センサ診断方法及びセンサ診断装置
【課題】センサ診断方法で、センサに自己診断機能を設けることなく各センサが正常に動作しているか否かを診断することができることを目的とする。
【解決手段】物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断装置であって、所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測する移動物体数計測手段と、各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を格納する基準値格納手段と、各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、前記基準値格納手段から読み出した前記各センサとその近隣のセンサ間の基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定する比較判定手段とを有する。
【解決手段】物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断装置であって、所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測する移動物体数計測手段と、各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を格納する基準値格納手段と、各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、前記基準値格納手段から読み出した前記各センサとその近隣のセンサ間の基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定する比較判定手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断方法及びセンサ診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、主要道路では、道路情報として、ある地点から別の地点まで移動するのに必要な時間(旅行時間)が提供されている。このような旅行時間を取得するセンサシステムとして、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0003】
また、所定の物品がどの位置にあるのか把握するセンサシステムとして、例えば特許文献2に記載のものがある。
【0004】
旅行時間を取得するセンサシステムは、図1に示すように、道路上の複数箇所に設置されたセンサ(ナンバープレート認識装置)1a,1b,1cと、各センサ1a,1b,1cとネットワーク2で接続され各センサ1a,1b,1cが出力するナンバー情報(読み取った自動車のナンバーと読み取った時刻)を集約するセンタ装置3で構成される。
【0005】
センタ装置3では、各センサ1a,1b,1cからのナンバー情報から、同一ナンバーの自動車について、各センサ1a,1b,1cが設置された地点における読み取り時刻の違いから、各区間での旅行時間を求めている。
【0006】
物品位置を把握するシステムでは、図2に示すように、管理したい物品5に取り付けたRFID(Radio Frequency IDentification)タグ6と、その物品が移動する可能性のあるエリア内の複数個所に設置されたセンサ(RFIDリーダ)7a,7b,7cと、各センサ7a,7b,7cとネットワーク2で接続され各センサ7a,7b,7cが出力するID情報(読み取ったIDと読み取った時刻)をネットワーク8経由で集約するセンタ装置8で構成される。センタ装置では、同一IDの物品について、各センサ7a,7b,7cが設置された地点における読み取り時刻から、各物品の現在位置や移動履歴を把握している。
【特許文献1】特開平11−110684号公報
【特許文献2】特開2006−244338公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のシステムでは、センサが想定通り正常に動作し、センサから所定の範囲に存在する所定の物体の識別情報を誤りや漏れがなく取得できること前提にしている。しかしながら、現実的には、センサの経年変化や設置環境の変化などによりセンサの出力が誤っている場合や、漏れが発生する場合がある。
【0008】
例えば、ナンバープレート認識装置は、カメラで撮影した映像からナンバープレートを読み取るが、運用中にカメラのレンズが汚れたり曇ったりすることで、ナンバープレートを正しく読み取れない場合がある。その場合には、出力結果に間違いや漏れが生じる。
【0009】
また、RFIDリーダの場合、運用中にセンシングエリア内に電波を遮蔽、あるいは、反射する物体が置かれた場合やアンテナの向きが変わった場合には、IDを正しく読み取れない場合がある。この場合、出力結果には漏れが生じる。
【0010】
このようにシステムの運用中に、センサが正常に動作しなくなると、システムも正常に動作しなくなるため、システムを正常に動作させるには、各センサが正常に動作しているか把握する必要がある。
【0011】
この問題を解決するために、各センサに正常動作しているか判断する自己診断機能を設け、異常が発生した場合には通知することが考えられる。しかしながら、このような自己診断機能を実現するには、センサの動作に影響を与える経年変化や環境変化を全て想定し、異常発生の有無を検出しなければならないため、その実現は非常に困難であり、かつ、コストがかかる。そのため各センサに自己診断機能を設けることなく、それぞれが正常に動作しているか診断することが求められている。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、センサに自己診断機能を設けることなく各センサが正常に動作しているか否かを診断することができるセンサ診断方法及びセンサ診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施態様では、物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断装置であって、
所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測する移動物体数計測手段と、
各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を格納する基準値格納手段と、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、前記基準値格納手段から読み出した前記各センサとその近隣のセンサ間の基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定する比較判定手段とを有することにより、センサに自己診断機能を設けることなく各センサが正常に動作しているか否かを診断することができる。
【0014】
また、本発明の一実施態様では、物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断方法であって、
所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測し、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定することにより、センサに自己診断機能を設けることなく各センサが正常に動作しているか否かを診断することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、センサに自己診断機能を設けることなく各センサが正常に動作しているか否かを診断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0017】
以下に説明する本実施形態では、自動車等の物体の移動の仕方には一定のパターンがあることに着目し、そのパターンと実際のセンシング結果のずれを利用してセンサの異常を検出する。
【0018】
例えば、一本道の上を走行する自動車の多くは、その道路上に配置されたセンサで順番に検出される。そこで、複数のセンサ間で検出した自動車のIDを照らし合わせ、その一致する数が十分多ければ各センサが正常に動作していると判断できる。逆に、一致する数が少ない場合は、センサが正常に動作していないと考えられる。このような考えに基づいてセンサの診断を行う。
【0019】
<センサシステムの構成>
図3は、本発明のセンサシステムの一実施形態の全体構成例を示す。同図中、n台のセンサ11−1〜11−nは、物体が通過する経路上に配置されており、物体の識別情報を検出し、検出した識別情報と検出した時刻を出力する。
【0020】
センタ装置13は、ネットワーク12により各センサ11−1〜11−nと接続され、各センサ11−1〜11−nからの出力を集約する。また、センタ装置13はセンサ診断機能を有している。出力装置14は、センタ装置13におけるセンサ診断結果を出力する。
【0021】
なお、センサ11−1〜11−nとしては、ナンバープレート認識装置、RFIDリーダ等の無線タグリーダが適用されるが、物体の識別情報を検出するものであれば、どのようなものであっても良い。
【0022】
図4は、センタ装置13内に設けたセンサ診断機能の一実施形態の機能構成例を示す。同図中、センサ出力収集部21は、各センサ11−1〜11−nからの出力を受け取り、センサ出力格納部22に、センサのID毎に、そのセンサが読み取った物体のID(ナンバー又はRFID)と、読み取った時刻を記録する。図5にセンサ出力格納部22の情報格納の様子を示す。
【0023】
センサ位置格納部23には、物体が通過する経路上に配置された各センサ11−1〜11−nの位置関係が予め格納されている。例えば、図6に示すように、センサ11−1〜11−nが物体(対象物)の移動経路上で一列に配置されている場合には、図7に示すように、センサ毎に、経路上で隣接するセンサのIDが記録されて、センサ位置情報テーブルが形成される。
【0024】
センサ11−1は経路上の端部にあるため、図7において、センサ11−1に隣接するセンサのIDの欄にはセンサ11−2を表す「2」だけが格納されている。これに対し、センサ11−2に隣接するセンサのIDの欄にはセンサ11−1,11−3を表す「1」,「3」が格納されている。
【0025】
基準値格納部24には、物体の移動パターンの基準値が予め格納されている。基準値は、例えば所定時間Tの期間内であるセンサの位置から別のセンサの位置へ移動する物体の数Sij等で定める。図8に基準値格納部24の情報格納の様子を示す。Sijの値は、全てのセンサが正常な状態で集計した値、あるいは、経験的に得られている値等などを設定する。
【0026】
比較判定部25は、例えば所定時間毎に、又は、予め決められた日時に、センサ出力格納部22の情報を読み出し、センサ位置格納部23及び基準値格納部24それぞれの情報を参照して各センサ11−1〜11−nの診断を行う。その結果、センサに異常があれば、異常通知部26を介して出力装置14から異常通知を出力する。
【0027】
<センサシステムの動作>
システムの動作時には、まず、センサ出力収集部21が各センサ11−1〜11−nの出力情報を受け取り、センサ出力格納部22に図5に示すように、センサのIDとそのセンサが読み取った物体のIDと読み取った時刻を記録する。
【0028】
そして、センサの出力情報が所定の時間分だけ蓄積された後に、比較判定部25がセンサ診断を実行する。
【0029】
図10は、比較判定部25が実行するセンサ診断処理の一実施形態のフローチャートを示す。同図中、ステップS1で全てのセンサ11−1〜11−nについて検査が終了したか否かを判別し、終了していなければステップS2で検査するセンサiを決定する。
【0030】
次に、ステップS3で、センサiの検査に必要な他の2つのセンサjとセンサkを選択する。なお、センサjはセンサiに隣接し、センサkはセンサi又はセンサjに隣接しているものを選択する。
【0031】
つまり、センサ位置格納部23に記録されている図7に示すセンサ位置情報テーブルを参照し、センサiに隣接する2つのセンサj、センサkを選択する。センサi(例えばi=1)に隣接するセンサがセンサj(j=2)のみの場合は、センサj(j=2)に隣接するセンサi(i=1)以外のセンサk(k=3)を選択する。
【0032】
次に、ステップS4では、センサの判定を行う。まず、センサi、センサj、センサkについて、時刻T1から所定時間T後の時刻T2までの期間の各出力をセンサ出力格納部22から読み出す。そして、センサiとセンサjの出力を比較し、IDが一致する数Tij、Tjiを求める。なお、Tijはセンサiの検出時刻がセンサjの検出時刻より早く、センサi位置からセンサj位置に移動した物体の数を表している。Tjiはセンサjの検出時刻がセンサiの検出時刻より早く、センサi位置からセンサj位置に移動した物体の数を表している。同様にして、センサiとセンサkの出力を比較し、IDが一致する数Tik、Tkiを求める。これにより、図9に示す移動物体数テーブルが得られる。
【0033】
例えば、センサ11−1が異常の場合、図9の網掛け部分の移動物体数T12、T21、T13、T31それぞれの図8に示す基準値S12、S21、S13、S31に対する偏差が大きくなる。また、センサ11−2が異常の場合、移動物体数T12、T21、T23、T32それぞれの図8に示す基準値S12、S21、S23、S32に対する偏差が大きくなる。
【0034】
そこで、移動物体数Tij、Tji、Tik、Tkiを、基準値格納部24に記録された、移動物体数と同一次元の値である基準値Sij、Sji、Sik、Skiと比較してセンサiの診断を行い、両者の偏差が所定値以上となった場合に、センサiに異常があると判定する。
【0035】
ステップS5において、診断結果が「センサiは異常」であればステップS6でセンサiの異常を異常通知部26から出力装置14に通知した後で、ステップS1に進んで次のセンサの診断を行う。
【0036】
診断結果が「センサiは正常」であればステップS7で(1)式〜(4)式を用いて基準値Sij、Sji、Sik、Skiの更新を行う。
【0037】
Sij=α・Tij+(1−α)Sij …(1)
Sji=α・Tji+(1−α)Sji …(2)
Sik=α・Tik+(1−α)Sik …(3)
Ski=α・Tki+(1−α)Ski …(4)
上記のαは例えば0.05〜0.4程度の固定値である。この後、ステップS1に進んで次のセンサの診断を行う。
【0038】
図11は、ステップS2におけるセンサjとセンサkの選択処理のフローチャートを示す。同図中、ステップS11で、センサ位置情報テーブルのセンサIDがiの行を選択し、ステップS12で、その行の隣接するセンサのIDのうち左端の列のセンサIDの値をjとする。
【0039】
次に、ステップS13で、隣接するセンサのIDのうち左端から2番目の列にセンサIDの値が登録されているか否かを判別し、登録があればステップS14で登録されているセンサIDの値をkとする。
【0040】
登録がなければステップS15で、センサ位置情報テーブルのセンサIDがjの行を選択し、ステップS16で、その行の隣接するセンサのIDのうち左端の列のセンサIDの値をkδとする。ステップS16で、kδ=iであるかを判別し、kδ≠iであればステップS18でkδ=kとする。kδ=iであればステップS19で、その行の隣接するセンサのIDのうち左端から2番目の列のセンサIDの値をkとする。
【0041】
図12は、ステップS4における移動物体数Tij、Tjiを求める移動物体数カウント処理のフローチャートを示す。同図中、ステップS21でTij、Tjiを0に初期化する。また、センサiの出力の取り出し数mを0に初期化する。
【0042】
ステップS22で、センサ出力格納部22からセンサiの出力情報を全て取り出したか否かを判別し、全て取り出してなければステップS23に進み、全て取り出した場合は処理を終了する。
【0043】
ステップS23では、時刻T1から時刻T2の期間のセンサiの出力(時刻t,IDm)を1つ取り出し、mを1だけ増やす。そして、ステップS24でセンサjの出力の取り出し数mδを0に初期化する。
【0044】
ステップS25でセンサ出力格納部22からセンサjの出力情報を全て取り出したか否かを判別し、全てでなければステップS26に進み、全て取り出した場合はステップS22に進む。
【0045】
ステップS26では時刻T1から時刻T2の期間のセンサjの出力(時刻tδ,IDmδ)を1つ取り出し、mδを1だけ増やす。こののち、ステップS27でm=mδであるか否かを判別し、m≠mδの場合はステップS25に進む。
【0046】
m=mδの場合はステップS28でt<tδであるか否かを判別し、t<tδであればステップS29でTijを1だけ増やし、t≧tδであればステップS30でTjiを1だけ増やしてステップS22に進む。
【0047】
図13は、ステップS5における判定処理のフローチャートを示す。同図中、ステップS41で移動物体数Tijと基準値Sijとの差の絶対値である偏差が所定値(第1固定値)を超えるか否かを判別する。この偏差が所定値以下の場合、ステップS42で移動物体数Tjiと基準値Sjiとの差の絶対値である偏差が所定値(第1固定値)を超えるか否かを判別する。この偏差が所定値以下の場合、ステップS43で移動物体数Tikと基準値Sikとの差の絶対値である偏差が所定値(第1固定値)を超えるか否かを判別する。この偏差が所定値以下の場合、ステップS44で移動物体数Tkiと基準値Skiとの差の絶対値である偏差が所定値(第1固定値)を超えるか否かを判別する。
【0048】
ステップS41〜S44の全てを満足するときはステップS45でセンサiは異常と判定し、ステップS41〜S44のいずれかを満足しないときはステップS46でセンサiは正常と判定する。
【0049】
<旅行時間計測システムの実施形態>
図14は、本発明方法が適用されるセンサシステムとしての旅行時間計測システムの一実施形態の構成例を示す。このシステムは、ある地点から別の地点への移動にかかる時間を計測するものであり、道路30に沿って設置した複数のセンサ(ナンバープレート認識装置)31−1〜31−nと、各センサ31−1〜31−nとネットワーク32で接続され各センサ31−1〜31−nが出力するナンバー情報(読み取った自動車のナンバーと読み取った時刻)を集約するセンタ装置33と、出力装置34を有している。
【0050】
なお、センサ31−1〜31−nはナンバープレート認識装置に限るものではなく、自動車を一意に特定できるもの、すなわち自動車36の識別番号を検出できるものであればよい。例えば、無線により自動車の識別番号を読み取るDSRC(Dedicated Short Range Communication)装置などがある。
【0051】
このシステムでは、各センサは、検出した自動車のIDと検出した時刻をセンタ装置33に送信する。そして、センタ装置33では、各センサ31−1〜31−nの出力から同一のIDを探し、その検出時刻の差から、各センサが設置された地点間の移動時間を推定する。
【0052】
このシステムにおいて、センサ31−1〜31−nの診断はセンタ装置33で行われ、診断のための構成は図4に示すとおりである。
【0053】
図4のセンサ位置格納部23には、道路上に配置された各センサ31−1〜31−nの位置関係が予め格納されている。図14に示すようにセンサ31−1〜31−nが配置されている場合、各センサについて道路上で隣接するセンサ31−1〜31−nのIDが図7に示すように格納される。
【0054】
また、基準値格納部24には、自動車の移動パターンの基準値が予め格納されている。基準値は、所定の時間Tの期間内に、センサiの位置から別のセンサjの位置へ移動する自動車の数Sijで定める。基準値格納部24の情報格納の様子は図8に示すとおりである。Sijの値は、全てのセンサが正常な状態で集計した値、あるいは、経験的に得られている値などを設定する。
【0055】
また、図15に示すように、基準値として所定の時間Tの期間内にセンサiで検出された自動車の総数Niに対する、センサiの位置から別のセンサjの位置へ移動する自動車数(移動物体数)Tijの割合と同一次元の基準値Si_ijを設定してもよい。
【0056】
また、図16(A),(B)に示すように、基準値を環境条件毎に複数設定してもよい。図16(A),(B)では環境条件が異なっているため、図16(A)の基準値Sijと図16(B)の基準値Sijとは異なった値(勿論、偶然に一致する場合もある)である。
【0057】
このときの環境条件としては、図17に示すように時間帯を用いても良く、更には図18に示すように、天候など、定量化可能であれば様々に決めることができる。図17の例では、時刻が8時から17時までは図16(A)の基準値を使用し、時刻が17時から8時までは図16(B)の基準値を使用する。また、図18の例では、降水量が5mm以上の環境では図16(A)の基準値を使用し、降水量が5mm未満の環境では図16(B)の基準値を使用する。
【0058】
センサ診断システムの動作時には、まず、センサ出力収集部21が各センサ31−1〜31−nからの出力を受け取り、センサ出力格納部22に、図5に示すように、センサのID毎に、そのセンサが読み取った自動車のIDと読み取った時刻を記録する。そして、センサの出力が所定の時間T分だけ蓄積された後に、センサの診断機能が動作する。
【0059】
センサ診断は、比較判定部25が図10に示す処理によって行う。まず、検査するセンサiを決定し、このセンサの検査に必要な他の2つのセンサjとセンサkを選択する。センサjとセンサkの選択は、図11の選択処理によって行う。比較判定部25はセンサ位置格納部23に記録されている図7に示すセンサ位置情報テーブルを参照し、センサiに隣接する2つのセンサj、センサkを選択する。隣接するセンサがセンサjのみの場合は、センサjに隣接するセンサi以外のセンサkを選択する。
【0060】
比較判定部25は、このようにして選択されたセンサi、センサj、センサkについて、所定時間Tだけ間隔をあけた時刻T1から時刻T2の期間の各出力をセンサ出力格納部22から読み出す。そして、図12の移動物体数カウント処理によって、センサiとセンサjの出力を比較し、IDが一致する移動物体数Tij、Tjiを求める。同様に、センサiとセンサkの出力を比較し、IDが一致する移動物体数Tik、Tkiを求める。
【0061】
更に、比較判定部25は、図13の判定処理によって、これらの移動物体数Tij、Tji、Tik、Tkiを基準値格納部24に記録された基準値Sij、Sji、Sik、Skiと比較し、それぞれの偏差が所定値を超えた場合に、センサiに異常があると判定する。
【0062】
ところで、基準値格納部24に図15に示す基準値Si_ijを格納している場合には、図13の判定処理の代りに、図19に示す判定処理を用いる。
【0063】
図19において、ステップS51で所定の時間Tの期間内にセンサjで検出された自動車の総数Njに対するセンサiの位置から別のセンサjの位置へ移動する自動車数Tijの割合Tij/Njと、基準値Sj_ijとの差の絶対値である偏差が所定値(第2固定値)を超えるか否かを判別する。基準値Sj_ijは割合Tij/Njと同一次元の値である。
【0064】
この偏差が所定値以下の場合、ステップS52で所定の時間Tの期間内にセンサjで検出された自動車の総数Njに対するセンサjの位置から別のセンサiの位置へ移動する自動車数Tjiの割合Tji/Njと、基準値Sj_jiとの差の絶対値である偏差が所定値(第2固定値)を超えるか否かを判別する。
【0065】
この偏差が所定値以下の場合、ステップS53で所定の時間Tの期間内にセンサkで検出された自動車の総数Nkに対するセンサiの位置から別のセンサkの位置へ移動する自動車数Tikの割合Tik/Nkと、基準値Sk_ikとの差の絶対値である偏差が所定値(第2固定値)を超えるか否かを判別する。この偏差が所定値以下の場合、ステップS54で所定の時間Tの期間内にセンサkで検出された自動車の総数Nkに対するセンサkの位置から別のセンサiの位置へ移動する自動車数Tkiの割合Tki/Nkと、基準値Sk_kiとの差の絶対値である偏差が所定値(第2固定値)を超えるか否かを判別する。
【0066】
ステップS51〜S54の全てを満足するときはステップS55でセンサiは異常と判定し、ステップS51〜S54のいずれかを満足しないときはステップS56でセンサiは正常と判定する。
【0067】
なお、環境条件に応じて基準値が複数設定されている場合には、比較判定部25は判定処理を行う際に、そのときの環境条件に応じた基準値を用いることはもちろんである。
【0068】
上記実施形態によれば、自己診断機能のない安価なセンサや既設のセンサを用いたセンサシステムにおいても、正常でないセンサを自動的に検出できるため、信頼性の高いシステムを安価に構築することが可能となる。
(付記1)
物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断装置であって、
所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測する移動物体数計測手段と、
各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を格納する基準値格納手段と、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、前記基準値格納手段から読み出した前記各センサとその近隣のセンサ間の基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定する比較判定手段と、
を有することを特徴とするセンサ診断装置。
(付記2)
付記1記載のセンサ診断装置において、
前記複数のセンサは、前記物体を識別した識別情報に識別した時刻を付加して前記センタ装置に送信し、
前記移動物体数計測手段は、前記識別した時刻が前記所定時間内であり、各センサとその近隣のセンサそれぞれで得られた識別情報が一致したとき移動物体数の計数を行う、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
(付記3)
付記2記載のセンサ診断装置において、
前記基準値は、前記移動物体数に対応する次元の値であり、
前記比較判定手段は、前記移動物体数そのものを前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
(付記4)
付記2記載のセンサ診断装置において、
前記基準値は、前記移動物体数の割合に対応する次元の値であり、
前記比較判定手段は、前記各センサで検出された物体の総数に対する各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数の割合を、前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
(付記5)
付記1記載のセンサ診断装置において、
前記基準値格納手段は、環境条件に応じて異なる複数の基準値を格納し、
前記比較判定手段は、環境条件に応じて前記基準値格納手段から各センサとその近隣のセンサ間の基準値を読み出す、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
(付記6)
付記1記載のセンサ診断装置において、
前記比較判定手段で正常と判定されたセンサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を、前記正常と判定されたセンサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づいて更新する更新手段を
有することを特徴とするセンサ診断装置。
(付記7)
物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断方法であって、
所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測し、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
(付記8)
付記7記載のセンサ診断方法において、
前記複数のセンサは、前記物体を識別した識別情報に識別した時刻を付加して前記センタ装置に送信し、
前記識別した時刻が前記所定時間内であり、各センサとその近隣のセンサそれぞれで得られた識別情報が一致したとき移動物体数の計数を行う、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
(付記9)
付記8記載のセンサ診断方法において、
前記基準値は、前記移動物体数に対応する次元の値であり、
前記比較は、前記移動物体数そのものを、前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
(付記10)
付記8記載のセンサ診断方法において、
前記基準値は、前記移動物体数の割合に対応する次元の値であり、
前記比較は、前記各センサで検出された物体の総数に対する各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数の割合を、前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
(付記11)
付記7記載のセンサ診断方法において、
前記基準値は、環境条件に応じて複数設けられ、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、環境条件に応じた各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
(付記12)
付記7記載のセンサ診断方法において、
前記判定で正常と判定されたセンサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を、前記正常と判定されたセンサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づいて更新する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】従来のセンサシステムの一例の構成図である。
【図2】従来のセンサシステムの他の一例の構成図である
【図3】本発明のセンサシステムの一実施形態の全体構成例を示す図である。
【図4】センサ診断機能の一実施形態の機能構成例を示す図である。
【図5】センサ出力格納部の情報格納の様子を示す図である。
【図6】センサの配置を示す図である。
【図7】センサ位置情報テーブルの様子を示す図である。
【図8】基準値格納部の情報格納の様子を示す図である。
【図9】移動物体数テーブルの様子を示す図である。
【図10】センサ診断処理の一実施形態のフローチャートである。
【図11】センサ選択処理のフローチャートである。
【図12】移動物体数カウント処理のフローチャートである。
【図13】判定処理のフローチャートである。
【図14】旅行時間計測システムの一実施形態の構成例を示す図である。
【図15】基準値格納部の情報格納の様子を示す図である。
【図16】基準値格納部の情報格納の様子を示す図である。
【図17】環境条件の一例を示す図である。
【図18】環境条件の一例を示す図である。
【図19】判定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
11−1〜11−n,31−1〜31−n センサ
12,32 ネットワーク
13,33 センタ装置
14,34 出力装置
21 センサ出力収集部
22 センサ出力格納部
23 センサ位置格納部
24 基準値格納部
25 比較判定部
26 異常通知部
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断方法及びセンサ診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、主要道路では、道路情報として、ある地点から別の地点まで移動するのに必要な時間(旅行時間)が提供されている。このような旅行時間を取得するセンサシステムとして、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0003】
また、所定の物品がどの位置にあるのか把握するセンサシステムとして、例えば特許文献2に記載のものがある。
【0004】
旅行時間を取得するセンサシステムは、図1に示すように、道路上の複数箇所に設置されたセンサ(ナンバープレート認識装置)1a,1b,1cと、各センサ1a,1b,1cとネットワーク2で接続され各センサ1a,1b,1cが出力するナンバー情報(読み取った自動車のナンバーと読み取った時刻)を集約するセンタ装置3で構成される。
【0005】
センタ装置3では、各センサ1a,1b,1cからのナンバー情報から、同一ナンバーの自動車について、各センサ1a,1b,1cが設置された地点における読み取り時刻の違いから、各区間での旅行時間を求めている。
【0006】
物品位置を把握するシステムでは、図2に示すように、管理したい物品5に取り付けたRFID(Radio Frequency IDentification)タグ6と、その物品が移動する可能性のあるエリア内の複数個所に設置されたセンサ(RFIDリーダ)7a,7b,7cと、各センサ7a,7b,7cとネットワーク2で接続され各センサ7a,7b,7cが出力するID情報(読み取ったIDと読み取った時刻)をネットワーク8経由で集約するセンタ装置8で構成される。センタ装置では、同一IDの物品について、各センサ7a,7b,7cが設置された地点における読み取り時刻から、各物品の現在位置や移動履歴を把握している。
【特許文献1】特開平11−110684号公報
【特許文献2】特開2006−244338公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のシステムでは、センサが想定通り正常に動作し、センサから所定の範囲に存在する所定の物体の識別情報を誤りや漏れがなく取得できること前提にしている。しかしながら、現実的には、センサの経年変化や設置環境の変化などによりセンサの出力が誤っている場合や、漏れが発生する場合がある。
【0008】
例えば、ナンバープレート認識装置は、カメラで撮影した映像からナンバープレートを読み取るが、運用中にカメラのレンズが汚れたり曇ったりすることで、ナンバープレートを正しく読み取れない場合がある。その場合には、出力結果に間違いや漏れが生じる。
【0009】
また、RFIDリーダの場合、運用中にセンシングエリア内に電波を遮蔽、あるいは、反射する物体が置かれた場合やアンテナの向きが変わった場合には、IDを正しく読み取れない場合がある。この場合、出力結果には漏れが生じる。
【0010】
このようにシステムの運用中に、センサが正常に動作しなくなると、システムも正常に動作しなくなるため、システムを正常に動作させるには、各センサが正常に動作しているか把握する必要がある。
【0011】
この問題を解決するために、各センサに正常動作しているか判断する自己診断機能を設け、異常が発生した場合には通知することが考えられる。しかしながら、このような自己診断機能を実現するには、センサの動作に影響を与える経年変化や環境変化を全て想定し、異常発生の有無を検出しなければならないため、その実現は非常に困難であり、かつ、コストがかかる。そのため各センサに自己診断機能を設けることなく、それぞれが正常に動作しているか診断することが求められている。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、センサに自己診断機能を設けることなく各センサが正常に動作しているか否かを診断することができるセンサ診断方法及びセンサ診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施態様では、物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断装置であって、
所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測する移動物体数計測手段と、
各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を格納する基準値格納手段と、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、前記基準値格納手段から読み出した前記各センサとその近隣のセンサ間の基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定する比較判定手段とを有することにより、センサに自己診断機能を設けることなく各センサが正常に動作しているか否かを診断することができる。
【0014】
また、本発明の一実施態様では、物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断方法であって、
所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測し、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定することにより、センサに自己診断機能を設けることなく各センサが正常に動作しているか否かを診断することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、センサに自己診断機能を設けることなく各センサが正常に動作しているか否かを診断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0017】
以下に説明する本実施形態では、自動車等の物体の移動の仕方には一定のパターンがあることに着目し、そのパターンと実際のセンシング結果のずれを利用してセンサの異常を検出する。
【0018】
例えば、一本道の上を走行する自動車の多くは、その道路上に配置されたセンサで順番に検出される。そこで、複数のセンサ間で検出した自動車のIDを照らし合わせ、その一致する数が十分多ければ各センサが正常に動作していると判断できる。逆に、一致する数が少ない場合は、センサが正常に動作していないと考えられる。このような考えに基づいてセンサの診断を行う。
【0019】
<センサシステムの構成>
図3は、本発明のセンサシステムの一実施形態の全体構成例を示す。同図中、n台のセンサ11−1〜11−nは、物体が通過する経路上に配置されており、物体の識別情報を検出し、検出した識別情報と検出した時刻を出力する。
【0020】
センタ装置13は、ネットワーク12により各センサ11−1〜11−nと接続され、各センサ11−1〜11−nからの出力を集約する。また、センタ装置13はセンサ診断機能を有している。出力装置14は、センタ装置13におけるセンサ診断結果を出力する。
【0021】
なお、センサ11−1〜11−nとしては、ナンバープレート認識装置、RFIDリーダ等の無線タグリーダが適用されるが、物体の識別情報を検出するものであれば、どのようなものであっても良い。
【0022】
図4は、センタ装置13内に設けたセンサ診断機能の一実施形態の機能構成例を示す。同図中、センサ出力収集部21は、各センサ11−1〜11−nからの出力を受け取り、センサ出力格納部22に、センサのID毎に、そのセンサが読み取った物体のID(ナンバー又はRFID)と、読み取った時刻を記録する。図5にセンサ出力格納部22の情報格納の様子を示す。
【0023】
センサ位置格納部23には、物体が通過する経路上に配置された各センサ11−1〜11−nの位置関係が予め格納されている。例えば、図6に示すように、センサ11−1〜11−nが物体(対象物)の移動経路上で一列に配置されている場合には、図7に示すように、センサ毎に、経路上で隣接するセンサのIDが記録されて、センサ位置情報テーブルが形成される。
【0024】
センサ11−1は経路上の端部にあるため、図7において、センサ11−1に隣接するセンサのIDの欄にはセンサ11−2を表す「2」だけが格納されている。これに対し、センサ11−2に隣接するセンサのIDの欄にはセンサ11−1,11−3を表す「1」,「3」が格納されている。
【0025】
基準値格納部24には、物体の移動パターンの基準値が予め格納されている。基準値は、例えば所定時間Tの期間内であるセンサの位置から別のセンサの位置へ移動する物体の数Sij等で定める。図8に基準値格納部24の情報格納の様子を示す。Sijの値は、全てのセンサが正常な状態で集計した値、あるいは、経験的に得られている値等などを設定する。
【0026】
比較判定部25は、例えば所定時間毎に、又は、予め決められた日時に、センサ出力格納部22の情報を読み出し、センサ位置格納部23及び基準値格納部24それぞれの情報を参照して各センサ11−1〜11−nの診断を行う。その結果、センサに異常があれば、異常通知部26を介して出力装置14から異常通知を出力する。
【0027】
<センサシステムの動作>
システムの動作時には、まず、センサ出力収集部21が各センサ11−1〜11−nの出力情報を受け取り、センサ出力格納部22に図5に示すように、センサのIDとそのセンサが読み取った物体のIDと読み取った時刻を記録する。
【0028】
そして、センサの出力情報が所定の時間分だけ蓄積された後に、比較判定部25がセンサ診断を実行する。
【0029】
図10は、比較判定部25が実行するセンサ診断処理の一実施形態のフローチャートを示す。同図中、ステップS1で全てのセンサ11−1〜11−nについて検査が終了したか否かを判別し、終了していなければステップS2で検査するセンサiを決定する。
【0030】
次に、ステップS3で、センサiの検査に必要な他の2つのセンサjとセンサkを選択する。なお、センサjはセンサiに隣接し、センサkはセンサi又はセンサjに隣接しているものを選択する。
【0031】
つまり、センサ位置格納部23に記録されている図7に示すセンサ位置情報テーブルを参照し、センサiに隣接する2つのセンサj、センサkを選択する。センサi(例えばi=1)に隣接するセンサがセンサj(j=2)のみの場合は、センサj(j=2)に隣接するセンサi(i=1)以外のセンサk(k=3)を選択する。
【0032】
次に、ステップS4では、センサの判定を行う。まず、センサi、センサj、センサkについて、時刻T1から所定時間T後の時刻T2までの期間の各出力をセンサ出力格納部22から読み出す。そして、センサiとセンサjの出力を比較し、IDが一致する数Tij、Tjiを求める。なお、Tijはセンサiの検出時刻がセンサjの検出時刻より早く、センサi位置からセンサj位置に移動した物体の数を表している。Tjiはセンサjの検出時刻がセンサiの検出時刻より早く、センサi位置からセンサj位置に移動した物体の数を表している。同様にして、センサiとセンサkの出力を比較し、IDが一致する数Tik、Tkiを求める。これにより、図9に示す移動物体数テーブルが得られる。
【0033】
例えば、センサ11−1が異常の場合、図9の網掛け部分の移動物体数T12、T21、T13、T31それぞれの図8に示す基準値S12、S21、S13、S31に対する偏差が大きくなる。また、センサ11−2が異常の場合、移動物体数T12、T21、T23、T32それぞれの図8に示す基準値S12、S21、S23、S32に対する偏差が大きくなる。
【0034】
そこで、移動物体数Tij、Tji、Tik、Tkiを、基準値格納部24に記録された、移動物体数と同一次元の値である基準値Sij、Sji、Sik、Skiと比較してセンサiの診断を行い、両者の偏差が所定値以上となった場合に、センサiに異常があると判定する。
【0035】
ステップS5において、診断結果が「センサiは異常」であればステップS6でセンサiの異常を異常通知部26から出力装置14に通知した後で、ステップS1に進んで次のセンサの診断を行う。
【0036】
診断結果が「センサiは正常」であればステップS7で(1)式〜(4)式を用いて基準値Sij、Sji、Sik、Skiの更新を行う。
【0037】
Sij=α・Tij+(1−α)Sij …(1)
Sji=α・Tji+(1−α)Sji …(2)
Sik=α・Tik+(1−α)Sik …(3)
Ski=α・Tki+(1−α)Ski …(4)
上記のαは例えば0.05〜0.4程度の固定値である。この後、ステップS1に進んで次のセンサの診断を行う。
【0038】
図11は、ステップS2におけるセンサjとセンサkの選択処理のフローチャートを示す。同図中、ステップS11で、センサ位置情報テーブルのセンサIDがiの行を選択し、ステップS12で、その行の隣接するセンサのIDのうち左端の列のセンサIDの値をjとする。
【0039】
次に、ステップS13で、隣接するセンサのIDのうち左端から2番目の列にセンサIDの値が登録されているか否かを判別し、登録があればステップS14で登録されているセンサIDの値をkとする。
【0040】
登録がなければステップS15で、センサ位置情報テーブルのセンサIDがjの行を選択し、ステップS16で、その行の隣接するセンサのIDのうち左端の列のセンサIDの値をkδとする。ステップS16で、kδ=iであるかを判別し、kδ≠iであればステップS18でkδ=kとする。kδ=iであればステップS19で、その行の隣接するセンサのIDのうち左端から2番目の列のセンサIDの値をkとする。
【0041】
図12は、ステップS4における移動物体数Tij、Tjiを求める移動物体数カウント処理のフローチャートを示す。同図中、ステップS21でTij、Tjiを0に初期化する。また、センサiの出力の取り出し数mを0に初期化する。
【0042】
ステップS22で、センサ出力格納部22からセンサiの出力情報を全て取り出したか否かを判別し、全て取り出してなければステップS23に進み、全て取り出した場合は処理を終了する。
【0043】
ステップS23では、時刻T1から時刻T2の期間のセンサiの出力(時刻t,IDm)を1つ取り出し、mを1だけ増やす。そして、ステップS24でセンサjの出力の取り出し数mδを0に初期化する。
【0044】
ステップS25でセンサ出力格納部22からセンサjの出力情報を全て取り出したか否かを判別し、全てでなければステップS26に進み、全て取り出した場合はステップS22に進む。
【0045】
ステップS26では時刻T1から時刻T2の期間のセンサjの出力(時刻tδ,IDmδ)を1つ取り出し、mδを1だけ増やす。こののち、ステップS27でm=mδであるか否かを判別し、m≠mδの場合はステップS25に進む。
【0046】
m=mδの場合はステップS28でt<tδであるか否かを判別し、t<tδであればステップS29でTijを1だけ増やし、t≧tδであればステップS30でTjiを1だけ増やしてステップS22に進む。
【0047】
図13は、ステップS5における判定処理のフローチャートを示す。同図中、ステップS41で移動物体数Tijと基準値Sijとの差の絶対値である偏差が所定値(第1固定値)を超えるか否かを判別する。この偏差が所定値以下の場合、ステップS42で移動物体数Tjiと基準値Sjiとの差の絶対値である偏差が所定値(第1固定値)を超えるか否かを判別する。この偏差が所定値以下の場合、ステップS43で移動物体数Tikと基準値Sikとの差の絶対値である偏差が所定値(第1固定値)を超えるか否かを判別する。この偏差が所定値以下の場合、ステップS44で移動物体数Tkiと基準値Skiとの差の絶対値である偏差が所定値(第1固定値)を超えるか否かを判別する。
【0048】
ステップS41〜S44の全てを満足するときはステップS45でセンサiは異常と判定し、ステップS41〜S44のいずれかを満足しないときはステップS46でセンサiは正常と判定する。
【0049】
<旅行時間計測システムの実施形態>
図14は、本発明方法が適用されるセンサシステムとしての旅行時間計測システムの一実施形態の構成例を示す。このシステムは、ある地点から別の地点への移動にかかる時間を計測するものであり、道路30に沿って設置した複数のセンサ(ナンバープレート認識装置)31−1〜31−nと、各センサ31−1〜31−nとネットワーク32で接続され各センサ31−1〜31−nが出力するナンバー情報(読み取った自動車のナンバーと読み取った時刻)を集約するセンタ装置33と、出力装置34を有している。
【0050】
なお、センサ31−1〜31−nはナンバープレート認識装置に限るものではなく、自動車を一意に特定できるもの、すなわち自動車36の識別番号を検出できるものであればよい。例えば、無線により自動車の識別番号を読み取るDSRC(Dedicated Short Range Communication)装置などがある。
【0051】
このシステムでは、各センサは、検出した自動車のIDと検出した時刻をセンタ装置33に送信する。そして、センタ装置33では、各センサ31−1〜31−nの出力から同一のIDを探し、その検出時刻の差から、各センサが設置された地点間の移動時間を推定する。
【0052】
このシステムにおいて、センサ31−1〜31−nの診断はセンタ装置33で行われ、診断のための構成は図4に示すとおりである。
【0053】
図4のセンサ位置格納部23には、道路上に配置された各センサ31−1〜31−nの位置関係が予め格納されている。図14に示すようにセンサ31−1〜31−nが配置されている場合、各センサについて道路上で隣接するセンサ31−1〜31−nのIDが図7に示すように格納される。
【0054】
また、基準値格納部24には、自動車の移動パターンの基準値が予め格納されている。基準値は、所定の時間Tの期間内に、センサiの位置から別のセンサjの位置へ移動する自動車の数Sijで定める。基準値格納部24の情報格納の様子は図8に示すとおりである。Sijの値は、全てのセンサが正常な状態で集計した値、あるいは、経験的に得られている値などを設定する。
【0055】
また、図15に示すように、基準値として所定の時間Tの期間内にセンサiで検出された自動車の総数Niに対する、センサiの位置から別のセンサjの位置へ移動する自動車数(移動物体数)Tijの割合と同一次元の基準値Si_ijを設定してもよい。
【0056】
また、図16(A),(B)に示すように、基準値を環境条件毎に複数設定してもよい。図16(A),(B)では環境条件が異なっているため、図16(A)の基準値Sijと図16(B)の基準値Sijとは異なった値(勿論、偶然に一致する場合もある)である。
【0057】
このときの環境条件としては、図17に示すように時間帯を用いても良く、更には図18に示すように、天候など、定量化可能であれば様々に決めることができる。図17の例では、時刻が8時から17時までは図16(A)の基準値を使用し、時刻が17時から8時までは図16(B)の基準値を使用する。また、図18の例では、降水量が5mm以上の環境では図16(A)の基準値を使用し、降水量が5mm未満の環境では図16(B)の基準値を使用する。
【0058】
センサ診断システムの動作時には、まず、センサ出力収集部21が各センサ31−1〜31−nからの出力を受け取り、センサ出力格納部22に、図5に示すように、センサのID毎に、そのセンサが読み取った自動車のIDと読み取った時刻を記録する。そして、センサの出力が所定の時間T分だけ蓄積された後に、センサの診断機能が動作する。
【0059】
センサ診断は、比較判定部25が図10に示す処理によって行う。まず、検査するセンサiを決定し、このセンサの検査に必要な他の2つのセンサjとセンサkを選択する。センサjとセンサkの選択は、図11の選択処理によって行う。比較判定部25はセンサ位置格納部23に記録されている図7に示すセンサ位置情報テーブルを参照し、センサiに隣接する2つのセンサj、センサkを選択する。隣接するセンサがセンサjのみの場合は、センサjに隣接するセンサi以外のセンサkを選択する。
【0060】
比較判定部25は、このようにして選択されたセンサi、センサj、センサkについて、所定時間Tだけ間隔をあけた時刻T1から時刻T2の期間の各出力をセンサ出力格納部22から読み出す。そして、図12の移動物体数カウント処理によって、センサiとセンサjの出力を比較し、IDが一致する移動物体数Tij、Tjiを求める。同様に、センサiとセンサkの出力を比較し、IDが一致する移動物体数Tik、Tkiを求める。
【0061】
更に、比較判定部25は、図13の判定処理によって、これらの移動物体数Tij、Tji、Tik、Tkiを基準値格納部24に記録された基準値Sij、Sji、Sik、Skiと比較し、それぞれの偏差が所定値を超えた場合に、センサiに異常があると判定する。
【0062】
ところで、基準値格納部24に図15に示す基準値Si_ijを格納している場合には、図13の判定処理の代りに、図19に示す判定処理を用いる。
【0063】
図19において、ステップS51で所定の時間Tの期間内にセンサjで検出された自動車の総数Njに対するセンサiの位置から別のセンサjの位置へ移動する自動車数Tijの割合Tij/Njと、基準値Sj_ijとの差の絶対値である偏差が所定値(第2固定値)を超えるか否かを判別する。基準値Sj_ijは割合Tij/Njと同一次元の値である。
【0064】
この偏差が所定値以下の場合、ステップS52で所定の時間Tの期間内にセンサjで検出された自動車の総数Njに対するセンサjの位置から別のセンサiの位置へ移動する自動車数Tjiの割合Tji/Njと、基準値Sj_jiとの差の絶対値である偏差が所定値(第2固定値)を超えるか否かを判別する。
【0065】
この偏差が所定値以下の場合、ステップS53で所定の時間Tの期間内にセンサkで検出された自動車の総数Nkに対するセンサiの位置から別のセンサkの位置へ移動する自動車数Tikの割合Tik/Nkと、基準値Sk_ikとの差の絶対値である偏差が所定値(第2固定値)を超えるか否かを判別する。この偏差が所定値以下の場合、ステップS54で所定の時間Tの期間内にセンサkで検出された自動車の総数Nkに対するセンサkの位置から別のセンサiの位置へ移動する自動車数Tkiの割合Tki/Nkと、基準値Sk_kiとの差の絶対値である偏差が所定値(第2固定値)を超えるか否かを判別する。
【0066】
ステップS51〜S54の全てを満足するときはステップS55でセンサiは異常と判定し、ステップS51〜S54のいずれかを満足しないときはステップS56でセンサiは正常と判定する。
【0067】
なお、環境条件に応じて基準値が複数設定されている場合には、比較判定部25は判定処理を行う際に、そのときの環境条件に応じた基準値を用いることはもちろんである。
【0068】
上記実施形態によれば、自己診断機能のない安価なセンサや既設のセンサを用いたセンサシステムにおいても、正常でないセンサを自動的に検出できるため、信頼性の高いシステムを安価に構築することが可能となる。
(付記1)
物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断装置であって、
所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測する移動物体数計測手段と、
各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を格納する基準値格納手段と、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、前記基準値格納手段から読み出した前記各センサとその近隣のセンサ間の基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定する比較判定手段と、
を有することを特徴とするセンサ診断装置。
(付記2)
付記1記載のセンサ診断装置において、
前記複数のセンサは、前記物体を識別した識別情報に識別した時刻を付加して前記センタ装置に送信し、
前記移動物体数計測手段は、前記識別した時刻が前記所定時間内であり、各センサとその近隣のセンサそれぞれで得られた識別情報が一致したとき移動物体数の計数を行う、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
(付記3)
付記2記載のセンサ診断装置において、
前記基準値は、前記移動物体数に対応する次元の値であり、
前記比較判定手段は、前記移動物体数そのものを前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
(付記4)
付記2記載のセンサ診断装置において、
前記基準値は、前記移動物体数の割合に対応する次元の値であり、
前記比較判定手段は、前記各センサで検出された物体の総数に対する各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数の割合を、前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
(付記5)
付記1記載のセンサ診断装置において、
前記基準値格納手段は、環境条件に応じて異なる複数の基準値を格納し、
前記比較判定手段は、環境条件に応じて前記基準値格納手段から各センサとその近隣のセンサ間の基準値を読み出す、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
(付記6)
付記1記載のセンサ診断装置において、
前記比較判定手段で正常と判定されたセンサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を、前記正常と判定されたセンサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づいて更新する更新手段を
有することを特徴とするセンサ診断装置。
(付記7)
物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断方法であって、
所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測し、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
(付記8)
付記7記載のセンサ診断方法において、
前記複数のセンサは、前記物体を識別した識別情報に識別した時刻を付加して前記センタ装置に送信し、
前記識別した時刻が前記所定時間内であり、各センサとその近隣のセンサそれぞれで得られた識別情報が一致したとき移動物体数の計数を行う、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
(付記9)
付記8記載のセンサ診断方法において、
前記基準値は、前記移動物体数に対応する次元の値であり、
前記比較は、前記移動物体数そのものを、前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
(付記10)
付記8記載のセンサ診断方法において、
前記基準値は、前記移動物体数の割合に対応する次元の値であり、
前記比較は、前記各センサで検出された物体の総数に対する各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数の割合を、前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
(付記11)
付記7記載のセンサ診断方法において、
前記基準値は、環境条件に応じて複数設けられ、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、環境条件に応じた各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
(付記12)
付記7記載のセンサ診断方法において、
前記判定で正常と判定されたセンサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を、前記正常と判定されたセンサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づいて更新する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】従来のセンサシステムの一例の構成図である。
【図2】従来のセンサシステムの他の一例の構成図である
【図3】本発明のセンサシステムの一実施形態の全体構成例を示す図である。
【図4】センサ診断機能の一実施形態の機能構成例を示す図である。
【図5】センサ出力格納部の情報格納の様子を示す図である。
【図6】センサの配置を示す図である。
【図7】センサ位置情報テーブルの様子を示す図である。
【図8】基準値格納部の情報格納の様子を示す図である。
【図9】移動物体数テーブルの様子を示す図である。
【図10】センサ診断処理の一実施形態のフローチャートである。
【図11】センサ選択処理のフローチャートである。
【図12】移動物体数カウント処理のフローチャートである。
【図13】判定処理のフローチャートである。
【図14】旅行時間計測システムの一実施形態の構成例を示す図である。
【図15】基準値格納部の情報格納の様子を示す図である。
【図16】基準値格納部の情報格納の様子を示す図である。
【図17】環境条件の一例を示す図である。
【図18】環境条件の一例を示す図である。
【図19】判定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
11−1〜11−n,31−1〜31−n センサ
12,32 ネットワーク
13,33 センタ装置
14,34 出力装置
21 センサ出力収集部
22 センサ出力格納部
23 センサ位置格納部
24 基準値格納部
25 比較判定部
26 異常通知部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断装置であって、
所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測する移動物体数計測手段と、
各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を格納する基準値格納手段と、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、前記基準値格納手段から読み出した前記各センサとその近隣のセンサ間の基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定する比較判定手段と、
を有することを特徴とするセンサ診断装置。
【請求項2】
請求項1記載のセンサ診断装置において、
前記複数のセンサは、前記物体を識別した識別情報に識別した時刻を付加して前記センタ装置に送信し、
前記移動物体数計測手段は、前記識別した時刻が前記所定時間内であり、各センサとその近隣のセンサそれぞれで得られた識別情報が一致したとき移動物体数の計数を行う、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
【請求項3】
請求項2記載のセンサ診断装置において、
前記基準値は、前記移動物体数に対応する次元の値であり、
前記比較判定手段は、前記移動物体数そのものを前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
【請求項4】
請求項2記載のセンサ診断装置において、
前記基準値は、前記移動物体数の割合に対応する次元の値であり、
前記比較判定手段は、前記各センサで検出された物体の総数に対する各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数の割合を、前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
【請求項5】
請求項1記載のセンサ診断装置において、
前記基準値格納手段は、環境条件に応じて異なる複数の基準値を格納し、
前記比較判定手段は、環境条件に応じて前記基準値格納手段から各センサとその近隣のセンサ間の基準値を読み出す、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
【請求項6】
請求項1記載のセンサ診断装置において、
前記比較判定手段で正常と判定されたセンサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を、前記正常と判定されたセンサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づいて更新する更新手段を
有することを特徴とするセンサ診断装置。
【請求項7】
物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断方法であって、
所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測し、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
【請求項8】
請求項7記載のセンサ診断方法において、
前記複数のセンサは、前記物体を識別した識別情報に識別した時刻を付加して前記センタ装置に送信し、
前記識別した時刻が前記所定時間内であり、各センサとその近隣のセンサそれぞれで得られた識別情報が一致したとき移動物体数の計数を行う、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
【請求項9】
請求項8記載のセンサ診断方法において、
前記基準値は、前記移動物体数に対応する次元の値であり、
前記比較は、前記移動物体数そのものを、前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
【請求項10】
請求項8記載のセンサ診断方法において、
前記基準値は、前記移動物体数の割合に対応する次元の値であり、
前記比較は、前記各センサで検出された物体の総数に対する各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数の割合を、前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
【請求項1】
物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断装置であって、
所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測する移動物体数計測手段と、
各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を格納する基準値格納手段と、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、前記基準値格納手段から読み出した前記各センサとその近隣のセンサ間の基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定する比較判定手段と、
を有することを特徴とするセンサ診断装置。
【請求項2】
請求項1記載のセンサ診断装置において、
前記複数のセンサは、前記物体を識別した識別情報に識別した時刻を付加して前記センタ装置に送信し、
前記移動物体数計測手段は、前記識別した時刻が前記所定時間内であり、各センサとその近隣のセンサそれぞれで得られた識別情報が一致したとき移動物体数の計数を行う、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
【請求項3】
請求項2記載のセンサ診断装置において、
前記基準値は、前記移動物体数に対応する次元の値であり、
前記比較判定手段は、前記移動物体数そのものを前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
【請求項4】
請求項2記載のセンサ診断装置において、
前記基準値は、前記移動物体数の割合に対応する次元の値であり、
前記比較判定手段は、前記各センサで検出された物体の総数に対する各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数の割合を、前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
【請求項5】
請求項1記載のセンサ診断装置において、
前記基準値格納手段は、環境条件に応じて異なる複数の基準値を格納し、
前記比較判定手段は、環境条件に応じて前記基準値格納手段から各センサとその近隣のセンサ間の基準値を読み出す、
ことを特徴とするセンサ診断装置。
【請求項6】
請求項1記載のセンサ診断装置において、
前記比較判定手段で正常と判定されたセンサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値を、前記正常と判定されたセンサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づいて更新する更新手段を
有することを特徴とするセンサ診断装置。
【請求項7】
物体を識別する複数のセンサそれぞれで得た識別情報をセンタ装置に集約するセンサシステムの各センサの診断を行うセンサ診断方法であって、
所定時間における前記複数のセンサの識別情報から、各センサとその近隣のセンサ間での移動物体数を計測し、
各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数に基づく値を、各センサとその近隣のセンサ間で予め設定された基準値と比較して、前記移動物体数に基づく値と前記基準値との偏差が閾値を超えたとき前記移動数を計測したセンサを異常と判定する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
【請求項8】
請求項7記載のセンサ診断方法において、
前記複数のセンサは、前記物体を識別した識別情報に識別した時刻を付加して前記センタ装置に送信し、
前記識別した時刻が前記所定時間内であり、各センサとその近隣のセンサそれぞれで得られた識別情報が一致したとき移動物体数の計数を行う、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
【請求項9】
請求項8記載のセンサ診断方法において、
前記基準値は、前記移動物体数に対応する次元の値であり、
前記比較は、前記移動物体数そのものを、前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
【請求項10】
請求項8記載のセンサ診断方法において、
前記基準値は、前記移動物体数の割合に対応する次元の値であり、
前記比較は、前記各センサで検出された物体の総数に対する各センサとその近隣のセンサ間で計測された移動物体数の割合を、前記移動物体数に基づく値として前記基準値と比較する、
ことを特徴とするセンサ診断方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−157439(P2009−157439A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331944(P2007−331944)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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