説明

ジャスモン酸化合物を含む化粧品用組成物

本発明は、生理学的に許容される水性媒体中において、ジャスモン酸化合物と非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルポリマーとを含む化粧品用組成物に関する。
ケラチン質の手入れおよび化粧のための使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、具体的には、ジャスモン酸化合物と非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルポリマーとを含む化粧品用および/または皮膚科学用組成物に関し、また、ヒトケラチン質の処置方法でのこれらの組成物の使用に関する。より詳細には、本発明の組成物は、ケラチン質を手入れ、かつ/または化粧することを意図している。
【0002】
本発明の意味では、用語「ケラチン質」は、例えば、皮膚、粘膜、唇、頭皮、まつ毛、眉、および毛髪を示すことを意図している。
【背景技術】
【0003】
欧州特許出願公開第1333021号は、皮膚の落屑を促進し、表皮の再生を刺激し、皮膚老化の徴候に抗し、肌の色の明るさを向上させ、かつ/または顔の皮膚を滑らかにするための、3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸などのジャスモン酸化合物を開示している。仏国特許出願公開第62921255号では、これらの化合物はまた、脱色剤としての使用に関して記載されている。
【0004】
遺憾ながら、上述のジャスモン酸化合物を水性化粧品用配合物に導入すると、粘度が些細とは言えない程度減少する可能性があり、したがって、組成物の実質的な流動化が誘発される。
【0005】
非常に流動性のある組成物は、ケラチン質への施用が困難である。こうした組成物は、ケラチン質、具体的には、皮膚に施用した際に流れ落ちてしまう。処置が望まれるケラチン質へのそれの施用は、正確さに欠け、したがって、使用は比較的魅力のないものになる。
【0006】
さらに、ジャスモン酸化合物が存在すると、ある従来のゲル化剤の増粘能力に影響を及ぼすことが分かっている。
【0007】
脂肪アルコールおよび/またはワックスを添加することによる、粘度のこの低下を補償することからなる代替解決策は、満足できるものではないことが分かっている。このようにして得られた配合物は、一般に、非常に濃厚で、白くさせすぎ、ケラチン質への施用、具体的には、伸ばすことが困難であり、皮膚への施用中に重い感覚、浸透しにくい感覚を与える。
【0008】
したがって、ジャスモン酸化合物でありながら、必要なら、かなりの増粘性を有し得る化合物を利用する必要性がある。
【0009】
また、ケラチン質にすぐに施用できる適切な粘度を示す化粧品用または皮膚科学用組成物、特に、粒子含有量が高く、易揮発性を保持した流動性組成物を利用する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1333021号
【特許文献2】仏国特許出願公開第62921255号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】G.. Fonnum、J. Bakke、およびFk. Hansen、Colloid Polym. Sci.、271、380〜389頁(1993年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、正確には、これらの必要性を満足させることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
より詳細には、本発明は、水性媒体を含む生理学的に許容される媒体中において、式(I)の少なくとも1種のジャスモン酸化合物と少なくとも1種の非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルポリマーとを含む組成物に関する。本発明による組成物は、具体的には、化粧品用および/または薬学用組成物、具体的には、皮膚科学用組成物である。
【0014】
驚くべきことに、発明者らは、ジャスモン酸化合物の、非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルポリマーを含む組成物への添加が、前記組成物の粘度にさほどの影響を及ぼさず、したがって、その施用中の取扱いに適した形で配合することが可能になったことを認めた。具体的には、組成物の粘度は低下しない。
【0015】
さらに、ジャスモン酸化合物/非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルポリマーのこの特定の組合せはまた、本発明の組成物に気持ちよい外観を与え、その施用中に快適な感覚性を与えることも可能にする。
【0016】
本発明のさらに別の主題によれば、本発明は、ケラチン質を手入れまたは化粧するための非治療的処置方法であって、本発明による組成物を前記ケラチン質に施用する工程を含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ジャスモン酸から誘導される化合物は、次式(I)に対応するもの:
【0018】
【化1】

【0019】
(式中、
R1は、COOR3基を表し、R3は、水素原子、または1個もしくは複数のヒドロキシル基で場合によっては置換されたC1〜C4アルキル基を示し、
R2は、1〜18個の炭素原子を含有する飽和もしくは不飽和の直鎖状炭化水素基、または3〜18個の炭素原子を含有する飽和もしくは不飽和の分岐状もしくは環状炭化水素基を表す)
また、その光学異性体、および対応する塩から選択される化合物である。
【0020】
好ましくは、R1は、-COOH、-COOMe、-COO-CH2-CH3、-COO-CH2-CH(OH)-CH2OH、-COOCH2-CH2-CH2OH、または-COOCH2-CH(OH)-CH3から選択される基を示す。優先的には、R1は、-COOH基を示す。
【0021】
優先的には、R2は、2〜7個の炭素原子を好ましくは含有する飽和または不飽和の直鎖状炭化水素基を示す。具体的には、R2は、ペンチル、ペンテニル、ヘキシル、またはヘプチル基とすることができる。
【0022】
一実施形態によれば、式(I)の化合物は、3-ヒドロキシ-2-[(2Z)-2-ペンテニル]シクロペンタン酢酸または3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸から選択される。好ましくは、化合物(I)は、3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸であり、この化合物は、特に、ナトリウム塩の形をしていてもよい。
【0023】
本発明に従って使用することができる化合物の塩は、具体的には、アルカリ金属、例えば、ナトリウムまたはカリウムの塩;アルカリ土類金属、例えば、カルシウム、マグネシウム、またはストロンチウムの塩;金属、例えば、亜鉛、アルミニウム、マンガン、または銅の塩;式NH4+のアンモニウムの塩;第四級アンモニウムの塩;有機アミンの塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミン、またはトリス(2-ヒドロキシエチル)アミンの塩;リシンまたはアルギニンの塩から選択される。好ましくは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、ストロンチウム、銅、マンガン、または亜鉛の塩から選択される塩が使用される。優先的には、ナトリウム塩が使用される。
【0024】
先に定義した式(I)の化合物は、組成物の総重量に対して0.01重量%〜10重量%、好ましくは、0.1重量%〜5重量%の範囲の含有量で本発明による組成物中に存在することができる。
【0025】
本発明による組成物は、会合性ポリウレタン/ポリエーテルポリマーを含む。
【0026】
本発明の意味では、用語「会合性ポリマー」は、水性媒体中で、互いにまたは他の分子と可逆的に結合できる親水性ポリマーを意味することを理解されたい。これらの化学構造は、より詳細には、少なくとも1つの親水性領域と少なくとも1つの疎水性領域とを含む。
【0027】
用語「疎水基」は、飽和または不飽和の直鎖状または分岐状の炭化水素鎖を含む基またはポリマーを意味することを理解されたい。疎水基が炭化水素基を示す場合、それは、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは、10〜30個の炭素原子、具体的には、12〜30個の炭素原子、より好ましくは、18〜30個の炭素原子を含む。優先的には、炭化水素基は、単官能化合物から誘導される。
【0028】
例を挙げると、疎水基は、ステアリルアルコール、ドデシルアルコール、またはデシルアルコールなどの脂肪アルコール、あるいはSteareth-100などのポリアルキレン化脂肪アルコールから誘導することができる。それはまた、炭化水素ポリマー、例えば、ポリブタジエンを示してもよい。
【0029】
本発明による非イオン性ポリウレタン/ポリエーテルは、一般に、その鎖の中に、通常ポリオキシエチレン性の親水性ブロックと、脂肪族配列のみならびに/または環状脂肪族および/もしくは芳香族配列であり得る疎水性ブロックとの両方を含む。
【0030】
好ましくは、これらのポリウレタン/ポリエーテルは、親水性ブロックで分離された、6〜30個の炭素原子を含有する少なくとも2本の親油性炭化水素鎖を含み、この炭化水素鎖は、懸垂鎖、または親水性ブロックの末端にある鎖でもよい。具体的には、1本または複数の懸垂鎖を含むことが可能である。さらに、ポリマーは、親水性ブロックの片末端に、または両末端に炭化水素鎖を含むことができる。
【0031】
ポリウレタン/ポリエーテルは、マルチブロック、具体的には、トリブロックの形であってもよい。疎水性ブロックは、鎖の各末端にあってもよく(例えば、親水性の中央ブロックを含有するトリブロックコポリマー)、または両末端および鎖中に分布されていてもよい(例えば、マルチブロックコポリマー)。これらの同じポリマーはまた、グラフトポリマーでも星型ポリマーでもよい。
【0032】
脂肪鎖を含む非イオン性ポリウレタン/ポリエーテルは、トリブロックコポリマーであってもよく、それの親水性ブロックは、50〜1000個のオキシエチレン基を含むポリオキシエチレン鎖である。
【0033】
非イオン性ポリウレタン/ポリエーテルは、親水性ブロック間にウレタン結合を含み、名前はそこに由来している。
【0034】
拡大解釈すると、また、疎水性鎖を含む非イオン性ポリウレタン/ポリエーテルには、親水性ブロックが他の化学結合を介して疎水性ブロックに結合されているものも包含される。
【0035】
本発明で使用することができる疎水性鎖を含む非イオン性ポリウレタン/ポリエーテルの例として、Rheox社から販売されているウレア官能基を含有するRheolate 205(登録商標)、またはRheolate(登録商標)208、204、もしくは212、またAcrysol RM 184(登録商標)を使用することもまた可能である。
【0036】
また、Akzo製のC12〜C14アルキル鎖を含有する製品Elfacos T210(登録商標)、およびC18アルキル鎖を含有する製品Elfacos T212(登録商標)を挙げることもできる。
【0037】
また、水中において20%の固体含有量で販売されている、C20アルキル鎖およびウレタン結合を含有するRohm & Haas製の製品DW 1206B(登録商標)も使用することができる。
【0038】
また、これらのポリマーの、具体的には、水または水性/アルコール性媒体中の溶液または分散液を使用することも可能である。名前を挙げることができるこうしたポリマーの例は、Rheox社から販売されているRheolate(登録商標) 255、Rheolate(登録商標) 278、およびRheolate(登録商標) 244である。また、Rohm & Haas社から販売されている製品DW 1206FおよびDW 1206Jも使用することができる。
【0039】
本発明に従って使用することができるポリウレタン/ポリエーテルはまた、G. Fonnum、J. Bakke、およびFk. Hansen、Colloid Polym. Sci.、271、380〜389頁(1993年)の論文に記載されているものから選択することができる。
【0040】
本発明の特定の一形態によれば、(i)150〜180molの酸化エチレンを含む少なくとも1種のポリエチレングリコールと、(ii)100molの酸化エチレンを含むポリオキシエチレン化ステアリルアルコールと、(iii)ジイソシアナートとを含む少なくとも3種の化合物の重縮合によって得ることができるポリウレタン/ポリエーテルを使用する。こうしたポリウレタン/ポリエーテルは、特に、Elementis社から商品名Rheolate FX 1100(登録商標)で販売されており、これは、136molの酸化エチレンを含有するポリエチレングリコールと、100molの酸化エチレンを含むポリオキシエチレン化ステアリルアルコールと、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)との、重量平均分子量が30000の重縮合物である(INCI名:PEG-136/Steareth-100/HDIコポリマー)。
【0041】
本発明の別の特定の一形態によれば、(i)150〜180molの酸化エチレンを含む少なくとも1種のポリエチレングリコールと、(ii)ステアリルアルコールまたはデシルアルコールと、(iii)少なくとも1種のジイソシアナートとを含む少なくとも3種の化合物の重縮合によって得ることができるポリウレタン/ポリエーテルを使用する。
【0042】
こうしたポリウレタン/ポリエーテルは、具体的には、Rohm & Haas社から商品名Aculyn 46(登録商標)およびAculyn 44(登録商標)で販売されている。
【0043】
INCI名:PEG-150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマーを有するAculyn 46(登録商標)は、マルトデキストリン(4%)と水(81%)とのマトリクス中において15重量%の、150または180molの酸化エチレンを含むポリエチレングリコールとステアリルアルコールとメチレンビス(4-シクロへキシルイソシアナート)(SMDI)との重縮合物である(INCI名:PEG-150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマー)。
【0044】
Aculyn 44(登録商標)(PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマー)は、プロピレングリコール(39%)と水(26%)との混合物中において35重量%の、150または180molの酸化エチレンを含むポリエチレングリコールとデシルアルコールとメチレンビス(4-シクロへキシルイソシアナート)(SMDI)との重縮合物である(INCI名:PEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマー)。
【0045】
上述の非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルポリマーは、組成物の総重量に対して0.05重量%〜1重量%、好ましくは、0.1重量%〜0.6重量%、優先的には、0.1重量%〜0.5重量%の範囲の含有量で本発明による組成物中に存在することができる。
【0046】
有利なことに、上述の式(I)のジャスモン酸化合物および非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルポリマーは、化合物(I)/非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルポリマーの重量比が30〜60、好ましくは、40〜50の範囲で本発明による組成物中に存在することができる。
【0047】
粘度測定に関するプロトコル:
本発明の組成物の粘度は、当業者に周知の任意の方法によって、特に以下の従来法に従って測定することができる。したがって、測定は、200rpmで回転するスピンドルを装備したContraves TVまたはRheomat 180を使用して、25℃で行なうことができる。当業者は、測定を行なうことができるように、当業者の一般知識に基づいてスピンドルM1またはM2から粘度を測定するためのスピンドルを選択することができる。上記で定義したジャスモン酸化合物の本発明によるターポリマーを含む水溶液への添加は、ポリマーのみを含む溶液の粘度に対して20%未満、具体的には15%以下、具体的には10%以下の粘度変化に反映される。
【0048】
本発明による組成物は、生理学的に許容される水性媒体を含む。用語「生理学的に許容される媒体」は、ヒトケラチン質および/または繊維、例えば、非限定的な形で、皮膚、粘膜、爪、頭皮、および/または毛髪に適合する媒体を示すことを意図している。この生理学的に許容される水性媒体は、水性相を、場合により、C1〜C8アルコール、具体的には、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、n-ブタノール;グリセロール、プロピレングリコール、もしくはブチレングリコールなどのポリオール、およびポリオールエーテルなどの1種または複数の有機溶媒との混合物として、または非混合物として含む。
【0049】
本発明による組成物はまた、脂肪相を含むことができ、この脂肪相は、想定される応用分野で通常使用されるオイル、ゴム、ワックスを含み得る。
【0050】
したがって、一実施形態によれば、本発明による組成物はまた、周囲温度(20〜25℃)および大気圧で固体である脂肪相、ならびに/または周囲温度(20〜25℃)および大気圧で液体である脂肪相から選択される少なくとも1種の脂肪相を含むことができる。
【0051】
本発明の実施に適する液体脂肪相は、揮発性オイル、不揮発性オイル、およびそれらの混合物を含むことができる。揮発性または不揮発性のオイルは、炭化水素オイル、具体的には、動物もしくは植物由来のオイル、合成オイル、シリコーンオイル、フッ素オイル、またはそれらの混合物とすることができる。
【0052】
本発明の実施に適する固体脂肪相は、例えば、ペースト状脂肪物質、ゴム、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0053】
本発明で使用することができるオイルまたはワックスとして、鉱物オイル(液体ペトロラタム)、植物オイル(シアバターの液体留分、ヒマワリオイル)、動物オイル(パーヒドロスクアレン)、合成オイル(パーセリンオイル)、シリコーンオイルもしくはワックス(シクロメチコン)、およびフッ素オイル(ペルフルオロポリエーテル)、蜜蝋、カルナウバワックス、またはパラフィンワックスを挙げることができる。脂肪アルコールおよび脂肪酸(ステアリン酸)を、これらのオイルに添加することができる。
【0054】
組成物がエマルジョンである場合、脂肪相の割合は、組成物の総重量に対して5重量%〜80重量%、好ましくは、5重量%〜50重量%の範囲とすることができる。エマルジョン形態の組成物中で使用されるオイル、ワックス、乳化剤、および共乳化剤は、化粧品分野で通常使用されるものから選択される。
【0055】
乳化剤および共乳化剤は、組成物の総重量に対して0.3重量%〜30重量%、具体的には、0.5重量%〜20重量%の割合範囲で本発明の組成物中に存在することができる。
【0056】
本発明によるエマルジョンはまた、脂質小胞を含有することができる。
【0057】
本発明による組成物がオイル状溶液またはゲルである場合、脂肪相は、組成物の総重量の90%超とすることができる。
【0058】
本発明による組成物はまた、界面活性剤、乳化剤、親水性または親油性のゲル化剤、親水性または親油性の添加剤、保存剤、酸化防止剤、溶媒、芳香剤、充填剤、UV-Aおよび/またはUV-Bの遮光剤(有機または無機、可溶性または不溶性)、顔料、繊維、キレート化剤、消臭剤、着色剤、ならびに他の化粧品用または薬学用の活性剤などの、想定される分野で一般的な補助剤を含有することができる。
【0059】
これらの様々な補助剤の量は、化粧品分野で通常使用される量であり、例えば、組成物の総重量の0.01%〜30%の範囲とすることができる。一般に、量は、製造される配合物に応じて調整される。その性質に応じて、これらの補助剤は、脂肪相、水性相、および/または脂質小球に導入することができる。
【0060】
本発明で使用することができる親水性ゲル化剤として、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、アクリレート/アルキルアクリレートコポリマーなどのアクリルコポリマー、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルセルロースなどの多糖、天然ゴムおよび粘土を挙げることができ、親油性ゲル化剤として、ベントンなどの変性粘土、脂肪酸の金属塩、例えば、ステアリン酸アルミニウム、および疎水性シリカを挙げることができる。
【0061】
本発明の組成物は、企図され得るすべての配合物形態で提供することができる。具体的には、本発明による組成物は、水性もしくは水性/アルコール性溶液;分散液;油中水型、水中油型、もしくは複合エマルジョン;懸濁剤;マイクロカプセルもしくはマイクロ粒子;イオン性および/もしくは非イオン性タイプのベシクル分散物;または加圧された噴霧剤も含むエアロゾル組成物の形を有することができる。優先的には、本発明による組成物は、水中油型エマルジョンとすることができる。
【0062】
本発明による組成物は、毛髪の手入れ用組成物、具体的には、シャンプー、毛髪セット用ローション、処置用ローション、整髪用クリームもしくはゲル、染色組成物、具体的には、酸化染色組成物、毛髪修復用ローション、パーマ用組成物(具体的には、パーマをかける第1ステップの組成物)、脱毛に抗するためのローションもしくはゲル、または抗寄生虫シャンプーの形で提供することができる。
【0063】
それはまた、顔、手、足、主な解剖学上の襞、または身体のための清浄用、保護用、処置用、または手入れ用組成物(例えば、昼用クリーム、夜用クリーム、メイクアップ落としクリーム、日焼け止め組成物、保護もしくは手入れ用ボディミルク、アフターサンミルク、ローション、清浄用ローションなどの皮膚手入れ用ゲルもしくはフォーム、または人工日焼け用組成物);ファンデーションなどの身体または顔に化粧をするための組成物;入浴用組成物;例えば殺菌剤を含む脱臭用組成物;アフターシェイブ組成物;脱毛用組成物;虫さされまたはかみつきに抗するための組成物;鎮痛組成物;あるいは湿疹、酒さ、乾癬、苔癬、または深刻な掻痒症などのある種の皮膚疾患を治療するための皮膚科学用または薬学用組成物の形で提供することができる。
【0064】
本発明による組成物がピーリングタイプの使用に意図される場合、それは、上述のすべての配合物形態、但し、すすぐことで容易に除去されるもの、具体的には、水性ゲルまたは水性もしくは水性/アルコール性溶液の形態でも提供することができる。
【0065】
本発明による組成物は、均一な分配を可能にする任意の手段によって、具体的には、コットンウールスワブ、ロッド、ブラシ、ガーゼ、スパチュラ、またはパッドを使用して、あるいは噴霧によって施用することができ、水ですすぐことによって、または中性洗剤を使用することによって除去することができる。
【0066】
本発明による組成物は、揮発性もしくは不揮発性液状タイプの流動体の形、ペーストの形、正もしくは逆エマルジョンの形、または含浸された支持体もしくはゲルの形で提供することができる。
【0067】
具体的には、本発明による組成物は、固体形、具体的には、コンパクト、粉体、もしくはキャストの固体形、またはスティックの形で提供することができる。
【0068】
本発明による組成物はまた、手入れ用製品、日焼け止めもしくはアフターサン製品、日常的な光防護手入れ用製品、身体用製品、顔もしくは首に施用するファンデーション、コンシーラー製品、肌の色を修正するもの、顔の化粧用のティントクリーム(tinted cream)もしくはメイクアップベース、または身体用メイクアップ組成物の形とすることができる。
【0069】
本発明による組成物は、表皮、具体的には、皮膚の一般的な状態を改善する目的のために、特に、その生理学的機能および/またはその美的外観を維持または回復させるために使用することができる。
【0070】
したがって、本発明による組成物は、有利なことに、表皮の老化に抗するために、保湿の維持および/もしくは刺激のために、ならびに/または皮膚の乾燥に抗するために、皮膚の緊張状態を改善させるために、皮膚の柔軟性および弾力性の維持もしくは回復のために、表皮の鉱化(mineralization)を改善させるために、表皮の活力を改善させるために、細胞間の交換を促進させるために、ならびに皮膚のひび割れおよびひび割れの外観に抗するために使用することができる。
【0071】
本発明による組成物は、化粧品用および/または皮膚科学用の用途を意図することができる。
【0072】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例として与える以下の実施例からより明白に分かる。以上および以下の本文において、割合は、別段の指示がない限り、重量パーセンテージとして与えられる。
【0073】
(実施例)
(比較例1〜4)
水性ゲルを、3種の会合性増粘ポリマー(本発明による2種の非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルポリマーおよび本発明外の1種の会合性ポリマー)を用いて生成し、各ポリマーに関して、ゲルを、3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸のナトリウム塩を用いて、または3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸のナトリウム塩がない状態で生成した。
【0074】
次いで、得られた水性ゲルの粘度を、周囲温度で24時間保存した後に測定した(200回転/分で10分間回転させた後、M3スピンドルを備えたContraves TVを使用して25℃で測定した粘度)。
【0075】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0076】
これらの試験は、3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸のナトリウム塩の存在下での非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルRheolate FX1100およびAculyn 44を含むゲルだけが、粘度の低下を示さず、一方、同じ活性剤の存在下でのAristoflex SNCを含むゲルが、約26%の粘度の低下を示し、Sepigel 305を含むゲルが、約50%の粘度の低下を示すことを示している。したがって、非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルゴムが存在すると、3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸のナトリウム塩の存在下での水性ゲルの粘度を維持することが可能になる。
【0077】
(実施例5)
以下の組成物を有する顔の手入れ用クリームを製造した。
【0078】
【表5】

【0079】
得られた組成物は、濃厚なクリームの外観を有するが、皮膚への施用中に溶ける。組成物を顔に施用すると、肌の色の明るさを回復させることが可能になる。
【0080】
(実施例6)
揮発性日焼け止め流動体を製造する。
【0081】
【表6】

【0082】
得られた製品は、活性剤によって付与された生物学的活性に加えて、安定であり、噴霧することができ、皮膚に日焼け止め防護を与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される水性媒体中において、次式(I)の化合物:
【化1】

(式中、
R1は、COOR3基を表し、R3は、水素原子、または1個もしくは複数のヒドロキシル基で場合によっては置換されたC1〜C4アルキル基を示し、
R2は、1〜18個の炭素原子を含有する飽和もしくは不飽和の直鎖状炭化水素基、または3〜18個の炭素原子を含有する飽和もしくは不飽和の分岐状もしくは環状炭化水素基を表す)
また、その光学異性体、および対応する塩と、
非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルポリマーと
を含む組成物。
【請求項2】
前記化合物(I)において、R1が、-COOH、-COOMe、-COO-CH2-CH3、-COO-CH2-CH(OH)-CH2OH、-COOCH2-CH2-CH2OH、または-COOCH2-CH(OH)-CH3から選択される基を示し、R2が、2〜6個の炭素原子を含有する飽和または不飽和の直鎖状炭化水素基を示すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物(I)が、3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記式(I)の化合物は、前記組成物の総重量に対して0.01重量%〜10重量%、好ましくは、0.1重量%〜5重量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルが、親水性ブロックで分離された、6〜30個の炭素原子を含有する少なくとも2本の親油性炭化水素鎖を含み、前記炭化水素鎖が、懸垂鎖、または親水性ブロックの末端にある鎖でもよいことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルが、トリブロックの形であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルが、トリブロックの形であり、前記トリブロック形の親水性ブロックが、50〜1000個のオキシエチレン基を含むポリオキシエチレン鎖であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルが、(i)150〜180molの酸化エチレンを含む少なくとも1種のポリエチレングリコールと、(ii)100molの酸化エチレンを含むポリオキシエチレン化ステアリルアルコールと、(iii)ジイソシアナートとを含む、少なくとも3種の化合物の重縮合によって得ることができることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルが、PEG-136/Steareth-100/HDIコポリマーであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルが、(i)150〜180molの酸化エチレンを含む少なくとも1種のポリエチレングリコールと、(ii)ステアリルアルコールまたはデシルアルコールと、(iii)少なくとも1種のジイソシアナートとを含む、少なくとも3種の化合物の重縮合によって得ることができることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルが、PEG-150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマーまたはPEG-150/デシルアルコール/SMDIコポリマーであることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記非イオン性会合性ポリウレタン/ポリエーテルポリマーが、前記組成物の総重量に対して0.05重量%〜1重量%、好ましくは、0.1重量%〜0.6重量%、優先的には、0.1重量%〜0.5重量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、油中水型エマルジョンの形をしていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ケラチン質を非治療的に処置する方法であって、前記ケラチン質に、請求項1から13のいずれか一項に記載の化粧品用組成物を施用する工程を含む方法。

【公表番号】特表2013−515043(P2013−515043A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545377(P2012−545377)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/FR2010/052711
【国際公開番号】WO2011/083235
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】