説明

センサ回路

【課題】 方向により感度差が発生しないセンサ回路を提供すること
【解決手段】 比較の基準となる固定容量COを設け、前記固定容量COと物理量に応じて容量が変化する一対の可変容量C1, C2とを比較して、その差を出力するものとしている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、センサ回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】静電容量式センサの検出回路としては、例えば図4に示すような、静電容量の差の変化を検出信号とする回路が知られている。図5はその具体例である。
【0003】しかしながら、■静電容量C1→電圧V1と、静電容量C2→電圧V2との変換率が異なる場合や、■静電容量C1,C2が増加する場合と減少する場合で電圧V1,V2への変換率が異なる場合、物理量の変化の検出感度が信号の変化方向によって異なることになる。つまり、上記回路を使用した場合、方向により感度差が発生するという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明では、方向により感度差が発生しないセンサ回路を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】(請求項1記載の発明)この発明のセンサ回路は、比較の基準となる固定容量を設け、前記固定容量と物理量に応じて容量が変化する一対の可変容量とを比較して、その差を出力するものとしている。
(請求項2記載の発明)この発明のセンサ回路は、比較の基準となる固定抵抗を設け、前記固定抵抗と物理量に応じて抵抗が変化する一対の可変抵抗とを比較して、その差を出力するものとしている。
(請求項3記載の発明)この発明のセンサ回路は、比較の基準となる一定の時定数回路を設け、前記一定の時定数回路と物理量に応じて時定数が変化する一対の時定数回路とを比較して、その差を出力するものとしている。
(請求項4記載の発明)この発明のセンサ回路は、上記請求項1又は2記載の発明に関して、可変容量又は可変抵抗を検出部とすると共に半導体論理回路を比較器とし、前記比較器からの出力をオペアンプで作動出力するものとしている。
(請求項5記載の発明)この発明のセンサ回路は、上記請求項3記載の発明に関して、物理量に応じて時定数が変化する一対の時定数回路が、可変容量と固定抵抗、固定容量と可変抵抗、又は可変容量と可変抵抗により構成されており、前記可変容量又は可変抵抗を検出部とすると共に半導体論理回路を比較器とし、前記比較器からの出力をオペアンプで作動出力するものとしている。
【0006】なお、上記発明のセンサ回路の機能については、以下の発明の実施の形態の欄で詳述する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に従って説明する。
(実施形態1について)この実施形態のセンサ回路は、図1に示すように、比較の基準となる固定容量C0と物理量に応じて容量が変化する一対の可変容量C1, C2とをそれぞれ比較してその容量差ΔC1, ΔC2を出力する容量変化量検出回路1,1と、各容量差ΔC1,ΔC2をそれぞれ電圧に変換するC/V変換回路2,2と、前記C/V変換回路2,2からの電圧出力を比較し且つその差を出力するアンプ回路3とから構成されている。
【0008】上記センサ回路をより具体的に形成すると、図2のような回路になる。図2中、符号R0, R1, R2, R4〜R9は固定抵抗、符号C1, C2は可変静電容量、符号C0,Cは固定静電容量、U1, U2はEX−OR論理回路、U3, U4はオペアンプである。
【0009】
図2において、R1=R2、C1=C2(無負荷時)
C1×R1=C2×R2≠C0×R0 ・・・・・(a) また、V0 =(1+R6/R7)(V2 −V1 )・・・・・(b) R6/R7=R9/R8 ■ 可変静電容量C1, C2は、力、モーメント、加速度、圧力等の物理量により変化するようにしてある。
■ 時定数C1×R1,C0×R0の違いによりP1 点には無負荷時に電圧V1 が発生し、他方、時定数C2×R2,C0×R0の違いによりP2 点には無負荷時に電圧V2 が発生する。上記の如くR1=R2、C1=C2であるから回路の対称性よりV1 =V2 となり、V0 =0となる。
■ ここで、上記した物理量によりC2が+ΔCだけ変化し、P2 点の電圧が(V2 +ΔV)になると、出力V0 は上記(b) 式により V0 =(1+R6/R7)(V2 +ΔV−V1 )・・・・・(c) となる。
■ また、物理量により逆にC1が+ΔCだけ変化し、P1 点の電圧が(V1 +ΔV)になると、出力V0 は上記(b) 式により V0 =(1+R6/R7)(V2 −V1 −ΔV)・・・・・(d) となる。
■ したがって、C1又はC2が+ΔCだけ変化すれば、出力電圧V0 の変化量ΔV0 は相互に大きさが同じで、ΔV0 の絶対値=(1+R6/R7)・ΔVとなる。
【0010】これは、例えば、二つの静電容量の差の変化を電圧出力に変換するようなセンサに適用した場合、静電容量の変化量が等しければ電圧出力も等しく変化し、+側と−側の感度が等しくなることを意味する。
■ 以上の説明により、検出軸方向の極性に依存する感度差が発生しない対称回路型のセンサが実現可能なことが明らかである。
(実施形態2について)この実施形態のセンサ回路は、図3に示すように、比較の基準となる固定抵抗R0と物理量に応じて抵抗が変化する一対の可変抵抗R1, R2とをそれぞれ比較してその抵抗差ΔR1, ΔR2を出力する抵抗変化量検出回路1’,1’と、各抵抗差ΔR1, ΔR2をそれぞれ電圧に変換するR/V変換回路2’,2’と、前記R/V変換回路2’,2’からの電圧出力を比較し且つその差を出力するアンプ回路3’とから構成されている。上記センサ回路をより具体的に形成するには、図2に示した回路中のR1, R2のみを可変とし、その他の固定値とすることにより成すことができる。
【0011】このセンサ回路の場合においても上記実施形態と同様に、検出軸方向の極性に依存する感度差が発生しないことが明らかである。
(その他の実施形態について)なお、上記実施形態1、2にかえて、図2に示した回路中のR1, R2及びC1, C2のみを可変とし、その他を固定値とするようにしてもよい。
【0012】また、上記実施形態1、2は一元的な物理量を検出するためのセンサ回路であるが、必要に応じて、図2の回路を複数個用いて多元的に物理量を検出することがこできる。
【0013】さらに、センサ回路の具体的構成は図2に限られるものではなく、同等の機能を発揮する回路であれば自由に採用できる。
【0014】
【発明の効果】この発明は上記構成を有するものであるから以下の効果を奏する。
【0015】発明の実施の形態段の欄の説明から明らかなように、方向により感度差が発生しないセンサ回路を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態1の基本回路を示す図。
【図2】図1の基本回路をより具体化した場合のセンサ回路図。
【図3】この発明の実施形態2の基本回路を示す図。
【図4】従来のセンサの基本回路の図。
【図5】図4の基本回路をより具体化した場合のセンサ回路図。
【符号の説明】
C0 固定容量
C1 可変容量
C2 可変容量
R0 固定抵抗
R1 可変抵抗
R2 可変抵抗
U1 EX−OR論理回路
U2 EX−OR論理回路
U3 オペアンプ
U4 オペアンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 比較の基準となる固定容量を設け、前記固定容量と物理量に応じて容量が変化する一対の可変容量とを比較して、その差を出力することを特徴とするセンサ回路。
【請求項2】 比較の基準となる固定抵抗を設け、前記固定抵抗と物理量に応じて抵抗が変化する一対の可変抵抗とを比較して、その差を出力することを特徴とするセンサ回路。
【請求項3】 比較の基準となる一定の時定数回路を設け、前記一定の時定数回路と物理量に応じて時定数が変化する一対の時定数回路とを比較して、その差を出力することを特徴とするセンサ回路。
【請求項4】 可変容量又は可変抵抗を検出部とすると共に半導体論理回路を比較器とし、前記比較器からの出力をオペアンプで作動出力することを特徴とする請求項1又は2記載のセンサ回路。
【請求項5】 物理量に応じて時定数が変化する一対の時定数回路が、可変容量と固定抵抗、固定容量と可変抵抗、又は可変容量と可変抵抗により構成されており、前記可変容量又は可変抵抗を検出部とすると共に半導体論理回路を比較器とし、前記比較器からの出力をオペアンプで作動出力することを特徴とする請求項3記載のセンサ回路。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−65595(P2000−65595A)
【公開日】平成12年3月3日(2000.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−233918
【出願日】平成10年8月20日(1998.8.20)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】