説明

スクリーン印刷方法

【課題】セラミック製の基板に対する印刷に多種類のマスクを用意する必要がなくて印刷精度も確保しやすいスクリーン印刷方法を提供すること。
【解決手段】焼成後の基板5の大きさが設計値に対してばらついている場合、印刷テーブル4を基板5と共にスキージング方向または反スキージング方向と略同等の向きへ移動させながら、マスク2上の印刷用ペースト6をスキージングして基板5に塗布する。印刷テーブル4を移動させる向きおよび速さは基板5の大きさのばらつきに応じて設定し、スキージング方向に沿う基板5の長さが設計値に比べて長い場合は、パターン孔2bよりも広い領域に印刷用ペースト6が塗布され、その逆に設計値に比べて短い場合は、パターン孔2bよりも狭い領域に印刷用ペースト6が塗布されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック製の基板にマスクを用いて導電性ペーストや絶縁性ペースト等の印刷用ペーストを塗布するスクリーン印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、チップ抵抗器等のチップ部品は、分割溝が等間隔に設けられたセラミック製の大型の基板(集合基板)に多数個分の電極や抵抗体等をスクリーン印刷した後、この基板を分割溝に沿って分割することにより多数個が一括して製造される。セラミック製の基板はグリーンシートを焼成することによって形成され、通常、このグリーンシートの段階で分割溝を刻設しておく。
【0003】
セラミック製の基板に対してスクリーン印刷を行う際には、まず、基板を印刷テーブル(印刷ステージ)上に載置して、この基板の真上にマスクを配置させる。印刷テーブルには、互いに直交するX−Y2軸に沿ったスライド動作や、X−Y軸に直交するZ軸に沿った昇降動作、Z軸を中心とする回転動作等を必要時に行うための機構が備えられている。また、マスクには複数箇所にパターン孔が開設されており、このマスクは枠状のマスクホルダに保持されている。そして、マスク上に印刷用ペーストを供給した後、このマスク上でスキージを所定方向へ摺動させるというスキージングを行うことによって、印刷用ペーストが各パターン孔を通して基板に塗布される(例えば、特許文献1参照)。つまり、基板の表面には、マスクの各パターン孔と対向する領域にそれぞれ印刷用ペーストが印刷形成され、その印刷形状はパターン孔と同じになる。
【0004】
ところで、グリーンシートを焼成して形成されるセラミック製の基板は、焼成によって収縮するが、同じ条件で製造した基板であっても実際には収縮率に若干のばらつきが生じる。つまり、焼成後の基板寸法が常に設計値どおりになるわけではなく、設計値よりも若干大きい基板や若干小さい基板が形成されることが多い。こうした基板寸法のばらつきの程度は、基板全体の大きさに比べると僅かな寸法ではあるが、チップ部品を多数個取りする集合基板において平面的な大きさがばらつくと、スクリーン印刷用のマスクのパターン孔と集合基板の分割溝との相対位置がばらついてしまうため、集合基板の各チップ領域(後刻チップ部品となる領域)の所定位置に印刷用ペーストが正しく塗布されないという印刷ずれを生じてしまう。
【0005】
それゆえ、製造現場では通常、基板の大きさのばらつきをランク分けすると共に、スクリーン印刷用のマスクを予め多種類用意しておき、基板の大きさのばらつき(ランク)に応じてマスクを使い分けている。しかし、スクリーン印刷用のマスクを多種類用意するとマスク代が嵩み、しかもマスクをランクによって頻繁に交換しなくてはならないため、印刷コストが上昇してしまう。また、こうして用意したマスクの一部は使用頻度が極めて低いため、不経済でもあった。
【0006】
そこで従来、グリーンシートを乾燥させた状態でスクリーン印刷を行ってから焼成することにより、スクリーン印刷用のマスクを何種類も用意する必要のないチップ抵抗器の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−311919号公報
【特許文献2】特許第4703822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示されているように、焼成前のグリーンシートに対してスクリーン印刷を行う場合、印刷条件の管理に特別な配慮が必要となり、印刷精度を確保することも容易でない。したがって、かかる従来技術を採用してマスクの種類を減らしても、信頼性の高いスクリーン印刷を安価に行うことは困難であると思われる。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、セラミック製の基板に対する印刷に多種類のマスクを用意する必要がなくて印刷精度も確保しやすいスクリーン印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、分割溝が等間隔に設けられたセラミック製の基板を印刷テーブル(印刷ステージ)上に載置し、かつ、パターン孔が開設されたマスクを前記基板の真上に配置させた状態で、前記マスク上に供給した印刷用ペーストをスキージングすることにより、前記印刷用ペーストが前記パターン孔を通して前記基板に塗布されるスクリーン印刷方法において、前記スキージング作業時に、前記印刷テーブルと前記マスクのうち、少なくとも一方をスキージング方向または反スキージング方向と略同等の向きへ移動させると共に、その移動する向きおよび速さを前記基板の大きさのばらつきに応じて設定し、前記スキージング方向に沿う前記基板の長さ寸法が設計値に比べて大きい場合は、前記パターン孔よりも広い領域に前記印刷用ペーストが塗布され、前記スキージング方向に沿う前記基板の長さ寸法が設計値に比べて小さい場合は、前記パターン孔よりも狭い領域に前記印刷用ペーストが塗布されるようにした。
【0011】
このように印刷テーブルやマスクをスキージング方向または反スキージング方向と略同等の向きへ移動させながら、マスク上の印刷用ペーストをスキージングすると、基板に塗布される印刷用ペーストの印刷形状はマスクのパターン孔とは異なったものになる。例えば、スキージング作業時に、印刷テーブルがマスクに対してスキージング方向へ移動(またはマスクが印刷テーブルに対して反スキージング方向へ移動)していると、パターン孔よりも狭い領域に印刷用ペーストが塗布され、移動速度が速いほど印刷領域(塗布領域)は狭くなる。したがって、スキージング方向に沿う基板の長さが設計値に比べて短い場合は、マスクのパターン孔に対する基板の印刷領域の寸法比が設計値に対する基板の寸法比(1よりも小)と同じになるように前記移動速度を制御することにより、印刷領域の大きさを補正して印刷ずれを回避することが可能となる。また、スキージング作業時に、印刷テーブルがマスクに対して反スキージング方向へ移動(またはマスクが印刷テーブルに対してスキージング方向へ移動)していると、パターン孔よりも広い領域に印刷用ペーストが塗布され、移動速度が速いほど印刷領域は広くなる。したがって、スキージング方向に沿う基板の長さが設計値に比べて長い場合にも、マスクのパターン孔に対する基板の印刷領域の寸法比が設計値に対する基板の寸法比(1よりも大)と同じになるように前記移動速度を制御することにより、印刷領域の大きさを補正して印刷ずれを回避することが可能となる。その結果、スキージング方向に沿う基板の長さ寸法にばらつきがあっても、マスクを何種類も用意する必要がなくなるため、マスク代を激減させることができる。また、焼成後の基板に対して行うスクリーン印刷は、焼成前のグリーンシートに対して行うスクリーン印刷に比べて印刷精度が確保しやすい。
【0012】
上記のスクリーン印刷方法において、スキージング作業時にマスクを固定しておき、スキージング方向に沿う基板の長さ寸法が設計値に比べて大きい場合は、印刷テーブルを反スキージング方向と略同等の向きへ移動させ、スキージング方向に沿う基板の長さ寸法が設計値に比べて小さい場合は、印刷テーブルをスキージング方向と略同等の向きへ移動させるようにしておけば、印刷テーブルを移動させるための機構を特別に追加する必要がないため好ましい。すなわち、印刷テーブルには予めX−Y平面に沿って移動できる機構が備えられているので、この機構を利用して、スキージング作業時に印刷テーブルを所望方向へ所望の速さで移動させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のスクリーン印刷方法は、例えば印刷テーブルをスキージング方向または反スキージング方向と略同等の向きへ移動させながら、マスク上の印刷用ペーストをスキージングすることにより、基板の大きさのばらつきに応じて印刷領域の大きさを補正して印刷ずれを回避するというものである。すなわち、スキージング方向に沿う基板の長さ寸法が設計値に比べて大きい場合は、マスクのパターン孔よりも広い領域に印刷用ペーストが塗布され、スキージング方向に沿う基板の長さ寸法が設計値に比べて小さい場合は、パターン孔よりも狭い領域に印刷用ペーストが塗布されるようにしている。これにより、スキージング方向に沿う基板の長さ寸法にばらつきがあっても、マスクを何種類も用意する必要がなく、マスクを頻繁に交換する必要もなるため、印刷コストを低減することができる。また、焼成後の基板に対するスクリーン印刷なので、焼成前のグリーンシートに対してスクリーン印刷を行う場合に比べて、印刷精度が確保しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明で用いられるスクリーン印刷機の概略構成を示す説明図である。
【図2】該スクリーン印刷機でスキージング作業を行っている様子を模式的に示す説明図である。
【図3】基板の大きさが設計値と異なる場合に印刷ずれが起こる理由を示す説明図である。
【図4】基板の大きさが設計値よりも小さい場合における本実施形態例に係るスクリーン印刷方法の説明図である。
【図5】基板の大きさが設計値よりも大きい場合における本実施形態例に係るスクリーン印刷方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態例では、図1に示すようなスクリーン印刷機1のマスク2上でスキージ3を矢印方向へ摺動させるというスキージングを行うことによって、印刷テーブル(印刷ステージ)4上に載置された基板5に印刷用ペースト6(図2参照)を塗布する。そして、かかるスキージング作業時に、基板5の大きさのばらつきに応じて、印刷テーブル4をスキージング方向または反スキージング方向へ移動させるようにしている。
【0016】
基板5はグリーンシートを焼成して形成されたセラミック製で、チップ抵抗器等のチップ部品を多数個取りするための集合基板である。図2に示すように、この基板5には複数本の分割溝10が等間隔に設けられており、これらの分割溝10はグリーンシートの段階で刻設されたものである。なお、実際には縦方向と横方向に延びる2種類の分割溝が基板5に格子状に設けられており、基板5を一方の分割溝(一次分割溝)で分割して得られる短冊状基板を他方の分割溝(二次分割溝)で分割することによって、個々のチップ部品となる。
【0017】
スクリーン印刷機1は、基板5に多数個分の電極や抵抗体等をスクリーン印刷するためのものであり、基板5の分割作業は印刷後に行われる。スクリーン印刷機1の印刷テーブル4には、X−Y2軸に沿ったスライド動作や、X−Yに直交するZ軸に沿った昇降動作や、Z軸を中心とする回転動作等を必要時に行うための図示せぬ機構が備えられている。また、マスク2の印刷エリア2a(図1参照)には複数箇所にパターン孔2b(図2参照)が開設されており、スキージングによって印刷用ペースト6がパターン孔2bを通して基板5の所定領域に塗布される。このマスク2は枠状のマスクホルダ7に保持されている。スキージ3は、図示せぬ駆動手段に駆動されて図1の矢印方向へ直線的に移動できるようになっている。
【0018】
セラミック製の基板5に対してスクリーン印刷を行う際には、まず、基板5を印刷テーブル4上の所定位置に載置して、この基板5の真上に所定の隙間11を持たせてマスク2を配置させる。この隙間11は、基板5に塗布されるペーストの厚さ以上となるように調整する必要がある。そして、マスク2上に印刷用ペースト6を供給した後、このマスク2上でスキージ3によるスキージングを行う。したがって、スキージング作業時に印刷テーブル4が固定されていれば、図2に示すように、基板5の表面にはマスク2の各パターン孔2bと対向する領域にそれぞれ印刷用ペースト6が塗布され、その印刷形状はパターン孔2bと同じになる。ただし、図4や図5に示すように、印刷テーブル4を矢印A方向やB方向へ移動させながらスキージング作業を行った場合には、基板5に塗布される印刷用ペースト6の印刷形状はマスク2のパターン孔2bとは異なったものになる。本実施形態例は、このようにして基板5の印刷領域の大きさを補正することによって、基板5の大きさのばらつきに起因する印刷ずれを回避するというものである。
【0019】
すなわち、グリーンシートを焼成して形成される基板5の寸法は常に設計値どおりになるわけではなく、図4に模式的に示すように設計値よりも若干小さい基板5や、図5に模式的に示すように設計値よりも若干大きい基板5が数多く形成される。そのため、寸法が設計値どおりの基板5(図2参照)に対して精度良く印刷できるマスク2を用いて、例えば寸法が設計値よりも小さい基板5に対してスクリーン印刷を行うと、図3に示すように、マスク2のパターン孔2bと基板5の分割溝10との相対位置がばらついてしまう。その結果、基板5の各チップ領域(後刻チップ部品となる領域)の所定位置に印刷用ペースト6が正しく塗布されないという印刷ずれを生じてしまう。寸法が設計値よりも大きい基板5にマスク2を用いてスクリーン印刷を行った場合も、同様の理由で印刷ずれを生じてしまう。
【0020】
そこで本実施形態例では、スキージング作業時に、基板5を載置している印刷テーブル4をスキージング方向または反スキージング方向へ移動させると共に、その移動する向きおよび速さを基板5の大きさのばらつきに応じて設定することとした。こうすることによって、スキージング方向に沿う基板5の長さ寸法が設計値に比べて大きい場合は、マスク2のパターン孔2bよりも広い領域に印刷用ペースト6が塗布され、スキージング方向に沿う基板5の長さ寸法が設計値に比べて小さい場合は、パターン孔2bよりも狭い領域に印刷用ペースト6が塗布されるようにしている。ただし、スキージング方向に沿う基板5の長さ寸法が設計値どおりの場合は印刷ずれの心配がないため、図2に示すように、印刷テーブル4を固定したままマスク2を用いてスクリーン印刷を行う。
【0021】
スキージング方向に沿う基板5の長さ寸法が設計値に比べて小さい場合のスクリーン印刷方法について詳しく説明すると、図4に示すように、スキージング作業時にマスク2は固定しておき、印刷テーブル4を基板5と共にスキージング方向(矢印A方向)へ移動させる。これにより、基板5の表面にはマスク2のパターン孔2bよりも狭い領域に印刷用ペースト6が塗布されることになり、印刷テーブル4の移動速度を速くするほど印刷領域(塗布領域)は狭くなる。したがって、パターン孔2bに対する印刷領域の寸法比が設計値に対する基板5の寸法比(1よりも小)と同じになるように、印刷テーブル4の移動速度を制御することによって、印刷ずれを回避することができる。
【0022】
なお、印刷テーブル4をスキージング方向へ移動させる代わりに、マスク2を反スキージング方向へ移動させても良い。
【0023】
一方、スキージング方向に沿う基板5の長さ寸法が設計値に比べて大きい場合は、図5に示すように、スキージング作業時にマスク2を固定して、印刷テーブル4を基板5と共に反スキージング方向(矢印B方向)へ移動させる。これにより、基板5の表面にはマスク2のパターン孔2bよりも広い領域に印刷用ペースト6が塗布されることになり、印刷テーブル4の移動速度を速くするほど印刷領域(塗布領域)は広くなる。したがって、パターン孔2bに対する印刷領域の寸法比が設計値に対する基板5の寸法比(1よりも大)と同じになるように、印刷テーブル4の移動速度を制御することによって、印刷ずれを回避することができる。また、この場合も、印刷テーブル4を反スキージング方向へ移動させる代わりにマスク2をスキージング方向へ移動させても良い。
【0024】
以上説明したように本実施形態例では、焼成後の基板5の大きさが設計値に対してばらついている場合、印刷テーブル4をスキージング方向または反スキージング方向へ移動させながら、マスク2上の印刷用ペースト6をスキージングして基板5に塗布するというスクリーン印刷を行っている。すなわち、スキージング方向に沿う基板5の長さが設計値よりも短い場合は、スキージング作業時に印刷テーブル4をマスク2に対してスキージング方向へ移動させることによって、マスク2のパターン孔2bよりも狭い領域に印刷用ペースト6が塗布されるようにしており、これとは逆に、スキージング方向に沿う基板5の長さが設計値よりも長い場合は、スキージング作業時に印刷テーブル4をマスク2に対して反スキージング方向へ移動させることによって、パターン孔2bよりも広い領域に印刷用ペースト6が塗布されるようにしている。しかも、パターン孔2bに対する基板5の印刷領域の寸法比が設計値に対する基板5の寸法比と同じになるように印刷テーブル4の移動速度を制御するため、基板5の大きさのばらつきに応じて印刷領域の大きさを補正することができ、印刷ずれが回避しやすくなっている。したがって、基板5の大きさにばらつきがあっても、同じマスク2でスクリーン印刷を行うことができる。
【0025】
つまり、本実施形態例においては、スキージング方向に沿う基板5の長さ寸法にばらつきがあっても、スクリーン印刷用のマスク2を何種類も用意する必要がないため、マスク代を著しく低減することができるだけでなく、マスク2を頻繁に交換する必要もなくなる。具体的には、基板5に格子状に設けられた分割溝のうち、一方の分割溝10はスキージング方向に対して直交する向きに延び、他方の分割溝はスキージング方向に対して平行に延びているので、後者の分割溝の隣接間隔のばらつきに対応できるように複数種類のマスクを用意しておく必要はあるが、前者の分割溝10の隣接間隔のばらつきには1種類のマスク2で対応できるため、マスクの総数を激減することができる。
【0026】
また、本実施形態例では、スキージング作業時にマスク2を固定して印刷テーブル4を移動させるようにしているが、印刷テーブル4には予めX−Y平面に沿って移動できる機構が備えられているので、スキージング作業時に印刷テーブル4を所望方向へ所望の速さで移動させることは容易である。つまり、本実施形態例に係るスクリーン印刷方法は、多種類のマスクを用意する必要がないだけでなく、特別な機構を追加する必要もないため、印刷コストを大幅に低減できる。しかも、このスクリーン印刷方法は、焼成後の基板に対して印刷するというものなので、焼成前のグリーンシートに対してスクリーン印刷を行う場合に比べて、印刷精度が確保しやすい。
【0027】
なお、上記の実施形態例では、印刷テーブル4をスキージング方向または反スキージング方向へ移動させる場合について説明したが、基板5が略台形や略扇形の矩形状に形成されている場合には、スキージング作業時に印刷テーブル4(またはマスク2)をZ軸を中心に回転させながらスライド移動させても良い。こうすると基板5の表面では、回転軸に近い印刷領域ほど移動速度が小さくなるため、基板5の長さ寸法が一定でなくても、パターン孔2bに対する印刷領域の寸法比を適宜相違させることができる。要は、スキージング作業時に、印刷テーブル4(またはマスク2)をスキージング方向または反スキージング方向と略同等の向きへ移動させ、その移動する向きおよび速さを基板5の大きさのばらつきに応じて設定しておけば、基板5の各印刷領域(塗布領域)の大きさを適宜補正することが可能となる。
【0028】
また、上記の実施形態例では、基板5に分割溝が格子状に設けられている場合について説明したが、スキージング方向に対して直交する向きに延びる分割溝だけが基板に設けられている場合には、この基板に対するスクリーン印刷を1種類のマスクだけで済ますことも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 スクリーン印刷機
2 マスク
2b パターン孔
3 スキージ
4 印刷テーブル(印刷ステージ)
5 基板
6 印刷用ペースト
7 マスクホルダ
10 分割溝
11 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割溝が等間隔に設けられたセラミック製の基板を印刷テーブル上に載置し、かつ、パターン孔が開設されたマスクを前記基板の真上に配置させた状態で、前記マスク上に供給した印刷用ペーストをスキージングすることにより、前記印刷用ペーストが前記パターン孔を通して前記基板に塗布されるスクリーン印刷方法において、
前記スキージング作業時に、前記印刷テーブルと前記マスクのうち、少なくとも一方をスキージング方向または反スキージング方向と略同等の向きへ移動させると共に、その移動する向きおよび速さを前記基板の大きさのばらつきに応じて設定し、前記スキージング方向に沿う前記基板の長さ寸法が設計値に比べて大きい場合は、前記パターン孔よりも広い領域に前記印刷用ペーストが塗布され、前記スキージング方向に沿う前記基板の長さ寸法が設計値に比べて小さい場合は、前記パターン孔よりも狭い領域に前記印刷用ペーストが塗布されるようにしたことを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記スキージング作業時に前記マスクを固定しておき、前記スキージング方向に沿う前記基板の長さ寸法が設計値に比べて大きい場合は、前記印刷テーブルを反スキージング方向と略同等の向きへ移動させ、前記スキージング方向に沿う前記基板の長さ寸法が設計値に比べて小さい場合は、前記印刷テーブルをスキージング方向と略同等の向きへ移動させるようにしたことを特徴とするスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−71295(P2013−71295A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211098(P2011−211098)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000105350)コーア株式会社 (201)
【Fターム(参考)】