説明

センサ

【課題】実装基板に対して高い水平性を有し、高精度での検出が可能なセンサを提供する。
【解決手段】傾斜センサ10は、金属の角柱16A〜16Dと、これらによって形成される空隙14に収納される導電性のボール18と、前記角柱16A〜16Dの上端側に設けられる蓋20により構成されている。前記角柱16A〜16Dは、基板12に搭載される他の電子部品とともに、該基板12上に実装される。前記ボール18は、振動の向きに応じて、空隙14内を転動し、角柱16A〜16Dのうちの隣り合ういずれか二つの角柱に同時に接触して角柱同士を導通する。そして、導通した角柱の位置から、傾斜方向が検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動や傾斜などを検出するセンサに関し、更に具体的には、実装基板に対する水平性の改善と検出精度の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数方向への傾斜や振動などを検出するセンサとしては、例えば、以下の特許文献1に示す技術がある。前記特許文献1には、非導電性ケースの内部に複数の電極を配設するとともに、導電性球体を転動可能に収納し、該球体の転動によりオン・オフ動作を行わせるようにした、小型化に適した傾斜検出センサが開示されている。
【特許文献1】特開2005−222743公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、以上のような背景技術では、ケース内部に球体を収納してセンサを組み立てたのちに、ケースの底面を接着剤などを用いて基板面に実装するため、接着剤の厚みにより全体が傾くことがある。このような傾きは、傾斜や振動を検出するセンサとしての精度を低下させるという不都合がある。特に、上述した特許文献1に示すように、センサが小型になるほど、接着剤の影響が大きくなり、実装基板に対する高い水平性の維持が困難となって、傾斜や振動を高精度に検出できなくなるおそれがある。
【0004】
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、実装基板に対して高い水平性を維持し、高精度での検出が可能なセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明は、基板上に、導電性を有する少なくとも一つの可動小片を移動可能に収納する空間ないし空隙を形成し、該可動小片と接触して導通可能な接触検出手段を、前記基板上に搭載される部品とともに実装することを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、導電性の可動小片と接触導通する接触検出手段を、基板に搭載する部品とともに実装することで、基板に対する高い水平性を得るとともに、傾斜や振動を高精度に検出できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0008】
最初に、図1〜図3を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1は、本実施例1の全体構成を示す図であり、(A)は外観斜視図,(B)は平面図である。図2は、本実施例の製造手順の一例を示す図,図3は、本実施例の作用を示す図である。本実施例は、本発明を傾斜センサに適用した例である。図1に示すように、傾斜センサ10は、チップ部品などを実装する基板12上に離間して配置された4つの角柱16A〜16Dと、これら角柱16A〜16Dにより形成された空隙14内に収納されるボール(ないし球体)18と、前記角柱16A〜16Dの上端側を覆う蓋20により構成されている。
【0009】
前記角柱16A〜16Dは、全体が金属により構成されており、前記空隙14内でボール18が転動可能であり、かつ、隣接する角柱間の隙間からボール18が外側に出ないような間隔で、前記基板12上に配置されている。また、前記ボール18は、導電性を有しており、前記角柱16A〜16Dのうち、いずれか2つと同時に接触することによって、接触した角柱間の導通を図っている。なお、3点以上での接触がないように、前記角柱16A〜16Dの配置と、ボール18の大きさが設定されている。前記角柱16A〜16D及びボール18としては、例えば、Niメッキなどを施したものが用いられるが、Auメッキとすると更に高い信頼性を得ることができる。また、前記蓋20としては、例えばPET/PEなどのラミネートフィルムが用いられ、ヒートシールで前記角柱16A〜16Dの上端に接着される。
【0010】
次に、図2を参照しながら、本実施例の製造手順の一例を説明する。まず、図2(A)に示すように、基板12を用意する。該基板12は、図示の例では、チップ部品22,24などが搭載された回路基板である。次に、図2(B)に示すように、角柱16A〜16Dを基板12上の適宜位置にマウントないし載置し、角柱16A〜16D間の空隙14に、図2(C)に示すようにボール18を収納する。なお、マウントした角柱16A〜16Dは、適宜手段で図示しない電源などに接続されている。最後に、図2(D)に示すように、角柱16A〜16Dの上端にラミネートフィルムなどの蓋20を接着し、ボール18を空隙14内に閉じ込める。このように、チップ部品22,24などの搭載と同時に、センサデバイスを形成することができる。
【0011】
以上のような傾斜センサ10の動作を、図3を参照して説明する。図3(A)は、ボール18がいずれの角柱にも接触せず、スイッチOFFの状態である。ここで、基板12が、図面左上側が下がるように傾くと、ボール18が転動して、図2(B)に示すように角柱16A及び16Bに接触し、これら角柱16A及び16Bが導通状態となり、スイッチONとなる。そして、このようなスイッチONの状態から、左上側への傾斜が検出される。また、基板12が、図面右上側が下がるように傾くと、図2(C)に示すように角柱16B及び16Cにボール18が接触して導通し、スイッチON状態となるため、右上側への傾斜が検出される。同様に、基板12の右下側が下がったときは、図2(D)に示すようにボール18が角柱16C及び16Dに接触してこれらを導通し、基板12の左下側が下がったときは、図2(E)に示すようにボール18が角柱16D及び16Aに接触してこれらを導通する。このような動作によるスイッチON状態により、図2(D)及び図2(E)に示す傾斜が検出される。
【0012】
なお、前記図3(A)に示す傾きがない状態でスイッチOFFを実現するためには、図1(B)に破線で示すように、基板12の空隙14の部分に、ビアホール(ないし凹部)26を設けるようにする。また、この状態では、静電気が滞留することがあるため、空隙14の中央に、角柱16A〜16Dと絶縁した図示しない電極板を設けて、静電気を逃がすようにするとよい。更に、ボール18は、小さすぎると振動のストロークが大きくなって応答速度が低下するとともに、ボール18自体や角柱16A〜16Dの磨耗もすすむため、適度な大きさとなるように予め設定されている。
【0013】
このように、実施例1によれば、導電性を有するボール18と接触導通する角柱16A〜16Dによって、前記ボール18を転動可能に収納する空隙14を形成する際に、これら角柱16A〜16Dを、前記基板12上に搭載するチップ部品22及び24などとともに実装することとしたので、次のような効果がある。
(1)基板12に対して、角柱16A〜16Dを高い精度で水平に保つことができるため、傾斜の検出精度の向上が可能となる。
(2)基板12の設計単位で個別の傾斜センサ10を作成することが容易となる。
(3)製造工程の短縮及び製造コストの低減を図ることができる。
なお、本実施例では、導電性を有するボール18を空隙14に1つ収納する例を説明したが、後述するように、同一の空隙(空間)内に複数の導電性小片を収納するようにしてもよい。
【実施例2】
【0014】
次に、図4を参照しながら、本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする(以下の実施例についても同様)。図4(A)は、本実施例の平面図,図4(B)及び(C)は、センサ回路との接続例を示す図である。上述した実施例1は、ボール18と接触導通する接触検出手段として、金属の角柱16A〜16Dを利用したものであるが、本実施例は、基板に搭載されるチップ部品を利用した例である。図4(A)に示すように、本実施例の傾斜センサ30は、基板12上に設けられた4つのコンデンサ32A〜32Dによって、ボール18を転動可能に収納する空隙38が形成されており、それらの上部には、蓋20が設けられている。前記コンデンサ32Aは、両端に外部電極34A,36Aを備えた公知の積層セラミックコンデンサである。同様に、コンデンサ32B〜32Dも、外部電極34B〜34D,36B〜36Dを有している。
【0015】
このような傾斜センサ30は、図4(B)に示すように、コンデンサ32A〜32Dの外部電極のうち、ボール18と直接接触しない側の外部電極36A〜36Dを、基板12上に設けられたセンサ回路40に配線で接続することにより、コンデンサ32A〜32Dを、センサ回路40の一部として用いることができる。あるいは、図4(C)に示すように、コンデンサ32A〜32Dの外部電極のうち、ボールと直接接触する側の外部電極34A〜34Dをセンサ回路40と接続し、電極部分のみを利用するようにしてもよい。本実施例の製造方法,作用,効果は、上述した実施例1と基本的に同様であるが、それに加えて、基板12の実装部品であるコンデンサ32A〜32D自体を、ボール18との接触検出手段として利用することが可能となる。
【実施例3】
【0016】
次に、図5及び図6を参照しながら、本発明の実施例3を説明する。図5(A-1)及び(A-2)はコンデンサの外観斜視図,図5(B)は平面図,図5(C)は回路図である。図6は、センサ回路との接続例を示す図である。本実施例も、上述した実施例2と同様に、コンデンサを接触検出手段として利用する例であるが、図5(B)に示すように、ボール18を囲む4方に、それぞれ2つずつコンデンサが配置されている。本実施例で使用するコンデンサ52〜66は、図5(A-1)に示すように、LR逆転の低背タイプとなっているため、図5(A-1)に示す状態のまま基板に実装すると、高さHよりも径が大きいボール18を空隙78に収納することができず、センサとして機能しなくなる。そのため、図5(A-2)に示すように、通常の実装方向とは90度ずらした状態で図5(B)に示すように実装し、高さHよりも大きく幅Wよりも小さい径のボール18を利用している。
【0017】
図5(B)に示すように、本実施例の傾斜センサ50は、ボール18の左側に一対のコンデンサ52及び54,上側にコンデンサ56及び58,右側にコンデンサ60及び62,下側にコンデンサ64及び66が配置されており、コンデンサ内蔵タイプのセンサとなっている。なお、前記上下左右の表現は、便宜上、紙面上のボールに対する位置を示すためのものである。前記コンデンサ52〜66は、それぞれ、ボール18に接触する外部電極52A〜66Aと、前記ボール18に接触しない外部電極52B〜66Bを備えている。また、コンデンサ54,58,62,66には、それぞれランプ68,70,72,74が接続されており、コンデンサ52,56,60,64の外部電極52A,56A,60A,64Aはアースされて同電位となっている。
【0018】
以上のような構成において、ボール18とコンデンサ54及び56によって形成される回路図は、図5(C)のようになる。すなわち、電源76とコンデンサ54とランプ68が並列接続された回路となっている。ここで、図5(B)に示すように、ボール18がコンデンサ54及び56の外部電極54A及び56Bに接触すると、図5(C)に示すスイッチSWがON状態となり、コンデンサ54に電荷がたまるとともに、ランプ68が点灯する。そして、ボール18がコンデンサから離れると、図5(C)に示すスイッチSWがOFF(オープン)となる。
【0019】
図6には、本実施例の変形例が示されている。同図において、コンデンサ54,58,62,66には、それぞれ並列に抵抗69,71,73,75が接続されており、センサ回路79の入力ピン又は出力ピンのいずれかに接続されている。またコンデンサ52,56,60,64の外部電極52A,56A,60A,64Aは、前記センサ回路79の入力ピン又は出力ピンのいずれかに接続されている。ここで、ボール18が、コンデンサ54及び56の外部電極54A及び56Aに接触すると、図6に太線で示すラインが導通し、導通した位置を、前記センサ回路79が検出することによって、傾斜方向(図示の例では図面左上方向)が検出される。また、ボール18が、コンデンサ52及び54に接触するときには、図面左側への傾斜が検出可能となる。このように、本実施例によれば、ボール18の周囲を8つのコンデンサ52〜66で囲むこととしたので、空隙78の中心からみて8つの方向への傾斜が検出可能になるという効果が得られる。
【実施例4】
【0020】
次に、図7を参照して、本発明の実施例4を説明する。図7(A)は、本実施例の平面図,図7(B)は回路図である。本実施例は、本発明を振動センサに適用したものである。図7に示すように、振動センサ80は、コンデンサ内蔵型であって、金属により構成された3つの角柱82,84,86とコンデンサ88により、ボール18を収納する空隙94が形成されている。前記角柱82とコンデンサ88の外部電極88Bの間には、ランプ92が接続されており、前記外部電極88Bと角柱86の間には、電源90が接続されている。また、コンデンサ88の他方の外部電極88Aは、角柱84と接続されている。このため、振動センサ80の導通状態は、ボール18が角柱82又は86のいずれに接触しているかによってのみ変化し、角柱84及びコンデンサ88間での振動は検知されない構成となっている。すなわち、図面でみると、角柱82及び86間の上下振動のみを検出構成となっている。
【0021】
このような構造を、図7(B)の回路図で見ると、電源90とコンデンサ88とランプ92が並列に接続されており、電源90とコンデンサ88の間にスイッチSWAが設けられ、コンデンサ88とランプ92の間にスイッチSWBが設けられていることになる。ここで、ボール18が角柱84又はコンデンサ88のいずれか一方と角柱86に同時に接触すると、前記スイッチSWAがON(クローズ),スイッチSWBがOFF(オープン)状態となり、コンデンサ88が充電される。逆に、ボール18が角柱84又はコンデンサ88のいずれか一方と角柱82に同時に接触すると、スイッチSWAがOFF,スイッチSWBがONとなり、ランプ92が点灯する。本実施例によれば、角柱84とコンデンサ88を予め導通しておくことにより、角柱82及び86間の一方向の振動のみを検出することができるため、自転車やレーダー探知機などへの利用が可能である。
【実施例5】
【0022】
次に、図8を参照して、本発明の実施例5を説明する。図8(A)は本実施例の平面図,図8(B)は回路図である。本実施例5も、上述した実施例4と同様に、コンデンサ内蔵型の振動センサである。図8に示すように、本実施例の振動センサ100は、コンデンサ88と角柱82の間に、抵抗102と他のコンデンサ104を並列に接続したものであって、検出できるボール18の振動は、前記実施例4と同様に、角柱82及び86間の一方向のみである。本実施例の回路図を見ると、図8(B)に示すように、電源90,コンデンサ88,抵抗102,コンデンサ104が並列に接続されており、電源90とコンデンサ88の間にスイッチSWAが設けられ、コンデンサ88と抵抗102の間にスイッチSWBが設けられている。更に、本実施例では、基準電圧VSが入力されているコンパレータ106が設けられている。
【0023】
上述した実施例4では、振動があるときに直接ランプを光らせるため、スイッチに流れる電流が大きくなってしまう。そこで、本実施例では、コンデンサ88及び104と、抵抗102を選定することにより、ある周波数以上の振動のときにのみ、コンデンサ104に容量が溜まるようにして、誤作動を防止している。この出力を、前記コンパレータ106で基準電圧VSとコンパレートして2値化し、所定の周波数以上の振動の有無の信号を出力することができる。このように、本実施例によれば、上述した実施例4の効果に加え、スイッチに流れる電流を小さくするとともに、誤作動を防止できるという効果がある。
【実施例6】
【0024】
次に、図9を参照して、本発明の実施例6を説明する。図9は、本実施例の振動センサの平面図である。上述した実施例4及び5は、図面の上下方向の振動のみを検出可能な構成であったが、本実施例は、図面の左右方向への振動をも検出可能な例である。図9に示すように、振動センサ110は、前記実施例5の構成に加えて、金属の角柱112とコンデンサ114を備えている。角柱112は、前記角柱86に接続され、コンデンサ114の外部電極114Aは、前記角柱84及びコンデンサ88の外部電極88Aに接続されている。また、コンデンサ114の他方の外部電極114Bと、コンデンサ88の外部電極88Bの間には、抵抗102とコンデンサ104が並列に接続されている。そして、前記角柱112,84,82とコンデンサ114で形成される空隙118の間に、導電性のボール116が収納される。すなわち、本実施例の振動センサ110は、ボールを2つ備えたダブルセンサである。本実施例によれば、ボール18により角柱82及び86間の上下方向の振動が検出され、ボール116により、角柱112及び82間の左右方向の振動が検出可能である。更に、本実施例は、ロバストにするためにも有効である。
【実施例7】
【0025】
次に、図10及び図11を参照して、本発明の実施例7を説明する。図10(A)は、本実施例の傾斜センサモジュールの構造を示す斜視図,図10(B)は、全体構成を示す斜視図である。また、図11は、本実施例の回路図である。本実施例は、振動センサによる振動の検出結果を外部に示す手段を備えたデモンストレーション用の発光基板である。図10(B)に示すように発光基板200は、基板202の略中央に傾斜センサモジュール204が形成されており、その周囲には、傾斜の検出結果に応じて発光するLED220〜228が設けられている。前記基板202には、配線232を介してバッテリパック230が接続されている。前記傾斜センサモジュール204は、図10(A)に示すように、基本的には、前記実施例1の傾斜センサと同じ構造となっている。すなわち、基板202上に、金属の角柱208A〜208Dが設けられ、それらによって形成される空隙206にボール18が収納されるとともに、蓋210が角柱208A〜208Dの上端を覆っている。
【0026】
前記発光基板200の回路は、図11に示すように、傾斜センサモジュール(接点センサ部)204,接触位置検出部240,表示素子部250,表示用デコーダ260から構成されている。前記表示素子部250は、前記LED220〜228を含んでいる。
【0027】
傾斜センサモジュール204における傾斜状態,すなわち、ボール18の接触位置が検出されると、検出結果が表示用デコーダ260でデコードされ、表示素子部250のLED220〜228が点灯する。例えば、角柱208Aと208Bを導通すると、対応する位置に設けられたLED220が点灯する。同様に、角柱208Bと208Dを導通するとLED222が点灯し、角柱208Cと208Dを導通するとLED224が点灯し、角柱208Aと208Cを導通するとLED226が点灯する。なお、ニュートラル又は一点のみの接触になった場合は、LED228が点灯する。このように、本実施例によれば、傾斜センサの検出結果に応じて点灯するLED220〜228を基板202上に設けることとしたので、傾斜センサの検出結果を視覚的に把握することができる。
【実施例8】
【0028】
次に、図12を参照して、本発明の実施例8を説明する。上述した実施例は、いずれも、1つの空隙ないし空間に1つの導電性小片(ボール18)を収納することとしたが、本実施例は、1つの空隙ないし空間に複数の導電性小片を収納した構造となっている。まず、図12(A)に示すセンサ300は、金属の角柱302〜308によって形成される略長方形の空隙に、導電性を有する2つのボール18A及び18Bが収納されている。また、図12(B)に示すセンサ320は、金属の角柱322A〜322Hによって形成された略円形の空隙内に、5つの導電性のボール18A〜18Eが収納されている。このように1つの空隙内に複数の可動性小片を収納することにより、大きなボールを1つ収納する場合よりも、低背でMoving mass(応答性を確保するための質量)を稼ぐことができるという効果が得られる。
【0029】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、振動センサや無重力センサの場合には、角柱やコンデンサなどで形成される空間に収納される導電体としては、球体に限定されるものではない。また、1つの空隙ないし空間に収納する導電性小片の数も一例であり、必要に応じて適宜増減してよい。
(2)前記実施例で示した材料も一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更してよい。
(3)角柱やコンデンサの実装数や配置も一例であり、ボールが飛び出ないようであれば、検出目的に応じて適宜変更してよい。また、前記実施例の角柱とコンデンサの組み合わせも一例であり、必要に応じて適宜設計変更可能である。
(4)前記実施例では、ボール18が飛び出ないように蓋を設けることとしたが、これも一例であり、蓋は必要に応じて設けるようにすればよい。あるいは、収納部全体を覆わなくも、ボール18の飛び出しを防止できる構造であればよい。
(5)実施例7で示した発光基板200も一例であり、本発明のセンサによる検出結果の出力方法は、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、ブザー音を発生させるなどである。
(6)本発明のセンサは、公知の各種の用途に用いられる傾斜センサ,振動センサ,無重力センサなどに適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、導電性の可動小片と接触導通する接触検出手段を、基板に搭載する部品とともに実装し、基板に対して高い水平性を実現することで、傾斜や振動を高精度に検出するセンサの用途に適用できる。特に、傾斜センサであれば、カメラの画像の方向検知等の用途に、また振動センサであれば車両盗難防止装置の振動検知の用途に、さらに無重力センサであれば、ハードディスクの落下前にヘッドを退避させるための無重力状態の検出の用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1を示す図であり、(A)は外観斜視図,(B)は平面図である。
【図2】前記実施例1の製造手順の一例を示す斜視図である。
【図3】前記実施例1の作用を示す図である。
【図4】本発明の実施例2を示す図であり、(A)は平面図,(B)及び(C)はセンサ回路との接続例を示す図である。
【図5】本発明の実施例3を示す図であり、(A-1)及び(A-2)はコンデンサの外観斜視図,(B)は平面図,(C)は回路図である。
【図6】前記実施例3のセンサ回路との接続例を示す図である。
【図7】本発明の実施例4を示す図であり、(A)は平面図,(B)は回路図である。
【図8】本発明の実施例5を示す図であり、(A)は平面図,(B)は回路図である。
【図9】本発明の実施例6を示す平面図である。
【図10】本発明の実施例7を示す図であり、(A)はセンサモジュールを示す斜視図,(B)は全体構成を示す斜視図である。
【図11】前記実施例7の回路図である。
【図12】本発明の実施例8を示す平面図である。
【符号の説明】
【0032】
10:傾斜センサ
12:基板
14:空隙
16A〜16D:角柱
18,18A〜18E:ボール(球体)
20:蓋
22,24:チップ部品
26:ビアホール(ないし凹部)
30:傾斜センサ
32A〜32D:コンデンサ
34A〜34D,36A〜36D:外部電極
38:空隙
40:センサ回路
50:傾斜センサ
52〜66:コンデンサ
52A〜66A,52B〜66B:外部電極
68,70,72,74:ランプ
69,71,73,75:抵抗
76:電源
78:空隙
79:センサ回路
80:振動センサ
82〜86:角柱
88:コンデンサ
88A,88B:外部電極
90:電源
92:ランプ
94:空隙
100:振動センサ
102:抵抗
104:コンデンサ
106:コンパレータ
110:振動センサ
112:角柱
114:コンデンサ
114A,114B:外部電極
116:ボール
118:空隙
200:発光基板
202:基板
204:傾斜センサモジュール
206:空隙
208A〜208D:角柱
210:蓋
220〜228:LED
230:バッテリパック
232:配線
240:接触位置検出部
250:表示素子部
260:表示用デコーダ
300:センサ
302〜308:角柱
320:センサ
322A〜322H:角柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する少なくとも一つの可動小片,
基板上に前記可動小片を移動可能に収納する空間ないし空隙を形成し、該可動小片と接触して導通可能であって、前記基板上に搭載される部品とともに実装される接触検出手段,
を備えたことを特徴とするセンサ。
【請求項2】
複数の接触検出手段を、前記可動小片が通らない間隔で離間させて配置することにより、前記空間ないし空隙を形成したことを特徴とする請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
前記空間ないし空隙内の基板上に、前記可動小片と接触可能であって、かつ、前記接触検出手段の導通部と絶縁された静電気滞留防止用の電極を設けたことを特徴とする請求項2記載のセンサ。
【請求項4】
前記空間ないし空隙の開口部を覆う蓋体を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセンサ。
【請求項5】
前記接触検出手段が、金属の構造体,前記可動小片との接触側に表面電極を有する構造体,表面電極が形成されており前記基板上に実装される部品の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセンサ。
【請求項6】
前記可動小片が、略球形であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−128870(P2007−128870A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272827(P2006−272827)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】