説明

スイッチ装置

【課題】圧電素子を保護しつつ、力センサに、なされた操作の検出に必要な荷重を伝達することができるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】本実施の形態に係るスイッチ装置1は、主に、筐体10の内部に押し込まれる方向の操作が可能なパネル22と、押し込まれる方向の操作がなされるパネル22の操作面22aとは反対側の裏面22bに設けられ、振動を発生する振動発生部14と、筐体10の側面105から伸びて振動発生部14と接触するように設けられ、パネル22及び振動発生部14の押し込まれる方向の移動により押し込まれる方向に回転する回転部と、回転部と接触し、回転部の回転に伴って押し込まれる方向に移動するスライダ80と、スライダ80の移動に伴って付加された荷重を検出して検出信号を出力する力センサ12と、を備えて概略構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、基部と、基部上に設けられた支持部と、支持部に支持される基板、および基板の裏面に設けられる圧電素子からなる圧電アクチュエータと、基板の表面に接触するパッドと、パッド上に設けられた力センサと、力センサ上に設けられた支持トレイと、支持トレイに支持されたタッチ感知ディスプレイと、圧電アクチュエータを作動させる作動信号を生成するプロセッサと、を備えた携帯型電子デバイスが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この携帯型電子デバイスは、タッチ感知ディスプレイにタッチ操作がなされると、プロセッサに信号を出力し、信号を取得したプロセッサは、作動信号を生成する。圧電アクチュエータは、この作動信号に基づいて作動し、パッド、力センサ、支持トレイおよびタッチ感知ディスプレイを介して、操作者に触覚フィードバックを与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−152888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の携帯型電子デバイスは、パッドと接触する力センサの接触部分が半球状などの面積が狭い形状であると、軟質性材料から形成されるパッドを介して力センサに荷重が伝達し難く、タッチ感知ディスプレイになされたプッシュ操作を力センサで検出し難い問題がある。また、従来の携帯型電子デバイスは、タッチ感知ディスプレイになされたプッシュ操作による荷重が、両端を支持トレイに支持された圧電アクチュエータの中央に付加されるため、圧電アクチュエータが撓むことによって破損し易いという問題がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、圧電素子を保護しつつ、力センサに、なされた操作の検出に必要な荷重を伝達することができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、筐体の内部に押し込まれる方向の操作が可能な操作部と、押し込まれる方向の操作がなされる操作部の第1の面とは反対側の第2の面に設けられ、振動を発生する振動発生部と、筐体の側面から伸びて振動発生部と接触するように設けられ、操作部及び振動発生部の押し込まれる方向の移動により押し込まれる方向に回転する回転部と、回転部と接触し、回転部の回転に伴って押し込まれる方向に移動する移動部材と、移動部材の移動に基づく荷重を検出して検出信号を出力する荷重検出部と、を備えたスイッチ装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、圧電素子を保護しつつ、力センサに、なされた操作の検出に必要な荷重を伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)は、実施の形態に係るスイッチ装置の上面図であり、(b)は、(a)のI(b)−I(b)線で切断した断面図であり、(c)は、スイッチ装置のブロック図である。
【図2】図2(a)は、実施の形態に係るスイッチ装置のプッシュ操作前の状態を示す要部断面図であり、(b)は、プッシュ操作後の状態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係るスイッチ装置は、筐体の内部に押し込まれる方向の操作が可能な操作部と、押し込まれる方向の操作がなされる操作部の第1の面とは反対側の第2の面に設けられ、振動を発生する振動発生部と、筐体の側面から伸びて振動発生部と接触するように設けられ、操作部及び振動発生部の押し込まれる方向の移動により押し込まれる方向に回転する回転部と、回転部と接触し、回転部の回転に伴って押し込まれる方向に移動する移動部材と、移動部材の移動に基づく荷重を検出して検出信号を出力する荷重検出部と、を備える。
【0011】
[実施の形態]
(スイッチ装置1の構成)
図1(a)は、実施の形態に係るスイッチ装置の上面図であり、(b)は、(a)のI(b)−I(b)線で切断した断面図であり、(c)は、スイッチ装置のブロック図である。なお、実施の形態に係る各図において、部品と部品との比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また、以下に示す上面視とは、スイッチ装置1のパネル22を押し込む方向、つまり、図1(a)の紙面に垂直な方向からスイッチ装置1を見ることを示すものとする。さらに、以下に示す過荷重とは、想定される平均的な操作者によるプッシュ操作によりパネル22に付加される荷重を、大きく超えた荷重を示し、例えば、荷重を逃がす構成が無い場合は、圧電素子15等が破壊される可能性がある荷重を示している。
【0012】
このスイッチ装置1は、例えば、筐体10の内部に押し込まれる方向の操作により、接続された電子機器に操作信号を出力すると共に、振動発生部14の圧電素子15a〜圧電素子15dを振動させることで、操作者に触覚フィードバックを与えるものである。この触覚フィードバックとは、例えば、操作者の指に振動を伝達させることであり、操作者は、この触覚フィードバックを指で感じることにより、操作が受け付けられたことを認識することができる。
【0013】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、主に、筐体10の内部に押し込まれる方向の操作が可能な操作部としてのパネル22と、押し込まれる方向の操作がなされるパネル22の第1の面としての操作面22aとは反対側の第2の面としての裏面22bに設けられ、振動を発生する振動発生部14と、筐体10の側面105から伸びて振動発生部14と接触するように設けられ、パネル22及び振動発生部14の押し込まれる方向の移動により押し込まれる方向に回転する回転部と、回転部と接触し、回転部の回転に伴って押し込まれる方向に移動する移動部材としてのスライダ80と、スライダ80の移動に基づく荷重を検出して検出信号を出力する荷重検出部としての力センサ12と、を備えて概略構成されている。なお、本実施の形態に係る回転部とは、アーム40〜アーム43の少なくとも1つが対応する。
【0014】
また、スイッチ装置1は、力センサ12から出力された検出信号に基づいて振動発生部14を制御して振動を発生させ、パネル22に振動を伝達させる制御部32を備える。以下において、筐体10の内部に押し込まれる方向の操作は、プッシュ操作と記載する。
【0015】
・筐体10について
筐体10は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、一方端部には開口101が形成されて開放され、他方端部には底部104を有して閉じられた箱形状となっている。また、筐体10は、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。
【0016】
筐体10は、例えば、その内部空間である収容部103の側面105の上部から、筐体10の中心に向って突出する凸部102が形成され、この凸部102により、開口101が形成されている。この凸部102の表面は、筐体10の上面100となっている。この開口101は、例えば、図1(a)に示すように、上面視において矩形状となっており、パネル22よりもひと回り大きい形状となっている。操作がなされていないとき、筐体10の上面100と、パネル22の操作面22aとは、例えば、ほぼ平坦となるように構成されている。
【0017】
筐体10は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、4つの角部に支持部110a〜支持部110dが設けられている。支持部110aは、例えば、支持部110bと対向している。支持部110cは、例えば、支持部110dと対向している。
【0018】
支持部110aは、例えば、収容部103の角部から収容部103の中央に向けて突出し、図1(a)の上面視において、2つの凸部により中央に開口が形成された形状を有している。支持部110aは、側面に孔が形成されたアーム40の一方端部が、この開口に挿入され、支持部110aの凸部の側面の孔からアーム40の孔にピン111aが挿入されることにより、アーム40を回転可能に支持している。支持部110aは、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。なお、支持部110b〜支持部110dは、例えば、この支持部110aと同材料を用いて、同形状となるように形成される。
【0019】
また、支持部110aのアーム40の支持方法と同様の方法により、支持部110b〜支持部110dは、アーム41〜アーム43を回転可能に支持している。
【0020】
なお、この支持部110a〜支持部110dは、例えば、筐体10と一体となって形成されても良いし、接着剤及びねじ止め等の方法により、筐体10に取り付けられても良い。
【0021】
・力センサ12について
力センサ12は、例えば、半球形状の先端部120に付加された荷重を検出するセンサである。この力センサ12は、例えば、歪みゲージ、圧力センサ等が用いられる。なお、先端部120は、半球形状であるが、これに限定されない。
【0022】
力センサ12は、例えば、図1(b)に示すように、収容部103の底部104上に設けられている。また、力センサ12は、例えば、図1(c)に示すように、先端部120に付加された荷重に基づいて検出信号を出力するように構成されている。さらに、力センサ12は、例えば、パネル22等の重さによる荷重の影響を排除するようにプリロードが設定されている。
【0023】
・振動発生部14について
振動発生部14は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、パネル22の裏面22bに4つ取り付けられている。なお、振動発生部14の数は、4つに限定されず、用途に応じて変更される。また、回転部は、この振動発生部14の数に応じて設けられる。
【0024】
第1の回転部としてのアーム40に対応して配置される振動発生部14(第1の振動発生部)は、振動発生源としての圧電素子15a及び金属板16aと、これらを支持する台座部20aと、を備えて概略構成されている。台座部20aは、例えば、円筒形状を有し、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。台座部20aの円筒部分である基部200aから、図1(b)の紙面の下側に向って突出する取付部201aには、金属板16aが取り付けられている。後述する台座部20b〜台座部20dは、この台座部20aと同材料を用いて、同形状となるように形成される。
【0025】
金属板16aは、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、円板形状を有している。また、金属板16aには、例えば、導電性を有するアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。なお、金属板16aは、例えば、合成樹脂等の非導電性材料を用いて形成されても良い。後述する金属板16b〜金属板16dは、この金属板16aと同材料を用いて、同形状となるように形成される。
【0026】
圧電素子15aは、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、金属板16aよりも一回り小さい円板形状を有している。また、圧電素子15aは、例えば、供給された電圧により、伸縮を行う。この伸縮により、金属板16aが屈曲し、この屈曲によって振動が発生する。
【0027】
圧電素子15aの材料としては、例えば、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が用いられる。振動発生部14は、例えば、これらの材料を用いて形成された膜を金属板16aの片面に積層して形成された積層ユニモルフ型の圧電アクチュエータである。後述する圧電素子15b〜圧電素子15dは、この圧電素子15aと同材料を用いて、同形状となるように形成される。なお、振動発生部14は、例えば、金属板の一方面に、上記の材料を用いて形成された膜が形成される単層ユニモルフ型、金属板の両面に、上記の材料を用いて形成された膜が形成される単層バイモルフ型、金属板の両面に、上記の材料を用いて形成された膜を積層して形成された積層バイモルフ型、の圧電アクチュエータであっても良い。
【0028】
第2の回転部としてのアーム41に対応して配置される振動発生部14(第2の振動発生部)は、圧電素子15bと、金属板16bと、台座部20bと、を備えて概略構成されている。台座部20bの基部200bから下側に向って突出する取付部201bには、金属板16bが取り付けられている。
【0029】
第3の回転部としてのアーム42に対応して配置される振動発生部14(第3の振動発生部)は、圧電素子15cと、金属板16cと、台座部20cと、を備えて概略構成されている。台座部20cの基部から下側に向って突出する取付部には、金属板16cが取り付けられている。
【0030】
第4の回転部としてのアーム43に対応して配置される振動発生部14(第4の振動発生部)は、圧電素子15dと、金属板16dと、台座部20dと、を備えて概略構成されている。台座部20dの基部から下側に向って突出する取付部には、金属板16dが取り付けられている。
【0031】
なお、圧電素子15a〜圧電素子15d及び金属板16a〜金属板16dは、円板形状に限定されず、棒形状等であっても良い。
【0032】
この圧電素子15a〜圧電素子15dは、例えば、図1(c)に示すように、圧電素子制御部30と電気的に接続されている。この圧電素子制御部30は、例えば、制御部32と電気的に接続され、制御部32から出力される指示信号に基づいて振動生成信号を生成し、圧電素子15a〜圧電素子15dに出力するように構成されている。圧電素子15a〜圧電素子15dは、例えば、この振動生成信号に基づいて振動する。
【0033】
ここで、圧電素子15aを例にとると、前述の振動が、例えば、金属板16aを撓ませて金属板16aを振動させ、この振動が台座部20aを介してパネル22に伝達されることで、操作者は、指に振動を感じ、触覚フィードバックを得ることが可能となる。なお、圧電素子制御部30は、例えば、制御部32の機能として提供されても良い。
【0034】
また、圧電素子15a〜圧電素子15dは、一例として、200〜300Hzの周波数で振動する。
【0035】
金属板16aの裏面中央には、例えば、先端に半球形状の接触子50が設けられた接続部50aが設けられている。この接触子50は、パネル22が押し下げられると、アーム40を押し下げるように、アーム40の上部中央付近に接触している。接続部50aは、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又は、スチレン・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム、或いは、天然ゴム等の弾性材料を用いて形成される。後述する金属板16b〜金属板16dのそれぞれの接続部は、この接続部50aと同材料を用いて、同形状となるように形成される。また、接触子50は、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、アルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、ステンレス等の合金材料、又は、スチレン・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム、或いは、天然ゴム等の弾性材料を用いて形成される。後述する接触子51〜接触子53は、例えば、この接触子50と同材料を用いて、同形状となるように形成される。なお、各振動発生部14の接続部、及び接触子50〜接触子53は、例えば、パネル22を介して付加される荷重により、弾性変形し難い材料を用いることが好ましい。なお、接続部50a、接続部51a及び他の接続部は、圧電素子15a〜圧電素子15dを保護する観点から、金属板16a〜金属板16dよりも弾性変形し易い、すなわち、弾性係数が小さいことが好ましい。
【0036】
金属板16bの裏面中央には、例えば、先端に接触子51が設けられた接続部51aが設けられている。この接触子51は、パネル22が押し下げられると、アーム41を押し下げるように、アーム41の上部中央付近に接触している。
【0037】
金属板16cの裏面中央には、例えば、先端に接触子52が設けられた接続部が設けられている。この接触子52は、パネル22が押し下げられると、アーム42を押し下げるように、アーム42の上部中央付近に接触している。
【0038】
金属板16dの裏面中央には、例えば、先端に接触子53が設けられた接続部が設けられている。この接触子53は、パネル22が押し下げられると、アーム43を押し下げるように、アーム43の上部中央付近に接触している。
【0039】
・パネル22について
本実施の形態に係るパネル22は、例えば、図1(a)に示すように、上面視にて矩形状を有する基部220と、基部220の外周に沿って基部220の外側に突出する縁部221と、を備えて概略構成されている。このパネル22は、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。なお、パネル22は、例えば、タッチ操作を検出可能なタッチパネル等で構成されても良い。
【0040】
基部220は、例えば、筐体10の開口101から露出している。基部220の外周は、例えば、開口101の縁よりもひとまわり小さくなるように形成されている。また、縁部221は、例えば、開口101の縁よりもひとまわり大きくなるように形成されている。
【0041】
・弾性体24について
筐体10の凸部102とパネル22の縁部221との間には、例えば、弾性体24が設けられている。
【0042】
この弾性体24は、例えば、縁部221の形状に応じたリング型状となっている。この弾性体24は、一例として、図1(a)のI(b)−I(b)線で切断した断面の形状がU字形状となっている。
【0043】
また、弾性体24は、例えば、鉄、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、スチレン・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム、又は、天然ゴム等の弾性材料を用いて形成される。弾性体24は、例えば、凸部102と縁部221とに弾性力を付加することで、パネル22を押し下げ、振動発生部14を介してアーム40〜アーム43とスライダ80との接触を保つように構成されている。弾性体24は、例えば、筐体10の上面100とパネル22の基部220との隙間から入り込むゴミ等を防止するように構成されている。
【0044】
・アーム40〜アーム43について
アーム40〜アーム43は、例えば、図1(a)に示すように、筐体10の収容部103の対角線に沿うように、収容部103の角部から中央に伸びて放射状に設けられている。
【0045】
アーム40〜アーム43は、例えば、長細い四角柱形状を有し、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。なお、アーム40〜アーム43は、例えば、パネル22を介して付加される荷重により、撓み難い材料を用いて形成されることが好ましい。このアーム40〜アーム43の先端には、それぞれ接触子60〜接触子63が設けられている。
【0046】
この接触子60〜接触子63は、例えば、半球形状を有している。また、接触子60〜接触子63は、例えば、鉄、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、スチレン・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム、又は、天然ゴム等の弾性材料を用いて形成される。なお、接触子60〜接触子63は、例えば、パネル22を介して付加される荷重により、弾性変形し難い材料を用いることが好ましい。さらに、接触子60〜接触子63は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、スライダ80の表面81に接している。
【0047】
ここで、アーム40を例にとると、てこの原理から、アーム40の回転中心であるピン111aが支点、パネル22の接触子50が接触するアーム40の点が力点、アーム40の先端の接触子60が作用点となっている。従って、この構成によれば、パネル22に付加された荷重が作用点では小さくなり、その代わり、パネル22の移動距離に比べて接触子60の移動距離を稼ぐことできる。つまり、アーム40〜アーム43を設けることにより、パネル22に付加された過荷重を緩和すると共に、力センサ12を動作させることが可能な距離、力センサ12を移動させることができる。さらに、台座部20aを例にとった場合、後述する図2(b)に示すように、過荷重がパネル22に付加されると、金属板16aに設けられた接続部50aが、主に、弾性変形を行ってプッシュ操作方向に縮み、台座部20aの底面202aがアーム40に接触する。また、パネル22が垂直に移動するように過荷重が付加された場合、金属板16bに設けられた接続部51a、金属板16cに設けられた接続部、及び金属板16dに設けられた接続部が弾性変形を行って、それぞれの台座部の底面がアーム41〜アーム43に接触する。この接触により、さらに、パネル22に付加された過荷重を緩和することが可能となる。なお、過荷重の付加によるパネル22の変形により、例えば、後述する図2(b)に示すように、台座部20aの接続部50aを挟んだ底面202aの両側が、アーム40に接触する。また、パネル22が垂直に移動するように過荷重が付加された場合、他の台座部20b〜台座部20dの底面の両側がそれぞれのアーム41〜アーム43に接触する。スイッチ装置1は、底面の両側が接触することにより、上記の例よりもさらに、過荷重を緩和することが可能となる。
【0048】
・スライダ80について
スライダ80は、例えば、その形状が直方体であり、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。
【0049】
このスライダ80は、例えば、その表面81には、アーム40の接触子60、アーム41の接触子61、アーム42の接触子62、及びアーム43の接触子63が接触し、その裏面82には、力センサ12の先端部120が接触している。従って、スライダ80は、例えば、パネル22、振動発生部14、アーム40〜アーム43等の質量に起因する荷重が付加されている。
【0050】
このスライダ80の移動を案内する案内部として、4つのガイド70〜ガイド73が筐体10の底部104に設けられている。このガイド70〜ガイド73は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、円柱形状となっている。また、このガイド70〜ガイド73は、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。
【0051】
ガイド70〜ガイド73は、スライダ80を案内するため、スライダ80の側面中央に接するように設けられている。つまり、図1(a)の上面視において、ガイド70〜ガイド73は、四角形の各頂点に配置されたような配置となる。
【0052】
ここで、スイッチ装置1は、上記で示したように、パネル22の裏面22bに4つの振動発生部14が設けられ、そのそれぞれがアームを介してスライダ80を押し下げるという構成を有している。この構成によれば、操作者がパネル22の中央から離れた場所に対してプッシュ操作を行った場合であっても、いずれかのアームを介してスライダ80を押し下げることが可能となるので、確実にスライダ80を押し下げて力センサ12に荷重を付加することができる。つまり、パネル22が傾きながら収容部103内に下降すると、いずれかのアームに荷重が付加され、当該アームが回転する。この回転により、当該アームを介してスライダ80に荷重が付加されることとなり、スライダ80は、ガイド70〜ガイド73に案内されながら、ほぼ垂直に下降して、荷重を力センサ12に伝達する。
【0053】
・制御部32について
制御部32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を備えたマイクロコンピュータである。また、制御部32は、例えば、図1(c)に示すように、力センサ12と、圧電素子制御部30を介して振動発生部14と、に電気的に接続されている。また、制御部32は、例えば、スイッチ装置1が電気的に接続される電子機器に操作信号を出力するように構成されている。この操作信号は、例えば、検出信号に基づいて生成され、プッシュ操作がなされたことを示す信号である。
【0054】
また、制御部32は、例えば、プッシュ操作を判定するためのしきい値320をROMに格納している。制御部32は、例えば、力センサ12から出力される検出信号とこのしきい値320とを比較し、検出信号がしきい値320を超える場合に、なされた操作をプッシュ操作と判定する。従って、制御部32は、検出信号がしきい値320を超える場合に振動を発生させる。
【0055】
以下に、本実施の形態に係るスイッチ装置1の動作について、各図を参照して説明する。
【0056】
(動作)
図2(a)は、実施の形態に係るスイッチ装置のプッシュ操作前の状態を示す要部断面図であり、(b)は、プッシュ操作後の状態を示す要部断面図である。なお、図2(b)は、例えば、パネル22に過荷重が付加された状態を示している。
【0057】
操作者は、図2(a)に示すスイッチ装置1のパネル22にプッシュ操作を行う。このプッシュ操作は、パネル22の操作面22aの中央に行われるものとする。
【0058】
このプッシュ操作に伴って、スイッチ装置1のパネル22及び振動発生部14は、図2(a)の紙面下方に移動する。この移動により、金属板16aに設けられた接続部50a、金属板16bに設けられた接続部51a、金属板16cに設けられた接続部、及び金属板16dに設けられた接続部が弾性変形して縮むと共に、振動発生部14の接触子50〜接触子53が、接触するアーム40〜アーム43の上部に押し下げる方向の荷重を付加するので、アーム40〜アーム43は、下方に回転する。アーム40〜アーム43は、各支持部110a〜支持部110dのピン111a及びピン111b等を回転中心として回転する。また、弾性体24は、パネル22と凸部102との接触を保ちながら弾性変形を行う。
【0059】
ここで、操作者によるプッシュ操作が、パネル22の中央ではなく、パネル22の縁近く、つまり偏って行われた場合、パネル22は、操作面22aが傾いた状態で下方に移動する。しかし、このスイッチ装置1は、どの方向に偏っても接触子50〜接触子53の少なくとも1つがアームを介してスライダ80を押し下げて力センサ12に荷重を付加することが可能となる。
【0060】
アーム40〜アーム43の回転の結果、図2(b)に示すように、アーム40〜アーム43が、接触子60〜接触子63を介してスライダ80を下方に押し下げ、力センサに荷重を付加する。
【0061】
先端部120が押し下げられた力センサ12は、検出信号を制御部32に出力する。制御部32は、検出信号を取得すると、検出信号としきい値320とを比較してプッシュ操作の有無を判定する。制御部32は、プッシュ操作がなされたと判定すると、指示信号と操作信号を生成する。この指示信号は、圧電素子制御部30に出力される。また、操作信号は、スイッチ装置1が接続された電子機器に出力される。
【0062】
圧電素子制御部30は、取得した指示信号に基づいて振動生成信号を生成し、振動発生部14の圧電素子15a〜圧電素子15dに出力する。圧電素子15a〜圧電素子15dは、この振動生成信号に基づいて振動する。この振動は、主に、金属板16a〜金属板16d、及び台座部20a〜台座部20dを介してパネル22に伝達する。操作者は、この振動を指で感じることにより、触覚フィードバックを得ることができる。
【0063】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、振動発生部に設けられた接触子により、力センサに直接荷重を加えるのではなく、振動発生部14の接触子50〜接触子53、アーム40〜アーム43、及びスライダ80を介して力センサ12に荷重を付加するので、圧電素子15a〜圧電素子15dを保護しつつ、操作の検出に必要な荷重を力センサ12に伝達することができる。
【0064】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、制御部32により、検出信号としきい値320に基づいて圧電素子15a〜圧電素子15dへの電圧の供給を行うか否かを判定するので、誤操作による触覚フィードバックの付与を防止することができる。
【0065】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、スライダ80と、円筒形状のガイド70〜ガイド73と、の摩擦が、スライダ80の側面を全て囲う形状の部材により案内する場合と比べて小さいので、操作者は、容易にプッシュ操作を行うことができる。
【0066】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、アーム40〜アーム43を備えているので、パネル22が傾いたまま移動した場合でも、アーム40〜アーム43の少なくとも1つのアームにより、スライダ80を押し下げることができる。
【0067】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、4つの接触子50〜接触子53を介してアーム40〜アーム43を移動させるので、接触子が1つの場合と比べて、パネル22の付加された荷重を分散させることが可能となり、圧電素子15a〜圧電素子15dを保護することができる。さらに、スイッチ装置1は、過荷重がパネル22に付加されると、金属板16aに設けられた接続部50a、金属板16bに設けられた接続部51a、金属板16cに設けられた接続部、及び金属板16dに設けられた接続部が弾性変形を行うことで、それぞれの取付部の底面がアーム41〜アーム43に接触する。この接触により、さらに、パネル22に付加された過荷重を緩和し、圧電素子15a〜圧電素子15dを保護することができる。
【0068】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、縁部221と筐体10の間に、弾性を有する弾性体24を備えるので、この弾性部材を備えていない場合と比べて、筐体10内へのゴミ等の侵入を防止すると共に、接触子50〜接触子53とアーム40〜アーム43、接触子60〜接触子63とスライダ80、の接触が保たれるので、遊びが少なく操作感が向上する。
【0069】
また、スイッチ装置1は、力センサ12の先端部120の面積が、狭い形状であっても、先端部120がガイド70〜ガイド73に案内されながら移動するスライダ80を介して押し下げられるので、軟質性材料から形成される部材を介して力センサに荷重が伝達する場合と比べて、プッシュ操作の検出に必要な荷重を力センサ12に付加することができ、力センサ12の感度を向上させることができる。
【0070】
ここで、本実施の形態に係るスイッチ装置1の変形例として、荷重検出部は、例えば、タクトスイッチ等のスイッチ素子が用いられても良い。例えば、スイッチ素子が使われた場合、制御部32は、しきい値を用いること無く、プッシュ操作によりオン状態となったスイッチ素子から出力された信号に基づいてプッシュ操作が行われたと判定し、振動生成信号を生成して振動発生部14に出力する。従って、制御部32の構成が、しきい値に基づいて判定するものと比べて、簡単なものとなり、コストを削減することができる。さらに、タクトスイッチが押し下げされたとき、タクトスイッチのクリックに伴う触感がパネル22に伝達し、操作者は、タクトスイッチからの触覚フィードバックを得ることができる。
【0071】
また、本実施の形態に係るスイッチ装置1の変形例として、操作部は、指の接触等を検出することができるタッチセンサであっても良い。つまり、パネル22が、タッチセンサである場合、制御部32は、操作対象であるカーソルが、電子機器の表示部に表示された選択可能なボタンの境界を超えたとき等に振動を発生させ、操作者に触覚フィードバックを与えることができる。また、スイッチ装置1は、例えば、タッチセンサになされたタップ操作等の力センサ12で検出されない操作に対しても、タッチセンサで検出し、触覚フィードバックを与えることができる。
【0072】
なお、本実施の形態のスイッチ装置1の変形例として、スイッチ装置1の形状は、矩形状に限定されず、用途に応じて変更可能である。
【0073】
また、本実施の形態の変形例として、スイッチ装置1は、例えば、電子機器の入力用のキーボードに好適に用いられる。この際、スイッチ装置1は、例えば、キーボードのひとつのキーとされ、キーの数だけ複数配置される。
【0074】
以上、本発明のいくつかの実施の形態および変形例を説明したが、これらの実施の形態および変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態および変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態および変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1…スイッチ装置、10…筐体、12…力センサ、14…振動発生部、15a〜15d…圧電素子、16a〜16d…金属板、20a〜20d…台座部、22…パネル、22a…操作面、22b…裏面、24…弾性体、30…圧電素子制御部、32…制御部、40〜43…アーム、50〜53…接触子、50a、51a…接続部、60〜63…接触子、70〜73…ガイド、80…スライダ、81…表面、82…裏面、100…上面、101…開口、102…凸部、103…収容部、104…底部、105…側面、110a〜110d…支持部、111a、111b…ピン、120…先端部、200a、200b…基部、201a、201b…取付部、202a、202b…底面、220…基部、221…縁部、320…しきい値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に押し込まれる方向の操作が可能な操作部と、
前記押し込まれる方向の操作がなされる前記操作部の第1の面とは反対側の第2の面に設けられ、振動を発生する振動発生部と、
前記筐体の側面から伸びて前記振動発生部と接触するように設けられ、前記操作部及び前記振動発生部の前記押し込まれる方向の移動により前記押し込まれる方向に回転する回転部と、
前記回転部と接触し、前記回転部の回転に伴って前記押し込まれる方向に移動する移動部材と、
前記移動部材の移動に基づく荷重を検出して検出信号を出力する荷重検出部と、
を備えたスイッチ装置。
【請求項2】
前記移動部材の移動を案内する案内部を備えた請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記振動発生部は、第1の振動発生部乃至第4の振動発生部を有し、
前記回転部は、前記第1の振動発生部と接触する第1の回転部、前記第2の振動発生部と接触する第2の回転部、前記第3の振動発生部と接触する第3の回転部、及び前記第4の振動発生部と接触する第4の回転部を有する請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記振動発生部は、振動発生源を有し、
前記振動発生源に設けられ、前記押し込まれる方向の操作に伴って弾性変形を行う接続部を備え、
前記接続部は、前記振動発生源よりも弾性係数が小さい請求項3に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記振動発生部は、前記操作部の前記第2の面に設けられて前記振動発生源を支持し、前記押し込まれる方向の操作に伴って前記操作部と共に前記押し込まれる方向に移動し、その底面が前記回転部に接触する台座部を備える請求項3に記載のスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−12005(P2013−12005A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143771(P2011−143771)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】