説明

スパッタリング装置および液晶装置の製造装置

【課題】指向性よくスパッタリング粒子が基板上に到達して成膜ができるスパッタリング装置および液晶装置の製造装置を提供する。
【解決手段】基板Wを保持し搬送可能な基板ホルダー6を有する成膜室2と、成膜室2に連通し第1ターゲット5aと第2ターゲット5bとが平行に対向して配置された一対のターゲットを有するスパッタリング粒子放出部3と、基板ホルダー6とスパッタリング粒子放出部3との間に配置された制御板31a〜31eを有する制御板ユニット30と、を備え、スパッタリング粒子放出部3の一対のターゲットが基板ホルダー6の搬送経路に対して斜めに傾いた状態で配置され、一対のターゲットからプラズマによりスパッタリング粒子5Pを生じさせて、搬送される基板ホルダー6に向けてスパッタリング粒子5Pを放出させ、制御板31a〜31eは一対のターゲットと平行に配置され、スパッタリング粒子5Pを選択的に通過させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング装置および液晶装置の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶の配向を制御する配向膜を電極が備えられた基板間に配置し、液晶を封止した液晶装置が知られている。この配向膜は、液晶分子の配向方向をそろえる機能と、液晶分子の起き上がる方向を規制するチルト角を液晶分子に持たせる機能とを果たしている。一般に、配向膜はポリイミドなどの有機材料の表面にラビング処理を施したものが用いられる。
このような有機材料からなる配向膜を用いた液晶装置を、液晶プロジェクターなどの高出力光源を備えた機器に用いた場合、光エネルギーにより有機物の配向膜が損傷を受けて配向膜の機能が劣化することがある。
【0003】
そこで、この不具合を解消するために、無機材料からなる配向膜が検討されている。この無機配向膜を作成するために、対向配置されるターゲットから放出されるスパッタリング粒子を斜めに基板に入射するように構成し、斜め方向に結晶成長した柱状構造を有する配向膜を形成するスパッタリング装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。このようなスパッタリング装置によれば、得られる無機配向膜は光エネルギーによる損傷がなく、高い信頼性を有するものと期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−286401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1によるターゲット対向配置型のスパッタリング装置では、スパッタリングにより放出されるスパッタリング粒子(ターゲットの構成原子)の基板への入射角はターゲットの配置によりある程度は定まるが、指向性がよいスパッタリング粒子が基板上に到達することが難しい。このため基板上に成膜された無機配向膜は、結晶が基板に対して斜め方向に成長した柱状構造が充分に得られず、無機配向膜としての良好な特性を得ることが困難である。
このことから、指向性よくスパッタリング粒子が基板上に到達して成膜ができ、無機配向膜の特性を向上できるスパッタリング装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかるスパッタリング装置は、基板を保持する基板ホルダーを有し該基板ホルダーが搬送可能に設けられた成膜室と、前記成膜室に連通し第1ターゲットと第2ターゲットとが平行に対向して配置された一対のターゲットを有するスパッタリング粒子放出部と、前記基板ホルダーと前記スパッタリング粒子放出部との間に配置され前記基板ホルダーの搬送経路に向かって伸びる制御板を有する制御板ユニットと、を備え、前記スパッタリング粒子放出部の前記一対のターゲットが前記基板ホルダーの搬送経路に対して斜めに傾いた状態で配置され、前記一対のターゲットからプラズマによりスパッタリング粒子を生じさせて、搬送される前記基板ホルダーに向けて前記スパッタリング粒子を放出させ、前記制御板は前記一対のターゲットと平行に配置され、前記スパッタリング粒子を選択的に通過させることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、成膜室とスパッタリング粒子放出部との間に制御板ユニットを有している。このため、スパッタリング粒子放出部から放出される入射角度の大きく外れたスパッタリング粒子は制御板ユニットの制御板により捕獲される。
つまり、基板に入射するスパッタリング粒子の入射角度がそろい、指向性の高い入射角となる。このことから、指向性の高いスパッタリング粒子を基板に成膜することができるスパッタリング装置を提供することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかるスパッタリング装置において、前記基板ホルダーの基板を保持する面と、この面と対向する前記制御板ユニットの前記制御板の端部を繋ぐ面とが平行であることが望ましい。
【0010】
この構成によれば、基板ホルダーの基板を保持する面と、スパッタリング粒子が放出される制御板ユニットの制御板の端部を繋ぐ面が平行である。つまり、スパッタリング粒子の放出面と基板との距離が等しい、すなわち成膜に寄与するスパッタリング粒子の成膜室空間での飛行距離を等しくすることで、成膜室中でのスパッタリング粒子と成膜室のガスとの反応を均一にすることが出来る。これにより、厚さ方向に均一で、狙いとする化学組成の膜を形成できる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかるスパッタリング装置において、前記基板ホルダーの搬送の終点方向側に前記一対のターゲットが傾き、前記基板ホルダーの搬送の始点に近い側に位置する前記制御板に比べ、前記基板ホルダーの搬送の終点に近い側に位置する前記制御板のほうが、前記基板ホルダーの搬送経路に向かう長さが長いことが望ましい。
【0012】
この構成によれば、基板ホルダーの搬送の始点に近い側に位置する制御板に比べ、基板ホルダーの搬送の終点に近い側に位置する制御板のほうが、基板ホルダーの搬送経路に向かう長さが長い。つまり、制御板の間を通過する入射角の外れたスパッタリング粒子は、通過している間に制御板に捕捉されていく。この制御板の間を通過可能な入射角の範囲は制御板の長さが長いほうが小さくなる。
このため、基板が通過する始点側より終点側のほうが入射角のばらつきの少ないスパッタリング粒子により成膜される。このようにして、基板に成膜されるスパッタリング膜の上層部には指向性の高いスパッタリング粒子により成膜が可能である。この膜を無機配向膜として利用すれば、特性の良好な無機配向膜が得られる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかるスパッタリング装置において、隣り合う前記制御板の間隔が、前記基板ホルダーの搬送の始点に近い側に位置する前記制御板の間隔に比べ、前記基板ホルダーの搬送の終点に近い側に位置する前記制御板の間隔のほうが狭いことが望ましい。
【0014】
この構成によれば、隣り合う制御板の間隔が、基板ホルダーの搬送の始点に近い側に位置する制御板の間隔に比べ、基板ホルダーの搬送の終点に近い側に位置する制御板の間隔のほうが狭い。つまり、制御板の間を通過する入射角の外れたスパッタリング粒子は、通過している間に制御板に捕捉されていく。この制御板の間を通過可能な入射角の範囲は隣り合う制御板の間隔が狭いほうが小さくなる。
このため、基板が通過する始点側より終点側のほうが入射角のばらつきの少ないスパッタリング粒子により成膜される。このようにして、基板に成膜されるスパッタリング膜に上層部には指向性の高いスパッタリング粒子により成膜が可能である。この膜を無機配向膜として利用すれば、特性の良好な無機配向膜が得られる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかるスパッタリング装置において、前記スパッタリング粒子放出部に前記成膜室に対向する第3ターゲットを有することが望ましい。
【0016】
この構成によれば、制御板ユニットを配置することによる減少する成膜レートを、成膜室に対向する第3ターゲットを付加してスパッタリングすることで成膜レートを向上させることができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかるスパッタリング装置において、前記スパッタリング粒子放出部に不活性ガスが導入され、前記成膜室に反応ガスが導入されて、前記スパッタリング粒子と前記反応ガスとを反応させて反応生成物を成膜することが望ましい。
【0018】
この構成によれば、制御板ユニットによりスパッタリング粒子放出部内に反応ガスが流入することを妨げ、ターゲット面およびスパッタリング粒子放出部壁面などに反応生成物が堆積するのを防止できる。このことから、長期間において安定的な放電をスパッタリング粒子放出部内で維持でき、反応性のスパッタリング装置のメンテナンス性を向上させることができる。
【0019】
[適用例7]本適用例にかかる液晶装置の製造装置において、対向する一対の基板間に挟持された液晶層を備え、少なくとも一方の前記基板の内面側に無機配向膜を形成してなる液晶装置の製造装置であって、上記適用例のいずれかに記載のスパッタリング装置を備え、該スパッタリング装置によって前記無機配向膜を形成することを特徴とする。
【0020】
本適用例の液晶装置の製造装置によれば、指向性の高いスパッタリング粒子を基板に到達させて成膜できるスパッタリング装置を備えているので、良好な柱状構造を有し特性の良好な無機配向膜を備えた液晶装置を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態のスパッタリング装置の一例を示す概略構成図。
【図2】第1の実施形態のスパッタリング粒子放出部をXa方向から観察した側面構成図。
【図3】第1の実施形態の制御板ユニットを上面から見た平面図。
【図4】第1の実施形態のスパッタリング粒子が制御板ユニットを通過する状態を説明する模式図。
【図5】第1の実施形態の制御板ユニットの変形例を示す概略部分断面図。
【図6】第1の実施形態の制御板ユニットの他の変形例を示す概略部分断面図。
【図7】第2の実施形態のスパッタリング装置の一例を示す概略構成図。
【図8】液晶装置を構成するTFTアレイ基板の平面図。
【図9】液晶装置を説明する液晶装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、説明のために各部材の寸法の割合を適宜変更している。なお、以下の図面においては、成膜室内での基板(基板ホルダー)の搬送方向をX方向、基板の厚さ方向をZ方向、X,Z方向にそれぞれ直交する方向をY方向、ターゲットの厚さ方向をZa方向、スパッタリング粒子の放出方向をXa方向とする。
(第1の実施形態)
【0023】
(スパッタリング装置および液晶装置の製造装置)
図1は本実施形態のスパッタリング装置の一例を示す概略構成図である。図2は、図1のスパッタリング粒子放出部をZa方向から観察した側面構成図である。スパッタリング装置は、液晶装置の製造装置を構成し、液晶装置の構成部材となる基板上に無機配向膜を成膜するものである。
図1に示すように、スパッタリング装置1は、基板Wを収容する成膜室2と、プラズマを生成してターゲットからスパッタリング粒子を放出するスパッタリング粒子放出部3と、スパッタリング粒子の放出される方向を制御する制御板ユニット30と、を備えている。なお、スパッタリング粒子とは、スパッタリング現象により飛び出してくるターゲットの構成原子をいう。
【0024】
成膜室2には、その内部圧力を制御し、所望の真空度を得るためのロータリーポンプおよびクライオポンプなどから構成される排気制御装置20が配管20aを介して接続されている。
そして、成膜室2の内部に収容された基板W上に飛来するスパッタリング粒子5Pと反応して無機配向膜を形成する反応ガスとしての酸素ガスを供給する反応ガス供給手段22を備えている。
反応ガス供給手段22は、排気制御装置20の反対側に接続されており、反応ガス供給手段22から供給される酸素ガスは、成膜室2の−X側から+X側に流動し、後述するスパッタリング粒子放出部3の上方を経由して排気制御装置20側へ流れるようになっている。
【0025】
成膜室2は、基板Wの被処理面(成膜面)がXY面に平行(水平)になるようにして保持する基板ホルダー6を有している。この基板ホルダー6には、基板ホルダー6を搬送する移動手段6aが接続されている。移動手段6aによる基板Wの搬送は、図1においてX軸方向に平行に一定速度で搬送可能となっており、後述するようにスパッタリング粒子放出部3から放出されるスパッタリング粒子5Pにより基板W上に良質な無機配向膜を形成できるようになっている。
【0026】
また、基板ホルダー6には、保持した基板Wを加熱するためのヒーター(加熱手段)7が設けられており、さらに、保持した基板Wを冷却するための冷却手段8cが設けられている。ヒーター7は所望の温度に基板ホルダー6を加熱できるように構成されている。一方、冷却手段8cは、冷媒循環手段18cと接続されており、冷媒循環手段18cから供給される冷媒を循環させることにより所望の温度に基板ホルダー6を所望の温度に冷却するように構成されている。
【0027】
また、図示しないが、成膜室2の真空度を保持した状態での基板Wの搬入および搬出を可能とするロードロックチャンバーが、成膜室2のX軸方向の片側または両側に備えられている。ロードロックチャンバーにも、これを独立して真空雰囲気に調整する排気制御装置が接続され、ロードロックチャンバーと成膜室2とは、チャンバー間を気密に閉塞するゲートバルブを介して接続されている。このようにして、基板Wの成膜室2の搬入および搬出の際に、成膜室2を大気に解放することなく基板Wの出し入れを行えるように構成されている。
【0028】
スパッタリング粒子放出部3は、対向配置される第1ターゲット5aおよび第2ターゲット5bを有し、対向ターゲット型のスパッタリング装置を構成している。このスパッタリング粒子放出部3は、成膜室2との接続面のみ開放された直方体箱型の形態であり、接続部25により成膜室2とスパッタリング粒子放出部3とが連通するように取り付けられている。
【0029】
スパッタリング粒子放出部3の内部には、一対の第1ターゲット5aと第2ターゲット5bとがほぼ平行に対向して設けられている。
そして、スパッタリング粒子放出部3は、成膜室2内部に収容される基板Wの成膜面法線方向(Z方向)に対し、スパッタリング粒子放出部3内に保持される第1ターゲット5aおよび第2ターゲット5bの面方向(Xa方向)が所定の角度θとなるように形成されている。換言すれば、スパッタリング粒子放出部3内に保持される第1ターゲット5aおよび第2ターゲット5bの面方向(Xa方向)と基板ホルダー6の搬送方向(X方向)とのなす角度が所定の角度をなすように形成されている。
【0030】
より具体的には、第1ターゲット5a、第2ターゲット5bは、所定角度θとして、基板Wの法線方向に対して10°〜60°傾けられた状態に保持されるのが好ましい。基板Wに対する第1ターゲット5a、第2ターゲット5bの傾斜角度を上記範囲内に設定することにより所望の無機配向膜を形成可能となっている。
【0031】
本実施形態では、成膜時に基板ホルダー6の搬送方向は始点が−Xから終点が+X方向に搬送され、一対のターゲット5a,5bが基板ホルダー6の搬送の終点側に傾いて配置されている。そして、基板ホルダー6の搬送の始点に近い方に第1ターゲット5aが設けられ、基板ホルダー6の搬送の終点に近い方に第2ターゲット5bが設けられている。
【0032】
第1ターゲット5aは略平板状の第1電極9aに装着され、第2ターゲット5bは略平板状の第2電極9bに装着されている。なお、第1ターゲット5a、第2ターゲット5bは、基板W上に形成する無機配向膜の構成物質を含む材料、例えばシリコンからなるものとされる。また、第1ターゲット5a、第2ターゲット5bは、図示Y方向に延びる細長い板状のものが用いられている(図2参照)。
【0033】
図1及び図2に示すように、第1電極9aおよび第2電極9bは、それらの一端部(−Xa側端部)に接続された側壁部材19aと、第1電極9a及び第2電極9bのY軸方向両端部にそれぞれ接続された側壁部材19b、19cとともにスパッタリング粒子放出部3の真空チャンバーとなる箱形筐体を構成している。ただし、箱形筐体を構成する第1電極9a、第2電極9b、および側壁部材(19a、19b、19c)は互いに絶縁された構造である。また、スパッタリング粒子放出部3には、側壁部材19aの近くに放電用のアルゴンガスを流入させるスパッタリングガス供給手段21を備えている。これにより、スパッタリングガスは、箱形筐体の底面部から一対の対向するターゲット5a,5bを経て成膜室2に流れるように構成されている。
【0034】
また、第1電極9aには直流電源又は高周波電源からなる電源4aが接続され、第2電極9bには直流電源又は高周波電源からなる電源4bが接続されている。スパッタリングガスが供給された状態で、各電源4a、4bから供給される電力によりターゲット5a、5bが向き合う空間(プラズマ生成領域)にプラズマPzを発生させる。
【0035】
第1電極9aの第1ターゲット5aと反対側には第1ターゲット5aを冷却するための冷却手段8aが設けられており、冷却手段8aには冷媒循環手段18aが接続されている。
また、第2電極9bの第2ターゲット5bと反対側には、第2ターゲット5bを冷却するための冷却手段8bが設けられており、冷却手段8bには冷媒循環手段18bが接続されている。
冷却手段8a、8bは内部に冷媒を流通させる冷媒流路を備えており、かかる冷媒流路に対して冷媒循環手段18a、18bから供給される冷媒を循環させることで第1ターゲット5a、第2ターゲット5bの冷却を行うようになっている。
【0036】
また、図2に示すように、冷却手段8aを取り囲むようにして矩形枠状の永久磁石、電磁石、またはこれらを組み合わせた磁石等からなる磁界発生手段16aが配設されており、図1に示す冷却手段8bを取り囲む磁界発生手段16bも同様の形状である。
なお、冷却手段8a、8bは、導電部材により作製してそれぞれ電極9a、9bと電気的に接続してもよく、この場合には冷却手段8a、8bに対しそれぞれ電源4a、4bを電気的に接続することができる。また、電極9a、9bの内部に冷媒流路を形成することで電極9a、9bが冷却手段を兼ねる構成としてもよい。
【0037】
磁界発生手段16aと磁界発生手段16bとは、対向配置された第1ターゲット5a、第2ターゲット5bの外周部で互いに対向して配置されている。そして、これらの磁界発生手段16a、16bがターゲット5a、5bを取り囲むZa方向の磁界をスパッタリング粒子放出部3内に発生させ、この磁界によってプラズマPzに含まれる電子をプラズマ生成領域内に拘束する電子拘束手段を構成している。
【0038】
さらに、本実施形態に係るスパッタリング装置1は、基板W上に形成される無機配向膜の特性を向上させるために、スパッタリング粒子放出部3から基板W上に放出されるスパッタリング粒子5Pを選択的に通過させる制御板ユニット30を備えている。制御板ユニット30は、成膜室2内部であってスパッタリング粒子放出部3と基板W(基板ホルダー6)との間に配置されている。
【0039】
図3は制御板ユニットを上面(図1のXa方向)から見た平面図である。
図1および図3に示すように、制御板ユニット30には矩形状に板材からなる制御板31a〜31eが第1ターゲット5aおよび第2ターゲット5bの面方向(Xa方向)に平行に設けられている。また、制御板31a〜31eと直交する方向(Za方向)に制御板31a〜31eの両端部を接続する制御板32a、32bが設けられ、枠状の中に制御板が多数設けられた形態となっている。この枠状の制御板ユニット30の外周にはフランジ部38が、設けられ成膜室2に取り付け可能な形状となっている。
このように制御板ユニット30を成膜室2の壁に密着固定することにより、反応ガス供給手段22より供給される酸素等の反応ガスが、制御板ユニット30上面以外の経路から制御板ユニット30内およびスパッタリング粒子放出部3内に侵入するのを防ぎ、反応を成膜室2内のみに限定して制御することができる。
【0040】
制御板31a〜31eはZa方向に等間隔に配置され、また、基板ホルダー6の搬送経路に向かってXa方向に伸びるように形成されている。そして、制御板31a〜31eのXa方向に伸びる長さは、基板ホルダー6の搬送の始点側に近い制御板31aから終点側に近い制御板31eに向かって順に長くなるように形成されている。
さらに、制御板ユニット30における各制御板31a〜31eの端部を繋ぐ上面30aと、基板ホルダー6の基板Wを保持する保持面6bとが平行になるように配置されている。このような配置により、スパッタリング粒子5Pの放出面と基板Wとの距離が等しくなる。すなわち成膜に寄与するスパッタリング粒子5Pの成膜室2空間での飛行距離を等しくすることで、成膜室2中でのスパッタリング粒子5Pと成膜室2のガスとの反応を均一にすることが出来る。これにより、厚さ方向に均一で、狙いとする化学組成の膜を形成できる。
【0041】
以上の構成のスパッタリング装置1を用いて基板W上に無機配向膜を形成するには、まず、スパッタリングガス供給手段21からアルゴンガスを導入しつつ、電極9a,9bに直流または交流の高電圧をかけることで、第1ターゲット5a、第2ターゲット5bに挟まれる空間にプラズマPzを発生させる。プラズマ雰囲気中のアルゴンイオンを第1ターゲット5a、第2ターゲット5bに衝突させることで、第1ターゲット5a、第2ターゲット5bから配向膜材料(シリコン)をスパッタリング粒子5Pとしてたたき出す。さらにプラズマPzに含まれるスパッタリング粒子5Pのうち、プラズマPzから開口部へ飛行するスパッタリング粒子5Pのみを成膜室2側へ放出する。
【0042】
そして、スパッタリング粒子5Pは制御板ユニット30を通過していく。
図4はスパッタリング粒子が制御板ユニットを通過する状態を説明する模式図である。
制御板ユニット30における制御板31a〜31eの間を通過しようとするスパッタリング粒子5Pのうち、入射角度の大きく外れたスパッタリング粒子は制御板ユニットの制御板に当たり捕獲される。つまり、制御板ユニット30の上面から放出されるスパッタリング粒子5Pは入射角度がそろい、指向性の高いスパッタリング粒子5Pとなる。
そして、基板Wの面上に斜め方向から飛来したスパッタリング粒子5Pと、成膜室2を流通する酸素ガスとを基板W上で反応させることで、シリコン酸化物からなる配向膜を基板W上に形成する。
このように、スパッタリング装置1によれば、指向性の高いスパッタリング粒子5Pを基板に供給して反応ガスと反応させて一方向に配向した柱状構造を有する無機配向膜を基板W上に形成することができる。
【0043】
また、制御板31a〜31eのXa方向の長さが基板Wの搬送の始点側に近い制御板31aから終点側に近い制御板31eに向かって順に長くなるように形成されている。
隣り合う制御板の間隔が等しい場合、長い経路を通過したスパッタリング粒子5Pのほうが、短い経路を通過したスパッタリング粒子5Pにくらべて、入射角度のばらつきが小さく、指向性が高い。このことから、基板Wに形成される膜は、最初は短い経路を通過したスパッタリング粒子5Pによって形成され、その後順に長い経路を通過したスパッタリング粒子5Pによって形成された膜となる。つまり、基板Wに成膜される膜の上層部は指向性の高いスパッタリング粒子5Pによって形成された無機配向膜となり、特性の良好な無機配向膜を得ることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、スパッタリング粒子5Pとしてのシリコンを、酸素ガスと反応させることでシリコン酸化物を基板W上に成膜する場合について説明しているが、ターゲットとして例えばシリコン酸化物(SiOx)やアルミニウム酸化物(AlOy等)などを用い、シリコン酸化物やアルミニウム酸化物からなる無機配向膜を基板W上に形成することができる。
【0045】
(制御板ユニットの変形例)
上記で説明した制御板ユニットは以下の構成のものも採用できる。
図5は制御板ユニットの変形例を示す概略部分断面図である。本変形例では制御板を配置する間隔が第1の実施形態と異なるだけであり、その配置について説明する。
【0046】
図5(a)に示すように、制御板ユニット33は、XaY平面を有する制御板33a,33b,33c,33dを備えている。また、制御板33a〜33dの面と直交する方向(Za方向)に制御板33a〜33dの両端部を接続する制御板(図示せず)が設けられ、枠状の中に複数の制御板が設けられた形態となっている。
制御板33a〜33dのXa方向に向かう長さは基板の搬送の始点側に近い制御板33aから終点側に近い制御板33dに向かって順に長くなるように形成されている。また、制御板33aと制御板33bの間隔をE1、制御板33bと制御板33cの間隔をE2、制御板33cと制御板33dの間隔をE3とすると、E1>E2>E3、という関係にある。つまり、制御板ユニット33は、スパッタリング粒子が通過する経路が基板の搬送の終点の近づく従い長くなり、かつ隣り合う制御板の間隔は基板の搬送の終点に近づくに従い狭くなっている。
【0047】
このように、制御板ユニット33を通過するスパッタリング粒子の指向性を高めるには、スパッタリング粒子が通過する経路を長くする方法と、スパッタリング粒子が通過する隙間を狭くする方法があり、本変形例ではその両者を採用している。
制御板ユニット33がこのような構造を有することで、基板が搬送されて成膜される膜は下層部から上層部に指向性がだんだん高くなるスパッタリング粒子によって形成された無機配向膜となり、特性の良好な無機配向膜を得ることができる。
【0048】
図5(b)に示す制御板ユニット34は、制御板34aと制御板34cの間に制御板34bが配置されている。また、制御板34a〜34cのXa方向に向かう長さは基板の搬送の始点側に近い制御板34aから終点側に近い制御板34cに向かって順に長くなるように形成されている。また、制御板34aと制御板34bの間隔をF1、制御板34bと制御板34cの間隔をF2、とすると、間隔F1は間隔F2に対して充分に大きい関係にある。
【0049】
制御板ユニット34がこのような構造を有することで、基板が搬送されて成膜される膜は下層部、つまり制御板34aと制御板34bの間で成膜される部分では、隣り合う制御板の間隔が広いため、スパッタリングレートが高く厚い膜を形成することが可能である。そして、基板に成膜される膜の上層部は、隣り合う制御板の間隔が狭く経路が長いため、指向性の高いスパッタリング粒子によって成膜され、特性の良好な無機配向膜を得ることができる。
【0050】
さらに、図6に示すような構成の制御板ユニットを採用することができる。
制御板ユニットの本変形例では制御板の長さをほぼ同じに形成している点が、第1の実施形態における制御板ユニットと異なる。
図6(a)に示すように、制御板ユニット35は、XaY平面を有する制御板35a〜35eを備え、第1ターゲットおよび第2ターゲットの面方向(Xa方向)に平行に設けられている。また、制御板35a〜35eの面と直交する方向(Za方向)に制御板35a〜35eの両端部を接続する制御板(図示せず)が設けられ、枠状の中に複数の制御板が設けられた形態となっている。
【0051】
制御板35a〜35eはZa方向に等しい間隔Gに配置され、また、基板ホルダーの搬送経路に向かってXa方向に伸びるように形成されている。そして、制御板35a〜35eのXa方向の長さは、同じ長さで形成されている。
制御板ユニット35は、接続部25に取り付けられ、制御板35a〜35eの一部が接続部25の内部にはめ込むように配置されている。
そして、基板の搬送の始点側に近い制御板35aから終点側に近い制御板35eに向かって順に成膜室2へ突出する長さが長くなるように形成されている。
さらに、制御板ユニット35における上面の各制御板35a〜35eの端部を繋ぐ面と、基板ホルダーの基板(図示せず)を保持する面とが平行になるように配置されている。
【0052】
制御板ユニット35がこのような構造を有することで、基板が搬送されて成膜される膜は下層部から上層部にいたるまで均一な指向性の高いスパッタリング粒子によって形成された無機配向膜となり、特性の良好な無機配向膜を得ることができる。
【0053】
図6(b)に示す制御板ユニット36は、上記の制御板ユニット35に対して、隣り合う制御板の間隔が異なる。
制御板ユニット36は、XaY平面を有する制御板36a,36b,36c,36dを備えている。制御板36aと制御板36bの間隔をH1、制御板36bと制御板36cの間隔をH2、制御板36cと制御板36dの間隔をH3とすると、H1>H2>H3、という関係にある。つまり、制御板ユニット36における、隣り合う制御板の間隔は基板の搬送の終点に近づくに従い狭くなっている。
【0054】
制御板ユニット36がこのような構造を有することで、基板が搬送されて成膜される膜は下層部から上層部に指向性がだんだん高くなるスパッタリング粒子によって形成された無機配向膜となり、特性の良好な無機配向膜を得ることができる。
【0055】
図6(c)に示す制御板ユニット37は、上記の制御板ユニット35に対して、制御板の数を減らしたものである。
制御板ユニット37は、制御板37aと制御板37cの間に制御板37bが配置されている。制御板37aと制御板37bの間隔をJ1、制御板37bと制御板37cの間隔をJ2、とすると、間隔J1は間隔J2に対して充分に大きい関係にある。
【0056】
制御板ユニット37がこのような構造を有することで、基板が搬送されて成膜される膜は下層部、つまり制御板37aと制御板37bの間で成膜される部分では、隣り合う制御板の間隔が広いため、スパッタリングレートが高く厚い膜を形成することが可能である。そして、基板に成膜される膜の上層部は、隣り合う制御板の間隔が狭いため、指向性の高いスパッタリング粒子によって成膜され、特性の良好な無機配向膜を得ることができる。
(第2の実施形態)
【0057】
次に第2の実施形態として、第1の実施形態のスパッタリング装置とスパッタリング粒子放出部の構成が異なるスパッタリング装置について説明する。
図7は本実施形態のスパッタリング装置の一例を示す概略構成図である。なお、本実施形態はスパッタリング粒子放出部の構成のみが異なるため、第1の実施形態と同様な構成については第1の実施形態と同符号を付し説明を省略する。
【0058】
図7に示すように、スパッタリング装置50は、基板Wを収容する成膜室2と、プラズマを生成してターゲットからスパッタリング粒子を放出するスパッタリング粒子放出部60と、スパッタリング粒子の放出される方向を制御する制御板ユニット30と、を備えている。
スパッタリング粒子放出部60は、対向配置される第1ターゲット5a、第2ターゲット5bを有し、対向ターゲット型のスパッタリング装置50を構成している。このスパッタリング粒子放出部60は、成膜室2との接続面のみ開放された直方体箱型の形態であり、接続部25により成膜室2とスパッタリング粒子放出部60とが連通するように取り付けられている。
さらに、直方体箱の底面部に第3ターゲット5cが成膜室2に対向して設けられている。この第3ターゲット5cはY方向に長尺の形態である。第3ターゲット5cは略平板状の第3電極9cに装着され、基板W上に形成する無機配向膜の構成物質を含む材料、例えばシリコンからなるものとされる。
【0059】
そして、スパッタリング粒子放出部60は、成膜室2内部に収容される基板Wの成膜面法線方向(Z方向)に対し、スパッタリング粒子放出部60内に保持される第1ターゲット5aおよび第2ターゲット5bの面方向(Xa方向)が所定の角度θとなるように形成されている。換言すれば、スパッタリング粒子放出部60内に保持される第1ターゲット5aおよび第2ターゲット5bの面方向(Xa方向)と基板ホルダー6の搬送方向(X方向)とのなす角度が所定の角度をなすように形成されている。
【0060】
第3ターゲット5cの第3電極9cには直流電源又は高周波電源からなる電源4cが接続されている。また、第3電極9cの第3ターゲット5cと反対側には矩形枠状の永久磁石、電磁石、これらを組み合わせた磁石等からなる磁界発生手段16cが配設されている。
第3電極9cの第3ターゲット5cと反対側には第3ターゲット5cを冷却するための冷却手段8cが設けられており、冷却手段8cには冷媒循環手段18cが接続されている。
冷却手段8cは内部に冷媒を流通させる冷媒流路を備えており、かかる冷媒流路に対して冷媒循環手段18cから供給される冷媒を循環させることで第3ターゲット5cの冷却を行うようになっている。
【0061】
スパッタリングガス(アルゴンガス)が供給された状態で、電源4cから供給される電力により第3ターゲット5c上方の空間(プラズマ生成領域)にプラズマPzを発生させ、第3ターゲット5cからスパッタリング粒子5Pを放出することができる。
そして、第1ターゲット5aおよび第2ターゲット5bと第3ターゲット5cとを同時、または交互に放電することでスパッタリング粒子5Pを成膜室2へ放出させることができる。
【0062】
以上、このような構成のスパッタリング装置50とすることで、指向性の高いスパッタリング粒子による無機配向膜を形成でき、かつ制御板ユニット30を配置することによる減少する成膜レートを、成膜室2に対向する第3ターゲット5cを付加してスパッタリングすることで基板への成膜レートを向上させることができる。
(液晶装置)
【0063】
以下、上記で説明したスパッタリング装置1を用いて製造することができる液晶装置の一例について図面を参照して説明する。
本実施形態の液晶装置は、対向配置されたTFTアレイ基板と、対向基板との間に液晶層を挟持した構成を備えたTFTアクティブマトリクス方式の透過型液晶装置である。
図8は、本実施形態にかかる液晶装置を構成するTFTアレイ基板の平面図である。図9は、液晶装置の模式断面図である。
【0064】
図8に示すように、TFTアレイ基板110は、中央に画像表示領域101が形成されている。画像表示領域101の周縁部にシール材102が配設され、このシール材102によりTFTアレイ基板110と対向基板120とを貼り合わせて、両基板110,120とシール材102とに囲まれる領域内に液晶層(図示せず)が封止される。
シール材102の外側には、走査線に走査信号を供給する走査線駆動回路103と、データ線に画像信号を供給するデータ線駆動回路104とが実装されている。TFTアレイ基板110の端部には外部回路に接続する複数の接続端子106が設けられており、接続端子106には駆動回路103,104から延びる配線が接続されている。また、シール材102の四隅にはTFTアレイ基板110と対向基板120とを電気的に接続する基板間導通部105が設けられており、配線を介して接続端子106と電気的に接続されている。
【0065】
図9に示すように、液晶装置100は、TFTアレイ基板110と、これに対向配置された対向基板120と、これらの間に挟持された液晶層130とを備えて構成されている。
TFTアレイ基板110は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体111、及びその内側(液晶層130側)に形成されたTFT(Thin Film Transistor)118、画素電極112、さらにこれを覆う配向下地膜113、無機配向膜114などを備えている。
対向基板120は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体121、およびその内側(液晶層130側)に形成された透明導電材料からなる共通電極122、さらにこれを覆う配向下地膜123、無機配向膜124などを備えている。
無機配向膜114,124は、シリコン酸化物(SiO2)により構成されるが、シリコン酸化物に限らず、アルミニウム酸化物、亜鉛酸化物、マグネシウム酸化物、インジウム錫酸化物、あるいはシリコン窒化物、チタン窒化物などにより形成してもよい。
なお、基板本体111、121のそれぞれの外側(液晶層130と反対側)には、偏光板115,125が互いの透過軸を直交させた状態(クロスニコル)で配置されている。
【0066】
以上、説明した液晶装置100にあっては、特に無機配向膜114,124として、前述したスパッタリング装置1により形成できる配向性の良好な無機配向膜を備えているので、これらの無機配向膜114,124によって液晶分子のプレチルト角等の配向状態をより良好に制御することができる。そして、高輝度、高コントラストの表示が可能であり、また耐熱性、耐光性に優れた信頼性の高い液晶装置100となる。
また、この液晶装置100を光変調手段として備えたプロジェクターなどに利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1…スパッタリング装置、2…成膜室、3…スパッタリング粒子放出部、4a,4b,4c…電源、5a…第1ターゲット、5b…第2ターゲット、5c…第3ターゲット、5P…スパッタリング粒子、6…基板ホルダー、6a…移動手段、6b…保持面、7…加熱手段、8a,8b,8c…冷却手段、9a,9b,9c…電極、16a,16b,16c…磁界発生手段、18a,18b,18c…冷媒循環手段、19a,19b,19c…側壁部材、20…排気制御装置、20a…配管、21…スパッタリングガス供給手段、22…反応ガス供給手段、25…接続部、30…制御板ユニット、30a…上面、31a,31b,31c,31d,31e…制御板、32a,32b…制御板、33,34,35,36,37…制御板ユニット、38…フランジ部、50…スパッタリング装置、60…スパッタリング粒子放出部、100…液晶装置、101…画像表示領域、102…シール材、103…走査線駆動回路、104…データ線駆動回路、105…基板間導通部、106…接続端子、110…TFTアレイ基板、111…基板本体、112…画素電極、113…配向下地膜、114…無機配向膜、115…偏光板、118…TFT、120…対向基板、121…基板本体、122…共通電極、123…配向下地膜、124…無機配向膜、125…偏光板、130…液晶層、Pz…プラズマ、W…基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板ホルダーを有し該基板ホルダーが搬送可能に設けられた成膜室と、
前記成膜室に連通し第1ターゲットと第2ターゲットとが平行に対向して配置された一対のターゲットを有するスパッタリング粒子放出部と、
前記基板ホルダーと前記スパッタリング粒子放出部との間に配置され前記基板ホルダーの搬送経路に向かって伸びる制御板を有する制御板ユニットと、を備え、
前記スパッタリング粒子放出部の前記一対のターゲットが前記基板ホルダーの搬送経路に対して斜めに傾いた状態で配置され、前記一対のターゲットからプラズマによりスパッタリング粒子を生じさせて、搬送される前記基板ホルダーに向けて前記スパッタリング粒子を放出させ、前記制御板は前記一対のターゲットと平行に配置され、前記スパッタリング粒子を選択的に通過させることを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスパッタリング装置において、
前記基板ホルダーの基板を保持する面と、この面と対向する前記制御板ユニットの前記制御板の端部を繋ぐ面とが平行であることを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスパッタリング装置において、
前記基板ホルダーの搬送の終点方向側に前記一対のターゲットが傾き、
前記基板ホルダーの搬送の始点に近い側に位置する前記制御板に比べ、前記基板ホルダーの搬送の終点に近い側に位置する前記制御板のほうが、前記基板ホルダーの搬送経路に向かう長さが長いことを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスパッタリング装置において、
隣り合う前記制御板の間隔が、前記基板ホルダーの搬送の始点に近い側に位置する前記制御板の間隔に比べ、前記基板ホルダーの搬送の終点に近い側に位置する前記制御板の間隔のほうが狭いことを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスパッタリング装置において、
前記スパッタリング粒子放出部に前記成膜室に対向する第3ターゲットを有することを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のスパッタリング装置において、
前記スパッタリング粒子放出部に不活性ガスが導入され、前記成膜室に反応ガスが導入されて、前記スパッタリング粒子と前記反応ガスとを反応させて反応生成物を成膜することを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項7】
対向する一対の基板間に挟持された液晶層を備え、少なくとも一方の前記基板の内面側に無機配向膜を形成してなる液晶装置の製造装置であって、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスパッタリング装置を備え、該スパッタリング装置によって前記無機配向膜を形成することを特徴とする液晶装置の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−17033(P2011−17033A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160496(P2009−160496)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】