説明

スルホニウム塩,光酸発生剤,硬化性組成物及びポジ型フォトレジスト組成物

【課題】i線に光感応性が高く重合性化合物への相溶性と配合後の貯蔵安定性に優れたスルホニウム塩を含む酸発生剤の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で示されるスルホニウム塩。


〔式(1)中,R〜Rは,互いに独立して,アルキル基,等を表し,Ra,Rb及びRcは互いに独立して,置換されていてもよいフェニル基または置換されていてもよいアルキル基を表し,m〜m,はそれぞれR〜Rの個数を表し,m,m及びmは0〜4の整数,mは0〜5の整数を表す。Xは一価の多原子アニオンを表す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,第1にスルホニウム塩に関し,第2に,光酸発生剤に,より詳しくは,光,電子線又はX線等の活性エネルギー線を作用させてカチオン重合性化合物を硬化する際に好適な特定のスルホニウム塩を含有する光酸発生剤に関する。本発明は,第3に,当該光酸発生剤を含有する硬化性組成物及びこれを硬化させて得られる硬化体に関する。本発明は,第4に,当該光酸発生剤を含有する化学増幅型のポジ型フォトレジスト組成物,及びこれを用いたレジストパターンの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在,精密微細加工技術の主流となっているフォトファブリケーションとは,感光性樹脂組成物を被加工物表面に塗布して塗膜を形成し,フォトリソグラフィー技術によって塗膜をパターニングし,これをマスクとして化学エッチング,電解エッチング,及び/又は電気メッキを主体とするエレクトロフォーミングを行って,半導体パッケージなどの各種精密部品を製造する技術の総称である。
【0003】
従来,光,電子線又はX線等の活性エネルギー線を作用させてエポキシ化合物等のカチオン重合性化合物を硬化する際に使用する光酸発生剤として,トリアリールスルホニウム塩(特許文献1),ナフタレン骨格を有するフェナシルスルホニウム塩(特許文献2),ジアルキルベンジルスルホニウム塩(特許文献3)及びチオキサントン骨格を導入したスルホニウム塩(特許文献4)が知られている。
【0004】
フォトレジストを用いるフォトリソグラフィー工程において,露光光として波長365nmのi線が現在広く用いられている。その理由に,照射光源として,廉価でありながら良好な発光強度を示す中圧・高圧水銀灯が利用できることがあり,また,i線領域(360nm〜390nm)に発光波長があるLEDランプが近年普及しつつあることも挙げられる。したがって,i線に対し高い感応性を示す光酸発生剤の必要性は,今後更に高まって行くと考えられる。
【0005】
しかしながら,既存の光酸発生剤のうち,トリアリールスルホニウム塩(特許文献1),ナフタレン骨格を有するフェナシルスルホニウム塩(特許文献2)及びジアルキルベンジルスルホニウム塩(特許文献3)は,i線に対する感応性が低いため,感応性を高めるには増感剤の併用が必要となる。また,チオキサントン骨格を導入したスルホニウム塩(特許文献4)は,i線に対し吸収率が大きすぎ,そのため,厚膜硬化時に深部まで光が通らずに硬化不良が生じる,という問題がある。
【0006】
更に,近年,電子機器類の一層の小型化に伴い,半導体パッケージの高密度実装が進み,パッケージの多ピン薄膜実装化や小型化,フリップチップ方式による2次元及び3次元実装技術に基づいた実装密度の向上が図られている。このような高密度実装技術の接続端子として,例えば,パッケージ上に突出したバンプ等の突起電極(実装端子)や,ウエーハ上のペリフェラル端子から延びる再配線と実装端子とを接続するメタルポストなどが基板上に高精度に配置される。
【0007】
そのような高精度のフォトファブリケーションに使用される材料として,ナフトキノンジアジド基含有化合物を有するポジ型感光性樹脂組成物(特許文献5参照)がある。しかしながら,この材料には,フォトリソグラフィー工程において一般的に用いられる露光光源であるi線(365nm)に対する感度が低いという問題がある。
【0008】
上記問題点を改良した感光性樹脂組成物としてオキシムスルホナート化合物を酸発生剤として使用した化学増幅型ポジ型レジスト組成物(特許文献6参照)が提案されている。これは放射線照射(露光)により,光酸発生剤から酸が発生し,露光後の加熱処理により酸の拡散と酸触媒反応が促進されて,樹脂組成物中のベース樹脂のアルカリに対する溶解性を変化させるもので,露光前にアルカリ不溶であったベース樹脂がアルカリ可溶化するもので,ポジ型フォトレジストと呼ばれる。しかしながら,このレジスト組成物は貯蔵安定性が悪いためレジスト組成物の貯蔵温度管理が煩雑で実用上問題がある。
【0009】
また,トリアリールスルホニウム塩化合物を光酸発生剤として使用した化学増幅型ポジ型レジスト組成物も知られているが(非特許文献1,2,特許文献7,8),貯蔵安定性は良好なもののi線に対する感度が充分とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭50−151997号公報
【特許文献2】特開平9−118663号公報
【特許文献3】特開平2−178303号公報
【特許文献4】特開平8−165290号公報
【特許文献5】特開2002−258479号公報
【特許文献6】特開2000−66385号公報
【特許文献7】特開2003−231673号公報
【特許文献8】特開2002−193925号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】M.J. O’Brien, J.V. Crivello, SPIE Vol. 920, Advances in Resist Technologyand Processing, p42 (1988).
【非特許文献2】H.ITO, SPIE Vol.920, Advances in Resist Technology and Processing,p33,(1988).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の背景において,本発明の第1の目的は,i線に高い光感応性を有する新たなスルホニウム塩を提供することである。
本発明の第2の目的は,i線に高い光感応性を有し,かつエポキシ化合物等のカチオン重合性化合物への相溶性が高く,エポキシ化合物等のカチオン重合性化合物との配合物において貯蔵安定性の優れた,スルホニウム塩を含んでなる新たな酸発生剤を提供することである。
本発明の第3の目的は,上記酸発生剤を利用したネガ型レジスト組成物等のエネルギー線硬化性組成物及び硬化体を提供することである。
本発明の第4の目的は,貯蔵安定性が良好で,かつi線に対して高感度なレジストを得ることが可能な,化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物及びレジストパターンの作製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は,下記の式(1)で示されるスルホニウム塩を合成し,それが上記の各目的に好適であることを見出した。
すなわち,本発明は,式(1)で示されるスルホニウム塩を提供する。
【0014】
【化1】

【0015】
〔式(1)中,R〜Rは,互いに独立して,アルキル基,ヒドロキシル基,アルコキシ基,アルキルカルボニル基,アリールカルボニル基,アルコキシカルボニル基,アリールオキシカルボニル基,アリールチオカルボニル基,アシロキシ基,アリールチオ基,アルキルチオ基,アリール基,複素環式炭化水素基,アリールオキシ基,アルキルスルフィニル基,アリールスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アリールスルホニル基,ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基,置換されていてよいアミノ基,シアノ基,ニトロ基又はハロゲン原子を表し,Ra,Rb及びRcは互いに独立して,置換されていてもよいフェニル基または置換されていていてもよいアルキル基を表し,m〜m,はそれぞれR〜Rの個数を表し,m,m及びmは0〜4の整数,mは0〜5の整数を表す。Xは一価の多原子アニオンを表す。〕
【0016】
また本発明は,上記のスルホニウム塩を含有することを特徴とする光酸発生剤である。
【0017】
また本発明は,上記光酸発生剤とカチオン重合性化合物とを含有することを特徴とするエネルギー線硬化性組成物である。
【0018】
更に本発明は,上記エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られることを特徴とする硬化体である。
【0019】
更に本発明は,上記光酸発生剤と,酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂である成分(B)とを含有することを特徴とする,化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物である。
【0020】
更に本発明は,上記のいずれかの化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物からなる膜厚5〜150μmのフォトレジスト層を積層してフォトレジスト積層体を得る積層工程と,該フォトレジスト積層体に部位選択的に光又は放射線を照射する露光工程と,該露光工程後にフォトレジスト積層体を現像してレジストパターンを得る現像工程と,を含むことを特徴とするレジストパターンの作製方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明のスルホニウム塩は,可視光,紫外線,電子線及びX線等の活性エネルギー線に対する光感応性に優れ,エポキシ化合物等のカチオン重合性化合物への相溶性が高く,エポキシ化合物等のカチオン重合性化合物との配合物において貯蔵安定性が優れる。
本発明の光酸発生剤は,カチオン重合性化合物の硬化に用いるとき,紫外光,特にi線の作用による硬化性に優れており,増感剤を用いなくても,カチオン重合性化合物を硬化させることができる。本発明の光酸発生剤はまた,厚膜硬化性にも優れている。
本発明のエネルギー線硬化性組成物は,上記の光酸発生剤を含有するため,紫外光で硬化させることができる。また,本発明のエネルギー線硬化性組成物は,貯蔵安定性が高く,増感剤を用いる必要がないことから,コスト及び作業性に優れる。
本発明の硬化体は,増感剤を用いずに得ることができるため,増感剤の残存に起因する着色や劣化という問題がない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下,本発明の実施形態について詳細に説明する。なお,本明細書において,「アルキル基」の語は,シクロアルキル基を包含する。
【0023】
式(1)において,R〜Rのうち,アルキル基としては,炭素数1〜18の直鎖アルキル基(メチル,エチル,n−プロピル,n−ブチル,n−ペンチル,n−オクチル,n−デシル,n−ドデシル,n−テトラデシル,n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等),炭素数3〜18の分枝鎖アルキル基(イソプロピル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,イソペンチル,ネオペンチル,tert−ペンチル,イソヘキシル及びイソオクタデシル),及び炭素数3〜18のシクロアルキル基(シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル及び4−デシルシクロヘキシル等)等が挙げられる。
【0024】
式(1)において,R〜Rのうち,アルコキシ基としては,炭素数1〜18の直鎖アルコキシ基,又は炭素数3〜18の分枝鎖アルコキシ基(メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポキシ,ブトキシ,イソブトキシ,sec−ブトキシ,tert−ブトキシ,ヘキシルオキシ,デシルオキシ,ドデシルオキシ及びオクタデシルオキシ等)等が挙げられる。
【0025】
式(1)において,R〜Rのうち,アルキルカルボニル基としては,炭素数2〜18の直鎖アルキルカルボニル基又は炭素数4〜18の分枝鎖アルキルカルボニル基(アセチル,プロピオニル,ブタノイル,2−メチルプロピオニル,ヘプタノイル,2−メチルブタノイル,3−メチルブタノイル,オクタノイル,デカノイル,ドデカノイル及びオクタデカノイル等)等が挙げられる。
【0026】
式(1)において,R〜Rのうち,アリールカルボニル基としては,炭素数7〜11のアリールカルボニル基(ベンゾイル及びナフトイル等)等が挙げられる。
【0027】
式(1)において,R〜Rのうち,アルコキシカルボニル基としては,炭素数2〜19の直鎖アルコキシカルボニル基又は炭素数4〜19分枝鎖アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル,エトキシカルボニル,プロポキシカルボニル,イソプロポキシカルボニル,ブトキシカルボニル,イソブトキシカルボニル,sec−ブトキシカルボニル,tert−ブトキシカルボニル,オクチロキシカルボニル,テトラデシルオキシカルボニル及びオクタデシロキシカルボニル等)等が挙げられる。
【0028】
式(1)において,R〜Rのうち,アリールオキシカルボニル基としては,炭素数7〜11のアリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル及びナフトキシカルボニル等)等が挙げられる。
【0029】
式(1)において,R〜Rのうち,アリールチオカルボニル基としては,炭素数7〜11のアリールチオカルボニル基(フェニルチオカルボニル及びナフトキシチオカルボニル等)等が挙げられる。
【0030】
式(1)において,R〜Rのうち,アシロキシ基としては,炭素数2〜19の直鎖アシロキシ基又は炭素数4〜19の分枝鎖アシロキシ基(アセトキシ,エチルカルボニルオキシ,プロピルカルボニルオキシ,イソプロピルカルボニルオキシ,ブチルカルボニルオキシ,イソブチルカルボニルオキシ,sec−ブチルカルボニルオキシ,tert−ブチルカルボニルオキシ,オクチルカルボニルオキシ,テトラデシルカルボニルオキシ及びオクタデシルカルボニルオキシ等)等が挙げられる。
【0031】
式(1)において,R〜Rのうち,アリールチオ基としては,炭素数6〜20のアリールチオ基(フェニルチオ,2−メチルフェニルチオ,3−メチルフェニルチオ,4−メチルフェニルチオ,2−クロロフェニルチオ,3−クロロフェニルチオ,4−クロロフェニルチオ,2−ブロモフェニルチオ,3−ブロモフェニルチオ,4−ブロモフェニルチオ,2−フルオロフェニルチオ,3−フルオロフェニルチオ,4−フルオロフェニルチオ,2−ヒドロキシフェニルチオ,4−ヒドロキシフェニルチオ,2−メトキシフェニルチオ,4−メトキシフェニルチオ,1−ナフチルチオ,2−ナフチルチオ,4−[4−(フェニルチオ)ベンゾイル]フェニルチオ,4−[4−(フェニルチオ)フェノキシ]フェニルチオ,4−[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルチオ,4−(フェニルチオ)フェニルチオ,4−ベンゾイルフェニルチオ,4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ,4−ベンゾイル−3−クロロフェニルチオ,4−ベンゾイル−3−メチルチオフェニルチオ,4−ベンゾイル−2−メチルチオフェニルチオ,4−(4−メチルチオベンゾイル)フェニルチオ,4−(2−メチルチオベンゾイル)フェニルチオ,4−(p−メチルベンゾイル)フェニルチオ,4−(p−エチルベンゾイル)フェニルチオ4−(p−イソプロピルベンゾイル)フェニルチオ及び4−(p−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ等)等が挙げられる。
【0032】
式(1)において,R〜Rのうち,アルキルチオ基としては,炭素数1〜18の直鎖アルキルチオ基又は炭素数3〜18の分枝鎖アルキルチオ基(メチルチオ,エチルチオ,プロピルチオ,イソプロピルチオ,ブチルチオ,イソブチルチオ,sec−ブチルチオ,tert−ブチルチオ,ペンチルチオ,イソペンチルチオ,ネオペンチルチオ,tert−ペンチルチオ,オクチルチオ,デシルチオ,ドデシルチオ及びイソオクタデシルチオ等)等が挙げられる。
【0033】
式(1)において,R〜Rのうち,アリール基としては,炭素数6〜10のアリール基(フェニル,トリル,ジメチルフェニル及びナフチル等)等が挙げられる。
【0034】
式(1)において,R〜Rのうち,複素環式炭化水素基としては,炭素数4〜20の複素環式炭化水素基(チエニル,フラニル,ピラニル,ピロリル,オキサゾリル,チアゾリル,ピリジル,ピリミジル,ピラジニル,インドリル,ベンゾフラニル,ベンゾチエニル,キノリル,イソキノリル,キノキサリニル,キナゾリニル,カルバゾリル,アクリジニル,フェノチアジニル,フェナジニル,キサンテニル,チアントレニル,フェノキサジニル,フェノキサチイニル,クロマニル,イソクロマニル,ジベンゾチエニル,キサントニル,チオキサントニル及びジベンゾフラニル等)等が挙げられる。
【0035】
式(1)において,R〜Rのうち,アリールオキシ基としては,炭素数6〜10のアリールオキシ基(フェノキシ及びナフチルオキシ等)等が挙げられる。
【0036】
式(1)において,R〜Rのうち,アルキルスルフィニル基としては,炭素数1〜18の直鎖アルキルスルフィニル基又は炭素数3〜18の分枝鎖スルフィニル基(メチルスルフィニル,エチルスルフィニル,プロピルスルフィニル,イソプロピルスルフィニル,ブチルスルフィニル,イソブチルスルフィニル,sec−ブチルスルフィニル,tert−ブチルスルフィニル,ペンチルスルフィニル,イソペンチルスルフィニル,ネオペンチルスルフィニル,tert−ペンチルスルフィニル,オクチルスルフィニル及びイソオクタデシルスルフィニル等)等が挙げられる。
【0037】
式(1)において,R〜Rのうち,アリールスルフィニル基としては,炭素数6〜10のアリールスルフィニル基(フェニルスルフィニル,トリルスルフィニル及びナフチルスルフィニル等)等が挙げられる。
【0038】
式(1)において,R〜Rのうち,アルキルスルホニル基としては,炭素数1〜18の直鎖アルキルスルホニル基又は炭素数3〜18の分枝鎖アルキルスルホニル基(メチルスルホニル,エチルスルホニル,プロピルスルホニル,イソプロピルスルホニル,ブチルスルホニル,イソブチルスルホニル,sec−ブチルスルホニル,tert−ブチルスルホニル,ペンチルスルホニル,イソペンチルスルホニル,ネオペンチルスルホニル,tert−ペンチルスルホニル,オクチルスルホニル及びオクタデシルスルホニル等)等が挙げられる。
【0039】
式(1)において,R〜Rのうち,アリールスルホニル基としては,炭素数6〜10のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル,トリルスルホニル(トシル基)及びナフチルスルホニル等)等が挙げられる。
【0040】
式(1)において,R〜Rのうち,ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基としては,式(2)で表されるヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基等が挙げられる。
HO(−AO)q− (2)
〔AOはエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基,qは1〜5の整数を表す。〕
【0041】
式(1)において,R〜Rのうち,置換されていてよいアミノ基としては,アミノ基(−NH)及び炭素数1〜15の置換アミノ基(メチルアミノ,ジメチルアミノ,エチルアミノ,メチルエチルアミノ,ジエチルアミノ,n−プロピルアミノ,メチル−n−プロピルアミノ,エチル−n−プロピルアミノ,n−プロピルアミノ,イソプロピルアミノ,イソプロピルメチルアミノ,イソプロピルエチルアミノ,ジイソプロピルアミノ,フェニルアミノ,ジフェニルアミノ,メチルフェニルアミノ,エチルフェニルアミノ,n−プロピルフェニルアミノ及びイソプロピルフェニルアミノ等)等が挙げられる。
【0042】
式(1)において,R〜Rのうち,ハロゲン原子としては,フッ素原子,塩素原子,臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
【0043】
式(1)において,R〜Rは,相互に独立であり,従って,互いに同一でも異なっていてもい。
【0044】
〜Rのうち、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基及びハロゲン原子であり、特に好ましくはメチル基、メトキシ基及びアセチル基である。
【0045】
式(1)において,Ra,Rb及びRcは、置換されていてもよいフェニル基または置換されていていてもよいアルキル基を表す。置換基としては、アルキル基,ヒドロキシル基,アルコキシ基,シアノ基,ニトロ基及びハロゲン原子が挙げられ、これらの置換基の定義は前記R〜Rのものと同じである。これらのうち特に好ましいのは,フェニル基及びメチル基である。
【0046】
式(1)において,m〜mは,R〜Rの個数をそれぞれ表し,m,m及びmは0〜4の整数であり,好ましくは0〜3,より好ましくは0〜2,特に好ましくは0又は1である。また,mは0〜5の整数であり,好ましくは0〜3,より好ましくは0〜2,特に好ましくは0又は1である。m〜mがこれら好ましい範囲にあると,スルホニウム塩の光感応性が更に良好となる。
【0047】
式(1)において,Xは,本発明のスルホニウム塩に光(可視光,紫外線,遠紫外線)又は放射線(電子線及びX線等)等の活性エネルギー線を照射することにより発生する酸(HX)に対応するアニオンである。Xは,一価の多原子アニオンであるということ以外には制限がないが,MY,(Rf)PF6−b,RBY4−c,RGaY4−c,RSO,(RSO又は(RSOで表されるアニオンが好ましい。
【0048】
Mは,リン原子,ホウ素原子又はアンチモン原子を表す。
Yはハロゲン原子(フッ素原子が好ましい。)を表す。
【0049】
Rfは,水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基(炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。)を表す。フッ素置換によりRfとするアルキル基としては,直鎖アルキル基(メチル,エチル,プロピル,ブチル,ペンチル及びオクチル等),分枝鎖アルキル基(イソプロピル,イソブチル,sec−ブチル及びtert−ブチル等)及びシクロアルキル基(シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル及びシクロヘキシル等)等が挙げられる。Rfにおいてこれらのアルキル基の水素原子がフッ素原子に置換されている割合は,もとのアルキル基が有していた水素原子のモル数に基づいて,80モル%以上が好ましく,更に好ましくは90%以上,特に好ましくは100%である。フッ素原子による置換割合がこれら好ましい範囲にあると,スルホニウム塩の光感応性が更に良好となる。特に好ましいRfとしては,CF−,CFCF−,(CFCF−,CFCFCF−,CFCFCFCF−,(CFCFCF−,CFCF(CF)CF−及び(CFC−が挙げられる。b個のRfは,相互に独立であり,従って,互いに同一でも異なっていてもよい。
【0050】
Pは,リン原子,Fは,フッ素原子を表す。
【0051】
は,水素原子の一部が少なくとも1個の元素又は電子求引基で置換されたフェニル基を表す。そのような1個の元素の例としては,ハロゲン原子が含まれ,フッ素原子,塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。電子求引基としては,トリフルオロメチル基,ニトロ基及びシアノ基等が挙げられる。これらのうち,1個の水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基が好ましい。c個のRは相互に独立であり,従って,互いに同一でも異なっていてもよい。
【0052】
Bは,ホウ素原子,Gaは,ガリウム原子を表す。
【0053】
は,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し,アルキル基及びパーフルオロアルキル基は直鎖,分枝鎖状又は環状のいずれでもよく,アリール基は無置換であっても,置換基を有していてもよい。
【0054】
Sはイオウ原子,Oは酸素原子,Cは炭素原子,Nは窒素原子を表す。aは4〜6の整数を表す。bは,1〜5の整数が好ましく,更に好ましくは2〜4,特に好ましくは2〜3である。cは,1〜4の整数が好ましく,更に好ましくは4である。
【0055】
MYで示されるアニオンとしては,SbF,PF及びBF等が挙げられる。
【0056】
(Rf)PF6−bで示されるアニオンとしては,(CFCFPF,(CFCFPF,((CFCF)PF,((CFCF)PF,(CFCFCFPF,(CFCFCFPF,((CFCFCFPF,((CFCFCFPF,(CFCFCFCFPF及び(CFCFCFCFPF等が挙げられる。これらのうち,(CFCFPF,(CFCFCFPF,((CFCF)PF,((CFCF)PF,((CFCFCFPF及び((CFCFCFPFが好ましい。
【0057】
BY4−cで示されるアニオンとしては,(C,((CF,(CF,(CBF,CBF及び(C等が挙げられる。これらのうち,(C及び((CFが好ましい。
【0058】
GaY4−cで示されるアニオンとしては,(CGa,((CFGa,(CFGa,(CGaF,CGaF及び(CGa等が挙げられる。これらのうち,(CGa及び((CFGaが好ましい。
【0059】
SOで示されるアニオンとしては,トリフルオロメタンスルホン酸アニオン,ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン,ヘプタフルオロプロパンスルホン酸アニオン,ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン,ペンタフルオロフェニルスルホン酸アニオン,p−トルエンスルホン酸アニオン,ベンゼンスルホン酸アニオン,カンファースルホン酸アニオン,メタンスルホン酸アニオン,エタンスルホン酸アニオン,プロパンスルホン酸アニオン及びブタンスルホン酸アニオン等が挙げられる。これらのうち,トリフルオロメタンスルホン酸アニオン,ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン,ベンゼンスルホン酸アニオン及びp−トルエンスルホン酸アニオンが好ましい。
【0060】
(RSOで示されるアニオンとしては,(CFSO,(CSO,(CSO及び(CSO等が挙げられる。
【0061】
(RSOで示されるアニオンとしては,(CFSO,(CSO,(CSO及び(CSO等が挙げられる。
【0062】
一価の多原子アニオンとしては,MY,(Rf)PF6−b,RBY4−c,RGaY4−c,RSO,(RSO又は(RSOで表されるアニオン以外に,過ハロゲン酸イオン(ClO,BrO等),ハロゲン化スルホン酸イオン(FSO,ClSO等),硫酸イオン(CHSO,CFSO,HSO等),炭酸イオン(HCO,CHCO等),アルミン酸イオン(AlCl,AlF等),ヘキサフルオロビスマス酸イオン(BiF),カルボン酸イオン(CHCOO,CFCOO,CCOO,CHCOO,CCOO,CFCOO等),アリールホウ酸イオン(B(C,CHCHCHCHB(C等),チオシアン酸イオン(SCN)及び硝酸イオン(NO)等が使用できる。
【0063】
これらのXのうち,カチオン重合性能の点では,MY,(Rf)PF6−b,RBY4−c,RGaY4−c,RSO,(RSO及び(RSOで示されるアニオンが好ましく,MY,(Rf)PF6−b,RBY4−c,RGaY4−c及び(RSOが更に好ましく,SbF,PF,(CFCFPF,(C,((CF,(CGa,((CFGa及び(CFSOが特に好ましい。
また,化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物において使用するには,SbF,PF,(CFCFPF,(C,((CF,(CGa,((CFGa,トリフルオロメタンスルホン酸アニオン,ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン,ベンゼンスルホン酸アニオン,p−トルエンスルホン酸アニオン,(CFSO及び(CFSO,がレジストの解像度,パターン形状がよくなる点で好ましく,(CFCFPF,(C及び((CFは,更にレジスト組成物への相溶性が良いため特に好ましい。
【0064】
式(1)で示されるスルホニウム塩の好ましいものとして,次のものが挙げられるが,それらに限定されない。
(a)R及びRがメチル基またはメトキシ基であり,m及びmが1であり,m及びmが0であるもの。
(b)m〜mがいずれも0であるもの。
(c)Ra,Rb及びRcがいずれもメチル基またはフェニル基であるもの。
【0065】
本発明におけるスルホニウム塩のカチオンうち,好ましい具体例を以下に示す。
【0066】
【化2】

【0067】
【化3】

【0068】
本発明のスルホニウム塩は,例えば,以下に述べる製造方法(1)で製造できる。
<製造方法(1)>
次反応式で示される方法(たとえば,第4版実験化学講座24巻,1992年,丸善株式会社発行,376頁,特開平7−329399号公報,特開平8−165290号公報,特開平10−212286号公報又は特開平10−7680号公報等に記載されている方法)。
【0069】
【化4】

【0070】
上記の反応式中,R〜Rは置換基,m〜mはそれら各置換基の個数を表し,S,O,Si,Ra〜Rc,Xは,式(1)における定義に同じである。Hは水素原子を表す。
HX’は,一価の多原子アニオンの共役酸を表す。HX’としては,入手しやすさ,酸の安定性及び反応収率の観点から,メタンスルホン酸,パーフルオロメタンスルホン酸及び硫酸が好ましい。
脱水剤は,たとえば,無水リン酸,無水酢酸及び濃硫酸等を表す。
一価の多原子アニオン(X’)は,たとえば,上記のように複分解反応により,本発明の他のアニオン(X)に交換することができる。
DXは,アルカリ金属(リチウム,ナトリウム及びカリウム等)カチオンと本発明の他のアニオン(例えば,MY,(Rf)PF6−b,RBY4−c,RGaY4−c,RSO,(RSO,RSO等で示されるアニオン)との塩を表す。
DX’は,アルカリ金属(リチウム,ナトリウム及びカリウム等)カチオンと一価の多原子アニオン(メタンスルホン酸アニオン,パーフルオロメタンスルホン酸アニオン及び硫酸水素アニオン等。)との塩を表す
【0071】
上記反応式中,第1段目の反応は,無溶剤下で行ってもよいし,必要により有機溶媒(アセトニトリル,テトラヒドロフラン,ジオキサン,エタノール,アセトン等)中で行ってもよい。反応温度は,20〜105℃程度である。反応時間は,1〜数十時間程度である。
【0072】
第2段目の反応は,第1段目の反応に引き続いて行ってもよいし,反応中間体<G3>を単離(必要に応じて精製)してから行ってもよい。反応中間体<G3>と,アルカリ金属カチオンと本発明において用いるアニオンとの塩(DX)の水溶液とを混合・撹拌して,複分解反応を行い,析出する固体をろ別するか,または分離した油状物を有機溶媒で抽出して有機溶媒を除去することにより,本発明のスルホニウム塩が固体あるいは粘調な液体として得られる。得られる固体又は粘稠液体は必要に応じて適当な有機溶媒で洗浄するか,再結晶法もしくはカラムクロマトグラフィー法により精製することができる(以下,同様である。)。
【0073】
<製造方法(2)>
上記<G2>は下記反応式のように,第4版実験化学講座23巻(1991年,丸善),276〜277頁等に記載されている酸化反応によって合成できる。
【0074】
【化5】

【0075】
反応式中,R〜R,S,O,Si,m〜mは,式(1)における定義に同じである。
「酸化剤」は,過酸化水素等の酸化剤を表す。
【0076】
本発明のスルホニウム塩の化学構造は,一般的な分析手法(たとえば,H−,11B−,13C−,19F−,31P−核磁気共鳴スペクトル,赤外吸収スペクトル及び/又は元素分析等)によって同定することができる。
【0077】
本発明のスルホニウム塩は,光酸発生剤として好適である。
光酸発生剤とは,光照射によりその化学構造が分解し,酸を発生するものをいう。発生した酸は,エポキシドの硬化反応等の触媒として,また化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物をアルカリ現像液に可溶にするために,使用することができる。
【0078】
本発明の光酸発生剤は、そのまま使用してもよいし,これに他の光酸発生剤を含有させて使用してもよい。
【0079】
他の光酸発生剤を含有する場合,他の光酸発生剤の含有量(モル%)は,本発明のスルホニウム塩の総モル数に対して,1〜100が好ましく,更に好ましくは5〜50である。
【0080】
他の光酸発生剤としては,オニウムイオン(スルホニウム,ヨードニウム,セレニウム,アンモニウム及びホスホニウム等)並びに遷移金属錯体イオンと,アニオンとの塩等の従来公知のものが含まれる。
【0081】
アニオンとしては,MY,(Rf)PF6−b,R10BY4−c,R10GaY4−c,R11SO,(R11SO又は(R11SOで示されるアニオン以外に,過ハロゲン酸イオン(ClO,BrO等),ハロゲン化スルホン酸イオン(FSO,ClSO等),硫酸イオン(CHSO,CFSO,HSO等),炭酸イオン(HCO,CHCO等),アルミン酸イオン(AlCl,AlF等),ヘキサフルオロビスマス酸イオン(BiF),カルボン酸イオン(CHCOO,CFCOO,CCOO,CHCOO,CCOO,CFCOO等),アリールホウ酸イオン(B(C,CHCHCHCHB(C等),チオシアン酸イオン(SCN)及び硝酸イオン(NO)等が使用できる。ここで,Mは,リン原子,ホウ素原子又はアンチモン原子を表す。
【0082】
スルホニウムイオンとしては,トリアリールスルホニウム,ジアリールスルホニウム,モノアリールスルホニウム及びトリアルキルスルホニウムが挙げられる。
【0083】
トリアリールスルホニウムとしては,トリフェニルスルホニウム,トリ−p−トリルスルホニウム,トリ−o−トリルスルホニウム,トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム,1−ナフチルジフェニルスルホニウム,2−ナフチルジフェニルスルホニウム,トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム,トリ−1−ナフチルスルホニウム,トリ−2−ナフチルスルホニウム,トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム,4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム,4−(p−トリルチオ)フェニルジ−p−トリルスルホニウム,4−(4−メトキシフェニルチオ)フェニルビス(4−メトキシフェニル)スルホニウム,4−(フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム,4−(フェニルチオ)フェニルビス(4−メトキシフェニル)スルホニウム,4−(フェニルチオ)フェニルジ−p−トリルスルホニウム,ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド,ビス〔4−{ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド,ビス{4−[ビス(4−フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド,ビス{4−[ビス(4−メチルフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド,ビス{4−[ビス(4−メトキシフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド,4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム,4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム,4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム,4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム,7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジ−p−トリルスルホニウム,7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジフェニルスルホニウム,2−[(ジ−p−トリル)スルホニオ]チオキサントン,2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン,2−{[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホニオ}チオキサントン,4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ−p−トリルスルホニウム,4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジフェニルスルホニウム,4−[4−(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジ−p−トリルスルホニウム,4−[4−(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジフェニルスルホニウム,5−(4−メトキシフェニル)チアアンスレニウム,5−フェニルチアアンスレニウム,5−トリルチアアンスレニウム,5−(4−エトキシフェニル)チアアンスレニウム及び5−(2,4,6−トリメチルフェニル)チアアンスレニウム等が挙げられる(米国特許第4231951号,米国特許第4256828号,特開昭61−100557号,特開平7−61964号,特開平7−10914号,特開平7−25922号,特開平8−27208号,特開平8−27209号,特開平8−165290号,特開平8−301991号,特開平9−143212号,特開平9−278813号,特開平10−7680号,特開平10−212286号,特開平10−287643号,特開平10−245378号,特開平8−157510号,特開平10−204083号,特開平8−245566号,特開平8−157451号,特開平7−324069号,特開平9−268205号,特開平9−278935号,特開2001−288205号,特開平11−80118号,特開平10−182825号,特開平10−330353,特開平10−152495,特開平5−239213号,特開平7−333834号,特開平9−12537号,特開平8−325259号,特開平8−160606号,特開2000−186071号(米国特許第6368769号),特表2005−501040号,特開2005−530698号,特開2006−104185号,特表2006−518332号及び特開2007−254454号等)。
【0084】
ジアリールスルホニウムとしては,ジフェニルフェナシルスルホニウム,ジフェニル4−ニトロフェナシルスルホニウム,ジフェニルベンジルスルホニウム及びジフェニルメチルスルホニウム等が挙げられる(特開平7−300504号,特開昭64−45357号及び特開昭64−29419号等)。
【0085】
モノアリールスルホニウムとしては,フェニルメチルベンジルスルホニウム,4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム,4−メトキシフェニルメチルベンジルスルホニウム,4−アセトカルボニルオキシフェニルメチルベンジルスルホニウム,2−ナフチルメチルベンジルスルホニウム,2−ナフチルメチル(1−エトキシカルボニル)エチルスルホニウム,フェニルメチルフェナシルスルホニウム,4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム,4−メトキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム,4−アセトカルボニルオキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム,2−ナフチルメチルフェナシルスルホニウム,2−ナフチルオクタデシルフェナシルスルホニウム及び9−アントラセニルメチルフェナシルスルホニウム等が挙げられる(特開平6−345726号,特開平8−325225号,特開平9−118663号(米国特許第6093753号),特開平2−196812号,特開平2−1470号,特開平2−196812号,特開平3−237107号,特開平3−17101号,特開平6−228086号,特開平10−152469号,特開平7−300505号,特開2000−39706号,特開2003−277353及び特開2003−277352等)。
【0086】
トリアルキルスルホニウムとしては,ジメチルフェナシルスルホニウム,フェナシルテトラヒドロチオフェニウム,ジメチルベンジルスルホニウム,ベンジルテトラヒドロチオフェニウム及びオクタデシルメチルフェナシルスルホニウム等が挙げられる(特開平4−308563号,特開平5−140210号,特開平5−140209号,特開平5−230189号,特開平6−271532号,特開昭58−37003号,特開平2−178303号,特開平10−338688号,特開平9−328506号,特開平11−228534号,特開平8−27102号,特開平7−333834号,特開平5−222167号,特開平11−21307号,特開平11−35613号及び米国特許第6031014号等)。
【0087】
ヨードニウムイオンとしては,ジフェニルヨードニウム,ジ−p−トリルヨードニウム,ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム,ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム,(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム,ビス(4−デシルオキシフェニル)ヨードニウム,4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム,4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウム及びイソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウム等が挙げられる(Macromolecules,10,1307(1977),特開平6−184170号,米国特許第4256828号,米国特許第4351708号,特開昭56−135519号,特開昭58−38350号,特開平10−195117号,特開2001−139539号,特開2000−510516号及び特開2000−119306号等)。
【0088】
セレニウムイオンとしては,トリアリールセレニウム{トリフェニルセレニウム,トリ−p−トリルセレニウム,トリ−o−トリルセレニウム,トリス(4−メトキシフェニル)セレニウム,1−ナフチルジフェニルセレニウム,トリス(4−フルオロフェニル)セレニウム,トリ−1−ナフチルセレニウム,トリ−2−ナフチルセレニウム,トリス(4−ヒドロキシフェニル)セレニウム,4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルセレニウム及び4−(p−トリルチオ)フェニルジ−p−トリルセレニウム等};ジアリールセレニウム{ジフェニルフェナシルセレニウム,ジフェニルベンジルセレニウム及びジフェニルメチルセレニウム等};モノアリールセレニウム{フェニルメチルベンジルセレニウム,4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルセレニウム,フェニルメチルフェナシルセレニウム,4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルセレニウム及び4−メトキシフェニルメチルフェナシルセレニウム等}並びにトリアルキルセレニウム{ジメチルフェナシルセレニウム,フェナシルテトラヒドロセレノフェニウム,ジメチルベンジルセレニウム,ベンジルテトラヒドロセレノフェニウム及びオクタデシルメチルフェナシルセレニウム等}等が挙げられる(特開昭50−151997号,特開昭50−151976号,特開昭53−22597号等)。
【0089】
アンモニウムイオンとしては,テトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム,エチルトリメチルアンモニウム,ジエチルジメチルアンモニウム,トリエチルメチルアンモニウム,テトラエチルアンモニウム,トリメチル−n−プロピルアンモニウム,トリメチルイソプロピルアンモニウム,トリメチル−n−ブチルアンモニウム,トリメチルイソブチルアンモニウム,トリメチル−t−ブチルアンモニウム,トリメチル−n−ヘキシルアンモニウム,ジメチルジ−n−プロピルアンモニウム,ジメチルジイソプロピルアンモニウム,ジメチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム,メチルトリ−n−プロピルアンモニウム及びメチルトリイソプロピルアンモニウム等);ピロリジニウム(N,N−ジメチルピロリジニウム,N−エチル−N−メチルピロリジニウム及びN,N−ジエチルピロリジニウム等);イミダゾリニウム(N,N′−ジメチルイミダゾリニウム,N,N′−ジエチルイミダゾリニウム,N−エチル−N′−メチルイミダゾリニウム,1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム,1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム,1,3−ジエチル−2−メチルイミダゾリニウム,1,3−ジエチル−4−メチルイミダゾリニウム及び1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム等);テトラヒドロピリミジニウム(N,N′−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム,N,N′−ジエチルテトラヒドロピリミジニウム,N−エチル−N′−メチルテトラヒドロピリミジニウム及び1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム等);モルホリニウム(N,N′−ジメチルモルホリニウム,N−エチル−N−メチルモルホリニウム及びN,N−ジエチルモルホリニウム等);ピペリジニウム(N,N−ジメチルピペリジニウム,N−エチル−N′−メチルピペリジニウム及びN,N′−ジエチルピペリジニウム等);ピリジニウム(N−メチルピリジニウム,N−エチルピリジニウム,N−n−プロピルピリジニウム,N−イソプロピルピリジニウム,N−n−ブチルピリジニウム,N−ベンジルピリジニウム及びN−フェナシルピリジウム等);イミダゾリウム(N,N′−ジメチルイミダゾリウム,N−エチル−N−メチルイミダゾリウム,N,N′−ジエチルイミダゾリウム,1,2−ジエチル−3−メチルイミダゾリウム,1,3−ジエチル−2−メチルイミダゾリウム及び1−メチル−3−n−プロピル−2,4−ジメチルイミダゾリウム等);キノリウム(N−メチルキノリウム,N−エチルキノリウム,N−n−プロピルキノリウム,N−イソプロピルキノリウム,N−n−ブチルキノリウム,N−ベンジルキノリウム及びN−フェナシルキノリウム等);イソキノリウム(N−メチルイソキノリウム,N−エチルイソキノリウム,N−n−プロピルイソキノリウム,N−イソプロピルイソキノリウム,N−n−ブチルイソキノリウム,N−ベンジルイソキノリウム及びN−フェナシルイソキノリウム等);チアゾニウム(ベンジルベンゾチアゾニウム及びフェナシルベンゾチアゾニウム等)並びにアルリジニウム(ベンジルアクリジウム及びフェナシルアクリジウム等)等が挙げられる(米国特許第4069055号,特許公報第2519480号,特開平5−222112号,特開平5−222111号,特開平5−262813号,特開平5−255256号,特開平7−109303号,特開平10−101718号,特開平2−268173号,特開平9−328507号,特開平5−132461号,特開平9−221652号,特開平7−43854号,特開平7−43901号,特開平5−262813号,特開平4−327574,特開平2−43202号,特開昭60−203628号,特開昭57−209931号及び特開平9−221652号等)。
【0090】
ホスホニウムイオンとしては,テトラアリールホスホニウム{テトラフェニルホスホニウム,テトラ−p−トリルホスホニウム,テトラキス(2−メトキシフェニル)ホスホニウム,テトラキス(3−メトキシフェニル)ホスホニウム及びテトラキス(4−メトキシフェニル)ホスホニウム等};トリアリールホスホニウム(トリフェニルベンジルホスホニウム,トリフェニルフェナシルホスホニウム,トリフェニルメチルホスホニウム及びトリフェニルブチルホスホニウム等)並びにテトラアルキルホスホニウム(トリエチルベンジルホスホニウム,トリブチルベンジルホスホニウム,テトラエチルホスホニウム,テトラブチルホスホニウム,テトラヘキシルホスホニウム,トリエチルフェナシルホスホニウム及びトリブチルフェナシルホスホニウム等)等が挙げられる(特開平6−157624号,特開平5−105692号,特開平7−82283号及び特開平9−202873号等)。
【0091】
遷移金属錯体イオンとしては,クロム錯体カチオン{(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Cr,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−キシレン)Cr,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−1−メチルナフタレン)Cr,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−クメン)Cr,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−メシチレン)Cr,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−ピレン)Cr,(η5−フルオレニル)(η6−クメン)Cr,(η5−インデニル)(η6−クメン)Cr,ビス(η6−メシチレン)Cr2+,ビス(η6−キシレン)Cr2+,ビス(η6−クメン)Cr2+,ビス(η6−トルエン)Cr2+,(η6−トルエン)(η6−キシレン)Cr2+,(η6−クメン)(η6−ナフタレン)Cr2+,ビス(η5−シクロペンタジエニル)Cr,ビス(η5−インデニル)Cr,(η5−シクロペンタジエニル)(η5−フルオレニル)Cr及び(η5−シクロペンタジエニル)(η5−インデニル)Cr等},及び鉄錯体カチオン{(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−キシレン)Fe,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−1−メチルナフタレン)Fe,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−クメン)Fe,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−メシチレン)Fe,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−ピレン)Fe,(η5−フルオレニル)(η6−クメン)Fe,(η5−インデニル)(η6−クメン)Fe,ビス(η6−メシチレン)Fe2+,ビス(η6−キシレン)Fe2+,ビス(η6−クメン)Fe2+,ビス(η6−トルエン)Fe2+,(η6−トルエン)(η6−キシレン)Fe2+,(η6−クメン)(η6−ナフタレン)Fe2+,ビス(η5−シクロペンタジエニル)Fe,ビス(η5−インデニル)Fe,(η5−シクロペンタジエニル)(η5−フルオレニル)Fe及び(η5−シクロペンタジエニル)(η5−インデニル)Fe等}等が挙げられる(ただし,Crはクロム原子,Feは鉄原子を表す。)(Macromol. Chem.,81,86(1965),Angew. Makromol.
Chem., 50, 9 (1976),Macromol. Chem., 153, 229(1972),J. Polym. Sci., Polym. Chem. Edn., 14, 1547(1976),Chem. Ztg., 108, 345(1984),J. Imaging. Sci.,
30, 174(1986),J. Photochem. Photobiol. A:Chem., 77(1994),J. Rad. Curing., 26(1986),Adv. Polym. Sci., 78,
61(1986),米国特許第4973722号,同第4992572号,同第3895954号,ヨーロッパ特許公開公報第203829号,同第354181号,同第94914号,同第109851号,同第94915号,特開平58−210904号(米国特許第4868288号),特開昭59−108003号,特開2000−226396号及び特開平2−284903号等)。
【0092】
本発明の光酸発生剤は,カチオン重合性化合物への溶解を容易にするため,あらかじめカチオン重合を阻害しない溶剤に溶かしておいてもよい。
【0093】
溶剤としては,カーボネート(プロピレンカーボネート,エチレンカーボネート,1,2−ブチレンカーボネート,ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等);エステル(酢酸エチル,乳酸エチル,β−プロピオラクトン,β―ブチロラクトン,γ−ブチロラクトン,δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン等);エーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノエチルエーテル,ジエチレングリコールモノブチルエーテル,ジプロピレングリコールジメチルエーテル,トリエチレングリコールジエチルエーテル,トリプロピレングリコールジブチルエーテル等);及びエーテルエステル(エチレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステル,プロピレングリコールモノエチルエーテル酢酸エステル及びジエチレングリコールモノブチルエーテル酢酸エステル等)等が挙げられる。
【0094】
溶剤を使用する場合,溶剤の使用割合は,本発明の光酸発生剤100重量部に対して,15〜1000重量部が好ましく,更に好ましくは30〜500重量部である。使用する溶媒は,単独で使用してもよく,または2種以上を併用してもよい。
【0095】
本発明のエネルギー線硬化性組成物は,上記の光酸発生剤とカチオン重合性化合物とから構成される。
【0096】
カチオン重合性化合物としては,環状エーテル(エポキシド及びオキセタン等),エチレン性不飽和化合物(ビニルエーテル及びスチレン等),ビシクロオルトエステル,スピロオルトカーボネート及びスピロオルトエステル等が挙げられる(特開平11−060996号,特開平09−302269号,特開2003−026993号,特開2002−206017号,特開平11−349895号,特開平10−212343号,特開2000−119306号,特開平10−67812号,特開2000−186071号,特開平08−85775号,特開平08−134405号,特開2008−20838,特開2008−20839,特開2008−20841,特開2008−26660,特開2008−26644,特開2007−277327,フォトポリマー懇話会編「フォトポリマーハンドブック」(1989年,工業調査会),総合技術センター編「UV・EB硬化技術」(1982年,総合技術センター),ラドテック研究会編「UV・EB硬化材料」(1992年,シーエムシー),技術情報協会編「UV硬化における硬化不良・阻害原因とその対策」(2003年,技術情報協会),色材,68,(5),286−293(1995),ファインケミカル,29,(19),5−14(2000)等)。
【0097】
エポキシドとしては,公知のもの等が使用でき,芳香族エポキシド,脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシドが含まれる。
【0098】
芳香族エポキシドとしては,少なくとも1個の芳香環を有する1価又は多価のフェノール(フェノール,ビフェノール,ビスフェノールA,ビスフェノールF,フェノールノボラック,クレゾールノボラック、これらの臭素化物及びこれらのアルキレンオキシド付加物)のグリシジルエーテル,及び少なくとも1個の芳香環を有する1価又は多価のカルボン酸(フタル酸及び3−メチルフタル酸等)のグリシジルエステル(ジグリシジルフタレート及びジグリシジル−3−メチルフタレート等)が挙げられる。
【0099】
脂環式エポキシドとしては,少なくとも1個のシクロヘキセンやシクロペンテン環を有する化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られる化合物(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート,3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート,6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート,3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート,3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート,2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサンメタジオキサン,ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート,3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート,メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン),ジシクロペンタジエンジエポキシド及びエチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)等)が挙げられる。
【0100】
脂肪族エポキシドとしては,脂肪族多価アルコール又はこのアルキレンオキシド付加体のポリグリシジルエーテル(1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル,1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル,水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル,グリセリンのトリグリシジルエーテル,トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル,ソルビトールのテトラグリシジルエーテル及びジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル等),脂肪族多塩基酸のポリグリシジルエステル(ジグリシジルテトラヒドロフタレート,ジグリシジルヘキサヒドロフタレート及びジグリシジルヘキサヒドロ−3−メチルフタレート等),長鎖不飽和化合物のエポキシ化物(エポキシ化大豆油及びエポキシ化ポリブタジエン等),グリシジル基含有ポリマー(グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー又はこれと他の不飽和モノマーとのコポリマー等),及びジメチルシロキサン骨格を有する多官能エポキシド(Journal of Polym. Sci., Part A, Polym. Chem., Vol. 28, 497 (1990)など)
【0101】
オキセタンとしては,公知のもの等が使用でき,3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン,(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン,[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル,イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン,3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン),1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン,1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン,1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン,エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン,1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン,ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン,3−エチル−3−(4−メチルフェノキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−(4−フルオロフェノキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−(1−ナフトキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−(2−ナフトキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−{[3−(エトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン,オキセタニルシルセスキオキセタン及びフェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。
【0102】
エチレン性不飽和化合物としては,公知のカチオン重合性単量体等が使用でき,脂肪族モノビニルエーテル,芳香族モノビニルエーテル,多官能ビニルエーテル,スチレン及びカチオン重合性窒素含有モノマーが含まれる。
【0103】
脂肪族モノビニルエーテルとしては,メチルビニルエーテル,エチルビニルエーテル,ブチルビニルエーテル,イソブチルビニルエーテル,シクロヘキシルビニルエーテル,2−クロロエチルビニルエーテル,2−ヒドロキシエチルビニルエーテル,4−ヒドロキシブチルビニルエーテル,ステアリルビニルエーテル,2−アセトキシエチルビニルエーテル,ジエチレングリコールモノビニルエーテル,2−エチルヘキシルビニルエーテル,ドデシルビニルエーテル,オクタデシルビニルエーテル,アリルビニルエーテル,2−メタクリロイロオキシエチルビニルエーテル及び2−アクリロイロオキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0104】
芳香族モノビニルエーテルとしては,2−フェノキシエチルビニルエーテル,フェニルビニルエーテル及びp−メトキシフェニルビニルエーテル等が挙げられる。
【0105】
多官能ビニルエーテルとしては,ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル,トリエチレングリコールジビニルエーテル,1,4−ベンゼンジビニルエーテル,ハイドロキノンジビニルエーテル,シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(1,4−ビス[(ビニルオキシ)メチル]シクロヘキサン),ジエチレングリコールジビニルエーテル,ジプロピレングリコールジビニルエーテル及びヘキサンジオールジビニルエーテル等が挙げられる。
【0106】
スチレンとしては,スチレン,α−メチルスチレン,p−メトキシスチレン及びp−tert−ブトキシスチレン等が挙げられる。
【0107】
カチオン重合性窒素含有モノマーとしては,N−ビニルカルバゾール及びN−ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0108】
ビシクロオルトエステルとしては,1−フェニル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン及び1−エチル−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ−[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0109】
スピロオルトカーボネートとしては,1,5,7,11−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン及び3,9−ジベンジル−1,5,7,11−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
【0110】
スピロオルトエステルとしては,1,4,6−トリオキサスピロ[4.4]ノナン,2−メチル−1,4,6−トリオキサスピロ[4.4]ノナン及び1,4,6−トリオキサスピロ[4.5]デカン等が挙げられる。
【0111】
これらのカチオン重合性化合物のうち,エポキシド,オキセタン及びビニルエーテルが好ましく,更に好ましくはエポキシド及びオキセタン,特に好ましくは脂環式エポキシド及びオキセタンである。また,これらのカチオン重合性化合物は単独で使用してもよく,または2種以上を併用してもよい。
【0112】
エネルギー線硬化性組成物中の本発明の光酸発生剤の含有量は,カチオン重合性化合物100部に対し,0.05〜20重量部が好ましく,更に好ましくは0.1〜10重量部である。この範囲であると,カチオン重合性化合物の重合が更に十分となり,硬化体の物性が更に良好となる。なお,この含有量は,カチオン重合性化合物の性質やエネルギー線の種類と照射量,温度,硬化時間,湿度,塗膜の厚み等のさまざまな要因を考慮することによって決定され,上記範囲に限定されない。
【0113】
本発明のエネルギー線硬化性組成物には,必要に応じて,公知の添加剤(増感剤,顔料,充填剤,帯電防止剤,難燃剤,消泡剤,流動調整剤,光安定剤,酸化防止剤,密着性付与剤,イオン補足剤,着色防止剤,溶剤,非反応性の樹脂及びラジカル重合性化合物等)を含有させることができる。
【0114】
本発明のエネルギー線硬化性組成物には,基本的に増感剤の必要がないが,硬化性を補完するものとして,必要により,増感剤を含有できる。このような増感剤としては,公知(特開平11−279212号及び特開平09−183960号等)の増感剤等が使用でき,アントラセン{アントラセン,9,10−ジブトキシアントラセン,9,10−ジメトキシアントラセン,9,10−ジエトキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン,2−tert−ブチル−9,10−ジメトキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジメトキシアントラセン,9−メトキシ−10−メチルアントラセン,9,10−ジエトキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン,2−tert−ブチル−9,10−ジエトキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジエトキシアントラセン,9−エトキシ−10−メチルアントラセン,9,10−ジプロポキシアントラセン,9,10−ジイソプロポキシアントラセン,9,10−ジエトキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン,2−tert−ブチル−9,10−ジプロポキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジプロポキシアントラセン,9−イソプロポキシ−10−メチルアントラセン,9,10−ジベンジルオキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン,2−tert−9,10−ジベンジルオキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン,9−ベンジルオキシ−10−メチルアントラセン,9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン,2−tert−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン,9−(α−メチルベンジルオキシ)−10−メチルアントラセン,9,10−ジフェニルアントラセン,9−メトキシアントラセン,9−エトキシアントラセン,9−メチルアントラセン,9−ブロモアントラセン,9−メチルチオアントラセン及び9−エチルチオアントラセン等};ピレン;1,2−ベンズアントラセン;ペリレン;テトラセン;コロネン;チオキサントン{チオキサントン,2−メチルチオキサントン,2−エチルチオキサントン,2−クロロチオキサントン,2−イソプロピルチオキサントン及び2,4−ジエチルチオキサントン等};フェノチアジン{フェノチアジン,N−メチルフェノチアジン,N−エチルフェノチアジン,N−フェニルフェノチアジン等};キサントン;ナフタレン{1−ナフトール,2−ナフトール,1−メトキシナフタレン,2−メトキシナフタレン,1,4−ジヒドロキシナフタレン,1,5−ジヒドロキシナフタレン,1,6−ジヒドロキシナフタレン,2,7−ジヒドロキシナフタレン,2,7−ジメトキシナフタレン,1,1′−チオビス(2−ナフトール),1,1′−ビ−(2−ナフトール)及び4−メトキシ−1−ナフトール等};ケトン{ジメトキシアセトフェノン,ジエトキシアセトフェノン,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン,4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン,2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン,2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン,p−ジメチルアミノアセトフェノン,p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン,p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン,p−アジドベンザルアセトフェノン,1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン,ベンゾイン,ベンゾインメチルエーテル,ベンゾインエチルエーテル,ベンゾインイソプロピルエーテル,ベンゾイン−n−ブチルエーテル,ベンゾインイソブチルエーテル,1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン,ベンゾフェノン,o−ベンゾイル安息香酸メチル,ミヒラーケトン,4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン,4,4’−ジクロロベンゾフェノン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等};カルバゾール{N−フェニルカルバゾール,N−エチルカルバゾール,ポリ−N−ビニルカルバゾール及びN−グリシジルカルバゾール等};クリセン{1,4−ジメトキシクリセン,1,4−ジエトキシクリセン,1,4−ジプロポキシクリセン,1,4−ジベンジルオキシクリセン及び1,4−ジ−α−メチルベンジルオキシクリセン等};フェナントレン{9−ヒドロキシフェナントレン,9−メトキシフェナントレン,9−エトキシフェナントレン,9−ベンジルオキシフェナントレン,9,10−ジメトキシフェナントレン,9,10−ジエトキシフェナントレン,9,10−ジプロポキシフェナントレン,9,10−ジベンジルオキシフェナントレン,9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシフェナントレン,9−ヒドロキシ−10−メトキシフェナントレン及び9−ヒドロキシ−10−エトキシフェナントレン等};クマリン等が挙げられる。
【0115】
増感剤を含有する場合,増感剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,1〜300重量部が好ましく,更に好ましくは5〜200重量部である。
【0116】
顔料としては,公知の顔料等が使用でき,無機顔料(酸化チタン,酸化鉄及びカーボンブラック等)及び有機顔料(アゾ顔料,シアニン顔料,フタロシアニン顔料及びキナクリドン顔料等)等が挙げられる。
【0117】
顔料を含有する場合,顔料の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.5〜400000重量部が好ましく,更に好ましくは10〜150000重量部である。
【0118】
充填剤としては,公知の充填剤等が使用でき,溶融シリカ,結晶シリカ,炭酸カルシウム,酸化アルミニウム,水酸化アルミニウム,酸化ジルコニウム,炭酸マグネシウム,マイカ,タルク,ケイ酸カルシウム及びケイ酸リチウムアルミニウム等が挙げられる。
【0119】
充填剤を含有する場合,充填剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,50〜600000重量部が好ましく,更に好ましくは300〜200000重量部である。
【0120】
帯電防止剤としては,公知の帯電防止剤等が使用でき,非イオン型帯電防止剤{グリセリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル,N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン,ポリオキシエチレンアルキルアミン,ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル及びアルキルジエタノールアミド等};アニオン型帯電防止剤{アルキルスルホン酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルキルリン酸塩等};カチオン型帯電防止剤{テトラアルキルアンモニウム塩及びトリアルキルベンジルアンモニウム塩等};両性型帯電防止剤{アルキルベタイン及びアルキルイミダゾリウムベタイン等};高分子型帯電防止剤{第四級アンモオ含有スチレン−(メタ)アクリレート共重合体,第四級アンモニオ含有スチレン−アクリロニトリル−マレイミド共重合体,ポリオキシエチレングリコール,ポリエーテルエステルアミド,ポリエーテルアミドイミド,エチレンオキシド−エピクロロヒドリン共重合体及びメトキシポリオキシエチレングリコール(メタ)アクリレート共重合体等}等が挙げられる。
【0121】
帯電防止剤を含有する場合,帯電防止剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.1〜20000重量部が好ましく,更に好ましくは0.6〜5000重量部である。
【0122】
難燃剤としては,公知の難燃剤等が使用でき,無機難燃剤{三酸化アンチモン,五酸化アンチモン,酸化錫,水酸化錫,酸化モリブデン,ホウ酸亜鉛,メタホウ酸バリウム,赤燐,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム及びアルミン酸カルシウム等};臭素難燃剤{テトラブロモ無水フタル酸,ヘキサブロモベンゼン及びデカブロモビフェニルエーテル等};及びリン酸エステル難燃剤{トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート等}等が挙げられる。
【0123】
難燃剤を含有する場合,難燃剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.5〜40000重量部が好ましく,更に好ましくは5〜10000重量部である。
【0124】
消泡剤としては,公知の消泡剤等が使用でき,アルコール消泡剤{イソプロパノール,n−ブタノール,オクタエチルアルコール及びヘキサデシルアルコール等};金属石鹸消泡剤{ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸アルミニウム等};リン酸エステル消泡剤{トリブチルホスフェート等};脂肪酸エステル消泡剤{グリセリンモノラウレート等};ポリエーテル消泡剤{ポリアルキレングリコール等};シリコーン消泡剤{ジメチルシリコーンオイル及びシリカ・シリコーンコンパウンド等};及び鉱物油消泡剤{シリカ粉末を分散させた鉱物油等}等が挙げられる。
【0125】
消泡剤を含有する場合,消泡剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.1〜20000重量部が好ましく,更に好ましくは0.5〜5000重量部である。
【0126】
流動調整剤としては,公知の流動性調整剤等が使用でき,水素添加ヒマシ油,酸化ポリエチレン,有機ベントナイト,コロイド状シリカ,アマイドワックス,金属石鹸及びアクリル酸エステルポリマー等が挙げられる。
【0127】
流動性調整剤を含有する場合,流動性調整剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.1〜20000重量部が好ましく,更に好ましくは0.5〜5000重量部である。
【0128】
光安定剤としては,公知の光安定剤等が使用でき,紫外線吸収型安定剤{ベンゾトリアゾール,ベンゾフェノン,サリチレート,シアノアクリレート及びこれらの誘導体等};ラジカル補足型安定剤{ヒンダードアミン等};及び消光型安定剤{ニッケル錯体等}等が挙げられる。
【0129】
光安定剤を含有する場合,光安定剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.05〜40000重量部が好ましく,更に好ましくは0.5〜10000重量部である。
【0130】
酸化防止剤としては,公知の酸化防止剤等が使用でき,フェノール系酸化防止剤(モノフェノール系,ビスフェノール系及び高分子フェノール系等),硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。
【0131】
酸化防止剤を含有する場合,酸化防止剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.1〜20000重量部が好ましく,更に好ましくは0.6〜5000重量部である。
【0132】
密着性付与剤としては,公知の密着性付与剤等が使用でき,カップリング剤,シランカップリング剤及びチタンカップリング剤等が挙げられる。
【0133】
密着性付与剤を含有する場合,密着性付与剤の含有量は,密着性付与剤100部に対して,0.1〜20000重量部が好ましく,更に好ましくは0.6〜5000重量部である。
【0134】
イオン補足剤としては,公知のイオン補足剤等が使用でき,有機アルミニウム(アルコキシアルミニウム及びフェノキシアルミニウム等)等が挙げられる。
イオン補足剤を含有する場合,イオン補足剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.1〜20000重量部が好ましく,更に好ましくは0.6〜5000重量部である。
【0135】
着色防止剤としては、公知の着色防止剤が使用でき、一般的には酸化防止剤が有効であり、フェノール系酸化防止剤(モノフェノール系、ビスフェノール系及び高分子フェノール系等)、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。
着色防止剤を含有する場合,着色防止剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.1〜20000重量部が好ましく,更に好ましくは0.6〜5000重量部である。
【0136】
溶剤としては,カチオン重合性化合物の溶解やエネルギー線硬化性組成物の粘度調整のために使用できれば制限はなく,上記光酸発生剤の溶剤として使用できるもの以外に,例えば,エーテル{アニソール,ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン,1,4−ジオキサン及びエチル−tert−ブチルエーテル等};芳香族炭化水素{トルエン,キシレン,クメン,エチルベンゼン及びメシチレン等};ケトン{アセトン,メチルエチルケトン,イソブチルケトン及びシクロヘキサノン等};アルコール{メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール及びtert−ブタノール等};ニトリル{アセトニトリル等}等が挙げられる。
【0137】
溶剤を含有する場合,溶剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,50〜2000000重量部が好ましく,更に好ましくは200〜500000重量部である。
【0138】
非反応性の樹脂としては,ポリエステル,ポリ酢酸ビニル,ポリ塩化ビニル,ポリブタジエン,ポリカーボナート,ポリスチレン,ポリビニルエーテル,ポリビニルブチラール,ポリブテン,スチレンブタジエンブロックコポリマー水添物,(メタ)アクリル酸エステルの共重合体及びポリウレタン等が挙げられる。これらの樹脂の数平均分子量は,1000〜500000が好ましく,更に好ましくは5000〜100000である(数平均分子量はGPC等の一般的な方法によって測定された値である。)。
【0139】
非反応性の樹脂を含有する場合,非反応性の樹脂の含有量は,光酸発生剤100部に対して,5〜400000重量部が好ましく,更に好ましくは50〜150000重量部である。
【0140】
非反応性の樹脂を含有させる場合,非反応性の樹脂をカチオン重合性化合物等と溶解しやすくするため,あらかじめ溶剤に溶かしておくことが望ましい。
【0141】
ラジカル重合性化合物としては,公知{フォトポリマー懇話会編「フォトポリマーハンドブック」(1989年,工業調査会),総合技術センター編「UV・EB硬化技術」(1982年,総合技術センター),ラドテック研究会編「UV・EB硬化材料」(1992年,シーエムシー),技術情報協会編「UV硬化における硬化不良・阻害原因とその対策」(2003年,技術情報協会)}のラジカル重合性化合物等が使用でき,単官能モノマー,2官能モノマー,多官能モノマー,エポキシ(メタ)アクリレート,ポリエステル(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートが含まれる。
【0142】
単官能モノマーとしては,メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アクレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート,ラウリル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート,スチレン,ビニルシクロヘキセン,イソブチレン及びブタジエン等が挙げられる。
【0143】
2官能モノマーとしては,2価アルコール又はこれらのアルキレンオキシド付加体のジ(メタ)アクリレート{2価アルコール(エチレングリコール,プロピレングリコール,ビスフェノールA,ビスフェノールAの水素化物及びこれらのアルキレンオキシド付加体等)のジ(メタ)アクリレート},及びジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0144】
多官能モノマーとしては,2官能モノマー以外のモノマーが使用でき,多価アルコール(トリメチロールプロパン,グリセリン及びペンタエリスリトール及びこのアルキレンオキシド付加体等)の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0145】
エポキシ(メタ)アクリレートとしては,エポキシド{芳香族エポキシド,脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシド等}と,(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0146】
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては,芳香族多塩基酸又は脂肪族多塩基酸と,多価アルコールとから得たヒドロキシ末端のポリエステルを,(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られるポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族多塩基酸としてはフタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,トリメリット酸及びピロメリット酸等が挙げられ、脂肪族多塩基酸としてはコハク酸,アジピン酸及びセバシン酸等が挙げられ、多価アルコールとしてはエチレングリコール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,ネオペンチルグリコール,ポリテトラメチレングリコール,1,3−ブタンジオール,1,4−ブタンジオール,1,6−ヘキサンジオール,トリメチロールプロパン,グリセリン,ペンタエリスリトール,ビスフェノール及びこれらのアルキレンオキシド付加体等が挙げられる。
【0147】
ウレタン(メタ)アクリレートとしては,多官能イソシアネートと多価アルコールとから得たイソシアネート末端のプレポリマーを,ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとのウレタン化反応によって得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能イソシアネートとしては、脂環式イソシアネート(イソホロンジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等);脂肪族イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等)並びに芳香族イソシアネート(トルエンジイソシアネート,フェニレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネート等)等}が挙げられ、多価アルコールとしては、エチレングリコール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール,プロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,ネオペンチルグリコール,ポリテトラメチレングリコール,1,3−ブタンジオール,1,4−ブタンジオール,1,6−ヘキサンジオール,トリメチロールプロパン,グリセリン,ペンタエリスリトール,ビスフェノール,水添ビスフェノール,ポリカプロラクトンジオール,ポリエステルジオール及びポリカーボネートジオール等が挙げられ、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールのトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0148】
ラジカル重合性化合物を含有する場合,ラジカル重合性化合物の含有量は,光酸発生剤100部に対して,5〜400000重量部が好ましく,更に好ましくは50〜150000重量部である。
【0149】
ラジカル重合性化合物を含有する場合,これらをラジカル重合によって高分子量化するために,熱又は光によって重合を開始するラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
【0150】
ラジカル重合開始剤としては,公知のラジカル重合開始剤等が使用でき,熱ラジカル重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤が含まれる。
【0151】
熱ラジカル重合開始剤としては,有機過酸化物{ケトンパーオキシド(メチルエチルケトンパーオキシド及びシクロヘキサノンパーオキシド等),パーオキシケタール(2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン及び1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等),ヒドロパーオキシド(tert−ブチルヒドロパーオキシド及びクメンヒドロパーオキシド等),ジアルキルパーオキシド(ジ−tert−ブチルパーオキシド等),ジアシルパーオキシド(イソブチリルパーオキシド,ラウロイルパーオキシド及びベンゾイルパーオキシド等),パーオキシジカーボネート(ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等),パーオキシエステル(tert−ブチルパーオキシイソブチレート及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等)等},及びアゾ化合物{1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル),2,2’−アゾビスイソブチロニトリル,2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル),2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド,2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド,2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド),2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド],2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン),2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)及びジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等}等が挙げられる。
【0152】
光ラジカル重合開始剤としては,アセトフェノン開始剤{アセトフェノン,p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン及び2,2−ジエトキシアセトフェノン等},ベンゾフェノン開始剤{ベンゾフェノン,o−ベンゾイル安息香酸メチル及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等},ミヒラーケトン開始剤{4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等},ベンゾイン開始剤{ベンゾイン,ベンゾインメチルエーテル等},チオキサントン開始剤{チオキサントン,2−メチルチオキサントン,2−エチルチオキサントン,2−クロロチオキサントン,2−イソプロピルチオキサントン及び2,4−ジエチルチオキサントン等}及びアシルホスフィン開始剤{モノアシルホスフィンオキシド及びビスアシルホスフィンオキシド等}等が挙げられる。
【0153】
ラジカル重合開始剤を含有する場合,ラジカル重合開始剤の含有量は,ラジカル重合性化合物100部に対して,0.01〜20重量部が好ましく,更に好ましくは0.1〜10重量部である。
【0154】
本発明のエネルギー線硬化性組成物は,カチオン重合性化合物,光酸発生剤及び必要により添加剤を,室温(20〜30℃程度)又は必要により加熱(40〜90℃程度)下で,均一に混合溶解するか,または更に,3本ロール等で混練して調製することができる。
【0155】
本発明のエネルギー線硬化性組成物は,エネルギー線を照射することにより硬化させて,硬化体を得ることができる。
エネルギー線としては,本発明のスルホニウム塩の分解を誘発するエネルギーを有する限りいかなるものでもよいが,低圧,中圧,高圧若しくは超高圧の水銀灯,メタルハライドランプ,LEDランプ,キセノンランプ,カーボンアークランプ,蛍光灯,半導体固体レーザ,アルゴンレーザ,He−Cdレーザ,KrFエキシマレーザ,ArFエキシマレーザ又はFレーザ等から得られる紫外〜可視光領域(波長:約100〜約800nm)のエネルギー線が好ましい。なお,エネルギー線には,電子線又はX線等の高エネルギーを有する放射線を用いることもできる。
【0156】
エネルギー線の照射時間は,エネルギー線の強度やエネルギー線硬化性組成物に対するエネルギー線の透過性に影響を受けるが,常温(20〜30℃程度)で,0.1秒〜10秒程度で十分である。しかしエネルギー線の透過性が低い場合やエネルギー線硬化性組成物の膜厚が厚い場合等にはそれ以上の時間をかけるのが好ましいことがある。エネルギー線照射後0.1秒〜数分後には,ほとんどのエネルギー線硬化性組成物はカチオン重合により硬化するが,必要であればエネルギー線の照射後,室温(20〜30℃程度)〜150℃で数秒〜数時間加熱しアフターキュアーすることも可能である。
【0157】
本発明のエネルギー線硬化性組成物の具体的な用途としては,塗料,コーティング剤,インキ,インクジェットインキ,ポジ型レジスト,レジストフィルム,液状レジスト,ネガ型レジスト,MEMS用レジスト,ポジ型感光性材料,ネガ型感光性材料,各種接着剤,成形材料,注型材料,パテ,ガラス繊維含浸剤,目止め材,シーリング材,封止材,光半導体(LED)封止材,光導波路材料,ナノインプリント材料,光造用,及びマイクロ光造形用材料等が挙げられる。
【0158】
本発明のスルホニウム塩は,光照射によって強酸が発生することから,公知(特開2003−267968号,特開2003−261529号,特開2002−193925号等)の化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤等としても使用できる。
【0159】
化学増幅型レジスト材料としては,(1)酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる樹脂及び光酸発生剤を必須成分とする2成分系化学増幅型ポジ型レジスト,(2)アルカリ現像液に可溶な樹脂,酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる溶解阻害剤及び光酸発生剤を必須成分とする3成分系化学増幅型ポジ型レジスト,並びに(3)アルカリ現像液に可溶な樹脂,酸の存在下で加熱処理することにより樹脂を架橋しアルカリ現像液に不溶とする架橋剤及び光酸発生剤を必須成分とする化学増幅型ネガ型レジストが含まれる。
【0160】
また,本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物は,光又は放射線照射により酸を発生する化合物である本発明の光酸発生剤を含んでなる成分(A)及び酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂成分(B)を含有することを特徴とする。
【0161】
本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物において,成分(A)は,従来公知の他の光酸発生剤と併用してもよい。他の酸発生剤としては,例えば,オニウム塩化合物,スルホン化合物,スルホン酸エステル化合物,スルホンイミド化合物,ジスルホニルジアゾメタン化合物,ジスルホニルメタン化合物,オキシムスルホネート化合物,ヒドラジンスルホネート化合物,トリアジン化合物,ニトロベンジル化合物,有機ハロゲン化物類及びジスルホン等を挙げることができる。
【0162】
前記オニウム塩化合物としては,例えば,ヨードニウム塩,本発明の一般式(1)で表されるスルホニウム塩以外のスルホニウム塩,ホスホニウム塩,ジアゾニウム塩,アンモニウム塩,ピリジニウム塩等を挙げることができる。
また,前記スルホン化合物としては,例えば,β―ケトスルホン,β―スルホニルスルホンや,これらの,α―ジアゾ化合物等を挙げることができる。
また,前記スルホン酸エステル化合物としては,例えば,アルキルスルホン酸エステル,ハロアルキルスルホン酸エステル,アリールスルホン酸エステル,イミノスルホネート等を挙げることができる。
また,前記イミドスルホネート化合物としては,例えば,下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。
【0163】
【化6】

【0164】
〔一般式(3)において,R12は1価の有機基を示し,R13は2価の有機基を示す。〕
【0165】
また,前記ジスルホニルジアゾメタンとしては,例えば,下記一般式(4)で表される化合物を挙げることができる。
【0166】
【化7】

【0167】
〔一般式(4)において,各R14は相互に独立に直鎖状若しくは分枝鎖状の1価の脂肪族炭化水素基,シクロアルキル基,直鎖状若しくは分枝鎖状の1価のハロゲン置換脂肪族炭化水素基,ハロゲン置換シクロアルキル基,アリール基,ハロゲン化アリール基等を示す。〕
【0168】
また,前記ジスルホニルメタン化合物としては,例えば,下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
【0169】
【化8】

【0170】
〔一般式(5)において,各R15は,相互に独立に直鎖状若しくは分枝鎖状の1価の脂肪族炭化水素基,シクロアルキル基,アリール基,アラルキル基又はヘテロ原子を有する1価の有機基を示し,V及びWは相互に独立にアリール基,水素原子,直鎖状若しくは分枝鎖状の1価の脂肪族炭化水素基又はヘテロ原子を有する1価の他の有機基を示し,かつV及びWの少なくとも一方がアリール基であるか,あるいはVとWが相互に連結して少なくとも1個の不飽和結合を有する単環若しくは多環を形成しているか,あるいはVとWが相互に連結して下記式(6)で表される基を形成している。〕
【0171】
【化9】

【0172】
〔式(6)において,V’及びW’は,相互に独立であり,かつ複数存在するV’同士及びW’同士は,同一でも異なっていてもよく,水素原子,ハロゲン原子,直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基,シクロアルキル基,アリール基又はアラルキル基を示すか,あるいは同一の若しくは異なる炭素原子に結合したV’とW’が相互に連結して炭素環構造を形成しており,xは2〜10の整数である。〕
【0173】
また,前記オキシムスルホネート化合物としては,例えば,下記一般式(7−1)又は一般式(7−2)で表される化合物を挙げることができる。
【0174】
【化10】

【0175】
〔一般式(7−1)及び一般式(7−2)において,R16及びR17は相互に独立に1価の有機基を示し,一般式(7−2)における2個のR16同士及び2個のR17同士は,それぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
上記オキシムスルホネート化合物の具体例としては,α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル,α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル,α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル,α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル,α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル,α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル,α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メチルフェニル)アセトニトリル,α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メトキシフェニル)アセトニトリル,〔2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロキシチオフェン−3−イリデン〕(o−トリル)アセトニトリル,及び下記化学式で表されるものが挙げられる。
【0176】
【化11】

【0177】
また,前記ヒドラジンスルホネート化合物としては,例えば,一般式(8−1)又は一般式(8−2)で表される化合物を挙げることができる。
【0178】
【化12】

【0179】
〔一般式(8−1)及び一般式(8−2)において,R18は1価の有機基を示し,一般式(8−2)における2個のR18は,相互に同一でも異なっていてもよい。〕
【0180】
従来公知の他の光酸発生剤として,好ましくは,オニウム化合物,スルホンイミド化合物,ジアゾメタン化合物及びオキシムスルホネート化合物の群の1種以上が好ましい。
【0181】
そのような従来公知の他の光酸発生剤を併用する場合,その使用割合は任意でよいが,通常,上記一般式(1)で表されるスルホニウム塩100質量部に対し,他の光酸発生剤は10〜900質量部,好ましくは25〜400質量部である。
【0182】
上記成分(A)の含有量は,化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物の固形分中,0.05〜5質量%とすることが好ましい。
【0183】
<酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂成分(B)>
本発明の厚膜用化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物に用いられる,前記「酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂(B)」(本明細書において,「成分(B)」という。)は,ノボラック樹脂(B1),ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2),及びアクリル樹脂(B3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂,又はこれらの混合樹脂若しくは共重合体である。
【0184】
[ノボラック樹脂(B1)]
ノボラック樹脂(B1)としては,下記一般式(b1)で表される樹脂を使用することができる。
【0185】
【化13】

【0186】
上記一般式(b1)中,R1bは,酸解離性溶解抑制基を表し,R2b,R3bは,それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し,nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。
【0187】
更に,上記R1bで表される酸解離性溶解抑制基としては,下記一般式(b2)若しくは(b3)で表される基,炭素数1〜6の直鎖状アルキル基,炭素数3〜6の分枝鎖状アルキル基,炭素数3〜6の環状のアルキル基,テトラヒドロピラニル基,テトラヒドロフラニル基及びトリアルキルシリル基が好ましい。
【0188】
【化14】

【0189】
上記一般式(b2)及び(b3)中,R4b,R5bは,それぞれ独立して水素原子,又は炭素数1〜6の直鎖状アルキル基若しくは炭素数3〜6の分枝鎖状のアルキル基を表し,R6bは,炭素数1〜10の直鎖状アルキル基,炭素数3〜10の分枝鎖状アルキル基,又は炭素数3〜10の環状のアルキル基を表し,R7bは,炭素数1〜6の直鎖状アルキル基,炭素数3〜6の分枝鎖状アルキル基,又は炭素数3〜6の環状のアルキル基を表し,oは0又は1である。
【0190】
上記炭素数1〜6の直鎖状アルキル基又は炭素数3〜6の分枝鎖状アルキル基としては,メチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,tert−ブチル基,ペンチル基,イソペンチル基,ネオペンチル基などが挙げられ,環状のアルキル基としては,シクロペンチル基,シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0191】
ここで,上記一般式(b2)の具体例としては、メトキシエチル基,エトキシエチル基,n−プロポキシエチル基,イソプロポキシエチル基,n−ブトキシエチル基,イソブトキシエチル基,tert−ブトキシエチル基,シクロヘキシロキシエチル基,メトキシプロピル基,エトキシプロピル基,1−メトキシ−1−メチル−エチル基及び1−エトキシ−1−メチルエチル基などが挙げられ,上記一般式(b3)の具体例としては,tert−ブトキシカルボニル基,tert−ブトキシカルボニルメチル基などが挙げられる。また,上記トリアルキルシリル基としては,トリメチルシリル基及びトリ−tert−ブチルジメチルシリル基などが挙げられる。
【0192】
[ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)]
ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)としては,下記一般式(b4)で表される樹脂を使用することができる。
【0193】
【化15】

【0194】
上記一般式(b4)中,R8bは,水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し,R9bは,酸解離性溶解抑制基を表し,nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。
【0195】
上記炭素数1〜6のアルキル基は,炭素数1〜6の直鎖状アルキル基又は炭素数3〜6の分枝鎖状のアルキル基,炭素数3〜6の環状のアルキル基であり,メチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,tert−ブチル基,ペンチル基,イソペンチル基,ネオペンチル基などが挙げられ,環状のアルキル基としては,シクロペンチル基,シクロヘキシル基などが挙げられる。
【0196】
上記R9bで表される酸解離性溶解抑制基としては,上記一般式(b2)及び(b3)に例示したものと同様の酸解離性溶解抑制基を用いることができる。
【0197】
更に,ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2)には,物理的,化学的特性を適度にコントロールする目的で他の重合性化合物を構成単位として含むことができる。このような重合性化合物としては,公知のラジカル重合性化合物や,アニオン重合性化合物が挙げられる。例えば,アクリル酸,メタクリル酸,クロトン酸などのモノカルボン酸類;マレイン酸,フマル酸,イタコン酸などのジカルボン酸類;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸,2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸,2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸,2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基及びエステル結合を有するメタクリル酸誘導体類;メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アクリレート,ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレート,ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル類;マレイン酸ジエチル,フマル酸ジブチルなどのジカルボン酸ジエステル類;スチレン,α−メチルスチレン,クロロスチレン,クロロメチルスチレン,ビニルトルエン,ヒドロキシスチレン,α−メチルヒドロキシスチレン,α−エチルヒドロキシスチレンなどのビニル基含有芳香族化合物類;酢酸ビニルなどのビニル基含有脂肪族化合物類;ブタジエン,イソプレンなどの共役ジオレフィン類;アクリロニトリル,メタクリロニトリルなどのニトリル基含有重合性化合物類;塩化ビニル,塩化ビニリデンなどの塩素含有重合性化合物;アクリルアミド,メタクリルアミドなどのアミド結合含有重合性化合物類などを挙げることができる。
【0198】
[アクリル樹脂(B3)]
アクリル樹脂(B3)としては,下記一般式(b5)〜(b10)で表される樹脂を使用することができる。
【0199】
【化16】

【0200】
【化17】

【0201】
上記一般式(b5)〜(b7)中,R10b〜R17bは,それぞれ独立して水素原子,炭素数1〜6の直鎖状アルキル基,炭素数3〜6の分枝鎖状のアルキル基,フッ素原子,又は炭素数1〜6の直鎖状フッ素化アルキル基若しくは炭素数3〜6の分枝鎖状フッ素化アルキル基を表し,Xは,それが結合している炭素原子とともに炭素数5〜20の炭化水素環を形成し,Yは,置換基を有していてもよい脂肪族環式基又はアルキル基を表し,nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表し,pは0〜4の整数であり,qは0又は1である。
【0202】
なお,上記R10b〜R17bにおける直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基としては,メチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,tert−ブチル基,ペンチル基,イソペンチル基,ネオペンチル基などが挙げられ,環状のアルキル基としては,シクロペンチル基,シクロヘキシル基などが挙げられる。また,フッ素化アルキル基とは,上記アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されたものである。
【0203】
上記R11bとしては,高コントラストで,解像度,焦点深度幅などが良好な点から,炭素数2〜4の直鎖状アルキル基及び炭素数3〜4の分枝鎖状アルキル基が好ましく,上記R13b,R14b,R16b,R17bとしては,水素原子及びメチル基が好ましい。
【0204】
上記Xは,それが結合している炭素原子とともに炭素数5〜20の脂肪族環式基を形成する。このような脂肪族環式基の具体例としては,モノシクロアルカン,ビシクロアルカン,トリシクロアルカン,テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には,シクロペンタン,シクロヘキサン,シクロヘプタン,シクロオクタンなどのモノシクロアルカンや,アダマンタン,ノルボルナン,イソボルナン,トリシクロデカン,テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。特に,シクロヘキサン,アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基(更に置換基を有していてもよい)が好ましい。
【0205】
更に,上記Xの脂肪族環式基が,その環骨格上に置換基を有する場合,該置換基の例としては,水酸基,カルボキシル基,シアノ基,酸素原子(=O)などの極性基及び炭素数1〜4の直鎖状アルキル基又は炭素数3〜4の分枝鎖状の低級アルキル基が挙げられる。極性基としては特に酸素原子(=O)が好ましい。
【0206】
上記Yは,置換基を有していてもよい脂肪族環式基又はアルキル基であり,モノシクロアルカン,ビシクロアルカン,トリシクロアルカン,テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。具体的には,シクロペンタン,シクロヘキサン,シクロヘプタン,シクロオクタンなどのモノシクロアルカンや,アダマンタン,ノルボルナン,イソボルナン,トリシクロデカン,テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。特に,アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基(更に置換基を有していてもよい)が好ましい。
【0207】
更に,上記Yの脂肪族環式基が,その環骨格上に置換基を有する場合,該置換基の例としては,水酸基,カルボキシ基,シアノ基,酸素原子(=O)等の極性基や,炭素数1〜4の直鎖状又は分枝鎖状の低級アルキル基が挙げられる。極性基としては特に酸素原子(=O)が好ましい。
【0208】
また,Yがアルキル基である場合,好ましくは,炭素数1〜20,より好ましくは6〜15の直鎖状アルキル基又は炭素数3〜20,より好ましくは6〜15の分枝鎖状のアルキル基である。このようなアルキル基は,特にアルコキシアルキル基であることが好ましく,このようなアルコキシアルキル基としては,1−メトキシエチル基,1−エトキシエチル基,1−n−プロポキシエチル基,1−イソプロポキシエチル基,1−n−ブトキシエチル基,1−イソブトキシエチル基,1−tert−ブトキシエチル基,1−メトキシプロピル基,1−エトキシプロピル基,1−メトキシ−1−メチル−エチル基,1−エトキシ−1−メチルエチル基などが挙げられる。
【0209】
一般式(b8),一般式(b9)及び一般式(b10)において,R18b,R20b及びR21bは,相互に独立に,水素原子又はメチル基を示し,一般式(b8)において,各R19bは,相互に独立に,水素原子,ヒドロキシル基,シアノ基又はCOOR23b基(但し,R23bは水素原子,炭素数1〜4の直鎖状アルキル基若しくは炭素数3〜4の分枝鎖状アルキル基又は炭素数3〜20のシクロアルキル基を表す。)を示し,一般式(b10)において,各R22bは,相互に独立に,炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導体又は炭素数1〜4の直鎖状アルキル基若しくは炭素数3〜4の分枝鎖状のアルキル基を示し,かつR22bの少なくとも1つが該脂環式炭化水素基若しくはその誘導体であるか,あるいはいずれか2つのR22bが相互に結合して,それぞれが結合している共通の炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導体を形成し,残りのR22bは,炭素数1〜4の直鎖状アルキル基若しくは炭素数3〜4の分枝鎖状のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導体を表す。
【0210】
上記一般式(b5)で表されるアクリル樹脂の好ましい具体例としては,下記一般式(b5−1)〜(b5−3)で表されるものを挙げることができる。
【0211】
【化18】

【0212】
上記一般式(b5−1)〜(b5−3)中,R18bは,水素原子又はメチル基を表し,nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。
【0213】
上記一般式(b6)で示されるアクリル樹脂の好ましい具体例としては,下記一般式(b6−1)〜(b6−28)で示されるものを挙げることができる。
【0214】
【化19】

【0215】
【化20】

【0216】
上記一般式(b7)で表されるアクリル樹脂の好ましい具体例としては,下記一般式(b7−1)〜(b7−22)で表されるものを挙げることができる。
【0217】
【化21】

【0218】
【化22】

【0219】
【化23】

【0220】
上記一般式(b8)で表されるアクリル樹脂の好ましい繰り返し単位としては,例えば,(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル,(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イル,(メタ)アクリル酸3−シアノアダマンタン−1−イル,(メタ)アクリル酸3−カルボキシルアダマンタン−1−イル,(メタ)アクリル酸3,5−ジカルボキシルアダマンタン−1−イル,(メタ)アクリル酸3−カルボキシル−5−ヒドロキシアダマンタン−1−イル,(メタ)アクリル酸3−メトキシカルボニル−5−ヒドロキシアダマンタン−1−イル等の重合性不飽和結合が開裂した単位を挙げることができる。
【0221】
上記一般式(b10)で表されるアクリル樹脂の好ましい繰り返し単位としては,例えば,(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチル,(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチル,(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシル,(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシル,(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イル,(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イル,(メタ)アクリル酸2−n−プロピルアダマンチル−2−イル,(メタ)アクリル酸2−i−プロピルアダマンチル−2−イル,(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチル等の重合性不飽和結合が開裂した単位を挙げることができる。
【0222】
更に,(B3)アクリル樹脂は,上記一般式(b5)〜(b10)で表される構成単位に対して,更にエーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位を含む共重合体からなる樹脂であることが好ましい。
【0223】
このような構成単位は,エーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位である。エーテル結合を有する重合性化合物としては,2−メトキシエチル(メタ)アクリレート,2−エトキシエチル(メタ)アクリレート,メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート,3−メトキシブチル(メタ)アクリレート,エチルカルビトール(メタ)アクリレート,フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート,メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート,テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどのエーテル結合及びエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体などのラジカル重合性化合物を例示することができ,好ましくは,2−メトキシエチル(メタ)アクリレート,2−エトキシエチル(メタ)アクリレート,メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレートである。これらの化合物は,いずれかを単独で用いてもよく,2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0224】
更に,(B3)アクリル樹脂には,物理的,化学的特性を適度にコントロールする目的で,他の重合性化合物を構成単位として含むことができる。このような重合性化合物としては,公知のラジカル重合性化合物や,アニオン重合性化合物が挙げられる。例えば,アクリル酸,メタクリル酸,クロトン酸などのモノカルボン酸類;マレイン酸,フマル酸,イタコン酸などのジカルボン酸類;2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸,2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸,2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸,2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基及びエステル結合を有するメタクリル酸誘導体類;メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アクリレート,ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレート,ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル類;マレイン酸ジエチル,フマル酸ジブチルなどのジカルボン酸ジエステル類;スチレン,α−メチルスチレン,クロロスチレン,クロロメチルスチレン,ビニルトルエン,ヒドロキシスチレン,α−メチルヒドロキシスチレン,α−エチルヒドロキシスチレンなどのビニル基含有芳香族化合物類;酢酸ビニルなどのビニル基含有脂肪族化合物類;ブタジエン,イソプレンなどの共役ジオレフィン類;アクリロニトリル,メタクリロニトリルなどのニトリル基含有重合性化合物類;塩化ビニル,塩化ビニリデンなどの塩素含有重合性化合物;アクリルアミド,メタクリルアミドなどのアミド結合含有重合性化合物類などを挙げることができる。
【0225】
上記成分(B)の中でも,アクリル樹脂(B3)を用いることが好ましい。
【0226】
上記アクリル樹脂(B3)の中でも,上記一般式(b5)〜(b10)で表される構成単位と,エーテル結合を有する重合性化合物から誘導された構成単位と,(メタ)アクリル酸単位と,(メタ)アクリル酸アルキルエステル類からなる構成単位とを有する共重合体であることが好ましい。
【0227】
上記共重合体中における一般式(b5)〜(b10)で表される構成単位の割合は,20〜70質量%であることが好ましい。
【0228】
また,成分(B)のポリスチレン換算重量平均分子量は,好ましくは10,000〜600,000であり,より好ましくは50,000〜600,000であり,更に好ましくは230,000〜550,000である。このような重量平均分子量とすることにより,レジストの樹脂物性が優れたものとなる。
【0229】
更に,成分(B)は,分散度が1.05以上の樹脂であることが好ましい。ここで,「分散度」とは,重量平均分子量を数平均分子量で除した値のことである。このような分散度とすることにより,レジストのメッキ耐性及び樹脂物性が優れたものとなる。
【0230】
上記成分(B)の含有量は,化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物の固形文中,5〜60重量%とすることが好ましい。
【0231】
<アルカリ可溶性樹脂(C)>
本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には,レジストの樹脂物性を向上させるために,更にアルカリ可溶性樹脂(本明細書において,「成分(C)」という。)を含有させることが好ましい。成分(C)としては,ノボラック樹脂(C1),ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2),アクリル樹脂(C3),及びポリビニル樹脂(C4),からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0232】
[ノボラック樹脂(C1)]
ノボラック樹脂(C1)としては,重量平均分子量が1,000〜50,000のものが好ましい。
【0233】
上記ノボラック樹脂(C1)は,例えばフェノール性水酸基を持つ芳香族化合物(以下,単に「フェノール類」と称する)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。この際に使用されるフェノール類としては,例えばフェノール,o−クレゾール,m−クレゾール,p−クレゾール,o−エチルフェノール,m−エチルフェノール,p−エチルフェノール,o−ブチルフェノール,m−ブチルフェノール,p−ブチルフェノール,2,3−キシレノール,2,4−キシレノール,2,5−キシレノール,2,6−キシレノール,3,4−キシレノール,3,5−キシレノール,2,3,5−トリメチルフェノール,3,4,5−トリメチルフェノール,p−フェニルフェノール,レゾルシノール,ヒドロキノン,ヒドロキノンモノメチルエーテル,ピロガロール,フロログリシノール,ヒドロキシジフェニル,ビスフェノールA,没食子酸,没食子酸エステル,α−ナフトール,β−ナフトールなどが挙げられる。
【0234】
また,アルデヒド類としては,例えばホルムアルデヒド,フルフラール,ベンズアルデヒド,ニトロベンズアルデヒド,アセトアルデヒドなどが挙げられる。付加縮合反応時の触媒は,特に限定されるものではないが,例えば酸触媒では,塩酸,硝酸,硫酸,蟻酸,シュウ酸,酢酸などが使用される。
【0235】
なお,o−クレゾールを使用すること,樹脂中の水酸基の水素原子を他の置換基に置換すること,あるいは嵩高いアルデヒド類を使用することにより,樹脂の柔軟性を一層向上させることが可能である。
【0236】
[ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)]
ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)としては,重量平均分子量が1,000〜50,000のものが好ましい。
【0237】
上記ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)を構成するヒドロキシスチレン系化合物としては,p−ヒドロキシスチレン,α−メチルヒドロキシスチレン,α−エチルヒドロキシスチレンなどが挙げられる。更に,ポリヒドロキシスチレン樹脂(C2)は,スチレン樹脂との共重合体とすることが好ましく,このようなスチレン樹脂を構成するスチレン系化合物としては,スチレン,クロロスチレン,クロロメチルスチレン,ビニルトルエン,α−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0238】
[アクリル樹脂(C3)]
アクリル樹脂(C3)としては,重量平均分子量が50,000〜800,000のものが好ましい。
【0239】
このようなアクリル樹脂(C3)としては,エーテル結合を有する重合性化合物から誘導されたモノマー,及びカルボキシル基を有する重合性化合物から誘導されたモノマー単位を含んでなるものが好ましい。
【0240】
上記エーテル結合を有する重合性化合物としては,2−メトキシエチル(メタ)アクリラート,メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリラート,3−メトキシブチル(メタ)アクリラート,エチルカルビトール(メタ)アクリラート,フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリラート,メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリラート,テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラートなどのエーテル結合及びエステル結合を有する(メタ)アクリル酸誘導体などを例示することができ,好ましくは,2−メトキシエチルアクリラート,メトキシトリエチレングリコールアクリラートである。これらの化合物は,いずれか1種を単独で用いてもよく,2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0241】
上記カルボキシル基を有する重合性化合物としては,アクリル酸,メタクリル酸,クロトン酸などのモノカルボン酸,マレイン酸,フマル酸,イタコン酸などのジカルボン酸,2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸,2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸,2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸,2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基及びエステル結合を有する化合物などを例示することができ,好ましくは,アクリル酸,メタクリル酸である。これらの化合物は,いずれか1種を単独で用いてもよく,2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0242】
[ポリビニル樹脂(C4)]
ポリビニル樹脂(C4)としては,重量平均分子量が10,000〜200,000のものが好ましく,50,000〜100,000のものがより好ましい。
【0243】
上記ポリビニル樹脂(C4)は,ポリ(ビニル低級アルキルエーテル)であり,下記一般式(c1)で表されるビニル低級アルキルエーテルのいずれか単独又は2種以上の混合物を重合することにより得られる(共)重合体からなる。
【0244】
【化24】

【0245】
上記式中,R1cは,炭素数1〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を表す。
【0246】
上記ポリビニル樹脂(C4)は,ビニル系化合物から得られる重合体であり,具体的には,ポリビニルメチルエーテル,ポリビニルエチルエーテル,ポリビニルアルコール,及びこれらの共重合体などが挙げられる。中でも,ガラス転移点の低さに鑑みて,ポリビニルメチルエーテルが好ましい。
【0247】
上記成分(C)の含有量は,上記成分(B)100重量部に対して,5〜95重量部とすることが好ましく,より好ましくは10〜90重量部とされる。5重量部以上とすることによりレジストの樹脂物性を向上させることができ,95重量部以下とすることにより現像時の膜減りを防ぐことができる傾向がある。
【0248】
<酸拡散制御剤(D)>
本発明の厚膜用化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には,レジストパターン形状,引き置き安定性などの向上のために,更に酸拡散制御剤(D)(本明細書において,「成分(D)」という。)を含有させることが好ましい。成分(D)としては,含窒素化合物(D1)が好ましく,更に必要に応じて,有機カルボン酸(D2),又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体(D3)を含有させることができる。
【0249】
[含窒素化合物(D1)]
含窒素化合物(D1)としては,トリメチルアミン,ジエチルアミン,トリエチルアミン,ジ−n−プロピルアミン,トリ−n−プロピルアミン,トリベンジルアミン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン,n−ヘキシルアミン,n−ヘプチルアミン,n−オクチルアミン,n−ノニルアミン,エチレンジアミン,N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン,テトラメチレンジアミン,ヘキサメチレンジアミン,4,4’−ジアミノジフェニルメタン,4,4’−ジアミノジフェニルエーテル,4,4’−ジアミノベンゾフェノン,4,4’−ジアミノジフェニルアミン,ホルムアミド,N−メチルホルムアミド,N,N−ジメチルホルムアミド,アセトアミド,N−メチルアセトアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,プロピオンアミド,ベンズアミド,ピロリドン,N−メチルピロリドン,メチルウレア,1,1−ジメチルウレア,1,3−ジメチルウレア,1,1,3,3,−テトラメチルウレア,1,3−ジフェニルウレア,イミダゾール,ベンズイミダゾール,4−メチルイミダゾール,8−オキシキノリン,アクリジン,プリン,ピロリジン,ピペリジン,2,4,6−トリ(2−ピリジル)−S−トリアジン,モルホリン,4−メチルモルホリン,ピペラジン,1,4−ジメチルピペラジン,1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタンなどを挙げることができる。これらのうち,特にトリエタノールアミンのようなアルカノールアミンが好ましい。これらはいずれかを単独で用いてもよく,2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0250】
上記含窒素化合物(D1)は,上記成分(B)及び成分(C)の合計重量100重量部に対して,通常0〜5重量部の範囲で用いられ,特に0〜3重量部の範囲で用いられることが好ましい。
【0251】
[有機カルボン酸(D2)]
有機カルボン酸(D2)としては,具体的には,マロン酸,クエン酸,リンゴ酸,コハク酸,安息香酸,サリチル酸などが好適であり,特にサリチル酸が好ましい。
【0252】
[リンのオキソ酸若しくはその誘導体(D3)]
リンのオキソ酸又はその誘導体(D3)の例としては,リン酸,リン酸ジ−n−ブチルエステル,リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体;ホスホン酸,ホスホン酸ジメチルエステル,ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル,フェニルホスホン酸,ホスホン酸ジフェニルエステル,ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体;ホスフィン酸,フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ,これらの中で特にホスホン酸が好ましい。これらは単独で用いてもよく,2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0253】
(D2)又は(D3)は,上記成分(B)及び成分(C)の合計重量100重量部に対して,通常0〜5重量部の範囲で用いられ,特に0〜3重量部の範囲で用いられることが好ましい。
【0254】
また,塩を形成させて安定させるために,(D2)又は(D3)は,上記含窒素化合物(D1)と同等量を用いることが好ましい。
【0255】
また,本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には,基板との接着性を向上させるために,接着助剤を更に含有させることもできる。使用される接着助剤としては,官能性シランカップリング剤が好ましい。具体的な官能性シランカップリング剤としては,カルボキシル基,メタクリロイル基,イソシアナート基,エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤であり,具体例としては,トリメトキシシリル安息香酸,γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,ビニルトリアセトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。この接着助剤の含有量は,上記成分(B)及び成分(C)の合計重量100重量部に対して,20重量部以下であることが好ましい。
【0256】
また,本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には,塗布性,消泡性,レベリング性などを向上させるために,界面活性剤を更に含有させることもできる。界面活性剤の例としては,BM−1000,BM−1100(いずれも商品名;BMケミー社製),メガファックF142D,メガファックF172,メガファックF173,メガファックF183(いずれも商品名;大日本インキ化学工業社製),フロラードFC−135,フロラードFC−170C,フロラードFC−430,フロラードFC−431(いずれも商品名;住友スリーエム社製),サーフロンS−112,サーフロンS−113,サーフロンS−131,サーフロンS−141,サーフロンS−145(いずれも商品名;旭硝子社製),SH−28PA,SH−190,SH−193,SZ−6032,SF−8428(いずれも商品名;東レシリコーン社製)などの市販のフッ素系界面活性剤が挙げられるが,これらに限定されない。
【0257】
また,本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には,アルカリ現像液に対する溶解性の微調整を行うために,酸,酸無水物,又は高沸点溶媒を更に含有させることもできる。酸及び酸無水物の例としては,酢酸,プロピオン酸,n−酪酸,イソ酪酸,n−吉草酸,イソ吉草酸,安息香酸,桂皮酸などのモノカルボン酸;乳酸,2−ヒドロキシ酪酸,3−ヒドロキシ酪酸,サリチル酸,m−ヒドロキシ安息香酸,p−ヒドロキシ安息香酸,2−ヒドロキシ桂皮酸,3−ヒドロキシ桂皮酸,4−ヒドロキシ桂皮酸,5−ヒドロキシイソフタル酸,シリンギン酸などのヒドロキシモノカルボン酸;シュウ酸,コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,マレイン酸,イタコン酸,ヘキサヒドロフタル酸,フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,1,2−シクロヘキサンジカルボン酸,1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸,ブタンテトラカルボン酸,トリメリット酸,ピロメリット酸,シクロペンタンテトラカルボン酸,ブタンテトラカルボン酸,1,2,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸;無水イタコン酸,無水コハク酸,無水シトラコン酸,無水ドデセニルコハク酸,無水トリカルバニル酸,無水マレイン酸,無水ヘキサヒドロフタル酸,無水メチルテトラヒドロフタル酸,無水ハイミック酸,1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物,シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物,無水フタル酸,無水ピロメリット酸,無水トリメリット酸,無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸,エチレングリコールビス無水トリメリタート,グリセリントリス無水トリメリタートなどの酸無水物,といったものを挙げることができる。また,高沸点溶媒の例としては,N−メチルホルムアミド,N,N−ジメチルホルムアミド,N−メチルホルムアニリド,N−メチルアセトアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドン,ジメチルスルホキシド,ベンジルエチルエーテル,ジヘキシルエーテル,アセトニルアセトン,イソホロン,カプロン酸,カプリル酸,1−オクタノール,1−ノナノール,ベンジルアルコール,酢酸ベンジル,安息香酸エチル,シュウ酸ジエチル,マレイン酸ジエチル,γ−ブチロラクトン,炭酸エチレン,炭酸プロピレン,フェニルセロソルブアセタートなどを挙げることができる。上述したようなアルカリ現像液に対する溶解性の微調整を行うための化合物の使用量は,用途・塗布方法に応じて調整することができ,組成物を均一に混合させることができれば特に限定されるものではないが,得られる組成物全重量に対して60重量%以下,好ましくは40重量%以下とする。
【0258】
また,本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には,基本的に増感剤の必要がないが,感度を補完するものとして,必要により,増感剤を含有できる。このような増感剤としては,従来公知のものが使用でき,具体的には,アントラセン{アントラセン,9,10−ジブトキシアントラセン,9,10−ジメトキシアントラセン,9,10−ジエトキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン,2−tert−ブチル−9,10−ジメトキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジメトキシアントラセン,9−メトキシ−10−メチルアントラセン,9,10−ジエトキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン,2−tert−ブチル−9,10−ジエトキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジエトキシアントラセン,9−エトキシ−10−メチルアントラセン,9,10−ジプロポキシアントラセン,9,10−ジイソプロポキシアントラセン,9,10−ジエトキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン,2−tert−ブチル−9,10−ジプロポキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジプロポキシアントラセン,9−イソプロポキシ−10−メチルアントラセン,9,10−ジベンジルオキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン,2−tert−9,10−ジベンジルオキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン,9−ベンジルオキシ−10−メチルアントラセン,9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン,2−tert−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン,9−(α−メチルベンジルオキシ)−10−メチルアントラセン,9,10−ジフェニルアントラセン,9−メトキシアントラセン,9−エトキシアントラセン,9−メチルアントラセン,9−ブロモアントラセン,9−メチルチオアントラセン及び9−エチルチオアントラセン等};ピレン;1,2−ベンズアントラセン;ペリレン;テトラセン;コロネン;チオキサントン{チオキサントン,2−メチルチオキサントン,2−エチルチオキサントン,2−クロロチオキサントン,2−イソプロピルチオキサントン及び2,4−ジエチルチオキサントン等};フェノチアジン{フェノチアジン,N−メチルフェノチアジン,N−エチルフェノチアジン,N−フェニルフェノチアジン等};キサントン;ナフタレン{1−ナフトール,2−ナフトール,1−メトキシナフタレン,2−メトキシナフタレン,1,4−ジヒドロキシナフタレン,1,5−ジヒドロキシナフタレン,1,6−ジヒドロキシナフタレン,2,7−ジヒドロキシナフタレン,2,7−ジメトキシナフタレン,1,1′−チオビス(2−ナフトール),1,1′−ビ−(2−ナフトール)及び4−メトキシ−1−ナフトール等};ケトン{ジメトキシアセトフェノン,ジエトキシアセトフェノン,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン,4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン,2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン,2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン,p−ジメチルアミノアセトフェノン,p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン,p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン,p−アジドベンザルアセトフェノン,1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン,ベンゾイン,ベンゾインメチルエーテル,ベンゾインエチルエーテル,ベンゾインイソプロピルエーテル,ベンゾイン−n−ブチルエーテル,ベンゾインイソブチルエーテル,1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン,ベンゾフェノン,o−ベンゾイル安息香酸メチル,ミヒラーケトン,4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン,4,4’−ジクロロベンゾフェノン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等};カルバゾール{N−フェニルカルバゾール,N−エチルカルバゾール,ポリ−N−ビニルカルバゾール及びN−グリシジルカルバゾール等};クリセン{1,4−ジメトキシクリセン,1,4−ジエトキシクリセン,1,4−ジプロポキシクリセン,1,4−ジベンジルオキシクリセン及び1,4−ジ−α−メチルベンジルオキシクリセン等};フェナントレン{9−ヒドロキシフェナントレン,9−メトキシフェナントレン,9−エトキシフェナントレン,9−ベンジルオキシフェナントレン,9,10−ジメトキシフェナントレン,9,10−ジエトキシフェナントレン,9,10−ジプロポキシフェナントレン,9,10−ジベンジルオキシフェナントレン,9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシフェナントレン,9−ヒドロキシ−10−メトキシフェナントレン及び9−ヒドロキシ−10−エトキシフェナントレン等};クマリン等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく,2種以上を混合して用いてもよい。
【0259】
これらの増感剤の使用量は,上記一般式(1)で表されるスルホニウム塩100重量部に対し,5〜500重量部,好ましくは10〜300重量部である。
【0260】
また,本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物には,粘度調整のため有機溶剤を適宜配合することができる。有機溶剤としては具体的には,アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノン,メチルイソアミルケトン,2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール,エチレングリコールモノアセテート,ジエチレングリコール,ジエチレングリコールモノアセテート,プロピレングリコール,プロピレングリコールモノアセテート,ジプロピレングリコール,及びジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル,モノエチルエーテル,モノプロピルエーテル,モノブチルエーテル,又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;蟻酸エチル,乳酸メチル,乳酸エチル,酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸ブチル,ピルビン酸メチル,アセト酢酸メチル,アセト酢酸エチル,ピルビン酸エチル,エトキシ酢酸エチル,メトキシプロピオン酸メチル,エトキシプロピオン酸エチル,2−ヒドロキシプロピオン酸メチル,2−ヒドロキシプロピオン酸エチル,2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル,2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル,3−メトキシブチルアセテート,3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどのエステル類;トルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素類を挙げることができる。これらはいずれか1種を単独で用いてもよく,2種以上を混合して用いてもよい。
【0261】
これらの有機溶剤の使用量は,本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物を(例えば,スピンコート法)使用して得られるフォトレジスト層の膜厚が5μm以上となるよう,固形分濃度が30重量%以上となる範囲が好ましい。
【0262】
本発明の厚膜用化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物の調製は,例えば,上記各成分を通常の方法で混合,攪拌するだけでよく,必要に応じ,ディゾルバー,ホモジナイザー,3本ロールミルなどの分散機を用いて分散,混合させてもよい。また,混合した後で,更にメッシュ,メンブレンフィルターなどを用いて濾過してもよい。
【0263】
本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物は,支持体上に,通常5〜150μm,より好ましくは10〜120μm,更に好ましくは10〜100μmの膜厚のフォトレジスト層を形成するのに適している。このフォトレジスト積層体は,支持体上に本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物からなるフォトレジスト層が積層されているものである。
【0264】
支持体としては,特に限定されず,従来公知のものを用いることができ,例えば,電子部品用の基板や,これに所定の配線パターンが形成されたものなどを例示することができる。この基板としては,例えば,シリコン,窒化シリコン,チタン,タンタル,パラジウム,チタンタングステン,銅,クロム,鉄,アルミニウムなどの金属製の基板やガラス基板などが挙げられる。特に,本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物は,銅基板上においても良好にレジストパターンを形成することができる。配線パターンの材料としては,例えば銅,ハンダ,クロム,アルミニウム,ニッケル,金などが用いられる。
【0265】
上記フォトレジスト積層体は,例えば以下のようにして製造することができる。すなわち,上述したように調製した化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物の溶液を支持体上に塗布し,加熱により溶媒を除去することによって所望の塗膜を形成する。支持体上への塗布方法としては,スピンコート法,スリットコート法,ロールコート法,スクリーン印刷法,アプリケーター法などの方法を採用することができる。本発明の組成物の塗膜のプレベーク条件は,組成物中の各成分の種類,配合割合,塗布膜厚などによって異なるが,通常は70〜150℃,好ましくは80〜140℃で,2〜60分間程度とすればよい。
【0266】
フォトレジスト層の膜厚は,通常5〜150μm,好ましくは10〜120μm,より好ましくは10〜100μmの範囲とすればよい。
【0267】
このようにして得られたフォトレジスト積層体を用いてレジストパターンを形成するには,得られたフォトレジスト層に,所定のパターンのマスクを介して,光又は放射線,例えば波長が300〜500nmの紫外線又は可視光線を部位選択的に照射(露光)すればよい。
【0268】
ここに,「光」は,酸を発生するために酸発生剤を活性化させる光であればよく,紫外線,可視光線,遠紫外線を包含し,また「放射線」は,X線,電子線,イオン線等を意味する。光又は放射線の線源としては,低圧水銀灯,高圧水銀灯,超高圧水銀灯,メタルハライドランプ,アルゴンガスレーザー,LEDランプなどを用いることができる。また,放射線照射量は,組成物中の各成分の種類,配合量,塗膜の膜厚などによって異なるが,例えば超高圧水銀灯使用の場合,50〜10,000mJ/cmである。
【0269】
そして,露光後,公知の方法を用いて加熱することにより酸の拡散を促進させて,この露光部分のフォトレジスト層のアルカリ溶解性を変化させる。ついで,例えば,所定のアルカリ性水溶液を現像液として用いて,不要な部分を溶解,除去して所定のレジストパターンを得る。
【0270】
現像液としては,例えば水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,炭酸ナトリウム,ケイ酸ナトリウム,メタケイ酸ナトリウム,アンモニア水,エチルアミン,n−プロピルアミン,ジエチルアミン,ジ−n−プロピルアミン,トリエチルアミン,メチルジエチルアミン,ジメチルエタノールアミン,トリエタノールアミン,テトラメチルアンモニウムヒドロキシド,テトラエチルアンモニウムヒドロキシド,ピロール,ピペリジン,1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン,1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノナンなどのアルカリ類の水溶液を使用することができる。また,前記アルカリ類の水溶液にメタノール,エタノール,イソプロパノールなどの水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
【0271】
現像時間は,組成物各成分の種類,配合割合,組成物の乾燥膜厚によって異なるが,通常1〜30分間であり,また現像の方法は液盛り法,ディッピング法,パドル法,スプレー現像法などのいずれでもよい。現像後は,流水洗浄を30〜90秒間行い,エアーガンや,オーブンなどを用いて乾燥させる。
【0272】
このようにして得られたレジストパターンの非レジスト部(アルカリ現像液で除去された部分)に,例えばメッキなどによって金属などの導体を埋め込むことにより,メタルポストやバンプなどの接続端子を形成することができる。なお,メッキ処理方法は特に制限されず,従来から公知の各種方法を採用することができる。メッキ液としては,特にハンダメッキ,銅メッキ,金メッキ,ニッケルメッキ液が好適に用いられる。残っているレジストパターンは,最後に,定法に従って,剥離液などを用いて除去する。
【0273】
本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物はドライフィルムとしても使用できる。このドライフィルムは,本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物からなる層の両面に保護膜が形成されたものである。化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物からなる層の膜厚は,通常5〜150μm,好ましくは20〜120μm,より好ましくは20〜80μmの範囲とすればよい。また,保護膜は,特に限定されるものではなく,従来ドライフィルムに用いられている樹脂フィルムを用いることができる。一例としては,一方をポリエチレンテレフタレートフィルムとし,他方をポリエチレンテレフタレートフィルム,ポリプロピレンフィルム,及びポリエチレンフィルムからなる群より選ばれる1種とすることができる。
【0274】
上記のような化学増幅型ポジ型ドライフィルムは,例えば以下のようにして製造することができる。すなわち,上述したように調製した化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物の溶液を一方の保護膜上に塗布し,加熱により溶媒を除去することによって所望の塗膜を形成する。乾燥条件は,組成物中の各成分の種類,配合割合,塗布膜厚などによって異なるが,通常は60〜100℃で,5〜20分間程度でよい。
【0275】
このようにして得られた化学増幅型ドライフィルムを用いてレジストパターンを形成するには,化学増幅型ポジ型ドライフィルムの一方の保護膜を剥離し,露出面を上記した支持体側に向けた状態で支持体上にラミネートし,フォトレジスト層を得,その後,プレベークを行ってレジストを乾燥させた後に,他方の保護膜を剥離すればよい。
【0276】
このようにして支持体上に得られたフォトレジスト層には,支持体上に直接に塗布することにより形成したフォトレジスト層に関して上記したのと同様の方法で,レジストパターンを形成することができる。
【実施例】
【0277】
以下,実施例により本発明を更に説明するが,本発明がそれらの実施例に限定されること意図しない。なお,以下において,特記しない限り,「部」は重量部,「%」は重量%を意味する。
【0278】
〔スルホニウム塩混合物の製造−工程1〕
(製造例1)[4−(トリメチルシリル)フェニル]フェニルスルフィドと[4−(トリメチルシリル)フェニル]フェニルスルホキシドの混合物の製造
[4−(トリメチルシリル)フェニル]フェニルスルフィド10.0部,アセトニトリル40.0部,硫酸0.19部を仕込み均一に混合後,50℃に昇温して30%過酸化水素水溶液2.19部を10分間かけて滴下した。その後65℃で3時間反応させ,反応溶液を室温(約25℃)まで冷却後,ジクロロメタン150部を加え,蒸留水200部でpHが中性になるまで分液操作にて洗浄した。ジクロロメタン層をロータリーエバポレーターに移して溶媒を留去することにより,褐色液状の[4−(トリメチルシリル)フェニル]フェニルスルフィドを48.5%と[4−(トリメチルシリル)フェニル]フェニルスルホキシドを51.5%含む混合物を9.8部得た。[4−(トリメチルシリル)フェニル]フェニルスルホキシドのH−NMRデータ:{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.5〜7.8(6H,m)、7.1〜7.4(3H,m)、0.2(9H,s)}。含有量は混合物のHPLC分析によるピーク面積比より算出した。
【0279】
(製造例2)[4−(トリメチルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルフィドと[4−(トリメチルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルホキシドの混合物の製造
[4−(トリメチルシリル)フェニル]フェニルスルフィド10.0部を,[4−(トリメチルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルフィド10.5部に変更した以外,製造例1と同様にして,褐色液状の[4−(トリメチルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルフィドを49%と[4−(トリメチルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルホキシドを51%含む混合物を9.2部得た。[4−(トリメチルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルホキシドのH−NMRデータ:{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.5〜7.8(6H,m)、7.1〜7.4(3H,m)、0.2(9H,s)}。含有量は混合物のHPLC分析によるピーク面積比より算出した。
【0280】
(製造例3)[4−(トリフェニルシリル)フェニル]フェニルスルフィドと[4−(トリフェニルシリル)フェニル]フェニルスルホキシドの混合物の製造
[4−(トリフェニルシリル)フェニル]フェニルスルフィド10.0部,アセトニトリル40.0部,硫酸0.11部を仕込み均一に混合後,50℃に昇温して30%過酸化水素水溶液1.28部を10分間かけて滴下した。その後65℃で3時間反応させ,反応溶液を室温(約25℃)まで冷却後,ジクロロメタン150部を加え,蒸留水200部で
pHが中性になるまで分液操作にて洗浄した。ジクロロメタン層をロータリーエバポレーターに移して溶媒を留去することにより,褐色液状の[4−(トリフェニルシリル)フェニル]フェニルスルフィドを49%と[4−(トリフェニルシリル)フェニル]フェニルスルホキシドを51%含む混合物を9.7部得た。[4−(トリフェニルシリル)フェニル]フェニルスルホキシドのH−NMRデータ:{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.5〜7.8(12H,m)、7.1〜7.4(12H,m)}。含有量は混合物のHPLC分析によるピーク面積比より算出した。
【0281】
(製造例4)[4−(トリフェニルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルフィドと[4−(トリフェニルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルホキシドの混合物の製造
[4−(トリフェニルシリル)フェニル]フェニルスルフィド10.0部を,[4−(トリフェニルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルフィド10.3部に変更した以外,製造例3と同様にして,褐色液状の[4−(トリフェニルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルフィドを49%と[4−(トリフェニルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルホキシドを51%含む混合物を10.0部得た。[4−(トリフェニルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルホキシドのH−NMRデータ:{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.5〜7.8(11H,m)、7.1〜7.4(12H,m)、2.4(3H,s)}。含有量は混合物のHPLC分析によるピーク面積比より算出した。
【0282】
〔実施例1〕
[4−(4−トリメチルシリル)フェニルチオ]フェニル(4−トリメチルシリル)フェニルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの製造
【0283】
【化25】

【0284】
製造例1で製造した[4−(トリメチルシリル)フェニル]フェニルスルフィドと[4−(トリメチルシリル)フェニル]フェニルスルホキシドの混合物4.8部をメタンスルホン酸23.3部に溶解し,室温で無水酢酸2.8部を滴下した。その後,60℃で6時間反応させ,反応溶液を室温(約25℃)まで冷却後,蒸留水200部の中に投入した。
ここに,攪拌下,10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液52.7部を滴下し,室温(約25℃)で3時間撹拌を継続後,ジクロロメタン 80部を加え,目的物を抽出した。有機層(ジクロロメタン層)を分液後,水で5回洗浄し,有機層をロータリーエバポレーターに移して溶媒を留去後,残渣をトルエン/ヘキサン溶液で洗浄することにより,[4−(4−トリメチルシリル)フェニルチオ]フェニル(4−トリメチルシリル)フェニルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを7.4部得た。生成物はH−NMR,赤外吸光分光分析(IR),LC−MSにて同定した。{H−NMR:d6−ジメチルスルホキシド;δ(ppm)7.6〜8.0(9H,m)、7.2〜7.6(8H,m)、0.2〜0.3(18H,s)。IR(KBr錠剤法:C−F結合特性吸収;1200cm−1付近。LC−MS:分子イオンピーク;516。
【0285】
〔実施例2〕
[4−(4−トリメチルシリル)フェニルチオ]フェニル(4−トリメチルシリル)フェニルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの製造
【0286】
【化26】

【0287】
「10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液52.7部」を「10%テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム水溶液74.6部」に変更したこと以外,実施例1と同様にして,[4−(4−トリメチルシリル)フェニルチオ]フェニル(4−トリメチルシリル)フェニルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを9.2部得た。生成物はH−NMR,赤外吸光分光分析(IR),LC−MSにて同定した。{H−NMR:d6−ジメチルスルホキシド;δ(ppm)7.6〜8.0(9H,m)、7.2〜7.6(8H,m)、0.2〜0.3(18H,s)。IR(KBr錠剤法):B−C結合特性吸収;980cm−1付近。LC−MS:分子イオンピーク;516。
【0288】
〔実施例3〕
[4−(4−トリメチルシリル)フェニルチオ]フェニル(4−トリメチルシリル)フェニルフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネートの製造
【0289】
【化27】

【0290】
「10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液52.7部」を「5%ヘキサフルオロアンチモン酸カリウム水溶液150部」に変更したこと以外,実施例1と同様にして,[4−(4−トリメチルシリル)フェニルチオ]フェニル(4−トリメチルシリル)フェニルフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネートを5.8部得た。生成物はH−NMR,赤外吸光分光分析(IR),LC−MSにて同定した。{H−NMR:d6−ジメチルスルホキシド;δ(ppm)7.6〜8.0(9H,m)、7.2〜7.6(8H,m)、0.2〜0.3(18H,s)。IR(KBr錠剤法):Sb−F結合特性吸収;650cm−1付近。LC−MS:分子イオンピーク;516。
【0291】
〔実施例4〕
[4−(4−トリメチルシリル)フェニルチオ]フェニル(4−トリメチルシリル)フェニルフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェートの製造
【0292】
【化28】

【0293】
「10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液52.7部」を「5%ヘキサフルオロリン酸カリウム水溶液100部」に変更したこと以外,実施例1と同様にして,[4−(4−トリメチルシリル)フェニルチオ]フェニル(4−トリメチルシリル)フェニルフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェートを5.1部得た。
生成物はH−NMR,赤外吸光分光分析(IR),LC−MSにて同定した。{H−NMR:d6−ジメチルスルホキシド;δ(ppm)7.6〜8.0(9H,m)、7.2〜7.6(8H,m)、0.2〜0.3(18H,s)。IR(KBr錠剤法):P−F結合特性吸収;840cm−1付近。LC−MS:分子イオンピーク;516。
【0294】
〔実施例5〕
[4−(4−トリメチルシリル)フェニルチオ]フェニル(4−トリメチルシリル)フェニルフェニルスルホニウム ノナフルオロブタンスルホネートの製造
【0295】
【化29】

【0296】
「10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液52.7部」を「5%ノナフルオロブタンスルホン酸ナトリウム水溶液63.1部」に変更したこと以外,実施例1と同様にして,[4−(4−トリメチルシリル)フェニルチオ]フェニル(4−トリメチルシリル)フェニルフェニルスルホニウム ノナフルオロブタンスルホネートを6.0部得た。
生成物はH−NMR,赤外吸光分光分析(IR),LC−MSにて同定した。{H−NMR:d6−ジメチルスルホキシド;δ(ppm)7.6〜8.0(9H,m)、7.2〜7.6(8H,m)、0.2〜0.3(18H,s)。IR(KBr錠剤法:C−F結合特性吸収;1200cm−1付近。LC−MS:分子イオンピーク;516。
【0297】
〔実施例6〕
[4−(4−トリメチルシリル)フェニルチオ]−3−メチルフェニル(4−トリメチルシリル)フェニル2−メチルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの製造
【0298】
【化30】

【0299】
[4−(トリメチルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルフィドと[4−(トリメチルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルホキシドの混合物4.8部を製造例2で製造した[4−(トリメチルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルフィドと[4−(トリメチルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルホキシドの混合物5.1部に変更した以外,実施例1と同様にして,[4−(4−トリメチルシリル)フェニルチオ]−3−メチルフェニル(4−トリメチルシリル)フェニル2−メチルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを7.6部得た。
生成物はH−NMR,赤外吸光分光分析(IR),LC−MSにて同定した。{H−NMR:d6−ジメチルスルホキシド;δ(ppm)7.6〜8.0(8H,m)、7.2〜7.6(7H,m)、2.4〜2.5(6H,d)、0.2〜0.3(18H,s)。IR(KBr錠剤法:C−F結合特性吸収;1200cm−1付近。LC−MS:分子イオンピーク;572。
【0300】
〔実施例7〕
[4−(4−トリフェニルシリル)フェニルチオ]フェニル(4−トリフェニルシリル)フェニルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの製造
【0301】
【化31】

【0302】
[4−(トリメチルシリル)フェニル]フェニルスルフィドと[4−(トリメチルシリル)フェニル]フェニルスルホキシドの混合物4.8部を製造例3で製造した[4−(トリフェニルシリル)フェニル]フェニルスルフィドと[4−(トリフェニルシリル)フェニル]フェニルスルホキシドの混合物8.2部に,メタンスルホン酸23.3部を38.8部に変更した以外,実施例1と同様にして,[4−(4−トリフェニルシリル)フェニルチオ]フェニル(4−トリフェニルシリル)フェニルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを10.3部得た。
生成物はH−NMR,赤外吸光分光分析(IR),LC−MSにて同定した。{H−NMR:d6−ジメチルスルホキシド;δ(ppm)7.6〜8.0(9H,m)、7.2〜7.6(38H,m)。IR(KBr錠剤法:C−F結合特性吸収;1200cm−1付近。LC−MS:分子イオンピーク;888。
【0303】
〔実施例8〕
[4−(4−トリフェニルシリル)フェニルチオ]−3−メチルフェニル(4−トリフェニルシリル)フェニル2−メチルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの製造
【0304】
【化32】

【0305】
[4−(トリメチルシリル)フェニル]フェニルスルフィドと[4−(トリメチルシリル)フェニル]フェニルスルホキシドの混合物4.8部を製造例4で製造した[4−(トリフェニルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルフィドと[4−(トリフェニルシリル)フェニル]2−メチルフェニルスルホキシドの混合物8.5部に,メタンスルホン酸23.3部を38.8部に変更した以外,実施例1と同様にして,[4−(4−トリフェニルシリル)フェニルチオ]−3−メチルフェニル(4−トリフェニルシリル)フェニル2−メチルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを10.5部得た。
生成物はH−NMR,赤外吸光分光分析(IR),LC−MSにて同定した。{H−NMR:d6−ジメチルスルホキシド;δ(ppm)7.6〜8.0(8H,m)、7.2〜7.6(37H,m)、2.4〜2.5(6H,d)。IR(KBr錠剤法:C−F結合特性吸収;1200cm−1付近。LC−MS:分子イオンピーク;916。
【0306】
〔比較例1〕
CPI−110P〔4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート,サンアプロ株式会社製〕を比較用のスルホニウム塩とした。
【0307】
〔比較例2〕
CPI−110A〔4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート,サンアプロ株式会社製〕を比較用のスルホニウム塩とした。
【0308】
〔比較例3〕
4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの合成
【0309】
【化33】

【0310】
ジフェニルスルホキシド12.1部,ジフェニルスルフィド9.3部及びメタンスルホン酸43.0部を撹拌しながら,これに無水酢酸7.9部を滴下し,40〜50℃で5時間反応させた後,室温(約25℃)まで冷却し,この反応溶液を20%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液121部中に投入し,室温(約25℃)で1時間撹拌して,黄色のやや粘調な油状物が析出した。この油状物を酢酸エチルにて抽出し,有機層を水で数回洗浄した後,有機層から溶剤を留去し,得られた残渣にトルエンを加えて溶解した後,ヘキサンを加え,10℃で1時間よく撹拌した後静置した。1時間後,溶液は2層に分離したため,上層を分液によって除いた。残った下層にヘキサンを加え,室温(約25℃)でよく混合すると淡黄色の結晶が析出した。これをろ別し,減圧乾燥して,4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを収率60%で得た。生成物はH−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.72〜7.87(12H,m),7.54〜7.63(5H,m),7.42(2H,d)}。また,赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により,1200cm−1付近にC−F結合の吸収を確認した。
【0311】
〔比較例4〕
4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの合成
【0312】
【化34】

【0313】
「20%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液121部」を「10%テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム342.9部」に変更したこと以外,比較例3と同様にして,4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを収率60%で得た。生成物はH−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.72〜7.87(12H,m),7.54〜7.63(5H,m),7.42(2H,d)}。また,赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により,980cm−1付近にB−C結合の吸収を確認した。
【0314】
〔比較例5〕
ジフェニル−2−チオキサントニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの合成
【0315】
【化35】

【0316】
製造例7で合成した2−(フェニルチオ)チオキサントン15.0部,ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート4.4.9部,安息香酸銅(II)0.4部及びクロロベンゼン300部を均一混合し,120〜125℃で3時間反応させた後,反応溶液を室温(約25℃)まで冷却し,蒸留水300部中に投入し,生成物を析出させた。これをろ過し,残渣を水で濾液のpHが中性になるまで洗浄し,残渣を減圧乾燥した後,ジエチルエーテル100部を加えて超音波洗浄器でジエチルエーテル中に分散し約15分間静置してから上澄みを除く操作を3回繰り返して,生成した固体を洗浄した。ついで,固体をロータリーエバポレーターに移して,溶媒を留去することにより,黄色固体を得た。この黄色固体をジクロロメタン770部に溶かし,10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液342部中に投入した後,室温(約25℃)で2時間撹拌し,有機層を水で数回洗浄し,減圧乾燥することにより,ジフェニル−2−チオキサントニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを収率98%,純度85%で得た。生成物はH−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)8.72(1H,s),8.47(1H,d),8.30(1H,d),8.13(2H,d),7.78〜7.98(11H,m),7.70(1H,t)}。純度はHPLCにより定量した。また,赤外吸光分析(KBr錠剤法)により,1200cm−1付近にC−F結合の吸収を確認した。
【0317】
<エネルギー線硬化性組成物の評価>
1.硬化性組成物の調製
評価試料{実施例1〜4及び6〜8,比較例1〜5のスルホニウム塩}と,エポキシド(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート,ダウケミカル株式会社製,UVR−6110)とを表1に示した配合量(重量部)で60℃にて加熱し,均一混合して,光硬化性試験用の組成物を調製した。
【0318】
なお,実施例4および比較例1で得たスルホニウム塩は,ヘキサフルオロリン酸塩であり,実施例1〜3,6〜8および比較例2〜5で得たトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸塩,ヘキサフルオロアンチモン酸塩及びテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩よりも,発生する酸の強度が弱く,カチオン重合に対する活性が低いため,スルホニウム塩の配合量を多くした。
【0319】
【表1】

【0320】
2.光硬化性評価
上記で得た硬化性組成物をアプリケーター(40μm)でポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗布した。PETフィルムに紫外線照射装置を用いて,フィルターによって波長を限定した紫外光を照射した。なお,フィルターは365フィルター(アイグラフィックス株式会社製,365nm未満の光をカットするフィルター)とL−34(株式会社ケンコー光学製,340nm未満の光をカットするフィルター)を併用した。照射後,40分後の塗膜硬度を鉛筆硬度(JIS K5600−5−4.4999)で測定し,以下の基準により評価し(硬化後の塗膜厚は約40μm),これらの結果を表2に示した。鉛筆硬度が高いほど,エネルギー線硬化性組成物の光硬化性が良好であること,すなわちスルホニウム塩のカチオン重合性化合物に対する重合開始能(スルホニウム塩の光感応性)が優れていることを示す。
【0321】
(評価基準)
◎:鉛筆硬度が2H以上
○:鉛筆硬度がH〜B
△:鉛筆硬度が2B〜4B
×:液状〜タックがあり,鉛筆硬度を測定できない
【0322】
(紫外光の照射条件)
・紫外線照射装置:ベルトコンベア式UV照射装置(アイグラフィックス株式会社製)
・ランプ:1.5kW高圧水銀灯
・フィルター:365フィルター(アイグラフィックス株式会社製)
L−34(株式会社ケンコー光学製)
・照度(365nmヘッド照度計で測定):145mW/cm
【0323】
・積算光量(365nmヘッド照度計で測定):
条件−1:200mJ/cm
条件−2:400mJ/cm
条件−3:600mJ/cm
【0324】
3.貯蔵安定性評価
(試料の調整)
評価試料{実施例1〜4,6〜8及び比較例1〜5のスルホニウム塩}3部と,エポキシド(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート,ダウケミカル株式会社製,UVR−6110)100部をそれぞれ配合し,60℃で混合後,均一混合して貯蔵安定性試験用試料を調整した。
この配合試料を遮光下80℃で加熱して,1ヶ月保存した後,加熱前後の配合試料の粘度を測定し,下記基準により評価した。粘度の上昇がないものほど貯蔵安定性が良い。これらの結果を表2に示した。
(評価基準)
×:加熱後の粘度変化が1.5倍以上。
○:加熱後の粘度変化が1.5倍未満。
【0325】
【表2】

【0326】
表2の結果からわかるように,本発明のスルホニウム塩は比較用のスルホニウム塩に比べて365nm以上の紫外光でのカチオン重合性化合物の硬化性能(光感応性)が優れている。また、効果性能が優れているにもかかわらず、貯蔵安定性は比較例のものと同等でる。
【0327】
〔ポジ型フォトレジスト組成物の評価〕
<評価用試料の調製>
光酸発生剤である成分(A)として,本発明の光酸発生剤の実施例1〜8を各1質量部,成分(B)として,下記化学式(Resin-1)で示される樹脂40質量部,及び成分(C)として,m−クレゾールとp−クレゾールとをホルムアルデヒド及び酸触媒の存在下で付加縮合して得たノボラック樹脂60質量部を,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに均一に溶解させ,孔径1μmのメンブレンフィルターを通して濾過し,固形分濃度40質量%の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物(実施例P1〜P8)を調製した。また比較例として,下記に示す従来の光酸発生剤PAG−14〜PAG−16を光酸発生剤である成分(A)として用いて,上記と同様のポジ型フォトレジスト組成物(比較例P1〜P3)を調製した。
【0328】
【化36】

【0329】
【化37】

【0330】
<評価>
上記実施例P1〜P8,比較例P1〜P3で調製した化学増幅型ポジ型レジスト組成物を用いて,調製直後と40℃で1ヶ月保存後の感光性(感度)評価を下記の通りに行い,貯蔵安定性を次の基準で判断した。
○:40℃×1ヶ月保存後の感度変化が調製直後の感度の5%未満
×:40℃×1ヶ月保存後の感度変化が調製直後の感度の5%以上
【0331】
シリコンウェハー基盤上に,各組成物をスピンコートした後,乾燥して約20μmの膜厚を有するフォトレジスト層を得た。このレジスト層をホットプレートにより130℃で6分間プレベークした。プレベーク後,TME−150RSC(トプコン社製)を用いてパターン露光(i線)を行い,ホットプレートにより75℃で5分間の露光後加熱(PEB)を行った。その後,2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた浸漬法により,5分間の現像処理を行い,流水洗浄し,窒素でブローして10μmのラインアンドスペースパターンを得た。更に,それ以下ではこのパターンの残渣が認められなくなる最低限の露光量,すなわちレジストパターンを形成するのに必要な最低必須露光量(感度に対応する)を測定した。結果を表3に示す。
【0332】
【表3】

【0333】
表3に示される通り,実施例P1〜P8の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物は,比較例P1〜P3のように従来の光酸発生剤を用いた場合よりも高感度であった。また,実施例の組成物には,比較例P3のような貯蔵安定性の悪いものは見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0334】
本発明のスルホニウム塩は,塗料,コーティング剤,インキ,インクジェットインキ,ポジ型レジスト,レジストフィルム,液状レジスト,ネガ型レジスト,MEMS用レジスト,ポジ型感光性材料,ネガ型感光性材料,各種接着剤,成形材料,注型材料,パテ,ガラス繊維含浸剤,目止め材,シーリング材,封止材,光半導体(LED)封止材,光導波路材料,ナノインプリント材料,光造用,及びマイクロ光造形用材料等に用いられる光酸発生剤として好適に用いられる。特に,本発明の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物は,貯蔵安定性が良好で,かつ活性光線又は放射線,特にi線に対して高感度なレジスト組成物として,回路基板,CSP,MEMS素子その他,電子部品の製造においてバンプやメタルポストなどの接続端子,配線パターンなどの形成に有用である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示されるスルホニウム塩。
【化1】

〔式(1)中,R〜Rは,互いに独立して,アルキル基,ヒドロキシル基,アルコキシ基,アルキルカルボニル基,アリールカルボニル基,アルコキシカルボニル基,アリールオキシカルボニル基,アリールチオカルボニル基,アシロキシ基,アリールチオ基,アルキルチオ基,アリール基,複素環式炭化水素基,アリールオキシ基,アルキルスルフィニル基,アリールスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アリールスルホニル基,ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基,置換されていてよいアミノ基,シアノ基,ニトロ基又はハロゲン原子を表し,Ra,Rb及びRcは互いに独立して,置換されていてもよいフェニル基または置換されていていてもよいアルキル基を表し,m〜m,はそれぞれR〜Rの個数を表し,m,m及びmは0〜4の整数,mは0〜5の整数を表す。Xは一価の多原子アニオンを表す。〕で示されるスルホニウム塩。
【請求項2】
〜Rについて,該アルキル基が,炭素数1〜18の直鎖アルキル基,炭素数3〜18の分枝鎖アルキル基,又は炭素数3〜18のシクロアルキル基であり,該アルコキシ基が,炭素数1〜18の直鎖アルコキシ基,又は炭素数3〜18の分枝鎖アルコキシ基であり,該アルキルカルボニル基が,炭素数2〜18の直鎖アルキルカルボニル基,又は炭素数4〜18の分枝鎖アルキルカルボニル基であり,該ハロゲン原子が,フッ素原子,塩素原子,臭素原子又はヨウ素原子である,請求項1に記載のスルホニウム塩。
【請求項3】
〜Rが,メチル基,メトキシ基及びアセチル基からなる群より選ばれる1種である請求項1又は2に記載のスルホニウム塩。
【請求項4】
及びRがメチル基またはメトキシ基であり,m及びmが1であり,m及びmが0である請求項1〜3のいずれかに記載のスルホニウム塩。
【請求項5】
〜mが、いずれも0である請求項1に記載のスルホニウム塩。
【請求項6】
Ra,Rb及びRcが、いずれもメチル基またはフェニル基である,請求項1〜5のいずれかに記載のスルホニウム塩。
【請求項7】
が,MY,(Rf)PF6−b,RBY4−c,RGaY4−c,RSO,(RSO又は(RSOで表されるアニオン〔ここに,Mはリン原子,ホウ素原子又はアンチモン原子;Pはリン原子,Fはフッ素原子;Rfは水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基;Rは,少なくとも1個の水素原子がハロゲン原子,トリフルオロメチル基,ニトロ基又はシアノ基で置換されたフェニル基;Bはホウ素原子,Yはハロゲン原子,Gaはガリウム原子;Rは炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基;bは1〜5の整数,cは1〜4の整数を表す。〕である,請求項1〜6のいずれに記載のスルホニウム塩。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のスルホニウム塩を含有することを特徴とする光酸発生剤。
【請求項9】
請求項8に記載の光酸発生剤とカチオン重合性化合物とを含有することを特徴とするエネルギー線硬化性組成物。
【請求項10】
請求項9に記載のエネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られることを特徴とする硬化体。
【請求項11】
請求項8に記載の光酸発生剤を含んでなる成分(A)と,酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂成分(B)とを含有することを特徴とする化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項12】
式(1)のXが,(CFCFPF,(C,((CF,(CGa,((CFGa,(CFSO,(CFSO,トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、またはp−トルエンスルホン酸アニオンで表されるアニオンである請求項11に記載の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項13】
前記成分(B)が,ノボラック樹脂(B1),ポリヒドロキシスチレン樹脂(B2),及びアクリル樹脂(B3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むものである請求項11又は12に記載の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項14】
アルカリ可溶性樹脂(C)及び酸拡散制御剤(D)を更に含有する請求項11〜13のいずれかに記載の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物。
【請求項15】
支持体上に請求項11〜14のいずれかに記載の化学増幅型ポジ型フォトレジスト組成物からなる膜厚5〜150μmのフォトレジスト層を積層してフォトレジスト積層体を得る積層工程と,該フォトレジスト積層体に部位選択的に光又は放射線を照射する露光工程と,該露光工程後にフォトレジスト積層体を現像してレジストパターンを得る現像工程とを含むことを特徴とするレジストパターンの作製方法。



【公開番号】特開2011−162471(P2011−162471A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26365(P2010−26365)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000106139)サンアプロ株式会社 (32)
【Fターム(参考)】