説明

スタッカクレーン

【課題】ケージを軽量化し、さらにはスタッカクレーン全体の軽量化を図る。
【解決手段】多段配置された収納棚に沿って設けられた軌道上を走行するとともに、荷物を収容する昇降部を駆動装置によって昇降させることで各収納棚との間で荷物を搬送するスタッカクレーンであって、上記昇降部は、上記荷物が載置されるメインフレーム41と、該メインフレーム41の両端部の各々に対して設けられるとともに上記駆動装置に昇降ワイヤを介して吊られる一対のサイドフレーム43と、上記荷物の重量による上記メインフレーム41の撓みに起因する曲げモーメントを吸収することで上記サイドフレーム43に上記曲げモーメントが伝達されることを抑止するモーメント吸収手段49,411とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッカクレーンに関するものであり、メインフレームとメインフレームの両端側に設置されるサイドフレームとを有する昇降部を上下動するスタッカクレーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、上下方向並びに横方向に並列する複数の収納棚にて荷物を保管する自動倉庫では、スタッカクレーンを用いて荷物の搬送が行われている。このスタッカクレーンは、荷物の収納棚に沿って設けられた軌道上を走行するとともに、昇降ワイヤを介して吊上げられたケージを駆動装置で昇降させることで任意の収納棚との間にて荷物の受け渡しを行うことができる。
【0003】
ところで、上述のようなスタッカクレーンでは、製造コストの削減や取り扱い性向上等の観点から軽量化が求められている。
例えば、特許文献1には、ケージのガイドとして機能するマストの間隔をケージに備えられたブラケット及び連結材によって変化させることでマストの必要強度を低減させ、マストをアルミニウム等の軽量材料によってスタッカクレーンを軽量化する技術が記載されている。
【特許文献1】特開平1−104504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、マストを軽量化することは可能であるが、ケージにブラケットや連結材を設置する必要が生じ、スタッカクレーン全体としての十分な軽量化が図れない。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ケージを軽量化し、さらにはスタッカクレーン全体の軽量化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、多段配置された収納棚に沿って設けられた軌道上を走行するとともに、荷物を収容する昇降部を駆動装置によって昇降させることで各収納棚との間で荷物を搬送するスタッカクレーンであって、上記昇降部が、上記荷物が載置されるメインフレームと、該メインフレームの両端部の各々に対して設けられるとともに上記駆動装置に昇降ワイヤを介して吊られる一対のサイドフレームと、上記荷物の重量による上記メインフレームの撓みに起因する曲げモーメントを吸収することで上記サイドフレームに上記曲げモーメントが伝達されることを抑止するモーメント吸収手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
従来のスタッカクレーンにおいては、メインフレームの撓みによってサイドフレームが傾き、これによってケージの正確な昇降動作が阻害されないように、メインフレームとサイドフレームとを強固に剛結合するとともに、撓みの発生を抑制するためにメインフレーム及びサイドフレームを厚く形成している。
これに対して、上述のような特徴を有する本発明によれば、モーメント吸収手段によって、荷物の重量によるメインフレームの撓みに起因する曲げモーメントが吸収される。このため、メインフレームの撓みによってサイドフレームが傾くことを防止される。
【0008】
また、本発明においては、上記モーメント吸収手段が、上記メインフレームあるいは上記サイドフレームのいずれか一方から突出されるピン部と、上記メインフレームあるいは上記サイドフレームのいずれか他方に設置されるとともに上記ピン部を上記曲げモーメントによる回動方向に回動自在に支持する軸受とを備えるという構成を採用することができる。
【0009】
また、本発明においては、上記サイドフレームの上記曲げモーメントによる回動方向への回動を制止する回動制止手段を備えるという構成を採用することができる。
【0010】
また、本発明においては、上記回動制止手段が、上記サイドフレームに固定されるとともに、上記ピン部及び上記軸受よりも下方の位置にて所定の当接面に当接されることによって上記サイドフレームの回動を制止するという構成を採用することができる。
【0011】
また、本発明においては、上記サイドフレームが、上記昇降ワイヤと接続される接続部を頂点とする略三角形に形状設定されているという構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、モーメント吸収手段によって、荷物の重量によるメインフレームの撓みに起因する曲げモーメントが吸収され、これによってメインフレームの撓みによってサイドフレームが傾くことを防止される。このため、メインフレームとサイドフレームとを剛結合する必要がなくなるとともに、メインフレーム及びサイドフレームを厚く形成する必要がなくなる。
したがって、本発明によれば、ケージを軽量化し、さらにはスタッカクレーン全体の軽量化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係るスタッカクレーンの一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0014】
図1は、本実施形態のスタッカクレーンCを備える自動倉庫Sの平面図である。また、図2は、自動倉庫Sの側面図である。
これらの図に示すように、自動倉庫Sは、スタッカクレーンCと、該スタッカクレーンCの軌道であるレールRを挟んで対向配置されるラックT1,T2とを備えており、ラックT1,T2にスタッカクレーンCによって荷物を搬送して保管するものである。また、自動倉庫Sは、荷物を入庫するための入庫用コンベヤ(不図示)と荷物を出庫するための出庫用コンベヤ(不図示)とを備えており、スタッカクレーンCによって、入庫用コンベヤ及び出庫用コンベヤとの間にて荷物の受け渡しを行うことが可能とされている。
なお、本実施形態において、荷物はガラス基板を複数収納したカセットXであり、ラックT1,T2及びスタッカクレーンCは、例えばクリーン度10000レベルのクリーンルームCL1内に設置されている。
【0015】
ラックT1,T2は、水平方向に及び上下方向に複数配列された収納棚Tによって構成されており、各収納棚TにカセットXを保管可能とされている。すなわち、ラックT1,T2は、多段配置された収納棚Tによって構成されている。また、ラックT1,T2は、互いに対向する側がカセットXの出入口として構成されている。
なお、以下の説明において、収納棚Tの水平方向の配列方向をX方向とし、X方向と直交する水平方向をY方向、X−Y面と直交する垂直方向をZ方向として説明する場合がある。
【0016】
レールRは、X方向に延在して、すなわちラックT1,T2に沿って敷設されており、クリーンルームCL1の床に所定間隔で平行に敷設されるレールR1,R2と、クリーンルームCL1の天井に敷設されるレールR3とによって構成されている。
【0017】
スタッカクレーンCは、レールR1,R2に下方から支持されるとともに、レールR1,R2上において回転可能とされた4つ車輪1を備えている。各車輪1に対してモータ2が接続されており、モータ2の駆動によって車輪1が回転されスタッカクレーンCがレールR1,R2を走行する。なお、車輪1のうちレールR2上を回転する車輪1aには、レールR2の両側面に当接されるガイドローラ1bが設置されており、該ガイドローラ1bによって車輪1aがレールR2上をガイドされる。
また、スタッカクレーンCは、昇降されるケージ40(昇降部)を備えており、ケージ40上に設置された移載装置100(例えば、フォークリフト装置)によって、ケージ40と収納棚Tとの間、ケージ40と入庫用コンベヤとの間及びケージ40と出庫用コンベヤとの間にてカセットXの受け渡しを行う。
【0018】
続いて、図3〜図9を参照して、スタッカクレーンCの詳細について説明する。
図3は、スタッカクレーンCの斜視図である。また、図4はスタッカクレーンCの正面図である。なお、図3及び図4においては、図面の視認性を向上させるために、スタッカクレーンCが備える車輪1、モータ2、ガイドローラ1b及び移載装置100の図示を省略している。
これらの図に示すように、スタッカクレーンCは、下部フレーム10と、マスト20と、上部フレーム30と、ケージ40と、駆動装置50と、制御装置60とを備えている。
【0019】
下部フレーム10は、上記車輪1が回転自在に設置される車輪取り付け部11を有する土台とされるものであり、X方向に延在するとともに平行に配置される2つのメインフレーム12と、2つのメインフレームの端部同士を接続する2つのサイドフレーム13とを備えている。
【0020】
マスト20は、下部フレーム10上に立設されるものであり、下部フレーム10の一方のサイドフレーム13aに立設されるマスト20aと、下部フレームの他方のサイドフレーム13bに立設されるマスト20bとによって構成されている。すなわち、下部フレーム10上には、一対のマスト20a,20bがZ方向に延在して設置されている。なお、マスト20aとマスト20bとは、X方向に配列されている。すなわち、マスト20aとマスト20bとは、Y方向において同一位置に立設されている。
このマスト20は、角柱形状を有しており、各側面がX方向あるいはY方向と平行となるように立設されている。
【0021】
上部フレーム30は、マスト20aの上端部とマスト20bの上端部とを接続するものであり、X方向に延在して配置されている。
この上部フレーム30の略中央部には、上記レールR3を狭持することによって、スタッカクレーンCのY方向の傾動を抑止するためのガイドローラ(不図示)が設置されている。
【0022】
図5は、ケージ40の斜視図である。この図に示すように、ケージ40は、X方向に延在する2つのメインフレーム41を有している。メインフレーム41同士は、補強部材42によって接続されている。メインフレーム41の両端部の各々に対してはサイドフレーム43が接続されている。
図6は、サイドフレーム43単体の斜視図である。この図に示すように、サイドフレーム43は、後述する接続部48を頂点とする略三角形に形状設定されている。そして図5に示すように、その底辺部43aにて2つのメインフレーム41を接続している。また、サイドフレーム43は、底辺部43a及び頂部43bからマスト20方向に突出するガイド部44を備えている。
ガイド部44には、マスト20を狭持するガイドローラ46、及び、マスト20のY方向と平行な側面22に当接される小型のガイドローラ47が設置されている。図7の斜視図に示すように、ガイドローラ46は、マスト20のX方向と平行な側面21に当接されている。ガイドローラ46,47は、マスト20の側面21,22を摺動面としている。そして、これらのガイドローラ46,47にガイドされることによってサイドフレーム43、さらにはケージ40がマスト20に沿って、上下方向(Z方向)に移動可能とされている
サイドフレーム43の頂部43bから突出するガイド部44aには、後述する駆動装置50が備える昇降ワイヤ51が接続される接続部48が設置されている。
【0023】
そして、本実施形態のスタッカクレーンCにおいては、図6に示すように、サイドフレーム43の底辺部43aの両端からは、Y方向に突出にするピン部49が形成されている。
【0024】
メインフレーム41のサイドフレーム432側の端部近傍には、図7の拡大斜視図に示すように、X−Z平面内において回動自在に軸支可能な軸受411が設置されている。ここで、メインフレーム41上に設置された移載装置100(図1及び図2参照)が荷物Xを搭載した場合には、メインフレーム41は、荷物Xの重量によって撓み、これによって生じた曲げモーメントによってメインフレーム41に接続される部材にはX−Z平面内において回動しようとする力が加わる。
そして、メインフレーム41に設置される軸受411は、X−Z平面内において回動自在に軸支可能なものであり、すなわち、上記曲げモーメントによってメインフレーム41に接続された部材が回動しようとする回動方向に回動自在に軸支可能なものである。
このようなメインフレーム41に設置された軸受411に対して、サイドフレーム43に固定されたピン部49が軸支されている。すなわち、ピン部49は、荷物Xの重量によるメインフレーム41の撓みに起因する上記曲げモーメントによる回動方向に回動自在に軸支されている。すなわち、サイドフレーム432が上記曲げモーメントによる回動方向に回動自在に軸支されている。
【0025】
また、図8に示すように、メインフレーム41のサイドフレーム431側の端部近傍にも軸受411と同様に、X−Z平面内において回動自在に軸支可能な軸受412が設置されており、サイドフレーム431に形成されたピン部49が軸受412によって軸支されている。すなわち、サイドフレーム431が上記曲げモーメントによる回動方向に回動自在に軸支されている。
【0026】
また、メインフレーム41のサイドフレーム431側の端部近傍には、X方向に延在する長穴413が形成されており、当該長穴413には、軸受412がX方向に移動可能に嵌合されている。また、長穴413の近傍には、軸受412を貫通して延在されたピン部49と接続されるバネ部414が設置されている。このバネ部414は、サイドフレーム431のピン部49をマスト20a方向に付勢するような付勢力を持つように設置されている。このような構成によって、サイドフレーム431がマスト20aから離間する方向(−X方向)に移動した場合やメインフレーム41がマスト20aに近づく方向(+X方向)に移動した場合において、バネ部414に付勢力以上の力が加わった場合には、軸受412が長穴413内を相対的にマスト20aから離間する方向(−X方向)に移動する。
例えば、仮にマスト20が昇降ワイヤ51を介して伝達されるケージ40の重量や駆動装置50の駆動力に起因する力によって、X方向に撓んでいる場合には、ケージ40がマスト20に沿って昇降する過程においてマスト間隔の変化が生じ、ケージ40に横応力が加わることとなる。これに対し、本実施形態のスタッカクレーンCでは、軸受412の長穴413における移動によって、マスト20の撓みに起因してケージ40にかかる応力を吸収することができる。したがって、マスト20がX方向に撓んでいる場合であっても、サイドフレーム43及びメインフレーム41に強い横応力が加わることがなく、該横応力に耐えるためにサイドフレーム43及びメインフレーム41を厚く形成する必要がない。なお、マスト間隔が正常である場合には、バネ部414の付勢力によってピン部49が所定の位置に戻されるため、ケージ40の形状を正常な状態に保つことができる。
【0027】
また、本実施形態のスタッカクレーンCにおいては、図9に示すように、底辺部43aから突出するガイド部44b(サイドフレーム)に固定されるガイドローラ47a(回動制止手段)は、ピン部49及び軸受411,412よりも下方の位置にてマスト20の側面22(所定の当接面)に当接されているため、上記ピン部49を回動中心とするサイドフレーム43の回動を制止することができる。また、ピン部49がバネ部414による付勢を受けるとともに、マスト20の側面22と当接されているため、図10の実線に示すように、ケージ40のメインフレーム41は、X軸方向の基準位置を保持できる。すなわち、バネ部414による付勢力Fとガイドローラ47aの反力Rとの釣り合いが取れるため、メインフレーム41のX軸方向の基準位置を保持できる。このため、収納棚Tへの移載精度が向上することができる。
仮に、バネ部414によるピン部49への付勢がなければ、図10の二点鎖線に示すように、メインフレーム41が撓んだ際のX軸方向の基準位置が保持できない。さらに、図11に示すように、ガイドローラ47aがピン部49よりも上方に位置している場合には、バネ部414による付勢力が、サイドフレーム43にY軸方向に回動する力として働く。このため、サイドフレーム43の姿勢が不安定となる虞がある。
なお、図9においては、図面の視認性を向上させるために、駆動装置の図示を省略している。
【0028】
図3及び図4に戻り、駆動装置50は、昇降ワイヤ51と、ドラム52と、モータ53と、減速器54とを備えている。
昇降ワイヤ51は、ケージ40のサイドフレーム43が備えるガイド部44の接続部48に一端が接続されるとともに、ドラム52に他端が巻回されている。また、昇降ワイヤ51としては、マスト20a側に位置するサイドフレーム431のガイド部44aに接続される昇降ワイヤ51aと、マスト20b側に位置するサイドフレーム432のガイド部44aに接続される昇降ワイヤ51bとが存在するが、いずれの昇降ワイヤ51a,51bも他端がドラム52に巻回されている。
なお、マスト20aの頂部及びマスト20bの頂部には、昇降ワイヤ51を案内するためのシーブ55が設置されている。マスト20aの頂部に設置されたシーブ55aは、X−Z平面内にて回転自在とされており、昇降ワイヤ51aをサイドフレーム431から突出するガイド部44aに案内するとともに、昇降ワイヤ51bをマスト20bの頂部に設置されたシーブ55bに案内するものである。マスト20bの頂部に設置されたシーブ55bは、X−Z平面内にて回転自在とされており、昇降ワイヤ51bをサイドフレーム432から突出するガイド部44aに案内するものである。
【0029】
ドラム52は、下部フレーム10のサイドフレーム13a上に、Y方向を向く回転軸を中心として回転可能に設置されている。
モータ53は、減速器54を介してドラム52と接続されており、減速器54を介してドラム52を回転する。なお、モータ53及び減速器54は、ドラム52の両端に各々設置されている。
【0030】
制御装置60は、スタッカクレーンC全体の動作を制御するものであり、下部フレーム10のサイドフレーム13b上に設置されている。なお、制御装置60は、ケーブル61によって、自動倉庫S全体の制御を行う外部の制御装置と電気的に接続されている。
【0031】
このようなスタッカクレーンCにおいては、モータ53を制御してドラム52の回転量を調整することによって昇降ワイヤ51の巻回量を変化させ、これによって昇降ワイヤ51に接続されたケージ40のサイドフレーム43の高さが調整される。すなわち、駆動装置50の駆動によって、ケージ40の高さが制御される。そして、スタッカクレーンCの走行位置及びケージ40の高さが調整されることによって、ケージ40に搭載された移載装置100によって荷物Xの受け渡しが行われる。
【0032】
上述のように、ケージ40に搭載された移載装置100に荷物Xが積まれている場合には、荷物Xの重量によってケージ40のメインフレーム41が撓み、これに起因する曲げモーメントが生じる。
ここで、本実施形態のスタッカクレーンCにおいては、サイドフレーム43に形成されたピン部49が、メインフレーム41の端部に設置された軸受411あるいは軸受412によって軸支されており、曲げモーメントによる回動方向に回動自在とされている。このため、メインフレーム41が荷物Xの重量によって撓んだ場合であっても、軸受411,412が回動することによって曲げモーメントが吸収され、サイドフレーム43に上記曲げモーメントは伝達されない。すなわち、ピン部49及び軸受411,412によって、本発明のモーメント吸収手段が構成されている。
【0033】
このように本実施形態のスタッカクレーンCによれば、サイドフレーム43に固定されるピン部49とメインフレーム41に設置される軸受411,412によって、荷物Xの重量によるメインフレーム41の撓みに起因する曲げモーメントが吸収されるためメインフレーム41の撓みによってサイドフレーム43が傾くことを防止することができる。このため、メインフレーム41とサイドフレーム43とを剛結合する必要がなくなるとともに、メインフレーム41及びサイドフレーム43を厚く形成する必要がなくなる。
したがって、本実施形態のスタッカクレーンCによれば、ケージ40を軽量化し、さらにはスタッカクレーンC全体の軽量化を図ることが可能となる。
【0034】
また、本実施形態のスタッカクレーンCによれば、ピン部49及び軸受411,412よりも下方にてマスト20の側面22と当接されることによって、サイドフレーム43のピン部49を回動中心とする回動を制止するガイドローラ47aを備えている。
このため、例えば、メンテナンス時において、昇降ワイヤ51とサイドフレーム43の接続部48との接続を解除した場合であっても、サイドフレーム43が傾く若しくは倒れることを防止することが可能となる。
【0035】
また、本実施形態のスタッカクレーンCによれば、サイドフレーム43が、接続部48を頂点する略三角形に形状設定されている。このため、従来の略四角形に形状設定されたサイドフレーム43と比較して、サイドフレーム43の必要材料を低減させることができ、より低コストでスタッカクレーンCを提供することが可能となる。
特に、本実施形態のスタッカクレーンCにおいては、サイドフレーム43の厚みを薄くすることができるため、該効果と相まってスタッカクレーンCの低コスト化をより促進することができる。
【0036】
以上、図面を参照しながら本発明に係るスタッカクレーンの好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0037】
例えば、上記実施形態においては、ピン部49がサイドフレーム43に固定され、軸受411,412がメインフレーム41に設置される構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、逆にサイドフレームに軸受が設置され、ピン部がメインフレームに固定されるという構成を採用することもできる。
【0038】
また、上記実施形態においては、ピン部49及び軸受411,412によって本発明のモーメント吸収手段が構成されている例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ゴム部やバネ部等の他の機構を用いてモーメント吸収手段を構成することも可能である。
【0039】
また、上記実施形態においては、回動制止手段として、ピン部49及び軸受411,412より下方に位置するガイドローラ47aを用いる構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、回動制止手段として、昇降ワイヤと接続部の接続が解除されている場合に、マスト20を把持することによってサイドフレームの回動を制止するような機構を採用することもできる。
【0040】
また、上記実施形態においては、スタッカクレーンCの搬送対象物である荷物がガラス基板を収納するカセットである構成やクリーンルームにおける実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、通常の雰囲気における物流倉庫や配送センタ等に用いても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態であるスタッカクレーンを備える自動倉庫の平面図である。
【図2】本発明の一実施形態であるスタッカクレーンを備える自動倉庫の側面図である。
【図3】本発明の一実施形態であるスタッカクレーンの斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態であるスタッカクレーンの正面図である。
【図5】本発明の一実施形態であるスタッカクレーンが備えるケージの斜視図である。
【図6】ケージが備えるサイドフレーム単体の斜視図である。
【図7】ケージが備えるメインフレームの一方側の端部近傍を拡大した拡大斜視図である。
【図8】ケージが備えるメインフレームの他方側の端部近傍を拡大した拡大斜視図である。
【図9】サイドフレームとマストとの関係を示す斜視図である。
【図10】ケージに設置されるバネ部及びピン部の動作を説明するための模式図である。
【図11】ケージに設置されるバネ部及びピン部の動作を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0042】
C……スタッカクレーン、R(R1〜R3)……レール(軌道)、T……収納棚、20(20a,20b)……マスト、21……側面、22……側面(当接面)、40……ケージ(昇降部)、41……メインフレーム、411,412……軸受(モーメント吸収手段)、413……長穴、414……バネ部、43(431,432)……サイドフレーム、44……ガイド部、45……支持部、46,47……ガイドローラ、47a……ガイドローラ(回動制止手段)、48……接続部、49……ピン部(モーメント吸収手段)、50……駆動装置、51(51a,51b)……昇降ワイヤ、52……ドラム、53……モータ、54……減速器、55(55a,55b)……シーブ、60……制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段配置された収納棚に沿って設けられた軌道上を走行するとともに、荷物を収容する昇降部を駆動装置によって昇降させることで各収納棚との間で荷物を搬送するスタッカクレーンであって、
前記昇降部は、
前記荷物が載置されるメインフレームと、
該メインフレームの両端部の各々に対して設けられるとともに前記駆動装置に昇降ワイヤを介して吊られる一対のサイドフレームと、
前記荷物の重量による前記メインフレームの撓みに起因する曲げモーメントを吸収することで前記サイドフレームに前記曲げモーメントが伝達されることを抑止するモーメント吸収手段と
を備えることを特徴とするスタッカクレーン。
【請求項2】
前記モーメント吸収手段は、前記メインフレームあるいは前記サイドフレームのいずれか一方から突出されるピン部と、前記メインフレームあるいは前記サイドフレームのいずれか他方に設置されるとともに前記ピン部を前記曲げモーメントによる回動方向に回動自在に支持する軸受とを備えることを特徴とする請求項1記載のスタッカクレーン。
【請求項3】
前記サイドフレームの前記曲げモーメントによる回動方向への回動を制止する回動制止手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載のスタッカクレーン。
【請求項4】
前記回動制止手段は、前記サイドフレームに固定されるとともに、前記ピン部及び前記軸受よりも下方の位置にて所定の当接面に当接されることによって前記サイドフレームの回動を制止することを特徴とする請求項3記載のスタッカクレーン。
【請求項5】
前記サイドフレームは、前記昇降ワイヤと接続される接続部を頂点とする略三角形に形状設定されていることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のスタッカクレーン。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−81302(P2008−81302A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266040(P2006−266040)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【特許番号】特許第4013991号(P4013991)
【特許公報発行日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】