説明

ステビオール配糖体の異性体

式IIの化合物を有するステビオール配糖体の異性体が提供され、ここで、R1は、水素、1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、R2は、水素、1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである。ステビオール配糖体の異性体の調製方法も開示される。これらの化合物は、非栄養甘味料として食品および飲料製品中に存在して差し支えない。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、参照することにより開示全体が本明細書に援用される、「ステビオール配糖体の異性体(Steviol Glycoside Isomers)」(代理人事件番号:056943.00381)という発明の名称で2007年9月17日出願の米国特許出願第11/856,274号の優先権を主張する、「ステビオール配糖体の異性体(Steviol Glycoside Isomers)」という発明の名称で2008年9月4日に出願の国際出願第PCT/US2008/075192号の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、例えば食品および飲料製品に取り込まれることによる甘味料としての使用に適した、ステビオール配糖体の特定の新規異性体に関する。
【背景技術】
【0003】
米国および世界各国において肥満の健康への悪影響への注目が高まっていることにより、例えば低カロリーまたはゼロカロリー含有量を含めた、代替となる栄養学的特徴を有する食品および飲料製品への市場の需要もまた高まっている。典型的には、食品および飲料製品に使用するショ糖およびトウモロコシの高果糖シロップ(HFCS)などの高カロリー甘味料を非栄養甘味料に置換することへの市場の需要が存在する。例えばダイエットコーラ飲料は、ステビオール配糖体(ステビオシド、レバウディオサイドAなど)などの強力な非栄養甘味料で甘味付けされることが示唆されている。
【0004】
ステビオール配糖体は、ステビア植物(Stevia rebaudiana Bertoni)から抽出される、甘味のある化合物である。典型的には、これらの化合物は、ステビオシド(4〜13% 乾燥重量)、ステビオールビオシド(微量)、ならびにレバウディオサイドA(1〜6%)、レバウディオサイドB(微量)、レバウディオサイドC(1〜2%)、レバウディオサイドD(微量)、およびレバウディオサイドE(微量)を含めたレバウディオサイド類、およびズルコシドA(0.4〜0.7%)を含有することが知られている。多くのステビオール配糖体は、強力な非栄養甘味料である。ステビオール配糖体は、ジテルペンのコア(化学式I)を包含し、R1およびR2は、水素、グルコース、ラムノース、およびキシロースのさまざまな組合せで置換されている。
【化1】

【0005】
例えば、R1は、水素、1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであって差し支えなく、R2は、水素、1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルでありうる。レバウディオサイドA(ここで、R1=1−β−D−グルコピラノシルであり、R2=2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである)は、ショ糖の甘味の約200〜300倍の甘味を有する。食品産業は、代替となる甘味料の追求において、ステビオール配糖体に興味を持つようになっている。しかしながら、栄養甘味料を既知の強力な非栄養甘味料で率直に置き換えることは、例えば、時間がかかる(slow on-set)、または苦い、甘草風味、または長引く後味などの異味の問題に直面する。ステビオール配糖体を食品および飲料製品における非栄養甘味料として用いる場合には、これらの異味も生じてしまう。よって、さらなる代替となる非栄養甘味料が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の少なくとも特定の実施の形態の目的は、甘味料として有用な化合物を提供することである。本発明の少なくとも特定の実施の形態の目的は、代替となる栄養学的特徴および味覚性を有する飲料製品または食品を提供することである。本発明、または本発明の特定の実施の形態の、これらおよび他の目的、特徴、および利点は、以下の開示および典型的な実施の形態の説明から当業者には明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
現在、新しいステビオール配糖体の異性体群が、見出されている。これらの異性体では、化学式Iの環外二重結合が、5員環内の環内位置に移動している(化学式II参照)。これらの化合物は甘味料として有用であり、食品および飲料製品などに含めることができる。本発明の第1の態様によれば、化学式II:
【化2】

【0008】
を有する化合物が提供され、
ここで、
1は、水素、1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであって差し支えなく、
2は、水素、1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルでありうる。特定の典型的な実施の形態では、化学式IIの化合物は、単離および精製して構わない。本明細書では「単離および精製」は、ステビオール配糖体の異性体の純度が少なくとも90%であることを意味する。
【0009】
他の態様によれば、水性液体および化学式IIの化合物を含む飲料製品が提供される。
【0010】
他の態様によれば、食物成分および化学式IIの化合物を含む食品が提供される。
【0011】
本発明の別の態様によれば、化学式IIの化合物を含む甘味料が提供される。
【0012】
別の態様によれば、化学式IIの化合物の調製方法であって、化学式Iの化合物を含む酸性水溶液を提供し、前記酸性水溶液を、2日間よりも長い期間、30℃〜90℃の範囲の温度に加熱する、各工程を有してなる方法が提供される。特定の典型的な実施の形態では、レバウディオサイドAを含む酸性水溶液を、pH1.0〜4.0の範囲のpHで、2日間よりも長い期間、40℃〜50℃の範囲の温度に加熱する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】レバウディオサイドAのプロトンNMRスペクトル。
【図2】イソ−レバウディオサイドAのプロトンNMRスペクトル。
【図3】図1および2のスペクトルの重ね合わせ。
【図4】レバウディオサイドAのESI質量スペクトル。
【図5】イソ−レバウディオサイドAのESI質量スペクトル。
【図6】レバウディオサイドAおよびイソ−レバウディオサイドAを含む10週間の反応混合物のHPLCクロマトグラム。
【図7】図6のイソ−レバウディオサイドAのESI質量スペクトルのピーク。
【図8】レバウディオサイドAのHPLCクロマトグラム。
【図9】イソ−レバウディオサイドAのHPLCクロマトグラム。
【図10】図8のレバウディオサイドAのESI質量スペクトルのピーク。
【図11】図9のイソ−レバウディオサイドAのESI質量スペクトルのピーク。
【図12】単離したイソ−レバウディオサイドAで強化した、10週間の反応混合物のHPLCクロマトグラム。
【図13】図12のイソ−レバウディオサイドAのESI質量スペクトルのピーク。
【図14】イソ−レバウディオサイドAのX線結晶構造。
【図15】レバウディオサイドAのX線結晶構造。
【図16】レバウディオサイドAおよびイソ−レバウディオサイドAの構造の比較。
【図17】レバウディオサイドA(Reb A)から合成したイソ−レバウディオサイドA(化合物X)の割合のpH依存性。
【図18】レバウディオサイドA(Reb A)から合成したイソ−レバウディオサイドA(化合物X)の割合のpH依存性。
【図19】レバウディオサイドA(Reb A)から合成したイソ−レバウディオサイドA(化合物X)の割合の温度依存性。
【図20】レバウディオサイドBのプロトンNMRスペクトル。
【図21】イソ−レバウディオサイドBのプロトンNMRスペクトル。
【図22】図20および21のスペクトルの重ね合わせ。
【図23】レバウディオサイドB、イソ−レバウディオサイドB、および2つの化合物の1:1の混合物のHPLCクロマトグラムの重ね合わせ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特定の典型的な実施の形態では、本発明のステビオール配糖体の異性体は、一般式II:
【化3】

【0015】
によって定義されて差し支えなく、
ここで、R1は、水素、1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであって差し支えなく、R2は、水素、1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルでありうる。特定の典型的な実施の形態は化学式IIの化合物を含み、ここで、R1は、1−β−D−グルコピラノシル、R2は2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル(イソ−レバウディオサイドA)であり、R1は1−β−D−グルコピラノシル、R2は2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル(イソ−ステビオシド)であり、R1は水素、R2は2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル(イソ−レバウディオサイドB)であり、R1は水素、R2 は2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル(イソ−ステビオールビオシド)であり、R1は1−β−D−グルコピラノシル、R2は1−β−D−グルコピラノシル(イソ−ルブソシド)であり、R1は1−β−D−グルコピラノシル、R2は2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル(イソ−ズルコシドA)であり、R1は1−β−D−グルコピラノシル、R2は2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノース(イソ−レバウディオサイドC)であり、R1は2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、R2は2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル(イソ−レバウディオサイドD)であり、R1は2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、R2は2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル(イソ−レバウディオサイドE)であり、R1は1−β−D−グルコピラノシル、R2は2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル(イソ−レバウディオサイドF)であり、R1は水素、R2は1−β−D−グルコピラノシル(イソ−ステビオールモノシド)であり、あるいは、R1は1−β−D−グルコピラノシル、R2は水素(イソ−ステビオールIIグルコシルエステル)である。1つの典型的な実施の形態は化学式IIの化合物を含み、ここで、R1は1−β−D−グルコピラノシルであり、R2は2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである。この化合物は下記化学式IIIに示す構造を有する。以降、この化合物をイソ−レバウディオサイドAと呼ぶ:
【化4】

【0016】
特定の典型的な実施の形態では、本明細書に開示されるステビオール配糖体の異性体は、水溶液中でレバウディオサイドAを、強酸性条件下(例えば約pH1.0〜4.0;約pH2.0〜2.5など)で、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、約30℃〜約90℃(例えば、43℃、65℃、75℃、85℃、または約40℃〜約50℃の範囲内)の範囲の温度に加熱し、イソ−レバウディオサイドA(化学式III)を生成することにより調製されうる。特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1.0重量%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90重量%)のレバウディオサイドA出発材料をイソ−レバウディオサイドAに転換する。文献報告は、酸性条件下(pH2.4〜2.6)において、ステビオシドまたはレバウディオサイドAは、60℃では非常に安定であるが、100℃では劇的な変化を受け、グルコース、ステビオールビオシド(ステビオシド由来)、レバウディオサイドB(レバウディオサイドA由来)、およびステビオシドまたはレバウディオサイドAとはまったくかけ離れたTLCRf’またはHPLCtR’を有する未知の化合物などの加水分解副生成物を生じることを示唆している。ステビオシドが高温に曝露される場合にはイソステビオールも形成されている(化学式IV)(S.S. ChangおよびJ. M. Cook, J. Agric. Food Chem., 31, 409 − 412(1983))。
【化5】

【0017】
他の文献報告は、ステビオシドの酸性触媒による加水分解がイソステビオールを生じることを示唆している(M. BridelおよびR. Lavieille, Journal de Pharmacie et de Chimie, 14, 321 -328, and 369 -379 (1931)、ならびに、J.R. HansonおよびB.H. Oliverira, Natural Product Reports, 10, 301-309 (1993))。イソステビオールは、ステビオール(R1およびR 2がそれぞれ水素である、化学式I)のD環の反転を伴う、ワグナー−メーヤワイン転位の生成物であることが示されている。よって、文献の教示は、ステビオール配糖体、例えばレバウディオサイドAは、それぞれ、酸性触媒による異性化に供され、アグリコン部分として同様にイソステビオールを有する終局産物へと転換されることが示唆されている。
【0018】
しかしながら、驚くべきことに、本発明に従ったステビオール配糖体、例えばレバウディオサイドAの酸および加熱処理は、アグリコン部分がステビオールでもイソステビオールでもなく、ステビオールと比較して二重結合が移動した新規のアグリコン部分を有する、化学式IIのステビオール配糖体の異性体、例えばイソ−レバウディオサイドA(化学式III)を生じることが判明した。新規化合物の予想外のアグリコン部分を、以下、イソ−ステビオールIIと呼ぶ(化学式II参照)。化学式IIのR1およびR2がそれぞれ水素であるとき、化合物はイソ−ステビオールII(化学式V)と称される。
【化6】

【0019】
特定の典型的な実施の形態では、本明細書に開示するステビオール配糖体の異性体を加水分解して、グルコース、ラムノース、および/またはキシロース単位を除去してもよい。よって、例えばイソ−レバウディオサイドA〜F、イソ−ステビオシド、イソ−ズルコシドなどのステビオール配糖体の異性体を、さらなる処理の際に熱および酸と共に加水分解して、例えば、イソ−ステビオシド、イソ−レバウディオサイドB、イソ−ステビオールビオシド、イソ−ルブソシド、イソ−ステビオールモノシド、イソ−ステビオールIIグルコシルエステルなど、さまざまな他のステビオール配糖体の異性体を得ることができる。よって、非限定的な例として、レバウディオサイドAは、熱および酸で処理することによって異性化され、中間体としてのイソ−レバウディオサイドAを生じ、これを次に加水分解してイソ−レバウディオサイドBを得られうる。特定の典型的な実施の形態では、ステビオール配糖体出発材料を最初に加水分解して1つ以上のグルコース、ラムノース、および/またはキシロース単位を除去し、次いでステビオール配糖体の異性体へと異性化して差し支えない。非限定的な例として、レバウディオサイドAを熱および酸で処理することによって加水分解し、中間体としてのレバウディオサイドBを生じ、これを次にイソ−レバウディオサイドBへと異性化してもよい。
【0020】
特定の典型的な実施の形態では、pH1.0〜4.0の範囲のpH(例えばpH2.0〜2.5の範囲内)を有し、レバウディオサイドA(すなわち、R1が1−β−D−グルコピラノシル、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、化学式Iの化合物)を含む酸性水溶液を、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、30℃〜約90℃の範囲内の温度(例えば、43℃、65℃、75℃、85℃、または約40℃〜約50℃の範囲内)に加熱し、イソ−レバウディオサイドB(すなわち、R1が水素、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、化学式IIの化合物)を生じる。1つの典型的な実施の形態では、上記条件の下、レバウディオサイドAは、まず、イソ−レバウディオサイドAへと転換され、次いでイソ−レバウディオサイドBへと転換される。別の典型的な実施の形態では、上記条件の下、レバウディオサイドAはレバウディオサイドBに転換され、次いでイソ−レバウディオサイドBへと転換される。特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1.0重量%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90重量%)のレバウディオサイドA出発材料がイソ−レバウディオサイドBへと転換される。
【0021】
他の典型的な実施の形態では、本明細書に開示されるステビオール配糖体の異性体のそれぞれは、例えば対応するステビオール配糖体など、適切なステビオール配糖体を、本発明の方法に従って酸および熱で処理することにより調製されうる。具体的には、ステビオシドは、強酸性条件下(例えば約pH2.0〜2.5など、約pH1.0〜4.0)、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、水溶液中、約30℃〜約90℃の範囲内の温度(例えば、43℃、65℃、75℃、85℃、または約40℃〜約50℃の範囲内)に加熱されて、R1が1−β−D−グルコピラノシル、R2が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、化学式IIの化合物(イソ−ステビオシド)を生じうる。特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1.0重量%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90重量%)のステビオシド出発材料がイソ−ステビオシドへと転換される。同様に、レバウディオサイドBは、強酸性条件下(例えば約pH2.0〜2.5など、約pH1.0〜4.0)、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、水溶液中、約30℃〜約90℃の範囲内の温度(例えば、43℃、65℃、75℃、85℃、または約40℃〜約50℃の範囲内)に加熱されて、R1が水素、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、化学式IIの化合物(イソ−レバウディオサイドB)を生じうる。特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1.0重量%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90重量%)のレバウディオサイドB出発材料がイソ−レバウディオサイドBへと転換される。ステビオールビオシドは、強酸性条件下(例えば約pH2.0〜2.5など、約pH1.0〜4.0)、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、水溶液中、約30℃〜約90℃の範囲内の温度(例えば、43℃、65℃、75℃、85℃、または約40℃〜約50℃の範囲内)に加熱されて、R1が水素、R2が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、化学式IIの化合物(イソ−ステビオールビオシド)を生じうる。特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1.0重量%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90重量%)のステビオールビオシド出発材料がイソ−ステビオールビオシドへと転換される。ルブソシドは、強酸性条件下で(例えば約pH2.0〜2.5など、約pH1.0〜4.0)、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、水溶液中、約30℃〜約90℃の範囲内の温度(例えば、43℃、65℃、75℃、85℃、または約40℃〜約50℃の範囲内)に加熱されて、R1が1−β−D−グルコピラノシル、R2が1−β−D−グルコピラノシルである、化学式IIの化合物(イソ−ルブソシド)を生じうる。特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1.0重量%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90重量%)のルブソシド出発材料がイソ−ルブソシドへと転換される。ステビオールモノシドは、強酸性条件下で(例えば約pH2.0〜2.5など、約pH1.0〜4.0)、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、水溶液中、約30℃〜約90℃の範囲内の温度(例えば、43℃、65℃、75℃、85℃、または約40℃〜約50℃の範囲内)に加熱されて、R1が水素、R2が1−β−D−グルコピラノースである、化学式IIの化合物(イソ−ステビオールモノシド)を生じうる。特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1.0重量%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90重量%)のステビオールモノシド出発材料がイソ−ステビオールモノシドへと転換されうる。ステビオールグルコースエステル(R1が1−β−D−グルコピラノシル、R2が水素である、化学式I)は、強酸性条件下で(例えば約pH2.0〜2.5など、約pH1.0〜4.0)、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、水溶液中、約30℃〜約90℃の範囲内の温度(例えば、43℃、65℃、75℃、85℃、または約40℃〜約50℃の範囲内)に加熱されて、R1が1−β−D−グルコピラノース、R2が水素である、化学式IIの化合物(イソ−ステビオールIIグルコシルエステル)を生じうる。特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1.0重量%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90重量%)のステビオール グルコースエステル出発材料がイソ−ステビオールIIグルコシルエステルへと転換されうる。ズルコシドAは、強酸性条件下で(例えば約pH2.0〜2.5など、約pH1.0〜4.0)、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、水溶液中、約30℃〜約90℃の範囲内の温度(例えば、43℃、65℃、75℃、85℃、または約40℃〜約50℃の範囲内)に加熱されて、R1 が1−β−D−グルコピラノシル、R2が2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、化学式IIの化合物(イソ−ズルコシドA)を生じうる。特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1.0重量%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90重量%)のズルコシドA出発材料がイソ−ズルコシドAへと転換される。レバウディオサイドCは、強酸性条件下で(例えば約pH2.0〜2.5など、約pH1.0〜4.0)、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、水溶液中、約30℃〜約90℃の範囲内の温度(例えば、43℃、65℃、75℃、85℃、または約40℃〜約50℃の範囲内)に加熱されて、R1が1−β−D−グルコピラノシル、R2が2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノースである、化学式IIの化合物(イソ−レバウディオサイドC)を生じうる。特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1.0重量%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90重量%)のレバウディオサイドC出発材料がイソ−レバウディオサイドCへと転換されうる。レバウディオサイドDは、強酸性条件下で(例えば約pH2.0〜2.5など、約pH1.0〜4.0)、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、水溶液中、約30℃〜約90℃の範囲内の温度(例えば、43℃、65℃、75℃、85℃、または約40℃〜約50℃の範囲内)に加熱されて、R1が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、化学式IIの化合物(イソ−レバウディオサイドD)を生じうる。特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1.0重量%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90重量%)のレバウディオサイドD出発材料がイソ−レバウディオサイドDへと転換される。レバウディオサイドEは、水溶液中、約30℃〜約90℃の範囲内の温度(例えば、43℃、65℃、75℃、85℃、または約40℃〜約50℃の範囲内)に加熱されて、強酸性条件下で(例えば約pH2.0〜2.5など、約pH1.0〜4.0)、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、R1が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、R2が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、化学式IIの化合物(イソ−レバウディオサイドE)を生じうる。特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1.0重量%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90重量%)のレバウディオサイドE出発材料がイソ−レバウディオサイドEへと転換される。レバウディオサイドFは、強酸性条件下で(例えば約pH2.0〜2.5など、約pH1.0〜4.0)、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、水溶液中、約30℃〜約90℃の範囲内の温度(例えば、43℃、65℃、75℃、85℃、または約40℃〜約50℃の範囲内)に加熱されて、R1が1−β−D−グルコピラノシル、R2が2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、化学式IIの化合物(イソ−レバウディオサイドF)を生じうる。特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1.0重量%(例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90重量%)のレバウディオサイドF出発材料がイソ−レバウディオサイドFへと転換される。例えば酵素的異性化など他の合成方法を用いてもよい。ステビオール配糖体の異性体は、単離および精製されて差し支えなく、例えば、クロマトグラフィー、再結晶などが挙げられる。
【0022】
強酸性条件下でステビオール配糖体の異性体の調製に用いるのに適切な典型的な酸としては、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸、および/または、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸などの有機酸が挙げられる。反応混合物を強酸性にする(例えば、約pH1.0〜4.0の範囲内のpH値、約pH2.0〜2.5などを達成する)のに十分な量で、1つ以上の酸および随意的に対応する酸塩(例えばクエン酸とクエン酸塩)が反応混合物中に含まれる。酵素的異性化も利用して差し支えない。
【0023】
化学式Iのステビオール配糖体は、単独で、または混合物として、デンプンとの酵素的トランスグルコシル化反応を経て、R1および/またはR2に存在するβ−D−グルコピラノシル単位に4→1共有結合した、追加の数のβ−D−グルコピラノシル単位を有し、生成物の複合混合物を生じうる(Kazuhiro OhtaniおよびKazuo Yamasaki, Chapter 7, “Method to improve the taste of the sweet principles of Stevia rebaudiana,” p. 145 in the book entitled “Stevia, The genus Stevia” by A. Douglas Kinghorn, Taylor & Francis, 2002を参照)。
【0024】
これらの酵素修飾されたステビア抽出物は、食品および飲料製品において甘味料用途として市販されている。化学式IIのステビオール配糖体の異性体は、同種の酵素的トランスグルコシル化反応に供され、食品および飲料製品のための甘味料として有用な、生成物の複合混合物を生じうる。化学式Iのステビオール配糖体の酵素的トランスグルコシル化生成物が、強酸性条件下で(例えば約pH2.0〜2.5など、約pH1.0〜4.0)、十分な時間(例えば2日間〜約11週間など、2日間より長く)、水溶液中、約30℃〜約90℃の範囲内の温度(例えば43℃など、約40℃〜約50℃の範囲内)に加熱されて、化学式IIのアグリコン部分を有する生成物の複合混合物を生じうることも意図されている。これらの異性化生成物は、食品および飲料製品の甘味料としても有用でありうる。
【0025】
特定の典型的な実施の形態では、少なくとも1つの化学式IIの化合物を含むステビオール配糖体の異性体は、強力な非栄養甘味料として利用されうる。甘味料は、食品および飲料における、消費および使用に適した食用消耗品である。本明細書では「食用消耗品」は、ヒトまたは動物の消費用の食品または飲料、あるいは食品または飲料の材料を意味する。本明細書では「非栄養甘味料」は、典型的な使用量において顕著なカロリー含量を提供しないもの、例えば、糖度10に等しい甘味を達成するのに、227.2g(8オンス)の提供飲料当たり5カロリー未満を有するものである。本明細書では「強力な甘味料」は、砂糖(ショ糖)の甘味の少なくとも2倍の甘味料、すなわち、等価の甘味を達成するのに重量基準で砂糖の半分以下の重量しか必要としない甘味料を意味する。例えば、強力な甘味料は、砂糖で糖度10のレベルに甘味付けされた飲料において等価の甘味を達成するのに、砂糖の2分の1未満の重量しか必要とされないであろう。
【0026】
特定の典型的な実施の形態では、甘味料は、少なくとも1つの化学式IIの化合物、および随意的に充填剤、D型グルコース、マルトデキストリン、エリスリトール、タガトース、またはエリスリトールとタガトースの混合物、ポリデキストロース、および/またはアンチケーキング剤などのバルキング剤を含みうる。
【0027】
特定の典型的な実施の形態では、本明細書に開示される1つ以上のステビオール配糖体の異性体は、飲料製品中に非栄養甘味料として存在しうる。特定の典型的な実施の形態では、飲料製品は、イソ−レバウディオサイドA(すなわち、R1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである化学式IIの化合物)を、所定の甘味の量で含む。特定の典型的な実施の形態では、飲料製品は、少なくとも0.005重量%(例えば、少なくとも0.01%、少なくとも0.02%、少なくとも0.03重量%)のイソ−レバウディオサイドAを含む。特定の典型的な実施の形態では、飲料製品は、イソ−レバウディオサイドB(すなわち、R1が水素であり、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、化学式IIの化合物)を、所定の甘味の量で含む。特定の典型的な実施の形態では、飲料製品は、少なくとも0.005重量%(例えば、少なくとも0.01%、少なくとも0.02%、少なくとも0.03重量%)のイソ−レバウディオサイドBを含む。
【0028】
典型的な飲料製品は、水性液体および化学式IIの化合物を包含し、例えば、レディ・トゥ・ドリンク液体配合物、飲料濃縮物などの飲料が挙げられる。飲料としては、例えば、炭酸および非炭酸の清涼飲料、ファウンテン飲料、フローズン・レディ・トゥ・ドリンク飲料、フローズン炭酸飲料、液体濃縮物、粉末濃縮物、コーヒー飲料、茶飲料、乳飲料、フレーバー水、機能強化水、果汁、果汁で香味付けした飲料、果実で香味付けした飲料、スポーツ飲料、大豆飲料、野菜飲料、穀物系飲料(例えば麦芽飲料)、発酵飲料(例えば、ヨーグルトおよびケフィア)、アルコール飲料、およびそれらの任意の混合物が挙げられる。典型的な果汁源としては、例えば、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、およびライムなどの柑橘系果実、例えばクランベリー、ラズベリー、ブルーベリーおよびストロベリー、などのベリー、リンゴ、ブドウ、パイナップル、プルーン、ナシ、モモ、サクランボ、マンゴー、およびザクロなどが挙げられる。飲料製品としては、瓶、缶、およびカートン製品およびファウンテン・シロップなどの用途が挙げられる。
【0029】
「飲料濃縮物」および「シロップ」という用語は、本開示中で同義的に用いられる。意図される飲料濃縮物の少なくとも特定の典型的な実施の形態は、そこに追加の材料を加える、初期体積の水で調製される。濃度100%の(Full strength)飲料組成物は、追加体積の水を濃縮物に加えることによって、飲料濃縮物から形成することができる。典型的には、例えば濃度100%の飲料は、およそ1部の濃縮物を約3〜約7部の水と合わせることによって、濃縮物から調製されうる。特定の典型的な実施の形態では、濃度100%の飲料は、1部の濃縮物を5部の水と合わせることによって調製されうる。特定の典型的な実施の形態では、濃度100%の飲料を形成するのに用いる追加の水は炭酸水である。特定の他の実施の形態では、濃度100%の飲料は、濃縮物の形成およびその後の希釈をすることなく、直接調製される。
【0030】
特定の典型的な実施の形態では、本明細書で開示される1つ以上のステビオール配糖体の異性体は、食品中に非栄養甘味料として存在して差し支えない。食品は、完全に、またはある程度消化可能であるか否かに関わらず、少なくとも1つの食物成分、すなわち、ヒトまたは動物の消費に適した任意の食用材料を含む。食物成分の非限定的な例としては、本明細書に開示される化学式IIの化合物を含む、タンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラルなどの食品としては、例えば、オートミール、シリアル、焼いた食品(例えば、クッキー、クラッカー、ケーキ、ブラウニー、パンなど)、スナック食品(例えば、ポテトチップス、トルティーヤチップス、ポップコーン、スナック・バー、餅など)、および他の穀物系食品が挙げられる。本明細書の開示のいずれかの箇所で述べた、すべての変形物、代替物、選択物などは、本発明の食品の実施の形態に適用される。
【0031】
本開示に従った食品または飲料製品は、多くの異なる特定の配合または構成のいずれかを有しうるものと理解されるべきである。本開示に従った食品または飲料製品の形成は、製品が対象とする市場区分としての要素、その所望する栄養学的特徴、香味特性などに応じて、ある程度変化させることができる。例えば、本明細書に開示される任意の食品または飲料配合物を含めた特定の食品または飲料の実施の形態の配合物にさらなる材料を加えることは、一般に選択肢となるであろう。追加の(すなわち、さらなる、および/または他の)甘味料も加えて構わない。酸味料、香味料、着色料、電解質、ミネラル、非ミネラルの栄養補給剤、果汁または他の果実製品、味物質、マスキング剤など、調味料、緩衝剤、増粘剤、乳化剤、食用の粒子状物質、消泡剤、保存剤、炭酸化、およびそれらの混合物を、典型的には任意のこれらの配合物に加えて、食品または飲料製品の味、口当たり、栄養学的特徴、機能性などを変化させることができる。非ミネラル栄養補給剤材料の例は、当業者には既知であり、例えば、ビタミンA、D、E(トコフェロール)、C(アスコルビン酸)、B(チアミン)、B2(リボフラビン)、B6、B12、およびK、ナイアシン、葉酸、ビオチン、およびそれらの組合せを含めた酸化防止剤およびビタミン類が挙げられる。随意的な非ミネラルの栄養補給剤は、典型的には、一般に、正製造規範の下で受け入れられる量で存在する。典型的な量は、RDV(推奨される1日の摂取量)が確立されている場合、約1%〜約100%のRDVである。特定の典型的な実施の形態では、非ミネラルの栄養補給剤材料は、確立されている場合、約5%〜約20%のRDV量で存在する。追加の、および代替となる適切な材料は、本開示の利益を得る当業者に認識されよう。
【0032】
本明細書に開示される炭酸飲料の特定の典型的な実施の形態は、特徴として、炭酸水、化学式IIの化合物、コーラの実抽出物、および/または他のコーラ香味料、カラメル着色料、酸味料(例えばリン酸)、および随意的に、他の甘味料などの他の材料を含む、コーラ風味の炭酸飲料である。本明細書に開示される炭酸飲料の特定の他の典型的な実施の形態は、特徴として、炭酸水、化学式IIの化合物、柑橘系香味料、酸味料(例えばクエン酸)、および随意的に、着色剤および/または他の甘味料などの他の材料を含む、柑橘系風味(例えば、レモンライム、グレープフルーツ、レモン、ライムなど)の炭酸飲料である。特定の典型的な実施の形態では、水、化学式IIの化合物、コーラ香味料、カラメル着色料、および酸味料(例えばリン酸)、および随意的に他の甘味料などの他の材料を含む、飲料濃縮物が提供される。特定の典型的な実施の形態では、水、化学式IIの化合物、柑橘系香味料、酸味料(例えばクエン酸)、および随意的に着色剤および/または他の甘味料などの他の材料を含む、飲料濃縮物が提供される。
【0033】
本明細書に開示される食品および飲料製品の少なくとも特定の典型的な実施の形態では、追加の/他の甘味料を含めて差し支えなく、例えば、栄養甘味料または非栄養甘味料が挙げられる。栄養甘味料の非限定的な例としては、リンゴ、チコリ、アガーベ、ハチミツなどの天然起源由来の、ショ糖、ショ糖液、果糖、果糖液、グルコース、液体グルコース、グルコース−果糖シロップ、例えば、トウモロコシの高果糖シロップ、チコリーシロップ、アガベシロップ、転化糖、中程度の(medium)転化糖、メープルシロップ、メープルシュガー、ハチミツ、例えば、甘しゃ糖蜜およびテンサイ糖蜜などのブラウンシュガーモラセス、サトウモロコシシロップ、およびそれらの任意の混合物が挙げられる。これらの甘味料は、少なくとも特定の典型的な実施の形態では、最終的な食品または飲料製品の所望の甘味レベルに応じて、最終的な食品または飲料製品の約6%〜約16重量%など、約0.1%〜約20重量%の量で存在する。栄養甘味料は、飲料濃縮物の実施の形態では、飲料濃縮物の約60重量%までの量で存在しうる。
【0034】
食品および飲料製品に含まれうる強力な非栄養天然甘味料の非限定的な例としては、レバウディオサイドA、ステビオシド、他のステビオール配糖体、ステビア(Stevia rebaudiana)抽出物、羅漢果(LHG)、例えばLHG果汁濃縮物またはLHG粉末など、タウマチン、モネリン、ブラゼイン、モナチン、およびそれらの任意の混合物が挙げられる。LHGは、用いる場合には、例えば、約2〜約99%のモグロシドV含量を有しうる。特定の典型的な実施の形態では、化学式IIの化合物、および少なくとも30%のモグロシドV含量を有するLHGの混合物を含む食品または飲料製品が提供される。特定の典型的な実施の形態では、混合物中のLHGは、約45%±5%のモグロシドV含量を有する。特定の典型的な実施の形態では、LHGおよび化学式IIの化合物を含む混合物は、食品または飲料製品において少なくとも10%の甘味を提供する。特定の典型的な実施の形態では、混合物は、約1/3〜約2/3の甘味を提供する。非栄養甘味料の他の例としては、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、グリチルリチン、マルチトール、麦芽糖、乳糖、キシロース、アラビノース、イソマルト、ラクチトール、トレハロース、リボース、フルクトオリゴ糖、およびそれらの任意の混合物が挙げられる。 随意的に、甘味料成分は、エリスリトール、タガトース、エリスリトールとタガトースの混合物、またはポリデキストロースを含みうる。特定の典型的な実施の形態では、化学式IIの化合物および他のエリスリトール、タガトース、またはエリスリトールとタガトースの混合物を含む、食品または飲料製品が提供される。
【0035】
食品および飲料製品中に含まれうる強力な非栄養人工甘味料の非限定的な例としては、例えば、アスパルテーム、ネオテーム、およびアリテームなどのペプチド系甘味料、および例えば、サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウム、アセスルファム(アセスルファムカリウムを含むが、これに限定されない)、チクロ(シクラミン酸ナトリウムおよび/またはシクラミン酸カリウムを含むが、これらに限定されない)、ネオヘスペリジン・ジヒドロカルコン、スクラロースなどの非ペプチド系甘味料、およびそれらの任意の混合物が挙げられる。強力な非栄養甘味料は、典型的には、それらの甘味力、食品または飲料が販売される国の任意の適切な規制条項、食品または飲料などの甘味の所望のレベルにしたがって、食品または飲料28g(1オンス)当たり、ミリグラムレベルで用いられる。任意の上記栄養および非栄養甘味料の混合物は、開示される本発明の範囲内に含まれる。本明細書に開示される食品および飲料製品のさまざまな実施の形態に使用する適切な追加または代替となる甘味料を選択することは、本開示の利益を所与とすれば、当業者の能力の範囲内であろう。
【0036】
便宜上、一部の材料は、特定の事例において、飲料製品の配合に加えられる材料の原形を参照して本明細書に開示されることは、当業者に理解されるであろう。これらの原形は、最終的な食品または飲料製品中に認められる材料の形態とは異なる場合がある。よって、例えば、本開示のコーラ飲料製品の特定の典型的な実施の形態では、ショ糖およびショ糖液は、典型的には、飲料中に実質的に均質に溶解し、分散するであろう。同様に、固体、濃縮物(例えばジュース濃縮物)などとして確認される他の材料は、典型的には、それらの原形を保つというよりは、食品または飲料製品中に均質に分散されるであろう。よって、食品または飲料製品の配合材料の形態についての言及は、食品または飲料製品中の材料の形態上限定されるものと解釈されるべきではなく、製品配合物の確認される成分として材料を記載する、便宜上の手段として解釈されるべきである。
【0037】
少なくとも特定の典型的な実施の形態では、本明細書に開示される食品および飲料製品は、低温殺菌によって保存されうる。低温殺菌方法としては、例えば、超高温(UHT)処理および/または高温短時間(HTST)処理などが挙げられる。UHT処理としては、直接、水蒸気圧入または水蒸気注入することによって、または熱交換器で間接的に加熱することによってなど、食品または飲料製品を高温に供することが挙げられる。一般に、製品を低温殺菌した後、製品を特定の製品組成/構成および/または包装充填用途の要求に応じて冷却することができる。例えば、1つの実施の形態では、食品または飲料製品は、短時間、例えば約1〜60秒間、約85℃〜約121℃の温度に加熱に供され、次いで要冷蔵製品用の約2.2℃±2.8℃まで、保存安定性または要冷蔵の製品用の周囲温度まで、および保存安定性の製品用の高温充填用途のために約85℃±5.5℃まで、急速に冷却される。低温殺菌方法は、食品または飲料製品が大気または他の可能な汚染源に曝露されないように、典型的には閉鎖系で行われる。他の低温殺菌または殺菌技術もまた有用であり、例えば、無菌充填、トンネル低温殺菌、またはレトルト処理が挙げられる。一般に、トンネル低温殺菌法は、典型的には例えば約71℃で10〜15分間の低温長時間が用いられ、レトルト法は、典型的には、例えば高圧で、すなわち、1気圧を超える圧力で、約121℃で3〜5分間が用いられる。さらには、食品または飲料製品または材料の必要に応じて、複数の低温殺菌方法が、連続してまたは平行して行われうる。
【0038】
次の実施例は、本発明のある実施の形態であり、それに限定することを意図していない。
【実施例】
【0039】
実施例1
イソ−レバウディオサイドAの合成:
クエン酸の水性緩衝液(約pH2.0)に溶解したレバウディオサイドA(0.5g)を約43.3℃で10週間加熱した。次に反応混合物を凍結乾燥し、その後、シリカゲルカラム(1×20cm)に供し、70%アセトン、15%トリエチルアミン、および15%の水の溶媒系で溶出した。レバウディオサイドAおよびイソ−レバウディオサイドAを含有する画分2を用いて、2つの画分を単離した。濃縮後、およそ6mgの油状物質を画分2から単離した。油状物質をD2O(0.6ml)に溶解し、室温で約3日間放置した。無色透明の、針状結晶(1〜2mg)が形成され、これを分析用に単離した。
【0040】
実施例2
イソ−レバウディオサイドAの分析:
少量の実施例1の結晶生成物をプロトンNMRで解析し、親レバウディオサイドAのスペクトル(D2O,400MHz 1H−NMR)と比較した。2つの化合物は同一ではなく、新規異性体が形成されたことを示した。図1および2は、それぞれ、標準のレバウディオサイドAおよびイソ−レバウディオサイドAのプロトンNMRスペクトルを示している。図3は、2つのスペクトルの重ね合わせを示すものである。
【0041】
標準のレバウディオサイドAおよび実施例1の結晶生成物のサンプルを質量スペクトル解析(ESI陽イオンモード)に提供した。両方の化合物は、966.5原子質量単位(amu)のレバウディオサイドAの予想分子量、および同様のフラグメンテーションパターンを示した。図4および5は、それぞれ、レバウディオサイドAおよびイソ−レバウディオサイドAの質量スペクトルを示している。
【0042】
C−18逆相分析カラム(オルチマ(Alltima)社製、2.1×250mm)で、0.250ml/分の流量、210nmでの検出、およびエバポレイティブ光散乱(ELSD)検出を用いて、解析を行った。カラムを0.1%のトリフルオロ酢酸(溶媒A)を含む水であらかじめ平衡化した。溶媒Bは0.1%のトリフルオロ酢酸を含むアセトニトリルであった。勾配条件は次の通りであった:
【表1】

【0043】
実施例1の生成物を水(5μl)に注入し、基線分離していない、30:70比の2本のピーク:22.523分に溶出する小ピーク、および22.680分に溶出する主要ピークを得た。標準のレバウディオサイドAを同一条件下でHPLCにかけ、22.523分に溶出するピークであることを検証した。同一の標準のレバウディオサイドAを少量の実施例1の結晶生成物で強化し、HPLCにかけ、22.680分のピーク領域が比例的に増大することが明らかになった。
【0044】
レバウディオサイドAおよびその異性体を、実施例1の10週の粗反応混合物を同一のC−18逆相カラムに注入し、0.25ml/分の流量で、0.1%ギ酸を用いた30:70のアセトニトリル:水からなる定組成混合物で溶出し、基線分離した。基線分離は、0.25ml/分の流量で、95%水のアセトニトリルに対する15分間の勾配を用いても得られる。これらの条件下、レバウディオサイドAは約10.9分に溶出し、イソ−レバウディオサイドAは約12.2分に溶出した(図6)。LC/MS(ESI−MS)による検出は、12.2分のイソ−レバウディオサイドAのピークの989(M+23,Naイオン付加物)の分子イオンを示した(図7)。標準のレバウディオサイドAおよび単離したイソ−レバウディオサイドAをLC/MSで別々に解析した。標準のレバウディオサイドAは、図6の10.9分のピークに対応する11.08分に溶出し(図8)、単離したイソ−レバウディオサイドAは、図6の12.2分のピークに対応する12.1分に溶出した(図9)。標準および単離生成物の両方は、989の分子イオンを有していた(それぞれ図10および11)。単離したイソ−レバウディオサイドAで強化した、実施例1から得られた10週の粗反応混合物の混合物をLC/MSで解析した。加えたイソ−レバウディオサイドAは12.2分のピークとともに共溶出して、12.2分のピーク面積が増大し(図6と比較した図12)、12.2分のピークの質量スペクトルは、 依然として989の分子イオンを与えた(図13)。
【0045】
NMR、HPLC、および質量スペクトルデータは、共に、新規化合物イソ−レバウディオサイドAが、レバウディオサイドAとは化学的に区別される誘導体であることをはっきりと確認した。
【0046】
実施例3
イソ−レバウディオサイドAの合成:
レバウディオサイドA(5g)をクエン酸の水性緩衝液(pH2、100mM、200mL)中に溶解し、約75℃まで加熱した。反応の進行をHPLCでモニターし、イソ−レバウディオサイドAのレバウディオサイドAに対する比が75%よりも大きくなったとき(72時間)、反応混合物を蒸発させて粘着質の結晶性固体を得た。生成混合物をシリカカラム(10×40cm)に通し、アセトン:水:トリエチルアミン(70:15:15)で溶出してガラス質の油状物質を得た(約1.0g)。HPLCによる解析は、1つ以上の糖部分(例えば、イソ−ステビオシド、イソ−レバウディオサイドB、イソ−ルブソシド、イソ−ステビオールビオシド、イソ−ステビオールモノシドなど)の損失に対応する、大量の明らかに加水分解した材料と共に、レバウディオサイドAおよびイソ−レバウディオサイドAの存在を示した。
【0047】
ガラス質の油状物質を水(3mL)に溶解し、分取用のHPLC(Alltech Alltima C−18分取用カラム,10×250mm,流量5ml/分,0.1%ギ酸を用いた水中30%のアセトニトリルの溶媒組成)で分離した。全部で15回の反復注入を行い、13.7分に溶出するピークを回収し、画分をプールし、濃縮して白色粉末(23mgの単離および精製したイソ−レバウディオサイドA)を得た。白色粉末を最初に水(2mL)に懸濁して遠心分離にかけた。残渣固体を温かいアセトニトリル(200μL)に溶解した後、水(200μL)を追加し、室温に5日間置くと、大きい針状の形態の結晶がゆっくりと現れた。結晶を摂動することなく、混合物をX線結晶学に提供した。結晶を液体部分から分離し、2つのサンプルを高真空下で3日間、別々に乾燥した。乾燥した結晶を用いてX線結晶学データを得た。
【0048】
イソ−レバウディオサイドAのX線結晶構造を得て、その構造を解明した(図14参照)。 比較のため、標準のレバウディオサイドAのX線結晶構造を得て、その構造を解明した(図15)。X線結晶学解析は、思いがけず、イソ−レバウディオサイドAの三次元構造が、炭素15と16の間のより短い結合長からも分かるように、外側にメチル基を有する、5員環における環内二重結合を有することが分かった。レバウディオサイドAの結晶構造は、炭素15と17の間のより短い結合長からも分かるように、予想される環外二重結合を示した。結合長の比較は図16を参照されたい。驚くべきことに、イソ−レバウディオサイドAの構造は、熱および酸性条件下で、ステビオールがイソステビオールへと転換される、酸性触媒による二重結合の移動による生成物であり、文献報告に基づいて予想されるワグナー−メーヤワイン転位の生成物ではないことを示した。
【0049】
実施例4
実施例3のX線結晶学サンプルから得られたイソ−レバウディオサイドAを1000ppmの濃度で水に溶解し、5人の官能評価パネラーによって7%のショ糖溶液のものと同様の甘味強度を有することを確認し、それにより、甘味の効力はショ糖の70倍であると評価された。
【0050】
実施例5
温度:43℃、65℃、75℃、85℃、および90℃以外は実施例3と同一条件下で6つの反応を設定し、その後、HPLC−MSまたはUV(210nm)検出した。高温では、最大部分のレバウディオサイドAの加水分解を伴う、広範囲に及ぶ加水分解が生じ、反応の進行をHPLC−MS解析により決定する際に、1つ以上の糖部分が除去されることが観察された。
【0051】
実施例6
レバウディオサイドA(Reb A)からのイソ−レバウディオサイドA(化合物X)の合成のpH依存性について、2種類の研究を行った。レバウディオサイドAを、順次、それぞれ異なるpHを有するクエン酸水溶液に同一濃度で溶解した。11週間、溶液を43℃に加熱した。1つの研究は、pH2.0、4.0、および7.0の溶液で行った。もう一方の研究は、pH2.5、3.0、および3.5の溶液で行った。2つの研究の結果をそれぞれ図17および18に示し、ここで、Reb AはレバウディオサイドAを表し、化合物Xはイソ−レバウディオサイドAを表している。図17では、pH2におけるイソ−レバウディオサイドAの濃度は9週で頂点に達し、その後減少した。pH2におけるレバウディオサイドAの濃度は、9週目以降、減少し続けた。これは、イソ−レバウディオサイドA自体が崩壊/加水分解して他のステビオール配糖体の異性体、例えばイソ−レバウディオサイドBなどになることを示唆している。
【0052】
実施例7
レバウディオサイドA(Reb A)からのイソ−レバウディオサイドA(化合物X)の合成の温度依存性について、研究を行った。レバウディオサイドAを同一濃度で、順次、すべてpH2.5のクエン酸水溶液に溶解した。各溶液を異なる温度(21℃、32℃、および43℃)で11週間保持した。研究結果を図19に示す。
【0053】
実施例8
イソ−レバウディオサイドBの形成にさらに好ましい反応条件下で、実施例3に記載される手順に従って、イソ−レバウディオサイドB(化学式VI)を合成および精製した。これらの反応条件には、実施例3のものよりも長い反応時間、および/または高い反応温度が含まれる。イソ−レバウディオサイドBを分取用HPLCで精製し、精製イソ−レバウディオサイドBをプロトンNMRで解析し、レバウディオサイドB対照サンプルのNMRスペクトルと比較した(D2O,400MHz 1H−NMR)。図20および21は、それぞれ、詳細を示すための広範囲の区域の標準のレバウディオサイドBおよびイソ−レバウディオサイドBのプロトンNMRスペクトルを示している。図22は2つのNMRスペクトルの重ね合わせを示している。図22は2つの化合物の2つの容易に識別可能な差異を示している。イソ−レバウディオサイドBのスペクトルは3つのメチル基の一重項を有するが、レバウディオサイドBのスペクトルは2つしか有していない。また、約5.2ppmのアルケニル領域では、レバウディオサイドBについての2つのプロトンのアルケニルピークは、イソ−レバウディオサイドBの1つのプロトンのピークのわずかに低磁場側にある。
【0054】
実施例2に記載される手順に従って、逆相分析HPLCで解析を行った。図23は、3つのサンプル:標準のレバウディオサイドB、イソ−レバウディオサイドB、および2つの1:1混合物のHPLCトレースの重ね合わせを示している。図23は、レバウディオサイドBおよびイソ−レバウディオサイドBのピークがこれらの条件下では基線分離していないが、識別できることを示している。UV−VISおよび質量スペクトルは、2つの化合物で実質的に同一である。反応混合物から単離したイソ−レバウディオサイドBは、 2つの化合物のHPLCトレースおよびNMRスペクトルを比較後、依然として約26%のレバウディオサイドBを有するように見える。
【0055】
本発明を、好ましい実施の形態に関して述べてきた。前述の詳細な記載を読み、理解すれば、変更および改質が生じることは当業者には明らかであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲またはそれらの等価物の範囲内にある限り、これらすべての変更および改質を包含すると解釈されることが意図されている。
【0056】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式IIの化合物:
【化1】

であって、ここで、
1は1−β−D−グルコピラノシルまたは2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、
2は水素、1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、
化合物。
【請求項2】
1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項4】
1が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項5】
1が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項6】
1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が1−β−D−グルコピラノシルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項7】
1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項8】
1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が水素であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項9】
1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項10】
1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が単離および精製されることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項12】
1が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が水素であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項13】
1が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が1−β−D−グルコピラノシルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項14】
1が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項15】
1が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項16】
1が2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項17】
水性液体と、
化学式IIの化合物:
【化2】

とを含む、飲料製品であって、ここで、
1が1−β−D−グルコピラノシルまたは2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、
2が水素、1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、
飲料製品。
【請求項18】
前記飲料製品が、炭酸飲料、非炭酸飲料、ファウンテン飲料、フローズン炭酸飲料、粉末濃縮物、飲料濃縮物、果汁、果汁で香味付けした飲料、果実で香味付けした飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、強化/機能強化水飲料、大豆飲料、野菜飲料、穀物系飲料、麦芽飲料、発酵飲料、ヨーグルト飲料、ケフィア、コーヒー飲料、茶飲料、乳飲料、およびそれらの任意の混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項17記載の飲料製品。
【請求項19】
ステビオール配糖体、ステビア(Stevia rebaudiana)抽出物、羅漢果、羅漢果果汁濃縮物、羅漢果粉末、モグロシドV、タウマチン、モネリン、ブラゼイン、モナチン、エリスリトール、タガトース、ショ糖、ショ糖液、果糖、果糖液、グルコース、液体グルコース、トウモロコシの高果糖シロップ、転化糖、中程度の(medium)転化糖、メープルシロップ、メープルシュガー、ハチミツ、チコリーシロップ、アガベシロップ、ブラウンシュガーモラセス、甘しゃ糖蜜、テンサイ糖蜜、サトウモロコシシロップ、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、グリチルリチン、マルチトール、麦芽糖、乳糖、キシロース、アラビノース、イソマルト、ラクチトール、トレハロース、リボース、フルクトオリゴ糖、アスパルテーム、ネオテーム、アリテーム、サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウム、アセスルファムカリウム、シクラミン酸ナトリウム、シクラミン酸カルシウム、ネオヘスペリジン・ジヒドロカルコン、スクラロース、ポリデキストロース、およびそれらの任意の混合物からなる群より選択される甘味料をさらに含むことを特徴とする請求項17記載の飲料製品。
【請求項20】
1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、
前記飲料製品が、レバウディオサイドAをさらに包含する飲料濃縮物であることを特徴とする請求項17記載の飲料製品。
【請求項21】
1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、
前記飲料製品がさらにレバウディオサイドAを含む炭酸飲料であることを特徴とする請求項17記載の飲料製品。
【請求項22】
1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、
所定の甘味の量の化学式IIの化合物を有してなることを特徴とする請求項17記載の飲料製品。
【請求項23】
1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、
少なくとも0.005重量%の化学式IIの化合物を有してなることを特徴とする請求項17記載の飲料製品。
【請求項24】
食物成分と、
化学式IIの化合物:
【化3】

とを有してなる食品であって、
1 が1−β−D−グルコピラノシルまたは2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、
2が水素、1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、
食品。
【請求項25】
前記食品が、オートミール、シリアル、焼いた食品、クッキー、クラッカー、ケーキ、ブラウニー、パン、スナック食品、ポテトチップス、トルティーヤチップス、ポップコーン、スナック・バー、餅、および穀物系食品からなる群より選択されることを特徴とするを特徴とする請求項24記載の食品。
【請求項26】
ステビオール配糖体、ステビア(Stevia rebaudiana)抽出物、羅漢果、羅漢果果汁濃縮物, 羅漢果粉末、モグロシドV、タウマチン, モネリン、ブラゼイン、モナチン、エリスリトール、タガトース、ショ糖、ショ糖液、果糖、果糖液、グルコース, 液体グルコース、トウモロコシの高果糖シロップ、転化糖、中程度の(medium)転化糖、メープルシロップ、メープルシュガー、ハチミツ、チコリーシロップ、アガベシロップ、ブラウンシュガーモラセス、甘しゃ糖蜜、テンサイ糖蜜、サトウモロコシシロップ、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、グリチルリチン、マルチトール、麦芽糖、乳糖、キシロース、アラビノース、イソマルト、ラクチトール、トレハロース、リボース、フルクトオリゴ糖、アスパルテーム、ネオテーム、アリテーム、サッカリンナトリウム、サッカリンカルシウム、アセスルファムカリウム、シクラミン酸ナトリウム、シクラミン酸カルシウム、ネオヘスペリジン ジヒドロカルコン、スクラロース、ポリデキストロース、およびそれらの任意の混合物からなる群より選択される甘味料をさらに含むことを特徴とする請求項24記載の食品。
【請求項27】
前記ステビオール配糖体が、R1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、レバウディオサイドAであることを特徴とする請求項26記載の食品。
【請求項28】
化学式IIの化合物:
【化4】

を有してなる甘味料であって、ここで、
1が1−β−D−グルコピラノシルまたは2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、
2が水素、1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、
甘味料。
【請求項29】
充填剤、バルキング剤(バルキング剤)、およびアンチケーキング剤のうち少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項28記載の甘味料。
【請求項30】
化学式IIの化合物:
【化5】

を調製する方法であって、ここで、
1が1−β−D−グルコピラノシルまたは2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、
2が水素、1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、
化学式Iの化合物:
【化6】

を含む酸性水溶液を提供する工程であって、ここで、
1が1−β−D−グルコピラノシルまたは2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、
2が水素、1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである工程と、
前記溶液を、2日間よりも長い期間、30℃〜90℃の範囲の温度に加熱する工程と、
を有してなる、方法。
【請求項31】
化学式Iの化合物において、R1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項32】
化学式IIの化合物において、R1が1−β−D−グルコピラノシルであり、R2が2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、
前記酸性水溶液がpH1.0〜4.0の範囲内のpH値を有することを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項33】
化学式Iの化合物の少なくとも1.0重量%が、化学式IIの化合物へと転換されることを特徴とする請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記温度が40℃〜50℃の範囲内であり、前記酸性水溶液が、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸、クエン酸、リンゴ酸酒石酸、乳酸、およびアスコルビン酸のうち少なくとも1つを、pH1.0〜4.0の範囲内のpH値を達成するのに十分な量でさらに含むことを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項35】
化学式IIの化合物:
【化7】

であって、ここで、
1が1−β−D−グルコピラノシルまたは2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルであり、
2が1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2,3−ビス(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、2−(1−α−L−ラムノピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシル、または2−(1−β−D−キシロピラノシル)−3−(1−β−D−グルコピラノシル)−1−β−D−グルコピラノシルである、
化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2010−539176(P2010−539176A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524928(P2010−524928)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/075192
【国際公開番号】WO2009/038978
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(593203701)ペプシコ,インコーポレイテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】PepsiCo Inc.
【Fターム(参考)】