説明

スイッチ装置

【課題】操作レバーの十分なストロークを確保しながらも、この操作レバーの形状を小さく設定することができるスイッチ装置の提供。
【解決手段】ねじりコイルばね3の第1腕部3aが常時接触する固定接点5aと、第2腕部3cが接離する切換接点6aとを備え、ケース1の隅角部に、このケース1の側壁1dから内側に向かって張り出し形成される張り出し部1eを設け、ケース1の張り出し部1eの延長線上に、操作レバー2の操作部2aのケース1内への押し込みを許容させる開口部1hを形成し、操作レバー2に、ケース1の張り出し部1eと対向可能な張り出し部2eを設け、ケース1の張り出し部1eの内方と操作レバー2の張り出し部2eの内方に、ねじりコイルばね3の巻回部3aが収納されるばね収納部1e2,2cを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじりコイルばねから成る可動接点を有し、操作レバーの回動に伴ってねじりコイルばねを撓み変形させることにより、ON/OFFの切り換えを行なうことができるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、特許文献1に示されるものがある。この従来技術は、ケースと、このケースに収納され、押圧操作される操作部を有する回動可能な操作レバーを備えている。また、可動接点を形成し、操作レバーに形成されたばね収納部に装着される巻回部と、この巻回部の一端から引き出される第1腕部と、巻回部の他端から引き出され操作レバーの回動に伴って撓み変形する第2腕部とを有するねじりコイルばねを備えている。
【0003】
また、ねじりコイルばねの第1腕部が常時接触する固定接点と、ねじりコイルばねの第2腕部が接離可能な切換接点を備えている。この切換接点は、ねじりコイルばねの第2腕部を挟圧保持可能な下方接点部と上方接点部とを有し、操作レバーの回動に伴う第2腕部の撓み変形により、第2腕部が下方接点部と上方接点部の間に挿入されるようになっている。なお、下方接点部と上方接点部のそれぞれは、片持ち支持される形状に形成されている。
【0004】
上述したねじりコイルばねの巻回部、及びこの巻回部が収納される操作レバーのばね収納部は、ケースの切換接点と対向する側のケースの端部付近のほぼ中央位置に配置されている。
【0005】
このように構成される従来技術は、操作レバーの操作部に押圧力が加えられない初期状態では、可動接点を形成するねじりコイルばねの第1腕部が固定接点に接触するものの、ねじりコイルばねの第2腕部が切換接点から離れた状態に保たれるので、固定接点と切換接点との間が遮断され、OFFとなる。この状態から操作レバーの操作部に押圧力を加えると、ねじりコイルばねが撓み変形し、第2腕部が切換接点の下方接点部と上方接点部の間に挿入され、この第2腕部が下方接点部と上方接点部とによって挟持された状態となる。すなわち、切換接点と固定接点とがねじりコイルばねを介して導通し、ONとなる。なお、操作レバーをフルストロークまで回動させた際には、操作レバーの操作部がケースの外壁端部に当ってその回動が停止するようになっている。つまり、この従来技術では、操作レバーの操作部はケース内には押し込むことができないように構成されている。
【特許文献1】特開2003−331690公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術は、操作レバーがねじりコイルばねの巻回部を収納するばね収納部を有することから、このばね収納部を形成する壁部の厚さを薄くすることができず、これに伴ってばね収納部の形状が大きくなり、これに伴って操作レバーの形状が大きくなる傾向にあった。これにより、装置全体の小型化の実現は難しかった。
【0007】
また、操作レバーをフルストロークまで回動させた際に、操作レバーの操作部がケースの外壁端部に当って停止するようになっていることから、ねじりコイルばねを撓み変形させるための操作レバーのストロークに制限を受けていた。したがって、所望のストロークを確保するためには、操作レバーの形状を比較的大きく設定せざるを得ない。このことも、装置全体の小型化の実現を難しくさせていた。
【0008】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、操作レバーの十分なストロークを確保しながらも、この操作レバーの形状を小さく設定することができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、ケースと、このケースに収納され押圧操作される操作部を有する回動可能な操作レバーと、可動接点を形成し、巻回部と、この巻回部の一端から引き出される第1腕部と、上記巻回部の他端から引き出され、上記操作レバーの回動に伴って撓み変形する第2腕部とを有するねじりコイルばねと、このねじりコイルばねの上記第1腕部に常時接触する固定接点と、上記ねじりコイルばねの上記第2腕部が接離する切換接点とを備え、上記ケースの隅角部に、このケースの側壁から上記ケースの内側に向かって張り出し形成される張り出し部を設けるとともに、上記ケースの張り出し部の延長線上に、上記操作レバーの上記操作部の上記ケース内への押し込みを許容させる開口部を形成し、上記操作レバーに、上記ケースの張り出し部と対向可能な張り出し部を設け、上記ケースの張り出し部の内方と上記操作レバーの内方に、上記ねじりコイルばねの上記巻回部が収納されるばね収納部を設けたことを特徴としている。
【0010】
このように構成した本発明は、ケースの隅角部に設けたケースの張り出し部と、操作レバーの張り出し部とによって、ねじりコイルばねの巻回部が収納されるばね収納部を形成したことから、デッドスペースであったケースの隅角部をねじりコイルばねの巻回部の設置のために有効活用できるとともに、ねじりコイルばねの巻回部を収納させるための操作レバーの部分を小さな形状に設定できる。これにより操作レバーを小さな形状にすることができる。このように操作レバーを小さな形状にしても、操作レバーの回動に伴ってこの操作レバーの操作部をケースの開口部からケース内に押し込むことができるので、この操作レバーの所望のストロークを確保することができる。すなわち本発明は、操作レバーの十分なストロークを確保しながらも、この操作レバーの形状を小さく設定することができる。これに伴ってケースの形状も小さくすることができる。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、上記操作レバーが、上記ねじりコイルばねの上記巻回部が装着される軸支部を有することを特徴としている。このように構成した本発明は、ねじりコイルばねの巻回部を操作レバーの軸支部に装着させることによって、ねじりコイルばねの安定した保持を実現できる。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、上記固定接点を上記ケースに保持させたことを特徴としている。このように構成した本発明は、固定接点の安定した保持を実現できる。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、上記ケースの張り出し部の端面に第1ストッパ面を設け、上記操作レバーの張り出し部の端面に、上記操作レバーの押圧解除操作時に上記第1ストッパ面に係止される第1ストッパ部を設けたことを特徴としている。このように構成した本発明は、操作レバーの押圧解除操作時には、操作レバーの張り出し部の第1ストッパ部がケースの張り出し部の第1ストッパ面に係止されることによって操作レバーの回動が停止する。これによって、この操作レバーを初期位置に安定して保持させることができる。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、上記第1ストッパ面に上記第1ストッパ部が係止された際に、上記ケースの張り出し部の外側面と上記操作レバーの外側面とが面一となるように、上記ケースの張り出し部の形状と上記操作レバーの張り出し部の形状をそれぞれ設定したことを特徴としている。このように構成した本発明は、操作レバーを初期位置に保持させた際に、操作レバーの張り出し部とケースの張り出し部との間に段差を生じさせることがなく、美観を保つことができる。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、上記ケースの張り出し部が設けられる上記側壁と対向する側の上記ケースの側壁に、第2ストッパ面を設け、上記操作レバーの操作部に上記第2ストッパ面に係止される第2ストッパ部を設けたことを特徴としている。このように構成した本発明は、操作レバーの操作部が押圧操作された際、操作レバーの操作部の第2ストッパ部がケースの側壁の第2ストッパ面に当接するまで、操作部をケース内に押し込むようにして操作レバーを回動させることができるので、この操作レバーの大きなストロークを確保できる。また、押圧操作時の操作レバーの安定したストロークの確保を実現できる。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、上記ケースの内部に第3ストッパ面を設け、上記操作レバーに上記第3ストッパ面に係止される第3ストッパ部を設けたことを特徴としている。このように構成した本発明は、操作レバーの操作部が押圧操作された際に、操作レバーの第3ストッパ部がケースの第3ストッパ面に係止されることによっても操作レバーの回動を停止させることができる。すなわち、上述した第2ストッパ部の第2ストッパ面における係止と、第3ストッパ部の第3ストッパ面における係止との双方によって、操作レバーを停止させることができ、操作レバーの操作部のケース内への押し込み時の安定した操作レバーの停止機能と、操作レバーの精度の高いストロークの確保とを実現させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、操作レバーの十分なストロークを確保しながらも、この操作レバーの形状を小さく設定でき、これに伴ってケースを小さくすることができる。これらによって従来困難であった装置全体の小型化を実現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下,本発明に係るスイッチ装置を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0019】
[本実施形態の構成]
図1は本発明に係るスイッチ装置の一実施形態の外観図、図2は本実施形態の分解斜視図、図3は本実施形態において、カバーを除いた状態を示す斜視図である。図4は本実施形態に備えられるケースの平面図、図5は本実施形態に備えられる操作レバーの裏面図、図6は本実施形態に備えられる固定接点、及び切換接点を示す斜視図である。
【0020】
図1〜3に示すように、本実施形態に係るスイッチ装置は、樹脂材料等の絶縁材から成るケース1と、このケース1にインサート成形されて、ケース1に保持される固定接点5a、及び切換接点6aとを備えている。ケース1内には可動接点を形成するねじりコイルばね3を配置してある。さらに、押圧操作される操作部2aを有し、ねじりコイルばね3を撓み変形させるように回動可能な操作レバー2を備えている。また、ケース1の上面を覆う金属板から成るカバー4を備えている。
【0021】
ケース1の側壁には、係止部1a,1bを形成してあり、カバー4にはケース1の係止部1aに係合する係止爪4aと、ケース1の係止部1bに係合する側板4bとを形成してある。これらの係止部1a,1b、及び係止爪4a、側板4bを介して、カバー4がケース1に固定される。
【0022】
図4にも示すように、ケース1の隅角部、すなわち固定接点5aが配置されるケース1の側壁1dに連なる隅角部には、側壁1dからケース1の内側に向かって張り出し形成される張り出し部1eを設けてある。この張り出し部1eの端面は、第1ストッパ面1e1を形成している。この張り出し部1eの内方には軸1cを設けてあり、この軸1cと張り出し部1eとの間の領域に、後述するねじりコイルばね3の巻回部3aが収納されるばね収納部1e2を形成してある。
【0023】
ケース1の張り出し部1eの延長線上に、操作レバー2の操作部2aのケース1内への押し込みを許容させる開口部1hを形成してある。例えば、操作レバー2の操作部2aのほぼ全体が開口部1hからケース1内へ収納可能なように、この操作レバー2の形状寸法、及びケース1の開口部1hの寸法を設定してある。
【0024】
また、ケース1の張り出し部1eが設けられる側壁1dと対向する側のケース1の側壁1d1に、第2ストッパ面1fを形成してある。さらに、ケース1の内部にも第3ストッパ面1gを形成してある。
【0025】
上述した操作レバー2は、図2,3に示すように、上述の操作部2aの他に、ケース1の軸1cに挿入される筒状の軸支部2bを備えている。また、ケース1の上述の張り出し部1eと対向可能な張り出し部2eを備えており、この張り出し部2eの端面は、ケース1の張り出し部1eの端面を形成する第1ストッパ面1e1に係止される第1ストッパ部2e1となっている。
【0026】
この操作レバー2の張り出し部2eと軸支部2bとの間の領域には、後述するねじりコイルばね3の巻回部3aが収納されるばね収納部2cが形成されている。すなわち、ケース1の張り出し部1eの内方と、操作レバー2の張り出し部2eの内方とに、それぞればね収納部1e2,2cを形成してある。これらのばね収納部1e2,2cは互いに連通して、後述のねじりコイルばね3の巻回部3aを収納させるばね収納部となっている。
【0027】
さらに、操作レバー2には、ばね収納部2cに連設させて、後述のねじりコイルばね3の第2腕部3cが係止保持される係止部2dを設けてある。
【0028】
また、同図2,3に示すように、ケース1の側壁1d1側に位置する操作レバー2の操作部2aの端面は、上述したケース1の第2ストッパ面1fに係止される第2ストッパ部2a1となっている。さらに、操作レバー2の裏面図である図5に示すように、この操作レバー2の裏面には、上述したケース1の第3ストッパ面1gに係止される第3ストッパ部2a2を形成してある。
【0029】
図3に示すように、ケース1の張り出し部1eの第1ストッパ面1e1に操作レバー2の張り出し部2eの第1ストッパ面2e1が係止された際に、ケース1の張り出し部1eの外側面と操作レバー2の張り出し部2eの外側面が面一となるように、ケース1の張り出し部1eの形状と操作レバー2の張り出し部2eの形状をそれぞれ設定してある。
【0030】
また、上述した可動接点を形成するねじりコイルばね3は、図2,3に示すように、操作レバー2の軸支部2bに装着され、ケース1の張り出し部1eの内方に形成されるばね収納部1e2、及び操作レバー2の張り出し部2eの内方に形成されるばね収納部2cに収納される巻回部3aと、この巻回部3aの一端から引き出され、上述の固定接点5aと常時接触する第1腕部3bと、巻回部3aの他端から引き出され、切換接点6aと接離する第2腕部3cとを備えている。第2腕部3cは、上述のように、操作レバー2の係止部2dに係止されるようになっている。
【0031】
本実施形態にあっては、操作レバー2の操作部2aに押圧力が加えられない図3に示す初期状態では、ねじりコイルばね3の第2腕部3cが切換接点6aに接触するように構成してある。
【0032】
ケース1にインサート成形される固定接点5a、及び切換接点6aは、図6に示すように、金属例えば銅チタンから成る基部5a,6aを加工して形成されている。
【0033】
すなわち、固定接点5aは、基部5から立ち上げ形成された部分に、例えば突き出し加工によって形成されている。基部5には、この本実施形態に係るスイッチ装置が取り付けられる図示しない基板に半田付けされる外部端子5bも形成してある。したがって、固定接点5aと外部端子5bとは導通状態に保たれている。
【0034】
また、切換接点6aは、基部6を例えば切り曲げ加工し、下方接点部を形成する突起部6a1と、基部6から立ち上げられ、さらに折り曲げられた上方接点部6a2とから成っている。突起部6a1は両持ち支持形状から成り、剛体を形成している。突起部6a1上に位置する上方接点部6a2は片持ち支持形状から成り、端部にねじりコイルばね3の第2腕部3cの挿入を案内する弧状に開いたガイド部6a21を形成してある。なお、基部6にも、このスイッチ装置が取り付けられる図示しない基板に半田付けされる外部端子6bを形成してある。したがって、切換接点6aと外部端子6bとは導通状態に保たれている。
【0035】
上述した切換接点6aの製作に際しては、基部6に突起部6a1を切り曲げ加工した後に、この剛体から成る突起部6a1を上方接点部6a2との境界高さ位置の基準として、弾性を有する片持ち支持形状の上方接点部6a2を、突起部6a1に当接させるようにして形成される。
【0036】
[本実施形態の動作]
図7,8は本実施形態の動作を示す図で、図7は操作レバーの押し込み動作の途中の状態を示す斜視図、図8は操作レバーがフルストークまで押し込まれた状態を示す斜視図である。図9〜11も本実施形態の動作を示す図で、図9は操作レバーが初期位置に保持されている状態を示す図3に対応する断面図、図10は操作レバーの押し込み動作の途中の状態を示す図7に対応する斜視図、図11は操作レバーがフルストロークまで押し込まれた状態を示す図8に対応する斜視図である。
【0037】
上述した図3,9は、操作レバー2の操作部2aに押圧力が加えられない初期状態を示しているが、このとき、操作レバー2の張り出し部2eの第1ストッパ部2e1が、ケース1の張り出し部1eの第1ストッパ面1e1に係止されている。また、ねじりコイルばね3の第1腕部3bが固定接点5aに接触するとともに、第2腕部3cが突起部6a1と上方接点部6a2との間に挿入されて、これらの突起部6a1と上方接点部6a2とによって挟圧保持されている。すなわち、第2腕部3cが切換接点6aに接触した状態に保たれている。したがって、この初期状態にあっては、ねじりコイルばね3を介して固定接点5aと切換接点6aとが導通し、ONとなっている。
【0038】
このような状態から、操作レバー2の操作部2aに押圧力が加えられると、操作レバー2が回動し、図7,10に示すように、操作レバー2の操作部2aがケース1の開口部1hからケース1内に押し込められ、操作レバー2の張り出し部2eの第1ストッパ部2e1がケース1の張り出し部1eの第1ストッパ面1e1から離れる。これとともに、ねじりコイルばね3の第2腕部3cが、操作レバー2の回動に応じて撓められ、切換接点6aの突出部6a1と上方接点部6a2の間から離脱しようとする。
【0039】
操作レバー2をフルストロークまで回動させると、図8,11に示すように、操作レバー2の操作部2aに形成された第2ストッパ部2a1がケース1の側壁1d1に形成された第2ストッパ面1fに当って係止され、同時に、操作レバー2の裏面に形成された第3ストッパ部2a2がケース1の内部に形成された第3ストッパ面1gに当って係止される。これによって、操作レバー2の回動が停止する。このとき、操作レバー2の操作部2aは、図8に示すように、そのほぼ全体がケース1内に収納される。また、ねじりコイルばね3の第2腕部3cが切換接点6aから完全に離れ、これにより固定接点5aと切換接点6aとの間が遮断され、OFFとなる。
【0040】
また、このようにOFFに保たれている状態から、例えば操作レバー2の操作部2aに加えていた押圧力を弱めると、ねじりコイルばね2の復帰力によって、操作レバー2が上述とは逆方向に、すなわち、その操作部2aがケース1の開口部1hから突出する方向に回動する。これに伴って、ねじりコイルばね3の第2腕部3cが、上方接点部6a2のガイド部6a21に案内されて、突起部6a1と上方接点部6a2の間に挿入する。また、操作レバー2の張り出し部2eの第1ストッパ部2e1が、ケース1の張り出し部1eの第1ストッパ面1e1に当って係止され、初期状態に復帰する。この初期状態にあっては、上述したように、ねじりコイルばね3を介して固定接点5aと切換接点6aとが導通し、ONとなる。
【0041】
[本実施形態の効果]
このように構成した本実施形態は、ケース1の隅角部に設けたケース1の張り出し部1eの内方のばね収納部1e2と、操作レバー2の張り出し部2eの内方のばね収納部2cとによって、ねじりコイルばね3の巻回部3aが収納されるばね収納部を形成したことから、デッドスペースであったケース1の隅角部をねじりコイルばね3の巻回部3aの設置のために有効活用できる。また、ねじりコイルばね3の巻回部3aを収納させるための操作レバー2の部分を小さな形状に設定することができる。これにより、操作レバー2を小さな形状とすることができる。
【0042】
このように操作レバー2を小さな形状にしても、操作レバー2の回動に伴ってこの操作レバー2の操作部2aをケース1の開口部1hからケース1内に押し込むことができるので、この操作レバー2の所望のストロークを確保することができる。
【0043】
すなわち、本実施形態によれば、操作レバー2の十分なストロークを確保しながらも、この操作レバー2の形状を小さく設定することができる。これによって、ケース1を小さくすることができ、本実施形態に係るスイッチ装置の全体の小型化を実現させることができる。
【0044】
また、ねじりコイルばね3の巻回部3aを操作レバー2の軸支部2bに装着させることによって、ねじりコイルばね3の安定した保持を実現させることができ、信頼性の高い装置とすることができる。
【0045】
また、固定接点5aをインサート成形によってケース1に保持させたことから、固定接点5aの安定した保持を実現でき、これによっても信頼性の高い装置とすることができる。
【0046】
また、操作レバー2の押圧解除操作時には、操作レバー2の張り出し部2eの第1ストッパ部2e1が、ケース1の張り出し部1eの第1ストッパ面1e1に当って係止されることによって操作レバー2の回動が停止する。これによって、この操作レバー2を初期位置に安定して保持させることができ、これによっても信頼性の高い装置とすることができる。
【0047】
また、操作レバー2を初期位置に保持させた際に、ケース1の張り出し部1eの外側面と操作レバー2の張り出し部2eの外側面とが面一となり、これらの張り出し部1eと張り出し部2eとの間に段差を生じさせることがなく、美観を保つことができる。これによって、優れた意匠性を確保することができる。
【0048】
また、操作レバー2の操作部2aが押圧操作された際に、操作レバー2の操作部2aの第2ストッパ部2a1がケース1の側壁1d1の第2ストッパ面1fに当接するまで、操作部2aをケース1内に押し込んで操作レバー2を回動させることができるので、この操作レバー2の大きなストロークを確保できるとともに、押圧操作時の操作レバー2の安定したストロークの確保を実現できる。これによっても、信頼性の高い装置とすることができる。
【0049】
また、操作レバー2の操作部2aが押圧操作された際に、操作レバー2の第3ストッパ部2a2がケース1の第3ストッパ面1gに係止されることによっても操作レバー2の回動を停止させることができる。すなわち、上述した第2ストッパ部2a1の第2ストッパ面1fにおける係止と、第3ストッパ部2a2の第3ストッパ面1gにおける係止の双方によって、操作レバー2を停止させることができ、操作レバー2の操作部2aのケース1内への押し込み時の安定した操作レバー2の停止機能と、操作レバー2の精度の高いストロークの確保とを実現させることができる。これによっても信頼性の高い装置とすることができる。
【0050】
また、本実施形態は、切換接点6aの下方接点部が、両持ち支持形状の突起部6a1から成ることから、この突起部6a1を剛体に形成することができる。これにより切換接点6aの製作時に、突起部6a1を形成した後に、この剛体から成る突起部6a1を上方接点部6a2との境界高さ位置の基準として、弾性を有する片持ち支持形状の上方接点部6a2を突起部6a1に当接させるように形成すればよい。この際に、突起部6a1が剛体から成るので動かず、これに伴って下方接点部を形成する突起部6a1と上方接点部6a2との境界高さ位置のバラツキを抑えることができる。したがって、可動接点を形成するねじりコイルばね3の第2腕部3cと切換接点6aとの接触タイミングのずれを小さくすることができ、精度の高いON/OFF切換性能を確保することができる。
【0051】
また、切換接点6aの下方接点部が両持ち支持形状の剛体を形成する突起部6a1から成ることから、突起部6a1及び上方接点部6a2の形状寸法を小さく設定しても突起部6a1と上方接点部6a2との境界高さ位置のバラツキを抑えることができる。したがって、切換接点6aの形状を小さくすることができ、このことも装置全体の小型化の実現に貢献する。
【0052】
また、突起部6a1は、基部6に切り曲げ加工を施すことによって容易に形成でき、これによって製作費を安くすることができる。
【0053】
また、固定接点5aは、基部5に突き出し加工を施すことによって容易に形成でき、これによっても製作費を安くすることができる。
【0054】
また、上方接点部6a2のガイド部6a21を介してねじりコイルばね3の第2腕部3cを円滑に突起部6a1と上方接点部6a2との間に挿入させることができ、安定した切換接点6aに対するねじりコイルばね3の第2腕部3cの接離動作を実現させることができる。
【0055】
また、外部端子5b,6bのそれぞれにリフロー半田を施した場合でも、固定接点5a、切換接点6aが銅チタンから成るので、これらの固定接点5a、切換接点6aのリフロー半田時の熱によるへたりを防ぐことができる。したがって、リフロー半田によって効率良く外部端子5b,6bを図示しない所定の基板に取り付けることができ、本実施形態を基板に取り付ける際の作業の能率を向上させることができる。
【0056】
[他の実施形態]
図12は本発明の他の実施形態の要部を形成する固定接点、及び切換接点を示す斜視図である。
【0057】
この図12に示す他の実施形態は、基部5から立ち上げ形成された部分に、切り曲げ加工によって固定接点5cを形成してある。他の構成については、例えば上述した図1〜11に示した実施形態と同等である。このように構成したものも、固定接点5cは、基部5に切り曲げ加工を施すことによって容易に形成できる。これによって製作費を安くすることができる。
【0058】
なお、上述した各実施形態では、切換接点6aに含まれる下部接点部である突起部6a1を、切り曲げ加工によって形成してあるが、本発明は、このように切り曲げ加工によって突起部6a1を形成することには限られない。基部6に突き出し加工を施して形成するようにしてもよい。このように構成したものも、突出部6a1を容易に形成でき、これによっても製作費を安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の一実施形態の外観図である。
【図2】本実施形態の分解斜視図である。
【図3】本実施形態において、カバーを除いた状態を示す斜視図である。
【図4】本実施形態に備えられるケースの平面図である。
【図5】本実施形態に備えられる操作レバーの裏面図である。
【図6】本実施形態に備えられる固定接点、及び切換接点を示す斜視図である。
【図7】本実施形態の動作を示す図で、特に操作レバーの押し込み動作の途中の状態を示す斜視図である。
【図8】本実施形態の動作を示す図で、特に操作レバーがフルストークまで押し込まれた状態を示す斜視図である。
【図9】本実施形態の動作を示す図で、特に操作レバーが初期位置に保持されている状態を示す図3に対応する断面図である。
【図10】本実施形態の動作を示す図で、特に操作レバーの押し込み動作の途中の状態を示す図7に対応する斜視図である。
【図11】本実施形態の動作を示す図で、特に操作レバーがフルストロークまで押し込まれた状態を示す図8に対応する斜視図である。
【図12】本発明の他の実施形態の要部を形成する固定接点、及び切換接点を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 ケース
1c 軸
1d 側壁
1d1 側壁
1e 張り出し部
1e1 第1ストッパ面
1e2 ばね収納部
1f 第2ストッパ面
1g 第3ストッパ面
1h 開口部
2 操作レバー
2a 操作部
2a1 第2ストッパ部
2a2 第3ストッパ部
2b 軸支部
2c ばね収納部
2d 係止部
2e 張り出し部
2e1 第1ストッパ部
3 ねじりコイルばね(可動接点)
3a 巻回部
3b 第1腕部
3c 第2腕部
5a 固定接点
5b 外部端子
5c 固定接点
6a 切換接点
6a1 突起部(下方接点部)
6a2 上方接点部
6a21 ガイド部
6b 外部端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、このケースに収納され押圧操作される操作部を有する回動可能な操作レバーと、
可動接点を形成し、巻回部と、この巻回部の一端から引き出される第1腕部と、上記巻回部の他端から引き出され、上記操作レバーの回動に伴って撓み変形する第2腕部とを有するねじりコイルばねと、
このねじりコイルばねの上記第1腕部に常時接触する固定接点と、上記ねじりコイルばねの上記第2腕部が接離する切換接点とを備え、
上記ケースの隅角部に、このケースの側壁から上記ケースの内側に向かって張り出し形成される張り出し部を設けるとともに、
上記ケースの張り出し部の延長線上に、上記操作レバーの上記操作部の上記ケース内への押し込みを許容させる開口部を形成し、
上記操作レバーに、上記ケースの張り出し部と対向可能な張り出し部を設け、
上記ケースの張り出し部の内方と上記操作レバーの内方に、上記ねじりコイルばねの上記巻回部が収納されるばね収納部を設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
上記請求項1記載の発明において、
上記操作レバーが、上記ねじりコイルばねの上記巻回部が装着される軸支部を有することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
上記請求項1記載の発明において、
上記固定接点を上記ケースに保持させたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
上記請求項1記載の発明において、
上記ケースの張り出し部の端面に第1ストッパ面を設け、上記操作レバーの張り出し部の端面に、上記操作レバーの押圧解除操作時に上記第1ストッパ面に係止される第1ストッパ部を設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
上記請求項4記載の発明において、
上記第1ストッパ面に上記第1ストッパ部が係止された際に、上記ケースの張り出し部の外側面と上記操作レバーの外側面とが面一となるように、上記ケースの張り出し部の形状と上記操作レバーの張り出し部の形状をそれぞれ設定したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
上記請求項4または5記載の発明において、
上記ケースの張り出し部が設けられる上記側壁と対向する側の上記ケースの側壁に、第2ストッパ面を設け、上記操作レバーの操作部に上記第2ストッパ面に係止される第2ストッパ部を設けたことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項7】
上記請求項6項記載の発明において、
上記ケースの内部に第3ストッパ面を設け、上記操作レバーに上記第3ストッパ面に係止される第3ストッパ部を設けたことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−305482(P2007−305482A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134139(P2006−134139)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】