説明

スイッチング素子

【課題】 簡単な構造で多段階の押圧を検出するスイッチング素子を提供する。
【解決手段】 1個の基準端子115とn個の検出端子116が、導電性と弾発性とを有する材料で上方から所定の押圧力が作用すると屈曲する梁状に形成されており、上方から下方まで順番に配置されている。n個の検出端子116ごとに基準端子115との導通が検出されるので、これにより段階的な押圧により基準端子115およびn個の検出端子116が順次屈曲したことが検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段階に押圧されるスイッチング素子に関し、特に、入力操作部材が多段階に入力操作される入力操作装置に利用されるスイッチング素子に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、人体から連続する複数の断層画像の画像データを撮像する画像撮像装置として、いわゆるCT(Computed
Tomography)スキャナやMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などが医療現場で使用されており、その画像データを表示する画像表示装置も各種が開発されている。
【0003】
このような画像表示装置は、例えば、パーソナルコンピュータに専用のアプリケーションソフトをインストールすることで実現され、シリーズデータとして記憶した連続する複数の画像データを順番にディスプレイに表示することができる。しかし、一般的なパーソナルコンピュータでは、アルファベットなどの入力キーが配列されたキーボードやマウスで入力操作を実行することになるので、その汎用性は良好であるが操作性は良好でない。
【0004】
そこで、本出願人が提案した画像表示装置は専用の入力操作装置を具備しており、その入力操作装置は前後方向にスライド自在な入力操作部材を具備している。その画像表示装置では、入力操作部材を前後方向にスライド操作すると、これに対応してディスプレイに表示される画像データが順次切り換わるので、連続する複数の断層画像の画像データを容易に閲覧することができる。
【0005】
特に、上記の画像表示装置では、入力操作部材が初期位置から微少にスライド移動されると画像データが低速に切換表示され、大幅にスライド移動されると高速に切換表示されるので、画像データの切換速度を自在に直感的に調節することができる。
【0006】
しかし、上述のように入力操作部材を前後方向にスライド操作させる構造では、手動操作が解除された入力操作部材を自動的に初期位置に復帰させることが困難である。このため、表示される複数の画像データを順次切り換えているとき、所望の画像データが表示された瞬間に画像切換を停止させることが困難である。
【0007】
このような課題を解決できる入力操作装置としては、いわゆるシーソースイッチを使用した製品がある。このような入力操作装置では、前後方向に細長い入力操作部材が略中央で前後方向に揺動自在に軸支されており、その入力操作部材がスプリングなどの弾発部材の弾発力により初期位置に付勢されている。
【0008】
このような入力操作装置を前述の画像表示装置に適用した場合、入力操作部材を前後方向に入力操作することで画像データを前後方向に切換表示することができる。そして、手動操作が解除された入力操作部材は自動的に初期位置に復帰するので、切換表示している画像データを所望の位置で瞬時に停止させることが可能である。
【0009】
しかし、このようなシーソースイッチは前後方向への入力操作の有無を個々に検出する機能しかできないので、画像表示装置の画像データの切換表示を速度調節することはできない。このため、シーソースイッチを利用した入力操作装置で画像データの切換表示を速度調節するためには、シーソースイッチとは別個に切換速度の調節専用のボリュームスイッチなどを並設する必要がある。
【0010】
この場合、装置の占有面積が大型化することになり、利用者は一度に二個の入力操作部材を手動操作する必要があるので好ましくない。現在、上述のような入力操作装置として各種の提案がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2003−084910号
【特許文献2】特開2003−132766号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
例えば、上述した特許文献1の入力操作装置では、前後方向への傾倒を検知する既存のスイッチング素子を利用することで、前後方向への入力操作を検知する。さらに、そのスイッチング素子を左右方向に回動自在に軸支することで、速度可変のアナログ入力なども可能としている。
【0012】
この入力操作装置を画像表示装置に利用した場合、例えば、入力操作部材を前後方向に傾倒させることで表示画像が一枚ずつ前後切換され、その状態で入力操作部材を左右方向に回動させることで表示画像が可変速度で連続切換されることになる。しかし、これでは一枚切換と連続切換との入力操作が相違するので、直感的な入力操作が困難である。
【0013】
また、前述した特許文献2の入力操作装置では、押圧を検知するスイッチング素子を、前後方向に傾倒自在な入力操作部材の前後に複数ずつ配置することで、入力操作部材の前後方向への入力操作を複数段階に検知する。この入力操作装置を画像表示装置に利用した場合、例えば、入力操作部材を前後方向に傾倒させて第1のスイッチング素子をオン状態とすることで表示画像が一枚ずつ前後切換され、さらに入力操作部材を傾倒させて第2のスイッチング素子もオン状態とすることで表示画像が連続切換される。しかし、この入力操作装置では、上述のように前後方向への2段階の入力操作を検知するために、最低でも4個のスイッチング素子が必要である。
【0014】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で複数段階の入力操作を検出できるスイッチング素子、少数のスイッチング素子で前後方向への複数段階の入力操作を検出できる入力操作装置、この入力操作装置を利用した画像表示装置、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のスイッチング素子は、上方からの押圧力を段階的に検出するため、基準端子、n個の検出端子、導通検出手段と、を有している。基準端子は、導電性と弾発性とを有する材料で上方から所定の押圧力が作用すると屈曲する梁状に形成されており、n個の検出端子は、導電性と弾発性とを有する材料で上方から所定の押圧力が作用すると屈曲する梁状に形成されていて基準端子に下方から対向する位置に順番に配置されている。導通検出手段は、これらn個の検出端子ごとに基準端子との導通を検出するので、基準端子およびn個の検出端子が押圧により順次屈曲したことが検出される。
【0016】
本発明の入力操作装置は、前後方向への複数段階の入力操作を受け付けるため、入力操作部材、部材支持機構、前方スイッチ、後方スイッチ、を有している。部材支持機構は、入力操作部材を前後方向に傾倒自在に支持しており、入力操作部材は、前後方向に入力操作される。前方スイッチは、本発明のスイッチング素子からなり、入力操作部材が前方に傾倒されると基準端子が上方から押圧される。後方スイッチは、本発明のスイッチング素子からなり、入力操作部材が後方に傾倒されると基準端子が上方から押圧される。従って、本発明の入力操作装置では、入力操作部材が複数段階の押圧力で前後方向に傾倒操作されると、その傾倒操作が前方/後方スイッチにより複数段階に検出される。
【0017】
本発明の第1の画像表示装置は、本発明の入力操作装置、画像記憶手段、画像表示手段、を有しており、画像記憶手段は、連続する複数の画像データからなる少なくとも1つのシリーズデータを記憶している。画像表示手段は、記憶されているシリーズデータの少なくとも1つの画像データを表示し、画像切換手段は、入力操作装置の入力操作部材が前方に段階的に傾倒されて前方スイッチの基準端子がn個の検出端子に順次導通すると対応する段階的な可変速度で画像データを前方に切り換えるとともに、入力操作部材が後方に段階的に傾倒されて後方スイッチの基準端子がn個の検出端子に順次導通すると対応する段階的な可変速度で画像データを後方に切り換える。従って、本発明の画像表示装置では、入力操作装置の入力操作部材の前後方向への段階的な傾倒操作により、対応する可変速度で画像データが前後方向に切り換えられる。
【0018】
本発明の第2の画像表示装置では、画像切換手段は、入力操作装置の入力操作部材が前方に所定範囲まで傾倒されて前方スイッチの基準端子が第1番目の検出端子に導通するごとに画像データを前方に一枚ずつ切り換え、入力操作部材が後方に所定範囲まで傾倒されて後方スイッチの基準端子が第1番目の検出端子に導通するごとに画像データを後方に一枚ずつ切り換え、入力操作部材が前方に所定範囲より段階的に傾倒されて前方スイッチの基準端子が第m番目の検出端子に導通するごとに対応する第m段階の可変速度で画像データを前方に切り換え、入力操作部材が後方に所定範囲より段階的に傾倒されて後方スイッチの基準端子が第m番目の検出端子に導通するごとに対応する第m段階の可変速度で画像データを後方に切り換える。
【0019】
従って、本発明の画像表示装置では、入力操作装置の入力操作部材が前後方向へ所定範囲まで傾倒操作されることで画像データが前後方向に一枚ずつ切り換えられ、入力操作部材が前後方向へ所定範囲より段階的に傾倒操作されることで対応する可変速度で画像データが前後方向に切り換えられる。
【0020】
なお、本発明で云う各種手段は、その機能を実現するように形成されていれば良く、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与されたデータ処理装置、コンピュータプログラムによりデータ処理装置に実現された所定の機能、これらの組み合わせ、等として実現することができる。
【0021】
また、本発明で云う各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要もなく、複数の構成要素が1個の部材として形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等も可能である。
【0022】
さらに、本発明では前後方向および上下方向を規定しているが、これは発明の構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定したものであり、本発明を実施する場合の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【発明の効果】
【0023】
本発明のスイッチング素子では、n個の検出端子ごとに基準端子との導通を検出することにより、基準端子およびn個の検出端子が押圧により順次屈曲したことを検出できるので、段階的な押圧力を簡単な構造で良好に検出することができる。
【0024】
本発明の入力操作装置では、入力操作部材が複数段階の押圧力で前後方向に傾倒操作されると、その傾倒操作を前方/後方スイッチにより複数段階に検出することができるので、前後方向への複数段階の入力操作の検出を構造が簡単なスイッチング素子で実現することができる。
【0025】
本発明の第1の画像表示装置では、入力操作装置の入力操作部材の前後方向への段階的な傾倒操作により、対応する可変速度で画像データを前後方向に切り換えることができ、この速度可変の表示切換を構造が簡単な入力操作装置およびスイッチング素子で実現することができる。
【0026】
本発明の第2の画像表示装置では、入力操作装置の入力操作部材を前後方向へ所定範囲まで傾倒操作することで画像データを前後方向に一枚ずつ切り換えることができ、入力操作部材を前後方向へ所定範囲より段階的に傾倒操作することで対応する可変速度で画像データを前後方向に切り換えることができ、これらの表示切換を構造が簡単な入力操作装置およびスイッチング素子で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[実施の形態の構成]
本発明の実施の一形態を図面を参照して以下に説明する。本実施の形態の入力操作装置100は、図1に示すように、1個のユニット部品として形成されており、図3に示すように、画像表示装置300のコントロールユニット200の本体ハウジング201に内蔵されている。
【0028】
本形態の入力操作装置100は、平板状のベース部材101を有しており、このベース部材101の上方に、部材支持機構102により入力操作部材103が前後方向に傾倒自在に支持されている。より詳細には、入力操作部材103は、樹脂などの絶縁体で平板状に形成されており、その上面中央から上方にジョイスティック104が一体に形成されているとともに、下面の前部および後部に凸部105が一体に形成されている。
【0029】
ベース部材101の上面には、入力操作部材103の前方の凸部105に下方から対向する位置に前方スイッチ111が装着されており、後方の凸部105に下方から対向する位置に後方スイッチ112が装着されている。これらの前方/後方スイッチ111,112は、同一構造のスイッチング素子からなり、例えば、回路基板からなるベース部材101の表面のプリント配線(図示せず)に実装されている。
【0030】
前方/後方スイッチ111,112は、図1および図2に示すように、上面と下面とが開口した矩形の枠状のスイッチハウジング113を有しており、このスイッチハウジング113の内側に上方から下方まで順番に1個の基準端子115と3個の検出端子116とが装着されている。
【0031】
これら基準/検出端子115,116は、導電性と弾発性とを有する炭素鋼などの材料で前後方向に細長い梁状に形成されており、例えば、その前端部分と後端部分とがスイッチハウジング113にスライド自在に装着されている。基準/検出端子115,116は、支持されている両端より中央が上方に突出した形状に形成されており、上方から所定の押圧力が作用すると屈曲する。
【0032】
基準/検出端子115,116は、屈曲する圧力、屈曲する角度、相互の間隔、が適切に調節されているので、基準端子115は、所定の第1の圧力が作用して屈曲すると、最上位の第1の検出端子116に接触して導通する。このような状態から、さらに第2の圧力が作用すると、第1の検出端子116は基準端子115とともに屈曲し、第2の検出端子116に接触して導通する。このような状態から、さらに第3の圧力が作用すると、第2の検出端子116は基準端子115および第1の検出端子116とともに屈曲し、第3の検出端子116に接触して導通する。
【0033】
スイッチハウジング113には、基準/検出端子115,116に個々に結線された配線(図示せず)が内蔵されており、その配線はベース部材101の表面にプリント配線で形成されている導通検出手段である導通検出回路(図示せず)に接続されている。この導通検出回路は、電圧供給回路と電圧検出回路からなり、図2(b)に示すように、基準端子113に所定の電圧を印加するとともに、3個の検出端子116ごとに印加される電圧の有無を検出する。
【0034】
さらに、本形態の入力操作装置100では、ベース部材101に対して入力操作部材103が平行な状態で、この入力操作部材103の凸部105が屈曲してない前方/後方スイッチ111,112の基準端子115に接触する構造となっている。このため、部材軸支機構102により前後方向に傾倒自在に軸支されている入力操作部材103が、前方/後方スイッチ111,112の基準端子115により中央に弾発的に付勢されている。
【0035】
そこで、本形態の入力操作装置100では、ジョイスティック104が前後方向に傾倒される圧力に対応して、前方/後方スイッチ111,112の1個の基準端子115と第1/第2の検出端子116とが順番に屈曲するので、いわゆる“クリック感”とともにジョイスティック104が前後方向に3段階に傾倒する。
【0036】
本形態のコントロールユニット200は、図3に示すように、本体ハウジング201の上面中央に前後方向に細長い貫通孔202が形成されており、この貫通孔202に入力操作装置100のジョイスティック104が下方から露出している。なお、コントロールユニット200には、入力操作装置100の入力操作部材103の他にも各種の操作キー205が実装されており、これらの操作キー205が入力操作装置100の前方/後方スイッチ111,112とともに回路基板(図示せず)に結線されている。
【0037】
本形態のコントロールユニット200は、図4および図5に示すように、画像表示装置300の一部として形成されており、ディスプレイユニット211とともに本体ユニット212に接続されている。本形態の画像表示装置300は、図6および図7に示すように、断層検査システム400の一部として形成されており、CTスキャナ401にオンライン接続されている。
【0038】
本形態の画像表示装置300は、コンピュータの主体となるハードウェアとしてCPU(Central
Processing Unit)301を具備しており、このCPU301には、バスライン302により、ROM(Read
Only Memory)303、RAM(Random Access Memory)304、HDD305(Hard
Disc Drive)305、FD(Flexible Disc-cartridge)306が交換自在に装填されるFDD(FD
Drive)307、CD(Compact Disc)−ROM308が交換自在に装填されるCDドライブ309、コントロールユニット200、ディスプレイユニット211、I/F(Interface)ユニット311、等のハードウェアが接続されている。
【0039】
また、CTスキャナ401は、画像撮像手段である画像撮像機構411と画像供給手段である通信ユニット412とを具備しており、画像撮像機構411が人体(図示せず)から連続する複数の断層画像の画像データを撮像する。一人の人体から連続に撮像された複数の画像データはシリーズデータとして蓄積され、通信ユニット412が画像表示装置300にデータ送信する。
【0040】
本形態の画像表示装置300では、ROM303、RAM304、HDD305、交換自在なFD306、交換自在なCD−ROM308、等のハードウェアが情報記憶媒体に相当し、これらの少なくとも一個にCPU301のためのコンピュータプログラムやリソースがソフトウェアとして格納されている。このようなソフトウェアは画像表示装置300に事前にインストールされており、画像表示装置300の起動時にCPU301にデータ読取される。
【0041】
このようにCPU301が適正なコンピュータプログラムをデータ読取して各種処理を実行することにより、本形態の画像表示装置300は、図7に示すように、画像取得手段321、画像記憶手段322、画像表示手段323、画像切換手段324、等の各種手段を各種機能として論理的に具備している。
【0042】
画像取得手段321は、RAM304に格納されているコンピュータプログラムに対応してCPU301がI/Fユニット311の受信データを認識する機能などに相当し、CTスキャナ410からシリーズデータを取得する。画像記憶手段322は、上述のコンピュータプログラムに対応してCPU301が認識するようにHDD305に構築された記憶エリアなどに相当し、画像取得手段321で取得されたシリーズデータを記憶する。
【0043】
画像表示手段323は、CPU301がHDD305の記憶データをディスプレイユニット211に表示させる機能などに相当し、画像記憶手段322に記憶されているシリーズデータから少なくとも1つの画像データを表示する。この表示形態は各種に操作できるが、本形態の画像表示装置300では、コントロールユニット200の操作キー205で所定操作を実行することにより、図8および図9に示すように、関連する一対のシリーズデータの画像データを左右方向に並列表示することも可能である。
【0044】
画像切換手段324は、CPU301がコントロールユニット200の操作信号を認識して所定のデータ処理を実行する機能などに相当し、画像表示手段323で表示される画像データをコントロールユニット200の入力操作部材103への入力操作に対応して切り換える。
【0045】
より具体的には、本形態の画像表示装置300では、入力操作装置100のジョイスティック104が前方に所定圧力で所定角度まで傾倒されて前方スイッチ111の基準端子115と第1の検出端子116との導通が検出されると、これに対応して表示されているシリーズデータの画像データが前方に一枚ずつ切り換えられる。
【0046】
同様に、ジョイスティック104が後方に所定圧力で所定角度まで傾倒されて後方スイッチ112の基準端子115と第1の検出端子116との導通が検出されるごとに、表示されている画像データが後方に一枚ずつ切り換えられる。また、前方スイッチ111の基準端子115と第2の検出端子116との導通が検出されると、表示されているシリーズデータの画像データが前方に低速で連続切換され、後方スイッチ112の基準端子115と第2の検出端子116との導通が検出されると、表示されている画像データが後方に低速で連続切換される。
【0047】
また、前方スイッチ111の基準端子115と第3の検出端子116との導通が検出されると、表示されているシリーズデータの画像データが前方に高速で連続切換され、後方スイッチ112の基準端子115と第3の検出端子116との導通が検出されると、表示されている画像データが後方に高速で連続切換される。
【0048】
また、本形態の画像表示装置300では、ディスプレイユニット211に1つのシリーズデータの1つの画像データを表示する基本動作の他、図8および図9に示すように、応用動作として複数の画像データを左右方向に並列表示することもできる。そして、このような表示状態で入力操作装置100の操作キー205で所定操作などが実行されると、左右方向に並列表示されている複数の画像データから入力操作装置100による前後切換の処理対象となる1つが切換設定される。
【0049】
上述のような画像表示装置300の各種手段は、必要によりHDD305やI/Fユニット311等のハードウェアを利用して実現されるが、その主体はRAM304等の情報記憶媒体に格納されたコンピュータプログラムに対応してハードウェアであるCPU301が機能することにより実現されている。
【0050】
このようなコンピュータプログラムは、例えば、I/Fユニット311でCTスキャナ410からシリーズデータを受信する処理、この受信されたシリーズデータをHDD305に記憶させる処理、この記憶されているシリーズデータの画像データをディスプレイユニット211に表示させる処理、この表示させる画像データをコントロールユニット200の前方/後方スイッチ111,112の出力信号に対応して前後切換する処理、等の処理動作をCPU301等に実行させるためのソフトウェアとしてRAM304等の情報記憶媒体に格納されている。
【0051】
[実施の形態の動作]
上述のような構成において、本形態の断層検査システム400での断層検査方法を以下に順番に説明する。まず、CTスキャナ410により患者(図示せず)の人体から連続する複数の断層画像の画像データが撮像され、その複数の画像データがシリーズデータとして画像表示装置300に登録される。
【0052】
このようにシリーズデータが画像表示装置300に登録されると、作業者(図示せず)がコントロールユニット200に所定操作を実行することにより、シリーズデータの画像データがディスプレイユニット211に表示される。このように画像データが表示された状態でコントロールユニット200のジョイスティック104が入力操作されると、その入力操作に対応して表示されている画像データが操作される。
【0053】
より具体的には、本形態の画像表示装置300では、1つのシリーズデータの画像データがディスプレイユニット211に表示された状態で、入力操作装置100のジョイスティック104が前方に所定圧力で所定角度だけ傾倒されると、入力操作部材103の凸部105に押圧される前方スイッチ111の基準端子115が屈曲して第1の検出端子116に接触する。
【0054】
すると、基準端子115に印加されている電圧が第1の検出端子116から検出されるので、この検出ごとに表示されているシリーズデータの画像データが前方に一枚ずつ切り換えられる。同様に、ジョイスティック104が後方に所定圧力で所定角度だけ傾倒されて後方スイッチ112の基準端子115と第1の検出端子116との導通が検出されるごとに、表示されている画像データが後方に一枚ずつ切り換えられる。
【0055】
上述のような状態から、さらに入力操作装置100のジョイスティック104が前方に所定圧力で所定角度まで傾倒されると、前方スイッチ111の第1の検出端子116が基準端子115とともに屈曲して第2の検出端子116に接触する。これで基準端子115と第2の検出端子116との導通が検出されるので、表示されているシリーズデータの画像データが前方に低速で連続切換される。同様に、ジョイスティック104が所定圧力で所定角度まで傾倒されて後方スイッチ112の基準端子115と第2の検出端子116との導通が検出されると、画像データが後方に低速で連続切換される。
【0056】
上述のような状態から、さらに入力操作装置100のジョイスティック104が前方に所定圧力で所定角度まで傾倒されて前方スイッチ111の基準端子115と第3の検出端子116との導通が検出されると、表示されているシリーズデータの画像データが前方に高速で連続切換され、ジョイスティック104が所定圧力で所定角度まで傾倒されて後方スイッチ112の基準端子115と第3の検出端子116との導通が検出されると、画像データが後方に高速で連続切換される。
【0057】
このため、本形態の画像表示装置300では、ジョイスティック104が前後に微少に入力操作されるごとに、表示されている画像データが前後に一枚ずつ切り換えられ、ジョイスティック104が前後に大幅に入力操作されると、その入力応力および傾倒角度に対応した速度で表示されている画像データが前後に連続切換される。
【0058】
また、本形態の画像表示装置300では、上述のようにディスプレイユニット211に1つのシリーズデータの画像データを1つずつ表示することの他、図8および図9に示すように、複数のシリーズデータの画像データを左右方向に並列表示することもできる。例えば、一人の患者から造影剤を使用したシリーズデータと使用しないシリーズデータとが撮像されて登録されている場合、その一対のシリーズデータの画像データを左右方向に並列表示することが可能である。
【0059】
そして、本形態の画像表示装置300では、上述のような表示状態で入力操作装置100の操作キー205で所定操作などが実行されると、左右方向に並列表示されている複数の画像データから入力操作装置100による前後切換の処理対象となる1つが切換設定される。
【0060】
[実施の形態の効果]
本形態の画像表示装置300では、上述のように入力操作装置100のジョイスティック104を入力操作することで、表示しているシリーズデータの画像データを各種に操作することができる。特に、ジョイスティック104を前後方向に3段階に入力操作できるので、シリーズデータの画像データを前後方向に一枚ずつ切り換えることができるとともに低速および高速で連続切換することもでき、これらの切換操作を直感的に実行することができる。
【0061】
そして、本形態の画像表示装置300の入力操作装置100では、上述のように前後方向への3段階の入力操作を前方/後方スイッチ111,112で検出するので、その個数が少数で生産性が良好である。特に、これらの前方/後方スイッチ111,112では、基準/検出端子115,116が電極と弾性体とを兼用しているので、その構造が簡単で生産性が良好である。
【0062】
さらに、本形態の画像表示装置300の入力操作装置100では、部材軸支機構102により前後方向に傾倒自在に軸支されている入力操作部材103が、前方/後方スイッチ111,112の基準端子115により中央に弾発的に付勢されている。このため、入力催促部材103を中央の初期位置に配置する専用の付勢機構が必要なく、その構造が簡単で生産性が良好である。
【0063】
しかも、本形態の画像表示装置300の入力操作装置100では、前方/後方スイッチ111,112の1個の基準端子115と第1/第2の検出端子116とが順番に屈曲するので、いわゆる“クリック感”とともにジョイスティック104を前後方向に3段階に傾倒操作することができる。
【0064】
特に、前方/後方スイッチ111,112の基準/検出端子115,116が、前後方向に細長い梁状に形成されていて、その中央が両端より上方に位置する“く字状”に形成されているので、所定の圧力が作用すると“クリック感”とともに屈曲する基準/検出端子115,116が簡単な構造で実現されている。
【0065】
[実施の形態の変形例]
なお、本発明は上記形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では入力操作装置100に2個のスイッチング素子が前方/後方スイッチ111,112として実装されており、前後方向への入力操作を検出することを例示したが、入力操作装置に4個のスイッチング素子が前方/後方/左方/右方スイッチとして実装されており(図示せず)、前後左右への入力操作を検出することなども可能である。
【0066】
また、上記形態では前方/後方スイッチ111,112に第1から第3の検出端子116が形成されていることを例示したが、このような検出端子116が2個だけ形成されていることも可能であり、4個以上形成されていることも可能である(ともに図示せず)。
【0067】
さらに、上記形態では前方/後方スイッチ111,112の基準端子115と第1の検出端子116との導通が検出されると画像データが一枚切換され、基準端子115と第2の検出端子116との導通が検出されると低速切換され、基準端子115と第3の検出端子116との導通が検出されると高速切換されることを例示した。
【0068】
しかし、基準端子115と第1の検出端子116との導通が検出されると画像データが低速切換され、基準端子115と第2の検出端子116との導通が検出されると中速切換され、基準端子115と第3の検出端子116との導通が検出されると高速切換されるようなことも可能であり、基準端子115と第1の検出端子116との導通が検出されると画像データが一枚切換され、基準端子115と第2の検出端子116との導通が検出されるとa(aは“2”以上の自然数)枚切換され、基準端子115と第3の検出端子116との導通が検出されると連続切換されるようなことも可能である。
【0069】
また、上記形態では最下位の第3の検出端子116も屈曲自在な構造となっているが、最下位の検出端子116は屈曲する必要がない。そこで、この最下位の検出端子116の下方に屈曲しない構造の固定端子(図示せず)を固定的に配置し、この固定端子と基準端子115との導通まで検出することも可能である。
【0070】
さらに、上記形態では前方/後方スイッチ111,112の最上位に基準端子115が配置されており、その下方に複数の検出端子116が順番に配置されていることを例示したが、基準端子115の上方に第1の検出端子116が配置されているとともに下方に複数の検出端子116が順番に配置されていることも可能である(図示せず)。
【0071】
また、上記形態では所定圧力で“クリック感”とともに屈曲する基準/検出端子115,116を実現するため、これらの基準/検出端子115,116が“く字状”に形成されていることを例示したが、例えば、このような基準/検出端子が両端より中央が上方に位置する円弧状に形成されていることも可能である(図示せず)。
【0072】
さらに、上記形態では複数のシリーズデータの画像データを並列表示することを例示したが、例えば、1つのシリーズデータの前後位置が相違する複数の画像データを並列表示するようなことも可能であり、1つの画像データを相違する画像処理で複数に表示するようなことも可能である。
【0073】
また、上記形態では適正なサイズを想定することにより入力操作装置100の入力操作部材103を指先で手動操作することを例示したが、例えば、入力操作部材103を大型化して足裏で入力操作するようなことも可能である。さらに、上記形態では画像表示装置300がディスプレイユニット211で一対の画像データを左右方向に並列表示することを例示したが、当然ながら画像データを1つだけ表示することも可能であり、二つ以上の画像データを表示することも可能である。
【0074】
また、上記形態では画像表示装置300がディスプレイユニット211で表示した画像データをコントロールユニット200の一個の入力操作装置100で切換操作することを例示したが、例えば、コントロールユニット200に複数の入力操作装置100を並設して並列に表示された複数の画像データを個々に切換操作するようなことも可能である。さらに、上記形態では画像表示装置100で表示する画像データのシリーズデータがCTスキャナ410で撮像されることを例示したが、これがMRI装置(図示せず)で撮像されることも可能である。
【0075】
また、上記形態ではRAM304等に格納されているコンピュータプログラムに対応してCPU301が動作することにより、画像表示装置300の各種機能として各種手段が論理的に実現されることを例示した。しかし、このような各種手段の各々を固有のハードウェアとして形成することも可能であり、一部をソフトウェアとしてRAM304等に格納するとともに一部をハードウェアとして形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の一形態の入力操作装置の内部構造を示す縦断側面図である。
【図2】スイッチング素子である前方/後方スイッチの内部構造を示す縦断側面図である。
【図3】コントロールユニットの外観を示す平面図である。
【図4】画像表示装置の外観を示す斜視図である。
【図5】画像表示装置の回路構造を示すブロック図である。
【図6】断層検査システムの外観を示す斜視図である。
【図7】断層検査システムの論理構造を示す模式図である。
【図8】ディスプレイユニットに画像データが表示された状態を示す正面図である。
【図9】シリーズデータのデータ構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0077】
100 入力操作装置
102 部材支持機構
103 入力操作部材
111 スイッチング素子からなる前方スイッチ
112 スイッチング素子からなる後方スイッチ
115 基準端子
116 検出端子
300 画像表示装置
321 画像取得手段
322 画像記憶手段
323 画像表示手段
324 画像切換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方からの押圧力を段階的に検出するスイッチング素子であって、
導電性と弾発性とを有する材料で上方から所定の押圧力が作用すると屈曲する梁状に形成されている基準端子と、
導電性と弾発性とを有する材料で上方から所定の押圧力が作用すると屈曲する梁状に形成されていて前記基準端子に下方から対向する位置に順番に配置されているn(nは自然数)個の検出端子と、
これらn個の検出端子ごとに前記基準端子との導通を検出する導通検出手段と、
を有しているスイッチング素子。
【請求項2】
上方からの押圧力を段階的に検出するスイッチング素子であって、
導電性と弾発性とを有する材料で上方から所定の押圧力が作用すると屈曲する梁状に形成されている基準端子と、
導電性と弾発性とを有する材料で上方から所定の押圧力が作用すると屈曲する梁状に形成されていて前記基準端子に上方から対向する位置に1個が配置されているとともに下方から対向する位置に“n−1(nは“2”以上の自然数)”個が順番に配置されているn個の検出端子と、
これらn個の検出端子ごとに前記基準端子との導通を検出する導通検出手段と、
を有しているスイッチング素子。
【請求項3】
前記基準端子と前記検出端子とは、支持されている両端より中央が上方に突出した形状に形成されている請求項1または2に記載のスイッチング素子。
【請求項4】
導電性を有する材料で形成されていて最下位の前記検出端子に下方から対向する位置に固定的に配置されている1個の固定端子も有しており、
前記導通検出手段は、前記固定端子と前記基準端子との導通も検出する請求項1ないし3の何れか一項にスイッチング素子。
【請求項5】
前後方向への複数段階の入力操作を受け付ける入力操作装置であって、
入力操作される入力操作部材と、
この入力操作部材を前後方向に傾倒自在に支持している部材支持機構と、
請求項1ないし4の何れか一項に記載のスイッチング素子からなり前記入力操作部材が前方に傾倒されると前記基準端子が上方から押圧される前方スイッチと、
請求項1ないし4の何れか一項に記載のスイッチング素子からなり前記入力操作部材が後方に傾倒されると前記基準端子が上方から押圧される後方スイッチと、
を有している入力操作装置。
【請求項6】
前後方向に傾倒自在に指示されている前記入力操作部材が前記前方スイッチと前記後方スイッチとの前記基準端子で中央に弾発的に付勢されている請求項4に記載の入力操作装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の入力操作装置と、
連続する複数の画像データからなる少なくとも1つのシリーズデータを記憶している画像記憶手段と、
記憶されている前記シリーズデータの少なくとも1つの前記画像データを表示する画像表示手段と、
前記入力操作装置の入力操作部材が前方に段階的に傾倒されて前記前方スイッチの前記基準端子がn個の前記検出端子に順次導通すると対応する段階的な可変速度で前記画像データを前方に切り換えるとともに前記入力操作部材が後方に段階的に傾倒されて前記後方スイッチの前記基準端子がn個の前記検出端子に順次導通すると対応する段階的な可変速度で前記画像データを後方に切り換える画像切換手段と、
を有している画像表示装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載の入力操作装置と、
連続する複数の画像データからなる少なくとも1つのシリーズデータを記憶している画像記憶手段と、
記憶されている前記シリーズデータの少なくとも1つの前記画像データを表示する画像表示手段と、
前記入力操作装置の入力操作部材が前後方向に傾倒されると表示されている前記画像データを前後方向に切り換える画像切換手段と、を有しており、
前記画像切換手段は、前記入力操作装置の入力操作部材が前方に所定範囲まで傾倒されて前記前方スイッチの前記基準端子が第1番目の前記検出端子に導通するごとに前記画像データを前方に一枚ずつ切り換え、前記入力操作部材が後方に所定範囲まで傾倒されて前記後方スイッチの前記基準端子が第1番目の前記検出端子に導通するごとに前記画像データを後方に一枚ずつ切り換え、前記入力操作部材が前方に前記所定範囲より段階的に傾倒されて前記前方スイッチの前記基準端子が第m(mはn以下の自然数)番目の前記検出端子に導通するごとに対応する第m段階の可変速度で前記画像データを前方に切り換え、前記入力操作部材が後方に前記所定範囲より段階的に傾倒されて前記後方スイッチの前記基準端子が第m番目の前記検出端子に導通するごとに対応する第m段階の可変速度で前記画像データを後方に切り換える画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−164865(P2006−164865A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357708(P2004−357708)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(391039313)株式会社根本杏林堂 (80)
【Fターム(参考)】