説明

セラミック多層基板の製造方法

【課題】その製造工程の歩留まりを向上することができるセラミック多層基板を提供する。
【解決手段】複数のグリーンシート(第3のグリーンシート14、第1のグリーンシート15、第2のグリーンシート16、第4のグリーンシート17)を焼成して形成されたセラミック基板部2と、セラミック基板部の内部に配置されたチップ型電子部品3と、を有するセラミック多層基板1の製造方法において、第1のグリーンシート15上にチップ電子部品3を配置し、更に、チップ電子部品3上に第2のグイリーンシート16を配置されているチップ型電子部品−グリーンシート積層体12を準備する積層配置工程を有し、第1のグリーンシート15の焼成時の収縮率と、第2のグリーンシート16の焼成時の収縮率とが異なること、を特徴とするセラミック多層基板の製造方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック多層基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミック多層基板は、耐熱性・耐湿性に優れ、また、高周波回路において良好な周波数特性を有することから、液晶のバックライト向けLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)を用いた電子回路用の基板として用いられている。
現在、この液晶のバックライト向けLEDを、より小型化するため、そのセラミック多層基板内部にチップ型電子部品が内蔵することが要求されている(例えば、これに類似する技術は下記特許文献1に記載されている)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/030562号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例における課題は、複数のセラミック製のグリーンシートを積層し、更にそのグリーンシート間にチップ型電子部品を配置した後に、それら積層されたグリーンシートを焼成するセラミック多層基板では、チップ型電子部品の両端のチップ型電子部品電極近傍に隙間が生じていた。その隙間が起因として、例えば衝撃等の外乱を受けた場合、内蔵されたチップ型電子部品とセラミック多層基板の内部配線部との電気的接続が外れてしまい、そのことによって、セラミック多層基板の製造工程の歩留まりが低下していた。
【0005】
そこで、本発明は、この課題を解決し、セラミック多層基板の製造工程の歩留まり向上する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するために本発明は、複数のグリーンシートを焼成して形成されたセラミック基板部と、前記セラミック基板部の内部に配置されたチップ型電子部品と、を有するセラミック多層基板の製造方法において、第1のグリーンシート上に前記チップ電子部品を配置し、更に、前記チップ電子部品上に第2のグイリーンシートを配置されているチップ型電子部品−グリーンシート積層体を準備する積層配置工程を有し、前記第1のグリーンシートの焼成時の収縮率と、前記第2のグリーンシートの焼成時の収縮率とが異なること、を特徴とするセラミック多層基板の製造方法とした。
【0007】
これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明は、複数のグリーンシートを焼成して形成されたセラミック基板部と、前記セラミック基板部の内部に配置されたチップ型電子部品と、を有するセラミック多層基板の製造方法において、第1のグリーンシート上に前記チップ電子部品を配置し、更に、前記チップ電子部品上に第2のグイリーンシートを配置されているチップ型電子部品−グリーンシート積層体を準備する積層配置工程を有し、前記第1のグリーンシートの焼成時の収縮率と、前記第2のグリーンシートの焼成時の収縮率とが異なること、
を特徴とするセラミック多層基板の製造方法としたので、セラミック多層基板の製造工程の歩留まり向上する事ができる。
【0009】
すなわち、本発明においては、前記チップ電子部品の下側に配置した第1のグリーンシートと、前記チップ電子部品の上側に配置した第2のグリーンシートとの焼成時の収縮率を変えることによって、チップ型電子部品の両端のチップ型電子部品電極近傍に発生する隙間を防止し、この隙間を起因とするセラミック基板部の内部配線部との電気的接続不良の発生を防止することができるので、その結果として、セラミック多層基板の製造工程の歩留まりを向上することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1におけるセラミック多層基板の断面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるセラミック多層基板のプロセスフローを示す図
【図3】本発明の実施の形態1におけるグリーンシートの断面図を示すものであり、図3(a)は第3のグリーンシートの断面図、図3(b)は第1のグリーンシートの断面図、図3(c)は第2のグリーンシートの断面図、図3(d)は第4のグリーンシートの断面図
【図4】本発明の実施の形態1におけるチップ型電子部品−グリーンシート積層体の積層手順を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態1における積層配置工程にて作成されるチップ型電子部品−グリーンシート積層体の断面図
【図6】本発明の実施の形態1における焼成工程にて作成されるチップ型電子部品−グリーンシート積層体の断面図
【図7】本発明の実施の形態1における拘束層除去工程にて作成されるチップ型電子部品−グリーンシート積層体の断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明のセラミック基板の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
(実施の形態1)
まず、はじめに、本発明の実施1におけるセラミック多層基板の構成に関して説明する。
【0012】
図1は、実施の形態1におけるセラミック多層基板の断面図を示すものである。図1に示すように、セラミック多層基板1は、複数(具体的には本実施形態では後述のように4枚)のセラミック製のグリーンシートを焼成して形成されたセラミック基板部2と、セラミック基板部2の内部に配置されたチップ型電子部品3を有している。また、チップ型電子部品3の両端のチップ型電子部品電極4には、内部配線部7が接続されている。
更に、セラミック基板部2内部のチップ型電子部品3の周辺には、ビア6、内部配線部7が形成されている。また、セラミック基板部2の表裏面には、このセラミック多層基板1に所望の電子部品(例えばLED)を実装するための外部電極部9や、所望の外部配線部10を有している。
【0013】
本実施形態において、セラミック基板部2は、後述で再度詳しく説明するが、何れも、アルミナ粉末と、ガラス粉末をある一定の割合で配合したガラス・セラミックの固体成分と、有機溶剤を含む有機バインダーとを混合した組成物からなるシート状の形状のグリーンシートと呼ばれるものを、複数枚(少なくとも2枚以上)積層し、加圧し、その後、900[℃]にて焼成することによって形成する。なお、本実施形態のセラミック基板部2においては、4枚のグリーンシートを積層、焼成したものを用いた。
【0014】
また、本実施形態における、グリーンシートのガラス・セラミックの固体成分と、有機溶剤を含む有機バインダーと混合比は、4枚それぞれ、
(1)第1のグリーンシート15(セラミック多層基板1の製造時に、チップ型電子部品3の下側に配置されるグリーンシート)は、85:15
(2)第2のグリーンシート16(セラミック多層基板1の製造時に、チップ型電子部品3の上側に配置されるグリーンシート)は、89:11
(3)第3のグリーンシート14(セラミック多層基板1の製造時に、第1のグリーンシート15の下側に配置されるグリーンシート)は、89:11
(4)第4のグリーンシート17(セラミック多層基板1の製造時に、第2のグリーンシート15の上側に配置されるグリーンシート)は、89:11
とした。
【0015】
このように、グリーンシートのガラス・セラミックの固体成分と、有機溶剤を含む有機バインダーと混合比を変えることによって、このグリーンシートの焼成時の収縮率を変えることができる。
【0016】
特に、前述のように、第1のグリーンシート15(セラミック多層基板1の製造時に、チップ型電子部品3の下側に配置されるグリーンシート)は85:15とし、更に、第2のグリーンシート16(セラミック多層基板1の製造時に、チップ型電子部品3の上側に配置されるグリーンシート)は、89:11とすることによって、第1のグリーンシート15の収縮率は、前記第2のグリーンシートの収縮率より小さくすることができる。
【0017】
また、本実施形態において、セラミック基板部2の内部にあるビア6は、前述の焼成前のグリーンシートに、予め、例えば、NCパンチプレス(Numerical Controlパンチプレス)によって孔を形成し、その後、その孔に導体ペーストを充填し、更に前述のセラミックシートを焼成する際に同時に焼成される事によって形成する。なお、本実施形態において、銀(Ag)粒子とガラス成分を含有する導体ペーストを用いた。
【0018】
また、本実施形態において、セラミック基板部2の内部にある内部配線部7は、前述の焼成前のグリーンシートに、予め、スクリーン印刷法を用いて所望のパターンに印刷して形成後、前述のセラミックシートを焼成する際に同時に焼成される事によって形成している。なお、本実施形態においては、銀(Ag)粒子とガラス成分を含有する導体ペーストを用いた。
【0019】
また、本実施形態において、セラミック基板部2の表裏面の外部電極9、外部配線部10は、前述のグリーンシートを焼成後、導体ペーストをスクリーン印刷法を用いて所望のパターンに印刷して形成後、前述のセラミックシートを焼成する温度より低い温度で、かつ、この導体ペーストが十分に焼成される温度にて熱処理を行うことによって形成する。なお、本実施形態においては、ビア6、内部配線部7と同じく、銀(Ag)粒子とガラス成分を含有する導体ペーストを用いた。
【0020】
また、本実施形態において、チップ型電子部品3は、液晶のバックライト向けLEDの駆動する電子回路にしばしば使用されるバリスタを用いた。
それでは、以下に、本発明の実施の形態1におけるセラミック多層基板1の製造方法について説明する。
【0021】
図2は、本実施形態のセラミック多層基板1のプロセスフローを示す図であり、大きく分けて、ステップ1:グリーンシート準備工程と、ステップ2:積層配置工程と、ステップ3:焼成工程と、ステップ4:拘束層除去工程と、ステップ5:外部電極・電子回路パターン配線部形成工程という、5つのステップからなるものである。
【0022】
[ステップ1:グリーンシート準備工程]
先ずは、図3を用いてステップ1について説明する。
【0023】
図3は、本発明の実施の形態1におけるグリーンシート準備工程において作成するグリーンシートの断面図を示すものであり、図3(a)は第3のグリーンシートの断面図、図3(b)は第1のグリーンシートの断面図、図3(c)は第2のグリーンシートの断面図、図4(d)は第4のグリーンシートの断面図である。
【0024】
本実施形態においては、前述のように、アルミナ粉末を55[wt%]、ガラス粉末を45[wt%]の割合で配合したガラス・セラミックの固体成分と、有機溶剤を含む有機バインダーとの混合比を、第1のグリーンシート15、第2のグリーンシート16、第3のグリーンシート14、第4のグリーンシート17、それぞれ、
(1)第1のグリーンシート15(セラミック多層基板1の製造時に、チップ型電子部品3の下側に配置されるグリーンシート)は、85:15
(2)第2のグリーンシート16(セラミック多層基板1の製造時に、チップ型電子部品3の上側に配置されるグリーンシート)は、89:11
(3)第3のグリーンシート14(セラミック多層基板1の製造時に、第1のグリーンシート15の下側に配置されるグリーンシート)は、89:11
(4)第4のグリーンシート17(セラミック多層基板1の製造時に、第2のグリーンシート15の上側に配置されるグリーンシート)は、89:11
として作成された純のグリーンシート(シート状の形状のもの)から、図3(a)〜図3(d)に示すように、第3のグリーンシート14(図3(a))、第1のグリーンシート15(図3(b))、第2のグリーンシート16(図3(c))、第4のグリーンシート17(図3(d))を作成する。
【0025】
まず、はじめに、図3(a)に示す第3のグリーンシート14に関して説明する。第3のグリーンシート14には、例えば、NCパンチプレスによって孔を形成し、その後、その孔に導体ペーストを充填することによって、ビア6を形成する。これにて、第3のグリーンシート14が完成する。
【0026】
次に、図3(b)に示す第1のグリーンシート15に関して説明する。第1のグリーンシート15は、はじめに、第3のグリーンシート14と同様に、ビア6を形成する。次に、第1のグリーンシート15上面に導体ペーストを、クリーン印刷法を用いて所望のパターンに印刷して形成後、内部配線部7を形成する。これにて、第1のグリーンシート15が完成する。
【0027】
次に、図3(c)に示す第2のグリーンシート16に関して説明する。第2のグリーンシート16は、はじめに、第3のグリーンシート14と同様に、ビア6を形成する。これにて、第2のグリーンシート16が完成する。
【0028】
次に、図3(d)に示す第4のグリーンシート17に関して説明する。第4のグリーンシート17は、はじめに、第3のグリーンシート14と同様に、ビア6を形成する。これにて、第4のグリーンシート17が完成する。
【0029】
以上が、本実施形態における、ステップ1:グリーンシート準備工程である。
【0030】
[ステップ2:積層配置工程]
次に、図4、図5を用いてステップ2について説明する。
【0031】
図4は、本発明の実施の形態1におけるチップ型電子部品−グリーンシート積層体12の積層手順を示す断面図である。また、図5は、本発明の実施の形態1における積層配置工程にて作成されるチップ型電子部品−グリーンシート積層体12の断面図を示すものである。
【0032】
まず、はじめに、図4、図5、及び後述の図6中に示している拘束層13に関して説明する。
【0033】
一般に、アルミナ粉末とガラス粉末を配合したガラス・セラミックの組成物で、シート状の形状のグリーンシートを、高温を印加すると、アルミナ粉末とガラス粉末が焼成することによって、そのグリーンシートの体積(平面方向、および厚さ方向)に収縮する。
【0034】
本実施形態においても、次の工程であるステップ3:焼成工程にて、チップ型電子部品−グリーンシート積層体12を、加圧する加圧工程と、するのであるが、その際、それら第3のグリーンシート14、第1のグリーンシート15、第2のグリーンシート16、第4のグリーンシート17を挟み込むように、印加する温度では焼成しない成分のセラミックからなる拘束層13を上下面に配置しておく。
【0035】
こうすることによって、第3のグリーンシート14、第1のグリーンシート15、第2のグリーンシート16、第4のグリーンシート17は、図4中に示す、X方向、およびY方向(すなわち、チップ型電子部品−グリーンシート積層体12の平面方向)には収縮せず、Z方向(すなわち、チップ型電子部品−グリーンシート積層体12の厚さ方向)にのみ収縮する。このX方向、Y方向に収縮させないために、この拘束層13を使用するのである。本実施形態においては、アルミナ粉末をシート状に成形したものを拘束層13として用いた。
【0036】
次に、図4を用いて、第3のグリーンシート14、第1のグリーンシート15、第2のグリーンシート16、第4のグリーンシート17およびチップ型電子部品3を積層し、チップ型電子部品−グリーンシート積層体12を準備する方法を説明する。
【0037】
まず、拘束層13上に、第3のグリーンシート14を積層する。
次に、第3のグリーンシート14に第1のグリーンシート15を、第3のグリーンシート14に形成されているビア6と、第1のグリーンシート15に形成されているビア6の位置が合うように位置合わせを実施しながら積層する。
【0038】
次に、第1のグリーンシート15上の所望の場所(本実施形態においては、図5に示すように、内部配線部7同士の間)に、チップ型電子部品3両端のチップ型電子部品電極4が来るように位置合わせを実施しながら、チップ型電子部品3を積層する。
【0039】
その次に、チップ型電子部品3両端のチップ型電子部品電極4上に、位置合わせを実施しながら、第2のグリーンシート16を積層する。
【0040】
その次に、第2のグリーンシート16上に、第4のグリーンシート17を、第2のグリーンシート16上に形成されているビア6と、第4のグリーンシート17形成されているビア6の位置が合うように位置合わせを実施しながら積層する。
最後に、グリーンシート11C上に、拘束層13を配置する。
【0041】
このようにして、図5に示すような、チップ型電子部品−グリーンシート積層体12が準備されるのである。
【0042】
[ステップ3:焼成工程]
次に、ステップ3の焼成工程について説明する。
【0043】
この工程では、図5に示すチップ型電子部品−グリーンシート積層体12の上下面(拘束層13側)から、加圧を行った後、第3のグリーンシート14、第1のグリーンシート15、第2のグリーンシート16、第4のグリーンシート17が焼成する温度にて加熱を行う。
【0044】
本実施形態では、上下方向の圧力は0.5MPa、印加した熱の温度は900℃、印加時間1時間で行なった。
【0045】
この焼成工程後、図6に示すように、チップ型電子部品−グリーンシート積層体12は、その厚さ方向に収縮したものになる。
【0046】
[ステップ4:拘束層除去工程]
次に、ステップ3の拘束層除去工程について説明する。
【0047】
この工程では、水96gと平均粒径0.1〜10umのアルミナ粉末4gの割合の混合物を、圧力0.4[MPa]の圧縮空気にて、拘束層13上から吹き付ける。
【0048】
こうすることによって、拘束層13のみ除去することができ、図7に示すようなものになる。
【0049】
[ステップ5:外部電極・電子回路パターン配線部形成工程]
次に、ステップ5の外部電極・電子回路パターン配線部形成工程について説明する。
【0050】
ステップ3にて焼成されたチップ型電子部品−グリーンシート積層体12の表裏面(上下面)に、図1に示すような、所望の外部電極部9や、外部配線部10を形成する。
【0051】
本実施形態においては、前述のように、スクリーン印刷法を用いて、導体ペーストを所望のパターンに印刷して形成し、その後、ステップ3の焼成工程で印加した温度より低い温度で、かつ、導体ペーストが十分に焼成される温度にて熱処理を行うことによって形成した。本実施形態においては、この導体ペーストの焼成温度が700℃の銀(Ag)ペーストを用い、焼成のための熱処理温度は750℃を用いた。
【0052】
この工程後のチップ型電子部品−グリーンシート積層体12は、図1に示すような、本実施形態のセラミック多層基板1になる。
【0053】
以上のように、図2に示すステップ1からステップ5を行うことによって、本実施形態のセラミック基板を製造することができる。
以上のように、本実施形態においては、複数のグリーンシート(第3のグリーンシート14、第1のグリーンシート15、第2のグリーンシート16、第4のグリーンシート17)を焼成して形成されたセラミック基板部2と、セラミック基板部2の内部に配置されたチップ型電子部品3と、を有するセラミック多層基板1の製造方法において、第1のグリーンシート15上にチップ電子部品3を配置し、更に、チップ電子部品3上に第2のグイリーンシート16を配置されているチップ型電子部品−グリーンシート積層体12を準備する積層配置工程を有し、第1のグリーンシート15の焼成時の収縮率と、第2のグリーンシート16の焼成時の収縮率とが異なること、を特徴とするセラミック多層基板1の製造方法としたので、セラミック多層基板1の製造工程の歩留まり向上する事ができる。
【0054】
すなわち、本実施形態においては、チップ電子部品3の下側に配置した第1のグリーンシー15と、チップ電子部品3の上側に配置した第2のグリーンシート16との焼成時の収縮率を変えることによってチップ型電子部品3の両端のチップ型電子部品電極近傍に発生する隙間を防止し、この隙間を起因とするセラミック基板部2の内部配線部7との電気的接続不良の発生を防止することができるので、その結果として、セラミック多層基板1の製造工程の歩留まりを向上することができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明にかかるセラミック多層基板は、セラミック多層基板の製造工程の歩留まりを向上することができるので、特に、最近普及の進んでいる液晶テレビや携帯電話の液晶画面用のバックライト向けLED用の基板として用いられることが大いに期待されるものとなる。
【符号の説明】
【0056】
1 セラミック多層基板
2 セラミック基板部
3 チップ型電子部品
4 チップ型電子部品電極
6 ビア
7 内部配線部
9 外部電極部
10 外部配線部
12 チップ型電子部品−グリーンシート積層体
13 拘束層
14 第3のグリーンシート
15 第1のグリーンシート
16 第2のグリーンシート
17 第4のグリーンシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のグリーンシートを焼成して形成されたセラミック基板部と、
前記セラミック基板部の内部に配置されたチップ型電子部品と、
を有するセラミック多層基板の製造方法において、
第1のグリーンシート上に前記チップ電子部品を配置し、更に、前記チップ電子部品上に第2のグイリーンシートを配置されているチップ型電子部品−グリーンシート積層体を準備する積層配置工程を有し、
前記第1のグリーンシートの焼成時の収縮率と、前記第2のグリーンシートの焼成時の収縮率とが異なること、
を特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1のグリーンシートの収縮率は、前記第2のグリーンシートの収縮率より小さいこと、
を特徴とする請求項1に記載のセラミック多層基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1のグリーンシートに前記固体成分と前記有機バインダーとの混合比が、85:15であり、
かつ、前記第2のグリーンシートに前記固体成分と前記有機バインダーとの混合比が、89:11であること、
を特徴とする請求項2に記載のセラミック多層基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−199482(P2012−199482A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63839(P2011−63839)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】