説明

セメント系組成物の加工性保持のためのコポリマー混合系

水硬性セメントおよび水を含むセメント系混合物に対する加工性を長時間化するための非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマーであって、該コポリマーは、少なくとも以下のモノマー:セメント系混合物中で加水分解可能な部分を含むエチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマーを含む成分Aであって、加水分解されたモノマー残基は、セメント系混合物の成分に対する活性結合部を含む成分A、ならびに約1〜30個の単位の少なくとも1つのC2-4オキシアルキレン側基を含むエチレン性不飽和カルボン酸エステルまたはアルケニルエーテルモノマーを含む成分B、あるいは31〜約350個の単位の少なくとも1つのC2-4オキシアルキレン側基を含むエチレン性不飽和カルボン酸エステルまたはアルケニルエーテルモノマーを含む成分Cの少なくとも1つの残基を含み、成分Aと成分Bおよび成分Cのモル比の合計とのモル比が約1:1〜約10:1であるコポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
セメント系組成物のための従来の分散剤は、典型的には、良好な減水を達成するが、長時間にわたって加工性を保持する能力が限られている。長時間にわたる加工性保持のための代替的な方法は、遅延混合剤の使用である。このシナリオにおいて、加工性保持の利点は、硬化時間および初期強度を犠牲にして達成されることが多い。したがって、これらの分散剤の有用性は、それらの固有の分子構造の制限によって制限される。
【0002】
従来の分散剤は、セメント系において経時的にそれらの化学構造が静的になる。それらの性能は、ポリマー分子内において一定のモノマーモル比によって制御される。減水効果または分散効果は、分散剤がセメント表面に吸着すると確認される。さらなる表面部分を生み出す摩耗および水和生成物の形成により、分散剤の要求が経時的に強くなるのに伴って、従来の分散剤は対応することができず、加工性が低下する。
【0003】
典型的には、長時間にわたる加工性の問題は、打ち込みの時点でコンクリートに対して練り直しを行って(さらなる水を加えて)加工性を復活させるか、またはより多くの高性能減水剤を添加することによって解決される。水を加えると、強度の低いセメントがもたらされるため、セメント含有量の点で「過剰設計」された混合物が必要になる。高性能減水剤の部分添加は、高コストであり、維持が困難であり、制御が困難であるトラック搭載分散機を必要とする。
【0004】
主題の非イオン性コポリマーは、最初はセメント粒子に対する親和性が低いか、または全くない非分散性分子であるため、セメント系組成物の初期加工性の目標の達成に寄与しない。しかし、主題のコポリマーは、溶液に維持されて、将来の使用に向けた潜在的な分散剤ポリマーの貯蔵物として作用する。経時的に、一部には上述の従来の分散剤の消耗により、または部分的もしくは全面的に混合物設計の要因により、分散剤の要求が強くなるなかで、これらの分子は、ポリマーの結合親和性を初期化するとともに向上させる活性結合部位を生成するポリマー骨格に沿う塩基促進加水分解反応を生じて、経時的に「活性」分散剤ポリマーのin−situ生成をもたらすことで、組成物のスランプおよび加工性を長時間化させる。
【0005】
セメント系組成物における潜在的な分散剤貯蔵物としての主題の非イオン性コポリマーの使用は、静的ポリマーで既に達成可能であったものより長時間にわたる加工性保持をもたらす。主題の非イオン性コポリマーを使用すると、練り直しの必要性が軽減され、製造者が混合物設計におけるセメント含有量(すなわちコスト)を低減することが可能になる。主題の非イオン性コポリマーを使用すると、より長期間にわたるコンクリート加工性に対するより良好な制御、より高度な均一性およびコンクリート製造者にとってのより緻密な品質管理が可能になる。
【0006】
水硬性セメントおよび水を含むセメント系混合物に対する加工性を長時間化するための方法であって、実質的に非イオン性のコポリマーを含む混合物をセメント系混合物に導入することを含む方法を提供する。一実施形態において、該方法は、非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマーをセメント系混合物に導入する。主題の方法は、スランプ保持および高度な初期強度のセメント系組成物の製造を達成する。
【0007】
また、加水分解性部分および少なくとも1つの分散性部分を含む新規の非イオン性コポリマー、ならびにそれらを合成するための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】主題の方法における、従来のポリカルボキシレート分散剤およびスランプに影響を与えない混合物と比較した、主題のコポリマーの使用によって達成されたコンクリートスランプと時間の関係のグラフ図である。
【図2】主題の方法における、従来のポリカルボキシレート分散剤およびスランプに影響を与えない混合物と比較した、主題のコポリマーの使用によって達成されたコンクリートスランプと時間の関係のグラフ図である。
【図3】主題の方法における、従来のポリカルボキシレート分散剤およびスランプに影響を与えない混合物と比較した、主題のコポリマーの使用によって達成されたコンクリートスランプと時間の関係のグラフ図である。
【図4】従来のポリカルボキシレート分散剤と比較した、主題のコポリマーの様々な実施形態のセメント粒子への吸着と時間の関係のグラフ図である。
【図5】主題のコポリマーの2つの実施形態を比較する、主題のコポリマーの加水分解と時間の関係のグラフ図である。
【図6】主題の方法における、従来の減水分散剤と比較した、様々な量の主題のコポリマーの一実施形態と従来の減水分散剤との併用によって達成されたコンクリートスランプと時間の関係のグラフ図である。
【図7】主題の方法における、従来のナフタレンスルホネート分散剤と比較した、主題のコポリマーの様々な実施形態と従来のナフタレンスルホネート分散剤との併用によって達成されたコンクリートスランプと時間の関係のグラフ図である。
【図8】主題の方法における、主題のコポリマーの様々な実施形態と従来のポリカルボキシレート分散剤との併用によって達成されたコンクリートスランプと時間の関係と、従来のポリカルボキシレート分散剤によって達成されたそれとを比較したグラフ図である。
【図9】主題の方法における、様々な量の主題のコポリマーの一実施形態と従来のポリカルボキシレート分散剤との併用によって達成されたコンクリートスランプと時間の関係と、従来のポリカルボキシレート分散剤によって達成されたそれとを比較したグラフ図である。
【図10】主題の方法における、成分Bおよび成分Cを含む主題のコポリマーの様々な実施形態と従来のポリカルボキシレート分散剤との併用によって達成されたコンクリートスランプと時間の関係と、従来のポリカルボキシレート分散剤によって達成されたそれとを比較したグラフ図である。
【0009】
水硬性セメントおよび水を含むセメント系混合物に対する加工性を長時間化するための方法であって、実質的に非イオン性のコポリマーを含む混合物をセメント系混合物に導入することを含み、該コポリマーは、少なくとも以下のモノマー:
セメント系混合物中で加水分解可能な部分を含む少なくとも1つのエチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマーを含む成分Aであって、加水分解されたモノマー残基は、セメント系混合物の成分に対する活性結合部を含む成分A、および
約1〜30個の単位の少なくとも1つのC2-4オキシアルキレン側基を含む少なくとも1つのエチレン性不飽和カルボン酸エステルまたはアルケニルエーテルモノマーを含む成分B、または
31〜約350個の単位の少なくとも1つのC2-4オキシアルキレン側基を含む少なくとも1つのエチレン性不飽和カルボン酸エステルまたはアルケニルエーテルモノマーを含む成分Cの少なくとも1つの残基を含み、
成分Aと成分Bおよび成分Cのモル比の合計とのモル比が約1:1〜約10:1である方法を提供する。一実施形態において、成分Bおよび成分Cの両方が主題のコポリマーに存在する。
【0010】
水硬性セメントおよび水を含むセメント系混合物に対する加工性を長時間化するための新規の実質的に非イオン性のポリエーテル−ポリエステルコポリマーであって、該コポリマーは、少なくとも以下のモノマー:
セメント系混合物中で加水分解可能な部分を含む少なくとも1つのエチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマーを含む成分Aであって、加水分解されたモノマー残基は、セメント系混合物の成分に対する活性結合部を含む成分A、および
約1〜30個の単位の少なくとも1つのC2-4オキシアルキレン側基を含む少なくとも1つのエチレン性不飽和カルボン酸エステルまたはアルケニルエーテルモノマーを含む成分B、または
31〜約350個の単位の少なくとも1つのC2-4オキシアルキレン側基を含む少なくとも1つのエチレン性不飽和カルボン酸エステルまたはアルケニルエーテルモノマーを含む成分Cの少なくとも1つの残基を含み、
成分Aと成分Bおよび成分Cのモル比の合計とのモル比が約1:1〜約10:1であるコポリマーを提供する。一実施形態において、成分Bおよび成分Cの両方が存在する。
【0011】
また、水硬性セメント、水、および上記非イオン性ポリエーテルーポリエステルコポリマーを含む混合物を含むセメント系組成物を提供する。
【0012】
一実施形態において、主題のコポリマー混合物系は、コポリマーが、最初に使用されたときに分散特性を実質的に有さない程度まで結合部が実質的に保護された、主題のコポリマーと併用される減水ポリマーの多様な部分を含むことができる。例えば、添加に際してイオン結合部分がコポリマーに存在しないため、初期分散活性が実質的にない。添加後、またはセメント系組成物への導入後、主題のコポリマーにおける不活性化または保護結合部分を適切な速度で加水分解または活性化して、減水剤が単独で使用される場合に想定される分散の低下を抑える。他の実施形態において、従来の減水剤と比較して加工性を経時的に最適化するために、保護結合部分をそれらの加水分解速度に基づいて選択することができる。
【0013】
主題のコポリマー混合物系の使用は、コンクリート製造者が、野外で経験され得る様々な条件に対応する実質的に無限の機会を有するという点において、単一成分系と比較して、際だった利点を有する。例えば、製造者は、短距離プロジェクトに対してさほど長時間のスランプ保持を必要としないため、セメント系混合物設計は、非イオン性コポリマーをほとんど含まず、その代わりに主に加工性性能のために従来の減水剤に依存することになる。これは、低温気象条件にも当てはまり得る。しかし、より高温の条件またはより長距離のプロジェクトでは、さらなる量の加水分解性の非イオン性コポリマーおよび潜在的により少量の従来の減水剤の必要性が高まることになる。生コンクリート製造者およびより小さい程度でプレキャストコンクリート製造者における最適な効率性のために、セメント系混合物性能要件のバッチ毎の差違および温度の時間毎のばらつきが、コポリマー混合物系によって許容され得る。
【0014】
水硬性セメントは、ポルトランドセメント、アルミン酸カルシウムセメント、リン酸マグネシウムセメント、リン酸マグネシウムカリウムセメント、スルホアルミン酸セメント、ポゾランセメント、スラグセメントまたは他の好適な水硬性結合剤であり得る。骨材をセメント系組成物に含めることができる。骨材は、シリカ、石英、砂、粉砕大理石、ガラス球、花崗岩、石灰石、方解石、長石、沖積砂、任意の他の耐久性骨材およびそれらの混合物であり得る。
【0015】
主題のコポリマー混合物系の非イオン性コポリマーは、それらの潜在的セメント結合部位のすべてまたは実質的にすべてが、貯蔵および配合条件に対して安定である加水分解性基で封鎖または保護されるが、これらの潜在的結合部は、コポリマーがコンクリートセメント系混合物に見いだされる強アルカリ性の化学的環境と接触すると、脱封鎖または脱保護されるように誘発される。したがって、非イオン性コポリマーは、セメント系組成物に導入されると、セメント系粒子に対してほとんどまたは全く親和性を有さないが、加水分解性基が加水分解するに従って経時的に親和性を生じる。
【0016】
限定するためでなく、例示として、水硬性部分は、C1-20アルキルエステル、C1-20アミノアルキルエステル、C2-20アルコール、C2-20アミノアルコールまたはアミドの少なくとも1つを有することができる。加水分解性部分としては、それらを、一実施形態において約2〜約4時間までのコンクリート混合および打ち込みの時間スケールに好適なものにする加水分解速度を有する多様な基のアクリレートまたはメタクリレートエステルを挙げることができるが、それらに限定されない。例えば、一実施形態において、成分Aのエチレン性不飽和モノマーは、加水分解性部分を含むエステル官能基を有するアクリル酸エステルを含むことができる。
【0017】
一実施形態において、ヒドロキシエタノールまたはヒドロキシプロピルアルカノール官能基等のヒドロキシアルカノールは、カルボン酸エステル残基の加水分解性部分として潜在的結合部を含む。したがって、エステル官能基は、ヒドロキシプロピルまたはヒドロキシエチルの少なくとも1つを含むことができる。他の実施形態において、アクリルアミドまたはメタクリルアミド誘導体等の、鹸化の速度が異なる他の種類の潜在的結合部を提供する。一実施形態において、成分Aのエチレン性不飽和モノマーは、場合によりマレイミドを含むイミドを含むことができる。
【0018】
勿論、主題のコポリマーは、加水分解性部分を含む1つより多くの成分Aのエチレン性不飽和モノマーの残基を含むことができる。例えば、加水分解性部分を含む1つより多くの成分Aのエチレン性不飽和モノマーは、a)1種より多くのエチレン性不飽和モノマー、b)1つより多くの加水分解性部分、またはc)1種より多くのエチレン性不飽和モノマーと1つより多くの加水分解性部分との組合せの残基を含むことができる。限定するためでなく、例として、加水分解性部分は、少なくとも1つまたは1つより多くのC2-20アルコール官能基を含むことができる。
【0019】
コポリマー鎖に組み込まれたエチレン性不飽和モノマー残基単位および加水分解性部分誘導体または残基に結合する加水分解性側基のいずれかまたは両方の種類、ならびに結合の種類の選択は、使用時の潜在的結合部の加水分解の速度、そして非イオン性コポリマーを含むセメント系組成物の加工性の持続時間に影響を与える。
【0020】
成分Bおよび成分Cモノマーの基を含む側鎖は、異なる長さのC2〜C4オキシアルキレン鎖、すなわち異なる数のオキシアルキレン単位、例えば、(ポリ)エチレンオキシド、(ポリ)プロピレンオキシドまたはそれらの組合せを含むことができ、エステルまたはエーテル等の結合基を含むことができる。一実施形態において、側鎖の一部は、質量効率の向上に寄与する比較的短い長さ(より小さい分子量)を有し、側鎖の一部は、潜在的結合部が加水分解して、セメント系粒子への結合に利用可能になると、より高度な分散効果に寄与する比較的大きな長さ(より大きな分子量)を有する。
【0021】
一実施形態において、1つ以上の成分Bおよび/または1つ以上の成分Cモノマーは、セメント系組成物において非加水分解性であってよい。主題の非イオン性コポリマーの一実施形態において、成分Bまたは成分Cのエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1つは、非加水分解性C2-8カルボン酸エステルを含むことができる。一実施形態において、成分Bまたは成分Cのエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1つは、追加的または代替的に、C2-8アルケニル基、場合により非加水分解性C2-8アルケニルエーテル基を含むことができる。
【0022】
後者の実施形態において、非加水分解性エチレン性不飽和モノマーは、ビニル、アリルまたは(メタ)アリルエーテルを含むことができ、あるいはC2-8不飽和アルコールから誘導され得る。限定するのでなく例として、C2-8不飽和アルコールは、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノールまたは別のメチル−ブテノールの少なくとも1つであってよい。
【0023】
他の実施形態において、成分Bまたは成分Cのエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1つは、(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。
【0024】
成分Bおよび/または成分Cのエチレン性不飽和モノマーのオキシアルキレン側基は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはそれらの混合物の少なくとも1つを含むことができる。オキシアルキレン単位は、ホモポリマー、またはランダムもしくはブロックコポリマーの形で存在することができる。それからコポリマーが合成されるモノマーに応じて、成分Bまたは成分Cのエチレン性不飽和モノマー側基の少なくとも1つは、少なくとも1つのC4オキシアルキレン単位を含むことができる。
【0025】
一実施形態において、非イオン性コポリマーは、スチレン、エチレン、プロピレン、イソブテン、α−メチルスチレンおよびメチルビニルエーテル等の(ただし、それらに限定されない)他の非加水分解性エチレン性不飽和モノマーから誘導されたさらなる非イオン性の非加水分解性成分Dモノマー残基を含むことができる。
【0026】
一実施形態において、成分Aと成分BおよびCとのモル比、すなわち(A):(B+C)は、約1:1〜約10:1であり、一実施形態において約1:1〜約9:1である。一実施形態において、成分Bおよび成分Cの両方がコポリマーに存在する場合には、(B):(C)のモル比は、約0.7:0.3〜約0.3:0.7である。他の実施形態において、(B):(C)のモル比は、約0.95:0.05〜約0.05:0.95である。
【0027】
一実施形態において、非イオン性コポリマーは、以下の一般式(I):
【化1】

[式中、
Qは、加水分解性部分を含む成分Aのエチレン性不飽和モノマーであり;
Gは、O、C(O)−OまたはO−(CH2p−Oを含み、p=2〜8であり、Gの混合物が同じポリマー分子に存在可能であり;
1およびR2は、それぞれ独立に、少なくとも1つのC2−C8アルキルを含み;
3は、(CH2cを含み、各cは、2〜約5の数字であり、R3の混合物が同じポリマー分子に存在可能であり;
各R5は、H、C1-20(直鎖状または分枝状の飽和または不飽和)脂肪族炭化水素基、C5-8脂環式炭化水素基または置換もしくは非置換C6-14アリール基の少なくとも1つを含み;
m=1〜30、n=31〜約350であり、w=約1〜約10であり、y=0〜約1であり、z=0〜約1であり;
y+zは、0より大きい値から約1であり、wは、y+zの合計の10倍以下である]によって表される。加水分解性部分を含むエチレン性不飽和モノマーの例は以上に記載されている。
【0028】
特定の実施形態において、非イオン性コポリマーは、以下の一般式(II):
【化2】

[式中、
Gは、O、C(O)−OまたはO−(CH2p−Oを含み、p=2〜8であり、Gの混合物が同じポリマー分子に存在可能であり;
Rは、HまたはCH3の少なくとも1つを含み;
1およびR2は、それぞれ独立に、少なくとも1つのC2−C8アルキルを含み;
3は、(CH2cを含み、各cは、2〜約5の数字であり、R3の混合物が同じポリマー分子に存在可能であり;
Xは、加水分解性部分を含み;
各R5は、H、C1-20(直鎖状または分枝状の飽和または不飽和)脂肪族炭化水素基、C5-8脂環式炭化水素基または置換もしくは非置換C6-14アリール基の少なくとも1つを含み;
m=1〜30、n=31〜約350であり、w=約1〜約10であり、y=0〜約1であり、z=0〜約1であり;
y+zは、0より大きい値から約1であり、wは、y+zの合計の10倍以下である]によって表される。この式によれば、一実施形態において、加水分解性部分は、アルキルエステル、アミノアルキルエステル、ヒドロアルキルエステル、アミノヒドロキシアルキルエステル、またはアクリルアミド、メタクリルアミドおよびそれらの誘導体等のアミドの少なくとも1つを含むことができる。
【0029】
具体的な実施形態において、非イオン性コポリマーは、以下の一般式(III):
【化3】

[式中、
Gは、O、C(O)−OまたはO−(CH2p−Oを含み、p=2〜8であり、Gの混合物が同じポリマー分子に存在可能であり;
Rは、HまたはCH3の少なくとも1つを含み;
1およびR2は、それぞれ独立に、少なくとも1つのC2−C8アルキルを含み;
3は、(CH2cを含み、各cは、2〜約5の数字であり、R3の混合物が同じポリマー分子に存在可能であり;
4は、C1-20アルキルまたはC2-20ヒドロキシアルキルの少なくとも1つを含み;
各R5は、H、C1-20(直鎖状または分枝状の飽和または不飽和)脂肪族炭化水素基、C5-8脂環式炭化水素基または置換もしくは非置換C6-14アリール基の少なくとも1つを含み;
m=1〜30、n=31〜約350であり、w=約1〜約10であり、y=0〜約1であり、z=0〜約1であり;
y+zは、0より大きい値から約1であり、wは、y+zの合計の10倍以下である]によって表される。この式によれば、一実施形態において、各pは4であり;各R4はC24OHまたはC36OHを含み;各R5はHを含み;m=約5〜30であり、n=31〜約250であり、w=約1〜約9であり、y=0〜約1であり、z=0〜約1であり;y+zは0を超える値から約1であり、wはy+zの合計の9倍以下である非イオン性コポリマーを使用することができる。
【0030】
式(I)、(II)および(III)に関して、一実施形態において、wと(y+z)のモル比は、約1:1〜約10:1である。また、式(I)、(II)および(III)に関して、一実施形態において、wと(y+z)のモル比は、約1:1〜約9:1である。
【0031】
主題の非イオン性コポリマーを、それらのそれぞれの置換成分モノマーを組み合わせ、共重合を開始することによって、または以下の重合技術によって製造することができる。
【0032】
重合の開始時に成分を導入することを含むバッチ、半バッチ、半連続または連続手順によって、直線添加技術、あるいは先の量と比較して高量および/または低量に段階的または連続的に添加量を変化させる傾斜添加技術によって非イオン性コポリマーを製造することができる。
【0033】
少なくとも1つの加水分解性モノマー残基および少なくとも1つのポリエーテルマクロモノマー残基を含む非イオン性コポリマーを、計量装置に連結または接続された重合反応器を含む重合装置にて半連続方式で製造する方法であって、
(加水分解性モノマーと比べて)反応性が低いポリエーテルマクロモノマーの少なくとも一部および水を重合反応器に導入する工程であって、それに加えられるより反応性の高い加水分解性モノマーが水性媒体重合反応混合物を形成し、場合により水性媒体が水溶液の形で存在する工程と、
加水分解性モノマーの少なくとも一部を計量装置に導入する工程と、
加水分解性モノマーの少なくとも一部を計量装置から重合反応器に加える工程と、
加水分解性モノマーを重合反応器に添加する前および/または最中に遊離ラジカル重合開始剤を重合反応器に送り込む工程であって、加水分解性モノマーとポリエーテルマクロモノマーを遊離ラジカル重合によって水性媒体重合反応混合物中で反応させて非イオン性コポリマーを形成させる工程と、
反応混合物を重合させながら、加水分解性モノマーおよび/または遊離ラジカル重合開始剤の少なくとも1つの成分の添加量を段階的または連続的に変化させる工程とを含み、
(セメント系組成物を含むが、それに限定されない)アルカリ水性環境にてコポリマーを混合する前に、イオン性セメント結合部を非イオン性コポリマーに組み込むために、モノマーを重合反応器に導入しない方法を提供する。
【0034】
一実施形態において、重合反応器に最初に導入されたポリエーテルマクロモノマーの少なくとも70モル%が遊離ラジカル重合によって変換される。
【0035】
加水分解性モノマーは、少なくとも1つの炭素二重結合を有する遊離ラジカル重合が可能なモノマーを含む。この文脈において、ポリエーテルマクロモノマーは、遊離ラジカル重合が可能であり、少なくとも1つの炭素二重結合および少なくとも2つのエーテル酸素原子を有する化合物である。一実施形態において、コポリマーに存在するポリエーテルマクロモノマー部分は、少なくとも2つのエーテル酸素原子を含む側鎖を有する。
【0036】
加水分解性モノマーを計量導入する前に、重合反応器にて遊離ラジカル重合によって反応したポリエーテルマクロモノマーを最初にすべて重合反応器に導入することが可能であるが、必要でない。しかし、一実施形態において少なくとも50モル%、他の実施形態において少なくとも80モル%、多くの他の実施形態において約100モル%のポリエーテルマクロモノマー部分を、加水分解性モノマーが計量導入される前に重合反応器に最初に導入されるポリエーテルマクロモノマーの反応によってコポリマーに組み込む。次いで、加水分解性モノマーを計量導入しながら、場合により残留するポリエーテルマクロモノマーを重合反応器に連続的に供給することができる。ポリエーテルマクロモノマーを加水分解性モノマーと別に、かつ/または加水分解性モノマーとの混合物として(例えば、加水分解性モノマーに加えてポリエーテルマクロモノマーを最初に計量装置に導入することによって)重合反応器に供給することができる。計量装置は、様々な形を有してよく、手動および/または自動で制御され得る。
【0037】
選択的計量を含むこの合成方法によれば、均一のコポリマー製造すること、ならびにそれを分子量(低い分子量分布の多分散指数)およびコポリマーにおけるモノマー部分の相対的比率(化学的均一性)に関して行うことが可能である。非イオン性コポリマーのこの均一性により、該コポリマーは、水硬性結合剤のための加工性保持混合物として特に好適なものになる。「高い計量効率」により、極めてわずかな計量作業で良好な効果が達成されるため、該方法を経済的であると見なすこともできる。
【0038】
したがって、コポリマーがセメント系組成物に導入され、続いて加水分解すると、スランプ保持により測定される加工性に関する性能がより良好であるために、コポリマーにおけるモノマー残基のより均一な分布を達成することが可能である。
【0039】
加水分解性モノマーおよびポリエーテルマクロモノマーに加えて、さらなるモノマータイプを使用することもできる。一実施形態において、これらを、実際にビニルまたはエチレン性不飽和化合物がモノマー出発材料として重合反応器に送り込まれ、その化合物が重合によって反応するように反応させることができる。
【0040】
一実施形態において、ポリエーテルマクロモノマーは、計量導入される加水分解性モノマー1モル当たり、加水分解性モノマー残基とポリエーテルマクロモノマー残基との10:1〜1:1の算術平均モル比、および他の実施形態において9:1〜1:1のモル比が、形成されたコポリマーにおいて達成される量で、重合反応器に最初に導入される。
【0041】
一実施形態において、酸化還元開始剤または酸化還元開始剤系が、遊離ラジカル重合開始剤として使用される。H22/FeSO4組合せを酸化還元開始剤系として、一実施形態では還元剤と一緒に使用することができる。亜硫酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸またはそれらの混合物が、酸化還元開始剤系内の還元剤として好適である。他の系、例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ペルオキソ二硫酸アンモニウムまたはペルオキソ二硫酸カリウムに基づくものも酸化還元開始剤系として好適である。
【0042】
一実施形態において、開始剤成分、例えばH22、およびポリエーテルマクロモノマーが、予め混合した形で(例えば1つの流れで)重合反応器に同時に送り込まれる。
【0043】
しかし、基本的には、重合条件下で遊離ラジカルに分解するすべての化合物、例えば、過酸化物、ヒドロ過酸化物、過硫酸塩、アゾ化合物および過リン酸塩を開始剤として使用することができる。遊離ラジカル形成体と好適な還元剤を組み合わせると、既知の酸化還元系または酸化還元触媒が得られる。好適な還元剤は、例えば、亜硫酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アミン、例えばジエタノールアミンもしくはトリエタノールアミン、ヒドロキシルアミンまたはそれらの混合物である。いくつかの実施形態において、鉄、コバルト、ニッケルまたは銀等の遷移金属の水溶性の塩を酸化還元系または触媒と併用してさらに採用することができ、一実施形態において、(主として二価の形で存在する)鉄塩を使用することができる。
【0044】
概して、酸化還元開始剤系の成分および/または還元剤を、重合pHが設定された後で、加水分解性モノマーの計量導入時に重合反応器に送り込むことができる。
【0045】
水性媒体における重合pHを、使用する遊離ラジカル重合開始剤に関して、単位時間当たりの遊離ラジカル形成(遊離ラジカル収率)が高くなるか、またはほぼ最大になるように設定することができる。したがって、使用する重合開始剤または重合開始剤系は、重合pHを左右し、それをほぼ決定づけるのに役立つ。
【0046】
典型的には、水性媒体は、水溶液の形で存在する。重合pHは、約4.5〜約7.1であってよく、遊離ラジカル重合時の水性媒体の温度は、0〜約90℃であり、一実施形態では約10〜35℃である。反応に際しての水性媒体における所望の重合pHを、塩基または酸を重合反応器および/または計量装置に加えることによって設定することができる。
【0047】
重合反応器は、半連続撹拌タンクを含むことができる。
【0048】
一実施形態において、重合反応器に最初に導入されたポリエーテルマクロモノマーの少なくとも80モル%から少なくとも90モル%を遊離ラジカル重合によって変換する。
【0049】
一般には、重合反応器に最初に導入されたポリエーテルマクロモノマー、すなわち加水分解性モノマーの少なくとも70%を、コポリマー鎖における構成成分モノマー残基のモル比の均一性が制御される単位時間当たりの量で重合反応器に加える。
【0050】
いくつかの実施形態において、最初に加水分解性モノマーを水と一緒に計量装置に導入し、加水分解性モノマーの水溶液を計量装置から重合反応器に計量導入する。概して、溶解した形で存在してよい連鎖調整剤または連鎖移動剤を重合反応器に送り込む。したがって、該方法は、連鎖移動剤を、加水分解性モノマーの重合反応器への添加の前および/または最中に重合反応器に送り込むことを含むことができる。
【0051】
好適な連鎖移動剤としては、なかでも、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、オクチルチオグリコール酸、オクチル3−メルカプトプロピオン酸および2−メルカプトエタンスルホン酸等の(ただし、それらに限定されない)チオール型化合物が挙げられる。連鎖移動剤を単一で、または1つより多くの混合物の形で使用することができる。一実施形態において、連鎖移動剤は、水溶性化合物として存在し、水溶液の形で重合反応器に送り込まれる。水溶液は、少なくとも10質量%の水を含むことができる。
【0052】
ポリエーテルマクロモノマー等のエーテル系モノマーが成分Bおよび/または成分Cとして使用され、それらのモノマーと成分Aの加水分解性モノマーとの間に、成分BまたはCの自己重合性(単独重合性)が比較的低く、成分Aの単独重合性が比較的高くなるような反応性の差が存在する場合は、成分Bおよび/または成分Cを連続的にコポリマーに組み込むのが困難になり、添加された成分Aが優先的に重合されるか、または成分Aのみが重合されるため、成分Bおよび/または成分Cの反応速度が低下する。
【0053】
したがって、ポリエーテルマクロモノマーと加水分解性モノマーを重合することによって非イオン性コポリマーを製造するための方法であって、反応性の低いポリエーテルマクロモノマーの少なくとも一部を予め反応器に添加し、続いてより反応性の高い加水分解性モノマーをそれに添加して重合反応混合物を形成する工程と、反応混合物を重合させながら、反応性の高い加水分解性モノマー、および/または酸化還元開始剤系のための還元剤等の遊離ラジカル重合開始剤の少なくとも1つの成分の添加量を、添加量を増加および/または減少させるように段階的または連続的に変化させる工程とを含む方法を提供する。
【0054】
その結果、後半の段階の添加速度量をより速くまたは遅くすることによって、より均一なモノマー組成、より低い多分散指数(PDI)のコポリマー、またはモノマー比率が異なる複数のコポリマーのブレンドを1つの重合処理によって容易に製造することができる。例えば、加水分解性モノマー成分Aの添加速度を後の段階でより遅くすると、混合物においてより均一なモノマーモル比のコポリマーを製造することができる。
【0055】
一実施形態において、少なくとも1つのエチレン性不飽和ポリオキシアルキレンエーテル系モノマー(成分Bおよび/またはC)を予め反応器に加え、少なくとも1つのエチレン性不飽和加水分解性モノマー(成分A)を、少なくとも1回変化する添加量でそれに加える。
【0056】
成分Aならびに成分Bおよび/またはCのモノマーの各々を単独で、または1つより多くのモノマーの混合物で使用することができる。成分A、BおよびCのモノマーに加えて、成分Dのさらなる不飽和モノマーを単独で、または1つより多くのモノマーの混合物で使用することができる。
【0057】
成分Bおよび/またはCのエチレン性不飽和モノマーを、成分Aのエチレン性不飽和モノマーとの共重合を開始する前に、一実施形態において成分Aのモノマーのいずれかの添加前に、他の実施形態において成分Aのモノマーおよび重合開始剤の添加の前にそれらの全量で予め反応器に最初に添加することができる。しかし、重合反応混合物は、重合が開始される前に成分Bおよび/またはCのモノマーの一部を成分Aと一緒に含むことができ、成分Bおよび/またはCのモノマーの一部を段階的添加時に成分Aのモノマーと同時供給することができる。
【0058】
成分Aのモノマーの添加量を変化させる回数は限定されず、製造する非イオン性コポリマーの所望の特性に応じて適正に選択され得る。成分Bおよび/またはCのモノマーの添加量をこの方法で段階的に変化させると、モノマーを一定速度で添加する任意の工程におけるモノマーの添加をそれ自体連続的に、半連続的に、かつ/または段階的に実施することができる。
【0059】
成分Dのモノマーを使用するときにそれを添加するタイミングが、当該モノマーが成分Aならびに成分Bおよび/またはCのモノマーと効率的に共重合して、コポリマーの所望のブレンドを製造することを可能にするのであれば限定されない。例として、制限することなく、成分Dのモノマーを成分Bおよび/またはCのモノマーと一緒に反応器に予め加えることができ、あるいは成分Aのモノマーとともに連続的または段階的に加えることができ、成分Aのモノマーの添加の完了後に加えることができる。
【0060】
一実施形態において、成分Aのモノマーの約50〜約70%を、第1の反応時間中に、例として限定することなく、重合反応の開始後の最初の10分間にわたって反応器に導入する(重合の開始前に添加されたモノマーを含む)。第2の反応時間、ここでも例として限定することなく、10分間にわたって、成分Aのモノマーの添加量は、全成分Aの約25〜約35%が反応器に添加されるように減少した。第3かつ最後の例示的な10分間の反応時間にわたって、成分Aのモノマーの添加量を、残留する約5〜約15%が反応器に加えられるように、再び減少させる。
【0061】
共重合することができる成分Aを含む加水分解性モノマー残基を形成することが可能なエチレン性不飽和モノマーの例としては、不飽和モノカルボン酸エステル誘導体、例えばアクリル酸アルキル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピルおよびアクリル酸ブチル;メタクリル酸アルキル、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピルおよびメタクリル酸ブチル;アクリル酸ヒドロキシアルキル、例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルおよびアクリル酸ヒドロキシブチル;メタクリル酸ヒドロキシアルキル、例えばメタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルおよびメタクリル酸ヒドロキシブチル;アクリルアミド、メタクリルアミドおよびそれらの誘導体;マレイン酸アルキルまたはヒドロキシアルキルジエステル;乾燥相で貯蔵されるコポリマーのための無水マレイン酸またはマレイミドが挙げられるが、それらに限定されない。
【0062】
加水分解性であるか非加水分解性であるかにかかわらず、共重合することができる成分Bおよび/またはCを含むモノマー残基を形成することが可能なエチレン性不飽和モノマーの例としては、飽和モノカルボン酸エステル誘導体、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、および上記ポリオキシアルキレンの高級アルコキシ誘導体;
ビニルアルコール誘導体、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、ポリブチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、メトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、エトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル、エトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテルおよびエトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)ビニルエーテル等;
(メタ)アリルアルコール誘導体、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリエチレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、エトキシポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルおよびエトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等;
ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(1,1−ジメチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリプロピレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、エトキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、1−プロポキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、シクロヘキシルオキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、1−オクチルオキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ノニルアルコキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ラウリルアルコキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ステアリルアルコキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテルおよびフェノキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル等を含むが、それらに限定されない、それぞれ単独の、または互いに組み合わせた、1〜350モルのアルキレンオキシドと不飽和アルコールの付加物、例えば、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、2−メチル−2−ブテン−1−オールおよび2−メチル−3−ブテン−1−オールが挙げられるが、それらに限定されない。
【0063】
成分Dを含む非加水分解性モノマー残基を形成することが可能なエチレン性不飽和モノマーの例としては、スチレン、エチレン、プロピレン、イソブテン、α−メチルスチレンおよびメチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0064】
セメント系組成物を含むが、それに限定されないアルカリ環境における成分Aのモノマー残基の加水分解性部分の加水分解の前に電荷を分子に導入するためにモノマーをコポリマーに添加しない。
【0065】
主題の非イオン性コポリマーは、約5000〜約150000、いくつかの実施形態において約25000〜約55000の重量平均分子量を有することができる。
【0066】
主題の非イオン性コポリマーを、セメント系材料の質量に対して約0.01〜約3%、一実施形態において約0.02〜約1質量%のコポリマーの添加量範囲で、初期のバッチの水とともに、または遅延添加としてセメント系混合物に添加することができる。
【0067】
主題の非イオン性コポリマーを利用するこの方法を生コンクリートまたはプレキャスト用途に使用して、顕著な加工性保持およびそれに伴う利点のすべてを確保することができる。好適な用途としては、平面加工、(従来の手段による空気連行が典型的に困難である)舗装、垂直塗装およびプレキャスト物が挙げられる。さらに、主題の非イオン性コポリマーは、石灰石粉末を含むが、それに限定されない大量の不活性充填剤を含むもの等の高充填セメント系混合物の加工性保持に特別な価値を示した。「高充填」とは、以下により詳細に記載される充填剤が、セメント系材料(水硬性セメント)の質量に対して10質量%より大きな比率を占めることを意味する。
【0068】
主題の非イオン性コポリマーを、一般には分散剤と称する少なくとも1種類の減水組成物と併用して、初期加工性、減水および長時間にわたる加工性の組合せを確保することができる。様々な実施形態において、分散剤は、リグノスルホネート、メラミンスルホネート樹脂、スルホン化メラミンホルムアルデヒド縮合体、スルホン化メラミンスルホネート縮合体の塩、βナフタレンスルホネート、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合体樹脂、もしくはスルホン化ナフタレンスルホネート縮合体の塩;または従来のポリカルボキシレート、ポリアスパルテートまたはオリゴマー分散剤等の従来の減水剤の少なくとも1つであってよい。
【0069】
ポリカルボキシレート分散剤の例を、いずれも以下にすべてが記載されているかの如く参考として本明細書で援用される米国特許公開第2002/0019459号、米国公開特許第2006/0247402号、米国特許第6,267,814号、米国特許第6,290,770号、米国特許第6,310,143号、米国特許第6,187,841号、米国特許第5,158,996号、米国特許第6,008,275号、米国特許第6,136,950号、米国特許第6,284,867号、米国特許第5,609,681号、米国特許第5,494,516号、米国特許第5,674,929号、米国特許第5,660,626号、米国特許第5,668,195号、米国特許第5,661,206号、米国特許第5,358,566号、米国特許第5,162,402号、米国特許第5,798,425号、米国特許第5,612,396号、米国特許第6,063,184号、米国特許第5,912,284号、米国特許第5,840,114号、米国特許第5,753,744号、米国特許第5,728,207号、米国特許第5,725,657号、米国特許第5,703,174号、米国特許第5,665,158号、米国特許第5,643,978号、米国特許第5,633,298号、米国特許第5,583,183号、米国特許第6,777,517号、米国特許第6,762,220号、米国特許第5,798,425号および米国特許第5,393,343号に見いだすことができる。
【0070】
ポリアスパルテート分散剤の例を、いずれも以下にすべてが記載されているかの如く参考として本明細書で援用される米国特許第6,429,266号;米国特許第6,284,867号;米国特許第6,136,950号;および米国特許第5,908,885号に見いだすことができる。
【0071】
オリゴマー分散剤の例を、いずれも以下にすべてが記載されているかの如く参考として本明細書で援用される米国特許第6,133,347号;米国特許第6,451,881号;米国特許第6,492,461号;米国特許第6,861,459号;および米国特許第6,908,955号に見いだすことができる。
【0072】
初期スランプを確保し、セメント混合物の加工性を特定の用途に合わせて調整するために、従来の減水分散剤または従来のポリカルボキシレート、ポリアスパルテートもしくはオリゴマー分散剤と併用する場合は、主題の非イオン性コポリマーを、セメント系材料の質量に対して約0.01〜約3質量%の非イオン性コポリマー、一実施形態において約0.02〜約1質量%のコポリマーの添加量範囲で、初期のバッチの水とともに、または遅延添加としてセメント系混合物に添加することができ、従来の減水分散剤または従来の分散剤を、セメント系混合物の質量に対して約0.01〜約3質量%の分散剤、一実施形態において約0.02〜約1質量%の分散剤の添加量範囲で、初期のバッチの水とともに、または遅延添加としてセメント系混合物に添加することができる。
【0073】
本明細書に記載のセメント系組成物は、他の添加剤または成分を含むことができ、記載または例示の配合物に限定されるべきではない。独立に添加することができるセメント添加剤としては、空気連行剤、骨材、ポゾラン、他の充填剤、硬化および強度促進剤/向上剤、硬化遅延剤、減水剤、腐食防止剤、湿潤剤、水溶性ポリマー、流動改質剤、撥水剤、繊維、防湿混合物、浸透抑制剤、排出助剤、殺真菌混合物、殺菌混合物、殺虫混合物、微細ミネラル混合物、アルカリ反応性減力剤、接着混合物、収縮抑制剤、ならびにセメント系組成物の特性に悪影響を与えない任意の他の混合物または添加剤が挙げられるが、それらに限定されない。セメント系組成物は、先述の添加剤を1つずつ含む必要はない。
【0074】
骨材をセメント系配合物に含めて、細骨材を含むモルタル、および粗骨材をも含むコンクリートを調製することができる。細骨材は、第4級篩(ASTM C125およびASTM C33)をほぼ完全に通過する材料、例えばケイ砂である。粗骨材は、第4級篩(ASTM C125およびASTM C33)上に大方保持される材料、例えば、シリカ、石英、粉砕大理石、ガラス球、花崗岩、石灰石、方解石、長石、沖積砂、砂または任意の他の耐久性骨材およびそれらの混合物である。
【0075】
セメント系組成物のための充填剤としては、意図する用途に応じて、骨材、砂、石、砂利、ポゾラン、微細鉱物、例えば、未加工石英、石灰石粉末および繊維等を挙げることができる。非限定的な例としては、石は、河岩、石灰石、花崗岩、砂岩、褐色砂岩、礫岩、方解石、ドロマイト、大理石、蛇紋石、トラバーチン、石盤石、ブルーストーン、片麻岩、珪岩質砂岩、珪岩およびそれらの組合せを含むことができる。
【0076】
ポゾランは、セメント価値をほとんどまたは全く有さないが、水の存在下で、かつ微細形態で、ポルトランドセメントの水和時に生成される水酸化カルシウムと化学的に反応して、セメント特性を有する材料を形成する珪質またはアルミノ珪質材料である。珪藻土、オパールチャート、粘土、頁岩、飛散灰、スラグ、シリカヒューム、火山性凝灰岩および軽石は、既知のポゾランの一部である。一部の高炉スラグ微粉末および高カルシウム飛散灰は、ポゾラン特性およびセメント特性の両方を有する。天然ポゾランは、自然に存在するポゾラン、例えば、火山性凝灰岩、軽石、火山土、珪藻土、オパールチャートおよびある種の頁岩を定義するのに使用される当該技術分野の用語である。飛散灰は、ASTM C618に定義されている。
【0077】
シリカヒュームを使用する場合は、圧縮しない、あるいは部分的に圧縮し、またはスラリーとして添加することができる。シリカヒュームは、セメント結合剤の水和副産物とさらに反応して、最終製品の強度を高めるとともに、最終製品の浸透性を低下させる。シリカヒューム、または他のポゾラン、例えば飛散灰または焼結粘土、例えばメタカオリンを、セメント系材料の質量に対して約5%〜約70%の量でセメント系材料に添加することができる。
【0078】
この方法は、プレキャスト、生コンクリートおよび/または高充填セメント系組成物の製造に有用である。
【0079】
プレキャストセメント系組成物
「プレキャスト」セメント系組成物またはプレキャストコンクリートという用語は、ポルトランドセメント等の水硬性セメント系結合剤ならびに細骨材および粗骨材等の骨材を、ユニットが建設現場に送られる前に製造されるように、金型に仕込み、硬化後に除去する製造方法を指す。
【0080】
プレキャスト用途は、プレキャストセメント系構成要素または部品、例えば、桁、ダブルT型梁、パイプ、絶縁壁、プレストレストコンクリート製造物、およびセメント系組成物を型にそのまま注ぎ、最終部品を作業現場に輸送する他の製造物を含むが、それらに限定されない。
【0081】
プレキャストセメント系構成要素の製造は、通常、鋼補強材を組み込むことを含む。補強材は、それが含められる構成要素の使用設計により構造補強剤として存在してよく、あるいは鋼は、単に、(カーテン壁パネル等の)構成要素を、亀裂を生じることなくその金型から除去することを可能にするために存在してよい。
【0082】
本明細書に使用されているように、「プレストレスト」コンクリートは、そうでなければコンクリート構成要素が曲げ荷重により被る引張応力を相殺する圧縮強度を生成する締付け荷重を生成するために使用される(鋼ケーブルまたは棒等の)プレストレス鋼材を使用することによって、引張力に耐えるその能力が向上されたコンクリートを指す。当該技術分野で既知のあらゆる好適な方法が、コンクリートをプレストレスするのに使用できる。好適な方法は、コンクリートが予めテンション処理された鋼材のまわりにキャスティングされるプレテンション式コンクリート、ならびに注入プロセスおよび硬化プロセスが完了した後に、圧縮力をコンクリート構成要素に加えるポストテンション式コンクリートを含むが、それらに限定されない。
【0083】
特定のプレキャスト用途において、セメント系組成物混合物は、補強構造体が存在すればそれを流れて、金型を満たし、金型の頂部で平坦化し、振動を利用することなく固化するのに十分な流動性を有することが所望される。この技術は、一般に、自己充填コンクリート(SCC)と称する。他の実施形態において、振動成形および遠心成形等によって金型を撹拌して、混合物の平坦化を容易にすることが必要であり得る。加工性保持の要件に加えて、セメント系組成物が速い硬化時間および高度な初期強度を達成するための要件が存在する。
【0084】
プレキャスト用途に関して、「高度な初期強度」という用語は、金型への注入後の所定時間内のセメント塊の圧縮強度を指す。したがって、セメント系組成物混合物は、初期流動性を有し、打ち込みまで流動性を維持するだけでなく、プレキャストコンクリートユニットを金型から除去すべきときまで高度な初期強度を有することが望ましい。
【0085】
水硬性セメント、ポリカルボキシレート分散剤および構造合成繊維を含む、金属バー、金属繊維または金属棒補強剤を用いずに製造された高初期強度鉄筋プレキャストまたは現場打ちセメント系構成要素が、参考として本明細書で援用される共通所有USPN6,942,727に開示されている。
【0086】
プレキャストセメント系組成物の高度な強度を達成するために、非常に小さい水対セメント比が用いられる。これは、加工性混合物を製造するために、大量の高性能減水材(HRWR)を必要とする。ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合体等の従来のHRWR化学物質は、当該高添加量での硬化を潜在的に遅らせることによって、構成要素を金型から除去するのに必要な高度な初期強度の発生を抑制する。
【0087】
典型的には、初期強度の発生は、未硬化セメント系組成物が金型に仕込まれてから12〜18時間以内に圧縮強度が達成されることを指す。
【0088】
外部熱源を用いることなくプレキャストセメント系構成要素の形成において迅速なレベルの強度発生を達成するために、従来の分散剤化学物質は、セメント水和に対するそれらの過度の遅延硬化により適切でない。
【0089】
プレキャスト用途において、水対セメント比は、典型的には、約0.2より大きく、約0.45以下である。
【0090】
現場打ちおよびプレキャストセメント系構成要素を製造するための方法を提供する。該方法は、ポルトランドセメント等の水硬性セメントおよび上記非イオン性コポリマーを含むセメント系組成物と、水、および場合により粗骨材、細骨材、構造合成繊維または他の添加剤、例えば、収縮および/またはアルカリ−シリカ反応を制御するための添加剤とを混合し、次いで混合物から構成要素を形成することを含む。形成は、混合物を金型に仕込んで、硬化させ、金型から除去することを含む任意の従来の方法であり得る。
【0091】
上記方法によって形成されたこれらのセメント系構成要素または製品は、任意の用途に使用され得るが、建築用途、構造用途および非構造用途に有用である。例として、限定することなく、本製品を壁パネル、桁、柱、パイプ、マンホール(傾斜壁)、セグメント、プレキャストプレート、箱暗渠、浮き、ダブルT型梁、U字管、L字型保持壁、桁、横桁、道路または橋部品および様々なブロック等として形成することができる。しかし、プレキャストコンクリート製品は、当該具体的な例に限定されない。
【0092】
生コンクリートおよび高充填セメント系組成物
本明細書に使用されているように、「生コンクリート」という用語は、作業現場で混合されるのでなく、中央プラントからの供給のためにバッチ混合または「バッチ処理」されるセメント系組成物を指す。典型的には、生コンクリートは、特定の建設プロジェクトの明細に応じて特注され、理想的には必要な加工性で「生コンクリートトラック」にて供給される。
【0093】
長年、コンクリートにおけるポルトランドセメントの部分的な代用としての充填剤および/またはポゾラン材料の使用は、ポルトランドセメント唯一のますます魅力的な代用品になった。コンクリート混合物における不活性充填剤および/または飛散灰、高炉スラグならびに天然ポゾランセメントの使用を増やす要望をいくつかの要因に帰することができる。これらは、セメント不足、ポルトランドセメント代用の経済的利点、コンクリート製品の浸透性の向上およびより低い水和熱を含む。
【0094】
コンクリートにおけるポルトランドセメントの部分的代用として不活性またはポゾラン材料を使用することのコストおよび性能面での利点にかかわらず、それらをセメント系混合物に使用できる量には実用面での限界がある。これらの材料をより高量、例えば、ポルトランドセメントの質量に対して約10質量%を超える量で使用すると、数時間まで、そして恐らくは雰囲気温度によってはより長時間にわたるコンクリートの硬化時間の遅れが生じ得る。この不適合性は、最終使用者に、許容不可能なコストおよび時間の増大の負担を与える。
【0095】
コンクリート混合物に硬化時間促進剤を使用することが既知であるが、これらの促進剤混合物は、特に減水混合物と併用されると問題があったため、硬化時間を許容可能なレベルに下げることができない。促進剤を、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合体、リグニンおよび置換リグニンならびにスルホン化メラミンホルムアルデヒド縮合体等の減水剤と併用しても、硬化特性が正常であり、許容可能なコンクリートが得られる水硬性セメント系セメント系混合物を含む許容可能な高充填またはポゾラン代用品を製造する効果がなかった。
【0096】
主題の非イオン性コポリマーは、セメント系組成物において従来の分散剤または従来のポリカルボキシレート分散剤と組み合わせると、遅れを生じることなく優れた加工性保持を示し、製造時および作業現場におけるスランプ調整の必要性を最小に抑え、混合物の過度の設計要件を最小限に抑え、作業現場における高性能減水剤の再添加を低減し、高度な流動性ならびに安定性および耐久性の向上をもたらす。
【0097】
スランプは、コンクリートの軟度の尺度であり、現場でのコンクリートの均一性を確保する単純な手段である。スランプを測定するために、標準的な大きさのスランプコーンに新鮮なコンクリートを充填する。次いで、コーンを除去し、「スランプ」は、スランプコーンを除去した直後のコーンと崩壊したコンクリートの高さの実測差である。
【0098】
実施例
非イオン性コポリマーの具体的な実施形態を以下に記載の実施例に従って試験し、従来の分散剤および従来のポリカルボキシレート分散剤と比較した。従来のポリカルボキシレート分散剤は、典型的には、カルボン酸、誘導体化カルボン酸エステルおよび/または誘導体化アルケニルエーテルのコポリマーを含む。誘導体または側鎖は、一般には長く(約500MWを超え)、一般には、セメント系組成物におけるポリマー骨格から容易に加水分解され得ない。
【0099】
合成実施例(コポリマーA)
複数のネック、機械的撹拌機、pH計および配給装置(例えばシリンジポンプ)を備えたガラス反応器に138gの水および182gの溶融ビニルPEG1100(溶液A)を充填した。反応器における温度を12℃に調整し、4gの25%硫酸溶液の添加によってpHを約7に調整した。
【0100】
228.17gの水および79.22gのアクリル酸ヒドロキシエチル(HEA、98.5%)からなる、予め調製された第2の溶液(溶液B)の一部(59.63g)を、中程度に撹拌しながら10分間にわたって反応器に滴加した。反応器における得られた溶液のpHを測定したところ6.5であった。残りの溶液Bに対して2.28gの3−メルカプトプロピオン酸(3−MPA)を添加した。さらなる0.76gの量の3−MPAを重合開始の直前に反応器に加えた。48.5gの水に1.5gのナトリウムヒドロキシメタンスルフィネート二水和物を含む第3の溶液(溶液C)を調製した。数ミリリットルの水中31mgのFeSO4×7H2Oおよび2.01gのH22(30%)溶液を反応器に加えることにより重合を開始した。同時に、重合容器への溶液BおよびCの供給を開始した。以下の表に記載されている異なる添加量を用いて、溶液Bを30分間にわたって供給した。溶液Cを30分間にわたって4.5g/hの一定速度で供給した後、さらに6分間にわたって75g/hのより速い供給速度で供給した。30分間にわたる溶液Bの供給時間を通じて、20%のNaOH水溶液を添加することによって反応器におけるpHを6.5に維持した。溶液Cの添加後のポリマー溶液のpHは7.1であり、0.24gの25%硫酸溶液を添加して、pHを7に調整した。97.7%の収率、37300g/モルの重量平均分子量、SECによって測定された1.91のPDIおよび38.9%の固形分を有するポリエーテル−ポリエステルコポリマーの水溶液を得た。
【0101】
傾斜表A
【表1】

【0102】
合成実施例(コポリマーB)
複数のネック、機械的撹拌機、pH計および配給装置(例えばシリンジポンプ)を備えたガラス反応器に267gの水および330.9gの溶融ビニルPEG3000(溶液A)を充填した。反応器における温度を13℃に調整し、3gの25%硫酸溶液の添加によってpHを約7に調整した。
【0103】
152.11gの水および52.82gのアクリル酸ヒドロキシエチル(HEA、98.5%)からなる、予め調製された第2の溶液(溶液B)の一部(20.5g)を、中程度の撹拌下で10分間にわたって反応器に滴加した。反応器における得られた溶液のpHを測定したところ6.8であった。残りの溶液Bに対して2.9gの3−メルカプトプロピオン酸(3−MPA)を添加した。さらなる0.52gの量の3−MPAを重合開始の直前に反応器に加えた。48.5gの水に1.5gのナトリウムヒドロキシメタンスルフィネート二水和物を含む第3の溶液(溶液C)を調製した。数ミリリットルの水に溶解させた21mgのFeSO4×7H2Oおよび1.34gのH22(30%)溶液を反応器に加えることにより重合を開始した。同時に、重合容器への溶液BおよびCの供給を開始した。以下の表に記載されている異なる添加量を用いて、溶液Bを30分間にわたって供給した。溶液Cを30分間にわたって1.54g/hの一定速度で供給した後、さらに10分間にわたって50g/hのより速い供給速度で供給した。30分間にわたる溶液Bの供給時間を通じて、20%のNaOH水溶液を添加することによって反応器におけるpHを6.8に維持した。溶液Cの添加後のポリマー溶液のpHは7.1であり、0.2gの25%硫酸を添加して、pHを7に調整した。91%の収率、37300g/モルの重量平均分子量、SECによって測定された1.47のPDIおよび46.8%の固形分を有するポリエーテル−ポリエステルコポリマーの水溶液を得た。
【0104】
傾斜表B
【表2】

【0105】
実施例1および2ならびに比較例3、4および5
最初に、プレキャスト用途での使用に好適なサンプルセメント系組成物を、スランプに影響を与える混合物および消泡剤を以下の第1表に記載されている量で調合水に導入することによって調製した。石、セメントおよび砂を第1表に示される量で添加し、混合物をドラムミキサーにて20rpmで5分間にわたって混合した。この混合物のサンプルのスランプを(約2分間の試験時間で)試験し、5分以内に4rpmで混合を再開した。5分間の試験サイクルを伴う20分間の混合サイクルを繰り返して、第1表に示されるデータを生成した。実施例1の組成物は、成分Aのヒドロキシエチルアクリレート残基および成分Bのポリエチレングリコールビニルエーテル残基を4:1のモル比で有するコポリマーAを含み、実施例2の組成物は、成分Aのヒドロキシエチルアクリレート残基および成分Cのポリエチレングリコールビニルエーテル残基を4:1のモル比で有するコポリマーBを含み、比較例3の組成物は、スランプに影響を与える混合物および消泡剤を含まず、比較例4および5の組成物は、従来のポリカルボキシレート分散剤を含んでいた。
【0106】
ASTM C143に記載されているように、コーンを平坦面に配置し、コーンにセメント系組成物を充填し、コーンを除去することによって試験組成物のスランプを測定した。次いで、組成物が流動し、その結果生じたセメント系組成物のマウンドの高さの変位(スランプ)ならびにマウンドの基部の直径(スランプフロー)をインチ単位で測定した。
【0107】
そのスランプによって表される各セメント系組成物の加工性をASTM C143に従って測定し、以下の第1表に報告した。各組成物のスランプ直径またはスランプコンクリートの基部の直径、ならびに空気含有量(ASTM C231)をも測定し、第1表に報告した。第1表ならびに図1および2に示されるように、実施例1および2に使用されたコポリマーAおよびBは、比較例3の無添加対照組成物に匹敵する初期スランプ測定値を有していたが、加工性は、向上し、長時間にわたって維持された。対照的に、比較例4および5において利用された従来のポリカルボキシレート分散剤は、迅速に最大加工性を生じ、経時的に加工性を低下させる傾向があった。この点において、コポリマーAおよびBは、従来の分散剤の性能特性と反対の性能特性を示した。
【0108】
第1表 (図1および2)
【表3】

【0109】
実施例6および7ならびに比較例8
最初に、サンプルセメント系組成物を、混合物および消泡剤を以下の第2表に記載されている量で調合水に導入することによって調製した。石、セメントおよび砂を第2表に示される量で添加し、混合物をドラムミキサーにて20rpmで5分間にわたって混合した。この混合物のサンプルのスランプを(約2分間の試験時間で)試験し、5分以内に4rpmで混合を再開した。5分間の試験サイクルを伴う20分間の混合サイクルを繰り返して、第2表に示されるデータを生成した。実施例6の組成物は、成分Aのヒドロキシエチルアクリレート残基および成分Cのポリエチレングリコールビニルエーテル残基を有するコポリマーBを含み、実施例7の組成物は、成分Aのヒドロキシエチルアクリレート残基および成分Bのポリエチレングリコールビニルエーテル残基を有するコポリマーAを含み、比較例8の組成物は、従来のポリカルボキシレート分散剤を含んでいた。
【0110】
そのスランプによって表される各セメント系組成物の加工性をASTM C143に従って測定し、以下の第2表に報告した。各組成物の空気含有量、硬化時間(ASTM C403)および圧縮強度(ASTM C39)をも測定し、第2表に報告した。第2表および図3に示されるように、実施例6および7で使用したコポリマーAおよびBは、空気含有量、硬化時間または圧縮強度を犠牲にすることなく、比較例8で利用されたポリカルボキシレート分散剤と比較して、経時的に反対の加工性特性をもたらした。従来のポリカルボキシレート分散剤は、最大のコンクリート加工性を迅速にもたらしたが、それは経時的に低下した。対照的に、コポリマーAおよびBは、低い初期加工性をもたらし、55分後に最大の加工性をもたらした。初期スランプは、非イオン性コポリマーの添加に影響されなかったが、ポリカルボキシレート分散剤含有混合物によって示されるスランプは、最初は高いが、着実に低下したため、非イオン性コポリマーの使用は、ポリカルボキシレート分散剤と比較してスランプ保持を向上させた。
【0111】
第2表 (図3)
【表4】

【0112】
合成実施例(コポリマーC)
複数のネック、機械的撹拌機、pH計および配給装置(例えばシリンジポンプ)を備えたガラス反応器に100gの水および60.67gの溶融ビニルPEG1100(溶液A)を充填した。反応器における温度を13℃に調整し、0.28gの25%硫酸溶液の添加によってpHを約7に調整した。
【0113】
152.11gの水および52.82gのアクリル酸ヒドロキシエチル(HEA、98.5%)からなる第2の溶液(溶液B)を調製した。溶液Bに対して1.74gの3−メルカプトプロピオン酸(3−MPA)を添加した。48.5gの水に1.5gのナトリウムヒドロキシメタンスルフィネート二水和物を含む第3の溶液(溶液C)を調製した。数ミリリットルの水中21mgのFeSO4×7H2Oおよび1.34gのH22(30%)溶液を反応器に加えることにより重合を開始した。同時に、重合容器への溶液BおよびCの供給を開始した。以下の表に記載されている異なる添加量を用いて、溶液Bを30分間にわたって供給した。溶液Cを30分間にわたって1.54g/hの一定速度で供給した後、さらに10分間にわたって50g/hのより速い供給速度で供給した。30分間にわたる溶液Bの供給時間を通じて、20%のNaOH水溶液を添加することによって反応器におけるpHを5.9に維持した。溶液Cの添加後のポリマー溶液のpHは5.9であり、残量のH22の崩壊により6.8まで上昇した。92.5%の収率、28300g/モルの重量平均分子量、SECによって測定された1.68のPDIおよび28.3%の固形分を有するポリエーテル−ポリエステルコポリマーの水溶液を得た。
【0114】
傾斜表C
【表5】

【0115】
合成実施例(コポリマーD)
複数のネック、撹拌機、pH計および還流冷却器を備えたガラス反応器に410gの水および350gの溶融ビニル−PEG3000を充填した。反応器における温度を13℃に調整した。0.5gの2%FeSO4×7H2O溶液および124gのヒドロキシエチルアクリレート(HEA、98%)を添加した後、3.4gの3−メルカプトプロピオン酸(3−MPA)および4gのアスコルビン酸を添加した。得られたpHは5.5であった。2分の混合後に、1.2gのH22(50%)を添加した。その後まもなく、温度の上昇が確認され、3分で45℃のピークに達し、pHは4.7まで低下した。さらに5分後、溶液のpHを7gのNaOH(20%)でpH=6.5に調整した。92.5%の収率、28300g/モルの重量平均分子量、SECによって測定された1.68のPDIおよび53%の固形分を有するポリエーテル−ポリエステルコポリマーの水溶液を得た。
【0116】
合成実施例(コポリマーE)
複数のネック、機械的撹拌機、pH計および配給装置(例えばシリンジポンプ)を備えたガラス反応器に320gの水および320gの溶融ビニルPEG5800(溶液A)を充填した。反応器における温度を13℃に調整し、3.4gの25%硫酸溶液の添加によってpHを約7に調整した。
【0117】
75.78gの水および26.68gのアクリル酸ヒドロキシエチル(HEA、98.5%)からなる、予め調製された第2の溶液(溶液B)の一部(19.88g)を、中程度に撹拌しながら10分間にわたって反応器に滴加した。反応器における得られた溶液のpHを測定したところ6.5であった。残りの溶液Bに対して2.7gの3−メルカプトプロピオン酸(3−MPA)を添加した。さらなる0.9gの量の3−MPAを重合開始の直前に反応器に加えた。48.5gの水に1.5gのナトリウムヒドロキシメタンスルフィネート二水和物を含む第3の溶液(溶液C)を調製した。数ミリリットルの水中11mgのFeSO4×7H2Oおよび2.0gのH22(30%)溶液を反応器に加えることにより重合を開始した。同時に、重合容器への溶液BおよびCの供給を開始した。溶液Bを22分間にわたって供給した。溶液Cを22分間にわたって1.5g/hの一定速度で供給した後、以下の表に記載されている異なる添加量を用いて、さらに22分間にわたって50g/hのより速い供給速度で供給した。30分間にわたる溶液Bの供給時間を通じて、20%のNaOH水溶液を添加することによって反応器におけるpHを6.4に維持した。溶液Cの添加が完了した後、ポリマー溶液のpHを測定したところ6.4であった。86.2%の収率、37500g/モルの重量平均分子量、SECによって測定された1.3のPDIおよび45.2%の固形分を有するポリエーテル−ポリエステルコポリマーの水溶液を得た。
【0118】
傾斜表E
【表6】

【0119】
合成実施例(コポリマーF)
複数のネック、撹拌機、pH計および還流冷却器を備えたガラス反応器に500gの水および350gの溶融ビニル−PEG5800を充填した。反応器における温度を13℃に調整した。0.5gの2%FeSO4×7H2O溶液および85.7gのヒドロキシエチルアクリレート(HEA、98%)を添加した後、2.2gの3−メルカプトプロピオン酸(3−MPA)および2gのアスコルビン酸を添加した。得られたpHは5.5であった。2分の混合後に、0.6gのH22(50%)を添加した。その後まもなく、温度の上昇が確認され、3分で32℃のピークに達し、pHは5.1まで低下した。さらに5分後、溶液のpHを5gのNaOH(20%)でpH=6.5に調整した。92.5%の収率、52500g/モルの重量平均分子量、SECによって測定された1.52のPDIおよび45.8%の固形分を有するポリエーテル−ポリエステルコポリマーの水溶液を得た。
【0120】
実施例8〜13および比較例14
最初に、水とポリマーを以下の第3表に記載の量で混合することによってサンプルセメント系組成物を調製した。水溶液をサンプリングし、試験して、ポリマーの初期濃度を測定した。セメントを第3表に記載の量で各試験溶液に添加し、次いで混合物を700rpmで混合してペーストを形成した。
【0121】
次いで、ペーストの一部を除去し、圧力濾過して、ペーストに存在する液相を単離し、濾液におけるポリマーの濃度を測定した。本来のペーストサンプルをミキサーに戻し、そのプロセスを繰り返して、以下の第3表に報告されているデータを得た。第3表に示されるように、実施例8の組成物は上記コポリマーAを含み、実施例9に記載の組成物は、成分Aのヒドロキシエチルアクリレート残基および成分Bのポリエチレングリコールビニルエーテル残基を8:1の比で有するコポリマーCを含み、実施例10の組成物は上記コポリマーBを含み、実施例11の組成物は、成分Aのヒドロキシエチルアクリレート残基および成分Cのポリエチレングリコールビニルエーテル残基を9:1の比で有するコポリマーDを含み、実施例12の組成物は、成分Aのヒドロキシエチルアクリレート残基および成分Cのポリエチレングリコールビニルエーテル残基を4:1の比で有するコポリマーEを含み、実施例13の組成物は、成分Aのヒドロキシエチルアクリレート残基および成分Cのポリエチレングリコールビニルエーテル残基を12:1の比で有するコポリマーFを含み、比較例14の組成物は、従来のポリカルボキシレート分散剤を含んでいた。
【0122】
第3表および図4に示されるように、本明細書に記載のコポリマーは、従来のポリカルボキシレート分散剤より緩慢にセメント粒子に吸着されて、初期の親和性および分散効果が小さいが、いずれも成分Aが加水分解すると大きくなって長時間にわたって活性を維持するため、それらが添加されるセメント系組成物の加工性が長時間化する。
【0123】
【表7】

【0124】
実施例15および16
室温における主題のコポリマーの加水分解速度を、最初に水酸化ナトリウムと水を混合し、次いで主題のコポリマーを添加することによって試験した。該混合物のサンプルを以下の第4表に記載されている時間に抽出し、試験して、第4表に報告されている主題のコポリマーの加水分解率を測定した。実施例15のコポリマーは、本明細書に記載されているように加水分解性成分A残基としてヒドロキシエチルアクリレートを含み、実施例16のコポリマーは、本明細書に記載されているように加水分解性成分A残基としてヒドロキシプロピルアクリレートを含んでいた。いずれのコポリマーも非加水分解性成分B残基を含んでいた。
【0125】
第4表および図5に示されているように、2つのコポリマーの加水分解速度は異なる。これらのデータは、主題のコポリマーの様々な実施形態において異なる加水分解性成分を使用し、さらに主題のコポリマーの異なる実施形態を混合することによって加水分解速度を制御できることを証明している。加水分解速度を制御することによって、コポリマーが添加されるセメント系組成物の加工性を厳密に制御することができる。
【0126】
第4表 (図5)
【表8】

【0127】
実施例17、18および19ならびに比較例20
最初に、サンプルセメント系組成物を、混合物および消泡剤を以下の第5表に記載されている量で調合水に導入することによって調製した。石、セメント、飛散灰および砂を第5表に示される量で添加し、混合物をドラムミキサーにて20rpmで5分間にわたって混合した。この混合物のサンプルのスランプを(約2分間の試験時間で)試験し、5分以内に4rpmで混合を再開した。5分間の試験サイクルを伴う20分間の混合サイクルを繰り返して、第5表に示されるデータを生成した。実施例17〜19の組成物は、コポリマーBと従来のリグノスルホネート減水分散剤との異なる比率の組合せを含み、比較例20は、リグノスルホネート分散剤のみを含んでいた。
【0128】
そのスランプによって表される各セメント系組成物の加工性をASTM C143に従って測定し、以下の第5表に報告した。各組成物の空気含有量、硬化時間(ASTM C403)および圧縮強度(ASTM C39)をも測定し、第5表に報告する。第5表および図6に示されるように、実施例17〜19で使用されたコポリマーBとリグノスルホネート分散剤の組合せは、空気含有量、硬化時間または圧縮強度を犠牲にすることなく、比較例20で利用されたリグノスルホネート分散剤より長くセメント系組成物の加工性を維持する。さらに、実施例17および18と比較した実施例19の加工性の向上によって示されるように、高量のコポリマーBの方が低量のコポリマーBよりスランプ保持を向上させる機能が優れていた。
【0129】
第5表 (図6)
【表9】

【0130】
合成実施例(コポリマーG)
複数のネック、機械的撹拌機、pH計および配給装置(例えばシリンジポンプ)を備えたガラス反応器に55gの水および99.3gの溶融ビニルPEG500(溶液A)を充填した。反応器における温度を13℃に調整し、0.3gの25%硫酸溶液の添加によってpHを約7に調整した。
【0131】
272.8gの水および96.06gのアクリル酸ヒドロキシエチル(HEA、98.5%)からなる、予め調製された第2の溶液(溶液B)の一部(89.45g)を、中程度に撹拌しながら10分間にわたって反応器に滴加した。反応器における得られた溶液のpHを測定したところ6.4であった。残りの溶液Bに対して1.65gの3−メルカプトプロピオン酸(3−MPA)を添加した。さらなる0.89gの量の3−MPAを重合開始の直前に反応器に加えた。48.5gの水に1.5gのナトリウムヒドロキシメタンスルフィネート二水和物を含む第3の溶液(溶液C)を調製した。数ミリリットルの水中19mgのFeSO4×7H2Oおよび1.23gのH22(30%)溶液を反応器に加えることにより重合を開始した。同時に、重合容器への溶液BおよびCの供給を開始した。以下の表に記載されている異なる添加量を用いて、溶液Bを30分間にわたって供給した。溶液Cを30分間にわたって4.5g/hの一定速度で供給した後、さらに11分間にわたって100g/hのより速い供給速度で供給した。30分間にわたる溶液Bの供給時間を通じて、20%のNaOH水溶液を添加することによって反応器におけるpHを6.4に維持した。溶液Cの添加が完了した後のポリマー溶液のpHを測定したところ6.7であった。97.4%の収率、42100g/モルの重量平均分子量、SECによって測定された2.31のPDIおよび35.2%の固形分を有するポリエーテル−ポリエステルコポリマーの水溶液を得た。
【0132】
傾斜表G
【表10】

【0133】
実施例21、22および23ならびに比較例24
プレキャスト用途での使用に好適なサンプルセメント系組成物を、石、セメント、砂および水を20rpmにて5分間にわたって以下の第6表に記載されている量で混合することによって調製した。最初の1分間の混合の後に、ナフタレンスルホネート混合物を第6表に示される量で添加した。次いで、第6表に報告されているように、5分間の試験時間の最初の部分を通じて初期スランプおよび空気含有量を測定した。次いで、第2のスランプに影響を与える混合物が存在すれば、それを第6表に示される量で組成物に添加し、20分間にわたって4rpmで混合を再開した。第6表に示されるように、スランプを再び測定した。次いで、このプロセスを繰り返して、第6表に報告されるデータを集計した。実施例21の組成物は上記コポリマーBを含み、実施例22の組成物は上記コポリマーAを含み、実施例23の組成物は、成分Aのヒドロキシエチルアクリレート残基および成分Bのポリエチレングリコールビニルエーテル残基を4:1のモル比で有するコポリマーGを含み、比較例24の組成物は、スランプに影響を与える混合物を含んでいなかった。
【0134】
そのスランプによって表される各セメント系組成物の加工性をASTM C143に従って測定し、以下の第6表に報告した。各組成物の空気含有量、硬化時間(ASTM C403)および圧縮強度(ASTM C39)をも測定し、第6表に報告した。第6表および図7に示されるように、主題の非イオン性コポリマーは、従来の減水ナフタレンスルホネート混合物と併用されると、ナフタレンスルホネート単独よりはるかに効率的にセメント系組成物の加工性を長時間化した。ナフタレンスルホネートと非イオン性コポリマーとの不適合性がわずかであるため、従来の減水剤が約10分間にわたってセメント系組成物に混入されるまでコポリマーの添加を遅らせた。
【0135】
第6表 (図7)
【表11】

【0136】
合成実施例(コポリマーH)
複数のネック、機械的撹拌機、pH計および配給装置(例えばシリンジポンプ)を備えたガラス反応器に267gの水および330.9gの溶融ビニルPEG3000(溶液A)を充填した。反応器における温度を13℃に調整し、2.5gの25%硫酸溶液の添加によってpHを約7に調整した。
【0137】
169.86gの水および59.81gのアクリル酸ヒドロキシプロピル(HPA、96%)からなる、予め調製された第2の溶液(溶液B)の一部(44.95g)を、中程度に撹拌しながら10分間にわたって反応器に滴加した。反応器における得られた溶液のpHを測定したところ6.5であった。残りの溶液Bに対して2.28gの3−メルカプトプロピオン酸(3−MPA)を添加した。さらなる0.76gの量の3−MPAを重合開始の直前に反応器に加えた。48.5gの水に1.5gのナトリウムヒドロキシメタンスルフィネート二水和物を含む第3の溶液(溶液C)を調製した。数ミリリットルの水中21mgのFeSO4×7H2Oおよび1.34gのH22(30%)溶液を反応器に加えることにより重合を開始した。同時に、重合容器への溶液BおよびCの供給を開始した。以下の表に記載されている異なる添加量を用いて、溶液Bを30分間にわたって供給した。溶液Cを30分間にわたって1.5g/hの一定速度で供給した後、さらに10分間にわたって50g/hのより速い供給速度で供給した。30分間にわたる溶液Bの供給時間を通じて、20%のNaOH水溶液を添加することによって反応器におけるpHを6.5に維持した。溶液Cの添加が完了した後のポリマー溶液のpHを測定したところ6.5であった。93.3%の収率、51500g/モルの重量平均分子量、SECによって測定された1.67のPDIおよび46.1%の固形分を有するポリエーテル−ポリエステルコポリマーの水溶液を得た。
【0138】
傾斜表H
【表12】

【0139】
合成実施例(コポリマーJ)
複数のネック、機械的撹拌機、pH計および配給装置(例えばシリンジポンプ)を備えたガラス反応器に138gの水および182gの溶融ビニルPEG1100(溶液A)を充填した。反応器における温度を13℃に調整し、3.75gの25%硫酸溶液の添加によってpHを約7に調整した。
【0140】
254.79gの水および89.72gのアクリル酸ヒドロキシプロピル(HPA、96%)からなる、予め調整された第2の溶液(溶液B)の一部(67.42g)を、中程度に撹拌しながら10分間にわたって反応器に滴加した。反応器における得られた溶液のpHを測定したところ6.5であった。残りの溶液Bに対して2.46gの3−メルカプトプロピオン酸(3−MPA)を添加した。さらなる0.82gの量の3−MPAを重合開始の直前に反応器に加えた。48.5gの水に1.5gのナトリウムヒドロキシメタンスルフィネート二水和物を含む第3の溶液(溶液C)を調製した。数ミリリットルの水中31mgのFeSO4×7H2Oおよび2.01gのH22(30%)溶液を反応器に加えた。同時に、重合容器への溶液BおよびCの供給を開始した。以下の表に記載されている異なる添加量を用いて、溶液Bを90分間にわたって供給した。溶液Cを90分間にわたって4.0g/hの一定速度で供給した後、さらに37分間にわたって40g/hのより速い供給速度で供給した。90分間にわたる溶液Bの供給時間を通じて、20%のNaOH水溶液を添加することによって反応器におけるpHを6.5に維持した。溶液Cの添加が完了した後のポリマー溶液のpHを測定したところ6.6であった。94.7%の収率、32700g/モルの重量平均分子量、SECによって測定された2.13のPDIおよび38.6%の固形分を有するポリエーテル−ポリエステルコポリマーの水溶液を得た。
【0141】
傾斜表J
【表13】

【0142】
実施例25〜28および比較例29
最初に、混合物および消泡剤を以下の第7表に記載されている量で調合水に導入することによってサンプルセメント系組成物を調製した。石、セメントおよび砂を第7表に示される量で添加し、該混合物をドラムミキサーにて20rpmで5分間にわたって混合した。この混合物のサンプルのスランプを(約2分間の試験時間で)試験し、5分以内に4rpmで混合を再開した。5分間の試験サイクルを伴う20分間の混合サイクルを繰り返して、第7表に示されるデータを生成した。すべてのサンプルセメント系組成物が、従来のポリカルボキシレートエーテル分散剤を第7表に示される量で含んでいた。実施例25〜28のサンプルセメント系組成物は、それぞれ上記コポリマーB、成分Aのヒドロキシプロピルアクリレート残基および成分Cのポリエチレングリコールビニルエーテル残基を4:1のモル比で有するコポリマーH、上記コポリマーA、ならびに成分Aのヒドロキシプロピルアクリレート残基および成分Bのポリエチレングリコールビニルエーテル残基を4:1のモル比で有するコポリマーJの非イオン性コポリマーをも含んでいた。
【0143】
そのスランプによって表される各セメント系組成物の加工性をASTM C143に従って測定し、以下の第7表に報告した。各組成物の空気含有量、硬化時間(ASTM C403)および圧縮強度(ASTM C39)をも測定し、第7表に報告した。第7表および図8に示されるように、本明細書に記載の主題のコポリマーは、従来のポリカルボキシレートエーテル分散剤と組み合わせると、(明らかに異なる速度で加水分解するが)ヒドロキシエチルアクリレートまたはヒドロキシプロピルアクリレート部分が存在するかどうかにかかわらず、従来のポリカルボキシレートエーテル分散剤単独よりはるかに効率的に組成物の加工性を長時間化するとともに、最終製品の圧縮強度を向上させ、硬化時間および空気含有量を有意に変化させない。
【0144】
【表14】

【0145】
実施例30および31ならびに比較例32
最初に混合物および消泡剤を以下の第8表に記載されている量で調合水に導入することによって、プレキャスト用途での使用に好適なサンプルセメント系組成物を調製した。石、セメントおよび砂を第8表に示される量で添加し、該混合物をドラムミキサーにて20rpmで5分間にわたって混合した。この混合物のサンプルのスランプを(約2分間の試験時間で)試験し、5分以内に4rpmで混合を再開した。5分間の試験サイクルを伴う20分間の混合サイクルを繰り返して、第5表に示されるデータを生成した。実施例30および31は、上記コポリマーBと従来のポリカルボキシレートエーテル分散剤との異なる比率の組合せを含み、比較例32は、従来のポリカルボキシレートエーテル分散剤のみを含んでいた。
【0146】
そのスランプによって表される各セメント系組成物の加工性をASTM C143に従って測定し、以下の第8表に報告した。各組成物の空気含有量、硬化時間(ASTM C403)および圧縮強度(ASTM C39)をも測定し、第8表に報告する。第8表および図9に示されるように、実施例30および31で使用されたコポリマーBと従来のポリカルボキシレートエーテル分散剤との組合せは、空気含有量または硬化時間を犠牲にすることなく、圧縮強度を向上させながら、比較例20で利用されたポリカルボキシレートエーテル(PCE)より長くセメント系組成物の加工性を維持する。さらに、実施例30と比較した実施例31の加工性の向上によって示されるように、高量のコポリマーBは、低量のコポリマーBより良好な機能を発揮した。
【0147】
第8表 (図9)
【表15】

【0148】
実施例33、34および35ならびに比較例36
ヒドロキシエチルアクリレート残基とポリエチレングリコールビニルエーテル残基の比率が4:1の3つのさらなるコポリマーを調製した。コポリマーKおよびコポリマーLは、成分Bのポリエチレングリコールビニルエーテル残基(分子量1100)と成分Cのポリエチレングリコールビニルエーテル残基(分子量3000)とのモル比が0.5/0.5であった。コポリマーMは、成分Bのポリエチレングリコールビニルエーテル残基(分子量1100)と成分Cのポリエチレングリコールビニルエーテル残基(分子量3000)とのモル比が0.7/0.3であった。
【0149】
混合物および消泡剤を第9表に記載されている量で調合水に導入することによって、サンプルセメント系組成物を調製した。石、セメントおよび砂を第9表に示される量で添加し、該混合物をドラムミキサーにて20rpmで5分間にわたって混合した。この混合物のサンプルのスランプを(約2分間の試験時間で)試験し、5分以内に4rpmで混合を再開した。5分間の試験サイクルを伴う20分間の混合サイクルを繰り返して、第9表に示されるデータを生成した。サンプルセメント系組成物のすべてが、従来のポリカルボキシレートエーテル分散剤を第9表に示される量で含んでいた。実施例33〜35のサンプルセメント系組成物は、それぞれ上記のコポリマーK、コポリマーLおよびコポリマーMをも含んでいた。
【0150】
そのスランプによって表される各セメント系組成物の加工性をASTM C143に従って測定し、以下の第9表に報告した。各組成物の空気含有量、硬化時間(ASTM C403)および圧縮強度(ASTM C39)をも測定し、第9表に報告した。第9表および図10に示されるように、本明細書に記載の主題のコポリマーは、従来のポリカルボキシレートエーテル分散剤と組み合わせると、従来のポリカルボキシレートエーテル分散剤単独よりはるかに効率的に組成物の加工性を長時間化するとともに、最終製品の圧縮強度を向上させ、硬化時間および空気含有量を有意に変化させない。
【0151】
第9表 (図10)
【表16】

【0152】
主題の非イオン性コポリマーは、セメント粒子に対する初期親和性を有さないが、セメント系組成物と組み合わせると、優れた加工性保持を示し、製造時および作業現場におけるスランプ調整の必要性を最小限にし、混合物過剰設計要件を最小限にし、作業現場における高性能減水剤の補給を軽減し、ならびに高度な流動性ならびに安定性および耐久性の向上をもたらす。主題のコポリマー混合物系は、生コンクリート、高充填、プレキャストおよび油田グラウト等の他の用途に合わせて構成されたセメント系組成物の加工性を長時間化するのに好適である。
【0153】
本明細書に記載の実施形態は例示にすぎず、当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、変更および修正を加えることができることが理解されるであろう。すべての当該変更および修正は、以上に記載されている本発明の範囲内に含められることを意図する。さらに、本発明の様々な実施形態を組み合わせて所望の結果を得ることができるため、開示されているすべての実施形態は、必ずしも択一的ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水硬性セメントおよび水を含むセメント系混合物に対する加工性を長時間化するための非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマーであって、該コポリマーは、少なくとも以下のモノマー:
セメント系混合物中で加水分解可能な部分を含むエチレン性不飽和カルボン酸エステルモノマーを含む成分Aであって、加水分解されたモノマー残基は、セメント系混合物の成分に対する活性結合部を含む成分A、および少なくとも1つの以下の
約1〜30個の単位の少なくとも1つのC2-4オキシアルキレン側基を含むエチレン性不飽和カルボン酸エステルまたはアルケニルエーテルモノマーを含む成分B、または
31〜約350個の単位の少なくとも1つのC2-4オキシアルキレン側基を含むエチレン性不飽和カルボン酸エステルまたはアルケニルエーテルモノマーを含む成分C
の残基を含み、
成分Aと成分Bおよび成分Cのモル比の合計とのモル比が約1:1〜約10:1であるコポリマー。
【請求項2】
成分Bおよび成分Cの両方が存在する、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
加水分解性部分を含む1つより多くの成分Aのエチレン性不飽和モノマーの残基を含み、場合により、加水分解性部分を含む1つより多くの成分Aのエチレン性不飽和モノマーは、
a)1種より多くのエチレン性不飽和モノマー、
b)1つより多くの加水分解性部分、または
c)a)とb)の組合せ
の残基を含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項4】
1つより多くの加水分解性部分が、少なくとも1つのC2-20アルコール官能基を含む、請求項3に記載のコポリマー。
【請求項5】
成分Aのエチレン性不飽和モノマーが、加水分解性部分を含むエステル官能基を有するアクリル酸エステルを含み、場合により、エステル官能基は、ヒドロキシプロピルまたはヒドロキシエチルの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項6】
加水分解性部分が、C1-20アルキルエステル、C1-20アミノアルキルエステル、C2-20アルコール、C2-20アミノアルコールまたはアミドの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項7】
加水分解性部分が、アルキルモノエステル、アルキルジエステル、ヒドロキシアルキルモノエステル、ヒドロキシアルキルジエステルまたはそれらの混合物の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項8】
成分Bまたは成分Cのエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1つが、C2-8アルケニル基を含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項9】
エチレン性不飽和モノマーが、ビニル、アリルもしくは(メタ)アリルエーテルを含み、またはC2-8不飽和アルコ−ルから誘導され、場合により、C2-8不飽和アルコールは、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノールまたはメチルブテノールの少なくとも1つである、請求項8に記載のコポリマー。
【請求項10】
成分Bまたは成分Cのエチレン性不飽和モノマー側基の少なくとも1つが、少なくとも1つのC4オキシアルキレン単位を含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項11】
成分Bまたは成分Cのエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1つが、加水分解性または非加水分解性C2-8カルボン酸エステルまたはそれらの混合物を含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項12】
成分Bまたは成分Cのエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1つが、(メタ)アクリル酸エステルを含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項13】
オキシアルキレン側基が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはそれらの混合物の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項14】
少なくとも1つの非イオン性の非加水分解性成分Dであるモノマー残基またはその混合物を含む、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項15】
非イオン性コポリマーが、以下の一般式:
【化1】

[式中、
Gは、O、C(O)−OまたはO−(CH2p−Oを含み、p=2〜8であり、Gの混合物が同じポリマー分子に存在可能であり;
Rは、HまたはCH3の少なくとも1つを含み;
1およびR2は、それぞれ独立に、少なくとも1つのC2−C8アルキルを含み;
3は、(CH2cを含み、各cは2〜約5の数字であり、R3の混合物が同じポリマー分子に存在可能であり;
4は、C1-20アルキルまたはC2-20ヒドロキシアルキルの少なくとも1つを含み;
各R5は、H、C1-20(直鎖状または分枝状の飽和または不飽和)脂肪族炭化水素基、C5-8脂環式炭化水素基または置換もしくは非置換C6-14アリール基の少なくとも1つを含み;
m=1〜30、n=31〜約350であり、w=約1〜約10であり、y=0〜約1であり、z=0〜約1であり;
y+zは、0より大きい値から約1であり、wは、y+zの合計の10倍以下である]によって表される、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項16】
各pは4であり;各R4はC24OHもしくはC36OHまたはそれらの混合物を含み;R5はHを含み;m=約5〜30であり、n=31〜約250であり、w=約1〜約9であり、y=0〜約1であり、z=0〜約1であり;y+zは0を超える値から約1であり、wはy+zの合計の9倍以下である、請求項15に記載のコポリマー。
【請求項17】
水硬性セメントおよび水を含むセメント系混合物に対する加工性を長時間化するための方法であって、請求項1から16までのいずれか一項に記載の非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマーを含む混合物をセメント系混合物に導入することを含む方法。
【請求項18】
減水組成物をセメント系混合物に個別に添加することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
混合物の成分として減水組成物をセメント系混合物に添加することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
減水組成物が、従来の減水剤、従来のポリカルボキシレート分散剤、ポリアスパレート分散剤またはオリゴマー分散剤の少なくとも1つを含み、従来の減水剤は、リグノスルホネート、メラミンスルホネート樹脂、スルホン化メラミンホルムアルデヒド縮合体、スルホン化メラミンスルホネート縮合体の塩、βナフタレンスルホネート、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合体樹脂、またはスルホン化ナフタレンスルホネート縮合体の塩の少なくとも1つを含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項21】
水硬性セメントおよび水を含むセメント系混合物に対する加工性を長時間化するための方法であって、以下の一般式:
【化2】

[式中、
Qは、加水分解性部分を含む成分Aのエチレン性不飽和モノマーであり;
Gは、O、C(O)−OまたはO−(CH2p−Oを含み、p=2〜8であり、Gの混合物が同じポリマー分子に存在可能であり;
1およびR2は、それぞれ独立に、少なくとも1つのC2−C8アルキルを含み;
3は、(CH2cを含み、各cは、2〜約5の数字であり、R3の混合物が同じポリマー分子に存在可能であり;
各R5は、H、C1-20(直鎖状または分枝状の飽和または不飽和)脂肪族炭化水素基、C5-8脂環式炭化水素基または置換もしくは非置換C6-14アリール基の少なくとも1つを含み;
m=1〜30、n=31〜約350であり、w=約1〜約10であり、y=0〜約1であり、z=0〜約1であり;
y+zは、0より大きい値から約1であり、wは、y+zの合計の10倍以下である]によって表される非イオン性コポリマーを含む混合物をセメント系混合物に導入することを含む方法。
【請求項22】
成分Aのエチレン性不飽和モノマーが、マレイミドを場合により含むイミドを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
非イオン性コポリマーが、以下の一般式:
【化3】

[式中、
Gは、O、C(O)−OまたはO−(CH2p−Oを含み、p=2〜8であり、Gの混合物が同じポリマー分子に存在可能であり;
Rは、HまたはCH3の少なくとも1つを含み;
1およびR2は、それぞれ独立に、少なくとも1つのC2−C8アルキルを含み;
3は、(CH2cを含み、各cは、2〜約5の数字であり、R3の混合物が同じポリマー分子に存在可能であり;
Xは、加水分解性部分を含み;
各R5は、H、C1-20(直鎖状または分枝状の飽和または不飽和)脂肪族炭化水素基、C5-8脂環式炭化水素基または置換もしくは非置換C6-14アリール基の少なくとも1つを含み;
m=1〜30、n=31〜約350であり、w=約1〜約10であり、y=0〜約1であり、z=0〜約1であり;
y+zは、0より大きい値から約1であり、wは、y+zの合計の10倍以下である]によって表される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
加水分解性部分が、アルキルエステル、アミノアルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル、アミノヒドロキシアルキルエステルまたはアミドの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
水硬性セメント、水、および請求項1から16までのいずれかに記載の非イオン性ポリエーテル−ポリエステルコポリマーを含む混合物を含むセメント系組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−524330(P2011−524330A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513998(P2011−513998)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057179
【国際公開番号】WO2009/153202
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Strasse 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】