説明

ズーム機構付き撮像装置。

【課題】投射装置や撮像装置において、モードに応じてズーム範囲を最大限に拡大できるようにする。
【解決手段】像高の異なる複数のモードに設定する際に、像高が小さくなるモードでは、ズーム範囲を拡大するように、ズーム範囲を設定する。投射装置では、例えば、縦長画面、ワイド画面、台形補正時に、ズーム範囲を拡大できる。撮像装置では、縦長撮影、パノラマ撮影、ディジタルズーム設定時に、ズーム範囲を拡大できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズーム機構付きの投射装置や撮像装置に関するもので、特に、ズーム範囲の設定に係わる。
【背景技術】
【0002】
表示素子により光源から光を映像信号により変調させ、投影レンズによりスクリーンに投影する投射装置では、特許文献1に示されているように、投影レンズを移動させてズームが設定される。このズームの範囲は、画面上の最もレンズの端に来る位置で、解像性能許容限界値以上になるように、設定されている。
【0003】
つまり、投射装置には、図22に示すように、表示素子101に対して投影レンズ102が配置されている。標準方式では、画面のアスペクト比は(4:3)の横長の画面で、表示素子101としては、アスペクト比(4:3)の表示素子が横長に配置される。
【0004】
レンズの性能は、その中心部分が最も良く、端に来る程、劣化する傾向にある。したがって、画面の領域A101の中でレンズの最も端が使用されることになる対角端の位置Pa101及び位置Pa102で、必要とされる解像性能許容限界値を維持するように、ズーム範囲を設定する必要がある。画面の領域A101の他の部分は、位置Pa101及び位置Pa102より光軸に近いので、位置Pa101及び位置Pa102で必要とされる解像性能許容限界値が維持されていれば、他の位置では必要とされる解像性能許容限界値が維持されていると言える。このことから、ズームの設定範囲は、光軸の中心から対角端までの距離、すなわち像高に依存すると言える。
【0005】
ここで、横長に配置されたアスペクト比(4:3)の表示素子101に、アスペクト比(3:4)の縦長の画面を表示したとする。この場合、図23に示すように、横長画面での表示したときに比べて、像高が小さくなる。すなわち、図23に示すように、横長画面のときの領域A101では、その最大像高は、距離Ha101となる。これに対して、縦長画面のときの領域B101では、その最大像高は、距離Hb101となり、明らかに、その像高が小さくなる。よって、横長の表示素子で、縦長の画面を表示する場合には、ズーム範囲を拡大できると考えられる。
【0006】
また、この関係は、投射装置ばかりでなく、撮像装置の場合にも当てはまる。撮像装置では、撮像画像を撮像レンズにより撮像素子に集光し、撮像素子で光電変換して画像を取り込み、レンズ鏡筒を移動させてズームが設定される。このズームの範囲は、画面上の最もレンズの端に来る位置で、解像性能許容限界値以上になるように、設定されている。
【0007】
つまり、撮像装置には、図24に示すように、撮像素子111に対して撮像レンズ112が配置されている。標準方式では、撮像素子111としては、横長の撮像素子が用いられる。
【0008】
レンズの性能は、その中心部分が最も良く、端に来る程、劣化する傾向にある。したがって、画面の領域A111の中でレンズの最も端が使用されることになる対角端の位置Pa111〜位置Pa114で、必要とされる解像性能許容限界値を維持するように、ズーム範囲を設定する必要がある。画面の領域A111の他の部分は、位置Pa111〜位置Pa114より光軸に近いので、位置Pa111〜位置Pa114で必要とされる解像性能許容限界値が維持されていれば、他の位置では必要とされる解像性能許容限界値が維持されていると言える。このことから、ズームの設定範囲は、光源の中心から対角端までの距離、すなわち像高に依存すると言える。
【0009】
ここで、横長に配置された撮像素子111に、縦長の画面を撮像したとする。この場合、図25に示すように、横長画面での撮像したときに比べて、像高が小さくなる。すなわち、図25に示すように、横長画面のときの領域A111では、その最大像高は、距離Ha111となる。これに対して、縦長画面のときの領域B111では、その最大像高は、距離Hb111となり、明らかに、その像高が小さくなる。よって、横長の撮像素子で、縦長の画面を撮像する場合には、ズーム範囲を拡大できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−47683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、投射装置では、例えば、横長に配置された表示素子に、縦長の画面を表示すると、その像高が小さくなる。このことから、縦長の画面を表示する場合には、ズーム範囲を拡張できると考えられる。しかしながら、従来では、横長画面を表示する場合も縦長画面を表示する場合も、ズーム範囲が同じに設定されている。
【0012】
同様に、撮像装置では、例えば、横長に配置された撮像素子に、縦長の画面を撮像すると、その像高が小さくなる。このことから、縦長の画面を撮像する場合には、ズーム範囲を拡張できると考えられる。しかしながら、従来では、横長画面を撮像する場合も縦長画面を撮像する場合も、ズーム範囲が同じに設定されている。
【0013】
本発明は、上述の課題を鑑み、モードに応じてズーム範囲を最大限に拡大できるようにしたズーム付き投射装置及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するために、本発明は、光源からの光を映像信号により変調させる表示素子と、前記表示素子からの光をスクリーンに投射する投影レンズと、前記投影レンズのズームを設定するレンズ移動手段と、像高の異なる複数のモードを選択的に設定するモード設定手段と、像高が小さくなるモードでは、前記投影レンズのズーム範囲を拡大するように、ズーム範囲を設定する制御手段と、を有することを特徴とするズーム機構付き投射装置である。
【0015】
本発明は、撮像レンズと、入射光を光電変換する撮像素子と、前記撮像レンズのズームを設定するレンズ移動手段と、像高の異なる複数のモードを選択的に設定するモード設定手段と、像高が小さくなるモードでは、ズーム範囲を拡大するように、ズーム範囲を設定する制御手段と、を有することを特徴とするズーム機構付き撮像装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、像高が小さくなるモードでは、ズーム範囲を拡大するように、ズーム範囲を設定することで、画像をより拡大することができる。投射装置では、例えば、縦長画面、ワイド画面、台形補正時に、ズーム範囲を拡大できる。撮像装置では、縦長撮影、パノラマ撮影、ディジタルズーム設定時に、ズーム範囲を拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態のブロック図である。
【図2】横長モードと縦長モードとの説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の説明に用いるフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態のブロック図である。
【図6】標準画面モードとワイド画面モードとの説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の説明に用いるフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態のブロック図である。
【図10】台形補正の説明図である。
【図11】本発明の第3の実施形態の説明図である。
【図12】本発明の第3の実施形態の説明に用いるフローチャートである。
【図13】本発明の第4の実施形態のブロック図である。
【図14】本発明の第4の実施形態の説明図である。
【図15】本発明の第4の実施形態の説明に用いるフローチャートである。
【図16】本発明の第5の実施形態のブロック図である。
【図17】本発明の第5の実施形態の説明図である。
【図18】本発明の第5の実施形態の説明に用いるフローチャートである。
【図19】本発明の第6の実施形態のブロック図である。
【図20】本発明の第6の実施形態の説明図である。
【図21】本発明の第6の実施形態によるズーム設定の説明に用いるグラフである。
【図22】従来の投射装置の像高とズームの関係を示す説明図である。
【図23】従来の投射装置の像高とズームの関係を示す説明図である。
【図24】従来の撮像装置の像高とズームの関係を示す説明図である。
【図25】従来の撮像装置の像高とズームの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態の投射装置の構成を示すものである。図1において、入力端子11には、画像信号が供給される。入力端子11からの画像信号は、A/Dコンバータ12でディジタル化され、DMD(Digital Micromirror Device)駆動回路13に送られる。DMD駆動回路13は、種々の入力画像信号に対して、その入力画像信号の形態に応じて、同期分離、YC分離、IP変換、解像度変換、色変換、台形補正等の映像信号処理を行う。ここで、YC分離は、輝度信号とクロマ信号とを分離する処理である。IP変換は、インターレース走査からプログレシブ走査への変換である。そして、DMD駆動回路13は、入力画像信号に基づくRGBの面順次の画像信号を形成する。この面順次の画像信号は、DMD駆動信号として、DMD素子14に供給される。
【0019】
DMD素子14は、その表面に多数の微小なミラーを配置し、その角度を画素毎に変えられる空間光変調素子である。DMD駆動回路13からのDMD駆動信号がDMD素子14に与えられると、DMD素子14の表面の微少なミラーの角度が変えられ、これにより光の進路が変えられ、画素単位で光のオン/オフが行われる。
【0020】
また、DMD駆動回路13で分離された垂直同期信号は、タイミング生成回路15に供給される。タイミング生成回路15で、入力映像信号の垂直同期信号に基づいて、タイミング信号が形成される。このタイミング信号がモータ駆動回路16に供給される。カラーホイール17は、R、G、Bの3色に塗る分けられたホイールである。カラーホイール17は、モータ駆動回路16により、入力映像信号の垂直同期信号に同期して回転される。
【0021】
光源21は、コントローラ1の制御の基に、光源駆動回路20により駆動される。光源21からの光は、レンズ22、カラーホイール17を介して、DMD素子14に照射される。これにより、DMD素子14には、入力画像信号の垂直同期信号に同期して、RGBの光が順次照射される。
【0022】
DMD素子14には、DMD駆動回路13から面順次の画像信号がDMD駆動信号として供給される。DMD素子14の表面の微少ミラーの角度は、DMD駆動信号により変えられ、光の進路が変えられる。このため、DMD素子14の反射光は、DMD駆動回路13からのDMD駆動信号により画素単位で変調される。このDMD駆動信号により変調を受けた光は、投射光として、投影レンズ23を介して拡大され、投射面24に投射される。これにより、投射面24には、画像が映し出される。投影レンズ23は、レンズモータ25により動かされる。ズームは、レンズモータ25により投影レンズ23が移動させることで設定される。
【0023】
コントローラ1は、投射装置の全体の動作を制御している。コントローラ1には、入力キー2から各種の入力が与えられると共に、縦長/横長モードスイッチ3と、ズームスイッチ4からの入力が与えられる。ズームスイッチ4を操作すると、コントローラ1からズームモータ駆動回路26にレンズ駆動信号が供給され、これにより、レンズモータ25がレンズ移動手段となり、ズームが設定される。
【0024】
縦長/横長モードスイッチ3は、横長モードと、縦長モードとを切り替えるためのスイッチ(モード設定手段)である。横長モードでは、図2(A)に示すように、アスペクト比が例えば(4:3)の横長の画面が投影される。縦長モードは、図2(B)に示すように、アスペクト比が例えば(3:4)の縦長の画面が投影される。
【0025】
本発明の第1の実施形態では、このように、投射装置において、ズーム機能を有し、横長モードと、縦長モードとが設定できる。なお、上述の例では、DMD素子を用いたDLP(Digital
Light
Processing)方式の投射装置であるが、本発明は、このような方式の投射装置に限定されるものではない。CRT方式の投射装置や液晶投射装置の場合にも同様に適用できる。
【0026】
本発明の第1の実施形態では、横長のDMD素子14を用いて、横長モードと縦長モードとが設定できる。縦長モードに設定した場合には、横長モードに設定した場合に比べて、ズーム移動範囲を拡張することができる。このことについて、以下に説明する。
【0027】
ズーム機能を有する投射装置の投影レンズを設計する場合、表示素子(この場合にはDMD素子14)の配置による最大像高まで、必要とされる解像性能許容限界値以上になるように設計している。レンズの性能は、その中心部分が最も良く、端に来る程、劣化する傾向にある。したがって、画像の中でレンズの最も端が使用されることになる対角端で、必要とされる解像性能許容限界値を維持するように、ズーム範囲を設定する必要がある。
【0028】
例えば、通常、表示素子としてアスペクト比が例えば(4:3)の横長の素子が用いられ、横長モードでは、(4:3)の横長画面が投射される。これに対して、縦長モードの場合には、アスペクト比が例えば(4:3)の横長の表示素子に、(3:4)の縦長の画面が投射される。この場合、図2(B)に示すように、横長画面のときよりも、像高が小さくなる。このことから、縦長モードの場合には、横長モードの場合に比べて、設定できるズーム移動範囲は広がると考えられる。
【0029】
図3は、このことをより詳細に説明したものである。図3(A)は、投影レンズと投射画面との位置関係を示し、図3(B)は、レンズ上の各点でのズーム倍率とMTF(Modulation Transfer Function)との関係を示している。MTFは、レンズ性能を評価する指標のひとつで、レンズの結像性能を知るために、被写体の持つコントラストをどの程度忠実に再現できるかを空間周波数特性として表現したものである。
【0030】
図3(A)において、横長画面を投射する場合には、投影レンズと画像との関係は、領域A11で示すような関係となる。すなわち、横長画面では、対角端(画面における光軸を通る対角線に沿った端)が位置Pa11となり、短辺端(画面における光軸を通る短辺に沿った端)が位置Pa12となり、長辺端(画面における光軸を通る長辺に沿った端)が位置Pa13となる。この横長表示のときの領域A11の各位置Pa11〜Pa13のズーム倍率とMTFとの関係は、図3(B)において、曲線Qa11〜Qa13のようになる。
【0031】
横長表示画面の領域A11においては、対角端が位置Pa11では、最もレンズの端に来るため、MTFが最も悪く、図3(B)において、特性Qa11のようになる。短辺端の位置Pa12が次にレンズの中心から離れているため、短辺端の位置Pa12のMTFが次に悪く、図3(B)において、特性Qa12のようになる。長辺端の位置Pa13がレンズの中心に最も近いため、MTFが最も良好になり、図3(B)において、特性Qa13のようになる。横長画面では、最もレンズの端に来る対角端が位置Pa11で、満足するMTF(解像性能許容限界値以上)が得られる範囲をズーム範囲に設定する必要がある。
【0032】
これに対して、縦長の画面を投射した場合、投影レンズと画像との関係は、領域B11で示すような関係となる。縦長の画面において、レンズの中心から最も遠くなる対角端の位置Pb11でのMTF特性は、図3(B)において、特性Qb11のようになる。縦長画面では、縦長表示のときの対角端の位置Pb11でのMTFが満足する特性となるように、ズーム範囲を設定すれば良い。
【0033】
特性Qa11と特性Qb11とを比較すれば分かるように、縦長画面の場合には、横長画面の場合に比べて、対角端でのMTFが良好になる。したがって、横長画面において最もレンズの端に来る対角端の位置Pa11で、満足な画質が確保できるように、ズーム範囲La1が設定されていたとすると、縦長画面にした場合には、同様のMTF特性が確保できるズーム範囲をLb1に拡張することができる。
【0034】
そこで、本発明の第1の実施形態では、図4に示すように、コントローラ1(制御手段)で、横長モードに設定されているか縦長モードに設定されているかを判断し、縦長モードか横長モードかに応じて、ズーム範囲を設定するようにしている。すなわち、図4に示すように、横長モードか縦長モードかが判断される(ステップS11)。横長モードの場合には、ズーム範囲がLa1に設定される(ステップS12)。縦長モードの場合には、ズーム範囲がLb1に拡張される(ステップS13)。
【0035】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態では、横長モードと縦長モードとが設定でき、縦長モードに設定した場合には、横長モードに設定した場合に比べて、ズーム移動範囲が拡張される。このため、縦長モードで、より拡大した画面を投射することが可能になる。
【0036】
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態を示すものである。この実施形態では、標準画面モードと、ワイド画面モードとを設定するためのモードスイッチ5(モード設定手段)が設けられている。標準画面モードでは、図6(A)に示すように、アスペクト比が(3:4)の標準画面が投射される。ワイド画面モードでは、図6(B)に示すように、アスペクト比が(16:9)のワイド画面が投射される。本発明の第2の実施形態では、図6に示すように、ワイド画面に設定されると、標準画面の場合に比べて、像光が小さくなるので、ワイド画面モードに設定した場合には、標準画面モードに設定した場合に比べて、ズーム移動範囲を拡張するようにしている。他の構成については、前述の第1の実施形態と同様である。
【0037】
図7は、このことを説明したものである。図7(A)は、投影レンズと投射画面との位置関係を示し、図7(B)は、レンズ上の各点でのズーム倍率とMTFとの関係を示している。
【0038】
図7(A)において、(3:4)の標準画面を投射する場合には、投影レンズと投射画面との関係は、領域A21で示すような関係となる。すなわち、標準画面では、対角端が位置Pa21となり、短辺端が位置Pa22となり、長辺端が位置Pa23となる。この標準画面のときの領域A21の各位置Pa21〜Pa23のズーム倍率とMTFとの関係は、図7(B)において、曲線Qa21〜Qa23のようになる。
【0039】
標準画面の領域A21においては、対角端が位置Pa21では、最もレンズの端に来るため、MTFが最も悪く、図7(B)において、特性Qa21のようになる。短辺端の位置Pa22が次にレンズの中心から離れているため、図7(B)において、特性Qa22のようになる。長辺端の位置Pa23がレンズの中心に最も近いため、MTFが最も良好になり、図7(B)において、特性Qa23のようになる。標準画面では、最もレンズの端に来る横長表示対角端が位置Pa21で、満足するMTF(解像性能許容限界値以上)が得られる範囲をズーム範囲に設定する必要がある。
【0040】
これに対して、ワイド画面を投射した場合、投影レンズと投射画面との関係は、領域B21で示すような関係となる。ワイド画面において、レンズの中心から最も遠くなる対角端の位置Pb21でのMTF特性は、図7(B)において、特性Qb21のようになる。ワイド画面では、対角端の位置Pb21でのMTFが満足する特性となるように、ズーム範囲を設定すれば良い。
【0041】
特性Qa21と特性Qb21とを比較すれば分かるように、ワイド画面の場合には、標準画面の場合に比べて、対角端でのMTFが良好になる。したがって、横長画像において最もレンズの端に来る対角端の位置Pa21で、満足な画質が確保できるように、ズーム範囲La2が設定されていたとすると、ワイド画面に設定した場合には、同様のMTFが得られるズーム範囲をLb2に拡張することができる。
【0042】
そこで、本発明の第2の実施形態では、図8に示すように、コントローラ1(制御手段)で、標準画面モードに設定されているかワイド画面モードに設定されているかを判断し、標準画面モードかワイド画面モードかに応じて、ズーム範囲を設定するようにしている。すなわち、図8に示すように、アスペクト比が(4:3)の標準画面モードか、アスペクト比が(16:9)のワイド画面モードかが判断される(ステップS21)。標準画面モードの場合には、ズーム範囲がLa2に設定される(ステップS22)。ワイド画面モードの場合には、ズーム範囲がLb2に拡張される(ステップS23)。
【0043】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態では、標準画面モードとワイド画面モードとが設定でき、ワイド画面モードに設定した場合には、標準画面モードに設定した場合に比べて、ズーム移動範囲が拡張される。このため、ワイド画面モードで、より拡大した画面を投射することが可能になる。
【0044】
<第3の実施形態>
図9は、本発明の第3の実施形態を示すものである。この実施形態では、台形補正の設定スイッチ6(モード設定手段)が設けられており、この台形補正の設定スイッチ6により、歪みに応じた台形歪み補正を行うことができる。
【0045】
台形歪みを行うと、図10(A)に示すようなに台形に歪んだ画面が、図10(B)に示すように補正される。台形補正では、画面の一部を切り出して補正を行うため、図10(B)に示すように、画面の像高が小さくなる。このことから、台形補正を行ったときには、設定できるズーム移動範囲を広げることができる。他の構成については、前述の第1の実施形態と同様である。
【0046】
図11は、このことを詳細に説明したものである。図11(A)は、投影レンズと投射画像との位置関係を示し、図11(B)は、レンズ上の各点でのズーム倍率とMTFとの関係を示している。
【0047】
図11(A)において、フル画面(台形補正を行っていない画面)で投射する場合には、投影レンズと投射画面との関係は、領域A31で示すような関係となる。すなわち、フル画面では、対角端が位置Pa31となり、短辺端が位置Pa32となり、長辺端が位置Pa33となる。この標準画面のときの領域A31の各位置Pa31〜Pa33のズーム倍率とMTFとの関係は、図11(B)において、曲線Qa31〜Qa33のようになる。
【0048】
フル画面の領域A31においては、対角端の位置Pa31では、最もレンズの端に来るため、MTFが最も悪く、図11(B)において、特性Qa31のようになる。短辺端の位置Pa32が次にレンズの中心から離れているため、図11(B)において、特性Qa32のようになる。長辺端の位置Pa33がレンズの中心に最も近いため、MTFが最も良好になり、図11(B)において、特性Qa32のようになる。フル画面では、最もレンズの端に来る対角端の位置Pa31で、満足するMTF(解像性能許容限界値以上)が得られる範囲をズーム範囲に設定する必要がある。
【0049】
これに対して、台形補正をした場合、投影レンズと画像との関係は、領域B31で示すような関係となる。台形補正をした画面において、レンズの中心から最も遠くなる対角端の位置Pb31でのMTF特性は、図11(B)において、特性Qb31のようになる。台形補正をした画面では、対角端の位置Pb31でのMTFが満足する特性となるように、ズーム範囲を設定すれば良い。
【0050】
特性Qa31と特性Qb31とを比較すれば分かるように、台形補正をした画面の場合には、フル画面の場合に比べて、対角端でのMTFが良好になる。したがって、横長画像において最もレンズの端に来る対角端が位置Pa31で、満足な画質が確保できるように、ズーム範囲La3が設定されていたとすると、台形補正した画面の場合には、同様のMTFが得られるズーム範囲を、Lb3に拡張できる。
【0051】
本発明の第3の実施形態では、図12に示すように、コントローラ1(制御手段)で、台形補正をしたかどうかに応じて、ズーム範囲を設定するようにしている。すなわち、図12に示すように、台形補正を行っているかどうかが判断される(ステップS31)。台形補正を行っていないフル画面の場合には、ズーム範囲がLa3に設定される(ステップS32)。台形補正を行っている場合には、補正率に応じて、ズーム範囲がLb3に拡張される(ステップS33)。
【0052】
以上説明したように、本発明の第3の実施形態では、台形補正を行っている場合には、フル画面での表示に比べて、ズーム移動範囲が拡張される。このため、台形補正を行った画面で、より拡大した画面を投射することが可能になる。
【0053】
<第4の実施形態>
図13は、本発明の第4の実施形態を示すものである。前述の第1〜第3の実施形態では、本発明が投射装置に適用されている。これに対して、この実施形態では、撮像装置に適用されている。
【0054】
図13において、撮像レンズ50を介された被写体の光学像が撮像素子51に結像される。撮像素子51は、その受光面に結像された被写体像光を光電変換する。撮像素子51としては、CCD(Charge Coupled Device)撮像素子や、CMOS(Complementary MOS)撮像素子が用いられる。撮像素子の前面には、色フィルタが配列されている。色フィルタの配列の構成としては、R、G、Bの原色系フィルタを用いる場合と、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(黄色)の補色系フィルタを用いる場合とがある。
【0055】
撮像素子51の出力信号は、CDS(Correlated Double Sampling)及びAGC(Automatic Gain Control)回路52を介して、A/Dコンバータ53に供給される。A/Dコンバータ53で画像信号がディジタル化される。A/Dコンバータ53の出力信号は、画像入力コントローラ54を介して取り込まれる。
【0056】
撮像素子51の出力信号は、CDS及びAGC回路52を介して、A/Dコンバータ53でディジタル化された後に、プロセス回路56に供給される。プロセス回路56で、ガンマ補正、エッジ強調、ホワイトバランス等の画像処理が行われる。この画像信号は、メモリ57に一旦取り込まれる。そして、この画像信号は、ビデオエンコーダ58に供給される。ビデオエンコーダ58で、コンポーネントカラービデオ信号が形成され、このカラービデオ信号がモニタ61に供給され、モニタ61に、撮影中のモニタ画像が映出される。
【0057】
画像を撮影する場合には、シャッターボタン70が押される。シャッターボタン70が押されると、そのときの画像が撮像素子51に取り込まれ、そして、このときの1画面分の画像信号がメモリ57に蓄積される。
【0058】
メモリ57に取り込まれた1画面分の画像信号は、画像圧縮/伸長回路59に供給される。画像圧縮/伸長回路59で、画像データが圧縮符号化される。画像データの圧縮方式としては、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)が用いられる。JPEGはDCT(Discrete Cosine Transform)を用いて画像圧縮するための規格である。なお、画像データの圧縮方式は、JPEGに限定されるものではない。
【0059】
圧縮符号化された画像信号は、メモリコントローラ60を介して、記録媒体62に供給され、記録媒体62に記録される。記録媒体62としては、フラッシュメモリを使ったカード型の着脱自在のメモリが用いられる。
【0060】
再生モードでは、記録媒体62の画像ファイルが開かれ、画像データが読み出される。記録媒体62から読み出された画像データは、画像圧縮/伸長回路59に供給される。画像圧縮/伸長回路59により、画像信号の伸長処理が行われる。画像圧縮/伸長回路59の出力がビデオエンコーダ58に供給される。ビデオエンコーダ58の出力信号がモニタ61に供給され、モニタ61に再生画像が映出される。
【0061】
コントローラ63は、撮像装置全体の制御を行っている。コントローラ63には、シャッターボタン70からのシャッター入力が与えられると共に、入力キー64から種々の入力が与えられる。また、コントローラ63には、ズームスイッチ65が設けられる。ズームスイッチ65が操作されると、ズームモータ駆動回路66に制御信号が供給され、これにより、モータ71(レンズ移動手段)が駆動され、ズームが可変される。
【0062】
本発明の第4の実施形態では、横長の撮像素子51が用いられ、縦長モードと横長モードとを設定するための縦長/横長モードスイッチ67(モード設定手段)が設けられる。そして、縦長モードに設定した場合には、横長モードに設定した場合に比べて、ズーム移動範囲を拡張するようにしている。
【0063】
図14は、このことを詳細に説明したものである。図14(A)は、撮像レンズと撮像画面との位置関係を示し、図14(B)は、レンズ上の各点でのズーム倍率とMTFとの関係を示している。
【0064】
図14(A)において、横長画面を撮影する場合には、撮影レンズと画像との関係は、領域A41で示すような関係となる。すなわち、横長画面では、対角端が位置Pa41となり、長辺端が位置Pa42となり、短辺端が位置Pa43となる。この横長画面のときの領域A41の各位置Pa41〜Pa43のズーム倍率とMTFとの関係は、図14(B)において、曲線Qa41〜Qa43のようになる。
【0065】
横長画面の領域A41においては、対角端が位置Pa41では、最もレンズの端に来るため、MTFが最も悪く、図14(B)において、特性Qa41のようになる。長辺端の位置Pa42が次にレンズの中心から離れているため、長辺端の位置Pa42のMTFが次に悪く、図14(B)において、特性Qa42のようになる。短辺端の位置Pa43がレンズの中心に最も近いため、MTFが最も良好になり、図14(B)において、特性Qa43のようになる。横長画面では、最もレンズの端に来る対角端の位置Pa41で、満足するMTF(解像性能許容限界値以上)が得られる範囲をズーム範囲に設定する必要がある。
【0066】
これに対して、縦長の画面で撮影した場合には、撮影レンズと画像との関係は、領域B41で示すような関係となる。縦長の画面において、レンズの中心から最も遠くなる対角端の位置Pb41でのMTF特性は、図14(B)において、特性Qb41のようになる。縦長画面では、縦長表示のときの対角端の位置Pb41でのMTFが満足する特性となるように、ズーム範囲を設定すれば良い。
【0067】
特性Qa41と特性Qb41とを比較すれば分かるように、縦長画面で撮影する場合には、横長画面で撮影する場合に比べて、対角端でのMTFが良好になる。したがって、横長画面において最もレンズの端に来る対角端が位置Pa41で、満足な画質が確保できるように、ズーム範囲La4が設定されていたとすると、縦長画面の場合には、同様のMTFが得られるズーム範囲を、Lb4に拡張することができる。
【0068】
そこで、本発明の第4の実施形態では、図15に示すように、コントローラ63(制御手段)で、横長モードに設定されているか縦長モードに設定されているかを判断し、横長モードか縦長モードかに応じて、ズーム範囲を設定するようにしている。すなわち、図14に示すように、横長モードか縦長モードかが判断される(ステップS41)。横長モードの場合には、ズーム範囲がLa4に設定される(ステップS42)。縦長モードの場合には、ズーム範囲がLb4に拡張される(ステップS43)。
【0069】
以上説明したように、本発明の第4の実施形態では、横長モードの撮影と縦長モードの撮影とが設定でき、縦長モードに設定した場合には、横長モードに設定した場合に比べて、ズーム移動範囲が拡張される。このため、縦長モードで、より拡大した画面を撮影することが可能になる。
【0070】
<第5の実施形態>
図16は、本発明の第5の実施形態を示すものである。この実施形態では、通常撮影モードと、パノラマ撮影モードとを設定するためのパノラマ設定スイッチ68(モード設定手段)が設けられている。そして、パノラマ撮影モードに設定した場合には、通常撮影モードに設定した場合に比べて、ズーム移動範囲を拡張するようにしている。他の構成については、前述の第4の実施形態と同様である。
【0071】
図17は、このことを詳細に説明したものである。図17(A)は、撮像レンズと撮像画面との位置関係を示し、図17(B)は、レンズ上の各点でのズーム倍率とMTFとの関係を示している。
【0072】
図17(A)において、通常撮影の場合には、撮影レンズと撮像画面との関係は、領域A51で示すような関係となる。すなわち、通常撮影画面では、対角端が位置Pa51となり、長辺端が位置Pa52となり、短辺端が位置Pa53となる。この通常撮影モードの画面のときの領域A51の各位置Pa51〜Pa53のズーム倍率とMTFとの関係は、図17(B)において、曲線Qa51〜Qa53のようになる。
【0073】
通常撮影モードのときの画面の領域A51においては、対角端の位置Pa51では、最もレンズの端に来るため、MTFが最も悪く、図17(B)において、特性Qa51のようになる。長辺端の位置Pa52が次にレンズの中心から離れているため、長辺端の位置Pa52のMTFが次に悪く、図17(B)において、特性Qa52のようになる。短辺端の位置Pa53がレンズの中心に最も近いため、MTFが最も良好になり、図17(B)において、特性Qa53のようになる。通常撮影では、最もレンズの端に来る対角端の位置Pa51で、満足するMTF(解像性能許容限界値以上)が得られる範囲をズーム範囲に設定する必要がある。
【0074】
これに対して、パノラマを撮影した場合、撮影レンズと撮像画面との関係は、領域B51で示すような関係となる。パノラマ撮影モードのときの画面において、レンズの中心から最も遠くなる対角端の位置Pb51でのMTF特性は、図17(B)において、特性Qb51のようになる。パノラマ撮影モードの画面では、パノラマ撮影モードのとき領域B51の対角端の位置Pb51でのMTFが満足する特性となるように、ズーム範囲を設定すれば良い。
【0075】
特性Qa51と特性Qb51とを比較すれば分かるように、パノラマ撮影モードの場合には、通常撮影モードの場合に比べて、対角端でのMTFが良好になる。したがって、通常撮影モードにおいて最もレンズの端に来る対角端が位置Pa51で、満足な画質が確保できるように、ズーム範囲La5が設定されていたとすると、パノラマ画面の場合には、同様のMTFが得られるズーム範囲を、Lb5に拡張することができる。
【0076】
そこで、本発明の第5の実施形態では、図18に示すように、コントローラ63(制御手段)で、通常撮影モードに設定されているのかパノラマ撮影モードに設定されているかを判断し、通常撮影モードかパノラマ撮影モードかに応じて、ズーム範囲を設定するようにしている。すなわち、図18に示すように、通常撮影モードかパノラマ撮影モードかが判断される(ステップS51)。通常撮影モードの場合には、ズーム範囲がLa5に設定される(ステップS52)。パノラマ撮影の場合には、ズーム範囲がLb5に拡張される(ステップS53)。
【0077】
以上説明したように、本発明の第5の実施形態では、通常撮影モードとパノラマ撮影モードとが設定でき、パノラマ撮影モードに設定した場合には、通常撮影モードに設定した場合に比べて、ズーム移動範囲が拡張される。このため、パノラマ撮影モードで、より拡大した画面を撮影することが可能になる。
【0078】
<第6の実施形態>
図19は、本発明の第6の実施形態を示すものである。この実施形態では、ディジタルズーム再拡大スイッチ69(モード設定手段)が設けられる。このディジタルズーム再拡大スイッチ69は、ディジタルズームに設定されたときには、ディジタルズームの設定値に応じて、更に、光学ズームを拡張できるようにするものである。他の構成については、前述の第4の実施形態と同様である。
【0079】
すなわち、ディジタルズームは、画面の一部を切り出して拡大補間するものである。したがって、ディジタルズームを使用した場合には、像高が小さくなったことになり、通常撮影の場合に比べて、ズーム移動範囲を拡張するようにしている。
【0080】
図20は、このことを詳細に説明したものである。図20(A)は、撮像レンズと撮像画面との位置関係を示し、図20(B)は、レンズ上の各点でのズーム倍率とMTFとの関係を示している。
【0081】
図20(A)において、ディジタルズームを行わない場合には、撮影レンズと撮像画面との関係は、領域A61で示すような関係となる。すなわち、ディジタルズームを行わない画面では、対角端が位置Pa61となり、長辺端が位置Pa62となり、短辺端が位置Pa63となる。この横長表示のときの領域A61の各位置Pa61〜Pa63のズーム倍率とMTFとの関係は、図20(B)において、曲線Qa61〜Qa63のようになる。
【0082】
ディジタルズームを行わないときの画面の領域A61においては、対角端が位置Pa61では、最もレンズの端に来るため、MTFが最も悪く、図20(B)において、特性Qa61のようになる。長辺端の位置Pa62が次にレンズの中心から離れているため、長辺端の位置Pa62のMTFが次に悪く、図20(B)において、特性Qa62のようになる。短辺端の位置Pa63がレンズの中心に最も近いため、MTFが最も良好になり、図20(B)において、特性Qa63のようになる。ディジタルズームを行わないときには、最もレンズの端に来る対角端が位置Pa61で、満足するMTF(解像性能許容限界値以上)が得られる範囲をズーム範囲に設定する必要がある。
【0083】
これに対して、ディジタルズームで撮影した場合、撮影レンズと切り出した画面との関係は、領域B61で示すような関係となる。ディジタルズームで切り出した画面において、レンズの中心から最も遠くなる対角端の位置Pb61でのMTF特性は、図20(B)において、特性Qb61のようになる。ディジタルズームを行ったときには、切り出した画面の領域B61の対角端の位置Pb51でのMTFが満足する特性となるように、ズーム範囲を設定すれば良い。
【0084】
特性Qa61と特性Qb61とを比較すれば分かるように、ディジタルズームの画面の場合には、通常撮影の画面長の場合に比べて、対角端でのMTFが上がる。したがって、通常画面において最もレンズの端に来る対角端が位置Pa61で、満足な画質が確保できるように、ズーム範囲La6が設定されていたとすると、ディジタルズームを行ったときの画面の場合には、同様のMTFが得られるズーム範囲を、Lb6に拡張できる。
【0085】
通常、光学ズームとディジタルズームとを備えた撮像装置においては、ズームスイッチによりズーム撮影を行った場合には、図21(A)に示すように、光学ズームで設定できる範囲では光学ズームでズームが行われ、それ以上では、光学ズームが一定で、ディジタルズームによりズームが設定される。
【0086】
これに対して、この発明の第6の実施形態では、ディジタルズーム再拡大モードに設定すると、図21(B)に示すように、ズームスイッチによりズーム撮影を行った場合には、光学ズームで設定できる範囲では光学ズームでズームが行われ、それ以上では、ディジタルズームによりズームが設定される。ディジタルズームによりズームが設定されるときには、ディジタルズームのズーム率に応じて、光学ズームの範囲が拡張できる。これにより、ディジタルズームを行っているときには、光学ズームにより、更に、撮影画面を再拡大することができる。
【0087】
例えば、通常の光学ズームが3倍、ディジタルズームが2倍であるとすると、通常では、ズーム倍率は(3×2=6)倍である。しかしながら、ディジタルズーム再拡大モードに設定すると、ディジタルズームを2倍に設定すると、光学ズームが3倍以上に拡大され、トータル6倍を越えるズームに拡大できる。
【0088】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、DLP方式のプロジェクタのような投射装置や、ディジタルカメラのような撮像装置のズーム設定に用いることができる。
【符号の説明】
【0090】
1:コントローラ、
13:DMD駆動回路、
14:DMD素子、
23:投影レンズ、
25:レンズモータ、
26:ズームモータ駆動回路、
50:撮像レンズ、
51:撮像素子、
62:記録媒体、
63:コントローラ、
70:シャッターボタン、
71:モータ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を映像信号により変調させる表示素子と、
前記表示素子からの光をスクリーンに投射する投影レンズと、
前記投影レンズのズームを設定するレンズ移動手段と、
像高の異なる複数のモードを選択的に設定するモード設定手段と、
像高が小さくなるモードでは、前記投影レンズのズーム範囲を拡大するように、ズーム範囲を設定する制御手段と、
を有することを特徴とするズーム機構付き投射装置。
【請求項2】
前記モードは、横長モードと縦長モードであり、前記縦長モードでは前記横長モードに比べて、ズーム範囲を拡大するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のズーム機構付き投射装置。
【請求項3】
前記縦長モードでのズーム範囲の拡大は、前記横長モードのときのズーム範囲で維持される画像の品質以上の品質を維持できるようなズーム範囲とするようにしたことを特徴とする請求項2に記載のズーム機構付き投射装置。
【請求項4】
前記モードは、標準画面モードとワイド画面モードであり、前記ワイド画面モードでは前記標準画面モードに比べて、ズーム範囲を拡大するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のズーム機構付き投射装置。
【請求項5】
前記ワイド画面モードでのズーム範囲の拡大は、前記標準画面モードのときのズーム範囲で維持される画像の品質以上の品質を維持できるようなズーム範囲とするようにしたことを特徴とする請求項4に記載のズーム機構付き投射装置。
【請求項6】
前記モードは、台形補正モードありと台形補正なしのモードであり、前記台形補正ありのモードでは前記台形補正なしのモードに比べて、ズーム範囲を拡大するようにしたことを特徴とする請求項1記載のズーム機構付き投射装置。
【請求項7】
前記台形補正ありのモードでのズーム範囲の拡大は、前記台形補正なしのモードのときのズーム範囲で維持される画像の品質以上の品質を維持できるようなズーム範囲とするようにしたことを特徴とする請求項6に記載のズーム機構付き投射装置。
【請求項8】
撮像レンズと、
入射光を光電変換する撮像素子と、
前記撮像レンズのズームを設定するレンズ移動手段と、
像高の異なる複数のモードを選択的に設定するモード設定手段と、
像高が小さくなるモードでは、ズーム範囲を拡大するように、ズーム範囲を設定する制御手段と、
を有することを特徴とするズーム機構付き撮像装置。
【請求項9】
前記モードは、横長モードと縦長モードであり、前記縦長モードでは前記横長モードに比べて、ズーム範囲を拡大するようにしたことを特徴とすることを特徴とする請求項8に記載のズーム機構付き撮像装置。
【請求項10】
前記縦長モードでのズーム範囲の拡大は、前記横長モードのときのズーム範囲で維持される画像の品質以上の品質を維持できるようなズーム範囲とするようにしたことを特徴とする請求項9に記載のズーム機構付き撮像装置。
【請求項11】
前記モードは、通常撮影モードとパノラマ撮影モードであり、前記パノラマ撮影モードでは前記通常撮影モードに比べて、ズーム範囲を拡大するようにしたことを特徴とする請求項8に記載のズーム機構付き撮像装置。
【請求項12】
前記パノラマ撮影モードでのズーム範囲の拡大は、前記通常撮影モードのときのズーム範囲で維持される画像の品質以上の品質を維持できるようなズーム範囲とするようにしたことを特徴とする請求項11に記載のズーム機構付き撮像装置。
【請求項13】
前記モードは、ディジタルズーム再拡大ありと再拡大なしのモードであり、前記ディジタルズーム再拡大ありのモードでは前記再拡大なしのモードに比べて、ズーム範囲を拡大するようにしたことを特徴とする請求項8に記載のズーム機構付き撮像装置。
【請求項14】
前記ディジタルズーム再拡大ありのモードでのズーム範囲の拡大は、前記再拡大なしのモードのときのズーム範囲で維持される画像の品質以上の品質を維持できるようなズーム範囲とするようにしたことを特徴とする請求項13に記載のズーム機構付き撮像装置。
【請求項15】
ズームスイッチを操作すると、前記再拡大なしのモードでのズーム範囲まで光学ズームが行われ、前記ディジタルズーム再拡大ありのモードでは、更に、ディジタルズームによりズームを行うと、光学ズームにより再拡大できるようにしたことを特徴とする請求項13に記載のズーム機構付き撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−95355(P2012−95355A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−8586(P2012−8586)
【出願日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【分割の表示】特願2006−95868(P2006−95868)の分割
【原出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】