説明

スロットマシン

【課題】 遊技者の行う一連の遊技操作や店員の作業に影響を及ぼすことなく、「飲込み」を防止することができる。
【解決手段】 メダル投入口と、メダルを検出する投入検出手段と、メダル流路と、メダルを排除するブロッカーと、スタート信号の入力に基づき、ブロッカーを作動させ、スタート信号の入力後に投入検出手段によるメダルの検出を無効とする制御手段と、を備えるスロットマシンであって、メダルの通過に伴い、通過信号を出力する通過検出手段を備え、通過信号の入力に基づき計時が開始され、所定時間に達するまでに制御手段に入力されるスタート信号が無効とされるスタート信号無効タイマが設定され、スタート信号無効タイマが、所定時間内における通過信号の入力毎に、新たに計数が開始される構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技メダルを検出するメダルセレクターが配設されるスロットマシンに関し、特に、遊技を開始するスタートレバー操作の後で発生する、メダルが検出されずにスロットマシン内に投入される、いわゆる「飲込み」を防止するスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンは、遊技者が遊技媒体となる遊技用のメダルをメダル投入口から投入してスタートレバーを押下することにより、外周面に所定の絵柄や数字,文字等の図柄を表示した複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが押下されることでリールが停止し、停止表示されたリール上の図柄の組合せに応じて所定数のメダルがメダル払出口より払い出される遊技機である。
【0003】
このようなスロットマシンには、メダル投入口から投入されるメダルを検出し、スロットマシン内部に誘導するととともに、スタートレバー操作のタイミングで発生するスタート信号が出力された後は、新たに投入されたメダルを、メダル払出口より遊技者に返却する機能を有するメダルセレクターが設けられている。
メダルセレクターには、少なくともメダル投入口から投入されるメダルをスロットマシン内部に誘導する流路が形成され、この流路には、メダルの投入を検出するセンサ等の投入検出手段と、正規のメダルより外径の小さいメダルを選別し、流路から離脱させる選別手段と、電磁石等により作動するブロッカーと称される機械式の装置と、が設けられている。
【0004】
ブロッカーは、スタート信号が出力された後に作動し、流路を流下するメダルを流路から排除する機能を有している。
具体的には、投入検出手段により所定数のメダルが検出され、遊技可能な状態となり、その後スタートレバーが操作されることでスタート信号が出力された後には、遊技が開始され、リールが回転するとともに、同時にブロッカーが作動することで、流路を流下するメダルが流路から排除され、メダル払出口より遊技者に返却されるようになっている。
さらに、このスタート信号が出力された後には、ブロッカーよりさらに下流側に設置された投入検出手段もメダルの検出を無効とするようになっている。
【0005】
このような構成において、メダル投入口からメダルが投入されるときに、以下のような事象が発生することがある。
前述のように、スタートレバーが操作されると、スタート信号の出力と同時に、投入検出手段が無効状態となり、ブロッカーも作動することになる。
ところが、ブロッカーは、機械式に作動し、メカ的な遅れが生じるため、特にメダルがブロッカーを通過中にスタート信号が出力された場合、当該メダルは、ブロッカーにより流路から排除されず、流路を通過し投入検出手段に到達することがある。その結果、当該メダルが投入検出手段に到達したときには、既に投入検出手段は無効状態となっているため、メダル検出機能は発揮されず、メダルは検出されないまま、スロットマシン内に投入されてしまうことになる。
このような事象は、メダルが投入検出手段に検出されずに、スロットマシン内に飲込まれることから、「飲込み」と称され、遊技者は「飲込み」の発生のたびに、メダルを損失することになっていた。
【0006】
このような「飲込み」の問題を解消すべく、特許文献1には、ブロッカー及び投入検出手段より上流側にメダルの通過を検出する通過検出手段を設け、通過検出手段によるメダルの検出から、投入検出手段によるメダルの検出までの間に、スタートレバーの操作が行われても、スタート信号を無効とする発明が開示されている。
これにより、この間は、スタート信号は無効とされることで、投入検出手段は有効状態であるため、少なくとも通過検出手段から投入検出手段の間に存在するメダルは、投入検出手段によって確実に検出されることになり、「飲込み」が防止されるようになっている。
【0007】
【特許文献1】特許第2657353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、以下のような弊害も生じていた。
スロットマシン遊技を行う遊技者の多くは、所定枚数(例えば、3枚)のメダルの投入、スタートレバー操作、停止ボタン操作の一連の遊技操作を、一定の周期でリズミカルに行うことで、スロットマシン遊技を堪能している。
ところが、特許文献1に記載された発明では、通過検出手段がメダルを検出してから投入検出手段がメダルを検出するまで、スタートレバーを操作しても、発生されたスタート信号が無効となっている。
その結果、投入されるメダル毎に、スタート信号が無効とされる時間が異なることになる。
【0009】
すなわち、通過検出手段がメダルを検出してから投入検出手段がメダルを検出するまでの時間は、投入されるメダルの流下速度に左右され、流下速度が速いメダルの無効時間は短く、流下速度が遅いメダルは無効時間が長くなり、メダルによって、無効時間にバラツキが生じることになる。
特に、メダルは、遊技者が直に手で触り、メダル投入口に投入されるため、メダルに汚れが付着し易く、このように付着した汚れが原因となり、メダルの流路との摩擦を増大させることで、流下速度が低下することがしばしばある。
このように、投入されるメダル毎に、スタート信号が無効とされる時間が異なり、無効時間にバラツキが生じることになると、遊技者の行う遊技操作のリズムが崩れ、スロットマシンのゲーム進行と同期しないギクシャクした遊技操作となってしまう。
【0010】
さらに、特許文献1記載の発明のように、通過検出手段がメダルを検出してから投入検出手段がメダルを検出するまで、発生されるスタート信号を無効とすると、通過検出手段がメダルを検出した後は、投入検出手段がメダルを検出しない限り、遊技が開始されないことになる。
その結果、通過検出手段から投入検出手段までの流路において、メダルが停止する「メダル詰まり」が発生した場合には、投入検出手段にメダルを強制的に検出されるか、先に通過検出手段で検出されたメダル検出をなかったものとするようなリセット処理を行わなければ、遊技を開始することができない状態となる。
このような「メダル詰まり」は頻出することから、発生の都度、遊技場の店員に、強制的に投入検出手段にメダルを通過させる作業や、リセット作業を強いることになり、煩雑となる。
【0011】
同様に、メダルセレクターは、正規のメダルより外径の小さいメダルを選別し、流路から離脱させる選別手段を備え、外径の小さいメダルが投入された場合には、メダル払出口から当該メダルが遊技者に返却されるようになっている。この選別手段が、通過検出手段から投入検出手段までの流路において設けられており、正規のメダルより外径の小さいメダルが投入されると、当該メダルは投入検出手段までに達しないうちに流路から離脱するため、上記の「メダル詰まり」と同様な現象となり、通過検出手段がメダルを検出した後は、投入検出手段がメダルを検出しない限り、遊技が開始されないことになってしまう。
その結果、外径の小さいメダルはメダル払出口から遊技者に既に返却されるにも拘わらず、遊技場の店員に、強制的に投入検出手段にメダルを通過させる作業や、リセット作業を強いることになり、作業効率を低下させることになる。
【0012】
そこで、本願発明者らは、鋭意研究の結果、スタート信号が無効となる時間が、投入されるメダルの流下速度に左右されず、無効時間にバラツキが生じることなく、また、「メダル詰まり」や外径の小さいメダルの投入によっても、リセット等の処置を要することなく、「飲込み」を防止する技術を見出し、従来の弊害を払拭できる本発明に想到するに至ったものである。
【0013】
すなわち、本発明は、上述したような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、遊技者の行う一連の遊技操作や店員の作業に影響を及ぼすことなく、「飲込み」を防止するスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明のスロットマシンは、請求項1に記載するように、メダルが投入されるメダル投入口と、前記メダル投入口から投入されたメダルを検出する投入検出手段と、少なくとも前記メダル投入口から前記投入検出手段に亘って、メダルを流下させるメダル流路と、前記メダル投入口と前記投入検出手段との間に設けられ、前記メダル流路を流下するメダルを当該メダル流路から排除するブロッカーと、複数のリールの回転を始動させるスタートレバー操作により発生するスタート信号の入力に基づき、前記ブロッカーを作動させるとともに、前記スタート信号の入力後に前記投入検出手段によるメダルの検出を無効とする制御手段と、を備えるスロットマシンであって、前記メダル投入口と前記ブロッカーとの間に設けられ、前記メダル流路を流下するメダルの通過を検出し、通過信号を出力する通過検出手段を備え、前記通過信号の入力に基づき計時が開始されるとともに、予め定められた所定時間に達するまでに前記制御手段に入力される前記スタート信号が無効とされるスタート信号無効タイマが設定され、前記スタート信号無効タイマが、前記所定時間内において前記通過信号が入力されるたびに、新たに計数が開始される構成としてある。
【0015】
このような構成とすることにより、メダル流路を流下するメダルの通過を検出し、通過信号を出力する通過検出手段を備えるとともに、通過信号の入力に基づき計時が開始され、予め定められた所定時間に達するまでに制御手段に入力されるスタート信号が無効とされるスタート信号無効タイマが設定されることで、スタート信号が無効とされる無効時間を一定時間とすることができる。
【0016】
すなわち、スタート信号が無効となる時間が、投入されるメダルの流下速度に左右されず、無効時間にバラツキが生じることがなく、一定時間となるため、遊技者の行う、所定枚数(例えば、3枚)のメダルの投入、スタートレバー操作、停止ボタン操作の一連の遊技操作を、従来通り、一定の周期でリズミカルに行うことができる。
また、特段、通過検出手段より下流に設置された投入検出手段からの検出信号の出力を待つ必要がないため、通過検出手段から投入検出手段までに生じる「メダル詰まり」や外径の小さいメダルの流路からの離脱が生じても、無効時間は一定時間経過することで終了する。
その結果、店員にリセット等の余分な処置を強いることがないため、作業効率を低下させることもない。
このように、スタート信号が無効とされる無効時間を一定時間とすることで、遊技者の行う一連の遊技操作や店員の作業に影響を及ぼすことなく、「飲込み」を防止することができる。
【0017】
さらに、スタート信号無効タイマが、所定時間内において通過信号が入力されるたびに、新たに計数が開始されるため、メダルが連続して投入されている場合でも、最後に通過検出手段を通過するメダルからスタート信号無効タイマの計数が開始されるため、通過検出手段を通過するメダルが存在する限り、一定の無効時間を確保することができる。
【0018】
また、本発明のスロットマシンは、請求項2に記載するように、前記所定時間が、メダルが前記通過検出手段に検出された後、前記投入検出手段に検出されるまで流下する間に費やされる最大の時間より長い時間で設定される構成とすることができる。
このような構成とすることにより、所定時間が、メダルが通過検出手段に検出された後、投入検出手段に検出されるまで流下する間に費やされる最大の時間より長い時間で設定されるため、スタート信号が無効となる無効時間を、投入されるメダルの流下速度のバラツキを吸収した時間とすることができる。
【0019】
メダルの流下速度は、メダル投入口から投入される際の投下速度や、メダルに付着した汚れによって生じるメダル流路との摩擦抵抗による速度低下、連続してメダルを投下した場合、先行するメダルに後続するメダルが衝突することによる速度低下等によって、バラツキが生じる。
そこで、メダルが通過検出手段に検出された後、投入検出手段に検出されるまで流下する間に費やされる時間のバラツキを、ある程度の試行回数を重ね、メダルをメダル投入口から投入する試験等を行うことで、計測するとともに、この所定の試行回数の計測データに基づいて、さらに、判断して所定時間を決定する。
そして、本発明では、この試行回数のデータにおける最大の時間に、猶予時間を加算した値を所定時間として設定する。
なお、最大の時間は、例えば、上記の計測データにおいて、極端に長い時間を除いた時間としたり、上記の計測データから平均時間や標準偏差を算出するとともに、平均時間に標準偏差の2倍や3倍を加算した値に相当する時間を最大の時間としたりすることもできる。
このように、所定時間を、最大の時間を基準に設定することで、スロットマシンの実機に見合った、無駄のない、かつ、確実に「飲込み」が防止できる無効時間を設定することができる。
【0020】
また、本発明のスロットマシンは、請求項3に記載するように、前記通過信号の信号巾が予め定められた規定時間を超えた場合に、メダル以外の異物の通過と判定する判定手段を備える構成とすることができる。
このような構成とすることにより、通過信号の信号巾が予め定められた規定時間を超えた場合に、メダル以外の異物の通過と判定する判定手段を備えるため、「飲込み」の防止のみならず、メダル投入口よりメダル以外の異物が挿入される不正行為も判定することできる。
【0021】
スロットマシンなどの遊技機は、獲得される遊技媒体が特殊景品等の有価価値を有する景品に交換可能であるため、不正に遊技媒体を窃取する不正行為の対象となり易い。特に、スロットマシンの場合は、メダル投入口より、セルやピアノ線、針金などの長物からなるメダル以外の異物を挿入し、その先端を投入検出手段に到達させ、投入検出手段を検出状態とし、擬似的にメダル投入を検出させることで、正当に遊技行為を行うことなく、メダルを窃取する不正行為が横行している。
【0022】
そこで、本発明では、通過検出手段によって検出された通過信号の信号巾が予め定められた規定時間を超えた場合に、メダル以外の異物の通過と判定する判定手段を備えるため、異物の挿入を検出することができる。
具体的には、真のメダルが通過するときに検出される通過信号の信号巾を予め試験的に計測しておき、当該信号巾より長い通過信号の信号巾が検出されたときに、上記の異物が挿入されたものと判定することができる。
そして、この判定結果を、スロットマシンに備える表示ランプやスピーカ等の報知手段により、外部に報知することで、迅速に遊技場の店員等が不正行為を発見することができ、メダルの窃取を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のスロットマシンによれば、遊技者の行う一連の遊技操作や店員の作業に影響を及ぼすことなく、「飲込み」を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るスロットマシンの好ましい実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
ここで、以下の実施形態に示す本発明のスロットマシンは、プログラムに制御されたコンピュータにより動作するようになっている。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、所定の制御、例えば、リールの回転開始,リールの停止制御,内部抽せん等を行わせる。このように、本発明にかかるスロットマシンにおける各制御,動作は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段により実現されるものである。なお、プログラムは予めROM等の記録媒体に格納され、コンピュータに実装された記録媒体から当該コンピュータにプログラムを読み込ませて実行される。
【0025】
[スロットマシン本体]
まず、図1、図2を参照して、本発明の一実施形態に係るスロットマシン本体の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンを示す概略正面図であり、図2は、同じく本実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、従来のスロットマシンと同様に、スロットマシン1に備えられた複数のリール41a,41b,41cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
【0026】
そして、本実施形態のスロットマシン1では、投入されるメダルを検出するメダルセレクター20に、本発明に係る通過検出手段として機能する通過検出センサ21cを備えるとともに、通過検出センサ21cから出力される通過信号の入力に基づき、計時が開始され、所定時間に達するまでスタートレバー操作によって発生するスタート信号が無効とされるスタート信号無効タイマが設定されることで、メダルが検出されずに、スロットマシン1内に飲込まれる、いわゆる「飲込み」防止することができるようになっている。
【0027】
具体的には、本実施形態のスロットマシン1は、内部がマイクロコンピュータ等で構成された制御部50及び必要な機械,装置等を収納可能な筐体状に構成されており、筐体1bの前面側が前扉1aによって開閉可能に覆われている。
前扉1aは、図1及び図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉自在に取り付けられる扉体で、この前扉1aに遊技操作に係る各装置等が備えられてスロットマシン1の正面部を構成している。
【0028】
前扉1aの中央右側には、スロットマシン遊技に使用するメダルを投入するメダル投入口2が配置され、所定数(例えば、3枚)のメダルが投入されることで、メダル投入口2と連通するメダルセレクター20に設けられた投入検出センサ22がメダルを検出し、ゲーム可能な状態にすることができる。
また、メダル投入口2の寸法は、投入可能なメダルの外径及び厚みを規制するように形成され、規定の大きさ以上のメダルが投入できないようになっている。
前扉1aの中央左側には、リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3が設けられ、遊技者により、スタートレバー3が操作されることで、スタート信号が出力されるようになっている。
そして、ゲーム可能な状態において、このスタート信号が出力されることで、スロットマシン遊技が開始され、リール41a,41b,41cが回転開始するとともに、同時に後述するメダルセレクター20のブロッカー23が作動し、投入検出センサ22が検出無効状態となる。
前扉1aの中央部には、各リール41に対応して停止ボタン5a,5b,5cが設けられており、遊技者により、各停止ボタン5が押下操作されることで、回転している各リール41を停止させることができるようになっている。
【0029】
前扉1aの中央上側には表示窓6が設けられており、停止状態にある各リール41に表された縦方向に連続する3つの図柄が、当該表示窓6を介して視認できるようになっている。
前扉1aの下部には、メダル払出口8が設けられ、メダルが当該メダル払出口8から払出されるようになっている。
また、後述するメダルセレクター20に設けられたブロッカー23が作動することにより、メダル流路25から排除されたメダルが、後述のシュート9を経由してメダル払出口8から、遊技者に返却されるようになっている。
【0030】
筐体1bの中央には、リール41a,41b,41c、各リール41を回転させる図示しないステッピングモータ及び回転位置を検出するセンサなどを備えるドラムユニット4が設けられている。
さらに、筐体1bの下部には、メダルを貯留・払出するメダル払出装置7が設けられ、各リール41に表された縦方向に連続する3つの図柄の組合せが所定の組合せで停止表示された場合、所定数のメダルが上記のメダル払出口8から払出されるようになっている。
また、メダル払出装置7には、メダルを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口より投入されたメダルが、メダルセレクター20により当該ホッパー7aに誘導されるようになっている。
【0031】
筐体1bの上部には、上記の各装置を制御することでスロットマシン遊技を管理し、本発明の制御手段として機能する制御部50が設けられ、前述のスタート信号の入力に基づき、各リール41の回転を始動し、後述のメダルセレクター20に設けられたブロッカー23を作動させるとともに、メダルセレクター20の通過検出センサ21cから出力される通過信号の入力に基づき、所定時間を計時するスタート信号無効タイマが作動されるようになっている。
また、前扉1aの裏面左側には、上記のメダル投入口2より投入されたメダルを検出し、ホッパー7aに誘導するメダルセレクター20が設けられている。
なお、メダルセレクター20についての詳細は後述するものとする。
また、メダルセレクター20の下部には、シュート9が設けられている。
シュート9には、前述のメダル払出口8に連通する受入口9aが設けられ、メダルセレクター20から離脱・排除されたメダルが、当該受入口9aに向けて落下し、シュート9を経由して、メダル払出口8から遊技者に返却されるようになっている。
【0032】
[メダルセレクター]
次に、メダルセレクター20について詳述する。
図3は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクターの構成を示し、(a)は、正面図であり、(b)は、背面図である。
また、図4は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンのブロッカーの作動状態を示し、(a)は、未作動時を示す断面図であり、(b)は、作動時を示す断面図である。
図5は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御構成を示す概略ブロック図である。
図3に示すように、メダルセレクター20には、メダル投入口2から投入されたメダルMが流下し、ホッパー7aに向かって誘導されるメダル流路25と、正規の大きさより小さい外径のメダルを、メダル流路25から離脱させ、メダル払出口8に誘導するとともに、前述のスタートレバー3操作によって出力されるスタート信号に基づき、ソレノイド24がオフすることで、メダル流路25からメダル排除し、当該メダルをメダル払出口8に誘導するブロッカー23と、ブロッカー23より下流側に設けられ、遊技に投入されるメダルを検出する本発明の投入検出手段として機能する投入検出センサ22a,22bと、ブロッカー23より上流側に設けられ、投入されるメダルの通過中に亘って押下される踏み板21aと、メダルの通過により押下される踏み板21aに連動して可動する踏み板レバー21bと、踏み板レバー21bの可動により、メダルの通過を検出する本発明の通過検出手段として機能する通過検出センサ21cと、が設けられている。
【0033】
メダル流路25は、メダル投入口2から投入検出センサ22a,22bに亘って、略L字状の斜面として形成され、メダル投入口2より投入されたメダルMが、メダル流路25を転動しつつ、流下することで、踏み板21a、ブロッカー23、投入検出センサ22a,22bを経て、ホッパー7aに向かって誘導されるようになっている。
また、メダル流路25は、図4に示すように、メダル1枚の厚み分凹んで形成されるとともに、筐体1bの内部に向かって倒れ込むように傾いて形成されている。これにより、ブロッカー23より離脱・排除されたメダルMが、シュート9の受入口9aに向かって自重により、落下し、シュート9を経由して、メダル払出口8から返却されるようになっている。
【0034】
本発明の投入検出手段として機能する投入検出センサ22a,22bは、メダル流路25の最も下流側に設けられ、スロットマシン遊技に用いられるメダルMの投入を検出するようになっている。投入検出センサ22a,22bは反射型フォトインタラプタなどの光学センサが2つ並んで設けられ、これにより、メダルMの検出のみならず、メダルMが流下する方向を検出することで、正常なメダル投入か、不正行為かを判定することができるようになっている。
そして、メダルMが投入検出センサ22a,22bを通過することで、投入検出信号が出力され、当該投入検出信号が制御部50に入力されることで、メダルMの投入が検出されるようになっている(図5参照)。
なお、制御部50は、ゲーム開始可能な枚数(例えば、3枚)のメダルMが検出され、後述するスタート信号無効タイマ処理によって所定時間の計時が終了し、スタートレバー3操作によって出力されるスタート信号が入力された後には、メダルMの検出を行わないようになっている。
【0035】
本発明のブロッカー23は、流下するメダルMが各投入検出センサ22によって検出される直前でメダル流路25から排除されるように、各投入検出センサ22の上流側に設けられている。
ブロッカー23は、正規の大きさより小さい外径のメダルMを、メダル流路25から離脱させ、メダル払出口8に誘導する選別機能と、スタートレバー3操作によって出力されるスタート信号に基づき、ソレノイド24がオフすることで、メダル流路25からメダルMを排除し、各投入検出センサ22に検出させずに、当該メダルをメダル払出口8に誘導する機能を備えている。
【0036】
正規の大きさのメダルMは、ブロッカー23が作動していない図4(a)に示すように、メダル流路25に固着された下端支持部25bと、ブロッカー23の作動により可動する上端支持部23bと、メダル流路25の壁面25aとに囲まれたメダル流路25に沿って流下され、各投入検出センサ22に到達するようになっている。
一方、正規の大きさより小さく、上端支持部23bによる支持に満たない外径のメダルMは、メダル流路25から離脱し、シュート9の受入口9aに向かって自重により、落下し、シュート9を経由して、メダル払出口8から返却されるようになっている。
【0037】
また、ゲーム開始可能な枚数(例えば、3枚)のメダルMが検出され、後述するスタート信号無効タイマ処理において所定時間の計時が終了した後、スタートレバー3操作によって出力されるスタート信号が制御部50に入力されると、ブロッカー23が作動する。
具体的には、図4(b)に示すように、ブロッカー23が作動すると、上端支持部23bが図中の左側に移動し、メダル流路25から離間されることで、上端支持部23bと、メダル流路25の壁面25aとの囲みが解除されるとともに、ストッパー23aが、メダルMの流路を妨げるようにメダル流路25に突出することで、メダルMは、メダル流路25から排除され、シュート9の受入口9aに向かって自重により、落下し、シュート9を経由して、メダル払出口8から返却されるようになっている。
【0038】
上記の上端支持部23b及びストッパー23aは、制御部50がスタートレバー3操作によって出力されるスタート信号の入力を検出し、ソレノイド24がオフされることで作動し、メダルMをメダル流路25から排除するようになっている。ところが、ソレノイド24がオフされてから、メダルMを排除な状態になるまでには、ソレノイド24の残留磁気や、これら部品の慣性、部品間の摩擦、部品に併設されたバネの復元の遅延などに起因するメカ的な遅れが発生することになる。
さらに、制御部50は、スタート信号の入力が検出されると、前述の各投入検出センサ22から入力される投入検出信号の検出を行わないよう制御し、各投入検出センサ22を通過したメダルMは無効となる。
その結果、特にメダルMがブロッカー23を通過中にスタート信号が出力されるような場合、当該メダルMは、ブロッカー23のメカ的な遅れによりメダル流路25から排除されず、メダル流路25をそのまま流下し投入検出センサ22に到達することになる。そして、当該メダルMが投入検出センサ22に到達したときには、既に投入検出センサ22は無効状態となっているため、メダルMは検出されないまま、ホッパー7aに誘導される、いわゆる「飲込み」が発生することになってしまう。
【0039】
そこで、本実施形態では、ブロッカー23の上流側に、メダル投入口2から投入されたメダルMの通過を検出する本発明の通過検出手段として機能する通過検出センサ21cが設けられている。
通過検出センサ21cは、発光部と受光部が対向して設けられた通過型フォトインタラプタなどからなる光学センサであって、投入されるメダルMの通過中に亘って押下される踏み板21aに連動する踏み板レバー21bの可動により、受光部が遮光/通光を検知し、通過信号を出力するようになっている。そして、制御部50に、遮光/通光によって出力される通過信号が入力されることで、メダルMの通過を検出するようになっている(図5参照)。
なお、本発明の通過検出手段を、上記のような踏み板21aに連動する踏み板レバー21bの可動を検出する構成と異なる、例えば、投入検出手段と同様に、反射型フォトインタラプタなどの光学センサで、直接的にメダルを検出する構成とすることもできる。
【0040】
特に、通過検出センサ21cが、ブロッカー23及び各投入検出センサ22の上流側に備えられることで、ブロッカー23及び各投入検出センサ22を通過するメダルMを事前に検出することができる。
これにより、少なくとも通過検出センサ21cがメダルMの通過を検出した後、各投入検出センサ22を通過するまでの時間を想定することができるとともに、この時間、ブロッカー23を作動させず、各投入検出センサ22を無効状態とせず、検出可能な状態としておくことで、「飲込み」が防止できることになる。
そして、少なくとも通過検出センサ21cがメダルMの通過を検出した後、各投入検出センサ22を通過するまでに相当する時間、ブロッカー23を作動させず、各投入検出センサ22を無効状態とせず、検出可能な状態としておくということは、すなわち、この間、制御部50が、スタートレバー3操作によって出力されるスタート信号の入力を検出しても、当該検出を無効とすることで実現することができる。
以下、通過検出センサ21cから出力される通過信号に基づく、制御部50の制御処理について詳述する。
【0041】
[制御部]
制御部50は、本発明の制御手段として機能するマイクロコンピュータであって、図5に示すように、CPU50aやスロットマシン遊技のプログラムやデータが記憶されたROM50b、作業領域となるRAM50cや、上記各種センサや装置のインターフェイスとして機能するI/O50dなどの電子部品が搭載された制御基板として構成され、スロットマシン1の各装置を制御することで、スロットマシン遊技を進行させることができるようになっている。
【0042】
制御部50は、スロットマシン遊技を開始するにあたり、各投入検出センサ22から出力される投入検出信号の入力数をカウントし、カウント数がゲーム可能な数に達したと判定すると(例えば、メダル3枚の投入をカウント)、スタートレバー3操作によって出力されるスタート信号を検出可能な状態とする。
そして、上記の状態において、スタート信号の入力が検出されることで、スロットマシン遊技を開始する処理が実行されるようになっている。
すなわち、制御部50が、パルスモータを駆動させるパルス信号をドラムユニット4に送信し、各リール41の回転を始動させるようになっている。
さらに、スタート信号の入力検出後は、各リール41が停止するまで、ブロッカー23を作動させ、その後に投入されたメダルMをメダル流路25から排除するとともに、各投入検出センサ22から入力される投入検出信号の検出を無効とする処理を行うようになっている。
【0043】
このようなスロットマシン遊技の開始に先立って、特に、制御部50では、本発明の特徴的な処理として、メダル投入口2から投入されるメダルMの通過に伴い通過検出センサ21cから出力される通過信号の入力が検出されることで、上記のようにスタート信号が検出可能な状態になっても、一定の時間、スタート信号の検出を無効とする処理を実行している。
具体的には、制御部50は、通過検出センサ21cから出力される通過信号を監視し、通過信号のオンと同時に、スタート信号の検出を無効とするとともに、通過信号のオフのタイミングから所定時間経過まで、スタート信号の検出を無効とするようになっている(図7参照)。
そして、本実施形態では、通過信号のオフのタイミングからの所定時間を、本発明のスタート信号無効タイマによって計時している。
スタート信号無効タイマは、通過信号のオフのタイミングから計時を開始し、所定時間の計時を終了するまで作動するタイマであって、この所定時間内は、スタートレバー3操作によって出力されるスタート信号が、制御部50に入力されても、制御部50がその検出を無効とするようになっている。
これにより、通過信号のオン時間とこの所定時間は、上記のスロットマシン遊技を開始する処理が実行されることはなく、ブロッカー23が作動せず、各投入検出センサ22が検出可能な状態となっているため、「飲込み」を防止することができるようになっている。
【0044】
本実施形態に係るスロットマシン遊技のプログラムは、所定の単位時間(例えば、2ms)毎に実行される処理が切替る時分割処理よって行われ、所定時間を計時するスタート信号無効タイマ処理は、時分割毎、すなわち毎スキャン実行されるようになっている。
通過検出センサ21cから出力される通過信号を監視し、通過信号のオンと同時に、スタート信号の検出を無効とするとともに、通過信号のオフのタイミングから所定時間経過まで、スタート信号の検出を無効とする制御処理(以下、スタート信号無効タイマ処理)では、通過信号の入力毎に、ROM50bに予め記憶された所定時間を、RAM50cのスタート信号無効タイマを更新する所定領域(以下、スタート信号無効タイマ更新領域)に設定し、時分割毎に当該領域を−1更新することで、所定時間を計時するようになっている。
具体的な所定時間を計時するスタート信号無効タイマ処理を、図6のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0045】
まず、時分割毎に通過信号の入力レベル(オン/オフ)を監視し(S1)、通過信号のオンが検出されたときには、所定時間をスタート信号無効タイマ更新領域にセットする(S2)。すなわち、時分割毎に通過信号のオンが継続する限り、新たな所定時間がセットされるようになっている。
そして、セットされた時分割処理では、スタート信号を無効として(S5)、処理を終了する。
【0046】
一方、通過信号のオフが検出されたときには、スタート信号無効タイマ更新領域を参照し、当該領域のタイマ値が0か否かを判定する(S3)。
そして、タイマ値が0(ゼロ)でない場合は、セットされた所定時間を計時するために、当該領域を−1更新するとともに(S4)、スタート信号を無効として(S5)、処理を終了する。
反対に、タイマ値が0(ゼロ)となっている場合は、所定時間がセットされず通過信号が初めからオフの場合、又は、セットされた所定時間の計時が終了し、所定時間に達したいずれかの場合であるため、スタート信号を有効として(S6)、処理を終了するようになっている。
【0047】
このような処理を時分割毎に繰り返すことにより、通過信号のオンが検出され、スタート信号無効タイマ更新領域に所定時間がセットされた場合には、スタート信号が無効となるとともに、オフが検出されない限り、所定時間の計時が開始されないようになっている。
また、スタート信号無効タイマが0(ゼロ)でなく、更新中である場合に、新たな通過信号のオンが検出されることで、所定時間が再びセットされ、通過信号のオフの検出によって、計時が開始される。
すなわち、更新中に通過信号のオンが検出され続ける限り、スタート信号の検出は無効となっている。
そして、所定時間がセットされ、通過信号のオフが検出された場合には、所定時間の計時が開始され、予め定められた所定時間の経過後、検出されるスタート信号を有効とすることができる。
これにより、遊技者が、通過信号がオン中及びスタート信号無効タイマの更新中に新たな通過信号のオンが検出されるように連続してメダルMを投入する場合であっても、一定の枚数(例えば、ゲーム開始可能な最低の枚数)であれば、最後に投入されたメダルMの検出に伴う通過信号のオフ出力から一定時間経過後、検出されるスタート信号を有効とすることができる。
【0048】
つまり、最後に投入されるメダルMの投入から一定の時間後には、必ずスタートレバー操作により出力されるスタート信号が検出可能な状態となっているため、遊技者はこのタイミングを見計らって、スタートレバー3を操作することで、スロットマシン遊技を開始することができる。
これにより、従来の技術のように、投入されるメダルの流下速度によって、スタート信号が検出可能な状態となるまでの時間(無効時間)がバラツクことがないため、遊技者は、メダルの投入、スタートレバー操作、停止ボタン操作を従来通り一定の周期で、リズミカルに行うことができる。
【0049】
また、従来の技術のように、通過検出センサ21cより下流側にある投入検出手段22から出力される投入検出信号を待つまでもなく、一定時間後には、スタートレバー操作により出力されるスタート信号が検出可能な状態となるため、特に、通過検出センサ21cから投入検出手段22のメダル流路25間で、「メダル詰まり」や小さい外径メダルのメダル流路25からの離脱が生じても、リセット等の煩雑な処置を行う必要がないため、遊技場の店員の作業を煩わすこともない。
【0050】
また、最後に投入されるメダルMの投入から一定時間は、スタート信号の検出が確実に無効となるため、この間は、スロットマシン遊技が開始されることはない。すなわち、この一定時間はスロットマシン遊技が開始されない時間として担保され、ブロッカー23が作動されず、各投入検出センサ22が検出可能な状態となることで、最後のメダルの「飲込み」も防止することができるようになっている。
また、通過検出センサ21cがメダルMを検出する位置より上流側であって、通過検出センサ21cを通過直前のメダルMが存在するとともに、スタート信号の検出が有効であるときに、スタートレバー3が操作されスタート信号が出力された場合であっても、通過検出センサ21cがメダルMを検出する位置から、ブロッカー23が作動し、メダル流路25から当該メダルMを排除させる位置までの距離は、流下するメダルMの最速の流下速度及びブロッカー23の作動完了までのメカ的な遅れ時間を考慮した距離が確保されるように構成されている。
これにより、通過検出センサ21cによるメダル検出の前後において、確実に「飲込み」を防止することができるようになっている。
【0051】
なお、スタート信号の検出が無効となっている通過信号のオン時間と上記の所定時間からなる無効時間中に、入力されたスタート信号をRAM50cの所定の領域に記憶するとともに、無効時間経過後に、この記憶に基づき自動的にスロットマシン遊技を開始させることもできる。
これにより、無効時間中におけるスタートレバー3の操作が無に帰されることがなくなるとともに、スタート信号の検出が有効となってから、スタートレバー3の操作によってスタート信号が検出されるまでに費やされる時間を最小限に抑えることができ、スロットマシン遊技における単位時間当りのゲーム回数を極力多く確保できる。その結果、遊技場は、売上げの向上を図ることができるとともに、遊技者は、速い出玉スピードのゲーム性を興趣することができる。
【0052】
次に、本実施形態におけるスタート信号の検出が無効となる無効時間と、通過検出センサ21cと投入検出センサ22a,22bから出力される各検出信号との関係を、タイミングチャートを参照しつつ説明する。
図7に、通過検出センサ21cと投入検出センサ22a,22bから出力される各検出信号のタイミングチャートを示す。
本実施形態では、同図に示すように、スタート信号の検出が無効となる無効時間は、通過検出センサ21cより出力される通過信号がメダルMの通過によりオンされたときに開始するとともに、オフとなった時点から、前述のスタート信号無効タイマ処理においてセットされる予め定められた所定時間の経過で終了するようになっている。
【0053】
このように無効時間を、通過信号がオンするタイミングから開始し、オフから所定時間の経過で終了するようにしたのは、特に、本実施形態では、通過検出センサ21cは、メダルMの通過中に亘って押下される踏み板21aの作動を検出する構成であるため、オフのタイミングがなく、オン状態が連続するようにメダル投入口2からメダルMが連続して投入される場合を想定しているからである。
すなわち、通過信号がオンするタイミングで前述のスタート信号無効タイマ処理において所定時間をセットし、所定時間の経過までを無効時間としてしまうと、通過信号のオフのタイミングがなく、オン状態が連続するように連続して投入されるメダルMの通過中に、所定時間がタイムアップしてしまうことになり、「飲込み」を確実に防止できない。
そこで、本実施形態では、無効時間を通過信号がオンするタイミングから開始し、オフから所定時間の経過で終了するようになっている。
【0054】
なお、メダルMの通過を検出する通過検出手段が、本実施形態と異なり、メダルMが連続して投入されても、通過するメダル1枚毎に、通過信号がオン/オフする構成であれば、通過信号がオンのタイミングで前述のスタート信号無効タイマ処理において所定時間をセットし、所定時間の計時終了までを無効時間とすることもできる。
さらに、この場合であれば、通過信号のオンのタイミングから無効を開始せず、通過信号がオフのタイミングで前述のスタート信号無効タイマ処理において所定時間をセットし、所定時間の計時終了までを無効時間としてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、前述の所定時間を計時するスタート信号無効タイマ処理においてセットされる所定時間を、メダルMが通過検出センサ21cに検出された後、投入検出センサ22aに検出されるまで流下する間に費やされる最大の時間より長い時間で設定している。
同図に示す例では、所定時間は、通過検出センサ21cがメダルMの通過によりオンされた後、オフとなった時点から、投入検出センサ22aがオンするまでの最大時間(106ms)より、長い時間(例えば、120ms)で設定してある。
【0056】
前述したようにメダルMの流下速度は、メダル投入口2から投入される際の投下速度や、メダルMに付着した汚れによって生じるメダル流路25との摩擦抵抗による速度低下、連続してメダルMを投下した場合、先行するメダルMに後続するメダルMが衝突することによる速度低下等によって、バラツキが生じる。
そこで、本実施形態では、メダルMが通過検出センサ21cに検出された後、投入検出センサ22aに検出されるまで流下する間に費やされる時間を、実際にメダルMをメダル投入口2から投入する試験を所定の試行回数行い、計測するとともに、この計測されたデータに基づき、最大時間(106ms)を決定し、この最大時間に、猶予時間(14ms)を加算した値を所定時間(120ms)として設定している。
最大時間は、例えば、上記の計測されたデータのうち、極端に長い時間を除いた時間としたり、計測されたデータから平均時間や標準偏差を算出するとともに、平均時間に標準偏差の2倍や3倍を加算した値に相当する時間を最大の時間としたりすることもできる。
このように、所定時間を、最大の時間を基準に設定することで、スロットマシン1の実機に見合った、無駄のない、かつ、確実に「飲込み」が防止できる無効時間を設定することができる。
【0057】
さらに、本実施形態の制御部50では、通過検出センサ21cから出力される通過信号のオン時間(本発明の信号巾)を前述のスタート信号無効タイマ処理と同様な手法により計時し、予め定められた規定時間以上のオン時間が計時された場合には、メダルM以外の異物の通過と判定する処理が実行されるようになっている(判定手段)。
なお、メダルM以外の異物は、メダル投入口2より挿入され、その先端が投入検出センサ22に到達されることで、投入検出センサ22を検出状態とし、擬似的にメダル投入を検出させる、例えば、セルやピアノ線、針金などの長物である。
【0058】
さらに、本実施形態では上記の判定結果を、スロットマシン1に備える表示ランプやスピーカ等の報知手段により、外部に報知するようになっている。これにより、迅速に遊技場の店員等が不正行為を発見することができ、メダルの窃取を未然に防止することができる。
なお、本実施形態では、通過検出センサ21cは、メダルの通過中に亘って押下される踏み板21aの作動を検出する構成であり、オフのタイミングがなく、連続してオン状態となるようにメダル投入口2からメダルMが連続して投入される場合も想定されるため、異物の通過と判定する規定時間を長め(例えば、2秒)に設定しておくことで、メダルMの連続投入との違いを判定することができるようにしてある。
【0059】
以上述べたように、本実施形態のスロットマシン1では、メダル流路25を流下するメダルMの通過を検出し、通過信号を出力する通過検出センサ21cを備えるとともに、通過信号の入力に基づき計時が開始され、予め定められた所定時間に達するまでに制御手段50に入力されるスタート信号が無効とされるスタート信号無効タイマが設定されることで、スタート信号が無効とされる無効時間を一定時間とすることができる。
【0060】
すなわち、制御部50において検出されるスタート信号が無効となる時間が、投入されるメダルの流下速度に左右されず、無効時間にバラツキが生じることがなく、一定時間となるため、遊技者の行う、所定枚数(例えば、3枚)のメダルの投入、スタートレバー操作、停止ボタン操作の一連の遊技操作を、従来通り、一定の周期でリズミカルに行うことができる。
また、特段、通過検出センサ21cより下流に設置された投入検出センサ22からの検出信号の出力を待つ必要がないため、通過検出センサ21cから投入検出センサ22までに生じる「メダル詰まり」や外径の小さいメダルMのメダル流路25からの離脱が生じても、無効時間は一定時間経過することで終了する。
その結果、店員にリセット等の余分な処置を強いることがないため、作業効率を低下させることもない。
このように、スタート信号が無効とされる無効時間を一定時間とすることで、遊技者の行う一連の遊技操作や店員の作業に影響を及ぼすことなく、「飲込み」を防止することができる。
【0061】
さらに、スタート信号無効タイマが、所定時間内において通過信号が入力されるたびに、新たに計数が開始されるため、メダルMが連続して投入されている場合でも、最後に通過検出センサ21cを通過するメダルMからスタート信号無効タイマの計数が開始されるため、通過検出センサ21cを通過するメダルMが存在する限り、一定の無効時間を確保することができる。
【0062】
以上、本発明のスロットマシンの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るスロットマシンは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、通過検出手段を、メダルが連続して投入された場合に、オン状態が継続する構成としたが、メダルを一枚ずつ検出可能となるように、同様な踏み板でも、メダルの端部に接触することで、オン/オフされる構成とすることもできるし、投入検出手段として機能する投入検出センサ22と同様、反射型フォトインタラプタなどからなる光学センサがメダルの端部を検出する構成とすることもできる。
このような構成の場合では、本発明のスタート信号無効タイマは、通過信号のオンのタイミングから計時を開始し、所定時間で計時を終了することが好ましい。
この場合には、通過信号のオン時間を考慮する必要がないため、所定時間の計時中に新たな通過信号のオンが検出されない限り、無効時間を通過信号のオンから一定時間とすることができる。
このときの所定時間は、無効時間と等価となることは言うまでもない。
さらに、この場合の所定時間は、本実施形態の所定時間(120ms)に、一枚のメダルのオン時間を考慮して、通過信号の平均オン時間(例えば、図7に示す50ms)を加算した時間とすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、メダルを使用して遊技が行われるスロットマシン(回胴式遊技機)に利用することができ、特に、遊技開始後に投入されたメダルを返却するスロットマシンに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンを示す概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのメダルセレクターの構成を示し、(a)は、正面図であり、(b)は、背面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンのブロッカーの作動状態を示し、(a)は、未作動時を示す断面図であり、(b)は、作動時を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御構成を示す概略ブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの所定時間を計時するスタート信号無効タイマ処理のフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの通過検出手段と投入検出手段から出力される各検出信号のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1 スロットマシン
2 メダル投入口
3 スタートレバー
4 ドラムユニット
5(5a,5b,5c) 停止ボタン
6 表示窓
7 メダル払出装置
8 メダル払出口
9 シュート
20 メダルセレクター
41(41a,41b,41c) リール
50 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルが投入されるメダル投入口と、
前記メダル投入口から投入されたメダルを検出する投入検出手段と、
少なくとも前記メダル投入口から前記投入検出手段に亘って、メダルを流下させるメダル流路と、
前記メダル投入口と前記投入検出手段との間に設けられ、前記メダル流路を流下するメダルを当該メダル流路から排除するブロッカーと、
複数のリールの回転を始動させるスタートレバー操作により発生するスタート信号の入力に基づき、前記ブロッカーを作動させるとともに、前記スタート信号の入力後に前記投入検出手段によるメダルの検出を無効とする制御手段と、を備えるスロットマシンであって、
前記メダル投入口と前記ブロッカーとの間に設けられ、前記メダル流路を流下するメダルの通過を検出し、通過信号を出力する通過検出手段を備え、
前記通過信号の入力に基づき計時が開始されるとともに、予め定められた所定時間に達するまでに前記制御手段に入力される前記スタート信号が無効とされるスタート信号無効タイマが設定され、
前記スタート信号無効タイマが、前記所定時間内において前記通過信号が入力されるたびに、新たに計数が開始されること特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記所定時間が、メダルが前記通過検出手段に検出された後、前記投入検出手段に検出されるまで流下する間に費やされる最大の時間より長い時間で設定される請求項1記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記通過信号の信号巾が予め定められた規定時間を超えた場合に、メダル以外の異物の通過と判定する判定手段を備える請求項1又は2記載のスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−142391(P2009−142391A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321155(P2007−321155)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】