説明

ステアリングホイール

【課題】リム部内に組み付けられた状態においてシート状発熱体にしわが生じることを抑制するとともに、リム部に設けられる電線引き回し用のスペースを低減すること。
【解決手段】リム部の内部に設けられるシート状発熱体25は、平面状態においてリム部芯体22の軸線Pに沿った円弧形状の第1ヒータ部27と、平面状態においてリム部芯体22の軸線Pに沿った円弧形状の第2ヒータ部28とを備えている。そして、第1ヒータ部27と第2ヒータ部28とは、接続部29を介して接続されている。第1ヒータ部27には第1ヒータ線31が接続された一対の端子部38が設けられている。また、第2ヒータ部28の第2ヒータ線33は、第3シート状基材43及び第1シート状基材30に亘るように設けられた接続用ヒータ線44を介して、端子部38と接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通電されることで発熱するシート状発熱体がリム部内に設けられたステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
寒冷地で使用されることでステアリングホイールの温度が低下した場合、運転時に乗員がステアリングホイールのリム部をしっかり握れないことや、乗員がステアリングホイールのリム部を握ったときに不快に感じることがある。そこで、従来、この問題に対して、例えば、特許文献1には、ステアリングホイールのリング部の把手部にシート状発熱体が組み付けられ、シート状発熱体で生じた熱によってリム部を暖めることが記載されている。そして、このシート状発熱体は、不織布からなる支持体及び支持体に配設されるヒータ線からなるとともに、リング部に組み付けられた状態で被覆材によって覆われている。
【特許文献1】特開2007−284033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1に記載のシート状発熱体は、リング部に組み付けられるとき、リム部の外周に沿って配置された後、元々の形状からリム部の軸線方向に沿うように曲げられるため、リング部に組み付けられた状態ではシート状発熱体にはしわがよってしまい、リム部内に配置し難くなることがあった。そのため、従来においては、極力、しわを生じさせずにリング部に組み付けることができるシート状発熱体が求められていた。
【0004】
また、ステアリングホイールにおいては、例えば、リム部の表面を木目調に加飾することがあり、この場合、断面略円弧状に形成された半割れの一対の加飾部材によってリム部の芯体を覆うことでリム部の表面を加飾する。そして、このようなステアリングホイールにおいて、そのリム部に特許文献1に記載のシート状発熱体を配設する場合、リム部の芯体を包囲するために、一対の加飾部材それぞれの内面にシート状発熱体が取り付けられていた。そして、各シート状発熱体のヒータ線は各シート状発熱体に設けられた端子に接続され、各端子は電線を介して電源(ステアリングホイールに内蔵のECU)に接続されていた。ところが、この場合、各端子から延びる電線を電源にまで引き回すために、リム部には、電線の数に応じたスペースを確保しなければならなかった。
【0005】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、リム部内に組み付けられた状態においてシート状発熱体にしわが生じることを抑制するとともに、リム部に設けられる電線引き回し用のスペースを低減することができるステアリングホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、通電されることで発熱するシート状発熱体が、環状に形成されたリム部の内部に設けられ、前記シート状発熱体が前記リム部の芯体を包囲するように組み付けられたステアリングホイールにおいて、前記シート状発熱体は、第1シート状基材に第1ヒータ線が配設されるとともに、平面状態において前記リム部の軸線に沿った円弧形状となる第1ヒータ部と、第2シート状基材に第2ヒータ線が配設されるとともに、平面状態において前記リム部の軸線に沿った円弧形状となる第2ヒータ部と、前記第1ヒータ部に設けられ、前記第1ヒータ線が接続される端子部と、平面状態において円弧形状をなす前記第1シート状基材の外周部と円弧形状をなす前記第2シート状基材の外周部とを対向させた状態で接続する第3シート状基材と、前記第3シート状基材及び前記第1シート状基材に亘って配設されるとともに、前記第2ヒータ線を、前記端子部又は前記第1ヒータ線に接続する接続用ヒータ線と、を備えたことを要旨とする。
【0007】
この発明では、第1ヒータ部及び第2ヒータ部は、組み付け前からリム部の軸線に沿った円弧形状に形成されているため、第3シート状基材を折り曲げてシート状発熱体がリム部芯体を包囲する状態に配置すれば、シート状発熱体をリム部内に組み付けることができる。したがって、第1ヒータ部及び第2ヒータ部がリム部の軸線に沿う円弧形状となるように曲げられたうえでリム部内に組み付けられている場合に比べて、シート状発熱体、すなわち第1ヒータ部及び第2ヒータ部に生じるしわを抑えることができる。
【0008】
また、第1ヒータ線及び第2ヒータ線は、両方とも第1ヒータ部に設けられた端子部と電気的に接続される。そのため、各ヒータ部に端子部を設けなくとも、第1ヒータ部に設けられた端子部から延びる電線をリム部外の電源と電気的に接続すれば、第1ヒータ線及び第2ヒータ線の両方に電気を供給できるようになる。したがって、各ヒータ部に端子部が設けられ、各端子部から延びる電線を電源に接続する場合に比べて、電線の数を低減できるため、リム部に確保しなければならない電線引き回し用のスペースを低減することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記接続用ヒータ線は、前記第2ヒータ線を前記端子部に接続するように延びており、前記端子部は、前記リム部の軸線方向における前記第1シート状基材の第1端部に設けられ、前記第3シート状基材は、前記第1シート状基材における前記外周部の前記端子部側寄りの部分と、前記第2シート状基材における前記外周部の前記端子部側寄りの部分とを接続していることを要旨とする。
【0010】
この発明では、第3シート状基材が第1シート状基材及び第2シート状基材それぞれの外周部の中央同士を連結する場合に比べて第3シート状基材は端子部に近くなるため、第2ヒータ線と端子部とを接続する接続用ヒータ線の長さを短くすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第3シート状基材は、前記第1シート状基材における前記外周部の中央と、前記第2シート状基材における前記外周部の中央とを接続していることを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記第3シート状基材の側縁には、切り込みが形成されていることを要旨とする。
この発明では、シート状発熱体をリム部の芯体を包囲するように組み付ける際に、切り込みが形成された第3シート状基材の部分に折り目がつき易くなり、第3シート状基材の切り込み部分が折れた状態でシート状発熱体は組み付けられる。したがって、第3シート状基材の所望の箇所に切り込みを形成することで、第3シート状基材を所望の状態に折ってシート状発熱体が芯体を包囲するように組み付けることができるため、シート状発熱体をリム部内に配置し易くなる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4に記載の発明において、前記第3シート状基材には、前記接続用ヒータ線を覆う絶縁部材が設けられていることを要旨とする。
この発明では、シート状発熱体を組み付ける際に第3シート状基材が折り曲げられて接続用ヒータ線同士が近づいたとしても、接続用ヒータ線同士の間には絶縁部材が介在する。そのため、シート状発熱体を組み付けた状態において、接続用ヒータ線同士が接触してしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、リム部内に組み付けられた状態においてシート状発熱体にしわが生じることを抑制するとともに、リム部に設けられる電線引き回し用のスペースを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
図1に示すように、車両の運転席に装備されるステアリングホイール11は、正面視円形状であるとともに、ステアリングホイール11の中心部には操舵輪に連結された操舵軸12が一体回転可能に連結されている。そして、ステアリングホイール11を構成するリム部(ハンドル部)13は、操舵軸12の軸線Oを中心とした円環状に形成されるとともに、通常、運転者がステアリングホイール11を操作するときに把持する部分として構成されている。なお、「環状に形成されたリム部13」とは、運転席に着座した運転者がステアリングホイール11に向かい合うような視点でリム部13を見た場合の形状のことを述べている。リム部13の内周面には、リム部13によって囲まれているパッド14が複数(本実施形態では、4本)のスポーク部15を介して連結されている。そして、パッド14の内側には、電子制御ユニット(以下、ECUという。)16が配設されている。リム部13及びスポーク部15には、その内部に、ステアリングホイール11全体の骨格部分をなす芯材としての芯体17が設けられている。そして、パッド14は、芯体17の中央部に装着されている。
【0016】
リム部13には、その表面部が表面意匠部材としての一対の加飾部材18によって構成されている部分と、その表面部が皮革で構成されている部分とが存在している。そして、一対の加飾部材18は、リム部芯体22の軸線方向X(ステアリングホイール11の周方向)に湾曲した略円筒状となるように接合されている。そして、芯体17のうち、リム部13と対応する部分は、操舵軸12の軸線Oを中心とした円環状のリム部芯体22として構成されている。
【0017】
図2(a)に示すように、リム部芯体22は、自身の軸線Pと直交する断面形状が円形状に形成されている。リム部芯体22は、リム部芯体22の軸線Pと直交する断面形状がチャネル状となるように形成されたリム部芯金23と、リム部芯金23を被覆するように設けられた充填材24とから構成されている。充填材24は、発泡ポリウレタン等の軟質(弾性)材料からなる。そして、リム部芯体22の外周部22aは、一対の加飾部材18の内側に配置されたシート状発熱体25によって包囲されている。また、リム部芯体22及びシート状発熱体25は、一対の加飾部材18によって覆われている。
【0018】
加飾部材18はリム部芯体22の軸線Pに直交する断面が略円弧状に形成されるとともに、その外表面18aが木目調になっている。加飾部材18は、人によって把持されても変形しない剛性を有する硬質部材である。そして、図2(b)に示すように、一対の加飾部材18において、一方の加飾部材18の内側面18bにはシート状発熱体25の第1ヒータ部27が接着され、他方の加飾部材18の内側面18bにはシート状発熱体25の第2ヒータ部28が接着されている。
【0019】
図3(a)に示すように、第1ヒータ部27は、平面状態(非組み付け状態)においてリム部芯体22(リム部13)の軸線Pに沿う円弧形状に形成されている。同様に、第2ヒータ部28は、平面状態においてリム部芯体22(リム部13)の軸線Pに沿う円弧形状に形成されている。そして、第1ヒータ部27と第2ヒータ部28とは、シート状の接続部29によって接続されるとともに、接続部29を間に挟んで対称な形状となっている。すなわち、第1ヒータ部27及び第2ヒータ部28は、平面状態において、略ハの字状に配置され、そのハの字の上側の狭い方が接続部29によってつながった状態とされている。第1ヒータ部27は、不織布からなる絶縁性の第1シート状基材30に単数の第1ヒータ線31が一筆書き状に縫い込まれることで構成されている。第2ヒータ部28は、不織布からなる絶縁性の第2シート状基材32に単数の第2ヒータ線33が一筆書き状に縫い込まれることで構成されている。
【0020】
第1シート状基材30は熱伝導性を有するとともに、平面状態においてリム部芯体22(リム部13)の軸線Pに沿う円弧形状に形成されている。具体的には、第1シート状基材30は、対向する長辺が互いに平行な円弧となるように形成された帯状のシートである。
【0021】
第1ヒータ線31は、波状に延びながら、第1シート状基材30の円弧方向X1(リム部13の軸線方向)における第1端部36から第1シート状基材30の円弧方向における第2端部37にまで達した後、折り返して、再び、第1端部36にまで達するように形成されている。そして、第1ヒータ線31の両端末31aは、それぞれ第1端部36側に設けられた一対の端子部38に接続されている。
【0022】
第2シート状基材32は熱伝導性を有するとともに、平面状態においてリム部芯体22(リム部13)の軸線Pに沿う円弧形状に形成されている。すなわち、第2シート状基材32は、対向する長辺が互いに平行な円弧となるように形成された帯状のシートである。
【0023】
第2ヒータ線33は、波状に延びながら、第2シート状基材32の円弧方向X2(リム部13の軸線方向)における第1端部41から、第2シート状基材32の円弧方向における第2端部42にまで達した後、折り返して、再び、第1端部41にまで達するように形成されている。
【0024】
接続部29は、不織布からなる絶縁性の第3シート状基材43に、第2ヒータ線33と接続される接続用ヒータ線44の一部が縫い込まれることで構成されている。第3シート状基材43は、第1シート状基材30の外周部35における第1端部36側寄りの部分と第2シート状基材32の外周部40における第1端部41寄りの部分とを接続し、第1シート状基材30、第2シート状基材32、及び第3シート状基材43を一枚状のシートにしている。第3シート状基材43は、リム部13内に組み付けられた状態におけるリム部13の軸線P方向の幅Hが、第1シート状基材30の外周部35及び第2シート状基材32の外周部40の長さよりも小さく形成されている。また、第3シート状基材43には、その両側縁43aに平面視三角形状の一対の切り込み部45が形成されている。図4に示すように、切り込み部45は、リム部13内に組み付けられた状態において、一対の加飾部材18の接合部18cとはずれる位置に設けられている。そして、シート状発熱体25は、第3シート状基材43における切り込み部45と対応する部分が折れた状態で、加飾部材18の内側に配置されるようになっている。なお、シート状発熱体25がリム部13内に組み付けられた状態では、第1シート状基材30の円弧方向X1及び第2シート状基材32の円弧方向X2は、リム部13の軸線Pと平行になる。
【0025】
図3(a)に示すように、接続用ヒータ線44は、その一方の両端末44aが第2ヒータ線33と連続するとともに、他方の両端末44bがそれぞれ一対の端子部38に接続されている。すなわち、接続用ヒータ線44は、第2シート状基材32から、第3シート状基材43を経由して第1シート状基材30に亘るように設けられ、一対の端子部38にまで延びて第2ヒータ線33を一対の端子部38に電気的に接続している。また、図3(b)に示すように、接続用ヒータ線44は、第3シート状基材43に縫い込まれている部分においては、絶縁部材としての絶縁性の難燃テープ46によって覆われている。なお、難燃テープ46は、第3シート状基材43のうち、接続用ヒータ線44が露出する面に貼着されている。
【0026】
ここで、図3(a)に示すように、一対の端子部38のそれぞれには、外部接続用の電線(IV線)47が接続されている。各電線47は、リム部13内を引き回されて電源としてのECU16(図1参照)に接続されている。第1ヒータ線31と第2ヒータ線33とは、電気的に並列に接続された状態となっており、ECU16から端子部38に電気が供給されると、第1ヒータ線31及び第2ヒータ線33の両方に同じ電圧が印加されるようになっている。なお、図4では、図示の都合上、電線47を省略している。
【0027】
次に、リム部芯体22に対してシート状発熱体25及び加飾部材18を取り付ける作業について説明する。
まず、シート状発熱体25及び一対の加飾部材18を準備して、一対の加飾部材18の凹部を上方に向かせたうえで、一対の加飾部材18の端部を接近させた状態で対称な位置関係となるように配置する。そして、この状態で、第1ヒータ部27の第1シート状基材30を一方の加飾部材18の内側面18bに接着するとともに、第2ヒータ部28の第2シート状基材32を他方の加飾部材18の内側面18bに接着する。そのうえで、リム部芯体22を包囲するように一対の加飾部材18を相互に接合するとともに接続部29を所定の状態に折り込むことで、シート状発熱体25はリム部芯体22を包囲するように取り付けられる。
【0028】
次に、前記のように構成されたステアリングホイール11の作用について説明する。
車両が冬季の厳冬下で駐車されると、車内の温度が低くなり、これに伴い、リム部13を含むステアリングホイール11の温度も低くなる。この状態で運転者が運転席に座って運転を開始する場合、運転者によってエンジン始動のための操作が行われる。すると、ECU16から電線47を介して端子部38に電気が供給される。すると、第1ヒータ線31及び第2ヒータ線33は通電され、第1ヒータ線31及び第2ヒータ線33には同じ電圧が印加される。そのため、第1ヒータ線31及び第2ヒータ線33には、印加された電圧に応じた電流が流れ、それに応じたジュール熱が発生する。そして、第1ヒータ線31及び第2ヒータ線33で発生したジュール熱により加飾部材18が暖められる。したがって、加飾部材18は暖められて昇温するため、運転者は、不快を感じずに加飾部材18が設けられているリム部13の部分を把持してステアリングホイール11を操作することができる。
【0029】
この実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ステアリングホイール11のリム部13には、その内部にシート状発熱体25が設けられ、シート状発熱体25はリム部芯体22を包囲するように組み付けられている。そして、シート状発熱体25は、平面状態においてリム部13の軸線Pに沿った円弧形状の第1ヒータ部27と、平面状態においてリム部13の軸線Pに沿った円弧形状の第2ヒータ部28と、第1シート状基材30と第2シート状基材32とを接続する第3シート状基材43とを備えている。したがって、第1ヒータ部27及び第2ヒータ部28は、シート状発熱体25をリム部13内に設ける前から、リム部13の軸線Pに沿った円弧形状になっているため、シート状発熱体25をリム部13内に配置した状態において、シート状発熱体25に生じるしわを抑えることができる。
【0030】
(2)第1ヒータ部27の第1シート状基材30には第1ヒータ線31が配設されている。第2ヒータ部28の第2シート状基材32には第2ヒータ線33が配設されている。第1ヒータ部27には一対の端子部38が設けられている。そして、第2ヒータ線33は、第2シート状基材32から第3シート状基材43を経由して第1シート状基材30に亘るように設けられた接続用ヒータ線44を介して、端子部38と接続されている。したがって、端子部38を電線47を介してECU16と接続すれば、端子部38から第1ヒータ線31及び第2ヒータ線33の両方に電気を供給できるようになる。その結果、第1ヒータ部27及び第2ヒータ部28のそれぞれに端子部38が設けられ、各端子部38から電線47が延びる場合に比べて、電線47の数を低減できるため、リム部13に確保しなければならない電線引き回し用のスペースを低減することができる。
【0031】
(3)接続用ヒータ線44の他方の両端末44bは、一対の端子部38に接続されている。そして、第3シート状基材43は、第1シート状基材30の外周部35における第1端部36側と、第2シート状基材32の外周部40における第1端部41側とを連結している。したがって、第3シート状基材43は端子部38に近くなるため、接続用ヒータ線44の長さを短くすることができる。
【0032】
(4)第1ヒータ線31の抵抗の大きさは第1ヒータ線31の長さに応じて変わり、接続用ヒータ線44及び第2ヒータ線33の抵抗の大きさは接続用ヒータ線44及び第2ヒータ線33の長さに応じて変わる。したがって、第3シート状基材43が、外周部35における第1端部36側と、外周部40における第1端部41側とを連結することで接続用ヒータ線44の長さが短くなれば、第1ヒータ線31の長さと、接続用ヒータ線44及び第2ヒータ線33の長さとの間での差が小さくなる。すると、第1ヒータ線31の抵抗の大きさと、接続用ヒータ線44及び第2ヒータ線33の抵抗の大きさとの間での差も小さくなる。したがって、第1ヒータ線31及び第2ヒータ線33に通電されたときに、第1ヒータ線31及び第2ヒータ線33で発生するジュール熱を極力同じすることができる。
【0033】
(5)第3シート状基材43の側縁43aには、切り込み部45が形成されている。したがって、第3シート状基材43のうち切り込み部45と対応する部分に折り目がつき易くなり、第3シート状基材43が所望の状態に折れてシート状発熱体25は組み付けられるため、シート状発熱体25をリム部13内に配置しやすくなる。
【0034】
(6)また、第3シート状基材43の側縁43aに形成された切り込み部45は、一対の加飾部材18の接合部18cに対してずれる位置に設けられている。したがって、一対の加飾部材18と共にシート状発熱体25をリム部13に組み付けるときに、第3シート状基材43が一対の加飾部材18の間にはさみ込まれることを抑制できる。その結果、接続用ヒータ線44が断線することは回避される。
【0035】
(7)第3シート状基材43には、接続用ヒータ線44を覆う絶縁部材としての難燃テープ46が取り付けられている。したがって、接続用ヒータ線44同士が接触することを抑制できる。
【0036】
(8)第1ヒータ線31と第2ヒータ線33とは電気的に並列に接続されている。そのため、第1ヒータ線31及び第2ヒータ線33に電流が流されたときには同じ電圧が印加されるようになる。したがって、ECU16から供給される電力が同じであっても、第1ヒータ線31及び第2ヒータ線33が電気的に直列接続されている場合に比べて、第1ヒータ線31及び第2ヒータ線33に対する通電量を大きくすることができる。そのため、第1ヒータ線31及び第2ヒータ線33で発生するジュール熱を大きくすることができる。
【0037】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・ リム部芯体22に対して、切り込み部45と係合可能な位置決め用の凸部を設けてもよい。そして、シート状発熱体25がリム部芯体22に対して所望の位置となったときに、凸部が切り込み部45と係合するように構成すれば、シート状発熱体25を正確に所望の位置で位置決めして組み付けることができる。
【0038】
・ 接続用ヒータ線44が接続する対象を変更してもよい。例えば、図5(a)に示すように、接続用ヒータ線44によって第2ヒータ線33を第1ヒータ線31に接続して、第1ヒータ線31、接続用ヒータ線44、第2ヒータ線33が一続きとなるように構成してもよい。この場合、第1ヒータ線31と第2ヒータ線33とは電気的に直列に接続されることになり、端子部38に電気を供給すれば、第1ヒータ線31及び第2ヒータ線33に通電が施されるようになる。
【0039】
・ 第3シート状基材43が接続する第1シート状基材30及び第2シート状基材32の箇所を変更してもよい。例えば、図5(b)に示すように、第3シート状基材43が、第1シート状基材30の外周部35における中央と第2シート状基材32の外周部40における中央とを連結するように構成してもよい。
【0040】
・ 第1ヒータ線31、第2ヒータ線33、接続用ヒータ線44の配設パターンについてはとくに限定しない。例えば、直線状に延びる第1ヒータ線31を配設してもよい。また、直線状に延びる第2ヒータ線33を配設してもよい。また、波状に延びる接続用ヒータ線44を配設してもよい。
【0041】
・ リム部13において、シート状発熱体25を設ける箇所を変更してもよい。例えば、表面が皮革によって構成されるリム部13内にシート状発熱体25を配置してもよい。
・ リム部芯体22の構成を変更してもよい。例えば、充填材24を省略し、リム部芯金23のみでリム部芯体22を構成してもよい。
【0042】
・ 本発明は、車両以外の移動体の操舵装置に用いられるステアリングホイールに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施形態におけるステアリングホイールの概略正面図。
【図2】(a)は図1のA−A線に沿ったリム部の概略部分断面図、(b)は加飾部材の一部とシート状発熱体の一部とを示す概略部分斜視図。
【図3】(a)は、平面状態のシート状発熱体を示す概略平面図、(b)は図3(a)のB−B線に沿った概略断面図。
【図4】シート状発熱体がリム部内に組み付けられた状態を示す概略部分断面図。
【図5】(a)及び(b)は別の実施形態において平面状態のシート状発熱体を示す概略平面図。
【符号の説明】
【0044】
P…リム部の軸線、11…ステアリングホイール、13…リム部、22…リム部芯体、25…シート状発熱体、27…第1ヒータ部、28…第2ヒータ部、30…第1シート状基材、31…第1ヒータ線、32…第2シート状基材、33…第2ヒータ線、35…外周部、38…端子部、40…外周部、43…第3シート状基材、43a…側縁、44…接続用ヒータ線、45…切り込み部、46…絶縁部材としての難燃テープ、47…電線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電されることで発熱するシート状発熱体が、環状に形成されたリム部の内部に設けられ、前記シート状発熱体が前記リム部の芯体を包囲するように組み付けられたステアリングホイールにおいて、
前記シート状発熱体は、
第1シート状基材に第1ヒータ線が配設されるとともに、平面状態において前記リム部の軸線に沿った円弧形状となる第1ヒータ部と、
第2シート状基材に第2ヒータ線が配設されるとともに、平面状態において前記リム部の軸線に沿った円弧形状となる第2ヒータ部と、
前記第1ヒータ部に設けられ、前記第1ヒータ線が接続される端子部と、
平面状態において円弧形状をなす前記第1シート状基材の外周部と円弧形状をなす前記第2シート状基材の外周部とを対向させた状態で接続する第3シート状基材と、
前記第3シート状基材及び前記第1シート状基材に亘って配設されるとともに、前記第2ヒータ線を、前記端子部又は前記第1ヒータ線に接続する接続用ヒータ線と、を備えたことを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記接続用ヒータ線は、前記第2ヒータ線を前記端子部に接続するように延びており、
前記端子部は、前記リム部の軸線方向における前記第1シート状基材の第1端部に設けられ、
前記第3シート状基材は、前記第1シート状基材における前記外周部の前記端子部側寄りの部分と、前記第2シート状基材における前記外周部の前記端子部側寄りの部分とを接続している請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項3】
前記第3シート状基材は、前記第1シート状基材における前記外周部の中央と、前記第2シート状基材における前記外周部の中央とを接続している請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項4】
前記第3シート状基材の側縁には、切り込みが形成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のステアリングホイール。
【請求項5】
前記第3シート状基材には、前記接続用ヒータ線を覆う絶縁部材が設けられている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のステアリングホイール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−126016(P2010−126016A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303564(P2008−303564)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】