説明

スクロール型圧縮機

【課題】圧縮比が小さい場合においても潤滑油が確実に圧縮室に供給されるようにする。
【解決手段】スクロール型圧縮機は、ケーシングに収納され且つ固定スクロール60及び可動スクロールを有する圧縮機構と、可動スクロールの背面の一部に中間圧力を作用させる中間圧部とを備えている。固定スクロール60の鏡板の正面には、高圧の潤滑油が供給される固定側油溝80が形成されている。可動スクロールの鏡板の正面には、固定側油溝80が連通すると共に、固定スクロール60のラップ溝64が冷媒の吸入状態であるときにラップ溝64の最外周部に連通し、ラップ溝64が圧縮室41の形成状態であるときにラップ溝64から遮断される可動側油溝83が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール型圧縮機に関し、特に、給油構造に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スクロール型圧縮機には、特許文献1に開示されているように、ケーシングに収納された固定スクロールと可動スクロールとを備えているものがある。そして、上記可動スクロールの背面の中央部には、吐出圧力に対応した高圧室が形成される一方、該高圧室の側方には、吸入圧力と吐出圧力との間の中間圧力の中間圧室が可動スクロールの背面から側部に亘って形成されている。さらに、上記可動スクロールには、高圧室に連通する給油路が形成され、該給油路の一端は、固定スクロールと可動スクロールとの摺接面に形成された油通路に連通している。また、上記可動スクロールには、中間圧室と圧縮室とを連通する中間孔が形成されている。
【0003】
したがって、上記ケーシング内の潤滑油は、クランク軸の給油路から高圧室に流れ、可動スクロールの給油路から油通路に流れる。その後、上記潤滑油は、固定スクロールと可動スクロールの鏡板間の摺接面を流れ、中間圧室に流れると共に、中間圧室から中間孔を通って圧縮室に流れる。一方、上記可動スクロールは、高圧室及び中間圧室の圧力によって固定スクロールに押し付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3545826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスクロール型圧縮機では、圧縮比が小さい場合、つまり、吸入圧力である低圧圧力と吐出圧力である高圧圧力との差圧が小さい低差圧状態において、圧縮室に給油することができないという問題があった。
【0006】
具体的に、上記中間圧力は、例えば、低圧圧力の1.5倍になるように設定されているので、低差圧状態においては、中間圧力が高圧圧力よりも大きくなる場合が生ずる。この低差圧状態においては、高圧室の高圧圧力の潤滑油が固定スクロールと可動スクロールの鏡板間の摺接面から中間圧室に流れないことから、圧縮室の給油が行われないことになる。
【0007】
特に、上記中間圧力が高圧圧力よりも大きくなると、可動スクロールが固定スクロールに大きな力で押し付けられ、可動スクロールと固定スクロールとの摺接面の隙間が小さくなり、潤滑油が流れ難くなり、より圧縮室の給油が行われ難くなる。
【0008】
この圧縮室に供給された潤滑油は、固定スクロール及び可動スクロールのラップの先端のシールを行っていることから、このシールが行われなくなる。この結果、圧縮機の性能が低下するという問題があった。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、圧縮比が小さい場合においても潤滑油が確実に圧縮室に供給されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、固定スクロールのラップ溝に間欠的に連通する油の通路を設けたものである。
【0011】
第1の発明は、ケーシング(20)と、該ケーシング(20)に収納され、固定スクロール(60)及び該固定スクロール(60)に噛合する可動スクロール(70)を有する圧縮機構(40)と、上記可動スクロール(70)の少なくとも背面の一部に、上記圧縮機構(40)の吸入圧力と吐出圧力との間の中間圧力を作用させる中間圧部(43)とを備えたスクロール型圧縮機である。
【0012】
さらに、上記第1の発明は、上記固定スクロール(60)の鏡板(61)の正面で且つ上記可動スクロール(70)の鏡板(71)が常時摺接する摺接部に形成され、上記圧縮機構(40)の吐出圧力に対応した高圧の潤滑油が供給される固定側油溝(80)と、上記固定スクロール(60)の鏡板(61)が摺接する可動スクロール(70)の鏡板(71)の正面に形成され、上記固定側油溝(80)が連通すると共に、上記可動スクロール(70)のラップ(72)が嵌り込む固定スクロール(60)のラップ溝(64)が流体の吸入状態であるときに該ラップ溝(64)の最外周部に連通し、上記ラップ溝(64)が圧縮室(41)の形成状態であるときに該ラップ溝(64)から遮断される可動側油溝(83)とを備えている。
【0013】
上記第1の発明では、上記可動側油溝(83)は、固定スクロール(60)のラップ溝(64)が冷媒の吸入状態であるとき、該ラップ溝(64)の最外周部に連通する。したがって、上記固定側油溝(80)の潤滑油は、可動側油溝(83)を経てラップ溝(64)に流れる。
【0014】
また、上記可動側油溝(83)は、上記ラップ溝(64)が圧縮室(41)の形成状態であるとき、ラップ溝(64)から遮断される。したがって、この場合、上記固定側油溝(80)の潤滑油は、可動側油溝(83)を経て圧縮室(41)に流れることはない。
【0015】
そして、上記可動側油溝(83)からラップ溝(64)に流れた潤滑油は、固定スクロール(60)及び可動スクロール(70)のラップ(62,72)の先端と鏡板(61,71)との間をシールする。
【0016】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記可動スクロール(70)の背面側に設けられ、該可動スクロール(70)が載置されるハウジング(50)と、上記可動スクロール(70)と上記ハウジング(50)との間に形成され、上記圧縮機構(40)の吐出圧力に対応した高圧圧力を可動スクロール(70)の背面の中央部に作用させる背圧部(42)とを備えている。
【0017】
さらに、上記第2の発明の中間圧部(43)は、上記可動スクロール(70)とハウジング(50)との間で且つ上記背圧部(42)の側方に形成された可動側圧力部(44)と、上記固定スクロール(60)の外側に形成され且つ上記可動側圧力部(44)に連通する固定側圧力部(45)とを備えている。
【0018】
上記第2の発明では、背圧部(42)の高圧圧力と可動側圧力部(44)の中間圧力とによって可動スクロール(70)が固定スクロール(60)に押し付けられる。
【0019】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記可動側油溝(83)が円弧状溝で構成されたものである。
【0020】
上記第3の発明では、上記可動側油溝(83)の油の供給面積が大きくなる。したがって、上記固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との摺動面にも多くの潤滑油が供給される。
【0021】
第4の発明は、上記第1または第2の発明において、上記可動側油溝(83)が、固定側油溝(80)が連通する直線状の第1通路(84)と、該第1通路(84)の一端より折れ曲がり上記固定スクロール(60)のラップ溝(64)が連通する直線状の第2通路(85)とを備えたものである。
【0022】
上記第4の発明では、上記可動側油溝(83)の油の供給面積がより拡大する。したがって、上記固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との摺動面にもより多くの潤滑油が供給される。
【0023】
第5の発明は、上記第1または第2の発明において、上記可動側油溝(83)が、固定側油溝(80)が連通する直線状の第1通路(84)と、該第1通路(84)の一端より折れ曲がり上記固定スクロール(60)のラップ溝(64)が連通するL字状の第2通路(85)とを備えたものである。
【0024】
上記第5の発明では、上記第2通路(85)と固定スクロール(60)のラップ溝(64)との連通部分が大きくなる。この結果、上記固定スクロール(60)のラップ溝(64)に供給する潤滑油が多くなり、固定スクロール(60)及び可動スクロール(70)のラップ(62,72)の先端と鏡板(61,71)との間のシール性能が向上する。
【0025】
さらに、上記可動側油溝(83)の油の供給面積がより拡大する。したがって、上記固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との摺動面にもより多くの潤滑油が供給される。
【0026】
第6の発明は、上記第1または第2の発明において、上記可動側油溝(83)が楕円状溝で構成されたものである。
【0027】
上記第6の発明では、上記可動側油溝(83)の形成が容易となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、固定側油溝(80)に連通する可動側油溝(83)が固定スクロール(60)のラップ溝(64)に間欠的に連通するようにしたために、高圧の潤滑油を確実に圧縮室(41)に供給することができる。
【0029】
つまり、圧縮比が低下し、中間圧力が高圧圧力よりも高くなった際においても、可動側油溝(83)が吸入圧力の低圧圧力の雰囲気にある固定スクロール(60)のラップ溝(64)に連通するので、潤滑油を確実に供給することができる。この結果、上記固定スクロール(60)及び可動スクロール(70)のラップ(62,72)の先端と鏡板(61,71)との間が上記潤滑油によって確実にシールされる。
【0030】
また、上記可動スクロール(70)の鏡板(71)の背面に中間圧力を作用させる中間圧部(43)を形成していることから、圧縮比が低下した際、可動スクロール(70)の固定スクロール(60)に対する押し付け力が大きくなる。この場合においても、可動側油溝(83)が固定スクロール(60)のラップ溝(64)に間欠的に連通するようにしたために、高圧の潤滑油を確実に圧縮室(41)に供給することができる。
【0031】
また、上記可動側油溝(83)は、上記固定スクロール(60)のラップ溝(64)が圧縮室(41)の形成状態であるときに該ラップ溝(64)から遮断されるので、低圧の圧縮室(41)と高圧の固定側油溝(80)との連通を防止することができ、圧縮効率の低下を防止することができる。
【0032】
また、上記第2の発明によれば、背圧部(42)を形成しているので、該背圧部(42)の高圧圧力と可動側圧力部(44)の中間圧力とによって可動スクロール(70)が固定スクロール(60)に確実に押し付けられる。
【0033】
また、上記第3の発明によれば、上記可動側油溝(83)を円弧状溝で構成したために、油の供給面積を大きくすることができる。この結果、上記固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との間の摺動面に潤滑油を確実に供給することができる。
【0034】
また、上記第4の発明によれば、上記可動側油溝(83)を容易に形成することができ、構造の簡略化を図ることができる。
【0035】
また、上記第5の発明によれば、上記可動側油溝(83)が第1通路(84)と第2通路(85)とを備えているので、上記第2通路(85)を長く形成することにより、油の供給面積を拡大することができる。この結果、上記固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との間の摺動面に潤滑油をより確実に供給することができる。
【0036】
また、上記第6の発明によれば、上記可動側油溝(83)が第1通路(84)とL字状の第2通路(85)とを備えているので、上記第2通路(85)の先端部が固定スクロール(60)のラップ溝(64)に臨むことになり、該ラップ溝(64)との連通部分を大きくすることができる。この結果、圧縮室(41)への潤滑油の供給量を多くすることができるので、上記固定スクロール(60)及び可動スクロール(70)のラップ(62,72)の先端と鏡板(61,71)との間のシールをより確実に行うことができる。
【0037】
また、上記第2通路(85)を長く形成することにより、油の供給面積を拡大することができる。この結果、上記固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との間の摺動面に潤滑油をより確実に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、実施形態のスクロール型圧縮機の縦断面図である。
【図2】図2は、上記スクロール型圧縮機の要部の縦断面図である。
【図3】図3は、可動側油溝がラップ溝に連通している状態を示す固定スクロールの底面図である。
【図4】図4は、可動側油溝がラップ溝より遮断している状態を示す固定スクロールの底面図である。
【図5】図5は、可動側油溝の拡大平面図である。
【図6】図6は、変形例1の可動側油溝の拡大平面図である。
【図7】図7は、変形例2の可動側油溝の拡大平面図である。
【図8】図8は、変形例3の可動側油溝の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0040】
図1及び図2に示すように、本実施形態のスクロール型圧縮機(10)は、蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒回路に設けられ、流体である冷媒を圧縮するものである。
【0041】
上記スクロール型圧縮機(10)は、ケーシング(20)と、該ケーシング(20)に収納された電動機(30)及び圧縮機構(40)とを備えている。該ケーシング(20)は、縦長の円筒状に形成され、密閉ドームに構成されている。
【0042】
上記電動機(30)は、ケーシング(20)に固定された固定子(31)と、該固定子(31)の内側に配置された回転子(32)とを備えている。そして、上記回転子(32)は、駆動軸(11)が貫通し、該駆動軸(11)に固定されている。
【0043】
上記ケーシング(20)の底部は、潤滑油が貯留された油溜まり部(21)が構成されている。また、上記ケーシング(20)の上部には、吸入管(12)が貫挿される一方、中央部には、吐出管(13)が連結されている。
【0044】
上記ケーシング(20)には、電動機(30)の上方に位置してハウジング(50)が固定されると共に、該ハウジング(50)の上方に上記圧縮機構(40)が設けられている。そして、上記吐出管(13)の吸入口は、電動機(30)とハウジング(50)との間に配置されている。
【0045】
上記駆動軸(11)は、ケーシング(20)に沿って上下方向に配置され、主軸部(14)と、該主軸部(14)の上端に連結された偏心部(15)とを備えている。上記主軸部(14)の下部は、ケーシング(20)に下部軸受(22)を介して固定され、上記主軸部(14)の上部は、ハウジング(50)を貫通し、該ハウジング(50)の上部軸受(51)に固定されている。
【0046】
上記圧縮機構(40)は、ハウジング(50)の上面に固定された固定スクロール(60)と、該固定スクロール(60)に噛合する可動スクロール(70)とを備えている。該可動スクロール(70)は、固定スクロール(60)とハウジング(50)との間に配置され、該ハウジング(50)に設置されている。
【0047】
上記ハウジング(50)は、外周部に環状部(52)が形成されると共に、中央部の上部に凹部(53)が形成されて中央部が凹んだ皿状に形成され、上記凹部(53)の下方が上部軸受(51)に形成されている。上記ハウジング(50)は、ケーシング(20)に圧入固定され、ケーシング(20)の内周面とハウジング(50)の環状部(52)の外周面とは全周に亘って気密状に密着されている。そして、上記ハウジング(50)は、ケーシング(20)の内部を、圧縮機構(40)が収納される収納空間である上部空間(23)と電動機(30)が収納される収納空間である下部空間(24)とに仕切っている。
【0048】
上記固定スクロール(60)は、鏡板(61)と、該鏡板(61)の正面(図1及び図2における下面)に形成された渦巻き状(インボリュート状)のラップ(62)とを備えている。上記鏡板(61)は、外周側に位置して上記ラップ(62)と連続的に形成された外周壁(63)を備えている。上記ラップ(62)の先端面と外周壁(63)の先端面とは略面一に形成されている。また、上記固定スクロール(60)は、上記ハウジング(50)に固定されている。
【0049】
上記可動スクロール(70)は、鏡板(71)と、該鏡板(71)の正面(図1及び図2における上面)に形成された渦巻き状(インボリュート状)のラップ(72)と、鏡板(71)の背面中心部に形成されたボス部(73)とを備えている。そして、上記ボス部(73)は、駆動軸(11)の偏心部(15)が挿入されて駆動軸(11)が連結されている。
【0050】
上記可動スクロール(70)は、ラップ(72)が固定スクロール(60)のラップ(62)に噛合するように配設されている。そして、上記固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との両ラップ(62)の接触部の間に圧縮室(41)が形成されている。つまり、上記固定スクロール(60)は、図3に示すように、外周壁(63)とラップ(62)との間及びラップ(62)の間がラップ溝(64)になり、上記可動スクロール(70)は、図3に示すように、ラップ(72)の間がラップ溝(74)になり、上記圧縮室(41)は、ラップ溝(64,74)に形成される。
【0051】
上記固定スクロール(60)の外周壁(63)には、吸入ポート(図示省略)が形成され、該吸入ポートに吸入管(12)の下流端が接続されている。
【0052】
また、上記固定スクロール(60)の鏡板(61)の中央には、吐出口(65)が形成される一方、上記固定スクロール(60)の鏡板(61)の背面(図1及び図2における上面)には、上記吐出口(65)が開口する高圧チャンバ(66)が形成されている。該高圧チャンバ(66)は、図示しないが、固定スクロール(60)の鏡板(61)及びハウジング(50)に形成された通路を介して下部空間(24)に連通し、圧縮機構(40)で圧縮された高圧冷媒が下部空間(24)に流れ、該下部空間(24)が高圧雰囲気に構成されている。
【0053】
一方、上記駆動軸(11)の内部には、下端から上端まで延びる給油路(16)が形成され、上記駆動軸(11)の下端部は、油溜まり部(21)に浸漬されている。そして、上記給油路(16)は、油溜まり部(21)の潤滑油を下部軸受(22)及び上部軸受(51)に供給すると共に、上記ボス部(73)と駆動軸(11)との摺動面に供給している。さらに、上記給油路(16)は、駆動軸(11)の上端面に開口し、潤滑油を駆動軸(11)の上方に供給している。
【0054】
上記ハウジング(50)の環状部(52)には、図示しないが、内周部の上面にシール部材が設けられている。そして、上記シール部材より中心部側が高圧空間の背圧部(42)に形成され、上記シール部材より遠心側が中間圧空間の中間圧部(43)に形成されている。つまり、上記背圧部(42)は、主としてハウジング(50)の凹部(53)に構成され、該凹部(53)は、可動スクロール(70)のボス部(73)の内部を介して駆動軸(11)の給油路(16)に連通している。上記背圧部(42)は、圧縮機構(40)の吐出圧力に対応した高圧圧力が作用し、この高圧圧力で可動スクロール(70)を固定スクロール(60)に押し付けている。
【0055】
上記中間圧部(43)は、可動側圧力部(44)と固定側圧力部(45)とを備えている。該可動側圧力部(44)は、可動スクロール(70)の鏡板(71)の背面の一部である鏡板(71)の外周部から鏡板(71)の側方に亘って形成されている。つまり、上記可動側圧力部(44)は、上記背圧部(42)の外側に形成され、中間圧力で可動スクロール(70)を固定スクロール(60)に押し付けている。
【0056】
上記固定側圧力部(45)は、上部空間(23)における固定スクロール(60)の外側に形成され、固定スクロール(60)の鏡板(61)における外周壁(63)とケーシング(20)との間を介して可動側圧力部(44)に連通している。
【0057】
なお、上記ハウジング(50)には、可動スクロール(70)の自転阻止部材(46)が形成されている。上記自転阻止部材(46)は、例えば、オルダム継手で構成され、上記ハウジング(50)の環状部(52)の上面に設けられ、可動スクロール(70)の鏡板(71)とハウジング(50)に摺動自在に嵌め込まれている。
【0058】
上記可動スクロール(70)の鏡板(71)には、油孔(75)が形成されている。該油孔(75)は、鏡板(71)の半径方向に延び、一端である内端がボス部(73)の底部(図2において上部)に連通している。上記油孔(75)は、スクリュー部材が挿入され、鏡板(71)の外周部に位置する小孔(76)が形成されている。該小孔(76)は、ラップ(72)より外側に位置して鏡板(71)の上部に開口している。つまり、上記油孔(75)は、駆動軸(11)の給油路(16)の上端に供給された高圧の潤滑油をボス部(73)内から可動スクロール(70)の鏡板(71)と固定スクロール(60)の鏡板(61)との摺動面に供給している。
【0059】
上記固定スクロール(60)と可動スクロール(70)とには、中間圧の冷媒を中間圧部(43)に供給する調整溝(47)が形成されている。該調整溝(47)は、固定スクロール(60)に形成された1次側通路(48)と、可動スクロール(70)に形成された2次側通路(49)とより構成されている。該1次側通路(48)は、固定スクロール(60)の外周壁(63)の下面に形成され、内端が外周壁(63)の内端に開口し、可動スクロール(70)のラップ(72)が外周壁(63)に接して形成される中間圧の圧縮室(41)に連通している。
【0060】
一方、上記2次側通路(49)は、可動スクロール(70)の鏡板(71)の外周部において正面から背面に貫通して形成され、上端が上記1次側通路(48)の外端部に間欠的に連通し、下端が可動スクロール(70)とハウジング(50)の間の上記中間圧部(43)に連通している。つまり、上記中間圧の圧縮室(41)から中間圧の冷媒が上記中間圧部(43)に供給され、該中間圧部(43)が所定の中間圧力の雰囲気に構成されている。
【0061】
さらに、上記固定スクロール(60)には、図3に示すように、固定側油溝(80)が形成され、上記可動スクロール(70)には、図3に示すように、可動側油溝(83)が形成されている。上記固定側油溝(80)は、固定スクロール(60)における鏡板(61)の外周壁(63)の正面(図2において下面)に形成され、縦孔(81)と周回溝(82)とを備えている。上記縦孔(81)は、上記可動スクロール(70)の油孔(75)の小孔(76)が連通し、高圧の潤滑油を周回溝(82)に供給している。上記周回溝(82)は、外周壁(63)の内周縁に沿って形成されている。つまり、上記固定側油溝(80)は、固定スクロール(60)の外周壁(63)の下面と可動スクロール(70)の鏡板(71)との摺接面に形成されている。
【0062】
上記可動側油溝(83)は、可動スクロール(70)における鏡板(71)の外周部の正面(図2において上面)に形成されている。上記可動側油溝(83)は、図5に示すように、円弧状溝で形成されている。更に、上記可動側油溝(83)は、図3に示すように、固定スクロール(60)のラップ溝(64)が冷媒の吸入状態であるときに該ラップ溝(64)の最外周部に連通する位置で、且つ、図4に示すように、上記ラップ溝(64)が圧縮室(41)の形成状態であるときに該ラップ溝(64)から遮断される位置に形成されている。つまり、上記可動側油溝(83)は、可動スクロール(70)の公転運動に伴って固定スクロール(60)のラップ溝(64)に間欠的に連通するように構成されている。
【0063】
−運転動作−
次に、上記スクロール型圧縮機(10)の圧縮機動作について説明する。
【0064】
上記電動機(30)を作動させると、圧縮機構(40)の可動スクロール(70)が回転駆動する。該可動スクロール(70)は、自転阻止部材(46)によって自転を防止されているので、駆動軸(11)の軸心を中心に公転のみを行う。上記可動スクロール(70)の公転に伴い、圧縮室(41)の容積が中心に向かって収縮し、上記圧縮室(41)は、上記吸入管(12)より吸入された冷媒ガスを圧縮する。圧縮が完了した冷媒ガスは、固定スクロール(60)の吐出口(65)を介して、高圧チャンバ(66)に吐出される。該高圧チャンバ(66)の高圧の冷媒ガスは、固定スクロール(60)及びハウジング(50)の通路を介して下部空間(24)に流れる。そして、上記下部空間(24)の冷媒は、吐出管(13)を介して、ケーシング(20)の外部へ吐出される。
【0065】
上記ケーシング(20)の下部空間(24)は、吐出される高圧の冷媒の圧力状態に保持され、油溜まり部(21)の潤滑油も高圧状態に保持される。上記油溜まり部(21)の高圧の潤滑油は、駆動軸(11)の給油路(16)の下端から上端に向かって流れ、駆動軸(11)の偏心部(15)の上端開口から可動スクロール(70)のボス部(73)の内部に流出する。該ボス部(73)に供給された油は、ボス部(73)と駆動軸(11)の偏心部(15)との摺動面を潤滑する。したがって、上記ボス部(73)の内部から背圧室(42)が吐出圧力に相当する高圧雰囲気になる。この高圧圧力によって可動スクロール(70)が固定スクロール(60)に押し付けられる。
【0066】
上記固定スクロール(60)の外周壁(63)の内周側に形成される圧縮室(41)は、可動スクロール(70)のラップ(72)が固定スクロール(60)の外周壁(63)に接した状態で形成される。この圧縮室(41)は、中心部に移動しつつ容積が収縮する。この最外周部の圧縮室(41)には、調整溝(47)の1次側通路(48)が連通しているので、上記圧縮室(41)が所定の中間圧力の状態になると、調整溝(47)の2次側通路(49)が1次側通路(48)に連通する。この結果、中間圧の冷媒が可動側圧力部(44)に供給されると共に、固定側圧力部(45)に供給され、可動スクロール(70)の背面外側と固定スクロール(60)の外側周囲が中間圧雰囲気となる。この中間圧力と上記高圧圧力によって可動スクロール(70)が固定スクロール(60)に押し付けられる。
【0067】
また、上記ボス部(73)に供給された油は、可動スクロール(70)の油孔(75)を流れ、固定スクロール(60)の固定側油溝(80)に流れる。該固定側油溝(80)の高圧の潤滑油は、固定スクロール(60)の外周壁(63)の下面と可動スクロール(70)の鏡板(71)との摺接面に供給され、スラスト面の潤滑を行う。
【0068】
上記摺接面の内側、つまり、固定スクロール(60)の外周壁(63)の内側が吸入圧力の低圧空間または中間圧空間の圧縮室(41)であるので、摺接面に供給された潤滑油の一部は、固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との中心側に向かって流れ、圧縮室(41)に流れ、固定スクロール(60)及び可動スクロール(70)のラップ(62,72)の先端と鏡板(61,71)との間をシールする。
【0069】
一方、上記固定側油溝(80)は、可動側油溝(83)に連通し、この可動側油溝(83)が、固定スクロール(60)の外周壁(63)の内側に出没する。つまり、上記可動側油溝(83)は、図3に示すように、固定スクロール(60)のラップ溝(64)が冷媒の吸入状態であるとき、具体的に、ラップ溝(64)が吸入管(12)に連通している状態において、該ラップ溝(64)の最外周部に連通する。したがって、上記固定側油溝(80)の潤滑油は、可動側油溝(83)を経てラップ溝(64)に流れる。
【0070】
また、上記可動側油溝(83)は、図4に示すように、上記ラップ溝(64)が圧縮室(41)の形成状態であるとき、具体的に、最外周部の圧縮室(41)が形成された状態において、ラップ溝(64)から遮断される。したがって、この場合、上記固定側油溝(80)の潤滑油は、可動側油溝(83)を経て圧縮室(41)に流れることはない。
【0071】
上記可動側油溝(83)からラップ溝(64)に流れた潤滑油は、固定スクロール(60)及び可動スクロール(70)のラップ(62,72)の先端と鏡板(61,71)との間をシールする。
【0072】
つまり、所定の圧縮比で圧縮が行われている場合、固定側油溝(80)の高圧の潤滑油は、固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との鏡板(61,71)の摺接面を流れて圧縮室(41)に供給される。特に、可動スクロール(70)は、背圧部(42)と中間圧部(43)の可動側圧力部(44)の圧力によって固定スクロール(60)に押し付けられてるが、固定側油溝(80)の高圧の潤滑油の圧力によって可動スクロール(70)は固定スクロール(60)から押し返される。この結果、可動スクロール(70)と固定スクロール(60)との間には、潤滑油が流れるための所定の微小隙間が確保される。
【0073】
しかしながら、圧縮比が低下し、吸入圧力である低圧圧力と吐出圧力である高圧圧力との差圧が小さくなると、固定側油溝(80)の高圧の潤滑油は、固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との鏡板(61,71)の摺接面を流れ難くなり、圧縮室(41)に供給されなくなる場合がある。
【0074】
つまり、上記中間圧力は、例えば、低圧圧力の1.5倍になるように設定されているので、低差圧状態においては、中間圧力が高圧圧力よりも大きくなる場合が生ずる。この場合、可動スクロール(70)の固定スクロール(60)への押し付け力が大きくなるので、可動スクロール(70)と固定スクロール(60)との間の微小隙間がより小さくなる。この結果、上記潤滑油は、固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との鏡板(61,71)の摺接面を流れ難くなる。
【0075】
本実施形態では、可動側油溝(83)を設けているので、潤滑油が可動側油溝(83)からラップ溝(64)に流れ、圧縮室(41)に潤滑油が供給される。
【0076】
一方、上記可動側油溝(83)が常にラップ溝(64)に連通していると、圧縮室(41)が形成された際、低圧の圧縮室(41)と高圧の背圧室(42)とが連通することになる。したがって、圧縮室(41)が形成された際には可動側油溝(83)がラップ溝(64)と遮断されるようにしている。
【0077】
−実施形態の効果−
以上のように、本実施形態によれば、固定側油溝(80)に連通する可動側油溝(83)が固定スクロール(60)のラップ溝(64)に間欠的に連通するようにしたために、高圧の潤滑油を確実に圧縮室(41)に供給することができる。
【0078】
つまり、圧縮比が低下し、中間圧力が高圧圧力よりも高くなった際においても、可動側油溝(83)が吸入圧力の低圧圧力の雰囲気にある固定スクロール(60)のラップ溝(64)に連通するので、潤滑油を確実に供給することができる。この結果、上記固定スクロール(60)及び可動スクロール(70)のラップ(62,72)の先端と鏡板(61,71)との間が上記潤滑油によって確実にシールされる。
【0079】
また、上記可動スクロール(70)の鏡板(71)の背面に中間圧力を作用させる中間圧部(43)を形成していることから、圧縮比が低下した際、可動スクロール(70)の固定スクロール(60)に対する押し付け力が大きくなる。この場合においても、可動側油溝(83)が固定スクロール(60)のラップ溝(64)に間欠的に連通するようにしたために、高圧の潤滑油を確実に圧縮室(41)に供給することができる。
【0080】
また、上記可動側油溝(83)は、上記固定スクロール(60)のラップ溝(64)が圧縮室(41)の形成状態であるときに該ラップ溝(64)から遮断されるので、低圧の圧縮室(41)と高圧の固定側油溝(80)との連通を防止することができ、圧縮効率の低下を防止することができる。
【0081】
また、上記可動側油溝(83)を円弧状溝で構成したために、油の供給面積を大きくすることができる。この結果、上記固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との間の摺動面に潤滑油を確実に供給することができる。
【0082】
また、上記背圧部(42)を形成しているので、該背圧部(42)の高圧圧力と可動側圧力部(44)の中間圧力とによって可動スクロール(70)が固定スクロール(60)に確実に押し付けられる。
【0083】
−実施形態の変形例1−
本変形例1は、図6に示すように、上記実施形態が可動側油溝(83)を円弧状溝に構成したのに代えて、可動側油溝(83)を楕円状溝で形成したものである。
【0084】
具体的に、上記可動側油溝(83)は、楕円状に形成され、固定側油溝(80)が連通すると共に、一端が固定スクロール(60)のラップ溝(64)に間欠的に連通するように構成されている。特に、上記可動側油溝(83)は、可動スクロール(70)の外周部から該可動スクロール(70)の中心側に向かって延びている。つまり、上記可動側油溝(83)は、固定スクロール(60)のラップ溝(64)が流体の吸入状態であるときに該ラップ溝(64)の最外周部に連通し、上記ラップ溝(64)が圧縮室(41)の形成状態であるときに該ラップ溝(64)から遮断されるように形成されている。
【0085】
したがって、本変形例によれば、上記可動側油溝(83)を容易に形成することができ、構造の簡略化を図ることができる。その他の構成、作用及び効果は上記実施形態と同様である。
【0086】
−実施形態の変形例2−
本変形例2は、図7に示すように、上記実施形態が可動側油溝(83)を円弧状溝に構成したのに代えて、可動側油溝(83)を2つの直線状通路で形成したものである。
【0087】
具体的に、上記可動側油溝(83)は、固定側油溝(80)が連通する直線状の第1通路(84)と、該第1通路(84)の一端より折れ曲がり上記固定スクロール(60)のラップ溝(64)が連通する直線状の第2通路(85)とを備えている。そして、上記第2通路(85)は、固定スクロール(60)のラップ溝(64)が流体の吸入状態であるときに該ラップ溝(64)の最外周部に連通し、上記ラップ溝(64)が圧縮室(41)の形成状態であるときに該ラップ溝(64)から遮断されるように形成されている。
【0088】
したがって、本変形例によれば、上記第2通路(85)を長く形成することにより、油の供給面積を拡大することができる。この結果、上記固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との間の摺動面に潤滑油をより確実に供給することができる。その他の構成、作用及び効果は上記実施形態と同様である。
【0089】
−実施形態の変形例3−
本変形例3は、図8に示すように、上記実施形態が可動側油溝(83)を円弧状溝に構成したのに代えて、可動側油溝(83)を2つの直線状通路で形成したものである。
【0090】
具体的に、上記可動側油溝(83)は、固定側油溝(80)が連通する直線状の第1通路(84)と、該第1通路(84)の一端より折れ曲がり上記固定スクロール(60)のラップ溝(64)が連通するL字状の第2通路(85)とを備えている。そして、上記第2通路(85)は、固定スクロール(60)のラップ溝(64)が流体の吸入状態であるときに該ラップ溝(64)の最外周部に連通し、上記ラップ溝(64)が圧縮室(41)の形成状態であるときに該ラップ溝(64)から遮断されるように形成されている。
【0091】
したがって、本変形例によれば、上記第2通路(85)の先端部が固定スクロール(60)のラップ溝(64)に臨むことになり、該ラップ溝(64)との連通部分を大きくすることができる。この結果、圧縮室(41)への潤滑油の供給量を多くすることができるので、上記固定スクロール(60)及び可動スクロール(70)のラップ(62,72)の先端と鏡板(61,71)との間のシールをより確実に行うことができる。
【0092】
また、上記第2通路(85)を長く形成することにより、油の供給面積を拡大することができる。この結果、上記固定スクロール(60)と可動スクロール(70)との間の摺動面に潤滑油をより確実に供給することができる。その他の構成、作用及び効果は上記実施形態と同様である。
【0093】
〈その他の実施形態〉
上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0094】
上記実施形態及び各変形例は、固定側油溝(80)の先端部が可動側油溝(83)に連通するように構成されている。しかしながら、上記可動側油溝(83)は、固定側油溝(80)の長さ方向の中央部などに連通していてもよい。
【0095】
また、上記スクロール型圧縮機(10)は、冷媒回路に設けられるものに限られず、各種の流体を圧縮するものであってもよい。
【0096】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上説明したように、本発明は、高圧の潤滑油が圧縮室に供給されるスクロール型圧縮機について有用である。
【符号の説明】
【0098】
10 スクロール型圧縮機
11 駆動軸
20 ケーシング
40 圧縮機構
42 背圧部
43 中間圧部
44 可動側圧力部
45 固定側圧力部
50 ハウジング
60 固定スクロール
70 可動スクロール
61,71 鏡板
62,72 ラップ
64,74 ラップ溝
80 固定側油溝
81 縦孔
82 周回溝
83 可動側油溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(20)と、
該ケーシング(20)に収納され、固定スクロール(60)及び該固定スクロール(60)に噛合する可動スクロール(70)を有する圧縮機構(40)と、
上記可動スクロール(70)の少なくとも背面の一部に、上記圧縮機構(40)の吸入圧力と吐出圧力との間の中間圧力を作用させる中間圧部(43)とを備えたスクロール型圧縮機であって、
上記固定スクロール(60)の鏡板(61)の正面で且つ上記可動スクロール(70)の鏡板(71)が常時摺接する摺接部に形成され、上記圧縮機構(40)の吐出圧力に対応した高圧の潤滑油が供給される固定側油溝(80)と、
上記固定スクロール(60)の鏡板(61)が摺接する可動スクロール(70)の鏡板(71)の正面に形成され、上記固定側油溝(80)が連通すると共に、上記可動スクロール(70)のラップ(72)が嵌り込む固定スクロール(60)のラップ溝(64)が流体の吸入状態であるときに該ラップ溝(64)の最外周部に連通し、上記ラップ溝(64)が圧縮室(41)の形成状態であるときに該ラップ溝(64)から遮断される可動側油溝(83)とを備えている
ことを特徴とするスクロール型圧縮機。
【請求項2】
請求項1において、
上記可動スクロール(70)の背面側に設けられ、該可動スクロール(70)が載置されるハウジング(50)と、
上記可動スクロール(70)と上記ハウジング(50)との間に形成され、上記圧縮機構(40)の吐出圧力に対応した高圧圧力を可動スクロール(70)の背面の中央部に作用させる背圧部(42)とを備える一方、
上記中間圧部(43)は、上記可動スクロール(70)とハウジング(50)との間で且つ上記背圧部(42)の側方に形成された可動側圧力部(44)と、上記固定スクロール(60)の外側に形成され且つ上記可動側圧力部(44)に連通する固定側圧力部(45)とを備えている
ことを特徴とするスクロール型圧縮機。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記可動側油溝(83)は、円弧状溝で構成されている
ことを特徴とするスクロール型圧縮機。
【請求項4】
請求項1または2において、
上記可動側油溝(83)は、固定側油溝(80)が連通する直線状の第1通路(84)と、該第1通路(84)の一端より折れ曲がり上記固定スクロール(60)のラップ溝(64)が連通する直線状の第2通路(85)とを備えている
ことを特徴とするスクロール型圧縮機。
【請求項5】
請求項1または2において、
上記可動側油溝(83)は、固定側油溝(80)が連通する直線状の第1通路(84)と、該第1通路(84)の一端より折れ曲がり上記固定スクロール(60)のラップ溝(64)が連通するL字状の第2通路(85)とを備えている
ことを特徴とするスクロール型圧縮機。
【請求項6】
請求項1または2において、
上記可動側油溝(83)は、楕円状溝で構成されている
ことを特徴とするスクロール型圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−77616(P2012−77616A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220374(P2010−220374)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】