説明

セキュリティシステム用スピーカ付き端末装置

【課題】スピーカが配置されているカバー体を、中央部に電子機器を収容しているケース体に取り付ける場合、信号線が挟み込まれることを回避できるセキュリティシステム用スピーカ付き端末装置を提供する。
【解決手段】端末装置21において、信号線6Lの接続部7の付近に挿通部材24及び挿通阻止部材25を配置する。また、ケース体22の左側面22Lから、吊り下げ紐9の上端部が係止部材10により係止されている位置までの最短距離d1を、カバー体23の左側面23Lから吊り下げ紐9が係止部材10により係止されている位置までの最短距離d2よりも長くし、ケース体22の右側面22Rから信号線6Lがコネクタ8を介して電子機器部26に接続されている位置までの最短距離d3を、カバー体23の右側面23Rから信号線6Lが挿通部材24及び挿通阻止部材25により係止されている位置までの最短距離d4よりも短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティシステムを構成する端末側の電子機器が内部に収容され、例えば建造物の壁面などに固定されるケース体と、電子機器に信号線が接続されたスピーカが配置されるカバー体とで構成されるスピーカ付き端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セキュリティシステムにおいて、音声メッセージを出力するためのスピーカを備えた端末装置(例えば、ユーザがセキュリティシステムのオンオフ(設定,解除)を切り替える操作を行う端末)では、スピーカ自体も、電子機器が内部に収容されるケース体側に取り付けられていた。しかしながら、音質の向上を図るためには、スピーカをカバー体側に取り付けてカバー体の前面部分をバッフルとして利用することが好ましい。その場合、スピーカに音声信号を出力するための信号線が、ケース体側の電子機器からカバー体側のスピーカへと渡ることになる。
【0003】
また、上記の端末装置は、一般に建造物の壁面に配置された状態で使用されるので、カバー体を取り外した場合に脱落を防止するため、ケース体とカバー体とを吊り下げ紐で接続している。すると、取り外したカバー体を作業者が把持しなければ、カバー体は、吊り下げ紐とスピーカの信号線とによりケース体から吊り下げられた状態になる。
【0004】
ここで、単にカバー体の脱落を防止するためであれば、例えばケース体とカバー体とをヒンジを介して接続することも考えられる。ところが、端末装置が設置される周辺の状況は、実際にどのようになるかが事前に予測できず、必ずしもカバー体を下方側に開くがことが容易な状況にあるとは限らないので、作業時には、カバー体をケース体から完全に分離できるようにもしておきたいという要望がある。
そこで、吊り下げ紐を用いれば、ループ状に結んだ紐の一端側を紐を係止している部材より外したり、紐の結び目を解くことでカバー体をケース体から完全に分離できるので、上記の要望に応えることができる(そもそも、ヒンジを取り付けるには、ケース体の下辺側にそのためのスペースが必要になるが、端末装置の場合、下辺側に、セキュリティシステムをオンオフするキーやケース体のロック解除用のキーを差し込む穴が設けられたり、リセットスイッチ等が配置されることが多く、スペースの確保も困難である)。
【0005】
図3は、上記の状態を示したものである。図3に示す端末装置1は、前面が開口した矩形箱状のケース体2と、後面が開口した箱状のカバー体3とで構成されている。ケース体2の内部には、例えば樹脂製のカバー4C内に電子機器を収容した電子機器部4が配置されており、ケース体2は、例えば家屋(建造物)の壁面などに固定される。図3(a)に示すように、ケース体2及びカバー体3の開口サイズは等しく、それぞれの上下面及び左右両側面を一致させるようにしてカバー体3をケース体2に取り付け、ケース体2の開口を覆うようになっている。
【0006】
カバー体3の前面となるカバー面3Fの中央部には、スピーカ5が配置されている。そのスピーカ5に音声信号を出力する信号線6の一端は、スピーカ5の後面側でボイスコイルに(直接、或いはターミナルを介して)はんだ付けにより接続されて接続部7を構成しており、信号線6の他端はコネクタ8を介して電子機器部4に接続されている。すなわち、カバー4Cには図示しない開口部があり、その開口部に電子機器側のコネクタが配置されており、そのコネクタにコネクタ8が接続される。
【0007】
ケース体2において、電子機器部4の図3(b)中左下側には、吊り下げ紐9を挿通したり、或いはその一端を結び付けるための係止部材10が固定されている。一方、カバー体3の図3(b)中左上側には、同様に吊り下げ紐9を挿通したり、或いはその他端を結び付けるための係止部材11が固定されている。この場合、係止部材10は、一端側が抜け止め用の爪を付けて開放した形状となっており、カバー体3の係止部材11は、例えば断面がコ字型の部材をカバー体3に取り付けたものとなっている。
したがって、例えば吊り下げ紐9を係止部材10及び11に挿通した後、吊り下げ紐9の両端を結んでループ状にしておけば、コネクタ8を電子機器部4より引き抜き、係止部材10の開放端より吊り下げ紐9を外すことで、カバー体3をケース体2から完全に分離することができる。
【0008】
電子機器部4は一般に、ケース体2の中央部分に配置されるので、吊り下げ紐9とスピーカ5の信号線6とは、何れもケース体2の左右方向においてそれぞれ両端側に寄せた位置に配置されることになる。図3(b)に示した状態では、電子機器部4はケース体2の殆どのスペースを占めており、辛うじて左下側のみに空きスペースがある。そして、取り外したカバー体3がケース体2から吊り下げられた状態になると、信号線6にもスピーカ5を含むカバー体3の約半分に相当する荷重が張力としてかかるため、スピーカ5と信号線6との接続部7がダメージを受けることが想定される。そのような事態を回避するには、図4(a)に示すように、信号線6を吊り下げ紐9よりも更に長くする(信号線6Lとする)ことが考えられる。
【0009】
すると今度は、カバー体3が吊り下げられた場合に、信号線6Lが接続されている側(図4(a)中右下側)にカバー体3が傾いた状態になる。この状態から、作業者がカバー体3を持ち上げてケース2体に取り付けるには、カバー体3を、図4では右から左に寄せながら取り付ける必要がある。その結果、図4(b)に示すように、信号線6Lがケース体2とカバー体3との間に挟まれ易くなり、信号線6L自体がダメージを受ける可能性がある。また、作業者は、信号線6Lを挟み込まないように注意しながら取り付け作業したり、実際に挟み込んでしまった場合は取り付け作業をやり直す必要があるため、作業効率が低下するという問題もある。
【0010】
例えば、特許文献1には、パチンコ遊技機の前扉を開閉する場合に、遊技機と台間機との間を接続する信号ケーブルが前扉の下端と枠体との間には見込まれることを防止するため、バネのような吊り下げ部材によって信号ケーブルの途中部位を吊り下げるようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−116913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のような端末装置1に特許文献1のような吊り下げ部材を配置しようとすると、吊り下げ部材の上端を、吊り下げ紐9と信号線6Lとの間に取り付ける必要がある。しかしながら、ケース体2の中央部には電子機器部4が位置しており、その奥行き寸法(厚さ)はケース体2の奥行き寸法に近いためバネ状の吊り下げ部材を配置するスペースが確保できず、適用することができない。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スピーカが配置されているカバー体を、中央部に電子機器を収容しているケース体に取り付ける場合に、信号線が挟み込まれることを回避できるセキュリティシステム用スピーカ付き端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1記載のセキュリティシステム用スピーカ付き端末装置によれば、カバー体が取り外されて、吊り下げ紐とスピーカの信号線とを介してケース体より吊り下げられた状態になる場合、信号線が係止部により係止されるので、スピーカと信号線との接続部分には張力が及ばなくなり、負荷がかかることが回避される。
また、カバー体がケース体より吊り下げられた状態になると、吊り下げ紐の両端部がケース体,カバー体のそれぞれの側面から位置する距離と、信号線のコネクタがケース体の側面から位置する距離,及びカバー体の側面から信号線が係止部により係止されている位置までの距離との関係によって、カバー体の両側面は、ケース体の両側面の延長線上に位置することなく、側面の一方が、ケース体において信号線がコネクタで接続されている位置側に寄った状態になる。
【0015】
この状態からカバー体をケース体に取り付けようとすれば、互いの開口部分を合わせるために、カバー体を吊り下げ紐側に寄せながら取り付けることになる。すると、その過程において、信号線はケース体の中央側に寄りながらケース体の内部に収容されるので、信号線がケース体とカバー体との間に挟み込まれることも回避される。したがって、スピーカと信号線との接続部分に負荷がかかることを回避すると共に、信号線の挟み込みも防止して信号線にダメージを与えることもなく、作業効率の低下も防止することができる。
尚、ケース体は建造物の壁面に取り付けられるので、特許請求の範囲の記載における「前後」とは、壁面に接するケース体の背面側が「後」,ケース体の開口部を覆うように取り付けられたカバー面の表面側が「前」であることは当然である(また、「上下」,「左右」)を言うとすれば、ケース体が壁面に取り付けられた状態での上下であり,及びそれを観者が前側から見た場合に定まる左右とする)。
【0016】
請求項2記載のセキュリティシステム用スピーカ付き端末装置によれば、カバー体がケース体より吊り下げられた状態になると、信号線は、カバー体に設けられた切欠き部内に自然に位置する。その状態から、作業者がカバー体を持ち上げてケース体に取り付けようとすれば、信号線は切欠き部に捉えられるので、カバー体において信号線が配置される側の側面より外側にはみ出すことがない。そして、作業者がカバー体を吊り下げ紐側に寄せながら取り付けようとすれば、カバー体側の信号線は、切欠き部に捉えられて保持された状態でカバー体と共に移動するので、信号線はケース体の中央側に誘導される。したがって、信号線の挟み込みをより回避し易くなり取り付け作業を一層容易に行うことができる。
【0017】
請求項3記載のセキュリティシステム用スピーカ付き端末装置によれば、係止部を、カバー面の裏側に設けた挿通部材と、信号線側に固定される挿通阻止部材とで構成したので、カバー体がケース体より吊り下げられた場合に信号線がケース体側に引っ張られても、挿通阻止部材が挿通部材に当接することで信号線が係止される。また、信号線は挿通部材に対して固定されないので、信号線にかかるストレスをより軽減できる。そして、挿通部材は、信号線をカバー体の側面と平行をなす方向に挿通させるので、カバー体をケース体に取り付けるため吊り下げ紐側に移動させる場合に、挿通部材と挿通阻止部材とが当接している部位で、信号線が左右方向に動くための遊びが確保されるので、信号線をケース体の中央側により誘導し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施例であり、(a)はカバー体がケース体より吊り下げられた状態を示す図、(b),(c)はカバー体をケース体に取り付ける途中の状態を示す図、(d)はカバー体がケース体に取り付けられた状態を、内部を透視して示す図
【図2】第2実施例を示す図1相当図
【図3】従来技術であり、(a)はカバー体がケース体に取り付けられている状態を示す斜視図,(b)は図1(a)相当図
【図4】(a)は従来技術の改良を想定した図3(a)相当図、(b)は図1(d)相当図
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1を参照して説明する。尚、図3及び図4と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。また、以下において「左右」は、図1を正面から見た場合の左右である。図1に示す端末装置21は、ケース体2,カバー体3とは外形が若干異なっているケース体22,カバー体23で構成されている。
【0020】
ケース体22は、建造物の壁面に沿って配置される後面(背面)22Bと、その4辺に形成される左右の側面22L,22R,上面22U及び下面22Dとで構成されている。また、カバー体23は、カバー面(前面)23Fと、その4辺に形成される左右の側面23L,23R,上面23U及び下面23Dとで構成されている。
カバー体23側の係止部材11は、図2(b)に示す位置よりも図中左側(カバー体23の左側面23L)に寄せた位置に固定されている。また、スピーカ5における接続部7の近傍で、図1中右下側には、例えば係止部材11と同様な断面がコ字状の部材をカバー体23の裏面(カバー面23Fの裏側)に固定してなる挿通部材24が配置されている。
【0021】
挿通部材24は、長手方向がカバー体23の上面23Uと平行となるように取り付けられており、信号線6Lをカバー面23Fの裏面との隙間に挿通させてからケース体22側に導くものである(尚、コネクタ8のサイズが上記隙間よりも大である場合は、コネクタ8を接続した後に挿通部材24を取り付ければ良い)。また、信号線6Lの途中部位には挿通阻止部材(係止部)25が固定されている。挿通阻止部材25は例えば結束バンドなどで構成され、信号線6Lに固定した状態での外形サイズは、挿通部材24とカバー体23との隙間寸法よりも大きくなっている。そして、接続部7から挿通部材24が固定されている位置までの信号線6Lの部分には、弛みを持たせるように長さが設定されている。
【0022】
一方、ケース体22側には、電子機器部4に対してカバー26Cの形状のみが異なる電子機器部26が配置されており、カバー26Cの図中右端側には、挿入溝27が形成されている。挿入溝27は、カバー26Cの下端側よりケース体22の右側面22Rの近傍に沿って上方に延設され、コネクタ8が電子機器部24に接続される付近において、その接続部に左側から近づくように迂回した経路をとるように形成されている。そして、カバー体23側から延びる信号線6Lは、カバー26Cの下端側より挿入溝27内に挿入配置され、挿入溝27を経由した後でコネクタ8が電子機器部26に接続される。
また、カバー体23の下面23Dには、信号線6Lがケース体22側に渡る部位に切欠き部28が形成されている。そして、ケース体22の対応する部位である下面22Dには、カバー体23が取り付けられた場合に、切欠き部28に嵌合して当該部位を塞ぐための凸面部29が形成されている。
【0023】
ここで、図1(a)に示すように、ケース体22の左側面22Lから、ループ状である吊り下げ紐9の上端部(一端部)が係止部材10により係止されている位置までの最短距離をd1,カバー体23の左側面23Lから、吊り下げ紐9の下端部(他端部)が係止部材11により係止されている位置までの最短距離をd2とすると、d1>d2となるように係止部材10,11の位置関係が設定されている。
また、ケース体22の右側面22Rから、信号線6Lが、カバー26Cの下端において挿入溝27で保持(係止)されている位置までの最短距離をd3,カバー体23の右側面23Rから、信号線6Lに固定された挿通阻止部材25が挿通部材24に当接して係止されている位置までの最短距離をd4とすると、d3<d4となるように挿入溝27の形成位置,挿通部材24の固定位置関係が設定されている。
【0024】
加えて、吊り下げ紐9の長さと、信号線6Lが挿通部材24及び挿通阻止部材25の作用により係止されている位置から、挿入溝27の下端で保持されている位置までの長さは、図1(a)に示すようにカバー体23が吊り下げ状態となっている場合に、ケース体22の下面22Dの先端と、その下面22Dに対向するカバー体23の下面23Dの先端とが、ほぼ平行となるように調整されている。
【0025】
次に、本実施例の作用について説明する。図2(a)と同様に、カバー体23がケース体22に取り付けられている状態から、ロックが解除されてカバー体23が取り外され、吊り下げ紐9及び信号線6Lによって図1(a)のように吊り下げられた状態になると、前述したように、信号線6Lにスピーカ5を含むカバー体22の荷重の約半分が張力としてかかる。
しかし、ケース体23側では信号線6Lが挿入溝27に挿入保持されており、コネクタ8の付近の挿入溝27に屈曲した迂回経路を設けていることで、コネクタ8と電子機器部26との接続部に張力が及ぶことがなく、コネクタ8が接続部より外れることは防止される。一方、カバー体22側では、信号線6Lに張力がかかっても、挿通部材24に挿通阻止部材25が当接するので接続部7に張力が及ぶことがなく、接続部7より信号線6Lが外れることは防止される。
【0026】
そして、上述のように、係止部材10,11の位置関係(d1>d2)と、挿入溝27及び挿通部材24の位置関係(d3<d4)とが設定されていることにより、カバー体23の両側面23L,23Rは、ケース体22の両側面22L,22Rの延長線上に位置することなく、左側面23Lが図1中右側、すなわちケース体22において信号線6Lがコネクタ8で接続されている位置側に寄った状態になる。
またこの場合、図1(a)に示すように、信号線6Lは、カバー体23の下面23Dに設けられた切欠き部28内に自然に位置する。その状態から、作業者がカバー体23を持ち上げてケース体22に取り付けようとすれば、信号線6Lは切欠き部28に捉えられるので、カバー体23の右側面23Rより外側にはみ出すことがない。
【0027】
この状態から、作業者がカバー体23を持ち上げてケース体22に取り付けようとすれば、互いの開口部分を合わせるためには、吊り下げ紐9が折れ曲がる位置に対応し、既に位置的にほぼ近接している下面22Dと下面23Dとを、仮想的な中心軸としてカバー体23の上端側を動かすことになるので、カバー体23を図1中左側、すなわち吊り下げ紐9側に寄せながら取り付けることになる(図1(b)参照)。この時、カバー体23側の信号線6Lは、切欠き部28に捉えられて保持された状態のままカバー体23と共に移動する。
【0028】
そして、カバー体23をケース体22に取り付ける直前には、カバー体23の左側面23Lをケース体22の左側面22Lの位置に、右側面23Rを右側面22Rの位置に合わせるようにして、下面23Dの先端を下面22Dの先端に接触させる(図1(c)参照)。すると、切欠き部28は、凸面部29の位置に至るので、切欠き部28に捉えられている信号線6Lも凸面部29の位置に来ることになる。そこまでの過程で、信号線6Lはケース体22の中央側に徐々に寄りながらケース体22の内部に収容されて行く。更にその状態から、下面23D側を支点として上面23U側を回動させるようにして、最終的にカバー体23をケース体22に取り付ければ、信号線6Lがケース体22とカバー体23との間に挟み込まれることは回避される(図1(d)参照)。
【0029】
すなわち、上述した位置関係(d1>d2),(d3<d4)の設定と、切欠き部28が信号線6Lを捉える作用とによって、作業者がカバー体23を持ち上げてケース体22に取り付けるまでの間に、信号線6Lがケース体22の中央側に誘導されながらケース体22の内部に収容されることになる。
【0030】
以上のように本実施例によれば、端末装置21において、信号線6Lの接続部7の付近に挿通部材24及び挿通阻止部材25を配置することで、カバー体23がケース体22から吊り下がった状態となる場合に、信号線6Lの接続部7に負荷がかかることを回避するようにした。そして、ケース体22の左側面22Lから、吊り下げ紐9の上端部が係止部材10により係止されている位置までの最短距離d1を、カバー体23の左側面23Lから吊り下げ紐9が係止部材10により係止されている位置までの最短距離d2よりも長くし、ケース体22の右側面22Rから信号線6Lがコネクタ8を介して電子機器部26に接続されている位置までの最短距離d3を、カバー体23の右側面23Rから信号線6Lが挿通部材24及び挿通阻止部材25により係止されている位置までの最短距離d4よりも短くした。
【0031】
したがって、カバー体23をケース体22に取り付けようとする場合に、信号線6Lがケース体22とカバー体23との間に挟み込まれることが回避されるので、信号線6Lにダメージを与えることなく、作業効率の低下も防止することができる。また、カバー体23の下面23D右側に切欠き部28を設け、カバー体23を左側に寄せながらケース体22に取り付けようとする場合、切欠き部28が信号線6Lをケース体22の中央側に誘導させるように作用するので、信号線6Lの挟み込みをより回避し易くして、取り付け作業を一層容易に行うことができる。
【0032】
また、カバー体23のカバー面23Fの裏側に設けた挿通部材24を備え、信号線6L側に挿通阻止部材25を固定したので、カバー体23がケース体22より吊り下げられた場合に信号線6Lに張力がかかっても、挿通阻止部材25により信号線6Lが係止される。この場合、信号線6Lは挿通部材24に対して固定されないので、信号線6Lにかかるストレスをより軽減できる。
そして、挿通部材24を、信号線6Lをカバー体23の側面と平行をなす方向に挿通させるように配置したので、カバー体23をケース体22に取り付けるため左側に移動させる場合に、挿通部材24と挿通阻止部材25とが当接している部位で、信号線6Lが左右方向に動くための遊びが確保される。したがって、信号線6Lをケース体22の中央側により誘導し易くすることができる。
【0033】
(第2実施例)
図2は第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第2実施例は、第1実施例の端末装置1より、カバー体23側の切欠き部28及びケース体22側の凸面部29を無くしたものである。斯様な構成においても、カバー体23をケース体22に取り付けようとする場合の信号線6Lの動きは、基本的に第1実施例の図1(a)〜(d)に示す流れと同様になる。したがって、第1実施例と同様の効果が得られる。
【0034】
本発明は上記し又は図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。
吊り下げ紐9と信号線6Lとの配置を、左右逆にしても良い。
係止部の構造については、例えば挿通阻止部材25を用いずに、挿通部材24に信号線6Lを1回以上巻き付けることで係止させても良い。また、挿通部材24の取り付け方向は、信号線6Lの挿入方向が、カバー体23の上面23Uと平行となる方向や、斜めに傾くような方向でも良い。
挿入溝27は、必要に応じて設ければ良い。例えば挿入溝27を設けない場合には、コネクタ8を電子機器部4に接続する位置を距離d3とすれば良い。
吊り下げ紐9については、両端をそれぞれ係止部材10,11に結び付けても良い。
【0035】
また、係止部材10の形状を、係止部材11と同様にしても良い。
係止部材10は、電子機器部26のカバー26Cと一体に形成しても良い。また、係止部材11もカバー体23と一体に形成しても良い。
係止部は、挿通部材24を用いて構成するものに限らず、例えば信号線6Lを1回以上巻き付けた状態を保持して係止するためのピンをカバー面23Fの裏面に設けても良い。
ケース体及びカバー体の形状については必ずしも矩形の箱状である必要はなく、少なくとも左右側面及び上面,下面を有する箱状であれば良く、それらの各面が曲面であっても良い。
【符号の説明】
【0036】
図面中、5はスピーカ、6Lは信号線、9は吊り下げ紐、10及び11は係止部材、21は端末装置、22はケース体、23はカバー体、23Fはカバー面、24は挿通部材、25は挿通阻止部材、26は電子機器部、28は切欠き部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側が開口した箱状をなし、セキュリティシステムを構成する端末側の電子機器を収容して建造物の壁面に固定されるケース体と、
前記ケース体の開口と同形状の開口を後面側に有する箱状をなし、前面側のカバー面にスピーカが配置されて、前記ケース体の開口を覆うように取り付けられるカバー体と、
前記ケース体と前記カバー体とをそれぞれの内部側で連結して、前記カバー体が取り外された場合に、前記カバー体を前記ケース体より吊り下げるための吊り下げ紐と、
前記スピーカの信号線を前記電子機器に接続するコネクタと、
前記信号線を、前記カバー体における前記スピーカとの接続部付近で係止する係止部とを備え、
前記信号線は、前記吊り下げ紐よりも長くなるように配線されており、
前記ケース体の左右側面の一方から前記吊り下げ紐の一端部までの最短距離を、前記ケース体の一方の側面と同じ側にある前記カバー体の側面から前記吊り下げ紐の他端部までの最短距離よりも長くし、
前記ケース体の左右側面の他方から、前記信号線が前記コネクタを介して接続されている位置までの最短距離を、前記ケース体の他方の側面と同じ側にある前記カバー体の側面から、前記信号線が前記係止部により係止されている位置までの最短距離よりも短くしたことを特徴とするセキュリティシステム用スピーカ付き端末装置。
【請求項2】
前記カバー体は、前記ケース体より吊り下げられた場合に、前記ケース体に対向する面において前記信号線が係る部位に切欠き部を有していることを特徴とする請求項1記載のセキュリティシステム用スピーカ付き端末装置。
【請求項3】
前記係止部は、
前記カバー面の裏側に設けられ、前記カバー面の裏面との間に形成した隙間に前記信号線を挿通させる挿通部材と、
前記信号線において、前記スピーカとの接続部から前記挿通部材に至る間の部位に固定され、前記隙間を介した自身の挿通を阻止する挿通阻止部材とを備え、
前記挿通部材は、前記信号線を、前記カバー体の側面と平行をなす方向に挿通させることを特徴とする請求項1又は2記載のセキュリティシステム用スピーカ付き端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−100391(P2011−100391A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256030(P2009−256030)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】