説明

スイッチ装置

【課題】 互いに隣接する接点部が同時にオン動作するダブルメークを防ぐことができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】 上部ケース14内のスイッチ基板16上に環状に沿ってそれぞれ配置されて上部ケース14の内部から外部に露出した状態でスイッチ動作する複数の接点部25、およびこの複数の接点部25上に連続して配置された環状のキートップ26を有する環状キー部11を備え、上部ケース14の上面における複数の接点部25間の各中間部に位置する箇所に、それぞれ誘導突起部40を設けた。従って、互いに隣接する接点部25の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所のキートップ26を押して傾けた際に、誘導突起部40によって前記一方の接点部25を押し下げる方向に向けてキートップ26を傾けて、互いに隣接する接点部25の一方のみをオン動作させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子辞書、携帯電話機、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)などの電子機器に用いられるスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に用いられているカーソル用のスイッチ装置においては、特許文献1に記載されているように、キーボードケース内に設けられたスイッチ基板上に、表示面内のカーソルを上下左右方向に動かすための複数の接点部をカーソルの動く方向ごとに設けると共に、この複数の接点部の中心部に支持軸を設け、複数の接点部上に配置されたキートップがカーソルと対応する4方向のうちの選択された1つの方向に押された際に、支持軸を中心にキートップが傾いて1つの接点部を押し下げるように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−77886号公報
【0004】
このようなカーソル用のスイッチ装置では、キートップの中心部を押した際に、複数の接点部と共に支持軸が押し下げられてスイッチ基板上に当接することにより、いずれの接点部もオン動作せず、またキートップにおける複数の接点部のいずれか1つに対応する箇所を押し下げた際に、支持軸がスイッチ基板上に当接した状態で、キートップが傾くことにより、選択された1つの接点部がオン動作する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のスイッチ装置では、キートップにおける互いに隣接する接点部間の中間部に位置する箇所、例えばカーソルを上方に動かすための接点部とカーソルを右方向に動かすための接点部との中間部に位置する箇所を押した際に、2つの接点部が同時にオン動作する所謂ダブルメークを起す恐れがある。
【0006】
また、この種のカーソル用のスイッチ装置においては、キートップの外周に設けられた鍔部がキーボードケースの内部に配置され、この状態でキートップの鍔部がキーボートケースの内面に接離可能に当接して、キートップがキーボードケースの外部に抜け出さないように構成されているため、キートップの外周に設けられた鍔部の厚みによってスイッチ全体の厚みが厚くなり、装置全体の薄型化を図ることができないという問題もある。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、ダブルメークを防ぐことができるスイッチ装置を提供することである。
また、この発明が解決しようとする他の課題は、装置全体の薄型化を図ることができるスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、スイッチ基板を内蔵したケースと、前記スイッチ基板上に環状に沿ってそれぞれ配置されて前記ケースの内部から外部に露出し、この状態でそれぞれスイッチ動作する複数の接点部、およびこの複数の接点部上に連続して配置された環状のキートップを有する環状キー部と、を備え、
前記ケースには、前記環状キー部における前記複数の接点部間の各中間部に位置する箇所に、前記複数の接点部における互いに隣接する接点部の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所の前記キートップを押圧して傾けた際に、前記一方の接点部を押し下げる方向に向けて前記キートップを傾けるための誘導突起部がそれぞれ設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、スイッチ基板を内蔵したケースと、前記スイッチ基板上に環状に沿ってそれぞれ配置されて前記ケースの内部から外部に露出し、この状態でそれぞれスイッチ動作する複数の接点部、およびこの複数の接点部上に連続して配置された環状のキートップを有する環状キー部と、を備え、
前記環状キー部の前記キートップの下面には、複数のフック部が前記ケースの内部に向けて突出して設けられており、前記ケースの内部には、前記キートップが前記複数の接点部上に配置された際に、前記複数のフック部をそれぞれ係止する複数の係止部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、スイッチ基板を内蔵したケースと、前記スイッチ基板上に環状に沿ってそれぞれ配置されて前記ケースの内部から外部に露出し、この状態でそれぞれスイッチ動作する複数の接点部、およびこの複数の接点部上に連続して配置された環状のキートップを有する環状キー部と、を備え、
前記ケースには、前記環状キー部における前記複数の接点部間の各中間部に位置する箇所に、前記複数の接点部における互いに隣接する接点部の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所の前記キートップを押圧して傾けた際に、前記一方の接点部を押し下げる方向に向けて前記キートップを傾けるための誘導突起部がそれぞれ設けられており、
前記環状キー部の前記キートップの下面には、複数のフック部が前記各誘導突起部にそれぞれ対応した状態で前記ケースの内部に向けて突出して設けられており、前記各誘導突起部の下面部には、前記キートップが前記複数の接点部上に配置された際に、前記複数のフック部を係止する係止部がそれぞれ設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記誘導突起部が、前記キートップの内周縁に対応する箇所に沿う部分を底辺とし、前記環状キー部における前記複数の接点部のうち、互いに隣接する接点部間の中間点に向かう位置を頂点とするほぼ三角形状に一段高く形成されていることを特徴とする請求項1または請求項3に記載のスイッチ装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記ケースに、前記複数のフック部がそれぞれ挿入する複数の開口部が、前記誘導突起部の前記頂点に隣接して設けられており、前記係止部は、前記誘導突起部の前記頂点の下面部にオーバーハング状に設けられていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載のスイッチ装置である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記スイッチ基板が、上基板と下基板とを上下に重ね合わせた2層構造であり、前記上基板には、複数の接点挿入孔が前記環状キー部の前記複数の接点部にそれぞれ対応して設けられており、前記複数の接点挿入孔に対応する箇所の前記下基板には、前記複数の接点部の各可動接点が前記各接点挿入孔を通して接離可能に接触する固定接点がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のスイッチ装置である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記上基板に、前記キートップの前記各フック部の先端部が挿入するフック挿入孔が、前記誘導突起部の前記係止部に隣接して設けられていることを特徴とする請求項6に記載のスイッチ装置である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記キートップの下面に、前記環状キー部の前記複数の接点部をそれぞれ押圧するための複数の接点押圧部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のスイッチ装置である。
【0016】
請求項9に記載の発明は、前記スイッチ基板上に配置されて前記ケースの内部から外部に突出すると共に、前記環状キー部の前記キートップの中心部に挿入して前記キートップの上側に露出し、この状態でスイッチ動作する1つの接点部を有する円形キー部を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のスイッチ装置である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、環状キー部の複数の接点部における互いに隣接する接点部の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所の前記キートップを押圧して傾けた際に、複数の接点部間の各中間部に位置する箇所におけるケースの上面に設けられた誘導突起部によって、前記一方の接点部を押し下げる方向に向けてキートップを傾けて、互いに隣接する接点部の一方のみをオン動作させることができ、これにより互いに隣接する接点部が同時にオン動作する所謂ダブルメークを防ぐことができる。
【0018】
また、この発明によれば、環状キー部のキートップを取り付ける際に、キートップをケースの外部から複数の接点部上に連続させた状態で配置するだけで、キートップの内面に設けられた複数のフック部を、ケースの内部に挿入させてケースに設けられた複数の係止部にそれぞれ係止させることができるので、キートップをケースの外部に配置させた状態でケースに対して簡単に取り付けることができる。このため、キートップの厚みによる影響を受けることがなく、スイッチ全体の厚みを薄くすることができ、これにより装置全体の薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明のスイッチ装置を電子辞書に適用した一実施形態を示した図である。
【図2】図1に示された電子辞書のスイッチ装置を示した要部の拡大平面図である。
【図3】図2に示されたスイッチ装置において環状キー部のキートップを取り外した状態を示した拡大斜視図である。
【図4】図2に示されたスイッチ装置のA−A矢視における拡大断面図である。
【図5】図2に示されたスイッチ装置のB−B矢視における拡大断面図である。
【図6】図3に示されたスイッチ装置のC−C矢視における拡大断面図である。
【図7】図3に示されたスイッチ装置における環状キー部の複数の接点部間に設けられた誘導突起部を示した要部の拡大斜視図である。
【図8】図2に示されたスイッチ装置における上部ケースの要部を示した斜視図である。
【図9】図8に示された上部ケースのキー収納凹部を示した拡大平面図である。
【図10】図2に示されたスイッチ装置において環状キー部のキートップを裏面側から見て示した拡大斜視図である。
【図11】図4〜図6に示されたスイッチ装置のゴムシートを裏面側から見て示した要部の拡大斜視図である。
【図12】図4〜図6に示されたスイッチ装置のスイッチ基板を示し、(a)はその上基板を示した拡大平面図、(b)はその下基板を示した拡大平面図である。
【図13】図4に示されたスイッチ装置において環状キー部のキートップの押圧操作によって複数の接点部のいずれかがオン動作した状態を示した拡大断面図である。
【図14】図5に示されたスイッチ装置において環状キー部のキートップの押圧操作によってキートップが上部ケースの誘導突起部に当接した状態を示した拡大断面図である。
【図15】図6に示されたスイッチ装置において環状キー部のキートップの押圧操作によってキートップが上部ケースの誘導突起部に当接した状態を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜図15を参照して、この発明のスイッチ装置を電子辞書に適用した一実施形態について説明する。
この電子辞書は、図1に示すように、第1ケース1と第2ケース2とをヒンジ部3によって開閉可能に連結し、ヒンジ部3を中心に第1、第2の各ケース1、2を回転させて閉じた際に、第1、第2の各ケース1、2が互いに重なり合い、またヒンジ部3を中心に第1、第2の各ケース1、2を回転させて開いた際に、第1、第2の各ケース1、2が互いに開いて展開するように構成されている。
【0021】
この場合、第1ケース1は、図1に示すように、キー入力部4、タッチ入力部5、およびスピーカ部6を備えており、第2ケース2は、表示部7を備えている。この第2ケース2の表示部7は、液晶表示パネルやEL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルからなり、辞書機能に必要な各種の情報を電気光学的に表示するように構成されている。
【0022】
第1ケース1のキー入力部4は、図1に示すように、文字キー4a、ファンクションキー4b、カーソルキー4cなどの辞書機能に必要な各種のキーを備えている。タッチ入力部5は、透明なタッチパネルの下面に表示パネルを重ね合わせたものであり、透明なタッチパネルをタッチ操作すると、そのタッチ操作に応じた手書き情報がその下側の表示パネルに表示され、この表示された情報が入力されるように構成されている。スピーカ部6は、第2ケース2の表示部7に表示された情報を音声で発音するものである。
【0023】
ところで、キー入力部4のカーソルキー4cに対応するスイッチ装置8は、図1および図2に示すように、円形キー部10と、この円形キー部10を囲んで設けられた環状キー部11と、この環状キー部11の外周に隣接して設けられた2つの補助キー部12、13とを備えている。
【0024】
この場合、円形キー部10は、表示部7に表示されている情報を決定するためのものであり、環状キー部11は、表示部7に表示されているカーソルを上下および左右方向に移動させるためのものであり、2つの補助キー部12、13は、スピーカ部6で音声を発生させるための音声キーや、表示部7に表示された画面を前の画面に戻すための画面戻しキーなどの補助的なキーである。
【0025】
このスイッチ装置8が搭載される第1ケース1は、図3〜図6に示すように、上部ケース14と下部ケース15とからなっている。この上部ケース14と下部ケース15との内部には、スイッチ基板16が配置されている。このスイッチ基板16は、図12(a)および図12(b)に示すように、上基板17と下基板18とを上下に重ね合わせた2層構造になっている。
【0026】
このスイッチ基板16の上面、つまり上基板17の上面には、図4〜図6に示すように、円形キー部10、環状キー部11、および2つの補助キー部12、13が、上部ケース14の上方に露出した状態で設けられている。この場合、円形キー部10および環状キー部11が対応する箇所の上部ケース14には、図3、図8および図9に示すように、円形状のキー収納凹部19が一段低く形成されている。
【0027】
このスイッチ装置8の円形キー部10は、図4〜図6に示すように、スイッチ基板16上に配置され、且つ図3、図8および図9に示すように、上部ケース14のキー収納凹部19における中心部に設けられた円形孔19aを通して、図2〜図4に示すように、上部ケース14の上側に露出し、この状態でスイッチ動作する1つの接点部20を備えている。
【0028】
この接点部20は、図4および図11に示すように、スイッチ基板16の上基板17の上面に配置されたゴムシート21にほぼドーム状の膨出部22が形成され、この膨出部22内に可動接点23が設けられ、この可動接点24がスイッチ基板16の上基板17の上面に設けられた固定接点24(図12(a)参照)に接離可能に接触するように構成されている。
【0029】
この場合、ゴムシート21は、図11に示すように、キー入力部4に対応する大きさに形成されている。ただし、この図11に示されたゴムシート21は、スイッチ装置8における円形キー部10、環状キー部11、および2つの補助キー部12、13に対応する箇所のみを示している。また、円形キー部10における接点部20の膨出部22は、図4および図11に示すように、ゴムシート21に上方(図11では紙面の裏面側)に向けて膨出されたほぼドーム状に形成されている。
【0030】
すなわち、この接点部20の膨出部22は、図4および図11に示すように、ゴムシート21から立ち上がる肉厚の薄いスカート部22aと、このスカート部22aの上部に設けられた肉厚の厚い円板部22bとで構成されている。この円板部22bの上面には、キートップ22cが固着されており、この円板部22bの下面には、可動接点23が設けられている。これにより、接点部20は、円板部22bがキートップ22cを介して上方から押されると、スカート部22aが弾性変形して、可動接点23が固定接点24に接触することにより、スイッチ動作するように構成されている。
【0031】
環状キー部11は、図2〜図4に示すように、円形キー部10の外周を囲むようにスイッチ基板16上に配置され、且つ図8および図9に示すように、上部ケース14のキー収納凹部19にそれぞれ設けられた各小円形孔19bを通して、図3に示すように、キー収納凹部19内に露出し、この状態でそれぞれスイッチ動作する複数の接点部25と、円形キー部10における膨出部22の外周を囲んで複数の接点部25上に連続して配置された環状のキートップ26とを備えている。
【0032】
この環状キー部11における複数の接点部25は、第2ケース2の表示部7に表示されたカーソルを上下および左右方向に移動させるためのスイッチ信号をそれぞれ出力するものであり、図3および図11に示すように、円形キー部10の外周における12時位置(上側部位置)、3時位置(右側部位置)、6時位置(下側部位置)、9時位置(左側部位置)の各位置にそれぞれ設けられている。
【0033】
この複数の接点部25は、図3、図4および図11に示すように、スイッチ基板16の上面に配置されたゴムシート21に4つの膨出部27が、環状に沿って配列された状態で形成され、この4つの膨出部27内に可動接点28がそれぞれ設けられ、この各可動接点28がスイッチ基板16の下基板18に設けられた固定接点29に、それぞれ上基板17の各接点挿入孔30を通して、接離可能に接触するように構成されている。
【0034】
この場合、ゴムシート21の下面(図11では表面)には、図11に示すように、底上げ部21aが、複数の接点部25の各周囲をそれぞれ囲うように、スイッチ基板16の上基板17の厚み程度だけ下側に突出して設けられている。また、スイッチ基板16の上基板17の各接点挿入孔30は、図12(a)に示すように、ゴムシート21の下面に設けられた底上げ部21aが挿入して配置される程度の大きさでくり抜かれている。
【0035】
これにより、環状キー部11の複数の接点部25は、図4および図13に示すように、その各膨出部27がキートップ26を介して上方から押された際に、各膨出部27が弾性変形して、各膨出部27内の各可動接点部28が、上基板17の各接点挿入孔30を通して、下基板18の各固定接点29に接触することにより、それぞれスイッチ動作するように構成されている。
【0036】
また、この環状キー部11のキートップ26は、図2および図10に示すように、中央部に円形キー部10の接点部20が挿入する円形孔26aが設けられたリング状に形成されている。このキートップ26は、図2、図4〜図6に示すように、複数の接点部25の上部に連続して配置された状態で、上部ケース14のキー収納凹部19内に配置されるように構成されている。
【0037】
この場合、キートップ26は、図4〜図6に示すように、その外周部が高く、円形孔26aに向かうに従って次第に低くなるように緩やかに傾斜している。このため、キートップ26は、その外周部が上部ケース14のキー収納凹部19内から少し上方に突出し、内周部が円形キー部10の接点部20の上面よりも少し下側に位置した状態で、キー収納凹部19内に配置されるように構成されている。
【0038】
また、このキートップ26の下面(図10では表面)には、図10に示すように、複数のフック部31が下側に突出して設けられている。この複数のフック部31は、図4および図10に示すように、ゴムシート21のフック挿入孔21bおよび上基板17のフック挿入孔17aを通して、上部ケース14に設けられた後述する複数の係止部32に係止されることにより、キートップ26を上部ケース14に対して上下方向に移動可能な状態で取り付けるように構成されている。
【0039】
一方、2つの補助キー部12、13は、図1〜図3に示すように、環状キー部11の外周における7時と8時との間および10時と11時との間にそれぞれ設けられている。この2つの補助キー部12、13も、図3、図5および図11に示すように、スイッチ基板16上に配置され、且つ図8および図9に示すように、上部ケース14のキー収納凹部19の外部に設けられたほぼ半円形孔14bを通して、図3および図5に示すように、上部ケース14の上側に露出し、この状態でスイッチ動作する2つの接点部33、34を備えている。
【0040】
この2つの接点部33、34も、図3、図5および図11に示すように、スイッチ基板16の上面に配置されたゴムシート21にほぼドーム状の膨出部35、36がそれぞれ形成され、この各膨出部35、36内に可動接点37がそれぞれ設けられ、この可動接点37がスイッチ基板16の上基板17の上面に設けられた固定接点38にそれぞれ接離可能に接触するように構成されている。この2つの接点部33、34における各膨出部35、36の上面にも、それぞれキートップ33a、34aが固着されている。
【0041】
この場合、スイッチ基板16は、図12(a)に示すように、キー入力部4のほぼ全域に対応して設けられている。これに伴って、上基板17の上面には、スイッチ装置8の円形キー部10における接点部20の固定接点24、環状キー部11における複数の接点部25の各固定接点29、補助キー部12、13における各接点部33、34の各固定接点38ほかに、キー入力部4の文字キー4a、ファンクションキー4bの各キーに対応する固定接点17bがそれぞれ設けられている。
【0042】
ところで、環状キー部11が位置する上部ケース14のキー収納凹部19内には、図3、図5、図7〜図9に示すように、環状キー部11における複数の接点部25における互いに隣接する接点部25の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所のキートップ26を押圧して傾けた際に、前記一方の接点部25を押し下げる方向に向けてキートップ26を傾けるための複数の誘導突起部40が設けられている。
【0043】
すなわち、この複数の誘導突起部40は、図3および図7に示すように、円形キー部10の外周に隣接し、且つ複数の接点部25間の各中間部、例えば1時と2時との間、4時と5時との間、7時と8時との間、および10時と11時との間の4箇所にそれぞれ位置するキー収納凹部19内にそれぞれ設けられている。
【0044】
この誘導突起部40は、図7〜図9に示すように、円形キー部10の接点部20の外周に沿う部分を底辺とし、環状キー部11における複数の接点部25のうち、互いに隣接する接点部25間の中間点、つまり環状に配列された複数の接点部25の各中心を通る中心円上において各接点部25間の中心位置に向かう位置を頂点40aとするほぼ三角形状に一段高く形成されている。
【0045】
この場合、誘導突起部40の頂点40aから底辺に向かう2辺には、図3、図7〜図9に示すように、複数の接点部25における互いに隣接する接点部25の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所のキートップ26を押圧して傾けた際に、前記一方の接点部25を押し下げる方向に向けてキートップ26を傾けるように円弧状の面取り部であるガイド面40bがそれぞれ形成されている。
【0046】
また、上部ケース14のキー収納凹部19には、図3、図7〜図9に示すように、複数の誘導突起部40の各頂点40aから環状キー部11のキートップ26の外周部に対応する箇所に向けて次第に広がるほぼ扇形状の開口部41がそれぞれ設けられている。この扇状の開口部41は、その2辺が誘導突起部40のガイド面40bである2辺の延長線上に位置するように構成されている。
【0047】
さらに、複数の誘導突起部40における各頂点40aの下面部には、図5および図7に示すように、キートップ26に設けられた複数のフック部31をそれぞれ係止するための複数の係止部32が設けられている。すなわち、この複数の係止部32は、複数の誘導突起部40における各頂点40aの下面部に切り込みを形成することにより、それぞれオーバーハング状に形成されている。
【0048】
また、この複数の係止部32は、図3、図5および図7に示すように、上部ケース14のキー収納凹部19に設けられたほぼ扇状の開口部41、ゴムシート21のフック挿入孔21b、および上基板17のフック挿入孔17aが隣接し、この上基板17のフック挿入孔17aに対面するように構成されている。
【0049】
これにより、キートップ26に設けられた複数のフック部31は、図5および図14に示すように、キー収納凹部19の開口部41およびゴムシート21のフック挿入孔21bを通して、上基板17のフック挿入孔17aに挿入し、この状態で複数の係止部32にそれぞれ上下方向に移動可能な状態で係止され、キートップ26が上部ケース14から上方に抜け出さないように構成されている。
【0050】
また、キートップ26の下面には、図4および図10に示すように、環状キー部11の複数の接点部25をそれぞれ押圧するための複数の接点押圧部42が設けられている。この複数の接点押圧部42は、複数の接点部25に対応する箇所におけるキートップ26の下面に、その外周側から内周側に向けて設けられたリブである。
【0051】
このため、複数の接点部25が位置する箇所のキー収納凹部19には、図3、図8、図9に示すように、逃げ孔43がそれぞれ各小円形孔19bに連続して設けられている。この逃げ孔43は、接点押圧部42が接点部25を押圧する際に、接点押圧部42がキー収納凹部19の上面に当接せずに、接点部25を十分に押し下げるように構成されている。
【0052】
さらに、このキートップ26の外周部には、図10に示すように、複数の接点押圧部42に対応する箇所を除いて、縁突起44が設けられている。この縁突起44は、図6および図15に示すように、複数の接点部25間に対応するキートップ26の箇所が押された際に、キー収納凹部19の内周壁に沿って設けられた環状溝45内に挿入して環状溝45の底面に当接するように構成されている。
【0053】
次に、このようなカーソルキー4cのスイッチ装置8を組み立てる場合について説明する。
まず、上部ケース14のキー収納凹部19内に環状キー部11のキートップ26を上方から配置する。このときには、キートップ26の下面に設けられた複数のフック部31を、キー収納凹部19内に設けられた複数の誘導突起部40の各頂点40aに対応させる。
【0054】
この状態で、複数のフック部31を、キー収納凹部19の各開口部41内に挿入させて、誘導突起部40の各頂点40aの下面部に設けられた各係止部32に係止させる。これにより、キートップ26は、キー収納凹部19内に配置された状態で、上部ケース14の上方に抜け出すことなく、上部ケース14に対して上下方向に移動可能に取り付けられる。
【0055】
次いで、スイッチ基板16の下基板18上に上基板17を重ね合わせて、スイッチ基板16を組み立てる。このときには、下基板18の上面に設けられた環状キー部11の複数の固定接点29に上基板17の各接点挿入孔30を対応させた状態で、下基板18上に上基板17を重ね合わせる。これにより、スイッチ基板16が組み立てられる。
【0056】
この後、スイッチ基板16上にゴムシート21を配置する。このときには、ゴムシート21の下面に設けられた複数の底上げ部21aを、上基板17に設けられた複数の接点挿入孔30に挿入させて嵌合させる。これにより、環状キー部11の複数の膨出部27内に設けられた各可動接点28が、上基板17の各接点挿入孔30を介して下基板18上に設けられた環状キー部11の各固定接点29に対応する。
【0057】
また、このときには、上基板17上に設けられた円形キー部10の固定接点24に、ゴムシート21に形成された円形キー部10の膨出部22内の可動接点23が対応すると共に、上基板17上に設けられた2つの補助キー部12、13の各固定接点38に、ゴムシート21に形成された各補助キー部12、13の各膨出部35、36内の各可動接点37が対応する。さらに、このときには、上基板17に設けられた複数のフック挿入孔17aに、ゴムシート21のフック挿入孔21bが対応する。これにより、スイッチ基板16上にゴムシート21が配置される。
【0058】
次いで、ゴムシート21が配置されたスイッチ基板16を第1ケース1の上部ケース14内に配置する。このときには、上部ケース14のキー収納凹部19にスイッチ基板16上のゴムシート21を対応させ、この状態で円形キー部10の膨出部22をキー収納凹部19の円形孔19a内に挿入すると共に、環状キー部11の複数の膨出部22をキー収納凹部19の複数の小円形孔19b内にそれぞれ挿入し、さらに2つの補助キー部12、13の各膨出部35、36を上部ケース14のほぼ半円形孔14b内に挿入する。
【0059】
これにより、図3〜図6に示すように、円形キー部10の膨出部22が上部ケース14のキー収納凹部19内に配置された環状キー部11のキートップ26の円形孔26aに挿入し、この膨出部22上に固着されたキートップ22cが環状キー部11のキートップ26の上方に露出する。また、環状キー部11の複数の膨出部22は、それぞれ上部ケースのキー収納凹部19内に突出してキー収納凹部19内に配置された環状キー部11のキートップ26の下面に弾接する。さらに、2つの補助キー部12、13の各膨出部35、36は、上部ケース14の上側に突出して露出する。
【0060】
この後、上部ケース14を下部ケース15上に組み付ける。これにより、環状キー部11のキートップ26は、円形キー部10の膨出部22の外周を囲み、環状キー部11の複数の接点部25上に連続して位置した状態で、キー収納凹部19内に配置され、この状態で複数の接点部25の各膨出部27の弾性力によって押し上げられ、複数のフック部31がキー収納凹部19の各誘導突起部40の各係止部32に係止され、この状態で上部ケース14に対して上下方向に移動可能に取り付けられる。
【0061】
次に、このように組み立てられたスイッチ装置8の作用について説明する。
まず、円形キー部10の接点部20のキートップ22cを上方から押すと、接点部20の膨出部22が弾性変形して、膨出部22内の可動接点23がスイッチ基板16の上基板17に設けられた固定接点24に接触することにより、オン動作する。
【0062】
また、2つの補助キー部12、13の各接点部33、34を上方から押すと、各接点部33、34の各膨出部35、36がそれぞれ弾性変形して、各膨出部35、36内の各可動接点37がスイッチ基板16の上基板17に設けられた固定接点38にそれぞれ接触することにより、オン動作する。
【0063】
一方、環状キー部11のキートップ26を上方から押す際には、キートップ26の12時位置、3時位置、6時位置、9時位置のいずれかの箇所を押す。すると、図13に示すように、押された箇所のキートップ26の下面に設けられた接点押圧部42が、これに対応する環状キー部11の接点部25を押し下げ、この接点部25の膨出部27を弾性変形させるので、膨出部27内の可動接点28が、スイッチ基板16の上基板17に設けられた接点挿入孔30を通して、下基板18上に設けられた固定接点29に接触することにより、オン動作する。
【0064】
このときに、複数の接点部25間の中間部に位置する箇所、例えば1時と2時との中間部、4時と5時との中間部、7時と8時との中間部、10時と11時との中間部に対応する箇所のキートップ26を押した際には、キートップ26の下面が複数の誘導突起部40のいずれかの上面中央に当接する。このため、キートップ26が僅かに下がるだけで、クリック感がないため、使用者が入力操作されていないことを実感する。
【0065】
このときには、複数の接点部25のいずれもが、キートップ26の各接点押圧部42のいずれかによって押されても、僅かに下がるだけであるから、複数の接点部25の各膨出部27内の可動接点28が、スイッチ基板16の下基板18上の固定接点29に接触することがなく、全て接点部25がオフ状態を維持する。
【0066】
この場合、複数の接点部25における互いに隣接する接点部25の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所のキートップ26が押された際には、誘導突起部40によって互いに隣接する接点部25のうち、前記一方の接点部25を押し下げる方向に向けてキートップ26が傾いて、互いに隣接する接点部25の前記一方のみがオン動作する。
【0067】
例えば、12時と3時との各接点部25の中間部付近、3時と6時との各接点部25の中間部付近、6時と9時との各接点部25の中間部付近、9時と12時との各接点部25の中間部付近のいずれかに対応する箇所のキートップ26を押して傾けた際には、誘導突起部40によって互いに隣接する接点部25の一方を押し下げる方向に向けてキートップ26が傾いて一方の接点部25のみをオン動作させる。
【0068】
すなわち、複数の接点部25における互いに隣接する接点部25の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近、例えば図7に示すように、3時と6時とに位置する各接点部25のうち、3時位置の接点部25から6時位置の接点部25に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所のキートップ26が押された際には、これに対応する箇所の誘導突起部40の中心部から3時側に少しずれた箇所に、キートップ26の下面が当接することになる。
【0069】
このため、キートップ26の下面が、誘導突起部40の2辺のガイド面40bのうちの3時側に位置するガイド面40bによってガイドされ、このガイドされたキートップ26が3時方向に向けて傾く。これにより、キートップ26の下面に設けられた複数の接点押圧部42のうち、3時側に位置する接点押圧部42が、これに対応する3時位置の接点部25を押圧してスイッチ動作させる。
【0070】
また、3時と6時とに位置する各接点部25のうち、6時位置の接点部25から3時位置の接点部25に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所のキートップ26が押された際には、これに対応する箇所の誘導突起部40の中心部から6時側に少しずれた箇所にキートップ26の下面が当接することになる。
【0071】
このときには、キートップ26の下面が、誘導突起部40の2辺のガイド面40bのうちの6時側に位置するガイド面40bによってガイドされ、このガイドされたキートップ26が6時方向に向けて傾くので、キートップ26の6時側に位置する接点押圧部42が、6時位置の接点部25を押圧してスイッチ動作させる。
【0072】
このように、複数の接点部25における互いに隣接する接点部25の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近、例えば3時位置の接点部25と6時位置の接点部25との中間部付近に対応する箇所のキートップ26が押されて傾いた際には、これに対応する箇所の誘導突起部40によってキートップ26が3時位置の接点部25と6時位置の接点部25とのいずれか一方に向けて傾くため、この傾いた方向に位置するキートップ26の接点押圧部42によって3時と6時とのいずれか一方に位置する接点部25のみを押圧してオン動作させることができる。
【0073】
このように、このスイッチ装置8によれば、上部ケース14内のスイッチ基板16上に環状に沿ってそれぞれ配置されて上部ケース14の内部から外部に露出し、この状態でそれぞれスイッチ動作する複数の接点部25、およびこの複数の接点部25上に連続して配置された環状のキートップ26を有する環状キー部11を備え、上部ケース14における複数の接点部25間の各中間部に位置する箇所に、互いに隣接する接点部25の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所のキートップ26を押圧して傾けた際に、その一方の接点部25を押し下げる方向に向けてキートップ26を傾けるための誘導突起部40をそれぞれ設けた構成であるから、互いに隣接する接点部25が同時にオン動作するダブルメークを防ぐことができる。
【0074】
すなわち、このスイッチ装置8では、環状キー部11の複数の接点部25における互いに隣接する接点部25の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所のキートップ26を押圧して傾けた際に、複数の接点部25間の各中間部に位置する箇所の上部ケース14に設けられた誘導突起部40によって、互いに隣接する接点部25のうち、前記一方の接点部25を押し下げる方向に向けてキートップ26を傾けて、互いに隣接する接点部25の一方のみをオン動作させることができ、これにより互いに隣接する接点部25が同時にオン動作する所謂ダブルメークを防ぐことができる。
【0075】
この場合、誘導突起部40は、キートップ26の内周縁に対応する箇所に沿う部分を底辺とし、環状キー部11における複数の接点部25のうち、互いに隣接する接点部25間の中間点に向かう位置を頂点40aとするほぼ三角形状に一段高く形成されていることにより、互いに隣接する接点部25の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所のキートップ26が上方から押されて、キートップ26の下面が誘導突起部40に当接して傾く際に、そのキートップ26の傾きをほぼ三角形状の誘導突起部40の頂点40aから底辺に向かう2辺のいずれかによって、互いに隣接する接点部25の一方に向けて傾け、その一方の接点部25のみをオン動作させることができる。
【0076】
すなわち、この誘導突起部40は、三角形状の頂点40aから底辺に向かう2辺が、複数の接点部25における互いに隣接する接点部25の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所のキートップ26を押圧して傾けた際に、その一方の接点部を押し下げる方向に向けてキートップ26を傾けるための円弧状の面取り部であるガイド面40bに形成されているので、互いに隣接する接点部25の中間部付近に対応する箇所のキートップ26を押した際に、キートップ26の下面が誘導突起部40の2辺のガイド面40bのいずれかによって、互いに隣接する接点部25のうち、一方の接点部25を押し下げる方向に向けてキートップ26を確実に傾けることができ、これにより互いに隣接する接点部25の一方のみを確実にオン動作させることができる。
【0077】
この場合、キートップ26の下面には、環状キー部11の複数の接点部25をそれぞれ押圧するための複数の接点押圧部42が設けられていることにより、互いに隣接する接点部25の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所のキートップ26が押圧されて傾いた際にも、キートップ26の接点押圧部42によって接点部25を確実に且つ良好に押圧してスイッチ動作させることができる。特に、複数の接点部25の近傍に位置する上部ケース14には、逃げ孔43がそれぞれ設けられているので、接点押圧部42が接点部25を押圧した際に、接点押圧部42が上部ケース14の上面に当接することなく、接点部25を十分に押し下げることができる。
【0078】
また、このスイッチ装置8によれば、環状キー部11のキートップ26の下面に、複数のフック部31が上部ケース14の内部に向けて突出して設けられており、上部ケース14の内部には、キートップ26が複数の接点部25上に配置された際に、複数のフック部31をそれぞれ係止する複数の係止部32が設けられている構成であるから、キートップ26の厚みの影響を受けずに、スイッチ全体の厚みを薄くすることができ、装置全体の薄型化を図ることができる。
【0079】
すなわち、このスイッチ装置8では、環状キー部11のキートップ26を上部ケース14に取り付ける際に、キートップ26を上部ケース14のキー収納凹部19内に配置して押し下げると、キートップ26の下面に設けられた複数のフック部31が、上部ケース14の内部に設けられた複数の係止部32にそれぞれ係止されるので、キートップ26を上部ケース14の外部に露出させた状態で上部ケース14に対して確実に且つ良好に取り付けることができる。
【0080】
このため、キートップ26の厚みの影響を受けずに、スイッチ全体の厚みを薄くすることができ、これにより装置全体の薄型化を図ることができる。また、このキートップ26は、複数の接点部25上に接着剤や溶着などによって固着されていないため、キートップ26が押圧操作された際に、その押圧されたキートップ26の箇所と反対側に位置する箇所が持ち上がることがなく、これにより複数の接点部25であるゴムシート21の膨出部27の耐久性を向上させることができると共に、複数の接点部25を安定した状態で良好にスイッチ動作させることができる。
【0081】
この場合、複数のフック部31は、環状キー部11の複数の接点部25間の中間部に設けられた複数の誘導突起部40にそれぞれ対応した状態で、キートップ26の下面に設けられており、複数の誘導突起部40の各下面部には、キートップ26が複数の接点部25上に配置された際に、複数のフック部31をそれぞれ係止する係止部32が設けられていることにより、キートップ26の下面にフック部31を設けても、複数の接点部25の邪魔にならず、キートップ26を上部ケース14に対して良好に取り付けることができる。
【0082】
すなわち、上部ケース14には、キートップ26に設けられた複数のフック部31がそれぞれ挿入する複数の開口部41が、誘導突起部40の頂点40aに隣接して設けられており、係止部32は、誘導突起部40の頂点40aの下面部にオーバーハング状に設けられていることにより、キートップ26を複数の接点部25上に配置して押し下げると、上部ケース14の開口部41を通してフック部31の先端部をオーバーハング状の係止部32に上下方向に移動可能な状態で係止させることができる。このため、キートップ26が上部ケース14の上方に抜け出すことがなく、キートップ26を上部ケース14に簡単に且つ確実に取り付けることができる。
【0083】
また、このスイッチ装置8では、スイッチ基板16が上基板17と下基板18とを上下に重ね合わせた2層構造であり、上基板16には、複数の接点挿入孔30が環状キー部11の複数の接点部25にそれぞれ対応して設けられており、複数の接点挿入孔30に対応する箇所の下基板16には、複数の接点部25の各可動接点28が各接点挿入孔30を通して接離可能に接触する固定接点29がそれぞれ設けられていることにより、複数の接点部25がオン動作する際における各接点部25の動作ストロークを長くすることができ、これによりスイッチ操作時におけるキータッチ感を向上させることができる。
【0084】
このように、複数の接点部25の動作ストロークを長くしても、キートップ26の内面に設けられた複数の接点押圧部42によって各接点部25を確実に且つ良好に押圧してそれぞれスイッチ動作させることができると共に、複数の接点部25の近傍に位置する箇所の上部ケース14に設けられた逃げ孔43によって、接点押圧部42が接点部25を十分に押し下げることができる。
【0085】
また、スイッチ基板16の上基板17には、キートップ26に設けられた複数のフック部31の先端部が挿入するフック挿入孔17aが、誘導突起部40の係止部32に隣接して設けられていることにより、キートップ26を上部ケース14のキー収納凹部19内に配置して押し下げた際に、フック部31の先端部をオーバーハング状の係止部32に対面させて上下方向に移動可能な状態で係止させることができ、これにより簡単に且つ確実にキートップ26を上部ケース14に取り付けることができる。
【0086】
さらに、このスイッチ装置8によれば、スイッチ基板16上に配置されて上部ケース14の内部から外部に突出すると共に、環状キー部11のキートップ16の円形孔26aに挿入してキートップ26の上側に露出し、この状態でスイッチ動作する1つの接点部20を有する円形キー部10を備えていることにより、円形キー部10のキー操作性が良いばかりか、スイッチ装置8全体をコンパクトに実装することができる。
【0087】
すなわち、円形キー部10と環状キー部11との間に仕切りを設けていないため、複数の接点部25を有する環状キー部11と1つの接点部20を有する円形キー部10とをコンパクトに実装することができると共に、高密度実装ができ、これにより装置全体の更なる小型化を図ることができると共に、外観的にもデザイン的にも、好ましいスイッチ装置8を提供することができる。
【0088】
なお、上述した実施形態では、この発明のスイッチ装置8を電子辞書に適用した場合について述べたが、必ずしも電子辞書である必要はなく、例えば携帯電話機や携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)などの各種の電子機器に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 第1ケース
8 スイッチ装置
10 円形キー部
11 環状キー部
14 上部ケース
15 下部ケース
16 スイッチ基板
17 上基板
17a フック挿入孔
18 下基板
19 キー収納凹部
20 円形キー部の接点部
21 ゴムシート
21b フック挿入孔
25 環状キー部の接点部
26 キートップ
26a 円形孔
27 膨出部
28 可動接点
29 固定接点
30 上基板の接点挿入孔
31 フック部
32 係止部
40 誘導突起部
40a 誘導突起部の頂点
40b 誘導突起部のガイド面
41 キー収納凹部の開口部
42 キートップの接点押圧部
43 キー収納凹部の逃げ孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ基板を内蔵したケースと、
前記スイッチ基板上に環状に沿ってそれぞれ配置されて前記ケースの内部から外部に露出し、この状態でそれぞれスイッチ動作する複数の接点部、およびこの複数の接点部上に連続して配置された環状のキートップを有する環状キー部と、を備え、
前記ケースには、前記環状キー部における前記複数の接点部間の各中間部に位置する箇所に、前記複数の接点部における互いに隣接する接点部の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所の前記キートップを押圧して傾けた際に、前記一方の接点部を押し下げる方向に向けて前記キートップを傾けるための誘導突起部がそれぞれ設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
スイッチ基板を内蔵したケースと、
前記スイッチ基板上に環状に沿ってそれぞれ配置されて前記ケースの内部から外部に露出し、この状態でそれぞれスイッチ動作する複数の接点部、およびこの複数の接点部上に連続して配置された環状のキートップを有する環状キー部と、を備え、
前記環状キー部の前記キートップの下面には、複数のフック部が前記ケースの内部に向けて突出して設けられており、前記ケースの内部には、前記キートップが前記複数の接点部上に配置された際に、前記複数のフック部をそれぞれ係止する複数の係止部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
スイッチ基板を内蔵したケースと、
前記スイッチ基板上に環状に沿ってそれぞれ配置されて前記ケースの内部から外部に露出し、この状態でそれぞれスイッチ動作する複数の接点部、およびこの複数の接点部上に連続して配置された環状のキートップを有する環状キー部と、を備え、
前記ケースには、前記環状キー部における前記複数の接点部間の各中間部に位置する箇所に、前記複数の接点部における互いに隣接する接点部の一方から他方に向けて少し離れた中間部付近に対応する箇所の前記キートップを押圧して傾けた際に、前記一方の接点部を押し下げる方向に向けて前記キートップを傾けるための誘導突起部がそれぞれ設けられており、
前記環状キー部の前記キートップの下面には、複数のフック部が前記各誘導突起部にそれぞれ対応した状態で前記ケースの内部に向けて突出して設けられており、前記各誘導突起部の下面部には、前記キートップが前記複数の接点部上に配置された際に、前記複数のフック部を係止する係止部がそれぞれ設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
前記誘導突起部は、前記キートップの内周縁に対応する箇所に沿う部分を底辺とし、前記環状キー部における前記複数の接点部のうち、互いに隣接する接点部間の中間点に向かう位置を頂点とするほぼ三角形状に一段高く形成されていることを特徴とする請求項1または請求項3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記ケースには、前記複数のフック部がそれぞれ挿入する複数の開口部が、前記誘導突起部の前記頂点に隣接して設けられており、前記係止部は、前記誘導突起部の前記頂点の下面部にオーバーハング状に設けられていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記スイッチ基板は、上基板と下基板とを上下に重ね合わせた2層構造であり、前記上基板には、複数の接点挿入孔が前記環状キー部の前記複数の接点部にそれぞれ対応して設けられており、前記複数の接点挿入孔に対応する箇所の前記下基板には、前記複数の接点部の各可動接点が前記各接点挿入孔を通して接離可能に接触する固定接点がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記上基板には、前記キートップの前記各フック部の先端部が挿入するフック挿入孔が、前記誘導突起部の前記係止部に隣接して設けられていることを特徴とする請求項6に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記キートップの下面には、前記環状キー部の前記複数の接点部をそれぞれ押圧するための複数の接点押圧部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記スイッチ基板上に配置されて前記ケースの内部から外部に突出すると共に、前記環状キー部の前記キートップの中心部に挿入して前記キートップの上側に露出し、この状態でスイッチ動作する1つの接点部を有する円形キー部を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載のスイッチ装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−109085(P2012−109085A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256073(P2010−256073)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】