説明

スルホン化高分子化合物の製造方法

【課題】高分子化合物に選択的かつ均一にスルホン酸基を導入する方法を提供する。
【解決手段】剪断応力が与えられた系中で高分子化合物にスルホン酸基を導入する工程を有することを特徴とする、スルホン化高分子化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子形燃料電池の電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに利用可能なスルホン化高分子化合物の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
スルホン酸基(スルホ基)を有する高分子化合物の製造方法としては、スルホン酸基を有しない重合体を無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、硫酸、アセチル硫酸などのスルホン化剤を用いてスルホン化させる方法が知られている。特に、硫酸を用いてスルホン化する方法は簡便なスルホン化法として一般的に用いられており、例えば特許文献1ではブロック共重合体を硫酸中でスルホン化している。しかしながら、この方法を用いる場合、反応条件によっては、高分子化合物が低分子量化したり、攪拌、取扱いが困難であったり、スルホン酸基の導入量のコントロールが困難である等の問題点があった。また、非特許文献1では高分子化合物を溶媒に溶かし、クロロスルホン酸を滴下している。しかしながら、この方法では、スルホン化された高分子化合物の溶解度が低下し系中に析出するために、均一なスルホン化を行う為には低濃度での仕込みが必要になるなど、実用的ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−250567号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】European Polymer Journal,2006,42,1206−1214.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、電気化学材料として有用なスルホン化高分子化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、少なくとも、高分子化合物にスルホン酸基を導入するために高分子化合物とスルホン化剤を反応させる場合、反応が進行するにつれてスルホン化高分子化合物が反応系中に析出しても、系中の剪断応力により、高分子化合物および析出したスルホン化高分子化合物を均一にスルホン化剤と接触させることができ、高分子化合物のスルホン酸基導入部位に選択的かつ均一にスルホン酸基が導入可能となり、また、高濃度での反応が可能であるためコスト面でも優位となることから、本発明を完成させるに至った。本発明は、かかる新知見に基づいて完成されたものであり、以下の発明を包含する。
【0007】
すなわち、本発明は、剪断応力が与えられた系中で高分子化合物にスルホン酸基を導入する工程を有することを特徴とする、スルホン化高分子化合物の製造方法(以下、「本発明の製法」と称することがある)である。
【0008】
本発明の製法は、上記剪断応力が遊星式攪拌によって生じるものであることが好ましい。
【0009】
本発明の製法は、上記遊星式攪拌が、機械式遊星式攪拌装置を用いて行われ、上記機械式遊星式攪拌装置のブレードの運行領域が、系の体積の80%以上を占めることが好ましい。
【0010】
本発明の製法は、系中における上記高分子化合物の濃度が1〜30重量%であることが好ましい。
【0011】
本発明の製法は、クロロスルホン酸、無水硫酸、発煙硫酸、硫酸及びアセチル硫酸からなる群から選択される少なくとも1種のスルホン化剤により、上記高分子化合物にスルホン酸基を導入することが好ましい。
【0012】
本発明の製法は、上記高分子化合物が下記式(1)の構造を含むものに好適である。
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、X及びX’は、それぞれ独立に直接結合、−O−及び−S−から選ばれる連結基又は水素原子であり、互いに同一であっても異なっていても良い。mは1〜10の整数を表す。またArは下記式(2)の構造から選ばれる芳香環を表す。)
【0015】
【化2】

【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高分子化合物のスルホン化反応において、反応が進行するにつれてスルホン化高分子化合物が反応系中に析出しても、系中の剪断応力により、高分子化合物および析出したスルホン化高分子化合物が均一にスルホン化剤に接触することができ、高分子化合物のスルホン酸基導入部位に、選択的かつ均一にスルホン酸基が導入可能となる。また、高濃度での反応が可能であるため、コスト面でも優位となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態について説明すれば以下の通りである。なお、本発明は以下の説明に限定されるものではないことを念のため付言しておく。
【0018】
本発明の製法では、スルホン化反応の系中に剪断応力が与えられる。
剪断応力を与える方法は特に限定されず、攪拌棒、攪拌板、攪拌子等を用いた方法を挙げることができ、中でも内容物を均一に攪拌可能であるとの観点から遊星式攪拌が好ましい。
【0019】
遊星式攪拌は、機械式遊星式攪拌装置を用いて行うことが好ましい。機械式遊星式攪拌装置は、一般にプラネタリミキサとも称され、例えば、円筒形攪拌槽の軸心を中心として公転する遊星枠に取付けられた矩形枠状の回転羽根を有し、この回転羽根に攪拌槽内を公転しながら自転する遊星運動をさせることによって、攪拌槽内の粘性材料を攪拌するものである。機械式遊星式攪拌装置としては、高分子化合物をスルホン化剤に均一に接触させ、スルホン化高分子化合物を得る際、過度のせん断力が負荷されない条件にて攪拌混合を行えるものであれば特に限定されず、スクリューないしプロペラ、パドル、リボン等の各種ブレードを備えた単軸ないしは多軸の回転軸を有する各種の攪拌機を用いることができる。好ましくは、攪拌時に撹拌槽内において静的領域を設けることなく系全体で均一な撹拌を行う上から多軸、特に好ましくは2軸ないし3軸の攪拌機を用いることができる。
また、ブレードの運行領域としては、高分子化合物をスルホン化剤と均一に接触させることが可能であればよいが、系の体積の80%以上を占めることが好ましい。その他の条件は、適宜設定することができ、例えば、攪拌速度は1〜300rpmの範囲が好ましく、5〜100rpmがより好ましい。
【0020】
また、系中におけるスルホン化される高分子化合物の濃度は、スルホン化剤と接触させた場合に均一に反応が進行すれば特に限定されないが、高分子化合物が低分子量化などの副反応を起こさないことと、溶媒量抑制によるコスト優位性の観点から、1〜30重量%であることが好ましい。
【0021】
スルホン化反応に用いられる溶媒としては、スルホン化剤に対し不活性であればよく、例えば炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。炭化水素系溶媒としては飽和脂肪族炭化水素、特に5〜15の炭素原子を有する分岐もしくは直鎖炭化水素がよく、溶解度の点からペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンもしくはデカンが好ましい。ハロゲン化炭化水素としては、ハロゲン化飽和脂肪族炭化水素あるいはハロゲン化芳香族炭化水素が挙げられ、例えば、モノクロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、モノクロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンなどが挙げられ、ジクロロメタンが取扱いの容易さから好ましい。
【0022】
スルホン化剤としては、高分子化合物をスルホン化できるものであれば特に限定されず、例えば無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、硫酸、アセチル硫酸などが挙げられる。中でも反応性が適度なクロロスルホン酸が好ましい。
スルホン化剤の添加量は、スルホン化される高分子化合物に含まれるスルホン化される部位の全量を1とした場合、1当量〜50当量であることが好ましい。1当量より低いと、スルホン化される部位が不均一になり、50当量より多いと高分子化合物の主鎖が切断されるおそれがある。
【0023】
スルホン化される高分子化合物としては、電子密度が高く、容易にスルホン化可能な下記式(1)の構造を含んでいればよい。
【0024】
【化3】

【0025】
(式中、X及びX’は、それぞれ独立に直接結合、−O−及び−S−から選ばれる連結基又は水素原子であり、互いに同一であっても異なっていても良い。mは1〜10の整数を表す。またArは下記式(2)の構造から選ばれる芳香環を表す。)
【0026】
【化4】

【0027】
上記式(1)の構造において、電子密度がより高い方が容易にスルホン化されることから、電子供与性基が芳香環に隣接することが好ましく、特に−O−Ar−O−、−O−Ar−Ar−O−であることが好ましい。
【0028】
スルホン化反応における系の温度は、スルホン化される高分子の構造により適宜選択され得るが、通常−50℃〜150℃の範囲内であればよく、特に0℃〜100℃の範囲が好ましい。−50℃より低いとスルホン化される高分子化合物の粘度が高すぎてスルホン化反応時に均一に攪拌できない恐れがあり、150℃より高いとスルホン酸の脱離が起こる恐れがある。
【0029】
スルホン化反応の反応時間は、スルホン化される高分子の構造により適宜選択され得るが、通常1分〜20時間程度の範囲内であればよい。1分より短いと均一なスルホン化が進行しないおそれがあり、20時間より長いと副反応が起こるおそれがある。
【実施例】
【0030】
以下、実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、機械式遊星式攪拌装置としてはPRIMIX社製のハイビスミックスを使用した。
【0031】
合成例
窒素導入口、還流管を付した100mLの三つ口フラスコに9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(4.00g、11.42mmol、東京化成工業社製)と、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン(2.58g、10.15mmol、東京化成工業社製)と、炭酸カリウム(3.16g、22.83mmol、関東化学社製)と、脱水N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc、20mL、関東化学社製)と、脱水トルエン(10mL、関東化学社製)とを加えた。三つ口フラスコにDean−Starkトラップを設置し、この混合物を窒素気流下で攪拌して、透明な均一溶液を得た。この溶液を140℃で3時間加熱した後、Dean−Starkトラップを除去し、165℃で12時間加熱した。反応終了後、DMAc(20mL)を加えてから常温まで冷却し、1000mLの純水中に反応溶液をゆっくりと滴下した。得られた沈殿物を吸引ろ過によって回収し、80℃の純水で3時間洗浄した後メタノールで洗浄し、60℃で15時間真空乾燥するとスルホン化可能な部位を含むオリゴマーを白色繊維状にて得た。
別途、窒素導入口、還流管を付した100mLの三つ口フラスコにビス(4−フルオロフェニル)スルホン(2.00g、7.86mmol、東京化成工業社製)と、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(1.63g、7.61mmol、東京化成工業社製)と、炭酸カリウム(2.17g、15.72mmol、関東化学社製)と、炭酸カルシウム(15.73g、157.20mmol)と、脱水N,N−ジメチルアセトアミド(20mL、関東化学社製)と、脱水トルエン(10mL、関東化学社製)を加えた。三つ口フラスコにDean−Starkトラップを設置し、この混合物を窒素気流下で攪拌して、透明均一溶液を得た。この溶液を140℃で1.5時間加熱した後、Dean−Starkトラップを除去し、165℃で1.5時間加熱することによって、ポリエーテルを含む溶液を得た。ここに、先に得たスルホン化可能な部位を含むオリゴマー(1.20g)を添加した後、165℃で更に3時間加熱した。反応終了後、DMAc(20mL)を加えてから常温まで冷却し、塩酸水溶液(1000mL、10mLの濃塩酸/1000mL純水)中に反応溶液をゆっくりと滴下した。この作業もう一度繰り返し、メタノールで洗浄した後に、60℃で15時間真空乾燥することによって、スルホン化可能な構造を有する高分子化合物を得た。
得られた高分子化合物のH−NMRを測定し、p=8、n=30のスルホン化可能な構造の繰り返し単位と、スルホン酸基が実質導入されない繰り返し単位を含む高分子であることを確認した。(分子量Mn=54,000、Mw=95,000)
【0032】
【化5】

【0033】
実施例1
合成例に記載の方法でスルホン化する高分子化合物を調製し、10gを100mlのジクロロメタンに溶解し7重量%の溶液とした。この溶液をPRIMIX社製のハイビスミックス(2P−03型)に投入し、ここにクロロスルホン酸20mlを添加し、1時間室温下にて攪拌(攪拌速度30rpm)した。1時間後、スルホン化高分子化合物を含む混合物を水へ注ぎ反応を停止し、目的物を白色固体として析出させた。析出したスルホン化高分子化合物(スルホン化ポリアリールエーテルスルホンケトン、下記式(3)の構造を含む)(分子量Mn=68,000、Mw=174,000、収量11.7g)を洗浄水が中性になるまで洗浄し、乾燥後、DMAcを用いて製膜して電解質膜とした。得られた電解質膜のイオン交換容量を測定した結果、1.69(meq./g)であった。
【0034】
【化6】

【0035】
実施例2
実施例1と同様の材料10gを50mlのジクロロメタンに溶解し13重量%の溶液とした。この溶液をPRIMIX社製のハイビスミックス(2P−03型)に投入し、ここにクロロスルホン酸20mlを添加し、1時間室温下にて攪拌(攪拌速度30rpm)した。1時間後、スルホン化高分子化合物を含む混合物を水へ注ぎ反応を停止し、目的物を白色固体として析出させた。析出したスルホン化高分子化合物(スルホン化ポリアリールエーテルスルホンケトン、上記式(3)の構造を含む)(分子量Mn=72,000、Mw=192,000、収量11.4g)を洗浄水が中性になるまで洗浄し、乾燥後、DMAcを用いて製膜して電解質膜とした。得られた電解質膜のイオン交換容量を測定した結果、1.70(meq./g)であった。
【0036】
実施例3
実施例1と同様の材料10gを100mlのジクロロメタンに溶解し7重量%の溶液とした。この溶液をPRIMIX社製のハイビスミックス(2P−03型)に投入し、ここにクロロスルホン酸7mlを添加し、1時間室温下にて攪拌(攪拌速度30rpm)した。1時間後、スルホン化高分子化合物を含む混合物を水へ注ぎ反応を停止し、目的物を白色固体として析出させた。析出したスルホン化高分子化合物(スルホン化ポリアリールエーテルスルホンケトン、上記式(3)の構造を含む)(分子量Mn=76,000、Mw=220,000、収量12.1g)を洗浄水が中性になるまで洗浄し、乾燥後、DMAcを用いて製膜して電解質膜とした。得られた電解質膜のイオン交換容量を測定した結果、1.59(meq./g)であった。
【0037】
実施例4
実施例1と同様の材料10gを50mlのジクロロメタンに溶解し13重量%の溶液とした。この溶液をPRIMIX社製のハイビスミックス(2P−03型)に加え、ここにクロロスルホン酸7mlを添加し、1時間室温下にて攪拌(攪拌速度30rpm)した。1時間後、スルホン化高分子化合物を含む混合物を水へ注ぎ反応を停止し、目的物を白色固体として析出させた。析出したスルホン化高分子化合物(スルホン化ポリアリールエーテルスルホンケトン、上記式(3)の構造を含む)(分子量Mn=73,000、Mw=200,000、収量11.4g)を洗浄水が中性になるまで洗浄し、乾燥後、DMAcを用いて製膜して電解質膜とした。得られた電解質膜のイオン交換容量を測定した結果、1.67(meq./g)であった。
【0038】
比較例1
実施例1と同様の材料1gを10mlのジクロロメタンに溶解し7重量%の溶液とした。この溶液に、クロロスルホン酸2mlを滴下し、室温下にて、磁性体の攪拌子を加え、磁力によって攪拌した。15時間後、スルホン化高分子化合物を含む混合物を水へ注ぎ反応を停止し、目的物を白色固体として析出させた。析出したスルホン化高分子化合物(分子量Mn=66,000、Mw=170,000、収量1.1g)を洗浄水が中性になるまで洗浄し、乾燥後、DMAcを用いて製膜して電解質膜とした。得られた電解質膜のイオン交換容量を測定した結果、1.38(meq./g)であった。
【0039】
比較例2
実施例1と同様の材料1gを50mlのジクロロメタンに溶解し1.5重量%の溶液とした。この溶液を、クロロスルホン酸2mlを含むジクロロメタン(50ml)へ滴下し、室温下にて、磁性体の攪拌子を加え、磁力によって攪拌した。15時間後、スルホン化高分子化合物を含む混合物を水へ注ぎ反応を停止し、目的物を白色固体として析出させた。析出したスルホン化高分子化合物(スルホン化ポリアリールエーテルスルホンケトン、上記式(3)の構造を含む)(分子量Mn=81,000、Mw=210,000、収量1.2g)を洗浄水が中性になるまで洗浄し、乾燥後、DMAcを用いて製膜して電解質膜とした。得られた電解質膜のイオン交換容量を測定した結果、1.76(meq./g)であった。
【0040】
<イオン交換容量の測定方法>
対象となる電解質膜(約100mg:十分に乾燥)を25℃の塩化ナトリウム飽和水溶液20mLに浸漬し、ウォーターバス中で60℃、3時間イオン交換反応させた。25℃まで冷却し、次いで膜をイオン交換水で充分に洗浄し、塩化ナトリウム飽和水溶液および洗浄水をすべて回収した。この回収した溶液に、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加え、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定し、イオン交換容量を算出した。
【0041】
<分子量の測定方法>
高分子化合物の分子量は、GPCによってポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。溶媒として20mol%の臭化リチウムを含むNMP(N−メチルピロリドン)を用いた。
【0042】
上記のように、比較例1では、イオン交換容量の低い電解質膜が得られた。スルホン化されるべき部位が均一にスルホン化されていないものと思われる。また、比較例2では、電解質膜のイオン交換容量は好ましいものであったが、低濃度での仕込みが必要であり、後処理の煩雑さ及び経済性の面から実用性に乏しい製法であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剪断応力が与えられた系中で高分子化合物にスルホン酸基を導入する工程を有することを特徴とする、スルホン化高分子化合物の製造方法。
【請求項2】
前記剪断応力は、遊星式攪拌によって生じるものであることを特徴とする、請求項1に記載のスルホン化高分子化合物の製造方法。
【請求項3】
前記遊星式攪拌は、機械式遊星式攪拌装置を用いて行われ、前記機械式遊星式攪拌装置のブレードの運行領域が、系の体積の80%以上を占めることを特徴とする、請求項2に記載のスルホン化高分子化合物の製造方法。
【請求項4】
系中における前記高分子化合物の濃度が1〜30重量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のスルホン化高分子化合物の製造方法。
【請求項5】
クロロスルホン酸、無水硫酸、発煙硫酸、硫酸及びアセチル硫酸からなる群から選択される少なくとも1種のスルホン化剤により、前記高分子化合物にスルホン酸基を導入することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のスルホン化高分子化合物の製造方法。
【請求項6】
前記高分子化合物が下記式(1)の構造を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のスルホン化高分子化合物の製造方法。
【化1】

(式中、X及びX’は、それぞれ独立に直接結合、−O−及び−S−から選ばれる連結基又は水素原子であり、互いに同一であっても異なっていても良い。mは1〜10の整数を表す。またArは下記式(2)の構造から選ばれる芳香環を表す。)
【化2】


【公開番号】特開2011−157456(P2011−157456A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19414(P2010−19414)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構固体高分子形燃料電池実用化戦略的技術開発/劣化機構解析とナノテクノロジーを融合した高性能セルのための基礎的材料研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(304023994)国立大学法人山梨大学 (223)
【Fターム(参考)】