説明

スカルプケア剤

【課題】フケ・かゆみ・吹き出物・かさつきなどの抑制効果に優れる頭皮症状改善剤の提供。
【解決手段】アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤を含み、水で20重量倍に希釈したときの25℃におけるpHが1〜5であるスカルプケア剤中で使用される、リンゴ酸又はその塩からなる頭皮症状改善剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮のフケ、かゆみ、吹き出物、かさつきなどの抑制効果に優れるスカルプケア剤に関する。
【背景技術】
【0002】
フケやかゆみを抑えるシャンプーやリンスなどに配合される抗フケ剤には、ジンクピリチオンに代表されるピリジンチオン塩や、塩化ベンザルコニウム、オクトピロックスなどの抗菌剤又は殺菌剤が使用されている。これら抗菌剤等は、頭皮の菌の繁殖を抑えることにより、皮脂の分解を抑制しフケやかゆみを防止することができ、特に菌の繁殖に由来するフケ・かゆみの抑制には有効であった(例えば、特許文献1及び2を参照)。更に、特許文献3には、ピリジンチオン塩、ヒドロキシ酸及び非イオン性又は両性界面活性剤を組み合わせて使用することにより、マラセチア・オバリスに対する抗真菌効果が向上し、より高い抗フケ効果を示すことが報告されている。
【0003】
しかしながら近年では、洗髪頻度の向上により、菌の繁殖に主たる原因を持つフケ自体よりも、地肌の乾燥に主たる原因を持つフケやかゆみ、かさつきが、地肌トラブルの主流になってきている。このような乾燥性地肌では、抗菌剤や殺菌剤では十分なスカルプケア効果は得られない。また、抗菌剤・殺菌剤の配合量を増やすことは、却って地肌トラブルを招いてしまう場合もあり、これらを含まず、乾燥性地肌にも効果のあるスカルプケア剤が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3753916号明細書
【特許文献2】特開昭58-196300号公報
【特許文献3】特開2001-48759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、フケ・かゆみ・吹き出物・かさつきなどの抑制効果に優れるスカルプケア剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、有機カルボン酸又はその塩が特定のpH領域下でフケ・かゆみ・吹き出物・かさつきなどの抑制効果に優れることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、有機カルボン酸又はその塩の1種以上を有効成分として含有し、水で20重量倍に希釈したときの25℃におけるpHが1〜5であるスカルプケア剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスカルプケア剤は、頭皮のフケ、かゆみ、吹き出物、かさつきなどの抑制効果に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のスカルプケア剤は、有機カルボン酸又はその塩の1種以上を有効成分として含有するものであるが、ここにいう「有効成分として」とは、有機カルボン酸又はその塩自体が、フケ・かゆみ・吹き出物・かさつきなどの抑制又は改善効果(以下、頭皮症状改善効果という)を有する成分として使用されることをいう。
【0010】
有機カルボン酸としては、ジカルボン酸(ヒドロキシ基を有してもよい)及びヒドロキシモノカルボン酸であるが好ましい。具体的には、ヒドロキシ基を有してもよいジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸等が、ヒドロキシモノカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、オキシ酪酸、グリセリン酸等が挙げられる。なかでも、グリコール酸、乳酸、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸が好ましい。また、これら有機カルボン酸の塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、有機アミン化合物との塩が挙げられる。
【0011】
本発明のスカルプケア剤における有機カルボン酸又はその塩の含有量は、単にpHを調整する目的で使用される量よりも高く、十分な頭皮症状改善効果の点から、本発明のスカルプケア剤中の0.1〜5重量%が好ましく、更には0.2〜3重量%、特に0.5〜2重量%が好ましい。
【0012】
本発明のスカルプケア剤は、頭皮症状改善効果及び安定性の点から、水で20重量倍に希釈したときの25℃におけるpHが1〜5であるが、pH2〜4.5、特にpH3〜4.5であるのが好ましい。
【0013】
抗菌剤・殺菌剤、抗フケ剤等として知られる一般的な医薬・化粧料用成分としては、ピリジンチオン塩、塩化ベンザルコニウム、オクトピロックスなどの抗菌剤・殺菌剤(抗菌剤等)が知られている。本発明のスカルプケア剤を、これら抗菌剤等による地肌トラブルを回避しつつ頭皮症状を改善できるものとする観点からは、これら抗菌剤等を実質的に含有しないものとすることが好ましい。
【0014】
本発明のスカルプケア剤は、更に増粘剤、界面活性剤、低級アルコール、ポリマー等を加えてスカルプローションや、ヘアトニック、ヘアリキッド等のスタイリング剤の形態とすることもでき、また洗浄用界面活性剤やコンディショニング剤を加えてシャンプー組成物、リンスインシャンプー、トリートメント、コンディショナー等の浴室内で使用する形態とすることもできる。
【0015】
低級アルコールとしては、エタノール、2-プロパノールが好ましく、特にエタノールが好ましい。低級アルコールの含有量は、本発明のスカルプケア剤中の0.01〜90重量%、特に1〜20重量%が好ましい。
【0016】
本発明のスカルプケア剤には、更に、頭皮への適用上の使用性の観点から、粘度調整剤として、粘土鉱物や各種ポリマーを含有させることができる。このようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル三元共重合体、ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート(四級塩化)共重合体、ビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体等のポリビニルピロリドン系高分子化合物;メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体等の酸性ビニルエーテル系高分子化合物;酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体等の酸性ポリ酢酸ビニル系高分子化合物;(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体等の酸性アクリル系高分子化合物;N-メタクリロイルエチル-N,N-ジメチルアンモニウム・α-N-メチルカルボキシベタイン/メタクリル酸ブチル共重合体、アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体等の両性アクリル系高分子化合物;アクリルアミド・アクリルエステル系四元共重合体等の塩基性アクリル系高分子化合物;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カチオン性セルロース誘導体等のセルロース誘導体;ヒドロキシプロピルキトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン等のキチン・キトサン誘導体;ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0017】
これらの粘度調整剤は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、本発明のスカルプケア剤中の0.1〜10重量%、特に0.5〜5重量%が好ましい。
【0018】
本発明のスカルプケア剤には、スカルプケア剤の安定性を向上させるため、また洗浄成分又はコンディショニング成分として、更にアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤を含有させてもよい。
【0019】
アニオン界面活性剤としては、硫酸系アニオン界面活性剤が好ましく、具体的にはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等が挙げられ、特に次の一般式(1)又は(2)で表されるものが好ましい。
【0020】
1O(CH2CH2O)mSO3M (1)
2OSO3M (2)
【0021】
〔式中、R1は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、R2は炭素数10〜18のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、mは重量平均で1〜5の数を示す。〕
【0022】
これらアニオン界面活性剤は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、スカルプケア剤の安定性、使用時の液性、泡立てやすさ、洗髪時の洗い易さの点から、本発明のスカルプケア剤中の1〜50重量%が好ましく、更には5〜30重量%、特に8〜22重量%が好ましい。
【0023】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド類等が挙げられる。このうち、アルキルグリコシド類、ポリオキシアルキレン(C8〜C20)脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミドが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドとしては、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましい。また、脂肪酸アルカノールアミドとしては、モノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよく、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましく、例えばオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸イソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド等が挙げられる。
【0024】
これら非イオン界面活性剤は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、スカルプケア剤の安定性、使用時の液性,泡立てやすさ、洗髪時の洗い易さ、泡質の点から、本発明のスカルプケア剤中の0.1〜30重量%が好ましく、更には0.2〜20重量%、特に0.5〜10重量%が好ましい。
【0025】
両性界面活性剤としては、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン系界面活性剤がより好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが特に好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、特にラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
【0026】
これら両性界面活性剤は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、スカルプケア剤の安定性、使用時の液性,泡立てやすさ、洗髪時の洗い易さ、キメ細かくて柔らかい泡質の点から、本発明のスカルプケア剤中の0.1〜30重量%が好ましく、更には0.2〜20重量%、特に0.5〜10重量%が好ましい。
【0027】
本発明のスカルプケア剤を水性液状洗浄剤の形態とする場合には、硫酸系アニオン界面活性剤と共に、脂肪酸アミドプロピルベタイン又は脂肪酸アルカノールアミドを併用するのが、洗浄性、起泡力がより良好となるだけでなく、適度な液性が得られるので特に好ましい。硫酸系アニオン界面活性剤と共に、脂肪酸アミドプロピルベタイン又は脂肪酸アルカノールアミドを含有させる場合、その含有量は、本発明のスカルプケア剤中の0.1〜10重量%が好ましく、更には0.2〜5重量%、特に0.5〜3重量%が、良好な増泡効果が得られるので好ましい。
【0028】
カチオン界面活性剤としては、四級アンモニウム塩、三級アミン型化合物の塩を含み、モノ長鎖アルキル(C12〜22)四級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル(C12〜22)四級アンモニウム塩、分岐鎖アルキル(C12〜28)四級アンモニウム塩、アルキルオキシアルキレン三級アミン塩、アルキルアミドアルキレン三級アミン塩等が挙げられる。具体的には、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、N,N-ジメチルオクタデシロキシプロピルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン等が挙げられる。
【0029】
これらカチオン界面活性剤は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、髪の滑らかさ、指通りの良さ、ツヤの付与の点から、本発明のスカルプケア剤中の0.1〜10重量%が好ましく、更には0.2〜7重量%、特に0.5〜5重量%が好ましい。
【0030】
また、本発明のスカルプケア剤には、乾燥後の仕上がり向上のため、コンディショニング成分として、上記カチオン界面活性剤のほかに、カチオン性ポリマー、シリコーン類又は油剤を配合することができる。
【0031】
カチオン性ポリマーとしては、例えばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル四級アンモニウム塩のホモポリマー、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、四級化ポリビニルピロリドン誘導体、ポリグリコールポリアミン縮合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社製カルタレチン)、特開昭53-139734号公報、特開昭60-36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられ、特にカチオン化セルロース誘導体、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物が好ましい。
【0032】
これらカチオン性ポリマーは、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、泡立て時からすすぎ時にかけての滑らかさ付与、乾燥後の髪のまとまり、キメの細かい柔らかく持ちの良い泡質、及び吸着向上の点から、本発明のスカルプケア剤中の0.1〜2重量%が好ましく、更には0.2〜1.5重量%、特に0.3〜1重量%が好ましい。
【0033】
シリコーン類としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
【0034】
(シリコーン類-1) ジメチルポリシロキサン
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
(CH3)3SiO-[(CH3)2SiO]d-Si(CH3)3
〔式中、dは3〜20000の数を示す。〕
【0035】
(シリコーン類-2) アミノ変性シリコーン
各種のアミノ変性シリコーンが使用できるが、特に平均分子量が約3000〜100000の、アモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でCTFA辞典(米国,Cosmetic Ingredient Dictionary)第3版中に記載されているものが好ましい。このアミノ変性シリコーンは水性乳濁液として用いるのが好ましく、市販品としては、SM 8704C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社)、DC 929(ダウ・コーニング社)等が挙げられる。
【0036】
(シリコーン類-3) その他のシリコーン類
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、オキサゾリン変性シリコーン等が挙げられる。
【0037】
これらシリコーン類は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、髪の滑らかさ、指通りの良さ、ツヤの付与の点から、本発明のスカルプケア剤中の0.1〜7重量%が好ましく、更には0.2〜6重量%、特に0.5〜5重量%が好ましい。
【0038】
油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素類;ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボガド油、オリーブ油等のグリセリド類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;ミリスチルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、グリセリン等のアルコール類;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル類;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸類、その他イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、エステル類が好ましく、特に2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソプロピル等が好ましい。
【0039】
これら油剤は、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、スカルプケア剤の、髪の滑らかさ、指通りの良さ、ツヤの付与の点から、本発明のスカルプケア剤中の0.1〜7重量%が好ましく、更には0.2〜6重量%、特に0.5〜5重量%が好ましい。
【0040】
本発明のスカルプケア剤には、上記成分のほか、通常の毛髪化粧料に用いられる成分を目的に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えばビタミン剤;抗炎症剤;防腐剤;キレート剤;ソルビトール、パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;水酸化カリウム等のpH調整剤;植物エキス類;パール化剤;香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ〔ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS (MICELLE PRESS)〕に記載されている成分等が挙げられる。
【実施例】
【0041】
以下の実施例及び比較例において示すpHは、水で20重量倍に希釈したときの25℃における値である。
【0042】
実施例1〜4及び比較例1〜3
表1に示すシャンプーを調製し、その評価を行った。
【0043】
(頭皮症状改善効果の評価)
20〜40代の一般男女から、目視により頭皮にフケ症状の見られる群50名(男性25名、女性25名)、頭皮に吹き出物症状の見られる群50名(男性25名、女性25名)、及びそれらの症状の見られない健常群50名(男性25名、女性25名)の計150名の被験者を選抜した。これら被験者に対し、1ヶ月間、有機カルボン酸又はその塩を含有しないコントロールシャンプーを使用させた後、試験シャンプーを約6週間使用させ、その前後の頭皮状態変化を目視により評価した。
フケ症状は、頭皮を12の領域に分け、各領域ごとにレベル1〜6の6段階、合計0〜72の段階にレベル分けをし、レベル10以上をフケ群の対象とした。吹き出物症状は、頭皮全体の吹き出物数が3個以上を吹き出物群の対象とした。健常群は、フケ及び吹き出物の症状が、フケ群、吹き出物群の基準未満である場合とした。
フケ及び吹き出物の評価は、ダブルブラインド法を用いて熟練した研究員により行い、使用前後のフケレベル、吹き出物個数の変化量の平均からランク分けし、表1に示した。
かゆみ、かさつきの評価は、被験者に記入式5段階(改善5点、やや改善4点、変化なし3点、やや悪化2点、悪化1点)のアンケートを行い、評価点の平均(小数点以下第2位を四捨五入)からランク分けし、表1に示した。尚、コントロールシャンプー処方は、表1の比較例2に当たる。
【0044】
<フケランク>
◎(有効) :使用前後で平均フケレベルが10以上減少
○(やや有効):使用前後で平均フケレベルが5以上減少
△(変化なし):使用前後で平均フケレベルが±5未満の変化
×(悪化) :使用前後で平均フケレベルが5以上増加
【0045】
<吹き出物ランク>
◎(有効) :使用前後で平均吹き出物数が5個以上減少
○(やや有効):使用前後で平均吹き出物数が3個以上減少
△(変化なし):使用前後で平均吹き出物数が±3個未満の変化
×(悪化) :使用前後で平均吹き出物数が3個以上増加
【0046】
<かゆみランク>
◎(有効) :使用前後で平均評価点が3.5以上
○(やや有効):使用前後で平均評価点が3.2〜3.4
△(変化なし):使用前後で平均評価点が2.8〜3.2
×(悪化) :使用前後で平均評価点が2.7以下
【0047】
<かさつきランク>
◎(有効) :使用前後で平均評価点が3.5以上
○(やや有効):使用前後で平均評価点が3.2〜3.4
△(変化なし):使用前後で平均評価点が2.8〜3.2
×(悪化) :使用前後で平均評価点が2.7以下
【0048】
(安定性評価)
シャンプーの安定性について、50℃で1ヵ月保存した後の性能と外観から下記基準に従い評価した。
【0049】
◎:変化しない
○:わずかに劣化した
△:劣化が認められる
×:著しく劣化した。
【0050】
【表1】

【0051】
実施例1〜4のシャンプーは、頭皮のフケ・かゆみ・吹き出物・かさつきの抑制効果に優れ、しかも安定性に優れるものであった。
【0052】
実施例5 ヘアコンディショナー
(重量%)
塩化アルキルトリメチルアンモニウム 2.3
ステアリルアルコール 0.4
ベヘニルアルコール 3.6
パルミチン酸イソプロピル 0.5
プロピレングリコール 0.5
乳酸(90重量%) 0.1
リンゴ酸 0.75
高分子量ジメチルポリシロキサン(重合度1000〜2700) 2.0
香料 適量
48重量%水酸化カリウム pH3.7に調整
精製水 残量
【0053】
上記のヘアコンディショナーは、頭皮のフケ・かゆみ・吹き出物・かさつきの抑制効果に優れ、しかも安定性に優れるものであった。
【0054】
実施例6 頭皮ケアトニック
(重量%)
カルボキシビニルポリマー 0.15
グリセリン 0.3
スチレン/ステアリルメタクリレート共重合体 0.1
リンゴ酸 0.75
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
エタノール 31.5
香料 0.05
48重量%水酸化ナトリウム pH4.0に調整
精製水 残量
【0055】
上記の頭皮ケアトニックは、頭皮のフケ・かゆみ・吹き出物・かさつきの抑制効果に優れ、しかも安定性に優れるものであった。
【0056】
実施例7 頭皮ケアトニック
(重量%)
ベンジルアルコール 0.5
イソノナン酸イソノニル 0.03
メントール 0.2
リンゴ酸 1.0
ポリオキシエチレン(25)硬化ヒマシ油 0.3
エタノール 52.5
香料 0.06
48重量%水酸化ナトリウム pH4.0に調整
精製水 残量
【0057】
上記の頭皮ケアトニックは、頭皮のフケ・かゆみ・吹き出物・かさつきの抑制効果に優れ、しかも安定性に優れるものであった。
【0058】
実施例8 頭皮ケアトニック
(重量%)
ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド 0.05
グリセリン 2.0
ポリオキシエチレン(9)モノラウリン酸エステル 0.4
リンゴ酸 2.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
EDTA 0.05
エタノール 50.0
香料 0.05
48重量%水酸化ナトリウム pH4.0に調整
精製水 残量
【0059】
上記の頭皮ケアトニックは、頭皮のフケ・かゆみ・吹き出物・かさつきの抑制効果に優れ、しかも安定性に優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤を含み、水で20重量倍に希釈したときの25℃におけるpHが1〜5であるスカルプケア剤中で使用される、リンゴ酸又はその塩からなる頭皮症状改善剤。
【請求項2】
スカルプケア剤が実質的に抗菌剤・殺菌剤を含まず、スカルプケア剤中のリンゴ酸又はその塩の含有量が0.1〜5重量%である請求項1記載の頭皮症状改善剤。
【請求項3】
スカルプケア剤中に含有する界面活性剤がアニオン界面活性剤である請求項1又は2記載の頭皮症状改善剤。
【請求項4】
スカルプケア剤中のアニオン界面活性剤の含有量が1〜50重量%である請求項3記載の頭皮症状改善剤。

【公開番号】特開2011−21041(P2011−21041A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247344(P2010−247344)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【分割の表示】特願2005−327000(P2005−327000)の分割
【原出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】