説明

センサーデバイス、モーションセンサー、電子機器

【課題】外部から加わる衝撃などの応力の緩和が可能なセンサーデバイス、モーションセンサー、及び、これらを用いた電子機器を提供する。
【解決手段】センサーデバイス1は、シリコン基板10の能動面10a側に設けられた第1の電極11b,11d,11fと、応力緩和層15と、その応力緩和層15上に設けられた外部接続端子12b,12d,12fと、を含む。応力緩和層15上には配線36b,36d,36fが形成され、外部接続端子12b,12d,12f接続されている。能動面10a上の配線16b,16d,16fと、応力緩和層15上の対応する配線36b、36d、36fとは、ビアホール30b、30d、30fにより接続されている。ビアホール30b、30d、30fは、外部接続端子12b,12d,12fと振動ジャイロ素子20の接続電極としての引き出し電極29b,29d,29fとの接合領域外に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーデバイス、モーションセンサー、及び、それらを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加速度や角速度などをセンシングするモーションセンサーにおいては、センサー素子と該センサー素子を駆動する機能を有する回路素子とを備えたセンサーデバイスを用いた構成が知られている。
例えば、特許文献1には、センサー素子としての振動ジャイロ素子(ジャイロ振動片)と回路素子としての半導体装置(以下、半導体基板という)とを備えたセンサーデバイスがパッケージに収納されたモーションセンサーとしてのジャイロセンサー(圧電発振器)が開示されている。
この構成では、半導体基板が支持基板に固着され、支持基板に形成されたリード配線部と電気的に接続されている。また、センサー素子(振動ジャイロ素子)は、支持基板に固着されたリード線に接続されることによって、半導体基板と空隙を保ち該半導体基板と平面視で重なるように配置されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のジャイロセンサーでは、外部から加わる衝撃などによるセンサー素子への影響を緩和するために、リード線に弾性を持たせ、その撓みによって外部から加わる衝撃を吸収する構成となっている。このことから、ジャイロセンサーは、外部から加わる衝撃によりリード線が撓んだ場合でも、半導体基板と、センサー素子とが互いに干渉しないように、両者間にリード線の撓み量を超える空隙を設ける必要がある。この結果、上記ジャイロセンサーは、センサーデバイスの厚さが増加し、総厚が厚くなってしまうという課題を有している。
【0004】
このような課題を解決するジャイロセンサーの構成として、半導体基板上に応力緩和層を設け、その応力緩和層上に、半導体基板の第1の電極と再配置配線を介して電気的に接続されて設けられた外部接続端子を備え、その外部接続端子を介してセンサー素子を接続・保持する構成が有効であることを発明者は見出した。
詳述すると、このジャイロセンサーは、能動面側に第1の電極が設けられた半導体基板と、基部と該基部から延伸された振動部と接続電極とを備えたセンサー素子と、を有している。また、ジャイロセンサーは、第1の電極に電気的に接続されて能動面側に設けられた外部接続端子と、半導体基板と外部接続端子との間に設けられた応力緩和層と、半導体基板の能動面側に設けられた接続用端子と、を有している。そして、センサー素子は、接続電極と外部接続端子との接続によって半導体基板に保持されている。
この構成によれば、半導体基板と外部接続端子との間に設けられている応力緩和層によって、外部から加わる衝撃などが吸収され緩和されるとともに、特許文献1に記載のジャイロセンサーの構成のように、リード線などを介さず直接的に接続することが可能となるので、リード線の撓み量を考慮した空隙が不要となって厚さを低減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−292079号公報(図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
厚さの低減を図りながら、外部から加わる衝撃などの応力の緩和が可能な上記ジャイロセンサーにおいて、半導体基板の第1の電極と、応力緩和層上に設けられた外部接続端子との電気的な接続に供する再配置配線は、応力緩和層の半導体基板側と外部接続端子側との層間の電気的接続を図るための層間配線、例えば、ビアホール(Via hole)を含む。
上記構成のジャイロセンサーにおいて、再配置配線のビアホールが外部接続端子と前記接続電極との接合領域に設けられている場合には、ビアホール内に埋設されている金属などの導電性部材によって、応力緩和層による応力緩和効果が十分に発揮されなくなる。即ち、センサー素子の支持部分の直下にビアホールが存在する場合には、支持部分の直下の応力緩和層の弾性変形が規制されて応力緩和効果が低下することにより、振動モードや周波数温度特性が不安定になって周波数ばらつきを生じたり、外部からセンサー素子に加わる衝撃などに対する耐衝撃性が低下したりする問題があることを発明者は見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかるセンサーデバイスは、半導体基板と、記半導体基板の能動面側に設けられた第1の電極と、前記第1の電極に再配置配線を介して電気的に接続されて前記能動面側に設けられた外部接続端子と、前記半導体基板と前記外部接続端子との間に設けられた応力緩和層と、前記半導体基板の前記能動面側に設けられた接続用端子と、基部と該基部から延伸された振動部と接続電極とを備えたセンサー素子と、を有し、前記センサー素子は、前記接続電極と前記外部接続端子との接続によって前記半導体基板に保持されたセンサーデバイスであって、前記再配置配線は前記応力緩和層の層間配線としてのビアホール(Via hole)を含み、前記ビアホールが前記外部接続端子と前記接続電極との接合領域外に設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記構成のセンサーデバイスにおいて、半導体基板の能動面側に接続用端子が設けられ、再配置配線によって応力緩和層を介して第1の電極と電気的に接続された外部接続端子と、センサー素子の接続電極とが接続されている。しかも、再配置配線のうち、応力緩和層の層間配線としてのビアホールが、外部接続端子と接続電極との接合領域外に設けられているので、応力緩和層によるセンサー素子の支持部分の応力緩和効果がビアホールにより阻害されることがない。このような再配置配線により、センサーデバイスは、外部接続端子の位置やその配列を自由(任意)に設計することができるとともに、半導体基板と外部接続端子との間に設けられている応力緩和層によって外部から加わる衝撃などが吸収され緩和され、安定した振動モードや周波数温度特性を有することができる。
また、上記構成のセンサーデバイスは、外部から加わる衝撃などがセンサー素子に伝達され難くなることから、半導体基板の外部接続端子とセンサー素子とがリード線などを介さず直接的に接続することが可能となる。したがって、センサーデバイスは、リード線の撓み量を考慮した空隙が不要となることから、従来の構成と比較して、厚さを低減することが可能となる。
【0010】
[適用例2]上記適用例にかかるセンサーデバイスにおいて、前記外部接続端子は、突起電極であることを特徴とすることが好ましい。
【0011】
これによれば、センサーデバイスは、外部接続端子が突起電極であることから、センサー素子と半導体基板との間に隙間を設けることが可能となり、センサー素子と半導体基板との接触を回避することが可能となる。
これにより、センサーデバイスは、センサー素子の安定的な駆動を行うことが可能となる。
【0012】
[適用例3]上記適用例にかかるセンサーデバイスにおいて、前記第1の電極から引き出された再配置配線の一部が蛇行していることを特徴とする。
【0013】
例えば、再配置配線において、外部接続端子、即ち、半導体基板とセンサー素子との接合領域からビアホールまでの配線の長さを、直線状に延出させた場合に比してより長くすることができる。これにより、応力が加わったときの応力緩和層の弾性変形がビアホールによって規制される力が配線により伝達されて接合領域に及ぶのを抑制することができるので、接合領域(支持部分)において、応力緩和層による応力緩和効果を確保することができる。
【0014】
[適用例4]本適用例にかかるセンサーデバイスは、前記半導体基板の前記能動面にはパッシベーション膜が設けられ、前記ビアホールを除く前記再配置配線の大部分が前記パッシベーション膜上に設けられていることを特徴とする。
【0015】
これによれば、外部接続端子と接続電極との接合領域外にビアホールを配置する本発明の再配置配線の構成において、再配置配線の長さを短くすることができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例4にかかるセンサーデバイスにおいて、前記第1の電極は、前記半導体基板の周縁部近傍に配設され、前記ビアホールが、前記半導体基板の中央付近の上方に配置されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、特に、外部接続端子と接続電極との接合領域が、平面視で第1の電極の近傍に位置する場合に、接合領域からビアホールまでの位置をより離すことができるので、センサー素子の支持部分において、応力緩和層による応力緩和効果を確保することができる。
【0018】
[適用例6]上記適用例にかかるセンサーデバイスにおいて、前記応力緩和層及び前記再配置配線が複数積層されて形成されていることを特徴とする。
【0019】
これによれば、応力緩和層を介して電極や配線の直上に配線を設けることによって、再配置配線の設計の自由度をより高くすることができる。
【0020】
[適用例7]本適用例にかかるモーションセンサーは、上記適用例のいずれかに記載のセンサーデバイスと、前記センサーデバイスを収納するパッケージと、を有し、前記センサーデバイスが、前記パッケージに収納されていることを特徴とする。
【0021】
これによれば、モーションセンサーは、上記適用例のいずれか一例に記載の効果を奏するセンサーデバイスを備えたモーションセンサーを提供できる。
加えて、モーションセンサーは、薄型化されるとともに耐衝撃性の高いセンサーデバイスを用いることから、薄型化及び耐衝撃性の向上を実現することが可能となる。
【0022】
[適用例8]本適用例にかかるモーションセンサーは、前記複数のセンサーデバイスを収納するパッケージと、を有し、前記複数のセンサーデバイスは、前記各センサー素子の主面同士の成す角度が略直角となるように前記パッケージ内に配置され、収納されていることを特徴とする。
【0023】
これによれば、モーションセンサーは、上記適用例のいずれか一例に記載の効果を奏する複数のセンサーデバイスを備えたモーションセンサーを提供できる。
また、モーションセンサーは、各センサーデバイスが各センサー素子の主面同士の成す角度が略直角となるようにパッケージ内に配置され、収納されていることから、1つで、複数軸に対応したセンシングが可能となる。
【0024】
[適用例9]本適用例にかかるモーションセンサーは、少なくとも1つの前記センサー素子の主面は、前記パッケージの外部部材に接続される被接続面と略平行であることを特徴とする。
【0025】
これによれば、モーションセンサーは、1つで、パッケージの被接続面と略直交する軸を含む複数軸に対応したセンシングが可能となる。
【0026】
[適用例10]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれか一項に記載のセンサーデバイス、または、モーションセンサーを備えていることを特徴とする。
【0027】
上記構成の電子機器は、上記適用例のセンサーデバイス、または、モーションセンサー、即ち、振動モードや周波数温度特性が安定して周波数ばらつきが抑制された高感度のセンサーデバイス、または、モーションセンサーを備えているので、高機能で安定した特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】センサーデバイスの一実施形態の概略構成を示す模式図であり、(a)は、半導体基板としてのシリコン基板側(上側)から俯瞰した平面図、(b)は、(a)の矢印F側からみた側面図、(c)は、(a)の矢印S側から見た側面図。
【図2】センサーデバイスの応力緩和構造及び再配置配線を分解して説明する模式図であり、(a)は、シリコン基板を上側から俯瞰した平面図、(b)は、応力緩和構造が施されたシリコン基板を上側から俯瞰した平面図。
【図3】図1及び図2のB−B線断面において振動ジャイロ素子が搭載された状態を示す模式断面図。
【図4】センサー素子としての振動ジャイロ素子の動作を説明する模式平面図。
【図5】振動ジャイロ素子の動作を説明する模式平面図。
【図6】第1の実施形態のセンサーデバイスを搭載したモーションセンサーとしてのジャイロセンサーを示す模式図であり、(a)は、上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のA−A線断面図。
【図7】センサーデバイスにおける応力緩和構造の変形例1のシリコン基板を上側から俯瞰した平面図。
【図8】センサーデバイスにおける応力緩和構造及び再配置配線の変形例2の概略構成を示す模式図であり、(a)は、シリコン基板を上側から俯瞰した平面図、(b)は、応力緩和構造が施されたシリコン基板を上側から俯瞰した平面図。
【図9】センサーデバイスにおける応力緩和構造及び再配置配線の変形例3の概略構成を示す模式図であり、(a)は、シリコン基板を上側から俯瞰した平面図、(b)は、応力緩和構造が施されたシリコン基板を上側から俯瞰した平面図。
【図10】センサーデバイスにおける応力緩和構造及び再配置配線の変形例4の概略構成を示す模式図であり、(a)は、素子の中央に支持部を有するセンサー素子としての振動ジャイロ素子を上側からみて模式的に説明する平面図、(b)は、シリコン基板を上側から俯瞰した平面図、(c)は、応力緩和構造が施されたシリコン基板を上側から俯瞰した平面図。
【図11】上記実施形態及び変形例のセンサーデバイス、または、ジャイロセンサー(モーションセンサー)を搭載した電子機器の例を示す模式図であり、(a)は、デジタルビデオカメラの斜視図、(b)は、携帯電話機の斜視図、(c)は、情報携帯端末(PDA)の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
〔センサーデバイス〕
図1は、センサーデバイスの一実施形態の概略構成を示す模式図であり、(a)は、半導体基板としてのシリコン基板側(上側)から俯瞰した平面図、(b)は、(a)の矢印F側からみた側面図、(c)は、(a)の矢印S側から見た側面図である。
また、図2は、センサーデバイスの応力緩和構造及び再配置配線を分解して説明する模式図であり、(a)は、シリコン基板を上側から俯瞰した平面図、(b)は、応力緩和構造が施されたシリコン基板を上側から俯瞰した平面図である。
また、図3は、図1及び図2のB−B線断面においてジャイロ振動片が搭載された状態を示す模式断面図である。
【0031】
図1に示すように、センサーデバイス1は、半導体基板としてのシリコン基板10と、振動ジャイロ素子(ジャイロ振動片)20と、を備えている。振動ジャイロ素子20は、シリコン基板10の能動面10a側に形成された応力緩和層15上に設けられた複数の外部接続端子12a〜12fを介して電気的な接続をはかりながら保持されている。
【0032】
まず、センサーデバイス1におけるセンサー素子としての振動ジャイロ素子20について詳細に説明する。
振動ジャイロ素子20は、圧電材料である水晶を基材(主要部分を構成する材料)として形成されている。水晶は、電気軸と呼ばれるX軸、機械軸と呼ばれるY軸及び光学軸と呼ばれるZ軸を有している。
そして、振動ジャイロ素子20は、水晶結晶軸において直交するX軸及びY軸で規定される平面に沿って切り出されて平板状に加工され、平面と直交するZ軸方向に所定の厚みを有している。なお、所定の厚みは、発振周波数(共振周波数)、外形サイズ、加工性などにより適宜設定される。
【0033】
また、振動ジャイロ素子20を成す平板は、水晶からの切り出し角度の誤差を、X軸、Y軸及びZ軸の各々につき多少の範囲で許容できる。例えば、X軸を中心に0度から2度の範囲で回転して切り出したものを使用することができる。Y軸及びZ軸についても同様である。
振動ジャイロ素子20は、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチング(ウエットエッチングまたはドライエッチング)により形成されている。なお、振動ジャイロ素子20は、1枚の水晶ウエハーから複数個取りすることが可能である。
【0034】
図1(a)に示すように、本実施形態の振動ジャイロ素子20は、ダブルT型と呼ばれる構成となっている。
振動ジャイロ素子20は、中心部分に位置する基部21と、基部21からY軸に沿って延伸された振動部としての1対の検出用振動腕22a,22bと、検出用振動腕22a,22bと直交するように、基部21からX軸に沿って延伸された1対の連結腕23a,23bと、検出用振動腕22a,22bと平行になるように、各連結腕23a,23bの先端側からY軸に沿って延伸された振動部としての各1対の駆動用振動腕24a,24b,25a,25bとを備えている。
【0035】
各検出用振動腕22a,22bの先端側には、他の部分より幅が大きい(X軸方向の長さが大きい)略矩形状の錘部26a,26bを有している。同様に、二対の駆動用振動腕24a,24b及び駆動用振動腕25a,25bそれぞれの先端側には、他の部分より幅が大きい略矩形状の錘部27a,27b及び錘部28a,28bを有している。これら錘部26a,26b,27a,27b,28a,28bによって、振動ジャイロ素子20は、小型化を図りながら角速度の検出感度を向上させることができる。
【0036】
また、振動ジャイロ素子20は、一対の支持部19a,19bを備えている。このうち一方の支持部19aは、一対の検出用振動腕22a,22bのうちの一方の検出用振動腕22aに対してY軸の正の方向に配置されている。また、他方の支持部19bは、一対の検出用振動腕22a,22bのうち他方の検出用振動腕22bに対してY軸の負の方向側に配置されている。各支持部19a,19bのX軸方向の長さは、各検出用振動腕22a,22bの錘部26a,26bのX軸方向の長さよりも大きく、例えば、一対の連結腕23a,23b及び基部21のX軸方向の長さの合計と同じ程度である。なお、図示の例では、各支持部19a,19bの平面形状は略矩形であるが、特に限定されるものではない。支持部19a,19bは、各検出用振動腕22a,22bと、各駆動用振動腕24a,24b,25a,25bとから離間して配置されている。各支持部19a,19bは、外部接続端子12a〜12fを介してシリコン基板10に固定される部位となる。
【0037】
図1(a)に示すように、基部21から一方の支持部19aまでの間には、一対の梁9a,9cが設けられている。このうち一方の梁9aは、基部21から検出用振動腕22aと駆動用振動腕24aとの間を通って延出されて支持部19aに接続され、他方の梁9cは、基部21から検出用振動腕22aと駆動用振動腕25aとの間を通って延出されて支持部19aに接続されている。
同様に、基部21から他方の支持部19bまでの間には、一対の梁9b,9dが設けられている。このうち一方の梁9cは、基部21から検出用振動腕22bと駆動用振動腕24bとの間を通って延出されて支持部19aに接続され、他方の梁9dは、基部21から検出用振動腕22bと駆動用振動腕25bとの間を通って延出されて支持部19bに接続されている。各梁9a,9b,9c,9dは、図示するようなS字形状をそれぞれ有することができる。このように、細長く蛇行した形状を有する梁9a〜9dによって各支持部19a,19bと基部21が接続されることによって、振動ジャイロ素子20の要部がX軸方向及びY軸方向に弾性を得ることができる。
【0038】
基部21の中心は、振動ジャイロ素子20の重心位置としての重心であることができる。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交し、重心を通るものとする。振動ジャイロ素子20は、重心に関して点対称であることができる。即ち、振動ジャイロ素子20は、XZ平面に関して面対称であり、かつYZ平面に関して面対称であることができる。
【0039】
また、振動ジャイロ素子20は、検出用振動腕22a,22bに、図示しない検出電極が形成され、駆動用振動腕24a,24b,25a,25bに、図示しない駆動電極が形成されている。
振動ジャイロ素子20は、検出用振動腕22a,22bで、角速度を検出する検出振動系を構成し、連結腕23a,23bと駆動用振動腕24a,24b,25a,25bとで、振動ジャイロ素子20を駆動する駆動振動系を構成している。
【0040】
振動ジャイロ素子20は、平面視において、シリコン基板10と重なるようにシリコン基板10の能動面10a側に配置されている。
なお、振動ジャイロ素子20は、基部21及び各振動腕の表裏面を主面とする。ここでは、基部21において外部と電気的に接続する面を一方の主面20aといい、一方の主面20aと対向する面を他方の主面20bという。
【0041】
振動ジャイロ素子20の各支持部19a,19bそれぞれの一方の主面20aには、上記各検出電極、各駆動電極から引き出された接続電極としての引き出し電極(図1には図示せず)が形成されており、各引き出し電極とシリコン基板10の対応する外部接続端子12とが、電気的及び機械的に接続されている。
これにより、振動ジャイロ素子20は、シリコン基板10に保持されている。
【0042】
次に、半導体基板としてのシリコン基板10について図面に沿って説明する。
シリコン基板10には、能動面10a側にトランジスターやメモリー素子などの半導体素子を含んで構成される集積回路(図示せず)が形成されている。この集積回路には、振動ジャイロ素子20を駆動振動させるための駆動回路と、角速度が加わったときに振動ジャイロ素子20に生じる検出振動を検出する検出回路とが備えられている。
シリコン基板10は、図2及び図3に示すように、能動面10a側に設けられた複数の第1の電極11a〜11fと、各第1の電極11a〜11fに電気的に接続されて能動面10a側に設けられた外部接続端子12a〜12fと、能動面10aと外部接続端子12a〜12fとの間に設けられた応力緩和層15と、能動面10a側に設けられた接続用端子13とを備えている。
【0043】
第1の電極11a〜11fは、シリコン基板10の集積回路に直接導通して形成されたものである。また、能動面10a上には、パッシベーション膜となる第1絶縁層14が形成されており、この第1絶縁層14には、第1の電極11上に開口部が形成されている。これにより、第1の電極11a〜11fは、第1絶縁層14の開口部内にて外側に露出した状態となっている。
【0044】
第1絶縁層14上には、第1の電極11a〜11fや他の電極を避けた位置、本実施形態ではシリコン基板10の中央部に、絶縁樹脂からなる応力緩和層15が形成されている。
また、第1の電極11a〜11fには、第1絶縁層14の開口部内にて再配置配線の一部としての配線16a〜16fがそれぞれ接続され、それらの一部(図2(a)において配線16b〜16f)は第1絶縁層14上に引き出されている。
また、応力緩和層15上には、能動面10a上の各配線16a〜16fに対応する再配置配線の一部としての配線36a〜36fが形成され、振動ジャイロ素子20の接続電極としての引き出し電極29a〜29dが配置される位置に設けられた再配置配線の一部としてのセンサー素子接続端子37〜37fにそれぞれ接続されている。
能動面10a上の配線16a〜16fのそれぞれと、応力緩和層15上の対応する配線36a〜36fとは、応力緩和層15の層間配線であるとともに再配置配線の一部としてのビアホール(Via hole)30a〜30fにより接続されている。
これらの配線16a〜16f、配線36a〜36f、センサー素子接続端子37a〜37f、及びビアホール30a〜30fからなる再配置配線は、集積回路の電極の再配置を行うためのもので、シリコン基板10の所定部に配置された第1の電極11a〜11fから応力緩和層15上まで引き回されて形成されたものである。このような再配置配線により、微細設計によって位置の制約が大きい第1の電極11a〜11fに対して、振動ジャイロ素子20との接続に供する外部接続端子12a〜12fの位置を任意にずらして配置し、シリコン基板10における振動ジャイロ素子20との接続位置の自由度を高めるための重要な構成要素である。
【0045】
ここで、能動面10a上の配線16a〜16fと、応力緩和層15上の対応する配線36a〜36fとの接続をはかる層間配線としてのビアホール30a〜30fは、外部接続端子12a〜12dと振動ジャイロ素子20の接続電極としての引き出し電極29a〜29dとの接合領域外に配置されている。
【0046】
また、シリコン基板10の能動面10a側には、配線36a〜36fやセンサー素子接続端子37a〜37fの一部、応力緩和層15、第1絶縁層14を覆って樹脂からなる耐熱性の第2絶縁層17が形成されている。なお、第2絶縁層17は、ソルダーレジストであってもよい。
この第2絶縁層17には、応力緩和層15上にて配線16上に開口部が形成されている。本実施形値では、この第2絶縁層17の開口部により、センサー素子接続端子37a〜37fが形成されている。
【0047】
そして、この開口部内に露出した各センサー素子接続端子37a〜37f上に、外部接続端子12a〜12fが配設されている。この外部接続端子12a〜12fは、例えば、Auスタッドバンプで形成された突起電極となっている。なお、外部接続端子12a〜12fは、Auスタッドバンプの他に、銅、アルミ、あるいはハンダボールなど他の導電性材料にて形成することもできる。
このような構成のもとに、シリコン基板10に形成された集積回路は、第1の電極11a〜11f、配線16a〜16f、ビアホール30a〜30f、配線36a〜36f、センサー素子接続端子37a〜37f、及び、外部接続端子12a〜12fを介して振動ジャイロ素子20と電気的に接続されるようになっている。
この際、センサーデバイス1は、外部接続端子12が突起電極となっていることから、振動ジャイロ素子20とシリコン基板10との間に隙間が設けられる。
【0048】
また、シリコン基板10に形成された集積回路には、第1の電極11以外に図示しない他の電極が形成されている。この他の電極は、第1の電極11の場合と同様に、再配置配線が接続され、第2絶縁層17の開口部内にて外部に露出する接続用端子13と接続されている。接続用端子13は、電気的、あるいは機械的な接続を成すためのパッド状のものである。
【0049】
第1の電極11a〜11fや、その他の電極、あるいは接続用端子13は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、または、これらを含む合金などによって形成されている。特に接続用端子13については、ワイヤーボンディングの際の接合性を高めるため、その表面にニッケル(Ni)、金(Au)のメッキを施しておくのが好ましい。
このようにすることで、特にさびによる接触性、接合性の低下を防止することができる。また、ハンダメッキ、ハンダプリコートなどの最表面処理を施したものとしてもよい。
【0050】
さらに、配線16a〜16f、ビアホール30a〜30f、配線36a〜36f、センサー素子接続端子37a〜37fなどの再配置配線は、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、チタン(Ti)、タングステン(W)、チタンタングステン(TiW)、窒化チタン(TiN)、ニッケル(Ni)、ニッケルバナジウム(NiV)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)などによって形成されている。このうち、ビアホール30a〜30fは、応力緩和層15の両主面間(シリコン基板10の能動面10a側の面と、振動ジャイロ素子20側の面)に貫通孔を形成し、その貫通孔の内壁にめっきや蒸着、あるいはスパッタリングなどにより上記した金属などによる導体膜(導体層)を形成したり、導電性部材を埋設することなどにより形成することができる。
なお、これら配線16a〜16f、ビアホール30a〜30f、配線36a〜36f、センサー素子接続端子37a〜37fなどの再配置配線としては、上記材料による単層構造のみならず、複数種類の上記材料を組み合わせた積層構造としてもよい。なお、これら配線16a〜16f、配線36a〜36f、センサー素子接続端子37a〜37fなどの再配置配線については、通常は同一工程で形成するため、互いに同じ材料となる。
【0051】
また、第1絶縁層14、第2絶縁層17を形成するための樹脂としては、例えばポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、BCB(benzocyclobutene)及びPBO(polybenzoxazole)などが用いられる。
なお、第1絶縁層14については、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si34)などの無機絶縁材料によって形成することもできる。
なお、応力緩和層15は、接続用端子13が形成されるシリコン基板10の外周部にも形成されていてもよい。
【0052】
ここで、センサーデバイス1の振動ジャイロ素子20の動作について説明する。
図4及び図5は、振動ジャイロ素子の動作を説明する模式平面図である。図4は駆動振動状態を示し、図5(a)、図5(b)は、角速度が加わった状態における検出振動状態を示している。
なお、図4及び図5において、振動状態を簡易に表現するために、各振動腕は線で表してある。
【0053】
図4において、振動ジャイロ素子20の駆動振動状態を説明する。
まず、シリコン基板10の集積回路(駆動回路)から駆動信号が印加されることにより、振動ジャイロ素子20は角速度が加わらない状態において、駆動用振動腕24a,24b,25a,25bが矢印Eで示す方向に屈曲振動を行う。この屈曲振動は、実線で示す振動姿態と2点鎖線で示す振動姿態とを所定の周波数で繰り返している。
【0054】
次に、この駆動振動を行っている状態で、振動ジャイロ素子20にZ軸回りの角速度ωが加わると、振動ジャイロ素子20は、図5に示すような振動を行う。
まず、図5(a)に示すように、駆動振動系を構成する駆動用振動腕24a,24b,25a,25b及び連結腕23a,23bには、矢印B方向のコリオリ力が働く。また同時に、検出用振動腕22a,22bは、矢印B方向のコリオリ力に呼応して、矢印C方向に変形する。
【0055】
その後、図5(b)に示すように、駆動用振動腕24a,24b,25a,25b及び連結腕23a,23bには、矢印B’方向に戻る力が働く。また同時に、検出用振動腕22a,22bは、矢印B’方向の力に呼応して、矢印C’方向に変形する。
振動ジャイロ素子20は、この一連の動作を交互に繰り返して新たな振動が励起される。
なお、矢印B,B’方向の振動は、重心Gに対して周方向の振動である。そして、振動ジャイロ素子20は、検出用振動腕22a,22bに形成された検出電極が、振動により発生した水晶の歪を検出することで角速度が求められる。
【0056】
(第2の実施形態)
〔ジャイロセンサー〕
次に、上記のセンサーデバイス1を搭載したモーションセンサーについて、図面を参照しながら説明する。
図6は、第1の実施形態のセンサーデバイスを用いたモーションセンサーとしてのジャイロセンサーを示す模式図であり、(a)は、上側から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のA−A線断面図である。
図6は、第3の実施形態のモーションセンサーとしてのジャイロセンサーの概略構成を示す模式図である。図6(a)は、キャップ(蓋)側(上側)から俯瞰した平面図であり、図6(b)は、図6(a)のA−A線での断面図である。
なお、平面図では、ジャイロセンサーの内部の構造を説明する便宜的にキャップを省略し、キャップの載置位置のみを示してある。また、断面図では、煩雑さを避けるために一部を省略及び簡略化してある。
また、上記第1の実施形態で説明したセンサーデバイス1の構成との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、ジャイロセンサーの特徴的な形態を中心に説明する。
【0057】
図6に示すように、モーションセンサーとしてのジャイロセンサー3は、3つのセンサーデバイスと、各センサーデバイスを内部に収納するパッケージベース72及びキャップ73からなるパッケージ70と、を有し、各センサーデバイス1A〜1Cがパッケージ70の内部に配置され収納されている。なお、センサーデバイス1A〜1Cは、第1の実施形態のセンサーデバイス1と同じ構成のものである。
【0058】
パッケージ70は、凹部71を有するパッケージベース72及び凹部71を覆うキャップ73などから構成されている。なお、本実施形態のジャイロセンサーのパッケージ70の蓋体にはキャップ73を用いる構成を示しているので、パッケージベース72は凹部を有する構成でなくてもよく、フラットなパッケージベースを用いることができる。
パッケージベース72には、例えば、セラミックグリーンシートを成形して積層し、焼成した酸化アルミニウム質焼結体などが用いられている。また、キャップ73には、コバールなどの金属、あるいはセラミックなどが用いられている。
【0059】
センサーデバイス1Aは、振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20bと、パッケージ70の外部部材に接続される被接続面としての底面74とが、略平行になるようにパッケージ70の内部に配置され収納されている。
詳述すると、センサーデバイス1Aは、パッケージベース72の底面74と平行な内底面75に接着剤(不図示)などにより水平に接着・固定され、シリコン基板10の接続用端子13と、パッケージベース72の内底面75に設けられた対応する内部電極76とが、例えばボンディングワイヤー40などの接合部材により接合されている。これにより、センサーデバイス1は、内部電極76aと電気的に接続されている。
【0060】
センサーデバイス1Aと異なる2つのセンサーデバイス1B及びセンサーデバイス1Cは、各振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20b同士の成す角度θ1が略直角となるとともに、各振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20bと、センサーデバイス1Aの振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20bとの成す角度θ2(不図示)が略直角となるように、パッケージ70の内部に配置され収納されている。
【0061】
詳述すると、2つのセンサーデバイス1B,1Cは、パッケージベース72の内底面75に垂直に固定することが可能な垂直保持基板45を介してパッケージ70内に固定される。即ち、2つのセンサーデバイス1B,1Cは、垂直保持基板45に接着剤などの接合部材(不図示)により固定され、シリコン基板10の能動面10aの一端側(パッケージ70内において上側となる端側)に配設された接続用端子13と、垂直保持基板45の内部電極76aとが、例えばボンディングワイヤー40などの接合部材により接続され、シリコン基板10の他端側(パッケージ70内においてパッケージベース72の内底面75側(下側)となる端側)に配設された接続用端子13と、パッケージベース72の内底面75に設けられた内部電極76とが、例えば表面がメタライズされた銅などからなるリード34、及び半田などの導電性を有する接合部材(不図示)により接続されている。
これにより、の一端部34が接合部材51により、一方のセンサーデバイス1Bでは、パッケージベース72の内底面75において内部電極76aの並ぶ方向と同方向に並ぶ内部電極76bに固定され、他方のセンサーデバイス1Cでは、内部電極76aの並ぶ方向と直交する方向に並ぶ内部電極76cに固定されている。なお、図示はしないが、2つのセンサーデバイス1B,1Cが搭載された各垂直保持基板45と、パッケージベース72とを電気的に接続する接続手段を設けてもよい。
これにより、2つのセンサーデバイス1B,1Cは、センサーデバイス1Aと同様にパッケージベース72の内底面75に配置され、内部電極76b,76cと電気的に接続さるとともに、各センサーデバイス1A〜1Cは、各振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20b同士の成す角度θ1,θ2が略直角となっている。
なお、上記した2つのセンサーデバイス1B,1Cの接続・固定方法は一実施形態を説明するものであって、これに限定されるものではない。2つのセンサーデバイス1B,1Cの振動ジャイロ素子20の主面同士の成す角度θ1,θ2が略直角となる状態で固定できれば、例えばパッケージベース72やキャップ73にセンサーデバイス1B,1Cを直接接合する構成としてもよい。
【0062】
パッケージベース72の底面74には、外部の機器(外部部材)などに実装される際に用いられる複数の外部端子74aが形成されている。
内部電極76a,76b,76cは、図示しない内部配線によって、外部端子74aなどと接続されている。
これにより、ジャイロセンサー3は、外部端子74aと各内部電極と各センサーデバイス1A〜1Cとが互いに電気的に接続されている。
なお、外部端子74a、各内部電極は、タングステン(W)などのメタライズ層に、ニッケル(Ni)、金(Au)などの各被膜をメッキなどにより積層した金属被膜からなる。
【0063】
ジャイロセンサー3は、各センサーデバイス1A〜1Cが、パッケージベース72の内部に上記のように配置され収納された状態で、キャップ73がシームリング、低融点ガラスなどの接合部材(不図示)によってパッケージベース72に接合される。
これにより、パッケージ70の内部は、気密に封止される。なお、パッケージ70の内部は、各センサーデバイスの振動ジャイロ素子20の振動が阻害されないように、真空状態(真空度が高い状態)に保持されていることが好ましい。
【0064】
ここで、ジャイロセンサー3の動作について概略を説明する。
ここでは、パッケージ70(パッケージベース72)の底面74が、互いに直交する3軸であるX’軸、Y’軸、Z’軸に対して、X’軸及びY’軸と平行で、Z’軸と直交しているものとする。
これにより、外力などによってジャイロセンサー3の姿勢が変化し、角速度が加わった場合、振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20bとパッケージ70の底面74とが、略平行になるようにパッケージ70の内部に収納されているセンサーデバイス1は、振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20bとZ’軸とが略直交していることから、Z’軸に対する角速度を検出する。
【0065】
一方、各振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20b同士の成す角度θ1が略直角となるとともに、各振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20bとセンサーデバイス1の振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20bとの成す角度θ2が略直角となるように、パッケージ70の内部に収納されている2つのセンサーデバイス1B,1Cは、一方が、振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20bとX’軸とが略直交していることから、X’軸に対する角速度を検出し、他方が、振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20bとY’軸とが略直交していることから、Y’軸に対する角速度を検出する。
【0066】
これらにより、ジャイロセンサー3は、互いに直交する3軸であるX’軸、Y’軸、Z’軸に対する角速度を、1つで検出することができる。
このことから、ジャイロセンサー3は、撮像機器の手ぶれ補正や、GPS(Global Positioning System)衛星信号を用いた移動体ナビゲーションシステムにおける車両などの姿勢検出、姿勢制御などに用いられる。
【0067】
上述したように、第2の実施形態のジャイロセンサー3は、第1の実施形態のセンサーデバイス1を複数備えていることから、第1の実施形態と同様の効果を奏するセンサーデバイスを備えたジャイロセンサーを提供できる。
【0068】
また、ジャイロセンサー3は、センサーデバイスが3つであって、各振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20b同士の成す角度θ1,θ2が略直角となるように、パッケージ70の内部に収容されている。
このことから、ジャイロセンサー3は、互いに直交する3軸に対応したセンシングが、1つで可能なジャイロセンサーを提供できる。
加えて、ジャイロセンサー3は、この3軸を、パッケージ70の底面74と略直交するZ’軸と、パッケージ70の底面74と略平行で、且つ互いに直交するX’軸及びY’軸とからなるようにできる。
【0069】
また、ジャイロセンサー3は、パッケージ70の底面74と略平行な内底面75にセンサーデバイス1のリード34の両端部を固定し、同じ内底面75に、各センサーデバイス1B,1Cの折り曲げられたリード34の一端部を、並ぶ方向が互いに直交する内部電極76bと内部電極76cとに固定することにより、各センサーデバイスの振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20b同士の成す角度θ1,θ2を略直角とすることができる。
この結果、ジャイロセンサー3は、3つのセンサーデバイス1をパッケージ70内部の各面に配置して固定する場合と比較して、各センサーデバイスの実装に際して、センサーデバイスごとに都度パッケージ70の姿勢を変えるなどの作業を廃止できることから、実装工数を削減できる。
【0070】
加えて、ジャイロセンサー3は、各センサーデバイスをパッケージ70内部の同一面である内底面75に実装できることから、3つのセンサーデバイス1をパッケージ70内部の各面に実装する場合と比較して、各センサーデバイスの振動ジャイロ素子20の一方の主面20aまたは他方の主面20b同士の成す角度θ1,θ2のばらつきが、パッケージ70の加工精度に依存しなくなる。
したがって、ジャイロセンサー3は、パッケージ70における各面同士の成す角度などの加工精度の向上が不要となり、3軸に対応したジャイロセンサーを容易に提供できる。
【0071】
上記実施形態で説明したセンサーデバイスは、以下の変形例として実施することも可能である。
【0072】
以下、上記第1の実施形態のセンサーデバイス1における再配置配線の変形例について説明する。
(変形例1)
図7は、センサーデバイスにおける応力緩和構造の再配置配線の変形例1を説明するものであり、応力緩和構造が施されたシリコン基板を上側から俯瞰して模式的に示す平面図である。なお、上記第1の実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、上記第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0073】
図7に示す本変形例のシリコン基板10´において、再配置配線の基本的な構成は、上記実施形態のシリコン基板10と同じである。即ち、シリコン基板10´は、能動面10aに設けられた第1の電極11a〜11fが、配線16a〜16f(図2(a)を参照)、ビアホール30a〜30f、配線136a〜136fをそれぞれ介して、応力緩和層15上のセンサー素子接続端子37a〜37fに再配置されている。
ここで、応力緩和層15上のビアホール30a〜30fと、センサー素子接続端子37a〜37fとの平面視での配置は上記実施形態のシリコン基板10と同じであるが、上記実施形態では、ビアホール30a〜30fと、センサー素子接続端子37a〜37fとを接続する配線36a〜36fが直線状を呈して最短距離で接続されている(図2(b)を参照)のに対して、本変形例のビアホール30a〜30fとセンサー素子接続端子37a〜37fとを接続する配線136a〜136fは、応力緩和層15上を蛇行させて設けられている。
【0074】
この構成において、センサー素子接続端子37a〜37f上には、外部接続端子12a〜12fが配置され、振動ジャイロ素子20の接続電極としての引き出し電極29a〜29fとの接続に供する(図1および図3を参照)。ここで、上記構成のように、センサー素子接続端子37a〜37fとビアホール30a〜30fとを接続する配線136a〜136fを蛇行させて設けることにより、外部接続端子12a〜12fと引き出し電極29a〜29fとの接合領域と、ビアホール30a〜30fとの間の配線136a〜136fの長さが長くなる。これにより、応力が加わったときの応力緩和層15の弾性変形がビアホールによって規制される力が配線により接合領域に及ぶのを抑制することができる。したがって、外部接続端子12a〜12fと引き出し電極29a〜29fとの接合領域(支持部分)において、応力緩和層15による応力緩和効果を確保することができる。
なお、応力緩和層15上の配線136a〜136fを蛇行させて設けた例を説明したが、これらの配線136a〜136fとビアホール30a〜30fにより接続される能動面10a上の配線(図2(a)において配線16a〜16fを蛇行させて設けてもよい。
【0075】
(変形例2)
図8は、センサーデバイスにおける応力緩和構造の再配置配線の変形例2を説明するものであり、(a)は、シリコン基板を上側から俯瞰した平面図、(b)は、応力緩和構造が施されたシリコン基板を上側から俯瞰した平面図である。なお、上記第1の実施形態との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、上記第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0076】
図8において、本変形例のセンサーデバイスにおける半導体基板としてのシリコン基板10Bの再配置配線の基本的な構成は、上記実施形態のシリコン基板10と同様である。本変形例のシリコン基板10Bの特徴は、再配置配線において、能動面10a側に設けられた配線と、応力緩和層15上に設けられた配線との導通をはかるビアホールが、平面視でシリコン基板10Bの中央に配置されている点である。
【0077】
詳述すると、上記実施形態のシリコン基板10と同様に、本変形例のシリコン基板10Bの周縁部の能動面10a上に設けられた第1の電極11a〜11fのうち、第1の電極11c〜11fから、能動面10aの中央に向かって配線216c〜216dがそれぞれ引き出されている。また、それら配線216c〜216fの能動面10a中央側の端部から応力緩和層15上にはビアホール130c〜130dが貫設されている。そして、応力緩和層15上に露出されたビアホール130c〜130dからシリコン基板10Bの周縁部に向けて配線236c〜236fが引き出され、第1の電極11c〜11fの概ね直上に配設されたセンサー素子接続端子237c〜237fに接続されている。
【0078】
また、本変形例のシリコン基板10Bにおいて、能動面10aの接続用端子13のうちの一つから能動面10aの中央に向かって配線216gが引き出され、この配線216gの能動面10a中央側の端部から応力緩和層15上にビアホール130gが貫設され、さらに、応力緩和層15上に露出されたビアホール130gからシリコン基板10Bの周縁部に向けて配線236a,236bが引き出され、第1の電極11a,11bの概ね直上に配設されたセンサー素子接続端子237a,237bに接続されている。ここで、接続用端子13は、例えば接地用電極であることができる。
【0079】
本変形例の構成では、半導体基板としてのシリコン基板10Bの周縁部近傍に第1の電極11a〜11fが配設されている場合に、再配置配線における応力緩和層15の層内配線としてのビアホール130c〜130fをシリコン基板10Bの中央付近に配置している。この構成において、特に、外部接続端子12a〜12fと接続電極としての引き出し電極29a〜29fとの接合領域が、平面視で第1の電極11a〜11fの近傍に位置する場合に(図1および図3を参照)、接合領域からビアホール130c〜130fまでの位置をより離すことができる。また、接合領域からビアホール130c〜130fまでの配線236a〜236fの長さを長くすることができるので、センサー素子としての振動ジャイロ素子20の支持部分において、応力緩和層15による応力緩和効果を十分に確保することができる。
【0080】
(変形例3)
図9は、センサーデバイスにおける応力緩和構造の再配置配線の変形例3を説明するものであり、(a)は、シリコン基板を上側から俯瞰した平面図、(b)は、応力緩和構造が施されたシリコン基板を上側から俯瞰した平面図である。なお、上記第1の実施形態および変形例2との共通部分については、同一符号を付して説明を省略し、上記第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0081】
図9において、本変形例のセンサーデバイスにおける半導体基板としてのシリコン基板10Bの再配置配線の基本的な構成は、上記実施形態のシリコン基板10、および上記変形例2のシリコン基板10Bと同様である。特に、変形例2のシリコン基板10Bと同様に、再配置配線において、能動面10a側に設けられた配線と、応力緩和層15上に設けられた配線との導通をはかるビアホールが、平面視でシリコン基板10Bの中央に配置されている点が共通しており、図9(b)に示す応力緩和構造が施された状態のシリコン基板10Cは、変形例2のシリコン基板10B(図8(b)を参照)と同一の構成になっている。
本変形例の特徴は、図9(a)に示すシリコン基板10Cの能動面10aにおいて、第1の電極81c〜81fが、シリコン基板10Cの中央近傍に配設されている点である。このように、シリコン基板10Cの中央近傍に配設された第1の電極81c〜81f、および接続用端子13が、能動面10a上に引き出された配線86c〜86gと、その配線86c〜86gの中央寄りの先端側から応力緩和層15の上面に貫設されたビアホール130c〜130gと、応力緩和層15上に露出されたビアホール130c〜130gからシリコン基板10Cの周縁部近傍に引き出された配線236a〜236fと、を含む再配置配線により、シリコン基板10Cの周縁部近傍に設けられたセンサー素子接続端子237a〜237fに再配置されている。
【0082】
本変形例の構成によっても、半導体基板としてのシリコン基板10Cと、センサー素子との接合領域外にビアホール130c〜130gを配設した再配置配線により、センサー素子の支持部分の応力緩和層15による応力緩和効果を奏することができる。
【0083】
(変形例4)
上記第1の実施形態、および、変形例1〜3では、半導体基板としてのシリコン基板10,10´,10B,10Cの能動面10aの外周部近傍にセンサー素子接続端子37a〜37f,137a〜137f,237a〜237fが設けられた例を説明した。即ち、接続電極としての引き出し電極29a〜29fが設けられた支持部19a,19bを素子の周縁部に有するセンサー素子としての振動ジャイロ素子20(図1(a)および図4を参照)を用いたセンサーデバイス1を例にとって説明した。これに限らず、例えば、素子の中央に支持部を有するセンサー素子を用いた場合でも、本発明の再配置配線構造はセンサーデバイスの感度低下の抑制に効果を奏する。
図10は、素子の中央に支持部を有するセンサー素子と、そのセンサー素子を搭載する半導体基板としてのシリコン基板との変形例を説明するものであり、(a)は、素子の中央に支持部を有するセンサー素子としての振動ジャイロ素子を上側からみて模式的に説明する平面図、(b)は、シリコン基板を上側から俯瞰した平面図、(c)は、応力緩和構造が施されたシリコン基板を上側から俯瞰した平面図である。なお、上記第1の実施形態および変形例との共通部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0084】
まず、本変形例のセンサー素子としての振動ジャイロ素子101について説明する。
図10(a)において、本変形例の振動ジャイロ素子101は、圧電材料である水晶をエッチング加工することにより形成された中心部分に位置する支持部(基部)121と、支持部121からY軸に沿って延伸された振動部としての1対の検出用振動腕122a,122bと、検出用振動腕122a,122bと直交するように支持部121からX軸に沿って延伸された1対の連結腕123a,123bと、検出用振動腕122a,122bと平行になるように各連結腕123a,123bの先端側からY軸に沿って延伸された振動部としての各1対の駆動用振動腕124a,124b,125a,125bと、を備えている。
また、支持部121の一方の主面(シリコン基板10B´と対向する主面)には、上記各検出電極、各駆動電極から引き出され、シリコン基板10B´との電気的な接続に供する接続電極としての引き出し電極112が設けられている。
【0085】
振動ジャイロ素子101は、検出用振動腕122a,122bに、図示しない検出電極が形成され、駆動用振動腕124a,124b,125a,125bに、図示しない駆動電極が形成されている。振動ジャイロ素子101は、検出用振動腕122a,122bで、角速度を検出する検出振動系を構成し、連結腕123a,123bと駆動用振動腕124a,124b,125a,125bとで、振動ジャイロ素子20を駆動する駆動振動系を構成している。
また、検出用振動腕122a,122bのそれぞれの先端部には、錘部126a,126bが形成され、駆動用振動腕124a,124b,125a,125bのそれぞれの先端部には、錘部127a,127b,128a,128bが形成されている。これにより、振動ジャイロ素子101は、小型化及び角速度の検出感度の向上が図られている。
【0086】
次に、半導体基板としてのシリコン基板10B´、および、そのシリコン基板10B´の再配置配線の構成について説明する。
図10(b)に示す本変形例のシリコン基板10B´は、上記変形例2のシリコン基板10B(図8(a))と同一の構成である。即ち、シリコン基板10B´は、能動面10aの周縁部に設けられた第1の電極11c〜11fから、能動面10aの中央に向かって配線216c〜216dがそれぞれ引き出され、また、能動面10aの接続用端子13のうちの一つから能動面10aの中央に向かって配線216gが引き出されている。
そして、図10(c)に示すように、配線216c〜216fの能動面10a中央側の端部から応力緩和層15上にはビアホール130c〜130dが貫設され、また、配線216gの能動面10a中央側の端部から応力緩和層15上にビアホール130gが貫設されている。
そして、応力緩和層15上に露出されたビアホール130c〜130d,130gと、シリコン基板10B´の中央に配設されたセンサー素子接続端子87c〜87fおよびセンサー素子接続端子87a,87bとが、極短い配線86c〜86fおよび配線86a,86bにより電気的に接続されている。
【0087】
図10(a)に示す上記振動ジャイロ素子101は、平面視において、図10(c)に示すシリコン基板10と重なるようにシリコン基板10の能動面10a側に配置される。このとき、振動ジャイロ素子101の支持部121の一方の主面に設けられた接続電極としての引き出し電極112と、シリコン基板10B´の対応するセンサー素子接続端子87a〜87fとが位置合わせされ、外部接続端子12(図1および図4を参照)を介して、電気的及び機械的に接続されている。これにより、振動ジャイロ素子101は、シリコン基板10B´に保持されている。
【0088】
上記変形例4は、第1の電極11a〜11fが半導体基板としてのシリコン基板10B´の周縁部近傍に配設されて、且つ、搭載するセンサー素子としての振動ジャイロ素子101の接続電極としての引き出し電極112が、シリコン基板10B´の中央に配置されている場合の、センサーデバイスにおける半導体基板の応力緩和層を備えた再配置配線の実施例である。この構成によれば、半導体基板としてのシリコン基板10B´の応力緩和層15および再配置配線による応力緩和構造において、第1の電極11a〜10fとビアホール130c〜130f,130gとが平面視で離れた位置に配置されるので、ビアホール130c〜130f,130gが応力緩和効果を損なうことがない。したがって、この応力緩和構造を備えたシリコン基板10B´をセンサーデバイスに適用することにより、落下や振動などの衝撃による感度の低下を抑えることが可能なセンサーデバイスの提供に寄与できる。
また、本変形例のシリコン基板10B´では、再配置配線の大部分がパッシベーション膜上に設けられている。このような構成にすることにより、外部接続端子(12a〜12f、図1および図3を参照)と接続電極(引き出し電極29a〜29f、図1および図3を参照)との接合領域外にビアホールを配置する本発明の再配置配線の構成において、再配置配線の全体の長さを短くすることができる。
【0089】
(第3の実施形態)
〔電子機器〕
上記第1の実施形態および変形例1〜4に記載の応力緩和層15および再配置配線による応力緩和構造を有する半導体基板としてのシリコン基板10,10´,10B,10B´,10Cを備えたセンサーデバイス1、および、それらを備えた第2の実施形態のモーションセンサーとしてのジャイロセンサーを搭載した電子機器は、小型化および高性能化を図ることが可能である。
例えば、図11(a)は、デジタルビデオカメラへの適用例を示す。デジタルビデオカメラ240は、受像部241、操作部242、音声入力部243、及び表示ユニット1001を備えている。このようなデジタルビデオカメラ240に、上記実施形態のセンサーデバイス1やモーションセンサーとしてのジャイロセンサー3を搭載することにより、所謂手ぶれ補正機能を搭載することができる。
また、図11(b)は、電子機器としての携帯電話機、図11(c)は、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)への適用例をそれぞれ示すものである。
まず、図11(b)に示す携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットと1002を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示ユニット1002に表示される画面がスクロールされる。
また、図11(c)に示すPDA4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニット1003を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が表示ユニット1003に表示される。
このような携帯電話機3000やPDA4000に、上記実施形態のセンサーデバイスやモーションセンサーとしてのジャイロセンサーを搭載することにより、様々な機能を付与することができる。例えば、図11(b)の携帯電話機3000に、図示しないカメラ機能を付与した場合に、携帯電話機3000に搭載されたセンサーデバイスやジャイロセンサーにより手振れ補正を行うことができる。また、図11(b)の携帯電話機3000や、図11(c)のPDA4000にGPS(Global Positioning System)として広く知られる汎地球測位システムを具備した場合に、上記実施形態のセンサーデバイスやモーションセンサーとしてのジャイロセンサーを搭載することにより、GPSにおいて、携帯電話機3000やPDA4000の位置や姿勢を認識させることができる。
【0090】
なお、図11に示す電子機器に限らず、本発明のセンサーデバイスおよびモーションセンサーを適用可能な電子機器として、モバイルコンピューター、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ゲーム機などが挙げられる。
【0091】
以上、発明者によってなされた本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態およびその変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0092】
例えば、上記実施形態および変形例では、半導体基板としてのシリコン基板10,10B,10B´,10C上に、一層の応力緩和層15を設ける構成を説明した。これに限らず、応力緩和層を複数層設けて、その複数の応力緩和層の層間に再配置配線を形成する構成としてもよい。
この構成によれば、複数の応力緩和層を介して電極や配線の直上に配線を設けることができ、再配置配線の引き回しの設計の自由度をより高くすることができる。
【0093】
また、上記各実施形態及び変形例では、振動ジャイロ素子20の基材を水晶としたが、これに限定するものではなく、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li247)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体、または酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体を被膜として備えたシリコンなどであってもよい。
【0094】
また、上記各実施形態及び変形例では、各センサーデバイスのセンサー素子として振動ジャイロ素子20を例に挙げたが、これに限定するものではなく、例えば、加速度に反応する加速度感知素子、圧力に反応する圧力感知素子、重さに反応する重量感知素子などでもよい。
また、上記第2の実施形態及では、モーションセンサーとしてジャイロセンサーを例に挙げたが、これに限定するものではなく、例えば、上記加速度感知素子を備えたセンサーデバイスを用いた加速度センサー、圧力感知素子を備えたセンサーデバイスを用いた圧力センサー、重量感知素子を備えたセンサーデバイスを用いた重量センサーなどでもよい。
【符号の説明】
【0095】
1,1A,1B,1C…センサーデバイス、3…モーションセンサーとしてのジャイロセンサー、9a〜9d…梁、10,10B,10B,10B´,10C…半導体基板としてのシリコン基板、10a…能動面、11a〜11f,81c〜81f…第1の電極、12a〜12f…外部接続端子、13…接続用端子、14…第1絶縁層、15…応力緩和層、16a〜16f,36a〜36f,86c〜86g,136a〜136f,216c〜216g,236a〜236f…配線、17…第2絶縁層、19a,19b…各支持部、20,101…センサー素子としての振動ジャイロ素子、20a…一方の主面、20b…他方の主面、21…基部、22a,22b,122a,122b…検出用振動腕、23a,23b,123a,123b…連結腕、24a,24b,25a,25b,124a,124d,125a,125b…駆動用振動腕、26a,26b,27a,27b,28a,28b,126a,126b,127a,127b,128a,128b…錘部、29a〜29f,112…接続電極としての引き出し電極、30a〜30f,130c〜130g…ビアホール、37a〜37f,87a〜87f,237a〜237f…センサー素子接続端子、40…ボンディングワイヤー、45…垂直保持基板、51…接合部材、70…パッケージ、71…凹部、72…パッケージベース、73…キャップ、74…底面、74a…外部端子、75…内底面、76,76a〜76c…内部電極、121…支持部(基部)、240…電子機器としてのデジタルビデオカメラ、3000…電子機器としての携帯電話機、4000…電子機器としてのPDA。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の能動面側に設けられた第1の電極と、
前記第1の電極に再配置配線を介して電気的に接続されて前記能動面側に設けられた外部接続端子と、
前記半導体基板と前記外部接続端子との間に設けられた応力緩和層と、
前記半導体基板の前記能動面側に設けられた接続用端子と、
基部と該基部から延伸された振動部と接続電極とを備えたセンサー素子と、を有し、
前記センサー素子は、前記接続電極と前記外部接続端子との接続によって前記半導体基板に保持されたセンサーデバイスであって、
前記再配置配線は前記応力緩和層の層間配線としてのビアホール(Via hole)を含み、前記ビアホールが前記外部接続端子と前記接続電極との接合領域外に設けられていることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記外部接続端子は、突起電極であることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記第1の電極から引き出された再配置配線の一部が蛇行していることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記半導体基板の前記能動面にはパッシベーション膜が設けられ、
前記ビアホールを除く前記再配置配線の大部分が前記パッシベーション膜上に設けられていることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記第1の電極は、前記半導体基板の周縁部近傍に配設され、
前記ビアホールが、前記半導体基板の中央付近の上方に配置されていることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のセンサーデバイスにおいて、
前記応力緩和層及び前記再配置配線が複数積層されて形成されていることを特徴とするセンサーデバイス。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のセンサーデバイスと、
前記センサーデバイスを収納するパッケージと、を有し、
前記センサーデバイスが、前記パッケージに収納されていることを特徴とするモーションセンサー。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の複数のセンサーデバイスと、
前記複数のセンサーデバイスを収納するパッケージと、を有し、
前記複数のセンサーデバイスは、前記各センサー素子の主面同士の成す角度が略直角となるように前記パッケージ内に配置され、収納されていることを特徴とするモーションセンサー。
【請求項9】
請求項7または8に記載のモーションセンサーにおいて、
少なくとも1つの前記センサー素子の主面は、前記パッケージの外部部材に接続される被接続面と略平行であることを特徴とするモーションセンサー。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のセンサーデバイス、または、請求項7〜9のいずれか一項に記載のモーションセンサーを備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−79751(P2012−79751A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220799(P2010−220799)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】