説明

ジョイントコンパウンドとしての使用に好適な組成物及び関連の方法

本発明は、水と、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム2水和物又は硫酸カルシウム1/2水和物のうちの1以上を含む充填剤と、結合剤及び/又は殺生物剤とを含む組成物であって、硬化後の組成物がホルムアルデヒド無しである、ジョイントコンパウンドとして有用な組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願において、参照により組み込まれる2007年6月8日出願の米国特許仮出願番号第60/942,761号に基づく優先権を主張し、且つその利益を請求する。
【0002】
発明の背景
ジョイントコンパウンドは、隣接する石膏壁板の接合境界間のジョイントを埋め、滑らかにするため、そして損傷した壁板を修繕するために一般的に用いられる。典型的には、ジョイントコンパウンドは、上記ジョイント又は壁板に、多くの場合テープ又はメッシュの支持体を覆って、ジョイント又は損傷を隠すような方法で塗布され、それによってそれらに滑らか且つ均一な外観をもたらす。
【背景技術】
【0003】
一般に、ドライ及びレディーミックスの2タイプのジョイントコンパウンドがある。ドライジョイントコンパウンドは、その名が暗示する通り、使用前にそれらの乾燥構成成分への水の添加を要する。このタイプのジョイントコンパウンドは、水の添加後比較的迅速に、数分から数時間以内に使用しなければならず、湿った状態では保存できない。対照的に、レディーミックスコンパウンドの構成成分には製造中に水が添加され、用時まで数ヶ月間湿潤状態で保存され得るコンパウンドが提供される。したがって、レディーミックスコンパウンドは使用前にコンパウンドに添加すべき水をほとんど要しないか、全く要しないため、当該コンパウンドは多くのユーザーに好まれる。
【0004】
レディーミックスコンパウンドはそれらの硬化方法に基づいて、便宜上乾燥型と硬化型の2つのグループに分けられ得る。乾燥型コンパウンドは蒸発に起因する水の喪失の際に硬化するが、その一方で硬化型コンパウンドは、焼石膏(硫酸カルシウム1/2水和物)と水との間で起こる化学反応の結果硬化する。レディーミックスコンパウンドは水を含有するが、硬化型コンパウンド中の水和反応は、その中に硬化遅延剤を含めることにより阻害される。当該硬化遅延剤の阻害効果は、未硬化の硬化型コンパウンドに、使用直前に活性化剤を添加することにより一般的に克服でき、このことにより当該コンパウンドの硬化が開始される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存のレディーミックスジョイントコンパウンドにより、許容できる一定の特性及び性能が提供されるが、既存のコンパウンドに比して向上した特性及び/又は性能を提供するジョイントコンパウンドについてのニーズは存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明は一つの態様において、前記の及び他のニーズに、水と、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム2水和物又は硫酸カルシウム1/2水和物のうちの1以上を含む充填剤と、結合剤及び/又は殺生物剤とを含む組成物であって、硬化後の組成物がホルムアルデヒド無しである、組成物を提供することにより対応する。これらの組成物、及び自体ホルムアルデヒド無しの硬化した組成物の使用方法も、本発明により企図される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の詳細な説明
本発明は1つの態様において、硬化後はホルムアルデヒド無しである、ジョイントコンパウンド又はパッチコンパウンドとしての使用に好適な組成物を提供する。当該組成物は(製造業者により水と予め混合され、使用前に相当な期間にわたり保存された)レディーミックスであっても良く、そして乾燥型又は硬化型のいずれであっても良い。
【0008】
本態様において、本発明は、水と、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム2水和物又は硫酸カルシウム1/2水和物のうちの1以上を含む充填剤と、結合剤及び/又は殺生物剤とを含み、硬化後の組成物はホルムアルデヒド無しである。
【0009】
本明細書中で使用する場合、用語「ホルムアルデヒド無し」は、硬化後、本明細書中に記載の通りの試験プロトコールにより確立された一定の定量限界を下回るレベルでホルムアルデヒドを放出又は揮散する組成物を意味する。組成物が「ホルムアルデヒド無し」となるには、96時間のチャンバー試験の後、硬化した組成物のサンプルから放出又は揮散されるホルムアルデヒド量は、約16μg m-3(13.5ppb)以下、望ましくは約10μg m-3(8.2ppb)以下、より望ましくは約5μg m-3(4.1ppb)以下、そして最も望ましくは、約2μg m-3(1.6ppb)以下である。望ましくは、これらのレベルは、48時間のチャンバー試験後、より望ましくは、24時間のチャンバー試験後に得られるものである。
【0010】
硬化した組成物が本発明の文脈でホルムアルデヒド無しかどうか決定するための試験プロトコールは、サンプル調製及びホルムアルデヒドの放出又は揮散についてのサンプルの分析手順の両方を含む。
【0011】
分析用サンプルを調製するため、当該組成物が内法寸法(150mm2)内で厚さ1.57mmで鋳造されることを可能にする鋳型(型枠)が提供される。当該鋳型は、硬い非ホルムアルデヒド揮散性の任意の物質から成っていてもよく、好ましくは真鍮又はアルミニウム等の金属から成り得る。次いで当該鋳型は、比較的大きな非ホルムアルデヒド揮散性基材(例、ガラス、アルミニウム、真鍮)上に置かれる。その後組成物が、以下のような鋳型-基材の組み合わせにより形成された空洞へ塗布され得る。
【0012】
レディーミックス組成物の試験に関しては、当該組成物を完全に混合し、次いで容器から取り出して前記空洞を埋めるのに十分な量で塗布する(鋳型表面全体の滑らかな仕上がりを提供するために過剰量がこすり落とされ廃棄される)。乾燥組成物の試験に関しては、製造業者の薦めに従って乾燥物質にきれいな水道水を添加して湿潤な組成物を形成し、当該湿潤組成物も本明細書中に記載の通り空洞を埋めるのに十分な量で塗布する。
【0013】
その後、当該サンプルを23±2℃及び相対湿度50±10%(清浄な空気で換気しながら)で少なくとも24時間、当該サンプルが一定重量に達するまで乾燥させる。いずれのサンプル収縮にも対処し、ひび割れに起因する当該サンプルの表面積のいずれの増加をもできる限り低減するために、乾燥サンプルを覆って追加の(湿潤)組成物を塗布する(やはり鋳型表面全体の滑らかな表面を提供するために過剰量がこすり落とされ廃棄される)。やはり当該サンプルを23±2℃及び相対湿度50±10%(清浄な空気で換気しながら)で少なくとも24時間、当該サンプルが一定重量に達するまで乾燥させる。次いで、基材及び鋳型のへりをアルミニウムテープで封入して、他の表面が露出しないようにする。次いで、結果生じるサンプルを10日間、23±2℃及び相対湿度(RH)50±10%の条件にする。結果生じる、硬化した組成物の調整済みサンプルは、以下に述べた通り、本発明の文脈でホルムアルデヒド無しかどうか決定するために分析され得る。
【0014】
分析原理は、一定時間にわたって被験組成物の調整済みサンプルから揮散した、ホルムアルデヒドの具体的な揮散速度を測定することである。当該分析の第一段階は、チャンバー試験として言及され得るが、温度、相対湿度、換気速度及び生成物負荷率が特定された条件で、小規模環境チャンバー中で行う。
【0015】
以下の表に96時間のチャンバー試験期間についてのチャンバー条件を列挙する。
【0016】
【表1】

【0017】
流量測定装置を較正し全流量を算出する目的のための標準条件は、25℃(298°K)及び1気圧(101.3kPa)であるべきである。チャンバーの容積は50L〜100Lの間にすべきである。チャンバーは1時間当たり1±0.05回空気交換して換気するべきである。負荷率は、モデル化されたシナリオ(標準化された建物のシナリオ、学校教室のシナリオ、及びオフィス空間のシナリオ)における生成物に関する面積特異的流量とほぼ等しい面積特異的流量をもたらすために最適化すべきである。チャンバー容積1m-3当たりの露出した試料表面積の中央値0.5m2では2m3 h-1m-2(m h-1)の面積特異的流量となり、これは、教室及びオフィス建物双方のシナリオにおける多くの物質についての値に近い。0.3〜0.7m2 m-3の負荷率は全ての物質について認められる。特定の負荷率を実現するために、試料サイズはチャンバー容積に応じて調整すべきである。
【0018】
当該チャンバー試験は96時間実行する。調整済みサンプルのチャンバーへの挿入に続いてチャンバーのふたを密封することにより、当該試験開始のゼロ時間が定まる。
【0019】
試験サンプルをコンタミ無しの低吸着環境内の特定条件に維持するために、装置及び設備を構築する。加圧した清潔で乾燥した空気を供給するために、清浄空気発生装置又は高純度エアシリンダーを用いる。チャンバーへの空気供給の流量は、電子マスフローコントローラー(MFC)又は同等物により、1Lpmで±2%又はそれ以上の精度で、調節及びモニターされ、特定値の±5%以内の流れを継続して維持できる。供給空気の湿度は、乾燥ガス流及び飽和ガス流を混合することにより維持されるので、一般にチャンバー当たり2つのマスフローコントローラー(即ち、1つは乾燥流用、そして1つは湿潤流用)が必要である。乾燥流及び湿潤流は供給空気がチャンバーに入る前に混合される。
【0020】
チャンバー容積は50L〜100Lの間である。当該チャンバーはステンレス鋼又はガラスで構築する。ステンレス鋼のチャンバーは電解研磨したか、又は同等の内部表面を有するべきである。矩形又は円筒の形状のいずれも許容できる。当該チャンバーは、チャンバー空気の再循環無しのシングルパスシステムとして設計する。当該チャンバーは部屋の空気の引き込みを防ぐため、部屋に対してわずかに陽圧で操作する。チャンバーの吸気口及び排気口は、チャンバー空気の完全な混合を確実にするために、配置及び設計すべきである。当該チャンバーのふたは、コンタミ無しの、非吸着のガスケット及び気密密封を作り出す閉鎖機構を有しなくてはならない。当該チャンバーに導入する他の構成要素(例、ラック及びプローブ)は、ステンレス鋼又はガラス等の、コンタミ無しの材料から構築する。
【0021】
1時間当たり1.0回の空気交換で換気した空チャンバー中のホルムアルデヒドのバックグラウンド濃度は、2μg m-3を超えてはならない。当該チャンバーの温度は、96時間の試験の間中、23±1℃に維持する。当該チャンバー空気の湿度は、50±10% RHで維持するべきである。チャンバー空気のRHは吸入口空気のRHと同等近くにしなくてはならない。湿度は、以前検討した通り、吸入口空気の湿度を制御することにより定まり得る。
【0022】
チャンバーバックグラウンドの測定は定期的に行う。アルデヒド類のバックグラウンドは、最低でも、当該チャンバーの3回目の使用ごとに、それに先立って測定しなくてはならない。アルデヒドサンプルは、ホルムアルデヒドについて少なくとも2μg m-3の、より低い定量限界をもたらすために、収集すべきである。
【0023】
調整済みサンプルは調整設備(10日間の制御された条件:23±2℃及び50±10%RH)から直接取り、試料を実験室空気に曝す時間を最少にして、清潔な試験チャンバー中に置く。一般に、この時間は15分を超えてはならない。表面が平らな矩形のチャンバーにおいては、試料を追加の支持体無しで、直接チャンバー床上に置いても良い。水平方向にした円筒形チャンバーにおいては、試料を当該チャンバーの中心近くに保持するため、ワイヤーラックを用いてもよい。ワイヤーラックは矩形チャンバー中でも用いてもよい。チャンバーの空気が試料の露出面の周りを自由に循環するのに十分な空間が無くてはならない。試料の負荷率は0.3〜0.7m2 m-3である。
【0024】
チャンバーの空気漏出は、調整済み試験サンプルを充填した直後に測定する。これは、チャンバーの排気口での流量を測定し、これを供給空気流量と比較することによって達成される。流量測定装置での圧力損失は低くしなければならない。気泡流量計及び圧力損失が低いロータメータが使用に好適である。排気口流量は当方法により吸気口流量の10%以内でなくてはならない。
【0025】
24時間目及び48時間目に、ホルムアルデヒド分析用の、チャンバー空気のサンプルを収集する。これら1回目のホルムアルデヒド濃度測定は、対応する96時間の測定と比較して、チャンバーのホルムアルデヒド濃度が比較的変化しないままなのか、又は試験の間中徐々に低下していくのかを決定するために用いられ得る。通常予想される範囲(例、±25%)の外への一過的な変化又は変動は、試験パラメータが無制御であったか、又は分析が不正確であったことを示す可能性が高い。
【0026】
ホルムアルデヒド用のサンプリング媒体は、誘導体化試薬としての2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)の酸溶液で処理した固体の支持体物質(例、シリカゲル)を含有するカートリッジから成らなければならない。これらサンプリングカートリッジは使用前に室温に加温しなくてはならない。
【0027】
サンプリングの流量は、電子マスフローコントローラー又は同等物により、フルスケールの±2%又はそれ以上の精度で調節され、特定値の±5%以内の流れをサンプリングの間継続して維持できる。チャンバー空気のサンプルは、特定の経過時間でチャンバー排気口から前記サンプリングカートリッジに直接収集される。いずれの時間での合計サンプリング流量も、吸気口流量の75%を超えてはならない。
【0028】
収集に続き、チャンバー空気を示す密封サンプリングカートリッジを、清潔な気密容器中に密封する。これらの容器は、専用の冷蔵庫又は冷凍庫中、低温で保存してもよい。サンプルは収集後、できるだけすぐに分析しなくてはならない。
【0029】
第二段階においては、ホルムアルデヒドをポジティブに同定でき、且つ純粋標準を用いて調製した多点較正を用いてホルムアルデヒドを定量できる、機器による方法を用いてサンプリングカートリッジを分析する。当該方法は、チャンバー空気の個別のホルムアルデヒドを、2μg m-3以下の濃度で信頼性のある定量をするのに十分な感度及び精度を提供する。
【0030】
サンプリングカートリッジは、サンプル中の未反応DNPHからの、ホルムアルデヒドヒドラゾン誘導体の完全な分離をもたらす、UV検出器及び分析カラムを備えるHPLCにより分析する。ホルムアルデヒド用の当該分析方法は、ASTM Standard D 5197-97、“空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の標準試験方法(アクティブサンプラー方法論)(Standard Test Method for Formaldehyde and other Carbonyl Compounds in Air (Active Sampler Methodology))”又は同等の方法に基づかなくてはならない。HPLCにより分析したアルデヒド類は、純粋化合物のヒドラゾン誘導体類から調製した多点較正に基づいて定量する。標準及びサンプルは同一の方法を用いて定量する。サンプルの各バッチと共に標準を少なくとも1つ分析する。
【0031】
定量の下限値(LOQ)はよく、機器のノイズレベルより10倍高い反応又は低レベル標準を繰り返し分析したその標準偏差より10倍高い反応を生じる検体質量として定量的に定義される。この絶対値よりは高い下限LOQは、実施上の考慮事項に基づいて定義しても良い。ホルムアルデヒドの下限LOQは2μg m-3以上である。
【0032】
チャンバーの測定は試験サンプルの調整の後11日目に始まり14日目に終了して行われる(10日間の調整期間の後24時間、48時間及び96時間の時点でサンプリング)ので、チャンバー濃度は時間と共に徐々に変化すると予期される。従って、チャンバーのデータの分析のため、定常状態型の質量平衡方程式が用いられる。チャンバー試験における化学物質についての揮散係数(EF)は方程式1:
EF=Q×(C-C0)/AC (1)
(式中、Cは物質のチャンバー濃度(μg m-3)であり、C0は対応する基材又はチャンバーのブランク濃度(μg m-3)である)を用いてμg m-2 h-1で算出される。Qは吸気口の流量(m3 h-1)であり、チャンバーへ入る空気の実測流量である。チャンバー中の試験試料の、突出した露出表面積AC(m2)は、試料調製の時点で行った測定から決定される。個別のVOC(この場合はホルムアルデヒド)についてのppb(モル濃度ベース)のチャンバー濃度は、μg m-3のチャンバー濃度(C-C0)から、方程式2:
チャンバー濃度(ppb)=(C-C0)×24.45/分子量 (2)
(式中、L/molの24.45は、標準状態(1気圧、25℃)での空気のモル体積である)を用いて算出される。この値は、硬化後に被験組成物から放出又は揮散されるホルムアルデヒド量を表す(即ち、全て本明細書中に記載の通り、サンプルの調製及び調整後、調整済みサンプルをチャンバー試験に供し、そしてホルムアルデヒド含量についてチャンバー空気のサンプルを分析する)。硬化後に組成物から放出又は揮散される、チャンバー空気中のホルムアルデヒド量は、チャンバー試験開始から96時間目、望ましくはチャンバー試験開始から48時間目、そしてより望ましくはチャンバー試験開始から24時間目に、本明細書中に記載のホルムアルデヒド濃度レベルを満たさなくてはならないことが意図される。
【0033】
本発明の種々の態様によれば、結合剤及び/又は殺生物剤が未硬化の組成物中に含められ、両成分の含有が好ましい。硬化後の組成物の基材への粘着性を亢進できるいずれの結合剤を用いてもよく、組成物の輸送及び/又は保存の間に生存する生物各種の増殖を阻害できるいずれの殺生物剤を用いてもよい。しかしながら、市販のある種の結合剤及び殺生物剤は、ホルムアルデヒドを用いて製造されたか、或いは(例、製造又は保存の間に)当該組成物中に他の成分を含めた結果として単独で、又は硬化の間のいずれかで、ホルムアルデヒドを揮散できたことが見出された。従って1つの態様においては、本発明は、ホルムアルデヒド無しの硬化した組成物であって、望ましくはホルムアルデヒド無しの結合剤、ホルムアルデヒド無しの殺生物剤を用いて調製される、好ましくはこのような結合剤及び殺生物剤を両方含む、硬化した組成物を提供する。
【0034】
ホルムアルデヒド無しの結合剤、殺生物剤及び他の成分は、以下のプロトコールの使用により同定され得る。試験すべき成分約1グラムを、20mLヘッドスペースバイアル中、10mLの水に添加し、次いでバイアルを混合する。混合物を密封し、60℃で30分間加熱する。次いで当該60℃処理由来の液体を20mLヘッドスペースバイアルに添加し、脱イオン(DI)水を添加して全量を10mLにする。次に、1mLのo-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンジル)-ヒドロキシルアミン(PFBOA)試薬(100mL DI水中、0.020g)を3g NaClと共に各バイアルに添加し、バイアルをキャップする。バイアルを60℃で30分間震盪(500rpm)し、1mlのPFBOA‐アルデヒドのヘッドスペースガスを分析し、標準と比較した。標準ホルムアルデヒド溶液はSigma-Aldrichから入手できる(ACS試薬、水中37重量%)。以下の表は、成分の試験に用いたGC/MS及びヘッドスペースオートサンプラーの操作条件を提供する:
【0035】
【表2】

【0036】
PFBOAホルムアルドキシムの保持時間は6.47、電子イオン化(EI)によるSIMモニターイオンは181及び195、そして負化学イオン化(NCI)によるSIMモニターイオンは181、205、及び225である。ホルムアルデヒド無しであるべき結合剤、殺生物剤、及び他の成分については、当該成分から放出又は揮散されるホルムアルデヒド量は少なくとも約250μg m-1未満、望ましくは約100μg m-1未満、そしてより望ましくは約50μg m-1未満である。
【0037】
任意の多くの結合剤が本発明の種々の態様において単独か又は組み合わせてかのいずれかで、本発明のホルムアルデヒド無しの硬化した組成物を提供するために使用するのに好適であり得る。これには例えば、ビニル含有、アクリル含有及びスチレン含有化合物、それらのポリマー又はコポリマー並びにデンプンが挙げられる。使用に好適であり得る例示的な結合剤としては、ポリ酢酸ビニル類、ポリビニルアルコール類、(メタ)アクリルポリマー類(例、ポリビニルアクリル)、エチレン酢酸ビニルポリマー類、塩化ビニルポリマー類、スチレンアクリルポリマー類、ポリスチレン類、ポリアクリルアミド類、スチレンブタジエン類、天然及び合成デンプン類(アルファ化デンプンを含む)及びカゼインが挙げられるが、これらに限定されない。ラテックス結合剤は好ましい結合剤であり、より好ましくは懸濁物(分散物)として提供される。好ましいラテックス結合剤の例としては、エチレン酢酸ビニル又はポリ酢酸ビニル懸濁物が挙げられる。本発明において使用するための好ましい、やはりホルムアルデヒド無しの、ポリマーラテックス懸濁物の例は、RayVace(登録商標)45030(Specialty Polymers, Inc.)及びFullatex PD0722A(H.B. Fuller Co.)である。
【0038】
当該結合剤は、硬化後に組成物の基材(例、壁板)への望ましい度合いの粘着性を提供するのに好適な任意の量で、未硬化組成物中に含めて良い。未硬化組成物中の結合剤量は望ましくは、組成物の約0.1重量%〜約15重量%、より望ましくは約0.5重量%〜約10重量%、そして好ましくは約1重量%〜約8重量%の範囲であり得る。
【0039】
本発明の組成物中での使用に好適な殺生物剤は、本発明のレディーミックス組成物の輸送及び/又は保存の間に、生存する生物各種(カビ(mold)/カビ(mildew)、真菌、酵母菌、藻、及び細菌が挙げられる)の増殖を阻害する。従って、例として、殺生物剤としては、抗微生物剤、抗真菌剤、及び抗細菌剤等が挙げられ得る。
【0040】
本発明のホルムアルデヒド無しの硬化した組成物を提供するために、任意の多くの殺生物剤を単独か、又は組み合わせてかのいずれで用いてもよく、望ましくは、1種以上のホルムアルデヒド無しの殺生物剤を用いる。これらのうち、イソチアゾリノン類が好ましく、イソチアゾリン-3-オン類が更により好ましい。イソチアゾリノン類を用いる場合、C1〜C8部分を有するものが好ましく、メチルイソチアゾリノン、ベンジルイソチアゾリノン、オクチルイソチアゾリノン及びそれらの混合物が最も好ましい。更に、必要ではないものの、イソチアゾリノン類が非ハロゲン化のものであるのも望ましい。
【0041】
ホルムアルデヒド無しの好適なイソチアゾリノン含有殺生物剤の例としては、Proxel(登録商標)GXL又はProxel(登録商標)CRL(ARCH Chemicals)、Nalcon(登録商標)200(Nalco)、Canguard(商標)BIT(Dow Chemical)、Rocima(商標)BT 1S(Rohm & Haas)、Nuosept(登録商標)498(International Specialty Products);Acticide(登録商標)45及びActicide(登録商標)OTW(オクチルイソチアゾリノン;VOCがゼロの水性分散物として提供されるActicide(登録商標)OTW)(Acti-Chem);Acticide(登録商標)B10/B20及びActicide(登録商標)BW10/BW20(ベンジルイソチアゾリノン;VOCがゼロのActicide(登録商標)BW10/BW20)(Acti-Chem);Acticide(登録商標)CT及びActicide(登録商標)LG(VOCがゼロの、塩素化及び非塩素化イソチアゾリノン類の水性混合物)(Acti-Chem);及びActicide(登録商標)MBS(1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの混合物)(Acti-Chem)として入手できる、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン等のベンズイソチアゾリン-3-オン類が挙げられる。
【0042】
更なるイソチアゾリン-3-オン類としては、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及びそれらの混合物が挙げられ、そのような混合物は、Kathon(商標)LX(Rohm & Haas)、Mergal(登録商標)K14(Troy Chemical)、及びAmerstat(登録商標)251(Drew Chemical)として入手できる。別の好適なイソチアゾリン-3-オンは、Kathon(商標)893(Rohm & Haas)として入手できる2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オンである。
【0043】
他の好適なホルムアルデヒド無しの殺生物剤としては、好ましくは酸化亜鉛と共に用いられ得るZinc Omadine(登録商標)(ARCH Chemicals)やSkane(登録商標)M-8(Rohm & Haas)として入手できる1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリジンチオン亜鉛、及びMetasol(登録商標)TK-100(LanXess)として入手できる2-(4-チアゾリル)-ベンズイミダゾールが挙げられる。
【0044】
望ましくは、当該組成物は、当該タイプの1種以上の殺生物剤を、未硬化組成物に少なくとも約2(平均11〜39コロニー)の抗真菌性、より好ましくは少なくとも約1(<10の平均コロニー)の抗真菌性、そして最も好ましくは少なくとも約0(平均0コロニー)の抗真菌性を提供する量で含み得る。抗真菌性について試験するためには以下の装置が必要である:光学顕微鏡、2週間の斜面培地、PDA寒天プレート、100mLボトル中の滅菌水、血球計算盤、及びプラスチックのループ。無菌技術を用いることにより、各株(A. Niger及びA. Oryzae)について抗真菌性を試験するために、以下の手順を用いなくてはならない。4mLの滅菌DI水を2つの各斜面培地中にピペッティングする。プラスチックループを用いて寒天表面から胞子を解放する。試験する全ての斜面培地について繰り返す。全ての斜面培地を約20秒間、懸濁されるまでタッチミキサー上で混合する。1mLディスポーザブルピペットで、100mlボトル中の滅菌DI水へ接種材料を添加し、激しく震盪する。希釈液を一滴、血球計算盤のランプ上に置き、光学顕微鏡で格子を観察することにより胞子を計数する。更なる水又は接種材料により適切な濃度(格子全体で100±20細胞(1mL当たり1×106細胞))に調整する。空の滅菌水ボトルに各株の必要なmL(各1/2パイントの容器について1cc必要)を添加し、激しく震盪する。懸濁液の1mLアリコートを100グラムの組成物に添加し、滅菌した木製のディプレッサーを用いて混合し、PDAプレートに塗布し、37℃に設定したインキュベータ中にプレートを置く。TSAプレートに、無菌性の確認のために接種材料を塗布する。24時間目、48時間目、及び7日目にプレートする。7日目に再接種して48時間目にプレートする。プレート後3〜5日目にプレートを読み取る。
【0045】
好ましくは、当該組成物は更に、当該タイプの1種以上の殺生物剤を、未硬化組成物に少なくとも約3(平均40〜100コロニー)の抗細菌性、より好ましくは少なくとも約2(平均11〜39コロニー)の抗細菌性、そして最も好ましくは少なくとも約1(<10の平均コロニー)の抗細菌性を提供する量で含み得る。
【0046】
抗細菌性について試験するためには以下の装置が必要である:分光光度計、24時間の斜面培地、TSA寒天プレート、100mLボトル中の滅菌DI水、試験管、プラスチックループ、及び金属のループ。分光光度計は適切な波長(650〜900nm)で20分間より長い間ウォームアップしなくてはならない。分光光度計をゼロ(ブランクセル)に較正する。セルを滅菌水で満たし、セルの外表面を清浄にし、分光光度計を光透過率100%に較正する。無菌技術を用いることにより抗細菌性を試験するために、以下の手順を用いなくてはならない。4mLの滅菌DI水を4つの各斜面培地(P. aeruginosa、E. aerogenes、E. coli、及びB. subtilus)中にピペッティングする。滅菌接種用ループを用いて寒天表面から胞子を解放する。ループを再滅菌し全ての斜面培地について繰り返す。斜面培地を、懸濁するまで(約20秒)タッチミキサー上で混合する。1mLディスポーザブルピペットで、4本の各100mL滅菌ボトルへ別個の接種材料を添加する。各ボトルを激しく震盪する。清潔なバイアルにサンプルを添加し、サンプルの透過率を試験する(必要な光透過率の範囲は、1mL当たり1×106細胞の適切な濃度について約85%〜約88%である)。更なる水又は接種材料により適切な濃度(1mL当たり1×106細胞)に調整する。これらの段階は試験する各株について繰り返さなくてはならない。空の滅菌水ボトルに各株の必要なmL(各1/2パイントの容器について1cc必要)を添加し、激しく震盪する。次に、懸濁液の1mLアリコートを100グラムの組成物に添加し、滅菌した木製のディプレッサーを用いて攪拌する。TSAプレートに塗布し、24℃に設定したインキュベータ中に置く。TSAプレートに、無菌性の確認のため接種材料を塗布する。24時間目、48時間目、及び7日目にTSA上にプレートする。7日目に再接種して48時間目にプレートする。プレート後1〜2日目にプレートを読み取る。
【0047】
一般に前記性能は、組成物の約0.01重量%〜約5重量%の、好ましくは約0.1重量%〜約3重量%の、そして最も好ましくは約0.2重量%〜約2重量%の範囲の量で、1種以上の殺生物剤、好ましくは本明細書中に記載のイソチアゾリノン類を含むことにより得られ得る。
【0048】
本発明の組成物は、充填剤を更に含む。当該組成物に含めるのに好適な充填剤の例としては、石灰石、苦灰石、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム2水和物又は硫酸カルシウム1/2水和物のうちの1種以上が挙げられる。用いる充填剤のタイプ及び量は、調製されている組成物のタイプに依存するであろう。調製する組成物が乾燥型の場合、充填剤は望ましくは、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム2水和物又はそれらの混合物を、組成物重量を基準に好ましくは約20重量%〜約95重量%の範囲の量で含み、更には実質的に硫酸カルシウム1/2水和物無し(約5重量%以下、好ましくは約3重量%以下、そしてより好ましくは約1重量%以下)である。硬化型組成物においては、充填剤は望ましくは、全て組成物重量を基準に、硫酸カルシウム1/2水和物を、好ましくは当該組成物の約40重量%〜約90重量%の範囲の量で含み、且つ炭酸カルシウム及び硫酸カルシウム2水和物などを、好ましくは約0.1重量%〜約30重量%の範囲の量で更に含み得る。
【0049】
本発明の硬化型組成物は、望ましくは硬化遅延剤を含む。その名が暗示する通りこの成分は、当該硬化型組成物の製造及び保存の間に、硫酸カルシウム1/2水和物と水との反応を阻害する。硬化遅延剤は、使用する個別の遅延剤も組み合わせの遅延剤も硬化後にホルムアルデヒドを揮散も発生もしない限り、個別に、又は組み合わせて用いられ得る。
【0050】
硬化遅延剤は当該分野において周知であり、また組成物の硬化を遅延できるいずれの硬化遅延剤を用いても良い。硬化遅延剤は有機又は無機物質を含み得る。好適な有機物質の例はクエン酸、タンパク質性遅延剤(例、Industrial SUMA, Brazilから入手できるもの)又はそれらの混合物である。無機物質の例はカルシウム非含有リン酸塩である。好ましくは、未硬化組成物中の硬化遅延剤の量は、当該組成物の約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の範囲であり得る。
【0051】
水は、本発明の組成物の別の成分である。当業者は当該組成物中に存在する水の望ましい量を承知している。一般に硬化した組成物においては、水の量は、組成物中に存在する硫酸カルシウム1/2水和物の量との反応に十分な量でなくてはならず、追加で幾分かの水が加えられて、存在する他の成分と組み合わせて当該組成物に望ましい加工性をもたらす。乾燥型組成物においては、水の量はやはり、存在する他の成分と組み合わせて当該組成物に望ましい加工性をもたらす量でなくてはならない。これに関して、水の量は様々であり得るが、望ましくは約10,000cps〜約80,000cps、そしてより望ましくは約20,000cps〜約60,000cpsの範囲の粘度を当該組成物にもたらす量で存在することが望ましい。
【0052】
硬化型組成物には、使用直前に硬化促進剤を添加することも必要である。この成分はその名が暗示する通り、硫酸カルシウム1/2水和物と水との反応に対する硬化遅延剤の阻害効果を無効にし、そして硬化の開始を可能にする。個別の促進剤によっても組み合わせの促進剤によっても硬化後にホルムアルデヒドが揮散も発生もしない限り、1種以上の硬化促進剤を用いても良い。
【0053】
硬化促進剤は当該分野において周知であり、また組成物の硬化開始を補助できるいずれの硬化促進剤を用いても良い。好適な硬化促進剤の例としては、例えば、亜鉛塩又は硫酸塩が挙げられる。硬化促進剤は、当該組成物中に様々な量で含められ得るが、望ましくは組成物の硬化の開始及び完了を確実にするのに十分な量である。好ましくは未硬化組成物中の硬化促進剤の量は、当該組成物の約0.1重量%〜約10重量%、そしてより好ましくは約0.1重量%〜約2重量%の範囲であり得る。この成分が無いときは、本発明の硬化型組成物は乾燥型組成物として使用され得る。
【0054】
当業者により理解されるであろうが、他の添加剤も、本発明の組成物に含めても良い。例えば、コンパウンドの重量が重要な場合、軽量の充填剤を用いても良い。好適な軽量充填剤の例としては、パーライト又は膨張パーライトが挙げられる。軽量ジョイントコンパウンドにおける膨張パーライトの使用は米国特許第4,454,267号にて教示されている。膨張パーライトはひび割れ及び亀裂を多く含むので、毛細管現象による水吸収に起因して当材料の重量が増加しないように、米国特許第4,525,388号の教示に従って当材料を前処理するのが好ましい。好ましくは、パーライト又は膨張パーライトは、当該組成物の約1重量%〜約20重量%、そしてより好ましくは約2重量%〜約10重量%の範囲である。
【0055】
他の任意の添加剤としては、増粘剤、レオロジー改質剤、(米国特許第6,673,144号中に記載のような)室温で少なくとも部分的に水溶性であり且つ固体である合成ポリマーワックス、デンプン、界面活性剤、湿潤剤、石鹸、アルキルベンゼンスルホネート、色素、及び錆び止め剤が挙げられる。当然ながら、当該組成物の性能への有利な効果だけでなく、硬化した組成物においてホルムアルデヒドが揮散も発生もしてはならないことも踏まえて、これら成分を含めなくてはならない。更に、当業者は本発明の組成物において用いるのに好適な各任意成分の量を決定できるはずだが、以下の段落において、これら成分のいくつかに関して追加のガイダンスを提供する。
【0056】
増粘剤は周知であり、組成物の粘度を望ましいレベルに増大させることの補助に、ある程度機能する。本発明の組成物において用いられ得る好適な増粘剤の例は、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、例えばキサンタン、アラビア、アルギン酸塩、ペクチン及びグァーガム等のセルロースベースのガム類並びにそれらの混合物である。用いるならば、増粘剤はセルロース性の増粘剤であることが好ましい。増粘剤は好適ないずれの量で存在しても良いが、好ましくは当該組成物の約0.05重量%〜約5重量%、そしてより好ましくは約0.1重量%〜約2重量%の範囲である。
【0057】
レオロジー改質剤も、組成物の流動挙動を改質するために、本発明の組成物に含めても良い。好適なレオロジー剤としては、例えば、アタパルジャイト、セピオライト及びカオリン等の粘土が挙げられる。レオロジー剤は好適ないずれの量で存在しても良いが、この量は好ましくは当該組成物の約0.1重量%〜約5重量%の範囲である。
【0058】
硬化した組成物中のひび割れの最少化を補助する剤も、組成物中に含めても良い。好適な剤の例としては、雲母、滑石、絹雲母、パーライト及びそれらの混合物が挙げられる。含めるならば、この剤は、好ましくは当該組成物の約0.01重量%〜約15重量%、そしてより好ましくは約0.5重量%〜約8重量%の範囲である。
【0059】
室温で少なくとも部分的に水溶性であり且つ固体である合成ポリマーワックスは、硬化した組成物を磨いたときの浮遊粒子レベルの低下を当該組成物にもたらすために含めても良い。当該組成物中に含めるならば、当成分は、望ましくは当該組成物の約0.1重量%〜約10重量%の範囲の量で存在し得る。
【0060】
一般に、本発明の未硬化組成物は塩基性のpHを有し得る。これについて、当該組成物のpHは望ましくは、約8〜約12の範囲である。
【0061】
本明細書中に記載の組成物は、好適ないずれの方法によって調製しても良く、そのような方法は当業者に周知である。
【0062】
本明細書中に記載の本発明の組成物は、ジョイントコンパウンドとして有用である。これらコンパウンドは、新たな建造物において壁板のジョイントを仕上げるのに、また既存の壁中のひび割れ又は穴を修繕するために用いられ得る。壁板の隣接する接合境界間の仕上げを望む場合、仕上げる領域を当該組成物で覆う。増強テープを、当該組成物中に、それが未だ湿っている間に埋め込む。乾燥(硬化)時に、2回目の組成物コーティングをジョイントに塗布しても良い。組成物が乾燥したら、乾燥組成物を軽く磨いても良い。望まれる場合、合間に継ぎ目を乾かし、そして磨いて、3回目の組成物コーティングを塗布しても良い。壁中の小さい穴又は欠陥の修繕は、それに組成物の1以上のコーティングを塗布し、当該組成物を乾燥(硬化)させ、続いて磨くことにより修繕してもよい。ジョイントの仕上げであろうと修繕であろうと、壁全体にわたり滑らかで一体的な表面を作り出すために、最終のコーティングを乾燥させ、そして磨く。
【実施例】
【0063】
実施例
以下に、本発明の好ましい態様の実施例を提供する。
【0064】
【表3】

【0065】
前記本発明の好ましい態様をサンプルとして調製し、以下のチャンバー条件下でのチャンバー試験に供する前に以前本明細書中に記載の通り調整した:
【0066】
【表4】

【0067】
先行段落中に示したチャンバー条件下での、調整済みのサンプルについてのホルムアルデヒド試験の結果(ASTM D 5197-97に関して分析したホルムアルデヒド含量)は以下の通りであった。
【0068】
【表5】

【0069】
本明細書中で引用した刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての文献は、各文献が個々に且つ具体的に参照により組み込まれると明示され、且つその全体が本明細書中に記載されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0070】
本発明を記載する文脈(特に、添付の特許請求の範囲の文脈中)における「1つの(a、及びan、及びthe)」なる用語並びに同様の指示対象の使用は、本明細書に別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を含有するものと解されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」なる用語は、他に示されない限り、オープンエンドな用語(即ち、「含むが、限定されない」ことを意味する)と解されるべきである。本明細書中に別段の指示がない限り、本明細書中の数値範囲の記載は、当該範囲内に収まるそれぞれの個々の値に個々に言及する簡略な方法として役立つことを意図しているにすぎず、それぞれの別個の値は本明細書中に個々に記載されているかのごとく本明細書中に組み込まれる。本明細書に別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、本明細書中に記載される全ての方法は、任意の好適な順に行うことができる。特に主張されない限り、本明細書中に提供される任意の及び全ての例、又は例示用語(例、「例えば/など(such as)」)の使用は、単に本発明をより明確に説明することを意図するにすぎず、本発明の範囲に限定を加えることはない。本明細書中のいずれの用語も、特許請求されていない要素が本発明の実施に必須であることを示すと解されるべきではない。
【0071】
本発明者らが知るところの本発明を実施するための最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態を本明細書中に記載する。前記記載を読めば、それら好ましい実施形態の変形は当業者に明白となり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形を適宜採用することを予期するし、本発明者らは、本発明が本明細書中に具体的に記載された以外の方法で実施されることを意図する。従って本発明には、適切な法律によって許容される、本明細書に添付する特許請求の範囲中に記載する対象の全ての変形及び均等物が含まれる。更に、そのあらゆる可能な変形での上述の要素のあらゆる組み合わせが、本明細書に別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0072】
特定の文献又は文脈による別段の指示がない限り、そしてある成分がその中にいくいらかの水を含むかもしれないとの認識がない限り、本明細書中本発明の組成物の成分に与えられた全ての重量パーセンテージは、組成物に水を添加する前の、組成物の重量を基準とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム2水和物又は硫酸カルシウム1/2水和物のうちの1以上を含む充填剤と、結合剤と、必要に応じて殺生物剤とを含む組成物であって、硬化後の組成物がホルムアルデヒド無しである、組成物。
【請求項2】
約0.01〜約10重量%の範囲の量で硬化遅延剤を更に含む硬化型の組成物であり、約40〜約90重量%の範囲の量で硫酸カルシウム1/2水和物が存在し、約0.1〜約15重量%の範囲の量で結合剤が存在し、組成物に約10,000cps〜約80,000cpsの粘度をもたらすのに十分な量で水が存在し、且つpHが約8〜約12の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
実質的に硫酸カルシウム1/2水和物無しであり、且つ硫酸カルシウム2水和物、炭酸カルシウム又はそれらの混合物を約20〜約95重量%含み、且つ約0.1〜約15重量%の範囲の量で結合剤が存在し、且つ組成物に約10,000cps〜約80,000cpsの粘度をもたらすのに十分な量で水が存在する、乾燥型の組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
結合剤が、ビニル含有、アクリル含有及びスチレン含有化合物、ビニル含有、アクリル含有及びスチレン含有化合物のポリマー類又はコポリマー類、デンプン類、並びにそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
結合剤が、ポリ酢酸ビニル類、ポリビニルアルコール類、(メタ)アクリルポリマー類、エチレン酢酸ビニルポリマー類、塩化ビニルポリマー類、スチレンアクリルポリマー類、ポリスチレン類、ポリアクリルアミド類、スチレンブタジエン、天然デンプン類、合成デンプン類、カゼイン及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
結合剤が、ポリ酢酸ビニル類、ポリビニルアルコール類、(メタ)アクリルポリマー類、エチレン酢酸ビニルポリマー類、塩化ビニルポリマー類、スチレンアクリルポリマー類、ポリスチレン類、ポリアクリルアミド類、スチレンブタジエン及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
結合剤がホルムアルデヒド無しである、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
結合剤がポリマーラテックス懸濁物を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
結合剤が酢酸ビニルポリマーを含むポリマーラテックス懸濁物を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
殺生物剤を更に含む、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
ホルムアルデヒド無しの殺生物剤を更に含む、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
殺生物剤を更に含み、殺生物剤がイソチアゾリノンを含む、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
殺生物剤を更に含み、殺生物剤が非ハロゲン化イソチアゾリノンを含む、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
殺生物剤を更に含み、殺生物剤がC1〜C8イソチアゾリノンを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
殺生物剤を更に含み、殺生物剤が、メチルイソチアゾリノン、ベンジルイソチアゾリノン、オクチルイソチアゾリノン又はそれらの混合物を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
殺生物剤を更に含み、殺生物剤が組成物の約0.01重量%〜約5重量%の量でイソチアゾリノンを含む、請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
結合剤が組成物の約1重量%〜約8重量%を構成する、請求項1〜16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
硬化遅延剤を更に含む、請求項1、2又は4〜17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
硬化遅延剤が有機物質を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
硬化遅延剤がクエン酸、タンパク質性遅延剤又はそれらの混合物を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
硬化遅延剤がカルシウム非含有リン酸塩を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
組成物の約40〜約90重量%の範囲の量で硫酸カルシウム1/2水和物が存在し、且つ組成物の約0.01〜約10重量%の範囲の量で硬化遅延剤が存在する、請求項1、2又は4〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
充填剤が膨張パーライトを更に含む、請求項1〜22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
膨張パーライトが組成物の約1〜約20重量%を構成する、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
増粘剤を更に含む、請求項1〜24のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
レオロジー改質剤を更に含む、請求項1〜25のいずれかに記載の組成物。
【請求項27】
レオロジー改質剤が粘土を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
基材上に塗布後の組成物のひび割れの最少化を補助する剤を更に含む、請求項1〜27のいずれかに記載の組成物。
【請求項29】
前記剤が、雲母、滑石、絹雲母、パーライト又はそれらの混合物を含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記剤が組成物の約0.01重量%〜約15重量%を構成する、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
硬化促進剤を更に含む、請求項1、2又は4〜30のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
室温で少なくとも部分的に水溶性であり且つ固体である合成ポリマーワックスを更に含む、請求項1〜31のいずれかに記載の組成物。
【請求項33】
約0.1〜約10重量%の範囲の量でワックスが組成物中に存在する、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
硫酸カルシウム2水和物、炭酸カルシウム又はそれらの混合物を約20〜約95重量%含み、且つ約0.1〜約15重量%の範囲の量で結合剤が存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項35】
硬化した組成物から放出されるホルムアルデヒド量が約16μg m-3(13.5ppb)以下である、請求項1〜34のいずれかに記載の組成物。
【請求項36】
硬化した組成物から放出されるホルムアルデヒド量が約10μg m-3(8.2ppb)以下である、請求項1〜34のいずれかに記載の組成物。
【請求項37】
硬化した組成物から放出されるホルムアルデヒド量が約5μg m-3(4.1ppb)以下である、請求項1〜34のいずれかに記載の組成物。
【請求項38】
硬化した組成物から放出されるホルムアルデヒド量が約2μg m-3(1.6ppb)以下である、請求項1〜34のいずれかに記載の組成物。
【請求項39】
(a)請求項1〜38のいずれか1項の組成物を塗布して割れ目を塞ぐ工程;
(b)組成物を硬化させる工程;及び
(c)組成物を磨いて滑らかな表面を提供する工程
を含む、壁板表面の割れ目を塞ぐ方法。
【請求項40】
請求項1、2又は4〜38のいずれかに記載の組成物及び組成物用の硬化促進剤を含む、キット。

【公表番号】特表2010−529261(P2010−529261A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511360(P2010−511360)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/066105
【国際公開番号】WO2008/154374
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(596172325)ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー (100)
【Fターム(参考)】