説明

セラミックスおよびその製造方法およびその使用

窒素を含むセラミックス(ガラスおよびガラス−セラミックスをはじめとする)およびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
酸窒化物組成物を有するいくつかの材料をはじめとする数多くのガラス、結晶質セラミックおよびガラス−セラミック材料が知られている。多くの酸化物ガラス系は、ガラスの形成を補助するSiO2、Bi23、B23、P25、GeO2、TeO2、As23およびV25のような周知のガラス形成材を利用している。これらのガラス形成材で形成されたガラス組成物のいくつかは熱処理するとガラス−セラミックスを形成することができる。かかるガラス形成材から形成されたガラスおよびガラス−セラミックスの使用上限温度は、通常1200℃未満、一般的に約700〜800℃である。ガラス−セラミックスは、形成されるガラスよりも耐温度性のある傾向がある。
【0002】
さらに、公知のガラスおよびガラス−セラミックスの多くの特性は、ガラス形成材の固有の特性により限定されている。例えば、SiO2、B23およびP25系ガラスおよびガラス−セラミックスについては、ヤング率、硬さおよび強度が比較的低い。これらのガラスおよびガラス−セラミックスは、通常、例えば、Al23またはZrO2に比べて機械的特性が劣る。
【0003】
希土類酸化物−アルミニウム酸化物に基づくいくつかのガラスが知られているが(例えば、米国特許第6,482,758号明細書(ウェーバー(Weber))および2000年2月15日公開の特開2000−045129号公報を参照)、さらに新規のガラスおよびガラス−セラミックス、ならびに公知と新規なガラスおよびガラス−セラミックスの使用が望まれている。
【0004】
他の態様においては、様々な研磨粒子(例えば、ダイヤモンド粒子、立体窒化ホウ素粒子、溶融研磨粒子および焼結セラミック研磨粒子(ゾル−ゲル誘導研磨粒子)が業界で知られている。ある研磨用途において、研磨粒子は、粗形態で用いられ、またある場合には粒子は研磨製品(被覆研磨製品、結合研磨製品、不織研磨製品および研磨ブラシ)に組み込まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
研磨業界では、新たな研磨粒子および研磨物品、その製造方法が望まれつづけている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、ガラス(ガラスを含むセラミックスを含む)およびガラス−セラミックスを提供するものである。
【0007】
一態様において、本発明は、ガラスの総質量に基づいて(a)少なくとも35(ある実施形態においては、少なくとも40、45、50、55、60、65、70または少なくとも75)質量パーセントのAl23と、(b)少なくとも0.1(ある実施形態においては、少なくとも0.2、0.3、0.5、1、2、3、4または少なくとも5)質量パーセントのN(すなわち、窒素)とを含むガラスであって、ガラスの総質量に基づいて合計10質量パーセント以下(ある実施形態においては、5、4、3、2、1、0.5、0.1またはゼロ質量パーセント)のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有するガラスを提供する。ある実施形態においては、ガラスは、Al23以外の少なくとも1種類の金属酸化物(例えば、BaO、CaO、CeO2、CuO、Dy23、Er23、Eu23、Gd23、Ho23、La23、Lu23、MgO、Nd23、Pr611、Sm23、Sc23、SrO、Tb23、Th47、TiO2、Tm23、Yb23、Y23、ZrO2およびこれらの組み合わせからなる群より選択される金属酸化物)をさらに含む。ある実施形態においては、セラミックはガラスを含む。
【0008】
他の態様において、本発明は、ガラスの総質量に基づいて、(a)70質量パーセントを超える(ある実施形態においては、少なくとも75、80、85、90、95または100質量パーセント)を超えるAl23と、(b)少なくとも0.1(ある実施形態においては、少なくとも0.05、0.1、0.2、0.3、0.5、1、2、3、4または少なくとも5)質量パーセントのNとを含むガラスを提供する。ある実施形態においては、ガラスは、Al23以外の少なくとも1種類の金属酸化物(例えば、BaO、CaO、CeO2、CuO、Dy23、Er23、Eu23、Gd23、Ho23、La23、Lu23、MgO、Nd23、Pr611、Sm23、Sc23、SrO、Tb23、Th47、TiO2、Tm23、Yb23、Y23、ZrO2およびこれらの組み合わせからなる群より選択される金属酸化物)をさらに含む。ある実施形態においては、セラミックはガラスを含む。
【0009】
他の態様において、本発明は、ガラスの総質量に基づいて(a)少なくとも35(ある実施形態においては、少なくとも40、45、50、55、60、65、70または少なくとも75)質量パーセントのAl23と、(b)Al23以外の第1の金属酸化物と、(c)Al23以外の第2の異なる金属酸化物と、(d)ガラスの総質量に基づいて少なくとも0.1(ある実施形態においては、少なくとも0.2、0.3、0.5、1、2、3、4または少なくとも5)質量パーセントのNとを含み、Al23、第1の金属酸化物および第2の金属酸化物が合計でガラスの少なくとも70(ある実施形態においては、少なくとも75、80、85、90、95さらに100)質量パーセントを構成し、ガラスが、ガラスの総質量に基づいて合計で30質量パーセント以下(ある実施形態においては、25、20、15、10、5、4、3、2、1、0.5、0.1またはゼロ質量パーセント)のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有するガラスを提供する。ある実施形態においては、第1の金属酸化物は、BaO、CaO、CeO2、CuO、Dy23、Er23、Eu23、Gd23、Ho23、La23、Lu23、MgO、Nd23、Pr611、Sm23、Sc23、SrO、Tb23、Th47、TiO2、Tm23、Yb23、Y23、ZrO2からなる群より選択される。ある実施形態においては、第1および第2の金属酸化物は、BaO、CaO、CeO2、CuO、Dy23、Er23、Eu23、Gd23、Ho23、La23、Lu23、MgO、Nd23、Pr611、Sm23、Sc23、SrO、Tb23、Th47、TiO2、Tm23、Yb23、Y23、ZrO2からなる群より独立に選択される。ある実施形態においては、セラミックはガラスを含む。
【0010】
他の態様において、本発明は、Al23と、ガラスの総質量に基づいて少なくとも0.1(ある実施形態においては、少なくとも0.2、0.3、0.5、1、2、3、4または少なくとも5)質量パーセントのNと、REOまたはY23の少なくとも1種類と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種類とを含み、ガラスの総質量に基づいて、ガラスの少なくとも80(ある実施形態においては、少なくとも85、90、95、97、98、99または100)質量パーセントが、合計してAl23、REOまたはY23の少なくとも1種類およびZrO2またはHfO2の少なくとも1種類で構成されるガラスを提供する。ある実施形態においては、ガラスは、ガラスの総質量に基づいて、少なくとも35、40、45、50、55、65、70または少なくとも75質量パーセントのAl23を含む。ある実施形態においては、ガラスは、Al23、REO、Y23、HfO2およびZrO2以外の少なくとも1種類の金属酸化物(例えば、BaO、CaO、MgO、SrO、TiO2およびこれらの組み合わせからなる群より選択される金属酸化物)をさらに含む。ある実施形態においては、セラミックはガラスを含む。
【0011】
他の態様において、本発明は、Al23と、ガラスの総質量に基づいて少なくとも0.1(ある実施形態においては、少なくとも0.2、0.3、0.5、1、2、3、4または少なくとも5)質量パーセントのNと、REOまたはY23の少なくとも1種類と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種類とを含み、ガラスの総質量に基づいて、ガラスの少なくとも80(ある実施形態においては、少なくとも85、90、95、97、98、99または100)質量パーセントが、合計してAl23、REOまたはY23の少なくとも1種類およびZrO2またはHfO2の少なくとも1種類で構成されるガラスを提供する。ある実施形態においては、ガラスは、Al23、REO、Y23、HfO2およびZrO2以外の少なくとも1種類の金属酸化物(例えば、BaO、CaO、MgO、SrO、TiO2およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるAl23、REO、Y23、HfO2およびZrO2以外の少なくとも1種類の金属酸化物)をさらに含む。ある実施形態においては、セラミックはガラスを含む。
【0012】
他の態様において、本発明は、本発明によるガラスを製造する方法を提供する。本発明によるガラスを製造するある例示の方法において、ガラスに存在させる少なくとも金属酸化物とNの供給源(すなわち、溶融物を提供するためにガラスに存在させる少なくとも金属酸化物とNの溶融源)を含む溶融物を提供する工程と、溶融物を冷却してガラスを提供する工程とを含む。
【0013】
他の態様において、本発明は、本発明によるガラスを含むセラミックを製造する方法を提供する。本発明によるガラスを含むセラミックを製造する他の例示の方法において、ガラスに存在させる少なくとも金属酸化物とNの供給源(すなわち、溶融物を提供するためにガラスに存在させる少なくとも金属酸化物とNの溶融源)を含む溶融物を提供する工程と、溶融物を冷却してセラミックを提供する工程とを含む。
【0014】
他の態様において、本発明は、本発明によるガラスを含む物品を製造する方法を提供する。かかる物品を製造するある例示の方法において、方法は、Tgを有する本発明によるガラスを含むガラスビーズを提供する工程と、ガラスビーズが合体してある形状を形成するように、ガラスビーズをTgより高く加熱する工程と、合体した形状を冷却して物品を提供する工程とを含む。
【0015】
本発明によるガラスを含む物品を製造する他の例示の方法において、方法は、Tgを有する本発明によるガラスを含むガラス粉末を提供する(すなわち、ガラス(例えば、ガラスビーズ)を砕いてガラス粉末を提供する)工程と、ガラス粉末が合体してある形状を形成するように、ガラス粉末をTgより高く加熱する工程と、合体した形状を冷却して物品を提供する工程とを含む。
【0016】
他の態様において、本発明は、ガラス−セラミックの総質量に基づいて(a)少なくとも35(ある実施形態においては、少なくとも40、45、50、55、60、67、70または少なくとも75)質量パーセントのAl23と、(b)少なくとも0.1(ある実施形態においては、少なくとも0.2、0.3、0.5、1、2、3、4または少なくとも5)質量パーセントのN(すなわち、窒素)とを含むガラス−セラミックであって、ガラス−セラミックの総質量に基づいて合計10質量パーセント以下(ある実施形態においては、5、4、3、2、1、0.5、0.1またはゼロ質量パーセント)のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有するガラス−セラミックを提供する。
【0017】
他の態様において、本発明は、ガラス−セラミックの総質量に基づいて、(a)70質量パーセントを超える(ある実施形態においては、少なくとも75、80、85、90、95または100質量パーセント)を超えるAl23と、(b)少なくとも0.1(ある実施形態においては、少なくとも0.2、0.3、0.5、1、2、3、4または少なくとも5)質量パーセントのNとを含むガラス−セラミックを提供する。
【0018】
他の態様において、本発明は、(a)ガラス−セラミックの総質量に基づいて少なくとも35(ある実施形態においては、少なくとも40、45、50、55、60、65、70または少なくとも75)質量パーセントのAl23と、(b)Al23以外の第1の金属酸化物と、(c)Al23以外の第2の異なる金属酸化物と、(d)ガラス−セラミックの総質量に基づいて少なくとも0.1(ある実施形態においては、少なくとも0.2、0.3、0.5、1、2、3、4または少なくとも5)質量パーセントのNとを含んで、Al23、第1の金属酸化物および第2の金属酸化物が合計でガラス−セラミックの少なくとも70(ある実施形態においては、少なくとも75、80、85、90、95さらに100)質量パーセントを構成しており、ガラスが、ガラス−セラミックの総質量に基づいて合計で30質量パーセント以下(ある実施形態においては、25、20、15、10、5、4、3、2、1、0.5、0.1またはゼロ質量パーセント)のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有するガラス−セラミックを提供する。ある実施形態においては、第1の金属酸化物は、BaO、CaO、CeO2、CuO、Dy23、Er23、Eu23、Gd23、Ho23、La23、Lu23、MgO、Nd23、Pr611、Sm23、Sc23、SrO、Tb23、Th47、TiO2、Tm23、Yb23、Y23、ZrO2からなる群より選択される。ある実施形態においては、第1および第2の金属酸化物は、BaO、CaO、CeO2、CuO、Dy23、Er23、Eu23、Gd23、Ho23、La23、Lu23、MgO、Nd23、Pr611、Sm23、Sc23、SrO、Tb23、Th47、TiO2、Tm23、Yb23、Y23、ZrO2からなる群より独立に選択される。
【0019】
他の態様において、本発明は、Al23と、ガラス−セラミックの総質量に基づいて少なくとも0.1(ある実施形態においては、少なくとも0.2、0.3、0.5、1、2、3、4または少なくとも5)質量パーセントのNと、REOまたはY23の少なくとも1種類と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種類とを含み、ガラス−セラミックの総質量に基づいて、ガラス−セラミックの少なくとも80(ある実施形態においては、少なくとも85、90、95、97、98、99または100)質量パーセントが、合計してAl23、REOおよびZrO2またはHfO2の少なくとも1種類で構成されるガラス−セラミックを提供する。ある実施形態においては、ガラス−セラミックは、Al23、REOまたはY23の少なくとも1種類、HfO2およびZrO2以外の少なくとも1種類の金属酸化物(例えば、BaO、CaO、MgO、SrO、TiO2およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるAl23、REO、Y23、HfO2およびZrO2以外の少なくとも1種類の金属酸化物)をさらに含む。
【0020】
他の態様において、本発明は、Al23と、ガラス−セラミックの総質量に基づいて少なくとも0.1(ある実施形態においては、少なくとも0.2、0.3、0.5、1、2、3、4または少なくとも5)質量パーセントのNと、REOまたはY23の少なくとも1種類と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種類とを含み、ガラス−セラミックの総質量に基づいて、ガラス−セラミックの少なくとも80(ある実施形態においては、少なくとも85、90、95、97、98、99または100)質量パーセントが、合計してAl23、REOまたはY23の少なくとも1種類およびZrO2またはHfO2の少なくとも1種類で構成されるガラス−セラミックを提供する。ある実施形態においては、ガラス−セラミックは、ガラス−セラミックの総質量に基づいて、少なくとも35、40、45、50、55、65、70または少なくとも75質量パーセントのAl23を含む。ある実施形態においては、ガラス−セラミックは、Al23、REO、Y23、HfO2およびZrO2以外の少なくとも1種類の金属酸化物(例えば、BaO、CaO、MgO、SrO、TiO2およびこれらの組み合わせからなる群より選択される金属酸化物)をさらに含む。
【0021】
他の態様において、本発明は、本発明によるガラスを熱処理してガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換して、ガラス−セラミックを提供する(すなわち、ガラスの少なくとも一部が結晶化する)工程を含むガラス−セラミックを製造する方法を提供する。他の態様において、本発明は、本発明によるガラスを含むセラミックを熱処理してガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換する(すなわち、ガラスの少なくとも一部を変換してセラミックを結晶化させる)工程を含む本発明によるガラス−セラミックを製造する方法を提供する。
【0022】
他の態様において、本発明は、ガラス−セラミック物品を製造する方法を提供する。ある例示の方法において、方法は、Tgを有する本発明によるガラスを含むガラスビーズを提供する工程と、ガラスビーズが合体してある形状を形成するように、ガラスビーズをTgより高く加熱する工程と、ガラス物品を熱処理して、ガラスの少なくとも一部を変換してセラミックを結晶化し、ガラス−セラミック物品を提供する工程とを含む。任意で、合体したガラスは熱処理の前に少なくとも部分的に冷却する。
【0023】
ガラス−セラミック物品を製造する他の例示の方法において、方法は、Tgを有する本発明によるガラスを含むガラス粉末を提供する(すなわち、ガラス(例えば、ガラスビーズ)を砕いてガラス粉末を提供する)工程と、ガラス粉末が合体してある形状を形成するように、ガラス粉末をTgより高く加熱する工程と、ガラス物品を熱処理してガラスの少なくとも一部を変換してセラミックを結晶化し、ガラス−セラミック物品を提供する工程とを含む。任意で、合体したガラスは熱処理の前に少なくとも部分的に冷却する。
【0024】
本発明によるセラミックスのある実施形態は、セラミックの総体積に基づいて、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100体積パーセントの量でセラミックのガラス(すなわち、ガラス−セラミックのガラス)を含んでいてもよい。本発明によるセラミックスのある実施形態は、セラミックの総体積に基づいて、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの量でセラミックの結晶質セラミック(すなわち、ガラス−セラミックの結晶質セラミック)を含んでいてもよい。
【0025】
本発明によるセラミックスのある実施形態は、(例えば、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの量の結晶質セラミックを含んでいる。
【0026】
本明細書において、
「アモルファス材料」とは、X線回折により求められた長い範囲の結晶構造を欠く、かつ/または「示差熱分析」に記載した試験により求められたDTA(示差熱分析)により求められたアモルファス材料の結晶化に対応する発熱ピークを有する溶融物および/または蒸気相から誘導された材料のことである。
「セラミック」には、ガラス、結晶質セラミック、ガラス−セラミックおよびこれらの組み合わせが含まれる。
「錯体金属酸化物」とは、2種類以上の異なる金属元素と酸素とを含む金属錯体(例えば、CeAl1118、Dy3Al512、MgAl24およびY3Al512)のことである。
「錯体Al23金属酸化物」とは、理論酸化物基準で、Al23と、Al以外の1種類以上の金属元素とを含む錯体金属酸化物(例えば、CeAl1118、Dy3Al512、MgAl24およびY3Al512)のことである。
「錯体Al23・Y23」とは、理論酸化物基準で、Al23とY23とを含む錯体金属酸化物(例えば、Y3Al512)のことである。
「錯体Al23・REO」とは、理論酸化物基準で、Al23と希土類酸化物とを含む錯体金属酸化物(例えば、CeAl1118およびDy3Al512)のことである。
「ガラス」とは、ガラス転移温度を示すアモルファス材料のことである。
「ガラス−セラミック」とは、ガラスを熱処理することにより形成された結晶を含むセラミックのことである。
「Tg」とは、「示差熱分析」に記載した試験により求められるガラス転移温度のことである。
「Tx」とは、「示差熱分析」に記載した試験により求められる結晶化温度のことである。
「希土類酸化物」とは、酸化セリウム(すなわち、CeO2)、酸化ジスプロシウム(すなわち、Dy23)、酸化エルビウム(すなわち、Er23)、酸化ユーロピウム(すなわち、Eu23)、酸化ガドリニウム(すなわち、Gd23)、酸化ホルミウム(すなわち、Ho23)、酸化ランタン(すなわち、La23)、酸化ルテチウム(すなわち、Lu23)、酸化ネオジミウム(すなわち、Nd23)、酸化プラセオジム(すなわち、Pr611)、酸化サマリウム(すなわち、Sm23)、酸化テルビウム(すなわち、Tb23)、酸化トリウム(すなわち、Th47)、酸化ツリウム(すなわち、Tm23)、酸化イットリウム(すなわち、Yb23)およびこれらの組み合わせのことである。
「REO」とは希土類酸化物のことである。
【0027】
さらに、特に断りのない限り、金属酸化物(例えば、Al23、錯体Al23・金属酸化物等)は、例えば、ガラス−セラミックにおいては結晶であり、ガラス、結晶または部分ガラスおよび部分結晶であってもよいものと考えられる。例えば、ガラス−セラミックが、Al23とZrO2とを含み、Al23およびZrO2はそれぞれ、ガラス状状態、結晶状態または一部がガラス状状態および一部が結晶状態、または他の金属酸化物との反応生成物である場合には(特に断りのない限り、例えば、Al23は結晶Al23またはAl23の特定の結晶相(すなわち、アルファAl23)である場合には、結晶Al23 として、かつ/または1種類以上の結晶錯体Al23・金属酸化物の一部として存在させてもよい。
【0028】
本発明によるセラミックスのある実施形態は、ビーズ(例えば、少なくとも1マイクロメートル、5マイクロメートル、10マイクロメートル、25マイクロメートル、50マイクロメートル、100マイクロメートル、150マイクロメートル、250マイクロメートル、500マイクロメートル、750マイクロメートル、1mm、5mmまたは少なくとも10mm)、物品(例えば、プレート)、ファイバー、粒子およびコーティング(例えば、薄コーティング)を形成、これらとして形成、またはこれらに変換することができる。ビーズの実施形態は、例えば、再帰反射シート、英数字プレートおよび舗道マーキングのような反射装置に有用である。粒子およびファイバーの実施形態は、例えば、複合体(例えば、セラミック、金属またはポリマーマトリックス複合体)における断熱、フィラーまたは強化材料として有用である。薄コーティングの実施形態は、例えば、摩耗を含めた用途において、および熱管理のための保護コーティングとして有用である。本発明による物品としては、台所用品(例えば、皿)、歯科用ブラケット、強化材料(例えば、粒子およびファイバー)、切削工具インサート、研磨材料およびガスエンジンの構造化コンポーネント(例えば、バルブとベアリング)が例示される。他の物品の例示の実施形態としては、本体またはその他基材の外側表面にセラミックの保護コーティングを有するものが挙げられる。本発明による特定のセラミック粒子は、研磨粒子として特に有用である。研磨物品は、研磨物品に組み込んだり、粗形態で用いることができる。
【0029】
研磨粒子は、通常、使用前に、ある粒子サイズ分布まで等級分けされる。かかる分布は、粗い粒子から細かい粒子まで、ある範囲の粒子サイズを有するのが一般的である。研磨業界において、この範囲は「粗さ」「制御」および「細かい」フラクションと呼ばれることがある。研磨業界に受け入れられた等級分け規格に従って等級分けした研磨粒子は、数値限定内の各公称グレードについての粒子サイズ分布を指定する。かかる業界が認める等級分け規格(すなわち、規定の公称グレード)としては、アメリカ規格協会(ANSI)規格、研磨製品の欧州生産者連盟(FEPA)規格および日本工業規格(JIS)規格として知られているものが挙げられる。一態様において、本発明は、複数の研磨粒子の少なくとも一部が本発明による研磨粒子である規定の公称グレードを有する複数の研磨粒子を提供する。ある実施形態において、複数の研磨粒子の総質量に基づいて、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100質量パーセントの複数の研磨粒子が、本発明による研磨粒子である。
【0030】
他の態様において、本発明は、本発明によるガラス−セラミックを含む研磨粒子(ガラス−セラミック研磨粒子を含む)を提供する。本発明はまた、複数の研磨粒子の少なくとも一部が本発明による研磨粒子である規定の公称グレードを有する複数の研磨粒子も提供する。他の態様において、本発明は、研磨粒子の少なくとも一部が本発明による研磨粒子であるバインダーと複数の研磨粒子とを含む研磨粒子(すなわち、結合研磨物品、不織研磨物品または被覆研磨物品)を提供する。
【0031】
他の態様において、本発明は、研磨粒子を製造する方法を提供する。研磨粒子を製造する他の例示の方法において、方法は、本発明によるガラスを熱処理してガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換して、本発明によるガラス−セラミックおよび研磨粒子を提供する工程を含む。ある実施形態において、方法は、本発明による研磨粒子を等級分けして規定の公称グレードを有する複数の研磨粒子を提供する工程をさらに含む。ある実施形態において、熱処理されるガラス粒子は、規定の公称グレードを有する複数の研磨粒子として提供され、粒子の少なくとも一部が複数のガラス粒子である。
【0032】
研磨粒子を製造する他の例示の方法において、方法は、本発明によるガラスを含む粒子を熱処理してガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換して、本発明によるガラス−セラミックおよび研磨粒子を提供する工程を含む。ある実施形態において、方法は、本発明による研磨粒子を等級分けして規定の公称グレードを有する複数の研磨粒子を提供する工程をさらに含む。ある実施形態において、熱処理されるガラスを含む粒子は、規定の公称グレードを有する複数の研磨粒子として提供され、粒子の少なくとも一部がガラスを含む複数の粒子である。
【0033】
研磨粒子を製造する他の例示の方法において、方法は、本発明によるガラスを熱処理してガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換して、ガラス−セラミックを提供し、ガラス−セラミックを砕いて、本発明による研磨粒子を提供する工程を含む。ある実施形態において、方法は、本発明による研磨粒子を等級分けして規定の公称グレードを有する複数の研磨粒子を提供する工程をさらに含む。
【0034】
研磨粒子を製造する他の例示の方法において、方法は、本発明によるガラスを含むセラミックを熱処理してガラスの少なくとも一部を結晶質セラミックに変換して、ガラス−セラミックを提供し、ガラス−セラミックを砕いて、本発明による研磨粒子を提供する工程を含む。ある実施形態において、方法は、本発明による研磨粒子を等級分けして規定の公称グレードを有する複数の研磨粒子を提供する工程をさらに含む。
【0035】
本発明による研磨物品は、バインダーと複数の研磨粒子とを含み、研磨粒子の少なくとも一部が本発明による研磨粒子である。例示の研磨製品としては、被覆研磨物品、結合研磨物品(例えば、ホイール)、不織研磨物品および研磨ブラシが挙げられる。被覆研磨物品は、一般的に、第1および第2の対向する主面を有するバッキングを含み、バインダーと複数の研磨粒子は、第1の主面の少なくとも一部に研磨層を形成する。
【0036】
ある実施形態において、研磨物品中の研磨粒子の総質量に基づいて、研磨物品中少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100質量パーセントの研磨粒子が、本発明による研磨粒子である。
【0037】
本発明はまた、本発明による凝集粒子をワークピースの表面と接触させる工程と、本発明による研磨粒子または接触表面のうち少なくとも1つを動かして、表面の少なくとも一部を、本発明による研磨粒子の少なくとも1つで研磨する工程とを含む表面を研磨する方法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明は、窒素を含むガラスおよびガラス−セラミックスおよびその製造方法に関する。ガラスは、必要な原材料および処理技術を選択することにより作製する。
【0039】
(理論酸化物基準で)Al23の商業的供給源を含めた供給源としては、ボーキサイト(天然に産出するボーキサイトと合成されたボーキサイトの両方を含む)、か焼きボーキサイト、水和アルミナ(例えば、ベーマイトおよびギブサイト)、アルミニウム、バイヤー法アルミナ、アルミニウム鉱物、ガンマアルミナ、アルファアルミナ、アルミニウム塩、窒化アルミニウムおよびこれらの組み合わせが挙げられる。Al23供給源は、Al23を含有していても、Al23のみを提供するものであってもよい。Al23供給源は、Al23を含有していても、Al23のみおよびAl23以外の1種類以上の金属酸化物(錯体Al23・金属酸化物の材料またはこれを含むもの(例えば、Dy3Al512、Y3Al512、CeAl1118等))を提供するものであってもよい。
【0040】
金属窒化物(例えば、AIN)の商業的に入手可能な供給源としては、粉末、金属酸窒化物(例えば、酸窒化アルミニウム)(例えば、AlON)粉末、および、例えば、少なくとも1種類の金属(例えば、アルミニウム)窒化物および/または少なくとも1種類のAl以外の金属を含む鉱物が挙げられる。窒素を含有するその他の材料(例えば、窒素ガス(例えば、窒素ガスを溶融物に注入してもよい))を原材料として用いてもよい。
【0041】
希土類酸化物の商業的供給源を含めた供給源としては、希土類酸化物粉末、希土類金属、希土類含有鉱物(例えば、バストネス石およびモナズ石)、希土類塩、希土類窒化物および希土類炭酸塩が挙げられる。希土類酸化物供給源は、希土類酸化物を含有していても、希土類酸化物のみを提供するものであってもよい。希土類酸化物供給源は、希土類酸化物を含有していても、これのみおよび希土類酸化物以外の1種類以上の金属酸化物(錯体希土類酸化物・その他金属酸化物の材料またはこれを含むもの(例えば、Dy3Al512、CeAl1118等))を提供するものであってもよい。
【0042】
(理論酸化物基準で)Y23の商業的供給源を含めた供給源としては、酸化イットリウム粉末、イットリウム、イットリウム含有鉱物およびイットリウム塩(例えば、炭酸、硝酸、塩化、水酸化イットリウムおよびこれらの組み合わせ)が挙げられる。Y23供給源は、Y23を含有していても、Y23のみを提供するものであってもよい。Y23供給源は、Y23を含有していても、これのみおよびY23以外の1種類以上の金属酸化物(錯体Y23・金属酸化物の材料またはこれを含むもの(例えば、Y3Al512))を提供するものであってもよい。
【0043】
その他の有用な金属酸化物は、理論酸化物基準で、BaO、CaO、Cr23、CoO、CuO、Fe23、GeO2、HfO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na2O、Sc23、SrO、TiO2、ZnO、ZrO2およびこれらの組み合わせを含んでいてもよい。商業的供給源を含めた供給源としては、酸化物自身、金属粉末、錯体酸化物、鉱物、炭酸塩、酢酸塩、窒化物、塩化物、水酸化物等が挙げられる。これらの金属酸化物を添加して、得られるセラミックの物理特性を修正し、かつ/または処理を改善する。これらの金属酸化物は、一般的に、例えば、所望の特性に応じて、0〜50質量%、ある実施形態においては、0〜25質量%、さらに、0〜50質量%のセラミック材料に添加する。
【0044】
ZrO2およびHfO2を含む実施形態については、ZrO2:HfO2の質量比は1:ゼロ(すなわち、全てZrO2、HfO2なし)からゼロ:1、例えば、少なくとも約99、98、97、96、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10および5(質量)部のZrO2および対応量のHfO2(例えば、少なくとも約99(質量)部のZrO2および約1部以下のHfO2)および少なくとも約99、98、97、96、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10および5(質量)部のHfO2および対応量のZrO2の範囲であってよい。
【0045】
(理論酸化物基準で)ZrO2の商業的供給源を含めた供給源としては、酸化ジルコニウム粉末、ジルコン砂、ジルコニウム、ジルコニウム含有鉱物およびジルコニウム塩(例えば、炭酸、酢酸、硝酸、塩化、水酸化ジルコニウムおよびこれらの組み合わせ)が挙げられる。さらに、あるいは、この代わりに、ZrO2供給源は、ZrO2を含有、またはZrO2およびハフニアのような他の金属酸化物を含有していてもよい。(理論酸化物基準で)HfO2の商業的供給源を含めた供給源としては、酸化ハフニウム粉末、ハフニウム、ハフニウム含有鉱物およびハフニウム塩が挙げられる。さらに、あるいは、この代わりに、HfO2供給源は、HfO2を含有、またはHfO2およびZrO2のような他の金属酸化物を含有していてもよい。
【0046】
ある実施形態において、溶融物に対して酸化物形成またはその合金の負のエンタルピーを有する少なくとも1種類の金属(例えば、Al、Ca、Cu、Cr、Fe、Li、Mg、Ni、Ag、Ti、Zrおよびこれらの組み合わせ)、Mを含む微粒子金属材料を添加する、またはこれらをその他原材料とその他混合することにより、金属酸化物供給源の少なくとも一部(ある実施形態において、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100質量パーセント)を得るのが有利である。理論に拘束されることは望むところではないが、金属の酸化に関連する発熱反応から得られる熱は、均一な溶融物の形成および得られるガラスに有用であると考えられる。例えば、原材料内での酸化反応により生成されたさらなる熱は、不十分な熱伝達を排除、最小または少なくとも減少して、x、yおよびz寸法が50(100または150)マイクロメートルを超えるときは特に、溶融物の形成および均質性を促すものと考えられる。さらなる熱の利用可能性は、完了するまで様々な化学反応および物理的処理(例えば、緻密化および球状化)を行う補助となるものと考えられる。さらに、ある実施形態については、酸化反応により生成されたさらなる熱の存在によって、材料の高融点のために困難または実施できない溶融物の形成が実際に可能となるものと考えられる。さらに、酸化反応により生成されたさらなる熱によって、作製できなかった、または所望のサイズ範囲で作製できなかったガラスの形成が実際に可能になるものと考えられる。本発明の他の利点としては、ガラスの形成の際、溶融、緻密化および球状化のような多くの化学および物理処理を短時間で行って、非常に高い急冷レートが達成されることが挙げられる。さらなる詳細については、2002年8月2日出願の米国特許出願第10/211,639号明細書の同時継続出願を参照のこと。
【0047】
ある実施形態において、例えば、原材料を独立して供給して、溶融混合物を形成する。ある実施形態において、例えば、特定の原材料を混合し、他の原材料を独立して溶融混合物に添加する。ある実施形態において、例えば、原材料は、溶融前に混ぜ合わせる、または混合する。原材料は、例えば、任意の好適および公知のやり方で混ぜ合わせて、実質的に均一な混合物を形成してよい。これらの混ぜ合わせる技術としては、ボールミリング、混合、タンブリング等が挙げられる。ボールミルにおけるミリング媒体は、金属ボール、セラミックボール等であってよい。セラミックミリング媒体は、例えば、アルミナ、ジルコニア、シリカ、マグネシア等であってよい。ボールミリングは、乾式、水性環境、または溶剤系(例えば、イソプロピルアルコール)環境で行ってよい。原材料バッチが金属粉末を含有する場合には、ミリング中溶剤を用いるのが望ましい。この溶剤は、適切な引火点および原材料を分散できる能力を備えた任意の好適な材料であってよい。ミリング時間は、数分から数日、通常は数時間から24時間である。湿式または溶剤系ミリング系において、液体媒体は、一般的に乾燥により除去されて、得られる混合物は、一般的に均一で、実質的に水および/または溶剤を含まない。溶剤系ミリング系を用いる場合には、乾燥中、溶剤回収システムを用いて溶剤を再利用してもよい。乾燥後、得られる混合物は「乾燥ケーキ」の形態であってもよい。このケーキ状混合物を、溶融前に所望の粒子サイズまで壊す、または砕いてよい。あるいは、例えば、スプレー乾燥技術を用いてもよい。後者の場合は、所望の混合物の球状微粒子が得られる。前駆体材料はまた、沈殿およびゾル−ゲルをはじめとする湿式化学方法により調製してもよい。かかる方法は、特に高レベルの均一性が望まれる場合に有用である。
【0048】
微粒子原材料は、一般的に、均一な溶融物の形成が即時になされるような粒子サイズを有するように選択される。一般的に、比較的小さな平均粒子サイズおよび狭い分布の原材料をこのために用いる。ある方法(例えば、火炎形成およびプラズマスプレー)において、特に望ましい微粒子原材料は、平均粒子サイズが約5nm〜約50マイクロメートル(ある実施形態においては、約10nm〜約20マイクロメートル、さらに約15nm〜約1マイクロメートル)のようなもので、少なくとも90(ある実施形態においては95、または100)質量パーセントの微粒子が原材料であるようなものである。ただし、このサイズおよび範囲外のサイズでも有用である。サイズが約5nm未満の微粒子は、取扱い難い(例えば、供給粒子のフロー特性は、フロー特性が乏しい傾向にあるため、望ましくない傾向である)。一般的な火炎形成またはプラズマスプレー処理において約50マイクロメートルより大きな微粒子を用いると、均一な溶融物およびガラスおよび/または所望の組成物を得るのが難しくなる傾向がある。
【0049】
さらに、場合によっては、例えば、溶融物を形成するために、微粒子材料を火炎または熱またはプラズマスプレー装置に供給するときは、微粒子原材料をある範囲の粒子サイズで提供するのが望ましい。理論に拘束されることは望むところではないが、これによって、供給粒子の充填密度および強度が促進されるものと考えられる。通常、最も粗い原材料粒子は、所望の溶融物またはガラス粒子サイズより小さくなければならない。さらに、粗すぎる原材料粒子は、例えば、火炎形成またはプラズマスプレー工程中、供給粒子における熱および機械応力が不十分な傾向にある。かかる場合の最終的な結果としては、通常、供給粒子が小さなフラグメントへの破断、成分均一性の喪失、所望のガラス粒子サイズにおける収率の喪失、フラグメントが熱源から様々な方向に軌道を変えるため不完全な溶融を招く。
【0050】
ガラスおよびガラスを含むセラミックスは、例えば、適切な金属酸化物供給源およびN供給源(例えば、金属窒化物(例えば、AlN)、金属酸窒化物(例えば、酸窒化アルミニウム)等(例えば、窒化物と酸窒化物の様々な組み合わせを窒素の供給源として利用することができる)、さらに金属酸窒化物をNおよびOの両方の供給源として用いることができる)を加熱し(火炎またはプラズマ中をはじめとして)、(および/または溶融物中にNを提供する(例えば、窒素ガスを溶融物に注入)して溶融物、望ましくは均一な溶融物を形成してから、溶融物を急冷してガラスを提供することにより作製することができる。ガラスのある実施形態は、例えば、好適な炉(例えば、誘導または抵抗加熱炉、ガス燃焼炉またはアーク炉)において金属酸化物供給物を溶融することにより作製することができる。
【0051】
ガラスは、一般的に、溶融材料(すなわち、溶融物)を比較的急冷することにより得られる。ガラスを得るための急冷レート(すなわち、冷却時間)は、溶融物の化学組成、成分のガラス形成能力、溶融物および得られるガラスの熱特性、処理技術、得られるガラスの寸法および質量および冷却技術をはじめとする多くの因子に応じて異なる。特に、SiO2、Bi23、B23、P25、GeO2、TeO2、As23およびV25のような公知のガラス形成材なしで、大量のAl23(すなわち、75質量パーセントを超えるAl23)を含むガラスを形成するには、通常、比較的早い急冷レートが必要とされる。同様に、熱を十分に早く除去するのが難しいため、寸法の大きなガラスへと溶融物を冷却するのは難しい。
【0052】
本発明のある実施形態において、原材料を特定の形態の溶融状態へと加熱した後、ガラス粒子へと冷却する。一般的に、これらの粒子の粒子サイズは25マイクロメートルを超える(ある実施形態においては、50、100、150または200マイクロメートルを超える)。
【0053】
本発明の方法によるガラスを作製するのに得られる急冷レートは、102、103、104、105または106℃/秒を超えるものと考えられる(すなわち、溶融状態からの1000℃の温度降下は、それぞれ10秒未満、1秒未満、10分の1秒未満、100分の1秒未満または1000分の1秒未満)。溶融物を冷却する技術としては、溶融物を冷却媒体(例えば、高速エアジェット、液体(例えば、冷水)、金属板(冷却金属板を含む)、金属ロール(冷却金属ロールを含む)、金属ボール(冷却金属ボールを含む)等)へ放出することが挙げられる。業界に公知のその他の冷却技術としては、ロール冷却が挙げられる。ロール冷却は、例えば、一般的に、融点より高い20〜200℃の温度で金属酸化物供給源を溶融し、高圧下で高圧回転ロールにスプレーすることにより(空気、アルゴン、窒素等のガスを用いて)溶融物を冷却/急冷することにより実施することができる。一般的に、ロールは金属製であり、水冷される。溶融物を冷却/急冷するのに金属ブック鋳型も有用である。
【0054】
冷却レートは、急冷ガラスの特性に影響するものと考えられる。例えば、ガラスのガラス転移温度、密度およびその他特性が、冷却レートを変化させる。
【0055】
急冷はまた、冷却中、所望の酸化状態を維持し、かつ/または影響を与える還元、中和または酸化環境のような制御された雰囲気下で実施してもよい。雰囲気はまた、過冷却液体から結晶運動に影響させることにより、ガラス形成に影響し得る。例えば、結晶化のない大きな過冷却Al23溶融物が、空気中に比べてアルゴン雰囲気中で報告されている。例えば、本出願と同日出願の米国特許出願第10/901,638号明細書の同時継続出願も参照のこと。
【0056】
ある方法において、本発明によるガラスおよびガラスを含むセラミックスは、例えば、米国特許第6,254,981号明細書(キャッスル(Castle))に記載された火炎溶融を利用して作製することができる。この方法において、金属酸化物供給源およびN供給源(例えば、粒子の形態にある、「供給粒子」と呼ぶことがある)をバーナー(例えば、メタン−エアバーナー、アセチレン−酸素バーナー、水素−酸素バーナー等)に直接供給してから、例えば、水、冷却油、空気等で急冷する。供給粒子は、例えば、金属酸化物供給源および/またはN供給源を研削、凝集(例えば、スプレー乾燥)、溶融または焼結することにより形成することができる。火炎に供給された供給粒子のサイズが、ガラスを含む得られる粒子のサイズを決める。
【0057】
ガラスのある実施形態はまた、自由落下冷却によるレーザー紡糸溶融、テイラー(Taylor)ワイヤ技術、プラズマトロン技術、金づちと金床技術、遠心急冷、エアガンスプラット冷却、シングルローラおよびツインローラ急冷、ローラ−プレート急冷および縣滴溶融抽出(例えば、セラミックスの急冷凝固(Rapid Solidification of Ceramics)、ブルックウェイら(Brockway et al.)、金属およびセラミックス情報センター(Metals And Ceramics Information Center)、防護情報分析センター局(A Department of Defense Information Analysis Center)、オハイオ州コロンビア(Columbus,OH)、1984年1月を参照)のようなその他の技術によっても得ることができる。ガラスのある実施形態は、好適な前駆体の熱(火炎またはレーザーまたはプラズマ補助)分解、金属前駆体の物理蒸気合成(PVS)および機械化学処理のような他の技術によっても得られる。溶融物を形成、溶融物を冷却/急冷および/またはその他ガラスを形成する他の技術としては、蒸気相急冷、プラズマスプレー、溶融抽出およびガスまたは遠心噴霧が挙げられる。蒸気相急冷は、例えば、金属合金または金属酸化物供給源がスパッタリングターゲットへと形成されるスパッタリングにより実施することができる。ターゲットは、スパッタリング装置の所定の位置に固定し、被覆する基材をターゲットの反対の位置に配置する。10-3トルの標準的な圧力の酸素およびArガス、ターゲットと基材との間に放電を生成させ、Arまたは酸素イオンがターゲットに衝突して反応スパッタリングを生じさせて、組成物のフィルムを基材に蒸着させる。プラズマスプレーに関するさらなる詳細については、2003年8月2日出願の米国特許出願第10/211,640号明細書の同時継続出願を参照のこと。
【0058】
ガス噴霧は、供給粒子を加熱してそれらを溶融物に変換するものである。かかる溶融物の薄ストリームを、破裂エアジェット(すなわち、ストリームを微細な液滴と分割する)と接触させて噴霧される。得られる実質的に不連続な略楕円形のガラス粒子(すなわち、ビーズ)を回収する。ビーズサイズとしては、約5マイクロメートル〜約3mmの範囲の直径を有するようなものが例示される。溶融抽出は、例えば、米国特許第5,605,870号明細書(ストローム−オルセンら(Strom−Olsen et al.))に記録されている通りに実施することができる。例えば、米国特許第6,482,758号明細書(ウェーバー(Weber))に記載されている通り、レーザービーム加熱を利用した容器を使わないガラス形成技術も、本発明によるガラスを作製するのに有用である。
【0059】
例示の粉末フィーダー装置を図1〜6に示す。粉末フィーダーアセンブリ1000は、粉末1110を保持し、火炎溶融装置1500に分配する。火炎溶融装置1500は、粉末1110を溶融し、本明細書に開示されたような他の材料へと変形するために受容する粉末受容セクション1510を含む。粉末1110は、粉末フィーダーアセンブリ1000の放出開口部1130から粉末受容セクション1510へ分配される。接続管1900を、放出開口部1130と粉末受容セクション1510との間に配置する。また、漏斗1300を放出開口部1130を離れた後、粉末1100流れを受容し、方向付ける放出開口部1130に近接配置する。
【0060】
粉末フィーダーアセンブリ1000は、粉末1110を保持するホッパー1100を含む。一般的に、ホッパー1100は、円柱壁により画定される本体1120を含む。ただし、他の本体形状も可能である。また、ホッパー1100は、単体ピースまたは多数ピースから作製することができる。例示の実施形態におけるホッパー1100はまた、カバーセクション1200も含む。カバーセクション1200は、粉末1110をホッパー1100に供給する開口部1710を含む。スクリューフィーダ、振動フィーダーまたはブラシフィーダーのような商業的に入手可能な任意の分配手段を、ホッパー1100に粉末1110を充填するのに用いることができる。カバーセクション1200はまた、シャフト受容開口部1422を有するセクションも含むことができる(図6に図示する通り)。
【0061】
ブラシアセンブリ1400は、ホッパー1100本体1120内に配置する。ブラシアセンブリ1400は、モータ1800のようなブラシアセンブリ1400を回転する手段に接続されている。モータ1800はまた、モータ速度コントローラ1850のような、モータ1800の速度を調整する手段に接続することもできる。用いるブラシアセンブリは、イリノイ州シカゴのマックマスターカー(McMaster−Carr,Chicago,Illinois)より入手可能な、ナイロンストリップブラシ(1インチ(2.5cm)の全体の高さ、5/16インチ(0.8cm)の剛毛長さおよび0.02インチ(5ミリメートル)の直径)部品番号74715T61であった。ブラシアセンブリをシャフトに結合し、これを、イリノイ州シカゴのボダインエレクトリックカンパニー(Bodine Electric Company,Chicago,IL)より入手可能なDC歯車モータ(Gear Motor)(130ボルト、比率60:1、トルク22Lb−in)に結合しこれにより駆動した。同じくボダイン(Bodine)より入手可能なタイプーFPMアジャスタブルスピードPMモータコントロール(Type−FPM Adjustable Speed PM Motor Control)、型番818を用いてモータの速度を制御した。
【0062】
ブラシアセンブリ1400は、遠端1411と近接端1412とを有する剛毛要素1410を含む。粉末1110を、火炎溶融装置1500に分配するためにホッパー1100に配置したら、ブラシアセンブリ1400をホッパー1100内で回転させる。ブラシアセンブリ1400を回転すると、剛毛要素1410が、スクリーニング部材1600を通して粉末1110をホッパー1100に促す。ブラシアセンブリ1400の回転速度を調整することにより、スクリーニング部材1600を通る粉末1100の供給レートを制御することができる。
【0063】
ブラシアセンブリ1400は、スクリーニング部材1600と協働して、放出開口部1130から火炎溶融装置1500の粉末受容セクション1510まで、所望の特性を有する粉末1110を分配する。剛毛1410の遠端1411は、スクリーニング部材1600に近接配置されている。剛毛1410の遠端1411とスクリーニング部材1600との間に小さな間隙を用いることができ、粉末の粒子サイズと同じ大きさに間隙を保持するのが一般的である。しかしながら、当業者であれば、扱う粉末の特定の特性に応じて間隙をこれより大きくすることができることが分かるであろう。剛毛1410の遠端1411はまた、スクリーニング部材1600と面一に配置したり、スクリーニング部材1600のメッシュ開口部1610へ突出させ、メッシュ開口部1610を通して延在するように配置することもできる。開口部1610を通って突出する剛毛1410については、剛毛1410の少なくともいくつかがメッシュサイズより小さな直径を有する必要がある。剛毛要素1410は、異なる直径および長さの剛毛の組み合わせを含むことができ、特定の組み合わせは、所望の操作条件に応じて異なる。
【0064】
剛毛1400端部1411の開口部1610への、かつ開口部1610を通る延在によって、剛毛1410は、開口部1610を横切るブリッジを形成する粒子を分解する。剛毛1410はまた、粉末供給に生じる他の種類の障害物を分解する傾向がある。剛毛要素1410は、単体ピースとしたり、複数の剛毛セグメントから形成することもできる。また、剛毛要素がメッシュ開口部へ、かつ/またはメッシュ開口部を通して延在するのが望ましい場合には、剛毛1410は、最小のメッシュ開口部1610より小さいサイズを選択する必要がある。
【0065】
図示した例示の実施形態において、図3を参照すると、ホッパー1100は円柱体1120を画定する壁を含むことができる。この形状は、放出開口部1130からの粉末のより制御されたフローレートを可能とする対称性を簡単に与える。また、円柱形は、回転ブラシアセンブリ1400に用いるのに好適である。剛毛要素1410は壁に延在していて、粉末を堆積する領域をスクリーニング部材にほとんど、または全く残さないためである。しかしながら、特定の使用条件に求められる通り、他の幾何形状も可能である。
【0066】
ホッパー1100はまたカバーセクション1200も含む。カバーセクション1200は、粉末1110をホッパーフィーダアセンブリ1700から受容する開口部1710を有する。カバーセクション1200は、本体1120と協働して、粉末チャンバ1160を形成する。カバー1200の開口部1710はまた、省略したり、シール可能として、窒素、アルゴンまたはヘリウムのようなガスを、雰囲気中で中和したり粉末または粒子を火炎溶融装置に分配するのを補助するために、ホッパー1100のガス入力ライン1150へ入れることができる。また、粉末または粒子を囲む雰囲気を制御するためにシステムでガスを用いることができる。また、ガス入力ライン1910は、例えば、接続管1900の放出開口部1130の後に配置することができる。
【0067】
全体の粉末フィーダーアセンブリ1000を振動させると、粉末の移動をさらに補助する。任意で、スクリーニング部材を振動させて、粉末フィーダーアセンブリ1000を通る粉末の移動を補助することができる。当業者であれば、他の可能な振動手段を用いることができ、特定の使用条件に応じて利用可能な豊富にある市販の振動システムおよび装置があることが分かるであろう。
【0068】
図6を参照すると、ホッパー1100がカバー1200および本体1120を含むときは、除去可能なカバー1200によって、スクリーニング部材1600をクリーニングまたは交換するのに粉末チャンバ1160に容易にアクセスすることが可能となる。また、ブラシアセンブリ1400を、剛毛要素1410とスクリーニング部材1600との間の所望の係合を形成するために配置することができる。ブラシアセンブリ1400を回転シャフト1420に取り付けると、シャフト1420が例えば、モータ1800により駆動されるカバー1200の開口部1422外に突出する。ブラシアセンブリ1400の速度は、速度コントローラ1850のような手段により制御することができる。この例示の粉末供給装置に関する更なる詳細は、2003年12月18日出願の同時係属米国特許出願第10/739,233号明細書にある。
【0069】
一般的に、本発明によるガラスおよびガラス−セラミックスは、互いに垂直で、それぞれが少なくとも10マイクロメートルであるx、yおよびz寸法を有している。ある実施形態において、x、yおよびz寸法は、少なくとも30マイクロメートル、35マイクロメートル、40マイクロメートル、45マイクロメートル、50マイクロメートル、75マイクロメートル、100マイクロメートル、150マイクロメートル、200マイクロメートル、250マイクロメートル、500マイクロメートル、1000マイクロメートル、2000マイクロメートル、2500マイクロメートル、5mmまたは合体すると少なくとも10mmである。材料のx、yおよびz寸法は、寸法の規模に応じて、目視か、顕微鏡のいずれかにより求められる。記録されたz寸法は、例えば、球の直径、コーティングの厚さまたはプリズム形状の最小寸法である。
【0070】
ある金属酸化物を添加すると、本発明によるセラミックスの特性および/または結晶構造または微細構造、ならびに、セラミックを製造する原材料および中間体の処理が変わる。例えば、MgO、CaO、Li2OおよびNa2Oのような酸化物を添加すると、ガラスのTgとTx(Txは結晶化温度)の両方が変化するのが観察された。理論に拘束されるのは望むところではないが、かかる添加がガラスの形成に影響するものと考えられる。さらに、例えば、かかる酸化物の添加によって、全体の系の融点が減少し(すなわち、系を低融点共晶へと促し)、ガラスの形成が容易になる。多成分系(四元等)の錯体共晶に基づく組成物は、良好なガラス形成能を有する。その動作範囲の液体溶融物の粘度およびガラスの粘度もまた、特別に必要とされる酸化物以外の金属酸化物の添加に影響される。
【0071】
ガラス−セラミックスを形成するためのガラスおよびガラスを含むセラミックスの結晶化はまた、材料の添加に影響される。例えば、ある金属、金属酸化物(例えば、チタン酸塩およびジルコン酸塩)およびフッ化物は、核形成剤として作用して、結晶の不均一核形成となり有用である。また、ある酸化物を添加すると、再加熱の際にガラスから失透する準安定相の性質が変化する。他の態様において、結晶ZrO2を含む本発明によるセラミックスについては、ZrO2の正方晶/立方体を安定化させることが知られている金属酸化物(例えば、Y23、TiO2、CeO2、CaOおよびMgO)を添加するのが望ましい。
【0072】
本発明によるセラミックスを製造するための金属酸化物供給源およびその他添加剤の特定の選択は、例えば、所望の組成、微細構造、結晶度、物理的特性(例えば、硬さまたは靭性)、望ましくない不純物の存在、およびセラミックスを作製するのに用いる特定のプロセスの所望または必要な特徴(装置および溶融および/または固化前および/または最中の原材料の精製をはじめとする)を考慮に入れるのが一般的である。
【0073】
場合によっては、B23、Bi23、Na2O、P25、SiO2、TeO2、V25およびこれらの組み合わせからなる群より選択される限られた量の金属酸化物を組み込むのが好ましい。商業的供給源を含めた供給源としては、酸化物自身、錯体酸化物、元素(例えば、Si)粉末、鉱物、炭酸塩、酢酸塩、窒化物、塩化物、水酸化物等が挙げられる。これらの金属酸化物を添加して、例えば、得られるガラス−セラミックの物理特性を修正し、かつ/または処理を改善する。これらの金属酸化物は、用いるときは、一般的に、例えば、所望の特性に応じて、合計でガラス−セラミック材料の0超〜20質量%(ある実施形態においては、合計で0超〜5質量%、さらに合計で0超〜2質量%)で添加する。
【0074】
有用な処方としては、共晶組成物(例えば、三元共晶組成物)、またはそれに近いものが挙げられる。本明細書に開示された組成物に加えて、四元以上の共晶組成物といったその他のかかる組成物は、本開示内容を見れば当業者には明白である。
【0075】
材料の微細構造または相組成物(ガラス状/結晶)は数多くのやり方で求めることができる。例えば、光学顕微鏡、電子顕微鏡、示差熱分析(DTA)およびx線回折(XRD)を用いて様々な情報が得られる。
【0076】
光学顕微鏡を用いると、アモルファス材料は、結晶境界のような光散乱中心がないため一般的に、大部分が透明であり、一方、結晶材料は結晶構造を示し、光散乱効果のために不透明である。
【0077】
パーセントアモルファス(またはガラス)収率は、粒子(例えば、ビーズ)等について、−100+120メッシュサイズフラクション(すなわち、150−マイクロメートル開口部サイズと125−マイクロメートル開口部サイズスクリーンの間で集められたフラクション)を用いて計算することができる。測定は次のようなやり方で行う。粒子、ビーズ等の単層をガラススライドに広げる。粒子、ビーズ等を、光学顕微鏡を用いて観察する。光学顕微鏡の接眼レンズの十字をガイドとして用いて、直線に沿って並んだ粒子、ビーズ等をその光学明瞭度に応じてアモルファスか結晶かで(透明である場合はアモルファス)数える。合計で500個の粒子、ビーズ等を数える。ただし、これより少ない粒子、ビーズ等を用いてもよく、数えられた合計の粒子、ビーズ等により除算したアモルファス粒子、ビーズ等の量によりパーセントアモルファス収率を求める。本発明の方法の実施形態でのパーセントアモルファス(またはガラス)収率は少なくとも50、60、70、75、80、85、90、95または100パーセントである。
【0078】
全ての粒子がアモルファス(またはガラス)で、得られる収率が100%未満であるのが望ましい場合には、アモルファス(またはガラス)粒子を非アモルファス(または非ガラス)粒子から分離してもよい。かかる分離は、例えば、密度および光学明瞭度に基づいて分離することをはじめとする従来の技術により行ってよい。
【0079】
DTAを用いて、材料の対応のDTAトレースが発熱結晶イベント(Tx)を含む場合には、材料をアモルファスと分類する。Txより低い温度で同じトレースが吸熱イベント(Tg)を含む場合には、ガラス相からなると考えられる。材料のDTAトレースがかかるイベントを含んでいない場合には、結晶相を含有すると考えられる。
【0080】
示差熱分析(DTA)は、以下の方法を用いて実施することができる。DTAは、−140+170メッシュサイズフラクション(すなわち、105−マイクロメートル開口部サイズおよび90−マイクロメートル開口部サイズスクリーン間で集めたフラクション)を用いて実行する(ドイツ、ゼルブのネッチインスツルメンツ(Netzsch Instruments,Selb,Germany)より「ネッチ(NETZSCH)STA409DTA/TGA」という商品名で入手されるような計器を用いて)ことができる。各スクリーニングされた試料の量(一般的に、約400ミリグラム(mg))を100−マイクロリットルのAl23試料ホルダに入れる。各試料を静的エアで10℃/分のレートで室温(約25℃)から1100℃まで加熱する。
【0081】
粉末x−線回折XRDを用いて(ニュージャージー州、モーウォーのフィリップス(Phillips,Mahwah,NJ)より「フィリップス(PHILLIPS)XRG3100」という商品名で入手できるようなx線回折装置を用いて、銅Kα1放射線が1.54050オングストロームで)、結晶材料のXRDトレースに存在するピークを、回折データの国際センター(International Center for Diffraction Data)が公表しているJCPDS(粉末回折標準委員会(Joint Committee on Powder Diffraction Standards))データベース提供の結晶相のXRDパターンと比べることにより、材料に存在する相を求めることができる。さらに、XRDを定性的に用いると、相の種類を求めることができる。広い拡散強度ピークの存在は、材料のアモルファス性を示すものである。広いピークと明確なピークの両方の存在は、ガラスマトリックス中に結晶物質が存在することを示すものである。
【0082】
初期に形成されたガラスまたはセラミック(結晶化前のガラスを含む)は、所望のものよりサイズが大きい。ガラスが所望の幾何形状および/またはサイズにある場合には、サイズ減少は通常必要ない。ロールクラッシュ、ジョークラッシュ、ハンマーミル、ボールミル、ジェットミル、インパクトクラッシュ等をはじめとする業界に知られた粉砕および/または破砕技術を用いて、ガラスまたはセラミックを小さな片へと変換することができる。場合によっては、2回または複数の粉砕工程が望ましい。例えば、セラミックが形成された(固化した)後、所望より大きな形態にあってもよい。第1の粉砕工程には、これらの比較的大きな塊または「チャンク」を粉砕して小さな片を形成することが含まれる。これらのチャンクのこの粉砕は、ハンマーミル、インパクトクラッシャーまたはジョークラッシャーで行ってもよい。これらの小さな片を続いて粉砕して、所望の粒子サイズ分布を生成してもよい。所望の粒子サイズ分布(グリットサイズまたは等級と呼ばれることがある)を生成するためには、多数の粉砕工程を実施する必要がある。通常、粉砕条件を最適化して、所望の粒子形状および粒子サイズ分布を得る。所望のサイズでない得られた粒子は、大きすぎる場合には、再粉砕したり、小さすぎる場合には再溶融のための原材料として「再利用」および使用してもよい。
【0083】
粒子の形状は、例えば、セラミックの組成および/または微細構造、冷却された幾何形状、およびセラミックが粉砕されるやり方(すなわち、用いる粉砕技術)に応じて異なる。通常、「塊状の」形状が好ましい場合には、この形状を得るために、用いるエネルギーを多くする。逆に、「鋭い」形状が好ましい場合には、この形状を得るために、用いるエネルギーを少なくする。粉砕技術をまた変更して、異なる所望の形状を得てもよい。ある粒子については、1:1〜5:1の平均アスペクト比が一般的に望ましく、他の実施形態においては、1.25:1〜3:1、さらに1.5:1〜2.5:1である。
【0084】
物品を直接所望の形状に形成することもまた本発明の範囲に含まれる。例えば、溶融物を鋳型に注ぐ、または成形することにより、所望の物品を形成(成形を含め)してもよい。例えば、2003年2月5日出願の米国特許出願第10/358,772号明細書の同時継続出願に記載された形成技術も参照のこと。
【0085】
本発明によるセラミックの実施形態は、寸法に制限なく得ることができる。ガラス転移温度より高い温度で実施された合体工程によりこれが可能であることが分かった。この合体工程は、基本的に、2つ以上の小さな粒子から大きなサイズの本体を形成する。例えば、本発明によるガラスは、吸熱(Tx)より低い温度での発熱(Tg)の存在により明らかな通り、大幅な結晶化が生じる(Tx)前にガラス転移(Tg)する。例えば、セラミック(結晶化前のガラスを含む)はまた、例えば、ガラスおよび/またはファイバー等を含む粒子をTgより高く加熱して、粒子等を合体させて形状を形成することによっても提供することができる。合体に用いる温度および圧力は、例えば、ガラスの組成および得られる材料の所望の密度に応じて異なる。温度は、ガラス転移温度より高くなければならない。ある実施形態において、加熱は、約850℃〜約1100℃の範囲(ある実施形態においては900℃〜1000℃)の少なくとも1つの温度で行う。一般的に、ガラスの合体を補助するために合体中は、ガラスに圧力(例えば、ゼロ〜1GPa以上)をかける。一実施形態において、粒子等は、ダイに充填して、ガラスの粘性流れが比較的大きな部分の合体を導くガラス転移を超える温度でホットプレスを行う。代表的な合体技術としては、ホットプレス、ホット静水圧プレス、加熱押出し、熱間鍛造等(例えば、焼結、プラズマ補助焼結)が例示される。例えば、ガラスを含む粒子(例えば、粉砕により得られたもの)(ビーズおよび微小球を含む)、ファイバー等を大きな粒子サイズへ形成してもよい。合体によりまた、所望の形状(すなわち、幾何形状)へ成形された本体が得られる。ある実施形態において、成形された本体は、1:1を超える、さらに2:1を超えるアスペクト比を有するロッドである。ある実施形態において、さらに熱処理する前に、得られる合体した本体を冷却するのが望ましい。所望であれば、熱処理後、合体した本体を小さな粒子サイズまたは所望の粒子サイズ分布まで粉砕してもよい。
【0086】
ガラスおよび/またはガラス−セラミック(すなわち、粒子)の合体はまた、無圧または加圧焼結、鍛造、加熱押出し等をはじめとする様々な方法により行ってもよい。
【0087】
ある実施形態において、ガラスの合体は、後の加熱中の圧力が1.0atmの圧力の雰囲気で導かれ、1.1atmを超える(ある実施形態においては、1.25atm、1.5atm、2atm、5atmまたは10atmを超える)圧力で、気体雰囲気が、固化するガラスの少なくとも一部の外側表面の少なくとも一部と直接接触する以外は、同じやり方で加熱された同じガラスに比べてガラスの緻密化のレートを増大するのに十分な1.1atmを超える圧力(ある実施形態においては、1.25atm、1.5atm、2atm、5atm、さらに10atmを超える圧力)で気体雰囲気(例えば、窒素)にて実施することができる(例えば、本出願と同日出願された米国特許出願第10/901,638号明細書の同時継続出願を参照のこと)。ある実施形態において、窒素含有気体雰囲気は、ガラスに対して窒素の供給源として作用する(すなわち、窒素をガラスに導入する)。
【0088】
通常、熱処理は、ガラスを熱処理してガラス−セラミックスを与えるのに業界で知られた様々なやり方で実施することができる。例えば、熱処理は、抵抗、誘導またはガス加熱炉を用いて、バッチで行うことができる。あるいは、例えば、熱処理(またはその一部)は、ロータリキルン、流動床炉またはペンデュラムキルンを用いて連続的に実施することができる。ロータリキルンまたはペンジュラムキルンの場合に、材料は、一般的に、高温で操作されるキルンに直接供給する。流動床炉の場合には、熱処理するガラスは一般的にガス(例えば、空気、不活性または還元ガス)中に懸濁する。高温の時間は、数秒(ある実施形態においては、5秒未満)から数分から数時間にわたる。温度は、ガラスのTx〜1600℃、より一般的には900℃〜1600℃、ある実施形態においては、1200℃〜1500℃である。多数の工程において複数の熱処理(例えば、1回は核形成、1回は結晶成長に、緻密化も一般的に結晶成長工程中に生じる)を実施することも本発明の範囲に含まれる。複数の工程の熱処理を実施するときは、一般的に、核形成および結晶成長レートのいずれか、または両方を制御するのが望ましい。通常、たいていのセラミック処理操作中、大幅な結晶成長なしで最大の緻密化を得るのが望ましい。理論に拘束されることは望むところではないが、通常は、セラミック業界においては、大きな結晶サイズだと、機械的特性の減少につながり、細かい平均結晶サイズだと、機械的特性の改善(例えば、高強度および高硬さ)につながる。特に、少なくとも90、95、97、98、99さらに少なくとも100パーセントの理論密度の密度を有するセラミックスを形成するのが極めて望ましい。平均結晶サイズは0.15マイクロメートル未満、0.1マイクロメートル未満である。
【0089】
本発明のある実施形態において、ガラスまたはガラスを含むセラミックスを熱処理する前にアニールしてもよい。かかる場合、アニールは、一般的に、数秒から数時間または数日にわたってガラスのTxより低い温度で行われる。一般的に、アニールは3時間未満、更には1時間未満の期間実施する。任意で、アニールはまた空気以外の雰囲気で実施してもよい。さらに、熱処理の異なる段階(すなわち、核形成工程および結晶成長工程)を異なる雰囲気下で実施してもよい。本発明によるガラスのTgおよびTx、Tx−Tgは、熱処理中に用いる雰囲気に応じてシフトしてもよいものと考えられる。
【0090】
当業者であれば、業界に公知の技術を用いてガラスの時間−温度−変形(TTT)調査から適切な条件を決めることができる。本発明の開示内容を読めば、当業者であれば、本発明によるガラス−セラミックを作製するのに用いるガラスのTTT曲線を与え、本発明によるガラス−セラミックスを提供するための適切な核形成および/または結晶成長条件を決めることができる。
【0091】
熱処理は、例えば、材料を高温で炉に直接供給することにより行ってもよい。あるいは、例えば、材料は、低温(例えば、室温)で炉に供給してから、所定の加熱レートで所望の温度まで加熱してもよい。空気以外の雰囲気中で熱処理を実施することもまた本発明の範囲に含まれる。場合によっては、還元雰囲気中で熱処理するのが望ましい。また、例えば、熱静水圧プレス、またはガス圧力炉のようなガス圧力下で熱処理するのが望ましい。理論に拘束されることは望むところではないが、雰囲気はガラスおよびガラス−セラミックスの成分のいくつかの酸化状態に影響するものと考えられる。酸化状態のかかる変化は、ガラスおよびガラス−セラミックスの色の変化を引き起こす。さらに、核形成および結晶化工程は、雰囲気により影響される(すなわち、雰囲気はガラスのいくつかの種の原子移動度に影響する)。
【0092】
材料の所望の特性をさらに改善するためにさらに熱処理を実施することも本発明の範囲に含まれる。例えば、熱水圧プレスを行って(約900℃〜約1400℃の温度で)、残渣空隙率を除去し、材料の密度を増大してもよい。
【0093】
得られる物品または熱処理物品を変換(例えば、粉砕)して、粒子(例えば、本発明による研磨粒子)を与えることも本発明の範囲内である。
【0094】
一般的に、ガラス−セラミックスは、形成されるガラスより強い。従って、材料の強度を、例えば、ガラスが結晶質セラミック相に変換される程度まで調整してもよい。あるいは、またはこれに加えて、材料の強度は、例えば、作製される核形成部位の数に影響され、これを用いると結晶相の結晶の数およびサイズに影響する。ガラス−セラミックの形成に関するさらなる詳細については、例えば、ガラス−セラミックス、P.W.マクミラン(McMillan)、アカデミックプレス社(Academic Press,Inc.)、第2版、1979年を参照のこと。
【0095】
多くのその他の種類のセラミック処理(すなわち、焼結材料から緻密な焼結セラミック材料への焼結)に比べると、ガラス−セラミックを形成するためのガラスの結晶化中の収縮は比較的少ない(一般的に30体積パーセント未満、ある実施形態においては20体積パーセント未満、10体積パーセント未満、5体積パーセント未満、さらに3体積パーセント未満)。収縮の実際の量は、例えば、ガラスの組成、熱処理時間、熱処理温度、熱処理圧力、結晶化するガラスの密度、形成される結晶相の相対量および結晶度に応じて異なる。収縮の量は、膨張計、アルキメデス法または熱処理前後の材料の寸法測定をはじめとする業界に知られた従来の技術により測定することができる。場合によっては、熱処理中揮発性種が発生することがある。
【0096】
ある実施形態において、比較的低い収縮特徴は特に有利である。例えば、物品は所望の形状および寸法(すなわち、略最終形状)までガラス中に形成された後に、熱処理して、ガラスを少なくとも部分的に結晶化する。その結果、結晶化材料の製造および機械加工に関る大幅なコスト削減が実現される。
【0097】
ある実施形態において、ガラスは、それぞれ少なくとも1cm(ある実施形態においては、少なくとも5cm、さらに少なくとも10cm)のx、y、z方向を有し、ガラスは体積を有し、得られるガラス−セラミックは、それぞれ少なくとも1cm(ある実施形態においては、少なくとも5cm、さらに少なくとも10cm)のx、y、z方向を有し、ガラス−セラミックはガラス体積の少なくとも70(ある実施形態においては、少なくとも75、80、85、90、95、96または少なくとも97)パーセントの体積を有する。
【0098】
例えば、本発明によるガラス−セラミックスを作製するための例示のガラスの熱処理中、La2Zr27および/または立方/正方晶ZrO2、場合によっては、単斜晶ZrO2のような相の形成が約900℃を超える温度で生じる。理論に拘束されることは望むところではないが、ジルコニア関連相が第1の相でガラスから核形成をするものと考えられる。Al23、ReAlO3(式中、Reは少なくとも1つの希土類カチオンである)、ReAl1118、Re3Al512、Y3Al512等の相の形成は、約925℃を超える温度で生じると考えられる。一般的に、この核形成工程中の結晶子サイズはおよそ数ナノメートルである。例えば、10〜15ナノメートルと小さい結晶が観察されている。少なくともある実施形態については、約1300℃で約1時間の熱処理により完全な結晶化がなされる。通常、核形成および結晶成長工程のそれぞれの熱処理時間は、数秒(ある実施形態においては5秒未満)から数分から1時間以上に及ぶ。
【0099】
平均結晶サイズは、ASTM規格E 112−96「平均粒径を求めるための標準試験方法(Standard Test Methods for Determining Average Grain Size)」に従ったラインインターセプト法により求めることができる。試料を、一般的に、直径約2.5cm、長さ約1.9cmの樹脂のシリンダの装着樹脂(イリノイ州、レークブルフのビューラー(Buehler,Lake Bluff,IL)より「トランスオプティックパウダー(TRANSOPTIC POWDER)」という商品名で入手されるようなもの)に装着する。ポリッシャ(イリノイ州、レークブルフのビューラー(Buehler,Lake Bluff,IL))より「EPOMET3」という商品名で入手されるようなもの)を用いる従来のポリッシング技術を用いて装着セクションを作製する。試料を約3分間ダイヤモンド砥石で磨き、それぞれ45、30、15、9、3および1マイクロメートルのスラリーで5分間磨く。装着および磨いた試料を、金−パラジウムの薄層によりスパッタリングし、走査電子顕微鏡(マサチューセッツ州、ピーボディ(Peabody,MA))のJOEL製型番JSM840A等)を用いて検査する。試料にある微細構造の代表的な背面散乱電子(BSE)顕微鏡写真を用いて、次のようにして平均結晶サイズを求める。顕微鏡写真に引かれた不規則な直線の単位長さ(NL)当たりの交差する結晶子の数を数える。平均結晶子サイズをこの数から次の等式から求める。平均結晶サイズ=1.5/(NLM)、式中、NLは単位長さ当たりの交差する結晶子の数であり、Mは顕微鏡写真の倍率である。
【0100】
他の実施形態において、本発明によるセラミックス(ガラス−セラミックス)は、少なくとも1、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、97、98、99または100体積パーセントの結晶子を含み、結晶子の平均サイズは、1マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、0.3マイクロメートル未満または0.15マイクロメートル未満である。
【0101】
本発明によるセラミックス中に存在する結晶相としては、アルミナ(例えば、アルファおよび遷移アルミナ)、REO、Y23、HfO2、ZrO2(例えば、立方ZrO2および正方晶ZrO2)、BaO、CaO、Cr23、CoO、CuO、Fe23、GeO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na2O、P25、Sc23、SiO2、Bi23、SrO、TeO2、TiO2、V25、ZnOのような1種類以上の他の金属酸化物、ならびに「錯体金属酸化物」(錯体Al23・金属酸化物(例えば、錯体Al23・REO(例えば、ReAlO3(例えば、GdAlO3、LaAlO3)、ReAl1118(例えば、LaAl1118)およびRe3Al512(例えば、Dy3Al512))、錯体Al23・Y23(例えば、Y3Al512)および錯体ZrO2・REO(例えば、La2Zr27))およびこれらの組み合わせが例示される。一般的に、本発明によるセラミックスには、共晶微細構造特徴がない。
【0102】
ある実施形態において、本発明によるセラミックスは、セラミックの総質量に基づいて、ZrO2および/またはHfO230質量パーセントまで(ある実施形態において、15〜30質量パーセントのZrO2および/またはHfO2をさらに含む。
【0103】
錯体Al23・金属酸化物(例えば、錯体Al23・REOおよび/または錯体Al23・Y23(例えば、ガーネット結晶構造を示すアルミン酸イットリウム))中のアルミニウムカチオンの一部を置換することも本発明の範囲に含まれる。例えば、錯体Al23・Y23のAlカチオンの一部を、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、Si、Coおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素の少なくとも1つのカチオンと置換してもよい。例えば、錯体Al23・Y23のYカチオンの一部を、Ce、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr、Sm、Th、Tm、Yb、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Srおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素の少なくとも1つのカチオンと置換してもよい。さらに、例えば、錯体Al23・REOの希土類カチオンの一部を、Y、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Srおよびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素の少なくとも1つのカチオンと置換してもよい。上述したカチオンの置換は、セラミックの特性(例えば、硬さ、靭性、強度、熱伝導率等)に影響する。
【0104】
セラミックス(ガラスおよびガラス−セラミックスを含む)およびその製造方法に関するさらなる詳細(組成、製造、使用および特性)は、米国特許出願第09/922,526号明細書、同第09/922,527号明細書、同第09/922,528号明細書および同第09/922,530号明細書(それぞれ2001年8月2日に出願され現在は放棄されている)、同第10/211,597号明細書、同第10/211,638号明細書、同第10/211,629号明細書、同第10/211,598号明細書、同第10/211,630号明細書、同第10/211,639号明細書、同第10/211,034号明細書、同第10/211,044号明細書、同第10/211,628号明細書、同第10/211,491号明細書、同第10/211,640号明細書および同第10/211,684号明細書(それぞれ2002年8月2日に出願)、同第10/358,772号明細書、同第10/358,765号明細書、同第10/358,910号明細書、同第10/358,855号明細書および同第10/358,708号明細書(それぞれ2003年2月5日に出願)ならびに同第10/740,262号明細書、同第10/794,420号明細書、同第10/739,440号明細書、同第10/740,096号明細書、同第10/739,441号明細書、同第10/739,624号明細書、同第10/739,439号明細書(2003年12月18日出願)にある。
【0105】
本発明によるガラス−セラミックの実施形態を提供するためのアモルファス材料の熱処理により形成された結晶は、例えば、針状等軸、円柱または平坦な平板状特徴であってもよい。
【0106】
本発明によるガラスおよびガラス−セラミックスのある実施形態およびかかるガラス−セラミックスを作製するあるガラスは、少なくとも75(ある実施形態においては、少なくとも80、85または少なくとも90、ある実施形態においては75〜90)質量パーセントのAl23、少なくとも0.1(ある実施形態においては、少なくとも1、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20または23.9、ある実施形態においては、10〜23.9または15〜23.9)質量パーセントのLa23、少なくとも1(ある実施形態においては、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20または24.8、ある実施形態においては10〜24.8、15〜24.8)質量パーセントのY23および少なくとも0.1(ある実施形態においては、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7または8、ある実施形態においては、0.1〜8または0.1〜5または0.1〜2)質量パーセントのMgOをガラスまたはガラス−セラミックの総質量に基づいてそれぞれ含む。
【0107】
本発明によるガラスおよびガラス−セラミックスのある実施形態およびかかるガラス−セラミックスを製造するのに用いるあるガラスは、少なくとも75(ある実施形態においては、少なくとも80、85または少なくとも90、ある実施形態においては75〜90)質量パーセントのAl23、および少なくとも1(ある実施形態においては、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20または25、ある実施形態においては、10〜25、15〜25)質量パーセントのY23をガラス−セラミックまたはガラスの総質量に基づいてそれぞれ含む。
【0108】
本発明によるガラスおよびガラス−セラミックスのある実施形態およびかかるガラス−セラミックスを製造するのに用いるあるガラスは、少なくとも75(ある実施形態においては、少なくとも80、85または少なくとも90)質量パーセントのAl23、および少なくとも10(ある実施形態においては、少なくとも15、20または少なくとも25)質量パーセントのY23をガラス−セラミックまたはガラスの総質量に基づいてそれぞれ含む。
【0109】
本発明によるガラスおよびガラス−セラミックスのある実施形態およびかかるガラス−セラミックスを製造するのに用いるあるガラスは、ZrO2および/またはHfO2を含み、ZrO2および/またはHfO2の量は、ガラス−セラミックまたはガラスの総質量に基づいて少なくとも5、10、15または少なくとも20質量パーセントでそれぞれ存在する。
【0110】
本発明によるガラスまたはガラス−セラミック等はバルク材料の形態であってもよいが、本発明によるガラス、ガラス−セラミック等を含む複合体を提供することも本発明の範囲に含まれる。かかる複合体は、例えば、本発明によるガラス、ガラス−セラミック等または層状複合体構造(すなわち、ガラス−セラミックスの異なる組成のガラス−セラミックおよび/または層を作製するのに用いるガラスに対してガラス−セラミックの勾配)に分散された相またはファイバー(連続または不連続)または粒子(ウィスカを含む)(例えば、金属酸化物粒子、ホウ化物粒子、炭化物粒子、窒化物粒子、ダイヤモンド粒子、金属粒子、ガラス粒子およびこれらの組み合わせ)を含んでいてもよい。
【0111】
本発明によるあるガラスは、例えば、約750℃〜約950℃の範囲のTgを有していてもよい。
【0112】
本発明による材料の平均硬さは次のようにして求めることができる。材料のセクションを、直径約2.5cm、長さ約1.9cmの樹脂のシリンダの装着樹脂(イリノイ州、レークブルフのビューラー(Buehler,Lake Bluff,IL)より「トランスオプティックパウダー(TRANSOPTIC POWDER)」という商品名で入手)に装着する。ポリッシャ(イリノイ州、レークブルフのビューラー(Buehler,Lake Bluff,IL))より「EPOMET3」という商品名で入手されるようなもの)を用いる従来のポリッシング技術を用いて装着セクションを作製する。試料を約3分間125−マイクロメートルのダイヤモンドを含有するダイヤモンド砥石で磨き、それぞれ45、30、15、9、3および1マイクロメートルのスラリーで5分間磨く。100−グラムのインデント荷重を用いてヴィッカース圧子を備えた従来の微小硬さテスター(日本、東京のミツトヨ社(Mitutoyo Corporation,Tokyo,Japan)より「ミツトヨ(MITUTOYO)MVK−VL」という商品名で入手されるようなもの)を用いて微小硬さ測定を行う。微小硬さ測定は、ASTM試験方法E384、材料の微小硬さの試験方法(1991年)に記載された指針に従って行う。平均硬さは10回の測定の平均である。
【0113】
本発明によるあるガラスの平均硬さは、少なくとも5GPa(ある実施形態においては、少なくとも6GPa、7GPa、8GPaまたは9GPa、一般的に約5GPa〜約10GPa)、本発明による結晶質セラミックスは少なくとも5GPa(ある実施形態においては、少なくとも6GPa、7GPa、8GPa、9GPa、10GPa、11GPa、12GPa、13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPaまたは18GPa、一般的に約5GPa〜18GPa)、および本発明によるガラスおよび結晶質セラミックを含むガラス−セラミックスまたは本発明によるセラミックスは少なくとも5GPa(ある実施形態において、少なくとも6GPa、7GPa、8GPa、9GPa、10GPa、11GPa、12GPa、13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPaまたは18GPa(以上)、一般的に約5GPa〜約18GPa)である。ある実施形態において、本発明による研磨粒子の平均硬さは少なくとも15GPa、ある実施形態においては、少なくとも16GPa、少なくとも17GPaさらに少なくとも18GPaである。
【0114】
本発明による特定のガラスの熱膨張係数は、例えば、少なくとも25℃〜約900℃の温度範囲にわたって、約5×10-6/K〜約11×10-6/Kの範囲である。
【0115】
一般的かつ望ましくは、本発明によるセラミックの比重と呼ばれることもある(真の)密度は、一般的に、理論密度の少なくとも70%である。より望ましくは、本発明によるセラミックの(真の)密度は、理論密度の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%である。本発明による研磨粒子の密度は、理論密度の少なくとも85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または100%である。
【0116】
物品は、例えば、フィラー、強化材料および/またはマトリックス材料として、本発明によるセラミックを用いて作製することができる。例えば、本発明によるセラミックは、複合体(例えば、セラミック、金属またはポリマー(熱硬化または熱可塑))に強化材料として用いるのに好適な粒子および/またはファイバーの形態とすることができる。粒子および/またはファイバーは、例えば、マトリックス材料のモジュラス、熱抵抗性、耐摩耗性および/または強度を増大してもよい。複合体を作製するのに用いる粒子および/またはファイバーのサイズ、形状および量は、例えば、特定のマトリックス材料および複合体の使用に応じて異なるものの、強化粒子のサイズは、一般的に、約0.1〜1500マイクロメートル、より一般的には1〜500マイクロメートル、望ましくは2〜100マイクロメートルである。ポリマー用途についての粒子の量は、一般的に、約0.5〜約75質量パーセント、より一般的には約1〜約50質量パーセントである。熱硬化性ポリマーとしては、フェノール、メラミン、ウレア、ホルムアルデヒド、アクリレート、エポキシ、ウレタンポリマー等が例示される。熱硬化性ポリマーとしては、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド等が例示される。
【0117】
強化ポリマー材料(すなわち、ポリマーに分散された本発明による強化粒子)の用途としては、例えば、コンクリート、家具、床、道路、木材、木材状材料、セラミックス等の保護コーティング、滑り防止コーティングおよび射出成形プラスチック部品およびコンポーネントが例示される。
【0118】
さらに、例えば、本発明によるセラミックは、マトリックス材料として用いることができる。例えば、本発明によるセラミックスは、ダイヤモンド、立方−BN、Al23、ZrO2、Si34およびSiCのようなセラミック材料等のバインダーとして用いることができる。かかる材料を含む有用な物品としては、複合体基材コーティング、切削工具インサート研磨凝集体およびビトリファイド砥石のような結合研磨物品が例示される。本発明によるセラミックスは、例えば、複合体物品のモジュラス、熱抵抗性、耐摩耗性および/または強度を増大するために、バインダーとして用いることができる。
【0119】
本発明による研磨粒子は、通常、結晶質セラミック(例えば、少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5または100体積パーセントの量の結晶質セラミック)を含む。他の態様において、本発明は、細かいから粗いまで、粒子サイズ分布を有する複数の粒子を提供し、複数の粒子の少なくとも一部が本発明による研磨粒子である。他の態様において、本発明による研磨粒子の実施形態は、通常、本発明によるガラス−セラミックを含む(例えば、少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5または100体積パーセント)。
【0120】
本発明による研磨粒子は、周知の技術およびANSI(アメリカ規格協会)規格、FEPA(欧州研磨製品製造連盟)またはJIS(日本工業規格)等級のような業界に認められた等級分け規格をはじめとする業界に周知の技術を用いてスクリーニングおよび等級分けされる。本発明による研磨粒子は、一般的に、約0.1〜約5000マイクロメートル、約1〜約2000マイクロメートル、約5〜約1500マイクロメートル、さらに、ある実施形態においては、約100〜約1500マイクロメートルの広い範囲の粒子サイズで用いられる。
【0121】
ある粒子サイズ分布において、粗い粒子から細かい粒子まで、ある範囲の粒子サイズである。研磨業界において、この範囲は「粗さ」「制御」および「細かい」フラクションと呼ばれることがある。研磨業界に受け入れられた等級分け規格に従って等級分けした研磨粒子は、数値限定内の各公称グレードについての粒子サイズ分布を指定する。かかる業界が認める等級分け規格としては、アメリカ規格協会(ANSI)規格、研磨製品の欧州生産者連盟(FEPA)規格および日本工業規格(JIS)規格として知られているものが挙げられる。ANSI等級名称(すなわち、規定の公称グレード)としては、ANSI4、ANSI6、ANSI8、ANSI16、ANSI24、ANSI36、ANSI40、ANSI50、ANSI60、ANSI80、ANSI100、ANSI120、ANSI150、ANSI180、ANSI220、ANSI240、ANSI280、ANSI320、ANSI360、ANSI400およびANSI600が挙げられる。FEPA等級名称としては、P8、P12、P16、P24、P36、P40、P50、P60、P80、P100、P120、P150、P180、P220、P320、P400、P500、P600、P800、P1000およびP1200が挙げられる。JIS等級名称としては、JIS8、JIS12、JIS16、JIS24、JIS36、JIS46、JIS54、JIS60、JIS80、JIS100、JIS150、JIS180、JIS220、JIS240、JIS280、JIS320、JIS360、JIS400、JIS600、JIS800、JIS1000、JIS1500、JIS2500、JIS4000、JIS6000、JIS8000およびJIS10,000が挙げられる。
【0122】
粉砕およびスクリーニング後には、様々な異なる研磨粒子サイズ分布または等級がある。これらの様々な等級は、特定の時にはメーカーまたは供給業者のニーズに合わないことがある。棚卸を最小にするために、ガラスを形成するために需要外等級を溶融物に戻して再利用することができる。この再利用は、粉砕工程後に行われ、粒子は、特定の分布までスクリーニングされなかった大きなチャンクまたは小さな片(「ファイン」と呼ばれることがある)である。
【0123】
他の態様において、本発明は、本発明によるガラス粒子またはガラスを含む粒子を熱処理して、本発明によるガラス−セラミックを含む研磨粒子を提供する工程を含む研磨粒子を製造する方法を提供する。あるいは、例えば、本発明は、本発明によるガラスを熱処理する工程と、前記得られる熱処理された材料を粉砕して、本発明によるガラス−セラミックを含む研磨粒子を提供する工程とを含む研磨粒子を製造する方法を提供する。粉砕時、ガラスは、大幅に結晶化されたガラス−セラミックスまたは結晶材料を粉砕するよりも鋭い粒子を与える傾向がある。
【0124】
他の態様において、本発明は、バインダーにより結合された本発明による複数の研磨粒子をそれぞれ含む凝集砥粒を提供する。他の態様において、本発明は、研磨粒子の少なくとも一部が本発明による研磨粒子(研磨粒子が凝集しているものを含む)であるバインダーと複数の研磨粒子を含む研磨物品(例えば、被覆研磨物品、結合研磨物品(ビトリファイド、レジノイドおよび金属結合砥石車、切断ホイル、軸付け砥石およびホーニング砥石)、不織研磨物品および研磨ブラシ)を提供する。かかる研磨物品の製造方法および研磨製品の使用は当業者に周知である。さらに、本発明による研磨粒子は、研磨化合物(例えば、ポリッシング化合物)、ミリング媒体、ショットブラスト媒体、振動ミル媒体等のスラリー等、研磨粒子を利用する研磨用途に用いることができる。
【0125】
被覆研磨物品は、通常、バッキングと、研磨粒子と、研磨粒子をバッキングに保持するための少なくとも1種類のバインダーとを含む。バッキングは、布、ポリマーフィルム、ファイバー、不織ウェブ、紙、これらの組み合わせおよびこれらを処理したものをはじめとするいずれかの好適な材料とすることができる。好適なバインダーとしては、無機または有機バインダー(熱硬化性樹脂および放射線硬化性樹脂)が挙げられる。研磨粒子は、被覆研磨物品の1層または2層中に存在させることができる。
【0126】
被覆研磨製品の一例を図7に示す。図7によれば、被覆研磨物品1はバッキング(基材)2と研磨層3とを有している。研磨層3は、メイクコート5およびサイズコート6によりバッキング2の主面に固定された本発明による研磨粒子4を含んでいる。場合によっては、スーパーサイズコート(図示せず)を用いる。
【0127】
結合研磨物品は、一般的に、有機、金属またはビトリファイドバインダーにより保持された研磨粒子の成形された塊を含む。かかる成形された塊は、例えば、砥石車または切断ホイールのような車輪の形態とすることができる。砥石車の直径は、一般的に、約1cm〜1メートルを超え、切断ホイールの直径は約1cm〜80cmを超える(より一般的には3cm〜約50cm)。切断ホイールの厚さは、一般的に、約0.5mm〜約5cm、より一般的には約0.5mm〜約2cmである。成形された塊は、また、例えば、ホーニング石、セグメント、軸付け砥石、ディスク(例えば、両頭平面研削盤)またはその他従来の結合研磨形状の形態とすることもできる。結合研磨物品は、一般的に、結合研磨物品の総体積に基づいて、約3〜50体積%の結合材料、約30〜90体積%の研磨粒子(または研磨粒子ブレンド)、50体積%までの添加剤(研削助剤)および70体積%までのポアを含む。
【0128】
例示の砥石車を図8に示す。図8に、車輪に成形されハブ12に装着された、本発明による研磨粒子11を含む砥石車10を示す。
【0129】
不織研磨物品は、一般的に、構造全体に分配され、有機バインダーにより接着接合された本発明による研磨粒子を有する開放気泡のかさ高いポリマーフィラメントを含む。フィラメントとしては、ポリエステルファイバー、ポリアミドファイバーおよびポリアラミドファイバーが例示される。例示の不織物品を図9に示す。図9に、代表的な研磨物品の約100倍拡大した概略図を示す。これは、基材として繊維状マット50を含み、この上に本発明による研磨粒子52がバインダー54により接合している。
【0130】
有用な研磨ブラシとしては、バッキングと一体化された複数の剛毛を有するようなものが挙げられる(例えば、米国特許第5,429,595号明細書(ピールら(Pihl et al.))、同第5,443,906号明細書(ピールら(Pihl et al.))、同第5,679,067号明細書(ジョンソンら(Johnson et al.))および同第5,903,951号明細書(イオンタら(Ionta et al.))を参照のこと)。望ましくは、かかるブラシは、ポリマーと研磨粒子の混合物を射出成形することにより作製される。
【0131】
研磨物品を製造するのに好適な有機バインダーとしては、熱硬化性有機ポリマーが挙げられる。好適な熱硬化性有機ポリマーとしては、フェノール樹脂、ウレア−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂、アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、懸垂α、β−不飽和カルボニル基を有するアミノプラスト樹脂、エポキシ樹脂、アクリル化ウレタン、アクリル化エポキシおよびこれらの組み合わせが例示される。バインダーおよび/または研磨物品はまた、ファイバー、潤滑剤、湿潤剤、チキソトロピー材料、界面活性剤、顔料、染料、帯電防止剤(例えば、カーボンブラック、酸化バナジウム、グラファイト等)、カップリング剤(例えば、シラン、チタネート、ジルコアルミネート等)、可塑剤、沈殿防止剤等といった添加剤も含むことができる。これらの任意の添加剤の量は、所望の特性を与えるように選択する。カップリング剤は、研磨粒子および/またはフィラーへの接着を改善することができる。バインダーの化学的性質では、熱硬化、放射線硬化またはこれらの組み合わせを行うことができる。バインダーの化学的性質の更なる詳細は、米国特許第4,588,419号明細書(カウルら(Caul et al.))、同第4,751,138号明細書(ツーメイら(Tumey et al.))および同第5,436,063号明細書(フォレットら(Follett et al.))にある。
【0132】
ビトリファイド結合研磨材に関して、より具体的には、アモルファス構造を示し、一般的には硬質のガラス質の結合材料が業界では周知である。場合によっては、ガラス質結合材料は結晶相を含む。本発明による結合されたビトリファイド研磨物品は、ホイール(切断ホイールを含む)、ホーニング砥石、軸付け砥石またはその他従来の結合研磨材形状の形状であってもよい。ある実施形態において、本発明によるビトリファイド結合研磨物品は、砥石車の形態にある。
【0133】
ガラス質結合材料を形成するのに用いる金属酸化物としては、シリカ、シリケート、アルミナ、ソーダ、カルシア、ポタッシア、チタニア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化リチウム、マグネシア、ボリア、ケイ酸アルミニウム、ホウケイ酸塩ガラス、リチウムケイ酸アルミニウム、これらの組み合わせ等が例示される。一般的に、ガラス状結合材料は、10〜100%のガラスフリットを含む組成物から形成することができる。ただし、より一般的には、組成物は20%〜80%のガラスフリット、または30%〜70%のガラスフリットを含む。ガラス質結合材料の残りの部分は、非フリット材料とすることができる。あるいは、ガラス質結合は、非フリット含有組成物から誘導してもよい。ガラス質結合材料は、一般的に、約700℃〜約1500℃の範囲、通常は約800℃〜1300℃の範囲、場合によっては約900℃〜約1200℃の範囲、または約950℃〜約1100℃の範囲の温度で養生させる。結合が養生される実際の温度は、例えば、特定の結合の化学に応じて異なる。
【0134】
ある実施形態において、ビトリファイド結合材料としては、シリカ、アルミナ(望ましくは、少なくとも10質量パーセントのアルミナ)およびボリア(望ましくは、少なくとも10質量パーセントのボリア)を含むようなものが挙げられる。たいていの場合、ビトリファイド結合材料は、さらに、アルカリ金属酸化物(例えば、Na2OおよびK2O)(場合によっては、少なくとも10質量パーセントのアルカリ金属酸化物)を含む。
【0135】
バインダー材料はまた、一般的に微粒子材料の形態のフィラー材料または研削補助を含有していてもよい。一般的に、微粒子材料は無機材料である。本発明に好適なフィラーとしては、金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム(例えば、白亜、方解石、泥炭、トラバーチン、大理石および石灰石)、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸マグネシウム)、シリカ(例えば、水晶、ガラスビーズ、ガラス泡およびガラスファイバー)、シリケート(例えば、タルク、クレイ(モンモリロン石)、長石、マイカ、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム)、金属硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウム)、石膏、蛭石、木粉、三水和アルミニウム、カーボンブラック、金属酸化物(例えば、酸化カルシウム(石灰)、酸化アルミニウム、二酸化チタン)および金属亜硫酸塩(例えば、亜硫酸カルシウム)が例示される。
【0136】
通常、研削助剤を添加すると、研磨物品の耐用年数が増加する。研削助剤は、研磨の化学および物理プロセスに重大な影響を与える材料であり、その結果性能が改善される。理論に拘束されることは望むところではないが、研削助剤は、(a)研磨粒子と研磨されているワークピースとの間の摩擦を減じ、(b)研磨粒子を「キャッピング」から保護する(すなわち、研磨粒子の上部に金属粒子が溶接されるのを防ぐ)または研磨粒子がキャップされる傾向を少なくとも減じる、(c)研磨粒子とワークピースとの間の界面温度を下げる、または(d)研削力を減じるものと考えられている。
【0137】
研磨助剤には、様々な異なる材料が含まれ、無機または有機系とすることができる。研磨助剤の化学群としては、ろう、有機ハロゲン化物化合物、ハロゲン化物塩、金属およびそれらの合金が例示される。有機ハロゲン化物化合物は、一般的に、研磨中に分解されて、ハロゲン酸またはガス状ハロゲン化化合物を放出する。かかる材料としては、塩素化ろう、例えば、テトラクロロナフタレン、ペンタクロロナフタレンおよびポリ塩化ビニルが例示される。ハロゲン化物塩としては、塩化ナトリウム、氷晶石カリウム、氷晶石ナトリウム、氷晶石アンモニウム、四フッ化ホウ酸カリウム、四フッ化ホウ酸ナトリウム、フッ化ケイ素、塩化カリウムおよび塩化マグネシウムが例示される。金属としては、スズ、鉛、ビスマス、コバルト、アンチモン、カドミウム、鉄、チタンが例示される。その他の様々な研削助剤としては、硫黄、有機硫黄化合物、グラファイトおよび金属硫化物が挙げられる。異なる研削助剤の組み合わせを用いることも本発明の範囲内であり、場合によっては相乗効果を奏す。
【0138】
研削助剤は、被覆研磨材および結合研磨物品に特に有用である。被覆研磨物品において、研削助剤は、一般的に、研磨粒子の表面に適用されるスーパーサイズコートに用いられる。しかしながら、研削助剤はサイズコートに添加されることがある。一般的に、被覆研磨物品に組み込まれる研削助剤は、約50〜300g/m2(望ましくは、約80〜160g/m2)である。ビトリファイド結合研磨物品において、研削助剤は、一般的に物品のポアに含浸される。
【0139】
研磨物品は、本発明による研磨粒子を100%含有したり、かかる研磨粒子と他の研磨粒子および/または希釈粒子とのブレンドを含有することができる。しかしながら、研磨物品中の研磨粒子の少なくとも約2質量%、望ましくは少なくとも約5質量%、より望ましくは約30〜100質量%を、本発明による研磨粒子とすべきである。場合によっては、本発明による研磨粒子は、他の研磨粒子および/または希釈粒子と、5〜75質量%、約25〜75質量%、約40〜60質量%、または約50〜50質量%(すなわち、質量基準で等量で)の比率でブレンドしてもよい。好適な従来の研磨粒子としては、溶融酸化アルミニウム(白色溶融酸化アルミナ、熱処理済み酸化アルミニウムおよび褐色酸化アルミニウム)、窒化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、ダイヤモンド、立方窒化ホウ素、ガーネット、溶融アルミナジルコニアおよびゾル−ゲル誘導研磨粒子等が例示される。ゾル−ゲル誘導研磨粒子はシードまたは非シードであってもよい。同様に、ゾル−ゲル誘導研磨粒子は、不規則形状であっても、ロッドや三角のようなそれに関連した形状であってもよい。ゾルゲル研磨粒子としては、米国特許第4,314,827号明細書(ライサイザーら(Leitheiser et al.))、同第4,518,397号明細書(ライサイザーら(Leitheiser et al.))、同第4,623,364号明細書(コットリンガーら(Cottringer et al.))、同第4,744,802号明細書(シュワーベル(Schwabel))、同第4,770,671号明細書(モンローら(Monroe et al.))、同第4,881,951号明細書(ウッドら(Wood et al.))、同第5,011,508号明細書(ワルドら(Wald et al.))、同第5,090,968号明細書(ピロー(Pellow))、同第5,139,978号明細書(ウッド(Wood))、同第5,201,916号明細書(ベルグら(Berg et al.))、同第5,227,104号明細書(バウワー(Bauer))、同第5,366,523号明細書(ローヴェンホルストら(Rowenhorst et al.))、同第5,429,647号明細書(ラミー(Larmie))、同第5,498,269号明細書(ラミー(Larmie))および同第5,551,963号明細書(ラミー(Larmie))に記載されたものが例示される。原材料源としてアルミナ粉末を用いて作製された焼結アルミナ研磨粒子に関する更なる詳細については、例えば、米国特許第5,259,147号明細書(ファルツ(Falz))、同第5,593,467号明細書(モンロー(Monroe))および同第5,665,127号明細書(モルトゲン(Moltgen))にもある。溶融研磨粒子に関するさらなる詳細は、例えば、米国特許第1,161,620号明細書(コールター(Coulter))、同第1,192,709号明細書(トーン(Tone))、同第1,247,337号明細書(サンダースら(Saunders et al.))、同第1,268,533号明細書(アレン(Allen))および同第2,424,645号明細書(バウマンら(Baumann et al.))、同第3,891,408号明細書(ラウズら(Rowse et al.))、同第3,781,172号明細書(ペットら(Pett et al.))、同第3,893,826号明細書(キナンら(Quinan et al.))、同第4,126,429号明細書(ワトソン(Watson))、同第4,457,767号明細書(プーンら(Poon et al.))、同第5,023,212号明細書(ダボーら(Dubots et al.))、同第5,143,522号明細書(ギブソンら(Gibson et al.))および同第5,336,280号明細書(ダボーら(Dubots et al.))および米国特許出願第09/495,978号明細書、同第09/496,422号明細書、同第09/496,638号明細書および同第09/496,713号明細書(それぞれ、2000年2月2日出願)、同第09/618,876号明細書、同第09/618,879号明細書、同第09/619,106号明細書、同第09/619,191号明細書、同第09/619,192号明細書、同第09/619,215号明細書、同第09/619,289号明細書、同第09/619,563号明細書、同第09/619,729号明細書、同第09/619,744号明細書および同第09/620,262号明細書(それぞれ、2000年7月19日出願)、同第09/704,843号明細書(2000年11月2日出願)および同第09/772,730号明細書(2001年1月30日出願)にある。セラミック研磨粒子に関するさらなる詳細は、米国特許出願第09/922,526号明細書、同第09/922,527号明細書、同第09/922,528号明細書および第09/922,530号明細書(それぞれ2001年8月2日に出願され現在は放棄されている)、同第10/211,597号明細書、同第10/211,638号明細書、同第10/211,629号明細書、同第10/211,598号明細書、同第10/211,630号明細書、同第10/211,639号明細書、同第10/211,034号明細書、同第10/211,044号明細書、同第10/211,628号明細書、同第10/211,491号明細書、同第10/211,640号明細書および同第10/211,684号明細書(それぞれ2002年8月2日に出願)、同第10/358,772号明細書、同第10/358,765号明細書、同第10/358,910号明細書、同第10/358,855号明細書および同第10/358,708号明細書(それぞれ2003年2月5日に出願)にある。
【0140】
場合によっては、研磨粒子のブレンドにより、いずれかの種類の研磨粒子を100%含む研磨物品に比べて改善された研削性能を示す研磨物品が得られる。
【0141】
研磨粒子のブレンドがある場合、ブレンドを形成する研磨粒子の種類は同じサイズであってもよい。あるいは、研磨粒子の種類は異なる粒子サイズであってもよい。例えば、大きなサイズの研磨粒子は、本発明による研磨粒子で、小さなサイズの粒子は他の研磨粒子の種類であってもよい。逆に、例えば、小さなサイズの研磨粒子が本発明による研磨粒子で、大きなサイズの粒子が他の研磨粒子の種類であってもよい。
【0142】
好適な希釈剤粒子としては、大理石、石膏、フリント、シリカ、酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、ガラス(ガラス泡およびガラスビーズを含む)、アルミナ泡、アルミナビーズおよび希釈凝集体が例示される。
【0143】
本発明による研磨粒子はまた、研磨凝集体中に、またはこれらと共に混合することもできる。研磨凝集体粒子一般的に、複数の研磨粒子、バインダーおよび任意の添加剤を含む。バインダーは有機および/または無機であってよい。研磨凝集体は、不規則形状、またはそれに関連した所定の形状を有していてもよい。形状はブロック、円筒、角錐、コイン、正方形等であってもよい。研磨凝集体粒子は、約100〜約5000マイクロメートル、一般的に約250〜約2500マイクロメートルの粒子サイズを有している。研磨凝集体粒子に関する更なる詳細については、例えば、米国特許第4,311,489号明細書(クレスナー(Kressner))、同第4,652,275号明細書(ブレッシャーら(Bloecher et al.))、同第4,799,939号明細書(ブレッシャーら(Bloecher et al.))、同第5,549,962号明細書(ホルメら(Holmes et al.))および同第5,975,988号明細書(クリスチアンソン(Christianson))および、2000年10月16日出願の米国特許出願第09/688,444号明細書および同第09/688,484号明細書、2000年10月16日出願の同第09/688,444号明細書、同第09/688,484号明細書および同第09/688,486号明細書、ならびに2001年10月5日出願の同第09/971,899号明細書、同第09/972,315号明細書および同第09/972,316号明細書にある。
【0144】
研磨粒子は、研磨物品に均一に分配しても、研磨物品の選択した領域または部分に濃縮させてもよい。例えば、被覆研磨材においては2層の研磨粒子があってもよい。第1の層は、本発明による研磨粒子以外の研磨粒子を含み、第2の(最外)層は本発明による研磨粒子を含む。結合研磨材と同様に、砥石の2つの明確なセクションがあってもよい。最外セクションは、本発明による研磨粒子を含んでいてもよいが、最内セクションは含まない。あるいは、本発明による研磨粒子は、結合研磨物品全体に均一に分配してもよい。
【0145】
被覆研磨物品に関するさらなる詳細については、例えば、米国特許第4,734,104号明細書(ブロベルグ(Broberg))、同第4,737,163号明細書(ラーキー(Larkey))、同第5,203,884号明細書(ブキャナンら(Buchanan et al.))、同第5,152,917号明細書(ピーパーら(pieper et al.))、同第5,378,251号明細書(カラーら(Culler et al.))、同第5,417,726号明細書(スタウトら(Stout et al.))、同第5,436,063号明細書(フォレットら(Follett et al.))、同第5,496,386号明細書(ブロベルグら(Broberg et al.))、同第5,609,706号明細書(ベネディクトら(Benedict et al.))、同第5,520,711号明細書(ヘルミン(Helmin))、同第5,954,844号明細書(ロウら(Law et al.))、同第5,961,674号明細書(ガッリャールディら(Gagliardi et al.))および同第5,975,988号明細書(クリスチアンソン(Christianson))に記載されている。結合研磨物品に関するさらなる詳細については、例えば、米国特許第4,543,107号明細書(ルー(Rue))、同第4,741,743号明細書(ナラヤナンら(Narayanan et al.))、同第4,800,685号明細書(ヘイネスら(Haynes et al.))、同第4,898,597号明細書(ヘイら(Hay et al.))、同第4,997,461号明細書(マルコフ−メセニーら(Markhoff−Matheny et al.))、同第5,037,453号明細書(ナラヤナンら(Narayanan et al.))、同第5,110,332号明細書(ナラヤナンら(Narayanan et al.))および同第5,863,308号明細書(キら(Qi et al.))にある。ガラス質結合研磨材に関するさらなる詳細については、例えば、米国特許第4,543,107号明細書(ルー(Rue))、同第4,898,597号明細書(ヘイら(Hay et al.))、同第4,997,461号明細書(マルコフ−メセニーら(Markhoff−Matheny et al.))、同第5,094,672号明細書(ジャイルスジュニアら(Giles Jr.et al.))、同第5,118,326号明細書(シェルドンら(Sheldon et al.))、同第5,131,926号明細書(シェルドンら(Sheldon et al.))、同第5,203,886号明細書(シェルドンら(Sheldon et al.))、同第5,282,875号明細書(ウッドら(Wood et al.))、同第5,738,696号明細書(ウーら(Wu et al.))および同第5,863,308号明細書(キら(Qi et al.))にある。不織研磨物品に関する更なる詳細については、例えば、米国特許第2,958,593号明細書(フーバーら(Hoover et al.))にある。
【0146】
本発明はまた、本発明による少なくとも1つの研磨粒子をワークピース表面と接触させる工程と、研磨粒子または接触表面のうち少なくとも1つを動かして、研磨粒子により該表面の少なくとも一部を研磨する工程とを含む表面を研磨する方法を提供する。本発明による研磨粒子による研磨方法は、スナッギング(すなわち、高圧高ストック除去)からポリッシング(例えば、被覆した研磨ベルトによる医療インプラントのポリッシング)までおよび、後者は、より微細な等級(例えば、ANSI220より細かい)の研磨粒子で行われる。研磨粒子は、ビトリファイド結合ホイールによる研削カムシャフトのような精密研磨用途にも用いることができる。特定の研磨用途に用いられる物品の研磨粒子のサイズは、当業者には明白であろう。
【0147】
本発明による研磨粒子による研磨は、乾式または湿式で行ってもよい。湿式研磨については、液体を、軽いミストの形態で供給して、フラッドを完了させてもよい。一般的に用いられている液体としては、水、水溶性油、有機潤滑剤およびエマルジョンが例示される。液体は、研磨に関連した熱を減じ、かつ/または潤滑剤として作用する。液体は、殺菌剤、消泡剤等のような少量の添加剤を含有していてもよい。
【0148】
本発明による研磨粒子は、例えば、アルミニウム金属、カーボン鋼、軟鋼、工具鋼、ステンレス鋼、焼き入れ鋼、チタン、ガラス、セラミックス、木材、木材状材料(例えば、ベニヤ板およびパーチクルボード)、塗料、塗面、有機被覆表面等のようなワークピースを研磨するのに有用である。研磨中にかかる力は、一般的に、約1〜約100キログラムである。
【0149】
本発明の利点および実施形態を以下の限定されない実施例によりさらに説明するが、これらの実施例に挙げられた特定の材料および量、その他条件および詳細は本発明を不当に限定するものではない。特に断らない限り、部およびパーセンテージはすべて質量基準である。特に断りのない限り、実施例は全て、大量のSiO2、Bi23、B23、P25、GeO2、TeO2、As23およびV25は含んでいなかった。
【実施例】
【0150】
実施例1〜14
250−mlのポリエチレン瓶(直径7.3−cm)に、様々な粉末(表1に示す通り、原材料の供給源は表2にリストしてある)50−グラムの混合物、75グラムのイソプロピルアルコールおよび200グラムのアルミナミリング媒体(円柱形、高さおよび直径は両方とも0.635cm、99.9%アルミナ、コロラド州、ゴールデンのクアーズ(Coors,Golden CO)より入手)を充填した。ポリエチレン瓶の中身を16時間にわたって60回転毎分(rpm)でミリングした。ミリング後、ミリング媒体を取り出し、スラリーを温(約75℃)ガラス(パイレックス(登録商標)「PYREX(登録商標)」)パンに注ぎ、室温(約25℃)で乾燥した。乾燥した混合物を、ペンキ用のはけを用いて、70−メッシュのスクリーン(212−マイクロメートルの開口部サイズ)を通してスクリーニングした。
【0151】
スクリーニング後、ミリングした供給粒子の混合物を、水素/酸素トーチの火炎に徐々に(0.5グラム/分)供給して、粒子を溶融した。粒子を溶融して、溶融液滴を生成するのに用いたトーチは、ペンシルバニア州、ヘラータウンのベツレヘム装置社(Bethlehem Apparatus Co.,Hellertown,PA)より入手したベツレヘム(Bethlehem)ベンチバーナーPM2D型番Bであった。トーチについての水素および酸素フローレートは次の通りであった。内側リングについては、水素フローレートは1分当たり8標準リットル(SLPM)であり、酸素フローレートは3.5SLPMであった。外側リングについては、水素フローレートは23SLPMであり、酸素フローレートは12SLPMであった。乾燥し分級した粒子を、トーチ火炎に徐々に(0.5グラム/分)供給し、粒子を溶融し、それらを直接、連続循環される乱流水の19−リットル(5−ガロン)の円柱容器(直径30センチメートル(cm)×高さ34cm)へ移動して、溶融液滴を急冷した。火炎が水に当たる角度は約45℃であり、バーナから水表面までの火炎長さは直径約18センチメートル(cm)であった。得られる溶融および急冷された粒子をパンに集め110℃で乾燥した。粒子の形状は球状(以降「ビーズ」と呼ぶ)で、数マイクロメートルから250マイクロメートルのサイズまで変わり、透明(すなわち、アモルファス)および/または不透明(すなわち、結晶)のいずれかであり、ビーズ毎に違った。
【0152】
パーセントアモルファス収率を、得られる火炎形成ビーズから、−100+120メッシュサイズフラクション(すなわち、150−マイクロメートル開口部サイズと125−マイクロメートル開口部サイズスクリーンの間で集められたフラクション)を用いて計算した。測定は次のようなやり方で行った。ビーズの単層をガラススライドに広げた。粒子を、光学顕微鏡を用いて観察した。光学顕微鏡の接眼レンズの十字をガイドとして用いて、直線に沿って並んだビーズをその光学明瞭度に応じてアモルファスか結晶かで(透明であった場合はアモルファス)数えた。合計で500個のビーズを数え、数えた合計のビーズで除算したアモルファスビーズの量により、パーセントアモルファス収率を求めた。
【0153】
相組成(アモルファス/結晶)を示差熱分析(DTA)により求めた。材料の対応のDTAトレースが発熱結晶イベント(Tx)を含む場合には、材料をアモルファスと分類された。Txより低い温度で同じトレースが吸熱イベント(Tg)を含んでいた場合には、ガラス相からなると考えられた。材料のDTAトレースがかかるイベントを含んでいなかった場合には、結晶相を含有すると考えられた。
【0154】
示差熱分析(DTA)を、以下の方法を用いて実施例1のビーズで実施した。DTAは、−140+170メッシュサイズフラクション(すなわち、105−マイクロメートル開口部サイズおよび90−マイクロメートル開口部サイズスクリーン間で集めたフラクション)を用いて実行した(ドイツ、ゼルブのネッチインスツルメンツ(Netzsch Instruments,Selb,Germany)より「ネッチ(NETZSCH)STA409DTA/TGA」という商品名で入手した計器を用いて)。各スクリーニングされた試料の量を100−マイクロリットルのAl23試料ホルダに入れた。各試料を窒素雰囲気中で10℃/分のレートで室温(約25℃)から1100℃まで加熱した。
【0155】
実施例1において作製したビーズのDTAトレースは、トレースの曲線における下向きの変化により分かる通り、約870℃の温度で吸熱イベントを示した。このイベントは、ガラス材料のガラス転移(Tg)によるものであったと考えられる。同じ材料は、トレースの鋭いピークから分かる通り、約920℃の温度で発熱イベントを示した。このイベントは、材料の結晶(Tx)によるものであったと考えられる。このように、材料はガラス状であることが分かった。
【0156】
実施例2〜15で上述した通りDTAを実施した。対応のガラス転移(Tg)および結晶(Tx)温度を下記の表1にリストしてある。
【0157】
【表1】

【0158】
【表2】

【0159】
実施例1、2および4の窒素含量の定性分析を、次の通りにしてx−線蛍光を用いて求めた。炭化ホウ素モルタルにおいて、エタノールにより、各試料の一部をミリングした。得られるスラリーを黄銅ディスクに適用し、ディスクをステンレス鋼XRF試料ホルダに置いた。作製した試料をそれぞれ、ホウ素(B)からウラン(U)まで、ロジウムX−線源を備えたX−線蛍光分光計波長分散X−線(日本、ルガク(Rugaku,Japan)より「リガク(RIGAKU)ZSX−100e」という商品名で入手)、真空雰囲気および直径25mmの測定領域を用いて、定性および半定量分析した。ソフトウェアプログラム(分光計に含まれるSQXソフトウェア)を、半定量XRF元素分析に用いた。ソフトウェアは、個々の要素強度データを各試料について観察された合計強度で除算し、基本的なパラメータアルゴリズムを用いて吸収/増大効果を明らかにした。結果を、用いた元素範囲内で(この場合には、ホウ素からウランまで)100%まで正規化した。対応のN量を、上の表1にリストしてある。
【0160】
実施例3〜5および11〜14アモルファスビーズを、15℃/分の増加レートで、抵抗加熱炉において、窒素を流した雰囲気中で、1300℃で15分間熱処理することにより結晶化した。光学顕微鏡を用いて観察したところ、熱処理から得られるビーズは不透明であった(熱処理の前は、ビーズは透明であった)。熱処理済みビーズが不透明であることは、ビーズの結晶化の結果と考えられる。アモルファス材料は、結晶境界のような光散乱中心がないため、一般的に、大部分が透明であり、一方、結晶粒子は結晶境界の光散乱効果のために不透明である。結晶化した実施例4のビーズの窒素含量を、実施例1、2および4で上述した通りにして分析したところ、0.52質量%であった。
【0161】
実施例15
実施例4の約25グラムのアモルファスビーズを、グラファイトダイに入れ、単軸プレス装置(カリフォルニア州、ブレアのサーマルテクノロジー社(Thermal Technology Inc.,Brea,CA)より「HP−50」という商品名で入手)を用いてホットプレスした。窒素雰囲気中で、13.8メガパスカル(MPa)(1平方インチ当たり2000ポンド(2ksi))の圧力でホットプレスを実施した。ホットプレス炉を970℃まで25℃/分で増加した。得られる透明ディスク(直径約34ミリメートル(mm)および厚さ6mm)を、「チップマンク(Chipmunk)」ジョークラッシャー(タイプVD、カリフォルニア州、バーバンクのビコ社(BICO Inc.,Burbank,CA)製)を用いて粒子へと粉砕し、等級分けして、−30+35フラクション(すなわち、600−マイクロメートルの開口部サイズと500−マイクロメートルの開口部サイズスクリーンの間で集めたフラクション)および−35+40メッシュフラクション(すなわち、500−マイクロメートルの開口部サイズと425−マイクロメートルの開口部サイズスクリーンの間で集めたフラクション)を保持した。
【0162】
実施例1〜14で上述した通りにDTAトレースを実施して、実施例15がホットプレスプロセス後アモルファスであったことを確認した。ホットプレスした材料は、ガラス転移(Tg)および結晶(Tx)温度により分かる通り、ガラス状構造を示した。
【0163】
粉砕および等級分けした粒子は、電気加熱炉において1300℃で15分間熱処理すると結晶化して、研磨粒子を与えた。光学顕微鏡を用いて観察したところ、熱処理から得られる粒子は不透明であった(熱処理の前は、粒子は透明であった)。熱処理済み粒子が不透明であることは、粒子の結晶化の結果と考えられる。アモルファス材料(ガラス状材料を含む)は、結晶境界のような光散乱中心がないため、一般的に、大部分が透明であり、一方、結晶粒子は結晶境界の光散乱効果のために不透明である。
【0164】
研磨粒子の密度を、比重瓶(ジョージア州、ノークロスのマイクロメリティックス(Micromeritics,Norcross,GA)より「Accupyc1330」という商品名で入手)を用いて測定した。密度は3.92g/cm3であった。
【0165】
結晶化した粒子のフラクションを、直径約2.5cm、高さ約1.9cmの樹脂のシリンダの装着樹脂(イリノイ州、レークブルフのビューラー(Buehler,Lake Bluff,IL)より「トランスオプティックパウダー(TRANSOPTIC POWDER)」という商品名で入手)に装着した。ポリッシャ(イリノイ州、レークブルフのビューラー(Buehler,Lake Bluff,IL))より「EPOMET3」という商品名で入手)を用いる従来のポリッシング技術を用いて装着セクションを作製した。試料を約3分間125−マイクロメートルのダイヤモンドを含有するダイヤモンド砥石で磨き、それぞれ45、30、15、9、3および1マイクロメートルのスラリーで5分間磨いた。100−グラムのインデント荷重を用いてヴィッカース圧子を備えた従来の微小硬さテスター(日本、東京のミツトヨ社(Mitutoyo Corporation,Tokyo,Japan)より「ミツトヨ(MITUTOYO)MVK−VL」という商品名で入手)を用いて微小硬さ測定を行う。微小硬さ測定は、ASTM試験方法E384、材料の微小硬さの試験方法(1991年)に記載された指針に従って行う。結晶化した(熱処理した)実施例16の硬さは、10回の測定の平均に基づいて、18.8GPaであった。
【0166】
本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲および目的から逸脱することなしに当業者には明白であり、本発明はここに規定した説明のための実施形態に不当に限定されないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】火炎溶融装置の粉末供給アセンブリを含む装置の例示の実施形態の側面図である。
【図2】図1の装置の断面図である。
【図3】図1の装置の分解断面図である。
【図4】図1の粉末供給アセンブリの一部の側面図である。
【図5】図1の粉末供給アセンブリの一部の斜視図である。
【図6】図1の粉末供給アセンブリの一部の断面図である。
【図7】本発明による研磨粒子を含む被覆研磨物品の部分断面概略図である。
【図8】本発明による研磨粒子を含む結合研磨物品の透視図である。
【図9】本発明による研磨粒子を含む不織研磨物品の拡大概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスの総質量に基づいて、(a)少なくとも35質量パーセントのAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを含むガラスであって、前記ガラスの総質量に基づいて合計10質量パーセント以下のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有するガラス。
【請求項2】
前記ガラスが、前記ガラスの総質量に基づいて、少なくとも60質量パーセントのAl23と、少なくとも0.2質量パーセントのNとを含む、請求項1に記載のガラス。
【請求項3】
前記ガラスが、BaO、CaO、CeO2、CuO、Dy23、Er23、Eu23、Gd23、Ho23、La23、Lu23、MgO、Nd23、Pr611、Sm23、Sc23、SrO、Tb23、Th47、TiO2、Tm23、Yb23、Y23、ZrO2およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるAl23以外の少なくとも1種類の金属酸化物をさらに含む、請求項1に記載のガラス。
【請求項4】
請求項1に記載のガラスを含むセラミック。
【請求項5】
少なくとも35質量パーセントのAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを溶融物に提供するのに十分なAl23およびNの供給源を含む溶融物を提供する工程と、
前記溶融物を冷却して前記ガラスを提供する工程と
を含み、前記溶融物が、前記溶融物の総質量に基づいて合計10質量パーセント以下のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有する、請求項1に記載のガラスを製造する方法。
【請求項6】
gを有する請求項1に記載のガラスを含むガラスビーズを提供する工程と、
ガラスビーズが合体してある形状を形成するように、前記ガラスビーズを前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体した形状を冷却して物品を提供する工程と
を含む、ガラスを含む物品を製造する方法。
【請求項7】
gを有する請求項1に記載のガラスを含むガラス粉末を提供する工程と、
ガラス粉末が合体してある形状を形成するように、前記ガラス粉末を前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体した形状を冷却して物品を提供する工程と
を含む、ガラスを含む物品を製造する方法。
【請求項8】
請求項1に記載のガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部をガラス−セラミックに変換する工程を含む、ガラス−セラミックを製造する方法。
【請求項9】
ガラスの総質量に基づいて、(a)70質量パーセントを超えるAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを含むガラス。
【請求項10】
前記ガラスが、前記ガラスの総質量に基づいて、少なくとも60質量パーセントのAl23と、少なくとも0.2質量パーセントのNとを含む、請求項9に記載のガラス。
【請求項11】
請求項9に記載のガラスを含むセラミック。
【請求項12】
溶融物の総質量に基づいて、少なくとも70質量パーセントのAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを溶融物に提供するのに十分なAl23およびNの供給源を含む溶融物を提供する工程と、
前記溶融物を冷却して前記ガラスを提供する工程と
を含む、請求項9に記載のガラスを製造する方法。
【請求項13】
gを有する請求項9に記載のガラスを含む、ガラスビーズを提供する工程と、
ガラスビーズが合体してある形状を形成するように、前記ガラスビーズを前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体した形状を冷却して物品を提供する工程と
を含む、ガラスを含む物品を製造する方法。
【請求項14】
gを有する請求項9に記載のガラスを含む、ガラス粉末を提供する工程と、
ガラス粉末が合体してある形状を形成するように、前記ガラス粉末を前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体した形状を冷却して物品を提供する工程と
を含む、ガラスを含む物品を製造する方法。
【請求項15】
請求項9に記載のガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部をガラス−セラミックに変換する工程を含む、ガラス−セラミックを製造する方法。
【請求項16】
(a)ガラスの総質量に基づいて少なくとも35質量パーセントのAl23と、(b)Al23以外の第1の金属酸化物と、(c)Al23以外の第2の異なる金属酸化物と、(d)ガラスの総質量に基づいて少なくとも0.1質量パーセントのNとを含んで、前記Al23、前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物が合計で前記ガラスの少なくとも70質量パーセントを構成しており、前記ガラスの総質量に基づいて合計で30質量パーセント以下のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有する、ガラス。
【請求項17】
前記ガラスが、前記ガラスの総質量に基づいて、少なくとも40質量パーセントのAl23と、少なくとも0.2質量パーセントのNとを含み、前記ガラスの総質量に基づいて前記Al23、前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物が合計で前記ガラスの少なくとも75質量パーセントを構成する、請求項16に記載のガラス。
【請求項18】
請求項16に記載のガラスを含むセラミック。
【請求項19】
Al23、Al23以外の第1の金属酸化物、Al23以外の第2の異なる金属酸化物およびNの供給源を含む溶融物を提供する工程と、
前記溶融物を冷却して前記ガラスを提供する工程と
を含み、
前記Al23およびNが、少なくとも35質量パーセントのAl23と、少なくとも0.1質量パーセントのNとを前記溶融物に提供するのに十分な量で存在し、前記溶融物の少なくとも70質量パーセントが、前記Al23と、前記第1の金属酸化物と、前記第2の金属酸化物とで構成され、前記溶融物が、前記溶融物の総質量に基づいて合計で30質量パーセント以下のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有する、請求項16に記載のガラスを製造する方法。
【請求項20】
gを有する請求項16に記載のガラスを含む、ガラスビーズを提供する工程と、
ガラスビーズが合体してある形状を形成するように、前記ガラスビーズを前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体した形状を冷却して物品を提供する工程と
を含む、ガラスを含む物品を製造する方法。
【請求項21】
gを有する請求項16に記載のガラスを含む、ガラス粉末を提供する工程と、
ガラス粉末が合体してある形状を形成するように、前記ガラス粉末を前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体した形状を冷却して物品を提供する工程と
を含む、ガラスを含む物品を製造する方法。
【請求項22】
請求項16に記載のガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部をガラス−セラミックに変換する工程を含む、ガラス−セラミックを製造する方法。
【請求項23】
Al23と、ガラスの総質量に基づいて少なくとも0.1質量パーセントのNと、REOまたはY23の少なくとも1種類と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種類とを含み、ガラスの総質量に基づいて、ガラスの少なくとも80質量パーセントが、合計して前記Al23、REOまたはY23の前記少なくとも1種類、およびZrO2またはHfO2の前記少なくとも1種類で構成される、ガラス。
【請求項24】
前記ガラスが、前記ガラスの総質量に基づいて、少なくとも60質量パーセントのAl23と、少なくとも0.2質量パーセントのNとを含み、前記ガラスの総質量に基づいて、前記ガラスの少なくとも80質量パーセントが、合計して前記Al23、REOまたはY23の前記少なくとも1種類、およびZrO2またはHfO2の前記少なくとも1種類で構成される、請求項23に記載のガラス。
【請求項25】
請求項23に記載のガラスを含むセラミック。
【請求項26】
Al23、REOまたはY23の少なくとも1種類、およびZrO2またはHfO2の少なくとも1種類、並びにNの供給源を含む溶融物を提供する工程と、
前記溶融物を冷却してガラスを提供する工程と
を含み、前記Nが少なくとも0.1質量パーセントのNを前記溶融物に提供するのに十分な量で存在し、前記溶融物の総質量に基づいて、前記溶融物の少なくとも80質量パーセントが、前記Al23、REOまたはY23の前記少なくとも1種類、およびZrO2またはHfO2の前記少なくとも1種類で構成される、請求項23に記載のガラスを製造する方法。
【請求項27】
gを有する請求項23に記載のガラスを含む、ガラスビーズを提供する工程と、
ガラスビーズが合体してある形状を形成するように、前記ガラスビーズを前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体した形状を冷却して物品を提供する工程と
を含む、ガラスを含む物品を製造する方法。
【請求項28】
gを有する請求項23に記載のガラスを含む、ガラス粉末を提供する工程と、
ガラス粉末が合体してある形状を形成するように、前記ガラス粉末を前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体した形状を冷却して物品を提供する工程と
を含む、ガラスを含む物品を製造する方法。
【請求項29】
請求項23に記載のガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部をガラス−セラミックに変換する工程を含む、ガラス−セラミックを製造する方法。
【請求項30】
ガラス−セラミックの総質量に基づいて、(a)少なくとも35質量パーセントのAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを含むガラス−セラミックであって、前記ガラス−セラミックの総質量に基づいて合計10質量パーセント以下のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有する、ガラス−セラミック。
【請求項31】
前記ガラス−セラミックが、前記ガラス−セラミックの総質量に基づいて、少なくとも60質量パーセントのAl23と、少なくとも0.2質量パーセントのNとを含む、請求項30に記載のガラス−セラミック。
【請求項32】
請求項30に記載のガラス−セラミックを含む研磨粒子。
【請求項33】
複数の研磨粒子の少なくとも一部が請求項30に記載の研磨粒子である、規定の公称グレードを有する複数の研磨粒子。
【請求項34】
バインダーと複数の研磨粒子とを含み、前記研磨粒子の少なくとも一部が請求項30に記載の研磨粒子である、研磨物品。
【請求項35】
前記研磨物品が結合研磨物品、不織研磨物品または被覆研磨物品である、請求項34に記載の研磨物品。
【請求項36】
ガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部を請求項26に記載のガラス−セラミックに変換する工程を含んでなり、前記ガラスが、前記ガラスの総質量に基づいて、(a)少なくとも35質量パーセントのAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを含み、前記ガラスが、前記ガラスの総質量に基づいて合計10質量パーセント以下のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有する、請求項30に記載のガラスを製造する方法。
【請求項37】
ガラスの総質量に基づいて、(a)少なくとも35質量パーセントのAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを含み、前記ガラスの総質量に基づいて合計10質量パーセント以下のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有し、かつTgを有しているガラスを含む、ガラスビーズを提供する工程と、
ガラスビーズが合体してある形状を形成するように、前記ガラスビーズを前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体したガラスを熱処理して前記ガラスの少なくとも一部を請求項30に記載のガラス−セラミックに変換する工程と
を含む、物品を製造する方法。
【請求項38】
ガラスの総質量に基づいて、(a)少なくとも35質量パーセントのAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを含み、前記ガラスの総質量に基づいて合計10質量パーセント以下のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有し、かつTgを有しているガラスを含む、ガラス粉末を提供する工程と、
ガラス粉末が合体してある形状を形成するように、前記ガラス粉末を前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体したガラスを熱処理して前記ガラスの少なくとも一部を請求項30に記載のガラス−セラミックに変換する工程と
を含む、物品を製造する方法。
【請求項39】
ガラス−セラミックの総質量に基づいて、(a)70質量パーセントを超えるAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを含むガラス−セラミック。
【請求項40】
前記ガラス−セラミックが、前記ガラス−セラミックの総質量に基づいて、少なくとも75質量パーセントのAl23と、少なくとも0.2質量パーセントのNとを含む、請求項39に記載のガラス−セラミック。
【請求項41】
請求項39に記載のガラス−セラミックを含む研磨粒子。
【請求項42】
複数の研磨粒子の少なくとも一部が請求項41に記載の研磨粒子である、規定の公称グレードを有する複数の研磨粒子。
【請求項43】
バインダーと複数の研磨粒子とを含み、前記研磨粒子の少なくとも一部が請求項41に記載の研磨粒子である、研磨物品。
【請求項44】
前記研磨物品が結合研磨物品、不織研磨物品または被覆研磨物品である、請求項43に記載の研磨物品。
【請求項45】
ガラスを熱処理して前記ガラスの少なくとも一部を請求項39に記載のガラス−セラミックに変換する工程を含んでなり、前記ガラスが、前記ガラスの総質量に基づいて、(a)70質量パーセントを超えるAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを含む、ガラス−セラミックを製造する方法。
【請求項46】
ガラスの総質量に基づいて(a)70質量パーセントを超えるAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを含み、Tgを有するガラスを含む、ガラスビーズを提供する工程と、
ガラスビーズが合体してある形状を形成するように、前記ガラスビーズを前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体したガラスを熱処理して前記ガラスの少なくとも一部を請求項39に記載のガラス−セラミックに変換する工程と
を含む、物品を製造する方法。
【請求項47】
ガラスの総質量に基づいて(a)70質量パーセントを超えるAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを含み、Tgを有するガラスを含む、ガラス粉末を提供する工程と、
ガラス粉末が合体してある形状を形成するように、前記ガラス粉末を前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体したガラスを熱処理して前記ガラスの少なくとも一部を請求項39に記載のガラス−セラミックに変換する工程と
を含む、物品を製造する方法。
【請求項48】
(a)ガラス−セラミックの総質量に基づいて少なくとも35質量パーセントのAl23と、(b)Al23以外の第1の金属酸化物と、(c)Al23以外の第2の異なる金属酸化物と、(d)ガラス−セラミックの総質量に基づいて少なくとも0.1質量パーセントのNとを含み、前記Al23、前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物が合計で前記ガラス−セラミックの少なくとも70質量パーセントを構成し、前記ガラス−セラミックが、前記ガラス−セラミックの総質量に基づいて合計で30質量パーセント以下のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有する、ガラス−セラミック。
【請求項49】
前記ガラス−セラミックが、前記ガラス−セラミックの総質量に基づいて、少なくとも40質量パーセントのAl23と、少なくとも0.2質量パーセントのNとを含み、前記ガラス−セラミックの総質量に基づいて前記Al23、前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物が合計で前記ガラスの少なくとも75質量パーセントを構成する、請求項48に記載のガラス−セラミック。
【請求項50】
請求項48に記載のガラス−セラミックを含む研磨粒子。
【請求項51】
複数の研磨粒子の少なくとも一部が請求項50に記載の研磨粒子である、規定の公称グレードを有する複数の研磨粒子。
【請求項52】
バインダーと複数の研磨粒子とを含み、前記研磨粒子の少なくとも一部が請求項50に記載の研磨粒子である、研磨物品。
【請求項53】
前記研磨物品が結合研磨物品、不織研磨物品または被覆研磨物品である、請求項52に記載の研磨物品。
【請求項54】
ガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部を請求項48に記載のガラス−セラミックに変換する工程を含み、前記ガラスが、(a)ガラスの総質量に基づいて少なくとも35質量パーセントのAl23と、(b)Al23以外の第1の金属酸化物と、(c)Al23以外の第2の異なる金属酸化物と、(d)ガラスの総質量に基づいて少なくとも0.1質量パーセントのNとを含み、前記Al23、前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物が合計で前記ガラスの少なくとも70質量パーセントを構成し、前記ガラスが、前記ガラスの総質量に基づいて合計で30質量パーセント以下のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有する、ガラス−セラミックを製造する方法。
【請求項55】
(a)ガラスの総質量に基づいて少なくとも35質量パーセントのAl23と、(b)Al23以外の第1の金属酸化物と、(c)Al23以外の第2の異なる金属酸化物と、(d)ガラスの総質量に基づいて少なくとも0.1質量パーセントのNとを含んで、前記Al23、前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物が合計で前記ガラスの少なくとも70質量パーセントを構成しており、前記ガラスの総質量に基づいて合計で30質量パーセント以下のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有し、かつTgを有しているガラスを含む、ガラスビーズを提供する工程と、
ガラスビーズが合体してある形状を形成するように、前記ガラスビーズを前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体したガラスを熱処理して前記ガラスの少なくとも一部を請求項48に記載のガラス−セラミックに変換する工程と
を含む、物品を製造する方法。
【請求項56】
(a)ガラスの総質量に基づいて少なくとも35質量パーセントのAl23と、(b)Al23以外の第1の金属酸化物と、(c)Al23以外の第2の異なる金属酸化物と、(d)ガラスの総質量に基づいて少なくとも0.1質量パーセントのNとを含んで、前記Al23、前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物が合計で前記ガラスの少なくとも70質量パーセントを構成しており、前記ガラスの総質量に基づいて合計で30質量パーセント以下のAs23、Bi23、B23、GeO2、P25、SiO2、TeO2およびV25を含有し、かつTgを有しているガラスを含む、ガラス粉末を提供する工程と、
ガラス粉末が合体してある形状を形成するように、前記ガラス粉末を前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体したガラスを熱処理して前記ガラスの少なくとも一部を請求項48に記載のガラス−セラミックに変換する工程と
を含む、物品を製造する方法。
【請求項57】
Al23と、ガラス−セラミックの総質量に基づいて少なくとも0.1質量パーセントのNと、REOまたはY23の少なくとも1種類と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種類とを含み、ガラス−セラミックの総質量に基づいて、ガラス−セラミックの少なくとも80質量パーセントが、合計して前記Al23、REOまたはY23の前記少なくとも1種類、およびZrO2またはHfO2の前記少なくとも1種類で構成される、ガラス−セラミック。
【請求項58】
前記ガラス−セラミックが、前記ガラス−セラミックの総質量に基づいて少なくとも0.2質量パーセントのNを含み、前記ガラス−セラミックの総質量に基づいて、前記ガラス−セラミックの少なくとも80質量パーセントが、合計して前記Al23、REOまたはY23の前記少なくとも1種類、およびZrO2またはHfO2の前記少なくとも1種類で構成され、前記ガラス−セラミックが、前記ガラス−セラミックの総質量に基づいて、少なくとも60質量パーセントのAl23を含む、請求項57に記載のガラス−セラミック。
【請求項59】
請求項57に記載のガラス−セラミックを含む研磨粒子。
【請求項60】
複数の研磨粒子の少なくとも一部が請求項59に記載の研磨粒子である、規定の公称グレードを有する複数の研磨粒子。
【請求項61】
バインダーと複数の研磨粒子とを含み、前記研磨粒子の少なくとも一部が請求項59に記載の研磨粒子である、研磨物品。
【請求項62】
前記研磨物品が結合研磨物品、不織研磨物品または被覆研磨物品である、請求項61に記載の研磨物品。
【請求項63】
ガラスを熱処理して前記ガラスの少なくとも一部を請求項57に記載のガラス−セラミックに変換する工程を含んでなり、前記ガラスが、Al23と、ガラスの総質量に基づいて少なくとも0.1質量パーセントのNと、REOまたはY23の少なくとも1種類と、ZrO2またはHfO2の少なくとも1種類とを含み、ガラスの総質量に基づいて、ガラスの少なくとも80質量パーセントが、合計して前記Al23、REOまたはY23の前記少なくとも1種類、およびZrO2またはHfO2の前記少なくとも1種類で構成される、ガラス−セラミックを製造する方法。
【請求項64】
ガラスの総質量に基づいて、(a)70質量パーセントを超えるAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを含み、Tgを有するガラスを含む、ガラスビーズを提供する工程と、
ガラスビーズが合体してある形状を形成するように、前記ガラスビーズを前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体したガラスを熱処理して前記ガラスの少なくとも一部を請求項57に記載のガラス−セラミックに変換する工程と
を含む、物品を製造する方法。
【請求項65】
ガラスの総質量に基づいて、(a)70質量パーセントを超えるAl23と、(b)少なくとも0.1質量パーセントのNとを含み、Tgを有するガラスを含む、ガラス粉末を提供する工程と、
ガラス粉末が合体してある形状を形成するように、前記ガラス粉末を前記Tgより高く加熱する工程と、
前記合体したガラスを熱処理して前記ガラスの少なくとも一部を請求項57に記載のガラス−セラミックに変換する工程と
を含む、物品を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−508178(P2008−508178A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523575(P2007−523575)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/022932
【国際公開番号】WO2006/023081
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】