することを意図するものであることにも注意すべきである。さらに、他に示されない限り、化合物の列挙は、あらゆる可能な共鳴型および互変異性体を包含することを意図する。特許請求の範囲に関連して、用語「式を含む化合物」とは、特定の請求項において他のように特に特定しない限り、該化合物、ならびにあらゆる医薬的に許容されるイオン化型および溶媒和物、あらゆる可能な立体異性体およびあらゆる可能な共鳴型および互変異性体を包含することを意図するものである。
【0019】
定義
他に示されない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用する以下の用語は、本願の趣旨のために以下の意味を有する。
【0020】
「脂環式」とは、非芳香族環構造を含む部分を意味する。脂環式部分は飽和または1、2もしくはそれ以上の二重もしくは三重結合を持つ部分的に不飽和の部分であり得る。脂環式部分はまた、場合によっては、窒素、酸素および硫黄といったヘテロ原子を含み得る。窒素原子は、場合によっては、四級化されていても酸化されていてもよく、硫黄原子は、場合によっては、酸化されていてもよい。脂環式部分の例としては、シクロプロピル、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテンおよびシクオロオクタジエンといったC−C環を有する部分が挙げられるが、それらに制限されない。
【0021】
「脂肪族」は、構成炭素原子の直鎖または分岐鎖配列によって特徴付けられる部分を意味し、飽和であるか、部分的に1、2もしくはそれ以上の二重もしくは三重結合で不飽和であり得る。
【0022】
「アルケニル」それ自体は、隣接炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を持つ炭素原子鎖を有する、直鎖または分岐鎖の、不飽和脂肪族基を意味する。XおよびYが鎖内の炭素原子数を示す、CアルケニルおよびCX−Yアルケニルが典型的に使用される。例えば、C2−6アルケニルとしては、炭素原子数2〜6の鎖を持つアルケニルが挙げられる。
【0023】
「アルコキシ」とは、更なるアルキル置換基を持つ酸素部分を意味する。本発明のアルコキシ基は、場合により置換されていてもよい。
【0024】
「アルキル」それ自体は、炭素原子鎖を有し、場合により該炭素原子間に酸素原子(「オキサアルキル(oxaalkyl)」を参照)または窒素原子(「アミノアルキル」を参照)を持つ直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の脂肪族基を意味する。XおよびYが鎖内の炭素原子数を示すCアルキルおよびCX−Yアルキルが、典型的に使用される。例えば、C1−6アルキルとしては、炭素原子数1〜6の鎖を持つアルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチルアリル、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル等)が挙げられる。他の基と共に示されるアルキル(例、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルにおけるアルキル)とは、指定された原子数を持つ直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の二価の脂肪族基を意味するか、あるいは如何なる原子も示されていない場合には結合を意味する(例、(C6−10)アリール(C1−3)アルキルとしては、ベンジル、フェネチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、2−チエニルメチル、2−ピリジニルメチル等が挙げられる)。
【0025】
他に示されない限り、「アルキレン」とは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の二価の脂肪族基を意味する。XおよびYが鎖内の炭素原子数を示すCアルキレンおよびCX−Yアルキレンが、典型的に使用される。例えば、C1−6アルキレンとしては、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、トリメチレン(−CHCHCH−)、テトラメチレン(−CHCHCHCH−)、2−ブテニレン(−CHCH=CHCH−)、2−メチルテトラメチレン(−CHCH(CH)CHCH−)、ペンタメチレン(−CHCHCHCHCH−)等)が挙げられる。
【0026】
「アルキリデン」とは、二重結合により親分子に結合した、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の脂肪族基を意味する。XおよびYが鎖内の炭素原子数を示すCアルキリデンおよびCX−Yアルキリデンが、典型的に使用される。例えば、C1−6アルキリデンとしては、メチレン(=CH)、エチリデン(=CHCH)、イソプロピリデン(=C(CH)、プロピリデン(=CHCHCH)、アリリデン(=CH−CH=CH)等)が挙げられる。
【0027】
「アルキニル」それ自体は、隣接炭素原子間に少なくとも1つの三重結合を持つ炭素原子鎖を持つ、直鎖または分岐鎖の不飽和脂肪族基を意味する。XおよびYが鎖内の炭素原子数を示すCアルキニルおよびCX−Yアルキニルが、典型的に使用される。例えば、C2−6アルキニルとしては、炭素原子数2〜6の鎖を持つアルキニルが挙げられる。
【0028】
「アミノ」とは、2つのさらなる置換基を有する窒素部分を意味し、水素または炭素原子が窒素に結合する。例えば、代表的なアミノ基としては、−NH、−NHCH、−N(CH、−NHC1−3−アルキル、−N(C1−3−アルキル)等が挙げられる。他に示されない限り、アミノ部分を含む本発明の化合物は、その保護された誘導体を含んでいてもよい。アミノ部分に対する適当な保護基としては、アセチル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0029】
「アミノアルキル」とは、1個以上の置換または無置換の窒素原子(−N−)が、アルキルの炭素原子間に位置する場合を除いて、上で定義したアルキルを意味する。例えば(C2−6)アミノアルキルとは、2〜6個の炭素原子と、該炭素原子間に位置する1個以上の窒素原子とを含む鎖のことをいう。
【0030】
「動物」としては、ヒト、非ヒト哺乳動物(例、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シカ等)および非哺乳動物(例、鳥類など)が挙げられる。
【0031】
「芳香族」とは、構成原子が不飽和の環系を形成し、該環系における全原子がsp混成であり、かつ全π電子数が4n+2に等しい部分を意味する。芳香族環は、該環原子が炭素原子のみであるものであり得るか、または炭素原子と炭素以外の原子とを含むことも可能である(ヘテロアリールを参照)。
【0032】
「アリール」とは、単環式または多環式環構造を意味し、各環が芳香族であるか、または1以上の環と縮合している場合には、芳香族環構造を形成する。1以上の環原子が、炭素でない(例、N、S)場合、該アリールはヘテロアリールである。XおよびYが環内の原子数を示すCアリールおよびCX−Yアリールが、典型的に使用される。例えば、アリールはフェニルを含む。
【0033】
「ビシクロアルキル」とは、飽和または部分的に不飽和の、縮合した二環式または橋架けされた多環式環構造を意味する。
【0034】
「ビシクロアリール」とは、二環式環構造を意味し、ここで環は単結合により結合されているか、あるいは縮合されており、また該構造を構成する少なくとも1つの環は、芳香族である。XおよびYが、二環式環構造内の該環に直接結合している炭素原子数を示す、CビシクロアリールおよびCX−Yビシクロアリールが、典型的に使用される。
【0035】
本明細書で使用する「架橋環」とは、他の環と結合して、二環式構造を持つ化合物を形成する環を意味し、二環式構造において、両環に共通する2つの環原子は、相互に直接結合されることはない。架橋環を有する一般的な化合物の非限定的な例としては、ボルネオール、ノルボルナン、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。また、この二環式の系の一方または両方の環は、ヘテロ原子を含むこともできる。
【0036】
「カルバモイル」とは、基−OC(O)NRを意味し、式中、RおよびRはそれぞれ独立に2つの更なる置換基であり、水素または炭素原子が窒素に結合する。
「炭素環」とは、炭素原子からなる環を意味する。
「炭素環ケトン誘導体」とは、環が−CO−部分を含む炭素環誘導体を意味する。
「カルボニル」とは、基−CO−を意味する。カルボニル基は、酸、酸ハライド、アルデヒド、アミド、エステルおよびケトンを含む様々なカルボニル基を形成するために、様々な置換基でさらに置換されていてもよいことに注意すべきである。
「カルボキシ」とは、基−CO−を意味する。カルボキシ部分を含む本発明の化合物は、その保護された誘導体、即ちその酸素が保護基で置換された誘導体を含み得ることに注意すべきである。カルボキシ部分に対する適当な保護基としては、ベンジル、tert−ブチル等が挙げられる。
【0037】
「シアノ」とは、基−CNを意味する。
「シクロアルキル」とは、芳香族でない、飽和または部分的に不飽和の、単環式、縮合二環式または橋架多環式環構造を意味する。XおよびYが環構造内の炭素原子数を示す、CシクロアルキルおよびCX−Yシクロアルキルが、典型的に使用される。例えば、C3−10シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンタン−1−イル、デカヒドロナフチル、オキソシクロヘキシル、ジオキソシクロヘキシル、チオシクロヘキシル、2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イル等が挙げられる。
「シクロアルキレン」とは、二価の飽和または部分的に不飽和の単環式または多環式環構造を意味する。XおよびYが、環構造内の炭素原子数を示す、CシクロアルキレンおよびCX−Yシクロアルキレンが、典型的に使用される。
【0038】
本明細書中で使用する「縮合環」は、他の環と結合して、二環式構造を持つ化合物を形成する環を表し、ここで、これら両環に共通の環原子は、相互に直接結合している。一般的な縮合環の非限定的な例としては、デカリン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インドール、フラン、ベンゾフラン、キノリン等が挙げられる。縮合環系を持つ化合物は、飽和、部分的飽和、炭素環、ヘテロ環、芳香族、ヘテロ芳香環等であり得る。
【0039】
「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
独立した基またはより大きな基の一部としての「ハロ置換アルキル」は、本願においてこのような用語を定義する場合、1以上の「ハロ」原子で置換された「アルキル」を意味する。ハロ置換アルキルとしては、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、パーハロアルキル等(例、ハロ置換(C1−3)アルキルとしては、クロロメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジクロロエチル等が挙げられる)が挙げられる。
【0040】
「ヘテロ原子」は、炭素原子以外の原子を表す。ヘテロ原子の特定の例としては、窒素、酸素および硫黄が挙げられるが、これらに制限されない。
「ヘテロ原子部分」とは、該部分が結合している原子が炭素ではない部分を含む。ヘテロ原子部分の例としては、−N=、−NR−、−N(O)=、−O−、−S−または−S(O)−が挙げられ、式中Rは更なる置換基である。
【0041】
「ヘテロビシクロアルキル」とは、本願において定義したようなビシクロアルキルを意味し、ただし該環内の1以上の原子はヘテロ原子である。例えば、本願において使用するヘテロ(C9−12)ビシクロアルキルとしては、3−アザ−ビシクロ[4.1.0]ヘプチ−3−イル、2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキシ−2−イル、3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキシ−3−イル等が挙げられるが、これらに制限されない。
「ヘテロシクロアルキレン」とは、本願において定義したようなシクロアルキレンを意味し、ただし1個以上の環員炭素原子はヘテロ原子で置換されている。
【0042】
「ヘテロアリール」とは、5または6個の環原子を有し、該環原子の少なくとも1つがヘテロ原子であり、かつその残りの環原子が炭素である環式芳香族基を意味する。その窒素原子は、場合により四級化されていてもよく、またその硫黄原子は場合により酸化されていてもよい。本発明のヘテロアリール基としては、フラン、イミダゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、オキサゾール、1,2,3−オキサジアゾール、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロリン、チアゾール、1,3,4−チアジアゾール、トリアゾールおよびテトラゾールから誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。「ヘテロアリール」としてはまた、二環式または三環式環であって、ヘテロアリール環が、アリール環、シクロアルキル環、シクロアルケニル環および他の単環式ヘテロアリール環またはへテロシクロアルキル環からなる群から独立して選択される1または2個の環に縮合した環が挙げられるが、これらに限定されない。これら二環式または三環式ヘテロアリールとしては、ベンゾ[b]フラン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンズイミダゾール、イミダゾ[4,5−c]ピリジン、キナゾリン、チエノ[2,3−c]ピリジン、チエノ[3,2−b]ピリジン、チエノ[2,3−b]ピリジン、インドリジン、イミダゾ[1,2a]ピリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキサリン、ナフチリジン、キノリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、インドリン、ベンゾキサゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾ[1,5−a]ピリジン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、イミダゾ[1,2−c]ピリミジン、イミダゾ[1,5−a]ピリミジン、イミダゾ[1,5−c]ピリミジン、ピロロ[2,3−b]ピリジン、ピロロ[2,3−c]ピリジン、ピロロ[3,2−c]ピリジン、ピロロ[3,2−b]ピリジン、ピロロ[2,3−d]ピリミジン、ピロロ[3,2−d]ピリミジン、ピロロ[2,3−b]ピラジン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、ピロロ[1,2−b]ピリダジン、ピロロ[1,2−c]ピリミジン、ピロロ[1,2−a]ピリミジン、ピロロ[1,2−a]ピラジン、トリアゾ[1,5−a]ピリジン、プテリジン、プリン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェノチアゼン、フェノキサジン、1,2−ジヒドロピロロ[3,2,1−hi]インドール、インドリジン、ピリド[1,2−a]インドールおよび2(1H)−ピリジノンに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。二環式または三環式ヘテロアリール環は、該ヘテロアリール基自体を介して、あるいは、ヘテロアリール基が縮合される、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはへテロシクロアルキル基を介して、親分子に結合することができる。本発明のヘテロアリール基は、置換または無置換であってもよい。
【0043】
「ヘテロビシクロアリール」とは、本願において定義したようなビシクロアリールを意味し、ただし環内の1以上の原子は、ヘテロ原子である。例えば本願において使用するヘテロ(C4−10)ビシクロアリールとしては、2−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロプテリジン−6−イル、テトラヒドロイソキノリニルなどが挙げられるが、これらに制限されない。
【0044】
「ヘテロシクロアルキル」とは、本願において定義したようなシクロアルキルを意味し、ただし環を形成する1個以上の原子は、独立にN、OまたはSから選択されるヘテロ原子である。ヘテロシクロアルキルの非限定的な例としては、ピペリジル、4−モルホリル、4−ピペラジニル、ピロリジニル、パーヒドロピロリジニル、1,4−ジアザパーヒドロエピニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル等が挙げられる。
【0045】
「ヒドロキシ」は、基−OHを意味する。
【0046】
「イミノケトン誘導体」は、部分−C(NR)−を含む誘導体を意味し、式中、Rは、窒素に結合した水素または炭素原子を含む。
【0047】
「異性体」とは、同一の分子式を有するが、その原子の性質または結合順序が異なるか、あるいはその原子の空間配置が異なる化合物全てを意味する。原子の空間配置が異なる異性体は「立体異性体」と呼ばれる。互いに鏡像でない立体異性体は「ジアステレオマー」と呼ばれ、重ね合わせが不可能な鏡像である立体異性体は「エナンチオマー」と呼ばれ、「光学異性体」と呼ばれる場合もある。4つの非同一置換基が結合した炭素原子は「キラル中心」と呼ばれる。1個のキラル中心を有する化合物は、反対のキラリティーを有する2つのエナンチオマー形態を有する。2つのエナンチオマー形態の混合物は「ラセミ混合物」という。1個よりも多くのキラル中心を持つ化合物は、2n−1個のエナンチオマー対を有する(式中、nは、キラル中心の数である)。1個よりも多くのキラル中心を持つ化合物は、個々のジアステレオマーとして、あるいは、ジアステレオマーの混合物(「ジアステレオマー混合物」と呼ばれる)として存在してもよい。キラル中心が1個存在する場合、立体異性体は、該キラル中心の絶対配置により特徴付けることができる。絶対配置とは、キラル中心に結合した置換基の空間配置をいう。エナンチオマーは、そのキラル中心の絶対配置により特徴付けられ、Cahn、IngoldおよびPrelogのR−およびS−配列則(the R− and S−sequencing rules of Cahn, Ingold and Prelog)によって示される。立体化学命名法に関する規定、立体化学の決定に関する方法および立体異性体の分離法は、当該分野で周知である(例、“Advanced Organic Chemistry”,4th edition,March,Jerry,John Wiley&Sons,New York,1992を参照のこと)。
【0048】
「脱離基」とは、化学反応の間に例えば求核攻撃によって他の部分と置換できる部分を意味する。脱離基は当該分野でよく知られており、例えば、ハロゲンおよびOSOR’が挙げられ、式中R’としては、例えばハロ、アルキル、アルコキシ、アミノ等によって置換されていてもよいアルキル、ハロアルキルまたはアリールが挙げられる。脱離基の非限定的な例としては、クロロ、ブロモ、ヨード、メシラート、トシラートおよび他の同様の基が挙げられる。
【0049】
「ニトロ」とは、基−NOを意味する。
【0050】
「オキサアルキル」とは、1個以上の酸素原子(−O−)が、該アルキルの炭素原子間に位置するものを除いた、上で定義したようなアルキルを意味する。例えば、(C2−6)オキサアルキルは、2〜6個の炭素原子と、該炭素原子間に位置する1以上の酸素原子とを含む鎖を意味する。
「オキソアルキル」とは、さらにカルボニル基で置換されたアルキルを意味する。該カルボニル基は、アルデヒド、ケトン、エステル、アミド、酸または酸クロリドであり得る。
【0051】
「医薬的に許容される」とは、医薬組成物の製造に有用であることを意味し、この医薬組成物は、一般に安全で、無毒性であり、そして、生物学的にもそれ以外にも望ましく、なおかつ獣医学的用途と同様にヒトの医薬的用途のために許容される組成物を包含する。
【0052】
「医薬的に許容される塩」とは、上で定義したように、医薬的に許容され、かつ所望の薬理的活性を有する本発明の阻害剤の塩を意味する。このような塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等といった無機酸;または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、琥珀酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、o−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等といった有機酸と形成された酸付加塩類が挙げられる。
【0053】
医薬的に許容される塩としてはまた、存在する酸性プロトンが無機または有機塩基と反応できる場合に形成され得る、塩基付加塩が挙げられる。許容される無機塩基としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムが挙げられる。許容される有機塩基としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等が挙げられる。
【0054】
「プロドラッグ」とは、インビボにおいて代謝的に本発明の阻害剤に変換できる化合物を意味する。プロドラッグ自体は、DPP−IV阻害活性を有していても、有していなくてもよい。例えば、ヒドロキシ基を含む阻害剤は、インビボでの加水分解によってヒドロキシ化合物に変換されるエステルとして投与されうる。インビボでヒドロキシ化合物に変換されうる適当なエステルとしては、アセテート、シトレート、ラクテート、タータレート、マロネート、オキサレート、サリチレート、プロピオネート、サクシネート、フマレート、マレエート、メチレン−ビス−b−ヒドロキシナフトエート、ゲンチジン酸エステル、イセチオン酸エステル、ジ−p−トルオイルタータレート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、シクロヘキシルスルファメート、キニン酸エステル、アミノ酸のエステル等が挙げられる。同様に、アミン基を含む阻害剤は、インビボでの加水分解によってアミン化合物に変換されるアミドとして投与することができる。
【0055】
「保護された誘導体」とは、反応性部位(単数または複数)が保護基でブロックされた阻害剤の誘導体を意味する。保護された誘導体は、阻害剤の製造において有用であるか、またはそれ自体が阻害剤として活性であってもよい。適当な保護基の包括的なリストは、T.W.Greene,Protecting Groups in Organic Synthesis,3rd edition,John Wiley&Sons,Inc.1999に見受けられ得る。
【0056】
「反応」とは、化学的変化または化学的変換を生じさせるために、2個以上の反応物を互いに接触させる1または複数の化学工程を意味する。「反応」は、混合、攪拌、超音波等を含む、直接的または間接的に反応物を接触させる、当該分野において使用される多様な方法を包含するが、これらに制限されない。
【0057】
「置換または無置換」とは、所定の部分が、利用可能な原子価にわたって水素置換基のみから構成されていてもよいこと(無置換)、あるいは、所定の部分の名称によって他のようには特定されていない、利用可能な原子価にわたって1以上の非水素置換基をさらに含んでいてもよいこと(置換)を意味する。例えば、イソプロピルは、−CHによって置換されたエチレン部分の例である。一般に、非水素置換基は、置換されることが明記された所定部分の1原子に結合され得る任意の置換基であってもよい。置換基の例としては、アルデヒド、脂環式、脂肪族、アルキル、アルキレン、アルキリデン、アミド、アミノ、アミノアルキル、芳香族、アリール、ビシクロアルキル、ビシクロアリール、カルバモイル、炭素環、カルボキシル、カルボニル基、シアノ、シクロアルキル、シクロアルキレン、エステル、ハロ、ヘテロビシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアリール、ヘテロビシクロアリール、ヘテロシクロアルキル、オキソ、ヒドロキシ、イミノケトン、ケトン、ニトロ、オキサアルキルおよびオキソアルキル部分が挙げられるが、これらに限定されない。それぞれはまた、場合によって置換または無置換であってもよい。
【0058】
「スルフィニル」とは、基−SO−を意味する。スルフィン酸、スルフィンアミド、スルフィニルエステルおよびスルホキシドを含む様々なスルフィニル基を形成するために、当該スルフィニル基を、さらに種々の置換基で置換し得ることに注意すべきである。
「スルホニル」とは、基−SO−を意味する。スルホン酸、スルホンアミド、スルホン酸エステルおよびスルホンを含む様々なスルホニル基を形成するために、当該スルホニル基を、さらに種々の置換基で置換し得ることに注意すべきである。
【0059】
「チオカルボニル」とは、基−CS−を意味する。チオ酸、チオアミド、チオエステルおよびチオケトンを含む、様々なチオカルボニル基を形成するために、当該チオカルボニル基を、さらに種々の置換基で置換し得ることに注意すべきである。
【0060】
本明細書中に示す定義の全てに関して、これらの定義は、明記した置換基以外にさらなる置換基を含み得るという意味で、オープンエンドとして解釈されるべきであることに注意すべきである。従って、Cアルキルは、1個の炭素原子が存在し、炭素原子上の置換基が何であるかを示していないことを示す。従って、Cアルキルは、メチル(すなわち、−CH)と同様にRを含み、式中、R、RおよびRは、各々独立して、水素、または炭素に結合する原子がヘテロ原子である任意の他の置換基、またはシアノであってもよい。従って、例えば、CF、CHOHおよびCHCNは、全て、Cアルキルである。
【0061】
(発明の詳細な説明)
本発明は、化合物を製造する方法に関する。本発明では、ジペプチジルペプチダーゼIV(本明細書中、DPP−IVと記載)を阻害する化合物を製造するための方法の一つの使用を提供する。また、本発明の方法は、ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤の製造において有用な中間体の製造に使用可能である。
【0062】
1つの実施態様において、本発明は、式
【0063】
【化1】

【0064】
の化合物を、式
【0065】
【化2】

【0066】
の化合物と、式
【0067】
【化3】

【0068】
の反応生成物を形成する条件下で反応させる工程を含む、プロセスに関する。
式中、
は、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から選択され、
は、水素であるか、またはそれぞれ置換もしくは無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、
は、それぞれ置換もしくは無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルケニル、アルキニル、カルボニル基、シアノ、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、そして
は、脱離基である。
【0069】
他の実施態様では、本発明は、式
【0070】
【化4】

【0071】
の化合物を、式
【0072】
【化5】

【0073】
の化合物と、ジメチルスルホキシド中、KCOの存在下で、式
【0074】
【化6】

【0075】
の反応生成物を形成する条件下で反応させる工程を含む、プロセスに関する。
式中、
は、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から選択され、
は、水素であるか、またはそれぞれ置換もしくは無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、
は、それぞれ置換もしくは無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルケニル、アルキニル、カルボニル基、シアノ、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、そして
は、脱離基である。
【0076】
上記各実施態様の1つの変形において、反応工程は45℃と75℃との間の温度で行われる。上記各実施態様および変形の他の変形において、反応工程は少なくとも1時間行われる。
【0077】
さらに別の変形において、当該工程はまた、酢酸エチルを用いて反応生成物を抽出する工程を含む。さらなる別の変形において、当該工程は更に、反応生成物を精製する工程を含む。1つの特別な変形において、反応生成物は、カラムクロマトグラフィーによって精製される。
【0078】
上記各実施態様および変形の更なる変形において、Rは、脱離基であり、そして反応生成物を、式
【0079】
【化7】

【0080】
のピペリジンと、式
【0081】
【化8】

【0082】
の二次反応生成物を形成する条件下でさらに反応させる。
式中、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群から選択され、そして
各Rは、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から独立して選択される。
【0083】
さらに他の実施態様において、本発明は、水素化ナトリウムおよび臭化リチウムと、式
【0084】
【化9】

【0085】
の化合物との混合物を形成する工程、そして

【0086】
【化10】

【0087】
の化合物を該混合物に加える工程を含むプロセスであって、該プロセスが、式
【0088】
【化11】

【0089】
の反応生成物を形成する条件下で行われる、プロセスに関する。
式中、
は、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から選択され、
は、それぞれ置換もしくは無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルケニル、アルキニル、カルボニル基、シアノ、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、そして
は、脱離基である。
【0090】
1つの変形において、プロセスの少なくとも一部は、−5℃と5℃との間の温度で行われる。他の変形において、該反応生成物は、式
【0091】
【化12】

【0092】
の二次反応生成物を形成するために、式
【0093】
【化13】

【0094】
の化合物とさらに反応させる。
式中、
’は、置換または無置換の(C1−10)アルキルであり、
Xは、ハロゲン化物である。
【0095】
さらに他の変形において、Rは、脱離基であり、そして該二次反応生成物を、式
【0096】
【化14】

【0097】
のピペリジンと、式
【0098】
【化15】

【0099】
の化合物を形成する条件下で、さらに反応させる。
式中、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群から選択され;そして
各Rは、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から独立して選択される。
【0100】
さらなる実施態様において、本発明は、式
【0101】
【化16】

【0102】
の化合物を、式
【0103】
【化17】

【0104】
の化合物と、式
【0105】
【化18】

【0106】
の反応生成物を形成する条件下で反応させる工程を含む、プロセスに関する。
式中、
nは、0、1、2、3、4および5からなる群から選択され;
は、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から選択され;
は、水素であるか、またはそれぞれ置換もしくは無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され;
各Rは、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から独立して選択され;そして
は、脱離基である。
【0107】
1つの変形において、Rは、脱離基であり、そして該反応生成物を、式
【0108】
【化19】

【0109】
のピペリジンと、式
【0110】
【化20】

【0111】
の二次反応生成物を形成する条件下でさらに反応させる。
式中、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群から選択され、そして
各Rは、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から独立して選択される。
【0112】
他の実施態様において、本発明は、式
【0113】
【化21】

【0114】
の化合物を、式
【0115】
【化22】

【0116】
の化合物と、式
【0117】
【化23】

【0118】
の反応生成物を形成する条件下で反応させる工程を含む、プロセスに関する。
式中、
は、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から選択され、
は、水素であるか、またはそれぞれ置換もしくは無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、そして
は、脱離基である。
【0119】
1つの変形において、Rは、脱離基であり、該反応生成物を、式
【0120】
【化24】

【0121】
のピペリジンと、式
【0122】
【化25】

【0123】
の二次反応生成物を形成する条件下でさらに反応させる。
式中、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群から選択され;そして
各Rはそれぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から独立して選択される。
【0124】
さらなる他の実施態様において、本発明は、式
【0125】
【化26】

【0126】
の化合物を、式
【0127】
【化27】

【0128】
の化合物と、式
【0129】
【化28】

【0130】
の反応生成物を形成する条件下で反応させる工程を含む、プロセスに関する。
式中、
は、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から選択され、
は、水素であるか、またはそれぞれ置換もしくは無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、そして
は、脱離基である。
【0131】
1つの変形において、Rは、脱離基であり、そして該反応生成物は、式
【0132】
【化29】

【0133】
のピペリジンと、式
【0134】
【化30】

【0135】
の二次反応生成物を形成する条件下でさらに反応させる。
式中、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群から選択され、そして
各Rは、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から独立して選択される。
【0136】
上記各実施態様および変形の1つの変形において、Rは、脱離基である。1つの特別な変形において、Rは、ハロ(例、クロロ、ブロモおよびヨード)およびOSOR’(式中、R’は、アルキル、ハロアルキル、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはアミノによって置換されていてもよいアリールである)(例、メシラートおよびトシラート)からなる群から選択される。他の特別な変形において、Rは、ハロである。さらに他の特別な変形において、Rは、クロロである。
【0137】
上記各実施態様および変形の他の変形において、Rは、水素である。さらに他の変形において、Rは、置換または無置換のC1−6アルキルである。1つの特別な変形において、Rは、メチルである。
【0138】
上記各実施態様および変形のさらなる他の変形において、R’は、水素である。さらなる変形において、R’は、置換または無置換のC1−6アルキルである。1つの特別な変形において、R’は、メチルである。
【0139】
上記各実施態様および変形のさらなる変形において、Rは、置換または無置換のアリールまたはヘテロアリールである。他の変形において、Rは、置換または無置換のフェニルである。さらなる他の変形において、Rは、それぞれ置換または無置換の、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、CF、(C1−10)アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノ、チオ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択された1以上の置換基を有するフェニル置換基である。1つの特別な変形において、Rは、シアノフェニルであり、2−シアノフェニルであってもよい。他の特別な変形において、Rは、ハロシアノフェニルであり、2−シアノ−5−フルオロフェニルであってもよい。
【0140】
上記各実施態様および変形の他の変形において、各Rは、独立して、シアノまたはハロである。
【0141】
上記各実施態様および変形のさらなる他の変形において、少なくとも1つのRは、アミノである。
【0142】
他の実施態様において、本発明は、式
【0143】
【化31】

【0144】
の化合物を、式
【0145】
【化32】

【0146】
の化合物と、式
【0147】
【化33】

【0148】
の反応生成物を形成する条件下で反応させる工程;ならびに
該反応生成物を、式
【0149】
【化34】

【0150】
のピペリジンと、式
【0151】
【化35】

【0152】
の二次反応生成物を形成する条件下で反応させる工程:を含むプロセスに関する。
式中、
はハロであり、そして
は、脱離基である。
【0153】
さらに別の実施態様において、本発明は、式
【0154】
【化36】

【0155】
の化合物を、式
【0156】
【化37】

【0157】
の化合物と、式
【0158】
【化38】

【0159】
の反応生成物を形成する条件下で反応させる工程;ならびに、
該反応生成物を、式
【0160】
【化39】

【0161】
のピペリジンと、式
【0162】
【化40】

【0163】
の二次反応生成物を形成する条件下で反応させる工程を含む、プロセスに関し、
式中、
は、ハロであり、
は、脱離基である。
【0164】
上記各実施態様および変形の一つの変形において、Lは、ハロであり、またブロモであってもよい。
【0165】
一つの変形において、ピリミジンジオン生成物は、さらに酸付加塩に変換される。特定の変形において、酸付加塩は、酢酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、L−乳酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩(naphthylene−2−sulfonate)、プロピオン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、R−マンデル酸塩、およびL−酒石酸塩からなる群から選択される。
【0166】
上記各実施態様および変形のさらに別の変形において、ピリミジン−ジオンは、立体異性体の混合物として存在する。さらに別の変形において、ピリミジン−ジオンは、単一の立体異性体からなる。
【0167】
本明細書中に記載もしくは特許請求した、上記実施態様および任意のさらなる実施態様、変形または個々の化合物全てに関連して、このような実施態様、変形および/または個々の化合物全てが、具体的に他のように特定されない限り、単一の立体異性体かもしくは立体異性体の混合物の形態であるか否かとは無関係に、全ての医薬的に許容される塩の形態にあるものを包含するよう意図されることに注意すべきである。同様に、1以上の可能なキラル中心が、本明細書に特定もしくは特許請求した、あらゆる実施態様、変形および/または個々の化合物において存在する場合、これらの可能なキラル中心が、具体的に他のように特定しない限り、包含されることが意図される。
【0168】
DPP−IV阻害剤の塩、水和物およびプロドラッグ
医薬的な適用のために本発明により製造される化合物は、医薬的に許容され得る塩およびプロドラッグに変換されてもよいことを認識するべきである。
【0169】
本発明により製造される化合物が遊離塩基型を有する場合、遊離塩基型の該化合物を、医薬的に許容される無機酸または有機酸、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩といったハイドロハライド;他の無機酸およびその対応する塩、例えば硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等;およびアルキルスルホネートおよびモノアリールスルホネート、例えばエタンスルホネート、トルエンスルホネートおよびベンゼンスルホネート;および他の有機酸およびその対応する塩、例えば酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、琥珀酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩およびアスコルビン酸塩と反応させることにより、該化合物は、医薬的に許容される酸付加塩として調製できる。さらなる酸付加塩の例としては、アジペート、アルギネート(alginate)、アルジネート(arginate)、アスパルテート、ビスルフェート、ビスルフィット、ブロミド、ブチレート、樟脳酸塩、カンファースルホネート、カプリレート、クロライド、クロロベンゾエート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、リン酸二水素塩、ジニトロベンゾエート、ドデシル硫酸塩、フマレート、ガラクタル酸塩(galacterate)(粘液酸由来)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタノエート(glucoheptaoate)、グルコネート、グルタメート、グリセロリン酸塩、ヘミサクシネート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マロネート、マンデレート、メタリン酸塩、メタンスルホネート、メチルベンゾエート、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホネート、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレエート、パモエート(pamoate)、ペクチネート、パースルフェート、フェニルアセテート、3−フェニルプロピオネート、リン酸塩、ホスホン酸塩およびフタル酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、これらの遊離塩基型は、それらの各塩型とは極性溶媒に対する溶解度等の物性において幾分異なるが、この点を除けば、該塩は、それらの各遊離塩基型と同等であることを認識すべきである。
【0170】
本発明により製造される化合物が遊離酸型を有する場合、この遊離酸型の化合物を、医薬的に許容される無機塩基または有機塩基と反応させることにより、医薬的に許容される塩基付加塩を製造できる。このような塩基の例は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムといったアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムを含むアルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属アルコキシド、例えばカリウムエタノラートおよびナトリウムプロパノラート;および水酸化アンモニウム、ピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンといった様々な有機塩基である。また、本発明により製造される化合物のアルミニウム塩も含まれる。さらなる塩基塩の例としては:銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛の塩が挙げられるが、これらに限定されない。有機塩基塩の例としては、一級、二級および三級アミンの塩、天然産の置換アミンを含む置換アミンの塩、環状アミンの塩および塩基性イオン交換樹脂の塩、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リジン、メグルミン(meglumine)、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス−(ヒドロキシメチル)−メチルアミン(トロメタミン)の塩が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、これらの遊離酸型は、それらの各塩型とは極性溶媒に対する溶解度等の物性において幾分異なるが、この点を除けば、該塩はそれらの各遊離酸型と同等であることを認識すべきである。
【0171】
塩基性窒素含有基を含む化合物は、(C1−4)アルキルハライド、例えばメチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;ジ(C1−4)アルキル硫酸塩、例えばジメチル硫酸塩、ジエチル硫酸塩およびジアミル硫酸塩;(C10−18)アルキルハライド、例えばデシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物;ならびにアリール(C1−4)アルキルハライド、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルといった薬剤で四級化されうる。このような塩により、水溶性および油溶性化合物双方の製造が可能となる。
【0172】
化合物のN−オキシドは、当業者に公知の方法で製造できる。例えばN−オキシドは、適切な不活性有機溶媒(例えば、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素)中、約0℃で、酸化剤(例えば、トリフルオロ過酢酸、パーマレイン酸、過安息香酸、過酢酸、メタクロロパーオキシ安息香酸等)で、酸化されていない型の該化合物を処理することにより、製造できる。あるいはまた、該化合物のN−オキシドは、適当な出発物質のN−オキシドから製造できる。
【0173】
化合物のプロドラッグ誘導体は、置換基を変更することによって製造でき、これらは後にインビボにて異なる置換基に変換される。例えばプロドラッグは、化合物と、カルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルボノクロリデート、p−ニトロフェニルカーボネート等)またはアシル化剤とを反応させることにより製造できる。プロドラッグ製造方法の更なる例は、Saulnier et al.(1994),Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,Vol.4,p.1985に記載されている。
【0174】
化合物の保護された誘導体もまた製造できる。保護基の生成およびその脱離に適用できる技術の例は、T.W.Greene,Protecting Groups in Organic Synthesis,3rd edition,John Wiley & Sons,Inc.1999に見出すことができる。
【0175】
化合物はまた、溶媒和物(例えば、水和物)として、簡便に製造または形成し得る。化合物の水和物は、ジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールといった有機溶媒を用いて、水/有機溶媒混合物から再結晶化することにより簡便に製造できる。
【0176】
本明細書中で使用する「医薬的に許容される塩」とは、塩の状態で使用される本発明により製造される任意の化合物を包含し、特に該塩は、該化合物の遊離型または異なる塩型と比較して改善された薬物動態学的諸特性を該化合物に付与するものである。この医薬的に許容された塩型はまた、以前は有していなかった、望ましい薬物動態学的特性を、該化合物に初めに付与することも可能であり、そして該化合物の、身体内における治療活性に関連して該化合物の薬力学に正の影響を与える可能性さえもある。好ましい影響を与えうる薬物動態学的特性の例は、該化合物が細胞膜を横切って輸送される様式であり、これは結果的に該化合物の吸収、分配、生体内変換および排出に、直接的かつ正の影響を与える可能性がある。この医薬組成物の投与経路は重要であり、また様々な解剖学的、生理学的および病理学的因子が、バイオアベイラビリティーに多大な影響を与える可能性があるが、該化合物の溶解度は通常、使用されたその特定の塩型の特性に依存する。当業者は、この化合物の水溶液が治療される対象の身体内への該化合物の最も迅速な吸収をもたらし、一方で脂質溶液および懸濁液が、固体投与形態と同様に、該化合物のあまり迅速でない吸着をもたらすことを理解するであろう。
【0177】
DPP−IV阻害剤の使用のための指示
DPP−IVは、幾つかの異なる疾患の病理および/または症候に寄与しているものと考えられており、従って阻害により対象中のDPP−IV活性を低下することは、これらの疾患状態を治療するために使用することができる。DPP−IV阻害剤を用いて治療できる様々な疾患の例が本明細書に記載されている。種々の経路でDPP−IVが果たしている生物学的な役割がより十分に理解されるようになった際に、本明細書中に開示された以外の追加の疾患も後に同定されうることに注意すべきである。
【0178】
DPP−IV阻害剤が治療のために使用できる一連の指示は、糖尿病および肥満、特に2型真性糖尿病、糖尿病性異脂肪血症(dislipidemia)、耐糖能障害(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常(IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲調節および肥満症の予防および治療を含むものである。
【0179】
DPP−IV阻害剤は、とりわけ、臓器移植拒絶反応;例えば炎症性腸疾患、多発性硬化症および関節リウマチといった自己免疫疾患の治療;およびAIDSの治療のための免疫抑制剤(またはサイトカイン放出抑制薬剤)としてもまた使用することができる。
【0180】
DPP−IV阻害剤はまた、乳癌、肺癌および前立腺癌を含む種々の癌の治療のために使用することもできる。
【0181】
DPP−IV阻害剤はまた、乾癬、関節リウマチ(RA)および扁平苔癬といった皮膚疾患の治療に使用することもできる。
【0182】
DPP−IV阻害剤はまた、不妊症および無月経症の治療に用いることもできる。
【0183】
DPP−IV阻害剤はまた、様々なサイトカイン(造血細胞刺激)、増殖因子および神経ペプチドの開裂を調節するのに用いられ得る。例えばこのような状態は、例えば癌の化学療法および/または放射線療法の結果として、免疫抑制状態にある患者においてしばしば発生する。
【0184】
DPP−IV阻害剤はまた、成長ホルモン放出因子からのN末端Tyr−Alaの開裂を防止しまたは低下するのにも使用できる。従って、これらの阻害剤は、成長ホルモンの欠乏に起因する身長不足(小人症)の治療において、およびGH依存性組織成長または再成長の促進のために使用されうる。
【0185】
DPP−IV阻害剤はまた、神経ペプチドの開裂に関連する疾患状態を扱うのに用いることもでき、従ってこの阻害剤は、神経学的な疾患の調節または正常化に有用であり得る。
【0186】
腫瘍学的指示のために、DPP−IV阻害剤を、他の薬剤と組み合わせて使用して、望ましくない制御不能な細胞増殖を阻害しうる。本発明のDPP−IV阻害剤との組合せで利用できる他の抗細胞増殖剤の例としては、レチノイド酸(retinoid acid)およびその誘導体、2−メトキシエストラジオール、ANGIOSTATIN(商標)タンパク質、ENDOSTATIN(商標)タンパク質、スラミン、スクアラミン(squalamine)、メタロプロテイナーゼ−Iの組織阻害因子、メタロプロテイナーゼ−2の組織阻害因子、プラスミノーゲンアクチベータ阻害剤−1、プラスミノーゲンアクチベータ阻害剤−2、軟骨由来阻害剤、パクリタキセル、血小板因子4、硫酸プロタミン(クルペイン(clupeine))、硫酸化キチン誘導体(ズワイガニの殻から製造)、硫酸化多糖類ペプチドグリカン複合体(sp−pg)、スタウロスポリン、マトリックス代謝の調節剤(例えばプロリン類似体(l−アゼチジン−2−カルボン酸(LACA))、シスヒドロキシプロリン、d,l−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン、β−アミノプロピオニトリルフマレート、4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3H)−オキサゾロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2 マクログロブリン−血清、チンプ−3(chimp−3)、キモスタチン、β−シクロデキストリンテトラデカサルフェート、エポネマイシン(eponemycin);フマギリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、d−ペニシラミン(CDPT)、β−1−抗コラゲナーゼ−血清、α2−アンチプラスミン、ビスアントレン、ロベンザリット二ナトリウム、n−2−カルボキシフェニル−4−クロロアンスラニル酸二ナトリウムすなわち「CCA」、サリドマイド;血管新生抑制性(angostatic)ステロイド、カルボキシアミノイミダゾール;メタロプロテイナーゼ阻害剤、例えばBB94が挙げられる)が挙げられるが、これらに制限されない。使用可能なその他の抗血管新生剤としては、抗体、好ましくはこれらの血管新生増殖因子:bFGF、aFGF、FGF−5、VEGFアイソフォーム、VEGF−C、HGF/SFおよびAng−1/Ang−2に対するモノクローナル抗体が挙げられる。Ferrara N.and Alitalo,K.“Clinical application of angiogenic growth factors and their inhibitors”(1999)Nature Medicine 5:1359−1364。
【実施例】
【0187】
本明細書で使用する場合、これらのプロセス、スキームおよび実施例で用いられる記号および慣行は、現代の科学的文献、例えば、The Journal of the American Chemical SocietyまたはThe Journal of Biological Chemistryにおいて使用されているものと一致する。標準的な一文字または三文字略記法を一般に使用して、アミノ酸残基を示すが、このアミノ酸残基は特に示されない限り、L配置にあると推定される。特に示されない限り、全ての出発物質は市販品を入手し、さらに精製することなく使用した。具体的には、以下の略号を、実施例および本明細書全体において使用し得る:
【0188】
g(グラム);mg(ミリグラム);L(リットル);mL(ミリリットル);μL(マイクロリットル);psi(ポンド/平方インチ);M(モーラー);mM(ミリモーラー);i.v.(静脈内);Hz(ヘルツ);MHz(メガヘルツ);mol(モル);mmol(ミリモル);RT(周囲温度);min(分);h(時間);mp(融点);TLC(薄層クロマトグラフィー);Tr(保持時間);RP(逆相);MeOH(メタノール);i−PrOH(イソプロパノール);TEA(トリエチルアミン);TFA(トリフルオロ酢酸);TFAA(無水トリフルオロ酢酸);THF(テトラヒドロフラン);DMSO(ジメチルスルホキシド);EtOAc(酢酸エチル);DME(1,2−ジメトキシエタン);DCM(ジクロロメタン);DCE(ジクロロエタン);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);DMPU(N,N’−ジメチルプロピレン尿素);CDI(1,1−カルボニルジイミダゾール);IBCF(イソブチルクロロホルメート);HOAc(酢酸);HOSu(N−ヒドロキシサクシンイミノ);HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);EtO(ジエチルエーテル);EDCI(エチルカルボジイミノ塩酸塩);BOC(tert−ブチルオキシカルボニル);FMOC(9−フルオレニルメトキシカルボニル);DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミノ);CBZ(ベンジルオキシカルボニル);Ac(アセチル);atm(気圧);TMSE(2−(トリメチルシリル)エチル);TMS(トリメチルシリル);TIPS(トリイソプロピルシリル);TBS(t−ブチルジメチルシリル);DMAP(4−ジメチルアミノピリジン);Me(メチル);OMe(メトキシ);Et(エチル);Et(エチル);tBu(tert−ブチル);HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);BOP(ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド);TBAF(テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライド);mCPBA(メタクロロ過安息香酸)。
【0189】
エーテルまたはEtOに対する全ての言及は、ジエチルエーテルに対する言及であり、ブラインは、NaClの飽和水溶液を意味する。特に示されない限り、全ての温度を℃(セ氏温度)で表す。特に示されない限り、全ての反応は、室温で、不活性雰囲気下で行った。
【0190】
H NMRスペクトルは、Bruker Avance 400で記録した。化学シフトをパーツ・パー・ミリオン(ppm)で表示する。結合定数はヘルツ(Hz)単位である。スプリットパターンは、見かけ上の多重度を表し、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、m(マルチプレット)、br(ブロード)として表す。
【0191】
低分解能マススペクトル(MS)および化合物純度のデータは、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)源、UV検出器(220及び254nm)および蒸発光散乱検出器(ELSD)を備えたWaters ZQ LC/MSシングル四重極システムで得た。薄層クロマトグラフィーは、0.25mmのE.Merckシリカゲルプレート(60F−254)上で行い、UV光、5%エタノール性リンモリブデン酸、ニンヒドリンまたはp−アニスアルデヒド溶液で可視化した。フラッシュカラムクロマトグラフィーを、シリカゲル(230〜400メッシュ、Merck)上で行った。
【0192】
本発明により製造されるある化合物が、特定の立体化学を化合物に付与する他の原子と結合した原子(例えば、キラル中心)を有することは容易に認識されよう。本発明の化合物の合成は、異なる立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)の混合物の製造をもたらしうることを認識すべきである。具体的な立体化学が指定されていない限り、ある化合物の列挙は、異なる可能な全ての立体異性体を包含することを意図している。
【0193】
異なる立体異性体の混合物を分離する様々な方法が、当分野において知られている。例えばある化合物のラセミ混合物を、光学的に活性な分割剤(resolving agent)と反応させて、一対のジアステレオマー化合物を製造することができる。次いで、光学的に純粋なエナンチオマーを回収するために該ジアステレオマーを分離することができる。解離可能な錯体を利用して、エナンチオマーの分割を行うことも可能である(例えば、結晶性のジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは、十分に異なる物性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性等)を典型的に有しており、従ってこれらの非類似性を利用して、容易に分離することができる。例えばジアステレオマーは、クロマトグラフィーによって、または溶解度の違いに基づく分離/分割技術により典型的に分離できる。ラセミ混合物から化合物の立体異性体を分割するのに利用できる技術の、より詳細な説明は、Jean Jacques Andre Collet, Samuel H.Wilen,Enantiomers,Racemates and Resolutions,John Wiley & Sons,Inc.(1981)に見受けられ得る。
【0194】
本発明により製造される化合物はまた、該化合物のラセミ混合物を、光学的に活性な分割剤と反応させて一対のジアステレオマー化合物を形成し、該ジアステレオマーを分離し、そして光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、個々の立体異性体として製造できる。エナンチオマーの分割は、化合物の共有結合したジアステレオマー誘導体を用いて行うことが可能であるが、解離錯体が好ましい(例えば、結晶性のジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは、異なる物性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性等)を有しており、これらの非類似性を利用することで容易に分離することができる。該ジアステレオマーは、クロマトグラフィーによって、または好ましくは溶解度の違いに基づく分離/分割技術により分離できる。次いで、光学的に純粋なエナンチオマーを、ラセミ化を生じない任意の有用な手段で、分割剤と共に回収する。ラセミ混合物から化合物の立体異性体を分割するのに適用できる技術のより詳細な説明は、Jean Jacques Andre Collet,Samuel H.Wilen,Enantiomers,Racemates and Resolutions,John Wiley & Sons,Inc.(1981)に見受けられ得る。
【0195】
本発明の合成スキーム
【0196】
本発明による幾つかの例示的な反応スキームを以下の実施例中に提供する。これらの反応スキームは、DPP−IV阻害剤だけでなく、DPP−IV阻害剤の製造における中間体を製造するために使用され得る。
【0197】
以下に記載する反応において、反応性の官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基を保護して、これらが最終生成物において望ましい場合、該反応におけるその望外の関与を回避する必要がありうる。従来の保護基を、標準的な慣習に従って使用できる。例えばT.W. Greene and P.G.M.Wuts,in“Protective Groups in Organic Chemistry”John Wiley and Sons,1991を参照のこと。
【0198】
スキーム1
【0199】
【化41】

【0200】
化合物C
溶媒(例、DMSO、NMP、またはDMF)中、置換されていてもよい3,6−二置換ウラシル(A)、化合物B、および塩基(例、KCO、CsCO、またはジイソプロピルエチルアミン)の混合物を、50〜70℃の温度、任意には55〜65℃の温度で、少なくとも約1時間、任意には少なくとも約2時間、任意に攪拌する。反応を任意に冷却(例、20〜30℃)し、水で希釈し、有機溶媒(例、EtOAcまたはイソプロパノール)で任意に抽出する。有機物を(例えばMgSOまたはNaSO上で)乾燥し、溶媒を除去する。残渣をカラムクロマトグラフィーを含む当該技術分野で公知の種々の精製技術のいくつかを用いて任意に精製する。
【0201】
化合物E
化合物C、置換されていてもよいピペリジン(D)、および塩基(例、重炭酸ナトリウムまたはKCO)を、アルコール(例、MeOH、EtOH、またはイソプロパノール)とともに、80〜110℃の温度で、任意に90〜100℃の温度で、少なくとも約1時間、任意には少なくとも約2時間、(例えば、シールドチューブ中で)攪拌する。活性化モレキュラーシーブ(4A)とともに反応物を攪拌することにより、混合物を任意に乾燥する。反応物を(例えばセライトを通して)濾過し、減圧濃縮し、CHClまたはCHClで希釈し、次いで水で洗浄する。水相をCHClまたはCHClで抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、乾燥し(例、NaSO)、濾過する。TFAを加え、次いで溶液を減圧濃縮する。残渣を少量のアルコール(例、MeOH)に溶解し、EtOまたはヘキサンを加え、沈殿させる。次いで混合物を室温で一晩放置することができる。次いで溶媒をデカントし、固体をEtOで洗浄し、TFA塩を得る。
【0202】
あるいは、化合物Cを、水およびアルコール(例、イソプロパノール)中、55〜70℃の温度で、任意に60〜65℃の温度で、反応終了まで(例、少なくとも約12時間)、置換されていてもよいピペリジン二塩酸塩(D)と反応させることができる。混合物は、(例えば35〜50℃の温度に)任意に冷却する。無機塩を濾過により除去し、(例えば加熱したアルコールで)濾過ケーキを洗浄する。濾液は、任意に温度を20℃未満に維持しながら濃縮し、溶媒(例、THF)で希釈し、HClで酸性化してもよい。得られるスラリーを任意に冷却し、攪拌し、結晶を成長させる。スラリーを濾過し、濾過ケーキを任意に洗浄し、乾燥して、HCl塩を得る。
【0203】
HCl塩は、以下のように安息香酸塩に変換することができる。HCl塩を35〜50℃の温度で、任意に40〜45℃の温度で水に溶解し、(例えば酢酸イソプロピルで)洗浄し、二量体を除去する。混合物を任意に加熱し、(例えば固体炭酸カリウムの添加によって)水相から有機相へ遊離塩基化(free−based)する。相を分離し、有機相を任意に洗浄し、残留する塩を除去する。有機溶液を任意に濃縮し、2Bアルコールで処理し、再度任意に濃縮する。溶液を任意に濾過し、溶液の温度を60〜75℃に、任意に65〜70℃に、任意に維持しつつ安息香酸を添加する。次いで、(例えば−5〜10℃の温度に冷却し、攪拌することによって)溶液を結晶化する。溶液を濾過し、任意に洗浄し、任意に窒素下に調節し、乾燥し、安息香酸塩を得る。
【0204】
化合物A、B、およびDの置換基を変えることによって、本発明の方法を用いて、多種多様な化合物を合成することができる。例として、限定されないが、スキーム1a〜1eのような、スキーム1のいくつかの変形を以下に提供する。
【0205】
スキーム1a:
【0206】
【化42】

【0207】
スキーム1b:
【0208】
【化43】

【0209】
スキーム1c:
【0210】
【化44】

【0211】
スキーム1d:
【0212】
【化45】

【0213】
スキーム1e:
【0214】
【化46】

【0215】
スキーム2:
【0216】
【化47】

【0217】
化合物G
6−置換されていてもよいウラシル(F)のDMF−DMSO(6:1)混合溶液に、窒素雰囲気下、−5〜5℃の温度で、水素化ナトリウム(60%)を分けて加える。少なくとも約15分後に、任意には少なくとも約30分後に、臭化リチウムを加え、混合物を−5〜5℃の温度で、少なくとも約15分間攪拌する。化合物BのDMF溶液を添加する。次いで、混合物を、この温度で少なくとも約30分間、任意には少なくとも約1時間、攪拌し、その後室温で一晩攪拌する。アルキル化は、有機溶媒、または溶媒の混合物中、NaH、LiHなどといった塩基を使用することを含む、当該技術分野で公知の標準的な条件下で行われ得ることが理解されるだろう。溶媒としては、DMSO、THF、DMFなど、またはこれらの混合物が挙げられる。また、LiBr、LiI、NaI等といった添加物を使用してもよい。
【0218】
次いで、混合物を蒸発させ、真空中で水とともに共蒸発させ、溶媒の大部分を除去し、次いで、氷水に注ぐ。沈殿を濾取する。粗生成物を高温のAcOEt−CHCl中に懸濁し、超音波処理し、少なくとも約30分間、任意には少なくとも約1時間、−5〜5℃の温度に静置し、次いで濾過し、表題化合物を得る。精製は、水性溶媒/有機溶媒または溶媒の混合物による洗浄、再結晶、および/またはカラムクロマトグラフィーといった当該技術分野で公知の様々な方法を用いて行われ得ることを、当業者も理解するだろう。有機溶媒および溶媒混合物の非限定的の例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、THFなどが挙げられる。
【0219】
化合物C
窒素雰囲気下、1,6−二置換されていてもよいウラシル(G)のDMF−THF冷(−5〜5℃、任意に約0℃)溶液に、NaH(60%)を分けて加え、続いてLiBrを加える。混合物を−5〜5℃の温度で、任意に約0℃の温度で、少なくとも約10分間、任意には少なくとも20分間攪拌する。化合物Hを加え、フラスコを密封する。混合物をこの温度に、少なくとも約5分間、任意には少なくとも約10分間維持し;室温に、少なくとも約1時間、任意には少なくとも約2時間維持し;さらに25〜45℃、任意には30〜40℃の温度に、一晩維持する。次いで生成物を減圧濃縮することができる。アルキル化は、有機溶媒、または溶媒の混合物中、NaH、LiHなどといった塩基を使用することを含む、当該技術分野で公知の標準的な条件下で行われ得ることが理解されるだろう。溶媒としては、DMSO、THF、DMFなど、またはこれらの混合物が挙げられる。また、LiBr、LiI、NaI等といった添加物を使用してもよい。例えばアルキル化は、アセトン中のヨードメタンおよびKCOを用いて行うことができる。
【0220】
残渣を(例えばCHClに)溶解し、水およびブラインで洗浄し、乾燥し(例、NaSO)、濾過し、その後減圧濃縮する。粗生成物を例えばTHF−ヘキサンから結晶化し、表題化合物を得る。化合物Cが、様々な有機溶媒または溶媒の混合物で精製し得ることは、当業者によって理解されるだろう。例えば、化合物Cは、ジクロロメタンとヘプタンの混合物を加えることによって精製することができる。必要に応じて、化合物Cを、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、THF、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどといった有機溶媒または溶媒の混合物でさらに精製してもよい。一つの特定の実施態様において、生成物は酢酸エチルで精製および洗浄する。
【0221】
化合物E
化合物C、置換されていてもよいピペリジン(D)、および重炭酸ナトリウムまたはKCOをシールドチューブ中、アルコール(例、MeOHまたはEtOH)とともに80〜110℃の温度で、任意に90〜100℃の温度で、少なくとも約1時間、任意には少なくとも約2時間、攪拌する。活性化モレキュラーシーブ(4A)とともに反応物を攪拌することにより、混合物を任意に乾燥する。反応物を(例えばセライトを通して)濾過し、減圧濃縮し、CHClまたはCHClで希釈し、次いで水で洗浄する。水相をCHClまたはCHClで抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、乾燥し(例、NaSO)、濾過する。TFAを加え、次いで溶液を減圧濃縮する。残渣を少量のアルコール(例、MeOH)に溶解し、EtOまたはヘキサンを加え、沈殿させる。次いで混合物を室温で一晩放置することができる。次いで溶媒をデカントし、固体をEtOで洗浄し、TFA塩を得る。
【0222】
スキーム2は、スキーム1の方法の別の方法を提供することは理解される。具体的には、スキーム2は、1位でのアルキル化の後、化合物Cの3位での置換を可能にする。したがって、スキーム2は、スキーム1のRが水素または保護基である場合は常に、スキーム1により行うことができる。
【0223】
スキーム3
【0224】
【化48】

【0225】
化合物J
DMF中の、置換されていてもよい2−ハロトルエン(A)およびCuCNの混合液を還流し、任意には少なくとも24時間還流する。反応物を水で希釈し、有機溶媒(例、ヘキサン)で抽出する。有機物を(例えばMgSOまたはNaSOで)任意に乾燥し、溶媒を除去し、化合物Jを得る。
【0226】
化合物B4
置換されていてもよい2−メチルベンゾニトリル(J)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のCCl混合液を窒素雰囲気下で還流し、任意には少なくとも2時間還流する。反応を室温に冷却し、固体を濾過により除去する。該有機溶液を濃縮して化合物B4にすることができ、これはさらに精製せずに次の工程において使用することができる。あるいは、該粗生成物を、水性溶媒/有機溶媒または溶媒の混合物による洗浄、再結晶、および/またはカラムクロマトグラフィーといった当該技術分野で公知の種々の精製技術のいくつかを用いて精製することができる。
【0227】
化合物B4はまた、以下のように調製することもできる。DCE中の2−メチルベンゾニトリル(J)をAIBNで処理し、70〜80℃の温度に加熱する。DCE中のDBHを加え、(例えば30分よりも長い時間)混合物を攪拌する。例えばHPLCを用いて残存するベンゾニトリルの量を測定することにより、反応の終了についてモニターすることができる。反応を終了させるために、追加のAIBNを加えてもよい。塩基(例、KCO、CsCO、またはジイソプロピルエチルアミン)およびジエチルホスファイトを加え、混合物を反応終了まで攪拌してもよい。混合物は任意に洗浄し、精製することができる。
【0228】
化合物G1
6−ハロウラシル(F1)のDMF−DMSO(6:1)混合溶液に、窒素雰囲気下、−5〜5℃の温度で、水素化ナトリウム(60%)を分けて加える。少なくとも約15分後に、任意には少なくとも約30分後に、臭化リチウムを加え、混合物を−5〜5℃の温度で、少なくとも約15分間攪拌する。置換されていてもよい2−ブロモメチルベンゾニトリル(B4)のDMF溶液を添加する。次いで該混合物をこの温度で少なくとも約30分間、任意には少なくとも約1時間攪拌し、その後室温で一晩攪拌する。アルキル化は、有機溶媒、または溶媒の混合物中、NaH、LiHなどといった塩基を使用することを含む、当該技術分野で公知の標準的な条件下で行われうることが理解されるだろう。溶媒としては、DMSO、THF、DMFなど、またはこれらの混合物を挙げることができる。また、LiBr、LiI、NaI等といった添加物を使用してもよい。
【0229】
次いで、混合物を蒸発させ、真空中で水とともに共蒸発させて、溶媒の大部分を除去し、次いで氷水に注ぐ。沈殿を濾取する。粗生成物を高温のAcOEt−CHCl中に懸濁し、超音波処理し、少なくとも約30分間、任意には少なくとも約1時間、−5〜5℃の温度に静置し、次いで濾過し、表題化合物を得る。精製は、水性溶媒/有機溶媒または溶媒の混合物による洗浄、再結晶、および/またはカラムクロマトグラフィーといった当該技術分野で公知の様々な方法を用いて行われ得ることを、当業者も理解するだろう。有機溶媒および溶媒混合物の非限定的の例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトン、THFなどが挙げられる。
【0230】
化合物C5
溶媒(例えばDMSO、DMF、またはNMP)中の粗製3−アルキル−6−ハロウラシル(A2)、置換されていてもよい2−ブロモメチルベンゾニトリル(B4)およびKCOまたはCsCO混合物を、50〜70℃の温度で、任意には55〜65℃の温度で、少なくとも約1時間、任意には少なくとも約2時間、攪拌する。反応物を水で希釈し、有機溶媒(例、EtOAc)で抽出する。有機物を(例えばMgSOまたはNaSOで)乾燥し、溶媒を除去する。残渣は、カラムクロマトグラフィーといった当該技術分野で公知の種々の精製技術のいくつかを用いて任意に精製する。
【0231】
化合物C5はまた、以下のように製造することもできる。3−アルキル−6−ハロウラシル(A2)および塩基(例、KCO、CsCO、またはジイソプロピルエチルアミン)の溶液に、置換されていてもよい2−ブロモメチルベンゾニトリル(B4)の溶液を加える。次いで混合物を55〜65℃の温度に2時間または反応終了(例えばHPLCによって決定される)まで加熱する。次いで加熱を停止し、混合物を水で希釈する。得られるスラリーは、任意に攪拌し、濾過し、乾燥する。
【0232】
あるいは、2−(6−ハロ−3−アルキル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−ベンゾニトリル(C5)は、以下のように製造することができる。窒素雰囲気下、ベンジル化6−ハロウラシル(G1)のDMF−THF冷(−5〜5℃、任意に約0℃)溶液に、NaH(60%)を分けて加え、続いてLiBrを加える。混合物を−5〜5℃の温度で、任意に約0℃の温度で、少なくとも約10分間、任意には少なくとも20分間攪拌する。ハロアルカンを加え、フラスコを密封する。混合物をこの温度に、少なくとも約5分間、任意には少なくとも約10分間維持し;室温に、少なくとも約1時間、任意には少なくとも約2時間維持し;25〜45℃、任意には30〜40℃の温度に、一晩維持する。次いで生成物を減圧濃縮することができる。アルキル化は、有機溶媒、または溶媒の混合物中、NaH、LiHなどといった塩基を使用することを含む、当該技術分野で公知の標準的な条件下で行われ得ることが理解されるだろう。溶媒としては、DMSO、THF、DMFなど、またはこれらの混合物を挙げることができる。また、LiBr、LiI、NaI等といった添加物を使用してもよい。例えばアルキル化は、アセトン中のヨードメタンおよびKCOを用いて行うことができる。
【0233】
残渣を(例えばCHClに)溶解し、水およびブラインで洗浄し、(例えばNaSOで)乾燥し、濾過し、次いで減圧濃縮する。粗生成物を、例えばTHF−ヘキサンから結晶化し、表題化合物を得る。ベンゾニトリルが様々な有機溶媒または溶媒の混合物で精製しうることは、当業者によっても理解されるだろう。例えば、ベンゾニトリルは、ジクロロメタンとヘプタンの混合物を加えることによって精製することができる。必要に応じて、ベンゾニトリルを、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、THF、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどといった有機溶媒または溶媒の混合物でさらに精製してもよい。一つの特定の実施態様において、生成物は酢酸エチルで精製し、洗浄する。
【0234】
化合物E5
2−(6−ハロ−3−アルキル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2−H−ピリミジン−1−イルメチル)−ベンゾニトリル(C5)、3−置換ピペリジン二塩酸塩(D1)、および重炭酸ナトリウムまたはKCOをシールドチューブ中、アルコール(例、MeOHまたはEtOH)とともに80〜110℃の温度で、任意に90〜100℃の温度で、少なくとも約1時間、任意には少なくとも約2時間、攪拌する。活性化モレキュラーシーブ(4A)とともに反応物を攪拌することにより、混合物を乾燥してもよい。(例えばセライトを通して)反応物を濾過し、減圧濃縮し、CHClまたはCHClで希釈し、次いで水で洗浄する。水相をCHClまたはCHClで抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、(例えばNaSOで)乾燥し、濾過する。TFAを加え、次いで溶液を減圧濃縮する。残渣を少量のアルコール(例えばMeOH)に溶解し、EtOまたはヘキサンを加え、沈殿させる。次いで混合物を室温で一晩放置することができる。次いで溶媒をデカントし、固体をEtOで洗浄し、TFA塩を得る。
【0235】
アミンまたはアミン塩酸塩との縮合は、溶媒または溶媒の混合物中、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウムなど、またはそれらの混合物といった塩基で行われうることを、当業者は理解するだろう。溶媒は、プロトン性溶媒を含んでなるものでも、非プロトン性溶媒を含んでなるものであってもよく、またはそれらの混合物を含んでなるものであってもよい。例えば、溶媒は、イソプロピルアルコールと水の混合物を含んでいてもよい。
【0236】
ベンゾニトリル生成物は、遊離塩基として単離することができる。遊離塩基の形態は、粗生成物を水で洗浄し、(例えばNaSOまたはMgSOで)乾燥し、濾過し、生成物を濃縮することによって単離することができる。次いで遊離塩基生成物はTHFに溶解することができる。あるいは遊離塩基は、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジクロロメタンなど、またはこれらの混合物といった他の溶媒に溶解しうる。生成物は、カラムクロマトグラフィー、および有機溶媒または溶媒の混合物を用いた洗浄といった当該技術分野で公知の種々の技術のいくつかを用いて精製しうることも理解されよう。使用することができる溶媒または溶媒混合物の非限定的な例としては、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、ジクロロメタン、ヘプタンなどが挙げられる。
【0237】
遊離塩基生成物はまた、以下のように製造することもできる。化合物C5、アルコール(例、IPA)、(R)−3−アミノ−ピペリジン二塩酸塩、および塩基(例、炭酸カリウム)の混合物を、55〜65℃の温度で、例えばHPLCによって決定される反応終了まで(例、20時間よりも長い時間)、加熱する。次いでジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、THF、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどといった有機溶媒または溶媒の混合物を加える。得られるスラリーを任意に濾過し、洗浄し、濃縮する。
【0238】
あるいは、ベンゾニトリル生成物は、様々な酸付加塩に変換することができる。例えば、アルコール(例、MeOH、1mL)中で、ベンゾニトリル生成物(例、約10mg)を様々な酸(例、0.8〜1.5当量、任意に約1.05当量)で処理する。任意には少なくとも約2日間、そして任意には少なくとも約3日間、溶液を大気に開放して静置する。沈殿が形成される場合、混合物を濾過し、塩を乾燥させる。固体が形成されない場合、混合物を減圧濃縮し、残渣を単離する。このアプローチを用いて、以下の酸から製造される塩を含む塩を製造することができるが、それらに限定されない:安息香酸、p−トルエンスルホン酸、コハク酸、R−(−)−マンデル酸、およびベンゼンスルホン酸。
【0239】
安息香酸塩は、酸付加塩の形成についての常套の方法を用いて、ベンゾニトリル生成物を安息香酸で処理することによって、形成することができる。
【0240】
同様に、DCMまたはCHCl中にTFA塩を懸濁させ、飽和NaCOまたはKCOで洗浄し、有機相を真空乾燥し、残渣を溶媒(例、アセトニトリル)に溶解し、有機溶媒(例、ジオキサン)中の、1〜2当量の、任意には1.2〜1.8当量のHClを、−5〜5℃の温度で加え、溶媒を除去することによって、HCl塩を得ることができる。
【0241】
HCl塩はまた以下のように製造することもできる。遊離塩基のCHCl溶液またはCHCl溶液に、塩酸(例、2M HCl)を加える。スラリーを任意に攪拌し、濾過し、(例えば、CHClまたはCHClで、次いでTHFで)洗浄する。次いで該物質をTHFでスラリーにし、濾過し、任意に乾燥する。
【0242】
さらに、トルエンスルホン酸塩を以下のように製造することができる。遊離塩基の貯蔵溶液(例えば200μの0.03M溶液)をジクロロメタンに溶解し、窒素低速気流のもと濃縮する。得られる遊離塩基を溶媒(例、150μLの酢酸、アセトン、エタノール、THF、またはジクロロメタン(dicholormethane))に溶解し、溶液を少なくとも5分間、任意には少なくとも10分間振盪する。次いで振盪した溶液に、ジオキサン中のトルエンスルホン酸(約1.05当量、50μLの0.126M溶液)を仕込む。任意には少なくとも2時間、そして任意には少なくとも3時間、溶液を振盪する。次いで溶媒を窒素流下で除去して、トルエンスルホン酸塩を得る。
【0243】
トルエンスルホン酸塩はまた、遊離塩基(例、約2g)を約10容のアセトニトリル中に溶解することによっても、製造することができる。該溶液を少なくとも約5分間、任意には少なくとも約10分間、65〜85℃の温度に、任意には70〜80℃の温度に加熱する。次いでp−トルエンスルホン酸(例えば1.05当量)を加え、溶液を65〜85℃の温度、任意に70〜80℃の温度に少なくとも約5分間保持する。温度を(約25℃/時間で)任意に減少させ、混合物を室温で一晩攪拌する。生成物を40〜60℃の温度で、任意には45〜55℃の温度で、そして690〜710mmHgの圧力で、任意には約698.5mmHgの圧力で、窒素流のもと、少なくとも約15時間、任意には少なくとも約18時間、真空乾燥器中で乾燥することができる。
【0244】
また、メタンスルホン酸塩は、以下のように製造することができる。ベンゾニトリル生成物(例、10.5gのアリコート)を酢酸イソプロピル(例、400mL)と混合する。スラリーを60〜90℃の温度、任意には70〜80℃の温度、そして任意には約75℃の温度に加熱し、(例えば#3 Whatman濾紙を通して)濾過する。溶液を60〜90℃の温度、任意には70〜80℃の温度、そして任意には約75℃の温度に再度加熱し、メタンスルホン酸(例、30.84mLの1M溶液)を加える。懸濁液を、任意には約20℃/時間の速度で室温に冷却する。室温で少なくとも約30分後、任意には少なくとも約1時間後、固体を濾過し、乾燥して、メタンスルホン酸塩を得る。
【0245】
コハク酸塩は、以下のように製造することができる。化合物E5のHCl塩とCHClまたはCHClの混合物に、塩基(例、50%NaOH溶液)を混合物のpHが11よりも大きくなるまで、任意には12よりも大きくなるまで加える。混合物を任意に攪拌し、有機相を分離する。水相を(例えばCHClまたはCHClで)抽出し、合わせた有機相を水で洗浄する。有機相を任意に濾過し、濃縮して、遊離塩基を得る。遊離塩基を(例えばTHFおよび/またはIPAで)スラリーにし、そして遊離塩基の完全な溶解が観察されるまで(例えば55〜65℃の温度で)加熱する。混合物の温度を50℃よりも高い温度に任意に維持しながら、コハク酸溶液を加える。該物質を任意に攪拌し、濾過し、洗浄し、乾燥する。
【0246】
スキーム4:
【0247】
【化49】

【0248】
化合物L
置換されていてもよいハロトルエン(K)と、DMF中のCuCNとの混合物を、任意には少なくとも24時間還流する。反応物を水で希釈し、有機溶媒(例、ヘキサン、酢酸エチルなど)で抽出する。有機物を任意に(例えばMgSOまたはNaSO上で)乾燥し、溶媒を除去して、化合物Lを得る。
【0249】
化合物M
CCl中の、置換されていてもよいメチルベンゾニトリル(L)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)混合物を窒素下で、任意には少なくとも2時間還流する。反応物を室温に冷却し、固体を濾過により除去する。該有機溶液を濃縮して化合物Mを得ることができ、これはさらに精製することなく次の工程において使用することができる。あるいは、該粗生成物を、水性溶媒/有機溶媒またはそれらの溶媒の混合物による洗浄、再結晶、および/またはカラムクロマトグラフィーといった当該技術分野で公知の種々の精製技術のいくつかを用いて精製することができる。
【0250】
スキーム5:
【0251】
【化50】

【0252】
化合物O
CCl中の、置換されていてもよいメチルベンゼン(N)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)混合物を窒素下、任意には少なくとも2時間還流する。反応を室温に冷却し、固体を濾過により除去する。該有機溶液を濃縮して化合物Oを得ることができ、これはさらに精製することなく次の工程において使用することができる。あるいは、該粗生成物を、水性溶媒/有機溶媒またはそれら溶媒の混合物による洗浄、再結晶、および/またはカラムクロマトグラフィーといった当該技術分野で公知の種々の精製技術のいくつかを用いて精製することができる。
【0253】
上記工程のそれぞれにおいて、反応混合物からの中間体が比較的純粋な化合物として得られ、副生成物または反応混合物の不純物が次の反応工程を妨害しない場合、中間化合物の単離工程および/または精製工程は避けてもよい。可能であれば、処理時間をより短くするために、1つ以上の単離工程を除いてもよく、さらなる処理を除くことでまた、全反応のより高い収率を得ることができる。
【0254】
上記スキームにおける置換基を変化させることによって、多種多様の異なるDPP−IV阻害剤を合成することができる。上記反応スキームにおいて、種々の置換基を本明細書中に別途教示する種々の置換基から選択することができる。
【0255】
上記反応スキームに基づく特定の化合物の合成の説明は、本明細書中に示す。
【0256】
DPP−IV阻害剤の実施例
特定の化合物の合成を説明する以下の実施例によって、本発明をさらに例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0257】
実験方法
【0258】
【化51】

【0259】
2−(6−クロロ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−ベンゾニトリル(2)
DMF−DMSO(6:1、600mL)混合物中の6−クロロウラシル(20g、122mmol)溶液に、窒素雰囲気下、0℃で、水素化ナトリウム(60%、5.5g、137mmol)を分けて加えた。0.5時間後、臭化リチウム(8g、96mmol)を該混合物に加えて、0℃で15分間攪拌した。DMF(30mL)中のα−ブロモ−o−トルニトリル(25.1g、128mmol)溶液を滴下し、この温度で1時間、その後室温で一晩攪拌した。該混合物を留去し、水と共に真空中で共留去して大部分のDMFを除去し、その後氷水中(1L)に注いだ。沈殿物を濾過によって集めた。粗生成物を加熱したAcOEt−CHCl中に懸濁し、5分間超音波処理し、0℃、1時間静置した後、濾過して、収率54%で標題化合物(19g)の白色固体を得た。
H−NMR(400MHz,DMSO):δ 11.82(s,1H), 7.87(d,1H,J=7.6Hz), 7.71(t,1H,J=7.6Hz), 7.51(t,1H,J=7.6Hz), 7.37(d,1H,J=8Hz), 6.06(s,1H), 5.31(s,2H). MS(ES) [m+H] C12ClNでの計算値 262.0;実測値 262.0.
【0260】
2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−ベンゾニトリル(3)
DMF−THF(1:1、300mL)中のベンジル化6−クロロウラシル2(10g、38mmol)の冷(0℃)溶液に、窒素雰囲気下、NaH(60%、1.6g、39.9mmol)を分けて加え、続いてLiBr(2g)を加えた。該混合物を室温で20分間攪拌した。ヨードメタン(5.4mL、76mmol)を加えた後、フラスコを密閉し、この温度で10分間、室温で2時間、そして35℃で一晩攪拌し、その後減圧濃縮した。残渣をCHCl中に溶解し、水およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、その後減圧濃縮した。該粗生成物をTHF−ヘキサンから結晶化して、標題化合物3を7.6g(72%)得た。
H NMR(400MHz,DMSO):δ 7.87(d,1H,J=7.6Hz), 7.70(t,1H,J=7.6Hz), 7.51(t,1H,J=7.6Hz), 7.40(d,1H,J=8Hz), 6.21(s,1H), 5.38(s,2H), 3.28(s,3H). MS(ES) [m+H] C1311ClNでの計算値 276.1;実測値 276.1.
【0261】
2−{6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−ベンゾニトリル(4)
2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2−H−ピリミジン−1−イルメチル)−ベンゾニトリル(330mg、1.08mmol)、(R)−3−アミノ−ピペリジン二塩酸塩(246mg、1.4mmol)および重炭酸ナトリウム(500mg、5.4mmol)を200mg活性化分子篩(4A)と共に、乾燥MeOH(5mL)中、100℃で2時間攪拌した。該反応物をセライトを通して濾過し、減圧濃縮し、その後CHClで希釈し、水で洗浄した。水相をCHClで抽出し、合わせた有機相を水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過した。TFA(1mL)を該溶液に加えて、その後減圧濃縮した。残渣を少量のMeOHに溶解し、EtOを加えて沈殿させた。混合物を室温で一晩静置した。溶媒をデカンテーションし、固体をEtOで2回洗浄して、生成物4のTFA塩270mgをオフホワイト粉末として得た。4の該TFA塩は、H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1):δ 7.82(d,1H,J=7.6Hz), 7.65(t,1H,J=7.6Hz), 7.46(t,1H,J=7.6Hz), 7.23(d,1H,J=8.0Hz), 5.42(s,1H), 5.50−5.00(ABq,2H,J=41.6, 15.2Hz), 3.30(m,2H), 3.16(s,3H), 2.91(m,1H), 2.76(m,2H), 1.93(m,1H), 1.79(m,1H), 1.51(m,2H)を有する。 MS(ES) [m+H] C1822での計算値 340.2;実測値, 340.2.
【0262】
安息香酸塩は、ベンゾニトリル生成物を安息香酸で処理して、2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−ベンゾニトリル安息香酸塩(4)を形成することにより、形成させられた。該安息香酸塩の調製および単離は、酸付加塩形成のための一般的方法によりなされた。H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1):δ 7.82(d,1H,J=7.6Hz), 7.65(t,1H,J=7.6Hz), 7.46(t,1H,J=7.6Hz), 7.23(d,1H,J=8.0Hz), 5.42(s,1H), 5.50−5.00(ABq,2H,J=41.6, 15.2Hz), 3.30(m,2H), 3.16(s,3H), 2.91(m,1H), 2.76(m,2H), 1.93(m,1H), 1.79(m,1H), 1.51(m,2H). MS(ES) [m+H] C1822での計算値 340.2;実測値 340.2.
【0263】
上記と同じ方法に従って、HCl付加塩を以下のように調製した。粗生成物を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した後に4の遊離塩基型を、単離した。該遊離塩基生成物をその後THFに溶解した。その後、該溶液を攪拌し、ジオキサン中の4M HCl 1.2当量を滴下した。10分間攪拌した後、懸濁した混合物を室温で1時間静置し、次いで濾過して、4の固体HCl塩型を得た。H−NMR(400MHz,DMSO−D):δ 7.82(d,1H,J=7.6Hz), 7.65(t,1H,J=7.6Hz), 7.46(t,1H,J=7.6Hz), 7.23(d,1H,J=8.0Hz), 5.42(s,1H), 5.20, 5.08(ABq,2H,J=41.6, 15.2Hz), 3.30(m,2H), 3.16(s,3H), 2.91(m,1H), 2.76(m,2H), 2.50 (bs,2H), 1.93(m,1H), 1.79(m,1H), 1.51(m,2H). MS(ES) [m+H] C1822での計算値 340.2;実測値 340.2.
【0264】
さらに、トルエンスルホン酸塩を以下のように調製した。遊離塩基の0.03M原液の200μL分量(アリコート)をジクロロ(dichoro)メタンに溶解して、窒素低速気流下で濃縮した。得られた遊離塩基を150μLの溶媒(例、酢酸、アセトン、エタノール、THFまたはジクロロ(dicholor)メタン)に溶解し、該溶液を10分間振とうした。次いで、振とうした溶液に、ジオキサン中のトルエンスルホン酸(touenesulfonic acid)(1.05当量)0.126M溶液(50μL)を加えた。該溶液を3時間振とうし、続いて窒素気流下で溶媒を除去して、トルエンスルホン酸塩を得た。
【0265】
該トルエンスルホン酸塩もまた、10倍容のアセトニトリルに、2gの遊離塩基を溶解させ、該溶液を75℃、10分間加熱することによって調製した。次いでp−トルエンスルホン酸(1.05当量)を加え、該溶液を75℃で5分間保持した。該温度を下げて(約25℃/時間)、室温で一晩攪拌した。該生成物(2.64g)を真空オーブン中、50℃、698.5mmHg、窒素スイープで18時間乾燥した。
【0266】
【化52】

【0267】
2−((6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)ベンゾニトリル(2a)
6−クロロ−3−メチルウラシル(1当量、1wt.)、N−メチルピロリドン(NMP;4倍量)およびジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基、1.5当量、1.21wt.)の溶液にα−ブロモトルオイルニトリル(1.1当量、1.35wt.)溶液およびトルエン(4倍量)を加えた。混合物を60〜70℃で加熱し、2〜3時間または反応終了まで攪拌した。次いで該溶液を20〜30℃に冷却し、35℃未満で脱イオン水(5倍量)でクエンチして30分間攪拌し、0〜5℃に冷却し、その後少なくとも1時間攪拌した。得られたスラリーを濾過し、イソプロパノール中で再スラリー化し、イソプロパノールで置換洗浄し、55〜60℃で真空乾燥した。
【0268】
(R)−2−((6−(3−アミノピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)ベンゾニトリル(4)
化合物2aを、イソプロパノールおよび水中で、1.1当量の(R)−3−アミノピペリジン二塩酸塩と、60〜65℃で反応終了まで(例、16時間)反応させた。60〜65℃を維持している間(1〜1.5時間に亘り)炭酸カリウム(4.4当量)を加えた。40〜45℃に冷却後、該無機塩を濾過により除去し、濾過ケーキを、熱した(例、40〜45℃)イソプロパノールで洗浄した。濾液を約5倍に濃縮し、0〜5℃のTHFで希釈し、15℃未満に温度を維持しながら6M塩酸で酸性化した。得られるスラリーを0〜5℃に冷却し、結晶が成長するまで(例えば、12時間以上)攪拌し、その後濾過した。濾過ケーキを2回イソプロパノール(1回洗浄につき2.5倍量)で置換洗浄し、化合物4のHCl塩が白色結晶性固体として得られるまで乾燥した。
【0269】
化合物4の該HCl塩を、40〜45℃で水に溶解し、酢酸イソプロピルで洗浄して、二量体を除去した。得られる混合物を50℃に加熱し、50−55℃にバッチ温度を維持しながら、固体炭酸カリウムを加えることにより水相から有機相に塩基を遊離させた。各相を分離し、50℃で、酢酸イソプロピルでもう一度水相を抽出した。次いで有機相を合わせ、23%塩化ナトリウム水溶液で洗浄して、残余カリウム塩を除去した。該有機溶媒を減圧下、約4倍に濃縮した。2Bアルコール(4倍量)を加えて、該溶液を減圧下、4倍まで濃縮した。もう一度4倍量の2Bアルコールを加えて、該溶液を減圧下、4倍まで再度濃縮した。得られる溶液をナイアガラフィルターを通し、続いて1.2ミクロンインラインフィルターを通すことによって精製し、沈殿した塩化ナトリウムおよび微粒子を除去した。2Bエタノール中に安息香酸の熱(65〜70℃)溶液を加え、該溶液を65〜70℃に維持した。次いで該溶液を0−5℃に冷却し、12時間攪拌することにより結晶化した。該溶液を濾過し、続いてスラリー化し、2Bアルコールで置換洗浄した。その後、湿ったケーキを窒素雰囲気下で2時間調整した。該ケーキを40−50℃で8時間乾燥し、化合物4の安息香酸塩を白色結晶性固体として得た。
【0270】
化合物5
【0271】
【化53】

【0272】
2−{6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−3−エチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−ベンゾニトリルTFA塩(5)。ヨードメタンの代わりに臭化エチルを用いることを除き、化合物3および4の調製に記載された方法を用いて、化合物2から該標題化合物5を調製した。H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1):δ 7.66(d,J=7.8Hz,1H), 7.59(td,J=7.8, 1.4Hz,1H), 7.40(t,J=7.6Hz,1H), 7.26(d,J=7.6Hz,1H), 5.41(s,1H), 5.13−5.23(ABq,2H,J=41.6, 15.2Hz), 3.91 (q,J=7.1Hz,2H), 3.37(m,2H), 2.87−2.98(m,2H), 2.70(m,1H), 2.12(m,1H), 1.88(m,1H), 1.67(m,2H), 1.15(t,J=6.9Hz,3H). MS(ES) [m+H] C1924での計算値 354.2;実測値 354.2.
【0273】
化合物6
【0274】
【化54】

【0275】
2−{6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−ベンゾニトリル(6)
化合物4の調製に用いられた方法により、化合物2から該標題化合物6を調製した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1):δ 7.65(d,J=7.5Hz,1H), 7.58(t,J=7.8Hz,1H), 7.39(t,J=7.5Hz,1H), 7.27(d,J=7.8Hz,1H), 5.32(s,1H), 5.13−5.13(ABq,2H,J=30.0, 15.0Hz), 3.39(m,2H), 2.95(m,2H), 2.69(m,1H), 2.12(m,1H), 1.85(m,1H), 1.64(m,2H). MS(ES) [m+H] C1720での計算値 326.2;実測値 326.2.
【0276】
化合物7
【0277】
【化55】

【0278】
2−{6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−5−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−ベンゾニトリル(7)
CHCl(2mL)中の化合物4(40mg、0.1mmol)を100℃、30分間、SOCl(200μL)で処理し、濃縮し、次いでLC−MSにより精製して、標題化合物7を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1):δ 7.73(d,J=7.6Hz,1H), 7.64(t,J=7.6Hz,1H), 7.45(t,J=7.6Hz,1H), 7.14(d,J=8.1Hz,1H), 5.32−5.42(m,2H), 3.43(s,3H), 3.33−3.40(m,2H), 3.17(m,2H), 2.87(s,1H), 2.08(m,1H), 1.70(m,1H), 1.32−1.43(m,2H). MS(ES) [m+H] C1821ClNでの計算値, 374.1;実測値, 374.1.
【0279】
化合物8
【0280】
【化56】

【0281】
6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−1−(2−ブロモ−ベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(8)
標題化合物を2工程で調製した。α−ブロモ−o−トルニトリルの代わりに2−ブロモベンジルブロミドを用いたことを除き、化合物2の調製方法を用いて、第1工程を行った。その後、化合物4の調製において用いた方法により、粗生成物を標題化合物に変換した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1):δ 7.52(d,J=8.1Hz,1H), 7.24(t,J=7.8Hz,1H), 7.10(t,J=7.8Hz,1H), 6.89(d,J=7.579Hz,1H), 5.27(s,1H), 4.92−5.04(ABq,J=34.1, 15.0Hz,2H), 3.27(bd,J=10.4Hz,1H), 3.09−3.18(m,1H), 2.89(m,1H), 2.70(t,J=10.9Hz,1H), 2.48(t,J=12.0Hz,1H), 2.03(m,1H), 1.60−1.71(m,1H), 1.42−1.53(m,2H). MS(ES) [m+H] C1620BrNでの計算値 379.1;実測値 379.1.
【0282】
化合物9
【0283】
【化57】

【0284】
6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−1−(2−ヨード−ベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(9)
ベンジル化試薬として2−ヨードベンジルクロリドを用いることを除き、化合物8の調製において記載されている方法によって、該標題化合物を調製した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1):δ 7.76(d,J=7.6Hz,1H), 7.21(t,J=7.3Hz,1H), 6.89(t,J=7.2Hz,1H), 6.79(d,J=7.3Hz,1H), 5.26(s,1H), 4.79−4.92(ABq,J=34.1, 6.7.0Hz,2H), 3.27(m,1H), 3.13(s,1H), 2.85(d,J=11.6Hz,1H), 2.70(m,1H), 2.41(m,1H), 2.02(m,1H), 1.60(m,1H), 1.45(m,2H). MS(ES) [m+H] での計算値C1620IN, 427.1;実測値, 427.1.
【0285】
化合物10
【0286】
【化58】

【0287】
6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−1−(2−ブロモ−5−フルオロ−ベンジル)−3−メチル−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(10)
乾燥DMF−DMSO(6:1、5mL)の混合物中の6−クロロウラシル(220mg、1.5mmol)溶液に窒素雰囲気下、0℃で、水素化ナトリウム(60%、61mg、1.8mmol)を分けて加えた。0.5時間後、臭化リチウム(83mg、1mmol)を加えて、混合物を15分間、0℃で攪拌した。DMF(30mL)中の2−ブロモ−5−フルオロ−ベンジルブロミド(497mg、1.8mmol)溶液を滴下し、この温度で1時間、次いで室温で一晩攪拌した。混合物を留去し、水と共に真空中で共留去して大部分のDMFを除去し、次いで氷水中に注いだ。沈殿物を濾過によって集め、その後、冷MeOH中に懸濁し、濾過した。該溶液を濃縮して、粗製モノベンジル化生成物を得た。
【0288】
化合物3の調製に記載されていた方法を用いて、該粗生成物をNaHおよびMeIで処理し、続いて化合物4の調製において用いられた方法により、標題化合物を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.46(dd,J=8.7, 5.2Hz,1H), 6.82(td,J=8.3, 2.9Hz,1H), 6.59(dd,J=9.1, 3.0Hz,1H), 5.28(s,1H), 4.99−5.06(ABq,J=41.7, 16.7Hz,2H), 3.28(m,1H), 3.23(s,3H), 3.13−3.21(m,1H), 2.86(bd,J=12.6Hz,1H), 2.71(t,J=10.5Hz,1H), 2.47(t,J=11.0Hz,1H), 2.00−2.08(m,1H), 1.65−1.74(m,1H), 1.42−1.53(m,2H).MS(ES) [m+H] C1721BrFNでの計算値 411.1;実測値 411.1.
【0289】
化合物11
【0290】
【化59】

【0291】
6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−1−(2−クロロ−5−フルオロ−ベンジル)−3−メチル−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(11)
2−ブロモ−5−フルオロ−ベンジルブロミドの代わりに2−クロロ−5−フルオロ−ベンジルブロミドを用いることを除き、化合物10の調製と同様の方法を用いて、化合物1から該標題化合物を調製した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1):δ 7.34−7.40(dd,J=8.5, 5.1Hz,1H), 6.97(td,J=8.3, 2.9Hz,1H), 6.72(dd,J=9.0, 2.9Hz,1H), 5.41(s,1H), 5.11−5.19(ABq,J=41.7, 16.7Hz,2H), 3.37(s,1H), 3.32(s,3H), 3.23−3.30(m,1H), 2.96(d,J=12.1Hz,1H), 2.81(t,J=10.2Hz,1H), 2.59(t,J=11.1Hz,1H), 2.13(d,J=10.4Hz,1H), 1.76−1.86(m,1H), 1.52−1.63(m,2H). MS(ES) [m+H] C1721ClFNでの計算値 367.1;実測値 367.1.
【0292】
化合物12
【0293】
【化60】

【0294】
6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−1−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジル)−3−メチル−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(12)
2−ブロモ−5−フルオロ−ベンジルブロミドの代わりに2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルブロミドを用いることを除き、化合物10の調製で記載した方法と同様の方法を用いて、化合物1から該標題化合物を調製した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.15(dd,J=8.211, 2.400Hz,1H), 6.95−7.06(m,2H), 5.40(s,1H), 5.09−5.18(ABq,J=37.7, 15.9Hz,2H), 3.33−3.39(m,1H), 3.30(s,3H), 3.23−3.29(m,1H), 2.98(bd,J=12.9Hz,1H), 2.79(t,J=10.4Hz,1H), 2.55−2.66(t,J=11.2Hz,1H), 2.13(m,1H), 1.78−1.88(m,1H), 1.55−1.65(m,2H). MS(ES) [m+H] C1721ClFNでの計算値 367.1;実測値 367.1.
【0295】
化合物13
【0296】
【化61】

【0297】
6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−1−(2−ブロモ−ベンジル)−3−メチル−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(13)
2−ブロモ−5−フルオロ−ベンジルブロミドの代わりに2−ブロモベンジルブロミドを用いることを除き、化合物10の合成に記載された方法を用いて、化合物1から標題化合物を調製した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1):δ 7.45(d,J=7.8Hz,1H), 7.16(t,J=7.5Hz,1H), 7.03(t,J=7.2Hz,1H), 6.80(d,J=7.3Hz,1H), 5.28(s,1H), 4.93−5.05(ABq,2H,J=36.4, 16.4Hz), 3.22(m,1H), 3.19(m,3H), 3.09(m,1H), 2.84(d,J=12.6Hz,1H), 2.63(t,J=10.5Hz,1H), 2.42(t,J=10.9Hz,1H), 1.97(d,J=11.1Hz,1H), 1.58−1.69(m,1H), 1.38−1.48(m,2H). MS(ES) [m+H] での計算値C1722BrN, 393.1;実測値, 393.1.
【0298】
化合物14
【0299】
【化62】

【0300】
化合物15
【0301】
【化63】

【0302】
2−{6−[アゼパン−3(±)−イルアミノ]−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−ベンゾニトリル(14)および2−{6−[3(±)−アミノ−アゼパン−1−イル]−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−ベンゾニトリル(15)
化合物4の調製方法を用いて、化合物3(70mg、0.27mmol)およびアゼパン−3−イルアミン(70mg、0.61mg)から標題化合物14および15を調製した。両化合物をLC−MSで精製した。
【0303】
化合物14:
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.77(d,J=7.8Hz,1H), 7.66(t,J=7.6Hz,1H), 7.47(t,J=8.0Hz,1H), 7.36(d,J=8.1Hz,1H), 5.54(s,1H), 5.49(s,1H), 5.27−5.36(ABq,J=26.0, 16.4Hz,2H), 3.50(m,2H), 3.37(s,2H), 3.26(s,3H), 3.12(m,1H), 3.04(m,1H), 2.07(m,1H), 1.86(m,1H), 1.60−1.71(m, 3H). MS(ES) [m+H] C1924での計算値 354.2;実測値 354.2.
【0304】
化合物15:
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.77(d,J=8.1Hz,1H), 7.63(t,J=7.6Hz,1H), 7.46(t,J=8.0Hz,1H), 7.19(d,J=7.6Hz,1H), 5.48(s,1H), 5.44−5.52(ABq,J=61.9, 18.4Hz,2H), 3.80(s,1H), 3.58−3.50(m,1H), 3.39−3.39(m,1H), 3.26(s,3H), 3.13(m,1H), 2.89(t,J=12.4Hz,1H), 2.04(m,1H), 1.93(m,1H), 1.86(m,2H), 1.59−1.70(m,2H). MS(ES) [m+H] C1924での計算値 354.2;実測値 354.2.
【0305】
化合物16
【0306】
【化64】

【0307】
2−[6−(2−アミノ−エチルアミノ)−3−エチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−ベンゾニトリル(16)
THF−DMSO(6:1、4mL)中の化合物2(150mg、0.57mmol)を、60%NaH(26mg、0.65mmol)で処理し、続いて臭化エチル(300uL)を加えた。密閉チューブ中で、乾燥MeOH(3mL)中の〜20%粗生成物をNaHCOおよびエタン−1,2−ジアミン(200μL)で、120℃で2時間処理し、LC−MSにより精製して、標題化合物16を得た。H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.70(d,J=7.8Hz,1H), 7.58(t,J=7.7Hz,1H), 7.40(t,J=7.4Hz,1H), 7.12(d,J=8.1Hz,1H), 5.37(s,2H), 3.95 (q,J=6.8Hz,2H), 3.45(t,J=5.9Hz,2H), 3.11(t,J=6.1Hz,2H), 1.19(t,J=6.8Hz,3H).MS(ES) [m+H] C1620での計算値 314.2;実測値 314.2.
【0308】
化合物17
【0309】
【化65】

【0310】
2−{6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−3−(3−シアノ−ベンジル)−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−ベンゾニトリル(17)
DME−DMF(2:1、2.5mL)中の化合物2(65mg、0.25mmol)を、60%NaH(15mg、0.38mmol)で0℃、20分間処理し、次いでLiBr(25mg)を加えた。10分後、m−シアノ−ベンジルブロミド(55mg、0.28mg)を加えて、該混合物を室温で5時間攪拌し、濃縮した。粗製残渣をMeOH(3mL)中に溶解した。(R)−3−アミノ−ピペリジン二塩酸塩(52mg、0.3mmol)および重炭酸ナトリウム(100mg)を加えた。該混合物を密閉チューブ中、120℃で2時間加熱し、次いで濾過して濃縮した。LC−MS精製して、収率84%該標題化合物17を得た。H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.67(d,J=7.8Hz,1H), 7.52−7.62(m,4H), 7.35−7.46(m,2H), 7.27(d,J=7.8Hz,1H), 5.43(s,1H), 5.15−5.31(ABq,J=40.9, 13.7Hz,2H), 5.04(s,2H), 3.40(s,1H), 3.40 (m 1H), 3.03(m,1H), 2.91(m,1H), 2.76(s,1H), 2.13(s,1H), 1.92(m,1H), 1.63−1.74(m,2H). MS(ES) [m+H] C2525での計算値 441.2;実測値 441.2.
【0311】
化合物18
【0312】
【化66】

【0313】
2−{6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−3−(2−シアノ−ベンジル)−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−ベンゾニトリル(18)
m−シアノ−ベンジルブロミドの代わりにα−ブロモ−o−トルニトリルを用いることを除き、化合物17の調製に用いられる方法により、標題化合物18を調製した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.64(d,J=6.8Hz,1H), 7.60(d,J=7.8Hz,1H), 7.55(t,J=7.8Hz,2H), 7.44(t,J=7.6Hz,1H), 7.38(t,J=7.5Hz,1H), 7.31(t,J=7.6Hz,1H), 7.27(d,J=7.8Hz,1H), 7.12(d,J=7.8Hz,1H), 5.45(s,1H), 5.15−5.32(m,4H), 3.36−3.47(m,2H), 2.98(m,2H), 2.10(m,1H), 1.91(m,1H), 1.68(m,2H). MS(ES) [m+H] C2525での計算値 441.2;実測値 441.2.
【0314】
化合物19
【0315】
【化67】

【0316】
2−{6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−3−(4−シアノ−ベンジル)−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−ベンゾニトリル(19)
m−シアノ−ベンジルブロミドの代わりにp−シアノ−ベンジルブロミドを用いることを除き、化合物17の調製に用いられる方法により、標題化合物19を調製した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.70(d,J=7.8Hz,1H), 7.56−7.63(m,3H), 7.46(m,3H), 7.29(d,J=7.8Hz,1H), 5.47(s,1H), 5.16−5.36(ABq,J=51.1, 14.7Hz,2H), 5.11(s,2H), 3.36−3.47(m,2H), 2.90−3.07(m,2H), 2.79(s,1H), 2.15(s,1H), 1.95(s,1H), 1.73(s,2H). MS(ES) [m+H] C2525での計算値 441.2;実測値 441.2.
【0317】
化合物20
【0318】
【化68】

【0319】
2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−ベンゾニトリル(20)
m−シアノ−ベンジルブロミドの代わりに2−クロロメチルベンズイミダゾールを用いることを除き、化合物17の調製に用いられる方法により、標題化合物20を調製した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.67(d,J=3.0Hz,1H), 7.65−7.56(m,2H), 7.47(d,J=3.3Hz,2H), 7.46(d,J=3.3Hz,1H), 7.37−7.40(m,2H), 5.52(s,3H), 5.23(s,2H), 3.51(d,J=9.6Hz,1H), 3.36(m,1H), 2.87−2.92(m,2H), 2.64−2.72(m,1H), 2.09(m,1H), 1.76(m,1H), 1.52−1.64(m,2H). MS(ES) [m+H] C2526での計算値 456.2;実測値 456.2.
【0320】
化合物21
【0321】
【化69】

【0322】
2−{6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−2,4−ジオキソ−3−(4−ピラゾール−1−イル−ベンジル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−ベンゾニトリル(21)
m−シアノ−ベンジルブロミドの代わりに1−(4−ブロモメチル−フェニル)−1H−ピラゾールを用いることを除き、化合物17の調製に用いられる方法により、標題化合物21を調製した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.90(d,J=2.5Hz,1H), 7.71(d,J=1.8Hz,1H), 7.65(d,J=7.6Hz,1H), 7.51−7.58(m,3H), 7.43−7.37(m,3H), 7.22(d,J=7.8Hz,1H), 6.47(t,J=2.1Hz,1H), 5.43(s,1H), 5.14−5.30(ABq,J=41.2, 16.4Hz,2H), 5.05(s,2H), 3.32−3.40(m,2H), 2.96(m,1H), 2.89(m,1H), 2.70(m,1H), 2.10(m,1H), 1.88(m,1H), 1.66(s,2H). MS(ES) [m+H] C2728での計算値 482.2;実測値 482.2.
【0323】
化合物22
【0324】
【化70】

【0325】
2−{6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−2,4−ジオキソ−3−(3−ピロール−1−イル−ベンジル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−ベンゾニトリル(22)。m−シアノ−ベンジルブロミドの代わりに1−(3−ブロモメチル−フェニル)−1H−ピロールを用いることを除き、化合物17の調製に用いられる方法により、標題化合物22を調製した。H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.59(d,J=7.3Hz,1H), 7.48(t,J=7.7Hz,1H), 7.24−7.36(m,4H), 7.21(t,J=7.6Hz,2H), 7.02(t,J=2.1Hz,2H), 6.32(t,J=2.0Hz,2H), 5.42(s,1H), 5.11−5.20(ABq,J=44.7, 15.9Hz,2H), 5.06(s,2H), 3.36(m,2H), 2.98(m,1H), 2.89(m,1H), 2.70(m,1H), 2.10(m,1H), 1.88(m,1H), 1.73−1.58(m,2H). MS(ES) [m+H] C2829での計算値 481.2;実測値 481.2.
【0326】
化合物23
【0327】
【化71】

【0328】
6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−3−(2−シアノ−ベンジル)−2,6−ジオキソ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−チオフェン−3−カルボニトリル(23)
m−シアノ−ベンジルブロミドの代わりに2−ブロモメチル−チオフェン−3−カルボニトリルを用いることを除き、化合物17の調製に用いられる方法により、標題化合物23を調製した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.65(d,J=7.6Hz,1H), 7.57(t,J=7.8Hz,1H), 7.40(t,J=7.7Hz,1H), 7.29(d,J=7.8Hz,1H), 7.25(dd,J=5.3, 1.3Hz,1H), 7.11(dd,J=5.3, 1.0Hz,1H), 5.45(s,1H), 5.35(s,2H), 5.15−5.33(ABq,J=45.0, 15.5Hz,2H), 3.38(bd,J=10.1Hz,2H), 2.98(m,2H), 2.72(s,1H), 2.12(d,J=7.3Hz,1H), 1.83−1.93(m,1H), 1.61−1.72(m,2H). MS(ES) [m+H] での計算値C2323, 447.1;実測値 447.1.
【0329】
化合物24
【0330】
【化72】

【0331】
3−{4−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−3−(2−シアノ−ベンジル)−2,6−ジオキソ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−安息香酸メチルエステル(24)
m−シアノ−ベンジルブロミドの代わりに3−ブロモメチル−安息香酸メチルエステルを用いることを除き、化合物17の調製に用いられる方法により、標題化合物24を調製した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.99(s,1H), 7.91(d,J=7.8Hz,1H), 7.65(d,J=7.6Hz,1H), 7.56(d,J=7.9Hz,1H), 7.52(d,J=7.6Hz,1H), 7.39(t,J=7.6Hz,1H), 7.34(t,J=7.6Hz,1H), 7.23(d,J=8.1Hz,1H), 5.44(s,1H), 5.12−5.31(ABq,J=43.7, 15.9Hz,2H), 5.08(s,2H), 3.90(s,3H), 3.31−3.39(m,2H), 2.98(d,J=11.9Hz,1H), 2.87(m,1H), 2.71(m,1H), 2.11(m,1H), 1.89(m,1H), 1.73−1.59(m,2H). MS(ES) [m+H] C2628での計算値 474.2;実測値 474.2.
【0332】
化合物25
【0333】
【化73】

【0334】
3−{4−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−3−(2−シアノ−ベンジル)−2,6−ジオキソ−3,6−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−安息香酸(25)
化合物24(〜50mg)の粗混合物をTHF−水(10:1)中においてLiOHで処理し、標題化合物25を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.90(s,1H), 7.86(d,J=7.6Hz,1H), 7.60(d,J=7.6Hz,1H), 7.50(t,J=8.2Hz,1H), 7.45(d,J=7.3Hz,1H), 7.26−7.36(m,2H), 7.17(d,J=8.1Hz,1H), 5.39(s,1H), 5.10−5.25(ABq,J=36.9, 15.5Hz,2H), 5.03(s,2H), 3.31(m,2H), 2.95(m,1H), 2.81(m,1H), 2.64(m,1H), 2.07(m,1H), 1.82(m,1H), 1.51−1.68(m,2H). MS(ES) [m+H] C2526での計算値 460.2;実測値 460.2.
【0335】
化合物26
【0336】
【化74】

【0337】
6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−1,3−ビス−(2−ブロモ−5−フルオロ−ベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(26)。
α−ブロモ−o−トルニトリルの代わりに2−ブロモ−5−フルオロ−ベンジルブロミドを用いることを除き、2の調製方法を用いるジベンジル化、続いて化合物4の調製に記載された条件下で3−(R)−アミノ−ピペリジンで処理することにより、1から標題化合物を調製した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ 7.42(dd,J=8.6, 5.3Hz,2H), 7.11−7.08(dd,J=9.1, 2.2Hz,1H), 7.06(dd,J=9.3, 2.8Hz,1H), 6.78−6.84(m,2H), 5.71(s,1H), 5.29(s,4H), 4.22(d,J=11.1Hz,1H), 3.82(d,J=13.4Hz,1H), 3.07−3.24(m,3H), 2.06(m,1H), 1.75−1.83(m,1H), 1.63−1.72(m,1H), 1.50−1.59(m,1H). MS(ES) [m+H] C2323Brでの計算値 583.01;実測値 583.01.
【0338】
化合物27
【0339】
【化75】

【0340】
2−{6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−5−クロロ−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル}−ベンゾニトリル(27)
THF(2mL)中の化合物4(100mg)をジオキサン(1mL)中4M HClで、室温で1時間処理し、濃縮し、次いでLC−MSにより精製して標題化合物を得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−D6):δ ppm 12.0(s,1H), 7.88(d,J=7.6Hz,1H), 7.68(t,J=7.7Hz,1H), 7.49(t,J=7.7Hz,1H), 7.36(d,J=7.8Hz,1H), 5.09−5.21(m,2H), 3.17(m,2H), 2.96(t,J=11.1Hz,1H), 2.86(d,J=10.6Hz,1H), 2.65(m,1H), 1.90(d,J=11.6Hz,1H), 1.57(d,J=13.1Hz,1H), 1.19−1.31(m,1H), 1.03−1.15(m,1H). MS(ES) [m+H] C1719ClNでの計算値 360.1;実測値 360.1.
【0341】
化合物28
【0342】
【化76】

【0343】
6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−1−(2,5−ジ−クロロ−ベンジル)−3−メチル−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(28)
2−ブロモ−5−フルオロ−ベンジルブロミドの代わりに2,5−ジ−クロロ−ベンジルブロミドを用いることを除き、化合物10と同様の調製方法を用いて、化合物1から該標題化合物を調製した。
H−NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1):δ ppm 7.50(d,J=8.6Hz,1H), 7.39(dd,J=8.3, 2.526Hz,1H), 7.22(d,J=2.5Hz,1H), 5.41(s,1H), 5.01−4.93(ABq,J=41.9, 16.2Hz,2H), 3.25(m,2H), 3.10(s,3H), 2.85(m,1H), 2.76(m,1H), 2.67(m,1H), 1.91(m,1H), 1.75(m,1H), 1.45(m,2H). MS(ES) [m+H] C1721Clでの計算値 383.1;実測値 383.1.
【0344】
化合物29
【0345】
【化77】

【0346】
6−[3(R)−アミノ−ピペリジン−1−イル]−1−(2−クロロ−3,6−ジ−フルオロ−ベンジル)−3−メチル−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(29)。2−ブロモ−5−フルオロ−ベンジルブロミドの代わりに2−クロロ−3,6−ジ−フルオロ−ベンジルブロミドを用いることを除き、化合物10と同様の調製方法を用いて、化合物1から該標題化合物を調製した。
H NMR(400MHz,CDCl−CDOD 10:1) δ ppm 6.98−7.06(m,2H), 6.90(m,2H), 5.31(s,1H), 5.01−5.20(ABq,J=24.2, 14.4Hz,2H), 3.28−3.37(m,2H) 3.13(s,3H), 3.01−2.94(m,1H), 2.6−2.9(m,2H), 2.10(m,1H), 1.92(m,2H), 1.73(s,1H), 1.6−1.75(m,2H). MS(ES) [m+H] C1720ClFでの計算値 385.1;実測値 385.1.
【0347】
化合物30
【0348】
【化78】

【0349】
(R)−2−((6−(3−アミノ−3−メチルピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メチル)−4−フルオロベンゾニトリル(30)
2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゾニトリル(300mg、1.0mmol)、(R)−3−アミノ−3−メチル−ピペリジン二塩酸塩(266mg、1.4mmol)および重炭酸ナトリウム(500mg、5.4mmol)をEtOH(3mL)中、密閉チューブの中で100℃、2時間攪拌した。HPLC精製後、TFA塩として最終化合物を得た。H−NMR(400MHz,CDOD):δ. 7.78−7.83(m,1H), 7.14−7.26(m,2H), 5.47(s,1H), 5.12−5.36(ABq,2H,J=105.2, 15.6Hz), 3.21(s,1H), 2.72−3.15(m,4H), 1.75−1.95(m,4H), 1.39(s,3H). MS(ES) [m+H] C1922FNでの計算値 372.41;実測値 372.41.
【0350】
化合物34
【0351】
【化79】

【0352】
4−フルオロ−2−メチルベンゾニトリル(31)。
DMF(100mL)中の2−ブロモ−5−フルオロトルエン(3.5g、18.5mmol)およびCuCN(2g、22mmol)の混合物を24時間還流した。該反応物を水で希釈し、ヘキサンで抽出した。有機物をMgSOで乾燥させ、溶媒を除去して生成物31(収率60%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ 7.60(dd,J=5.6, 8.8Hz,1H), 6.93−7.06(m,2H), 2.55(s,3H).
【0353】
2−ブロモメチル−4−フルオロベンゾニトリル(32)。
CCl中の4−フルオロ−2−メチルベンゾニトリル(2g、14.8mmol)、NBS(2.64g、15mmol)およびAIBN(100mg)の混合物を窒素雰囲気下、2時間還流した。該反応物を室温に冷却した。固体を濾過して除去した。該有機溶媒を濃縮し、油状物として粗生成物を得た。これはさらに精製することなく次の工程に用いられた。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ 7.68(dd,J=5.2, 8.4Hz,1H), 7.28(dd,J=2.4, 8.8Hz,1H), 7.12(m,1H), 4.6(s,2H).
【0354】
あるいは、以下のように32を製造した。DCE(2L)中の4−フルオロ−2−メチルベンゾニトリル(1kg)をAIBN(122g)で処理し、75℃に加熱した。DCE(500mL)中のDBH(353g)の懸濁液を75℃で、20分にわたって、分けて加えた。この操作を2.5時間に亘って、さらに5回繰り返した。その後、該混合物をさらに1時間攪拌し、例えば、HPLCを用いて残余ベンゾニトリル量を測定することにより、反応終了をモニターした。さらにAIBN(例、12.5g)を適宜加えて、反応を終了させた。加熱を止めて、混合物を一晩冷却した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.3L)を(<10℃で1.5時間にわたって)加えて、次いで亜リン酸ジエチル(1.9L)を(<20℃で30分にわたって)加えた。次いで該混合物を30分間、または反応終了まで攪拌した。その後、該混合物を1%メタ亜硫酸ナトリウム溶液(5L)で洗浄し、水(5L)で精製した。有機相を減圧濃縮し、暗褐色油状物(3328g)として32を得た。これはさらに精製することなく用いた(純度は97%(AUC))。
【0355】
2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゾニトリル(33)。
DMSO(10mL)中の粗製3−メチル−6−クロロウラシル(0.6g、3.8mmol)、2−ブロモメチル−4−フルオロベンゾニトリル(0.86g、4mmol)およびKCO(0.5g、4mmol)の混合物を、60℃で2時間攪拌した。反応物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機物をMgSOで乾燥し、溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。0.66gの該生成物を得た(収率:60%)。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ 7.73(dd,J=7.2, 8.4Hz,1H), 7.26(d,J−4.0Hz,1H), 7.11−7.17(m,1H), 6.94(dd,J=2.0, 9.0Hz,1H), 6.034(s,2H), 3.39(s,3H). MS(ES) [m+H] C13ClFNでの計算値 293.68;実測値 293.68.
【0356】
あるいは、以下のように33を製造した。NMP(3L)中の6−クロロ−3−メチルウラシル(750g)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(998mL)溶液に、32(トルエン3L中に32を1300g含む、粗材料2963g)の溶液を(<30℃で25分にわたって)加えた。その後、該混合物を60℃で2時間、または反応終了まで(例えば、HPLCによって決められるように)加熱した。次いで加熱を止めて、混合物を一晩冷却した。純水(3.8L)を加えて、スラリーを室温で1時間、5℃未満で1時間攪拌した。その後、混合物を減圧濾過し、湿ったケーキをIPA(2×2.25L)で洗浄した。次いで該物質を真空オーブン中40±5℃で16時間以上乾燥して、33を黄褐色固体として得た(>85%収率、純度>99%(AUC))。
【0357】
2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル(34)
2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゾニトリル(300mg、1.0mmol)、(R)−3−アミノ−ピペリジン二塩酸塩(266mg、1.5mmol)および重炭酸ナトリウム(500mg、5.4mmol)を密閉チューブ内のEtOH(3mL)中、100℃で2時間攪拌した。HPLC精製後、最終化合物をTFA塩として得た。
H−NMR(400MHz,CDOD):δ. 7.77−7.84(m,1H), 7.16−7.27(m,2H), 5.46(s,1H), 5.17−5.34(ABq,2H,J=35.2, 15.6Hz), 3.33−3.47(m,2H), 3.22(s,3H), 2.98−3.08(m,1H), 2.67−2.92(m,2H), 2.07−2.17(m,1H), 1.82−1.92(m,1H), 1.51−1.79(m,2H). MS(ES) [m+H] C1820FNでの計算値 357.38;実測値 357.38.
【0358】
あるいは、以下のように34の遊離塩基を調製した。33(1212g)、IPA(10.8L)、(R)−3−アミノ−ピペリジン二塩酸塩(785g)、純水(78mL)および炭酸カリウム(2.5kg、粉末、325メッシュ)の混合物を、60℃で、例えば、HPLCによって決められるように、反応終了まで(例えば、>20時間)加熱した。次いでアセトニトリル(3.6L)を60℃で加えて、該混合物を25℃未満に冷却した。得られるスラリーを減圧濾過し、濾過ケーキをアセトニトリル(2×3.6L)で洗浄した。該濾液を真空中(>3時間)、45℃で濃縮し、34の該遊離塩基2.6kgを得た。
【0359】
以下のようにして、34のHCl塩をTFA塩から調製した。TFA塩(34)をDCM中に懸濁し、次いで飽和NaCOで洗浄した。有機相を真空乾燥して除去した。残渣をアセトニトリル中に溶解し、ジオキサン(1.5当量)中のHClを0℃で加えた。溶媒を除去した後、HCl塩を得た。
H−NMR(400MHz,CDOD):δ. 7.77−7.84(m,1H), 7.12−7.26(m,2H), 5.47(s,1H), 5.21−5.32(ABq,2H,J=32.0, 16.0Hz), 3.35−3.5(m,2H), 3.22(s,3H), 3.01−3.1(m,1H), 2.69−2.93(m,2H), 2.07−2.17(m,1H), 1.83−1.93(m,1H), 1.55−1.80(m,2H). MS(ES) [m+H] C1820FNでの計算値 357.38;実測値 357.38.
【0360】
あるいは、以下のように、HCl塩を遊離塩基から調製した。CHCl(12L)中の遊離塩基の溶液に(35℃未満で18分間にわたって)2M塩酸(3.1L)を加えた。スラリーを1時間攪拌し、その後濾過した。湿ったケーキをCHCl(3.6L)、次いでTHF(4.8L)で洗浄した。湿ったケーキをTHF(4.8L)中で1時間スラリー化し、その後、濾過した。濾過ケーキを再度THF(4.8L)で洗浄した。その後、物質を真空オーブン中、50℃(窒素ブリード)で一定重量になるまで(例えば、>26時間)乾燥して、34を白色固体の該HCl塩として得た。(1423g、>85%収率)。
【0361】
以下のように、34のコハク酸塩をHCl塩から調製した。34のHCl塩(1414g)、CHCl(7L)および純水(14L)の混合物に、混合物の該pHが12より大きくなるまで50%NaOH溶液(212mL)を加えた。二相混合物を30分間攪拌し、有機相を分離した。水相をCHCl(5.7L)で抽出し、合わせた有機相を純水(6L)で洗浄した。次いで、有機相をインラインフィルターに通し、30℃で3時間にわたって減圧濃縮し、遊離塩基をオフホワイト固体として得た。遊離塩基を前濾過したTHF(15L)および前濾過したIPA(5.5L)中でスラリー化した。その後、該遊離塩基の完全溶解が観察されるまで、混合物を60℃で加熱した。混合物の温度を57℃より高い温度に維持しながら、THF(7L)中のコハク酸(446g)の前濾過溶液を(23分にわたって)加えた。60℃で15分間攪拌した後、加熱を止めて、物質を冷却させ、スラリーを12時間、25±5℃で攪拌した。物質を減圧濾過し、湿ったケーキを前濾過したIPA(2×4.2L)で洗浄した。次いで物質を真空オーブン中、70±5℃(窒素ブリード)で80時間より長く乾燥して、34の該コハク酸塩を白色固体として得た(1546g、>90%収率)。
【0362】
また、生成物を様々な対応する酸付加塩に変換した。具体的には、MeOH(1mL)中のベンゾニトリル生成物(約10mg)溶液を、様々な酸(1.05当量)で処理した。溶液を3日間空気に曝した。沈殿を形成したら、混合物を濾過し、塩を乾燥した。固体を形成しなければ、該混合物を減圧濃縮し、残渣を単離した。このようにして、34の塩を以下の酸から調製した:安息香酸、p−トルエンスルホン酸、コハク酸、R−(−)−マンデル酸およびベンゼンスルホン酸。コハク酸塩は、X線粉末回折解析により決定されるように、結晶であった。
【0363】
さらに、以下のように、メタンスルホン酸を調製した。10.5g分量のベンゾニトリル生成物を、400mLの酢酸イソプロピルと混合した。スラリーを75℃に加熱し、#3ワットマンフィルター紙を通して濾過した。該溶液を75℃に加熱し直し、メタンスルホン酸の1M溶液(30.84mL)を10分間に亘り攪拌しながら、ゆっくりと加えた。該懸濁液を約20℃/時間の割合で室温にまで冷却した。室温で1時間後、該固体を濾過し、オーブン中で一晩乾燥させて、メタンスルホン酸塩を得た。
【0364】
本発明の精神並びに範囲を逸脱することなく、様々な改良および変更を、本発明の化合物、組成物、キットおよび方法について行うことができることは、当業者には明らかであろう。従って本発明は、添付した特許請求の範囲およびその均等物の範囲にある限り、本発明の改良並びに変更をもカバーするものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】


を含む化合物を、式
【化2】


を含む化合物と、式
【化3】


を含む反応生成物を形成する条件下で反応させる工程を含む、プロセス。
[式中、
は、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から選択され、
は、水素、またはそれぞれ置換若しくは無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、
は、それぞれ置換または無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルケニル、アルキニル、カルボニル基、シアノ、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、そして
は、脱離基である。]
【請求項2】

【化4】


を含む化合物を、式
【化5】


を含む化合物と、式
【化6】


を含む反応生成物を形成する条件下、ジメチルスルホキシド中、KCOの存在下で反応させる工程を含む、プロセス。
[式中、
は、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から選択され、
は、水素であるか、またはそれぞれ置換若しくは無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、
は、それぞれ置換または無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルケニル、アルキニル、カルボニル基、シアノ、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、そして
は、脱離基である。]
【請求項3】
45℃と75℃との間の温度で反応が行われる、請求項2記載のプロセス。
【請求項4】
少なくとも1時間反応が行われる、請求項2記載のプロセス。
【請求項5】
酢酸エチルを用いて反応生成物を抽出する工程をさらに含む、請求項1および2のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項6】
反応生成物を精製する工程をさらに含む、請求項1および2のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項7】
カラムクロマトグラフィーにより反応生成物の精製が行われる、請求項6記載のプロセス。
【請求項8】
が、脱離基であり、そして反応生成物を式
【化7】


を含むピペリジンと、式
【化8】


を含む二次反応生成物を形成する条件下で反応させる工程をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項記載のプロセス。
[式中、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群から選択され、そして
各Rは、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から独立して選択される。]
【請求項9】
水素化ナトリウムおよび臭化リチウムと、式
【化9】


を含む化合物との混合物を形成する工程、そして

【化10】


を含む化合物を該混合物に加える工程を含むプロセスであって、該プロセスが、

【化11】


を含む反応生成物を形成する条件下で行われる、プロセス。
[式中、
は、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から選択され、
は、それぞれ置換または無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルケニル、アルキニル、カルボニル基、シアノ、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、そして
は、脱離基である]
【請求項10】
プロセスの少なくとも一部が、−5℃と5℃との間の温度で行われる、請求項9記載のプロセス。
【請求項11】
反応生成物を、式
【化12】


を含む化合物と反応させて、式
【化13】


[式中、
’は、置換または無置換の(C1−10)アルキルであり、そして
Xは、ハロゲン化物である。]
の二次反応生成物を形成する工程をさらに含む、請求項9記載のプロセス。
【請求項12】
が、脱離基であり、そして二次反応生成物を、式
【化14】


を含むピペリジンと、式
【化15】


を含む化合物を形成する条件下で反応させる工程をさらに含む、請求項11記載のプロセス。
[式中、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群から選択され、そして
各Rは、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から独立して選択される。]
【請求項13】

【化16】


を含む化合物を、式
【化17】


を含む化合物と、式
【化18】


を含む反応生成物を形成する条件下で反応させる工程を含む、プロセス。
[式中、
nは、0、1、2、3、4および5からなる群から選択され;
は、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から選択され;
は、水素であるか、またはそれぞれ置換若しくは無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され;
各Rは、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から独立して選択され;そして
は、脱離基である。]
【請求項14】
が、脱離基であり、そして反応生成物を、式
【化19】


を含むピペリジンと、式
【化20】


を含む二次反応生成物を形成する条件下で反応させる工程をさらに含む、請求項13記載のプロセス。
[式中、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群から選択され、そして
各Rは、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から独立して選択される。]
【請求項15】

【化21】


を含む化合物を、式
【化22】


を含む化合物と、式
【化23】


を含む反応生成物を形成する条件下で反応させる工程を含む、プロセス。
[式中、
は、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から選択され、
は、水素であるか、またはそれぞれ置換若しくは無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、そして
は、脱離基である。]
【請求項16】
が、脱離基であり、そして反応生成物を、式
【化24】


を含むピペリジンと、式
【化25】


を含む二次反応生成物を形成する条件下で反応させる工程をさらに含む、請求項15記載のプロセス。
[式中、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群から選択され、そして
各Rは、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から独立して選択される。]
【請求項17】

【化26】


を含む化合物を、式
【化27】


を含む化合物と、式
【化28】


を含む反応生成物を形成する条件下で反応させる工程を含む、プロセス。
[式中、
は、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から選択され、
は、水素であるか、またはそれぞれ置換若しくは無置換の、(C1−10)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C4−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、アミノ、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択され、そして
は、脱離基である。]
【請求項18】
が、脱離基であり、そして反応生成物を、式
【化29】


を含むピペリジンと、式
【化30】


を含む二次反応生成物を形成する条件下で反応させる工程をさらに含む、請求項17記載のプロセス。
[式中、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群から選択され、そして
各Rは、それぞれ置換または無置換の、水素、ハロ、ニトロ、シアノ、チオ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、カルボニル、アミノ、(C1−10)アルキルアミノ、スルホンアミド、イミノ、スルホニル、スルフィニル、(C1−10)アルキル、ハロ(C1−10)アルキル、カルボニル(C1−3)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ(C1−10)アルキル、イミノ(C1−3)アルキル、(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル(C1−5)アルキル、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール(C1−5)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール(C1−5)アルキル、(C3−12)シクロアルキル、ヘテロ(C3−12)シクロアルキル、(C9−12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C3−12)ビシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、(C9−12)ビシクロアリールおよびヘテロ(C4−12)ビシクロアリールからなる群から独立して選択される。]
【請求項19】
が、ハロである、請求項1〜18のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項20】
が、クロロである、請求項19記載のプロセス。
【請求項21】
が、水素である、請求項1〜8および13〜20のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項22】
が、置換または無置換のC1−6アルキルである、請求項1〜8および13〜20のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項23】
が、メチルである、請求項22記載のプロセス。
【請求項24】
’が、水素である、請求項11、12、19および20のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項25】
’が、置換または無置換のC1−6アルキルである、請求項11、12、19および20のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項26】
’が、メチルである、請求項25記載のプロセス。
【請求項27】
が、置換もしくは無置換の、アリールまたはヘテロアリールである、請求項1〜12および19〜26のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項28】
が、置換または無置換のフェニルである、請求項27記載のプロセス。
【請求項29】
が、それぞれ置換または無置換の、ハロ、パーハロ(C1−10)アルキル、CF、(C1−10)アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノ、チオ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボニル基、イミノ基、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されたフェニルである、請求項28記載のプロセス。
【請求項30】
が、シアノフェニルである、請求項29記載のプロセス。
【請求項31】
が、2−シアノフェニルである、請求項30記載のプロセス。
【請求項32】
が、ハロシアノフェニルである、請求項29記載のプロセス。
【請求項33】
が、2−シアノ−5−フルオロフェニルである、請求項32記載のプロセス。
【請求項34】
各Rが、シアノおよびハロからなる群から独立して選択される、請求項13、14および19〜30のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項35】
少なくとも1つのRが、アミノである、請求項8、12、14、16および18〜31のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項36】

【化31】


を含む化合物を、式
【化32】


を含む化合物と、式
【化33】


を含む反応生成物を形成する条件下で反応させる工程;ならびに
該反応生成物を、式
【化34】


を含むピペリジンと、式
【化35】


を含む二次反応生成物を形成する条件下で反応させる工程:
を含む、プロセス。
[式中、
は、ハロであり、そして
は、脱離基である。]
【請求項37】

【化36】


を含む化合物を、式
【化37】


を含む化合物と、式
【化38】


を含む反応生成物を形成する条件下で反応させる工程;ならびに、
該反応生成物を、式
【化39】


を含むピペリジンと、式
【化40】


を含む二次反応生成物を形成する条件下で反応させる工程:
を含む、プロセス。
[式中、
は、ハロであり、そして
は、脱離基である。]
【請求項38】
が、ハロである、請求項1〜37のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項39】
が、ブロモである、請求項38記載のプロセス。




【公表番号】特表2009−508873(P2009−508873A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531408(P2008−531408)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/036276
【国際公開番号】WO2007/035629
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】