説明

スペクトラム拡散による測位システム

【課題】最小限のハードウェア構成で、精密な測位のための同期時刻検出を行うことができ、さらに、省電力で同期時刻検出を行うことができる測位システムを提案することにある。
【解決手段】移動局から所定の周期で拡散符号を送信し、基地局が受信した信号から粗同期による同期を第1検出として検出する第1検出手段と、第1検出の後に、第1検出の結果に基づき決定された同期検出範囲において受信した信号をサンプリングし、微同期による同期を第2検出として検出する第2検出手段とを含む測位システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトラム拡散通信方式を用いた無線通信において、拡散符号の性質を利用した同期捕捉により精密な測位を行う測位システムに関する。特に、粗同期による第1の同期検出処理と微同期による第2の同期検出処理とを行うことにより省電力で精密な測位を行う測位システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信端末の位置を高い精度で推定する測位システムにおいて、精密な測位手段を有することは不可欠である。例えば、GPS(Global Positioning System:全世界測位システム)においてはスペクトラム拡散された信号の位相を検出することにより、電磁波の遅延時間を計測して測位を行う。近年、GPSにおいて、スペクトラム拡散により精密な測位を行う手段として、着信データ系列のデータ転送速度(チップレート)の整数の倍数にも約数にも等しくない周波数で着信データ系列のサンプリングを行い、サンプリング結果をデジタルデータ系列として記憶して、所定の符号系列と参照することにより位相を算出する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2001−510566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示された測位システムにおいては、着信データをチップレートより僅かに高い周波数でサンプリングを行った後、サンプリング結果をシフトレジスタSR2に送るとともに、チップレートでサンプリングが行われたサンプリング結果をレプリカとしてシフトレジスタSR1に送る。そして、シフトレジスタSR2のみをシフトさせながら、シフトレジスタSR1とSR2とに対して相関関数を演算すると、サンプリング周波数の相違に基づき発生する著しい相関演算結果の上昇量により位相を算出する。
【0004】
従って、特許文献1に開示された測位システムにおいて、測位精度(位相検出精度)を向上させるためには、チップレートと着信データのサンプリングレートとの差を非常に小さく設定し、その設定状態を維持する方法が挙げられる。しかしながら、チップレートとサンプリングレートとの差を非常に小さく設定した状態を継続維持することは困難であるため、上記測位システムにおける測位精度には、技術的な限界がある。
【0005】
また、スペクトラム拡散により精密な測位を行うためには、受信信号を高分解能で読み取り、同期時刻を検出する必要がある。デジタル回路でこれを実現する場合、高いサンプリングレートで受信信号をサンプリング処理し、同時にリアルタイムで同期検出をする必要がある。従って、精密な測位を行うためには、高い分解能を要求するため、ハードウェア能力をサンプリング処理に集中させなければならない。しかし、同期検出には相関演算を要し、演算時間も必要となるため、同期検出のための相関演算にハードウェア能力を集中できず、高い分解能で同期検出を継続して行うことは困難である。
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、同期検出のために必要な受信信号の到達時刻が予め把握できる場合、同期検出を行うための時間だけ高いサンプリングレートでサンプリング処理を行い、サンプリングされた受信信号に対して時間を掛けて同期検出(相関演算)を行うことにより、精密な同期時刻検出を行うことができることに着目し、粗同期による第1の同期検出処理と、より高いサンプリングレートによる微同期による第2の同期検出処理とを行うことにより、精密な測位を行う測位システムを提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、比較的簡単な構成で、精密な同期時刻検出を行う測位システムを提供することを目的とする。さらに、本発明は、高サンプリング周波数で受信信号のサンプリング処理を行う期間が第2の同期検出範囲に限定された期間のみであることから、同期時刻検出を行うために高サンプリング周波数で常時サンプリングを行う場合と比較して、同期時刻検出を行う基地局の消費電力を小さくすることができる測位システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような目的を達成するため、本発明に係る測位システムにおいては、移動局から所定の周期で拡散符号を送信し、基地局が受信した信号から粗同期による同期を第1検出として検出する第1検出手段と、第1検出の後に、第1検出の結果に基づき決定された同期検出範囲において受信した信号をサンプリングし、微同期による同期を第2検出として検出する第2検出手段とを含み、移動局が送信した拡散符号を基地局において同期検出し、同期時刻の検出を行い、移動局の精密な測位を行う。
【0009】
具体的には、本発明に係る同期時刻検出を行う測位システムは、
移動局から送信される信号を受信する基地局と、前記基地局とネットワークにより連結された測位演算部とを含む測位システムであって、
前記移動局は、
前記移動局自身が生成した拡散符号を所定の周期により前記信号として送信する信号送信手段を有し、
前記基地局は、
前記移動局からの信号を受信し、前記信号をサンプリングするサンプリング手段と、
前記サンプリング手段によりサンプリングされた第1サンプリング結果から、拡散符号の同期を第1検出として検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段の同期検出結果情報に基づいて第2検出のために同期検出範囲を決定する決定手段と、
前記第1検出の後に、前記移動局から受信した信号を前記同期検出範囲においてサンプリングした第2サンプリング結果から、拡散符号の同期を前記第2検出として検出する第2検出手段とを有し、
前記測位演算部は、
少なくとも3つの前記基地局による第2検出手段で得られた同期検出結果情報に基づいて測位を行なう測位演算手段を有し、
前記第2検出のためのサンプリング周波数は、前記第1検出のためのサンプリング周波数より高くすることを特徴とする。
【0010】
上述した発明によれば、第1検出手段の同期検出結果情報に基づいて第2検出のために同期検出範囲を決定する決定手段と、第1検出の後に、移動局から受信した信号を同期検出範囲においてサンプリングした第2サンプリング結果から、拡散符号の同期を第2検出として検出する第2検出手段とを有することから、移動局の精密な測位を行うために、第1検出手段の同期検出結果情報に基づいて第2検出手段による同期を行うために決定された同期検出範囲のみ、サンプリングすることが可能となる。従って、サンプリングする期間を所望の期間に限定することができる。
【0011】
この結果、第2検出のためのサンプリングのみを、高サンプリング周波数でサンプリング処理を行い、さらに、第1検出手段の同期検出結果情報に基づいて、より的確に第2検出手段の同期検出結果情報を得ることができるため、測位演算部により精密な測位を行うことができる。特に、第2検出のためのサンプリング処理において、常に、高サンプリング周波数でサンプリングを行うことを要しないため、基地局における同期時刻検出を少ない消費電力で行うことができ、省電力で測位可能な測位システムを実現できる。
【0012】
なお、第2検出手段の同期検出を行うために、第2サンプリング結果を記憶手段に記憶し、記憶手段に記憶されたサンプリング結果に対する同期を行うことにより、リアルタイムで同期検出を行うことが困難な場合であっても、同期検出を行うことができることから、より精密な測位を行うことができる。
【0013】
本発明に係る測位システムとして、決定手段は、同期検出結果情報に基づいて得られたサンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻との少なくとも一方に付加時間を付加して、新たなサンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻とした同期検出範囲を決定する、ことが好ましい。
【0014】
上述した発明によれば、同期検出範囲においてサンプリングすることにより、移動局が送信した拡散符号を確実に含む第2サンプリング結果を確実に取得できる。従って、精密な同期時刻検出を行い、測位を行うことができる。
【0015】
本発明に係る測位システムとして、付加時間は、時計ピッチ誤差及び第1検出手段と第2検出手段のサンプリング周波数に基づき決定される、ことが好ましい。
【0016】
上述した発明によれば、同期検出範囲をより限定して精確に決定することができることから、精密な同期時刻検出、測位を行うために、移動局から受信した信号を確実に含む第2サンプリング結果を確実に取得できるとともに、基地局における同期時刻検出をより少ない消費電力で行うことができ、省電力で測位可能な測位システムを実現できる。ここで、時計ピッチ誤差とは、移動局、基地局に備えられた時計各々の速度の違いにより生じる時計誤差といい、例えば、移動局及び基地局の1局が備える時計が単位時間経過したときに、他の局が単位時間とは異なる経過時間を示すことにより生じる時計誤差をいう。また、第1検出手段と第2検出手段のサンプリング周波数に基づき付加時間を決定することから、各サンプリング周波数の相違に基づく量子化誤差をも考慮することができる。
【0017】
本発明に係る測位システムとして、直接拡散スペクトラム拡散通信方式又は超広帯域無線通信方式により、移動局と基地局との間の無線通信を行うことも好ましい。直接拡散スペクトラム拡散通信方式を用いることにより、精密な同期時刻検出を行い測位を可能とするだけでなく、高い通信品質と秘匿性とを確保することができる。
【0018】
なお、本発明に係る測位システムとして、受信した信号中に連続して存在する複数ビットのデータエラーであるバーストエラーを防止するため、移動局は、拡散符号として異なる複数の連続したPN符号を送信し、第1検出手段及び第2検出手段は、PN符号のそれぞれに対応したマッチドフィルタを備える、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
上述した発明によれば、決定手段と、第2検出手段とを有することから、移動局の精密な測位を行うために、第1検出手段の同期検出結果情報に基づいて第2検出手段による同期を行うために決定された同期検出範囲のみ、サンプリングすることが可能となる。従って、サンプリングする期間を所望の期間に限定することができる。
【0020】
この結果、第2検出のためのサンプリングのみを、高サンプリング周波数でサンプリング処理を行い、さらに、第1検出手段の同期検出結果情報に基づいて、より的確に第2検出手段の同期検出結果情報を得ることができるため、測位演算部により精密な測位を行うことができる。特に、第2検出のためのサンプリング処理において、常に、高サンプリング周波数でサンプリングを行うことを要しないため、基地局における同期時刻検出を少ない消費電力で行うことができ、省電力で測位可能な測位システムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の測位システムは、移動局と、少なくとも3つの基地局との間で同期時刻検出を行い、移動局の測位を行うものである。具体的には、移動局と基地局との間の無線通信として直接拡散スペクトラム拡散通信方式を用いて、移動局から送信される拡散符号を、基地局が受信することにより精密な同期時刻検出を行い、測位を行う。そのため、送信される拡散符号を高サンプリング周波数でサンプリングし量子化を行って同期検出を行い、より精確な同期時刻を算出する必要がある。
【0022】
そこで、本発明の実施形態による測位システムにおいては、一定の周期で移動局から拡散符号を送信し、粗同期による第1の同期検出処理と、第1の同期検出結果に基づく微同期による第2の同期検出処理という2段階の同期検出処理を行い、精密な同期時刻検出を行う。より具体的には、基地局30において、第1の同期検出処理の結果に基づいて第2の同期検出処理を行うための、サンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻とから画定される同期検出範囲を決定し、第2の同期検出処理の結果に基づき同期時刻検出、測位を行う。なお、本実施形態においては、拡散符号としてPN符号(Pseudo Noise 符号)を用いる。以下に、本発明の実施形態による測位システムの構成を説明する。
【0023】
<<構成>>
<測位システム10>
図1は、本発明による測位システム10の概略構成図であり、本発明による測位システムは、移動局20と、基地局30(30A、30B、30C、30D)と、測位サーバ40とから構成される。なお、移動局20の測位を行うためには、移動局20と少なくとも3つの基地局との間の同期時刻検出を行うことが必要となるが、本実施形態においては、1つの移動局と4つの基地局とを有する測位システムの構成を示した。
【0024】
各基地局は、移動局20が信号として発信した拡散符号の同期を検出し各基地局の時計による同期時刻を測定することにより、各基地局での同期検出結果情報を得る。そして、基地局ごとに得られた同期検出結果情報を、測位サーバ40に基地局番号とともに送信する。測位サーバ40は、各基地局から受信した同期検出結果情報と、基地局の位置とに基づいて移動局20の測位を行う。
【0025】
<移動局20>
図2は、本実施形態の測位システムにおける測位対象である移動局20の概略構成図である。移動局20は、時計22と、制御器24と、拡散符号発生器26と、トランシーバー回路28とから構成される。時計22は、移動局20のクロック発生器(図示せず)により発生したクロック信号から時刻情報を生成する。制御器24は、時計22で生成した時刻情報を監視して、拡散符号を発生させるために用いられるクロック信号を、拡散符号発生時刻に拡散符号発生器26に対して送信する。拡散符号発生器26は、制御器24から受信したクロック信号に従い、拡散符号を発生させ、トランシーバー回路28に送信する。そして、トランシーバー回路28は、拡散符号発生器26から受信した拡散符号を変調する回路であり、変調された拡散符号はアンテナを介して送信される。
【0026】
従って、本実施形態においては、移動局20の測位を行うに際して、移動局20からベースバンド情報の送信は行わず、拡散符号のみを送信する。そして、後述するように、拡散符号の性質を利用した同期捕捉に基づき、移動局20が送信した信号が基地局30に到達する時刻の算出を行う。
【0027】
(制御器24)
制御器24は、時計22で生成した時刻情報を監視することにより、拡散符号発生器26において拡散符号を発生させる開始時刻(拡散符号発生開始時刻)と終了時刻(拡散符号発生終了時刻)を設定し、拡散符号開始時刻から拡散符号終了時刻の間、時計22から出力されるクロック信号を拡散符号発生器26に送信する。この結果、拡散符号発生器26は、拡散符号発生開始時刻から拡散符号発生終了時刻の間、受信したクロック信号を用いてタイミングをとることにより、拡散符号を発生させる。
【0028】
(拡散符号発生器26)
本実施形態の拡散符号発生器においては、拡散符号としてPN符号(Pseudo Noise符号)を発生させる。PN符号を発生させる拡散符号発生器は、シフトレジスタと加算器(排他的論理和)とから構成できることが知られている。なお、拡散符号はPN符号に限られず、位相差ゼロにおいて自己相関値が大きく、位相差ゼロ以外のときは自己相関値が十分に小さく、かつ、符号間の相互相関値がすべての位相差において十分に小さいものであれば十分であり、例えば、図3に示す拡散符号発生器の回路により発生させられるGold符号も拡散符号として用いることもできる。
【0029】
拡散符号発生器26のシフトレジスタは複数のフリップフロップから構成され、入力したクロック信号を用いてタイミングをとることにより、内部のフリップフロップの値をシフトさせ、拡散符号を発生させる。なお、拡散符号発生器の構成は、移動局20と各基地局30とにおいて同じである。さらに、初期値の設定も移動局20と各基地局30とにおいて同じである。従って、移動局20と各基地局30とにおいて、同一の拡散符号を発生させることができる。
【0030】
さらに、本実施形態の拡散符号発生器26において、拡散符号として発生させたPN符号の終了タイミング、すなわち、発生させた1周期分のPN符号の終了タイミングを、移動局20内の時計22の時刻情報基準で毎P秒、例えば、P=1秒になるように設定する。従って、移動局20はP秒毎に拡散符号を基地局30に送信することが可能である。図4に、具体例として、PN符号の符号周期Tを1m秒、PN符号の発生終了タイミングの間隔Pを1秒間に設定した場合の、拡散符号発生開始時刻と拡散符号発生終了時刻とを示す。
【0031】
(制御器24のクロック信号送信処理)
制御器24は、図4に示すPN符号を拡散符号発生器26により発生させるため、拡散符号発生開始時刻から拡散符号発生終了時刻まで、拡散符号発生器26にクロック信号を送信する。図5は、1周期分のPN符号を発生させるため、拡散符号発生開始時刻から拡散符号発生終了時刻まで、制御器24が拡散符号発生器26にクロック信号を送信する処理を説明するためのフローチャートを示す。
【0032】
まず、時計22で生成された時刻情報が、拡散符号発生開始時刻であるか否かを判断する(ステップS10)。ステップS10において、時刻情報が拡散符号発生開始時刻ではない(NO)と判別したときは、ステップS10の処理を繰り返す。従って、時刻情報が拡散符号発生開始時刻に到達することによりはじめて、後述するクロック信号の送信処理が実行される。
【0033】
ステップS10において、時刻情報が拡散符号発生開始時刻である(YES)と判別したときは、拡散符号発生器26にクロック信号の送信を開始し(ステップS12)、時刻情報が拡散符号発生終了時間であるか否かを判断する(ステップS14)。ステップS14において、時刻情報が拡散符号発生終了時刻ではない(NO)と判別したときは、ステップS12〜S14の処理を繰り返す。従って、時刻情報が拡散符号発生終了時刻に到達するまで、拡散符号発生器26にクロック信号の送信を継続することが可能となる。
【0034】
ステップS14において、時刻情報が拡散符号発生終了時刻である(YES)と判別したときは、拡散符号発生器26へのクロック信号の送信を終了し(ステップS16)、シフトレジスタのリセットを実行させるリセット信号を、拡散符号発生器26に送信する(ステップS18)。以上により、拡散符号発生開始時刻から拡散符号発生終了時刻までの間、制御器24から拡散符号発生器26へクロック信号が送信されて、拡散符号発生器26において受信したクロック信号を用いてタイミングをとることにより、設定された時刻に基づく1周期分のPN符号を発生させることができる。
【0035】
(制御器24の時刻処理)
制御器24では、所定の時刻に基づく1周期分のPN符号を発生させるために、拡散符号発生開始時刻と拡散符号発生終了時刻とを設定しなければならない。図6は、制御器24において実行される拡散符号発生開始時刻と拡散符号発生終了時刻との設定処理について説明するフローチャートであり、拡散符号発生開始時刻と拡散符号発生終了時刻とは、図6に従い、以下の手順により決定される。
【0036】
まず、制御器24は、時刻情報から現在時刻TIMを取得する(ステップS20)。そして、TIM/Pの小数点以下を切り上げた数値にPを乗じた数値を、TIMと設定する(ステップS22)。ここで、Pとは、PN符号発生間隔である。次に、「TIM−TIM」と定数Tを比較する(ステップS24)。ここで、定数Tとは、拡散符号発生開始時刻及び拡散符号発生終了時刻の決定から実際に拡散符号を送信するために要する処理時間であり、システム構成に依存して予め決定される値である。ステップS24において、「TIM−TIM」が定数T以下である(NO)と判別したときは、現在時刻TIMを基にして拡散符号発生終了時刻TIMを決定すると、拡散符号発生終了時刻に拡散符号を送信できないことから、新たに現在時刻を取得する必要があるため、ステップS20に戻り現在時刻を新たに取得する。一方、ステップS24において、「TIM−TIM」が定数Tより大きい(YES)と判別したときは、現在時刻TIMを基にして拡散符号発生終了時刻TIMを決定しても拡散符号発生終了時刻に拡散符号を送信できないという問題は生じないため、ステップS26に進み、拡散符号発生開始時刻設定を行う。ステップS26において、拡散符号発生開始時刻として「TIM−T」を設定した後、拡散符号発生終了時刻として「TIM」を設定する(ステップS28)。ここで、「T」とは、拡散符号の周期を表す時間をいう。上記フローチャート(図6)に従い、PN符号の符号周期Tを1m秒、PN符号発生終了タイミングの間隔Pを1秒に設定した場合、図4に示した拡散符号発生開始時刻と拡散符号発生終了時刻とを設定することができる。
【0037】
<基地局30>
図7は、移動局20が送信した拡散符号の同期時刻の検出を行う基地局30の概略構成図である。基地局30は、トランシーバー回路32と、同期時刻検出部34とから構成される。トランシーバー回路32は、アンテナを介して受信した信号を復調し、復調した信号を同期時刻検出部34に送信する。同期時刻検出部34は、粗同期による第1の同期検出処理と、第1の同期検出結果に基づく微同期による第2の同期検出処理とを行い、すなわち、第1の同期検出処理の結果に基づいて第2の同期検出処理を行うための、サンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻とにより画定される同期検出範囲を決定し、第2の同期検出処理を行い、第2の同期検出処理の結果に基づいて、移動局20が送信した拡散符号の同期時刻の検出を行う。
【0038】
同期時刻検出部34の構成図を図8に示す。まず、移動局20から送信された後、トランシーバー回路32において復調された信号を、所定の異なるサンプリング周波数のサンプリングクロック信号に基づきサンプリングして量子化するために、復調された信号は同期時刻検出部34の量子化器120と量子化器150とに送信される。そして、第2の同期検出処理を行うための同期検出範囲を決めるため、第1の同期検出処理を行う。そのため、量子化器120において量子化された信号は整合フィルタ122に送信される。また、第1の同期検出処理の結果に基づく第2の同期検出処理を行うために、量子化器150において量子化された信号は整合フィルタ154に送信される。
【0039】
そして、量子化器120において量子化された信号と、拡散符号発生器110において発生させた拡散符号を量子化器112において量子化された信号との自己相関値を算出し、第1の同期検出処理をサンプル時刻演算部130において行い、第2の同期検出処理を行うための同期検出範囲を決定する。
【0040】
一方、サンプル時刻演算部130において決定された同期検出範囲において第2の同期検出処理を行うため、量子化器150において量子化された信号と、拡散符号発生器110において発生した拡散符号を量子化器114において量子化された信号との自己相関値を算出し、第2の同期検出処理を同期時刻演算部160において行う。以下に、同期時刻検出部34の各構成について説明する。
【0041】
(クロック発生器100)
クロック発生器100は、同期時刻検出部34において行われる同期時刻検出処理の基準となるクロック信号を発生する。そして、発生したクロック信号をクロック生成器102、104、106及び時計108に送信する。従って、後述するように、クロック生成器102において生成される第1の同期検出処理に用いられる第1サンプリングクロック信号と、クロック生成器104において生成される第2の同期検出処理に用いられる第2サンプリングクロック信号とが、共通のクロック信号に基づき生成されることから、第1の同期と第2の同期とにおいてクロック信号に基づく同期ずれを防止することができる。
【0042】
(クロック生成器102)
クロック生成器102は、クロック発生器100から送信されたクロック信号に基づき、第1の同期検出処理に用いられる第1サンプリング周波数cl102の第1サンプリングクロック信号を生成する。そして、第1サンプリングクロック信号は、トランシーバー回路32において復調された信号をサンプリングし量子化するために量子化器120に送信されるとともに、拡散符号発生器110で発生した拡散符号をサンプリングし量子化するために量子化器112にも送信される。
【0043】
(クロック生成器104)
クロック生成器104は、クロック発生器100から送信されたクロック信号に基づき、第2の同期検出処理に用いられる第2サンプリング周波数cl104の第2サンプリングクロック信号を生成する。そして、第2サンプリングクロック信号は、トランシーバー回路32において復調された信号をサンプリングし量子化するために量子化器150に送信されるとともに、拡散符号発生器110で発生した拡散符号をサンプリングし量子化するために量子化器114にも送信する。なお、第2サンプリング周波数は、第1サンプリング周波数よりも高く設定される。
【0044】
(クロック生成器106)
クロック生成器106は、クロック発生器100から送信されたクロック信号に基づき、拡散符号発生器110で発生させる拡散符号のチップレートを決定するクロック周波数cl106のクロック信号を生成し、拡散符号発生器110に送信する。ここで、クロック周波数cl106は、移動局20で発生した拡散符号のチップレートfとの関係において、cl106=fの関係式が成立するように設定される。
【0045】
(時計108)
時計108は、クロック発生器100から送信されたクロック信号に基づき、基地局の時刻を示す時刻情報を生成する。そして、第1の同期検出処理を行い、同期検出結果に基づいて第2の同期検出処理のための同期検出範囲を画定するサンプリング開始時刻と終了時刻とを算出するサンプル時刻演算部130と、第2の同期処理を行うために、量子化器150にサンプリング開始信号とサンプリング終了信号とを送信するサンプリング制御信号発生器140とに、時刻情報を送信する。
【0046】
(拡散符号発生器110)
拡散符号発生器110と上述の移動局20の拡散符号発生器26とは、構成及び初期値の設定が同じであることから、移動局20と各基地局30とにおいて、同一の拡散符号を発生することができる。
【0047】
本実施形態の測位システムは、少なくともデータの交信を行う通信モードと移動局の位置を測定する測位モードとを備え、システムのモードが通信モードから測位モードに切り替えられ、測位サーバ40から送信される拡散符号発生制御信号を受信したとき、拡散符号発生器110は拡散符号を発生させる。そして、拡散符号発生器110は、発生させた拡散符号を、第1サンプリング周波数の第1サンプリングクロック信号でサンプリングし量子化を行うために量子化器112に、さらに、第2サンプリング周波数の第2サンプリングクロック信号でサンプリングし量子化を行うために量子化器114に送信する。
【0048】
(量子化器112)
量子化器112は、拡散符号発生器110において発生させた拡散符号を、第1サンプリングクロック信号に基づきサンプリングし、量子化を行う。第1サンプリングクロック信号は、復調された受信信号を量子化器120でサンプリングして量子化するために用いられる信号であるとともに、拡散符号をサンプリングして量子化するためにも用いられる信号である。従って、後述する整合フィルタ122を用いて、量子化器120で量子化された信号と、量子化器112で量子化された拡散符号との自己相関値を算出し、サンプル時刻演算部130により第1の同期検出を行うことができる。
【0049】
(量子化器114)
量子化器114は、拡散符号発生器110において発生させた拡散符号を、第2サンプリングクロック信号に基づきサンプリングし、量子化を行う。第2サンプリングクロック信号は、復調された受信信号を量子化器150でサンプリングして量子化するために用いられる信号であるとともに、拡散符号をサンプリングして量子化するためにも用いられる信号である。従って、後述する整合フィルタ154を用いて、量子化器150で量子化された信号と、量子化器114で量子化された拡散符号との自己相関値を算出し、同期時刻演算部160により第2の同期検出を行い、同期時刻検出を行うことができる。
【0050】
(量子化器120)
量子化器120は、トランシーバー回路32において復調された信号を、クロック生成器102において生成された第1サンプリングクロック信号に基づきサンプリングし量子化を行う。具体的には、受信したチップレートfの信号を、第1サンプリング周波数cl102(=n・f)Hzで、第1のサンプリングし、量子化を行う。量子化器120において量子化された信号は整合フィルタ122に入力される。
【0051】
(整合フィルタ122)
整合フィルタ122は、量子化器112により量子化された拡散符号と、量子化器120から出力された信号との自己相関値を算出する整合フィルタ処理を行い、算出した自己相関値をサンプル時刻演算部130に出力する。図9に、整合フィルタ122の構成を示す。量子化器120により量子化された信号も、量子化器112により量子化された拡散符号も、デジタル情報として扱っているため、整合フィルタ122はシフトレジスタを用いて簡易に構成することができる。なお、図9中のrは、第1の同期処理におけるチップレートに対する比率であり、第1の同期検出処理における分解能を表す。
【0052】
(サンプル時刻演算部130)
サンプル時刻演算部130は、整合フィルタ122から出力された自己相関関数の自己相関値と、時計108から出力される時刻情報とから、自己相関値がピークとなる時刻を検出し同期時刻とする。算出された同期時刻に基づきサンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻とを算出する。そして、算出したサンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻とを、サンプリング制御信号発生器140と同期時刻演算部160とに出力する。
【0053】
(サンプリング制御信号発生器140)
サンプリング制御信号発生器140は、サンプル時刻演算部130により算出されたサンプリング開始時刻及びサンプリング終了時刻と、時計108から送信された時刻情報とから、量子化器150により量子化を開始させる開始信号と量子化を終了させる終了信号とを発生させ、量子化器150に送信する。
【0054】
(量子化器150)
量子化器150は、トランシーバー回路32において復調された信号を、クロック生成器104において生成された第2サンプリング周波数の第2サンプリングクロック信号に基づきサンプリングして量子化を行う。具体的には、受信したチップレートfの信号を、第2サンプリング周波数cl104(=n・f)Hzで、第2のサンプリングし量子化を行う。受信した信号の量子化を行う同期検出範囲は、サンプリング制御信号発生器140から受信するサンプリング開始信号とサンプリング終了信号とに基づき画定される。量子化器150において量子化された信号は、メモリ又はレジスタ152に出力されて記憶される。
【0055】
(メモリ又はレジスタ152)
メモリ又はレジスタ152は、量子化器150により量子化された信号を記憶する。これは、第2の同期検出処理を行うための相関演算をリアルタイムで高速に行うことが困難な場合でも、メモリ又はレジスタ152に量子化された信号を記憶し、記憶した信号に対してオフラインによる相関演算を行うためである。この結果、第1の同期検出処理における量子化器120により量子化された信号をメモリに記憶することなくリアルタイムでの同期検出処理が可能な第1サンプリング周波数に対して高く設定された第2サンプリング周波数では、量子化器150により量子化された信号の情報量が大量となり、リアルタイムでの第2の同期検出処理が困難な場合でも、確実に精密な同期検出処理を行うことができる。
【0056】
(整合フィルタ154)
整合フィルタ154は、量子化器114により量子化された拡散符号と、量子化器150により量子化されメモリ又はレジスタ152に記憶された信号との自己相関値を算出する整合フィルタ処理を行い、算出した自己相関値を同期時刻演算部160に出力する。図10に、整合フィルタ154の構成を示す。量子化器150により量子化されメモリ又はレジスタ152に記憶された信号も、量子化器114により量子化された拡散符号も、デジタル情報として扱っているため、整合フィルタ122と同様、整合フィルタ154はシフトレジスタを用いて簡易に構成することができる。なお、図10中のrは、第2の同期検出処理におけるチップレートに対する比率であり、第2の同期処理の分解能を表す。さらに、rはrに比して、十分に大きな値に設定される。
【0057】
(同期時刻演算部160)
同期時刻演算部160は、整合フィルタ154から出力される自己相関関数の自己相関値から同期検出を行い、同期検出結果とサンプル時刻演算部130から出力されるサンプリング開始時刻とから、同期時刻を演算する。
【0058】
<測位サーバ40>
本実施形態の測位システムにおいては、少なくとも3つの基地局で算出された同期検出時刻と、各基地局の位置とに基づき、移動局20の測位を行う測位サーバ40を備える。また、本実施形態の測位システムは、少なくとも通信モードと測位モードとを備える。そして、システムのモードが通信モードから測位モードに切り替えられ、測位サーバ40から拡散符号発生器110に拡散符号発生制御信号を送信すると、拡散符号発生制御信号を受信した拡散符号発生器110は、拡散符号を発生させる。
【0059】
<<測位処理>>
本実施形態に係る測位システムにおいては、移動局20と基地局30との間の無線通信として、精密な測位を可能とし、かつ、高い通信品質と秘匿性とを確保するため、直接拡散スペクトラム拡散通信方式を用いる。そして、一定の周期で移動局から送信される拡散符号(PN符号)を受信した少なくとも3つの基地局の同期検出結果情報により、移動局20の測位を行う。そのため、基地局30では、受信したPN符号を高サンプリング周波数でサンプリングし量子化を行い、同期検出を行い、より精確な同期時刻を算出する必要がある。
【0060】
そこで、本実施形態の測位ステムの同期時刻検出処理は、拡散符号の性質を利用し、第1の同期検出処理と第2の同期検出処理とを行い、精確な同期時刻を算出するものである。より具体的には、第1の同期検出処理において、低サンプリング周波数による同期(粗同期)を行い、第2の同期検出処理を行うための同期検出範囲を画定するサンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻とを決定し、第2の同期検出処理のための量子化器150による量子化された信号と、サンプリング開始時刻などをメモリ又はレジスタ152に記憶する。そして、第2の同期検出処理において、メモリ又はレジスタ152に記憶されたサンプリング結果である信号に対して、同期(微同期)を行い、第2の同期検出処理に基づき、精確な同期時刻の算出を行うものである。
【0061】
なお、本実施形態の測位システムにおいては、測位サーバ40により設定されるシステムのモードが通信モードとは異なる測位モードである場合に、同期時刻検出を行う。なお、測位モードである場合は、サンプリングデータ量を減らすため、移動局20からベースバンド情報の送信は行わない。
【0062】
以下に、本実施形態に係る測位システムの測位処理について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0063】
(拡散符号発生制御信号の送信処理)
まず、本実施形態の測位システムでは、システムのモードが測位モードのときに、基地局30の拡散符号発生器110で発生させたPN符号を用いて、移動局20が信号として発信した拡散符号の同期を検出し、各基地局の時計による同期時刻を測定する。従って、測位サーバ40は、システムのモードを測位を行う測位モードに切り替え、基地局30の拡散符号発生器110に拡散符号発生制御信号を送信する(ステップS60)。
【0064】
(拡散符号発生処理)
拡散符号発生制御信号を受信した基地局30の拡散符号発生器110は、クロック生成器106により得られたクロック信号を用いてタイミングをとることにより、複数のシフトレジスタから構成された拡散符号発生器110内部のフリップフロップの値をシフトさせ、拡散符号を発生させる(ステップS40)。ここで、クロック生成器106により得られたクロック信号の周波数cl106は、チップレートfとの関係において、cl106=f(チップレート)より得られる値である。
【0065】
(第1の同期検出処理用PN符号の送信処理)
測位システムのモードが測位モードの間、移動局20は拡散符号としてのPN信号を、所定の周期で送信する(ステップS30)。送信タイミングに関して、PN符号(1周期分のPN符号)の終了タイミングを、移動局20内の時計22の時刻情報が毎P秒、例えば、P=1秒になるように設定される(図4)。
【0066】
なお、1周期分のPN符号を発生させるためには、移動局20の制御器24は、拡散符号発生開始時刻から拡散符号発生終了時刻まで、制御器24が拡散符号発生器26にクロック信号を送信する(図5)。また、所定の時刻に基づく1周期分のPN符号を発生させるためには、図6のフローチャートに従い、拡散符号発生開始時刻と拡散符号発生終了時刻とが設定される。
【0067】
(第1のサンプリング処理)
移動局20の拡散符号発生器26により発生させたPN符号は、トランシーバー回路28で変調された後、アンテナから送信される。基地局30では、受信した信号をトランシーバー回路32で復調し、同期時刻検出部34、より具体的には、第1の同期検出処理のための量子化器120と、第2の同期検出処理のための量子化器150とに送信される。
【0068】
量子化器120においては、まず、受信した信号を、第1サンプリング周波数cl(=cl102)Hzでサンプリングし量子化を行う第1のサンプリング処理を行う(ステップS42)。そして、量子化器120により量子化された信号を整合フィルタ122に送信する。ここで、第1サンプリング周波数cl102は、移動局20で発生させた拡散符号のチップレートfとの関係において、cl102=n・fの関係式が成立するように設定される。なお、nは整数であり、第1の同期検出処理において、自己相関関数の自己相関値を計算する相関演算がリアルタイムで演算可能となるように選択し決定する。
【0069】
(第1の同期検出処理)
第1のサンプリング処理(ステップS42)を実行した後、量子化器120により量子化された信号をメモリなどに記憶することなくリアルタイムで、量子化器120により量子化された信号と、量子化器112により量子化されたPN符号との自己相関値を、整合フィルタ122を用いて算出し、自己相関値がピークとなる時刻をサンプル時刻演算部130により計算する第1の同期検出処理を実行する(ステップS44)。なお、第1の同期検出分解能は、上述のとおり、第1のサンプリング処理において、第1サンプリング周波数cl102(=n・f)Hzでサンプリングし量子化を行っていることから、チップ時間(=1/f)のn分の1となる。
【0070】
(第2の同期検出処理用サンプリング時刻算出処理)
第1の同期検出処理(ステップS44)により計算された自己相関関数の自己相関値と、時計108から出力される時刻情報とから、自己相関値がピークとなる時刻を算出し、算出されたピークを形成する時刻に基づき、第2の同期検出処理のための同期検出範囲を画定するサンプリング開始時刻t2SSとサンプリング終了時刻t2Sfとを算出する(ステップS46)。なお、算出された第2の同期検出処理のための同期検出範囲を画定するサンプリング開始時刻t2SS及びサンプリング終了時刻t2Sfと、時刻情報とから、サンプリング制御信号発生器140は、量子化器150によりサンプリングし量子化を開始する開始信号と、終了させる終了信号とを量子化器150に送信する。
【0071】
サンプリング開始時刻t2SSとサンプリング終了時刻t2Sfとを算出する処理を、図12を用いて説明する。図12は、サンプリング開始時刻t2SSとサンプリング終了時刻t2Sfとを算出するフローチャートである。
【0072】
まず、サンプル時刻演算部130は、サンプリング開始時刻t2SSとサンプリング終了時刻t2Sfとを算出するため、整合フィルタ122から出力された自己相関値においてピークを検出した時刻を、第1の同期検出処理の同期時刻t1aと設定する(ステップS70)。次に、サンプリング開始時刻t2ss(=t1a−t2ssp+P−T)を算出する(ステップS72)。ここで、t2sspは第2の同期前側予備時間、PはPN符号発生間隔、Tは符号周期を表す。さらに、サンプリング終了時刻t2sf(=t1a+t2sfp+P)を算出する(ステップS74)。ここで、t2sfpは第2の同期後側予備時間を表す。
【0073】
なお、サンプリング開始時刻t2ssとサンプリング終了時刻t2sfとにより画定される同期検出範囲に対して、第2の同期前側予備時間t2sspと第2の同期後側予備時間t2sfpとを付加した新たな同期検出範囲と設定し、設定された同期検出範囲においてサンプリングすることにより、移動局から信号として送信される拡散符号を確実に含む第2サンプリング結果を確実に取得できる。従って、精密な同期時刻検出、測位を行うことができる。2つの予備時間は、移動局、基地局に備えられた時計各々の速度の違いにより生じる時計誤差である時計ピッチ誤差、すなわち、移動局及び基地局の1局が備える時計が単位時間経過したときに、他の局が単位時間とは異なる経過時間を示すことにより生じる時計ピッチ誤差や、第1検出手段と第2検出手段のサンプリング周波数の相違に基づく量子化誤差などを考慮して決定する。
【0074】
従って、同期検出範囲をより限定して精確に決定することができることから、精密な同期時刻検出、測位を行うために、移動局から信号として送信される拡散符号を確実に含むサンプリング結果を確実に取得できるとともに、基地局における同期時刻検出をより少ない消費電力で行うことができ、省電力で測位可能な測位システムを実現できる。
【0075】
(第2の同期検出処理用PN符号の送信処理)
移動局20は、拡散符号としてのPN信号を所定の周期で送信することから、第1の同期検出処理用PN符号を送信した後、第2の同期検出処理用PN符号を送信する(ステップS32)。本実施形態においては、PN符号(1周期分のPN符号)の終了タイミングが、移動局20内の時計22の時刻情報が毎P秒に設定されている(図4)。
【0076】
(第2のサンプリング処理)
移動局20から送信された信号を受信した基地局30では、受信した信号をトランシーバー回路32で復調し、第1の同期検出処理のための量子化器120と、第2の同期検出処理のための量子化器150とに送信される。
【0077】
量子化器150においては、まず、第1の同期検出処理(ステップS44)の結果に基づき算出された第2の同期検出処理のための同期検出範囲、すなわち、サンプリング開始時刻t2SSとサンプリング終了時刻t2Sfとの間、受信した信号を、第2サンプリング周波数cl(=cl104)Hzでサンプリングし量子化を行う第2のサンプリング処理を行う(ステップS48)。そして、量子化器150により量子化された信号を整合フィルタ154に送信する。ここで、第2サンプリング周波数cl104は、移動局20で発生させた拡散符号のチップレートfとの関係において、cl104=n・fの関係式が成立するように設定される。なお、nはnよりも十分大きな整数である。従って、第2サンプリング周波数cl104は第1サンプリング周波数cl102よりも十分高い周波数となり、第2の同期検出処理は、第1の同期検出処理と比較して、より精確な同期検出処理を可能とするものである。
【0078】
また、第1サンプリングクロック信号と第2サンプリングクロック信号とは、共通のクロックを用いるため、第1のサンプリング処理及び同期検出処理と、第2のサンプリング処理及び同期検出処理との間に、同期ずれは発生しない。
【0079】
(量子化された受信信号の記憶処理)
量子化器150により量子化された信号は、第1の同期検出処理(ステップS44)のために量子器120により量子化された信号と比較して大量の情報量を有することから、高速な相関演算を要する同期検出処理をリアルタイムで行うことは困難である。そのため、量子化器150により量子化された信号をメモリ又はレジスタ152に記憶する(ステップS50)。
【0080】
(第2の同期検出処理)
量子化器150により量子化された後にメモリ又はレジスタ152に記憶された信号と、量子化器114により量子化されたPN符号との自己相関値を、整合フィルタ154を用いて算出し、自己相関値がピークとなる時刻を同期時刻演算部160により計算する第2の同期検出処理を実行する(ステップS52)。なお、第2の同期検出分解能は、上述のとおり、第2のサンプリング処理において、第2サンプリング周波数cl104(=n・f)Hzでサンプリングし量子化を行っていることから、チップ時間(=1/f)のn分の1となる。
【0081】
(同期時刻算出処理)
同期時刻演算部160は、整合フィルタ154から出力される自己相関関数の自己相関値と、サンプル時刻演算部130から出力されるサンプリング開始時刻t2SSとから、各基地局での同期時刻を算出する同期時刻算出処理を実行する(ステップS54)。具体的には、サンプリング開始時刻t2SSと、サンプリング開始時刻t2SSから自己相関関数の自己相関値がピーク値を示すまでの時間を検出し、第2の同期検出時刻を算出する。
【0082】
ここで、図13を用いて、サンプリング開始時刻t2ssからサンプリング終了時刻t2sfまでの第2の同期検出処理のための同期検出範囲において、量子化器150により量子化された受信信号と、拡散符号発生器110で発生させ量子化器114により量子化されたbpnbitのPN符号(レプリカ)とから、第2の同期検出時刻を算出する方法を説明する。サンプリング開始時刻t2ssからサンプリング終了時刻t2sfまでの同期検出範囲の期間、量子化器150により量子化された受信信号は、1符号周期Tの拡散符号(PN符号)を含むことから、量子化された受信信号における自己相関関数の自己相関値の極大値を計測することができる。従って、第2の同期検出処理のサンプリング開始時刻t2ssと、第2の同期検出のためにサンプリングされた受信信号における自己相関値が極大値となるbit番号より同期時刻t2aを算出することができる。
【0083】
具体的には、PN符号(レプリカ)がbpnbitであり、整合フィルタ154により、サンプリング開始時刻t2ssから第2の同期検出処理のために量子化器150により量子化された受信信号をPN符号(レプリカ)に対して1bitごとシフトさせて自己相関関数の自己相関値を算出して、自己相関値が極大値となるbit数b2aを計測する。従って、同期検出時刻t2a(=t2ss+(bpn+b2a)/cl104)を算出することができる。ここで、cl104は、クロック生成器104において、クロック発生器100から送信されたクロック信号に基づき、第2の同期検出処理に用いられる第2サンプリングクロック信号の第2サンプリング周波数である。
【0084】
(測位処理)
同期時刻算出処理(ステップS54)において算出された同期時刻は、基地局番号とともに測位サーバ40に送信される。そして、少なくとも3つの基地局に対して算出された移動局20が送信した拡散符号の同期検出時刻を基にして、移動局20の測位を行う(ステップS62)。
【0085】
具体的には、測位システムは、以下の3つの連立方程式を解くことによって、移動局20の座標(x、y)を算出するものであり、この座標(x、y)を未知数とする。
(x−x1)+(y−y1)=(d1+s) (数1)
(x−x2)+(y−y2)=(d2+s) (数2)
(x−x3)+(y−y3)=(d3+s) (数3)
ここで、基地局30Aの座標を(x1、y1)、基地局30Bの座標を(x2、y2)、基地局30Cの座標を(x3、y3)とする。基地局30Aと基地局30Bと基地局30Cとを、予め位置が解っている位置に位置づけることで、これらの座標を既知の定数とすることができる。さらに、移動局20と基地局30Aとの間の距離をd1、移動局20と基地局30Bとの間の距離をd2、移動局20と基地局30Cとの間の距離をd3と表されたこれらの距離も既知の定数とすることができる。移動局20と基地局30の時計誤差をsとする。測位システムでは、移動局20から送信された信号の基地局30における同期時刻の基地局間における差分より移動局20の位置を算出することができる。具体的には、(数1)、(数2)、(数3)より以下の数式を得る。
[(x−x1)+(y−y1)(1/2)−[(x−x2)+(y−y2)(1/2)=(d1+s)−(d2+s) (数4)
[(x−x1)+(y−y1)(1/2)−[(x−x3)+(y−y3)(1/2)=(d1+s)−(d3+s) (数5)
【0086】
また、基地局30A、30Bそして30Cの同期時刻をT2a30A、T2a30B、T2a30Cとし、光速をcとすると、以下の関係が成立する。
(d1+s)−(d2+s)=(T2a30A−T2a30B)×c (数6)
(d1+s)−(d3+s)=(T2a30A−T2a30C)×c (数7)
(数6)及び(数7)により、(数4)及び(数5)は以下となる。
[(x−x1)+(y−y1)(1/2)−[(x−x2)+(y−y2)(1/2)=(T2a30A−T2a30B)×c (数8)
[(x−x1)+(y−y1)(1/2)−[(x−x3)+(y−y3)(1/2)=(T2a30A−T2a30C)×c (数9)
(数8)及び(数9)により未知数x,yを算出することができる。
【0087】
<測位システムによる同期時刻検出処理の流れ>
以下に、具体例として、移動局20から送信されるPN符号の符号周期Tを1m秒、PN符号発生終了タイミングの間隔Pを1秒に設定した場合における同期時刻検出処理の流れについて、図14を用いて説明する。
【0088】
(第1の同期検出処理用PN符号の送信処理)
まず、移動局20から送信されるPN符号は、符号周期Tが1m秒、PN符号発生終了タイミングの間隔Pが1秒に設定されていることから、PN信号の発生開始時刻は移動局時刻で02分02.999秒、発生終了時刻は移動局時刻で02分03.000秒とすると、次のPN符号の発生開始時刻は02分03.999秒、PN信号の発生終了時刻は02分04.000秒となる。このように、一定の周期で、移動局20は拡散符号であるPN符号を送信する。
【0089】
(第1の同期検出処理)
そして、基地局30で受信され、トランシーバー回路32で復調された受信信号を、例えば、10MHzの第1サンプリング周波数cl102で量子化器120によりサンプリングし量子化された信号に対して、第1の同期検出処理を行った結果、02分03.000003421秒に自己相関関数の自己相関値のピーク値を測定した場合、同期時刻t1aは02分03.000003421秒と測定できる。
【0090】
(第2の同期検出処理用サンプリング時刻算出処理)
そして、図12のフローチャートに従い、第2の同期検出処理用の同期検出範囲を画定するサンプリング開始時刻t2SSとサンプリング終了時刻t2Sfとを算出する。ここで、本実施形態においては、第二の同期前側予備時間T2SSpは0.1m秒、第二の同期後側予備時間T2Sfpは0.1m秒とする。この結果、サンプリング開始時刻t2SSは02分03.998903421秒と、サンプリング終了時刻t2Sfは02分04.000103421秒と、サンプリング期間は1.2m秒と算出することができる。
【0091】
(第2の同期検出処理)
そして、1周期後に移動局20から送信された信号を基地局30が受信した後、トランシーバー回路32で復調された受信信号を、例えば、511.5MHzの第2サンプリング周波数cl104で量子化器150によりサンプリングし量子化された信号をメモリ又はレジスタ152に記憶する。従って、メモリ又はレジスタ152には、613.8*10^3bit(=(1.2*10^(−3))*511.5*10^6)のデータが記憶される。
【0092】
量子化器150により量子化されメモリ又はレジスタ152に記憶された信号と、量子化器114により量子化されたPN符号(レプリカ)との自己相関関数の自己相関値を整合フィルタ154を用いて算出し、第2の同期検出処理を行う。この結果、第2の同期検出処理の同期検出結果に基づき、同期時刻を測定することができる。
【0093】
ここで、PN符号の符号周期T(=1m秒)から、量子化器114において511.5MHzで量子化されたPN符号は、511.5*10^3bit(=(1.0*10^(−3))*511.5*10^6)のデータとなる。サンプリング開始時刻t2SSと、量子化されたPN符号を1bitずつシフトして、自己相関関数の自己相関値を算出し、自己相関値のピークを検出するbit数を計測した結果、562606(=51106+511.5*10^3)bitで自己相関値のピークを算出した。
【0094】
(同期時刻算出処理)
562606bitは1.099914*10^(−3)秒(=562606/(511.5*10^6))に相当することから、同期時刻は02分04.000003335秒(02分03.998903421秒+1.099914*10^(−3)秒)と算出することができる。
【0095】
(測位処理)
この結果、各基地局の同期時刻により基地局間の同期時刻の差が算出され、移動局の測位を行うことができる。
【0096】
<<変形例>>
上記実施形態においては、同期時刻検出部34において行われる同期検出処理の基準となるクロック信号を発生するクロック発生器100は、発生したクロック信号をクロック生成器102、104、106に送信する。従って、クロック生成器102により生成される第1の同期検出処理に用いられる第1サンプリング周波数の第1サンプリングクロック信号と、クロック生成器104により生成される第2の同期検出処理に用いられる第2サンプリング周波数の第2サンプリングクロック信号とが、共通のクロック信号に基づき生成されることから、第1の同期検出処理と第2の同期検出処理において同期ずれが発生しない。
【0097】
しかし、それぞれ独立したクロック発生器(図示せず)により発生したクロック信号に基づき第1及び第2の同期検出処理用のサンプリングクロック信号などを生成することも可能である。上記実施形態の変形例として、図15に示す。なお、図8の構成例と同じ構成要素については、同じ符号を付している。
【0098】
<<PN符号>>
移動局20は、拡散符号発生器26によりPN符号を発生し、トランシーバー回路28に送信する。移動局30が送信するPN符号は異なる複数の連続したPN符号からなり、基地局30は前記複数のPN符号に対応したマッチドフィルタを備える。基地局は複数の連続したPN符号を受信するために、複数存在するPN符号の一つのPN符号にビットエラーが発生した場合でも、複数存在するPN符号のいずれかはエラービットが発生していないPN符号である可能性が高い。そのため電波状況が悪い場合に、受信した信号中に連続して複数のビットエラーが発生する不具合(バーストエラー)時においても、基地局30は移動局20の信号を正しく受信することができる。図16に複数の連続したPN符号により構成された符号を示す。図16の符号は、符号長が等しい4つのPN符号、具体的には、PN符号A、PN符号B、PN符号CそしてPN符号Dにより構成されている。これら4つのPN符号は移動局20より連続して送信される。
【0099】
以上のように、本実施形態の測位システムによれば、第1の同期検出処理を行い同期検出結果情報に基づいて第2の同期検出処理のために同期検出範囲を決定するサンプル時刻演算部130と、第1の同期検出処理の後に、移動局20から受信した信号を同期検出範囲においてサンプリングし、拡散符号(レプリカ)との同期を第2の同期検出処理として検出する同期時刻演算部160とを有することから、移動局20の精密な測位を行うために、第1の同期検出処理の同期検出結果情報に基づいて第2の同期検出処理のために決定された同期検出範囲のみ、サンプリングすることが可能となる。従って、サンプリングする期間を所望の期間に限定することができる。
【0100】
この結果、第2検出のためのサンプリングのみを、高サンプリング周波数でサンプリング処理を行い、さらに、第1の同期検出処理の同期検出結果情報に基づいて、より的確に第2の同期検出処理を行い精確な同期検出結果情報を得ることができるため、測位サーバ40により精密な測位を行うことができる。特に、受信信号に対して、第2の同期検出処理のための同期検出範囲のみを高サンプリング周波数でサンプリングし量子化することから、常に、高サンプリング周波数でサンプリングを行うことを要しないため、基地局20における同期時刻検出を少ない消費電力で行うことができ、省電力で測位可能な測位システムを実現できる。
【0101】
更に、本発明に係る測位システムは、上述の実施形態には限られず、その他様々な実施形態が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明に係る同期時刻検出システムが用いられる測位システムの概略構成図である。
【図2】本発明に係る同期時刻検出システムの移動局20の概略構成図である。
【図3】本実施形態の拡散符号発生器26の回路の一例である。
【図4】PN符号の符号周期Tを1m秒、PN符号発生間隔Pを1秒に設定した場合の、拡散符号発生開始時刻と拡散符号発生終了時刻とを表した具体例である。
【図5】拡散符号発生開始時刻から拡散符号発生終了時刻まで、制御器24が拡散符号発生器26にクロック信号を送信する処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】制御器24において実行される拡散符号発生開始時刻と拡散符号発生終了時刻との設定処理について説明するフローチャートである。
【図7】移動局20に対する同期時刻検出を行う基地局30の概略構成図である。
【図8】同期時刻検出部34の構成図である。
【図9】整合フィルタ122の構成図である。
【図10】整合フィルタ154の構成図である。
【図11】本実施形態に係る測位システムの測位処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】サンプル時刻演算部130におけるサンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻とを算出するフローチャートである。
【図13】第2の同期検出処理における同期時刻算出方法を説明するための図である。
【図14】同期時刻検出処理の流れを説明するための図である。
【図15】変形例である同期時刻検出部34の構成図である。
【図16】複数の連続したPN符号により構成された符号である。
【符号の説明】
【0103】
10 測位システム
20 移動局
22 時計
24 制御器
26 拡散符号発生器
20 トランシーバー回路
30、30A、30B、30C、30D 基地局
32 トランシーバー回路
34 同期時刻検出部
40 測位サーバ
100 クロック発生器
102、104、106 クロック生成器
108 時計
110 拡散符号発生器
112、114 量子化器
120 量子化器
122 整合フィルタ
130 サンプル時刻演算部
140 サンプリング制御信号発生器
150 量子化器
152 メモリ
154 整合フィルタ
160 同期時刻演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局から送信される信号を受信する基地局と、前記基地局とネットワークにより連結された測位演算部とを含む測位システムであって、
前記移動局は、
前記移動局自身が生成した拡散符号を所定の周期により前記信号として送信する信号送信手段を有し、
前記基地局は、
前記移動局からの信号を受信し、前記信号をサンプリングするサンプリング手段と、
前記サンプリング手段によりサンプリングされた第1サンプリング結果から、拡散符号の同期を第1検出として検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段の同期検出結果情報に基づいて第2検出のために同期検出範囲を決定する決定手段と、
前記第1検出の後に、前記移動局から受信した信号を前記同期検出範囲においてサンプリングした第2サンプリング結果から、拡散符号の同期を前記第2検出として検出する第2検出手段とを有し、
前記測位演算部は、
少なくとも3つの前記基地局による第2検出手段で得られた同期検出結果情報に基づいて測位を行なう測位演算手段を有し、
前記第2検出のためのサンプリング周波数は、前記第1検出のためのサンプリング周波数より高くすることを特徴とする測位システム。
【請求項2】
前記決定手段は、前記同期検出結果情報に基づいて得られたサンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻との少なくとも一方に付加時間を付加して、新たなサンプリング開始時刻とサンプリング終了時刻とした同期検出範囲を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載した測位システム。
【請求項3】
前記付加時間は、時計ピッチ誤差及び前記第1検出手段と前記第2検出手段のサンプリング周波数に基づき決定される、
ことを特徴とした請求項2に記載した測位システム。
【請求項4】
直接拡散スペクトラム拡散通信方式又は超広帯域無線通信方式により、前記移動局と前記基地局との間の無線通信を行う、
ことを特徴とする請求項1〜3の一項に記載の測位システム。
【請求項5】
前記移動局は、前記拡散符号として異なる複数の連続したPN符号を送信し、
前記第1検出手段及び前記第2検出手段は、前記PN符号のそれぞれに対応したマッチドフィルタを備える、
ことを特徴とする請求項1〜4の一項に記載の測位システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−14691(P2009−14691A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180196(P2007−180196)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】