説明

スイッチ及び電子機器

【課題】操作入力部材に対して繰り返し外力が加えられても安定して接点部を操作することができるスイッチを提供すること。
【解決手段】内部に接点部を有するスイッチ本体10と、スイッチ本体10から突出して設けられ、外力を伝達して前記接点部の接離を操作するための操作入力部材20とを備えるスイッチ1であって、操作入力部材20において前記外力を受ける端部20Aには、転動体30が転動自在に支持されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外力が加えられることで接点電極のオンとオフとが切り替わるスイッチが知られている。このようなスイッチとして、特許文献1には、固定接点と、固定接点に対して相対移動する可動接点と、外力が加えられることによって可動接点を固定接点に接触させるプッシュボタン(操作入力部材)を備えるスイッチが記載されている。
【0003】
また、このようなスイッチは、例えば、中央演算装置や主記憶装置などが実装された刀身状のサーバー装置と筐体とを備える電子機器においてサーバー装置と筐体とを着脱する場合に、サーバー装置などを着脱するためのレバーが一体に設けられた押圧部材と連動して操作されてサーバー装置が筐体に接続されたか否かを検出するためのスイッチとして使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−86676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスイッチは、操作入力部材の外面に対して繰り返し外力が加わることで操作入力部材が磨耗する場合がある。この場合、スイッチの製造時に設定された位置と異なる位置で接点電極の接触及び離間が起こってしまい、接点電極の動作が不安定になるという問題がある。
【0006】
また、従来の電子機器は、スイッチの操作入力部材が磨耗しないように、また操作入力部材に対して適切な方向から外力が加わるように、サーバー装置などのレバーの回動中心から離れた位置にスイッチを配置する必要があった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、操作入力部材に対して繰り返し外力が加えられても安定して接点部を操作することができるスイッチを提供し、また、操作入力部材に外力が加わる方向が適切な方向からずれてもスイッチを好適に操作できる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のスイッチは、内部に接点部を有するスイッチ本体と、前記スイッチ本体から突出して設けられ、外力を伝達して前記接点部の接離を操作するための操作入力部材とを備えるスイッチであって、前記操作入力部材において前記外力を受ける端部には、転動体が転動自在に支持されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の電子機器は、内部に空洞を有する収容体と前記収容体に収容される被収容体とが互いに着脱可能に設けられた電子機器であって、前記被収容体は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスイッチと、前記スイッチの前記転動体に接触し、前記転動体を介して前記操作入力部材に外力を加えるカム面を有する押圧部材と、前記収容体の内側から外側に向かって前記収容体の内壁面に当接するように前記押圧部材に形成された着脱部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のスイッチによれば、操作入力部材に設けられた転動体が転動することで操作入力部材と被接触体との間の摩擦抵抗が低減されているので、操作入力部材が磨耗するのを抑えることができる。このため、操作入力部材に対して繰り返し外力が加えられても安定して接点部を操作することができる。
また、本発明の電子機器によれば、操作入力部材に転動体が設けられているので、操作入力部材に外力が加わる方向が適切な方向からずれてもスイッチを好適に操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態のスイッチを示す図で、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は右側面図である。
【図2】(A)ないし(C)は同スイッチの使用時の動作を示す動作説明図である。
【図3】(A)は本発明の第2実施形態の電子機器を示す部分断面図である。(B)は同電子機器の使用時の動作を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態のスイッチについて説明する。図1は、本実施形態のスイッチ1を示す図で、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は右側面図である。図2(A)ないし図2(C)は、スイッチ1の使用時の動作を示す動作説明図である。
【0013】
図1に示すように、スイッチ1は、図示しない接点電極を内部に有するスイッチ本体10と、スイッチ本体10から突出して設けられた操作入力部材20と、操作入力部材20の端部20Aに設けられた転動体30とを備えている。
【0014】
スイッチ本体10は、端子12A、12B、12C、12Dが、ケース11の内部で接点電極に導通するようにケース11の外面に設けられている。
【0015】
操作入力部材20は、例えば棒状に形成されており、ケース11から突き出した端部20Aには、転動体30を支持する受座21が設けられている。操作入力部材20は、ケース11に対して操作入力部材20の軸方向に進退動作してケース11の内部の図示しない接点部を操作するようになっている。
【0016】
本実施形態では、受座21は、球面の一部をなすような曲面形状を有している。また、受座21における端部20A側の一部には、操作入力部材20の径方向内側に向かって延びるストッパ部22が設けられている。ストッパ部22は、転動体30が受座21から脱落しないように、かつ転動体30を転動自在に支持するものである。
【0017】
転動体30は、例えばステンレス鋼などからなる球体で、受座21において自在に転動するように受座21に支持されている。また、転動体30と受座21との間は、転動体30が受座21で自在に転動できる程度に摩擦抵抗が低減された低摩擦部になっている。具体的には、受座21には、転動体30に点接触する突起が形成されている。また、受座21において転動体30に接触する部分がフッ素樹脂などの樹脂材料で構成されていてもよい。
【0018】
本実施形態では、ケース11に対して操作入力部材20が最大に突出している状態と、ケース11に対して操作入力部材20が最大に押し込まれている状態とが切り替わることで、端子12A、12B、12C、12Dの間の導通状態が第一状態と第二状態との間で相互に切り替わるようになっている。第一状態と第二状態とのそれぞれにおける端子12A、12B、12C、12Dの接離は適宜に設定して構成することができる。一例を挙げると、第一状態では端子12A、12B、12C、12Dが互いに導通していない状態であり、第二状態では端子12Aと端子12Bとが導通するとともに端子12Cと端子12Dとが導通するようになっている。
【0019】
以上に説明した構成の、本実施形態のスイッチ1の使用時の動作について説明する。
図2(A)に示すように、スイッチ1は、被接触体100に対して転動体30の外面が接触するように配置されて使用される。スイッチ1と被接触体100との位置関係は、スイッチ1の操作入力部材20の端部20Aに設けられた転動体30が平坦面10(例えば点X)に接する位置関係にあるときは、操作入力部材20がケース11から最大に突出する位置関係になっている。このとき、スイッチ1の端子12A、12B、12C、12Dの導通状態は上述の第一状態になっている。
【0020】
図2(B)に示すA方向に被接触体100が相対移動すると、操作入力部材20は転動体30とともにケース11の内部方向へ移動する。カム面102から転動体30に加わる外力は、操作入力部材20の軸方向に対して角度を有しており、転動体30が受ける外力は、操作入力部材20の軸方向の成分と操作入力部材20の軸に直交する方向の成分とを有している。操作入力部材20の軸に直交する外力の成分によって、転動体30は転動する。このとき、転動体30の外面とカム面102との間に発生する摩擦は転がり摩擦であり、転動体30の外面とカム面102との間の転がり摩擦係数は転動体30の外面とカム面102との間のすべり摩擦係数より小さい。
【0021】
スイッチ1と被接触体100とが図2(C)に示すようにカム面102の頂点Yに転動体30が位置する位置関係にあるときは、操作入力部材20がケース11に対して最大に押し込まれた位置関係になっており、転動体30がカム面102に沿って動作することで上述の第一状態から第二状態へ切り替わる。
【0022】
被接触体100が図2(B)に示すA方向と反対方向に移動したときには、転動体30は転動しつつ、操作入力部材20はケース11から外向きに移動する。平坦面101の点Xに転動体30が到達したときには、スイッチ本体10においては上述の第二状態から第一状態へ切り替わっている。
【0023】
以上説明したように、本実施形態のスイッチ1によれば、操作入力部材20に設けられた転動体30によってカム面102との間の摩擦力が低減されている。そのため、操作入力部材20が磨耗することが軽減され、操作入力部材の動作方向と異なる方向から外力が操作入力部材に対して繰り返して加えられても安定して接点電極を動作させることができる。
【0024】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の電子機器について図4及び図5を参照して説明する。なお、本実施形態において、上述した第1実施形態のスイッチ1と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
図3(A)は、本実施形態の電子機器2の一部の構成を示す部分断面図である。また、図3(B)は、電子機器2の使用時の動作を示す動作説明図である。
【0025】
図3(A)に示すように、本実施形態の電子機器2は、例えばAdvanced TCA(Telecom Computing Architecture)にハードウエア仕様が定められた外枠となる収容体301と、収容体301の内部に収容される被収容体300との間に介在されて設けられている。
【0026】
収容体300は、上述の第1実施形態で説明したスイッチ1が回路基板310上に実装され、回路基板310には、収容体300に固定された回動軸部材203を介して連結された押圧部材200と、押圧部材200の外面の一部に引っ掛けて押圧部材200の位置を固定する固定部320と、が取り付けられている。
【0027】
回動軸部材203は、回路基板310の面に垂直な方向に延びる円柱形状で、押圧部材200は回路基板310が存する面と平行な面に沿って回動軸部材203回りに回動するようになっている。本実施形態では、回動軸部材203とスイッチ1との位置関係は、スイッチ1のケース11から突出する操作入力部材20が、回動軸部材203の回動中心軸に向かって延びる位置関係になっている。
【0028】
押圧部材200は、回動軸部材203回りに相対回動自在で回動軸部材203回りに延びて形成されたカム面201、202と、被収容体300が収容体301に収容されている状態で収容体301の外部側に延びて設けられたレバー部210と、被収容体300の内部側に突出してレバー部210の一部に設けられたフック部220と、を備えている。
【0029】
カム面201とカム面202とは、回動軸部材203の回動中心軸からの距離が異なっており、カム面202と回動中心軸との間の距離は、カム面201と回動中心軸との間の距離よりも長くなっている。カム面201とカム面202との間の傾斜カム面204は、カム面201からカム面202に向かうに従って回動軸部材203の回動中心軸との間の距離が漸次長くなるように形成されている。
【0030】
本実施形態では、カム面201とカム面202とのそれぞれには、スイッチ1の操作入力部材20に設けられた転動体30の外面が接触するようになっており、操作入力部材20がケース11の外向きに付勢される付勢力によってカム面201、カム面202及び傾斜カム面204に転動体30は押圧されている。
本実施形態の電子機器2において、スイッチ1は被収容体300に対して収容体301が収容されたことを検知するスイッチである。
【0031】
以上に説明した構成の本実施形態の電子機器2の使用時の動作について説明する。
まず、被収容体300を収容体301の内部に例えば使用者の手作業によって挿入する。すると、レバー部210と係止部230との間に収容体301の一部が挟まれるように、押圧部材200は収容体301に挿入される。
【0032】
次に、レバー部210が被収容体300に近づく方向に、押圧部材200を回動軸部材203回りに回動させる。すると、係止部230は収容体301の内壁面301Aに回り込むように回動軸部材203を中心に回動し、着脱部Z1において係止部230は内壁面301Aを押圧する。これにより、被収容体300は収容体301の内部にさらに押し込まれて、図示しないコネクタなどを介して被収容体301と収容体300とは電気的に接続される。さらにこのとき、回動軸部材203回りにカム面201、202が回動して、転動体30とカム面201、202とは、転動体30が点Yに位置する位置関係になる。
【0033】
カム面201、202からは、操作入力部材20の軸に対して角度を有する方向から転動体30を介して外力が加えられ、転動体30がない場合には操作入力部材20とカム面201、202とが摺動することで操作入力部材20の軸が曲がる方向に外力を受けている。しかしながら、操作入力部材20の軸に直交する外力の成分によって転動体30が転動することで操作入力部材20とカム面201、202との間の摩擦が低減されているため、操作入力部材20は曲がることなくケース11の内部側に直線動作する。
【0034】
押圧部材200とスイッチ1との間では、カム面201からカム面202へ転動体30が移動し、操作入力部材20はケース11の内向きに移動する。カム面201、202上の点Xから点Yへスイッチ1の転動体30が相対移動すると、スイッチ1においては、端子12A、12B、12C、12Dの導通状態が第一状態から第二状態に切り替わる。
このようにして、スイッチ1は、被収容体300が収容体301に確実に装着されたことを検知する。
【0035】
図3(B)に示すように、レバー部210を被収容体300に近接する方向へ回動軸部材203回りに回動させた状態では、レバー部210は被収容体300の外面に沿い、被収容体300の外面と収容体301の外面とは略同一面上に存する位置関係になる。固定部320の凸部321と係合部220の凹部221とが係合することで、レバー部210は固定部320に固定されて、収容体301に加わる振動などで押圧部材200が固定部320から外れないようになっている。
これで、被収容体300の収容体301への装着動作は終了する。
【0036】
被収容体300を収容体301から取り出すときには、レバー部210を被収容体300の外側方向に引き出すように押圧部材200を回動軸部材203回りに回動させる。すると、レバー部210側の着脱部Z2は収容体301の外面に当接する。さらに、収容体301の外面を支点としてレバー部210をさらに収容体301の外側に向かって回動させると、被収容体300を収容体301から引き抜く方向に被収容体300と収容体301とが相対移動する。
【0037】
このとき、押圧部材200とスイッチ1との間では、カム面202からカム面201に転動体30が移動し、操作入力部材20はケース11の外向きに移動する。これにより、スイッチ1においては、端子12A、12B、12C、12Dの導通状態が第二状態から第一状態に切り替わる。
このとき、スイッチ1は、被収容体300が収容体301から取り外されたことを検知する。
【0038】
以上に説明したように、本実施形態の電子機器によれば、点Xから点Yに転動体30を移動させる場合には、カム面201とカム面202とによって、回動軸部材203回りの回動方向に押圧力が加わる。このとき、転動体30がカム面201、202に接触して転動することでカム面201とカム面202との間の摩擦抵抗が低減されているので、操作入力部材20は曲がることなくケース11の内向きに移動する。このため、スイッチ1を回動軸部材203の近傍に配置してもスイッチ1を好適に動作させることができる。
【0039】
また、従来、押圧部材とスイッチ1との間の位置ずれを少なくするために押圧部材の加工精度を高めて押圧部材を製造していたが、押圧部材の製造するためのコストが高いという問題があった。本実施形態の電子機器によれば、スイッチ1を回動軸部材203の近傍に配置することができるので、回動軸部材203から離れた位置でスイッチ1の操作入力部材20を操作する従来の場合に比べて押圧部材200とスイッチ1との位置ずれが少ない。このため、例えば従来はレーザー加工を要していた押圧部材をNCT加工(NCタレットパンチ加工)などの加工方法で製造することができ、押圧部材200を安価に製造することができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述の各実施形態において、転動体は金属製の球体である例を説明したが、転動体の材質は金属に限られるものではなく、また転動体の形状は球状に限られるものではない。転動体の材質としては、例えばフッ素樹脂などの摩擦係数の小さい樹脂材料などを採用することができる。また、転動体の形状としては、例えば母線回りに転動自在な円筒形状あるいは円柱形状としてもよい。
【0041】
また、上述の各実施形態において、転動体30と操作入力部材20に設けられた受座21との間に、転動体30と受座21との間の摩擦抵抗を低減する低摩擦部として別の部材を介在させても良い。例えば転動体30が鋼球である場合には、低摩擦部の材質としては硬鋼、銅、ガラス、ルビーなどを採用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 スイッチ
2 電子機器
10 スイッチ本体
20 操作入力部材
30 転動体
100 被接触体
200 押圧部材
300 被収容体
301 収容体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に接点部を有するスイッチ本体と、前記スイッチ本体から突出して設けられ、外力を伝達して前記接点部の接離を操作するための操作入力部材とを備えるスイッチであって、
前記操作入力部材において前記外力を受ける端部には、転動体が転動自在に支持されていることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記回転体は、球状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記操作部材と前記転動体との間には、前記操作部材と前記転動体との間の静止摩擦係数よりも小さくなるように前記転動体との間の静止摩擦係数が設定された低摩擦部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ。
【請求項4】
内部に空洞を有する収容体と前記収容体に収容される被収容体とが互いに着脱可能に設けられた電子機器であって、
前記被収容体は、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスイッチと、
前記スイッチの前記転動体に接触し、前記転動体を介して前記操作入力部材に外力を加えるカム面を有する押圧部材と、
前記収容体の内側から外側に向かって前記収容体の内壁面に当接するように前記押圧部材に形成された着脱部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
前記押圧部材は、前記被収容体と相対回動自在に取り付けられ、
前記カム面は、前記押圧部材が回動する回動中心の周囲に形成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−65881(P2011−65881A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215907(P2009−215907)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】