説明

セキュリティゲート

【課題】ゲート本体の小型化によりゲート全体をシンプルな形状とし、据え付ける建築物のデザイン性を損なわないセキュリティゲートを提供する。
【解決手段】ゲート本体の両側に形成された入退出通路を、ゲート本体に設けたフラップ9A、9Bによりそれぞれ個別に開閉するにあたり、フラップ9A、9Bの回転軸を上下に位置させて同軸上に配置する。また、フラップ9A、9Bの各回転駆動源19をそれぞれの上方枢支部17と下方枢支部18との間に配置する。さらに、ゲート本体として、回転駆動機構10と、回転駆動機構10を取り付ける固定フレーム8と、回転駆動機構10および固定フレーム8を覆い、その筒軸がフラップ9A、9Bの回転軸と同軸上に配置される筒状カバー11と、を有した支柱部4を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
水平面内に回転し、通路に直角に位置して通路を閉鎖するフラップを備え、通過権限を認証された人が通路を通過するときにフラップを開いて通過を可能とするセキュリティゲートの従来例として特許文献1に記載のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−234023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のセキュリティゲートは、フラップの回転駆動機構の占めるスペースが大きいことから、ゲート本体が大きくなってゲート全体の存在感が強くなる傾向にあり、建築物のデザインとのマッチングの点や物物しい印象を与えやすいという点で例えばビルのエントランス用としては不向きな場合があった。
【0005】
本発明は、ゲート本体の小型化によりゲート全体をシンプルな形状とし、据え付ける建築物のデザイン性を損なわないセキュリティゲートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、ゲート本体の両側に形成された入退出通路を、ゲート本体に設けた各フラップによりそれぞれ個別に開閉するセキュリティゲートであって、各フラップの回転軸を上下に位置させて同軸上に配置したことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、各フラップの回転軸を入退出通路の幅方向に並列に配置する場合に比してゲート本体の幅寸法(入退出通路の幅方向に沿う寸法)を抑えることができる。したがって、ゲート本体の小型化が可能となってゲートの存在感も抑制され、建築物のデザイン性とのマッチングが良好となる。
【0008】
また、本発明は、前記フラップは、フラップの回転軸を構成する上方枢支部および下方枢支部によって回転自在に支持され、前記フラップの回転駆動源を前記上方枢支部と前記下方枢支部との間に配置したことを特徴とする。
【0009】
フラップを安定して支持するためには上下一対としての上方枢支部と下方枢支部とが必要であり、従来では、特許文献1に示されるように、回転駆動源をフラップの下方枢支部よりもさらに下方に位置させているために回転駆動機構全体の高さ寸法が嵩張るのに対し、本発明によれば、上方枢支部と下方枢支部との間の空間を利用して回転駆動源を位置させているので回転駆動機構全体の高さ寸法が小さくなる。したがって、限られたゲート本体の内部スペースにおいて、回転駆動機構の高さ寸法が抑えられる分、回転駆動機構以外のゲート構成部材の収装スペースに充てることができる。
【0010】
また、本発明は、前記ゲート本体は、前記上方枢支部、前記下方枢支部および前記回転駆動源からなる回転駆動機構と、この回転駆動機構を取り付ける固定フレームと、前記回転駆動機構および前記固定フレームを覆い、その筒軸が前記フラップの回転軸と同軸上に配置される筒状カバーと、を有した支柱部を備え、前記筒状カバーを上下に分割してそれぞれに前記各フラップを一体に連結させ、各フラップとともに各筒状カバーを回転させる構成としたことを特徴とする。
【0011】
回転駆動機構と、この回転駆動機構を取り付ける固定フレームと、回転駆動機構および固定フレームを覆い、その筒軸がフラップの回転軸と同軸上に配置される筒状カバーと、を有した支柱部を備える構成とすれば、ゲート本体を小型でシンプルな形状にできる。そして、筒状カバーを上下に分割してそれぞれに各フラップを一体に連結させ、各フラップとともに各筒状カバーを回転させる構成とすれば、筒状カバーにフラップの回転逃げ代用の切り欠きなどを形成する必要もなくなり、支柱部の構造を簡略化できる。内蔵される回転駆動機構等は筒状カバーによって常時完全に覆われるため、美観が損なわれることもない。
【0012】
また、本発明は、前記固定フレームは、一方のフラップの回転駆動源を取り付ける下方の固定フレームと他方のフラップの回転駆動源を取り付ける上方の固定フレームとから構成され、前記下方の固定フレームと前記上方の固定フレームとは、各々のフラップの位置する側に開口部を形成した同一の平断面形状を呈し、平面視してフラップの回転軸を中心として点対称の関係となるように連結されていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、上下一対の回転駆動機構を取り付けるにあたり、フレームの構造の簡易化と小型化が図れ、支柱部の小径化が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、シンプルな形状で、据え付ける建築物のデザイン性を損なわないセキュリティゲートとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るセキュリティゲートの外観斜視図である。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ本発明に係るセキュリティゲートの平面図、正面図である。
【図3】支柱部の外観斜視図である。
【図4】(a)、(b)はそれぞれ固定フレームを分解した状態、一体にした状態を示す外観斜視図であり、(c)は(b)におけるA−A断面図である。
【図5】支柱部の部分分解斜視図である。
【図6】回転駆動機構の側面説明図である。
【図7】支柱部における要部の平断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1、図2において、本発明に係るセキュリティゲート1は、ゲート本体2の両側に形成された入退出通路S1、S2を、ゲート本体2に設けた各フラップ9A、9Bによりそれぞれ個別に開閉する構造である。図1、図2では、本発明に係るゲート本体2を中央に配置し、入退出通路S1、S2を挟んで左右に単枚フラップ仕様のゲート本体61、62を配置したレイアウト例を示しており、ゲート本体61、62の各フラップ61A、62Aは、それぞれゲート本体2のフラップ9A、9Bと連動して入退出通路S1、S2を開閉するようになっている。以下、本発明に係るセキュリティゲート1、すなわち中央のゲート本体2について説明する。
【0017】
ゲート本体2は、一方の端部3aから他方の端部3bに向かう方向が入退室通路方向を形成する長尺板状の天板部3と、天板部3の中央下部を支持する円柱形状の支柱部4とを主な構成部材とする。また、支柱部4を挟んで一対形成されることとなる、天板部3の下部と床面との間の開口空間にはそれぞれ仕切りガイド部5が設けられる。フラップ9A、9Bは、入退出通路S1、S2の通行方向と直交する方向に沿う位置となる通路閉鎖位置と、通行方向に略平行な位置となる通路開放位置との間で回転する。
【0018】
「天板部3」
天板部3の端部3a、3bの正面部にはそれぞれ、進入許可/禁止、カードの操作許可/禁止、エラー発生等の状態をランプ表示する通行表示器6が設けられている。例えば、進入やカードの操作が可能な場合には緑色発光し、進入やカードの操作が禁止されている場合、エラーが発生している場合等には赤色発光する。
【0019】
天板部3の端部3a、3bの上面部には、通行する人の通過権限を認証するカードリーダ7が設けられる。カードリーダ7は例えば非接触方式のカードリーダからなる。端部3a側に設けられたカードリーダ7は入退出通路S1を通行する際に使用され、端部3b側に設けられたカードリーダ7は入退出通路S2を通行する際に使用される。なお、入退出通路S1、S2をそれぞれ逆方向に通行する際はゲート本体61、62のカードリーダ7を使用する。
【0020】
また、天板部3の側面部には、人や物品の通行を検出する通行検出センサ(図示せず)が設けられる。この通行検出センサは、例えば水平方向を検出方向とする光透過型センサからなり、通行方向や位置を検出できるように天板部3の側面部に所定間隔をおいて複数設けられる。入退出通路S1、S2における下部空間も検出できるように、斜め下方を検出方向とする光反射型センサ(図示せず)が端部3a、3b周りの側面部に設けられ、車椅子や台車などの通行が検出される。なお、支柱部4の下部には、水平方向を検出方向とする光透過型センサが取り付けられており、フラップ9A、9Bの下方のくぐり抜けを検出できるようになっている。
【0021】
「ゲート制御部52」
天板部3にはゲート制御部52が内蔵される。ゲート制御部52は、後に詳述する回転駆動機構10を駆動するための信号を出力し、回転駆動機構10の動作を制御する。また、ゲート制御部52は、接続部51を介して接続した入退出管理装置からの送信指令を受信しながらゲート本体2の動作を制御する機能を有する。また、ゲート制御部52は通行表示器6を制御する機能も有する。入退出管理装置は、カードリーダ7で読み取ったカードの識別情報からゲートの通過権限の有無を判定し、ゲート制御部52に指令を与える。入退出管理装置はゲート本体2内に備える形態としてもよいし、ゲート本体2の外部、例えば床下配線を介して専用のセキュリティ管理室などに設置する形態としてもよい。また、ゲート制御部52は支柱部4側に内蔵させてもよい。
【0022】
「仕切りガイド部5」
仕切りガイド部5は、例えば天板部3の下部と床面との間にわたって固設されるものであり、天板部3の下部を支持する機能と、入退出通路S1、S2を仕切る機能とを担う。この仕切りガイド部5を板状の強化ガラスなどの透明部材から構成すれば、外観がシンプルとなってゲートの存在感を強く感じさせないようにすることができる。勿論、仕切りガイド部5として、不透明部材の板材から構成したり、複数の棒状部材(ステンレス鋼管など)を並設する構成としてもよい。
【0023】
「支柱部4」
図3に示すように、支柱部4は、フラップ9A用、9B用の各回転駆動機構10と、これら回転駆動機構10を取り付ける固定フレーム8と、各回転駆動機構10および固定フレーム8を覆い、その筒軸がフラップ9A、9Bの回転軸Xと同軸上に配置される筒状カバー11と、を有した構成からなる。フラップ9A、9Bの回転軸Xは上下に位置して同軸上に配置される。
【0024】
「固定フレーム8」
固定フレーム8は鉛直状に延設される鋼板等の板状部材からなる。図4に示すように本実施形態では、上下に分割した固定フレーム8A、8Bを、連結板12を介在させたうえでボルト13の締結により一体とさせている。連結板12の中央には電気配線を通すための孔12aが穿設される。各固定フレーム8A、8Bは、その平断面形状が、中央の基面部8cと、基面部8cの両端から「ハ」の字状に折り曲げられた折り曲げ面部8d、8dとを有した三面構造であり、三面で囲まれる空間内にフラップ9A、9Bの回転駆動機構10(図3)が収装される。固定フレーム8A、8Bは、各々のフラップ9A、9Bの位置する側に開口部を形成した同一の平断面形状を呈しており、図4(c)に示すように、平面視してフラップ9A、9Bの回転軸Xを中心として点対称の関係となるように連結板12を介して連結される。
【0025】
具体的には、下方の固定フレーム8Aは、そのフレーム開口側が一方の入退出通路S1(図1)に臨むように位置し、その前記空間内に、入退出通路S1を開閉するフラップ9A用の回転駆動機構10が収装される。上方の固定フレーム8Bは、そのフレーム開口側が他方の入退出通路S2(図1)に臨むように位置し、その前記空間内に、入退出通路S2を開閉するフラップ9B用の回転駆動機構10が収装される。なお、固定フレーム8Aは固定フレーム8Bに比べて長尺であり、前記空間の内の上方空間をフラップ9A用の回転駆動機構10の収装空間とし、下方空間は図3に示すように接続部51の収装空間に充てている。
【0026】
固定フレーム8Aの下端周りは床下に埋設される部位となり、折り曲げ面部8dの下端には床下内で固定するためのフランジ8eが形成される。固定フレーム8Bの上端は天板部3(図1)の中央下部周りを支持する部位となり、固定フレーム8Bの上端周りの三面を連結するように補強板14がボルト締結されている。この補強板14にも電気配線を通すための孔14aが穿設される。また、固定フレーム8A、8Bの各折り曲げ面部8dの外面側にはローラ取り付け板15が上下一対に突設されており、各ローラ取り付け板15には鉛直方向を回転軸方向とするガイドローラ16が取り付けられている。このガイドローラ16は図3に示すように筒状カバー11(下部筒状カバー11A、上部筒状カバー11B)の内面に接触して筒状カバー11の回転をガイドする機能を担う。
【0027】
「回転駆動機構10」
固定フレーム8A、8Bにはそれぞれフラップ9A用、9B用の回転駆動機構10が取り付けられる。両回転駆動機構10は互いに同じ構成であり、以下、フラップ9A用の回転駆動機構10について説明する。図5または図6を参照して、回転駆動機構10は、フラップ9Aの回転軸Xを構成する上方枢支部17および下方枢支部18と、フラップ9Aの回転駆動源19とを備える。
【0028】
符号20は回転駆動機構10を支持する取り付けブラケットを示す。図5に示すように、取り付けブラケット20は、上下に延設される基面部20aと、基面部20aの上下端に互いに対向し合うように形成される上縁部20b、下縁部20cと、基面部20aの両側端から平断面視して「ハ」の字状に折り曲げられた折り曲げ面部20d、20dとを有した形状からなり、折り曲げ面部20dを介して固定フレーム8Aの折り曲げ面部8dにボルトにより締結固定される。
【0029】
図6において、上縁部20bには、上方枢支軸22が鉛直方向を軸方向として上縁部20bから下方に突設するように設けられており、上方枢支軸22の上部のボルト部がナット21によって締結固定されることで上方枢支軸22が上縁部20bに固定される。上方枢支軸22には軸受23を介して軸受ホルダ24が取り付けられている。軸受ホルダ24の形状は、軸受23周りの上部側は円柱形状を呈しているが下部側は略方形体となっている。この略方形体の部位は一対のフラップ保持具30の上部を取り付けるための上方取り付け部25となる。以上の上方枢支軸22、軸受23、軸受ホルダ24、上方取り付け部25が上方枢支部17を構成する。
【0030】
下縁部20cにおいては、その上面に軸受ホルダ26が固定されており、軸受27を介して下方枢支軸28が鉛直方向を軸方向として軸受ホルダ26から上方に突設するように設けられている。下方枢支軸28の突設部には方形体状のブロック片がピン結合により取り付けられている。この方形体状のブロック片は一対のフラップ保持具30の下部を取り付けるための下方取り付け部29となる。以上の軸受ホルダ26、軸受27、下方枢支軸28、下方取り付け部29が下方枢支部18を構成する。
【0031】
フラップ保持具30は、板状部材から構成されており、上下に延設されるフラップ保持部30aと、フラップ保持部30aの上部、下部からそれぞれ水平に延設される上方支持部30b、下方支持部30cとを有した形状からなる。上方支持部30bの根元部寄りには駆動伝達支持部30dが形成される。一対のフラップ保持具30は、各上方支持部30b、下方支持部30cが方形体状を呈した上方取り付け部25、下方取り付け部29の両側面にあてがわれてボルト31で締結されることにより、互いに上方取り付け部25、下方取り付け部29の幅寸法分の間隔を空けて上方枢支部17、下方枢支部18に取り付けられる。
【0032】
図5に示すように、フラップ9Aは、その一端側の下方縁部周りが両フラップ保持部30a間に差し込まれてボルト32、ナット33により締結固定される。フラップ9Aを例えば透明ポリカーボネート樹脂などの透明部材から構成すれば、通過する人にゲートの存在感を強く意識させないようにすることができる。なお、フラップ9Aの一端側の上方縁部周りは、上部筒状カバー11B(図3)と干渉しないように切り欠き形成されており、フラップ9B(図3)側においても下部筒状カバー11Aと干渉しないように切り欠き形成されている。
【0033】
図5または図6において、フラップ9Aの回転駆動源19となるモータは、駆動軸19aを鉛直方向上向きとして上方枢支部17と下方枢支部18との間に配置されたうえで、本体部が取り付け板34を介して取り付けブラケット20に固定される。駆動軸19aは、上方枢支軸22、下方枢支軸28と同軸上に位置する。駆動軸19aには方形体状のブロック片からなる駆動伝達部35の一端がピン結合により取り付けられ、駆動伝達部35の他端は両フラップ保持具30の駆動伝達用支持部30d間に挟まれたうえでボルト36により締結固定される。
【0034】
「筒状カバー11」
筒状カバー11は、図3に示すように、フラップ9Aと一体に回転する下部筒状カバー11Aと、フラップ9Bと一体に回転する上部筒状カバー11Bとに分割構成されている。下部筒状カバー11Aは、図5に示すように、平断面半円形となるようにさらに左右に分割構成されており、図7にも示すように、それぞれの円周方向一端側が、フラップ保持具30の先端縁に形成されたフランジ部30eにあてがわれて留め具37により固定される。下部筒状カバー11Aの各円周方向他端側は留め具37を介した連結板38により互いに連結される。なお、下部筒状カバー11Aは、左右に分割することなく一体に形成したものでもよい。下部筒状カバー11Aの内周面には前記したようにガイドローラ16が摺接する。上部筒状カバー11Bも、下部筒状カバー11Aの構成と同じであるため、その説明は省略する。
【0035】
「接続部51」
図3に示すように、接続部51は例えば固定フレーム8Aの下部に取り付けられる。接続部51は、図1に示すようにゲート制御部52と、入退出管理装置、電源、隣の支柱部4の接続部とを接続する。この接続部51周りを隠すように、下部筒状カバー11Aの下方には固定筒状カバー11Cが設けられている。この固定筒状カバー11Cは下部筒状カバー11A、上部筒状カバー11Bと同径で同軸上に配されているが、回転はしない。
【0036】
ゲート本体2は以上の構成からなり、カードリーダ7でのカードの読み取りにより入退出通路S1の通行が許可されると、ゲート制御部52から下方に位置する回転駆動機構10の回転駆動源19に駆動信号が送られて駆動軸19aが回転する。したがって、この駆動軸19aに駆動伝達部35、フラップ保持具30を介して連結したフラップ9Aが、上方枢支部17および下方枢支部18に支持されて回転軸Xを回転中心として進行方向側に回転し、通路を開く。フラップ保持具30を介してフラップ9Aに連結した下部筒状カバー11Aも一体に回転し、その際、ガイドローラ16にガイドされることで回転時の波打ちなどの変形を伴うことなく安定した形状で回転する。
【0037】
同様に、カードリーダ7でのカードの読み取りにより入退出通路S2の通行が許可されると、ゲート制御部52から上方に位置する回転駆動機構10の回転駆動源19に駆動信号が送られて駆動軸19aが回転する。したがって、この駆動軸19aに駆動伝達部35、フラップ保持具30を介して連結したフラップ9Bが、上方枢支部17および下方枢支部18に支持されて回転軸Xを回転中心として進行方向側に回転し、通路を開く。フラップ保持具30を介してフラップ9Bに連結した上部筒状カバー11Bも一体に回転し、その際、ガイドローラ16にガイドされることで回転時の波打ちなどの変形を伴うことなく安定した形状で回転する。
【0038】
以上のように、ゲート本体2の両側に形成された入退出通路S1、S2を、ゲート本体2に設けたフラップ9A、9Bによりそれぞれ個別に開閉するにあたり、フラップ9A、9Bの回転軸Xを上下に位置させて同軸上に配置する構造とすれば、各回転軸を入退出通路S1、S2の幅方向に並列に配置する場合に比してゲート本体2の幅寸法(入退出通路S1、S2の幅方向に沿う寸法)を抑えることができる。したがって、ゲート本体2の小型化が可能となってゲートの存在感も抑制され、建築物のデザイン性とのマッチングが良好となる。なお、勿論、両フラップの回転軸を入退出通路S1、S2の進行方向に並列に配置する構成としてもゲート本体2の幅寸法を抑えることができるが、この場合、両フラップの回転中心が入退出通路S1、S2の進行方向にずれるという制約を受けることとなる。
【0039】
また、フラップ9A、9Bが、フラップ9A、9Bの回転軸Xを構成する上方枢支部17および下方枢支部18によって回転自在に支持された構造において、フラップ9A、9Bの回転駆動源19を上方枢支部17と下方枢支部18との間に配置する構成とすれば、ゲート本体2の高さ寸法を抑えることができる。フラップ9A、9Bを安定して支持するためには上下一対としての上方枢支部17と下方枢支部18とが必要であり、従来では、特許文献1に示されるように回転駆動源をフラップの下方枢支部よりもさらに下方に位置させているために、回転駆動機構全体の高さ寸法が嵩張るのに対し、本発明では、上方枢支部17と下方枢支部18との間の空間を利用して回転駆動源19を位置させているので回転駆動機構10の高さ寸法が小さくなる。したがって、限られたゲート本体2(支柱部4)の内部スペースにおいて、回転駆動機構10の高さ寸法が抑えられる分、回転駆動機構10以外のゲート構成部材(本実施例では接続部51)の収装スペースに充てることができる。
【0040】
また、ゲート本体2は、上方枢支部17、下方枢支部18および回転駆動源19からなる回転駆動機構10と、この回転駆動機構10を取り付ける固定フレーム8と、回転駆動機構10および固定フレーム8を覆い、その筒軸がフラップ9A、9Bの回転軸Xと同軸上に配置される筒状カバー11と、を有した支柱部4を備える構成とすれば、ゲート本体2を小型でシンプルな形状にできる。そして、筒状カバー11を上下に分割してそれぞれにフラップ9A、9Bを一体に連結させ、各フラップ9A、9Bとともに各筒状カバー11(下部筒状カバー11A、上部筒状カバー11B)を回転させる構成とすれば、筒状カバー11にフラップ9A、9Bの回転逃げ代用の切り欠きなどを形成する必要もなくなり、支柱部4の構造を簡略化できる。内蔵される回転駆動機構10等は下部筒状カバー11A、上部筒状カバー11Bによって常時完全に覆われるため、美観が損なわれることもない。
【0041】
また、固定フレーム8を固定フレーム8A、8Bに分割構成し、これら固定フレーム8A、8Bを、各々のフラップ9A、9Bの位置する側に開口部を形成した同一の平断面形状とし、平面視してフラップ9A、9Bの回転軸Xを中心として点対称の関係となるように連結する構成とすれば、上下一対の回転駆動機構10を取り付けるにあたり、フレームの構造の簡易化と小型化が図れ、支柱部4の小径化が可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1 セキュリティゲート
2 ゲート本体
3 天板部
4 支柱部
5 仕切りガイド部
8 固定フレーム
9A、9B フラップ
10 回転駆動機構
11 筒状カバー
11A 下部筒状カバー
11B 上部筒状カバー
17 上方枢支部
18 下方枢支部
19 回転駆動源
30 フラップ保持具
S1、S2 入退出通路
X 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート本体の両側に形成された入退出通路を、ゲート本体に設けた各フラップによりそれぞれ個別に開閉するセキュリティゲートであって、
各フラップの回転軸を上下に位置させて同軸上に配置したことを特徴とするセキュリティゲート。
【請求項2】
前記フラップは、フラップの回転軸を構成する上方枢支部および下方枢支部によって回転自在に支持され、
前記フラップの回転駆動源を前記上方枢支部と前記下方枢支部との間に配置したことを特徴とする請求項1に記載のセキュリティゲート。
【請求項3】
前記ゲート本体は、
前記上方枢支部、前記下方枢支部および前記回転駆動源からなる回転駆動機構と、
この回転駆動機構を取り付ける固定フレームと、
前記回転駆動機構および前記固定フレームを覆い、その筒軸が前記フラップの回転軸と同軸上に配置される筒状カバーと、を有した支柱部を備え、
前記筒状カバーを上下に分割してそれぞれに前記各フラップを一体に連結させ、各フラップとともに各筒状カバーを回転させる構成としたことを特徴とする請求項2に記載のセキュリティゲート。
【請求項4】
前記固定フレームは、一方のフラップの回転駆動源を取り付ける下方の固定フレームと他方のフラップの回転駆動源を取り付ける上方の固定フレームとから構成され、
前記下方の固定フレームと前記上方の固定フレームとは、各々のフラップの位置する側に開口部を形成した同一の平断面形状を呈し、平面視してフラップの回転軸を中心として点対称の関係となるように連結されていることを特徴とする請求項3に記載のセキュリティゲート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−196428(P2010−196428A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45400(P2009−45400)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(307011510)株式会社熊平製作所 (12)
【Fターム(参考)】