説明

セラミック基板

【課題】めっき膜の電極本体への密着性が良好で、はんだ接合性に優れた表面電極を備えた、信頼性の高いセラミック基板を提供する。
【解決手段】セラミック系材料を主体とする基板本体1と、基板本体の表面に設けられた表面電極2であって、電極本体12と、電極本体の表面を覆うように配設されたNiめっき膜13と、表層を構成するAuめっき膜15とを備えた表面電極と、基板本体の、表面電極の周囲の、所定の領域を覆うように配設されたガラス保護膜3とを備えたセラミック基板において、ガラス保護膜と表面電極とを、互いに接触しないように間隔をおいて配設する。
また、表面電極とガラス保護膜との間隔Gを10μm以上とする。
また、表面電極が、Niめっき膜とAuめっき膜との間に、NiおよびAu以外の金属からなるめっき膜を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミック基板に関し、詳しくは、基板本体の少なくとも一方の主面に、電極本体と、電極本体の表面を覆うように配設されためっき膜と、基板本体の表面に形成された、耐候性の向上、表面導体や抵抗体などの保護、はんだの濡れ広がりの防止などを目的として配設されるガラス保護膜とを備えた構造を有するセラミック基板に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック基板には、基板本体の表面に、外部との電気的な接続や表面実装部品の搭載などのために配設された表面電極と、保護膜とを備えた構造を有するものがある。なお、保護膜は、基板本体の表面に配設された導体や抵抗体などを保護したり、はんだ付けの際に、はんだの濡れ広がりを防止したりする目的で設けられるものである。
【0003】
そして、このようなセラミック基板の1つに、図5に示すような構造を有するセラミック基板がある。このセラミック基板は図5に示すように、アルミナからなる基板本体51の表面に配設された電極部分(電極本体)52と、電極部分52の所定の領域を覆うとともに、基板本体51の表面にまで達する保護膜53と、前記電極部分52の保護膜53により覆われていない領域を被覆するように配設されたNiめっき膜54と、Niめっき膜54を覆うように配設されたAuめっき膜55とを備えている(特許文献1、図1参照)。
【0004】
また、特許文献1には、このセラミック基板の製造方法として、その第2頁右欄第30行から同第3頁第14行に、
(a)アルミナからなる基板本体51を熱処理(表面のクリーニング)する工程、
(b)電極部分52を形成するための、Cu電極(ペースト)を基板本体51に印刷し、焼成することにより電極本体52を形成する工程、
(c)抵抗ペーストを印刷し、焼成することにより抵抗皮膜(特許文献1の図1では図示省略)を形成する工程、
(d)樹脂材料を塗布し、硬化させることにより保護膜(樹脂膜)53を形成する工程、
(e)無電解めっきによりNiめっき膜54を形成するとともに、Niめっき膜54上にAuめっき膜55を形成する工程
を経てセラミック基板を製造する方法を開示している。
【0005】
ところで、特許文献1では、保護膜53として、樹脂膜を形成することが示されているが、保護膜として、ガラス膜を形成することも広く行われている。
【0006】
そして、保護膜としてガラス膜を用いた場合、電極本体と焼成工程を経て形成される保護膜(ガラス保護膜)とが接触していると、Auめっき膜を形成する工程で、下地層であるNiめっき膜が過剰浸食されるという問題点がある。
【0007】
すなわち、例えば、Niめっき膜上にAuめっき膜を無電解めっき(置換Auめっき)の方法で形成する場合、Niめっき膜中のNiがめっき浴にイオンとなって溶出し、それと置換するようにめっき浴から金属としてAuが析出することによりAuめっきが行われるが、その工程でガラス保護膜がめっき液により浸食されること、ガラス保護膜が本来緻密でないことなどの理由から、Niめっき膜とガラス保護膜の接触部付近で、Niめっき膜が過剰浸食され、表面電極のはんだ接合性が低下したり、めっき膜の電極部分への密着性が低下したりするという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2761262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するものであり、めっき膜の電極本体への密着性に優れ、かつ、はんだ接合性の良好な表面電極を備えた、信頼性の高いセラミック基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のセラミック基板は、
セラミック系材料を主体とする基板本体と、
前記基板本体の表面に設けられた表面電極であって、電極本体と、前記電極本体の表面を覆うように配設されたNiめっき膜と、表層を構成するAuめっき膜とを備えた表面電極と、
前記基板本体の、前記表面電極の周囲の、所定の領域を覆うように配設されたガラス保護膜と
を備えたセラミック基板であって、
前記ガラス保護膜と前記表面電極とは、互いに接触しないように間隔をおいて配設されていること
を特徴としている。
【0011】
本発明のセラミック多層基板においては、前記表面電極と前記ガラス保護膜との間隔が10μm以上であることが好ましい。
【0012】
また、本発明のセラミック多層基板においては、前記表面電極が、前記Niめっき膜と前記Auめっき膜との間に、NiおよびAu以外の金属からなるめっき膜を備えた構成とすることも可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のセラミック基板は、基板本体と、その表面に設けられた電極本体と、電極本体の表面を覆うように配設されたNiめっき膜と、表層を構成するAuめっき膜とを備えた表面電極と、基板本体の、表面電極の周囲の、所定の領域を覆うように配設されたガラス保護膜とを備えたセラミック基板において、ガラス保護膜と表面電極とを、互いに接触しないように間隔をおいて配設するようにしているので、めっき膜の電極本体への密着性が良好で、はんだ接合性に優れた表面電極を備えたセラミック基板を得ることが可能になる。
【0014】
すなわち、例えば、無電解めっきの方法で、電極本体にNiめっき膜を形成し、Niめっき膜上に置換Auめっきの方法で、Auめっき膜を形成する場合、下記の式(1)に示すように、Niめっき膜中のNiがめっき液にイオンとなって溶出し、それと置換するようにめっき液から金属としてAuが析出し、Auめっき膜が形成される。
Ni+2Au+→Ni2++2Au(Auめっき膜) (1)
そして、通常は、Niめっき膜の表面がAuめっき膜で覆われると、置換Auめっきの反応は停止する。
【0015】
しかしながら、Niめっき膜とガラス保護膜の接触部付近は、ガラスが緻密ではなく、また、ガラスがめっき液に溶解して、多くの孔が存在する。そして、この孔の中にめっき液が入り込み、最初はめっき金属としてAuが析出するが、孔の内部は狭く、めっき液の液流動性が悪いため、Au塩の補給が行われにくく、場合によってはほとんど補給が行われなくなる。その結果、Auめっき液中の錯化剤などの成分による、Niめっき膜の浸食(腐食)が進行し、Niめっき膜の腐食により、はんだ接合性の低下やめっき膜の密着性低下を引き起こす。
【0016】
これに対し、本発明においては、ガラス保護膜と表面電極とを、互いに接触しないように間隔をおいて配設しているので、上述のようなガラスを介しての、Ni膜の浸食(腐食)の発生を招くおそれがなく、めっき膜の電極本体への密着性が良好で、はんだ接合性に優れた表面電極を備えたセラミック基板を得ることが可能になる。
【0017】
また、本発明においては、表面電極とガラス保護膜との間隔を10μm以上確保するようにした場合、上述のようなガラスを介しての、Ni膜の浸食(腐食)をより確実に回避して、めっき膜の電極本体への密着性が良好で、はんだ接合性に優れた表面電極を備えたセラミック基板を得ることができる。
【0018】
なお、表面電極とガラス保護膜との間隔があまり大きくなると、本来のガラス
コートの役割(例えば、基板本体の表面を保護したり、はんだ付けの際に、はんだの濡れ広がりを防止したりするという役割)が果たせなくなってしまうため、表面電極とガラス保護膜との間隔は、通常、10〜100μmの範囲とすることが好ましい。
【0019】
また、本発明のセラミック多層基板においては、表面電極が、Niめっき膜と、Auめっき膜との間に、NiおよびAu以外の金属からなるめっき膜(例えば、Pdめっき膜など)を備えた構成とすることが可能であり、その場合、Auめっき膜の一部をPdめっき膜で代替して、コストの低減を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例にかかるセラミック基板の構成を模式的に示す正面断面図である。
【図2】本発明の実施例において作製した比較用のセラミック基板の構成を模式的に示す正面断面図である。
【図3】本発明の実施例にかかるセラミック基板の要部のFIB−SIM像を示す図である。
【図4】本発明の実施例で作製した比較用のセラミック基板の要部のFIB−SIM像を示す図である。
【図5】従来のセラミック基板の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明の実施例にかかるセラミック基板の構成を模式的に示す正面断面図である。
【0023】
<セラミック基板の構成>
図1に示すセラミック基板は、セラミック系材料を主体とする複数のセラミック層が積層された多層構造の基板本体1(図1では1層構造の基板本体として略示している)と、基板本体1の表面(上面)に設けられた表面電極2と、基板本体1の上面に形成された表面電極2の周囲の、所定の領域を覆うように、かつ、表面電極2と接触しないように、表面電極2との間に所定の間隔(この実施例では20μmの間隔)Gをおいて配設された、硼珪酸系ガラスからなるガラス保護膜3とを備えている。
【0024】
そして、上記表面電極2は、Ag焼き付け電極である電極本体12と、電極本体12の表面を覆うように配設されたNiめっき膜13と、Niめっき膜13を覆うように配設されたPdめっき膜層14と、表層を構成するAuめっき膜15とを備えている。
【0025】
また、上記表面電極2とガラス保護膜3との間には、所定の間隔Gが設けられている。この実施例では約20μmの間隔Gが確保されるように構成されている。
【0026】
基板本体1は、複数のセラミック層が積層された多層構造の基板であり、特に図示していないが、内部導体や、内部導体を層間接続するための導体(ビアホール導体)などを備えている。
【0027】
また、この実施例では、基板本体1として、1辺が100mmの正方形で、厚みが0.5mmの低温焼結セラミック基板(LTCC基板)を用いている。
なお、この実施例では、基板本体1は多層構造のものであるが、本発明は単層のセラミック基板として構成することも可能である。
【0028】
<セラミック基板の製造>
次に、このセラミック基板を製造する方法について説明する。
(1)まず、セラミック原料を調合し、シート成形した後、所定の大きさにカットし、セラミックグリーンシートを作製する。
【0029】
(2)それから、セラミックグリーンシートに、Agを導電成分とする電極ペーストをスクリーン印刷によって印刷して電極パターンを形成する。
このとき、内部電極(内部導体)となる電極(導体)パターンを形成すべきセラミックグリーンシートには、所定の形状の電極(導体)パターンを形成し、表面電極となる電極パターンを形成すべきセラミックグリーンシートには、所定の形状の電極パターンを形成する。
【0030】
(3)次に、上述のようにして作製した電極パターンを備えたセラミックグリーンシートを、所定の態様で積み重ねて圧着することにより積層体を形成し、この積層体を焼成することにより、内部には内部導体(図示せず)、表面には表面電極を構成する電極本体12が形成された、焼結済みの基板本体1(図1)を得る。
【0031】
(4)それから、基板本体1の表面(上面)に設けられた電極本体12と接触することなく、電極本体12の周囲の所定領域を覆うように、ガラスペーストを印刷し、焼成することによりガラス保護膜3を形成する。
【0032】
(5)次に、電極本体12の表面に、無電解めっき法によりNiめっき膜13を形成し、その後、Niめっき膜13上に、無電解めっき法によりPdめっき膜14を形成する。それから、無電解めっき(置換Auめっき)法により、Pdめっき膜14を覆うように、表層めっき膜となるAuめっき膜15を形成する。
【0033】
この実施例では、Niめっき膜13、Pdめっき膜14、Auめっき膜15を形成するにあたって、以下の方法でめっきを行い、各めっき膜を形成した。
【0034】
<めっき膜の形成>
まず、電極本体12に、水濡れ性を付与するために、基板本体1を脱脂用処理液:エースクリーン(奥野製薬工業株式会社製)に、60℃、1分の条件で浸漬した後、水洗した。
【0035】
それから、電極本体12に触媒を付与するために、基板本体1を表面活性化液:NNPアクセラ(奥野製薬工業株式会社製)に、25℃、3分の条件で浸漬した後、水洗した。
【0036】
そして、基板本体1を無電解Niめっき液:ICPニコロンGM(奥野製薬工業株式会社製)に、80℃、20分の条件で浸漬して、電極本体12の表面にNiめっき膜13を形成した後、水洗した。
【0037】
その後、基板本体1を無電解Pdめっき液:パラトップN(奥野製薬工業株式会社製)に、60℃、3分の条件で浸漬して、Niめっき膜13上にPdめっき膜14を形成した後、水洗した。
【0038】
それから、基板本体1を無電解Auめっき液:フラッシュゴールド2000(奥野製薬工業株式会社製)に、80℃、5分の条件で浸漬して置換Auめっきを行い、Pdめっき膜14上にAuめっき膜15を形成した後、水洗し、さらに乾燥を行った。これにより、図1に示すように、基板本体1の表面に、電極本体12、Niめっき膜13、Pdめっき膜14、Auめっき膜15を備えた表面電極2とガラス保護膜3とを備え、表面電極2とガラス保護膜3とが20μmの間隔Gをおいて配設された構造を有するセラミック基板が得られる。
【0039】
また、比較のため、図2に示すように、基板本体1の上面に形成された電極本体12の一部を覆うような態様で、電極本体12と接するガラス保護膜3が形成され、電極本体12と、ガラス保護膜3の一部とを覆うようにNiめっき膜13が形成され、さらにNiめっき膜13上にPdめっき膜14、Auめっき膜15が順に形成されたセラミック基板を、上記実施例のセラミック基板の製造方法と同じ方法で作製した。
【0040】
<表面電極の評価>
上述のようにして作製した本発明の実施例にかかるセラミック基板と、上記のような比較用のセラミック基板(比較例)について、表面電極の特性を評価するために、
(1)めっき膜の電極本体への密着性を調べるために、セラミック基板の表面電極の表面にテープを貼り付けた後、それを剥離して、テープ剥離後の表面電極を観察するテープ剥離試験、および、
(2)表面電極のはんだ接合性を調べるために、表面電極がはんだに十分に濡れるかどうかを調べるはんだ濡れ試験
を実施した。
なお、試験に供した試料(セラミック基板)は、1つの基板本体に多数個の表面電極を備えたものである。
【0041】
(テープ剥離試験)
テープ剥離試験は、以下の方法、条件で行った。
(a)試験に用いたテープの種類:セロテープNo.252(積水化学(株)製)(ただし、セロテープは登録商標)
(b)テープ貼り付け方法:テープを表面電極上に載置して軽く貼り付けた後、消しゴムをテープに押し付けながら2往復させ、テープと表面電極のめっき膜形成面とを密着させる。
(c)剥離方法:テープの両端を把持して上方向に一気に剥離する。
(d)めっき膜の剥離部分の観察方法:20倍の光学顕微鏡で基板本体上の表面電極を観察する。
【0042】
そして、比較例のセラミック基板については、ガラス保護膜と接する表面電極のうち、めっき膜の剥離が発生した表面電極の数を調べ、ガラス保護膜と接する表面電極調の数に対する割合を求めた。
【0043】
また、表面電極がガラス保護膜と接触しないように配設されている実施例のセラミック基板については、めっき膜の剥離が発生した表面電極の数を調べ、全体の表面電極の数に対する割合を求めた。
【0044】
なお、めっき膜のうち、Niめっき膜13、Pdめっき膜14,Auめっき膜15のいずれか1つにでも剥離が生じたものは、剥離が発生したものとした。
【0045】
(はんだ濡れ試験)
はんだ濡れ試験は、以下の方法、条件で行った。
(a)はんだ種類:Sn−3.0Ag−0.5Cu(M705千住金属製)
(b)はんだ温度:245℃
(c)はんだ浸漬時間:2秒
(d)はんだ浸漬スピード:20mm/秒
(e)フラックス:ホワイトロジン
【0046】
そして、比較例のセラミック基板については、ガラス保護膜と接する表面電極のうち、はんだ不濡れ(はんだ濡れ不良)が認められた表面電極の数を調べ、ガラス保護膜と接する表面電極調の数に対する割合を求めた。
【0047】
また、表面電極がガラス保護膜と接触しないように配設されている実施例のセラミック基板については、はんだ不濡れ(はんだ濡れ不良)が認められた表面電極の数を調べ、全体の表面電極の数に対する割合を求めた。
【0048】
上述のテープ剥離試験の結果と、はんだ濡れ試験の結果を表1に併せて示す。
【0049】
【表1】

【0050】
また、図1および図2に示した実施例および比較例のセラミック基板の要部(図1および図2で一点鎖線で囲んだ領域に対応する領域(正確に対応するものではない))のFIB−SIM像を図3および図4に示す。
【0051】
なお、図3の実施例の場合、ガラス保護膜はFIB−SIM像の範囲の外にあるため、図3にはあらわれていない。
また、図1および図2では、Pdめっき膜14と、Auめっき膜15とを別に示しているが、図3および図4では、Pdめっき膜およびAuめっき膜の厚みが薄く、それぞれを個別に示すことができないため、Pd+Auめっき膜として示している。
【0052】
表1より、実施例のセラミック基板の方が、比較例のセラミック基板に比べて、めっき膜の剥離の発生率が低く、めっき膜の密着性に優れていることが確認された。
【0053】
また、はんだ濡れ性についても、比較例のセラミック基板に比べて、実施例のセラミック基板の方が、はんだ不濡れ(はんだ濡れ不良)の発生率が低く、はんだ接合性に優れていることを裏付けるデータが得られた。
【0054】
また、図3および図4から分かるように、実施例の場合(図3)、Niめっき膜に腐食は発生していないのに対し、比較例の場合(図4)、Niめっき膜に腐食が発生していることが確認された。
【0055】
以上の結果から、本発明によれば、めっき膜の電極本体への密着性が良好で、はんだ接合性(はんだ濡れ性)に優れた表面電極を有する、信頼性の高いセラミック基板が得られることが確認された。
【0056】
なお、上記実施例では、表面電極とガラス保護膜との間隔Gを20μmとしたが、表面電極とガラス保護膜が接触していなければよいので、表面電極とガラス保護膜との間隔Gはもっと小さくてもよい。ただし、通常、間隔Gは10μm以上、100μm以下とすることが望ましい。
【0057】
また、上記実施例では、Niめっき膜と、Auめっき膜との間に、Pdめっき膜を設けた場合を例にとって説明したが、Pdめっき膜を備えた構成の場合、Auめっき膜の一部をPdめっき膜で代替して、コストの低減を図ることが可能になる。
ただし、Pdめっき膜を備えていない構成、すなわち、めっき膜として、Niめっき膜とAuめっき膜を備えた構成とすることも可能である。
【0058】
本発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、電極本体を構成する材料の種類、電極本体の具体的な形状、ガラス保護層を構成するガラスの種類、基板本体を構成する材料(セラミック材料)の種類、基板本体の具体的な構成などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 基板本体
2 表面電極
3 ガラス保護膜
12 電極本体
13 Niめっき膜
14 Pdめっき膜
15 Auめっき膜
G 表面電極とガラス保護膜の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック系材料を主体とする基板本体と、
前記基板本体の表面に設けられた表面電極であって、電極本体と、前記電極本体の表面を覆うように配設されたNiめっき膜と、表層を構成するAuめっき膜とを備えた表面電極と、
前記基板本体の、前記表面電極の周囲の、所定の領域を覆うように配設されたガラス保護膜と
を備えたセラミック基板であって、
前記ガラス保護膜と前記表面電極とは、互いに接触しないように間隔をおいて配設されていること
を特徴とするセラミック基板。
【請求項2】
前記表面電極と前記ガラス保護膜との間隔が10μm以上であることを特徴とする請求項1記載のセラミック基板。
【請求項3】
前記表面電極が、前記Niめっき膜と前記Auめっき膜との間に、NiおよびAu以外の金属からなるめっき膜を備えていることを特徴とする請求項1または2記載のセラミック基板。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−221983(P2012−221983A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82715(P2011−82715)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】