説明

ジョイントコネクタならびにこれを含むワイヤハーネス、およびワイヤハーネスの製造方法

【課題】製造コストを低く抑えるとともに作業性を向上させることが可能なジョイントコネクタおよびこれを含むワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】アース用ジョイントコネクタ1は、複数の電線用端子20と、電線側端子部32、アース側端子部34およびこれらを連結する段差部36を有するアース用導体30と、アース用導体挿入口40aおよび電線用端子挿入口40bを有するコネクタハウジング40と、止水テープ60とを備えている。止水テープ60は、アース用導体挿入口40aに電線側端子部32が挿入され、かつ、電線用端子20が端子収容室44に収容された状態で、アース用導体挿入口40aおよび電線用端子挿入口40bに外側から貼り付けられることにより、アース用導体挿入口40aおよび電線用端子挿入口40bを液密的にシールし、段差部36の第1屈曲部36aを止水テープ60によって被覆する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ワイヤハーネスに設けられ、このワイヤハーネスに含まれる複数のアース用電線などの各種電線を車両内の所定のアース部位などの接続部位に接続するジョイントコネクタならびにこれを含むワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ワイヤハーネスに含まれる複数のアース用電線を一括して車両のアース部位に接続するためのアース接続装置として、特許文献1に記載されるアース用ジョイントコネクタが知られている。このアース用ジョイントコネクタは、各アース用電線の端末に装着される複数の電線用端子と、アース用導体と、これを保持するコネクタハウジングとを備えている。アース用導体は、各電線用端子が端子嵌合方向に嵌合される複数の電線側端子部と、アース部位における壁面上に固定された状態で前記アース部位に接続されるアース側端子部とを有し、各電線側端子部が端子嵌合方向と略直交しかつ壁面と略平行な方向に並んだ状態でアース側端子部と一体につながっている。コネクタハウジングの前面および後面には、それぞれ複数の開口が形成され、前面側開口には、アース用導体の複数の電線側端子部がそれぞれ挿入され、後面側開口には、複数の電線用端子が挿入されている。各電線用端子は、コネクタハウジング内部において、電線側端子部と嵌合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011―60522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の特許文献1記載のようなアース用ジョイントコネクタでは、前面側開口と電線側端子部との隙間、および後面側開口と電線用端子との隙間は、コネクタハウジングの外部に晒されているので、これらの隙間から水が浸入して、コネクタハウジング内部の端子部分を腐食させるなどのおそれがある。そのため、上記のようなアース用ジョイントコネクタは、自動車のエンジンルームなど水に晒されるおそれがある場所で使用することができなかった。そのため、現状では、エンジンルーム用に防水仕様のジョイントコネクタが用いられているが、このような防水仕様のジョイントコネクタは、コネクタ本体などの電気的接続部分を防護するためのアウターケーシングおよびパッキンを有しているので、製造コストが高く、サイズが大きくなるという問題がある。
【0005】
さらに、ジョイントコネクタ内部への水の浸入を防止するために、コネクタケーシングの外部に露出する隙間を2液樹脂硬化剤などによりシールすることも考えられるが、この場合、2液樹脂硬化剤を付与するための工程が必要になるとともに硬化剤の乾燥ならびに硬化時間を必要とする。さらに、シールしたい隙間の部分に正確に2液を塗布または滴下させることが難しいので、作業性を向上することが困難である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、製造コストを低く抑えることができ、かつ、作業性を向上させることが可能であり、しかも、必要な防水性能を維持することが可能なジョイントコネクタおよびこれを含むワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、本発明のジョイントコネクタは、ハーネスに含まれる複数の電線を車両内の接続部位に接続するためのジョイントコネクタであって、前記各電線の端末に装着される複数の電線用端子と、前記各電線用端子に接続可能な形状を有する複数の電線側端子部および前記接続部位に接続可能な形状を有する接続部位側端子部、および当該電線側端子部と当該接続部位側端子部とを両者が互いに異なる高さに位置するように連結する段差部を有する導体部と、前記導体部の電線側端子部が挿入可能な形状を有する導体部挿入口および前記電線用端子が挿入可能な形状を有する電線用端子挿入口を有するとともに、前記導体部挿入口および前記電線用端子挿入口に連通し、かつ前記各電線用端子が収容される複数の端子収容室を有するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングにおける前記導体部挿入口および前記電線用端子挿入口を液密的にシールする止水テープとを備え、前記段差部は、前記電線側端子部に連結するとともに当該電線側端子部が延びる方向と異なる方向に曲げられた第1屈曲部と、前記接続部位側端子部に連結するとともに当該接続部位側端子部が延びる方向と異なる方向に曲げられた第2屈曲部と、前記第1屈曲部と前記第2屈曲部との間を連結する中間部とを有しており、前記止水テープは、前記導体部挿入口に前記電線側端子部が挿入され、かつ、前記電線用端子が前記端子収容室に収容された状態で、少なくとも前記段差部の前記第1屈曲部を被覆し、かつ、前記導体部挿入口および前記電線用端子挿入口に外側から貼り付けられることにより、当該導体部挿入口および当該電線用端子挿入口を液密的にシールすることを特徴とするものである。
【0008】
この構成によれば、コネクタハウジングは、導体部の電線側端子部が挿入される導体部挿入口と、電線用端子が挿入される電線用端子挿入口を有しているが、これらの挿入口は、導体部挿入口に電線側端子部が挿入され、かつ、電線用端子が端子収容室に収容された状態で、止水テープによってシールされているので、これらの挿入口の隙間から水が浸入することを防ぐことができる。しかも、コネクタハウジングの導体部挿入口および電線用端子挿入口に止水テープを外側から貼り付ける作業によって、上記の構成を得ることができるので、防水仕様のジョイントコネクタのような防水・防食対応の専用部品を必要としない。さらに、導体部の電線側端子部と接続部位側端子部との間は、2つの屈曲部を有する段差部によって連結され、さらに、少なくとも電線側端子部に連結する第1屈曲部が止水テープによって被覆されているので、止水テープを第1屈曲部に巻くときに接続部位側端子部が邪魔になることが無く、しかも、第1屈曲部をつたってコネクタハウジング内に水が浸入するのをより有効に防ぐことが可能である。また、2液樹脂硬化剤を用いた防水処理などのような時間と手間がかかる専用工法も不要である。その結果、防水・防食仕様のジョイントコネクタの低コスト化および作業性の向上を図ることが可能である。
【0009】
また、前記電線用端子を前記端子収容室において前記各電線側端子部と嵌合された状態で係止するためのリテーナをさらに備え、前記コネクタハウジングの表面には、前記リテーナが挿入されるリテーナ挿入口が開口され、前記リテーナ挿入口は、当該リテーナ挿入口に前記リテーナが挿入された状態で、前記止水テープによって液密的にシールされていてもよい。
【0010】
電線用端子をコネクタハウジング内部で係止するためのリテーナをさらに備えている場合、コネクタハウジングの表面には、リテーナ挿入口が開口しており、このリテーナ挿入口からコネクタハウジング内部へ水が浸入するおそれがある。そこで、上記の構成によれば、リテーナ挿入口は、リテーナが挿入された状態で、止水テープによって液密的にシールされるようにしている。これにより、止水テープを導体部挿入口および電線用端子挿入口とともにリテーナ挿入口の外側にも貼り付けることによって、リテーナ挿入口からコネクタハウジング内部への水の浸入を防止することができる。
【0011】
さらに、前記止水テープは、基材層と、粘着材層とを有しており、前記粘着材層は、ブチルゴムおよび/またはポリイソブチレンからなるのが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、止水テープの粘着材層が自己融着性および粘着性にすぐれたブチルゴムまたはポリイソブチレンからなるので、コネクタハウジング内部への水の浸入を防止する効果にすぐれている。
【0013】
さらに、前記導体部の接続部位側端子部は、前記車両内の壁面上に設けられたアース部位に接続可能な形状を有しているのが好ましい。
【0014】
前記導体部の接続部位側端子部は、前記車両内の壁面上に設けられたアース部位に接続可能な形状を有しているので、ジョイントコネクタを介してワイヤハーネスに含まれる複数の電線を車両内の壁面上に設けられたアース部位に一括して接続することが可能である。
【0015】
本発明のワイヤハーネスは、複数の電線が互いに束ねられたワイヤハーネス本体と、上記のジョイントコネクタとを含むワイヤハーネスであって、前記複数の電線用端子は、前記各電線の端末にそれぞれ装着された状態で前記コネクタハウジングの各端子収容室に挿入されて前記導体部の各電線側端子部に接続され、前記コネクタハウジングにおける前記導体部挿入口および前記電線用端子挿入口は、前記導体部挿入口に前記電線側端子部が挿入され、かつ、前記電線用端子挿入口に前記電線が挿入された状態で、前記止水テープによって液密的にシールされ、さらに、少なくとも前記段差部の前記第1屈曲部が、前記止水テープによって被覆されていることを特徴とするものである。
【0016】
この構成によれば、コネクタハウジングにおける導体部挿入口および電線用端子挿入口は、導体部挿入口に電線側端子部が挿入され、かつ、電線用端子挿入口に電線が挿入された状態で、止水テープによって液密的にシールされているので、これらの挿入口の隙間から水が浸入することを防ぐことができる。しかも、コネクタハウジングの導体部挿入口および電線用端子挿入口に止水テープを外側から貼り付ける作業によって、上記の構成を得ることができるので、防水・防食対応の専用部品および専用工法が不要である。さらに、導体部の電線側端子部と接続部位側端子部との間は、2つの屈曲部を有する段差部によって連結され、さらに、少なくとも電線側端子部に連結する第1屈曲部が止水テープによって被覆されているので、止水テープを第1屈曲部に巻くときに接続部位側端子部が邪魔になることが無く、しかも、第1屈曲部をつたってコネクタハウジング内に水が浸入するのをより有効に防ぐことが可能である。その結果、防水・防食仕様のジョイントコネクタの低コスト化および作業性の向上を図ることが可能である。
【0017】
本発明のワイヤハーネスの製造方法は、複数の電線が互いに束ねられたワイヤハーネス本体と、上記のジョイントコネクタとを含むワイヤハーネスの製造方法であって、前記電線の端末に装着された前記電線用端子を前記コネクタハウジングにおける前記電線用端子挿入口に挿入して、当該電線用端子を前記導体部の各電線側端子部に接続する工程と、前記コネクタハウジングにおける前記導体部挿入口および前記電線用端子挿入口を、前記導体部挿入口に前記電線側端子部が挿入され、かつ、前記電線用端子挿入口に前記電線が挿入された状態で、前記止水テープによって液密的にシールし、さらに、少なくとも前記段差部の前記第1屈曲部を前記止水テープによって被覆する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0018】
この特徴によれば、コネクタハウジングにおける導体部挿入口および電線用端子挿入口を、導体部挿入口に電線側端子部が挿入され、かつ、電線用端子挿入口に電線が挿入された状態で、止水テープによって液密的にシールするので、これらの挿入口の隙間から水が浸入することを防ぐことができる。しかも、コネクタハウジングの導体部挿入口および電線用端子挿入口に止水テープを外側から貼り付ける作業によって、上記の構成を得ることができるので、防水・防食対応の専用部品および専用工法が不要である。さらに、導体部の電線側端子部と接続部位側端子部との間は、2つの屈曲部を有する段差部によって連結され、さらに、少なくとも電線側端子部に連結する第1屈曲部が止水テープによって被覆されているので、止水テープを第1屈曲部に巻くときに接続部位側端子部が邪魔になることが無く、しかも、第1屈曲部をつたってコネクタハウジング内に水が浸入するのをより有効に防ぐことが可能である。その結果、防水・防食仕様のジョイントコネクタの低コスト化および作業性の向上を図ることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、コネクタハウジングの開口部分に止水テープを外側から貼り付けることによって必要な防水性能を維持したことによって、従来のような防水仕様のジョイントコネクタを用いた場合と比較して製造コストを低く抑えることができる。しかも、止水テープを貼り付けることによって防水処理を容易に行うことができるので、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係るワイヤハーネスの端末における構成を示す斜視図である。
【図2】図1のワイヤハーネスから止水テープを取り除いた状態を示す斜視図である。
【図3】図1のワイヤハーネスから止水テープを取り除いた状態を示す平面図である。
【図4】図1のワイヤハーネスから止水テープを取り除いた状態を示す正面図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】図1のワイヤハーネスから止水テープを取り除いた状態をアース用導体側から見た図である。
【図7】図1のワイヤハーネスから止水テープを取り除いた状態をワイヤハーネス本体側から見た図である。
【図8】図1のアース用ジョイントコネクタのリテーナが挿脱許容位置にある状態を示す断面正面図である。
【図9】図1のアース用ジョイントコネクタのリテーナが係止位置にあり、コネクタハウジングが止水テープによってシールされた状態を示す断面正面図である。
【図10】図1の止水テープの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1〜7に示されるワイヤハーネスWHは、アース用ジョイントコネクタ1と、当該アース用ジョイントコネクタ1に接続されるワイヤハーネス本体2とを備える。ワイヤハーネス本体2は、互いに束ねられた複数のアース用電線11を含む。
【0023】
ワイヤハーネス本体2を構成する電線には、複数本(図例では12本)のアース用電線11が含まれる。アース用電線11は、図8〜9に示される導体14とこれを被覆する絶縁被覆16とで構成され、アース用ジョイントコネクタ1を介して車両のアース部位に一括して接続される。このアース部位は、図3〜4に示すように、車両のエンジンルームにおいてボディの壁面Wからエンジンルーム内側に突設されたボルトBによって構成される。
【0024】
アース用電線11は、ワイヤハーネスWHにつながる特定の回路をアース部位に接地するためのものであり、それぞれの一端がアース部位(ボルトB)に接続され、他端は前記回路に接続される。また、アース部位には、アース用ジョイントコネクタ1とともに別のアース用ジョイントコネクタをさらに接続することも可能である。
【0025】
図1〜7に示されるアース用ジョイントコネクタ1は、複数の電線用端子20(図8〜9参照)と、アース用導体30と、コネクタハウジング40と、リテーナ50と、止水テープ60とを備える。アース用導体30は、本発明の導体部に対応する。
【0026】
電線用端子20は、図8〜9に示されるように、それぞれ、各アース用電線11の端末に設けられるもので、雌型の電気接触部22と、電線圧着部を構成する導体バレル23及びインシュレーションバレル24とを前後に有する。
【0027】
電気接触部22は、中空角筒状の本体と、この本体内で撓み可能に設けられる接触ばね片26とを有する。この電気接触部22の天壁には、前記コネクタハウジング40側に係止されるための被係止用孔28が穿設されている。
【0028】
前記電線圧着部は、対応するアース用電線11の端末に圧着される。当該アース用電線11の端末には、予め、その絶縁被覆16を除去して導体14を露出させる処理が施されており、前記電線圧着部の各バレル23,24がそれぞれ前記導体14の端末及びその近傍の絶縁被覆16をそれぞれ抱き込むように曲げ加工されることにより、アース用電線11の端末に圧着されてその導体に電気的に接続される。
【0029】
アース用導体30は、導電材料からなり、各電線用端子20に共通して接続されることによりこれらの電線用端子20を一括してアース部位(ボルトB)に接続、すなわち接地される。前記コネクタハウジング40は、合成樹脂等の絶縁材料により全体が一体に成型され、前記アース用導体30の所定部位を格納した状態で保持することが可能な形状、具体的には当該アース用導体30の厚み方向に偏平な形状を有する。
【0030】
アース用導体30は、図3〜9に示されるように、複数の(図例では12本の)電線側端子部32と、複数の電線側端子部32を連結する連結部33(図6参照)と、アース側端子部34と、連結部33とアース側端子部34との間に介在する段差部36とを一体に有し、前記各電線側端子部32が連結部33および段差部36を介して共通のアース側端子部34につながっている。複数の電線側端子部32は、上下2段にそれぞれ6本ずつ配置されている。これらの電線側端子部32は、U字状の連結部33によって、互いに接続されている。連結部33は、段差部36に連結されている。
【0031】
各電線側端子部32は、アース用ジョイントコネクタ1の後側(電線側)に向かって突出し、前記各電線用端子20の雌型の電気接触部22に対して所定の端子嵌合方向(アース用電線11の軸方向X2(図9参照))に嵌入可能な雄型の嵌合部(タブ)を構成し、その嵌合状態で前記電気接触部22の接触ばね片26及び天壁と圧接することにより、当該電気接触部22と電気的に導通する。これらの電線側端子部32は、その幅方向と平行な方向(前記端子嵌合方向と直交する方向であって前記壁面Wと平行な方向X1(図3参照))に上下2段で配列されている。
【0032】
アース側端子部34は、アース部位であるボルトBに接続された状態で壁面W上に固定される。具体的に、このアース側端子部34は、前記壁面Wに沿う板状をなしている。アース側端子部34は、本発明の接続部位側端子部に対応する。
【0033】
このアース側端子部34は、その適当な位置(図例では前記電線側端子部32からその配列方向と平行な方向である幅方向にオフセットした位置)で前記ボルトBが挿通可能な貫通孔35を囲む。
【0034】
段差部36は、図5〜6に示されるように、複数の電線側端子部32を連結する連結部33(図6参照)とアース側端子部34とを両者が異なる高さに位置するように連結する。段差部36は、第1屈曲部36aと、第2屈曲部36bと、中間部36cとを有している。第1屈曲部36aは、電線側端子部32および連結部33に連結するとともに当該電線側端子部32が延びる水平方向と異なる下方向に曲げられている。第2屈曲部36bは、アース側端子部34に連結するとともに当該アース側端子部34が延びる水平方向と異なる上方向に曲げられている。中間部36cは、第1屈曲部36aおよび第2屈曲部36bの曲げの終端同士を直線的に連結する。また、段差部36は、コネクタハウジング40の下面とアース側端子部34との間に所定の段差を与えた状態で、各電線側端子部32とアース側端子部34との間の電気的接続を可能にしている。
【0035】
コネクタハウジング40は、アース用導体30のうちのアース側端子部34を露出させた状態で各電線側端子部32を保持し、かつ、各電線側端子部32の配列方向と直交する方向に偏平な形状をなす。
【0036】
図8に示されるように、コネクタハウジング40の前面40d、後面40eおよび上面40fには、それぞれ挿入口40a、40b、40cが開口している。すなわち、コネクタハウジング40の前面40dには、アース用導体30の複数の電線側端子部32が挿入可能な形状を有するアース用導体挿入口40aが開口している。また、コネクタハウジング40の後面40eには、複数の電線用端子20および電線11が挿入可能な形状を有する電線用端子挿入口40bが開口している。さらに、コネクタハウジング40の上面40fには、リテーナ50が挿入可能な形状を有するリテーナ挿入口40cが開口している。
【0037】
このコネクタハウジング40は、アース側端子部34が壁面Wに固定されたときに当該壁面Wと対向する下面40gと、その反対側の上面40fとを有し、この実施の形態では両面40f,40gがともに前記壁面Wと略平行な平面となっている。
【0038】
前記コネクタハウジング40の前側部(アース側部)は導体保持部43を構成し、後側部(電線側部)は複数(図例では12室)の端子収容室44を有する。端子収容室44は、アース用導体挿入口40aおよび電線用端子挿入口40bに連通している。
【0039】
これらの端子収容室44は、電線側端子部32の並び方向と平行な方向に当該電線側端子部32のピッチと同ピッチで並び、後面40e側すなわちアース側端子部34と反対の側には、それぞれ上記の電線用端子挿入口40bが開口している。そして、この電線用端子挿入口40bを通して、各電線用端子20の電気接触部22が当該端子収容室44内に挿入される。
【0040】
導体保持部43は、この導体保持部43内に端子収容室44と反対の側(前面40d側)に上記のアース用導体挿入口40aが開口している。導体保持部43は、アース用導体挿入口40aを通してアース用導体30の各電線側端子部32が圧入されるのを許容する形状を有し、かつ、その圧入された電線側端子部32を保持する。各電線側端子部32は、これらの電線側端子部32が対応する端子収容室44内に突出し、かつ、この端子収容室44内に挿入される電線用端子20の電気接触部22と当該挿入方向(端子嵌合方向X2)に嵌合される位置に保持される。
【0041】
このコネクタハウジング40には、図8〜9に示されるように、前記各端子収容室44に対応する位置に端子係止部であるランス48が形成されている。各ランス48は、各端子収容室44内においてその天面(上側面)から斜め内側に膨出し、その先端部はコネクタハウジング40の厚み方向Yに撓み変位することが可能な自由端部を構成する。この先端部は、挿入される電線用端子20と接触することにより上側に撓み変形して当該電線用端子20の通過を許容し、その通過後に正規の位置に弾性的に復帰することにより図9に示すように前記電線用端子20の被係止用孔28に嵌り込んで当該電線用端子20を後側から拘束する。つまり、電線用端子20が離脱方向に変位するのを阻止して当該電線用端子20をこの電線用端子20が前記電線側端子部32と嵌合する位置に係止(一次係止)する。
【0042】
リテーナ50は、前記のように電線側端子部32と嵌合されてランス48により係止される各電線用端子20をさらに係止(二次係止)するためのもので、コネクタハウジング40の上面40fの前後方向の中間部に形成されたリテーナ挿入口40cに出没自在に装着される。詳しくは、このリテーナ50は、図8に示す挿脱可能位置と、図9に示すようにそれよりもコネクタハウジング40内に沈み込んだ係止位置との間でコネクタハウジング40の厚み方向Yに移動可能となるように前記コネクタハウジング40に装着され、前記挿脱許容位置では前記各端子収容室44に対する前記各電線用端子20の挿脱を許容し、前記係止位置では前記端子収容室44に挿入されて前記電線側端子部32に嵌合された位置にある電線用端子20をその位置で係止する。
【0043】
図8〜9に示すように、このリテーナ50は、コネクタハウジング40の幅方向(前記電線側端子部32の並び方向と平行な方向X1(図3参照))に延びる天壁52と、各端子収容室44に対応する位置で当該天壁52の下面から突出する複数の係止突起53が形成されている。これらの係止突起53は、リテーナ50が前記挿脱許容位置にあるときに端子収容室44から上側(表側)に退避して当該端子収容室44に対する電線用端子20の挿脱を許容する一方、この電線用端子20が当該端子収容室44内に挿入されて前記ランス48に係止されている状態で前記リテーナ50が前記係止位置まで押し込まれたときに、前記各端子収容室44内に突出して前記各電線用端子20の電気接触部22を後側から拘束することにより、当該電線用端子20の二重係止を行う。なお、図示されていないが、リテーナ50は、挿脱許容位置および係止位置においてそれぞれ係止されるように、係止突起などを有している。
【0044】
(止水テープ60の説明)
本実施形態の止水テープ60は、図3〜9に示されるように、コネクタハウジング40の全体およびそれに接続されるアース用導体30およびワイヤハーネス本体2の一部に巻き付けられる。止水テープ60は、アース用導体挿入口40a、電線用端子挿入口40bおよびリテーナ挿入口40cを液密的にシールする。
【0045】
すなわち、止水テープ60は、アース用導体挿入口40aにアース用導体30の電線側端子部32が挿入され、端子収容室44に電線用端子22が収容され、電線用端子挿入口40bに電線用端子22に接続された電線11が挿入された状態で、アース用導体挿入口40aおよび電線用端子挿入口40bに外側から貼り付けられることにより、当該アース用導体挿入口40aおよび当該電線用端子挿入口40bを液密的にシールする。それとともに、コネクタハウジング40の上面40fに開口するリテーナ挿入口40cも、当該リテーナ挿入口40cにリテーナ50が挿入されて係止位置になった状態で、止水テープ60によって液密的にシールされる。
【0046】
さらに、コネクタハウジング40のうち、少なくとも段差部36の第1屈曲部36a、本実施形態では、第1屈曲部36全体と中間部36cが、止水テープ60によって被覆されている。
【0047】
図10に示されるように、止水テープ60は、基材層61と、粘着材層62とを有している。
【0048】
粘着材層62は、ブチルゴムおよび/またはポリイソブチレンからなり、自己融着性および粘着性にすぐれている。
【0049】
基材層61は、コネクタハウジング40およびそれに接続されるアース用導体30およびワイヤハーネス本体2の接続部分の凹凸形状に沿うことができるような柔軟性を有し、かつ、シール性にすぐれた材料からなる。
【0050】
止水テープ60の粘着材層62は、止水テープ60をコネクタハウジング40およびその周辺部に貼り付ける前の状態では、剥離紙63によって保護されている。
【0051】
止水テープ60としては、例えば、ブチルテープなどが用いられる。ブチルテープは、自己融着性および粘着性にすぐれ、コネクタハウジング40の各挿入口40a、40b、および40cに生じる隙間を効果的に閉塞することができる。しかも、ブチルテープは、安価であるので、ワイヤハーネスWHの製造コストを抑えることが可能である。
【0052】
(ワイヤハーネスWHの製造方法)
つぎに、本実施形態のワイヤハーネスWHの製造方法について説明する。
【0053】
まず、図8に示されるように、アース用ジョイントコネクタ1のコネクタハウジング40にワイヤハーネス本体2を接続する。具体的には、ワイヤハーネス本体2のアース用電線11の端末に装着された各電線用端子20がコネクタハウジング40の各端子収容室44内に挿入され、挿脱許容位置にあるリテーナ50の係止突起53の下をくぐりながらアース用導体30の電線側端子部32に嵌合されることにより、これらの電線用端子20が一括して共通のアース用導体30に電気的に接続可能な状態となる。その嵌合の際、各電線用端子20の電気接触部22に設けられた被係止用孔28内にコネクタハウジング40側の端子係止部であるランス48がそれぞれ嵌り込んで当該電気接触部22を係止(一次係止)することにより、当該電気接触部22と前記電線側端子部32との嵌合状態が維持される。
【0054】
ついで、図9に示されるように、リテーナ50がコネクタハウジング40の厚み方向Y(すなわち電線側端子部32の並び方向X1(図3)及び端子嵌合方向X2(図8)の双方に対して略直交する方向Y)に押し込まれることにより、図9に示されるような係止位置にリテーナ50が本係止される。この係止位置にあるリテーナ50の係止突起53が端子収容室44内に入り込んで前記電線用端子20の電気接触部22を後側から拘束することにより、当該電線用端子20を二次係止する。これにより、コネクタハウジング40の内部で各電線用端子20と各電線側端子部32との嵌合状態を確実に維持することを可能にする。
【0055】
最後に、上記のように、アース用ジョイントコネクタ1のコネクタハウジング40にワイヤハーネス本体2が接続された状態で、止水テープ60として、例えば1枚の幅広のブチルテープをコネクタハウジング40およびそれに接続されるアース用導体30およびワイヤハーネス本体2の一部に貼り付けることにより、コネクタハウジング40の外部に露出するすべての挿入口40a、40b、および40cをシールする。
【0056】
具体的には、アース用導体挿入口40aにアース用導体30の電線側端子部32が挿入され、かつ、電線用端子挿入口40bにアース用電線11が挿入され、かつ、リテーナ挿入口40cにリテーナ50が挿入されて係止位置にある状態で、コネクタハウジング40におけるアース用導体挿入口40a、電線用端子挿入口40bおよびリテーナ挿入口40cを、ブチルテープ(止水テープ60)によって液密的にシールし、さらに、少なくとも段差部36の第1屈曲部36aおよび中間部36cを止水テープ60によって被覆することにより、コネクタハウジング40内部への水の浸入を阻止する。これにより、ワイヤハーネスWHの製造が完了する。
【0057】
製造されたワイヤハーネスWHでは、段差部36の第2屈曲部36bおよびアース側端子部34は、止水テープ60によって被覆されておらず外部に露出しているので、止水テープ60がアース側端子部34を所定のアース部位に電気的に接続することを妨げない。
【0058】
なお、上記のアース用ジョイントコネクタ1を外付アース端子とともに共通のアース部位(ボルトB)に接続する場合には、ワイヤハーネスWHの製造後、すなわち、アース用ジョイントコネクタ1にワイヤハーネス本体2を接続して止水テープ60によって防水処理を施した後に、アース用ジョイントコネクタ1および外付アース端子を重ね合わせてボルトBに接続すればよい。
【0059】
(特徴)
(1)
本実施形態のアース用ジョイントコネクタ1では、コネクタハウジング40は、アース用導体30の電線側端子部32が挿入されるアース用導体挿入口40aと、電線用端子20が挿入される電線用端子挿入口40bを有しているが、これらの挿入口40a、40bは、アース用導体挿入口40aに電線側端子部32が挿入され、かつ、電線用端子20が端子収容室44に収容された状態で、止水テープ60によってシールされているので、これらの挿入口40a、40bの隙間から水が浸入することを防ぐことができる。しかも、コネクタハウジング40のアース用導体挿入口40aおよび電線用端子挿入口40bに止水テープ60を外側から貼り付ける作業によって、上記の構成を得ることができるので、防水仕様のジョイントコネクタのような防水・防食対応の専用部品を必要としない。さらに、アース用導体30の電線側端子部32とアース側端子部34との間は、2つの屈曲部36a、36bを有する段差部36によって連結され、さらに、電線側端子部36aに連結する第1屈曲部36aおよび中間部36cが止水テープ60によって被覆されているので、止水テープ60を第1屈曲部36aおよび中間部36cに巻くときにアース側端子部34が邪魔になることが無く、しかも、第1屈曲部36aをつたってコネクタハウジング40内に水が浸入するのをより有効に防ぐことが可能である。また、2液樹脂硬化剤を用いた防水処理などのような時間と手間がかかる専用工法も不要である。その結果、防水・防食仕様のジョイントコネクタの低コスト化および作業性の向上を図ることが可能である。
【0060】
また、上記の挿入口40a、40bを通してのコネクタハウジング40内部への水の浸入を防止できるので、侵入した水が凍結することによって生じる接続不良などの不具合も生じるおそれがない。
【0061】
(2)
また、本実施形態のアース用ジョイントコネクタ1では、リテーナ挿入口40cは、リテーナ50が挿入された状態で、止水テープ60によって液密的にシールされるようにしている。これにより、止水テープ60をアース用導体挿入口40aおよび電線用端子挿入口40bとともにリテーナ挿入口40cの外側にも貼り付けることによって、リテーナ挿入口40cからコネクタハウジング40内部への水の浸入を防止することができる。
【0062】
(3)
さらに、本実施形態のアース用ジョイントコネクタ1では、止水テープ60の粘着材層62が自己融着性および粘着性にすぐれたブチルゴムまたはポリイソブチレンからなるので、コネクタハウジング40内部への水の浸入を防止する効果にすぐれている。
【0063】
(4)
本実施形態のアース用ジョイントコネクタ1では、アース用導体30のアース側端子部34は、車両内の壁面W上に設けられたアース部位であるボルトBに接続可能な形状を有しているので、アース用ジョイントコネクタ1を介してワイヤハーネスWHに含まれる複数のアース用電線11を車両内の壁面W上に設けられたアース部位であるボルトBに一括して接続することが可能である。
【0064】
(5)
本実施形態のワイヤハーネスWHでは、アース用導体挿入口40aに電線側端子部32が挿入され、かつ、電線用端子挿入口40bにアース用電線11が挿入され、かつ、リテーナ挿入口40cにリテーナ50が挿入された状態で、コネクタハウジング40におけるアース用導体挿入口40a、電線用端子挿入口40bおよびリテーナ挿入口40cが止水テープ60によって液密的にシールされているので、これらの挿入口40a、40b、40cの隙間から水が浸入することを防ぐことができる。しかも、コネクタハウジング40のアース用導体挿入口40a、電線用端子挿入口40bおよびリテーナ挿入口40cに止水テープ60を外側から貼り付ける作業によって、上記の構成を得ることができるので、防水・防食対応の専用部品および専用工法が不要である。さらに、アース用導体30の電線側端子部32とアース側端子部34との間は、2つの屈曲部36a、36bを有する段差部36によって連結され、さらに、電線側端子部36aに連結する第1屈曲部36aおよび中間部36cが止水テープ60によって被覆されているので、止水テープ60を第1屈曲部36aおよび中間部36cに巻くときにアース側端子部34が邪魔になることが無く、しかも、第1屈曲部36aをつたってコネクタハウジング40内に水が浸入するのをより有効に防ぐことが可能である。その結果、防水・防食仕様のジョイントコネクタの低コスト化および作業性の向上を図ることが可能である。
【0065】
しかも、本実施形態では、図9に示されるように、アース用電線11とコネクタハウジング40との接続部分は、ブチルテープなどの自己融着性および粘着性の良い止水テープ60が密着することによって、接続部分の隙間(すなわち、アース用電線11と電線用端子挿入口40bとの隙間)から水がコネクタハウジング40内部に浸入することがない。
【0066】
また、図1のように、複数のアース用電線11が互いに束ねられたワイヤハーネス本体2は、アース用ジョイントコネクタ1に接続された状態で、ブチルテープなどの自己融着性および粘着性の良い止水テープ60によってワイヤハーネス本体2の外周から締め付けられるので、複数のアース用電線11の隙間を通って水がコネクタハウジング40の内部に浸入するおそれもない。
【0067】
(6)
さらに、本実施形態のワイヤハーネスWHでは、一連の帯状の止水テープ60によって、コネクタハウジング40およびそれに接続されるアース用導体30およびワイヤハーネス本体2の一部に巻き付けることにより、コネクタハウジング40の外部に露出するすべての挿入口40a、40b、および40cをシールするので、1つの工程ですべての挿入口40a、40b、および40cを一括してシールすることができるので、作業性が非常に良い。
【0068】
(7)
本実施形態のワイヤハーネスWHの製造方法では、アース用導体挿入口40aに電線側端子部32が挿入され、かつ、電線用端子挿入口40bにアース用電線11が挿入され、かつ、リテーナ挿入口40cにリテーナ50が挿入された状態で、コネクタハウジング40におけるアース用導体挿入口40a、電線用端子挿入口40bおよびリテーナ挿入口40cを止水テープ60によって液密的にシールするので、これらの挿入口40a、40b、40cの隙間から水が浸入することを防ぐことができる。しかも、コネクタハウジング40のアース用導体挿入口40a、電線用端子挿入口40bおよびリテーナ挿入口40cに止水テープ60を外側から貼り付ける作業によって、上記の構成を得ることができるので、防水・防食対応の専用部品および専用工法が不要である。さらに、アース用導体30の電線側端子部32とアース側端子部34との間は、2つの屈曲部36a、36bを有する段差部36によって連結され、さらに、電線側端子部36aに連結する第1屈曲部36aおよび中間部36cが止水テープ60によって被覆されているので、止水テープ60を第1屈曲部36aおよび中間部36cに巻くときにアース側端子部34が邪魔になることが無く、しかも、第1屈曲部36aをつたってコネクタハウジング40内に水が浸入するのをより有効に防ぐことが可能である。その結果、防水・防食仕様のジョイントコネクタの低コスト化および作業性の向上を図ることが可能である。
【0069】
(変形例)
(A)
上記実施形態では、本発明のジョイントコネクタの一例として、車両のアース部位に接続されるアース用ジョイントコネクタを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両内の他の接続部位に接続されるジョイントコネクタにも本発明を適用することが可能である。
【0070】
(B)
また、上記実施形態では、1枚の幅広の止水テープ60によって、コネクタハウジング40およびそれに接続されるアース用導体30およびワイヤハーネス本体2の一部に巻き付けることにより、コネクタハウジング40の外部に露出するすべての挿入口40a、40b、および40cをシールする例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の形状および長さの止水テープ60を用いてコネクタハウジング40の挿入口40a、40b、および40cをシールしてもよい。
【0071】
(C)
上記実施形態では、電線用端子20をコネクタハウジング40の内部で係止するためのリテーナ50を備えたアース用ジョイントコネクタ1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、リテーナ50を有しないジョイントコネクタにも適用することが可能である。
【0072】
(D)
上記実施形態では、アース用導体30における段差部36のうち第1屈曲部36aおよび中間部36cの両方が、止水テープ60によって被覆されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも第1屈曲部36aが止水テープ60によって被覆されていればよい。少なくとも第1屈曲部36aが止水テープ60によって被覆されていれば、止水テープ60を第1屈曲部36aに巻くときにアース側端子部34が邪魔になることが無く、しかも、第1屈曲部36aをつたってコネクタハウジング40内に水が浸入するのをより有効に防ぐことが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 アース用ジョイントコネクタ
11 アース用電線
20 電線用端子
30 アース用導体(導体部)
32 電線側端子部
34 アース側端子部(接続部位側端子部)
36 段差部
36a 第1屈曲部
36b 第2屈曲部
36c 中間部
40 コネクタハウジング
40a アース用導体挿入口
40b 電線用端子挿入口
40c リテーナ挿入口
44 端子収容室
50 リテーナ
60 止水テープ
62 粘着材層
B ボルト(アース部位)
W 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーネスに含まれる複数の電線を車両内の接続部位に接続するためのジョイントコネクタであって、
前記各電線の端末に装着される複数の電線用端子と、
前記各電線用端子に接続可能な形状を有する複数の電線側端子部、前記接続部位に接続可能な形状を有する接続部位側端子部、および当該電線側端子部と当該接続部位側端子部とを両者が互いに異なる高さに位置するように連結する段差部を有する導体部と、
前記導体部の電線側端子部が挿入可能な形状を有する導体部挿入口および前記電線用端子が挿入可能な形状を有する電線用端子挿入口を有するとともに、前記導体部挿入口および前記電線用端子挿入口に連通し、かつ前記各電線用端子が収容される複数の端子収容室を有するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングにおける前記導体部挿入口および前記電線用端子挿入口を液密的にシールする止水テープと
を備え、
前記段差部は、前記電線側端子部に連結するとともに当該電線側端子部が延びる方向と異なる方向に曲げられた第1屈曲部と、前記接続部位側端子部に連結するとともに当該接続部位側端子部が延びる方向と異なる方向に曲げられた第2屈曲部と、前記第1屈曲部と前記第2屈曲部との間を連結する中間部とを有しており、
前記止水テープは、前記導体部挿入口に前記電線側端子部が挿入され、かつ、前記電線用端子が前記端子収容室に収容された状態で、少なくとも前記段差部の前記第1屈曲部を被覆し、かつ、前記導体部挿入口および前記電線用端子挿入口に外側から貼り付けられることにより、当該導体部挿入口および当該電線用端子挿入口を液密的にシールする、
ことを特徴とするジョイントコネクタ。
【請求項2】
前記電線用端子を前記端子収容室において前記各電線側端子部と嵌合された状態で係止するためのリテーナをさらに備え、
前記コネクタハウジングの表面には、前記リテーナが挿入されるリテーナ挿入口が開口され、
前記リテーナ挿入口は、当該リテーナ挿入口に前記リテーナが挿入された状態で、前記止水テープによって液密的にシールされている、
請求項1に記載のジョイントコネクタ。
【請求項3】
前記止水テープは、基材層と、粘着材層とを有しており、
前記粘着材層は、ブチルゴムおよび/またはポリイソブチレンからなる、
請求項1または2に記載のジョイントコネクタ。
【請求項4】
前記導体部の接続部位側端子部は、前記車両内の壁面上に設けられたアース部位に接続可能な形状を有している、
請求項1から3のいずれかに記載のジョイントコネクタ。
【請求項5】
複数の電線が互いに束ねられたワイヤハーネス本体と、請求項1記載のジョイントコネクタとを含むワイヤハーネスであって、
前記複数の電線用端子は、前記各電線の端末にそれぞれ装着された状態で前記コネクタハウジングの各端子収容室に挿入されて前記導体部の各電線側端子部に接続され、
前記コネクタハウジングにおける前記導体部挿入口および前記電線用端子挿入口は、前記導体部挿入口に前記電線側端子部が挿入され、かつ、前記電線用端子挿入口に前記電線が挿入された状態で、前記止水テープによって液密的にシールされ、
さらに、少なくとも前記段差部の前記第1屈曲部が、前記止水テープによって被覆されている、
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項6】
複数の電線が互いに束ねられたワイヤハーネス本体と、請求項1記載のジョイントコネクタとを含むワイヤハーネスの製造方法であって、
前記電線の端末に装着された前記電線用端子を前記コネクタハウジングにおける前記電線用端子挿入口に挿入して、当該電線用端子を前記導体部の各電線側端子部に接続する工程と、
前記コネクタハウジングにおける前記導体部挿入口および前記電線用端子挿入口を、前記導体部挿入口に前記電線側端子部が挿入され、かつ、前記電線用端子挿入口に前記電線が挿入された状態で、前記止水テープによって液密的にシールし、さらに、少なくとも前記段差部の前記第1屈曲部を前記止水テープによって被覆する工程と、
を含むことを特徴とするワイヤハーネスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−37902(P2013−37902A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173151(P2011−173151)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】