説明

スタッドボルト用固定クリップ

【課題】幅広シート状の取付部材に形成された取付孔に容易に組み付けることが可能となるスタッドボルト用固定クリップを提供する。
【解決手段】円筒部30の各延出部32A〜32Dの下端面に対向する下方の外周部には、円筒部30の軸心を中心とする平面視略扇形の一対の平板状のフランジ部35が、軸心に対して相対向するように半径方向外側に延出されている。また、各延出部32A〜32Dの下端面と各フランジ部35の上端面とは、取付部材51の最大厚さ寸法にほぼ等しい距離だけ離間している。また、各フランジ部35の一方の周方向端縁部には、円筒部30の外周面に沿って軸方向斜め外側に向かって延出されて、その先端部から該各フランジ部35の下端面までの距離が取付部材51の最大厚さよりも大きくなるように形成された各進入案内部36が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体パネル等に立設されるスタッドボルトに固定することができるスタッドボルト用固定クリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車体パネル等に立設されるスタッドボルトに固定することができるスタッドボルト用固定クリップについて種々提案されている。
例えば、第1クリップの内側に複数の係止爪が形成された内筒部を取付部材の取付孔に挿入できるように位置決めし、また、第2クリップの外筒部を、取付孔に挿入される内筒部を受け入れるように位置決めする。そして、位置決めされた第1クリップの内筒部を取付孔に挿入するように押し込み、第2クリップを、外筒部が第1クリップの内筒部を収容するように押し込む。これによって、第1クリップの第1クリップフランジと第2クリップの第1クリップフランジとの間に取付部材が挟まれた状態で、第1クリップの内筒部の首部の係止肩に第2クリップの係止部が係止されるスタッドボルト用の固定具がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−292146号公報(段落(0013)〜(0023)、図1〜図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載された固定具では、車体パネル等に装着されるアンダーカバー等の幅広シート状の取付部材に形成された取付孔に取り付ける場合には、第1クリップ又は第2クリップの一方を幅広シート状の取付部材の見えない側から取付孔に対して治具等により位置決めして、他方を取付孔を介して押し込む必要があり、幅広シート状の取付部材への取り付け作業が煩雑になるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、幅広シート状の取付部材に形成された取付孔に容易に組み付けることが可能となるスタッドボルト用固定クリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため請求項1に係るスタッドボルト用固定クリップは、取付部材に形成された取付孔に一端側が組み付けられて、他端側に被取付部材に固設されたスタッドボルトが挿入されるボルト挿入口と、前記ボルト挿入口の内側に設けられて該ボルト挿入口に挿入されたスタッドボルトのネジ部分に係合する係止手段と、を備えたスタッドボルト用固定クリップにおいて、前記一端側に形成されて前記取付孔に前記被取付部材に対向する側から挿入する円筒部と、前記円筒部の外周面から軸直角外側方向に延出されて前記取付孔に組み付けられた状態で前記取付部材の一方の面に対向する延出部と、前記延出部から軸方向外側に所定距離離れた外周面から軸回り所定角度範囲で半径方向外側に延出されたフランジ部と、前記フランジ部の周方向一方の端縁部から前記円筒部の外周面に沿って軸方向斜め外側に向かって延出されて、先端部から該フランジ部の軸方向外側端面までの距離が前記取付部材の厚さよりも大きくなるように形成された進入案内部と、を備え、前記取付部材は、前記取付孔の外周部から半径方向外側に切り欠かれて前記進入案内部を填め込み可能な切欠き溝部を備え、前記円筒部を前記取付孔に挿入して前記フランジ部を前記取付部材の一方の面に当接させると共に、前記進入案内部を前記切欠き溝部に填め込んだ後、該進入案内部の先端側方向へ軸回りに回転させることによって、該フランジ部が該取付部材の他方の面側に潜り込んで当該フランジ部と前記延出部とによって該取付部材を挟持した状態で該取付孔に組み付けられることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係るスタッドボルト用固定クリップは、請求項1に記載のスタッドボルト用固定クリップにおいて、前記円筒部の前記延出部の基端部と同一円周上の外周面から前記フランジ部側方向に斜めに延出された薄板状で前記他端側方向に弾性変形可能な弾性押圧片を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係るスタッドボルト用固定クリップは、請求項1又は請求項2に記載のスタッドボルト用固定クリップにおいて、前記延出部の基端部から半径方向外側端縁部まで所定幅で切り欠かれた切欠部と、前記切欠部の奥側端面から該延出部の上端面と同一平面を形成するように延出されて前記他端側方向に弾性変形可能な薄板状の弾性リブ部と、前記弾性リブ部の前記フランジ部に対向する面の先端部に突設される位置決突起と、
を備え、
前記取付孔に組み付けられた場合には、前記位置決突起が前記切欠き溝部内に位置することを特徴とする。
【0009】
更に、請求項4に係るスタッドボルト用固定クリップは、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスタッドボルト用固定クリップにおいて、前記円筒部の軸方向外側端面部の中央位置に形成されて工具の先端部が係合可能な工具孔を備え、前記工具孔に工具の先端部を差し込んで所定方向に回転させることによって前記スタッドボルトと前記係止手段との係合が解除されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係るスタッドボルト用固定クリップでは、円筒部を取付孔に挿入してフランジ部を取付部材の一方の面に当接させると共に、進入案内部を切欠き溝部に填め込んだ後、該進入案内部の先端側方向へ軸回りに回転させることによって、フランジ部と延出部とによって該取付部材を挟持した状態で、該取付孔に組み付けることができる。このため、車体パネル等に装着されるアンダーカバー等の幅広シート状の取付部材に形成された取付孔に一方向側から容易且つ迅速に組み付けることが可能となり、取付作業の効率化を図ることが可能となる。
【0011】
また、請求項2に係るスタッドボルト用固定クリップでは、フランジ部と延出部とによって挟持された取付部材を、弾性押圧片によってフランジ部側に押圧して、ガタツキ等を防止できると共に、ボルト挿入口が取付部材に対してほぼ垂直になるように取り付けることが可能となる。
【0012】
また、請求項3に係るスタッドボルト用固定クリップでは、取付孔に組み付けられた場合には、位置決突起が切欠き溝部内に位置するため、走行中等の振動等による軸心回りの回転を防止でき、スタッドボルトから外れることを防止することが可能となる。
【0013】
更に、請求項4に係るスタッドボルト用固定クリップでは、工具孔に工具の先端部を差し込んで所定方向に回転させることによって、スタッドボルトと係止手段との係合を解除できるため、取付部材を車体パネル等の被取付部材から容易に取り外すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るスタッドボルト用固定クリップについて具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施例に係るスタッドボルト用固定クリップ1の構成について図1乃至図6に基づいて説明する。尚、図1において、スタッドボルト用固定クリップ1は、ポリアセタール(POM)等の樹脂で成形されている。
【0015】
図1はスタッドボルト用固定クリップ1の上方から見た斜視図である。図2はスタッドボルト用固定クリップ1の正面図である。図3はスタッドボルト用固定クリップ1の右側面図である。図4はスタッドボルト用固定クリップ1の平面図である。図5はスタッドボルト用固定クリップ1の底面図である。図6は図4のX1−X1矢視断面図である。
【0016】
図1乃至図6に示すように、スタッドボルト用固定クリップ1は、略円柱状のクリップ本体2の上端部に、すり鉢状に所定深さ(例えば、約1.5mmの深さである。)窪む凹み部3が形成されると共に、その外周部から斜め上側方向に延出された平面視リング状の案内フランジ部4が形成されて、当該上端部が全体として所定深さ(例えば、約3.0mmの深さである。)すり鉢状に窪むように形成されている。
【0017】
また、凹み部3の中央部には、スタッドボルトが挿入されるボルト挿入口5が形成されている。このボルト挿入口5は、挿入される異なるねじピッチのスタッドボルト(例えば、ねじピッチ1mmのM6スタッドボルトとねじピッチ約1.6mmのツリースタッドボルトである。)のねじの外径(例えば、ねじの外径6mmである。)にほぼ等しい直径(例えば、直径約6mmである。)の平面視円形に形成されている。
【0018】
また、このボルト挿入口5の下側には相互に対向する一対の支持リブ6、6がボルト挿入口5の直径よりも小さい厚さで垂直に形成されている。また、各支持リブ6、6の内側面の対向する距離は、挿入されるスタッドボルトのねじの外径にほぼ等しい距離に形成されている。これにより、ボルト挿入口5から挿入されたスタッドボルトの傾きを防止する機能を有している。
【0019】
また、各支持リブ6、6の左右には、相互に対向して設けられる一対の略板状の第1係止部材7と第2係止部材8とを型成形するために、各窓部9、9が形成されている。これにより、一対の所定幅の各側壁部10、11が、各支持リブ6、6に対して直交するように形成されている。
【0020】
また、クッリプ本体2の軸方向中央部には、当該クリップ本体2とほぼ同じ外径の略円板状の仕切壁部12が形成され、各窓部9、9が上下に仕切られている。また、仕切壁部12の中央位置には、後述のようにスタッドボルトの先端部が挿入される貫通孔33が形成されている。また、この貫通孔33の周縁部には、ボルト挿入口5に挿入されるスタッドボルトの径よりも大きい外径の円筒状に形成された円筒リブ34が所定高さ(例えば、高さ約1.5mmである。)立設されている。
【0021】
また、各側壁部10、11の仕切壁部12よりも上側、つまり、ボルト挿入口5側の内側面には、上端面が各側壁部10、11から略垂直外側方向に延出されると共に、下端面が各側壁部10、11からボルト挿入口5に向かって傾斜する側面視略直角三角形の各突出リブ13、14が、各側壁部10、11の略全幅に渡って突設されている。
【0022】
また、各突出リブ13、14の下側には、所定距離(例えば、約2.5mmである。)離間して各側壁部10、11の内側面からボルト挿入口5に向かって傾斜して突設される側面視略平行四辺形の各ガイドリブ15、16が、各側壁部10、11の略全幅に渡って形成されている。
【0023】
また、各突出リブ13、14の上端面から、側面視逆U字形で内側方向に弾性変形可能な各弾性連結片17、18が、この各突出リブ13、14とほぼ同じ幅で内側方向に延出されて、板状の第1係止部材7と板状の第2係止部材8のそれぞれの上端部に連結されている。これにより、第1係止部材7と第2係止部材8は、各弾性連結片17、18によって、ボルト挿入口5に挿入されるスタッドボルトのねじの谷径よりも狭い距離で対向するように弾性的に支持されている(図6参照)。
【0024】
また、第1係止部材7は、側壁部10とほぼ同じ幅の略板状に形成され、内側面には、ボルト挿入口5に挿入される異なるねじピッチの2つスタッドボルト(例えば、ねじピッチ1mmのM6スタッドボルトとねじピッチ約1.6mmのツリースタッドボルトである。)のうちのねじピッチの小さい方のスタッドボルト(例えば、ねじピッチ1mmのM6スタッドボルトである。)のねじ溝に噛み合う側面視略三角形の複数の平行なリブからなる第1係止爪部20が形成されている。また、第1係止爪部20の側面視略三角形の複数の平行なリブは、それぞれ第1係止部材7のほぼ全幅に渡って形成されている。尚、弾性連結片17の幅と第1係止部材7の幅とはほぼ同じ幅寸法に形成されている。
【0025】
また、第1係止部材7の背面部(図2中、左側面部)の上端部には、側壁部10に突設された突出リブ13の下側傾斜面13Aに対向する上側傾斜面21Aが形成され、この突出リブ13とガイドリブ15との間に進入可能に傾斜して突設される側面視略平行四辺形の上側突出リブ21が設けられている。また、上側突出リブ21は、第1係止部材7の全幅に渡って形成されている。
【0026】
また、第1係止部材7の背面部の下端部には、側壁部10に突設されたガイドリブ15の下側傾斜面15Aに対向する上側傾斜面22Aと、第1係止部材7の背面部の下端縁から略垂直外側方向に延出された下端面とから構成された側面視略直角三角形の当接リブ22が突設されている。また、当接リブ22は、第1係止部材7の全幅に渡って形成されている。
【0027】
また、第2係止部材8は、側壁部11とほぼ同じ幅の略板状に形成され、内側面には、ボルト挿入口5に挿入される異なるねじピッチの2つスタッドボルト(例えば、ねじピッチ1mmのM6スタッドボルトとねじピッチ約1.6mmのツリースタッドボルトである。)のうちのねじピッチの大きい方のスタッドボルト(例えば、ねじピッチ1.6mmのツリースタッドボルトである。)のねじ溝に噛み合う側面視略台形の複数の平行なリブからなる第2係止爪部23が形成されている。また、第2係止爪部23の側面視略台形の複数の平行なリブは、それぞれ第2係止部材8のほぼ全幅に渡って形成されている。尚、弾性連結片18の幅と第2係止部材8の幅とはほぼ同じ幅寸法に形成されている。
【0028】
また、第2係止部材8の背面部(図2中、右側面部)の上端部には、側壁部11に突設された突出リブ14の下側傾斜面14Aに対向する上側傾斜面25Aが形成され、この突出リブ14とガイドリブ16との間に進入可能に傾斜して突設される側面視略平行四辺形の上側突出リブ25が設けられている。また、上側突出リブ25は、第2係止部材8の全幅に渡って形成されている。
【0029】
また、第2係止部材8の背面部の下端部には、側壁部11に突設されたガイドリブ16の下側傾斜面16Aに対向する上側傾斜面26Aと、第2係止部材8の背面部の下端縁から略垂直外側方向に延出された下端面とから構成された側面視略直角三角形の当接リブ26が突設されている。また、当接リブ26は、第2係止部材8の全幅に渡って形成されている。
【0030】
また、各支持リブ6、6及び各側壁部10、11の外周面には、案内フランジ部4の下端面からほぼ仕切壁部12まで軸心に平行な所定厚さ(例えば、厚さ約1mmである。)の4つの各補強リブ28が中心角約90度間隔で当該案内フランジ部4の外周部に達する幅となるように半径方向に沿って立設されている。また、各補強リブ28の下端部は、仕切壁部12の外周面に向かって斜めに傾斜するように形成されている。
【0031】
また、各支持リブ6、6は、各補強リブ28、28から下側部分の幅が、各補強リブ28、28が立設されている部分よりも少し狭くなるように形成され、各窓部9から下側(図2中、下側方向である。)の基準用取付孔52(図7参照)や逃がし用取付孔53(図8参照)に挿入される円筒部30の外周面と同一外径となるように形成されている。つまり、各側壁部10、11に連続して外径が少し細くなった円筒部30が形成されている。
【0032】
また、各側壁部10、11の内側面の幅方向中央位置には、仕切壁部12の下端面から各窓部9の底面まで全高さに渡って、軸心に平行に所定厚さ(例えば、厚さ約1mmである。)の各補強リブ29、29が半径方向に所定高さ(例えば、高さ約2mmである。)立設されている。従って、各補強リブ28、29によって、ボルト挿入口5から挿入したスタッドボルトを抜去する方向又は挿入する方向に力が作用した際に、各支持リブ6、6及び各側壁部10、11の変形を防止することが可能となる。
【0033】
また、各側壁部10、11のボルト挿入口5に対して軸方向反対側の基端部の内側には、各補強リブ29、29の基端部から各窓部9の約半分の幅寸法で直角両外側方向へ、各支持リブ6、6の側面部に対して平行に所定長さ延出された略細長平板状の各延出部32A〜32Dが設けられている。また、各延出部32A〜32Dは、各側壁部10、11側の側縁部が、ボルト挿入口5側方向に所定高さ(例えば、高さ約0.5mmである。)延出されて、断面略横L字状に形成されている。
【0034】
また、円筒部30の各延出部32A〜32Dの下端面に対向する下方の外周部、つまり、軸方向外側の外周部には、円筒部30の軸心を中心とする平面視略扇形の一対の平板状のフランジ部35、35が、軸心に対して相対向するように半径方向外側に延出されている。また、各延出部32A〜32Dの下端面と各フランジ部35、35の上端面とは、アンダーカバー等の樹脂板や金属板等である取付部材51(図7参照)の最大厚さ寸法にほぼ等しい距離(例えば、約2mmの距離である。)だけ離間している。
【0035】
そして、この各フランジ部35、35は、後述のように取付部材51に取り付けられた際に、この取付部材51の下端面に当接して抜け止めの機能を果たす(図11参照)。また、各延出部32A〜32Dは、各フランジ部35、35の外周部よりも外側に所定長さ延出されており、後述のように取付部材51に取り付けられた際に、各フランジ部35、35と協働してこの取付部材51を挟持する(図11参照)。
【0036】
また、各フランジ部35の一方の周方向端縁部(図5中、時計方向の各端縁部である。)は、各延出部32A、32Dの内側の側縁部に対して平面視ほぼ平行になるように形成されている。また、各フランジ部35の他方の周方向端縁部(図5中、反時計方向の各端縁部である。)には、円筒部30の外周面に沿って軸方向斜め外側に向かって延出されて、その先端部から該各フランジ部35の下端面、つまり、各フランジ部35の軸方向外側端面までの距離が取付部材51の最大厚さよりも大きくなるように形成された各進入案内部36が形成されている。
【0037】
また、各進入案内部36の円筒部30側の側縁部は、各延出部32B、32Cの内側の側縁部に対して平面視ほぼ平行になるように形成されている。これにより、一方のフランジ部35の周方向端縁部と、他方のフランジ部35の進入案内部36の円筒部30側の側縁部とは、後述の基準取付孔52又は逃がし用取付孔53の外周部に形成された各切欠き溝部54、55(図7、図8参照)の幅寸法にほぼ等しい距離だけ離間するように形成されている。
【0038】
また、各進入案内部36の下端面部、つまり、軸方向外側端面部は、側面視略直角三角形状に軸方向に延出されて、円筒部30の軸方向端面とほぼ同一平面を形成している。また、各進入案内部36の該円筒部30の直径方向に対して垂直方向の幅寸法は、後述の基準取付孔52又は逃がし用取付孔53の外周部に形成された各切欠き溝部54、55(図7、図8参照)の幅寸法にほぼ等しく形成されている。従って、後述のように、円筒部30を基準取付孔52又は逃がし用取付孔53に挿入して各フランジ部35を取付部材51の上端面に当接させて、各進入案内部36を各切欠き溝部54、55内に填め込むことができる。
【0039】
また、円筒部30の各延出部32A、32Cの間、及び各延出部32B、32Dの間は、所定幅で円筒部30の外周面まで切り欠かれた一対の各切欠部38、38が形成されている。また、各切欠部38、38には、平面視略長方形の薄板状でボルト挿入口5側方向に弾性変形可能な各弾性リブ部39、39が、円筒部30の外周面から各延出部32A〜32Dの上端面と同一平面を形成するように、各フランジ部35、35のほぼ外周部まで延出されている。また、各弾性リブ部39、39の各フランジ部35、35側の下端面の先端部には、側面視略三角形の各位置決突起40、40が立設されている。
【0040】
また、各側壁部10、11のボルト挿入口5に対して軸方向反対側の基端部の外周面には、平面視幅広の薄板状でボルト挿入口5側方向に弾性変形可能な各弾性押圧片41、41が、斜め下外側方向、つまり、各フランジ部35の周縁部方向へ、各側壁部10、11のほぼ全幅に渡って延出されている。また、各弾性押圧片41、41の各進入案内部36、36側の側縁部は、ボルト挿入口5側方向、つまり、上側方向に延出されて各案内部41A、41Aを形成している。
【0041】
また、円筒部30の軸方向端面部の中央位置には、六角レンチの先端部が挿入される断面六角形の工具孔43と、その工具孔43の相対向して平面視直交する二対の側壁部から外側方向に窪む4個の凹部44が形成され、マイナスドライバの先端部を挿入可能に形成されている。また、工具孔43の底面部には、断面円形の貫通孔45が形成されている。
【0042】
次に、上記のように構成されたスタッドボルト用固定クリップ1をアンダーカバー等の樹脂板や金属板等である取付部材51に取り付ける方法について図7乃至図12に基づいて説明する。
先ず、アンダーカバー等の樹脂板や金属板等である取付部材51のスタッドボルト用固定クリップ1が係止される基準用取付孔52及び逃がし用取付孔53について図7及び図8に基づいて説明する。図7は取付部材51のスタッドボルト用固定クリップ1が係止される基準用取付孔52を示す平面図である。図8は取付部材51のスタッドボルト用固定クリップ1が係止される逃がし用取付孔53を示す平面図である。
【0043】
ここで、車体パネル等の被取付部材61(図13参照)には、複数のスタッドボルトが所定間隔、配置のレイアウトで固着されている。そこで、アンダーカバー等のシート状の取付部材51を複数のスタッドボルト用固定クリップ1によって取り付けるためには、被取付部材61に固着されたスタッドボルトの取付誤差を吸収する必要がある。
【0044】
そのため、図7及び図8に示すように、厚さT1(本実施例では、T1は、約0.8〜2mmである。)の取付部材51には、スタッドボルト用固定クリップ1の円筒部30の外径にほぼ等しい内径に形成された基準用取付孔52が1つと、スタッドボルト用固定クリップ1の円筒部30の外径より大きく、且つ、各フランジ部35、35の外径よりも小さい内径に形成された複数の逃がし用取付孔53とが貫通して形成されている。
【0045】
従って、逃がし用取付孔53に取り付けられたスタッドボルト用固定クリップ1は、逃がし用取付孔53と円筒部30との隙間分だけ被取付部材61に固着されたスタッドボルトの取付誤差を吸収することが可能となる。
【0046】
また、図7に示すように、基準用取付孔52の外周部には、一対の平面視略四角形の切欠き溝部54が、中心軸に対して対向する位置に、半径方向外側に切り欠かれて形成されている。この各切欠き溝部54、54の奥側端面間の距離は、各フランジ部35の外周面の直径以上の距離になるように形成されている。また、各切欠き溝部54の幅寸法は、各フランジ部35の端縁部に形成された進入案内部36の周方向に垂直な幅寸法とほぼ同じ大きさに形成されている。これにより、後述のように円筒部30を基準用取付孔52に嵌入すると共に、各進入案内部36を上端面側(図9中、上端面側である。)から各切欠き溝部54に填め込むことができる。
【0047】
また、図8に示すように、逃がし用取付孔53の外周部には、一対の平面視略四角形の切欠き溝部55が、中心軸に対して対向する位置に、半径方向外側に切り欠かれて形成されている。この各切欠き溝部55、55の奥側端面間の距離は、各フランジ部35の外周面の直径以上の距離になるように形成されている。また、各切欠き溝部55の幅寸法は、各フランジ部35の端縁部に形成された進入案内部36の周方向に垂直な幅寸法とほぼ同じ大きさに形成されている。これにより、円筒部30を逃がし用取付孔53に挿入すると共に、各進入案内部36を上端面側(図9中、上端面側である。)から各切欠き溝部55に填め込むことができる。
【0048】
次に、スタッドボルト用固定クリップ1を取付部材51に取り付ける方法について図9乃至図12に基づいて説明する。尚、スタッドボルト用固定クリップ1を基準用取付孔52と逃がし用取付孔53へ取り付ける方法は、同じであるため、以下、スタッドボルト用固定クリップ1を基準用取付孔52に取り付ける方法について説明する。
図9乃至図11はスタッドボルト用固定クリップ1を取付部材51の基準用取付孔52に取り付ける順序を説明する説明図である。図12は図11の基準用取付孔52に取り付けた状態を示す底面図である。
【0049】
先ず、図9及び図10に示すように、円筒部30を取付部材51の基準用取付孔52に対向させた状態で、各進入案内部36を各切欠き溝部54に対向させる。そして、円筒部30を基準用取付孔52内に矢印X2方向に嵌入すると共に、各進入案内部36を各切欠き溝部54内に挿入して、各フランジ部35の底面を取付部材51の上面に当接させる。これにより、図10に示すように、各進入案内部36の先端部が、取付部材51の下面よりも下側に突出する。
【0050】
続いて、図10及び図11に示すように、案内フランジ部4及び各補強リブ28を手でもって、スタッドボルト用固定クリップ1を取付部材51側に押さえつつ、時計方向(矢印X3方向)に所定角度(例えば、角度約140度〜150度である。)回転させて、各進入案内部36及び各フランジ部35を各切欠き溝部54から取付部材51の下面側へ潜り込ませる。
そして、図11及び図12に示すように、各弾性リブ部39の下面側に突設された各位置決突起40を各切欠き溝部54内に位置させる。
【0051】
これにより、各フランジ部35と各弾性押圧片41及び各延出部32A〜32Dとによって取付部材51を挟持し、スタッドボルト用固定クリップ1を基準用取付孔52に固定できる。また、各位置決突起40が各切欠き溝部54内に入ることによって、回転完了の節度感を出すことができると共に、スタッドボルト用固定クリップ1の回転緩み止めとして機能する。また、弾性変形した各弾性押圧片41が取付部材51の上面を常に押圧するため、スタッドボルト用固定クリップ1の振動等による回転緩みを防止することが可能となる。
【0052】
次に、上記のように取付部材51の基準用取付孔52と各逃がし用取付孔53に取り付けられた各スタッドボルト用固定クリップ1を、自動車の車体を構成する金属板(ボディ)である被取付部材61に立設された複数のスタッドボルトへの取り付けについて図13及び図14に基づいて説明する。尚、異なるねじピッチの2つのスタッドボルトへの取り付け方法は同じであるため、ねじピッチの小さい方のスタッドボルト63にスタッドボルト用固定クリップ1を取り付ける方法について図13及び図14に基づいて説明する。
【0053】
図13は取付部材51に取り付けられたスタッドボルト用固定クリップ1を、異なるねじピッチの2つのスタッドボルトのうちのねじピッチの小さい方のスタッドボルト63に取り付ける前の状態を示す部分断面図である。図14は取付部材51に取り付けられたスタッドボルト用固定クリップ1を、異なるねじピッチの2つのスタッドボルトのうちのねじピッチの小さい方のスタッドボルト63に取り付けた状態を示す部分断面図である。
【0054】
先ず、作業者は、基準用取付孔52に取り付けられたスタッドボルト用固定クリップ1を、被取付部材61の所定位置に固着されたスタッドボルト63に対して、凹み部32及び案内フランジ部4を対向させて、ボルト挿入口5に受け入れられる位置に位置決めする。また、各逃がし用取付孔53に取り付けられた各スタッドボルト用固定クリップ1を、被取付部材61に固着された他の各スタッドボルト63に対して、凹み部32及び案内フランジ部4を対向させる。
【0055】
そして、図13及び図14に示すように、取付部材51を矢印X4方向に押し上げ、基準用取付孔52に取り付けられたスタッドボルト用固定クリップ1のボルト挿入口5に、スタッドボルト63のねじ溝が切られていない先端部63Aを挿入する。そして、取付部材51を矢印X4方向に更に押し上げて、案内フランジ部4の上端部を被取付部材61の下端面に当接させる。
【0056】
また、取付部材51を矢印X4方向に更に押し上げることによって、各逃がし用取付孔53に取り付けられたスタッドボルト用固定クリップ1は、他の各スタッドボルト63の先端部63Aが、凹み部32及び案内フランジ部4を摺動移動してボルト挿入口5へ挿入されるため、各逃がし用取付孔53内を移動させられつつ、それぞれの案内フランジ部4の上端部が、被取付部材61の下端面に当接させられる。
【0057】
これにより、各スタッドボルト63が、各スタッドボルト用固定クリップ1の第1係止部材7と第2係止部材8とを押し広げつつクリップ本体2内に挿入され、該スタッドボルト63のねじ溝が切られていない先端部63Aが、貫通孔33に挿入される。また、第1係止部材7は、スタッドボルト63によって外側方向に押し広げられるため、この第1係止部材7の下端部に形成される当接リブ22の上側傾斜面22Aが、側壁部10のガイドリブ15の下側傾斜面15Aに当接しつつ外側方向に移動する。また、第1係止部材7の上側突出リブ21は、側壁部10の突出リブ13とガイドリブ15との間を、該突出リブ13の下側傾斜面13Aに対向しつつ外側方向に移動する。
【0058】
また、第2係止部材8は、スタッドボルト63によって外側方向に押し広げられるため、この第2係止部材8の下端部に形成される当接リブ26の上側傾斜面26Aが、側壁部11のガイドリブ16の下側傾斜面16Aに当接しつつ外側方向に移動する。また、第2係止部材8の上側突出リブ25は、側壁部11の突出リブ14とガイドリブ16との間を、該突出リブ14の下側傾斜面14Aに対向しつつ外側方向に移動する。
【0059】
そして、第1係止部材7の第1係止爪部20のスタッドボルト63のねじ溝に対向する側面視略三角形の各リブが、弾性連結片17の弾性復元力によってスタッドボルト63のねじ溝に噛み合う。また、第2係止部材8の第2係止爪部23のボルト挿入口5側の側面視略台形の各リブが、弾性連結片18の弾性復元力によってスタッドボルト63のねじ溝に係合する。これにより、取付部材51は、基準用取付孔52及び各逃がし用取付孔53に取り付けられた各スタッドボルト用固定クリップ1を介して被取付部材61に立設される各スタッドボルト63に係止される。
【0060】
また、図14に示すように、取付部材51が下側方向(矢印X5方向)へ動いた場合には、スタッドボルト63のねじ溝に係合する第1係止部材7と第2係止部材8とが上側方向に持ち上げられる。このため、第1係止部材7の下端部に形成される当接リブ22の上側傾斜面22Aが、側壁部10のガイドリブ15の下側傾斜面15Aに沿って内側方向に移動して、第1係止爪部20がねじ溝へ強く押し込まれて、スタッドボルト63のねじ溝と噛み合う。
【0061】
また、第2係止部材8の下端部に形成される当接リブ26の上側傾斜面26Aが、側壁部11のガイドリブ16の下側傾斜面16Aに沿って内側方向に移動して、第2係止爪部23がねじ溝へ強く押し込まれる。従って、第1係止部材7の第1係止爪部20と第2係止部材8の第2係止爪部23とをスタッドボルト63のねじ溝に確実に係合させ、各スタッドボルト用固定クリップ1を各スタッドボルト63に高い係止力で係止することができる。
【0062】
尚、上記のように取付部材51を被取付部材61に取り付けた後、更に、各円筒部30の下端面に形成される断面六角形の工具孔43に六角レンチ等の先端部を挿入し、又は、相対向する一対の凹部44にマイナスドライバの先端部等を挿入し、該六角レンチやマイナスドライバを時計方向に回転させる。これにより、第1係止部材7の第1係止爪部20と第2係止部材8の第2係止爪部23によるスタッドボルト63への取り付けを増し締めすることができる。
【0063】
一方、上記のように取付部材51を被取付部材61に取り付けた後、各円筒部30の下端面に形成される断面六角形の工具孔43に六角レンチ等の先端部を挿入し、又は、相対向する一対の凹部44にマイナスドライバの先端部等を挿入し、該六角レンチやマイナスドライバを反時計方向に回転させる。これにより、各スタッドボルト用固定クリップ1の第1係止部材7の第1係止爪部20と第2係止部材8の第2係止爪部23によるスタッドボルト63への取り付けを解除して、被取付部材61から取付部材51を取り外すことができる。
【0064】
従って、以上説明した通り、本実施例に係るスタッドボルト用固定クリップ1では、円筒部30を基準用取付孔52又は逃がし用取付孔53に挿入して各フランジ部35を取付部材51の上面に当接させると共に、各進入案内部36を各切欠き溝部54、55内に填め込んだ後、案内フランジ部4及び各補強リブ28を持って、該各進入案内部36の先端側方向(図10中、平面視時計方向である。)へ軸回りに回転させることによって、各フランジ部35が取付部材51の下面側に潜り込む。これにより、各フランジ部35と弾性押圧片41と各延出部32A〜32Dとによって該取付部材51を挟持した状態で、該基準用取付孔52又は逃がし用取付孔53に組み付けることができる。このため、車体パネル等の被取付部材61に装着されるアンダーカバー等の幅広シート状の取付部材51に形成された基準用取付孔52及び各逃がし用取付孔53に、各スタッドボルト用固定クリップ1を上面側から容易且つ迅速に組み付けることが可能となり、取付作業の効率化を図ることが可能となる。
【0065】
また、各フランジ部35と各延出部32A〜32Dとによって挟持された取付部材51を、各弾性押圧片41によって各フランジ部35側に押圧して、ガタツキ等を防止できると共に、ボルト挿入口5が取付部材51に対してほぼ垂直になるように取り付けることが可能となる。また、各弾性押圧片41の各進入案内部36側の側縁部に上側方向、つまり、ボルト挿入口5側方向へ延出された案内部41を形成することによって、各弾性押圧片41の各切欠き溝部54、55への引っ掛かりを防止することができる。
【0066】
また、スタッドボルト用固定クリップ1は、基準用取付孔52又は各逃がし用取付孔53に組み付けられた場合には、各位置決突起40が各切欠き溝部54、55内に位置するため、走行中等の振動等による軸心回りの回転を防止でき、スタッドボルト63から外れることを防止することが可能となる。
【0067】
更に、円筒部30の下端面に形成される断面六角形の工具孔43、又は、相対向する一対の凹部44に、六角レンチやマイナスドライバ等の先端部を差し込んで反時計方向に回転させることによって、各スタッドボルト用固定クリップ1の第1係止部材7の第1係止爪部20と第2係止部材8の第2係止爪部23によるスタッドボルト63との係合を解除できるため、取付部材51を車体パネル等の被取付部材61から容易に取り外すことが可能となる。
【0068】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の改良、変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】スタッドボルト用固定クリップの上方から見た斜視図である。
【図2】スタッドボルト用固定クリップの正面図である。
【図3】スタッドボルト用固定クリップの右側面図である。
【図4】スタッドボルト用固定クリップの平面図である。
【図5】スタッドボルト用固定クリップの底面図である。
【図6】図4のX1−X1矢視断面図である。
【図7】取付部材のスタッドボルト用固定クリップが係止される基準用取付孔を示す平面図である。
【図8】取付部材のスタッドボルト用固定クリップが係止される逃がし用取付孔を示す平面図である。
【図9】スタッドボルト用固定クリップを取付部材の基準用取付孔に取り付ける順序を説明する説明図である。
【図10】スタッドボルト用固定クリップを取付部材の基準用取付孔に取り付ける順序を説明する説明図である。
【図11】スタッドボルト用固定クリップを取付部材の基準用取付孔に取り付ける順序を説明する説明図である。
【図12】図11の基準用取付孔に取り付けた状態を示す底面図である。
【図13】取付部材に取り付けられたスタッドボルト用固定クリップを、異なるねじピッチの2つのスタッドボルトのうちのねじピッチの小さい方のスタッドボルトに取り付ける前の状態を示す部分断面図である。
【図14】取付部材に取り付けられたスタッドボルト用固定クリップを、異なるねじピッチの2つのスタッドボルトのうちのねじピッチの小さい方のスタッドボルトに取り付けた状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 スタッドボルト用固定クリップ
2 クリップ本体
3 凹み部
4 案内フランジ部
5 ボルト挿入口
6 支持リブ
7 第1係止部材
8 第2係止部材
10、11 側壁部
13、14 突出リブ
15、16 ガイドリブ
17、18 弾性連結片
20 第1係止爪部
21、25 上側突出リブ
22、26 当接リブ
23 第2係止爪部
28、29 補強リブ
30 円筒部
32A〜32D 延出部
35 フランジ部
36 進入案内部
38 切欠部
39 弾性リブ部
40 位置決突起
41 弾性押圧片
43 工具孔
44 凹部
51 取付部材
52 基準用取付孔
53 逃がし用取付孔
54、55 切欠き溝部
61 被取付部材
63 スタッドボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部材に形成された取付孔に一端側が組み付けられて、他端側に被取付部材に固設されたスタッドボルトが挿入されるボルト挿入口と、前記ボルト挿入口の内側に設けられて該ボルト挿入口に挿入されたスタッドボルトのネジ部分に係合する係止手段と、を備えたスタッドボルト用固定クリップにおいて、
前記一端側に形成されて前記取付孔に前記被取付部材に対向する側から挿入する円筒部と、
前記円筒部の外周面から軸直角外側方向に延出されて前記取付孔に組み付けられた状態で前記取付部材の一方の面に対向する延出部と、
前記延出部から軸方向外側に所定距離離れた外周面から軸回り所定角度範囲で半径方向外側に延出されたフランジ部と、
前記フランジ部の周方向一方の端縁部から前記円筒部の外周面に沿って軸方向斜め外側に向かって延出されて、先端部から該フランジ部の軸方向外側端面までの距離が前記取付部材の厚さよりも大きくなるように形成された進入案内部と、
を備え、
前記取付部材は、前記取付孔の外周部から半径方向外側に切り欠かれて前記進入案内部を填め込み可能な切欠き溝部を備え、
前記円筒部を前記取付孔に挿入して前記フランジ部を前記取付部材の一方の面に当接させると共に、前記進入案内部を前記切欠き溝部に填め込んだ後、該進入案内部の先端側方向へ軸回りに回転させることによって、該フランジ部が該取付部材の他方の面側に潜り込んで当該フランジ部と前記延出部とによって該取付部材を挟持した状態で該取付孔に組み付けられることを特徴とするスタッドボルト用固定クリップ。
【請求項2】
前記円筒部の前記延出部の基端部と同一円周上の外周面から前記フランジ部側方向に斜めに延出された薄板状で前記他端側方向に弾性変形可能な弾性押圧片を備えたことを特徴とする請求項1に記載のスタッドボルト用固定クリップ。
【請求項3】
前記延出部の基端部から半径方向外側端縁部まで所定幅で切り欠かれた切欠部と、
前記切欠部の奥側端面から該延出部の上端面と同一平面を形成するように延出されて前記他端側方向に弾性変形可能な薄板状の弾性リブ部と、
前記弾性リブ部の前記フランジ部に対向する面の先端部に突設される位置決突起と、
を備え、
前記取付孔に組み付けられた場合には、前記位置決突起が前記切欠き溝部内に位置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスタッドボルト用固定クリップ。
【請求項4】
前記円筒部の軸方向外側端面部の中央位置に形成されて工具の先端部が係合可能な工具孔を備え、
前記工具孔に工具の先端部を差し込んで所定方向に回転させることによって前記スタッドボルトと前記係止手段との係合が解除されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスタッドボルト用固定クリップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−287589(P2009−287589A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137681(P2008−137681)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000208293)大和化成工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】