説明

センサ装置、画像形成装置

【課題】複数の抵抗変化型センサを備える装置において、入力端子の増加を抑制すること。
【解決手段】プリンタ10では、第1出力端子PO1と第2出力端子PO2の間に直列に接続されるTHMa56とTHMb58に対し、第1出力端子PO1と第2出力端子PO2から、共に、時間に対して電源電圧Vccと接地電圧GNDが切り換わり、位相が反転した第1交流信号AC1と第2交流信号AC2を印加する。第1電圧検出回路74は、第1入力端子PI1に入力される中間点SP1の電圧を測定しており、第1交流信号AC1が電源電圧Vccを印加する際に検出された検出電圧と、第1交流信号AC1が接地電圧GNDを印加する際に検出された検出電圧と、に基づいてTHMa56とTHMb58の抵抗値を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗変化型センサを備える装置に用いられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、温度センサや湿度センサなどのセンサを備える画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1)。このような装置では、センサを用いて検出した温度や湿度などの各種情報を用いて装置の制御を行う。温度センサや湿度センサなどでは、比較的安価な抵抗変化型センサが用いられることが多い。抵抗変化型センサは、第1端子と第2端子の一組の端子を備えており、各種情報に基づいて端子間の抵抗値が変化する。そのため、端子間の抵抗値を測定することで当該情報を測定することができる。抵抗変化型センサの抵抗値を測定する際には、抵抗変化型センサと他の抵抗素子を直列に接続した直列回路に電圧を印加し、抵抗分圧された抵抗変化型センサの電圧を検出し、検出された電圧値から抵抗値を算出する。このような装置では、制御に温度や湿度などの複数の情報が必要とされる場合があり、それらの複数の所定情報を測定するための複数の抵抗変化型センサを備える装置が知られている。従来技術には、複数の抵抗変化型センサを備える装置において、各抵抗変化型センサの電圧を個別の入力端子を用いて検出する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−180560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、抵抗変化型センサの抵抗値を測定するために、抵抗変化型センサの数と同数の入力端子が必要とされていた。そのため、装置に含まれる抵抗変化型センサが増加すると、入力端子も同一の数だけ増加させなければならず、入力端子が多く必要となる問題が生じていた。
【0005】
本発明は、複数の抵抗変化型センサを備える装置において、入力端子の増加を抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示されるセンサ装置は、少なくとも2つの抵抗変化型センサと1つの固定抵抗の3つの素子を備えるセンサ装置であって、時間に対して第1電圧と第2電圧とが切り替わる第1交流信号を印加する第1印加回路と、時間に対して前記第1電圧と前記第2電圧とが切り替わる第2交流信号を印加する第2印加回路と、第1入力端子に入力された電圧を検出する第1電圧検出部と、制御部と、を備え、前記3つの素子のうち、いずれか1つの素子の第1端子に前記第1交流信号が印加され、前記3つの素子のうち、前記1つの素子と異なる素子のいずれか一方の素子の第1端子に前記第2交流信号が印加され、前記3つの素子のうち、残りの素子の第1端子に基準電圧が印加され、前記3つの素子の第2端子はお互いに接続されて前記第1入力端子に接続され、前記制御部は、前記第1交流信号が前記第1電圧となり、前記第2交流信号が前記第2電圧となる際に前記第1電圧検出部によって検出された第1検出電圧と、前記第1交流信号が前記第2電圧となり、前記第2交流信号が前記第1電圧となる際に前記第1電圧検出部によって検出された第2検出電圧とを用いて、前記2つの抵抗変化型センサの抵抗値を算出する、
【0007】
また、上記のセンサ装置では、前記2つの抵抗変化型センサの1つは、交流信号を印加して使用する交流駆動センサである構成としても良い。
【0008】
また、上記のセンサ装置では、更に、第3の抵抗変化型センサと第2の固定抵抗と、第2入力端子に入力された電圧を検出する第2電圧検出部と、を備え、前記第3の抵抗変化型センサの第1端子には、前記第1交流信号が印加され、前記第2の固定抵抗の第1端子には、前記第2交流信号が印加され、前記第3の抵抗変化型センサの第2端子と前記第2の固定抵抗の第2端子はお互いに接続されて前記第2入力端子に接続され、前記制御部は、前記第1交流信号が前記第1電圧となり、前記第2交流信号が前記第2電圧となる際に前記第2電圧検出部によって検出された第3検出電圧と、前記第1交流信号が前記第2電圧となり、前記第2交流信号が前記第1電圧となる際に前記第2電圧検出部によって検出された第4検出電圧との少なくとも一方の検出電圧を用いて、前記第3の抵抗変化型センサの抵抗値を算出する構成としても良い。
【0009】
また、上記のセンサ装置では、前記第3の抵抗変化型センサは、交流信号を印加して使用する交流駆動センサである構成としても良い。
【0010】
また、上記のセンサ装置では、前記交流駆動センサは湿度センサであっても良い。
【0011】
また、上記の画像読取装置では、前記抵抗変化型センサの少なくとも1つはサーミスタであっても良い。
【0012】
なお、この発明は、制御装置、制御方法、画像形成装置、画像形成方法、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0013】
本明細書によって開示されるセンサ装置では、第1電圧検出部が第1入力端子を用いて異なるタイミングで検出した検出電圧に基づいて、2つの抵抗変化型センサの抵抗値を算出する。このセンサ装置によれば、2つの抵抗変化型センサの抵抗値を算出するのに、1つの入力端子を有していれば良く、2つの入力端子を必要としない。そのため、従来技術に比べて、入力端子の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】プリンタの断面図
【図2】第1実施形態におけるプリンタの電気的構成を概略的に示すブロック図
【図3】交流信号のタイムチャートと抵抗値を検出するタイミングを示す図
【図4】第1タイミングにおける等価回路
【図5】第2タイミングにおける等価回路
【図6】第2実施形態におけるプリンタの電気的構成を概略的に示すブロック図
【図7】その他の実施形態におけるプリンタの電気的構成を概略的に示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
実施形態1を、図1ないし図5を用いて説明する。
【0016】
1.プリンタの全体構成
図1は、本実施形態のプリンタ10の概略構成を示す側断面図である。プリンタ10は、画像形成装置の一例である。図1に示すように、プリンタ10は、4色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナーを用いてカラー画像を形成する直接転写タンデム方式のカラーレーザプリンタであり、ケーシング12内に構成されている。
【0017】
ケーシング12の内底部には供給トレイ14が設けられており、供給トレイ14に、用紙等のシート材16が積載されている。供給トレイ14は、ケーシング12に対して開閉可能に構成されている。シート材16は、ユーザによって供給トレイ14に供給され、ケーシング12内に格納されると、押圧板18によってピックアップローラ20に押圧される。シート材16は、ピックアップローラ20の回転によって、搬送ローラ22及びレジストローラ24に搬送される。シート材16は、レジストローラ24によって斜行補正が行われた後に、画像形成部30へと搬送される。
【0018】
画像形成部30は、一対の支持ローラ32、34と、ベルト36と、複数の転写ローラ37を含んで構成されている。ベルト36は、支持ローラ32、34の間に架設されており、リング状をしている。転写ローラ37は、リング状のベルト36内部に等間隔に配置されている。支持ローラ32、34はそれぞれ図示されていないモータによって反時計回りに回転し、それに伴ってベルト36が移動する。
【0019】
ベルト36の上側には、画像形成ユニット40が設けられている。画像形成ユニット40は、スキャナ部42とプロセス部44を含んで構成されている。プロセス部44は、4色のトナーに対応した4つの感光ドラム48と、現像カートリッジ46、帯電器50等を含んで構成されている。帯電器50は、感光ドラム48の表面を一様に正帯電させる。現像カートリッジ46内にはトナーが充填されているとともに、現像ローラ47が設けられており、高圧電源80(図2参照)から現像カートリッジ46の現像ローラ47に現像バイアスが印加されて、現像カートリッジ46のトナーが感光ドラム48に供給される。
【0020】
スキャナ部42は、プロセス部44の4つの感光ドラム48の上部に配置されている。スキャナ部42は、後述する中央処理装置(図2参照、以下、CPU)62によってRAM66から送られる各色画像データに基づき、プロセス部44の感光ドラム48にレーザ光Lを照射する。これによって、感光ドラム48の表面に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。そして、高圧電源80から現像カートリッジ46の現像ローラ47に現像バイアスが印加され、この静電潜像に現像カートリッジ46のトナーが供給されることで、感光ドラム48の表面にトナー像が形成される。
【0021】
感光ドラム48の表面に形成されたトナー像がベルト36との転写位置を通過する際、高圧電源80から転写ローラ37に転写バイアスが印加され、ベルト36を介して転写ローラ37に対向配置された感光ドラム48上のトナー像が、シート材16上に転写される。この結果、シート材16上に画像が形成される。ベルト36の移動に伴って、シート材16には各色の画像が連続して形成される。シート材16上に形成された画像は、定着器52に送られて定着され、搬送ローラ26によりシート材16がケーシング12の上部に設けられた排紙トレイ38へと搬送される。
【0022】
ケーシング12内には、ケーシング12に設けられたスリット12Aに対応する位置に、プリンタ10外部の空気である外気の湿度を測定する外気湿度センサ(以後、HUM)54と、外気の温度を測定する外気サーミスタ(以後、THMa)56が設けられている。また、ケーシング12の内部の定着器52近傍には、プリンタ10内部の空気の温度を測定する機内サーミスタ(以後、THMb)58が設けられている。これらのセンサ54〜58は、湿度又は温度に基づいて各センサが有する一対の端子間の抵抗値が変化する抵抗変化型センサである。CPU62は、これらセンサ54〜58の測定結果に基づいて転写部に印加する転写バイアスを決定する。
【0023】
2.プリンタの電気的構成
図2は、プリンタ10の電気的構成を概略的に示すブロック図である。図2に示すように、プリンタ10は、プリンタ10の各部を制御するASIC(特定用途向け集積回路)60を含む。ASIC60には、外部から電源電圧Vcc及び接地電圧GNDが印加されている。ASIC60は、中央処理装置(以下、CPU)62、ROM64、RAM66、駆動回路68、第1印加回路72、第2印加回路78、第1電圧検出回路74、第2電圧検出回路76を備え、これらにバス70を介して、スキャナ部42、高圧電源80などが接続されている。CPU20は、制御部の一例である。
【0024】
ROM64には、プリンタ10の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU62は、ROM64から読み出したプログラムに従って各部の制御を行う。駆動回路68は、モータ(不図示)に接続されており、CPU62からの命令に基づいてパルス信号をモータに送信する。モータは、駆動回路68からのパルス信号によって駆動し、モータが駆動すると、各種ローラが回転し、ケーシング12の内をシート材16が搬送される。
【0025】
第1印加回路72は、CPU62からの命令に基づいて第1出力端子PO1から第1交流信号AC1を印加し、第2印加回路78は、CPU62からの命令に基づいて第2出力端子PO2から第2交流信号AC2を印加する。図3に示すように、第1交流信号AC1と第2交流信号AC2は、共に、時間に対して電源電圧Vccと接地電圧GNDが切り換わる信号であり、第1交流信号AC1と第2交流信号AC2は、位相が反転している。つまり、第1交流信号AC1が電源電圧Vccとなる場合に、第2交流信号AC2が接地電圧GNDとなり、第1交流信号AC1が接地電圧GNDとなる場合に、第2交流信号AC2が電源電圧Vccとなる。電源電圧Vccは、第1電圧の一例であり、接地電圧GNDは、第2電圧の一例である。
【0026】
第1出力端子PO1と第2出力端子PO2の間に、THMa56とTHMb58が直列に接続され、THMa56とTHMb58の中間点SP1と接地電圧GNDの間に固定抵抗R1が接続されている。つまり、THMa56の一方の端子は、第1出力端子PO1に接続され、第1交流信号AC1が印加されている。また、THMb58の一方の端子は、第2出力端子PO2に接続され、第2交流信号AC2が印加されている。また、固定抵抗R1の一方の端子には、接地電圧GNDが印加されている。THMa56とTHMb58と固定抵抗R1の他方の端子は、中間点SP1においてお互いに接続されている。本実施形態において、THMa56とTHMb58は、2つの抵抗変化型センサの一例であり、固定抵抗R1は、1つの固定抵抗の一例である。THMa56とTHMb58と固定抵抗R1は、3つの素子の一例である。
【0027】
また、第1出力端子PO1と第2出力端子PO2の間に、HUM54と固定抵抗R2が直列に接続されている。つまり、HUM54の一方の端子は、第1出力端子PO1に接続され、第1交流信号AC1が印加されている。また、固定抵抗R2の一方の端子は、第2出力端子PO2に接続され、第2交流信号AC2が印加されている。HUM54と固定抵抗R2の他方の端子は、中間点SP2においてお互いに接続されている。本実施形態において、HUM54は、第3の抵抗変化型センサの一例であり、固定抵抗R2は、第2の固定抵抗の一例である。
【0028】
HUM54では、一方の端子から第1交流信号AC1が印加され、固定抵抗R2を介して他方の端子から第2交流信号AC2が印加され、HUM54の一対の端子間に印加される電圧の向きが所定時間毎に切り替わる。HUM54など、抵抗変化型センサの湿度センサでは、高分子膜の抵抗値を用いて湿度を測定している。高分子膜は、比較的誘電率が高いことから、電圧の印加向きを一定とすると、高分子膜内において分極が生じ、抵抗値を精度良く測定することができない。つまり、湿度センサは、交流信号を印加して使用する交流駆動センサの一例である。本実施形態では、HUM54に交流信号AC1、AC2を印加して抵抗値を測定することから、HUM54を用いて外気の湿度を精度良く測定することができる。
【0029】
第1電圧検出回路74は、CPU62からの命令に基づいて第1入力端子PI1に入力された電圧を検出する。また、第2電圧検出回路76は、CPU62からの命令に基づいて第2入力端子PI2に入力された電圧を検出する。本実施形態では、第1入力端子PI1は、中間点SP1に接続され、第2入力端子PI2は、中間点SP2に接続されている。そのため、第1電圧検出回路74は、第1入力端子PI1を介して中間点SP1の電圧を検出し、第2電圧検出回路76は、第2入力端子PI2を介して中間点SP2の電圧を検出する。
【0030】
3.抵抗値測定処理
次に、図3を参照して、電圧検出回路74、76を用いてTHMa56、THMb58、及びHUM54の抵抗値を測定する処理について説明する。
【0031】
CPU62は、第1交流信号AC1が電源電圧Vccに変化し、第2交流信号AC2が接地電圧GNDに変化すると、当該電圧が変化してから所定時間ΔT後の第1タイミングT1に各入力端子PI1、PI2に入力される電圧を検出する。第1電圧検出回路74は、第1タイミングT1において、第1入力端子PI1に入力される第1検出電圧V1を検出し、第2電圧検出回路76は、第1タイミングT1において、第2入力端子PI2に入力される第3検出電圧V3を検出し、検出したこれらの検出電圧V1、V3をRAM66に記憶する。
【0032】
図4に、第1タイミングT1におけるTHMa56、THMb58及び固定抵抗R1の等価回路を示す。第1タイミングT1において、THMb58と固定抵抗R1の一方の端子には、共に接地電圧GNDが印加されることから、第1検出電圧V1は、THMa56の抵抗値RaとTHMb56の抵抗値Rbとを用いて以下のように表される。
(式1):V1=(Rb*R1/(Ra*Rb+Rb*R1+R1*Ra))*Vcc
また、第3検出電圧V3は、HUM54の抵抗値Rhを用いて以下のように表される。
(式2):V3=(R2/(Rh+R2))*Vcc
【0033】
次に、CPU62は、第1交流信号AC1が電源電圧Vccから接地電圧GNDに変化し、第2交流信号AC2が接地電圧GNDから電源電圧Vccに変化すると、第1電圧検出回路74を用いて、当該電圧が変化してから所定時間ΔT後の第2タイミングT2に第1入力端子PI1に入力される電圧を検出する。第1電圧検出回路74は、第2タイミングT2において、第1検出電圧V1を検出したのと同じ第1入力端子PI1に入力される第2検出電圧V2を検出し、検出した第2検出電圧V2をRAM66に記憶する。
【0034】
図5に、第2タイミングT2におけるTHMa56、THMb58及び固定抵抗R1の等価回路を示す。第2タイミングT2において、THMa56と固定抵抗R1の一方の端子には、共に接地電圧GNDが印加されることから、第2検出電圧V2は以下のように表される。
(式3):V2=(Ra*R1/(Ra*Rb+Rb*R1+R1*Ra))*Vcc
【0035】
次に、CPU62は、RAM66から検出電圧V1〜V3を読み出し、抵抗値Ra、Rb、Rhを算出する。CPU62は、(式1)及び(式3)を用いて下記の様に抵抗値Ra、Rbを算出することができ、(式2)を用いて下記の様に抵抗値Rhを算出することができる。
(式4):Ra=R1*(Vcc−V1−V2)/V1
(式5):Rb=R1*(Vcc−V1−V2)/V2
(式6):Rh=R2*Vcc/V3−R2
【0036】
最期に、CPU62は、算出した抵抗値Ra、Rb、Rhから外気湿度、外気温度、及び機内温度を特定する。ROM64には、HUM54の抵抗値Rhと湿度とが対応付けられた対応表が記憶されているとともに、THMa56及びTHMb58の抵抗値Ra、Rbと温度とが関係付けられた対応表が記憶されている。CPU62は、算出した抵抗値Ra、Rb、RhをROM646に記憶された対応表と比較し、外気湿度、外気温度、及び機内温度を特定する。CPU62は、特定したこれらの湿度や温度から、高圧電源80を介して転写ローラ37に印加する転写バイアスを決定する。
【0037】
4.本実施形態の効果
(1)本実施形態のプリンタ10では、CPU62が第1電圧検出回路74を用いて第1入力端子PI1に入力される電圧を異なる2つのタイミングT1、T2で検出した検出電圧V1、V2に基づいて、2つの抵抗変化型センサであるTHMa56とTHMb58の抵抗値を算出する。このプリンタ10によれば、2つの抵抗変化型センサの抵抗値を算出するのに、1つの第1入力端子PI1を有していれば良く、2つの入力端子PIを必要としない。そのため、従来技術に比べて、入力端子PIの増加を抑制することができる。
【0038】
(2)本実施形態のプリンタ10では、交流駆動センサであるHUM54を使用するのに交流信号AC1、AC2をHUM54に印加する必要があり、THMa56とTHMb58の抵抗値を測定する際に、この交流信号AC1、AC2を用いてTHMa56、THMb58の抵抗値を測定する。そのため、これらのセンサ54〜58の抵抗値を測定するのに必要な電圧を印加する印加回路72、78を共通化することができ、センサの増加に伴う印加回路の増加を抑制することができる。
【0039】
<実施形態2>
1.プリンタの電気的構成
実施形態2を、図6を用いて説明する。本実施形態では、第1出力端子PO1と第2出力端子PO2の間に、HUM54とTHMa56が直列に接続され、HUM54とTHMa56の中間点SP3と接地電圧GNDの間に固定抵抗R3が接続されている点で、実施形態1のプリンタ10と異なる。本実施形態では、HUM54とTHMa56は、2つの抵抗変化型センサの一例であり、固定抵抗R3は、1つの固定抵抗の一例である。HUM54とTHMa56と固定抵抗R3は、3つの素子の一例である。
【0040】
2.抵抗値測定処理
本実施形態のプリンタ10では、第1入力端子PI1は中間点SP3に接続され、第1電圧検出回路74は、第1入力端子PI1を介して中間点SP3の電圧を検出する。CPU62は、第1タイミングT1において第1電圧検出回路74を用いて第1入力端子PI1に入力される第1検出電圧V1を検出し、第2タイミングT2において、第1検出電圧V1を検出したのと同じ第1入力端子PI1に入力される第2検出電圧V2を検出する。CPU62は、検出電圧V1、V2から抵抗値Ra、Rhを算出し、RAM66に記憶された対応表を用いて、外気湿度、外気温度を特定する。
【0041】
3.本実施形態の効果
本実施形態のプリンタ10では、交流駆動センサであるHUM54とTHMa56とを直列に接続し、HUM54に印加する交流信号AC1、AC2を利用して、HUM54とTHMa56の抵抗値を1つの第1入力端子PI1を用いて測定する。このプリンタ10によれば、2つの抵抗変化型センサの抵抗値を算出するのに、1つの第1入力端子PI1を有していれば良く、2つの入力端子PIを必要としない。そのため、従来技術に比べて、入力端子PIの増加を抑制することができる。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、プリンタ機能を有する装置を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。本発明は、プリンタ機能を有し、更にスキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などの他の機能の少なくとも1つを備えたを備えた複合機であっても良い。更には、プリンタ機能を必ずしも有していなくても良い。本発明は、温度や湿度などの測定結果に基づいて各種調整を行う装置全般に用いることができる。
【0043】
(2)上記実施形態では、抵抗変化型センサとして、サーミンタと湿度センサを用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。抵抗変化型センサとして、ひずみゲージやボリュームセンサ、又はCdSセル照度センサなどを用いても良い。
【0044】
(3)また、上記実施形態では、交流駆動センサとして湿度センサを例示し、湿度センサに用いられる交流信号AC1、AC2を用いて他の抵抗変化型センサの抵抗値を測定する例を用いて説明を行ったが、交流信号AC1が必要とされる構成は、交流駆動センサに限られない。例えは、モータの相信号等、装置の内部に時間に対して第1電圧と第2電圧とが切り換わる交流信号を出力、あるいは必要とする構成が他に存在する場合には、その交流信号を用いて抵抗変化型センサの抵抗値を測定しても良い。
【0045】
(4)上記実施形態では、プリンタ10が1つのASIC10を有し、ASIC10が有する1つのCPU20によって各種処理を実行する例を用いて示したが、本発明はこれに限られない。例えば、お互いに異なるCPU、ASICなどによって各種処理が分担されていても良い。
【0046】
(5)上記実施形態1では、HUM54の抵抗値Rhを測定する際に、第1タイミングT1において第2入力端子PI2に入力される第3検出電圧V3を検出したが、第2タイミングT2において第2入力端子PI2に入力される電圧を検出し、この検出電圧に基づいてHUM54の抵抗値Rhを測定しても良い。
【0047】
(6)上記実施形態では、第1出力端子PO1と第2出力端子PO2の間に、HUM54とTHMa56とTHMb58のうち、少なくとも2つが直列に接続されている例を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。図7に示すように、第1出力端子PO1と第2出力端子PO2の間に、HUM54とTHMa56とTHMb58の1つのセンサと固定抵抗が直列に接続されており、その中間点と接地電圧GNDの間に、HUM54とTHMa56とTHMb58の他の1つセンサが接続されていても良い。
【0048】
(7)上記実施形態では、基準電圧として接地電圧GNDに接続する例を用いて説明を行なったが、本発明はこれに限られない。例えば、基準電圧として電源電圧Vccに接続されていても良い。
【0049】
(8)上記実施形態では、プリンタ10の内部に2又は3個の抵抗変化型センサを備えた例を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、プリンタの内部に4個の抵抗変化型センサを備える場合には、第1出力端子PO1と第2出力端子PO2の間に2個の抵抗変化型センサを直列に接続し、その中間点SPに接地された1つの固定抵抗を接続するとともに、当該中間点SPを第1入力端子PI1に接続する。同様に、第1出力端子PO1と第2出力端子PO2の間に他の2個の抵抗変化型センサを直列に接続し、その中間点SPに接地された他の1つの固定抵抗を接続するとともに、当該中間点SPを第2入力端子PI2に接続する。これにより、第1電圧検出回路78及び第2電圧検出回路78を用いて4個の抵抗変化型センサの抵抗値を測定することができる。
【0050】
また、それ以上の抵抗変化型センサを備える場合には、2個の抵抗変化型センサが増加する毎に、1つの固定抵抗、1つの入力端子PI及びその入力端子PIの電圧を検出する電圧検出回路を増加させることで、抵抗変化型センサの抵抗値を測定することができる。この場合にも、抵抗変化型センサの増加に対して、電圧検出回路の増加が抑制される関係が維持される。
【符号の説明】
【0051】
10:プリンタ、54:外気湿度センサ(HUM)、56:外気サーミスタ(THMa)、58:機内サーミスタ(THMb)、62:CPU、72:第1印加回路、74:第1電圧検出回路、76:第2電圧検出回路、78:第2印加回路、AC:交流信号、PI:入力端子、PO:出力端子、R1〜R3:固定抵抗、Ra:THMaの抵抗値、Rb:THMbの抵抗値、Rb:HUMの抵抗値、SP:中間点、V1〜V3:検出電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの抵抗変化型センサと1つの固定抵抗の3つの素子を備えるセンサ装置であって、
時間に対して第1電圧と第2電圧とが切り替わる第1交流信号を印加する第1印加回路と、
時間に対して前記第1電圧と前記第2電圧とが切り替わる第2交流信号を印加する第2印加回路と、
第1入力端子に入力された電圧を検出する第1電圧検出部と、
制御部と、
を備え、
前記3つの素子のうち、いずれか1つの素子の第1端子に前記第1交流信号が印加され、
前記3つの素子のうち、前記1つの素子と異なる素子のいずれか一方の素子の第1端子に前記第2交流信号が印加され、
前記3つの素子のうち、残りの素子の第1端子に基準電圧が印加され、
前記3つの素子の第2端子はお互いに接続されて前記第1入力端子に接続され、
前記制御部は、前記第1交流信号が前記第1電圧となり、前記第2交流信号が前記第2電圧となる際に前記第1電圧検出部によって検出された第1検出電圧と、前記第1交流信号が前記第2電圧となり、前記第2交流信号が前記第1電圧となる際に前記第1電圧検出部によって検出された第2検出電圧とを用いて、前記2つの抵抗変化型センサの抵抗値を算出する、センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ装置であって、
前記2つの抵抗変化型センサの1つは、交流信号を印加して使用する交流駆動センサである、センサ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のセンサ装置であって、
更に、
第3の抵抗変化型センサと第2の固定抵抗と、
第2入力端子に入力された電圧を検出する第2電圧検出部と、
を備え、
前記第3の抵抗変化型センサの第1端子には、前記第1交流信号が印加され、
前記第2の固定抵抗の第1端子には、前記第2交流信号が印加され、
前記第3の抵抗変化型センサの第2端子と前記第2の固定抵抗の第2端子はお互いに接続されて前記第2入力端子に接続され、
前記制御部は、前記第1交流信号が前記第1電圧となり、前記第2交流信号が前記第2電圧となる際に前記第2電圧検出部によって検出された第3検出電圧と、前記第1交流信号が前記第2電圧となり、前記第2交流信号が前記第1電圧となる際に前記第2電圧検出部によって検出された第4検出電圧との少なくとも一方の検出電圧を用いて、前記第3の抵抗変化型センサの抵抗値を算出する、センサ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のセンサ装置であって、
前記第3の抵抗変化型センサは、交流信号を印加して使用する交流駆動センサである、センサ装置。
【請求項5】
請求項2または請求項4に記載のセンサ装置であって、
前記交流駆動センサは湿度センサである、センサ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサ装置であって、
前記抵抗変化型センサの少なくとも1つはサーミスタである、センサ装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のセンサ装置を備える、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−96823(P2013−96823A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239483(P2011−239483)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】