説明

ステント配備装置および方法

ステント本体を備える、ステントシステムである。少なくとも1つの鉤部は、ステント本体から延在し、その自由端が付勢されてステント本体から半径方向外向きに延在するように構成される。保持機構は、ステント本体が圧縮状態である時に、少なくとも1つの鉤部を係合し、ステント本体に対して押込位置で少なくとも1つの鉤部を保持するように配置される。ステント、ステントを送達するシステム、およびステント送達シャフト上にステントを取り付ける方法である。ステント送達システムは、送達シャフトと、送達シャフトの周囲に配置されるように構成されるステントとを備える。ステントは、ステントの一部から自由端に円周方向に延在する延長部を含み、それにより、肩部表面を画定する。肩部面は、ベルトとの係合からの解放ワイヤの解放中に、ベルトの軸方向運動を最小化するように、ベルトの少なくとも一部に係合する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
実施形態は、概して、管腔内装置、具体的に、腹部大動脈の動脈瘤等の障害または疾患により弱化した身体管腔領域に設置するためのステントおよびグラフトに、より具体的には、身体管腔への装置の固定を強化する特性を有する装置を対象とする。
【0002】
ヒトまたは他の動物の身体に設置するための医療装置は、当該分野において周知である。クラスIの医療装置は、ステント、ステントグラフト、フィルタ、コイル、閉塞バスケット、弁等の管腔内装置を含む。ステントは、一般的には、腔内壁を支持するために使用される細長い装置である。例えば、狭窄の場合、ステントは、狭窄領域の身体管腔を通して非閉塞の導管を提供する。このようなステントは、また、織物の人工グラフト層、またはその内側および/または外側を裏打ちする被覆を有し得る。被覆されたステントは、当該分野において、通常、腔内プロテーゼ、血管もしくは血管内グラフト(EVG)、ステントグラフト、またはエンドグラフトと呼ばれる。
【0003】
エンドグラフトは、例えば、破裂のリスクを低減するために、弱化した動脈部における圧力を除去または低下させることにより血管動脈瘤を治療するために使用され得る。一般的には、エンドグラフトは、狭窄または動脈瘤の部位で、すなわち、一般的には、シース、かぎ針編みもしくは棒編みウェブ、カテーテル、または他の手段により半径方向に圧縮された構成で拘束されるエンドグラフトが、必要とされる部位にエンドグラフト送達システム、または「導入器」により送達される、いわゆる「低侵襲性技術」により腔内的に血管に移植される。導入器は、患者の皮膚を通して経皮的に等、身体の外のアクセス位置から、または挿入血管または管腔が軽手術手段により露出される「切開」技術により、血管または管腔に挿入され得る。本明細書で使用される「近位」という用語は、身体の外部端に比較的近いエンドグラフト、ステントまたは送達システムの部分を意味する一方、「遠位」という用語は、身体の内部端に比較的近い部分を意味する。
【0004】
導入器が、身体に入りエンドグラフト配備位置に前進した後、導入器は、エンドグラフトが拘束された構成から配備されるように操作され、ステントが配備位置で所定の直径に拡張するとすぐに、導入管は取り除かれる。ステントの拡張は、一般的には、スプリングの弾性、バルーン拡張により、および/または事前に条件付けされた拡張構成への記憶材料の熱的もしくはストレス誘発性戻りによる自己拡張により影響される。
【0005】
多くのエンドグラフトの用途の内は、胸部大動脈瘤(TAA)または腹部大動脈瘤(AAA)等の動脈瘤の修復のための管腔での配備である。AAAは、概して、腎動脈直下から大動脈の分岐部に延在する、拡大した大動脈直径の領域であり、TAAは、ほとんどの場合、下行胸部大動脈で生じる。AAAおよびTAAは、概して、動脈壁の変質に起因し、動脈の構造および弾性の性質の低下を引き起こす。弾性の損失に加え、この変質は、緩慢で連続的な管腔の拡張も引き起こす。
【0006】
AAAおよびTAAの標準的な外科的修復は、一般的には、1週間の入院と長期回復期間を必要とする広範で侵襲性の手技である。外科的手技の合併症を避けるため、実施者は、通常、上述の通り、低侵襲性手技を用い、弱化した血管壁を強化するために血管エンドグラフトを使用する。動脈瘤の部位で、実施者は、動脈瘤の上と下の比較的健康な組織にエンドグラフトを固定して、エンドグラフトを配備する。固定されたエンドグラフトは、弱化した動脈壁から離れて血流を転用し、動脈瘤の高圧への露出を最低にする。
【0007】
障害または疾患のある動脈を修復するための、または胸部もしくは腹部大動脈の動脈瘤等の疾患または障害により弱化した身体管腔の領域への送達のためにグラフトと併用して使用される腔内ステントは、医学分野において、十分に確立されている。ステントが配備される管腔の壁にステントを固定するための鉤部、フック、または他の付加手法を有する腔内ステントも、当該分野に周知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
鉤部およびそのようなステントが装置の固定に有利である一方、ステント鉤部を保持および解放するための改善されたシステムが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一側面において、本発明は、ステント本体を含むステントシステムを提供する。少なくとも1つの鉤部は、ステント本体から延在し、その自由端が付勢されてステント本体から半径方向外向きに延在するように構成される。保持機構は、ステント本体が圧縮状態である時に、少なくとも1つの鉤部を係合し、ステント本体に対する押込位置で少なくとも1つの鉤部を保持するように配置される。
【0010】
別の側面において、本発明は、ステント本体を含むステント送達システムを提供する。少なくとも1つの鉤部は、ステント本体から延在し、その自由端がステント本体から半径方向外向きに延在するよう付勢されるように構成される。支持は、少なくとも部分的にステント本体内に配置され、該支持は、ステント本体が圧縮状態である時に、少なくとも1つの鉤部を係合し、ステント本体に対する押込位置で少なくとも1つの鉤部を保持するように配置される保持機構を含む。
【0011】
別の側面において、本発明は、ステントに複数の支柱を提供する。鉤部は、少なくとも1つの支柱から延在し、その自由端が支柱から半径方向外向きに延在するよう付勢されるように構成される。保持機構は、ステントが圧縮状態である時に、鉤部を係合し、ステントに対する押込位置で鉤部を維持するように配置され、保持機構は、少なくとも1つの支柱の2つの部分間で画定される肩部を含む。
【0012】
一側面において、本発明は、ステント本体を含むステントアセンブリを提供する。少なくとも1つの鉤部は、ステント本体から延在し、その自由端がステント本体から半径方向外向きに延在するよう付勢されるように構成される。ベルトは、ステント本体の周囲で解放可能に配置され、ステント本体に近接する自由端を伴う位置に鉤部を拘束するために鉤部と整列される。
【0013】
別の側面において、本発明は、ステント本体から半径方向外側に延在する自由端を伴う少なくとも1つの鉤部を有するステント本体を形成するステップと、ステント本体に近接する自由端を伴う位置に鉤部を拘束するために鉤部と整列してステント本体の周囲にベルトを解放可能に固定するステップとを含む、ステントアセンブリの形成方法を提供する。
【0014】
一側面において、本発明は、複数の実質的に軸方向に延在する支柱、および支柱の1つに連結され、そこから自由端に円周方向に延在し、それにより、ステント支柱の長手軸に対し約90°以下の角度で肩部表面を画定する延長部を含むステントを提供し得る。
【0015】
別の側面において、本発明は、送達シャフトおよび送達シャフトの周囲に配置されるように構成されるステントを含む送達システムを提供し得る。ステントは、ステントの一部から自由端に円周方向に延在する延長部を含み、よって肩部表面を画定する。ベルトは、少なくとも部分的に拘束された構成でステントを保持するように、送達シャフトに対して固定された第一の部分、およびステントの少なくとも一部の周囲に円周方向に配置された第二の部分を有する。解放ワイヤは、ベルトを保持するために、ベルトの少なくとも一部を解放可能に係合するように構成される。肩部表面は、ベルトとの係合からの解放ワイヤの解放中に、ベルトの軸方向運動を最小化するように、ベルトの少なくとも一部に係合する。
【0016】
また別の側面において、本発明は、ステント送達シャフトにステントを取り付ける方法を提供し得、該方法は、送達シャフトに対してベルトの第一の部分を固定するステップと、前記送達シャフトの部分の周囲にステントを配置するステップと、拘束構成でステントを保持するように、ステントの少なくとも一部の周囲に円周方向にベルトの第二の部分を配置するステップと、ステントの周囲にベルトを維持するために、解放ワイヤでベルトの少なくとも一部を係合するステップと、ステントの一部から円周方向に延在し、肩部表面を画定する延長部とベルトの少なくとも一部を係合するステップと、を含む。
【0017】
本発明の実施形態の他の側面および利点は、以下に提供される本発明の詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の第一の実施形態に従う、ブッシング保持機構の実物大である。
【図2】図2は、図1のブッシング保持機構を組み込むステントの平坦パターンである。
【図3】図3は、本発明の代替実施形態であるブッシング保持機構の実物大である。
【図4】図4は、本発明の別の代替実施形態であるブッシング保持機構の実物大である。
【図5】図5は、図3のブッシング保持機構を組み込むステント送達システムの上面図である。
【図6】図6は、図5のブッシング保持機構のうちの1つの拡大図である。
【図7】図7は、本発明に従う、代替の保持機構を組み込むステントの一部の正面図である。
【図8】図8は、本発明に従う、代替の保持機構を組み込むステントの一部の背面図である。
【図9】図9は、図7のステントの一部の平坦パターンを示す。
【図10】図10は、図9の線10−10に沿った横断面図である。
【図11】図11は、図9の線11−11に沿った横断面図である。
【図12】図12は、本発明の第一の実施形態に従う、ベルトのついた鉤部を伴う圧縮されたステントの側面図である。
【図13】図13は、解放された鉤部を伴う図12の圧縮されたステントの側面図である。
【図14】図14は、溝の研削パターンを図示する図12のステントの平坦パターン示す。
【図15】図15は、本発明の代替実施形態に従う、ベルトのついた鉤部を伴う圧縮されたステントの側面図である。
【図16】図16は、解放された鉤部を伴う図15の圧縮されたステントの側面図である。
【図17】図17は、溝の研削パターンを図示する図15のステントの平坦パターン示す。
【図18】図18は、図15のステントを研削するための第一の方法の研削ロッドの横断面図である。
【図19】図19は、図18に類似する横断面図であり、研削のために研削ロッド上に配置されたステントを図示する。
【図20】図20は、代替の研削ロッドおよび関連するカラーの実物大である。
【図21】図21は、図20の研削ロッドの横断面図である。
【図22】図22は、図20のカラーの端面図である。
【図23】図23は、図22の線23−23に沿った横断面図である。
【図24】図24は、本発明の別の代替実施形態に従う、ベルトのついた鉤部を伴う圧縮されたステントの側面図である。
【図25】図25は、解放された鉤部を伴う図24の圧縮されたステントの側面図である。
【図26】図26は、溝の研削パターンを図示する図24のステントの平坦パターン示す。
【図27】図27は、溝の研削パターンを図示する別の代替のステントの平坦パターンを示す。
【図28】図28は、図27のステントの研削方法の研削ロッドの横断面図である。
【図29】図29は、図28に類似する横断面図であり、研削のために研削ロッド上に配置されたステントを図示する。
【図30】図30は、先行技術の血管内ステントグラフト送達システムの側面図である。
【図31】図31は、本発明の1つ以上の側面に従う、ステントの実施形態の平坦パターンを示す。
【図32】図32は、本発明の1つ以上の側面に従う、送達システムの実施形態の周囲に配置された図31のステントを図示した側面図である。
【図33】図33は、周囲に配置されたベルトを伴う送達シャフトの実施形態を図示した側面図である。
【図34】図34は、本発明の1つ以上の側面に従う、ステントの代替実施形態の平坦パターンを示す。
【図35】図35は、本発明の1つ以上の側面に従う、送達システムの実施形態の周囲に配置された図34のステントを図示した側面図である。
【図36】図36は、本発明の1つ以上の側面に従う、ステントの別の代替実施形態の平坦パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜2を参照すると、本発明の第一の実施形態である保持機構40を図示する。保持機構40は、概して、円筒形のブッシング本体42を含む。ブッシング本体42は、円筒形として図示されるが、これに限定されず、他の構成を有し得る。ブッシング本体42は、ステントグラフト送達システムの送達カテーテルまたはガイドワイヤ(図示せず)を受容するように構成された貫通孔44を含む。ブッシング本体42の外表面は、半径方向に拡張するピン46のペアを含む。ピン46の各ペアは、それらの間に鉤部受容空間48を画定する。ブッシング本体42およびピン46は、鉤部14が受容空間48内で圧縮され、安定性増加のためにブッシング本体42の表面の中に圧縮可能なように、例えば、ポリイミド、PEEK、またはポリウレタン等の硬質材料、もしくは例えば、ウレタンまたはシリコン等の軟質材料から製造され得る。
【0020】
図2は、保持機構40に対して配置された例示的なステント10’を図示する。ブッシング本体42は、鉤部14がピン46のそれぞれのペアの間の受容空間48と整列し、受容されるように、送達システムに沿って軸方向に配置される。ピン46は、受容空間48に受容される鉤部14がタックパッド16または支柱12の下に維持されるように、それぞれのタックパッド16または支柱12に円周方向に整列している。ピン46は、鉤部14の各側面に提供されるため、鉤部外角αが高耐性に維持されなくても、ピン46は適切な横方向の整列に鉤部14を維持するであろう。
【0021】
ピン46は、支柱12の厚さの約半分の半径方向の高さを有する。そのため、ピン46は、ステントの圧縮を妨害しない。保持機構が軟質材料で製造される場合、ブッシング本体42は圧縮され、しまい込まれた鉤部14の追加された厚さをある程度軽減する。
【0022】
保持機構40の実施形態は、ペアでピン46を有するが、これは必要ではなく、ピン46は個々に分けられるか、または2つ以上の集団であってもよい。図2に図示されるように、単一ピン46を伴う保持機構40’は、クラウン13の配置特徴を提供するために、ステント10’の端に隣接して提供される。さらに、ブッシング本体42は、鉤部14に隣接した短い軸方向距離に延在するように図示されるが、本体42は、より長い軸方向の長さを有し得る。例えば、ブッシング本体42は、ベルトが保持機構40に固定されてもよいように、1つまたは両方のベルトの軸方向位置の下に延在するのに十分に長い場合もある。ブッシング本体42およびピン46の他の形状および構成も、本発明の範囲内である。
【0023】
図3および5〜6を参照すると、本発明の代替実施形態である保持機構50が説明される。保持機構50は、前の実施形態に類似し、図5および6に図示するように、送達システムのガイドワイヤシャーシ22を受容するように構成される貫通孔54を伴うブッシング本体52を含む。保持機構50は、ガイドワイヤシャーシ22に固定され得るが、これは必要ではなく、保持機構50の解放は、高柔軟性および整列を可能にし得る。図4に図示される保持機構50’は、実質的に、本実施形態と同一であるが、第二の貫通通路58を含む。第二の貫通通路58は、保持機構50’が遠位ステントを用いて使用される時等、追加の送達システム品の通路を容易にする。
【0024】
保持機構50、50’の両方は、ブッシング本体52の外表面の周囲に形成される、複数のらせん状スロット56を含む。ステント10がベルト26を介して圧縮される時に、各スロットは、鉤部14を受容するように構成される。スロット56のらせん状特性は、押込鉤部14の配置方向に対応する。スロット56は、異なる構成を有する鉤部14を受容するように他の構成を有し得る。スロット56は、押込鉤部14を受容し、対応する支柱またはタックパッドと整列した、押込位置でそれらを保持する。さらに、スロット56は、ブッシング本体52に陥凹しているため、押込鉤部14は、圧縮されたステントの半径方向の大きさに付加されない。図5に見られるように、複数の保持機構50が送達システムを用いて利用され得る。2つの保持機構50のスロット56の方向は、反対方向に延在する鉤部14を受容するように、正反対である。
【0025】
図7〜11を参照すると、本発明の別の代替実施形態である保持機構71が示される。保持機構71は、前の実施形態のような送達システムに受容されるのと反対に、ステント70と一体的に形成される。保持機構71は、ステント支柱72と関連した減厚タックパッド76とにより画定される。
【0026】
図10および11を参照すると、各タックパッド76は、対応する支柱72の約半分またはそれ以下の半径方向の高さである半径方向の高さを有する。このように、保持機構71は、支柱72とタックパッド76との間で画定される肩部75によって画定される。図8および9を参照すると、圧縮状態において、鉤部74は、保持機構71の肩部75に対して押しつけられる。鉤部74がタックパッドまたは支柱を超えて過度に延在するリスクは、保持機構71の肩部75がそれを防ぐため、減少する。このように、過度の延在を心配する必要がない一方で、鉤部74が後退しないことを確実にするために、鉤部外角αは増大されてもよい。さらに、タックパッド76は、一般的なタックパッドの約半分以下の高さであるため、圧縮されたステント70の半径方向の厚さへの影響を低減する。
【0027】
図12〜14を参照すると、本発明の第一の実施形態であるステント110を示し、図12および13は、概略的にステント110を図示し、図14は、ステント110の平坦パターンを図示する。ステント110は、その対向端111、113の間に軸方向に延在する複数の支柱112を含む。ステント110は、いずれの方向に配向されてもよい、つまり、端113は、用途によって、ステント110の近位縁または遠位縁を表し得る。両端111,113は、隣接する支柱112に隣接する複数のクラウンを有する。ステント110の端113は、ステント110をグラフトまたは他の構造に連結するように構成される複数の連結部材116を有する。図示されるステント110構造は、端に、代表的な実施例であり、本発明は、このように限定されるものではない。本発明のステント110は、様々な構造を有してもよく、本明細書に図示される支柱構造に限定されない。例えば、ステントは、格子構造またはらせん状構造により画定される本体を有し得る。
【0028】
1つ以上の支柱112に沿って、鉤部120が提供される。図14を参照すると、鉤部120は、好ましくは、支柱112と一体的に形成されるが、さもなければ、例えば、別の要素が支柱112に取り付けられるように製造され得る。鉤部120のそれぞれは、意図する管腔壁を係合するように構成される尖状先端121を有する。本実施形態では、各先端121は、外側半径方向の範囲に沿って外側に傾斜する。ステント支柱112および鉤部120は、好ましくは、自己拡張する、つまり、拘束力の解放時に、支柱112が半径方向に離れ、鉤部120が半径方向外向きに拡張する。例えば、バルーン拡張等の他の構成も、本発明内に想定される。
【0029】
図12を参照すると、ベルト124は、ステント110の周囲に圧縮され、鉤部120を拘束するように、鉤部120のほぼ先端121に接触する。解放ワイヤ125等は、好ましくは、拘束状態にベルト124を維持するために、ベルトの端を通って延在する。解放ワイヤ125は、図示するように、ステント110を維持する主要ベルト119通って延在する別のワイヤ117に沿った鉤部ベルト124を通って延在し得る。代替として、単一ワイヤが全てのベルト119および124を通過し、ステント110および鉤部120の配備を調節し得る。ベルト119および124、ならびに解放ワイヤ117および125は、様々な配備シーケンスを提供するように選択されてもよい。例えば、図13に図示するように、鉤部120が最初に配備され、その後、ステントが解放されるとすぐに、鉤部120が係合のために配置されるようにステント110が配備されてもよい。別の実施例として、全てのベルト119および124は、ステント110が一様な態様で開くように、実質的に同時に解放され得る。代替として、単一ベルトは、圧縮構成でのステント110の維持と、拘束状態での鉤部120の保持の両方のために利用され得る。様々なベルトおよび解放ワイヤの構成およびシーケンスは、米国特許出願公開第2004/0138734号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0030】
ベルト124の軸方向運動を最小化するために、円周方向の溝122が、好ましくは、研削されるか、エッチングされる(例えば、レーザまたは化学)か、さもなければ、鉤部120に軸方向に整列しているステント110の周囲に形成される。溝は、主要ベルト119に提供される円周方向の溝118に類似する。本実施形態において、溝122は鉤部先端121がそこに最小の溝123を有するように、実質的に、鉤部先端121と整列している。鉤部120は、尖状先端を保ち続け、溝123は、概して、鉤部120の効果に影響しない。各支柱112および鉤部先端121を横断して延在する溝122は、図14の概略図に見られる。
【0031】
図12に図示するように、ベルト124は、先端の最も尖った部分がステント110の表面から半径方向内向きに配置される拘束位置で、鉤部120の各々を維持し、よって効果的な鉤部120の拘束を提供する。さらに、鉤部120が、支柱112またはタックパッド(先行技術の装置に使用され得るが、本装置では必要ない)の下に押し込まれないため、鉤部120は、ベルト124が取り除かれるとすぐに自由に確実に拡張する。さらなる利点として、鉤部120が、支柱112の下に押し込まれないため、ステント110は、圧縮状態で、薄くてより均一な半径方向のプロファイルを維持する。逆に、押込鉤部を伴うステントは、しばしば、下に押し込まれた支柱および鉤部の二重の材料の厚さにより、フットボール形状に似た、拡張した中間部を有する。
【0032】
図15〜17を参照すると、本発明の代替実施形態であるステント110’を示す。ステント110’は、溝123が鉤部の先端121’に存在しないことを除き、前の実施形態のそれに類似する。これは、図17に、より明確に図示される。図16を参照すると、鉤部120は、完全に外方向に向けられた先端121’を含む。(溝123がないため)より多くの材料を提供することに加え、ベルト124は、接触のために、より高い鉤部120の半径方向外向き表面を有する。このように、ベルト124は、圧縮されたステント110’の外側半径方向表面の下方に、より効果的に鉤部120を押し下げる。
【0033】
図18および19を参照すると、図15〜17のステント110’を製造する第一の方法が説明される。研削ロッド150は、概して、ロッド150の一端の隣に形成される円周方向陥凹154を伴う円筒形の本体152を有する。円周方向陥凹154は、鉤部の外表面が研削ホイール(図示せず)の平坦部の下になるように、内方向に偏向した位置で鉤部120を受容するように構成される。図19を参照すると、ステント110’は、鉤部120が円周方向陥凹154と軸方向に整列した研削ロッド150上に配置される。偏向ブロック160等は、各鉤部120の外表面に取り付けられる。ワイヤ162等は、次に、ブロックおよびそれによって、鉤部120が内向きに偏向するように、偏向ブロック160の周囲に締め付けられる。鉤部120が円周方向溝154に偏向すると、研削ホイールは、鉤部のベルト溝122’を研削するために使用されてもよい。研削ロッド150からステント110’を取り除くと、ステント支柱112は溝122’を含むが、図17に概略的に図示するように、鉤部120には溝122’がない。主要のベルト溝118も、研削ロッド150からステント10’を取り除く前に研削され得る。
【0034】
図20〜23を参照すると、図15〜17のステント110’を製造する代替方法を説明する。方法は、再び、円筒形の本体152’を有する研削ロッド150’を利用する。完全な円周方向の溝を提供する代わりに、個々の鉤部スロット154’を研削ロッド150’に提供する。このように、鉤部120は、スロット154’の中に偏向してもよいが、支柱112は、溝122’の研削中、ロッド本体152’に沿って支持されたままである。鉤部120をスロット154’の中に偏向させるために、カラー170を利用する。カラー170は、ロッド150’上に配置される時、ステント110’の外径より大きい軸方向貫通孔173を伴う円筒形の本体172を含む。カラー170は、鉤部120およびスロット154’の数に対応する、複数の内向きに延在するリブ174を含む。リブ174は、研削ロッド150’の外径よりわずかに大きい、それらの間の内径を画定する。このように、カラー170は研削ロッド150’上を移動し、ステント支柱112はカラー本体172と研削ロッド150’との間に嵌合するが、リブ174での隙間は十分ではなく、リブ174は対応する鉤部120と接触し、鉤部120を対応するスロット154’に偏向させる。各リブ174は、好ましくは、それぞれの鉤部120へのリブ174の通過をさらに容易にするため、先細された前端176を有する。
【0035】
図24〜26を参照すると、本発明の代替の実施形態であるステント110”を示される。ステント110”は、図15〜17のステント110’のそれと類似し、図26を参照すると、再度、鉤部先端121”を横断して延在する溝122”を含まない。図25を参照すると、ステント110”は、鉤部120が半径方向内向きの先端121”に内向きに集中するという点で、ステント110’と異なる。このように、鉤部121”は、図24に図示するように、ステントの外表面からまたさらに陥凹している。いくつかの用途では、先端121”が半径方向内向きの解除に対して効果的に固着するため、内向きの先端21”も、より効果的であることを証明し得る。
【0036】
図27を参照すると、別の代替ステント110”’の概略的な平坦パターンを示す。このステント110”’は、ステント110”’が鉤部120を横断して延在するベルト溝122”’を含むが、関連ベルト溝がステント支柱112を横断して延在しないという点で、図15〜17のステント110’と反対である。このような構成は、鉤部の陥凹と鉤部拘束の効果とのより良い組み合わせを提供するために、いくつかの用途で見られる。
【0037】
図28および29を参照すると、図27のステント110”’の製造方法が説明される。研削ロッド150”’は、概して、ロッド150”’の先端に形成される円周方向の陥凹154”’を伴う円筒形の本体152”’を有する。円周方向の陥凹154”’は、鉤部120の表面下のステント110”’の支柱112および端113を受容するように構成される。鉤部120が内向きに偏向しないことを確実にするために、支持ワイヤ164が鉤部120と支柱112との間に配置される。支持ワイヤ164は、ベルト溝122”’がそこに形成され得るように研削面に鉤部120を維持する。保持ワイヤ166は、研削面から離れて維持されることを確実にするために、ステント110”’の端113の周囲に提供され得る。
【0038】
ヒトまたは他の動物の身体に設置するための医療装置は、当該分野において周知である。ひとつの組の医療装置は、ステント、ステントグラフト、フィルタ、コイル、閉塞バスケット、弁等の管腔内装置を含む。ステントは、一般的には、腔内壁を支持するために使用される細長い装置である。例えば、狭窄の場合、ステントは、狭窄領域の身体管腔を通して非閉塞の導管を提供する。このようなステントは、また、織物の人工グラフト層、またはその内側および/または外側を裏打ちする被覆を有し得る。被覆されたステントは、当該分野において、通常、腔内プロテーゼ、血管もしくは血管内グラフト(EVG)、ステントグラフト、またはエンドグラフトと呼ばれる。
【0039】
エンドグラフトは、例えば、破裂のリスクを低減するために、弱化した動脈部における圧力を除去または低下させることにより血管動脈瘤を治療するために使用され得る。一般的には、エンドグラフトは、狭窄または動脈瘤の部位で、すなわち、一般的には、シース、かぎ針編みもしくは棒編みウェブ、カテーテル、または他の手段により半径方向に圧縮構成で拘束されるエンドグラフトが、必要とされる部位にエンドグラフト送達システム、または「導入器」により送達される、いわゆる「低侵襲性技術」により腔内的に血管に移植される。導入器は、患者の皮膚を通して経皮的に等、身体の外のアクセス位置から、または挿入血管または管腔が軽手術手段により露出される「切開」技術により、血管または管腔に挿入され得る。
【0040】
参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許出願公開第2004/0138734号は、ステント、血管内グラフト等の送達システムおよび方法を説明している。図30は、例えば、拡張可能な血管内グラフト211等の、様々な拡張可能な体内装置を送達するためのこのような刊行物の送達システム210を本明細書で図示する。患者の体内の所望部位への送達およびそこでの配備のために有用なこのような拡張可能な血管内グラフト211の1つは、米国特許第6,395,019号に開示されており、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0041】
図30の送達システム210は、近位部213、遠位部214、近位縁215、および遠位縁216を伴う細長いシャフト212を有する。遠位部214は、拡張可能な血管内グラフト211の隣接部分に配置されるガイドワイヤチューブ217の形態で、細長いベルト支持部材を有する。ガイドワイヤ218は、ガイドワイヤチューブ217内に配置される。複数のベルト221、222および223は、ガイドワイヤチューブ217に固定され、血管内グラフト211の一部の周囲に円周方向に配置される。図30は、血管内グラフト211を拘束する構成のベルトを示す。第一および第二の解放部材224および225は、示すように、拘束構成でベルト221、222および223を解放可能に固定する。
【0042】
本明細書で画定するように、細長いシャフトの近位縁は、使用中、送達システム210のオペレータに近位の縁215である。細長いシャフトの遠位縁は、患者の身体に挿入され、延在する縁216である。本明細書に使用されるように、送達システム210および送達システム210内に装填される血管内グラフト211の近位および遠位方向は、同一である。他の規定が通常使用されるが、本規定は、明確性の目的で明細書を通して使用される。
【0043】
ベルト221〜223は、拡張可能な体内装置211の各部分の周囲に円周方向に延在し、1つ以上の解放部材224および225により解放可能に一緒に固定される。米国特許出願公開第2004/0138734号は、ステント等を固定するために利用され得る様々なベルトおよび解放ワイヤ構成を開示している。
【0044】
グラフト211を配備するために、解放ワイヤ224および225は、解放ワイヤ224および225がベルト221、222および223の端ループから離脱するように、所望のシーケンスで、近位に引っ張られる。ベルト221、222および223を解放するための解放ワイヤ224および225に必要な軸力を最小化するためのシステムおよび方法の提供が所望される。
【0045】
図31を参照すると、本発明の第一の実施形態であるステント230が図示される。ステント230は、その対向する端231、233の間に軸方向に延在する複数の支柱232を含む。ステント230は、いずれの方向に向けられてもよい、つまり、端233は、用途により、ステント230の近位縁または遠位縁を表し得る。両方の端231、233は、隣り合う支柱232に隣接する複数のクラウンを有する。ステント230の端233は、ステント230をグラフトまたは他の構造に連結するように構成される複数の連結部材236を有する。図示されるステント230構造は、単に代表的な実施例であり、本発明は、これに限定されるものではない。本発明のステント230は、様々な構造を有してもよく、本明細書に図示される支柱構造に限定されない。例えば、ステント230は、格子構造またはらせん状構造によって画定される本体を有し得る。
【0046】
1つ以上の支柱232に沿って、鉤部240が提供され得る。鉤部240は、好ましくは、支柱232と一体的に形成されるが、さもなければ、例えば、支柱232に取り付けられる別の要素として製造され得る。ステント支柱232および鉤部240は、好ましくは、自己拡張である、つまり、拘束力の解放時に、支柱232が半径方向に離れ、鉤部240が半径方向外向きに延在する。例えば、バルーン拡張等の他の構成も、本発明内と想定される。
【0047】
図32および33を参照すると、ベルト244は、ステント230の周囲に配置され、少なくとも部分的に拘束された構成でステント230を保持するように固定される。本実施形態では、ベルト244の対向端243および245は、送達シャフト260の周囲に個別に巻き付けられる。両方の端243および245は、例えば、接着、溶接、結合、または任意の他の手段により、送達シャフト260に固定される。2つの中間ベルト部分247および249は、結合部分から延在し、少なくとも部分的に拘束された構成で、ステント230を保持するために解放ワイヤ270を受容するように構成されるベルト244の自由部分でアイループ250を画定するために絡み合わされる。図32および33に図示されるように、本実施形態では、中間ベルト部分247は、解放ワイヤ270が通って延在する一部のループ部分251を形成するために戻される。中間ベルト部分249は、送達シャフト260から正接方向に延在し、解放ワイヤ270を超えて延在する。
【0048】
解放ワイヤ270は、1つのベルトのみに係合するように図示されるが、解放ワイヤ270は、複数のステントベルト244、または単一のステントベルト244を通って延在し得る。様々なベルトおよび解放ワイヤ構成およびシーケンスが、米国特許出願公開第2004/0138734号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0049】
一般的なベルト244の軸方向の収納を提供するために、円周方向の溝242が、好ましくは、ステント230の周囲に研削される。溝242は、一般的な軸方向の収納を提供するが、従来の技術のシステムのベルトは、ベルトと解放ワイヤとの間で発生する摩擦力のため、解放ワイヤと共に移動することが分かっている。摩擦力は、解放ワイヤの除去に所望されない抵抗を提供し得る。このような解放ワイヤの除去に所望されない抵抗は、ベルトの一部が軸方向に移動することにより解放ワイヤを挟むか、さもなければ捕捉し得る回転運動を引き起こす場合に、さらに強化され得る。
【0050】
図31および32を参照すると、本発明の本実施形態のステント230は、肩部表面282を画定するための支柱232の1つから円周方向に延在する延長部280を含む。本実施形態では、延長部280は、ステント230の型押し中に、支柱232と一体的に形成される。ステント230上での延長部280の提供により、意図するベルト244の位置に対して延長部280の正確な配置が可能になる。本実施形態では、肩部表面282は、溝242に僅かに近位に配置される。肩部表面282は、好ましくは、支柱の長手軸に対して角度0で延在する。このような配列により、肩部表面282は、肩部表面282と支柱232との間の接合点284に向かってベルト244を誘導し、ベルト244が近位方向の延長部280を超えて外れる変化を低減する。
【0051】
図32を参照すると、延長部280は、ベルト244の自由部分が通過する最後の支柱232である支柱232上に提供されることが好ましい。これにより、解放ワイヤ270の周囲に配置されるアイループ250は、延長部280に向かって解放ワイヤ270を付勢し、よって、中間ベルト部分249を肩部表面282へと移動させる。しかし、延長部280が、解放ワイヤ270に隣接して整列させられる場合、任意の他の支柱232上に提供され得る。
【0052】
図32にさらに図示を参照すると、延長部280は、また、それ自体の上に戻される中間ベルト部分247に対向するように、送達シャフト260から正接方向に延在する中間ベルト部分249に近位方向に隣接するように、軸方向に配置されることが好ましい。このような整列により、中間ベルト部分249は、肩部表面282を横断するように支柱232の下から解放ワイヤに延在する。しかし、延長部280は、さもなければ、軸方向に配置され得る。例えば、図35に図示する実施形態では、延長部280’は、戻った中間ベルト部分247に隣接して軸方向に配置されるが、延長部280’は、まだ、アイループ250と接触しており、ベルト244の軸方向位置を保持する。
【0053】
ベルト244は、ベルト部材の張力条件に適合し、拘束状態に固定された後も柔軟性を維持できる、任意の高強度の弾性材料から作製されてもよい。一般的には、ベルト244は、他の金属またはポリマー材料も可能であるが、ニッケルチタン等の形状記憶合金の固体リボンまたはワイヤから作製される。ベルト244は、Dacron(商標登録)、Spectra等の高強度の合成繊維の編組金属フィラメントまたは編組もしくは個体フィラメントからも作製され得る。解放ワイヤ270は、概して、ステンレススチール等の生体適合性高強度合金から作製されるが、任意の他の適切な材料からも作製されてもよい。実施例は、ニッケルチタン等の他の金属合金、炭素等の非金属繊維、ポリマー材料、その複合体等を含む。解放ワイヤ270の直径および剛性は、ベルト244の直径および剛性により選択されてもよい。ベルト244の構成は、送達システムの特定の実施形態に適合するように変更され得る。上述のように、様々なベルトおよび解放ワイヤの構成およびシーケンスが米国特許出願公開第2004/0138734号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0054】
本明細書に図示される送達シャフト260は、様々な構成を有し得る。例えば、送達シャフト260は、カテーテル、ガイドワイヤ管腔、固体シャフト、または任意の他の適切な構造であり得る。同様に、ベルト244は、任意の追加の支持がなく送達シャフト260に直接連結されているように図示されるが、ベルトブッシング、隔離チューブ等がベルト244を固定、支持、および方向付けのために提供され得る。
【0055】
図34および35を参照すると、本発明の代替実施形態であるステント230’が示される。ステント230’は、前の実施形態と類似し、同様の要素は同様に番号付けされる。ステント230’は、肩部表面282’が溝242の軸方向の境界内であるように溝242と軸方向に整列した支柱232と一体的に形成される延長部280’を含む。さらに、肩部表面282’は、支柱232に対して、実質的に垂直である角度0である。接続点284’は、依然としてベルト244の一部を受容するよう構成される。図35に関して上に説明したように、延長部280’は、戻った中間ベルト部分247に軸方向に隣接して配置されるが、延長部280’は、依然としてアイループ250に接触して、ベルト244の軸方向位置を保持する。延長部280’は、延長部280’が解放ワイヤ270の下方を通過せず、代わりに、解放ワイヤ270に達する前に終端するような円周方向の長さを有する。
【0056】
図36を参照すると、本発明の別の代替実施形態であるステント230”が示される。ステント230”は、前の実施形態に類似するが、同様の要素は同様に番号付けされる。ステント230”は、延長部280”を含む。延長部280”は、支柱232と相互接続される別の肩部部材300の一部として形成される。肩部部材300は、支柱232に対して圧着、接着、溶接、結合、さもなければ固定され得る。肩部部材300は、肩部表面282”が溝242に対して所望の関係に軸方向に整列しているように、軸方向に整列している。図示される実施形態では、接触面282”は、溝242の軸方向縁と直接整列され、肩部表面282”は、支柱232の長手軸に実質的に垂直である角度0である。中間ベルト部分247および249に対する延長部280”の位置は、相互接続前の肩部部材300を配置することによって、および/または送達シャフト260に対してベルト244の巻き取り方向を調節することにより、調節されてもよい。
【0057】
本発明の好適な実施形態が、本明細書で示され、説明されたが、このような実施形態は、単に実施例の手段として提供されることを理解されたい。数多くの変形、変更、および置換が、本発明の精神から逸脱することなく、当該分野に精通する者の心に浮かぶだろう。従って、付属の特許請求は、本発明の精神および範囲内に入るものとして、全てのこのような変形を網羅することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントシステムであって、
ステント本体と、
該ステント本体から延在する少なくとも1つの鉤部であって、その自由端が付勢されて該ステント本体から半径方向外向きに延在するように構成される、少なくとも1つの鉤部と、
該テント本体が圧縮状態である時に、該少なくとも1つの鉤部を係合し、該ステント本体に対する押込位置に該少なくとも1つの鉤部を維持するように配置される、保持機構と
を備える、システム。
【請求項2】
前記保持機構は、ステント送達システム上に支持されるように構成されるブッシング本体を含む、請求項1に記載のステントシステム。
【請求項3】
前記ブッシング本体は、1つ以上の半径方向外向きに延在するピンを伴う半径面を含む、請求項2に記載のステントシステム。
【請求項4】
前記ピンは、ペアで配置され、各ペアのピンの間に鉤部受容空間を画定する、請求項3に記載のステントシステム。
【請求項5】
前記ピンは、前記鉤部が前記各鉤部受容空間内で圧縮されるように圧縮性材料から製造される、請求項4に記載のステントシステム。
【請求項6】
各鉤部受容空間は、前記ステント本体の支柱またはタックパッドと円周方向に整列している、請求項4に記載のステントシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの鉤部は、厚さを有し、各ピンは、該鉤部の厚さの約半分の半径方向の厚さを有する、請求項3に記載のステントシステム。
【請求項8】
ステント拘束ベルトは、前記ブッシング本体によって支持される、請求項2に記載のステントシステム。
【請求項9】
前記ブッシング本体は、第二の貫通通路を含む、請求項2に記載のステントシステム。
【請求項10】
前記ブッシング本体は、対応する鉤部を受容するように構成される、複数の表面スロットを含む、請求項2に記載のステントシステム。
【請求項11】
前記スロットの各々は、らせん状に延在する、請求項10に記載のステントシステム。
【請求項12】
前記送達システムは、複数の表面スロットを含む第二の保持機構を支持し、該第二の保持機構の該表面スロットは、前記他の保持機構の前記スロットとは反対方向のらせん状に延在する、請求項11に記載のステントシステム。
【請求項13】
前記スロットの各々は、前記ステント本体の支柱またはタックパッドと円周方向に整列するように構成される、請求項10に記載のステントシステム。
【請求項14】
前記ブッシング本体は、前記ステント送達システムに対して自由に回転できる、請求項2に記載のステントシステム。
【請求項15】
前記保持機構は、前記ステント本体と一体的に形成される、請求項1に記載のステントシステム。
【請求項16】
前記保持機構は、前記支柱のうちの1つと関連タックパッドとの間に画定される肩部を含む、請求項15に記載のステントシステム。
【請求項17】
前記タックパッドは、前記関連支柱の半径方向厚さの約半分またそれ以下である半径方向厚さを有する、請求項16に記載のステントシステム。
【請求項18】
ステント送達システムであって、
ステント本体と、
該ステント本体から延在する少なくとも1つの鉤部であって、その自由端が付勢されて該ステント本体から半径方向外向きに延在するように構成される、少なくとも1つの鉤部と、
少なくとも部分的に該ステント本体内に配置される支持であって、該支持は、該ステント本体が圧縮状態にある時に、該少なくとも1つの鉤部を係合し、該ステント本体に対して押し込み位置に該少なくとも1つの鉤部を維持するように配置される保持機構を含む、支持と
を備える、システム。
【請求項19】
ステントであって、
複数の支柱と、
該支柱の少なくとも1つから延在する鉤部であって、その自由端が付勢されて該支柱から半径方向外向きに延在するように構成される、鉤部と、
該ステントが圧縮状態にある時に、該鉤部を係合し、該ステントに対して押込位置に該鉤部を保持するように配置される保持機構であって、該保持機構は、少なくとも1つの該支柱の2つの部分の間に画定される肩部を含む、保持機構と
を含む、ステント。
【請求項20】
ステントアセンブリであって、
ステント本体と、
該ステント本体から延在する少なくとも1つの鉤部であって、その自由端が付勢されて該ステント本体から半径方向外向きに延在するように構成される、少なくとも1つの鉤部と、
該ステント本体の周囲に解放可能に配置され、該ステント本体に近接する該自由端によってある位置に該鉤部を拘束するように該鉤部と整列している、ベルトと
を備える、アセンブリ。
【請求項21】
前記ステント本体は、複数の軸方向に延在する支柱を備える、請求項20に記載のステント。
【請求項22】
前記ステント本体は、格子構造を備える、請求項20に記載のステント。
【請求項23】
前記ステント本体は、らせん状構造を含む、請求項20に記載のステント。
【請求項24】
前記少なくとも1つの鉤部は、前記ステント本体と一体的に形成される、請求項20に記載のステント。
【請求項25】
前記鉤部の自由端は、尖状先端を有する、請求項20に記載のステント。
【請求項26】
前記尖状先端は、半径方向外向きに収束する、請求項25に記載のステント。
【請求項27】
前記尖状先端は、半径方向内向きに集中する、請求項25に記載のステント。
【請求項28】
前記ベルトを受容するように構成される円周方向溝は、前記尖状先端を横断して延在する、請求項25に記載のステント。
【請求項29】
前記円周方向溝は、前記ステント本体を横断して延在しない、請求項28に記載のステント。
【請求項30】
円周方向溝は、前記ステント本体の周りに延在し、前記ベルトを収容するように構成される、請求項20に記載のステント。
【請求項31】
前記円周方向溝は、前記少なくとも1つの鉤部の一部を横断して延在する、請求項30に記載のステント。
【請求項32】
解放ワイヤは、前記ベルトを解放可能に固定する、請求項20に記載のステント。
【請求項33】
少なくとも1つの第二のベルトは、前記ステント本体を半径方向に拘束する、請求項20に記載のステント。
【請求項34】
単一の解放ワイヤは、前記ベルトおよび前記少なくとも1つの第二のベルトを解放可能に固定する、請求項33に記載のステント。
【請求項35】
第一の解放ワイヤは、前記ベルトを解放可能に固定し、第二の解放ワイヤは、前記少なくとも1つの第二のベルトを解放可能に固定する、請求項33に記載のステント。
【請求項36】
ステントアセンブリを形成する方法であって、
ステント本体を形成することであって、該ステント本体は、該ステント本体から半径方向外向きに延在する自由端を伴う少なくとも1つの鉤部を有する、ことと、
該鉤部と整列して該ステント本体の周囲にベルトを解放可能に固定することであって、これにより、該ステント本体に近接する該自由端によって該鉤部をある位置に拘束する、ことと
を含む、方法。
【請求項37】
前記ベルトを受容するように構成された前記ステント本体の周囲に円周方向溝を画定することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記円周方向溝を画定する前記ことは、前記少なくとも1つの鉤部が該円周方向溝を含まないように、少なくとも1つの鉤部を半径方向内向きに偏向させることを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ベルトを受容するように構成される前記少なくとも1つの鉤部を横断して円周方向溝を画定することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記円周方向溝を画定する前記ことは、前記ステントが該円周方向溝を含まないように、該ステント本体を半径方向内向きに偏向させることを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
ステントであって、
複数の実質的に軸方向に延在する支柱と、
該支柱のうちの1つに連結される延長部であって、そこから自由端まで円周方向に延在し、それにより、該ステント支柱の長手軸に対して約90°以下の角度で肩部面を画定する、延長部と
を備える、ステント。
【請求項42】
前記延在延長部は、前記支柱と一体的に形成される、請求項41に記載のステント。
【請求項43】
前記延在延長部は、前記支柱と相互接続される別の肩部部材の一部として形成される、請求項41に記載のステント。
【請求項44】
前記肩部部材は、圧着、接着、溶接、または結合を介して前記支柱と相互接続される、請求項43に記載のステント。
【請求項45】
ベルト溝は、前記複数の支柱の周囲に円周方向に延在し、該ベルト溝は、遠位縁および近位縁を画定する、請求項41に記載のステント。
【請求項46】
前記肩部面は、前記ベルト溝の近位縁に軸方向に隣接する、請求項45に記載のステント。
【請求項47】
前記肩部面は、前記ベルト溝の近位縁に対して近位である、請求項45に記載のステント。
【請求項48】
前記肩部表面は、前記ベルト溝と近位端との間で軸方向に整列される、請求項45に記載のステント。
【請求項49】
前記肩部表面は、前記ステント支柱の前記長手軸に対して約90°の角度にある、請求項41に記載のステント。
【請求項50】
前記肩部表面は、前記ステント支柱の前記長手軸に対して約90°以下の角度である、請求項41に記載のステント。
【請求項51】
ステント送達システムであって、
送達シャフトと、
該送達シャフトの周囲に配置されるように構成されるステントであって、該ステントの一部から自由端まで円周方向に延在する延長部を含み、それにより、肩部表面を画定する、ステントと、
少なくとも部分的に拘束された構成で該ステントを維持するために、該送達シャフトに対して固定される第一の部分と、該ステントの少なくとも一部の周囲に円周方向で配置される第二の部分とを有する、ベルトと、
該ベルトを保持するために該ベルトの少なくとも一部に解放可能に係合するように構成される、解放ワイヤと
を備え、
該肩部表面は、該ベルトとの係合からの該解放ワイヤの解放中に、該ベルトの軸方向運動を最小化するように該ベルトの少なくとも一部に係合する、システム。
【請求項52】
前記ベルトの第二の部分は、絡み合わせられてアイループを画定する第一および第二のベルト中間部分によって画定される、請求項51に記載の送達システム。
【請求項53】
前記第一のベルトの中間部分は、前記送達シャフトに対して接線方向に延在し、前記第二のベルト中間部分は、部分的ループ部分を画定するように反転する、請求項52に記載の送達システム。
【請求項54】
前記肩部表面は、前記第一のベルト中間部分に軸方向に隣接する、請求項53に記載の送達システム。
【請求項55】
前記第一の中間部分は、該第一の中間部分が前記肩部面と交差するように、前記ステントの下から前記解放ワイヤの上方まで延在する、請求項54に記載の送達システム。
【請求項56】
前記肩部表面は、前記アイループに軸方向に隣接する、請求項52に記載の送達システム。
【請求項57】
前記ステントは、複数の支柱を含み、前記肩部は、前記ベルトの第二の部分が通過する最後の支柱である、前記支柱から延在する、請求項51に記載の送達システム。
【請求項58】
前記ベルトの第二の部分は、前記肩部表面に向かって前記解放ワイヤを付勢する、請求項57に記載の送達システム。
【請求項59】
前記解放ワイヤは、前記肩部表面に向かって前記ベルトの中間部分を付勢する、請求項58に記載の送達システム。
【請求項60】
ステント送達シャフトにステントを取り付ける方法であって、
該送達シャフトに対してベルトの第一の部分を固定することと、
該送達シャフトの部分の周囲にステントを配置することと、
拘束構成で該ステントを保持するために、該ステントの少なくとも一部の周囲に円周方向に該ベルトの第二の部分を配置することと、
該ステントの周囲で該ベルトを維持するように、該ベルトの少なくとも一部を解放ワイヤと係合させることと、
該ベルトの少なくとも一部を、該ステントの一部から円周方向に延在し、肩部表面を画定する延長部と係合させることと
を含む、方法。
【請求項61】
前記ステントの円周の周りに溝を画定することをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記肩部表面は、前記溝に隣接して、または該溝の内部に配置される、請求項61に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公表番号】特表2010−540108(P2010−540108A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527149(P2010−527149)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/077714
【国際公開番号】WO2009/042789
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(500369717)トリバスキュラー・インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】TriVascular, INC.
【Fターム(参考)】