説明

ジルコンベースのチャージ材から製造された焼結製品

本発明は、酸化物基準の質量パーセントで75−99%のジルコンを含む開始チャージ材から構成され、酸化物基準の質量パーセントで、合計100%に対して、60%≦ZrO≦72.8%,27%≦SiO≦36%,0.1%≦B+GeO+P+Sb+Nb+Ta+V,0.1%≦ZnO+PbO+CdO,B+GeO+P+Sb+Nb+Ta+V+ZnO+PbO+CdO≦5%,0%≦Al+TiO+MgO+Fe+NiO+MnO+CoO+CuO≦5%,他の酸化物:≦1.5%である平均量の化学組成を有する焼結製品に関する。特に、ガラス炉に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジルコンから製造された新規な焼結材料、それらの製造方法、及びガラス炉におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
耐熱性製品の中で、溶融・鋳造製品と、焼結製品とは区別される。
【0003】
焼結製品とは異なり、溶融・鋳造製品は、ほとんどの場合、結晶化グレインの空間格子を満たす極めて十分な粒界ガラス相を含む。従って、焼結製品と、溶融・鋳造製品とが、それらそれぞれの用途において直面する課題、及びそれらの解決するために適応される技術的解決法は、通常、異なる。さらに、製造プロセスが大きく異なるため、先天的に、溶融・鋳造製品を製造するために開発された組成が、焼結製品を製造するためのものとして使用されることが出来ず、また、逆もまた同様である。
【0004】
焼結製品は、適切な原料を混合し、次に、この混合物を未焼結状態で成形し、この未焼結構造の焼結物を得るために、十分な温度で、十分な時間の間、この結果として生じた未焼結構造を焼くことにより得られる。
【0005】
それらの化学的組成及びそれらの調製方法によって決まる焼結製品が、極めて多様な工業を対象とする。
【0006】
従って、特定の用途に適応された焼結製品が、先天的に、温度、腐食又は摩耗条件が異なる他の用途に使用される場合に要求される特性を有さない。
【0007】
例えば、特許文献1では、ジルコン(50−90%)及びジルコニアにより構成された焼結製品が説明されている。このジルコニアは、クラックを引き起こす製品の弾性変形を制限するために、部分的に安定化されている。しかしながら、特許文献1の製品は、溶鋼と接触して使用されるように設計されている。従って、先天的に、これらは、溶融ガラスと接触して使用されるのに適していない。
【0008】
焼結製品の中で、ジルコン(ケイ酸ジルコニウム:ZrO.SiO,又はZrSiO)及び任意的なジルコニア(結合していない(free)酸化ジルコニウム ZrO)により構成された高密度の製品が、特に、無アルカリガラスの場合において、これらが、直接的に溶融ガラスと接触する用途において使用されてよい。
【0009】
特許文献2では、ガラス炉を対象とし、ジルコン(5−40%)及びジルコニアにより構成された焼結製品が説明されている。これらの製品は、大きなブロックが、クラックを有さずに構成されうる、チタニウム、アルミニウム及びイットリウム酸化物をさらに含む。これらの製品のSiO容量は、14%以下である。それらのZrO容量は、82%以上である。
【0010】
特許文献3では、ガラスシートを製造するために使用されるアイソパイプ(isopipe)が説明されている。アイソパイプは、95質量パーセント以上のジルコンを含み、これらが0.2から0.4%の酸化チタンも含まない場合、不十分なクリープ挙動を示す。従来技術の状況を説明するために、特許文献3が、特許文献4を引用している。
【0011】
特許文献4では、溶融ガラスとの接触を目的とした、75から95%のジルコン及び酸化チタンを含む組成が説明されている。ここでは、酸化チタンの存在が、焼結後に得られた製品の密度を高くするのに適していることが示唆されている。最終製品において、ジルコニアが、安定化されないべきであり、従って、開始混合物中において非−安定化ジルコニアを使用することが好ましい。しかしながら、例えば、イットリウム又はカルシウム酸化物のようなジルコニアの安定剤で安定化されたジルコニアの使用はレッドヒビトリではなく(not redhibitory)、混合物の加熱が、ジルコニアの不安定化を引き起こす。
【0012】
特許文献5には、ガラス工業を対象とした耐熱材料が説明されている。ジルコンをベースとしたこれらの材料が、Yを含んでよい。これらが、常に、少なくとも1%のP又はVを含む。
【0013】
特許文献6には、ジルコンベースの耐熱性製品をコーティングすることを目的とした混合物が説明されている。
【0014】
無アルカリガラスのような新たなガラスの登場は、ガラスに対する溶融及び/又は成形温度の増加を伴う。その結果として、ジルコンベースの従来の材料は、それらの性能が低下する。実際に、ジルコンベースの従来の材料は、これらが、1,550℃を超える温度に曝された場合に、滲出する(exudate)傾向がある。温度及びこれらの温度への暴露時間が増加するため、滲出が、さらにいっそうひどくなる。この現象は、ガラス中の欠陥の形成に付随して起こり、ガラス及び泡立ち現象による腐食を増加させうるため、特に損傷を与える。
【0015】
従って、滲出に対して極めて良好な耐性を有し、ガラス炉中で使用されうる製品への要求がある。本発明は、この要求を満たすことを目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第3899341号明細書
【特許文献2】欧州特許第952125号明細書
【特許文献3】国際公開第02/44102号
【特許文献4】米国特許第5124287号明細書
【特許文献5】国際公開第2006/073841号
【特許文献6】ソ連特許第1020404号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的のため、本発明は、開始チャージ材を基準とした質量パーセントにて、75−99%のジルコンを含む開始チャージ材により構成された焼結製品を提案するものであって、酸化物基準の質量パーセントにおいて、以下の平均量の化学組成を有する:
合計100%に対して
60%≦ZrO≦72.8%,
27%≦SiO≦36%,
0.1%≦B+GeO+P+Sb+Nb+Ta+V
0.1%≦ZnO+PbO+CdO,
+GeO+P+Sb+Nb+Ta+V+ZnO+PbO+CdO≦5%,
0%≦Al+TiO+MgO+Fe+NiO+MnO+CoO+CuO≦5%,
他の酸化物:≦1.5%。
【0018】
この焼結耐熱性製品が、特に、現在まで説明されてきた製品に対して相対的に、滲出に対する優れた耐性を有する。有利には、また、これが、試験された周知の製品の密度と等しい又はそれ以上の高密度を有する。
【0019】
好ましくは、本発明による製品は、以下の任意の特性の一つ又はそれ以上をさらに有する:
−酸化物基準の質量パーセントで、Taの容量が、0.3%以上であり、好ましくは0.5%以上であり、さらに好ましくは0.8%以上である。
−酸化物基準の質量パーセントで、Taの容量が、3%以下であり、好ましくは2.5%以下であり、さらに好ましくは2%以下である。
−酸化物基準の質量パーセントで、
0.1%≦GeO+P+Nb+Ta,及び/又は
0.1%≦ZnO,及び/又は
GeO+P+Nb+Ta+ZnO≦5%,及び/又は
0%≦Al+TiO+MgO+Fe+NiO+MnO+CoO+CuO≦5%,
である。
−酸化物基準の質量パーセントで、ZnOの容量が、0.3%以上であり、好ましくは、0.5%以上であり、さらに好ましくは0.8%以上である。
−酸化物基準の質量パーセントで、ZnOの容量が、3%以下であり、好ましくは、2.5%以下であり、さらに好ましくは2%以下である。
−本発明による製品が、Al,TiO,MgO,Fe,NiO,MnO,CoO及びCuOの中で、少なくとも一つの酸化物を、好ましくは少なくとも二つの酸化物を含む。好ましくは、酸化物基準の質量パーセントで、これらの酸化物の少なくとも一つの容量が、又は、これらの酸化物の少なくとも二つの各々の容量が、0.05%以上であり、好ましくは0.10%以上であり、さらに好ましくは0.15%以上であり、いっそう好ましくは0.3%以上である。好ましくは、0.05%<Al+TiOであり、好ましくは、0.9%<Al+TiOであり、さらに好ましくは、1%<Al+TiOである。また、好ましくは、酸化物基準の質量パーセントで、Al+TiO<3%であり、好ましくは、Al+TiO<2%である。
−本製品が、酸化物基準の質量パーセントで、合計100%に対して、
60%≦ZrO≦72.4%,
27%≦SiO≦36%,
0.2%≦B+Nb+Ta≦2.5%,
0.2%≦ZnO≦2.5%,
0.2%≦Al+TiO+MgO+NiO+MnO+CoO+CuO≦3%,
他の酸化物:≦1.5%
である平均量の化学組成を有する。
−本製品が、酸化物基準の質量パーセントで、合計100%に対して、
60%≦ZrO≦72.4%,
27%≦SiO≦36%,
0.2%≦Nb+Ta≦2.5%,
0.2%≦ZnO≦2.5%,
0.2%≦Al+TiO≦2%,
他の酸化物:≦1.5%
である平均量の化学組成を有する。
−<<他の酸化物>>が不純物である。好ましくは、<<他の酸化物>>の容量が、酸化物基準の質量パーセントで、1.2%以下であり、好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.7%以下であり、好ましくは0.5%以下であり、いっそう好ましくは0.2%以下である。
−Pの容量が、1%以下であり、好ましくは、0.5%以下である。
−酸化イットリウムYの容量が、酸化物基準の質量パーセントで、0.5%以下であり、好ましくは、0.3%以下である。
−開始チャージ材中のジルコンの容量が、開始チャージ材基準の質量パーセントで、80%以上である。
−製品中のジルコニアの容量が、酸化物基準の質量パーセントで、5%以上であり、好ましくは、10%以上であり、及び/又は15%以下である。
−90%以上の数の、又はさらに実質的には100%の数のグレインが、50μm以下の、好ましくは30μm以下の、好ましくは20μm以下の、さらに好ましくは10μm以下の大きさを有する。
−製品の見掛け気孔率が、5%以下であり、好ましくは2%以下であり、好ましくは1%以下であり、好ましくは0.5%以下である。
−製品が、4.0g/cm以上の、好ましくは4.1g/cm以上の、好ましくは4.2g/cm以上の見掛け密度を有する。
−製品が、ブロックの形状を有し、好ましくは、5kg以上、好ましくは10kg以上の質量を有する。
【0020】
また、本発明は、以下のステップを含む焼結製品の製造方法に関し:
a)開始チャージ材を形成するために原料を混合するステップ
b)前記開始チャージ材から未焼結部を成形するステップ
c)前記焼結製品を得るために、前記未焼結部を焼結するステップ
注目すべきは、前記製品が本発明に従うように、開始チャージ材が決定される。
【0021】
好ましくは、本発明による方法が、以下の任意の特徴の一つ以上をさらに有してよい:
−ステップa)において、開始チャージ材を基準とした質量パーセントで、ジルコン及びジルコニアの総容量が、開始チャージ材の少なくとも95%を占めるような量で、ジルコンが追加され、任意に、ジルコニアが追加される。
−Al,TiO,MgO,Fe,NiO,MnO,CoO,CuO,B,GeO,P,Sb,Nb,Ta,V,PbO,ZnO及びCdOの酸化物の一つ以上が、自発的に(すなわち、体系的及び系統的に)追加され、総計で、ステップc)において得られる焼結製品が、本発明によるものとなることを保証する。
−亜鉛の質量の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは実質的に100%が、酸化物ZnOとして追加される。
−リン酸の容量が、1%以下であり、好ましくは0.8%以下であり、いっそう好ましくは0.5%以下である。
−ステップa)において使用される原料が、50μm以下の、又はさらには40μm以下の、又はさらには20μm以下の、又はさらには5μm以下の、又はさらには4μm以下のメジアン径(D50)を有する。
【0022】
また、本発明は、本発明による耐熱性製品の使用に関し、該耐熱性製品は、本発明による方法に従って製造され又は製造されることができ、ガラス炉中において、特に、溶融ガラスと接触する炉の部分において使用される。また、本発明は、このようなガラス炉に関する。
【0023】
(定義)
本説明において、及び慣例に従い、開始チャージ材中又は製品中において、ジルコンを形成するために、SiO分子と結合されないZrOの分子は、<<ジルコニア>>と呼ばれる。同様に、ジルコンを形成するために、ZrO分子と結合されないSiOの分子は、<<シリカ>>と呼ばれる。本発明による製品のZrO容量が、ジルコンのZrO容量及びジルコニアに対応する。本発明による製品のSiO容量が、ジルコンのSiO容量及びシリカに対応する。
【0024】
化学組成において、酸化物容量が、その産業の通常の慣例による、最も安定な酸化物として表される、対応する化学元素の各々に対する全体の容量に関連し、従って、亜酸化物(sub−oxide)及び任意の窒化物、酸窒化物、炭化物、オキシカーバイド,炭窒化物、又は、上記元素の金属種でさえも、含まれる。
【0025】
製品の化学組成を定義するために使用される、Al,TiO,MgO,Fe,NiO,MnO,CoO,CuO,B,GeO,P,Sb,Nb,Ta,V,PbO,ZnO及びCdOの酸化物の質量含有量の合計において、上記酸化物の一つ又はそれ以上は、なくてもよい。
【0026】
酸化ジルコニウムZrOを含む原料も、少量のHfO(1.5%−2%)を含む。通常、<<ZrO>>が、酸化ジルコニウムZrO及びZrOとともに導入されたこれらの微量のHfOを示す。
【0027】
他に示されていなければ、全てのパーセンテージは、酸化物基準の質量パーセンテージである。特に、開始チャージ材において、ジルコンのパーセンテージは、開始チャージ材の総質量を基準として表される。
【0028】
不可避の構成物質を意味する<<不純物>>が、必然的に原料内に導入される、又はこれらの構成物質との反応によって生じる。特定の実施形態において、Pが不純物である。
【0029】
一組の粒子の<<メジアン径>>D50が、この組の粒子を、質量が等しい第一及び第二の母集団に分離するサイズであり、これらの第一及び第二母集団が、それぞれ、メジアン径よりも大きい又は小さいサイズを有する粒子のみを含む。
【0030】
研磨片において観察した場合に、グレインのサイズが、大きな寸法となる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ジルコンが、大きなジルコン容量の高密度製品のシャモット又はジルコンサンドによって提供されてよい。
【0032】
本発明によると、開始チャージ材が、少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%のジルコンを含むことが必ず必要である。本発明に従いジルコンによってもたらされたZrO及びSiOの量が、シリカ及びジルコニアとして提供された場合、本発明による製品の有利な特性は、実際には得られない。
【0033】
好ましくは、ジルコン及びジルコニアの総容量が、開始チャージ材の少なくとも95%を占める。
【0034】
高温におけるその結晶構造(crystallographic)状態の遷移により、ジルコニアが、かなりのジラトメトリック(dilatometric)変化物を有する。これらのジラトメトリック変化物を制限するために、特に大きなブロック上において、ジルコニア容量を制限する必要がある。従って、開始チャージ材が、25%以下のジルコニアを含み、少なくとも75%のジルコン容量を確保するべきである。
【0035】
本発明によると、B,GeO,P,Sb,Nb,Ta又はVから選択された少なくとも1つの酸化物、特に、Nb及びTa、さらには、特に、Taが存在すること、並びに、ZnO,PbO及びCdOから選択された少なくとも一つの酸化物、特に、ZnOが同時に存在することにより、ジルコンベースの耐熱性製品の滲出に対する耐性が改善する。
【0036】
Al,TiO,MgO,Fe,NiO,MnO,CoO,CuOから選択された少なくとも1つの酸化物を追加することで、必要ならば、本発明による製品の密度を改善することが可能である。従って、製品が、腐食環境に配置される、特に、溶融ガラスと接触する用途において、これらの追加が、特に有利である。本発明の製品、特に、Taを含む製品において、特にTiO及びAlであるこれらの追加物が、小容量、特に、酸化物基準の質量パーセントにて、3%以下の、2%以下の、又はさらには1%以下の、又はさらには0.5%以下に制限される場合、高密度が得られうることを本発明者は発見した。
【0037】
好ましくは、少なくとも1%のシリカが、開始チャージ材に追加され、純ジルコンの密度を高くするために要求されるよりも低い温度での高密度化の開始を促進する。
【0038】
<<他の酸化物>>が、NaO又はYのような酸化物である。(ジルコンの解離を促進する)NaOの容量が、最小化されるべきである。好ましくは、これらの酸化物が、原料からもたらされた不純物であり、これらが、必須の構成物質ではなく、許容されるのみである。1.5%以下の容量において、これらの<<他の酸化物>>の効果が、実質的に、得られた結果物を変化させないと考えられる。
【0039】
好ましくは、本発明による焼結製品中の酸化物NaO及びYの各々の容量が、酸化物基準の質量パーセントで、0.5%以下であり、好ましくは、0.3%以下であり、さらに好ましくは、0.15%以下である。
【0040】
ステップa)−c)を含む通常の方法により、焼結耐熱性ブロックが製造されてよい。任意的に、この方法が、ステップa)の前に、ジルコン源及び他の原料をミリング(milling)するステップを含む。このステップで、材料の良好な後の高密度化に必要である通常の粒径特性を得ることが可能である。特に、これによって準備された粉末が、50μm以下の、または、さらには、40μm以下の、または、さらには、20μm以下の、または、さらには、5μm以下の、または、さらには、4μm以下のメジアン径(D50)を有してよい。
【0041】
ステップa)において、全ての原料が与えられ、この混合物が、所望の平均量の化学組成を有し、次に、例えば、リン酸である、ジルコン焼結方法に通常使用されるバインダー及び/又は解膠剤の存在下で混合される。
【0042】
原料の混合物が、任意的に、ステップb)に移る前に微細化(atomized)されてよい。
【0043】
ステップb)において、次に、所望の大きさのブロックを形成するために、例えば、静水圧プレス成形によって混合物が成形される。
【0044】
スリップ−キャスティング(slip−casting),一軸加圧成形,ゲル−キャスティング(gel−casting),バイブロキャスティング(vibrocasting)又はこれらの技術の組合せのような他の技術が、使用されてよい。
【0045】
ステップc)において、高密度の耐熱性ブロックを形成するために、未焼結部分が、大気圧下であり、1,400℃から1,700℃の間に含まれる温度において、空気中で焼結される。
【0046】
当然ながら、本発明は、例示を目的とした非制限的な実施例として説明された実施例に制限されない。
【0047】
(実施例)
本発明を説明することを目的とし、以下の非制限的な実施例が示される。
【0048】
これらの実施例において、以下の使用される原料が選択され、所定のパーセントが、質量パーセントである:
−以下の平均化学分析(重量)を有する微粒化ジルコン:ZrO+HfO:66%,SiO:33%,Al:0.3%,P:0.3%,Fe:0.07%,TiO:0.08%,及びYのような0.2%以下の他の化合物。粒子が、2.5μmのメジアン径(D50)を有する。
−80%のリン酸 HPOの溶液。
−99%以上のZnOを含み、その粒子のメジアン径(D50)が約3μmである酸化亜鉛。
−約95%のTiOを含み、その粒子のメジアン径が2.3μmである酸化チタン。
−その粒子のメジアン径が約3μmであるアルミナ。
−約99%のGeOを含み、その粒子のメジアン径が約3μmである酸化ゲルマニウム。
−約99.85%のTaを含み、その粒子のサイズが44μm以下である酸化タンタル。
【0049】
焼結耐熱性ブロックが、以下のステップを含む通常の方法により製造された:
a)開始チャージ材を形成するために原料を混合するステップ,
b)前記混合物から未焼結部を成形するステップ,
c)前記未焼結部を焼結するステップ。
【0050】
ステップa)において、全ての原料が与えられ、この混合物が、所望の平均量の化学組成を有し、次に、例えば、リン酸である、通常使用されるバインダー,解膠剤及び/又は焼結助剤の存在下で混合された。
【0051】
原料の混合物が、任意的に、ステップa)に移る前に微細化されてよい。
【0052】
ステップb)において、直径200mmであり、高さ約200mmである円筒形未焼結部を形成するために、次に、混合物が、静水圧プレス成形によって成形された。
【0053】
ステップc)において、次に、未焼結部分が、大気圧下であり、1,600℃の焼結温度において、空気中で焼結され、その水平状態で、20時間の間、維持された。
【0054】
滲出レベルを測定するために、辺長25mmであり高さ75mmの正方形断面を有する製品の棒のようなサンプルが用いられ、1,700℃での加熱に対し24時間の間、暴露された。この期間の終了時に、サンプルの体積が測定された。加熱後のサンプルの体積が、“Vm”と呼ばれ、加熱前のサンプルの体積が、“Vi”と呼ばれ、両体積の差(体積増加)が“Va”と呼ばれ、Va=Vm−Viである。比Va/Viが、<<滲出率>>と呼ばれ、表1において<<EI>>として示される。
【0055】
得られた焼結製品の“EI”率、密度、見掛け気孔率(%での)、及び使用される原料の割合(質量パーセント)が、表1に与えられている。
【0056】
【表1】

【0057】
表1が、本発明による製品の滲出に対する極めて良好な耐性を明確に示す。これらの製品の密度が、試験された周知の製品の密度と同じままである。
【0058】
従って、これらの製品が、ガラス炉での使用に見事に適合する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物基準の質量パーセントで75−99%のジルコンを含む開始チャージ材から構成された焼結製品であって、
酸化物基準の質量パーセントで、合計100%に対して、
60%≦ZrO≦72.8%,
27%≦SiO≦36%,
0.1%≦B+GeO+P+Sb+Nb+Ta+V
0.1%≦ZnO+PbO+CdO,
+GeO+P+Sb+Nb+Ta+V+ZnO+PbO+CdO≦5%,
0%≦Al+TiO+MgO+Fe+NiO+MnO+CoO+CuO≦5%,
他の酸化物:≦1.5%
である平均量の化学組成を有することを特徴とする焼結製品。
【請求項2】
0.1%≦GeO+P+Nb+Ta,及び/又は
0.1%≦ZnO,及び/又は
GeO+P+Nb+Ta+ZnO≦5%,及び/又は
0%≦Al+TiO+MgO+Fe+NiO+MnO+CoO+CuO≦5%,
であることを特徴とする請求項1記載の焼結製品。
【請求項3】
酸化物基準の質量パーセントで、Taの容量が、0.3%以上かつ3%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の焼結製品。
【請求項4】
酸化物基準の質量パーセントで、Taの容量が、0.8%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の焼結製品。
【請求項5】
酸化物基準の質量パーセントで、ZnOの容量が、0.3%以上かつ3%以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の焼結製品。
【請求項6】
酸化物基準の質量パーセントで、ZnOの容量が、0.8%以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の焼結製品。
【請求項7】
酸化物基準の質量パーセントで、Al,TiO,MgO,Fe,NiO,MnO,CoO及びCuOの中で少なくとも一つの酸化物を、0.05%以上含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の焼結製品。
【請求項8】
酸化物基準の質量パーセントで、Al,TiO,MgO,Fe,NiO,MnO,CoO及びCuOの中で少なくとも二つの酸化物を、0.3%以上含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の焼結製品。
【請求項9】
酸化物基準の質量パーセントで、0.05%<Al+TiO<3%である化学組成を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の焼結製品。
【請求項10】
酸化物基準の質量パーセントで、0.9%<Al+TiOである化学組成を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の焼結製品。
【請求項11】
酸化物基準の質量パーセントで、合計100%に対して、
60%≦ZrO≦72.4%,
27%≦SiO≦36%,
0.2%≦B+Nb+Ta≦2.5%,
0.2%≦ZnO≦2.5%,
0.2%≦Al+TiO+MgO+NiO+MnO+CoO+CuO≦3%,
他の酸化物:≦1.5%
である平均量の化学組成を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の焼結製品。
【請求項12】
酸化物基準の質量パーセントで、合計100%に対して、
60%≦ZrO≦72.4%,
27%≦SiO≦36%,
0.2%≦Nb+Ta≦2.5%,
0.2%≦ZnO≦2.5%,
0.2%≦Al+TiO≦2%,
他の酸化物:≦1.5%
である平均量の化学組成を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の焼結製品。
【請求項13】
酸化物基準の質量パーセントで、他の酸化物の容量が、0.5%以下であることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の焼結製品。
【請求項14】
酸化物基準の質量パーセントで、酸化イットリウムYの容量が、0.5%以下であることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の焼結製品。
【請求項15】
酸化物基準の質量パーセントで、ジルコンの容量が、5%以上であることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の焼結製品。
【請求項16】
焼結製品の製造方法であって、
a)開始チャージ材を形成するために原料を混合するステップと、
b)前記開始チャージ材から未焼結部を成形するステップと、
c)前記焼結製品を得るために、前記未焼結部を焼結するステップと、
を含み、
前記焼結製品が請求項1から15のいずれか一項に記載の焼結製品であるように、前記開始チャージ材が決定され、
前記ステップa)において使用される原料が、50μm以下のメジアン径を有することを特徴とする方法。
【請求項17】
前記ステップa)において使用される原料が、5μm以下のメジアン径を有することを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記焼結製品が溶融ガラスと接触するガラス炉の部分としての、請求項1から15のいずれか一項に記載の焼結製品又は請求項16若しくは17に記載の方法に従って製造される又は製造されることが可能な焼結製品の使用。

【公表番号】特表2011−516396(P2011−516396A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504509(P2011−504509)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050686
【国際公開番号】WO2009/138611
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(506426269)サン−ゴベン・セントル・ドゥ・レシェルシェ・エ・デチュード・ユーロペアン (42)
【Fターム(参考)】