説明

スイッチ装置

【課題】円周方向への操作において使用者に与える違和感を極力低減し、操作感が良好なスイッチ装置を提供する
【解決手段】スイッチ装置10は、配線基板と配線基板に設けられ中心位置に対して同心円上に配置された複数のスイッチと中心位置を中心とした同心円状となる円周方向操作領域に対する円周方向操作により中心位置を支点として揺動することでスイッチを順にオンする操作部材22とを備える。操作部材22は円周方向操作領域においてスイッチと対向する部位に底部221が形成されるとともに、隣り合う二個のスイッチの中間位置と対向する部位に頂部222が形成され、さらに底部221と頂部222とが連続した同一面として形成され、円周方向操作領域において円周方向操作により押圧されて押圧方向へ揺動した部位における配線基板からの高さが円周方向操作領域の円周方向位置にかかわらずほぼ一定である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材に対する操作によりオンする複数のスイッチ接点を備えたスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両、特には自動車のステアリングホイールにスイッチ装置を設ける構成が開示されている。特許文献1のものは、ステアリングホイールにオーディオ機器などを操作する押しボタン式のスイッチ装置が設けられている。この場合、使用者は、ステアリングホイールを握ったままオーディオ機器などを操作することができる。しかしながら、このような押しボタン式のスイッチ装置は、複数種類の操作に対応するために操作数と同じ数のスイッチ装置を設ける必要がある。このため、複数種類の操作を実現させる場合には全体として大型化を招くとともに操作性が悪化するという事情がある。
【0003】
そこで、一個の操作部材で複数種類の入力操作を可能にし、これにより全体としての小型化および操作性の向上を図ることが考えられている。例えばこのようなスイッチ装置は、円周方向に等間隔に配置された四個のスイッチと、これら四個のスイッチを押圧してオンする円板状の操作部材とを備える。この場合、スイッチ装置は、操作部材の上下左右方向のうち単方向が押されると、それに対応する一個のスイッチがオンし、これにより十字方向の入力を検出する。また、スイッチ装置は、斜め方向が押されると、それに対応する両側二個のスイッチがオンし、これにより斜め方向の入力を検出する。さらに、スイッチ装置は、操作部材が円周方向へなぞられる、つまり十字方向と斜め方向が連続して押されると、複数のスイッチが連続してオンオフする。これによりスイッチ装置は円周方向の入力を検出する。このように一個の操作部材で複数種類の方向への操作が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−142422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成のものでは、スイッチをオンするために必要な十字方向への押し込み量は一定である。このため、操作部材の押し込み量は、十字方向を押して一個のスイッチをオンする場合に比べて、斜め方向を押して両側二個のスイッチをオンする場合の方が大きくなる。つまり、例えば円周方向への操作の場合、操作部材の操作面は、十字方向すなわち一個のスイッチがオンする位置に対して、斜め方向すなわち両側二個のスイッチが同時にオンする位置の方が深い位置になってしまう。そのため、上記構成のスイッチ装置は、使用者が操作部材を円周方向になぞって操作すると、操作部材が波打っているような違和感を覚え、操作感がよくないという事情があった。
【0006】
そこで、本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、円周方向への操作において使用者に与える違和感を極力低減し、操作感が良好なスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のスイッチ装置は、配線基板と、前記配線基板に設けられ、中心位置に対して同心円上に配置された複数のスイッチと、前記中心位置を中心とした同心円状となる円周方向操作領域に対する円周方向への押圧操作である円周方向操作により前記中心位置を支点として揺動することで前記スイッチを順にオンする操作部材と、を備える。前記操作部材は、前記円周方向操作領域において前記スイッチと対向する部位に底部が形成されるとともに、隣り合う二個のスイッチの中間位置と対向する部位に頂部が形成され、さらに前記底部と前記頂部とが連続した同一面として形成され、前記円周方向操作領域において前記円周方向操作により押圧されて押圧方向へ揺動した部位における前記配線基板からの高さが前記円周方向操作領域の円周方向位置にかかわらずほぼ一定である。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によれば、操作部材は、円周方向操作領域において円周方向操作により押圧されて押圧方向へ揺動した部位における配線基板からの高さが円周方向操作領域の円周方向位置にかかわらずほぼ一定である。このため、使用者は、操作部材の円周方向操作領域を円周方向になぞって円周方向操作する際、同一平面上をなぞる感覚で円周方向操作をすることができる。そのため、使用者は、操作部材が波打っているような違和感を覚えることなく円周方向操作をすることができる。したがって、円周方向操作の入力時において使用者に与える違和感が低減され、その結果、操作感が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態によるスイッチ装置の斜視図
【図2】スイッチ装置の分解斜視図
【図3】スイッチ装置の縦断面図
【図4】スイッチ装置の正面図
【図5】スイッチ装置の平面図
【図6】カバー、ノブ、操作板を取外した状態で示すスイッチ装置の平面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1および図4は、車両、特には自動車に設けられてオーディオ機器などの操作に用いられるスイッチ装置10の外観を示している。以下、図4の上側すなわち使用者側をスイッチ装置10の前方とし、下側すなわち使用者とは反対側をスイッチ装置10の後方として説明する。
【0011】
スイッチ装置10は、図2に示すように台座11上に、プリント配線基板12(以下、配線基板12と称す)などを順番に組付けることにより構成されている。台座11は、樹脂などにより円板状に形成されて、円板状の配線基板12が載置されている。配線基板12は、決定操作用固定接点13および四個の方向操作用固定接点14が実装されている。この四個の方向操作用固定接点14は、配線基板12の決定操作用固定接点13を中心位置とし、その中心位置に対して同心円上に等間隔に設けられている。これら固定接点13、14は、電気的に切断された一対の接点を構成する配線パターンで形成されている。
【0012】
スイッチ装置10は、図2、図3に示すように、配線基板12上において決定操作用可動接点15および四個の方向操作用可動接点16を備えている。決定操作用固定接点13と決定操作用可動接点15とは決定操作用スイッチを構成し、方向操作用固定接点14と方向操作用可動接点16とは複数、この場合四個の方向操作用スイッチを構成している。方向操作用固定接点14と方向操作用可動接点16とから構成される方向操作用スイッチは本発明でいうスイッチを構成する。
【0013】
これら可動接点15、16は、弾性を有するシリコーン樹脂で形成されている。この場合、決定操作用可動接点15は配線基板12上の決定操作用固定接点13の前側に配置され、各方向操作用可動接点16は配線基板12上の各方向操作用固定接点14の前側に配置されている。つまり、スイッチ装置10は、四個の方向操作用可動接点16を備え、この四個の方向操作用可動接点16は、決定操作用可動接点15を中心位置とし、この中心位置に対して同心円上に等間隔に配置されている。
【0014】
可動接点15、16は、図2および図3に示すようにほぼ同一構成であることから、可動接点16についてのみ説明し、可動接点15については説明を省略する。可動接点16は、ベース部161、弾性変形部162、円柱部163、導電部164、および被押圧部165を有している。ベース部161は矩形枠状に形成されて配線基板12上に設置されている。弾性変形部162はベース部161の前側に設けられて前方へ膨出した中空のドーム状に形成されている。円柱部163は、弾性変形部162の前後方へ突出して形成され、この円柱部163のベース部161側の後端部に導電部164が設けられている。導電部164は、金属膜や導電性樹脂などの導電材料で形成され、配線基板12上の固定接点14に対向して配置されている。被押圧部165は、弾性変形部162の前側に円柱部163を囲むように設けられている。
【0015】
この構成において、可動接点16は、被押圧部165が操作力を受けると、弾性変形部162が弾性変形してベース部161側に沈み込む。すると、円柱部163に設けられた導電部164は、配線基板12上の固定接点14に接触する。これにより、固定接点14は、電気的に切断された一対の接点間が導通して、固定接点14および可動接点16から構成されるスイッチがオンする。
【0016】
また、スイッチ装置10は、決定操作用プッシャ17および四個の方向操作用プッシャ18を備え、後述するボデー19により位置決めされている。決定操作用プッシャ17は、決定操作用可動接点15の前方に設けられ、決定操作用可動接点15を押圧する。具体的には、決定操作用プッシャ17は全体として正方形の板状に形成された主体部171と、二本の決定操作用摺動軸172とから構成されている。そして、この決定操作用プッシャ17の主体部171には、図3に示すように、配線基板12側に取付け部173が陥没形成されており、この取付け部173に決定操作用可動接点15が嵌め込まれている。また、決定操作用プッシャ17の主体部171には、配線基板12とは反対側に椀状の曲面をなす軸受け面174が形成されている。そして二本の決定操作用摺動軸172は、それぞれ主体部171の対角線上において主体部171に垂直方向に突出して設けられている。
【0017】
方向操作用プッシャ18は、方向操作用可動接点16の被押圧部165の前側に配置されている。具体的には、方向操作用プッシャ18は、押圧板181と方向操作用摺動軸182とから構成され、押圧板181は矩形状に形成されて方向操作用可動接点16の被押圧部165に接触し、方向操作用摺動軸182は押圧板181の中心部から押圧板181に対して垂直方向に伸びている。
【0018】
また、スイッチ装置10は、ボデー19、揺動部材20、操作板21、ノブ22、軸部材23などを備えている。ボデー19は、図2に示すように、全体として円板状に形成され、貫通孔191、二個の決定操作用プッシャ孔192、および四個の方向操作用プッシャ孔193が形成されている。貫通孔191は、ボデー19の中心部をボデー19の中心軸方向へ矩形状に貫通している。二個の決定操作用プッシャ孔192は、貫通孔191の対角線上の外側において決定操作用プッシャ17の決定操作用摺動軸172に重なる位置で、ボデー19の中心軸方向へ円形に貫通している。さらに、四個の決定操作用プッシャ孔192は、それぞれ貫通孔191の外側において方向操作用プッシャ18の方向操作用摺動軸182と重なる位置で、ボデー19を中心軸方向へ円形に貫通している。
【0019】
このボデー19は、図3に示すように、配線基板12の前方に設けられ、貫通孔191の内側に決定操作用固定接点13と決定操作用可動接点15とから構成される決定操作用スイッチおよび決定操作用プッシャ17の主体部171を収容している。また、決定操作用プッシャ17の二本の決定操作用摺動軸172は、図6に示すように決定操作用プッシャ孔192に挿入されている。この場合、決定操作用プッシャ17は、決定操作用摺動軸172がボデー19の決定操作用プッシャ孔192内側を摺動することで、ボデー19の中心軸方向へ移動する。このように、決定操作用プッシャ17は、ボデー19の中心軸方向へ移動可能に設けられている。
【0020】
さらに、方向操作用プッシャ18の方向操作用摺動軸182は、図3および図6に示すように、それぞれボデー19の方向操作用プッシャ孔193に挿入されている。この場合も、方向操作用プッシャ18は、方向操作用摺動軸182がボデー19の方向操作用プッシャ孔193内側を摺動することで、ボデー19の中心軸方向へ移動する。このように、四個の方向操作用プッシャ18は、それぞれボデー19の中心軸方向へ移動可能に設けられている。
【0021】
ボデー19は、図2および図3に示すように、貫通孔191の内側に一対の第一軸部194を有している。この第一軸部194は円柱状をなしており、貫通孔191の内壁から内方に突出している。揺動部材20は、図2および図6に示すように、外形形状がボデー19の貫通孔191の内側よりも小さい矩形枠状に形成され、図3にも示すようにその周壁を貫通する一対の第一軸受け孔201を有している。この場合、第一軸受け孔201はボデー19の第一軸部194に対応しており、揺動部材20は、第一軸受け孔201にボデー19の第一軸部194が嵌め込まれた状態でボデー19の貫通孔191の内側に収納されている。このように揺動部材20は、第一軸受け孔201がボデー19の第一軸部194に軸支されることにより、ボデー19の貫通孔191内側においてボデー19の中心軸と直交する方向を軸として揺動可能に設けられている。
【0022】
また、揺動部材20は、図6に示すように一対の第二軸部202を有している。この第二軸部202は円柱状をなしており、揺動部材20の周壁内側から外方に突出し、ボデー19の第一軸部194と直交している。操作板21は、図2および図3に示すように、円板状に形成された円板部211、および円板部211の中心部から中心軸後方すなわち配線基板12側へ突出した取付け部212を有し、ボデー19の前方に設けられて取付け部212が揺動部材20の内側を貫通している。取付け部212は、内部が中空の長方形に形成されて、図3に示すように第二軸受け孔213が内側に突出して設けられている。
【0023】
取付け部212の第二軸受け孔213には、揺動部材20の第二軸部202が挿入され、これにより操作板21は、揺動部材20の第二軸部202に軸支されている。そのため、操作板21は、ボデー19の第一軸部194を軸すなわち支点として図1の矢印A方向へ揺動部材20と一体的に揺動するとともに、揺動部材20の第二軸部202を軸すなわち支点として矢印A方向と直交する矢印B方向へ揺動部材20に対して相対的に揺動する。この場合、操作板21は、第一軸部194または第二軸部202を軸にして矢印A方向または矢印B方向の単一方向へ揺動することで十字方向へ揺動する。また、第一軸部194および第二軸部202を軸にして矢印A方向および矢印B方向への揺動が合成されて斜め方向または円周方向へ揺動する。
【0024】
操作板21の前側には円環状に形成されたノブ22が取付けられている。ノブ22は、本発明でいう操作部材を構成し、ノブ22に設けられた図示しないピンが操作板21の固定孔214に挿入されて回転方向の移動が規制されている。また、ノブ22は、その表面すなわち使用者側に配線基板12の中心軸を中心位置とした同心円状となる円周方向操作領域を形成している。このノブ22の円周方向操作領域は、図5に示すように、方向操作用スイッチを構成する可動接点16と対向する部位に底部221が形成されるとともに、隣り合う二個の可動接点16の中間位置と対向する部位に頂部222が形成されている。さらに底部221と頂部222とは連続した同一面として形成されている。
【0025】
この場合、ノブ22の底部221が押圧操作されて対応する一個の方向操作用スイッチがオンした状態における配線基板12から底部221までの高さ寸法は、頂部222が押圧操作されて対応する両側の二個の方向操作用スイッチがオンした状態での配線基板12から頂部222までの高さ寸法にほぼ等しくなる。つまり、配線基板12から底部221および頂部222までの高さ寸法の差は、底部221を押圧操作して対向する一個の方向操作用スイッチがオンするために必要なノブ22の押し込み量と、頂部222を押圧操作して対応する両側に二個の方向操作用スイッチがオンするために必要なノブ22の押し込み量との差に等しい。さらにこの円周方向操作領域は、ノブ22において径方向の所定範囲すなわち径方向のほぼ全体に亘って連続して設けられており、径方向においても押圧部位すなわち円周方向操作により押圧されて押圧方向へ揺動した部位の配線基板12からの高さ寸法がほぼ等しくなるような形状に形成されている。
【0026】
また、軸部材23は、操作板21の取付け部212の内側に摺動可能に取付けられ、その先端部231は決定操作用プッシャ17の軸受け面174に当接している。そして軸部材23が押圧操作されると、決定操作用プッシャ17を介して決定操作用可動接点15が押圧操作される。これにより、決定操作用固定接点13および決定操作用可動接点15で構成される決定操作用スイッチはオンする。この場合、決定操作用プッシャ17の軸受け面174は椀状の曲面に形成されている。このため、軸部材23は、操作板21およびノブ22と一体に揺動して傾斜状態で軸受け面174に当接している場合であっても、決定操作用プッシャ17を押圧することができる。また、軸部材23にはキャップ24が取付けられている。さらに、配線基板12などを覆うように円筒形のカバー25が設けられている。
【0027】
このように構成されたスイッチ装置10は、例えば図示しない車両のステアリングホイールに取付けられる。そのため使用者はステアリングホイールを握ったままスイッチ装置10を手元で操作することで、図示しないオーディオ機器などの操作をすることができる。この場合、スイッチ装置10は、十字方向、斜め方向、円周方向の三種類の方向入力、および決定入力が可能となっている。つまり、スイッチ装置10は、四個の方向操作用固定接点14と方向操作用可動接点16とで構成される方向操作用スイッチのうち、所定時間内に一個がオンされると十字方向の入力を認識し、所定時間内に隣り合う二個がオンされると斜め方向の入力を認識し、さらに所定時間内に順にオンされると円周方向の入力を認識する。また、決定操作用固定接点13と決定操作用可動接点15とで構成される決定操作用スイッチがオンされると決定入力を認識する。
【0028】
具体的には、スイッチ装置10は、使用者によってノブ22の円周方向操作領域のうち底部221が押圧操作されると、操作板21は第一軸部194または第二軸部202を軸すなわち支点として揺動し、方向操作用プッシャ18を介して方向操作用可動接点16を押圧する。これにより、使用者によって押圧操作されたノブ22の底部221に対向する一個の方向操作用スイッチがオンし、その結果、十字方向の入力がされる。この場合、方向操作用スイッチがオンするために使用者がノブ22を押し込む量は最小となる。
【0029】
また、使用者によってノブ22の円周方向操作領域のうち頂部222が押圧操作されると、操作板21は第一軸部194および第二軸部202の両方を軸すなわち支点として揺動し、頂部222の両側に配置された二個の方向操作用プッシャ18を介して対応する二個の方向操作用可動接点16を押圧する。これにより、ノブ22の頂部222の両側に設けられた方向操作用固定接点14と方向操作用可動接点16とから構成される二個の方向操作用スイッチがオンし、その結果、斜め方向の入力がされる。この場合、頂部222の両側二個の方向操作用スイッチがオンするために使用者がノブ22を押し込む量は最大となる。
【0030】
そしてノブ22の円周方向操作領域を時計回りまたは反時計回りになぞって押圧操作をすると、底部221と頂部222とが交互に押圧されて、対応する方向操作用スイッチが順にオンする。これにより、円周方向の入力がされる。この場合、ノブ22の円周方向操作領域に対して円周方向への押圧操作である円周方向操作がされ、これにより押圧されて押圧方向へ揺動した部位における配線基板12からノブ22の表面すなわち使用者側の面までの高さ寸法は、円周方向操作領域の円周方向位置および径方向位置にかかわらずほぼ一定となっている。また、これらとは別に使用者がキャップ24を押圧操作すると、軸部材23を介して決定操作用プッシャ17および決定操作用可動接点15が押され、これにより決定操作用固定接点13と決定操作用可動接点15とで構成される決定操作用スイッチがオンされる。その結果、決定の入力がされる。
【0031】
このように、本実施形態によれば、ノブ22の円周方向操作領域を時計回りまたは反時計回りになぞって押圧操作する円周方向操作をする際、ノブ22の底部221が押圧操作されて対応する一個の方向操作用スイッチがオンした状態での配線基板12から底部221までの高さ寸法は、頂部222が押圧操作されて対応する両側の二個の方向操作用スイッチがオンした状態での配線基板12から頂部222までの高さ寸法にほぼ等しくなる。つまりノブ22は、円周方向操作領域に対して円周方向操作された部位の配線基板12からの高さが円周方向操作領域の円周方向位置にかかわらずほぼ一定である。このため使用者は、ノブ22の円周方向操作領域を円周方向になぞって円周方向操作する際、同一面上をなぞる感覚で円周方向操作をすることができる。そのため、使用者は、ノブ22が波打っているような違和感を覚えることなく円周操作をすることができる。したがって、スイッチ装置10は、円周方向操作の入力時において使用者に与える違和感が低減され、その結果、操作感が良好となる。
【0032】
さらにスイッチ装置10は、ノブ22の円周方向操作領域が径方向の所定範囲すなわち径方向のほぼ全体に亘って連続して設けられている。そのため、ノブ22の円周方向操作領域において径方向どの位置においても、円周方向操作の入力時において使用者に波打ったような違和感を与えることがなく、さらに操作感が良好となる。
【0033】
なお、上記実施形態は、方向操作用固定接点14および方向操作用可動接点16で構成される方向操作用スイッチを四個備える構成としたが、これに限らず、三個または五個以上としてもよい。
また、操作部材は、操作板21およびノブ22を一体に構成したものでもよい。
さらに、スイッチ装置10は、車両のステアリングホイールに設けられる構成としたが、これに限らず、車両以外に用いるスイッチ装置としても広く適用することができる。
そのほか、本発明は上記しかつ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0034】
図面中、10はスイッチ装置、12は配線基板、14は方向操作用固定接点(スイッチ)、16は方向操作用可動接点(スイッチ)、22はノブ(操作部材)、221は底部、222は頂部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板に設けられ、中心位置に対して同心円上に配置された複数のスイッチと、
前記中心位置を中心とした同心円状となる円周方向操作領域に対する円周方向への押圧操作である円周方向操作により前記中心位置を支点として揺動することで前記スイッチを順にオンする操作部材と、を備え、
前記操作部材は、前記円周方向操作領域において前記スイッチと対向する部位に底部が形成されるとともに、隣り合う二個のスイッチの中間位置と対向する部位に頂部が形成され、さらに前記底部と前記頂部とが連続した同一面として形成され、
前記円周方向操作領域において前記円周方向操作により押圧されて押圧方向へ揺動した部位における前記配線基板からの高さが前記円周方向操作領域の円周方向位置にかかわらずほぼ一定であることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記操作部材は、前記円周方向操作領域が径方向の所定範囲に亘って連続して設けられ、
前記円周方向操作領域において前記円周方向操作により押圧されて押圧方向へ揺動した部位における前記配線基板からの高さが径方向にかかわらずほぼ一定であることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−142219(P2012−142219A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519(P2011−519)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】