説明

センサユニット識別システム

【課題】 各センサユニットを共通仕様にして部品の種類を減らして製造コストとメンテナンス費用を低く抑えることができると同時に、各センサユニットの座席位置を制御ユニットで容易且つ確実に識別できるセンサユニットの提供。
【解決手段】 各センサユニット5a〜5dを座席1〜4毎に異なる姿勢で設置し、各センサユニット5a〜5dは、自身の姿勢を検出して姿勢情報を作成する姿勢検出部8と、圧力センサ7aの検出結果に姿勢情報を付加した送信データを制御ユニット6へ無線で送信する無線部10を備え、制御ユニット6は、予め座席位置と姿勢情報を関連付けて記憶された座席位置記憶部13と、各センサユニット5a〜5dから送信された送信データの姿勢情報を座席位置記憶部13で照合して各センサユニット5a〜5dが設置された座席位置を識別する制御部14を備えることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサユニット識別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車室内の各座席の状態を検出して、この検出結果に基づいて空調、オーディオ、エアバック等の制御を行うことが期待されている(特許文献1参照)。
このような制御を実現するためには、車室内の各座席に状態を検出可能なセンサを具備するセンサユニットをそれぞれ設置し、これら各センサユニットからセンサの検出結果を制御ユニットへ送信させる必要があり、この際、各センサユニットと制御ユニットとの通信に無線を用いることが考えられる(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−315560号公報
【特許文献2】特開2005−291611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、各センサユニットがそれぞれ設置された座席位置を制御ユニットに識別させるために、各センサユニットと制御ユニットをジャンパ線で接続していたのでは、部品の種類が増える上、管理コストが掛かるという問題点があった。
また、各センサユニットにディップスイッチ等をそれぞれ設けて、座席位置に応じて設定していたのでは、設定作業に手間が掛かる上、設定間違いや設定し忘れ等の人為的ミスが発生する虞があった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、各センサユニットを共通仕様にして部品の種類を減らして製造コストとメンテナンス費用を低く抑えることができると同時に、各センサユニットの座席位置を制御ユニットで容易且つ確実に識別できるセンサユニット識別システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の発明では、車室内の各座席に状態を検出可能なセンサを具備するセンサユニットをそれぞれ設置すると共に、これら各センサユニットがセンサの検出結果を制御ユニットへ無線で送信するようにしたセンサユニット識別システムであって、前記各センサユニットを座席毎に異なる姿勢で設置し、前記各センサユニットは、自身の姿勢を検出して姿勢情報を作成する姿勢検出手段と、前記センサの検出結果に姿勢情報を付加した送信データを制御ユニットへ無線で送信する送信手段を備え、前記制御ユニットは、予め座席位置と姿勢情報を関連付けて記憶された座席位置記憶手段と、前記各センサユニットから送信された送信データの姿勢情報を座席位置記憶手段で照合して各センサユニットが設置された座席位置を識別する座席位置識別手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、車室内の各座席に状態を検出可能なセンサを具備するセンサユニットをそれぞれ設置すると共に、これら各センサユニットがセンサの検出結果を制御ユニットへ無線で送信するようにしたセンサユニット識別システムであって、前記各センサユニットを座席毎に異なる姿勢で設置し、前記各センサユニットは、自身の姿勢を検出して姿勢情報を作成する姿勢検出手段と、前記センサの検出結果に姿勢情報を付加した送信データを制御ユニットへ無線で送信する送信手段を備え、前記制御ユニットは、予め座席位置と姿勢情報を関連付けて記憶された座席位置記憶手段と、前記各センサユニットから送信された送信データの姿勢情報を座席位置記憶手段で照合して各センサユニットが設置された座席位置を識別する座席位置識別手段を備えるため、各センサユニットを共通仕様にして部品の種類を減らして製造コストとメンテナンス費用を低く抑えることができると同時に、各センサユニットの座席位置を制御ユニットで容易且つ確実に識別できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
以下、実施例1を説明する。
先ず、全体構成を説明する。
図1は実施例1のセンサユニット識別システムが採用された車両を説明する図、図2は実施例1のセンサユニット識別システムのシステム構成図である。
【0009】
図1に示すように、実施例1のセンサユニット識別システムが採用された車両には、車室内の運転席1、助手席2、後部右席3、後部左席4の各座席の下部にそれぞれ設置されたセンサユニット5(5a〜5d)と、各センサユニット5a〜5dの略中心位置でフロア下部に設置された制御ユニット6を備えている。
【0010】
各センサユニット5a〜5dは、同一仕様の共通部品であり、図2に示すように、センサ部7と、姿勢検知部8と、制御部9と、無線部10と、電源部11と、タイマ12等を備えている。
【0011】
センサ部7は、座席に掛かった荷重を圧力センサ7aで検知して、この検知された検知結果(圧力値)を制御部9に出力するものである。
【0012】
姿勢検知部8は、センサユニット5の姿勢を検知し、この検知結果から姿勢情報を作成して制御部9に出力するものである。
また、各センサユニット5a〜5dは、座席毎に異なる姿勢で設置されており、実施例1では、姿勢検知部8は、運転席1、助手席2、後部右席3、後部左席4の設置姿勢(図7参照)に応じて0100、0101、0110、0111のID値を姿勢情報として作成する。
【0013】
制御部9は、無線部10を介して制御ユニット6からの問い合わせを示す信号を受信して、圧力センサ7aの検知結果に姿勢情報を付加した送信データを制御ユニット6に送信する。
【0014】
無線部10は、送信部10aと、アンテナ10bと、受信部10cと、受信コイル10dを備えている。
無線部10の送信部10aは、送信データを、送信する電波信号に変換してアンテナ10bに出力する。
アンテナ10bは、送信部10aからの電波信号を制御ユニット6に送信する。
受信部10cは、受信コイル10dからのサーチ電波を制御部9で処理できる信号に変換して、制御部9に出力する。
受信コイル10dは、制御ユニット6からの問い合わせを示す信号のサーチ電波を受信し、受信した電波信号を受信部10cに送る。
【0015】
電源部11は、センサユニット5の電源であり、車両のバッテリ11aから供給される。
【0016】
その他、タイマ12は、制御ユニット6から問い合わせを示す信号の受信後の経過時間を測定するものであり、後述するセンサユニット5の制御処理に用いる。
【0017】
制御ユニット6は、座席位置記憶部13と、制御部14と、無線部15と、出力部16と、電源部17と、タイマ18等を備えている。
【0018】
座席位置記憶部13は、下記表1のように予め座席位置と姿勢情報を関連付けて記憶している。
【0019】
【表1】

【0020】
制御部14は、無線部15を介して問い合わせを示す信号を各センサユニット5a〜5dに送信して、各センサユニット5a〜5dから送信データをそれぞれ受信すると共に、各々の送信データの座席情報を座席位置記憶部13で照合して各センサユニット5a〜5dが設置された座席位置を識別する。
【0021】
また、各座席1〜4の圧力センサ7aの検知結果を出力部16に出力する。
【0022】
出力部16は、各座席1〜4の圧力センサ7aの検知結果を各種機器16aに有線または無線で出力する。
各種機器16aは、制御ユニット6から取得した座席毎1〜4の圧力センサ7aの検知結果に基づいて各座席の乗員の有無やその種類(大人、子供、荷物等)を判断し、空調、オーディオ、エアバック等を座席毎に最適な状態で作動させる。
【0023】
無線部15は、送信部15aと、アンテナ15bと、受信部15cと、受信コイル15dとから構成されている。
無線部15の送信部15aは、問い合わせを示す信号を、送信する電波信号に変換してアンテナ15bに出力する。
アンテナ15bは、送信部15aからの電波信号を各センサユニット5a〜5dに送信する。
受信部10cは、受信コイル15dからのサーチ電波を制御部14で処理できる信号に変換して、制御部14に出力する。
受信コイル15dは、各センサユニット5a〜5dからの圧力センサ7aの検知結果と姿勢情報のサーチ電波を受信し、受信した電波信号を受信部15cに送る。
【0024】
電源部17は、制御ユニット6の電源であり、車両のバッテリ11aにより供給される。
【0025】
その他、タイマ18は、各制御ユニット6へ問い合わせを示す信号を送信してからの経過時間を測定するものであり、後述する制御ユニット6の制御処理に用いる。
【0026】
次に、センサユニットについて詳述する。
図3は実施例1のセンサユニットの正面図、図4は同側面図、図5は実施例1の姿勢検知部の分解図、図6は図5の矢視X1から見た姿勢検知部の正面拡大図、図7は実施例1の各センサユニットの設置姿勢を示す図である。
図8〜10は実施例1の姿勢検知部8のスイッチ体の組み付けを説明する図、図11は実施例1の姿勢検知部8の電気回路を説明する図である。
【0027】
図3、4に示すように、センサユニット5は、略長方体形状の外形を有する他、その外部には前述の圧力センサ7a等の接続口(図示は省略)や、座席と固定するための取付部20を備えている。
また、センサユニット5の内部の一方側(図中上側)には、姿勢検知部8を除く前述の各部6〜12(図示は省略)を収容する一方、他方側(図中下側)には姿勢検知部8を収容している。
【0028】
次に、センサユニット5の姿勢検知部8について詳述する。
図5、6に示すように、センサユニット5の他方側(図中下側)には、外方へ向けて略矩形状に開口形成され、且つ、スイッチ体21が挿入固定される挿入溝22と、この挿入溝22の最深部から軸直方向へ向けて4方向に凹設された横溝23a〜23dを備えている。
また、各横溝23a〜23d内には後述する電気回路24に接続された第1端子A1〜A4を挿入溝22に向けてコイルスプリング25で弾性支持した状態でそれぞれ設けている。
さらに、挿入溝22には導電性の球体26を挿入配置している他、後述する螺子27を固定するための雌螺子溝22aを形成している。
【0029】
一方、スイッチ体21は、挿入溝22に挿入可能な略矩形状の外形を有する他、第1端子A1〜A4と対応する外周部位置には電気回路24に接続された第2端子B1〜B4を備えている(第2端子B4については図3、10参照)。
さらに、スイッチ体21には、後述する螺子27を貫通させて雌螺子溝22aに固定可能な貫通穴21aを形成している。
【0030】
そして、図7に示すように、センサユニット5を車両へ搭載する際には、運転席1(図7(a))、助手席2(図7(b))、後部右席3(図7(c))、後部左席4(図7(d))のように異なる姿勢として取付部20を各座席1〜4側に形成された図外の嵌合部に嵌合させた状態でそれぞれ取り付ける。
なお、補足ではあるが、各座席1〜4側は、それぞれの座席1〜4において図7で示す以外の姿勢ではセンサユニット5が取り付けられないようになっている。
この際、挿入溝22から挿入された球体26が自重により鉛直方向に相当する横溝23a〜23dのいずれかに移動して入るようになっている。
その後、図8〜10に示すように、各センサユニット5a〜5dの挿入溝22にスイッチ体21をそれぞれ挿入して螺子27を貫通穴21aから挿通して雌螺子溝22aに螺合することにより、球体26を介して第1端子A1〜A4と第2端子B1〜B4が当接して通電するようになっている。
この際、第1端子A1〜A4はコイルスプリング25で挿入溝22側に弾性支持されているため、スイッチ体21の先端で球体26を第1端子A1(A2〜A4)側に押圧しながら該スイッチ体21を挿入固定でき、両端子を球体26に確実に当接させて安定できるようになっている。
【0031】
図11に示すように、電気回路24は、前述した第1端子A1〜A4と第2端子B1〜B4の一対で構成されるスイッチ30〜33と、異なる抵抗値を有する抵抗34〜37と、電源38を備えており、スイッチ30〜33の通電位置により、電気回路24の電圧が降下して異なる電圧が発生するようになっている。
【0032】
また、姿勢検知部8は、電気回路24の電圧を検知する電圧検知部8aと、下記表2の如く、スイッチ30〜33が通電した際の電圧(表2中、図示の関係上スイッチの番号のみ付す)と生成すべき姿勢情報とが関連付けて記憶された姿勢記憶部8bと、電圧検知部8aで検知した電気回路24の電圧を姿勢記憶部8bで照合することにより生成すべき姿勢情報を特定する姿勢識別部8cと、姿勢識別部8cで特定された姿勢情報を作成する姿勢情報作成部8dを備えている。
【0033】
【表2】

【0034】
次に、センサユニット5の姿勢情報の作成について説明する。
このように構成されたセンサユニット5は、先ず、図7(a)に示す状態で運転席1にセンサユニット5aを取付部20で固定して設置した後、挿入溝21から球体26を入れると、該球体26が自重により横溝23aに入って移動し(図5、6参照)、続いて、スイッチ体21を挿入溝22に挿入固定すると、第1端子A1と第2端子B1とが球体26を介して当接することにより(図8、9参照)、電気回路24のスイッチ30がONとなって通電する(図11参照)。
【0035】
電気回路24のスイッチ30が通電すると、姿勢検知部12は電気回路24の電圧を電圧検知部12aで検知し、姿勢識別部12cは、この検知された電圧を姿勢記憶部8bで照合することにより生成すべき姿勢情報が0100であると特定する。
次に、姿勢情報作成部12dが姿勢識別部12cで特定された姿勢情報(0100のID値)を作成して制御部9に出力する。
【0036】
同様に、センサユニット5b〜5dを各座席1〜4に設置すると、各センサユニット5b〜5dは姿勢情報として0101、0110、0111のID値を作成して制御部9に出力することとなる。
【0037】
従って、センサユニット5を各座席1〜4に取り付ける際に、各ユニット5の挿入溝22から球体26を挿入してスイッチ体21を挿入溝22に挿入固定するという簡便な方法でもって、各センサユニット5a〜5dに自身の設置姿勢を検知させて異なる姿勢情報をそれぞれ作成させることができ、各ユニット5への手入力等による初期設定作業(ID値の振り分け設定作業)を不要とすることができる。
また、球体26はスイッチ体21で固定されて移動しないため、車両の振動で姿勢を誤って検知してしまう虞がなく、安定した姿勢情報の作成が可能となる。
【0038】
また、全てのセンサユニット5a〜5dを同一仕様の共通部品とすることができ、製造コスト及びメンテナンス費用を低く抑えることができる。
【0039】
なお、挿入溝22内に球体26を予め取り出し不可能な状態で収容しておき、さらに、スイッチ体21を挿入溝22に対して途中位置で仮止めできる構造として、その後、スイッチ体21を所定位置まで挿入して固定するようにしても良い。
また、姿勢識別部8dと姿勢情報作成部8eを制御部9に兼用させても良い。
【0040】
次に、実施例1の制御ユニット6とセンサユニット5の制御処理の一例を説明する。
図12は実施例1の制御ユニットの制御処理を説明するフローチャート図、図13は実施例1のセンサユニットの制御処理を説明するフローチャート図である。
なお、以下に説明する制御ユニット及びセンサユニットの制御処理は、エンジンの始動から停止までに所定時間間隔で繰り返し行われる処理である。
【0041】
図12に示すように、制御ユニット6側では、先ず、ステップS1において、問い合わせを示す信号を各センサユニット5a〜5dに送信すると同時にタイマ18のカウントを開始すると、各センサユニット5a〜5d側では図13に示す制御処理を行う。
図13に示すように、各センサユニット5a〜5dは、ステップS100において、制御ユニット6から問い合わせを示す信号を受信すると同時に、タイマ12のカウントを開始する。
【0042】
次に、ステップS101では、圧力センサ7aの検知結果(圧力値)に姿勢情報(ID値)を付加した送信データを作成する。
【0043】
次に、ステップS102では、姿勢情報(ID値)に応じて予め設定された所定時間後に送信データを送信した後、タイマ12のカウントをリセットする。
例えば、姿勢情報が0100の場合の所定時間を1秒、姿勢情報が0101の場合の所定時間を2秒、姿勢情報が0110の場合の所定時間を3秒、姿勢情報が0111の場合の所定時間を4秒に設定しておくと、各センサユニット5a〜5dは、問い合わせを示す信号を受信してから1秒間隔の時間差でそれぞれ送信データを送信することとなる。
【0044】
図12に戻り、制御ユニット6は、ステップS2において、全ての座席の受信処理が完了したか否かを判定し、完了した場合にはステップ12に移行してタイマ18のカウンタをリセットして処理を終了する一方、完了していない場合にはステップS3に移行する。
【0045】
次に、ステップS3では、各センサユニット5a〜5dから送信データを、問い合わせを示す信号を送信してから所定時間以内に受信したか否かを判定し、受信した場合にはステップS4に移行する一方、受信していない場合にはステップ12に移行してタイマ18のカウンタをリセットして処理を終了する。
この際の所定時間は、前述したS102を考慮すると少なくとも4秒よりも長い時間を設定する。
【0046】
次に、ステップS4では、送信データの姿勢情報が0100か否かを判定し、0100の場合には、ステップS5に移行する一方、0100ではない場合にはステップS6に移行する。
【0047】
ステップS5では、送信データが運転席1に設けられたセンサユニット5aから送信されたものであると識別し、運転席1の圧力センサ17aの検知結果を出力部16を介して各種機器16aに出力した後、ステップS2に戻る。
【0048】
次に、ステップS6では、送信データの姿勢情報が0101か否かを判定し、0101の場合には、ステップS7に移行する一方、0101ではない場合にはステップS8に移行する。
【0049】
ステップS7では、送信データが助手席2に設けられたセンサユニット5bから送信されたものであると識別し、助手席2の圧力センサ17aの検知結果を出力部16を介して各種機器16aに出力した後、ステップS2に戻る。
【0050】
次に、ステップS8では、送信データの姿勢情報が0110か否かを判定し、0110の場合には、ステップS9に移行する一方、0110ではない場合にはステップS10に移行する。
【0051】
ステップS9では、送信データが後部右席3に設けられたセンサユニット5cから送信されたものであると識別し、後部右席3の圧力センサ17aの検知結果を出力部16を介して各種機器16aに出力した後、ステップS2に戻る。
【0052】
次に、ステップS10では、送信データの姿勢情報が0111か否かを判定し、0111の場合には、ステップS11に移行する一方、0111ではない場合にはステップS12に移行する。
【0053】
ステップS11では、送信データが後部左席4に設けられたセンサユニット5dから送信されたものであると識別し、後部左席4の圧力センサ17aの検知結果を出力部16を介して各種機器16aに出力した後、ステップS2に戻る。
ステップ12では、タイマ18のカウンタをリセットして処理を終了する。
【0054】
次に、センサユニット識別システムの動作を説明する。
このように、実施例1のセンサユニット識別システムでは、制御ユニット6が各ユニット5a〜5dに対して問い合わせ信号を送信すると(ステップS1)、各センサユニット5a〜5dが自身の設置姿勢を検知して前述の如く姿勢情報をそれぞれ作成する。
その後、各ユニット5a〜5dはそれぞれ作成した姿勢情報を圧力センサ7aの検知結果に付加して送信データを作成した後、時間差を有して次々と返信する(ステップS100〜S102)。
【0055】
制御ユニット6は、各ユニット5a〜5dから次々と返信される送信データの姿勢情報から座席位置を識別し、各種機器16aの要求に応じて各座席1〜4毎に圧力センサ7aの検知結果を出力部16から出力する(ステップS2→ステップS3〜S11)。
また、全ての座席1〜4の送信データを受信すると、処理を終了する(ステップS2→END)。
【0056】
また、各センサユニット5a〜5dとの通信状態が悪く、所定時間内に各センサユニット5a〜5dから返信がない場合等には処理を終了する(ステップS3→END)。
これにより、制御ユニット6が制御処理を最初からやり直すことにより、確実なデータの送受信が可能となる。
【0057】
従って、実施例1のセンサユニット識別システムでは、各センサユニット5a〜5dが設置姿勢を検知してそれぞれ姿勢情報を作成すると共に、制御ユニット6に検知結果を送信する際に姿勢情報を付加した送信データを送信することにより、制御ユニット6は受信した送信データの姿勢情報に基づいて、送信された座席位置(センサユニット5a〜5d)を容易且つ確実に識別することができる。
【0058】
なお、前述した制御処理は一例であって、これに限定されるものではない。
例えば、実施例1では、制御ユニット6が全ての座席1〜5に設置されたセンサユニット5a〜5dの送信データを受信するようにしたが、各種機器16aの要求に応じて特定の座席の送信データのみを取得するようにしても良い。
【0059】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、実施例1のセンサユニット識別システムにあっては、車室内の各座席1〜4に状態を検出可能なセンサを具備するセンサユニット5(5a〜5d)をそれぞれ設置すると共に、これら各センサユニット5a〜5dが圧力センサ7aの検出結果を制御ユニット6へ無線で送信するようにしたセンサユニット識別システムであって、各センサユニット5a〜5dを座席1〜4毎に異なる姿勢で設置し、各センサユニット5a〜5dは、自身の姿勢を検出して姿勢情報を作成する姿勢検出部8と、圧力センサ7aの検出結果に姿勢情報を付加した送信データを制御ユニット6へ無線で送信する無線部10を備え、制御ユニット6は、予め座席位置と姿勢情報を関連付けて記憶された座席位置記憶部13と、各センサユニット5a〜5dから送信された送信データの姿勢情報を座席位置記憶部13で照合して各センサユニット5a〜5dが設置された座席位置を識別する制御部14を備えるため、各センサユニット5a〜5dを共通仕様にして部品の種類を減らして製造コストとメンテナンス費用を低く抑えることができると同時に、各センサユニット5a〜5dの座席位置を制御ユニット6で容易且つ確実に識別できる。
【0060】
また、姿勢検出部8を、センサユニット5に形成された挿入溝22と、この挿入溝22から軸直方向へ向けて凹設された複数の横溝23a〜23dと、各横溝23a〜23d内にそれぞれ設けられた第1端子A1〜A4と、挿入溝22に挿入固定され、且つ、各第1端子A1〜A4と対応する外周部位置に第2端子B1〜B4を有するスイッチ体21と、センサユニット5の設置時に自重により複数の横溝23a〜23dのうちのいずれか1つに移動し、スイッチ体21の挿入溝22への挿入固定時にそれぞれ対応する第1端子A1〜A4及び第2端子B1〜B4に当接してこれら両者を通電させる導電性の球体26と、各第1端子A1〜A4及び第2端子B1〜B4にそれぞれ接続され、且つ、球体26を介して通電された第1端子A1〜A4と第2端子B1〜B4に応じて異なる電圧を発生させる電気回路24と、電気回路24の異なる電圧を検知する電圧検知部8aと、電気回路24の電圧と生成すべき姿勢情報とが関連付けて記憶された姿勢記憶部8bと、電圧検知部8aで検知した電気回路24の電圧を姿勢記憶部8bで照合して、生成すべき姿勢を特定する姿勢識別部8cと、姿勢識別部8cで特定された姿勢情報を作成する姿勢情報作成部8dとから構成したことため、簡便な構成でもってセンサユニット5の設置時に自身の姿勢を検知させて姿勢情報を容易且つ確実に作成できる。
【実施例2】
【0061】
以下、実施例2を説明する。
実施例2において、前記実施例1と同様の構成部材については同じ符号を付してその説明は省略し、相違点のみ詳述する。
図14は実施例2のセンサユニットの取付けを説明する図である。
【0062】
図14に示すように、実施例2では、センサユニット5のスイッチ体21が外周部に鍔状の抜け止め用ストッパ部40を備えると共に、螺子27の先端をセンサユニット5を貫通させて座席1(2〜4)側に形成された雌螺子孔41に螺合することにより、該センサユニット5を固定しているという点が実施例1と異なる。
なお、実施例1と同様に、センサユニット5の姿勢は、取付部20を座席1(2〜4)側に形成された図外の嵌合部に嵌合させることで決定・規制している。
【0063】
従って、実施例2では、実施例1の作用・効果に加えて、スイッチ体21をセンサユニット5の各座席1〜4への固定用部材として兼用できるという効果を得ることができる。
【0064】
以上、実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、センサの種類、設置数、設置位置等については適宜設定できる。
【0065】
また、各種機器がセンサによる検出結果を自身の作動にどのように反映させるかは任意に設定でき、これらを特定した構成は全て本発明の範疇となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1のセンサユニット識別システムが採用された車両を説明する図である。
【図2】実施例1のセンサユニット識別システムのシステム構成図である。
【図3】実施例1のセンサユニットの正面図である。
【図4】実施例1のセンサユニットの側面図である。
【図5】実施例1の姿勢検知部の要部拡大断面図である。
【図6】図5の矢視X1から見た姿勢検知部の正面拡大図である。
【図7】実施例1の各センサユニットの設置姿勢を示す図である。
【図8】実施例1の姿勢検知部8のスイッチ体の組み付けを説明する図である。
【図9】実施例1の姿勢検知部8のスイッチ体の組み付けを説明する図である。
【図10】実施例1の姿勢検知部8のスイッチ体の組み付けを説明する図である。
【図11】実施例1の姿勢検知部8の電気回路を説明する図である。
【図12】実施例1の制御ユニットの制御処理を説明するフローチャート図である。
【図13】実施例1のセンサユニットの制御処理を説明するフローチャート図である。
【図14】実施例2のセンサユニットの取付けを説明する図である。
【符号の説明】
【0067】
A1、A2、A3、A4 第1端子
B1、B2、B3、B4 第2端子
1 運転席
2 助手席
3 後部左席
4 後部右席
5、5a、5b、5c、5d センサユニット
6 制御ユニット
7 センサ部
7a 圧力センサ
8 姿勢検知部
8a 電圧検知部
8b 姿勢記憶部
8c 姿勢識別部
8d 姿勢情報作成部
9 制御部
10 無線部
10a 送信部
10b アンテナ
10c 受信部
10d 受信コイル
11 電源部
12 タイマ
13 座席位置記憶部
14 制御部
15 無線部
15a 送信部
15b アンテナ
15c 受信部
15d 受信コイル
16 出力部
16a 各種機器
17 電源部
18 タイマ
20 取付部
21 スイッチ体
22 挿入溝
22a 雌螺子溝
23a、23b、23c、23d 横溝
24 電気回路
25 コイルスプリング
26 球体
27 螺子
30、31、32、33 スイッチ
34、35、36、37 抵抗
38 電源
40 抜け止め用ストッパ部
41 雌螺子孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の各座席に状態を検出可能なセンサを具備するセンサユニットをそれぞれ設置すると共に、これら各センサユニットがセンサの検出結果を制御ユニットへ無線で送信するようにしたセンサユニット識別システムであって、
前記各センサユニットを座席毎に異なる姿勢で設置し、
前記各センサユニットは、自身の姿勢を検出して姿勢情報を作成する姿勢検出手段と、
前記センサの検出結果に姿勢情報を付加した送信データを制御ユニットへ無線で送信する送信手段を備え、
前記制御ユニットは、予め座席位置と姿勢情報を関連付けて記憶された座席位置記憶手段と、
前記各センサユニットから送信された送信データの姿勢情報を座席位置記憶手段で照合して各センサユニットが設置された座席位置を識別する座席位置識別手段を備えることを特徴とするセンサユニット識別システム。
【請求項2】
請求項1記載のセンサユニット識別システムにおいて、
前記姿勢検出手段を、センサユニットに形成された挿入溝と、この挿入溝から軸直方向へ向けて凹設された複数の横溝と、
前記各横溝内にそれぞれ設けられた第1端子と、
前記挿入溝に挿入固定され、且つ、前記各第1端子と対応する外周部位置に第2端子を有するスイッチ体と、
前記センサユニットの設置時に自重により前記複数の横溝のうちのいずれか1つに移動し、前記スイッチ体の挿入溝への挿入固定時にそれぞれ対応する第1端子及び第2端子に当接してこれら両者を通電させる導電性の球体と、
前記各第1端子及び第2端子にそれぞれ接続され、且つ、前記球体を介して通電された第1端子と第2端子に応じて異なる電圧を発生させる電気回路と、
前記電気回路の異なる電圧を検知する電圧検知手段と、
前記電気回路の電圧と生成すべき姿勢情報とが関連付けて記憶された姿勢記憶手段と、
前記電圧検知手段で検知した電気回路の電圧を姿勢記憶手段で照合して、生成すべき姿勢情報を特定する姿勢識別手段と、
前記姿勢識別手段で特定された姿勢情報を作成する姿勢情報作成手段とから構成したことを特徴とするセンサユニット識別システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−83536(P2009−83536A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252178(P2007−252178)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】