説明

スイッチ装置

【課題】スイッチ操作部材に接触する手指などの大きさやその状態又は触り方などに影響を受けることなく、スイッチ操作部材へのタッチ操作を検出可能とする。
【解決手段】プリント配線板24と可動電極22との間にスプリング25を配置し、その弾性力により可動電極22を上方に付勢する。可動電極22の上方において、固定電極26,27の電極部26a,27aを夫々可動電極22に対向させて可動電極22を固定電極26,27に当接させる。可動電極22の一方の端部22aと電極部26a、他方の端部22bと電極部27aの夫々の電極間における容量結合によりコンデンサC1,C2が形成される。操作ボタン20にタッチ操作が行われると、可動電極22が僅かに移動し、可動電極22と電極部26a,27aとの夫々の電極間距離が大きくなり、コンデンサC1,C2の静電容量が減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ操作部材へタッチ操作が行われた際にこれを検出するためのタッチ検出機能を有するスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複数のスイッチ操作部材として複数の操作ボタンを有するスイッチ装置と、その操作ボタンと対応する数の選択部を画面に表示する表示装置とを備え、使用者が選択した操作ボタンを手指にて押圧操作すると、操作ボタンの下側に配設されたスイッチ要素が押圧操作され、その操作ボタンに対応する画面上の選択部が決定されるというものが考えられている。
【0003】
なお、本発明が解決しようとする課題に対応するような公知文献は発見できなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したようなものにおいては、使用者は、スイッチ装置の操作ボタンを見て選択してから操作する必要がある。このため、使用者は、スイッチ装置の操作ボタンと、表示装置の画面の両方を見る必要があり、操作性が良くないという問題がある。
そこで、このような問題に対処するため、発明者らは次のようなものを考えた。それは、スイッチ装置の操作ボタンに手指が接触した際に、これを検出して、その操作ボタンに対応する選択部の表示状態を変化させるような構成とするものである。このような構成のものによれば、表示画面を見れば、手指が接触している操作ボタンの位置が分かるため、スイッチ装置の操作ボタンを見ずに、表示画面のみを見て操作することが可能となる。
【0005】
これを実現させるためのスイッチ装置として、発明者らは例えば図3に示す構成のもの(比較例)を考えた。図3は、このスイッチ装置の縦断面図である。スイッチ操作部材を構成する操作ボタン1は合成樹脂により下面側が開口した逆U字状をなすように形成されていて、その操作面部1aの下面には、タッチ検出用電極2が設けられている。また、この操作ボタン1の周辺には、操作ボタン1の可動のための空間を挟んでボディ3が位置している。
操作ボタン1の下方には、矩形板状をなすプリント配線板4が配置されており、このプリント配線板4には、プリント配線がなされている。また、プリント配線板4の部品面中央付近には操作ボタン1の照明用のLED5が搭載されている。
【0006】
上記タッチ検出用電極2は、弾性変形可能なフレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit,以下FPCと称す)6を介してプリント配線板4の図示しない配線部に電気的に接続されている。このFPC6は、プラスチックシート間に銅製の配線部(図示せず)を挟み込んだような構造となっていて、操作ボタン1の操作面部1aに配置される一端側の配線部をタッチ検出用電極2としている。
FPC6は、操作ボタン1の一方の側面部1bの内面、プリント配線板4の図3中左側の部品面及びはんだ面を沿うように屈曲して配置され、操作ボタン1の内部に内ケース1cが圧入されることで固定されている。そして、FPC6の他端側は、プリント配線板4のはんだ面に搭載されたコネクタ7を介して配線部に接続され、コネクタ7の手前部分において、固定部材8によって固定されている。
【0007】
プリント配線板4において、操作ボタン1の他方の側面部1dの下方に対応する部位に位置させて、スイッチ要素としてのタクトスイッチ9が配設されている。なお、操作ボタン1の側面部1bとプリント配線板4の部品面との間には、操作ボタン1の側面部1bの下方向への移動を許容する隙間が設定されている。
なお、図示した構成では、操作ボタン1が1個のみであるが、複数の選択部と対応させる場合には、操作ボタン1を含むユニットを複数個用意する。そして、各配線部及びタクトスイッチ9は、例えばマイクロコンピュータからなる制御装置(図示せず)に接続される。
【0008】
次に、このスイッチ装置のタッチ検出回路10について、図4を参照して説明する。このタッチ検出回路10は一般的な静電容量検出回路であり、高周波信号を出力する発振部11,負荷抵抗12,タッチ検出用電極2,高周波信号の検波及び平滑を行う検波部13,オペアンプ14を備えて構成されている。発振部11の出力端子には、負荷抵抗12及びFPC6を介してタッチ検出用電極2が接続されている。検波部13は、ダイオード及びコンデンサなどからなり、発振部11からの高周波信号が入力されている。また、検波部13の出力はオペアンプ14を介して、増幅及びオフセットされた信号Voutとして制御装置に入力されている。なお、発振部11,負荷抵抗12,検波部13,オペアンプ14は、パッケージ化され静電容量検出IC15を構成している。
【0009】
上記構成において、使用者の手指が操作ボタン1の上面の操作面部1aに接触すると、発振部11から出力された高周波信号は、タッチ検出用電極2及び使用者の手指により形成されたコンデンサCのインピーダンスと負荷抵抗12とで分圧されて検波部13に入力される。従って、手指が触れていない状態と比べて、検波部13に入力される高周波信号のレベルが小さくなるため、検波部13及びオペアンプ14を介して出力される信号Voutのレベルも小さくなる。制御装置は、この信号Voutのレベルの変化により操作ボタン1への手指の接触を検出し、図示しない表示装置の画面において、その操作ボタン1に対応する選択部の表示状態を変える。そして、その操作ボタン1が下方へ押圧操作され、この操作ボタン1の側面部1dによりタクトスイッチ9が押圧操作されると、制御装置は、例えば表示装置の画面上の選択部の表示状態を決定状態に変化させる。
【0010】
しかしながら、上記した構成のスイッチ装置では、使用者の指の大きさやその指の表面の状態、又は触り方などにより検出される静電容量にバラツキが生じることが考えられる。このため、タッチ操作の検出感度設定、誤作動及び不作動などへの対策が難しくなる。さらに、使用者が手袋をはめた指でタッチ操作した場合には、そのタッチ操作を検出できないという問題もある。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スイッチ操作部材に接触する手指などの大きさやその状態又は触り方などに影響を受けることなく、スイッチ操作部材へのタッチ操作を検出することができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するために、本発明のスイッチ装置は、スイッチ操作部材と、前記スイッチ操作部材がタッチ操作されると移動する可動電極と、前記可動電極と対向し容量結合するように配設され、前記可動電極との電極間の静電容量の変化によってスイッチ操作部材へのタッチ操作を検出するための固定電極と、前記可動電極と前記固定電極との電極間の静電容量の変化を検出する検出部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、使用者の手指がスイッチ操作部材に接触すると可動電極が僅かに移動し、可動電極及び固定電極の電極間距離が変化することでその静電容量が変化する。そして、検出部によってこの静電容量の変化を検出することで、スイッチ操作部材へのタッチ操作を検出することができる。従って、スイッチ操作部材に接触する手指などの大きさやその状態又は触り方などに影響を受けることなく、スイッチ操作部材へのタッチ操作を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図5及び図6と同一の部分については同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分のみ説明する。図1は、本発明を適用したスイッチ装置の縦断面図である。操作ボタン20(スイッチ操作部材に相当)は合成樹脂により、図1中、側面視が矩形状をなすように形成されている。操作ボタン20は、その上面を使用者がタッチ操作を行うための操作面部20aとし、下面の中央部には連結部材21が一体的に設けられている。
また、連結部材21の下方には矩形板状をなす可動電極22が配置されており、その上面中央部において連結部材21の下面に固定されている。従って、操作面部20aへのタッチ操作などによって操作ボタン20が下方に移動すると、これに伴って可動電極22も下方に移動するように構成されている。さらに、操作ボタン20の周辺には、操作ボタン20の可動のための空間を挟んでボディ23が配設されている。
【0015】
上記ボディ23はプリント配線板24上に支持されており、このプリント配線板24の部品面中央と可動電極22との間にはスプリング25が配置されている。そして、可動電極22は、スプリング25の弾性力により上方に付勢されている。また、スプリング25の両側には、固定電極26,27が夫々配置されている。可動電極22の上方には、固定電極26,27の電極部26a,27aが夫々可動電極22に対向するように位置しており、上記弾性力による付勢で当接した状態となっている。そして、可動電極22の一方の端部22aと電極部26a、他方の端部22bと電極部27aの夫々の電極間における容量結合によって、平行平板コンデンサC1,C2が形成されている。
【0016】
また、固定電極26,27は、電極部26a,27aのボディ23側の端部において、プリント配線板24の方向へ略90°に屈曲された後、プリント配線板24へ向けて延設された接続部26b,27bを有している。接続部26b,27bの下端は、プリント配線板24に設けられた図示しないスルーホールに夫々挿入された後、はんだ付けにより固定されると共に、図示しない配線部に接続されている。
【0017】
次に、プリント配線板24に設けられたタッチ検出回路28について図2に示す等価回路を参照して説明する。タッチ検出回路28は、比較例におけるコンデンサCに代えて、一端部22a及び電極部26aにより形成されるコンデンサC1と、他端部22b及び電極部27aにより形成されるコンデンサC2とを備えて構成されている。また、発振部11の出力端子には、負荷抵抗12を介して固定電極26が接続されており、固定電極27はプリント配線板24において接地されている。なお、本実施例では、静電容量検出IC15及び図示しない制御回路により検出部が構成される。
【0018】
上記構成において、使用者の手指が操作面部20aに接触すると、その接触力により操作ボタン20及び可動電極22が僅かに下方に移動する。すると、コンデンサC1,C2を形成する一方の電極である一端部22a及び他端部22bが、他方の電極である電極部26a及び27aから離間し、コンデンサC1,C2の電極間距離が大きくなることで夫々の静電容量が減少する。
発振部11から出力された高周波信号は、コンデンサC1,C2のインピーダンスと負荷抵抗12とで分圧されて検波部13に入力されるので、操作面部20aに接触力が作用していない状態と比べて、検波部13に入力される高周波信号のレベルが大きくなる。このため、検波部13及びオペアンプ14を介して出力される信号Voutのレベルも大きくなる。制御装置は、この信号Voutのレベルの変化により操作ボタン20へのタッチ操作を検出し、図示しない表示装置の画面において、その操作ボタン20に対応する選択部の表示状態を変える。
【0019】
以上のように本実施例によれば、使用者の手指が操作面部20aに接触すると、これに伴って可動電極22が僅かに移動し、可動電極22と電極部26a,27aとの夫々の電極間距離が大きくなる。これにより、コンデンサC1,C2の静電容量が減少する。そして、制御回路は、検波部13,オペアンプ14を介してこの静電容量の変化を検出することで、操作ボタン20へのタッチ操作を検出することができる。すなわち、操作ボタン20に接触する物体との間で形成される静電容量をタッチ操作の検出要素としていないので、操作ボタン20に接触する手指などの個人差に起因したバラツキに影響を受けることなく、操作ボタン20へのタッチ操作を確実に検出することができる。
【0020】
また、上記した構成を採用することで、使用者が手袋をはめた手指によって操作ボタン20をタッチ操作した場合や、例えばペンの先などの人体以外の物体によりタッチ操作を行った場合においても、そのタッチ操作を検出することができる。
また、可動電極22と電極部26a,27aとの夫々の電極間距離の変化に伴う静電容量の変化をタッチ操作の検出要素としているので、タッチ操作が行われる前の可動電極22と電極部26a,27aとの電気的な接触状態に関係なくタッチ操作を検出できる。すなわち、電極間にごみや埃などが入り込むことにより接触状態が悪化した場合でも、操作ボタン20へのタッチ操作を検出することができる。
【0021】
(第2実施例)
次に本発明の第2実施例について図3も参照して説明する。なお、図1及び図2と同一の部分については同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分のみ説明する。図3は、第1実施例における図1相当図で、タッチ検出機能付きスイッチ装置の縦断面図である。操作ボタン30(スイッチ操作部材に相当)は合成樹脂により、図3中、側面視が略凸形状をなすように形成されており、その上面を操作面部30aとしている。また、操作ボタン30の周辺には、操作ボタン30の可動のための空間を挟んでボディ31が配設されている。
【0022】
第2実施例では、プリント配線板24の部品面中央と可動電極22との間に、第1実施例におけるスプリング25に代えてタクトスイッチ32(スイッチ要素に相当)が配置され、そのタクトスイッチ32により操作ボタン30が図示の状態に付勢されている。このタクトスイッチ32は、決定用接点32a及びラバーコンタクト32bを備えており、その上面部において可動電極22の下面中央部と固定されている。従って、操作ボタン30が押圧操作されることによってタクトスイッチ32も押圧され、可動接点32aがプリント配線板24上の図示しない固定接点と接触するように構成されている。
【0023】
上記構成において、使用者の手指が操作面部30aに接触すると、その接触力により操作ボタン30及び可動電極22が僅かに下方に移動するため、制御装置は、第1実施例と同様にして、操作ボタン30へのタッチ操作を検出し、図示しない表示装置の画面において、その操作ボタン30に対応する選択部の表示状態を変える。
さらに、使用者によって操作ボタン30が下方へ押圧操作されると、この操作ボタン30の下方への移動に伴いラバーコンタクト32bが変形することで、可動接点32aも下方へ移動する。そして、可動接点32aがプリント配線板24上の固定接点に接触すると、制御装置は、タクトスイッチ32がオンされたことを検出して、例えば表示装置の画面上の選択部の表示状態を決定状態に変化させる。
【0024】
以上のように、第2実施例によれば、操作ボタン30へのタッチ操作を検出するための可動電極22の下方にタクトスイッチ32を設け、操作ボタン30が押圧されると共に、タクトスイッチ32が押圧操作されるように構成した。従って、第1実施例と同様に使用者の手指が操作面部30aに接触した場合にはタッチ操作を検出でき、さらに操作部30が下方に押し込まれた場合には、押圧操作を検出することができる。
また、制御装置は、操作ボタン30へのタッチ操作を検出すると、操作ボタン30に対応する画面上の選択部の表示状態を変化させ、押圧操作を検出すると決定状態に変更するので、使用者は、表示画面をみればタッチしている操作ボタン30が分かるため、操作ボタン30を見ずに、表示画面のみを見て操作することが可能となる。
【0025】
(第3実施例)
次に本発明の第3実施例について図4及び図5も参照して説明する。なお、図2及び図3と同一の部分については同一符号を付して説明を省略し、以下、第2実施例と異なる部分のみ説明する。図4は、タッチ検出機能付きスイッチ装置の外観を示しており、(a)は第2実施例における図3相当図、(b)は電極及び周辺回路を概略的に示す平面図である。
【0026】
第3実施例では、第2実施例における連結部材21,可動電極22,固定電極26,27,タクトスイッチ32に代えて、プリント配線板40にタクトスイッチ41(スイッチ要素に相当)が配設された構成としている。タクトスイッチ41は、弾性変形可能な合成樹脂にて形成されており、操作部42、パッド部43、可撓部44,45、底部46を備えている。
操作部42は円柱状に形成され、その下面にはプリント配線板40上に設けられた2つの固定接点47,48に対向するように可動接点49が設けられている。また、操作部42は、その上面において操作ボタン30の下面中央に固定されており、操作ボタン30がタッチ又は押圧操作されて下方へ移動すると共に操作部42も下方へ移動する。
【0027】
また、パッド部43は円環状に形成され、その下面にはプリント配線板40上に設けられた固定電極50,51に対向するように可動電極52が設けられている。そして、図4中、可動電極52の左側の電極部52aと固定電極50、右側の電極部52bと固定電極51の夫々の電極間における容量結合によって、平行平板コンデンサC3,C4が形成されている。
可撓部44,45は、薄肉のスカート状にかつ弾性変形可能に形成されており、可撓部44は、操作部42とパッド部43とを、可撓部45は、パッド部43と底部46とを夫々連結するように配置されている。また、底部46はシート状に形成され、プリント配線板40を覆うように配置されている。
【0028】
次に、プリント配線板40に設けられたタッチ検出回路53について図5の等価回路を参照して説明する。タッチ検出回路53は、第2実施例におけるコンデンサC1,C2に代えて、電極部52a及び固定電極50により形成されるコンデンサC3と、電極部52b及び固定電極51により形成されるコンデンサC4とを備えて構成されている。また、発振部11の出力端子には、負荷抵抗12を介して固定電極50が接続されており、固定電極51はプリント配線板40において接地されている。
【0029】
上記構成において、使用者の手指が操作面部30aに接触すると、その接触力により操作ボタン30及び操作部42と共にパッド部43が僅かに下方に移動する。すると、コンデンサC3,C4を形成する一方の電極である電極部52a及び電極部52bが、他方の電極である固定電極50及び51に接近し、コンデンサC3,C4の電極間距離が小さくなることで夫々の静電容量が増加する。
発振部11から出力された高周波信号は、コンデンサC3,C4のインピーダンスと負荷抵抗12とで分圧されて検波部13に入力されるので、操作面部30aに接触力が作用していない状態と比べて、検波部13に入力される高周波信号のレベルが小さくなる。このため、検波部13及びオペアンプ14を介して出力される信号Voutのレベルも小さくなる。制御装置は、この信号Voutのレベルの変化により操作ボタン30へのタッチ操作を検出し、図示しない表示装置の画面において、その操作ボタン30に対応する選択部の表示状態を変える。
【0030】
そして、使用者によって操作ボタン30が下方へ押圧操作されると、この操作ボタン30の下方への移動に伴って、可撓部45を変形させながら操作部42及びパッド部43はさらに下方へと移動し、パッド部43が固定電極50,51に当接する。その後、さらに操作ボタン30が押し込まれると、可撓部44が変形することで操作部42の下面に設けられた可動接点49が固定接点47,48に接触し、固定接点47,48を短絡状態にする。すると、制御回路は、これら接点47,48がオンされたことを検出して、例えば表示装置の画面上の選択部の表示状態を決定状態に変化させる。
【0031】
以上のように、第3実施例によれば、使用者の手指が操作面部30aに接触すると、これに伴ってパッド部43が僅かに移動し、可動電極52と固定電極50,51との夫々の電極間距離が小さくなる。これにより、コンデンサC3,C4の静電容量が増加する。そして、制御回路は、検波部13,オペアンプ14を介してこの静電容量の変化を検出することで、操作ボタン30へのタッチ操作を検出することができる。従って、操作ボタン30に接触する物体との間で形成される静電容量をタッチ操作の検出要素としていないので、第1実施例と同様の効果が得られる。
さらに、操作ボタン30が押圧されると、可動接点49が固定接点47,48に接触して短絡させ、制御回路によりこれら接点47,48のオン状態を検出するので、操作ボタン30への押圧操作を検出できる。従って、第2実施例と同様に、1段目にタッチ操作を検出し、2段目に押圧操作を検出する2段検出タイプのスイッチ装置を構成することができる。
【0032】
なお、本発明は上記し、且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、次のような変形又は拡張が可能である。
本実施例では、固定電極として2つの電極を設け、平行平板コンデンサを2つ形成するように構成したが、固定電極を1つにし、平行平板コンデンサも1つのみ形成するようにしても良い。また、固定電極を3つ以上設け、平行平板コンデンサも3つ以上形成するようにしても良い。
【0033】
第1及び第2実施例において、操作ボタン20又は30に接触力が作用していないとき、可動電極22及び固定電極26,27は、スプリング25又はタクトスイッチ32の弾性力により接触させるように構成したが、操作ボタン20又は30に接触力が作用していないとき、可動電極22及び固定電極26,27は、操作ボタン20又は30に接触力が作用しているときよりも接近していれば良く、接触状態でなくとも良い。
また、第1及び第2実施例において、固定電極26,27とプリント配線板24の配線部との接続は、接続部26b,27bの下端をプリント配線板24のスルーホールへ挿入した後、はんだ付けによって行ったが、接続強度など信頼性に問題が無ければ、プリント配線板24にコネクタを設けて、これを介して接続しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施例を示すものであり、スイッチ装置の縦断面図
【図2】タッチ検出回路の等価回路を示す図
【図3】第2実施例を示す図1相当図
【図4】第3実施例を示すものであり、(a)は図3相当図、(b)は電極及び周辺回路を概略的に示す平面図
【図5】図2相当図
【図6】比較例を示す図1相当図
【図7】図2相当図
【符号の説明】
【0035】
図面中、15は静電容量検出IC(検出部)、20,30は操作ボタン(スイッチ操作部材)、22,52は可動電極、26,27,50,51は固定電極、32,41はタクトスイッチ(スイッチ要素)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ操作部材と、
前記スイッチ操作部材がタッチ操作されると移動する可動電極と、
前記可動電極と対向し容量結合するように配設され、前記可動電極との電極間の静電容量の変化によってスイッチ操作部材へのタッチ操作を検出するための固定電極と、
前記可動電極と前記固定電極との電極間の静電容量の変化を検出する検出部とを備えていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記可動電極は、前記スイッチ操作部材がタッチ操作されることに伴い前記固定電極から離間するように配置されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記可動電極は、前記固定電極と離間する位置に配置されると共に、前記スイッチ操作部材がタッチ操作されることに伴い前記固定電極に近接するように配置されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記スイッチ操作部材は、前記タッチ操作よりも大きい移動距離で押圧操作可能に構成され、
前記スイッチ操作部材が押圧操作されることに伴い当該スイッチ操作部材を介して押圧操作されるスイッチ要素を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−173068(P2007−173068A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369668(P2005−369668)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】